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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240815BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20240815BHJP
   F23N 1/02 20060101ALI20240815BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C3/02 J
F23N1/02 101
F23N5/00 D
F23N5/00 G
F23N5/00 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021010778
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114507
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-138596(JP,A)
【文献】特開2019-090544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 3/02
F23N 1/02
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のバーナヘッドを有するコンロバーナと、コンロバーナの上方に載置される被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、コンロバーナへの燃料ガスの供給量を調節するガス量調節手段と、制御手段とを備えるガスコンロであって、
コンロバーナは、バーナヘッドの外周面に形成された多数の第1炎口と、第1炎口の上流側に連なる第1混合管とを有する第1バーナ部を備え、第1バーナ部にガス量調節手段から燃料ガスが供給されるようにしたものにおいて、
バーナヘッドの外周面に、第1炎口の上方に位置する多数の開口が形成され、
ガスコンロは、これら開口に空気を供給する給気手段と、低温調理モードを指示する低温調理指示手段とを備え、
制御手段は、低温調理指示手段によって低温調理モードが指示されると低温調理制御を実行するように構成され、低温調理制御では、温度検出手段で検出した被加熱物の温度に基づいて、第1バーナ部への燃料ガス供給量を所定の第1設定量と第1設定量より少ない所定の第2設定量とに切換える制御を行い、第1バーナ部への燃料ガス供給量を第1設定量にするときは、給気手段による空気供給量を減少又は空気供給を停止させ、第1バーナ部への燃料ガス供給量を第2設定量にするときは、給気手段による空気供給量を増加又は空気供給を再開することを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記被加熱物の形状、前記被加熱物の重さ及び所定時間における前記温度検出手段で検出した前記被加熱物の温度の変化勾配の情報を取得する被加熱物情報取得手段を備え、前記低温調理制御では、前記温度検出手段で検出した被加熱物の温度に加え、被加熱物情報取得手段で取得した情報に基づいて、前記ガス量調節手段による前記第1バーナ部への燃料ガス供給量の制御と、前記給気手段による空気の供給制御とを行うことを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記コンロバーナは、前記第1バーナ部に加えて、前記バーナヘッドの前記開口から成る第2炎口と、第2炎口の上流側に連なる第2混合管とを有する第2バーナ部を備え、第2バーナ部は、第2混合管に一次空気として前記給気手段からの空気が供給される強制給気式バーナで構成され、更に、第1バーナ部のみに燃料ガスを供給して第1バーナ部のみを燃焼させる単独燃焼状態と、第2バーナ部にも燃料ガスを供給して第1と第2の両バーナ部を燃焼させる同時燃焼状態との切換を行う切換手段を備え、前記低温調理制御では、切換手段により単独燃焼状態に切換えることを特徴とする請求項1又は2記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状のバーナヘッドを有するコンロバーナと、コンロバーナの上方に載置される被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、コンロバーナへの燃料ガスの供給量を調節するガス量調節手段と、制御手段とを備えるガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスコンロとして、例えば特許文献1により、被加熱物を100℃程度や100℃よりも低い温度で加熱する低温調理を実行可能としたものが知られている。このものでは、コンロバーナの点消火を頻繁に繰り返すことにより、低温調理を実行している。
