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特許7538670原稿送り装置及びそれを備えた画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】原稿送り装置及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020158541
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052268
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 憲治
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-233420(JP,A)
【文献】特開2012-076829(JP,A)
【文献】特開2017-165575(JP,A)
【文献】特開2013-216440(JP,A)
【文献】特開2020-079137(JP,A)
【文献】特開2005-225645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、
前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、
前記掬い上げ部は、前記搬送方向において搬送可能な最小サイズの前記原稿が前記原稿トレイに載置されたときの該原稿の後端の位置よりも下流側に位置し、
前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、
前記一対の原稿ガイドのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部よりも前記搬送方向における上流側に位置し、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記搬送方向における中央部に位置しており、
前記原稿トレイには、前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、
前記複数の凸状部の前記搬送方向における両側の面が傾斜し、上流側の面が下流側の面の傾斜よりも緩やかに傾斜していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項2】
原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、
前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、
前記掬い上げ部は、前記搬送方向において搬送可能な最小サイズの前記原稿が前記原稿トレイに載置されたときの該原稿の後端の位置よりも下流側に位置し、
前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、
前記一対の原稿ガイドのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部よりも前記搬送方向における上流側に位置し、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記搬送方向における中央部に位置しており、
前記原稿トレイには、前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、
前記複数の凸状部のうち、前記搬送方向における両外側端に位置する凸状部の高さは、前記搬送方向における内側に位置する凸状部の高さよりも高いことを特徴とする原稿送り装置。
【請求項3】
原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、
前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドの移動領域に亘って前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、
前記複数の凸状部の前記搬送方向における両側の面が傾斜し、上流側の面が下流側の面の傾斜よりも緩やかに傾斜していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項4】
原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、
前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、
前記原稿トレイには、前記原稿ガイドの移動領域に亘って前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、
前記複数の凸状部のうち、前記搬送方向における両外側端に位置する凸状部の高さは、前記搬送方向における内側に位置する凸状部の高さよりも高いことを特徴とする原稿送り装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項4に記載の原稿送り装置であって、
前記複数の凸状部の前記搬送方向における両側の面が傾斜し、上流側の面が下流側の面の傾斜よりも緩やかに傾斜していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記原稿載置面の上部から前記幅方向における前記原稿の載置側に突出し、かつ、前記幅方向における前記原稿ガイド部側に向かうに従って高くなるように傾斜し、
前記掬い上げ部の傾斜面が前記原稿ガイド側原稿載置部の前記掬い上げ部に対応する部分の前記原稿載置面よりも上側に位置していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における前記原稿の載置側の端部の前記溝部に対応する対応箇所に設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における前記原稿の載置側の端部には、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における下流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された下流側外形部が設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項9】
請求項から請求項8までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記掬い上げ部は、前記搬送方向において搬送可能な最小サイズの前記原稿が前記原稿トレイに載置されたときの該原稿の後端の位置よりも下流側に位置していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項10】
請求項9に記載の原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、
前記一対の原稿ガイドのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部よりも前記搬送方向における上流側に位置していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項11】
請求項1、請求項2、請求項9又は請求項10に記載の原稿送り装置であって、
