(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
(21)【出願番号】P 2020187295
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3112544(JP,U)
【文献】特開2013-085492(JP,A)
【文献】特開2010-200613(JP,A)
【文献】特表2012-509057(JP,A)
【文献】特開2019-024390(JP,A)
【文献】特開2006-067920(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0014738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部よりも上方の位置において該収容部を囲繞するように配されたガイド壁部とを備えたペット用トイレであって、
前記ガイド壁部は、その平面視において長手方向及び幅方向を有する略長方形の形状を有し、
前記ガイド壁部は、その平面視における少なくとも1箇所の隅部に、該隅部を跨ぐように、長手方向に沿う壁部の一部及び幅方向に沿う壁部の一部が切り欠かれて画成された、ペットの出入口が形成されており、
前記出入口を画成する、長手方向に沿う壁部の切り欠き端面及び幅方向に沿う壁部の切り欠き端面のうちの少なくとも一方
において、前記ガイド壁部
を平面視
したときに、該切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ仮想直線が、前記隅部と向かい合う位置にある隅部の方向に延びており、且つ、該ペット用トイレの幅方向に沿って延び且つ該ペット用トイレを長手方向に二等分する長手方向等分線に対して傾斜している、ペット用トイレ。
【請求項2】
平面視において、前記幅方向に沿う壁部の切り欠き端面は、前記ペット用トイレの長手方向に沿って延び且つ前記ペット用トイレを幅方向に二等分する幅方向等分線よりも前記出入口側に位置する、請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
平面視において、前記長手方向に沿う壁部の切り欠き端面は、前
記長手方向等分線よりも前記出入口側に位置する、請求項1又は2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記長手方向に沿う壁部の切り欠き端面
において、前記ガイド壁部
を平面視
したときに、該切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ仮想直線が、前記隅部と向かい合う位置にある隅部の方向に延びており、且つ、前記長手方向等分線に対して傾斜しており、
平面視において、前記長手方向に沿う壁部の
前記切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ第1仮想直線を考えたときに、第1仮想直線と、前記ガイド壁部とが交差する位置が、前記長手方向等分線を超え且つ該切り欠き端面の存在位置とは長手方向反対側の位置にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記幅方向に沿う壁部の切り欠き端面
において、前記ガイド壁部
を平面視
したときに、該切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ仮想直線が、前記隅部と向かい合う位置にある隅部の方向に延びており、且つ、前記長手方向等分線に対して傾斜しており、
平面視において、前記幅方向に沿う壁部における
前記切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ第2仮想直線と、
前記切り欠き端面の存在位置と長手方向反対側に位置する
前記ガイド壁部の幅方向に沿う壁部の外周縁に沿う第3仮想直線とを考えたときに、
第2仮想直線と第3仮想直線との交点が、前記幅方向等分線を超え且つ
前記切り欠き端面の存在位置とは幅方向反対側の位置にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記幅方向に沿う壁部の切り欠き端面における長手方向に沿う幅が、20mm以上100mm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項7】
前記長手方向に沿う壁部の切り欠き端面における幅方向に沿う幅が、20mm以上100mm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項8】
前記出入口の幅が150mm以上300mm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項9】
前記長手方向に沿う壁部の切り欠き端面において、前記ガイド壁部
を平面視
したときに、該切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ仮想直線が、前記隅部と向かい合う位置にある隅部の方向に延びており、且つ、前記長手方向等分線に対して傾斜しており、
前記幅方向に沿う壁部の切り欠き端面
において、前記ガイド壁部を平面視したときに、該切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ仮想直線が、前記隅部と向かい合う位置にある隅部の方向に延びており、且つ、前記長手方向等分線に対して傾斜しており、
平面視において、前記長手方向に沿う壁部の
前記切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ第1仮想直線と、前記幅方向に沿う壁部の
前記切り欠き端面の外方側端と内方側端とを結ぶ第2仮想直線とのなす角度が20度以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項10】
前記出入口が前記長方形の一つの長辺の両端に位置する場所にそれぞれ設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項11】
前記収容部の前記長手方向の長さが600mm超である、請求項1~10のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項12】
前記収容部は、前記幅方向の長さに対する前記長手方向の長さの比が1.6以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項13】
前記ガイド壁部の最大高さが50mm以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項14】
猫用である、請求項1~13のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
猫などのペットの排泄物を屋内で処理するために使用されるペット用トイレは、典型的には、本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画する簀の子状の通液部とを備える。
【0003】
