(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
(21)【出願番号】P 2020216387
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 玲瑛子
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100576(JP,A)
【文献】登録実用新案第3112544(JP,U)
【文献】特開2020-022450(JP,A)
【文献】特開2008-148603(JP,A)
【文献】特開2019-154258(JP,A)
【文献】特開2016-158563(JP,A)
【文献】特開2019-024390(JP,A)
【文献】特開2019-083792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において、長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する
一方向に長い略長方形の形状を有するペット用トイレであって、
前記ペット用トイレは、トイレ本体と、前記トイレ本体を上層部分と下層部分とに区画する仕切り部と、前記上層部分における前記仕切り部上に位置する排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部よりも上方の位置において該収容部を囲繞するように配されたガイド壁部とを備え、
前記ガイド壁部は、その一部が切り欠かれて画成されたペットの出入口が形成されており、
側面視において、前記仕切り部の底部上面から前記ガイド壁部の上端部までの最大高さを高さAとし、
前記長手方向両端部に位置する前記ガイド壁部において、該各ガイド壁部の最大高さの位置どうしの間の長手方向に沿う長さを長さBとしたときに、
前記長さBに対する前記高さAの比(A/B)が0.40未満であ
り、
前記トイレ本体における一方の長辺側に開口部が形成されており、
前記下層部分にて前記トイレ本体に収容され、且つ前記開口部を介して前記幅方向に沿って出し入れ可能なトレーを更に備え、
前記トイレ本体の他方の長辺側における底面部に窪み部を有し、
前記トレーは、引き出し方向における前端側及び後端側にそれぞれ取っ手部が設けられており、
前記トレーの収容状態において、前記窪み部と、前記トレーの後端側における前記取っ手部とが平面視において互いに重なる位置にあり、
前記窪み部の前記長手方向の長さが、前記トレーの後端側における前記取っ手部の前記長手方向の長さよりも短く、
前記取っ手部の前記長手方向の長さが前記トレーの前記長手方向の長さよりも短い、ペット用トイレ。
【請求項2】
前記トレーは、平面視において、前記幅方向に二等分して前記長手方向に延びる対称軸について線対称である、請求項
1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記トレーの収容状態において、前記取っ手部を前記把持部として用いたときに、前記トレーの上方端と前記開口部における前記トイレ本体とが接触する、請求項
1又は2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記前記ペット用トイレの少なくとも一方の長辺側に、前記トイレ本体の外周縁から外方に延出した延出部が設けられており、
前記延出部を前記把持部として用いる、請求項
1~3のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記延出部は、前記トイレ本体における下層部分の上端に形成されている、請求項
4に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記延出部の延出長さが7mm以上である、請求項
4又は5に記載のペット用トイレ。
【請求項7】
前記幅方向両端部に位置する前記ガイド壁部において、該各ガイド壁部の最大高さの位置どうしの間の幅方向に沿う長さを長さCとしたときに、
前記長さCに対する前記高さAの比(A/C)が0.45以上である、請求項1~
6のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項8】
前記幅方向両端部に位置する前記ガイド壁部の最大高さが、前記長手方向両端部に位置する前記ガイド壁部の最大高さよりも高い、請求項1~
7のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項9】
猫用である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項10】
前記出入口は、前記ガイド壁部の平面視における長方形の一つの長辺の両端に位置する両隅部に、該各隅部を跨ぐように、長手方向に沿う壁部の一部及び幅方向に沿う壁部の一部が切り欠かれて画成されている、請求項1~
9のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項11】
前記高さAが140mm以上350mm以下であり、
前記長さBが600mm以上1500mm以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
猫などのペットの排泄物を屋内で処理するために使用されるペット用トイレは、典型的には、本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画する簀の子状の通液部とを備える。
【0003】
このような構成を有するペット用トイレとして、特許文献1には、動物の排泄物を受ける本体部と、本体部の上側に着脱可能に取り付けられたカバー部とを有する動物用トイレが開示されている。このカバー部は、出入り口となる切り欠きと、該切り欠きの下端部から内側に延出した延出底部が設けられていることが同文献に記載されている。
【0004】
また特許文献2には、排泄物を吸収する吸収体を配置する吸収体配置部が高さ方向における下側に設けられており、長手方向において、吸収体配置部の中央位置と、内部空間の中央位置とがずれている動物用トイレが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-24390号公報
【文献】特開2019-83792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載の動物用トイレは、ペットの排泄時において、トイレ内でのペットの姿勢を良好に制御できないことに起因して、排泄時におけるペットの快適さが損なわれる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、排泄時におけるペットの快適さが向上したペット用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面視において、長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する略長方形の形状を有するペット用トイレであって、
前記ペット用トイレは、トイレ本体と、前記トイレ本体を上層部分と下層部分とに区画する仕切り部と、前記上層部分における前記仕切り部上に位置する排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部よりも上方の位置において該収容部を囲繞するように配されたガイド壁部とを備え、
前記ガイド壁部は、その一部が切り欠かれて画成されたペットの出入口が形成されており、
側面視において、前記仕切り部の底部上面から前記ガイド壁部の上端部までの最大高さを高さAとし、
前記長手方向両端部に位置する前記ガイド壁部において、該各ガイド壁部の最大高さの位置どうしの間の長手方向に沿う長さを長さBとしたときに、