前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、
前記溝部は、前記一対の原稿ガイドをそれぞれ前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる一対の溝部であり、
前記一対の溝部は、前記原稿トレイにおいて前記搬送方向に所定の間隔をおいてずらして設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項12】
請求項1、請求項2又は請求項9から請求項11までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記原稿トレイの前記幅方向における中央部には、前記原稿ガイド側原稿載置部の原稿載置面に沿った原稿載置面を有する平面部が設けられており、
前記平面部の前記原稿載置面は、前記原稿トレイの前記幅方向における中央部で前記原稿を載置することを特徴とする原稿送り装置。
【請求項13】
請求項12に記載の原稿送り装置であって、
前記平面部には、前記掬い上げ部に対応する箇所を含むように前記搬送方向に沿って直線状に形成された直線状外形部と、前記直線状外形部に連設して前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記幅方向における中央部から離れるように形成された上流側外形部とが設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の原稿送り装置であって、
前記掬い上げ部は、前記平面部に潜り込むことを特徴とする原稿送り装置。
【請求項15】
請求項1から請求項8までの何れか1つに記載の原稿送り装置であって、
前記溝部は、貫通溝部であり、
前記原稿ガイドは、前記幅方向に沿って延びるラックギヤを有するラック部を有し、
前記ラック部の一部により前記溝部を塞ぐことを特徴とする原稿送り装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15までの何れか1つに記載の原稿送り装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿送り装置及それを備えた複写機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿送り装置は、一般的に、原稿を積載する原稿トレイと、原稿トレイに積載された原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側(何れか一方側又は両側)の原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えている。また、原稿ガイドは、原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、原稿ガイド側原稿載置部から立設されて原稿の端辺をガイドする原稿ガイド部とを備えていることが多い。
【0003】
このような原稿送り装置では、原稿ガイドを先に原稿のサイズに合わせてから原稿を原稿トレイに載置する場合には常に原稿ガイド側原稿載置部における原稿載置面上に原稿を載置することができるため特に不都合がないものの、原稿を先に原稿トレイに載置してから原稿ガイドを原稿のサイズに合わせる場合には次のような不都合がある。
【0004】
すなわち、原稿ガイド側原稿載置部が原稿のサイズよりも外側に開いた状態で原稿ガイド側原稿載置部よりも内側に原稿を載置することがある。この場合、原稿ガイドを原稿側に移動させた際に、原稿の端辺が原稿ガイド側原稿載置部の下側に入り込むことがあり、そうすると、原稿がダメージを受けて損傷することがあった。このことは、原稿トレイに積載されるシートの積載枚数が大きくなるほど顕著となる。また、近年、複数種類のサイズ(例えば名刺等の小サイズの原稿)に対応するために原稿ガイドの最大サイズから最小サイズまでの幅方向における移動距離が長くなることで、原稿ガイド側原稿載置部の幅が小さくなっており、前記のリスクが大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-76829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この点に関し、特許文献1には、原稿トレイに、原稿ガイドを幅方向に往復移動させるために幅方向に沿って延びる溝部を設け、原稿ガイド側原稿載置部の幅方向における端部に、原稿トレイに積載された原稿に向けて原稿ガイドを移動させた際に原稿の端辺を掬い上げる掬い上げ部を設ける構成が記載されている〔特許文献1の図3(a)参照〕。
【0007】
詳しくは、特許文献1に記載の構成では、原稿ガイド側原稿載置部における掬い上げ部が設けられている端部には、原稿の搬送方向に沿って直線状に形成された直線状外形部が設けられている。
【0008】
従って、特許文献1に記載の構成では、原稿ガイド側原稿載置部が原稿のサイズよりも外側に開いた状態で原稿トレイ上に原稿を載置する場合において、原稿ガイドを原稿側に移動させた際に、原稿の端辺を原稿ガイド側原稿載置部よりも先に掬い上げ部で掬い上げたとしても、原稿ガイド側原稿載置部における掬い上げ部が設けられている端部には、直線状外形部が設けられていることから、原稿の端辺が直線状外形部に沿った状態になり易く、これにより、原稿の端辺が掬い上げ部で掬い上げられても原稿ガイド側原稿載置部において直線状外形部の下側に入り込むことがあり、そうすると、原稿がダメージを受けて損傷することがある。
【0009】
そこで、本発明は、原稿ガイド側原稿載置部が原稿のサイズよりも開いた状態で原稿トレイ上に原稿を載置する場合であっても、原稿ガイドを原稿側に移動させた際に、原稿ガイド側原稿載置部の下側に原稿の端辺が入り込むことを効果的に防止することができる原稿送り装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、次の第1態様から態様の原稿送り装置及び画像形成装置を提供する。
(1)第1態様の原稿送り装置
本発明に係る第1態様の原稿送り装置は、原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、前記掬い上げ部は、前記搬送方向において搬送可能な最小サイズの前記原稿が前記原稿トレイに載置されたときの該原稿の後端の位置よりも下流側に位置し、前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、前記一対の原稿ガイドのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部よりも前記搬送方向における上流側に位置し、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記搬送方向における中央部に位置しており、前記原稿トレイには、前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、前記複数の凸状部の前記搬送方向における両側の面が傾斜し、上流側の面が下流側の面の傾斜よりも緩やかに傾斜していることを特徴とする。
(2)第2態様の原稿送り装置