【0003】
然し、このように、低温調理中にコンロバーナの点消火が頻繁に繰り返されると、使用者に違和感を与えてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-90544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、コンロバーナの点消火を頻繁に繰り返すことなく低温調理を実行することができるようにしたガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、環状のバーナヘッドを有するコンロバーナと、コンロバーナの上方に載置される被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、コンロバーナへの燃料ガスの供給量を調節するガス量調節手段と、制御手段とを備えるガスコンロであって、コンロバーナは、バーナヘッドの外周面に形成された多数の第1炎口と、第1炎口の上流側に連なる第1混合管とを有する第1バーナ部を備え、第1バーナ部にガス量調節手段から燃料ガスが供給されるようにしたものにおいて、バーナヘッドの外周面に、第1炎口の上方に位置する多数の開口が形成され、ガスコンロは、これら開口に空気を供給する給気手段と、低温調理モードを指示する低温調理指示手段とを備え、制御手段は、低温調理指示手段によって低温調理モードが指示されると低温調理制御を実行するように構成され、低温調理制御では、温度検出手段で検出した被加熱物の温度に基づいて、第1バーナ部への燃料ガス供給量を所定の第1設定量と第1設定量より少ない所定の第2設定量とに切換える制御を行い、第1バーナ部への燃料ガス供給量を第1設定量にするときは、給気手段による空気供給量を減少又は空気供給を停止させ、第1バーナ部への燃料ガス供給量を第2設定量にするときは、給気手段による空気供給量を増加又は空気供給を再開することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、低温調理制御において、バーナヘッドの第1炎口に形成される燃焼炎の上方にバーナヘッドの開口を介して給気手段からの空気が噴出することになり、燃焼炎から被加熱物に伝わる熱量をこの空気によって減少させることができる。従って、コンロバーナ(第1バーナ部)の点消火を頻繁に繰り返さなくても、低温調理を実行することができ、使用者に違和感を与えることを抑制できる。また、本発明によれば、第1バーナ部への燃料ガス供給量を第2設定量に減少させて被加熱物の加熱を抑制する際に、給気手段からの空気により被加熱物への伝達熱量を効果的に減少させて、低温調理の精度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明においては、被加熱物の形状、被加熱物の重さ及び所定時間における温度検出手段で検出した被加熱物の温度の変化勾配の情報を取得する被加熱物情報取得手段を備え、低温調理制御では、温度検出手段で検出した被加熱物の温度に加え、被加熱物情報取得手段で取得した情報に基づいて、ガス量調節手段による第1バーナ部への燃料ガス供給量の制御と、給気手段による空気の供給制御とを行うようにしてもよい。これにより、低温調理の精度をより向上させることができる。
【0011】
更に、本発明において、コンロバーナは、第1バーナ部に加えて、バーナヘッドの上記開口から成る第2炎口と、第2炎口の上流側に連なる第2混合管とを有する第2バーナ部を備え、第2バーナ部は、第2混合管に一次空気として上記給気手段からの空気が供給される強制給気式バーナで構成されるものとしてもよい。この場合、第1バーナ部のみに燃料ガスを供給して第1バーナ部のみを燃焼させる単独燃焼状態と、第2バーナ部にも燃料ガスを供給して第1と第2の両バーナ部を燃焼させる同時燃焼状態との切換を行う切換手段を設け、低温調理制御では、切換手段により単独燃焼状態に切換えるようにすればよい。これによれば、同時燃焼状態にすることで、被加熱物の加熱量を増大させて、ターンダウン比を大きくすることができ、実行可能な調理の幅が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のガスコンロの要部の斜視図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3】実施形態のガスコンロに設けられるコンロバーナの斜視図。
図4】実施形態のガスコンロで実行する低温調理制御の内容を示すフロー図。