前記長さBに対する前記高さAの比(A/B)が0.40未満である、ペット用トイレを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排泄時におけるペットの快適さが向上したペット用トイレが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のペット用トイレの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すペット用トイレを分解した状態を模式的に示す斜視図であり、収容部に配される粒状の排泄物処理材を併せて示す。
【
図3】
図3(a)は、
図1に示すペット用トイレを一方の長辺側から見た長手方向に沿う模式的な側面図であり、
図3(b)は
図3(a)の反対側の長辺側から見た長手方向に沿う模式的な側面図である。
【
図4】
図4(a)は、ガイド壁部と仕切り部とを組み合わせたときにおける長手方向に沿う模式的な側面図であり、
図4(b)は
図4(a)に示す形態の幅方向に沿う模式的な側面図である。
【
図5】
図5は、ペット用トイレの使用状態をペットとともに模式的に示す側面図である。
【
図6】
図6(a)~(c)はいずれも、
図3(a)におけるI-I線での延出部の一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。
【
図7】
図7は、
図3(a)におけるI-I線での窪み部とトレーの後端側との配置位置を模式的に示す拡大断面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明のペット用トイレの別の実施形態を開口部を有する側から見た長手方向に沿う模式的な側面図であり、
図8(b)は
図8(a)に示す形態の幅方向に沿う模式的な側面図である。
【
図9】
図9は、実施例及び比較例のペット用トイレの運搬性を評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のペット用トイレ(以下、単にトイレともいう。)は、例えば犬や猫、ウサギ、ハムスター等のペットの排泄物の処理又は排泄物の採取等に用いることができるものである。本発明のペット用トイレは、これを室内に配置して、室内で飼育される猫用のトイレとして特に有用なものである。本明細書において、頭胴長とは、ペットの全長(体長)から尾の長さを差し引いた長さであり、頭部の先端から尾の付け根までの長さを指す。
【0012】
図1ないし
図3には、ペット用トイレの一実施形態が示されている。
図1ないし
図3に示すペット用トイレ1は、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cと、該収容部10Cの上方の周囲に配されたガイド壁部2とを備えている。また
図1ないし
図3に示すように、ペット用トイレ1は、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。またペット用トイレ1は、XY平面に直交する高さ方向Zを有する。
【0013】
本実施形態のペット用トイレ1は、トイレ本体10と、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画する仕切り部20とを備えている。これに加えて、下層部分10Bに出し入れ可能に収容される尿受け用のトレー30を備えていることが、排泄物の処理の容易性の観点から好ましい。
【0014】
ペット用トイレ1は、トイレ本体10の内部に、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cを備えている。またトイレ本体10の上部に、ガイド壁部2を有している。ガイド壁部2は、収容部10Cの上方の位置において収容部10Cを囲繞するように配されている。これによって、収容部10Cの上方の空間に、ガイド壁部2に周囲を囲まれたペットの排泄スペースが形成される。
【0015】
トイレ本体10は、尿を通液可能な通液部21を有する仕切り部20によって、上層部分10Aと下層部分10Bとに区画されている。また、トイレ本体10は、上層部分10Aにおける仕切り部20上に収容部10Cが形成されており、上層部分10Aにおける収容部10Cより上方にガイド壁部2が形成されている。なお、囲繞するという表現には、後述する出入口2Eがガイド壁部2に形成されていることによって、周囲の一部に壁のない部分を有する場合も含まれる。
【0016】
ガイド壁部2及び収容部10Cはいずれも、ペット用トイレ1の平面視形状と同様に、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状であることが好ましい。また
図1ないし
図3に示すように、ガイド壁部2及び収容部10Cの各長手方向Xと、ペット用トイレ1の長手方向Xとが一致して配されることも好ましい。
【0017】
図1ないし
図3に示すように、トイレ本体10は、上部が開口し、床面上に配される底部を形成する有底の底部形成部3と、ガイド壁部2とを備えていることが好ましい。トイレ本体10を構成するガイド壁部2及び底部形成部3はともにペット用トイレ1の外形を形成しており、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。ガイド壁部2及び底部形成部3はいずれも、略長方形の平面視形状における各隅部は面取りされている。
【0018】
本実施形態におけるガイド壁部2は、上面及び下面がともに開口した形状を有しており、底部形成部3に重ねて配置した仕切り部20の上方から載置又は嵌め込むことによって、ガイド壁部2を底部形成部3の上部に保持できるようになっている。このとき、ガイド壁部2は、仕切り部20によって形成される排泄物処理材Pの収容部10Cの上方の周囲に配される。底部形成部3、仕切り部20及びガイド壁部2はそれぞれ着脱自在に配置されている。
【0019】
本実施形態におけるガイド壁部2は、ペット用トイレ1の外面の一部を構成するガイド壁部の外面と、排泄時におけるペットと対向する面であるガイド壁部2の内面とを有している。ガイド壁部2は、高さ方向Zに延びて、外界とペット用トイレ1内部とを区分している。ガイド壁部2は、その内部が中実であってもよく、中空であってもよい。本実施形態のガイド壁部2は、その高さが概ね同一となるように形成されている。
【0020】
ガイド壁部2は、所定の厚みを有しているところ、その厚みは、ガイド壁部2の下部から上部まで一定であってもよく、あるいは、上方に向かうにつれて漸減していてもよい。後者の場合、ガイド壁部2における壁部外面は上方に向かうにつれて内傾している一方、壁部内面は上部から下部までが高さ方向Zを向いているか、又は上方に向かうにつれて内傾していてもよい。ガイド壁部2は、その上端が好ましくは面取りされて丸みを帯びた形状となっている。
【0021】
ガイド壁部2は、その一部が切り欠かれて画成された出入口2Eが形成されている。出入口2Eは、ペット用トイレ1の使用時において、ペットがペット用トイレ1に出入りしやすいように形成されたペットの出入口となる部位である。
【0022】
ペット用トイレ1におけるガイド壁部2を平面視したときに、出入口2Eは、ガイド壁部2における、長方形形状の少なくとも1箇所の隅部に位置する場所に、隅部をまたぐように設けられていることが好ましく、長方形形状の一つの長辺の両端に位置する2つの隅部にそれぞれ設けられていることが更に好ましい。出入口2Eが隅部をまたぐように形成されている場合、出入口2Eは、ガイド壁部2における長手方向Xに沿う壁部2x(以下、これを長手方向壁部2xともいう。)の一部と、ガイド壁部2における幅方向Yに沿う壁部2y(以下、これを幅方向壁部2yともいう。)の一部とがそれぞれ切り欠かれて画成されている。これによって、出入口2Eを有しない側のガイド壁部2を、屋内等のペット用トイレの設置場所の壁面に近接させて配置しても、ペットをトイレ内へ誘導しやすくすることができ、またペットの出入りが容易となる。