このような構成を有するペット用トイレとして、特許文献1には、動物の排泄物を受ける本体部と、本体部の上側に着脱可能に取り付けられたカバー部とを有する動物用トイレが開示されている。このカバー部は、出入り口となる切り欠きと、該切り欠きの下端部から内側に延出した延出底部が設けられていることが同文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の動物用トイレは、ペットをトイレ内にうまく誘導できないことに起因して、ペットの排泄部が出入口の近傍に位置した状態で、ペットが排泄してしまうことがある。その結果、ペットの排泄物がトイレの出入口又はトイレの外に飛散してしまう。
【0006】
したがって、本発明の課題は、ペットをトイレ内に誘導して、トイレ内で排泄させやすくすることができるペット用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部よりも上方の位置において該収容部を囲繞するように配されたガイド壁部とを備えたペット用トイレであって、
前記ガイド壁部は、その平面視において長手方向及び幅方向を有する略長方形の形状を有し、
前記ガイド壁部は、その平面視における少なくとも1箇所の隅部に、該隅部を跨ぐように、長手方向に沿う壁部の一部及び幅方向に沿う壁部の一部が切り欠かれて画成された、ペットの出入口が形成されており、
前記出入口を画成する、長手方向に沿う壁部の切り欠き端面及び幅方向に沿う壁部の切り欠き端面のうちの少なくとも一方が、前記ガイド壁部の平面視において、該ガイド壁部の外面側から内面側へ内向きに傾斜している、ペット用トイレを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ペットをトイレ内に誘導して、トイレ内の適切な排泄位置で排泄させやすくすることができるペット用トイレが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明のペット用トイレの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すペット用トイレを分解した状態を模式的に示す斜視図であり、収容部に配される粒状の排泄物処理材を併せて示す。
【
図3】
図3は、
図1に示すペット用トイレを上面から見た模式的な平面図である。
【
図4】
図4(a)は、ガイド壁部と仕切り部とを組み合わせたときにおける長手方向に沿う模式的な側面図であり、
図4(b)は
図4(a)に示す形態の幅方向に沿う模式的な側面図である。
【
図5】
図5は、ペット用トイレの別の実施形態を上面から見た模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すペット用トイレを長手方向に沿ってみたときの模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のペット用トイレ(以下、単にトイレともいう。)は、例えば犬や猫、ウサギ、ハムスター等のペットの排泄物の処理又は排泄物の採取等に用いることができるものである。本発明のペット用トイレは、これを室内に配置して、室内で飼育される猫用のトイレとして特に有用なものである。本明細書において、頭胴長とは、ペットの全長(体長)から尾の長さを差し引いた長さであり、頭部の先端から尾の付け根までの長さを指す。
【0011】
図1ないし
図3には、ペット用トイレの一実施形態が示されている。
図1ないし
図3に示すペット用トイレ1は、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cと、該収容部10Cの上方の周囲に配されたガイド壁部2とを備えている。また
図1ないし
図3に示すように、ペット用トイレ1は、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。またペット用トイレ1は、XY平面に直交する高さ方向Zを有する。
【0012】
本実施形態のペット用トイレ1は、トイレ本体10と、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画する仕切り部20とを備えている。これに加えて、下層部分10Bに出し入れ可能に収容される尿受け用のトレー30を備えていることが、排泄物の処理の容易性の観点から好ましい。
【0013】
ペット用トイレ1は、トイレ本体10の内部に、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cを備えておいる。またトイレ本体10の上部に、ガイド壁部2を有している。ガイド壁部2は、収容部10Cの上方の位置において収容部10Cを囲繞するように配されている。これによって、収容部10Cの上方の空間に、ガイド壁部2に周囲を囲まれたペットの排泄スペースが形成される。
【0014】
トイレ本体10は、尿を通液可能な通液部21を有する仕切り部20によって、上層部分10Aと下層部分10Bとに区画されている。また、トイレ本体10は、上層部分10Aにおける仕切り部20上に収容部10Cが形成されており、上層部分10Aにおける収容部10Cより上方にガイド壁部2が形成されている。なお、囲繞するという表現には、後述する出入口2Eがガイド壁部2に形成されていることによって、周囲の一部に壁のない部分を有する場合も含まれる。
【0015】
ガイド壁部2及び収容部10Cはいずれも、ペット用トイレ1の平面視形状と同様に、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状であることが好ましい。また
図1ないし
図3に示すように、ガイド壁部2及び収容部10Cの各長手方向Xと、ペット用トイレ1の長手方向Xとが一致して配されることも好ましい。
【0016】
図1ないし
図3に示すように、トイレ本体10は、上部が開口し、床面上に配される底部を形成する有底の底部形成部3と、ガイド壁部2とを備えていることが好ましい。トイレ本体10を構成するガイド壁部2及び底部形成部3はともにペット用トイレ1の外形を形成しており、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。ガイド壁部2及び底部形成部3はいずれも、略長方形の平面視形状における各隅部は面取りされている。
【0017】
本実施形態におけるガイド壁部2は、上面及び下面がともに開口した形状を有しており、底部形成部3に重ねて配置した仕切り部20の上方から静置又は嵌め込むことによって、ガイド壁部2を底部形成部3の上部に保持できるようになっている。このとき、ガイド壁部2は、仕切り部20によって形成される排泄物処理材Pの収容部10Cの上方の周囲に配される。底部形成部3、仕切り部20及びガイド壁部2はそれぞれ着脱自在に配置されている。
【0018】
本実施形態におけるガイド壁部2は、ペット用トイレ1の外面の一部を構成するガイド壁部の外面と、排泄時におけるペットと対向する面であるガイド壁部2の内面とを有している。ガイド壁部2は、高さ方向Zに延びて、外界とトイレ1内部とを区分している。ガイド壁部2は、所定の厚みを有しているところ、その厚みは、ガイド壁部2の下部から上部まで一定であってもよく、あるいは、上方に向かうにつれて漸減していてもよい。後者の場合、ガイド壁部2における壁部外面は上方に向かうにつれて内傾している一方、壁部内面は上部から下部までが高さ方向Zを向いているか、又は上方に向かうにつれて内傾していてもよい。ガイド壁部2は、その内部が中実であってもよく、中空であってもよい。
