(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】エレベーター及び呼び登録装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B66B1/46 Z
(21)【出願番号】P 2020180308
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】涌田 理人
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】大沢 卓也
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 茂樹
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110759188(CN,A)
【文献】特開2015-231898(JP,A)
【文献】特表2014-516891(JP,A)
【文献】特開2009-113971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52;3/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場階に設置されて上方向と下方向を指示する呼びボタンを備えるエレベーターの呼び登録装置であって、
呼び登録装置は、利用者の掌の動作の移動方向を検知して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサと、前記モーションセンサの下部に設けられて上方向または下方向の呼び信号を生成する押しボタンを配置
するとともに、前記呼び登録装置の中間部、あるいは下部には前記モーションセンサを配置しないことを特徴とするエレベーターの呼び登録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの呼び登録装置であって、
前記押しボタンは、上方向呼びボタンまたは下方向呼びボタンのいずれかであることを特徴とするエレベーターの呼び登録装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベーターの呼び登録装置であって、
前記押しボタンは、上方向呼びボタンと下方向呼びボタンであり、呼び登録装置の上部から順に前記モーションセンサ、上方向呼びボタン、下方向呼びボタンを配置
するとともに、前記呼び登録装置の中間部、あるいは下部には前記モーションセンサを配置しないことを特徴とするエレベーターの呼び登録装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベーターの呼び登録装置であって、
前記モーションセンサは、光学的に利用者の掌の動作の移動方向を検知するものであって、正面での動きには高感度とし、下部位置での動きには低感度とすることを特徴とするエレベーターの呼び登録装置。
【請求項5】
乗場階に設置されて上方向と下方向を指示する呼びボタンを含む呼び登録装置を備えたエレベーターであって、
呼び登録装置は、利用者の掌の動作の移動方向を検知して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサと、前記モーションセンサの下部に設けられて上方向または下方向の呼び信号を生成する押しボタンを配置
するとともに、前記呼び登録装置の中間部、あるいは下部には前記モーションセンサを配置しないことを特徴とするエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベーター及び呼び登録装置に係り、特にモーションセンサを用いたエレベーター及び呼び登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベーターの乗場管理のために各種の光学センサを用いることが提案されている。例えば特許文献1によれば、エレベーター乗場階に設置された呼び登録装置に人間の接近を検知するセンサを備え、接近した場合に呼び登録装置の周囲を点灯させて、各押しボタンの位置確認を容易にしたものである。
【0003】
また例えば特許文献2によれば、複数のピンカメラにより、乗場におけるエレベーター利用者の動作を検知し、例えば掌の動きに応じて呼び登録装置の複数ボタンのいずれのボタンを操作する意図であるかを検知し、当該ボタンを選択し活性化させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-280904号公報
【文献】特許第6172369号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示されている接近検知センサ、または特許文献2に例示されている複数のピンカメラなどにより構成されて作動者の掌などの動作を検知する光学センサは一般的にモーションセンサと呼ばれている。
【0006】
なお、特許文献2の場合に、モーションセンサは天井に設置されており、操作を意図している呼び登録装置のボタンを選択表示させるものにすぎない。特許文献1の場合に、接近センサは、呼び登録装置に組み込まれているが、その配置位置は呼び登録装置の上部位置から順次上方向呼びボタン、接近センサ、下方向呼びボタンの順に配置されたものである。
【0007】
