(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム及び放射線検出方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240815BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20240815BHJP
G01T 3/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61N5/10 H
G01T1/17 D
G01T3/00 G
(21)【出願番号】P 2020160326
(22)【出願日】2020-09-25
(62)【分割の表示】P 2018515882の分割
【原出願日】2016-07-18
【審査請求日】2020-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】201510629532.6
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201520760006.9
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515153495
【氏名又は名称】南京中硼▲聯▼康医▲療▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Medtech Ltd.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, Block 6, NO. 568, Longmian Ave, Jiangning District, Nanjing, Jiangsu 211112 China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼渊豪
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-195505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
G01T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子捕捉療法システム用の放射線検出システムであって、
前記中性子捕捉療法システムは
、荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口と、前記荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部と、前記中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体と、前記ビーム成形体に隣接するビーム出口と、を含み、
前記中性子発生部は前記ビーム成形体内に収容され、前記放射線検出システムは、前記ビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、
前記放射線検出装置は、前記荷電粒子ビームの前記ビーム成形体への進入方向において、前記ビーム成形体の上流側に配置され、前記放射線検出装置は、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビームをリアルタイムに検出することに用いられる、
ことを特徴とする、中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
【請求項2】
前記放射線検出システムはさらに制御装置を含み、前記制御装置は、人間に前記中性子捕捉療法システムの次の動作を確認させるために、前記放射線検出装置の検出結果に基づいて人間が知覚する信号を送信する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
【請求項3】
前記中性子捕捉療法システムはさらに前記荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、前記制御装置は制御部及び表示部を含み、前記制御部は、人間に前記アクセラレータの次の動作を確認させるために、前記放射線検出システムの検出結果を前記表示部に表示し且つ検出結果を前記アクセラレータにフィードバックする、ことを特徴とする、
請求項2に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
【請求項4】
前記放射線検出装置はイオン化室又はシンチレーション検出器であり、前記放射線検出システムが検出信号に基づいて中性子ビームの強度を推測することにより荷電粒子ビームを調整し且つ照射線量を制御する、ことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
【請求項5】
前記ビーム成形体は、反射体、前記反射体に囲まれ且つ前記中性子発生部に隣接する減速体、前記減速体に隣接する熱中性子吸収体、及び前記ビーム成形体内に設けられる放射線遮蔽を含む、ことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
【請求項6】
中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法であって、
前記中性子捕捉療法システムは
、荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口と、前記荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部と、前記中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体と、前記ビーム成形体に隣接するビーム出口と、を含み、
