(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】支援システム、支援プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240815BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240815BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20240815BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240815BHJP
【FI】
G06Q10/04
G07F9/00 L
G06Q10/087
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2020163482
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391058381
【氏名又は名称】キリンビバレッジ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】原 秀一
(72)【発明者】
【氏名】田名部 由佳
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0300681(US,A1)
【文献】特開2019-096100(JP,A)
【文献】特開2014-199547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援する支援システムであって、
前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得する取得手段と、
取得された前記推奨情報に基づいて、前記自動販売機に収容する前記推奨商品の補充数量を計算する計算手段と
、
自動販売機群の中から補充対象となる補充対象群を選択する選択手段を備え、
前記計算手段は、選択された前記補充対象群の各コラムに収容される前記商品の前記補充数量を計算し、前記補充対象群の中から選択されて前記推奨情報が反映される反映対象の前記複数のコラムに収容される前記推奨商品及び前記商品の前記補充数量を計算する、支援システム。
【請求項2】
前記補充数量に対応する前記補充計画を作成する計画作成手段をさらに備える、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記推奨商品を収容することにより、前記自動販売機に収容されている前記商品と前記推奨商品との入れ替えが生じるか否かを判断する判断手段をさらに備え、
前記計算手段は、前記入れ替えが生じる場合、前記推奨情報に基づき前記補充数量を計算する、請求項2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記商品群の販売実績に基づいて前記推奨情報を生成する生成手段をさらに備え、
前記取得手段は、生成された前記推奨情報を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項5】
前記生成手段は、複数の自動販売機における商品の販売された実績と、前記実績に関連する関連データとを含む学習データに基づいて構築された学習モデルを用いて前記推奨情報を生成する、請求項4に記載の支援システム。
【請求項6】
前記補充対象群の中から前
記反映対象を選択するとともに、前記計算手段に
、前記推奨商品及び前記商品の前記補充数量を計算させる
連携手段をさらに備える、請求項4又は5に記載の支援システム。
【請求項7】
前記連携手段は、所定の選択条件に従って前記反映対象を選択する、請求項6に記載の支援システム。
【請求項8】
前記生成手段は、前記推奨情報が反映された場合の前記自動販売機における販売実績の変化を示す予測情報を含むように前記推奨情報を生成し、
前記選択条件は、前記予測情報と関連付けて設定されている、請求項7に記載の支援システム。
【請求項9】
前記計画作成手段は、補充に要する作業時間情報を付加して前記補充計画を作成する、請求項2に記載の支援システム。
【請求項10】
複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援し、コンピュータを備える支援システムの支援プログラムであって、前記コンピュータを、
前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得する取得手段と、
取得された前記推奨情報に基づいて、前記自動販売機に収容する前記推奨商品の補充数量を計算する計算手段と
、
自動販売機群の中から補充対象となる補充対象群を選択する選択手段として機能さ
せ、
前記計算手段は、選択された前記補充対象群の各コラムに収容される前記商品の前記補充数量を計算し、前記補充対象群の中から選択されて前記推奨情報が反映される反映対象の前記複数のコラムに収容される前記推奨商品及び前記商品の前記補充数量を計算する、支援プログラム。
【請求項11】
複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援する支援システムの制御方法であって、
自動販売機群の中から補充対象となる補充対象群を選択し、
前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得し、
選択された前記補充対象群の各コラムに収容される前記商品の前記補充数量を計算し、
前記補充対象群の中から選択されて前記推奨情報が反映される反映対象の前記複数のコラムに収容される前記商品の前記補充数量を計算し、かつ取得された前記推奨情報に基づいて、
前記反映対象の前記複数のコラムに収容される前記推奨商品の補充数量を計算する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の商品の補充計画の作成を支援する支援システムと、支援システム用の支援プログラム及び制御方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物流拠点から配送拠点を介して複数の配送先のそれぞれの自動販売機へ、所定のコンテナを利用して補充すべき商品を配送する物流形態に適用される配送依頼システムが記載されている。当該配送依頼システムは、配送拠点に配送されるべき商品の種類及び数量を指定する配送依頼情報を、配送拠点への物流を担うべき物流業者のシステムに提供するサーバを含んでいる。そして、サーバは、配送先ごとの商品の補充数量を示す補充情報に対応して、各コンテナに収容すべき商品の種類及び数量を配送先ごとに決定する。また、サーバは、決定されたコンテナごとの商品の種類及び数量を、配送先の情報と対応付けて指定する配送依頼情報を生成し、当該配送依頼情報を物流業者のシステムに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動販売機は、商品(例えば、タバコ及び飲料品等)を収容する収容列を複数備えている。