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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】体表面温度測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20240815BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240815BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20240815BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240815BHJP
【FI】
A61B5/01 350
A61B5/00 102A
G01J5/48 C
G01J5/48 E
G06T7/00 660B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021012274
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115613
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】伏見 光
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/050397(WO,A1)
【文献】特開2017-187965(JP,A)
【文献】特開2018-120263(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111896144(CN,A)
【文献】特開2018-183564(JP,A)
【文献】国際公開第2018/218286(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111583593(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
G01J 5/00- 5/90
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境情報を取得する環境情報取得部と、
可視光領域の画像データおよび前記画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを生成する撮像部と、
前記画像データおよび前記温度分布データから、それぞれ、人物の顔画像データおよび前記顔画像データに対応する温度情報を生成する情報生成部と、
前記顔画像データを登録情報に含まれる登録顔画像データと照合する顔照合部と、
前記環境情報に応じた前記人物の体温情報を生成する補正処理部と、を含み、
前記補正処理部は、前記環境情報、前記温度情報、および照合された前記人物の前記登録情報に含まれる登録体温情報が入力されると前記体温情報が出力される体温測定学習モデルを用いて前記温度情報を補正する、体表面温度測定システム。
【請求項2】
前記登録体温情報は、複数の温度が含まれる、請求項に記載の体表面温度測定システム。
【請求項3】
さらに、前記体温情報に基づき前記人物の体温異常を判定する情報処理部を含む、請求項または請求項に記載の体表面温度測定システム。
【請求項4】
前記人物の体温異常の判定において、前記体温情報が前記登録体温情報の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、前記情報処理部は体調不良情報を生成する、請求項に記載の体表面温度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、人物の体温を検出する体表面温度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行中の人物を撮影し、その人物の顔認証を行う、いわゆるウォークスルー型の顔認証システムを利用して、入場者に対して入場管理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ウォークスルー型の顔認証システムは、歩行中の人物(入場者)が入場ゲートに到達するまでに認証処理を完了し、入場者に対して入場許可判定を行うことができる。そのため、ウォークスルー型の顔認証システムは、入場者への負担が少なく、利便性が高いと言える。
【0003】
また、近年、インフルエンザウイルスまたはコロナウイルスなどの感染症の拡大を防止するため、人物の温度測定(体温測定)を行い、入場を管理する機会が増えている。例えば、特許文献2には、入場者の個人認証および温度測定を行う認証装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-1790号公報
【文献】特開2012-219539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触で人物の温度測定を行うことができる方法の1つとして、赤外光領域を撮影するカメラ(サーマルカメラ)を用いて人物の体表面温度を検出する方法が知られている。しかしながら、サーマルカメラでの体表面温度測定は、映像における人物の検出精度や周囲環境に影響され、温度にばらつきが生じる問題があった。また、体温には個人差があるにもかかわらず、個人差を考慮しないで検出された温度で入場を管理するだけでは感染症の拡大防止として十分ではない。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、周囲環境および個人差を考慮した人物の体温を検出することができる体表面温度測定システムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムは、環境情報(温度、湿度、または照度)を取得する環境情報取得部と、可視光領域の画像データおよび画像データに対応する赤外光領域の温度分布データを生成する撮像部と、画像データおよび温度分布データから、それぞれ、人物の顔画像データおよび顔画像データに対応する温度情報(補正前の人物の体温情報)を生成する情報生成部と、顔画像データを登録情報に含まれる登録顔画像データと照合する顔照合部と、環境情報に応じた人物の体温情報(補正後の人物の体温情報)を生成する補正処理部と、を含む。
【0008】
補正処理部は、環境情報に対応した補正テーブルを用いて、人物の体温情報を生成してもよい。
【0009】
補正処理部は、環境情報、温度情報、および照合された人物の登録情報に含まれる登録体温情報(予め登録された体温情報)が入力されると体温情報が出力される体温測定学習モデルを用いて温度情報を補正してもよい。なお、登録体温情報は、複数の温度が含まれていてもよい。
【0010】
体表面温度測定システムは、体温情報に基づき人物の体温異常を判定する情報処理部を含んでいてもよい。
【0011】
体表面温度測定システムは、さらに、体温情報に基づき登録情報に含まれる体温統計情報を更新する情報処理部を含んでいてもよい。
【0012】
人物の体温異常の判定において、体温情報が登録体温情報の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、情報処理部は体調不良情報を生成してもよい。人物の体温異常の判定において、体温情報が体温統計情報の平均値または中央値の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、情報処理部は体調不良情報を生成してもよい。人物の体温異常の判定において、体温情報と体温統計情報の平均値または中央値との差が体温統計情報の標準偏差の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、情報処理部は体調不良情報を生成してもよい。
【0013】
登録情報には、体調不良情報が紐付けられて更新されてもよい。
【0014】
情報処理部は、さらに、顔画像データに環境情報、体温情報、および体調不良情報をメタ情報として含む顔情報を生成してもよい。
【0015】
情報処理部は、さらに、顔画像データに基づき人物の表情を判定してもよい。人物の表情の判定において、体温情報を利用して顔画像データから人物の表情情報および体調情報が出力される表情学習モデルが用いられてもよい。人物の表情の判定において、体温情報および体調不良情報を利用して顔画像データから人物の表情情報および体調情報が出力される表情学習モデルが用いられてもよい。
【0016】
登録情報の登録顔画像データおよび登録個人情報は、人物および人物に関する情報の文字列を撮影した画像データから抽出されて生成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムは、周囲環境および個人差を考慮した人物の体温を検出することができる。また、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムは、周囲環境および個人差を考慮して人物の体調を判定することができる。また、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムは、容易に人物の登録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの配置を説明する模式図および撮像装置で撮影される映像を説明する模式図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムで実行される体温測定処理のフローチャート図である。