前記中性子発生部は、前記ビーム成形体内に収容され、放射線検出システムは前記ビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、
前記放射線検出装置は、前記荷電粒子ビームの前記ビーム成形体への進入方向において、前記ビーム成形体の上流側に配置され、前記放射線検出装置は、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビームの検出に用いられ、
前記検出方法は、検出ステップを含み、前記検出ステップでは、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビームがリアルタイムに検出される、
ことを特徴とする、中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
【請求項7】
前記中性子捕捉療法システムは、さらに表示部を含み、前記検出方法は表示ステップを含み、前記表示ステップでは前記検出ステップにおける検出結果が前記表示部に表示される、ことを特徴とする、
請求項6に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
【請求項8】
前記検出方法は推測ステップを含み、前記推測ステップでは、前記検出ステップにおける検出結果に基づいて中性子ビームの強度が推測される、ことを特徴とする、
請求項6に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出システムに関し、特に中性子捕捉療法システム用の放射線検出システムに関する。本発明はさらに放射線検出方法に関し、特に中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビームなどの放射線療法は、すでにがん治療の主な手段の一つとなった。しかし、従来の光子または電子療法は、放射線そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の数多くの正常組織に損傷を与える。また、腫瘍細胞により放射線に対する感受性の度合いが異なっており、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例、多形神経膠芽腫(glioblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する治療効果が良くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織への放射線損傷を軽減するすために、化学療法(chemotherapy)における標的療法が、放射線療法に用いられている。また、放射線耐性の高い腫瘍細胞に対し、現在では生物学的効果比(relative biological effectiveness, RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている(例えば、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法など)。このうち、中性子捕捉療法は、上記の2つの構想を結びつけたものである。例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有薬物が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)はホウ素(
10B)含有薬物が熱中性子に対し大きい捕獲断面積を持つ特性を利用し、
10B(n,α)
7Li中性子捕捉と核分裂反応により
4Heと
7Liという2種の重荷電粒子を生成する。
図1と
図2は、それぞれホウ素中性子捕捉の反応概略図と
10B(n,α)
7Li中性子捕捉の原子核反応式を示す。2種の重荷電粒子は平均エネルギーが2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear Energy Transfer, LET)及び短い射程という特徴を持つ。α粒子の線エネルギー付与と射程はそれぞれ150keV/μm、8μmであり、
7Li重荷粒子の場合、それぞれ175keV/μm、5μmである。2種の粒子の合計射程が細胞のサイズに近いので、生体への放射線損害を細胞レベルに抑えられる。ホウ素含有薬物を選択的に腫瘍細胞に集め、適切な中性子源と合わせることで、正常組織に大きな損害を与えないで腫瘍細胞を部分的に殺せる。
【0005】
中性子捕捉療法システムにおけるビーム検出および診断は非常に重要な問題であり、これは、照射療法の用量および効果に直接関係する。従来技術が開示する中性子捕捉療法システムにおいて、例えば、予め被照射体に中性子ビーム測定用の金線を取り付け、中性子ビームの照射中に金線を除去し、かつ該金線の放射量を測定し、照射中の中性子ビームの照射線量を測定する。該測定された照射線量により中性子捕捉療法システムが制御され(例えば停止など)、これにより中性子ビームが計画された照射線量に従って被照射体に照射される。
【0006】
しかし、このときに、例えば、何らかの理由で金線の放射量を測定した後に中性子ビームの照射線量率が変化すれば、十分に該変化と対応することができず、計画された照射線量に従って中性子ビームを被照射体に照射することを難しくなる。すなわち、上記中性子捕捉療法システムでは、中性子ビーム照射線量をリアルタイムで検出することができない。
【0007】