一般的に、これらの収容列はコラムと呼ばれており、通常各コラムは一種類の商品を収容している。そして、特許文献1に記載のシステムにおいては、自動販売機に収容されていない未収容商品を新たにコラムに収容することが考慮されていない。そのため、未収容商品を新たに収容する場合に、最適な品揃え及び補充数量を補充計画に含めることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る支援システムは、複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援する支援システムであって、前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得する取得手段と、取得された前記推奨情報に基づいて、前記自動販売機に収容する前記推奨商品の補充数量を計算する計算手段とを備える。
【0006】
また、本発明の一態様に係る支援プログラムは、複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援し、コンピュータを備える支援システムの支援プログラムであって、前記コンピュータを、前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得する取得手段と、取得された前記推奨情報に基づいて、前記自動販売機に収容する前記推奨商品の補充数量を計算する計算手段として機能させる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、複数のコラムを有する自動販売機の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、前記商品の補充数量を計算し、計算された前記補充数量に基づく前記商品の補充計画の作成を支援する支援システムの制御方法であって、前記自動販売機に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択され、かつ前記自動販売機に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含んだ推奨情報を取得し、取得された前記推奨情報に基づいて、前記自動販売機に収容する前記推奨商品の補充数量を計算する。
【発明の効果】
【0008】
これにより、未収容商品を新たに収容する場合であっても、最適な品揃え及び補充数量を考慮した補充計画を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】予測サーバから出力されるレコードの一例を示す概略図。
【
図5】推奨サーバから出力されるレコードの一例を示す概略図。
【
図6】予測サーバへ出力されるレコードの一例を示す概略図。
【
図7】連携サーバへ出力されるレコードの一例を示す概略図。
【
図8】補充計画を示すレコードの一例を示す概略図。
【
図9】作業時間を含む補充計画を示すレコードの一例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0011】
図1を参照して、発明の一形態に係る支援システム100が適用される物流形態の一例を説明する。
図1に例示する物流形態では、商品が出荷拠点1から物流拠点2を経て各地の配送拠点3に配送される。なお、商品は自動販売機5において販売可能な物品であればよく、飲食物には限定されないが、以下では商品が飲料品である例について説明する。一例として、出荷拠点1は、飲料品の製造工場1A、及び製造業者の保管倉庫1Bを含んでいる。物流拠点2への配送は、飲料品がカートン等の梱包体PKに種類ごとに分けて梱包された状態で行われる。梱包体PKの配送には、貨物車4等が適宜に利用されてよい。
【0012】
配送拠点3には担当地域が定められており、担当地域内に設置された自動販売機5を配送先DTとして商品が配送される。そして、担当地域には、配送ルートが設定されている。
図1では一つの担当地域において、二つの配送ルートRT1、RT2(以下、配送ルートRTということもある。)が設定されている。ただし、一つの担当地域に対して少なくとも一つの配送ルートRTが設定されていればよい。一つの担当地域に対して複数の配送ルートRTが設定されている場合、担当地域内に存在する自動販売機5は、いずれかの配送ルートRTに適宜に割り当てられる。
【0013】
配送拠点3の作業者は、配送車6に飲料品を積み込み、配送ルートRTに従って自動販売機5を順次訪問して自動販売機5に飲料品を補充する。担当地域は、一日又はそれよりも短い時間内で自動販売機5を巡回できる程度の範囲に設定される。物流拠点2は、配送拠点3の担当地域と比較して広い地域を担当するように設けられている。
図1は一つの物流拠点2のみを示すが、複数の物流拠点2がそれぞれ所定の地域を担当するように設けられていてもよい。この場合、複数の物流拠点2は、担当地域を順次狭めるようにして階層的に設けられてもよい。あるいは、担当地域が異なる複数の物流拠点2の間で、飲料品が中継されてもよい。
【0014】
物流拠点2から配送拠点3への配送、及び配送拠点3から配送先DTの自動販売機5への配送には、荷役体の一例としてのコンテナが使用される。一例として、コンテナは、折り畳みが可能な直方体状の容器であり、その大きさ及び形状が規格化されている。コンテナに関して複数種類の規格が存在してもよく、その場合には飲料品の配送に適した規格のコンテナが適宜に選択されてよい。コンテナには荷役に関する一定の制限が存在する。一例として、各コンテナには収容可能な重量に関する制限が設定されている。荷役に関する制限は重量に限られず、重量に代えて、又は加えて飲料品の総体積又は長さ等が設定されてもよい。
【0015】
コンテナへの飲料品のピッキングは、物流拠点2にて自動販売機5ごとに分けて行われる。一台の自動販売機5に対して使用されるコンテナの個数は、自動販売機5に配送すべき飲料品の数量(すなわち瓶、缶、又はボトルの本数)に応じて変化する。つまり、一台の自動販売機5に対して複数のコンテナが使用されることがある。物流拠点2にて飲料品が荷役されたコンテナは、コンテナ内の飲料品が配送されるべき配送先DTを担当する配送拠点3に配送される。配送拠点3に届けられたコンテナは、配送拠点3の配送先DTに対する配送のスケジュールに従って、配送先DTに順次配送される。そして、作業者は、コンテナに収容された飲料品を自動販売機5に補充する。このように、配送拠点3においては、梱包体PKを開封して自動販売機5ごとのピッキング作業を実施する必要はない。配送拠点3よりも配送経路の上流側、すなわち出荷拠点1に近い側に位置する物流拠点2において、配送先DTごとにコンテナを区別してピッキング作業が行われる。ただし、物流拠点2の設備や立地等に応じて、ピッキング作業を配送拠点3にて行ってもよく、もしくは配送先DTにて配送車6から作業者がピッキング作業を行ってもよい。