【0023】
図1ないし
図3に示す実施形態では、略長方形状の平面視形状を有するガイド壁部2を平面視したときに、出入口2Eは、ガイド壁部2の長方形形状の一つの長辺の両端に位置する2つの隅部に、各隅部をまたぐように2箇所設けられている。各出入口2Eは、ガイド壁部2における長手方向壁部2xの一部と、幅方向壁部2yの一部とがそれぞれ切り欠かれて画成されている。そして、ガイド壁部2は、その平面視において、ペット用トイレ1の幅方向Y又は高さ方向Zに沿って延び且つトイレ1を長手方向Xに二等分する長手方向等分線Lxを対称軸として線対称に形成されている。
【0024】
ガイド壁部2は、上述のとおり、その一部が切り欠かれて画成された出入口2Eが形成されているところ、これによって、出入口2Eを画成する一方の壁部の切り欠き端面2f(以下、これを第1切り欠き端面2fともいう。)と、他方の壁部の切り欠き端面2g(以下、これを第2切り欠き端面2gともいう。)とが形成されていることが好ましい。これらの切り欠き端面2f,2gはいずれも平面であるが、ガイド壁部2の平面視において、これらの切り欠き端面2f,2gが平面とみなせる限りにおいて凹面、凸面又はこれらの組み合わせとなっていてもよい。
【0025】
これらの切り欠き端面2f,2gは、例えば、薄板状のガイド壁部2が出入口2Eにおいてペット用トイレ1の内方に屈曲することによって形成することができる。この場合、平面視におけるガイド壁部2の肉厚である、ガイド壁部2の内面とガイド壁部2の外面との距離、すなわちガイド壁部2を平面視したときにおける幅方向Yに沿う幅W1及び長手方向Xに沿う幅W2は、それぞれ独立して、後述の範囲とすることができる。これに代えて、これらの切り欠き端面2f,2gは、肉厚のあるガイド壁部2を切り欠いて形成することができる。
【0026】
出入口2Eが形成された位置において、一対の切り欠き端面2f,2gの下端どうしを接続する平面状の切り欠き底面2jを有することが好ましい。切り欠き底面2jを有することによって、ペットの足置きとしての機能を奏することができるので、ペットをトイレ内に効果的に誘導することができる。本実施形態における切り欠き底面2jは平面であり、両切り欠き端面2f,2gの下端どうしから滑らかに接続されており、ペット用トイレ1の内方に延出するように形成されている。切り欠き底面2jの幅は、両切り欠き端面2f,2gの幅と概ね一致している。
【0027】
図3に示す実施形態においては、第1切り欠き端面2fは、ガイド壁部2の平面視において、ガイド壁部2における長手方向Xに沿う壁部2xの一部が切り欠かれて形成されている。また、第2切り欠き端面2gは、幅方向壁部2yの一部が切り欠かれて形成されている。これらの切り欠き端面2f,2gは、ガイド壁部2の上面視において、長手方向X又は幅方向Yに沿うように形成されていてもよく、長手方向X及び幅方向Yに交差するように形成されていてもよい。
【0028】
図1及び
図2に示すように、トイレ本体10を構成する底部形成部3は、仕切り部20の底部を少なくとも収容し得る容積を有することが好ましい。トイレ本体10における底部形成部3の一側面には、該側面視において略矩形状の開口部11が底部形成部3の底面側に形成されていることが好ましい。これによって、開口部11を介してトレー30がトイレ本体10内に出し入れ可能になっているとともに、トイレ本体10内にトレー30を収容することができる。本実施形態においては、出入口2Eが配されている長辺側に開口部11が形成されている。
【0029】
また
図2及び
図3(b)に示すように、トイレ本体10を長辺側から側面視したときに、底部形成部3の底面部に、該側面視において略矩形状の窪み部15が一方の長辺側に形成されていることが好ましい。本実施形態における窪み部15は、ペット用トイレ1の長手方向中央域に、長手方向等分線Lxをまたぐように形成されており、出入口2Eが配されている長辺側とは反対側の長辺側に形成されている。この窪み部15は、後述する把持部Gとしても機能させることができる。本明細書における「長手方向中央域」とはペット用トイレ1の長手方向全長を三等分したときの中央の領域を指し、長手方向中央域以外の両側の領域を総称して「長手方向側部域」ともいう。
【0030】
図1及び
図2に示すように、仕切り部20は、上部が開口し、トイレ本体10における底部形成部3よりも浅底の有底形状となっており、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画する。本実施形態では、仕切り部20の上方に位置するガイド壁部2がトイレ本体10の上層部分10Aを主に構成し、仕切り部20の下方に位置する底部形成部3がトイレ本体10の下層部分10Bを主に構成しており、仕切り部20によって、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10の上層部分10Aに収容できるようになっている。つまり、仕切り部20は、その上面が排泄物処理材Pを収容する収容部10Cとして構成されている。仕切り部20は、トイレ本体10における底部形成部3の上部から着脱可能に構成されていることが好ましい。また仕切り部20は、トイレ本体10における底部形成部3の上端部分に保持されるように構成されていることも好ましい。
【0031】
仕切り部20は、尿の通液が可能な通液部21と、尿の通液が不能な非通液部22とを有している。通液部21は、その長手方向と、ペット用トイレ1及び仕切り部20の長手方向Xとはそれぞれ一致して配されている。本実施形態における通液部21は、平面視において矩形状であり、ペット用トイレ1の平面視中央域に仕切り部20の面積よりも小さい面積となって位置している。これに代えて、通液部21は、平面視において、長手方向X又は幅方向Yの一方の端部側に偏って配置されていてもよい。
【0032】
通液部21は、仕切り部20の底部に形成されており、互いに平行に延びる複数本の線材を有するように網状に構成されている。通液部21における線材どうしの間は、排泄物処理材Pや排泄された糞が落下せず、且つ尿が下方へ通過する程度の空隙を有している。本実施形態における通液部21は、XY平面に沿って平面状に形成されている。
【0033】
非通液部22は、仕切り部20を平面視したときに、通液部21の周囲に位置しており、空隙を有していない。非通液部22のうち、少なくとも出入口2Eに臨む領域が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが好ましい。
【0034】
トレー30は、排泄物処理材P及び仕切り部20を通過して、下方に落下した尿を回収又は採取するためのものである。トレー30は、平面視において略矩形状を有する薄型のものである。トレー30の平面視面積は、仕切り部20における通液部21が配されている面積以上であり、ペット用トイレ1の平面視面積よりも小さくなっていることが、仕切り部20を通過した尿を蓄積しやすくして、尿の処理又は採取を簡便に行う観点から好ましい。
【0035】
トレー30は、下層部分10Bにおいてトイレ本体10に収容可能となっている。トレー30は、開口部11を介して、出し入れ方向Y1に沿って出し入れ可能となっている。本実施形態の出し入れ方向Y1は、幅方向Yと一致している。収容されたトレー30をトイレ本体10から引き出ししやすくする観点から、トレー30は、手指をひっかけるための取っ手部31が、好ましくは引き出し方向Y2における少なくとも前端Yf側に設けられ、更に好ましくは引き出し方向Y2における前端Yf側及び後端Yr側のそれぞれに設けられている。この取っ手部31は、後述する把持部Gとして機能させることもできる。本実施形態の引き出し方向Y2は、幅方向Yに沿う方向である。