したがって、中性子ビーム照射線量の精度を向上できる中性子捕捉療法システムおよび故障診断を行うことができるビーム診断システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させるための放射線検出システムを提供することを1つの目的とし、中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム、荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口、荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部、中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体、及びビーム成形体に隣接するビーム出口を含み、そのうち、中性子発生部がビーム成形体内に収容され、放射線検出システムはビーム成形体内又はビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、放射線検出装置は、荷電粒子ビームが中性子発生部と核反応を起こした後に、中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線をリアルタイムに検出することに用いられる。
【0009】
放射線検出システムはさらに制御装置を含み、制御装置は放射線検出装置の検出結果に基づいて人間が知覚する信号を送信することにより中性子捕捉療法システムの次のステップを確認する。このような人間が知覚する信号は、聴覚、視覚、触覚又は嗅覚等の人間の機能器官が知覚できる信号、例えば音を立てるアラーム、警告灯、振動、発した刺激臭等の多くの信号における1種又は多種の形式であってもよい。
【0010】
中性子捕捉療法システムはさらに荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、制御装置は制御部及び表示部を含み、制御部は放射線検出システムの検出結果を表示部に表示し且つ検出結果をアクセラレータにフィードバックすることによりアクセラレータの次のステップを確認する。表示部は、テレビ又は液晶ディスプレイ等の一般的な表示設備であってもよい。
【0011】
放射線検出装置はイオン化室又はシンチレーション検出器であり、放射線検出システムが検出信号に基づいて中性子ビームの強度を推測することにより荷電粒子ビームを調整し且つ照射線量を制御する。
【0012】
リアルタイムに検出を実現できる一般的な放射線検出システムは、電離箱及びシンチレーション検出器の2つの異なる検出原理を有する。そのうち中性子ビーム検出システムが中性子ビームを検出する時、電離箱構造がベースとして使用するのはHe-3比例カウンタ、BF3比例カウンタ、分裂イオン化室、ホウ素電離箱であり、γ放射線を検出する時、電離箱をガス充填式電離箱として使用する。しかし中性子ビーム及びγ放射線を検出する時にいずれもシンチレーション検出器を使用でき、シンチレーション検出器が有機及び無機材料に分けられてもよく、熱中性子検出用の用途に対しては、そのシンチレーション検出器はLi又はB等の高熱中性子捕獲断面要素を追加する場合が多い。要するに、このような検出器により検出された中性子エネルギーは熱中性子である場合が多く、すべては元素と中性子とに捕捉又は核分裂反応が起こることにより放出された重荷電粒子及び核分裂断片であって、電離箱又はシンチレーション検出器内で多くのイオン対(ion pair)を発生し、これらの電荷が収集された後、適切な回路変換によって、電流信号を電圧パルス信号に変換できる。電圧パルスの大きさを解析することにより、中性子信号及びγ信号を簡単に区別することができる。高強度中性子場、例えばBNCTにおいて、電離箱のガス圧力、核分裂性材料又はホウ素コーティング濃度又はシンチレーション検出器内の高中性子捕獲断面要素の濃度を適切に低減することができ、それによりそれは中性子に対する感度を効果的に低減することができ、信号飽和が起こることが避けられる。
【0013】
好ましくは、本実施例における中性子ビーム検出システムはイオン化室を使用する。中性子ビームがイオン化室を通過する時、イオン化室の内部ガス分子又はイオン化室の壁部が遊離作用を果たし、電子及び正電荷のイオンを発生し、この電子及び正電荷イオンは上記のイオン対と呼ばれる。イオン化室内に電場を印加した高圧を有するため、電子が中央の陽極ワイヤーへ移動し、正電荷イオンが周りの陰極壁へ移動し、それにより測定可能な電子パルス信号が発生する。ガス分子が1つのイオン対を発生させるために必要なエネルギーは平均遊離エネルギーと呼ばれ、この値はガス種類に基づいて異なり、例えば空気の平均遊離エネルギーが約34eVである。340keVの中性子ビーム又はγ放射線を有する場合、空気が約10k個のイオン対を発生させる。
【0014】
さらに好ましくは、本実施例における中性子ビーム検出システムはシンチレーション検出器を使用する。いくつかの物質はエネルギーを吸収した後に可視光を放出し、このような物質がシンチレーション物質と呼ばれる。そこでは遊離放射線を利用して結晶体又は分子における電子を励起状態に励起され、電子が基底状態に戻る時に放出された蛍光が収集された後に中性子ビームモニタリングに使用される。シンチレーション検出器と中性子ビームが作用した後に放出される可視光は、光電子増倍管を利用して可視光を電子に変換でき、さらに倍増・拡大され、一般的には電子の倍増・拡大率は107~108に達する。陽極の出力電子数と入射中性子ビームエネルギーは正比例し、従ってシンチレーション検出器は中性子ビーム又はγ放射線のエネルギーを測定できる。
【0015】
ビーム成形体は、反射体、反射体に囲まれ且つ中性子発生部に隣接する減速体、減速体に隣接する熱中性子吸収体、及びビーム成形体内に設けられる放射線遮蔽を含む。
