(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、消耗品
(51)【国際特許分類】
G06F 21/44 20130101AFI20240815BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240815BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240815BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240815BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G06F21/44
B41J2/01 401
B41J2/175 167
B41J2/01 451
B41J2/175 119
B41J2/175 169
B41J2/175 175
B41J29/38 204
G03G21/00 390
(21)【出願番号】P 2020193317
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】砂川 寛行
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068425(JP,A)
【文献】特開2013-094981(JP,A)
【文献】特開2017-080999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239056(US,A1)
【文献】特開2004-295382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/44
B41J 2/01
B41J 2/175
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の消耗品が着脱可能に装着される印刷装置であって、
複数の前記消耗品が有する識別情報を取得し、前記消耗品よりも少ない数で設けられた情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記識別情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証部と、を備え、
前記情報取得部は、単一の撮像画像で前記複数の消耗品を撮像する撮像部と、前記複数の消耗品が有する記憶手段の情報を読み出す無線通信部とを含み、
前記認証部は、前記撮像部によって撮像された前記撮像画像と、前記無線通信部によって前記記憶手段から読み出された情報とに基づいて前記消耗品の認証を行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記識別情報は、各消耗品の位置に対応する種別情報であり、
前記消耗品は、前記種別情報が表示されており、
前記認証部は、前記撮像部により撮像された前記種別情報と、前記無線通信部によって前記記憶手段から読み出された情報とに基づいて前記消耗品の認証を行う
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の消耗品が着脱可能に装着される印刷装置と、この印刷装置の複数の位置のいずれかに着脱可能に装着される消耗品とに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置には、印刷方式に応じて、インクカートリッジ、トナーカートリッジ、感光体ドラム、孔版原紙などの消耗品が装着される。
【0003】
例えば、インクジェット印刷装置には、消耗品として、色ごとにインクが貯留された複数のインクカートリッジが着脱可能に装着される。インクジェット印刷装置では、インクカートリッジからインクジェットヘッドにインクが供給され、インクジェットヘッドのノズルからインクが印刷用紙に向けて吐出されることにより画像や文字などの印刷が行われる。
【0004】
インクカートリッジ等の消耗品の認証を行う認証装置として、消耗品に記憶された消耗品記憶情報に基づく認証、及び、消耗品を撮像した画像情報に基づく認証の両方を行う認証装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インクカートリッジなどの消耗品が有する記憶手段の情報を読み出す印刷装置の無線通信部は、消耗品の数だけ搭載される。例えば、4色のインクカートリッジが印刷装置に装着される場合には、4つの無線通信部が搭載される。これにより、複数の消耗品が適切な位置に装着されているかを確認することができる。但し、このように複数の無線通信部が配置されることで、印刷装置の部品点数が増えるなど、構成の複雑化を招いている。また、消耗品を撮像する撮像部も、消耗品の数だけ配置される。これによっても、印刷装置の部品点数が増えるなど、構成の複雑化を招いている。
なお、複数の無線通信部が配置されると、印刷装置が小型化していることや、RFIDシステムの性能改善によりRFタグの交信距離が広くなっていることによって、混信が発生するおそれがある。この混信が発生した場合、消耗品が適正な位置に配置されていることを判定することができなくなる。
【0007】