【0016】
図1は、一つの配送先DTに一台の自動販売機5が設置された例を示している。ただし、配送先DTは商品を配送車6から積み降ろして補充する作業が行われる単位であって、一つの配送先DTに複数の自動販売機5が含まれてもよい。自動販売機5は、物流拠点2から配送し得る全ての種類の飲料品を販売し得ることを必ずしも要せず、少なくとも一部の種類の飲料品が販売可能であればよい。一つの配送ルートRTに含まれる配送先DTの件数も適宜に変更されてよい。階層的に設けられた複数の物流拠点2間で飲料品が順次配送され、あるいは担当地域が異なる複数の物流拠点2間で飲料品が中継されつつ配送される場合、いずれか一つの物流拠点2にてコンテナへのピッキングが実施される。
【0017】
ピッキングが行われる上流側では、梱包体PKによる配送が行われる。また、下流側では、コンテナによる配送がそれぞれ行われる。配送拠点3からの配送は、定期的に行われるように、例えば一日一回行われる。ただし、毎回の配送において、全ての配送先DTが配送対象として設定される必要はない。配送が行われるごとに、配送ルートRT内における配送先DTが適宜に選択されてよい。配送ルートRTは、配送の都合に応じて適宜変更されてよい。また、一つの配送ルートRT内の配送先DTを、複数台の配送車6が分担してもよい。
【0018】
出荷拠点1から物流拠点2への配送、及び物流拠点2から配送拠点3への配送は、比較的広い地域を対象とした業務である。一方、配送拠点3から配送先DTへの配送は、比較的狭い地域内での業務である。加えて、配送先DTへの配送は、飲料品の補充、売上金の回収、及び自動販売機5のメンテナンスといった運営管理を含んだ業務である。そのため、広い地域を対象とした業務は、例えば全国規模の物流網を構築している物流業者が担当する。そして、狭い地域内での業務は、各自動販売機5の運営管理を営む運営業者が担当する。
【0019】
[支援システム]
支援システム100は、複数のコラムを有する自動販売機5の各コラムに収容される商品の予測需要に基づいて、商品の補充数量を予測し、予測された補充数量に基づく商品の補充計画の作成を支援する。例えば、予測需要は、予測される潜在的な販売数量である。そのために、支援システム100は、需要予測システム10と、最適化システム20と、連携システム30とを備えている。需要予測システム10は、予測サーバ11を備えており、補充が必要な複数の自動販売機5を選択して、各自動販売機5の販売実績から需要としての補充数量を予測する。一例として、予測サーバ11が、補充に関連して発生するコスト(例えば、配送コストや補充コスト)及び品切れによる損失等を考慮して、コストが最小化されるように、配送日及び補充数量を予測する。そして、予測サーバ11は、各自動販売機のコラムごとに商品の補充数量を出力する。
【0020】
一例として、予測サーバ11は、実績データに基づいて予測された予測需要としての販売数量を参照して補充数量を計算する。実績データは、各自動販売機5における販売された飲料品の数量、あるいは各自動販売機5に対する補充された飲料品の数量から計算した理論在庫を含んでいる。また、実績データは、連携サーバ31が自動販売機5から収集した各種のデータ、あるいは収集したデータに基づいて連携サーバ31が作成した補充計画を含んでいてもよい。さらに、実績データは、作業者が入力したデータを含んでいてもよい。
【0021】
最適化システム20は、推奨サーバ21を備えており、各商品の潜在需要として販売数量を予測して、品揃えとしてのコラム構成、すなわち複数のコラムのそれぞれに収容される最適な商品を推奨する。一例として、推奨サーバ21は、全自動販売機5の過去の販売実績に基づいて販売数量を予測する。すなわち、推奨サーバ21は、各自動販売機5に収容されていない未収容商品を含む商品群の商品ごとに、販売数量を予測する。そして、推奨サーバ21は、自動販売機5ごとに、各コラムに収容すべき商品と、当該商品の予測販売数量とを出力する。代替的に、各コラムに収容すべき商品と、当該商品の予測販売数量とは、作業者が決定してもよい。
【0022】
また、予測サーバ11及び推奨サーバ21は、全自動販売機5の過去の販売実績と、販売実績に関連する関連データとを含む学習データに基づいて構築された学習モデルを用いて、販売数量を予測してもよい。一例として、販売実績は各商品の特定の期間に販売された数量であり、関連データは当該数量に紐づけられている。例えば、関連データは、年、月、日、時刻、曜日、祝日、休日、天気、及び気温(一例として、特定の期間の平均気温、最高気温、及び最低気温)等である。なお、学習モデルは、予測サーバ11及び推奨サーバ21が構築してもよく、予め構築された学習モデルであってもよい。
【0023】
連携システム30は、需要予測システム10の出力結果と、最適化システム20の出力結果とを連携させる。すなわち、連携システム30は、連携サーバ31を備えており、需要予測システム10が選択した補充の対象となる自動販売機5について、最適化システム20が推奨するコラム構成を反映させるか否かを決定する。例えば、需要予測システム10は、500台の自動販売機5の一部である補充を要する100台の自動販売機5について、それぞれの販売実績に基づいて補充数量を計算する。また、最適化システム20は、500台の自動販売機5の販売実績を基に、補充を要する100台の自動販売機5について、それぞれの販売数量を予測する。そして、連携システム30は、補充を要する100台の自動販売機5の一部である5台について、最適化システム20による提案を反映させる。また、補充を要する100台の残りの95台の自動販売機5については、需要予測システム10の予測結果を採用する。そして、連携サーバ31は、最適な品揃えに変更した後の商品について、それぞれの補充数量を含む補充計画を作成して出力する。さらに、連携システム30は、補充計画に各自動販売機5の補充作業に要する作業時間を追加して出力してもよい。
【0024】
一方、配送拠点3の作業者がコラム構成を決定して商品の発注を行う場合には、自動販売機5から収集された実績データに基づいて、各配送拠点3において、物流業者へ商品の発注が行われる。物流業者は、物流拠点2から配送拠点3へ商品を配送する。そして、配送拠点3の作業者は、補充のために訪問する自動販売機5の台数及び売れ行きの予想等を考慮して、商品を貨物車4に積み込んで、各自動販売機5まで搬送する。このような配送業務は、作業者の経験と感覚により行われている。そのため、配送拠点3に保管されているはずの商品の欠品、及び在庫ロスが生じてしまう。これに対して、本実施形態に係る支援システム100によれば、実績データを用いて各自動販売機5に対する最適な品揃えを提案できる。これにより、商品の欠品及び在庫ロスを抑制して、売上の向上とコスト削減を実現できる。
【0025】