【0019】
ガイド壁部2は、その一部が切り欠かれて画成された出入口2Eが形成されている。出入口2Eは、ペット用トイレ1の使用時において、ペットがペット用トイレ1に出入りしやすいように形成されたペットの出入口となる部位である。
【0020】
ペット用トイレ1におけるガイド壁部2を平面視したときに、出入口2Eは、ガイド壁部2における、長方形形状の少なくとも1箇所の隅部に位置する場所に、隅部をまたぐように設けられていることが好ましく、長方形形状の一つの長辺の両端に位置する2つの隅部にそれぞれ設けられていることが更に好ましい。出入口2Eが隅部をまたぐように形成されている場合、出入口2Eは、ガイド壁部2における長手方向Xに沿う壁部2xの一部と、幅方向Yに沿う壁部2yの一部とがそれぞれ切り欠かれて画成されている。これによって、出入口2Eを有しない側のガイド壁部2を、屋内等のペット用トイレの設置場所の壁面に近接させて配置しても、ペットをトイレ内へ誘導しやすくすることができ、またペットの出入りが容易となる。
【0021】
図1ないし
図3に示す実施形態では、略長方形状の平面視形状を有するガイド壁部2を平面視したときに、出入口2Eは、ガイド壁部2の長方形形状の一つの長辺の両端に位置する2つの隅部に、各隅部をまたぐように2箇所設けられている。各出入口2Eは、ガイド壁部2における長手方向Xに沿う壁部2xの一部と、幅方向Yに沿う壁部2yの一部とがそれぞれ切り欠かれて画成されている。そして、ガイド壁部2は、その平面視において、ペット用トイレ1の幅方向Yに沿って延び且つトイレ1を長手方向Xに二等分する長手方向等分線Lxを対称軸として線対称に形成されている。
【0022】
ガイド壁部2は、上述のとおり、その一部が切り欠かれて画成された出入口2Eが形成されているところ、これによって、出入口2Eを画成する一方の壁部の切り欠き端面2f(以下、これを第1切り欠き端面2fともいう。)と、他方の壁部の切り欠き端面2g(以下、これを第2切り欠き端面2gともいう。)とが形成されていることが好ましい。これらの切り欠き端面2f,2gはいずれも平面であるが、ガイド壁部2の平面視において、これらの切り欠き端面2f,2gが平面とみなせる限りにおいて凹面、凸面又はこれらの組み合わせとなっていてもよい。
【0023】
これらの切り欠き端面2f,2gは、薄板状のガイド壁部2が出入口2Eにおいてペット用トイレ1の内方に屈曲することによって形成することができる。
これに代えて、各切り欠き端面2f,2gは、例えば、肉厚のあるガイド壁部2を切り欠いて形成することができる。この場合、平面視におけるガイド壁部2の肉厚である、ガイド壁部2の内面とガイド壁部2の外面との距離、すなわちガイド壁部2を平面視したときにおける幅方向Yに沿う幅W1及び長手方向Xに沿う幅W2は、それぞれ独立して、後述の範囲とすることができる。
【0024】
出入口2Eが形成された位置において、一対の切り欠き端面2f,2gの下端どうしを接続する平面状の切り欠き底面2jを有することが好ましい。切り欠き底面2jを有することによって、ペットの足置きとしての機能を奏することができるので、ペットをトイレ内に効果的に誘導することができる。本実施形態における切り欠き底面2jは平面であり、両切り欠き端面2f,2gの下端どうしから滑らかに接続されており、ペット用トイレ1の内方に延出するように形成されている。切り欠き底面2jの幅は、両切り欠き端面2f,2gの幅と概ね一致している。
【0025】
出入口2Eを画成する一対の切り欠き端面2f,2gは、これらの形状及び配置位置が所定の構成となっていることが好ましい。このような構成を有することによって、ペットをトイレ内の適切な排泄位置である通液部の存在領域に更に効率的に誘導して、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく排泄させやすくすることができる。
【0026】
詳細には、ガイド壁部2の平面視において、第1切り欠き端面2f及び第2切り欠き端面2gのうちの少なくとも一方が、ガイド壁部2の外面側から内面側へ内向きに傾斜していることが好ましく、第1切り欠き端面2f及び第2切り欠き端面2gの双方がガイド壁部2の外面側から内面側へ内向きに傾斜していることが更に好ましい。
このような構成となっていることによって、切り欠き端面がトイレの中央域側に向いているので、ペットが幅方向Yに沿ってトイレ内に進入することを防いで長手方向Xに沿って進入するように誘導しつつ、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置である通液部21の存在領域を含むトイレの中央域側に効率的に誘導することができる。その結果、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく、トイレ内の適切な排泄位置で排泄させやすくすることができる。
【0027】
本明細書における「内向き」とは、ガイド壁部2の平面視において、切り欠き端面に沿って仮想的に延長した仮想直線が、出入口2Eが形成されていない側における長手方向Xに沿うガイド壁部2と交差する向きであり、観察対象となる出入口2Eにおいて切り欠き端面が形成されているガイド壁部2を、その壁部外面と対向するように外方から側面視したときに、当該切り欠き端面におけるトイレ内方側端が、トイレ外方側端の位置を基準として当該出入口2E側に観察されない向きをいう。
第1切り欠き端面2fを例にとると、第1切り欠き端面2fは出入口2Eが形成されている側における長手方向Xに沿う壁部2xに形成されているので、当該壁部2xの外面と対向するようにトイレ外部から側面視したときには、第1切り欠き端面2fにおけるトイレ内方側端fbは、トイレ外方側端faの位置を基準として出入口2Eの位置と反対の位置に存在する。第2切り欠き端面2gについても同様に、第2切り欠き端面2gが形成されている壁部2yを、その壁部2y外面と対向するように外部から側面視したときには、第2切り欠き端面2gにおけるトイレ内方側端fdは、トイレ外方側端fcの位置を基準として出入口2Eの位置とは反対の位置に存在する。
【0028】
図3に示す実施形態においては、第1切り欠き端面2fは、ガイド壁部2の平面視において、ガイド壁部2における長手方向Xに沿う壁部2xの一部が切り欠かれて形成されている。また、第2切り欠き端面2gは、幅方向Yに沿う壁部2yの一部が切り欠かれて形成されている。これらの切り欠き端面2f,2gはそれぞれ、ガイド壁部2の平面視において、長手方向X及び幅方向Yのいずれに対しても傾斜して形成されている。
【0029】
図1ないし
図3に示すように、トイレ本体10を構成する底部形成部3は、仕切り部20の底部を少なくとも収容し得る容積を有することが好ましい。トイレ本体10における底部形成部3の一側面には、該側面視において略矩形状の切り欠き部11が形成されていることが好ましい。これによって、切り欠き部11を介してトレー30がトイレ本体10内に出し入れ可能になっているとともに、トイレ本体10内にトレー30を収容することができる。本実施形態においては、出入口2Eが配されている長辺側に切り欠き部11が形成されている。