本発明の目的は、複数の消耗品を簡素な構成で認証することができる印刷装置及び消耗品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、印刷装置は、複数の消耗品が着脱可能に装着される印刷装置であって、複数の前記消耗品が有する識別情報を取得し、前記消耗品よりも少ない数で設けられた情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記識別情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、複数の消耗品を簡素な構成で認証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態に係る、印刷装置、及び消耗品の一例であるインクカートリッジを説明するための説明図である。
【
図2】一実施の形態におけるインクカートリッジを示す斜視図である。
【
図3】一実施の形態における撮像通信モジュールを示す断面図である。
【
図4】一実施の形態における認証を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4の消耗品側認証処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図4の画像認証処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】一実施の形態における消耗品位置判定を説明するためのフローチャートである。
【
図8】一実施の形態における複数のインクカートリッジの撮像画像を示す説明図である。
【
図9】一実施の形態の変形例における複数のインクカートリッジの撮像画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る印刷装置及び消耗品について、印刷装置1及びインクカートリッジ100を例にして図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、印刷装置1及びインクカートリッジ100K,100C,100M,100Yを説明するための説明図である。
【0013】
本実施の形態では、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のインクに対応するインクカートリッジ100K,100C,100M,100Yのそれぞれは、印刷装置1の複数の位置のいずれかに着脱可能に装着される消耗品の一例である。インクカートリッジ100K,100C,100M,100Yは、適宜、インクカートリッジ100と記す。なお、インクカートリッジ100K、100C,100M,100Yのそれぞれは、収容するインクの色を除いて同一の構成を有する。そのため、各インクカートリッジ100について説明する場合、インクカートリッジ100Kを例に説明する。
【0014】
図1は、印刷装置1及びインクカートリッジ100を説明するための説明図である。
【0015】
図1に示すように、印刷装置1は、制御部10と、記憶部20と、撮像通信モジュール30と、表示部40と、インターフェース部50と、入力部60と、印刷部70とを備える。
【0016】
制御部10は、例えば、印刷装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、記憶部20又は着脱可能な記憶媒体から所定のプログラムを読み出して実行することにより、認証部11として機能する。なお、プロセッサが実行するプログラムは、後述する
図4~
図7に示す各処理を印刷装置1のコンピュータ(プロセッサ)に実行させるプログラムを含む。
【0017】
詳しくは後述するが、認証部11は、無線通信部31によってインクカートリッジ100のメモリ121(記憶手段の一例)から読み出された情報に基づいてインクカートリッジ100の認証を行う。また、認証部11は、撮像部32によって撮像された複数のインクカートリッジ100の撮像画像(外観情報)に基づいて、複数のインクカートリッジ100が適正な位置に装着されているかの判定などによる認証を行う。
【0018】
記憶部20は、例えばメモリであり、印刷装置1が使用される地域を示す仕向け情報と、後述する第2パスワードを生成するためのプログラムである第1アルゴリズムと、画像認証用及び消耗品位置判定用の認証画像とを記憶している。
【0019】
次に、
図1~
図3を参照しながら撮像通信モジュール30について説明する。
【0020】
図2は、インクカートリッジ100Kを示す斜視図である。
【0021】
図3は、撮像通信モジュール30を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、撮像通信モジュール30は、無線通信部31と、撮像部32とを有する。また、
図3に示すように、撮像通信モジュール30は、制御基板33と、筐体34と、ベース部35とを更に有する。
【0023】
無線通信部31は、
図3に示すアンテナ31aを有し、
図2に示すインクカートリッジ100Kに付された非接触IC120との間で無線通信を確立し、メモリ121の情報を読み書きし、読み出した情報を印刷装置1の制御部10に供給する。無線通信部31の通信方式は、例えばアンコリジョン方式である。ここで、本実施の形態では、単一の無線通信部31が4つのインクカートリッジ100のメモリ121の情報を読み出す。このように、無線通信部31は、インクカートリッジ100よりも少ない数で設けられている。なお、それぞれが複数のインクカートリッジ100のメモリ121の情報を読み出す単一の無線通信部31が2つ以上配置されていてもよい。例えば、4つのインクカートリッジ100のうちの互いに異なる2つのメモリ121の情報を読み出す無線通信部31が2つ配置されていてもよい。なお、無線通信部31と非接触IC120との間で無線通信を行う際、送信側は乱数を付加して送信し、受信側は付加された乱数を削除することにより情報を取り出す。これにより、通信する情報の傍受を防止することができる。