本発明に係る第2態様の原稿送り装置は、原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、前記掬い上げ部は、前記搬送方向において搬送可能な最小サイズの前記原稿が前記原稿トレイに載置されたときの該原稿の後端の位置よりも下流側に位置し、前記原稿ガイドは、前記原稿トレイに積載された前記原稿の前記幅方向における両側の端辺をそれぞれガイドする一対の原稿ガイドとされ、前記一対の原稿ガイドのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部よりも前記搬送方向における上流側に位置し、前記操作側とは反対側の原稿ガイドにおける前記掬い上げ部は、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記搬送方向における中央部に位置しており、前記原稿トレイには、前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、前記複数の凸状部のうち、前記搬送方向における両外側端に位置する凸状部の高さは、前記搬送方向における内側に位置する凸状部の高さよりも高いことを特徴とする。
)第態様の原稿送り装置
本発明に係る第態様の原稿送り装置は、原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドの移動領域に亘って前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、前記複数の凸状部の前記搬送方向における両側の面が傾斜し、上流側の面が下流側の面の傾斜よりも緩やかに傾斜していることを特徴とする。
(4)第4態様の原稿送り装置
本発明に係る第4態様の原稿送り装置は、原稿を積載する原稿トレイと、前記原稿トレイに積載された前記原稿の搬送方向に直交する幅方向における少なくとも一方側の前記原稿の端辺をガイドする原稿ガイドとを備えた原稿送り装置であって、前記原稿ガイドは、前記原稿を載置する原稿載置面を有する原稿ガイド側原稿載置部と、前記原稿ガイド側原稿載置部から立設されて前記原稿の前記端辺をガイドする原稿ガイド部とを備え、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドを前記幅方向に往復移動させるために前記幅方向に沿って延びる溝部が設けられ、前記原稿ガイドには、前記原稿ガイド側原稿載置部の前記幅方向における端部に、前記原稿トレイに積載された前記原稿に向けて前記原稿ガイドを移動させた際に該原稿の前記端辺を掬い上げる掬い上げ部と、前記掬い上げ部を頂点として前記搬送方向における上流側に向かうに従って次第に前記原稿ガイド部に近づくように形成された上流側外形部とが設けられ、前記原稿トレイには、前記原稿ガイドの移動領域に亘って前記幅方向に延びる複数の凸状部が設けられており、前記複数の凸状部のうち、前記搬送方向における両外側端に位置する凸状部の高さは、前記搬送方向における内側に位置する凸状部の高さよりも高いことを特徴とする。
)画像形成装置
本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る第1態様から態様までの何れか1つの原稿送り装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿ガイド側原稿載置部が原稿のサイズよりも開いた状態で原稿トレイ上に原稿を載置する場合であっても、原稿ガイドを原稿側に移動させた際に、原稿ガイド側原稿載置部の下側に原稿の端辺が入り込むことを効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を透視的に示す正面図である。
図2A図1に示す原稿送り装置を示す平面図である。
図2B図1に示す原稿送り装置を示す正面図である。
図2C図1に示す原稿送り装置を示す斜視図である。
図3A】原稿ガイドが最も開いている様子を示す原稿トレイ部の一例の正面図である。
図3B】原稿ガイドが最も開いている様子を示す原稿トレイ部の一例の斜視図である。
図4A】原稿ガイドが最も閉じている様子を示す原稿トレイ部の一例の正面図である。
図4B】原稿ガイドが最も閉じている様子を示す原稿トレイ部の一例の斜視図である。
図5A】操作側の原稿ガイドを示す平面図である。
図5B】操作側の原稿ガイドを示す背面図である。
図5C】操作側の原稿ガイドを示す斜視図である。
図6A】操作側とは反対側の原稿ガイドを示す平面図である。
図6B】操作側とは反対側の原稿ガイドを示す背面図である。
図6C】操作側とは反対側の原稿ガイドを示す斜視図である。
図7A】操作側とは反対側の原稿ガイドにおける掬い上げ部部分を拡大して示す断面図である。
図7B図7Aに示すα部分を示す断面図である。
図8】下流側原稿トレイ部において一対の溝部を原稿トレイにおいて搬送方向における同一位置に揃えて設けた一例を示す平面図である。
図9図3Aから図4Bに示す下流側原稿トレイ部を下から視た斜視図である。
図10A図9に示す下流側原稿トレイ部を上から視た分解斜視図である。
図10B図9に示す下流側原稿トレイ部を下から視た分解斜視図である。
図11A】原稿ガイドが最も開いている様子を示す下流側原稿トレイ部の正面図である。
図11B】原稿ガイドが最も閉じている様子を示す下流側原稿トレイ部の正面図である。
図12A】操作側の直線状外形部に設けられた窪み部分を示す拡大図である。
図12B】操作側とは反対側の直線状外形部に設けられた窪み部分を示す拡大図である。
図13A】下流側原稿トレイ部の図11A示すA-A線に沿った断面図である。
図13B図13Aにおいて掬い上げ部よりも搬送方向における上流側の凸状部を示す断面図である。
図13C図13Aにおいて掬い上げ部よりも搬送方向における下流側の凸状部を示す断面図である。
図14】下流側原稿トレイ部の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を透視的に示す正面図である。なお、図1において、符号Xは、左右方向を、符号Y1は、前後方向Yの一方側(操作者による操作側)を、符号Y1は、前後方向Yの他方側(操作側とは反対側)を、符号Zは、上下方向を示している。
【0015】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で用紙(記録材)に画像形成する。なお、画像形成装置100は、モノクロの画像を形成するものであってもよい。
【0016】
画像読取装置102は、原稿送り装置200を備えている。原稿送り装置200は、画像読取部130の上側に設けられており、画像読取部130に対して開閉自在に支持されている。原稿送り装置200は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置200により1枚又は複数枚の原稿のうち1枚ずつ搬送される原稿Gを読み取る。画像読取装置102は、原稿Gを載置する原稿載置台130a(原稿台)と、原稿載置台130a上に載置された原稿Gを読み取る載置原稿読取機能とを備えている。画像形成装置100は、原稿送り装置200が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。また、原稿送り装置200は、原稿Gを載置する原稿トレイ310と、外部に排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ250とを備えている。画像読取装置102は、原稿送り装置200にて搬送された原稿Gを読み取る搬送原稿読取機能を備えている。原稿送り装置200は、原稿トレイ310に載置された原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に搬送する。画像読取部130は、走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか又は原稿送り装置200にて搬送される原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0017】