【0030】
図1ないし
図3に示すように、仕切り部20は、上部が開口し、トイレ本体10における底部形成部3よりも浅底の有底形状となっており、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画する。本実施形態では、仕切り部20の上方に位置するガイド壁部2がトイレ本体10の上層部分10Aを主に構成し、仕切り部20の下方に位置する底部形成部3がトイレ本体10の下層部分10Bを主に構成しており、仕切り部20によって、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10の上層部分10Aに収容できるようになっている。つまり、仕切り部20は、その上面が排泄物処理材Pを収容する収容部10Cとして構成されている。仕切り部20は、トイレ本体10における底部形成部3の上部から着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0031】
仕切り部20は、尿の通液が可能な通液部21と、尿の通液が不能な非通液部22とを有している。通液部21は、その長手方向と、ペット用トイレ1及び仕切り部20の長手方向Xとはそれぞれ一致して配されている。本実施形態における通液部21は、平面視において矩形状であり、ペット用トイレ1の中央域に仕切り部20の面積よりも小さい面積となって位置している。これに代えて、通液部21は、平面視において、長手方向X又は幅方向Yの一方の端部側に偏って配置されていてもよい。
【0032】
通液部21は、仕切り部20の底部に形成されており、互いに平行に延びる複数本の線材を有するように網状に構成されている。通液部21における線材どうしの間は、排泄物処理材Pや排泄された糞が落下せず、且つ尿が下方へ通過する程度の空隙を有している。本実施形態における通液部21は、XY平面に沿って平面状に形成されている。
【0033】
非通液部22は、仕切り部20を平面視したときに、通液部21の周囲に位置しており、空隙を有していない。非通液部22のうち、少なくとも出入口2Eに臨む領域が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが好ましい。
【0034】
トレー30は、排泄物処理材P及び仕切り部20を通過して、下方に落下した尿を回収又は採取するためのものである。トレー30は、平面視において略矩形状を有する薄型のものであり、トイレ本体10の下層部分10Bに収容可能となっている。トレー30の平面視面積は、仕切り部20における通液部21が配されている面積以上であり、ペット用トイレ1の平面視面積よりも小さくなっていることが、仕切り部20を通過した尿を蓄積しやすくして、尿の処理又は採取を簡便に行う観点から好ましい。
【0035】
以上の構成を有するペット用トイレは、一方向に長い略長方形の平面視形状を有しているので、頭胴長が大きい猫などのペットがペット用トイレ内に入った場合でも、トイレ内で体の向きを変えたり、あるいはトイレ内で体を曲げたりするなどの窮屈な体勢となることなく、ペット用トイレ長手方向に沿う楽な体勢で排泄することができ、排泄スペースが十分に確保されたものとなる。
また出入口を画成する一対の切り欠き端面のうち少なくとも一方が内向きに傾斜していることによって、トイレの幅方向に沿ってペットが進入することを防ぎつつ、ペットをトイレ内の適切な排泄位置である、通液部が存在する領域を含むトイレの中央域側に誘導することができる。その結果、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく適切な排泄位置で排泄させやすくすることができ、尿や糞などの排泄物の後処理の利便性が向上する。
【0036】
更に、長方形形状の隅部に位置する場所に隅部をまたぐように出入口が設けられていることによって、ペットの頭胴長が大きい場合でもペット用トイレ1に容易に出入りできるとともに、ペットの排泄時の体勢をペット用トイレ1の平面視における対角線方向又は長手方向に沿うように効率よく誘導させることができるので、ペットの排泄スペースが十分に確保される。そして、一方向が短い略長方形の平面視形状を有し、且つ隅部をまたぐように出入口が設けられていることによって、ペット用トイレを室内の壁に近接するように配置した場合に、ペット用トイレ1の奥行を小さくできるので、ペット用トイレを屋内に配置したときに省スペース化を実現することができる。また、ペット用トイレ1の長辺側又は短辺側を室内の壁面に近接させて配置した場合であっても、ペットが出入口を介して容易に出入りすることができる。
特に、出入口を一つの長辺における両端に位置する場所に、隅部をまたぐように2箇所設けることによって、ペットがペット用トイレに出入りする際に、ペットがペット用トイレに入る体勢と、ペットがペット用トイレから出る体勢とをペット用トイレ内で入れ替える必要がなくなるので、ペットの体勢が楽になるように誘導し、且つペットの効率的な動線を確保できるという利点がある。
【0037】
図3に示す実施形態において、ペット用トイレ1におけるガイド壁部2を平面視したときに、長手方向Xに沿う壁部2xの端部に位置する第1切り欠き端面2fは、ペット用トイレ1の幅方向Yに沿って延び且つトイレ1を長手方向Xに二等分する長手方向等分線Lxよりも出入口2Eに近い側に位置することが好ましい。
このような構成となっていることによって、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置であるトイレの中央域側に更に効率的に誘導することができる。これに加えて、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、出入口2Eの位置を、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのトイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる位置とすることができる。
【0038】
また同様に、ペット用トイレ1におけるガイド壁部2を平面視したときに、幅方向Yに沿う壁部2yの端部に位置する第2切り欠き端面2gは、ペット用トイレ1の長手方向Xに沿って延び且つトイレ1を幅方向Yに二等分する幅方向等分線Lyよりも出入口2Eに近い側に位置することが好ましい。
このような構成となっていることによっても、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置である通液部21の存在領域を含むトイレの中央域側に更に効率的に誘導することができる。これに加えて、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、出入口2Eの位置を、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのトイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる位置とすることができる。これらの効果は、第1切り欠き端面2fが長手方向等分線Lxよりも出入口2Eに近い側に位置し、且つ第2切り欠き端面2gが幅方向等分線Lyよりも出入口2Eに近い側に位置していることによって、より顕著に奏される。