【0024】
図3に示すように、撮像部32は、例えばCMOSカメラであるカメラ32aと、撮像領域に光を照射する複数の光源32bとを有する。撮像部32は、4つのインクカートリッジ100を撮像することにより後述する
図8に示す撮像画像A10を取得する。ここで、本実施の形態では、単一の撮像部32が4つのインクカートリッジ100を撮像する。このように、撮像部32は、インクカートリッジ100よりも少ない数で設けられている。なお、それぞれが複数のインクカートリッジ100を撮像する撮像部32が2つ以上配置されていてもよい。例えば、4つのインクカートリッジ100のうちの互いに異なる2つを撮像する撮像部32が2つ配置されていてもよい。また、単一のインクカートリッジ100を撮像する撮像部32がインクカートリッジ100と同数配置されていてもよい。
【0025】
上述の無線通信部31及び撮像部32のうちの少なくとも一方は、複数のインクカートリッジ100(消耗品)が有する識別情報を取得する情報取得部の一例である。後述するが、識別情報は、メモリ121に記憶された情報と、撮像部32によって撮像される認証情報表示部123(
図8及び
図9参照)と、撮像部32によって撮像される種別情報の一例である種別情報表示部130,140(
図8及び
図9参照)と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
制御基板33は、無線通信部31及び撮像部32を制御する。
【0027】
筐体34は、撮像部32のカメラ32aと、制御基板33と、ベース部35と、無線通信部31のアンテナ31aとを収容する。筐体34のインクカートリッジ100側の面には、撮像部32の複数の光源32bが配置されている。また、筐体34には、カメラ32aとインクカートリッジ100との間において貫通孔34aが設けられている。なお、無線通信部31のアンテナ31aは、筐体34の貫通孔34aと同一形状又は同一中心軸の貫通孔を有するリング状を呈する。
【0028】
ベース部35は、制御基板33と筐体34との間に配置されている。
【0029】
図1に戻り、表示部40は、印刷設定等の各種情報を表示するディスプレイである。なお、表示部40上には、入力部60として機能するタッチパネルが配置され、ユーザの操作に対応する印刷設定を受け付けられるとよい。
【0030】
インターフェース部50は、画像データを印刷装置1に送信するユーザ端末などの他の装置との間で各種情報の授受を行う。
【0031】
入力部60は、上述のタッチパネルや、テンキーなどの入力ボタンであり、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。
【0032】
印刷部70の印刷方式は、例えば、インクジェット印刷方式であるが、孔版印刷方式、電子写真方式などの他の印刷方式であってもよい。
【0033】
インクカートリッジ100K(100)は、インクボトル110と、非接触IC120とを有する。
【0034】
図2に示すように、インクカートリッジ100Kは、例えば直方体形状を呈し、インクジェット印刷装置に装着される。なお、消耗品は、インクジェット印刷に用いられるインクカートリッジ100に限られず、印刷装置1に装着されるものであればよい。例えば、消耗品は、孔版印刷に用いられるインクカートリッジ、トナーカートリッジ、孔版原紙、感光体ドラムなどであってもよい。
【0035】
図1に示すように、非接触IC120は、メモリ121と処理部122とを有する。
【0036】
メモリ121は、インクカートリッジ100Kを一意に特定するID(消耗品記憶情報)と、インクボトル110に貯留されたインクの属性データと、IDに基づいて生成された第2パスワード(第2の照合情報の一例)と、インクカートリッジ100K側の認証に用いられる認証用キーとが記憶される。なお、インクの属性データには、インク色情報、インク溶媒種類情報、インク残量情報などが含まれているとよい。また、メモリ121には、インクカートリッジ100Kが使用される地域を示す仕向け情報が記憶されていてもよい。また、認証用キーは、メモリ121のうち印刷装置1の無線通信部31からは読み出されない読み出し不可領域に格納されているとよい。
【0037】
処理部122は、演算処理装置として機能するプロセッサを有する。処理部122は、後述する
図5に示す消耗品側認証における消耗品側(インクカートリッジ100側)の認証を行う。なお、処理部122は、印刷装置1におけるインクの吐出量の情報を取得し、この吐出量に基づいてインクカートリッジ100のインクボトル110内のインク残量を算出し、インク残量情報として、メモリ121に記憶させるとよい。
【0038】
次に、本実施の形態における認証及び消耗品位置判定を
図4~
図7を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、認証を説明するためのフローチャートである。
【0040】
図5は、
図4の消耗品側認証処理(ステップS4)を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図6は、