トレー30の収容時の向きを気にすることなく容易に収容可能とする観点から、トレー30の平面視において、幅方向Yに二等分して長手方向Xに延びる対称軸について線対称であることも好ましい。
【0036】
本発明のペット用トイレ1は、仕切り部20からガイド壁部2の上端までの高さと、長手方向Xの長さの比が所定の値であることを特徴の一つとしている。詳細には、仕切り部20における通液部21の底部上面からガイド壁部2の上端部までの最大高さである高さA(高さ方向Zに沿う最大長さ、
図4(a)及び(b)参照)を考える。またこれとは別に、長手方向Xの両端部に位置するガイド壁部2、すなわち各幅方向壁部2y,2yにおいて、各幅方向壁部2y,2yの最大高さの位置どうしの間の長手方向Xに沿う長さB(
図4(a)参照)を考える。このとき、長さBに対する高さAの比(A/B)が、好ましくは0.40未満、より好ましくは0.38以下、更に好ましくは0.35以下であり、0.20以上が現実的である。
このようなA/B比を有することによって、ペット用トイレ1の長手方向に沿うように体の向きを誘導することができるとともに、ペットが頭部や尾部をガイド壁部2の外部に出すことができるので、排泄時のペットの体勢が窮屈となりづらくなる。その結果、ペットの排泄時における快適さが向上する。このことは、ペットが頭部や尾部を幅方向壁部2y,2yを超えて容易に出すことができるので、頭胴長が大きいペットの排泄時における快適さがより向上する点で特に有利である。
【0037】
ペットの頭部及び尾部を出しやすくして排泄時の快適性を高めるとともに、ペットの動作に起因する排泄物処理材の外部への飛散を防止する観点から、高さAは、好ましくは140mm以上、より好ましくは150mm、更に好ましくは160mm以上であり、好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm、更に好ましくは250mm以下である。
また、窮屈な姿勢をとることなく、ペットの体の向きに沿った快適な排泄スペースを確保する観点から、長さBは、好ましくは600mm以上、より好ましくは650mm以上、更に好ましくは700mm以上であり、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1200mm以下、更に好ましくは1000mm以下である。
【0038】
以上の構成を有するペット用トイレは、一方向に長い略長方形の平面視形状を有しているので、頭胴長が大きい猫などのペットがペット用トイレ内に入った場合でも、トイレ内で体の向きを変えたり、あるいはトイレ内で体を曲げたりするなどの窮屈な体勢となることなく、ペット用トイレ長手方向に沿う楽な体勢で排泄することができ、排泄時のペットの快適性が向上する。
これに加えて、長さBに対する高さAの比(A/B)が所定の値の範囲となっていることによって、例えば
図5に示すように、頭胴長が大きなペットがペット用トイレ1に入って排泄する際に、ペットの頭部や尾部を幅方向壁部2y,2yの外方に出した状態で排泄姿勢をとることができるので、ペットの排泄時における快適さが向上する。
【0039】
更に、長方形形状の隅部に位置する場所に隅部をまたぐように出入口が設けられていることによって、頭胴長が大きいペットが使用する場合でもペット用トイレ1に容易に出入りできるとともに、ペットの排泄時の体勢をペット用トイレ1の平面視における対角線方向又は長手方向に沿うように効率よく誘導させることができるので、ペットの排泄スペースが十分に確保される。そして、一方向が短い略長方形の平面視形状を有し、且つ隅部をまたぐように出入口が設けられていることによって、ペット用トイレを室内の壁に近接するように配置した場合に、ペット用トイレ1の奥行を小さくできるので、ペット用トイレを屋内に配置したときに省スペース化を実現することができる。また、ペット用トイレ1の長辺側又は短辺側を室内の壁面に近接させて配置した場合であっても、ペットが出入口を介して容易に出入りすることができる。
特に、出入口を一つの長辺における両端に位置する場所に、隅部をまたぐように2箇所設けることによって、ペットがペット用トイレに出入りする際に、ペットがペット用トイレに入る体勢と、ペットがペット用トイレから出る体勢とをペット用トイレ内で入れ替える必要がなくなるので、ペットの体勢が楽になるように誘導し、且つペットの効率的な動線を確保できるという利点がある。
【0040】
本実施形態のペット用トイレは、頭胴長が大きいペットでも快適な排泄姿勢を取りやすくするために略長方形の平面視形状を有しているところ、ペット用トイレの配置位置を移動する等の際に、持ち運びやすさを考慮することが好ましい。ペット用トイレが略長方形の平面視形状を有している場合でも、持ち運びやすさを向上させる観点から、ペット用トイレ1の少なくとも一方の長辺側に、ペット用トイレの持ち手となる把持部Gを有することが好ましい。
長辺側に把持部Gを有することによって、ペットの飼育者がペット用トイレの長手方向と該トイレの運搬方向とを概ね一致させた状態で、すなわち、該トイレの運搬者を正面から見たときに、該トイレの一方の幅方向壁部2yの外面が視認される状態で、一方の腕部と胴体側面との間に抱えやすくすることができるので、ペット用トイレを両手で把持する場合だけでなく、片手で抱えるように把持した場合でも安定的に持ち運びすることができる。
【0041】
トイレの持ち運び時における前後のバランスを良好に保ち、トイレの持ち運びをより安定的に行う観点から、
図1並びに
図3(a)及び(b)に示すように、把持部Gが長手方向X中央域に位置することも好ましい。
また、トイレの持ち運び時において、把持位置を考慮することなく、ペット用トイレの長手方向と該トイレの運搬方向とを概ね一致させた状態でトイレの持ち運びをより簡便に行う観点から、
図3(a)及び(b)に示すように、ペット用トイレ1の両方の長辺側に把持部Gを有することも好ましい。
【0042】
以下に、把持部Gの取り得る実施形態を説明する。
把持部Gの一実施形態として、トイレ本体10の一方の長辺側に形成された窪み部15を把持部Gとして用いることができる。本実施形態における窪み部15は、上述のとおり、底部形成部3の底面部に且つペット用トイレ1の長手方向中央域に形成されている。また窪み部15は、トイレ本体10の開口部11が形成されている長辺とは反対側の長辺に形成されている。
トイレの運搬時においては、トイレの上面及び長手方向壁部2xの側面を覆うように、運搬者の一方の腕部及び胴体側面を沿わせつつ、この窪み部15に手指をひっかけることによって、ペット用トイレを抱えながら容易に持ち運びすることができる。また、トレー30を備えるペット用トイレを運搬する場合に、運搬者の胴部がトレー30の出し入れ方向に位置するので、運搬時におけるトレー30の意図しない脱落を防ぐことができる点でも有利である。
【0043】
把持部Gの別の実施形態として、トレー30における取っ手部31を把持部Gとして用いることができる。本実施形態におけるトレー30は、取っ手部31が、引き出し方向Y2における少なくとも前端Yf側に形成されている。トレー30をトイレ本体10内に収容した状態(以下、「トレー30の収容状態」ともいう。)においては、取っ手部31は、ペット用トイレ1の長手方向中央域に位置し、長手方向等分線Lxをまたぐように形成されている。トレー30の収容状態において、取っ手部31は、開口部11が形成されている長辺と同一の長辺側の外面に位置する。
トイレの運搬時においては、トレー30を収容した状態で、トイレの上面及び長手方向壁部2xの側面を覆うように、一方の腕及び胴体側面を沿わせつつ、この取っ手部31に手指をひっかけることによって、ペット用トイレを抱えながら容易に持ち運びすることができる。またトイレの運搬時に、トレー30を直接把持することになるので、運搬時におけるトレー30の意図しない脱落を防ぐことができる点でも有利である。
【0044】