本発明は、中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させる放射線検出方法を提供することを別の目的とし、そのうち、中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム、荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口、荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部、中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体、及びビーム成形体に隣接するビーム出口を含み、そのうち、中性子発生部がビーム成形体内に収容される。放射線検出システムは、ビーム成形体内又はビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、放射線検出装置は、荷電粒子ビームが中性子発生部と核反応を起こした後に、中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線の検出に用いられる。検出方法は検出ステップを含み、検出ステップでは、荷電粒子ビームが中性子発生部と核反応が起こした後に、中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線がリアルタイムに検出される。
【0016】
検出方法はさらに制御ステップを含み、制御ステップでは検出ステップにおける検出結果に基づき、中性子捕捉療法システムの次のステップが制御される。
好ましくは、中性子捕捉療法システムはさらに荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、制御ステップでは、検出ステップにおける検出結果に基づいてアクセラレータを制御することによりアクセラレータの次のステップが確認される。
【0017】
制御装置は表示部を含み、検出方法はさらに表示ステップを含み、表示ステップでは、検出ステップにおける検出結果が表示部に表示される。
検出方法はさらに推測ステップを含み、推測ステップでは、検出ステップにおける検出結果に基づいて中性子ビームの強度が推測されることにより荷電粒子ビームが調整され且つ照射線量が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
10B(n,α)
7Li中性子捕捉の原子核反応式である。
【
図3】本発明の実施例における中性子捕捉療法システム用の放射線検出システムの平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
中性子捕捉療法は効果的ながん治療の手段として、近年ではその適用が増加しており、そのうち、ホウ素中性子捕捉療法が最も一般的なものとなった。ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子は原子炉または加速器で供給できる。本発明の実施形態は加速器ホウ素中性子捕捉療法(Accelerated-based Boron Neutron Capture Therapy)を例とする。加速器ホウ素中性子捕捉療法の基本モジュールは、一般的に荷電粒子(陽子、デューテリウム原子核など)の加速に用いられる加速器、ターゲット、熱除去システム及びビーム整形アセンブリを含む。加速後の荷電粒子と金属ターゲットとの作用により中性子が生成され、必要な中性子収率及びエネルギー、提供可能な加速荷電粒子のエネルギー及び電流、及び、金属ターゲットの物理的・化学的特性などにより、適切な原子核反応が選定される。よく検討されている原子核反応は7Li(p,n)7Be及び9Be(p,n)9Bであり、この両方はすべて吸熱反応でエネルギー閾値がそれぞれ1.881MeVと2.055MeVである。ホウ素中性子捕捉療法の理想的中性子源はkeVエネルギーレベルの熱外中性子なので、理論的には、エネルギーが閾値よりやや高い陽子によるリチウムターゲットへの衝撃で、比較的低いエネルギーの中性子が生成され、あまり多くの減速処理を要しないで臨床適用が可能になる。しかし、リチウム(Li)及びベリリウム(Be)の2種のターゲットは、閾値エネルギーの陽子と作用する断面が大きくないので、十分な中性子束を確保するために、一般的には比較的高いエネルギーを持つ陽子で原子核反応を引き起こされる。
【0020】
理想的なターゲットには、中性子収率が高く、生成した中性子のエネルギー分布が熱外中性子エネルギー領域(後ほど詳細に説明)に近く、強い透過性のある放射線をあまり多く生成せず、安全かつ簡単で操作しやすく、耐高温性を持つなどの特性が必要とされるが、実際にすべての要件を満たす原子核反応は見つからないので、本発明の実施形態ではリチウムターゲットを採用する。ただし、この分野の技術者がよく知っていることとして、ターゲットの材料に、上記の金属材料を除くその他の金属材料を採用できる。
【0021】
熱除去システムの要件は、選定された原子核反応により異なる。例えば、7Li(p,n)7Beの場合、金属ターゲット(リチウム)の低い融点と低い熱伝導率により、熱除去システムの要件は9Be(p,n)9Bより厳しくなる。本発明の実施形態では、7Li(p,n)7Beの原子核反応を採用する。
【0022】