支援システム100は、配送最適化システム(不図示)をさらに備えていてもよい。配送最適化システムは、連携システム30から取得した補充計画に基づいて、訪問計画を作成して出力する。一例として、配送最適化システムは、補充のために訪問する自動販売機5の住所と、各自動販売機5の補充に要する作業時間、各自動販売機5の設置場所等を認識している作業者の他、各自動販売機5毎に作業時間帯指定等の訪問制約等を考慮して、各自動販売機5を訪問する順序及び運行ルートを定めた訪問計画を作成する。
【0026】
予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31は、複数のコンピュータとしてのサーバユニットが組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによって、予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して、予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31が論理的に構成されてもよい。なお、予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31の少なくとも二つを、一台のサーバに設けることができる。例えば、連携サーバ31を、予測サーバ11又は推奨サーバ21としても機能させることができる。さらに、予測サーバ11を、推奨サーバ21としても機能させることができる。
【0027】
[配送の作業手順]
配送業務は適当な周期で繰り返し行われてよいが、一例として、一日一回の頻度で繰り返される。まず、連携システム30において、各地の自動販売機5から販売実績として実績データが収集される。実績データは、インターネットNTを介して収集されるか、又は自動販売機5を訪問した作業員によって収集される。そして、実績データは、各自動販売機5に補充すべき飲料品の補充数量を計算するために用いられる。例えば、実績データの収集は、配送拠点3からの配送が行われるべき日の前日の夜間等の、配送拠点3からの配送の実施日時と関連付けて定められた実行時期に行われる。また、実績データは連携システム30を経由せずに、予測サーバ11又は推奨サーバ21により直接収集されてもよい。
【0028】
需要予測システム10は、各自動販売機5の実績データに基づいて、補充を行うべき自動販売機5における補充日等の補充タイミングを求めて、飲料品の補充数量を計算する。連携システム30は、最適化システム20から後述する推奨情報を取得して、当該推奨情報と需要予測システム10の予測結果とに従って、物流業者へ配送を依頼するための依頼データを提供する。また、物流拠点2では、連携システム30から提供された依頼データに基づいて、自動販売機5ごとのコンテナに対するピッキング内容が判断され、その判断結果に従って飲料品がピッキングされる。ただし、物流拠点2の設備や立地等に応じて、ピッキング作業を配送拠点3もしくは配送先DTにて配送車6から作業者が行ってもよい。この場合、連携システム30からは、配送拠点3に依頼データが提供される。
【0029】
また、連携システム30は、自動販売機5から収集した情報に基づいて、配送拠点3に対応する配送ルートRTごとの補充計画を作成する。補充計画は、補充対象となる自動販売機5を識別する情報と、補充する飲料品を識別する情報と、当該飲料品の補充数量とを含んでいる。その後、連携システム30は、補充計画に基づいて物流業者への配送依頼情報の一例としての依頼データを作成する。連携システム30は、作成した依頼データを、物流業者が管理する物流システム、若しくは配送拠点3へ送信する。
【0030】
一例として、依頼データは、自動販売機5のそれぞれに対応するピッキング依頼の内容を指定する情報を含んでいる。具体的に、依頼の内容を指定する情報は、配送先DTごとにユニークな販売機コードと紐付けられた、商品コード、指示数量、コンテナの届け先、軒先番号、軒先連番及びルート番号等である。指示数量は、一つのコンテナにピッキングすべき飲料品の数量である。また、コンテナの届け先は、配送拠点3の住所又は名称であるが、配送拠点3ごとにユニークな拠点コードであってもよい。
【0031】
軒先番号は、配送先(配送先DT)の異同を区別するための情報である。一例として、依頼データの先頭のレコードから、販売機コードごとに5桁の連番となるように軒先番号が設定される。軒先連番は、同一の軒先番号に対応するコンテナごとに1から順に設定された連番である。軒先番号が異なれば、軒先連番も改めて1から順に設定される。また、ルート番号は、配送ルートRTの異同、及び同一の配送ルートRTに含まれる配送先DTの件数を示す情報である。例えば、ルート番号の上二桁には、配送先DTに対応する配送ルートRTごとにユニークな番号が設定される。また、ルート番号の下二桁には、配送ルートRTが共通する配送先DTごとに1から順に連番が設定される。したがって、ルート番号の下二桁を参照すれば、同一の配送ルートに含まれる配送先DTの件数を把握できる。
【0032】
作成された依頼データは、データ通信に適したフォーマットに適宜に変換されて物流システムの物流サーバに送信される。物流システムでは、物流サーバが取得した依頼データに従って飲料品がピッキングされる。依頼データではコンテナごとに収容すべき飲料品の商品コード及び数量が指定されている。そのため、依頼データの指定に従ってピッキング作業が実施されることにより、各自動販売機5に補充されるべき飲料品が自動販売機5ごとに区別してコンテナに収容される。
【0033】
物流システムは、依頼データを取得すると、依頼データに基づいて伝票を作成する。具体的に、物流システムは、コンテナごとに伝票を作成し、物流拠点2にて適宜に作業者が印刷又は出力する。各伝票には、ピッキング作業の内容を指定する情報と、コンテナの配送先となるべき配送拠点3及び自動販売機5を指定する情報が含まれる。一つのコンテナは一つの自動販売機5に対応する。続けて、物流業者は、物流拠点2に保管された飲料品を伝票の指示に従ってコンテナに収容するピッキング作業を行う。依頼データに対応するピッキング作業が完了すると、物流業者は、飲料品が収容された各コンテナを配送拠点3に向けて配送する。
【0034】
配送拠点3では、物流拠点2から配送されるコンテナが一時的に保管される。そして、配送準備を開始すると、配送拠点3の作業者は、各コンテナを配送車6に積み込む。その後、作業者は、配送車6によって配送先DTへ飲料品を配送し、各配送先DTの自動販売機5に対して飲料品を順次補充する。このとき、自動販売機5ごとにコンテナが区別されているため、作業者は、各配送先DTにおいて自動販売機5に対応するコンテナのみを降ろせばよい。したがって、配送先DTでの補充作業が効率化される。ただし、物流拠点2の設備や立地等に応じて、ピッキング作業を配送拠点3にて行ってもよく、もしくは配送先DTにて配送車6から作業者がピッキング作業を行ってもよい。
【0035】