画像形成装置100は、画像形成部110を備えている。画像形成部110は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト7、定着装置12、用紙搬送路S、給紙カセット18、用紙排出トレイ141(胴内排出トレイ)を備えている。
【0018】
画像形成部110では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100の画像転写部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0019】
光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0020】
感光体ドラム3の上側には、中間転写ベルト7を介して中間転写ローラ6が配置されている。中間転写ベルト7は、転写駆動ローラ7a及び転写従動ローラ7bに張架され、矢符Cの方向へ周回移動する。画像形成装置100では、ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去及び回収し、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト7の表面にカラーのトナー像を形成する。
【0021】
2次転写部11の転写ローラ11aは、中間転写ベルト7との間にニップ域が形成されており、用紙搬送路Sを通じて搬送されてきた用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト7の表面のトナー像が転写されて定着装置12に搬送される。
【0022】
定着装置12は、用紙を挟んで回転する定着ローラ12a及び加圧ローラ12bを備えている。定着装置12は、定着ローラ12a及び加圧ローラ12bの間にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像を用紙に定着させる。
【0023】
給紙カセット18は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。用紙は、用紙ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、用紙搬送路Sに搬送される。用紙搬送路Sに搬送された用紙は、2次転写部11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、用紙排出トレイ141に排出される。用紙搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、用紙の搬送を促す。レジストローラ14は、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止した用紙を中間転写ベルト7上のカラートナー像とタイミングに合わせて搬送する。中間転写ベルト7上のカラートナー像は、中間転写ベルト7と転写ローラ11aとの間のニップ域で用紙に転写される。
【0024】
なお、図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類の用紙を積載してもよい。
【0025】
また、画像形成装置100は、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排出ローラ17から用紙反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送された用紙の表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれた用紙を表面と同様にして裏面に画像形成し、用紙排出トレイ141に搬出する。
【0026】
画像読取部130は、画像形成装置本体101の上面に設けられている。画像読取部130上には、原稿送り装置200が取り付けられている。
【0027】
[原稿送り装置]
<第1実施形態>
図2A図2B及び図2Cは、それぞれ、図1に示す原稿送り装置200を示す平面図、正面図及び斜視図である。図3A及び図3Bは、原稿ガイド320が最も開いている様子を示す原稿トレイ部300の一例の正面図及び斜視図である。図4A及び図4Bは、原稿ガイド320が最も閉じている様子を示す原稿トレイ部300の一例の正面図及び斜視図である。図5Aから図5Cは、それぞれ、操作側の原稿ガイド320aを示す平面図、背面図及び斜視図である。図6Aから図6Cは、それぞれ、操作側とは反対側の原稿ガイド320bを示す平面図、背面図及び斜視図である。図7Aは、操作側とは反対側の原稿ガイド320bにおける掬い上げ部部分を拡大して示す断面図である。また、図7Bは、図7Aに示すα部分を示す断面図である。なお、図7A及び図7Bでは、操作側とは反対側の原稿ガイド320bにおける掬い上げ部部分を示しているが、操作側の原稿ガイド320aについても同様の構成であり、ここでは図示を省略している。
【0028】
原稿送り装置200は、原稿トレイ部300を備えている。原稿トレイ部300は、下流側原稿トレイ部330と、上流側原稿トレイ部340とを備えている。下流側原稿トレイ部330は、原稿Gの搬送方向Hにおける下流側に設けられている。上流側原稿トレイ部340は、原稿Gの搬送方向Hにおいて下流側原稿トレイ部330の上流側に連設されている。下流側原稿トレイ部330及び上流側原稿トレイ部340は樹脂材料で形成されている。
【0029】
下流側原稿トレイ部330は、原稿Gを積載する原稿トレイ310と、原稿ガイド320(320a,320b)とを備えている。図2A及び図3Aに示す例では、原稿Gは名刺である。名刺は、原稿送り装置200で搬送可能な最小サイズの原稿である。原稿ガイド320は、原稿トレイ310に積載された原稿Gの搬送方向Hに直交する幅方向Wにおける少なくとも一方側の端辺G1(この例では両側の端辺G1a,G1b)をガイド(規制)する。
【0030】
原稿ガイド320は、原稿ガイド側原稿載置部321と、原稿ガイド部322とを備えている。原稿ガイド側原稿載置部321は、原稿Gを載置する原稿載置面321aを有している。ここで、原稿ガイド側原稿載置部321は、上面に原稿載置面321aを有する板状の部材である。原稿ガイド側原稿載置部321の原稿載置面321a以外の部分としては、上下方向Zに沿った側面、及び、原稿載置面321aと上下方向Zに沿った側面の上端との間に形成される凸の曲面等を例示できる。原稿ガイド部322は、原稿ガイド側原稿載置部321から立設されて原稿Gの端辺G1をガイドする原稿ガイド面322aを有している。ここで、原稿ガイド部322は、内面に原稿ガイド面322aを有する板状の部材である。原稿ガイド側原稿載置部321と原稿ガイド部322とは一体的に形成されている。
【0031】
原稿トレイ310には、原稿ガイド320を幅方向Wに往復移動させるために幅方向Wに沿って延びる溝部311(311a,311b)が設けられている。この例では、溝部311は貫通溝部である。
【0032】