ホウ素中性子捕捉療法の中性子源は原子炉或いは加速器による荷電粒子とターゲットとの原子核反応によるものであり、生成するのはすべて混合放射線場である。即ち、ビームは低エネルギーから高エネルギーまでの中性子及び光子を含む。深部腫瘍のホウ素中性子捕捉療法について、熱外中性子を除くその他の放射線の含有量が多ければ多いほど、正常組織での非選択的線量沈着の割合も大きくなるので、これらの不必要な線量を引き起こす放射線をできる限り低減する必要がある。エアビームの品質要素の他、中性子による人体における線量分布をさらに理解するために、本発明の実施形態は、人間の頭部組織の人工器官を用いて線量を算出し、そして人工器官におけるビームの品質要素を中性子ビーム設計の参考とする。後ほど詳細に説明する。
【0023】
国際原子力機関(IAEA)は臨床ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子源について、エアビームの品質要素に関する5提案を出している。この5提案は異なる中性子の長所と短所を比較するために利用できる他、中性子生成経路の選定及びビーム整形アセンブリの設計をする時の参考として利用できる。この5提案は次の通りである。
・熱外中性子束(epithermal neutron flux) > 1 x 109 n/cm2s
・高速中性子汚染(fast neutron contamination) < 2 x 10-13 Gy-cm2/n
・光子汚染(photon contamination) < 2 x 10-13 Gy-cm2/n
・熱中性子束と熱外中性子束との比(thermal to epithermal neutron flux ratio) < 0.05
・中性子流とフラックスとの比(epithermal neutron current to flux ratio) > 0.7
注:熱外中性子エネルギー領域は0.5eV~40keVであり、熱中性子エネルギー領域は0.5eVより小さく、高速中性子エネルギー領域は40keVより大きい。
【0024】
1.熱外中性子束:
中性子束と腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度とで臨床治療の時間が決まる。腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度が十分に高ければ、中性子束への要求を緩められる。それに対し、腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度が低ければ、高フラックスの熱外中性子で腫瘍に十分な線量を与える必要がある。IAEAの提案では、熱外中性子束について、平方センチメートル当たり1秒の熱外中性子が109個より多いことを求めている。既存のホウ素含有薬物にとって、このフラックスでの中性子ビームで治療時間を大体1時間以内に抑えられる。短い治療時間で、位置決めと快適さの改善、及び、腫瘍におけるホウ素含有薬物の限られた滞留時間の効果的利用に貢献できる。
【0025】
2.高速中性子汚染:
高速中性子は、正常組織への不必要な線量を引き起こすので、汚染とみなされる。この線量と中性子エネルギーとには、正の相関関係があるので、中性子ビームの設計において、できる限り高速中性子の含有量を減らす必要がある。高速中性子汚染は、単位熱外中性子束に伴う高速中性子の線量と定義される。IAEAは、高速中性子汚染を2 x 10-13 Gy-cm2/nより小さくすることを推奨している。
【0026】
3.光子汚染(γ線汚染):
γ線は強い透過性の放射線に属し、非選択的にビーム経路にあるすべての組織で線量沈着を引き起こすので、γ線の含有量を減らすことも中性子ビームの設計の必要条件である。γ線汚染は、単位熱外中性子束に伴うγ線の線量と定義される。IAEAは、γ線汚染を2 x 10-13 Gy-cm2/nより小さくすることを推奨している。
【0027】
4.熱中性子束と熱外中性子束との比:
熱中性子は、減衰速度が速く、透過性も弱く、人体に入ると大部分のエネルギーが皮膚組織に沈着するので、黒色腫など皮膚腫瘍にホウ素中性子捕捉療法の中性子源として熱中性子を使用する場合以外、例えば脳腫瘍などの深部腫瘍の場合、熱中性子の含有量を減らす必要がある。IAEAは、熱中性子束と熱外中性子束との比を0.05より小さくすることを推奨している。
【0028】
5.中性子流とフラックスとの比:
中性子流とフラックスとの比は、ビームの方向性を示す。その比が大きいほど、ビームの前向性が強くなる。強い前向性を持つ中性子ビームでは、中性子の発散による周辺の正常組織への線量を減らせる他、治療可能デプス及び位置決め姿勢の柔軟性を向上させることができる。IAEAは、中性子流とフラックスとの比を0.7より大きくすることを推奨している。
【0029】
人工器官で組織内の線量分布を取得され、正常組織及び腫瘍の線量-デプス曲線により、人工器官におけるビーム品質要素が導き出される。以下の3つのパラメータは異なる中性子ビーム療法の治療効果の比較に利用できる。
【0030】
1.効果的治療デプス:
腫瘍線量は最大正常組織線量と等しいデプスである。このデプスより後ろでは、腫瘍細胞が受ける線量は最大正常組織線量より小さいので、ホウ素中性子捕捉上の優位性がなくなる。このパラメータは中性子ビームの透過性を示し、効果的治療デプスが大きいほど、治療可能な腫瘍のデプスが深くなる。単位はcmである。
【0031】
2.効果的治療デプスの線量率:
即ち、効果的治療デプスにおける腫瘍線量率であり、最大正常組織線量率と等しい。正常組織で受け取る総線量は、与えられ得る腫瘍総線量に影響する要因であるので、このパラメータで治療時間が決まる。効果的治療デプスの線量率が大きいほど、腫瘍に一定の線量を与える必要な照射時間が短くなる。単位はcGy/mA-minである。
【0032】
3.効果的治療線量比:
脳表面から効果的治療デプスまでに、腫瘍と正常組織とが受け取る平均線量の比は効果的治療線量比と呼ばれる。平均線量は線量-デプス曲線の積分により算出できる。効果的治療線量比が大きいほど、当該中性子ビームの治療効果がよくなる。