上述した作業手順を実行するため、連携サーバ31は、配送先データベース、商品データベース、及び実績データベースにアクセスして、各種のデータを読み出し、あるいは書き込む。各データベースは、連携システム30に設けることができるが、連携システム30の外部に設けられていてもよい。
【0036】
配送先データベースは、配送先に関する各種の情報を含んでいる。一例として、配送先データベースは、配送先の名称、配送ルート、及び配送スケジュールといった配送先に関する各種の情報が配送先ごとにユニークな販売機コードと対応付けて記録されたレコード群を保持している。配送ルートは、配送先がどの配送拠点3のどの配送ルートRTに含まれているか、を指定する情報である。配送スケジュールは、配送先へ配送する時期を指定する情報である。例えば、配送スケジュールは、不定期の配送日、もしくは毎日、あるいは毎週の特定曜日、または配送時間帯等を指定する情報を含んでいる。さらに、配送先に設置された自動販売機5の詳細を示す情報、例えば自動販売機5の機種及びコラム数を示す情報を、配送先データベースが含んでいてもよい。
【0037】
商品データベースは、飲料品に関する各種の情報が飲料品ごとにユニークな商品コードと対応付けて記録されたレコード群を保持している。飲料品に関する情報は、例えば商品名、商品の容量、及び重量といった商品属性を含んでいる。実績データベースは、連携システム30が随時取得する実績データを含んでいる。
【0038】
[支援システムの構成]
続いて、
図2を参照して支援システム100について説明する。上述したように、支援システム100は、需要予測システム10と、最適化システム20と、連携システム30とを備えている。需要予測システム10は、予測サーバ11を備えており、各種のデータを入力又は出力する不図示のクライアント端末をさらに備えていてもよい。また、最適化システム20は推奨サーバ21を備えており、連携システム30は連携サーバ31を備えている。
【0039】
予測サーバ11は予測制御部12を備えており、推奨サーバ21は推奨制御部22を備えており、連携サーバ31は連携制御部32を備えている。各制御部は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。また、各制御部は、協働して支援システム100のコンピュータとして機能する。
【0040】
プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、記憶部としてのメモリに記憶されたプログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、メモリは、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。本実施形態では、CPUが、ROM又はHDDに記憶されたプログラムに従って、種々の演算、制御、及び判断等の処理動作を実行できる。また、各制御部には、所定の指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む操作部が、有線接続又は無線接続されている。そして、各制御部には、装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示部が、有線接続又は無線接続されている。なお、制御部は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0041】
予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31のそれぞれは、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体として、不図示の記憶部を有している。予測サーバ11の記憶部は予測プログラムPG1を記憶しており、推奨サーバ21の記憶部は推奨プログラムPG2を記憶しており、連携サーバ31の記憶部は連携プログラムPG3を記憶している。予測プログラムPG1、推奨プログラムPG2、及び連携プログラムPG3は、協働して支援プログラムとして機能する。そのために、予測プログラムPG1は、コンピュータを予測部13、選択部14、及び出力部15として機能させる。また、推奨プログラムPG2は、コンピュータを需要予測部23、及び推奨部24として機能させる。また、連携プログラムPG3は、コンピュータを取得部33、判断部34、計画作成部35、及び連携部36として機能させる。すなわち、各部は、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置である。また、予測制御部12及び推奨制御部22が、それぞれ実績データ等を取得する取得部を備えても良い。この場合は、それぞれの取得部を予測プログラムPG1又は推奨プログラムPG2により機能させる。
【0042】
取得手段としての取得部33は、自動販売機5に収容することが推奨される推奨商品を特定する商品特定情報と、各推奨商品について予測された需要数量情報とを含む推奨情報を、推奨サーバ21から取得する。すなわち、取得部33は、需要予測部23が生成した推奨情報を推奨サーバ21から取得する。推奨商品は、自動販売機5に収容されていない未収容商品を含む商品群の中から選択される。そして、取得部33は、取得した推奨情報を不図示の記憶部に記憶させる。一例として、商品特定情報は、商品名、又は商品ごとにユニークな商品コードである。また、需要数量情報は、予測された販売数量としての本数若しくは重量であり、販売数量に対応するコラムの容積が含まれても良い。
【0043】
判断手段としての判断部34は、推奨商品を収容することにより、自動販売機5に収容されている商品と推奨商品との入れ替えが生じるか否かを判断する。入れ替えには、未収容商品との入れ替えに加えて、既に収容されている商品と同じ種類の商品との入れ替えが含まれてもよい。例えば、同じ種類の商品との入れ替えが行われると、当該商品を収容するコラムの数が増えることになる。
【0044】
計画作成手段としての計画作成部35は、推奨商品の補充数量に対応する補充計画を作成する。一例として、補充計画は、各自動販売機5の各コラムのコラム番号に紐づけられた商品コード及び補充数量とを含んでいる。また、計画作成部35は、選択部14が計算した補充数量を、予測サーバ11から取得する。さらに、計画作成部35は、補充に要する作業時間情報を付加して補充計画を作成してもよい。一例として、作業時間情報は、各自動販売機の販売機コードに紐づけられた状態で補充計画に含まれる。
【0045】