【0039】
第1切り欠き端面2fがガイド壁部2の外面側から内面側へ内向きに傾斜している場合において、ガイド壁部2を平面視したときに、第1切り欠き端面2fのトイレ外方側端faとトイレ内方側端fbとを結ぶ第1仮想直線L1を考える。このとき、第1仮想直線L1とガイド壁部2とが交差する位置P1が、長手方向等分線Lxを超え且つ第1切り欠き端面2fの存在位置とは長手方向X反対側の位置にあることが好ましい。
このような構成となっていることによって、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置であるトイレの中央域側に更に効率的に誘導及び制御して、ペットの排泄時における体勢を長手方向Xに沿うように誘導することができる。その結果、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく、トイレ内の適切な排泄位置で効果的に排泄させやすくすることができる。
【0040】
また、第2切り欠き端面2gがガイド壁部2の外面側から内面側へ内向きに傾斜している場合において、ガイド壁部2を平面視したときに、第2切り欠き端面2gのトイレ外方側端fcとトイレ内方側端fdとを結ぶ第2仮想直線L2と、第2切り欠き端面2gの存在位置と長手方向Xの反対側に位置するガイド壁部2の長手方向Xの外端縁を通り、且つ幅方向Yに沿う第3仮想直線L3とをそれぞれ考える。このとき、第2仮想直線L2と第3仮想直線L3との交点が、幅方向等分線Lyを超え且つ第2仮想直線L2が通過する一方の第2切り欠き端面2gの存在位置とは幅方向Yの反対側の位置にあることも好ましい。
このような構成となっていることによって、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置であるトイレの中央域側に更に効率的に誘導及び制御して、ペットの排泄時における体勢を長手方向Xに沿うように誘導することができる。その結果、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく、トイレ内の適切な排泄位置で効果的に排泄させやすくすることができる。
【0041】
第1仮想直線L1と第2仮想直線L2との関係においては、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とのなす角度が所定の値以下であることが更に好ましい。具体的には、各仮想直線L1,L2のなす鋭角側の角度が好ましくは20度以下、更に好ましくは10度以下、一層好ましくは0度、つまり、各仮想直線L1,L2どうしが互いに交差しないこと(厳密な意味での「平行」)が一層好ましい。厳密な意味での平行である場合、ガイド壁部2の平面視における第1切り欠き端面2fと第2切り欠き端面2gとが平行となるように形成されている。
このような配置関係となっていることによって、ペットをトイレの中央域側に進入させやすくするとともに、ペットの排泄時における体勢を長手方向Xに沿うように誘導して、ペットが安心した状態で、トイレ内の適切な排泄位置で排泄させやすくすることができる。
【0042】
第1仮想直線L1と、長手方向Xに沿う仮想直線L5とのなす鋭角側のなす角度θ1は、好ましくは10度以上、より好ましくは20度以上であり、好ましくは80度以下、より好ましくは70度以下である。
また、第2仮想直線L2と、長手方向Xに沿う仮想直線L5とのなす鋭角側のなす角度θ2は、好ましくは10度以上、より好ましくは20度以上であり、好ましくは80度以下、より好ましくは70度以下である。
また、第2仮想直線L2と、第3仮想直線L3とのなす鋭角側のなす角度θ3は、好ましくは10度以上、より好ましくは20度以上であり、好ましくは80度以下、より好ましくは70度以下である。
【0043】
ガイド壁部2を平面視したときに、第1切り欠き端面2fにおける幅方向Yに沿う幅W1は、好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下である。同様に、ガイド壁部2を平面視したときに、第2切り欠き端面2gにおける長手方向Xに沿う幅W2は、上述した幅W1と同様の範囲とすることができる。
幅W1及び幅W2のうち少なくとも一方を上述した範囲とすることによって、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置であるトイレの中央域側に更に効率的に誘導及び制御して、ペットの排泄時における体勢を長手方向Xに沿うように更に効率的に誘導することができる。
【0044】
切り欠き底面2jを有する場合、切り欠き底面2jの長手方向Xに沿う幅及び幅方向Yに沿う幅は、それぞれ独立して、好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下である。このような範囲とすることによって、ペットの足を安定的に置くことができるので、ペットをトイレ内に効率的に誘導させることができる。
【0045】
図3に示すように、ガイド壁部2の平面視において、出入口2Eを画成する第1切り欠き端面2fと、第2切り欠き端面2gとを通る仮想直線L4と、長手方向Xに沿う仮想直線L5とのなす鋭角側の角度θ9(
図3参照)は、好ましくは10度以上、より好ましくは15度以上、更に好ましくは20度以上であり、好ましくは80度以下、より好ましくは75度以下、更に好ましくは70度以下である。仮想直線L4は、ガイド壁部2の平面視において、出入口2Eの両切り欠き端面2f,2g間において最短距離となる位置を通るものとする。このような構成になっていることによって、ペット用トイレ1の出入口2Eが配されている側の辺部分を室内の壁面に近接させて配置した場合であっても、ペットが容易に出入りすることができる通路が十分に確保されたものとなる。またこれに伴って、出入口2Eを介した通路を確保するために、ペット用トイレ1の配置場所を特段考慮する必要がなくなるという利点もある。
【0046】
仕切り部20における非通液部22の傾斜に関して、その一実施形態が、
図3及び
図4に示されている。
詳細には、
図3並びに
図4(a)及び(b)に示すように、非通液部22のうち少なくとも出入口2Eに臨む領域が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが好ましく、非通液部22のうち、通液部21の長手方向Xに沿う仮想延長領域X1と重なる領域が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが更に好ましく、非通液部22のうち、仮想延長領域X1と、通液部21の幅方向Yに沿う第2仮想延長領域Y1と重なる領域との双方が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが一層好ましく、非通液部22の全ての領域が仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることがより一層好ましい。いずれの形態であっても、非通液部22における傾斜している領域は、平面であってもよく、曲面であってもよい。