図4の画像認証処理(ステップS7)を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図7は、消耗品位置判定を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図4に示す各処理は、認証部11によって行われる。なお、
図4、
図5、及び
図7には、インクカートリッジ100を消耗品と記す。
【0044】
まず、制御部10は、例えば、印刷装置1の電源ON状態でインクカートリッジ100が装着(セット)されたことを図示しないセンサの検出結果に基づいて取得することにより、インクカートリッジ100ごとに
図4に示す処理を開始する。なお、単一のインクカートリッジ100のみが新たに装着された場合には、上記センサの検出結果に基づいて4色のどのインクカートリッジ100が装着されたかを判別することができる。一方、同時に4色のインクカートリッジ100が装着された場合、4つすべてのインクカートリッジ100について
図4に示す処理を行うとよい。
【0045】
まず、認証部11は、無線通信部31がインクカートリッジ100のメモリ121から読み出したID、第2パスワード、属性データ(サプライ情報)等を取得する(ステップS1)。
【0046】
次に、認証部11は、取得したIDに基づいて、記憶部20に記憶された第1アルゴリズムを用いて第1パスワード(第1の照合情報の一例)を生成する(ステップS2)。
【0047】
また、制御部10は、この第1パスワードと、IDに基づいて生成されインクカートリッジ100のメモリ121に記憶されている第2パスワードとを照合する(ステップS3)。第1パスワードと第2パスワードとが一致しなければ(ステップS3:NO)、認証部11は、該当するインクカートリッジ100を汎用品と認定し、
図4に示す処理を終了する。このように汎用品と認定されたインクカートリッジ100については、後述する純正品である場合と同様に、認証部11によって後述する
図7に示す消耗品位置判定が行われるとよい。また、制御部10は、インクカートリッジ100が汎用品であることについて表示部40においてユーザへの報知を行うとよい。
【0048】
認証部11は、第1パスワードと第2パスワードとが一致すれば(ステップS3:YES)、
図5に示す消耗品側認証処理を開始する(ステップS4)。
【0049】
図5に示すように、認証部11は、例えば、上述のIDに基づいて、認証用キーを生成するためのプログラムである第2アルゴリズムを用いて、認証用キーを生成する(ステップS41)。
【0050】
また、認証部11は、この認証用キーをインクカートリッジ100に送信する(ステップ42)。これにより、インクカートリッジ100の処理部122は、受信した認証用キーと、メモリ121の例えば読み出し不可領域に記憶されている認証用キーとが一致するかの認証を行う、認証結果を印刷装置1に通知する。
【0051】
認証部11は、インクカートリッジ100から認証用キーが一致(認証成功)したことを通知されたかを判定する(ステップS43)。
【0052】
認証部11は、一致したことを通知されていれば(ステップS43:YES)、消耗品側認証OKと判断する。また、認証部11は、一致したことを通知されなければ(ステップS43:NO)、消耗品側認証NGと判断する。
【0053】
なお、上述の
図5に示す消耗品側認証処理は省略されてもよい。また、認証部11は、無線通信部31によってメモリ121から読み出された情報に基づいて、インクカートリッジ100の認証(例えば、純正品であるか否か、印刷装置1に適合するか否かなどの認証)を行う場合、上述のステップS1~S3の第1パスワード及び第2パスワードを用いることに限定されない。
【0054】
図4に戻り、認証部11は、上述の消耗品側認証がOK(ステップS43:YES)であるか又はNG(ステップS43:NO)であるかを判定し(ステップS5)、NGであれば(ステップS5:NO)、該当するインクカートリッジ100を汎用品と認定し、
図4に示す処理を終了する。
【0055】
認証部11は、上述の消耗品側認証がOKであれば(S5:YES)、撮像部32によって撮像された撮像画像(例えば、
図8に示す撮像画像A10)を取得し(ステップS6)、
図6に示す画像認証処理を開始する(ステップS7)。なお、
図8に示す撮像画像A10は、4つのインクカートリッジ100の全体ではなく
図8における下端が切れた一部のみの画像であるが、4つのインクカートリッジ100の全体の画像であってもよい。
【0056】
図6に示すように、認証部11は、例えばメモリ121から読み取られたID、属性データ等の情報に基づき、対応する認証画像を記憶部20から選択して取得する(ステップS71)。この認証画像は、インクカートリッジ100の全体の画像であってもよいが、例えば、非接触IC120の認証情報表示部123(例えば、「★ABC★」の商標)に対応する領域(認証情報表示部領域A11)の画像である。この画像は、例えば、4つのインクカートリッジ100で共通の画像である。なお、認証情報表示部123は、商標に限られず、商標以外の文字・記号・図形等であってもよい。
【0057】
次に、認証部11は、認証画像と撮像画像A10との照合を行う(ステップS72)。この照合は、例えば、認証情報表示部123に対応する領域の認証画像と、撮像画像A10のうち予め定められた座標(例えば互いに直交する2軸座標)に位置する認証情報表示部123(認証情報表示部領域A11)とが一致するかを公知の画像処理で比較することにより行うとよい。