トレー30の収容状態において、取っ手部31を把持部Gとして用いてペット用トイレ1を運搬するときに、トレー30の上方端と開口部11におけるトイレ本体10とが接触するように構成されていることが好ましい。取っ手部31を把持部Gとして用いる場合、トイレの運搬時にはトレー30に上向きの外力が付与されることになる。したがって、このような構成となっていることによって、トレー30とトイレ本体10における底部形成部3との空隙が少なくなるので、運搬時におけるトレー30の意図しない脱落を効果的に防ぐことができる。
このような構成とするためには、開口部11を介してトレー30を出し入れ可能な寸法を満たすことを条件として、開口部11の開口寸法とトレーの側面視寸法とが略同一となるように、開口部11又はトレー30の寸法の寸法を適宜調整すればよい。
【0045】
把持部Gの更に別の実施形態として、トイレ本体10の外周縁から外方に延出した延出部3fを把持部Gとして用いることができる。本実施形態における延出部3fは、トイレ本体10における下層部分を構成する底部形成部3の上端から外方に延出するように形成されている。
【0046】
延出部3fは、ペット用トイレ1の少なくとも一方の長辺側に設けられており、好ましくは両方の該長辺側に設けられている。この場合、延出部3fは、トイレ本体10における底部形成部3の長辺側外周縁に連続して又は不連続に設けられている。いずれの場合であっても、延出部3fは、ペット用トイレ1の長手方向中央域に少なくとも位置することが好ましい。
トイレの製造時における成形性や取り扱い性を向上する観点から、延出部3fは、トイレ本体の外周縁全域に連続して設けられていることが更に好ましい。
【0047】
延出部3fの断面の一実施形態が
図6(a)~(c)に示されている。いずれの実施形態においても、延出部3fは、トイレ本体10における底部形成部3の上端から外方に延出して形成されている。
【0048】
図6(a)に示す延出部3fは、底部形成部3の外周縁3sから水平方向(XY平面方向)に延出した板状の部材となっている。
図6(b)に示す延出部3fは、その上面部分が水平方向(XY平面方向)に沿うように平坦に形成されており、延出部3fの下面部分は、底部形成部3の外周縁3sから外方に向かって傾斜するように形成された断面形状となっている。
図6(c)に示す延出部3fは、底部形成部3の外周縁から水平方向(XY平面方向)に延出した板状部材と、該板状部材の外端部から下方に向けて連設された下方壁部とを備える鉤状の断面形状となっている。
いずれの実施形態においても、延出部3fの下面部分に手指を当接させることによって、把持部Gとして用いることができるようになっている。また延出部3fの上面部分は、
図6(a)~(c)に示すように、仕切り部20及びガイド壁部2を載置し保持できるようになっている。
【0049】
延出部3fを断面視したときに、底部形成部3の外周縁3sと延出部3fとのなす角度θ1(
図6(a)~(c)参照)は、手指の引っ掛かりを良好にして、トイレの運搬性を高める観点から、好ましくは45度以上、更に好ましくは60度以上であり、好ましくは100度以下、更に好ましくは90度以下である。
【0050】
図6(a)~(c)に示すいずれの実施形態であっても、延出部3fの延出長さWfは、トイレ本体10における底部形成部3の外周縁3sを基準として、該外周縁の水平方向(XY平面方向)に沿って7mm以上延出していることが好ましく、8mm以上延出していることが更に好ましく、また30mm以下延出していることが好ましく、25mm以下延出していることが更に好ましい。このような寸法になっていることによって、ペット用トイレ1の運搬時における手指の引っ掛かりを容易にして、運搬時の利便性を更に向上させることができる。
【0051】
上述した把持部Gの各実施形態は、単独で採用してもよく、複数の実施形態を組み合わせて採用することができる。例えば、把持部Gとして、取っ手部31のみを設けてもよく、窪み部15のみを設けてもよく、取っ手部31及び窪み部15の双方を設けてもよく、延出部3fのみを一方又は双方の長辺側に設けてもよく、取っ手部31、窪み部15及び延出部3fの全てを設けてもよい。いずれの場合であっても、把持部Gはいずれも長手方向中央域に位置することが好ましい。
【0052】
トイレの運搬時の簡便性、トレー30の脱落防止、及びペット用トイレ1を構成部材ごとに分解しなくても一度に運搬可能とする観点から、把持部Gとして、取っ手部31及び窪み部15の双方を設けることが好ましく、前端Yf側の取っ手部31がペット用トイレ1の一方の長辺側に位置し、且つ窪み部15がトイレの他方の長辺側に位置するように構成されることが更に好ましい。つまり、開口部11と窪み部15とがペット用トイレ1の異なる長辺側にそれぞれ位置することが更に好ましい。
また、トレー30の収容時の向きを気にすることなく容易に収容可能とする観点から、トレー30の取っ手部31は、引き出し方向Y2における前端Yf側及び後端Yr側のそれぞれに設けられていることも好ましい。
【0053】
窪み部15と取っ手部31とが上述のようにそれぞれ設けられている場合、トレー30の収容状態において、
図7に示すように、窪み部15と、トレー30の後端Yr側に位置する取っ手部31が、互いに重なる位置にあることが好ましい。このような構成となっていることによって、窪み部15を把持してペット用トイレを運搬する際に、トレー30のずれを抑制することができる。その結果、トレー30の脱落防止及びトイレの運搬時の良好な安定性を発揮させることができる。
【0054】
ペット用トイレ1の幅方向Yの両端部に位置するガイド壁部2、すなわち各長手方向壁部2x,2xにおいて、各長手方向壁部2x,2xの最大高さの位置どうしの間の幅方向Yに沿う長さCを考える(
図4(b)参照)。そのとき、長さCに対する上述した高さAの比(A/C)が好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上であり、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.75以下である。このような構成となっていることによって、ペット用トイレの長手方向と該トイレの運搬方向とを概ね一致させた状態で、一方の腕部と胴体側面との間に抱えて片手もしくは両手で運搬しやすくすることができるので、ペット用トイレの持ち運びやすさをより一層向上させることができる。
【0055】
長さCは、腕と胴体側面との間での抱えやすさを向上する観点から、好ましくは180mm以上、より好ましくは230mm以上、更に好ましくは280mm以上であり、好ましくは580mm以下、より好ましくは480mm以下、更に好ましくは380mm以下である。
【0056】
ペット用トイレ1の更に別の実施形態として、
図8(a)及び(b)に示す形態を採用することもできる。
図8(a)及び(b)に示すガイド壁部2は、その高さが長手方向壁部2xと幅方向壁部2yとで互いに異なっている。
詳細には、ペット用トイレ1の幅方向Y両端部に位置するガイド壁部2である長手方向壁部2xの最大高さが、ペット用トイレ1の長手方向X両端部に位置するガイド壁部2である幅方向壁部2yの最大高さよりも高くなっていることが好ましい。このような構成となっていることによって、高さが高くなっている長手方向壁部2xによって、ペットの体の向きを長手方向Xに沿うように更に効率的に誘導することができるとともに、ペットの頭部や尾部を幅方向壁部2y,2yの外方に出した状態で排泄姿勢をとることができるので、ペットの排泄時における快適さが更に向上する。
本実施形態における長手方向壁部2xの最大高さ及び幅方向壁部2yの最大高さは、長手方向壁部2xの最大高さが幅方向壁部2yの最大高さよりも高いことを条件として、後述する最大高さH1の範囲とすることができる。
【0057】
仕切り部20における非通液部22に傾斜が形成されている場合、
図1並びに