図5】他の態様の低温調理制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図2を参照して、本発明の実施形態のガスコンロは、図示省略したコンロ本体の上面を覆う天板1に開設したバーナ用開口11に臨むコンロバーナ2を備えている。コンロバーナ2は、上部がバーナ用開口11に挿通されるバーナボディ21と、バーナボディ21上の環状のバーナヘッド22とを有している。天板1上には、バーナ用開口11を囲うようにして五徳12が載置されると共に、バーナ用開口11とこれに挿通されるバーナボディ21の部分との間の隙間を上方から覆うカバーリング13が載置されている。
【0014】
図3も参照して、コンロバーナ2は、バーナヘッド22の外周面に形成された多数の第1炎口23と、第1炎口23の上流側に連なる第1混合管24とを有する第1バーナ部2と、バーナヘッド22の外周面に、第1炎口23の上方に位置させて多数形成された開口から成る第2炎口23と、第2炎口23の上流側に連なる第2混合管24とを有する第2バーナ部2とを備えている。
【0015】
より具体的に説明すれば、バーナボディ21は、バーナ用開口11に挿通される、外側の筒体211と中間の筒体212と内側の筒体213との内外3重の筒体を備えている。バーナヘッド22は、内周にバーナボディ21の中間の筒体212に嵌合する筒部221aを垂設した環状の下ヘッド部材221と、下面内周部にバーナボディ21の内側の筒体213に嵌合する筒部222aを垂設した環状の上ヘッド部材222とで構成されている。
【0016】
下ヘッド部材221の下面外周部には、バーナボディ21の外側の筒体211の上端に着座する環状壁221bが垂設されている。この環状壁221bには、その下端面から上方に窪む第1炎口23となる溝が周方向の間隔を存して多数形成されている。第1炎口23は、下ヘッド部材221とバーナボディ21の外側の筒体211と中間の筒体212とで囲われる空間に連通しており、この空間に連通するようにバーナボディ21と一体の第1混合管24が設けられている。
【0017】
また、上ヘッド部材222の下面外周部には、下ヘッド部材221の上面外周部に着座する環状壁222bが垂設されている。この環状壁222bには、その下端面から上方に窪む第2炎口23となる溝が周方向の間隔を存して多数形成されている。第2炎口23は、下ヘッド部材221と上ヘッド部材222とバーナボディ21の中間の筒体212と内側の筒体213とで囲われる空間に連通しており、この空間に連通するようにバーナボディ21と一体の第2混合管24が設けられている。
【0018】
図3を参照して、第1混合管24、即ち、第1バーナ部2には、共通ガス供給路3から分岐した第1バーナ用ガス供給路3を介して燃料ガスが供給され、第2混合管24、即ち、第2バーナ部2には、共通ガス供給路3から分岐した第2バーナ用ガス供給路3を介して燃料ガスが供給される。共通ガス供給路3には、安全弁31と、ガス量調節手段たる流量調節弁32とが介設されている。また、第2バーナ用ガス供給路3には、第1バーナ部2のみに燃料ガスを供給して第1バーナ部2のみを燃焼させる単独燃焼状態と、第2バーナ部2にも燃料ガスを供給して第1と第2の両バーナ部2,2を燃焼させる同時燃焼状態との切換を行う切換手段たる第2バーナ用電磁弁33が介設されている。
【0019】
第1バーナ用ガス供給路3の下流端には、第1混合管24の上流端の流入口24aに臨む図示省略したガスノズルが接続されている。そして、このガスノズルからの燃料ガスの噴射に伴い流入口24aから一次空気が吸引されるようにしている。一方、第2混合管24の上流端には、給気手段たるファン4が接続されている。そして、第2バーナ部2は、第2混合管24に一次空気としてファン4からの空気を供給する強制給気式バーナで構成される。尚、第2混合管24の上流端近傍の側面には、第2混合管24内部の図示省略したガスノズルに連なるガス流入口24aが設けられており、このガス流入口24aに第2バーナ用ガス供給路3が接続される。
【0020】
また、コンロバーナ2には、第1バーナ部2に点火するための点火電極25と、第1バーナ部2の燃焼炎を検知する火炎検知素子としての熱電対26とが付設されている。更に、コンロバーナ2の上方に載置される被加熱物、即ち、五徳12に載置される被加熱物(調理容器)の温度を検出する温度検出手段たる鍋底温度センサ5がバーナヘッド22で囲われる空間を通して上方に突出するように設けられている。
【0021】
上述した安全弁31、流量調節弁32、第2バーナ用電磁弁33、ファン4及び点火電極25に高電圧を印加する図示省略したイグナイタは、制御手段たるマイクロコンピュータから成るコントローラ6により制御される。コントローラ6には、図示省略した操作パネルに設けられる点消火操作部61、火力調節操作部62及び調理モード選択部63からの信号と、鍋底温度センサ5からの信号と、熱電対26からの信号とが入力される。コントローラ6は、点消火操作部61から点火指令信号が入力されると、安全弁31を開弁させると共にイグナイタをオンして、第1バーナ部2に点火する。その後、熱電対26からの信号に基づいて失火が検知されたときや、点消火操作部61から消火指令信号が入力されたときは、安全弁31を閉弁させる。