原稿ガイド320には、掬い上げ部321cと、上流側外形部321dとが設けられている。ここで、上流側外形部321dは、原稿ガイド側原稿載置部321の稜線を含む概念である。よって、原稿ガイド側原稿載置部321の原稿載置面321aは、原稿ガイド側原稿載置部321の稜線を含まない。掬い上げ部321cは、原稿ガイド側原稿載置部321の幅方向Wにおける端部321bに、原稿トレイ310に積載された原稿Gに向けて原稿ガイド320を移動させた際に原稿Gの端辺G1を掬い上げる。詳しくは、掬い上げ部321cは、原稿ガイド側原稿載置部321から幅方向Wにおける原稿Gの載置側に突出し、かつ、先端が原稿ガイド320の原稿載置面321aよりも下方に位置している。この例では、掬い上げ部321cと原稿ガイド側原稿載置部321とは一体的に形成されている。
【0033】
上流側外形部321dは、掬い上げ部321cを頂点として搬送方向Hにおける上流側に向かうに従って次第に原稿ガイド部322に近づくように形成されている。
【0034】
本実施の形態では、原稿ガイド側原稿載置部321が原稿Gのサイズよりも外側に開いた状態で原稿ガイド側原稿載置部321よりも内側に原稿Gを載置する場合において、原稿ガイド320を原稿G側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1を原稿ガイド側原稿載置部321よりも先に掬い上げ部321cで掬い上げることができる。ここで、原稿ガイド側原稿載置部321における端部321bに設けられた上流側外形部321dは、掬い上げ部321cを頂点として搬送方向Hにおける上流側に向かうに従って次第に原稿ガイド部322に近づくように形成されていることから、原稿ガイド320を原稿G側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1が上流側外形部321dに対して交差した状態になり易くすることができる。これにより、原稿Gの端辺G1が原稿ガイド側原稿載置部321において上流側外形部321dの下側に入り込むことを抑制することができ、それだけ、原稿Gがダメージを受けて損傷することを効果的に防止することができる。
【0035】
上流側外形部321dは、例えば、直線状の傾斜形状部、凸の曲線形状部、凹の曲線形状部、凸の楕円弧形状部、凹の楕円弧形状部に形成されていてもよい。
【0036】
この例では、原稿ガイド側原稿載置部321の上流側外形部321dは、掬い上げ部321cを頂点として搬送方向Hにおける上流側に向かうに従って次第に原稿ガイド部322に近づくように傾斜する直線状の傾斜形状部である。
【0037】
こうすることで、原稿ガイド320を原稿G側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1が上流側外形部321dに対してさらに交差した状態になり易くすることができる。これにより、原稿Gの端辺G1が原稿ガイド側原稿載置部321において上流側外形部321dの下側に入り込むことをさらに抑制することができ、それだけ、原稿Gがダメージを受けて損傷することを効果的に防止することができる。
【0038】
本実施の形態において、図7A及び図7Bに示すように、掬い上げ部321cは、原稿ガイド側原稿載置部321の原稿載置面321aの上部から幅方向Wにおける原稿Gの載置側に突出している。掬い上げ部321c(突出部)は、幅方向Wにおける原稿ガイド部322側に向かうに従って高くなるように傾斜している。掬い上げ部321cの傾斜面321c1は、図7Bに示すように、原稿ガイド側原稿載置部321の掬い上げ部321cに対応する部分βの原稿載置面321aよりも上側に位置している。
【0039】
こうすることで、掬い上げ部321cにより掬い上げられた原稿Gを原稿ガイド320の原稿載置面321aよりも高い位置に位置させることができる。これにより、原稿ガイド側原稿載置部321における上流側外形部321dの下側に原稿Gの端辺G1が入り込むことをさらに抑制することができ、それだけ、原稿Gがダメージを受けて損傷することを効果的に防止することができる。
【0040】
この例では、原稿ガイド320の原稿載置面321aは、幅方向Wにおける原稿ガイド部322側に向かうに従って高くなるように傾斜する傾斜面321a1を有している。
【0041】
本実施の形態において、掬い上げ部321cは、原稿ガイド側原稿載置部321の幅方向Wにおける原稿Gの載置側の端部321bの溝部311に対応する対応箇所に設けられている。
【0042】
こうすることで、掬い上げ部321cの先端側δ1の上面321c2(図7B参照)を原稿トレイ310の上面310b(この例では凸状部310c)によりも下方に位置させ、かつ、掬い上げ部321cの基端側δ2の上面321c3(図7B参照)を原稿トレイ310の上面310b(この例では凸状部310c)によりも上方に位置させることができる。
【0043】
本実施の形態において、原稿ガイド側原稿載置部321の幅方向Wにおける原稿Gの載置側の端部321bには、下流側外形部321eが設けられている。ここで、下流側外形部321eは、原稿ガイド側原稿載置部321の稜線を含む概念である。下流側外形部321eは、掬い上げ部321cを頂点として搬送方向Hにおける下流側に向かうに従って次第に原稿ガイド部322に近づくように形成されている。
【0044】
こうすることで、原稿ガイド側原稿載置部321が原稿Gのサイズよりも外側に開いた状態で原稿ガイド側原稿載置部321よりも内側に原稿Gを載置する場合において、原稿ガイド320を原稿側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1が下流側外形部321eに対して交差した状態になり易くすることができる。これにより、原稿Gの端辺G1が原稿ガイド側原稿載置部321において下流側外形部321eの下側に入り込むことを抑制することができ、それだけ、原稿Gがダメージを受けて損傷することを効果的に防止することができる。
【0045】
下流側外形部321eは、例えば、直線状の傾斜形状部、凸の曲線形状部、凹の曲線形状部、凸の楕円弧形状部、凹の楕円弧形状部に形成されていてもよい。
【0046】
この例では、下流側外形部321eは、掬い上げ部321cを頂点として搬送方向Hにおける下流側に向かうに従って次第に原稿ガイド部322に近づくように傾斜する直線状の傾斜形状部である。
【0047】
こうすることで、原稿ガイド320を原稿G側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1が下流側外形部321eに対してさらに交差した状態になり易くすることができる。これにより、原稿Gの端辺G1が原稿ガイド側原稿載置部321において下流側外形部321eの下側に入り込むことをさらに抑制することができ、それだけ、原稿Gがダメージを受けて損傷することを効果的に防止することができる。
【0048】
本実施の形態において、掬い上げ部321cは、搬送方向Hにおいて搬送可能な最小サイズの原稿G(例えば名刺)が原稿トレイ310に載置されたときの原稿Gの後端(搬送方向Hにおける上流側の端辺G2)の位置よりも下流側に位置している。
【0049】
こうすることで、たとえ搬送可能な最小サイズの原稿Gが原稿トレイ310に載置されても、原稿ガイド側原稿載置部321が原稿Gのサイズよりも外側に開いた状態で原稿トレイ310上に原稿Gを載置する場合において、原稿ガイド320を原稿G側に移動させた際に、原稿Gの端辺G1を原稿ガイド側原稿載置部321よりも先に掬い上げ部321cで掬い上げることができる。
【0050】
本実施の形態において、原稿ガイド320は、原稿トレイ310に積載された原稿Gの幅方向Wにおける両側の端辺G1(G1a,G1b)をそれぞれガイドする一対の原稿ガイド320a,320bである。