図4(a)及び(b)に示すように、非通液部22のうち少なくとも出入口2Eに臨む領域が、仕切り部20の外側縁から通液部21に向けて下方に傾斜していることが好ましい。非通液部22における傾斜している領域は、平面であってもよく、曲面であってもよい。
非通液部22の少なくとも出入口2Eに臨む領域が下方に傾斜していることによって、出入口2Eからペット用トイレ内に入ったペットは不安定な体勢となるので、ペットが非通液部22の傾斜領域に留まることを抑制して、ペットが安定な体勢となる通液部21側に誘導しやすくすることができる。その結果、ペットをトイレ内の適切な排泄位置に誘導して、トイレ外に排泄物が漏れることなく排泄させやすくすることができる。また、排泄された尿を通液部21側に流れるように誘導しやすくすることができるので、尿や糞などの排泄物の後処理の利便性が向上する。
【0058】
仕切り部20における非通液部22が傾斜している場合、非通液部22の傾斜している領域における傾斜角θ(
図4(a)参照)は、好ましくは12度以上、より好ましくは13度以上、更に好ましくは14度以上であり、60度以下が現実的である。このような構成となっていることによって、ペットが非通液部22の傾斜領域に留まることを抑制して、ペットが安定な体勢となる通液部21側へ効果的に誘導しやすくすることができ、トイレ外へのペットの排泄物の漏れが効果的に低減される。
傾斜角θは、
図4(a)に示すように、仕切り部20を長手方向Xに沿って側面視したときに、通液部21の下底部の仮想延長直線と、出入口2Eに臨む領域における非通液部22の仮想延長直線とがなす鋭角側の角度とする。出入口2Eに臨む領域における非通液部22が曲面となっている場合、傾斜角θは、通液部21の仮想延長直線と、曲面状の非通液部22の外面と接する仮想直線とがなす鋭角側の最小角度とすることができる。
【0059】
また
図4(b)に示すように、非通液部22のうち、出入口2Eに臨む領域以外の領域も下方に傾斜している場合、その部位における傾斜角θaは上述した傾斜角θと同様の範囲とすることが好ましい。このように構成することによって、ペットの通液部21側への誘導性を高めつつ、排泄された尿も通液部21側に流れるように効果的に誘導して、尿や糞などの排泄物の後処理の利便性が向上する。これに加えて、仕切り部20上での尿の残存を低減して、排泄物に起因する不快なにおいの発生を低減することができる。
【0060】
頭胴長が大きいペットの出入りを更に容易にするとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cが、長手方向Xと幅方向Yを有している場合、その収容部10Cにおける幅方向Yの長さDcに対する長手方向Xの長さWcの比(Wc/Dc)は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上、更に好ましくは1.8以上、一層好ましくは1.9以上であり、また、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下である。このような寸法を有していることによって、ペット用トイレ1を室内の壁面に近接させて配置したときの省スペース化を効率的に達成できる。
【0061】
頭胴長が大きいペットが容易に出入り可能な通路を十分に確保するとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cにおける長手方向Xの長さWc(
図4(a)参照)は、好ましくは600mm超、より好ましくは650mm以上、更に好ましくは700mm以上であり、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1200mm以下、更に好ましくは1000mm以下である。
【0062】
頭胴長が大きいペットの出入りを更に容易にするとともに、排泄スペースを十分に確保して、ペットを楽な姿勢でトイレの中央域に誘導しやすくする観点から、収容部10Cにおける幅方向Yの長さDc(
図4(b)参照)は、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上、更に好ましくは300mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは500mm以下、更に好ましくは400mm以下である。
【0063】
上述した収容部10Cにおける長手方向Xの長さWc及び幅方向Yの長さDcは、
図1ないし
図3に示すように、収容部10Cが仕切り部20によって構成されている場合には、仕切り部20の平面視における長手方向Xの長さ及び幅方向Yの内寸法の長さとする。これに代えて、トイレ本体10の内部に形成され且つ仕切り部20が配されていない態様で収容部10Cが形成されている場合、長手方向Xの長さWc及び幅方向Yの長さDcは、トイレ本体10における内寸法に基づくものとする。
【0064】
ペットの出入りの容易さと、非通液部22の傾斜をペットに知覚させて、トイレ内への誘導性の向上とを両立して、排泄時におけるペットの体勢が楽なものとなるように誘導する観点から、ペット用トイレ1のいずれの実施形態の場合であっても、ペット用トイレ1の平面視における出入口2Eの幅は、好ましくは150mm以上、更に好ましくは175mm以上であり、好ましくは300mm以下、更に好ましくは250mm以下である。出入口2Eの幅は、ペット用トイレ1の平面視において、第1切り欠き端面2fと、第2切り欠き端面2gとの最短距離とする。また、出入口2Eが複数形成されている場合は、出入口2Eの幅はそれぞれ独立して上述の範囲を満たすことが好ましい。
【0065】
ガイド壁部2を上面視したときに、第1切り欠き端面2fにおける幅方向Yに沿う幅W1(
図4(b)参照)は、その最大幅として、好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下である。同様に、ガイド壁部2を平面視したときに、第2切り欠き端面2gにおける長手方向Xに沿う幅W2(
図4(a)参照)は、その最大幅として、上述した幅W1と同様の範囲とすることができる。
幅W1及び幅W2のうち少なくとも一方を上述した範囲とすることによって、ペットの進入方向をトイレ内の適切な排泄位置であるトイレの中央域側に更に効率的に誘導及び制御して、ペットの排泄時における体勢を長手方向Xに沿うように更に効率的に誘導することができる。
【0066】
切り欠き底面2jを有する場合、切り欠き底面2jの長手方向Xに沿う幅及び幅方向Yに沿う幅は、それぞれ独立して、好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下である。このような範囲とすることによって、ペットの足を安定的に置くことができるので、ペットをトイレ内に効率的に誘導させることができる。
【0067】
出入口2Eにおける切り欠き底面2jの上面からガイド壁部2の上端部までの最大高さH1(高さ方向Zの長さ、
図4(a)及び(b)参照)は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは75mm以上であり、好ましくは300mm以下、より好ましくは250mm以下、更に好ましくは200mm以下である。この最大高さの範囲は、ガイド壁部2を平面視したときの各長辺及び各短辺の全てにおいて満たすことが一層好ましい。このような構成になっていることによって、ペットを所定の排泄位置に誘導しやすくすることができ、ペットの排泄時において排泄物がトイレ外に漏れることなく排泄させやすくすることができる。また、その排泄時に周囲を気にすることなく落ち着いて排泄を行うことができる。これに加えて、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのペット用トイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる。