【0058】
認証部11は、認証画像と撮像画像A10とが一致して照合OKであるかを判定し(ステップS73)、照合OKであれば(ステップS73:YES)、画像認証OKと判断する。また、認証部11は、照合NGであれば(ステップS73:NO)、画像認証NGと判断する。
【0059】
なお、上述の
図6に示す画像認証処理についてもあくまで一例にすぎない。例えば、認証部11は、撮像画像A10に基づき、記憶部20に記憶された画像変換テーブルを参照して画像パスワード(第3の照合情報の一例)を生成し、この画像パスワードと、メモリ121に記憶されている画像パスワード(第4の照合情報の一例)とを照合することで画像認証を行ってもよい。
【0060】
図4に戻り、認証部11は、上述の画像認証がOK(ステップS73:YES)であるか又はNG(ステップS73:NO)であるかを判定し(ステップS8)、NGであれば(ステップS8:NO)、該当するインクカートリッジ100を汎用品と認定し、
図4に示す処理を終了する。
【0061】
認証部11は、上述の画像認証がOKであれば(S8:YES)、該当するインクカートリッジ100を純正品と認定する。
【0062】
次に、認証部11は、インクカートリッジ100が純正品であるか汎用品であるかに限らず、
図7に示す消耗品位置判定処理による認証を行う。
【0063】
図7に示すように、認証部11は、上述の
図6に示す画像認証の場合と同様に、例えばメモリ121から読み取られたID、属性データ等の情報に基づき、対応する認証画像を記憶部20から選択して取得する(ステップS101)。この認証画像は、インクカートリッジ100の全体の画像であってもよいが、非接触IC120の種別情報(色等)を表す
図8に示す種別情報表示部130に対応する4つの領域(種別情報表示部領域A12)の画像である。なお、種別情報表示部130は、例えば、インクカートリッジ100が収納するインクと同一色を表す「ブラック」等の文字が付された、収納するインクと同一色からなるラベルである。ここで、例えばインクの色ごとにインクカートリッジ100が装着される位置が定まるため、色等を一例とする種別情報は、複数のインクカートリッジ100(消耗品)が着脱可能に装着される位置に対応する情報といえる。
【0064】
次に、認証部11は、撮像画像A10から種別情報表示部130が位置する4つの種別情報表示部領域A12の座標を公知の画像処理で取得する(ステップS102)。この座標の取得時には、認証部11は、撮像画像A10の中から、認証画像のうち種別情報表示部130に対応する4つの領域と一致する領域を公知の画像処理により4つの種別情報表示部領域A12として抽出し、この4つの種別情報表示部領域A12の座標を取得すればよい。
【0065】
次に、認証部11は、撮像画像A10の4つの種別情報表示部領域A12の座標と、記憶部20に予め保持した種別情報表示部130の座標とが一致するかを照合する(ステップS103)。
【0066】
次に、認証部11は、上述の座標が一致して照合OK(ステップS104:YES)であるか又は一致せずNG(ステップS104:NO)であるかを判定(ステップS104)する。照合OKであれば(ステップS104:YES)、認証部11は、消耗品位置OKと認定し、
図7に示す処理を終了する。この場合、例えば、制御部10が印刷部70の印刷開始を許容できるようにするとよい。一方、照合NGであれば(ステップS104:NO)、認証部11は、消耗品位置NGと認定し、
図7に示す処理を終了する。この場合、制御部10は、表示部40においてユーザへの報知を行い、消耗品の位置変更などを促すとよい。
【0067】
なお、上述の
図7に示す消耗品位置判定処理による認証についてもあくまで一例にすぎず、認証部11は、撮像部32によって撮像されたインクカートリッジ100の撮像画像A10に基づいてインクカートリッジ100が適正な位置に装着されているかの判定を行えばよい。例えば、認証部11は、座標情報を用いずに、インクカートリッジ100の撮像画像の全体と認証画像の全体とが一致するか否かによってインクカートリッジ100が適正な位置に装着されているかの判定を行ってもよい。
【0068】
また、上述の説明では、
図8に示す種別情報表示部130を、ユーザがインクカートリッジ100のインクの色を識別できるように、インクと同一色を呈し、インクの色を表す文字を有することで視覚情報を有するラベルとしたが、種別情報表示部130は、インクカートリッジ100が収納するインクの色を直接表示するもの(人間がインクカートリッジ100の色等の種別を識別できるもの)に限られない。例えば、
図9に示す撮像画像A20のように、色等の種別情報を表す二次元コード(或いはバーコード等の一次元コード)が種別情報表示部140(種別情報表示部領域A22)であってもよい。また、種別情報表示部130,140は、印刷装置1が種別情報を抽出できるものであればよいため、例えば任意の文字・記号・図形等であってもよい。なお、
図9に示す認証情報表示部領域A21は、
図8に示す認証情報表示部領域A11と同一である。また、
図9に示すインクカートリッジ100には、種別情報表示部140に加えて種別情報表示部130も設けられているが、種別情報表示部130は照合対象となる種別情報表示部領域A22として識別されない。但し、種別情報表示部130,140の両方が照合対象となってもよい。
【0069】