【0051】
原稿トレイ310に設けられた溝部311は、一対の原稿ガイド320a,320bをそれぞれ幅方向Wに往復移動させるために幅方向Wに沿って延びる一対の溝部311a,311bである。一対の原稿ガイド320a,320bは、原稿ガイド側原稿載置部321と、原稿ガイド部322とをそれぞれ有している。掬い上げ部321cは、一対の原稿ガイド320a,320bの原稿ガイド側原稿載置部321(この例では原稿ガイド側原稿載置部321の溝部311a,311bに対応する対応箇所)にそれぞれ設けられている。一対の原稿ガイド320a,320bの原稿ガイド側原稿載置部321の幅方向Wにおける原稿Gの載置側の端部321b,321bには、上流側外形部321d,321dがそれぞれ設けられている。
【0052】
こうすることで、幅方向Wにおける中央基準で原稿Gを搬送する構成に対応させることができる。
【0053】
本実施の形態において、一対の原稿ガイド320a,320bのうち、何れか一方の原稿ガイド(この例では320b)における掬い上げ部321cは、原稿ガイド側原稿載置部321の搬送方向Hにおける中央部に位置している。
【0054】
こうすることで、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wにおける両内側に移動させる際に、何れか一方の原稿ガイド(この例では320b)において掬い上げ部321cにより掬い上げられた原稿Gを原稿ガイド側原稿載置部321の原稿載置面321aに搬送方向Hにおいて掬い上げ部321cを間にした両側で均等に載置させることができる。
【0055】
本実施の形態において、一対の原稿ガイド320a,320bのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイド(この例では320a)における掬い上げ部321cは、操作側とは反対側の原稿ガイド(この例では320b)における掬い上げ部321cよりも搬送方向Hにおける上流側に位置している。
【0056】
こうすることで、操作側の原稿ガイド(320a)における掬い上げ部321cが操作側とは反対側の原稿ガイド(320b)における掬い上げ部321cよりも搬送方向Hにおける上流側に位置していても、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wにおける両内側に移動させる際に、一対の原稿ガイド320a,320bにおける掬い上げ部321cにより原稿Gを確実に掬い上げることができる。
【0057】
図8は、下流側原稿トレイ部330において一対の溝部311a,311bを原稿トレイ310において搬送方向Hにおける同一位置に揃えて設けた一例を示す平面図である。
【0058】
ところで、図8に示すように、一対の溝部311a,311bを原稿トレイ310において搬送方向Hにおける同一位置に揃えて設けることもできるが、この場合、一対の原稿ガイド320a,320bの幅方向Wにおける内側への移動可能範囲が制限され易く、名刺等の小サイズの原稿Gに対応させ難い。図8に示す下流側原稿トレイ部330は、幅方向Wにおける中央の搬送方向Hに沿った軸線λを軸とした軸対称又は略軸対称の形状とされている。なお、図8に示す例では、掬い上げ部321cは、溝部311(311a,311b)に設けられておらず、原稿トレイ310の上面310b上に位置している。
【0059】
この点、本実施の形態において、一対の溝部311a,311bは、原稿トレイ310において搬送方向Hに所定の間隔をおいてずらして設けられている。
【0060】
こうすることで、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wにおける内側への移動可能範囲を大きくすることができ、これにより、名刺等の小サイズの原稿Gに容易に対応させ易くすることができる。
【0061】
図9は、図3Aから図4Bに示す下流側原稿トレイ部330を下から視た斜視図である。図10A及び図10Bは、それぞれ、図9に示す下流側原稿トレイ部330を上から視た分解斜視図及び下から視た分解斜視図である。
【0062】
図9図10A及び図10Bに示すように、一対の溝部311a,311bの間には、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wに往復移動させるためのピニオンギヤ3321を有するピニオン部332が設けられている。
【0063】
こうすることで、ピニオンギヤ3321を用いるといった簡単な構成で、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wに容易に往復移動させることができる。
【0064】
詳しくは、下流側原稿トレイ部330は、ラック部331と、ピニオン部332と、保持部材333とをさらに備えている。
【0065】
ラック部331は、幅方向Wに沿って延びるラックギヤ3311を有している。ラック部331は、一対の原稿ガイド320a,320bにそれぞれ対応する一対のラック部331a,331bで構成されている。
【0066】
一対のラック部331a,331bは、それぞれ、ビス等の固定部材SC1,SC1により原稿トレイ310に設けられた一対の溝部311a,311bを介して一対の原稿ガイド320a,320bに固定されている。一対のラック部331a,331bは、それぞれ、ラックギヤ3311,3311と、幅方向Wに沿って延びる溝閉塞部3312,3312とを備えている。ラックギヤ3311,3311は、ピニオンギヤ3321を間にして対向するように互いにピニオンギヤ3321と噛み合う。溝閉塞部3312,3312は、ピニオンギヤ3321に搬送方向Hに連設されている。溝閉塞部3312,3312は、一対の原稿ガイド320a,320bが幅方向Wにおける外側に移動するに従って一対の溝部311a,311bを閉塞する。ラックギヤ3311,3311及び溝閉塞部3312,3312とは一体的に形成されている。
【0067】
ピニオン部332は、回転軸線γの方向である回転軸線方向Vにおける一方側に突出した回転軸332a(図10A参照)が原稿トレイ310に設けられた軸受部310a(図10B参照)に回転自在に支持される。また、ピニオン部332は、回転軸線方向Vにおける他方側に突出した回転軸332b(図10B参照)が保持部材333に設けられた軸受部333a(図9図10B参照)に回転自在に支持される。
【0068】
保持部材333は、ピニオン部332を原稿トレイ310に回転軸線γ回りに回転自在に保持する。保持部材333は、ピニオン部332の一方側の回転軸332aが原稿トレイ310における軸受部310aに挿通され、かつ、ピニオン部332の他方側の回転軸332bが保持部材333における軸受部333aに挿通された状態で、ビス等の固定部材SC2~SC2により原稿トレイ310に固定されている。
【0069】
図11Aは、原稿ガイド320(320a,320b)が最も開いている様子を示す下流側原稿トレイ部330の正面図である。図11Bは、原稿ガイド320(320a,320b)が最も閉じている様子を示す下流側原稿トレイ部330の正面図である。
【0070】