【0068】
収容部10Cとしての粒状の排泄物処理材Pの収容効率を高めて、尿や糞などの排泄物に起因する不快なにおいを低減するとともに、排泄物の後処理の利便性を更に高める観点から、仕切り部20の深さ、すなわち仕切り部20の上端部から仕切り部20の底部上面までの高さ方向Zの長さH3(
図4(a)及び(b)参照)は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは70mm以上であり、好ましくは200mm以下、更に好ましくは150mm以下である。
【0069】
トイレ本体10の底面から出入口2Eにおける切り欠き底面2jの上面までの高さH5(
図3(a)参照)は、ペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさ、あるいは仕切り部20の内寸法における深さに応じて適宜選択可能であるが、好ましくは50mm以上、より好ましくは75mm以上、更に好ましくは100mm以上であり、好ましくは200mm以下、より好ましくは180mm以下、更に好ましくは160mm以下である。このような構成になっていることによって、ペットの出入りを更に容易なものとすることができる。
【0070】
窪み部15が形成されている場合、窪み部15の長手方向Xの長さWx(
図3(b)参照)は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは60mm以上であり、好ましくは200mm以下、更に好ましくは190mm以下である。
窪み部15の幅方向Yの長さWy(
図7参照)は、好ましくは20mm以上、更に好ましくは25mm以上であり、好ましくは80mm以下、更に好ましくは75mm以下である。
窪み部15の高さ方向Zの長さWz(
図7参照)は、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上であり、好ましくは40mm以下、更に好ましくは35mm以下である。
取っ手部31の長手方向X、幅方向Y及び高さ方向Zの各長さは、上述した各長さWx,Wy,Wzの範囲とすることができる。取っ手部31の寸法は、好ましくは窪み部15の寸法以上である。
【0071】
ペット用トイレ1の外寸法は、対象となるペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさに応じて適宜選択可能であるが、長手方向Xの長さは、好ましくは610mm以上、更に好ましくは660mm以上であり、好ましくは1250mm以下、更に好ましくは1200mm以下である。
同様に、ペット用トイレ1の外寸法における幅方向Yの長さは、好ましくは210mm以上、更に好ましくは260mm以上であり、好ましくは650mm以下、更に好ましくは550mm以下である。
また同様に、ペット用トイレ1の外寸法における高さ(高さ方向Zの長さ)は、好ましくは75mm以上、更に好ましくは125mm以上であり、好ましくは500mm以下、更に好ましくは430mm以下である。
【0072】
ペット用トイレを片手又は両手で把持しやすくして、トイレの運搬性を高める観点から、ペット用トイレ1を幅方向Yに沿う側面視したときに、その外寸法での周囲長は、好ましくは900mm以上、更に好ましくは950mm以上であり、好ましくは1600mm未満、更に好ましくは1550mm以下である。幅方向Yに沿う側面視における周囲長は、「(ペット用トイレ1の外寸法における幅方向Yの長さ+ペット用トイレ1の外寸法における高さ)×2」として定義される。特に、このような周囲長を有するペット用トイレは、ペット用トイレの長手方向と該トイレの運搬方向とを概ね一致させた状態で運搬する際に片腕で把持しながら抱えやすくできるので、トイレの運搬性及び運搬時の安定性を両立して更に高められる点で有利である。
【0073】
なお、ペット用トイレの側面視形状が厳密な長方形ではなく、上述した実施形態のように、例えば長方形の角部が面取りされた構造等といった厳密な幾何学形状でない形状となっている場合、ペットの排泄スペースを十分に確保しつつ、ペット用トイレの運搬性を更に向上させる観点から、少なくとも長手方向中央域での前記周囲長が上述の範囲となっていることが好ましく、また、幅方向Yに沿う側面視における周囲長の最大値が上述の範囲となっていることが好ましい。
【0074】
ペット用トイレ1を好適に使用可能なペットの頭胴長は、動物種によるが、排泄時におけるペットのトイレ中央域への効率的な誘導と、ペット用トイレ1の配置位置における省スペース化とを達成する観点から、好ましくは400mm以上、更に好ましくは450mm以上であり、好ましくは1000mm以下、更に好ましくは800mm以下である。
【0075】
また、頭胴長が大きいペットの出入りの容易さと、ペットの排泄スペースの確保とを両立する観点から、長手方向Xの長さWcは、ペットの頭胴長に対して、120%以上200%以下の長さに設定することが好ましい。
【0076】
上述した各実施形態において、ペット用トイレ1の各構成部材の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性が良い等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレ1の各構成部材は、その表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることが更に好ましい。上述した構成を有するペット用トイレ1を製造するためには、例えばガイド壁部2、仕切り部20、底部形成部3及びトレー30を、上述した樹脂を用いてそれぞれ独立に一体成形して、これらを所定の位置に載置又は収容するなどして組み立てればよい。
【0077】
上述した各実施形態において、排泄物処理材Pは、例えば当該技術分野において猫砂やトイレ砂等として用いられている材料を特に制限無く用いることができる。排泄物処理材Pとしては、好ましくは、スギ科、マツ科またはヒノキ科などの針葉樹の粉砕物を粉砕した木粉やパルプ等の植物由来の素材の粉砕物、結合剤、ゼオライト等の鉱物、酸化亜鉛等の塩、並びにガラス等の成分の1種以上を含んで成形された成形物が挙げられる。結合剤としては、植物由来の素材の粉砕物及び必要に応じて含まれる成分を粒状に固めることができるものであれば特に制限なく用いることができ、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂を用いることができる。
【0078】
排泄物処理材Pは、例えば、円筒、球、立方体、直方体等の形状を有する粒状物とすることができる。尿検査の試料として尿を回収する場合には、尿検査の信頼性向上の観点から、尿の組成、特性に影響を与えないか、又は殆ど与えない材料からなる排泄物処理材Pを用いることが好ましい。また、水分の存在によって成形体が崩壊しないような材料を排泄物処理材Pの形成に用いることも好ましい。
【0079】
以上に説明したペット用トイレ1の使用方法の好適な実施形態を以下に説明する。まず、トレー30をトイレ本体10の下層部分10Bに収容する。また好ましくは仕切り部20を底部形成部3に重ねて配置して、仕切り部20上に収容部10Cを形成する。また好ましくは、仕切り部20の上面に粒状の排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成する。その後、ガイド壁部2を底部形成部3に重ねて配置して、上層部分10Aに形成された収容部10Cよりも上方に、ガイド壁部2を配置するようにする。また、必要に応じて、トレー30の上面に尿吸収シート等の尿吸収体を収容してもよい。
【0080】