非通液部22の少なくとも出入口2Eに臨む領域が下方に傾斜していることによって、出入口2Eからペット用トイレ内に入ったペットは不安定な体勢となるので、ペットが非通液部22の傾斜領域に留まることを抑制して、ペットが安定な体勢となる通液部21側に誘導しやすくすることができる。その結果、ペットをトイレ内の適切な排泄位置に誘導して、トイレ外に排泄物が漏れることなく排泄させやすくすることができる。また、排泄された尿を通液部21側に流れるように誘導しやすくすることができるので、尿や糞などの排泄物の後処理の利便性が向上する。
【0047】
図4(a)に示すように、非通液部22の傾斜している領域における傾斜角θは、好ましくは12度以上、より好ましくは13度以上、更に好ましくは14度以上であり、好ましくは60度以下、より好ましくは40度以下、更に好ましくは20度以下である。このような構成となっていることによって、ペットが非通液部22の傾斜領域に留まることを抑制して、ペットが安定な体勢となる通液部21側へ効果的に誘導しやすくすることができ、トイレ外へのペットの排泄物の漏れが効果的に低減される。
【0048】
傾斜角θは、
図4(a)に示すように、仕切り部20を長手方向Xに沿って側面視したときに、通液部21の下底部の仮想延長直線と、出入口2Eに臨む領域における非通液部22の仮想延長直線とがなす鋭角側の角度とする。出入口2Eに臨む領域における非通液部22が曲面となっている場合、傾斜角θは、通液部21の仮想延長直線と、曲面状の非通液部22の外面と接する仮想直線とがなす鋭角側の最小角度とすることができる。
【0049】
また
図4(b)に示すように、非通液部22のうち、出入口2Eに臨む領域以外の領域も下方に傾斜している場合、その部位における傾斜角θaは上述した傾斜角θと同様の範囲とすることが好ましい。このように構成することによって、ペットの通液部21側への誘導性を高めつつ、排泄された尿も通液部21側に流れるように効果的に誘導して、尿や糞などの排泄物の後処理の利便性が向上する。これに加えて、仕切り部20上での尿の残存を低減して、排泄物に起因する不快なにおいの発生を低減することができる。
【0050】
ペット用トイレ1を長手方向Xに沿ってみたときに、通液部21と出入口2Eとは所定の長さの割合となるように重複しているか、又は重複していないことが好ましい。長手方向Xに沿ってみたときに、通液部21と出入口2Eとは所定の長さの割合となるように重複している実施形態が
図5に示されている。なお上述した
図3に示す実施形態は、長手方向Xに沿ってみたときに通液部21と出入口2Eとが重複していない形態の一例である。
以下の説明では、上述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、上述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0051】
詳細には、
図3及び
図5に示すように、ペット用トイレ1を長手方向に沿ってみたときに、通液部21と出入口2Eとが重複している場合、通液部21の長手方向Xの長さCtに対する、通液部21と出入口2Eとの長手方向Xに沿う重複長さC1の割合(C1/Ct)は、百分率で表して、好ましくは10%未満、より好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下であり、一層好ましくは0%、すなわち通液部21と出入口2Eとが重複していないことが一層好ましい。出入口2Eを複数有する場合は、出入口2Eごとに独立して上述の割合を満たすか、又は通液部21と重複しないようにすればよい。
このような構成となっていることによって、出入口2Eからペット用トイレ1内に入ったペットを、出入口2Eの近傍に留まらせることなく、ペット用トイレ1の中央域に誘導することができるので、ペットをトイレ内の適切な排泄位置に誘導して、トイレ外に排泄物が漏れることなく排泄させやすくすることができる。
【0052】
通液部21と出入口2Eとの長手方向Xに沿う重複長さC1は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下であり、一層好ましくは0mmである。すなわち
図3に示すように、通液部21と出入口2Eとが長手方向Xに沿って重複していないことが一層好ましい。重複長さC1がこのような長さの範囲にあることによって、犬や猫などの典型的なペットの足の幅寸法よりも狭い寸法となるので、非通液部22の傾斜によるペットの体勢の不安定性をペットに知覚させやすくすることができ、ペットが安定な体勢となる通液部21側に効果的に誘導しやすくすることができる。その結果、トイレ外に排泄物が漏れることなく排泄させやすくすることができる。
【0053】
ペットのトイレの中央域への誘導効率の向上と、及び排泄された尿の下方への通液効率の向上とを両立する観点から、通液部21の長手方向Xの長さCtは、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上、更に好ましくは300mm以上であり、好ましくは800mm以下、より好ましくは600mm以下、更に好ましくは400mm以下である。
【0054】
出入口2Eの形成位置の他の実施形態として、
図1ないし
図3に示す実施形態に代えて、
図6に示す実施形態のペット用トイレ1のように、ペット用トイレの平面視形状である長方形の一つの長辺の両端のうちの一方の端部に位置する隅部のみに設けられていてもよい。あるいは、出入口2Eは、長方形の対角線の両端に位置する2つの隅部のみに設けられていてもよく、ガイド壁部2における全ての隅部に設けられていてもよい。
【0055】
ペット用トイレ1の更に別の実施形態として、
図7に示す形態を採用することもできる。
詳細には、
図7に示すガイド壁部2は、上面が開口している第1部位2Sと、上面が覆われてドーム状に成形された第2部位2Tとを備えている。第1部位2Sは、ペット用トイレ1の長手方向Xにおける一方の端部領域側に形成されており、第2部位2Tはペット用トイレ1の長手方向Xにおける他方の端部領域側に形成されている。第1部位2Sにおける隅部には、該隅部をまたぐように出入口2Eが形成されている。同図に示す第1部位2S及び第2部位2Tは、ペット用トイレ1における長手方向Xの略中央部を境界にして形成されており、第2部位2Tにおける第1部位2S側の側面は開口している。このような構成であっても、ペットの頭胴長が大きい場合でもペット用トイレ1に容易に出入りできるとともに、ペットの排泄時の体勢をペット用トイレ1の平面視における対角線方向又は長手方向に沿うように誘導させることができるので、ペットの排泄スペースが十分に確保される。また、ペット用トイレ1を屋内に配置したときに省スペース化を実現することができる。これに加えて、ペットの周囲が第2部位2Tによって覆われるので、ペットは、その排泄時に周囲を気にすることなく落ち着いて排泄を行うことができる。また、トイレ1からペットが外に出ることも容易である。
【0056】
以下に、上述した各実施形態に共通の事項を説明する。
【0057】