【0033】
ビーム整形アセンブリの設計における比較根拠として、IAEAによるエアビームの品質要素の5提案、及び上記の3つのパラメータの他に、本発明の実施形態では、中性子ビーム線量のパフォーマンスの優劣を評価するための以下のパラメータを利用する。
1.照射時間≦30min(加速器で使用する陽子流は10mA)
2.30.0RBE-Gy治療可能なデプス≧7cm
3.最大腫瘍線量≧60.0RBE-Gy
4.最大正常脳組織線量≦12.5RBE-Gy
5.最大皮膚線量≦11.0RBE-Gy
注:RBE(Relative Biological Effectiveness)は生物学的効果比であり、光子及び中性子による生物学的効果が異なるため、等価線量を算出するために、上記の線量に異なる組織の生物学的効果比を掛ける。
【0034】
図3に示すように、本実施例は、中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させる放射線検出システムを提供することを1つの目的とする。本実施例は、中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させる放射線検出方法を提供することを別の目的とする。
【0035】
中性子捕捉療法システムはアクセラレータ10、ビーム膨張装置20、荷電粒子ビームPを通すための荷電粒子ビーム入口、荷電粒子ビームP、荷電粒子ビームPにより核反応が起こることにより中性子ビームNを発生する中性子発生部T、中性子発生部Tにより発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体30、ビーム成形体30に隣接するビーム出口40、及びビーム出口40を通るビームにより照射された被写体50を含む。アクセラレータ10は、荷電粒子ビームPを加速することに用いられ、サイクロトロン又は直線アクセラレータ等のアクセラレータタイプ中性子捕捉療法システムに適用するアクセラレータであってもよい。ここで荷電粒子ビームPとして好適なのは陽子ビームである。ビーム膨張装置20がアクセラレータ10と中性子発生部Tとの間に設けられる。荷電粒子ビーム入口は、中性子発生部Tに隣接し且つビーム成形体30内に収容され、
図3に示すように中性子発生部Tとビーム膨張装置との間の3つの矢印を荷電粒子ビーム入口とする。中性子発生部Tは、ビーム成形体30内に収容され、ここで中性子発生部Tとして好適なのはリチウム金属である。ビーム成形体30は、反射体31、反射体31に囲まれ且つ中性子発生部Tに隣接する減速体32、減速体32に隣接する熱中性子吸収体33、ビーム成形体30内に設けられる放射線遮蔽34を含み、中性子発生部Tと荷電粒子ビーム入口から入射された荷電粒子ビームPとの間で核反応が起こることにより中性子ビームNを発生し、中性子ビームが1本のスピンドルを制限し、減速体32は中性子発生部Tにより発生された中性子を過熱中性子エネルギーゾーンに減速し、反射体31はスピンドルから偏差する中性子をスピンドルにリードバックすることにより過熱中性子ビーム強度を向上させ、熱中性子吸収体33は熱中性子を吸収することにより療法時に浅い正常組織に過度の線量を引き起こすことを避けることに用いられ、放射線遮蔽34は漏れた中性子及び光子を遮蔽することにより非照射領域の正常組織線量を低減することに用いられる。ビーム出口40は中性子ビーム収束部又はコリメータと呼ばれてもよく、それが中性子ビームの幅を低減することにより中性子ビームを集める。ビーム出口40により射出された中性子ビームが被写体50の目標部位を照射する。
【0036】
中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させるための放射線検出システムは、ビーム成形体30内又はビーム成形体30外に設けられる放射線検出装置60及び制御装置70を含み、放射線検出装置60は荷電粒子ビームPが中性子発生部Tと核反応を起こした後に、中性子発生部Tによりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線をリアルタイムに検出することに用いられる。
【0037】
制御装置70は、放射線検出装置の検出結果に基づいて人間が知覚する信号を送信することにより中性子捕捉療法システムの次のステップを確認する。このような人間が知覚する信号は聴覚、視覚、触覚又は嗅覚等の人間の機能器官が知覚できる信号、例えば音を立てるアラーム、警告灯、振動、発した刺激臭等の多くの信号における1種又は多種の形式であってもよい。
【0038】
中性子捕捉療法システムはさらに荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、制御装置70は制御部71及び表示部72を含み、制御部71は放射線検出システムの検出結果を表示部72によって表示し且つ検出結果をアクセラレータ10にフィードバックすることによりアクセラレータの次のステップを確認する。表示部は、テレビ又は液晶ディスプレイ等の一般的な表示設備であってもよい。
【0039】