図11A及び図11Bに示すように、原稿トレイ310の幅方向Wにおける中央部には、平面部312が設けられている。平面部312は、原稿ガイド側原稿載置部321の原稿載置面321aに沿った原稿載置面312aを有している。平面部312の原稿載置面312aは、原稿トレイ310の幅方向Wにおける中央部で原稿Gを載置する。ここで、平面部312の原稿載置面312a以外の部分としては、上下方向Zに沿った側面、及び、原稿載置面312aと上下方向Zに沿った側面の上端との間に形成される凸の曲面等を例示できる。原稿ガイド320の原稿載置面321a及び原稿トレイ310の原稿載置面312aは面一である。すなわち、原稿ガイド320の原稿載置面321a及び原稿トレイ310の原稿載置面312aは高さ方向(回転軸線方向V)において揃っている。
【0071】
こうすることで、原稿ガイド320(320a,320b)の原稿ガイド側原稿載置部321における原稿ガイド320の原稿載置面321aにおいて原稿Gを確実に載置することができる上、原稿トレイ310の平面部312における原稿トレイ310の原稿載置面312aにおいても原稿Gを確実に載置することができる。
【0072】
本実施の形態において、平面部312には、直線状外形部312bと、上流側外形部312cとが設けられている。直線状外形部312bは、掬い上げ部321cに対応する箇所を含むように搬送方向Hに沿って直線状に形成されている。上流側外形部312cは、直線状外形部312bから上流側に連設して形成されている。
【0073】
こうすることで、上流側外形部312cを原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の上流側外形部321dに沿って又は略沿って形成することができる。従って、原稿ガイド320(320a,320b)を最も閉じたときに、原稿ガイド320(320a,320b)の原稿ガイド側原稿載置部321の幅方向Wにおける頂部と平面部312における直線状外形部312bとの隙間、及び、原稿ガイド側原稿載置部321における上流側外形部321dと平面部312における上流側外形部312cとの隙間を小さくする又はなくすことができる。これにより、原稿Gを原稿ガイド側原稿載置部321及び平面部312に安定的に載置することができる。
【0074】
また、平面部312には、下流側外形部312dがさらに設けられている。下流側外形部312dは、直線状外形部312bから下流側に連設して搬送方向Hにおける下流側に向かうに従って次第に幅方向Wにおける中央部から離れるように形成されている。
【0075】
こうすることで、下流側外形部312dを原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下流側外形部321eに沿って又は略沿って形成することができる。従って、原稿ガイド320(320a,320b)を最も閉じたときに、原稿ガイド側原稿載置部321における下流側外形部321eと平面部312における下流側外形部312dとの隙間を小さくする又はなくすことができる。これにより、原稿Gを原稿ガイド側原稿載置部321及び平面部312に安定的に載置することができる。
【0076】
例えば、原稿ガイド320(320a,320b)を最も閉じたときに最小サイズの原稿Gを原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド部322で幅方向Wにおける端辺G1(G1a,G1b)をガイド(規制)するようになっていてもよい。
【0077】
図12A及び図12Bは、それぞれ、操作側及び操作側とは反対側の直線状外形部312bに設けられた窪み312c1部分を示す拡大図である。
【0078】
本実施の形態では、掬い上げ部321cは、平面部312に潜り込む(図11A図11B図12A図12B参照)。この例では、直線状外形部312bの側面312b1には、掬い上げ部321cに対応する形状の窪み312c1が設けられている。窪み312c1は、掬い上げ部321cが潜り込むことができる程度の空間を有する。
【0079】
こうすることで、原稿ガイド320(320a,320b)を最も閉じたときに、原稿ガイド320(320a,320b)の原稿ガイド側原稿載置部321における幅方向Wにおける頂部と平面部312との間の隙間をなくすことができる。
【0080】
ところで、本実施の形態のように、溝部311(311a,311b)が貫通溝部である場合、原稿トレイ310においてクリップ等の異物が溝部311(311a,311b)を介して下方(この例では原稿排出トレイ250)に落下することがある。
【0081】
この点、本実施の形態において、原稿ガイド320(320a,320b)は、ラック部331(331a,331b)を有している。原稿ガイド320(320a,320b)は、ラック部331(331a,331b)の一部(この例では溝閉塞部3312,3312)により溝部311(311a,311b)を塞ぐ。
【0082】
こうすることで、簡単な構成でありながら、原稿トレイ310における原稿ガイド部322の幅方向Wにおける内側においてクリップ等の異物が溝部311(311a,311b)を介して下方(この例では原稿排出トレイ250)に落下することを回避することができる。
【0083】
ところで、原稿ガイド320(320a,320b)が原稿トレイ310に対して幅方向Wに往復移動することから、原稿トレイ310の上面310b(図10A参照)と原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下面321f(図10B参照)とが摺接される場合、原稿トレイ310の上面310bと原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fとの接触面積が大きくなり、原稿ガイド320(320a,320b)を原稿トレイ310に対して幅方向Wにスムーズに往復移動させることが困難となる。この点、本実施の形態では、次のような構成としている。
【0084】
図13Aは、下流側原稿トレイ部330の図11A示すA-A線に沿った断面図である。図13B及び図13Cは、それぞれ、図13Aにおいて掬い上げ部321cよりも搬送方向Hにおける上流側及び下流側の凸状部310c~310cを示す断面図である。なお、図13Aから図13Cでは、操作側とは反対側の原稿ガイド320bにおける凸状部310c部分を示しているが、操作側の原稿ガイド320aについても同様の構成であり、ここでは図示を省略している。
【0085】
図13Aから図13Cに示すように、原稿トレイ310には、幅方向Wに延びる複数の凸状部310c~310c(リブ)が設けられている。
【0086】
こうすることで、原稿トレイ310における複数の凸状部310c~310cと原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fとの接触面積を小さくすることができ、これにより、原稿ガイド320(320a,320b)を原稿トレイ310に対して幅方向Wにスムーズに往復移動させることができる。
【0087】
<第2実施形態>
ところで、原稿トレイ310に複数の凸状部310c~310cが設けられる場合において、凸状部310c~310c上に載置されている原稿Gを操作者が搬送方向Hにおける下流側に移動させてセットすることがある。この場合、凸状部310c~310cにおける上流側の面310c1が原稿トレイ310の上面310bに対して垂直に形成されていると、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける下流側に移動させる際に原稿Gが凸状部310c~310cに引っ掛かり易い。また、凸状部310c~310c上に載置されている原稿Gを操作者が搬送方向Hにおける上流側に移動させることも考えられる。この場合、凸状部310c~310cにおける下流側の面310c2が原稿トレイ310の上面310bに対して垂直に形成されていると、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける上流側に移動させる際に原稿Gが凸状部に引っ掛かり易い。なお、操作者が原稿Gをセットする方向は、搬送方向Hにおける下流側の方向であるため、原稿Gの下流側への移動を原稿Gの上流側への移動よりも円滑に行うことが好ましい。