【0022】
調理モード選択部63で手動調理モードが選択されているときは、火力調節操作部62からの信号に基づいて流量調節弁32を制御する。火力調節操作部62で所定の中間火力以上の火力が指示されたときは、第2バーナ用電磁弁33を開弁させて第1と第2の両バーナ部2,2を燃焼させる同時燃焼状態に切換え、更に、ファン4を駆動して、第2バーナ部2への燃料ガス供給量に対応する量の空気が供給されるようにする。また、調理モード選択部63で後述する低温調理モード以外の自動調理モードが選択されたときは、鍋底温度センサ5で検出した被加熱物の温度が調理モードに対応する所定の設定温度範囲に収まるように流量調節弁32、第2バーナ用電磁弁33及びファン4の制御を行う。
【0023】
ここで、調理モード選択部63では、自動調理モードの一つとして、被加熱物を100℃程度や100℃よりも低い温度で加熱する低温調理モードを選択することができるようになっている。従って、調理モード選択部63は、低温調理モードを指示する低温調理指示手段としても機能することになる。コントローラ6は、調理モード選択部63からの信号で低温調理モードが指示されると低温調理制御を実行する。低温調理制御では、鍋底温度センサ5で検出した被加熱物の温度Tに基づいて、流量調節弁32による第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgの制御と、ファン4による空気の供給制御とを行う。以下、図4を参照して、低温調理制御について詳述する。
【0024】
低温調理制御では、先ず、STEP1において、第2バーナ用電磁弁33を閉弁させ、第1バーナ部2のみに燃料ガスを供給して第1バーナ部2のみを燃焼させる単独燃焼状態にすると共に、STEP2において、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgが所定量になるように流量調節弁32を制御する。次に、STEP3に進んで、鍋底温度センサ5で検出した被加熱物の温度Tが低温調理ための温調制御の下限閾値YTL未満であるか否かを判別する。T<YTLであれば、STEP4でファン4を停止、即ち、ファン4による空気の供給を停止した後、STEP5に進み、被加熱物の温度Tが低温調理ための温調制御の上限閾値YTHを超えているか否かを判別する。そして、T≦YTHであれば、STEP4に戻ることを繰り返す。T>YTHになったときは、STEP6に進んで、ファン4を駆動、即ち、ファン4による空気の供給を開始した後、STEP3に戻る。そして、T<YTLになるまでファン4を駆動し続ける。
【0025】
低温調理制御では、単独燃焼状態とするため、ファン4を駆動すると、第1炎口23に形成される燃焼炎の上方に第2炎口23を介してファン4からの空気が噴出することになる。そして、燃焼炎から被加熱物に伝わる熱量をこの空気によって減少させることができる。そのため、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgを所定量に維持したままでも、被加熱物の温度TをT≦YTHになるように下げて、低温調理を実行することができる。従って、低温調理に際し、第1バーナ部2の点消火を繰り返さなくても済み、使用者に違和感を与えることを抑制できる。更に、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgを変化させることなく低温調理が実行可能となり、流量調節弁32の耐久性を向上させることができる。
【0026】
尚、低温調理制御中は、ファン4を常時駆動し、上記STEP4において、ファン回転数の減少でファン4による空気供給量を減少させ、上記STEP6において、ファン回転数の増加でファン4による空気供給量を増加させるようにしてもよい。また、T<YTLになったときに、T>YTHになるまで、同時燃焼状態に切換えることも考えられる。然し、これでは、上限閾値YTHに対する被加熱物の温度Tのオーバーシュートが大きくなり易い。そのため、本実施形態の如く低温調理制御中は単独燃焼状態に維持することが望ましい。
【0027】
次に、図5を参照して、他の態様の低温調理制御ついて説明する。このものでは、先ず、STEP101において、第2バーナ用電磁弁33を閉弁させ、第1バーナ部2のみに燃料ガスを供給して第1バーナ部2のみを燃焼させる単独燃焼状態にする。次に、STEP102において、鍋底温度センサ5で検出した被加熱物の温度Tが下限閾値YTL未満であるか否かを判別する。T<YTLであれば、STEP103に進んで、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgが所定の第1設定量になるように流量調節弁32を制御すると共に、STEP104でファン4を停止する。