リアルタイムに検出を実現できる一般的な放射線検出システムは、電離箱及びシンチレーション検出器の2つの異なる検出原理を有する。そのうち中性子ビーム検出システムが中性子ビームを検出する時、電離箱構造がベースとして使用するのはHe-3比例カウンタ、BF3比例カウンタ、分裂イオン化室、ホウ素電離箱であり、γ放射線を検出する時、電離箱をガス充填式電離箱として使用する。しかし中性子ビーム及びγ放射線を検出する時にいずれもシンチレーション検出器を使用でき、シンチレーション検出器が有機及び無機材料に分けられてもよく、熱中性子検出用の用途に対しては、そのシンチレーション検出器はLi又はB等の高熱中性子捕獲断面要素を追加する場合が多い。要するに、このような検出器により検出された中性子エネルギーは熱中性子である場合が多く、すべては元素と中性子とに捕捉又は核分裂反応が起こることにより放出された重荷電粒子及び核分裂断片であって、電離箱又はシンチレーション検出器内で多くのイオン対(ion pair)を発生し、これらの電荷が収集された後、適切な回路変換によって、電流信号を電圧パルス信号に変換できる。電圧パルスの大きさを解析することにより、中性子信号及びγ信号を簡単に区別することができる。高強度中性子場、例えばBNCTにおいて、電離箱のガス圧力、核分裂性材料又はホウ素コーティング濃度又はシンチレーション検出器内の高中性子捕獲断面要素の濃度を適切に低減することができ、それによりそれは中性子に対する感度を効果的に低減することができ、信号飽和が起こることが避けられる。
【0040】
好ましくは、本実施例における中性子ビーム検出システムはイオン化室を使用する。中性子ビームがイオン化室を通過する時、イオン化室の内部ガス分子又はイオン化室の壁部が遊離作用を果たし、電子及び正電荷のイオンを発生し、この電子及び正電荷イオンは上記のイオン対と呼ばれる。イオン化室内に電場を印加した高圧を有するため、電子が中央の陽極ワイヤーへ移動し、正電荷イオンが周りの陰極壁へ移動し、それにより測定可能な電子パルス信号が発生する。ガス分子が1つのイオン対を発生させるために必要なエネルギーは平均遊離エネルギーと呼ばれ、この値はガス種類に基づいて異なり、例えば空気の平均遊離エネルギーが約34eVである。340keVの中性子ビーム又はγ放射線を有する場合、空気が約10k個のイオン対を発生させる。
【0041】
さらに好ましくは、本実施例における中性子ビーム検出システムはシンチレーション検出器を使用する。いくつかの物質はエネルギーを吸収した後に可視光を放出し、このような物質がシンチレーション物質と呼ばれる。そこでは遊離放射線を利用して結晶体又は分子における電子を励起状態に励起され、電子が基底状態に戻る時に放出された蛍光が収集された後に中性子ビームモニタリングに使用される。シンチレーション検出器と中性子ビームが作用した後に放出される可視光は、光電子増倍管を利用して可視光を電子に変換でき、さらに倍増・拡大され、一般的には電子の倍増・拡大率は107~108に達する。陽極の出力電子数と入射中性子ビームエネルギーは正比例し、従ってシンチレーション検出器が中性子ビーム又はγ放射線のエネルギーを測定できる。
【0042】
放射線検出システムは、検出信号に基づいて中性子ビームの強度を推測することにより荷電粒子ビームを調整し且つ照射線量を制御する。
【0043】
当業者であれば、中性子ビーム検出システムはビーム成形体内に設けられるだけでなく、ビーム成形体に隣接する箇所に設けられてもよく、設けられた位置でビーム成形体内の中性子ビームの強度変化及び空間分布を検出できる検出装置であればよいということを理解できる。
【0044】
上記放射線検出システムに対応するのは、中性子捕捉療法システムの中性子ビーム照射線量の精度を向上させる放射線検出方法であり、そのうち、中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム、荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口、荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部、中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体、及びビーム成形体に隣接するビーム出口を含み、そのうち、中性子発生部がビーム成形体内に収容される。放射線検出システムは、ビーム成形体内又はビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、放射線検出装置は、荷電粒子ビームが中性子発生部と核反応を起こした後に、中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線の検出に用いられる;検出方法は検出ステップを含み、検出ステップでは、荷電粒子ビームが中性子発生部と核反応を起こした後に、中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線がリアルタイムに検出される。
【0045】
検出方法はさらに制御ステップを含み、制御ステップでは検出ステップにおける検出結果に基づき、中性子捕捉療法システムの次のステップが制御される。
【0046】
好ましくは、中性子捕捉療法システムはさらに荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、制御ステップでは、検出ステップにおける検出結果に基づいてアクセラレータを制御することによりアクセラレータの次のステップが確認される。
【0047】
制御装置は表示部を含み、検出方法はさらに表示ステップを含み、表示ステップでは、検出ステップにおける検出結果が表示部に表示される。
【0048】
検出方法はさらに推測ステップを含み、推測ステップでは、検出ステップにおける検出結果に基づいて中性子ビームの強度が推測されることにより荷電粒子ビームが調整され且つ照射線量が制御される。
【0049】
本願に開示する中性子捕捉療法システム用の放射線検出システムは以上の実施例における前記内容及び図面に示される構造に限定されない。本願の基礎上でそのうちの部材の材料、形状と位置に対して顕著な変更、代替えまたは修正は、いずれも本願の保護されるべき範囲内にある。
【0050】
<付記>
<付記1>
中性子捕捉療法システム用の放射線検出システムであって、