頭胴長が大きいペットの出入りを更に容易にするとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cが、長手方向Xと幅方向Yを有している場合、その収容部10Cにおける幅方向Yの長さDcに対する長手方向Xの長さWcの比(Wc/Dc)は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上、更に好ましくは1.8以上、一層好ましくは1.9以上であり、また、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下である。このような寸法を有していることによって、ペット用トイレ1を室内の壁面に近接させて配置したときの省スペース化を効率的に達成できるという利点もある。
【0058】
頭胴長が大きいペットが容易に出入り可能な通路を十分に確保するとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cにおける長手方向Xの長さWc(
図4(a)参照)は、好ましくは600mm超、より好ましくは650mm以上、更に好ましくは700mm以上であり、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1200mm以下、更に好ましくは1000mm以下である。
【0059】
頭胴長が大きいペットの出入りを更に容易にするとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cにおける幅方向Yの長さDc(
図4(b)参照)は、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上、更に好ましくは300mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは500mm以下、更に好ましくは400mm以下である。
【0060】
上述した収容部10Cにおける長手方向Xの長さWc及び幅方向Yの長さDcは、
図1ないし
図3に示すように、収容部10Cが仕切り部20によって構成されている場合には、仕切り部20の平面視における長手方向Xの長さ及び幅方向Yの内寸法の長さとする。これに代えて、トイレ本体10の内部に形成され且つ仕切り部20が配されていない態様で収容部10Cが形成されている場合、長手方向Xの長さWc及び幅方向Yの長さDcは、トイレ本体10における内寸法に基づくものとする。
【0061】
ペットの出入りの容易さと、非通液部22の傾斜をペットに知覚させて、トイレ内への誘導性の向上とを両立して、排泄時におけるペットの体勢が楽なものとなるように誘導する観点から、ペット用トイレ1のいずれの実施形態の場合であっても、ペット用トイレ1の平面視における出入口2Eの幅E1(
図3及び
図6参照)は、好ましくは150mm以上、更に好ましくは175mm以上であり、好ましくは300mm以下、更に好ましくは250mm以下である。出入口2Eの幅E1は、ペット用トイレ1の平面視において、第1切り欠き端面2fと、第2切り欠き端面2gとの最短距離とする。また、出入口2Eが複数形成されている場合は、幅E1はそれぞれ独立して満たすことが好ましい。
【0062】
出入口2Eにおける切り欠き底面2jの上面からガイド壁部2の上端部までの最大高さH1(高さ方向Zの長さ、
図4(a)及び(b)参照)は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは75mm以上であり、好ましくは300mm以下、より好ましくは250mm以下、更に好ましくは200mm以下である。この最大高さの範囲は、ガイド壁部2を平面視したときの各長辺及び各短辺の全てにおいて満たすことが一層好ましい。このような構成になっていることによって、ペットを所定の排泄位置に誘導しやすくすることができ、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく排泄させやすくすることができる。また、その排泄時に周囲を気にすることなく落ち着いて排泄を行うことができる。これに加えて、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのペット用トイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる。
【0063】
仕切り部20における通液部21の下面からガイド壁部2の上端部までの高さH2(高さ方向Zの長さ、
図4(a)及び(b)参照)は、好ましくは140mm以上、より好ましくは150mm以上、更に好ましくは160mm以上であり、好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm以下、更に好ましくは250mm以下である。このような構成になっていることによって、ペットを所定の排泄位置に誘導しやすくすることができ、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく排泄させやすくすることができる。また、その排泄時に周囲を気にすることなく落ち着いて排泄を行うことができる。これに加えて、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのペット用トイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる。特にこれらの効果は、高さH2は、最大高さH1とともに上述した寸法範囲を満たすことによって、より顕著に奏される。
【0064】
収容部10Cとしての粒状の排泄物処理材Pの収容効率を高めて、尿や糞などの排泄物に起因する不快なにおいを低減するとともに、排泄物の後処理の利便性を更に高める観点から、仕切り部20の深さ、すなわち仕切り部20の上端部から仕切り部20の底部上面までの高さ方向Zの長さH3(
図4(a)及び(b)参照)は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは70mm以上であり、好ましくは200mm以下、より好ましくは150mm以下、更に好ましくは100mm以下である。
【0065】
図8には、
図1に示す実施形態における長手方向Xに沿ってみたときの側面図が示されている。トイレ本体10の底面から出入口2Eにおける切り欠き底面2jの上面までの高さH5(
図8参照)は、ペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさ、あるいは仕切り部20の内寸法における深さに応じて適宜選択可能であるが、好ましくは50mm以上、より好ましくは75mm以上、更に好ましくは100mm以上であり、好ましくは200mm以下、より好ましくは180mm以下、更に好ましくは160mm以下である。このような構成になっていることによって、ペットの出入りを更に容易なものとすることができる。
【0066】
ペット用トイレ1の外寸法は、対象となるペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさに応じて適宜選択可能であるが、長手方向Xの長さは、好ましくは610mm以上、更に好ましくは660mm以上であり、好ましくは1250mm以下、更に好ましくは1200mm以下である。