連携手段としての連携部36は、選択部14に推奨商品の補充数量を計算させる。一例として、連携部36は、予測サーバ11へ推奨情報とともに計算指令を送信することによって、選択部14に推奨商品の補充数量を計算させる。また、連携部36は、予測サーバ11から飲料品の補充対象となる補充対象群を取得して、推奨サーバ21へ受け渡す。そして、連携部36は、補充対象群を対象として需要予測部23に推奨情報を生成させる。すなわち、連携部36は、補充対象群を対象として、需要予測部23に推奨商品の販売数量を予測させる。一例として、連携部36は、推奨サーバ21へ実績データとともに予測指令を送信することによって、需要予測部23に販売数量を予測させる。具体的に、連携部36は、入れ替えが生じると判断部34が判断すると、取得部33が取得した推奨情報を計算指令とともに予測サーバ11に受け渡す。
【0046】
また、連携部36は、補充対象群の中から推奨情報を反映させる反映対象を選択する。そして、連携部36は、選択部14に、反映対象の複数のコラムに収容される推奨商品及び商品の補充数量を計算させる。例えば、連携部36は、後述する所定の選択条件に従って反映対象を選択する。そして、連携部36は、反映対象を構成する自動販売機5を特定する情報(例えば販売機コード)を含む推奨情報を予測サーバ11へ受け渡す。
【0047】
計算手段としての選択部14は、取得部33が取得した推奨情報を連携サーバ31から取得する。そして、選択部14は、推奨情報に基づいて、少なくとも一台の自動販売機5に収容する推奨商品と、その他の商品との補充数量を計算する。選択部14は、対象となる複数の自動販売機5に対する計算が完了するまで、計算を繰り返し行う。具体的に、選択部14は、商品と推奨商品との入れ替えが生じる場合に推奨情報及び計算指令を連携サーバ31から受け取る。そして、選択部14は、推奨情報に基づき推奨商品の補充数量を計算する。さらに、選択部14は、いずれの商品をいずれのコラムに収容するのかを示すコラム構成を求めてもよい。
【0048】
また、予測部13は、各自動販売機5の販売数量を予測する。一例として、予測部13は、複数の自動販売機5における商品の販売された実績と、当該実績に関連する関連データとを含む学習データに基づいて構築された学習モデルを用いて、自動販売機5毎に、商品毎の販売数量を予測する。
【0049】
選択手段としての選択部14は、予測部13により予測された販売数量に基づき、全ての自動販売機5からなる自動販売機群の中から、補充に要するコスト(配送コスト)を考慮して、補充対象となる複数の自動販売機5である補充対象群を選択し、必要補充本数を計算する。例えば、一日の販売数量が多く、品切れによる販売機会の損失による収益への影響が大きい自動販売機5では、品切れを防止することによって収益が改善する。一方、一日の販売数量が少なく、販売機会の損失による収益への影響が小さい自動販売機5では、配送コスト及び補充コストを低減させることによって収益が改善する。つまり、影響が小さい自動販売機5に対して補充回数が多いと、補充によって増加したコストが、販売による利益を上回ってしまう。そこで、選択部14は、配送コスト、補充コスト、及び販売機会の損失による損失額としての損失コストを合算した総コストが最小となる配送タイミングとして、例えば配送日を求める。そして、選択部14は、補充後の次の配送日までに必要な補充数量を計算する。
【0050】
出力部15は、選択部14が計算した補充数量を連携サーバ31へ出力する。具体的に、出力部15は、補充対象群に含まれる各自動販売機5を識別する販売機コード、商品の変更後のコラム構成、及び商品の補充数量を連携サーバ31へ送信する。出力部15は、選択部14が補充数量を計算すると、補充数量を連携サーバ31へ送信してもよい。代替的に、出力部15は、連携サーバ31から補充数量の送信指令を受信すると、補充数量を連携サーバ31へ送信してもよい。さらに、出力部15は、選択部14がコラム構成を求める場合には、補充数量に加えてコラム構成を連携サーバ31へ出力する。
【0051】
生成手段としての需要予測部23は、自動販売機5に収容可能な商品群の販売実績に基づいて推奨情報を生成する。すなわち、推奨部24は、自動販売機5に収容されている商品と、自動販売機5に収容されていない未収容商品と、を含む商品群の販売実績に基づいて推奨情報を生成する。一例として、需要予測部23は、複数の自動販売機5における商品の販売された実績と、当該実績に関連する関連データとを含む学習データに基づいて構築された学習モデルを用いて、需要数量情報を含む推奨情報を生成する。そして、需要予測部23は、不図示の記憶部に推奨情報を記憶させる。さらに、需要予測部23は、いずれの推奨商品と、その他の商品とをいずれのコラムに収容するのかを示す最適なコラム構成をさらに予測してもよい。この場合、需要予測部23は、推奨情報にコラム構成を含めて記憶部に記憶させる。
【0052】
さらに、需要予測部23は、連携サーバ31から補充対象群を構成する自動販売機5を特定する情報を取得し、当該補充対象群を対象として推奨情報を生成してもよい。また、需要予測部23は、推奨情報が反映された場合の販売実績の変化を示す予測情報を含むように推奨情報を生成してもよい。当該予測情報と関連付けて、連携部36が上述した反映対象を選択する際の選択条件が設定されていてもよい。一例として、予測情報は、増減する売り上げに補充コスト、配送コストの変化を加味した利益の金額、または利益の増減割合、及び増減するカバー率である。さらに、需要予測部23は、予測した販売数量に基づいて、各自動販売機5の最適なコラム構成を予測してもよい。一例として、需要予測部23は、利益が向上するように、又はカバー率が向上するように、コラム構成を予測する。
【0053】
推奨部24は、需要予測部23が生成した推奨情報を連携サーバ31へ送信する。具体的に、推奨部24は、コラム構成として、コラム番号に紐づいた商品コードを出力するとともに、商品コードごとに、推奨理由、及び予測した販売数量を出力し、かつ各自動販売機5における利益の金額変化を販売機コードと紐づけて出力する。また、推奨部24は、需要予測部23が推奨情報を生成すると、推奨情報を連携サーバ31へ送信してもよい。代替的に、推奨部24は、連携サーバ31から推奨情報の送信指令を受信すると、推奨情報を連携サーバ31へ送信してもよい。
【0054】
[計画作成フロー]
図3を参照して商品の補充計画の作成について説明する。予測サーバ11の選択部14は、補充のために配送が必要な複数の自動販売機5からなる補充対象群を選択する(S301)。そして、選択部14は、補充対象群に投入される商品の変更後のコラム構成を求めて、投入される商品の補充数量を計算する(S302)。この時、選択部14は、予測部13による各自動販売機5の販売数量の予測に基づいてコラム構成を求めて、補充数量を計算する。そのため、得られたコラム構成において、自動販売機5に収容されている商品がなくなることはあっても、収容されていない商品が加わることはない。一例として、選択部14は、配送、補充及び回収のコストが最小化されるように、配送タイミング及びコラム構成を求めて、補充数量を計算する。例えば、選択部14は、商品が売り切れることによる損失と、自動販売機5を訪問して商品を補充するために要するコストとの合計が最小となるように、配送タイミング及びコラム構成を求めて、補充数量を計算する。一例として、商品が売り切れることによる損失は、売り切れなかったときに予測される販売金額と売り切れたときの販売金額との差分であり、補充間隔が短くなるにつれて減少する。また、補充に要するコスト(例えば金額)は、補充間隔が短くなるにつれて増加する。そのため、補充間隔を横軸とし且つ金額を縦軸とするグラフを描いた時に、商品が売り切れることによる損失と補充に要するコストとを示す線が交差する点が、望ましい補充間隔となる。そして、配送タイミングは、望ましい補充間隔に基づいて求めることができる。