【0028】
次に、STEP105に進み、被加熱物の温度Tが上限閾値YTHを超えているか否かを判別する。そして、T≦YTHであれば、STEP103に戻ることを繰り返す。T>YTHになったときは、STEP106に進んで、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgが第1設定量より少ない所定の第2設定量になるように流量調節弁32を制御すると共に、STEP107でファン4を駆動した後、STEP102に戻る。そして、T<YTLになるまで第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgを第2設定量に維持すると共にファン4を駆動し続ける。
【0029】
これによれば、T>YTHとなって、第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgを第2設定量に減少させて被加熱物の加熱を抑制する際に、ファン4からの空気により被加熱物への伝達熱量を効果的に減少させることができる。そのため、早期にT≦YTHの状態になり、低温調理の精度を向上させることができる。
【0030】
尚、低温調理制御中は、ファン4を常時駆動し、上記STEP104において、ファン回転数の減少でファン4による空気供給量を減少させ、上記STEP107において、ファン回転数の増加でファン4による空気供給量を増加させるようにしてもよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、被加熱物に関する温度以外の所定の情報を取得する被加熱物情報取得手段を設け、低温調理制御では、鍋底温度センサ5で検出した被加熱物の温度Tに加え、被加熱物情報取得手段で取得した情報に基づいて、流量調節弁32による第1バーナ部2への燃料ガス供給量Qgの制御と、ファン4による空気の供給制御とを行うようにすることも可能である。より具体的に説明すれば、被加熱物情報取得手段として、カメラや測距センサと重量センサを設け、カメラや測距センサにより被加熱物たる調理容器の形状(大きさ、厚み等)を検出すると共に、重量センサにより調理容器の重さを検出し、更には、点火から一定時間における鍋底温度センサ5の検出温度の変化勾配を取得し、これら調理容器の形状、重さ、温度の変化勾配に基づいて、調理容器の熱伝導性や熱容量を推定する。そして、この熱伝導性や熱容量に基づいて、鍋底温度センサ5の検出温度と内容物温度との間で生ずる乖離をキャンセルするように上述したYTL,YTHの温度を変更したり、ファン回転数の切替段数を変更する。例えば、熱容量が大きく応答性の悪い調理容器では、空気供給量を最大にする状態と空気供給を停止する状態とに切換える。
【0032】
また、上記実施形態では、コンロバーナ2として、第1バーナ部2に加えて第2バーナ部2を備え、第1バーナ部2のみを燃焼させる単独燃焼状態と、第1と第2の両バーナ部2,2を燃焼させる同時燃焼状態とに切換自在としたものを用いているが、第2バーナ部2を設けずに、第1炎口24の上方に位置する開口(上記実施形態の第2炎口24に相当)からファン4により送気される空気のみを噴出させるようにしたコンロバーナを用いることも可能である。但し、上記実施形態の如く第1と第2の両バーナ部2,2を備えるコンロバーナ2を用いれば、同時燃焼状態にすることで、被加熱物の加熱量を増大させて、ターンダウン比を大きくすることができる。従って、実行可能な調理の幅が広がり、有利である。
【0033】
また、上記実施形態では、共通ガス供給路3にガス量調節手段たる流量調節弁32を開設しているが、第1バーナ用ガス供給路3に、第1バーナ部2への燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段を設けると共に、第2バーナ用ガス供給路3に第2バーナ部2への燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段を設けてもよい。更に、上記実施形態では、温度検出手段として被加熱物に接触してその温度を検出する鍋底温度センサ5を用いているが、被加熱物の温度を非接触で検出するセンサを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
2…コンロバーナ、2…第1バーナ部、2…第2バーナ部、22…バーナヘッド、23…第1炎口、23…第2炎口(開口)、24…第1混合管、24…第2混合管、32…流量調節弁(ガス量調節手段)、33…第2バーナ用電磁弁(切換手段)、4…ファン(給気手段)、5…鍋底温度センサ(温度検出手段)、6…コントローラ(制御手段)、63…調理モード選択部(低温調理指示手段)。
図1
図2
図3
図4
図5