前記中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームと、前記荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口と、前記荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部と、前記中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体と、前記ビーム成形体に隣接するビーム出口と、を含み、
前記中性子発生部は前記ビーム成形体内に収容され、前記放射線検出システムは前記ビーム成形体内又は前記ビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、前記放射線検出装置は、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線をリアルタイムに検出することに用いられる、
ことを特徴とする、中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
<付記2>
前記放射線検出システムはさらに制御装置を含み、前記制御装置は前記放射線検出装置の検出結果に基づいて人間が知覚する信号を送信することにより前記中性子捕捉療法システムの次のステップを確認する、ことを特徴とする、
付記1に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
<付記3>
前記中性子捕捉療法システムはさらに前記荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、前記制御装置は制御部及び表示部を含み、前記制御部は前記放射線検出システムの検出結果を前記表示部に表示し且つ検出結果を前記アクセラレータにフィードバックすることにより前記アクセラレータの次のステップを確認する、ことを特徴とする、
付記2に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
<付記4>
前記放射線検出装置はイオン化室又はシンチレーション検出器であり、前記放射線検出システムが検出信号に基づいて中性子ビームの強度を推測することにより荷電粒子ビームを調整し且つ照射線量を制御する、ことを特徴とする、
付記1から3のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
<付記5>
前記ビーム成形体は、反射体、前記反射体に囲まれ且つ前記中性子発生部に隣接する減速体、前記減速体に隣接する熱中性子吸収体、及び前記ビーム成形体内に設けられる放射線遮蔽を含む、ことを特徴とする、
付記1から3のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出システム。
<付記6>
中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法であって、
前記中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビームと、前記荷電粒子ビームを通すための荷電粒子ビーム入口と、前記荷電粒子ビームにより核反応が起こることにより中性子ビームを発生する中性子発生部と、前記中性子発生部により発生された中性子ビームフラックス及び品質を調整するためのビーム成形体と、前記ビーム成形体に隣接するビーム出口と、を含み、
前記中性子発生部は、前記ビーム成形体内に収容され、放射線検出システムは前記ビーム成形体内又は前記ビーム成形体外に設けられる放射線検出装置を含み、前記放射線検出装置は、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線の検出に用いられ、
前記検出方法は、検出ステップを含み、前記検出ステップでは、荷電粒子ビームが前記中性子発生部と核反応を起こした後に、前記中性子発生部によりオーバーフローされた中性子ビーム又は発生されたγ放射線がリアルタイムに検出される、
ことを特徴とする、中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
<付記7>
前記検出方法は制御ステップを含み、前記制御ステップでは前記検出ステップにおける検出結果に基づき、前記中性子捕捉療法システムの次のステップが制御される、ことを特徴とする、
付記6に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
<付記8>
前記中性子捕捉療法システムは、さらに前記荷電粒子ビームを加速するためのアクセラレータを含み、前記制御ステップでは、前記検出ステップにおける検出結果に基づいて前記アクセラレータを制御することにより前記アクセラレータの次のステップが確認される、ことを特徴とする、
付記7に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
<付記9>
前記制御装置は表示部を含み、前記検出方法は表示ステップを含み、前記表示ステップでは前記検出ステップにおける検出結果が前記表示部に表示される、ことを特徴とする、
付記6から8のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。
<付記10>
前記検出方法は推測ステップを含み、前記推測ステップでは、前記検出ステップにおける検出結果に基づいて中性子ビームの強度が推測されることにより荷電粒子ビームが調整され且つ照射線量が制御される、ことを特徴とする、
付記6から8のいずれか1項に記載の中性子捕捉療法システム用の放射線検出方法。