この状態で、ペットが、好ましくは出入口2Eを介して、ペット用トイレ1における上層部分10Aに入るようにして、排泄させる。ペットから排尿された尿は、仕切り部20における通液部21を通過して、下層部分10B側へ流れ落ちる。下層部分10Bに流れ落ちた尿は、トレー30上に蓄積するか、あるいはトレー30内の尿吸収体に吸収されて、回収される。また、ペットから排泄された糞は、仕切り部20の上部、あるいは排泄物処理材P上に残存する。ペットの排泄物を清掃する際には、仕切り部20及びトレー30を洗浄したり、排泄物処理材P及び尿吸収体を未使用のものに取り換えたりすればよい。尿吸収体としては、例えばパルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸収材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状又は板状に成形したものを使用することができる。ペットの排泄された尿を尿検査などの検体として用いる場合には、排泄された尿の回収を容易にする観点から、トレー30内には何も収容しないことが好ましい。
【0081】
また、仕切り部20が配されていないペット用トイレ1を用いる場合には、例えば、トイレ本体10内部の収容部10Cに排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成し、この状態で、ペットが排泄物処理材P上に入るようにして排泄させることができる。
【0082】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は本実施形態に限定されない。例えば、通液部21の平面視形状は矩形状として説明したが、本発明の効果が奏される限りにおいて、平面視における通液部21の角部が面取りされていてもよく、あるいは円形、楕円形、矩形以外の多角形などの矩形状以外の幾何学平面形状であってもよい。
【0083】
出入口2Eの形成位置の他の実施形態として、
図1ないし
図3に示す実施形態に代えて、ペット用トイレの平面視形状である長方形の一つの長辺の両端のうちの一方の端部に位置する隅部のみに設けられていてもよい。あるいは、出入口2Eは、長方形の対角線の両端に位置する2つの隅部のみに設けられていてもよく、ガイド壁部2における全ての隅部に設けられていてもよい。
【0084】
またガイド壁部2はその上面すべてが開口した形状となっていたが、この形態に限られず、例えば、ガイド壁部2の上面の一部又は全部が覆われてドーム状に成形されていてもよい。
【0085】
また、本実施形態の開口部11は、ペット用トイレ1の平面視において、出入口2Eが存在する長辺側に形成されており、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていたが、本発明の効果が奏される限りにおいて、これ以外の構成となっていてもよい。詳細には、開口部11が、出入口2Eが存在する長辺の対辺側に形成されて、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよく、開口部11がペット用トイレ1の平面視短辺側又は短辺の対辺側に形成されて、トレー30を長手方向Xに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよい。
また、本実施形態のトレー30は一つのみ配された形態となっているが、これに限られず、複数のトレー30が収容された態様となっていてもよい。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0087】
〔実施例1〕
図1に示すように、略長方形の平面視形状を有する、ペット用トイレ1を用いた。ペット用トイレ1は、長手方向750mm×幅方向430mm×高さ方向250mmの外寸法を有しており、周囲長が1360mmであった。長さBに対する高さAの比(A/B)が0.299であった。
またペット用トイレは、該トイレの持ち手となる把持部Gとして、底面部に有する窪み部15、収容時におけるトレーの取っ手部31、及びペット用トイレの両長辺側に設けられた延出部3fの計4つが形成されていた。これらの把持部はいずれも、ペット用トイレの両長辺側に且つ長手方向中央域に位置していた。
【0088】
〔比較例1〕
本比較例では、特開2019-83792号に記載の構成を有するペット用トイレを用いた。このペット用トイレは略長方形の平面視形状を有し、一方の長辺側に出入口が1つ形成されていた。このペット用トイレは長手方向701mm×幅方向471mm×高さ方向350mmの外寸法を有しており、周囲長が1642mmであった。長さBに対する高さAの比(A/B)が0.476であった。
このペット用トイレは、該トイレの持ち手となる把持部として、収容時におけるトレーの取っ手部が1つ形成されていた。この把持部は、ペット用トイレの出入口側の長辺側に且つ一方の長手方向側部域に位置していた。
【0089】
〔運搬性の評価〕
実施例及び比較例のペット用トイレについて、以下の方法で運搬性を評価した。
詳細には、評価者の片腕と胴体側面との間に、該トイレの長手方向と該トイレの運搬予定方向とが概ね一致するようにペット用トイレを抱えてもらい、その状態で把持部を把持させるようにしてペット用トイレを運搬させて、室内のドア(幅830mm)を通過させた。そのときのペット用トイレの運搬性を以下の基準で評価した。
評価者は8名の女性とし、評価点数の算術平均値を算出した。なお評価者によっては、評価対象のトイレを片腕と胴体側面との間に抱えることが困難な場合もあったので、その場合は、評価対象のトイレの運搬時に他方の手を用いることは妨げないで評価した。
評価点数の算術平均値が高いほど、ペット用トイレの運搬性が高いことを示す。結果を以下の表1及び
図9に示す。表1には、実施例と比較例との間での有意差検定(t検定、有意水準:p<0.05)の結果と、評価者の身長の算術平均値とを併せて示す。
【0090】
<評価基準>
5点:トイレの構成部材の脱落やがたつきが生じずに、トイレを安定的に抱えることができ、且つ余裕をもってドアを通り抜けることができ、運搬性にとても優れる。
4点:トイレの構成部材の脱落やがたつきが生じずに、トイレを抱えながらドアを通り抜けることができ、運搬性が良好である。
3点:トイレを抱えながらドアを通り抜けることができ、特に問題のない運搬性である。
2点:ペット用トイレを持ちながらドアを通り抜けることができるが、トイレの構成部材の脱落やがたつきが多く生じるなどして不安定であり、運搬性が不良である。
1点:トイレの構成部材の脱落やがたつきが頻繁に生じて運搬できないか、又はペット用トイレを持ちながらドアを通り抜けることができないので、運搬性が非常に悪い。
【0091】
【0092】
表1及び
図9に示すように、実施例のペット用トイレは、比較例のものと比較して、運搬性の評価点数が有意に高く、持ち運びやすさに優れることが判る。このことから、実施例のペット用トイレは、長さBに対する高さAの比(A/B)所定の範囲にすることに加えて、把持部を所定の位置に設けたり、寸法を所定の範囲としたりすることによって、トイレの運搬者が、該トイレを片腕と胴体側面との間に抱えた状態で安定的に持ち運びやすくなることが判る。
【0093】
なお図示していないが、実施例及び比較例のペット用トイレを屋内に配置して猫に排泄させたところ、実施例のペット用トイレは、比較例のものと比較して、猫の体の向きがペット用トイレの長手方向Xに沿う方向に概ね向いており、トイレ内での猫のターン数が少なかった。そして、猫が出入口から適切に出入りした割合が比較例のものよりも高かった。したがって、本発明のペット用トイレは、長さBに対する高さAの比(A/B)を所定の範囲にすることによって、ペットの体勢が楽になるように誘導し、且つ排泄スペースが十分に確保され、排泄時におけるペットの快適さが向上する。
【符号の説明】
【0094】
1 ペット用トイレ
2 ガイド壁部
2E 出入口
10 トイレ本体
10A 上層部分
10B 下層部分
10C 収容部
20 仕切り部
P 排泄物処理材
X 長手方向
Y 幅方向
Z 高さ方向