これに対し本発明においては、モーションセンサへのエレベーター装置への適用に関して、モーションセンサにより上方向呼びボタン、下方向呼びボタンの機能を代替させようとしており、特に人間の動作を正確に反映させることができるエレベーター及び呼び登録装置を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のことから本発明においては、エレベーターの乗場階に設置されて上方向と下方向を指示する呼びボタンを備えるエレベーターの呼び登録装置であって、呼び登録装置は、利用者の動作を検知して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサと、モーションセンサの下部に設けられて上方向または下方向の呼び信号を生成する押しボタンを配置していることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、乗場階に設置されて上方向と下方向を指示する呼びボタンを含む呼び登録装置を備えたエレベーターであって、呼び登録装置は、利用者の動作を検知して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサと、モーションセンサの下部に設けられて上方向または下方向の呼び信号を生成する押しボタンを配置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上方向呼びボタンと下方向呼びボタンに加えて、モーションセンサを追加することにより非接触での上方向呼び、下方向呼びの機能を追加するときに、不要な呼びの発生を低減させることができるエレベーターの呼び登録装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】エレベーター乗場の中間階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図2】エレベーターの乗場の最下階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図3】エレベーターの乗場の最上階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図4】エレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の断面構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1から
図3は、エレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示している。
図1は中間階、
図2は最下階、
図3は最上階の呼び登録装置の構成例である。
【0014】
図1に示す中間階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11U,下方向呼びボタン11Dを配置し、
図2に示す最下階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11Uを配置し、
図3に示す最上階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、下方向呼びボタン11Dを配置している。
【0015】
ここでモーションセンサ12とは、光学的に人間の動きを検知し、例えば掌などの体の一部が上方向に移動することを検知して上方向呼び信号を生成し、掌などの体の一部が下方向に移動することを検知して下方向呼び信号を生成する。なお、モーションセンサ12が人間の動作を特定する原理について本発明は特に制限するものではない。
【0016】
いずれの場合にも、モーションセンサ12は、呼び登録装置13の上部位置に設けられている。この理由は、エレベーターの呼び登録装置において、上方向呼びボタンと下方向呼びボタンは上下に並べた配置は、エレベーターの利用客にとって違和感なくボタンの意味を理解できる配置であるが、この呼び登録装置にモーションセンサ12をさらに取りつけることを考えた場合、モーションセンサ12が中間部、あるいは下部に設置されると、作動者は、上方向の押しボタンを押しに行った後で手をその後下げることになるが、この手を下げる動作をモーションセンサが下げ方向の指示と誤認してしまう可能性があるためである。
【0017】
図4はエレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の断面構成例を示している。エレベーター乗場階の壁20の表面側に呼び登録装置13が配置され、その上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11U下方向呼びボタン11Dを配置している。またエレベーター乗場階の壁20の裏面側に乗場端末制御装置9が配置され、エレベーター呼び動作制御装置と連携している。
【0018】
以上説明した本発明に係る呼び登録装置13においては、
図1に示したようにモーションセンサ12を呼び登録装置13に組み込むとともに、モーションセンサ12を呼び登録装置13の最上部位置に配置している。
【0019】
この点に関し、特許文献1にはモーションセンサ(接近センサ)を呼び登録装置13に組み込むという考えはあるものの、モーションセンサ(接近センサ)は上方向呼びボタン11Uと下方向呼びボタン11Dの中間位置に配置されている。
【0020】
本発明では、モーションセンサへのエレベーター装置への適用に関して、モーションセンサにより上方向呼びボタン11U、下方向呼びボタン11Dの機能を代替させようとする場合には、モーションセンサは呼び登録装置13の最上位位置に配置するのがよいと考えているが、その理由は中間位置に配置した特許文献2の配置位置における不正確動作の排除である。
【0021】
モーションセンサが上方向呼びボタン11Uと下方向呼びボタン11Dの中間位置にある場合、利用者が上方向呼びボタン11Uにタッチした後、多くの場合には手を下げることになるが、この利用者の手を上げた後には下げるというある意味自然な動作は、上方向呼びボタン11Uの直下に配置された中間位置のモーションセンサが検知しやすい状況であり、下げ方向の呼びを生成するという不要な動作を引き起こす原因となりやすい。
【0022】
本発明の場合には、利用者が中段の上方向呼びボタン11Uにタッチした後、手を下げるとしても最上位位置にあるモーションセンサ12はこれを検知しにくいということができる。さらに、少なくともモーションセンサ12の検知範囲、感度を調整することで、正面での動きには高感度とし、下部位置での動きには低感度とすることで、より不要な呼びの発生を低減することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
9:乗場端末制御装置
11U:上方向呼びボタン
11D:下方向呼びボタン
12:モーションセンサ
13:呼び登録装置
20:エレベーター乗場階の壁