【0055】
そして、予測サーバ11の出力部15は、補充対象群、配送タイミング、商品の変更後のコラム構成、及び商品の補充数量を出力する。一例として、出力部15は、
図4に示すように、補充対象群を識別する販売機コードに、コラム番号と、コラム番号に対応する商品コード及び商品名とを紐付けたレコードを連携サーバ31へ出力する。当該レコードには、コラム番号に対応する商品コードに紐付けられた商品の補充数量が含まれている。また、コラム構成を変更する場合、変更後のコラム構成として各コラム番号に紐付けられた商品コードが示される。さらに、レコードには、各自動販売機5の配送タイミングが含まれていてもよい。なお、
図4から
図9においては、変更前の商品コード及び商品名をレコードに含めているが、両者は省略可能である。
【0056】
図4の例では、販売機コードMC1によって特定される自動販売機5(以下、販売機MC1ともいう)にはコラム構成の変更がない。一方、販売機コードMC2によって特定される自動販売機5(以下、販売機MC2ともいう)において、商品コードPC5によって特定される「X水」(以下、商品PC5ともいう)は、その投入されるコラムが、コラム2からコラム3へ変更されている。また、商品コードPC6によって特定される「Xジュース」(以下、商品PC6ともいう)は、その投入されるコラムが、コラム3からコラム4へ変更されている。さらに、商品コードPC7によって特定される「Xエナジー」(以下、商品PC7ともいう)は、その投入されるコラムが、コラム4からコラム2へ変更されている。
【0057】
また、販売機コードMC3によって特定される自動販売機5(以下、販売機MC3ともいう)において、商品コードPC2によって特定される「X紅茶」(以下、商品PC2ともいう)は、その投入されるコラムが、コラム4からコラム5へ変更されている。さらに、商品コードPC1によって特定される「Xコーヒー」(以下、商品PC1ともいう)に代えて、商品コードPC4によって特定される「X緑茶」(以下、商品PC4ともいう)がコラム4に投入される。なお、配送者は、商品PC4に置き換えられる商品PC1を回収する。
【0058】
続いて、連携サーバ31の連携部36は、予測サーバ11が出力した補充対象群を取得して、推奨サーバ21へ受け渡す。一例として、連携部36は、補充対象群を特定する複数の販売機コードを、予測指令とともに推奨サーバ21へ送信する。そして、推奨サーバ21の需要予測部23は、補充対象群のそれぞれに投入されている商品と、投入されていない未収容商品とを含む商品群の中から、補充対象群のそれぞれについて、所定の期間における販売数量を予測して(S303)、推奨情報を生成する。例えば、所定の期間は4週間である。代替的に、所定の期間は、1週間、2週間、又は3週間であってもよい。なお、作業者が推奨情報を作成してもよい。
【0059】
また、需要予測部23は、予測した販売数量に基づいて、各自動販売機5の最適なコラム構成を予測する。さらに、需要予測部23は、予測した販売数量に加えて、商品の目標カバー率を考慮して、各自動販売機5の最適なコラム構成を予測してもよい。そして、推奨サーバ21の推奨部24は、コラム構成、推奨理由、販売数量、及び金額変化を出力する。一例として、推奨部24は、
図5に示すように、販売機コードに、コラム番号と、コラム番号に対応する商品コード及び商品名と、販売数量及び金額変化とを紐付けたレコードを出力する。推奨商品がある場合、当該レコードは、商品コードに紐づけた推奨理由を含む。また、販売数量は、整数には限られず、
図5の例では1.5本及び3.5本の販売数量がレコードに含まれている。なお、需要予測部23による予測及び最適化の結果、予測時に収容されている商品が維持されて変更されないケースも生じ得る。
【0060】
図5の例では、販売機MC1に対して、収容されている商品と未収容商品の入れ替えが推奨されている。具体的に、未収容商品として、商品PC7と、商品PC6とを収容することが推奨されている。すなわち、商品PC5と、商品コードPC3によって特定される「Xサイダー」(以下、商品PC3ともいう)とを、未収容商品と入れ替えることが推奨されている。また、レコードにおいては、商品の入れ替えの推奨理由として、利益向上が挙げられている。なお、レコードに含まれる推奨理由は、各推奨理由に割り当てられた識別コード又は識別番号等であってもよい。
【0061】
さらに、レコードには、利益の増減に伴う金額変化として、推奨に従って変更した場合に増減する金額変化を示す情報が含まれている。具体的に、
図5に示すレコードには、販売機MC1に対して、利益向上に対応して増加する金額1000円が含まれている。さらに、販売機MC2に対して、利益向上に対応して増加する金額100円がレコードに含まれている。また、販売機MC3に対して、商品入れ替えに起因して減少する金額50円がレコードに含まれている。
【0062】
また、販売機MC2及び販売機MC3に対しても、収容されている商品と未収容商品の入れ替えが推奨されている。具体的に、販売機MC2については、商品PC1と入れ替えて、商品PC2を販売機MC2に収容することが推奨されている。また、販売機MC3については、商品PC1と入れ替えて、商品PC5を販売機MC3に収容することが推奨されている。ここで、販売機MC3に対する入れ替えの推奨理由は、カバー率の目標を達成することである。なお、カバー率は、商品ごとに算出され、自動販売機5の総数を当該商品を収容している自動販売機5の総数で除して100を乗じて得ることができる。
【0063】
連携サーバ31は、推奨サーバ21から推奨情報として、推奨商品の商品コード等を含むレコードを取得する。そして、連携部36は、推奨情報を反映させる反映対象となる自動販売機5を選択する(S304)。具体的に、連携サーバ31の判断部34は、判断対象の自動販売機5に対して未収容商品との入れ替えが推奨されているか否かを判断する(S305)。そして、入れ替えが推奨されていない場合、連携部36は、推奨情報を反映させず、判断処理の対象となっている自動販売機5を反映対象としない(S306)。
【0064】