以上説明した本実施の形態では、印刷装置1は、複数の消耗品の一例である複数のインクカートリッジ100が着脱可能に装着される印刷装置1であって、複数のインクカートリッジ100が有する識別情報を取得し、インクカートリッジ100よりも少ない数で設けられた情報取得部(例えば、無線通信部31及び撮像部32のうちの少なくとも一方)と、この情報取得部によって取得された識別情報に基づいてインクカートリッジ100の認証を行う認証部11とを備える。
【0070】
そのため、本実施の形態に係る印刷装置1及びインクカートリッジ100では、インクカートリッジ100の数よりも少ない数の無線通信部31又は撮像部32によって、メモリ121の情報を読み出したり、認証情報表示部123や種別情報表示部130,140の撮像画像を取得することができる。これにより、印刷装置1を簡素な構成にすることができる。また、認証部11は、複数のインクカートリッジ100から取得した識別情報に基づいて複数のインクカートリッジ100の認証を行うにあたり、インクカートリッジ100の装着位置ごとに無線通信部31や撮像部32を配置しなくても、複数のインクカートリッジ100の認証を行うことができる。また、インクカートリッジ100の数よりも少ない数の無線通信部31が配置されるため、混信の発生も防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、情報取得部の一例が、複数のインクカートリッジ100を撮像する撮像部32であり、認証部11は、撮像部32によって撮像された複数のインクカートリッジ100の撮像画像A10,A20に基づいてインクカートリッジ100の認証を行う。
【0072】
そのため、インクカートリッジ100の数よりも少ない数の撮像部32によって、インクカートリッジ100の認証を行うための撮像画像A10,A20を得ることができる。したがって、印刷装置1を簡素な構成にすることができる。また、メモリ121から読み出された情報を用いたインクカートリッジ100の認証を加えれば、インクカートリッジ100が適正な位置に装着されているかの判定を行うための撮像画像A10,A20を用いたインクカートリッジ100の認証も行うことで、認証精度を高めることができる。
【0073】
また、本実施の形態では、識別情報は、各インクカートリッジ100の位置に対応する種別情報であり、インクカートリッジ100は、種別情報の一例である種別情報表示部130が表示されており、認証部11は、撮像部32により撮像された種別情報(種別情報表示部領域A12,A22)に基づいて複数のインクカートリッジ100の認証を行う。
【0074】
そのため、認証部11は、種別情報表示部130(撮像画像A10,A20の種別情報表示部領域A12,A22)のみに基づいてインクカートリッジ100が適正な位置に装着されているかの判定を行うことができるため、処理が簡略化する。また、撮像部32は、少なくとも種別情報表示部130を撮像すればよいため、印刷装置1の内部の小さなスペースにおいても、簡素な構成の撮像部32によって撮像画像A10,A20を取得することができる。
【0075】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0076】
[付記1]
複数の消耗品が着脱可能に装着される印刷装置であって、
複数の前記消耗品が有する識別情報を取得し、前記消耗品よりも少ない数で設けられた情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記識別情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証部と、を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【0077】
[付記2]
前記情報取得部は、前記複数の消耗品を撮像する撮像部であり、
前記認証部は、前記撮像部によって撮像された前記複数の消耗品の撮像画像に基づいて前記消耗品の認証を行う
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0078】
[付記3]
前記識別情報は、各消耗品の位置に対応する種別情報であり、
前記消耗品は、前記種別情報が表示されており、
前記認証部は、前記撮像部により撮像された前記種別情報に基づいて前記消耗品の認証を行う
ことを特徴とする付記2記載の印刷装置。
【0079】
[付記4]
印刷装置の複数の位置のいずれかに着脱可能に装着される消耗品であって、
前記印刷装置は、前記複数の消耗品から前記消耗品の位置に対応する種別情報を取得する前記消耗品よりも少ない数で設けられた情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記種別情報に基づいて前記消耗品の認証を行い、
前記消耗品は、前記印刷装置による前記認証を行うための前記種別情報が表示されている
ことを特徴とする消耗品。
【符号の説明】
【0080】
1 印刷装置
10 制御部
11 認証部
20 記憶部
30 撮像通信モジュール
31 無線通信部
31a アンテナ
32 撮像部
32a カメラ
32b 光源
33 制御基板
34 筐体
34a 貫通孔
35 ベース部
100(100K,100C,100M,100Y) インクカートリッジ
110 インクボトル
120 非接触IC
121 メモリ
122 処理部
123 認証情報表示部
130,140 種別情報表示部
A10,A20 撮像画像
A11,A21 認証情報表示部領域
A12,A22 種別情報表示部領域