同様に、ペット用トイレ1の外寸法における幅方向Yの長さは、好ましくは210mm以上、更に好ましくは260mm以上であり、好ましくは650mm以下、更に好ましくは550mm以下である。
また同様に、ペット用トイレ1の外寸法における高さ(高さ方向Zの長さ)は、好ましくは75mm以上、更に好ましくは125mm以上であり、好ましくは500mm以下、更に好ましくは430mm以下である。
【0067】
ペット用トイレ1を好適に使用可能なペットの頭胴長は、動物種によるが、排泄時におけるペットのトイレ中央域への効率的な誘導と、ペット用トイレ1の配置位置における省スペース化とを達成する観点から、好ましくは400mm以上、更に好ましくは450mm以上であり、好ましくは1000mm以下、更に好ましくは800mm以下である。
【0068】
また、頭胴長が大きいペットの出入りの容易さと、ペットの排泄スペースの確保とを両立する観点から、長手方向Xの長さWcは、ペットの頭胴長に対して、120%以上200%以下の長さに設定することが好ましい。
【0069】
上述した各実施形態において、ペット用トイレ1の各構成部材の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性が良い等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレ1の各構成部材は、その表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることが更に好ましい。上述した構成を有するペット用トイレ1を製造するためには、例えばガイド壁部2、仕切り部20、底部形成部3及びトレー30を、上述した樹脂を用いてそれぞれ独立に一体成形して、これらを所定の位置に載置又は収容するなどして組み立てればよい。
【0070】
上述した各実施形態において、排泄物処理材Pは、例えば当該技術分野において猫砂やトイレ砂等として用いられている材料を特に制限無く用いることができる。排泄物処理材Pとしては、好ましくは、スギ科、マツ科またはヒノキ科などの針葉樹の粉砕物を粉砕した木粉やパルプ等の植物由来の素材の粉砕物、結合剤、ゼオライト等の鉱物、酸化亜鉛等の塩、並びにガラス等の成分の1種以上を含んで成形された成形物が挙げられる。結合剤としては、植物由来の素材の粉砕物及び必要に応じて含まれる成分を粒状に固めることができるものであれば特に制限なく用いることができ、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂を用いることができる。
【0071】
排泄物処理材Pは、例えば、円筒、球、立方体、直方体等の形状を有する粒状物とすることができる。尿検査の試料として尿を回収する場合には、尿検査の信頼性向上の観点から、尿の組成、特性に影響を与えないか、又は殆ど与えない材料からなる排泄物処理材Pを用いることが好ましい。また、水分の存在によって成形体が崩壊しないような材料を排泄物処理材Pの形成に用いることも好ましい。
【0072】
以上に説明したペット用トイレ1の使用方法の好適な実施形態を以下に説明する。まず、トレー30をトイレ本体10の下層部分10Bに収容する。また好ましくは仕切り部20を底部形成部3に重ねて配置して、仕切り部20上に収容部10Cを形成する。また好ましくは、仕切り部20の上面に粒状の排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成する。その後、ガイド壁部2を底部形成部3に重ねて配置して、上層部分10Aに形成された収容部10Cよりも上方に、ガイド壁部2を配置するようにする。また、必要に応じて、トレー30の上面に尿吸収シート等の尿吸収体を収容してもよい。
【0073】
この状態で、ペットが、好ましくは出入口2Eを介して、ペット用トイレ1における上層部分10Aに入るようにして、排泄させる。ペットから排尿された尿は、仕切り部20における通液部21を通過して、下層部分10B側へ流れ落ちる。下層部分10Bに流れ落ちた尿は、トレー30上に蓄積するか、あるいはトレー30内の尿吸収体に吸収されて、回収される。また、ペットから排泄された糞は、仕切り部20の上部、あるいは排泄物処理材P上に残存する。ペットの排泄物を清掃する際には、仕切り部20及びトレー30を洗浄したり、排泄物処理材P及び尿吸収体を未使用のものに取り換えたりすればよい。尿吸収体としては、例えばパルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸収材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状又は板状に成形したものを使用することができる。ペットの排泄された尿を尿検査などの検体として用いる場合には、排泄された尿の回収を容易にする観点から、トレー30内には何も収容しないことが好ましい。ペットの排泄された尿を尿検査などの検体として用いる場合には、トレー30に代えて、例えば特開2020-80788号公報に記載の採尿セットなどを用いて採取してもよい。
【0074】
また、仕切り部20が配されていないペット用トイレ1を用いる場合には、例えば、トイレ本体10内部の収容部10Cに排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成し、この状態で、ペットが排泄物処理材P上に入るようにして排泄させることができる。
【0075】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は本実施形態に限定されない。例えば、通液部21の平面視形状は矩形状として説明したが、本発明の効果が奏される限りにおいて、平面視における通液部21の角部が面取りされていてもよく、あるいは円形、楕円形、矩形以外の多角形などの矩形状以外の幾何学平面形状であってもよい。
【0076】
また、本実施形態の切り欠き部11は、ペット用トイレ1の平面視において、出入口2Eが存在する長辺側に形成されており、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていたが、本発明の効果が奏される限りにおいて、これ以外の構成となっていてもよい。詳細には、切り欠き部11が出入口2Eが存在する長辺の対辺側に形成されて、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよく、切り欠き部11がペット用トイレ1の平面視短辺側又は短辺の対辺側に形成されて、トレー30を長手方向Xに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよい。
また、本実施形態のトレー30は一つのみ配された形態となっているが、これに限られず、複数のトレー30が収容された態様となっていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ペット用トイレ
2 ガイド壁部
2f,2g 切り欠き端面
2E 出入口
10 トイレ本体
10A 上層部分
10B 下層部分
10C 収容部
20 仕切り部
P 排泄物処理材
X 長手方向
Y 幅方向
Z 高さ方向