一方、入れ替えが推奨されている場合、連携部36は、選択条件に従って反映対象を選択する。具体的に、連携部36は、推奨理由が利益向上であるのか、カバー率の目標達成であるのかを判別する(S307)。そして、推奨理由が目標達成である場合、連携部36は、処理の対象となっている自動販売機5を反映対象とする(S308)。また、推奨理由が利益向上である場合、連携部36は、選択条件として、利益の増減額に関連付けて設定されている所定金額に従って、反映対象を選択する。具体的に、連携部36は、増加する金額が所定金額以上であるか否かを判断する(S309)。一例として、所定金額は1000円である。増加する金額が所定金額以上である場合、連携部36は、処理の対象となっている自動販売機5を反映対象とする(S308)。また、増加する金額が所定金額未満である場合、連携部36は、推奨情報を反映させない(S306)。また、S309における選択条件は、改善率等の利益改善に関わるあらゆる指標であってもよい。
【0065】
反映対象がある場合、連携部36は、反映対象を特定する情報として、反映対象の販売機コードを予測サーバ11に受け渡す。また、連携部36は、販売機コードに紐づけられた各コラムの商品コードと、商品コードに対応する販売数量とを予測サーバ11に受け渡す。ここで、新しく投入する推奨商品が購入されることにより、入れ替えない収容商品の販売数量も変化することがある。そのため、連携部36は、推奨商品のみではなく、反映対象における全ての商品の販売数量を予測サーバ11に受け渡す。一例として、連携部36は、
図6に示すように、反映対象の販売機コードに、コラム番号と、コラム番号に対応する商品コード及び商品名とを紐付けたレコードを出力する。さらに、当該レコードには、反映対象における商品のコラム構成及び販売数量が含まれている。
【0066】
図6のレコードには、反映対象として販売機MC1及び販売機MC3における商品のコラム構成及び販売数量が含まれている。すなわち、販売機MC2は、増加する金額が所定金額未満であるため、反映対象に含まれていない。そして、選択部14は、販売数量に基づいて入れ替え後の補充数量を再度計算する(S310)。このとき、選択部14は、推奨商品の補充数量を計算するとともに、入れ替えない収容商品の補充数量も再計算する。代替的に、連携部36は、推奨商品以外の販売数量を反映情報に含めなくともよい。また、選択部14は、推奨商品の補充数量のみを計算してもよい。これらの場合、既に計算されている収容商品の補充数量は変更されない。
【0067】
出力部15は、商品の変更後の反映対象のコラム構成、及び推奨商品を含む商品の補充数量を出力する。そして、連携サーバ31の計画作成部35は、出力部15から変更後の補充数量等の情報を取得する。一例として、出力部15は、
図7に示すように、反映対象の販売機コードに、コラム番号と、コラム番号に対応する商品コード及び商品名とを紐付けたレコードを出力する。さらに、当該レコードには、反映対象における商品のコラム構成及び補充数量が含まれている。
図7の例では、
図4と比較して商品PC1の補充数量が10本から8本に減少し、商品PC4の補充数量が8本から7本に減少している。また、商品PC2の補充数量が5本から6本に増加している。さらに、推奨商品として商品PC7と商品PC6が加わっており、それぞれの補充数量は15本と8本である。また、販売機MC3についても、商品PC4、商品PC3、及び商品PC2の補充数量が増減しており、推奨商品として商品PC5が加わっている。
【0068】
計画作成部35は、取得したデータを結合して、推奨商品の補充数量と、その他の商品の補充数量とを含む補充計画を作成し(S311)、これにより処理が終了する。一例として、計画作成部35は、
図8に示すように、販売機コードに、コラム番号と、コラム番号に対応する商品コード及び商品名とを紐付けたレコードを作成する。さらに、当該レコードには、各商品のコラム構成及び補充数量が含まれている。これにより、各自動販売機5の過去の販売実績に基づく補充数量の計算結果と、全自動販売機5の過去の販売実績に基づく需要の予測結果とを結合して、最適な補充計画を作成できる。さらに、推奨情報を利用することにより、販売実績が存在しない未収容商品に関して、需要の予測結果を利用して補充計画を作成できる。
【0069】
さらに、計画作成部35は、補充に要する作業時間を算出してレコードに含めて補充計画を作成してもよい。一例として、計画作成部35は、
図9に示すような補充計画を作成する。
図9において、販売機MC1の作業時間は776秒であり、抜き取り時間300秒、新規投入時間300秒、補充時間44秒、荷下ろし時間132秒が含まれている。また、販売機MC2の作業時間は336秒であり、抜き取り時間120秒、新規投入時間120秒、補充時間24秒、荷下ろし時間72秒が含まれている。そして、販売機MC3の作業時間は236秒であり、抜き取り時間60秒、新規投入時間60秒、補充時間29秒、荷下ろし時間87秒が含まれている。例えば、計画作成部35は、抜き取り時間及び新規投入時間を、一つのコラムにつき60秒かかるものとして算出する。また、計画作成部35は、補充時間を一本につき1秒かかるものとして算出し、荷下ろし時間を一本につき3秒かかるものとして算出する。
【0070】
その後、計画作成部35は、作成した補充計画を配送最適化システムの配送サーバへ送信する。配送サーバは、取得した補充計画に基づいて訪問計画を作成する。また、配送サーバは、各拠点へ訪問計画を送信するか、または訪問計画を印刷した帳票を作成する。代替的に、訪問計画は手作業によって作成してもよい。この場合、作業者は、作成した訪問計画を配送サーバの記憶部に記憶させる。
【0071】
また、連携サーバ31は、配送先データベースの配送スケジュールを参照して、配送ルートRT内の配送先DTから、次回に配送先として選択すべき配送先DTを配送最適化システムへ受け渡してもよい。
【0072】
本実施形態に係る支援システム100によれば、各自動販売機5の過去の販売実績に基づく補充数量の計算結果と、全自動販売機5の過去の販売実績に基づく需要の予測結果とを結合して、最適な補充計画を作成できる。さらに、推奨情報を利用することにより、販売実績が存在しない未収容商品に関して、需要の予測結果を利用して補充計画を作成できる。
【0073】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0074】
例えば、各機能部はそれぞれ予測サーバ11、推奨サーバ21、及び連携サーバ31のいずれかに設けることができる。一例として、予測部13及び選択部14の少なくとも一方を、推奨サーバ21又は連携サーバ31に設けてもよい。また、需要予測部23を、予測サーバ11又は連携サーバ31に設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
5 :自動販売機
10 :需要予測システム
12 :予測制御部
13 :予測部
14 :選択部
20 :最適化システム
22 :推奨制御部
23 :需要予測部
30 :連携システム
32 :連携制御部
33 :取得部
34 :判断部
35 :計画作成部
36 :連携部
PG1 :予測プログラム
PG2 :推奨プログラム
PG3 :連携プログラム