【0088】
この点、本実施の形態において、複数の凸状部310c~310cの搬送方向Hにおける両側の面310c1,310c2が傾斜し、上流側の面310c1が下流側の面310c2の傾斜よりも緩やかに傾斜している。
【0089】
こうすることで、複数の凸状部310c~310c上に載置されている原稿Gをたとえ操作者が搬送方向Hにおける下流側に移動させてセットすることがであっても、凸状部310c~310cにおける上流側の面310c1が傾斜していることで、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける下流側に移動させる際に原稿Gが凸状部310c~310cに引っ掛かり難くすることができる。これにより、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける下流側に円滑に移動させることができる。また、凸状部310c~310c上に載置されている原稿Gをたとえ操作者が搬送方向における上流側に移動させることがあっても、凸状部310c~310cにおける下流側の面310c2が傾斜していることで、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける上流側に移動させる際に原稿Gが凸状部310c~310cに引っ掛かり難くすることができる。これにより、操作者が原稿Gを搬送方向Hにおける上流側に円滑に移動させることができる。しかも、上流側の面310c1が下流側の面310c2の傾斜よりも緩やかに傾斜していることで、原稿Gの下流側への移動を原稿Gの上流側への移動よりも円滑に行うことができる。
【0090】
ところで、搬送方向Hにおける両外側端に位置する凸状部310c(310X1),310c(310X2)さえあれば、原稿トレイ310における凸状部310c,310cと原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fとの接触面積を可及的に抑えることができるといった効果が得られる。しかし、この場合、搬送方向Hにおける最上流側の凸状部310c(310X1)と最下流側の凸状部310c(310X2)との間に原稿Gが載置された状態で操作者が原稿ガイド320(320a,320b)を原稿G側に移動させると、原稿ガイド320(320a,320b)の原稿ガイド側原稿載置部321の下側に原稿Gが入り込むことが考えられる。
【0091】
この点、本実施の形態において、複数の凸状部310c~310cのうち、搬送方向Hにおける両外側端に位置する凸状部310c(310X1),310c(310X2)の高さは、搬送方向Hにおける内側に位置する凸状部310c(310Y)~310c(310Y)の高さよりも高い。この例では、両外側端に位置する凸状部310c(310X1),310c(310X2)の原稿トレイ310の上面310bからの高さは同じであり、内側に位置する凸状部310c(310Y)~310c(310Y)の原稿トレイ310の上面310bからの高さよりも所定の距離(例えば0.8mm程度)だけ高くなっている。
【0092】
こうすることで、両外側端に位置する凸状部310c(310X1),310c(310X2)を原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fに接触させる一方、内側に位置する凸状部310c(310Y)~310c(310Y)を原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fとは非接触にすることができる。これにより、原稿トレイ310における複数の凸状部310c~310cと原稿ガイド320(320a,320b)における原稿ガイド側原稿載置部321の下面321fとの接触面積を可及的に抑えることができる上、搬送方向Hにおける最上流側の凸状部310c(310X1)と最下流側の凸状部310c(310X2)との間に原稿Gが載置された状態で操作者が原稿ガイド320(320a,320b)を原稿G側に移動させても、内側に位置する凸状部310c(310Y)~310c(310Y)により、原稿ガイド320(320a,320b)の原稿ガイド側原稿載置部321の下側への原稿Gの入り込みを効果的に防止することができる。
【0093】
<第3実施形態>
図14は、下流側原稿トレイ部330の他の例を示す平面図である。
【0094】
図14に示すように、一対の原稿ガイド320a,320bのうち、操作者が操作する操作側の原稿ガイド(この例では320a)における掬い上げ部321cは、操作側とは反対側の原稿ガイド(この例では320b)における掬い上げ部321cよりも搬送方向Hにおける下流側に位置している。
【0095】
こうすることで、操作側の原稿ガイド(320a)における掬い上げ部321cが操作側とは反対側の原稿ガイド(320b)における掬い上げ部321cよりも搬送方向Hにおける下流側に位置していても、一対の原稿ガイド320a,320bを幅方向Wにおける両内側に移動させる際に、一対の原稿ガイド320a,320bにおける掬い上げ部321cにより原稿Gを確実に掬い上げることができる。
【0096】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0097】
100 画像形成装置
102 画像読取装置
200 原稿送り装置
300 原稿トレイ部
310 原稿トレイ
310a 軸受部
310b 上面
310c 凸状部
310c1 上流側の面
310c2 下流側の面
311 溝部
311a 操作側の溝部
311b 操作側とは反対側の溝部
312 平面部
312a 原稿トレイの原稿載置面
312b 直線状外形部
312c 上流側外形部
312d 下流側外形部
320 原稿ガイド
320a 操作側の原稿ガイド
320a 原稿ガイド
320b 操作側とは反対側の原稿ガイド
321 原稿ガイド側原稿載置部
321a 原稿ガイドの原稿載置面
321a2 傾斜部
321b 端部
321c 掬い上げ部
321c1 傾斜面
321c2 先端側の上面
321c3 基端側の上面
321d 上流側外形部
321e 下流側外形部
321f 下面
322 原稿ガイド部
322a 原稿ガイド面
330 下流側原稿トレイ部
331 ラック部
3311 ラックギヤ
3312 溝閉塞部
331a 操作側のラック部
331b 操作側とは反対側のラック部
332 ピニオン部
3321 ピニオンギヤ
332a 一方の回転軸
332b 他方の回転軸
333 保持部材
333a 軸受部
340 上流側原稿トレイ部
G 原稿
G1 端辺
G1a 操作側の端辺
G1b 操作側とは反対側の端辺
G2 上流側の端辺
H 搬送方向
SC1 固定部材
SC2 固定部材
V 回転軸線方向
W 幅方向
X 左右方向
Y 前後方向
Y1 操作側
Y2 操作側とは反対側
Z 上下方向
γ 回転軸線
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14