図4】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムで実行される温度補正処理のフローチャート図である。
図5】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムで生成された体温情報の利用態様の一例を説明する模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムで実行される温度補正処理のフローチャート図である。
図8】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムで実行される体温測定処理のフローチャート図である。
図10】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの撮像装置で撮影される映像を説明する模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システムの人物登録処理のフローチャート図である。
図12】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの配置図である。
図13】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムの構成を示すブロック図である。
図14】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
図15】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける入場処理のフローチャート図である。
図16】本発明の一実施形態に係る入退場管理システムにおける退場処理のフローチャート図である。
図17】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な斜視図である。
図18】本発明の一実施形態に係るユニットパネルの模式的な平面図である。
図19】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの外観を示す模式的な斜視図である。
図20】本発明の一実施形態に係るユニットハウスの内部構成を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0020】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物が設置される場合、構造物が通常設置される設置面側を「下」または「下方」とする。
【0021】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0022】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、小文字または大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0023】
本明細書において、「映像」とは、静止画像だけでなく、動画像を含む場合がある。
【0024】
本明細書において、「対象者」とは、入場および退場が管理される者であって、例えば、建設現場の作業者またはイベント施設もしくはイベント会場の利用者などである。
【0025】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0026】
<第1実施形態>
図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10について説明する。
【0027】
[1.体表面温度測定システム10の構成]
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10の配置を説明する模式図である。また、図1(B)は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10の撮像装置12で撮影される映像を説明する模式図である。
【0028】
図1(A)に示すように、体表面温度測定システム10は、センサ11、撮像装置12、および情報処理装置13を含む。図1(A)では、センサ11は、撮像装置12の近傍の天井面に配置されているが、センサ11の位置はこれに限られない。センサ11は、壁面に配置されていてもよく、または撮像装置12の内部もしくは外部に配置されていてもよい。撮像装置12は、天井面に配置されているが、撮像装置12の位置はこれに限られない。撮像装置12は、壁面に配置されていてもよい。体表面温度測定システム10は、図1(A)に示すように、黒体炉14を含んでいてもよい。黒体炉14は、撮像装置12の構成の一部に含まれていてもよい。黒体炉14は、熱放射により設定された温度に応じた赤外波長域のスペクトルの電磁波を発している。すなわち、所定の温度(基準温度)に対応する赤外光を放射することができる。黒体炉14は、撮像装置12から一定の距離を有し、撮像装置12と対向する位置に配置されている。図1(A)では、黒体炉14は、支持体によって床面から一定の高さに配置されているが、黒体炉14の位置はこれに限られない。黒体炉14は、壁面または天井面などに配置されていてもよい。また、黒体炉14の位置は、撮像装置12の画角に入るように調整されている。
【0029】
図1(B)に示すように、撮像装置12は、人物とともに黒体炉14を撮影することができる。図1(A)では、情報処理装置13は、撮像装置12の近傍に配置されているが、情報処理装置13の位置はこれに限られない。情報処理装置13は、撮像装置12と有線または無線によって接続されていればよく、撮像装置12が配置されている場所とは異なる場所に配置することもできる。
【0030】
センサ11は、撮像装置12が人物を撮影する環境の環境情報を取得することができる。環境情報は、例えば、温度、湿度、または照度などに関する情報である。温度、湿度、および照度は、それぞれ、温度センサ、湿度センサ、および照度センサによって検出することができる。センサ11は、これらのセンサのうちの1つまたは複数を含むことができる。特に、センサ11は、温度センサを含むことが好ましい。すなわち、センサ11は、環境情報として、温度に関する情報を取得することが好ましい。以下では、環境情報に含まれる温度に関する情報を、環境温度情報として説明する場合がある。環境情報は、情報処理装置13に送信される。
【0031】
撮像装置12は、人物および黒体炉14を撮影することができる。撮像装置12は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの固体撮像素子を含むカメラである。撮像装置12は、可視光領域の映像だけでなく、赤外光領域の映像を撮像することができる。撮像装置12は、1つのカメラで可視光領域および赤外光領域の映像を撮像してもよく、2つのカメラを備え、一方のカメラが可視光領域の映像を撮像し、他方のカメラが赤外光領域の映像を撮像してもよい。撮像された赤外光領域の映像からは、映像内に含まれる人物または物体などの温度分布が得られる。なお、撮像装置12が2つのカメラを備える場合、可視光領域の映像内の位置と赤外光領域の映像内の位置とが対応するように2つのカメラが配置されていることが好ましい。
【0032】
情報処理装置13は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。情報処理装置13は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、例えば、演算手段として中央演算処理装置(Central Proceessing Unit:CPU)および記憶手段として記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、ランダムアクセスメモリ(Ramdom Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、またはハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)などである。
【0033】
図2は、本発明の一実施例に係る体表面温度測定システム10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、体表面温度測定システム10は、センサ11、撮像装置12、および情報処理装置13を含む。センサ11は、環境情報生成部11aを含み、撮像装置12は、撮像部12aを含む。情報処理装置13は、情報生成部13a、顔照合部13b、補正処理部13c、補正テーブル記憶部13d、情報処理部13e、および情報記憶部13fを含む。
【0034】
撮像部12aは、人物および黒体炉14を含む可視光領域の映像を撮像し、画像データを生成することができる。また、撮像部12aは、人物および黒体炉14を含む赤外光領域の映像を撮像し、温度分布データを生成することができる。画像データおよび温度分布データの各々は、情報処理装置13に送信される。
【0035】
情報生成部13aは、画像データおよび温度分布データを取得し、それぞれから、人物の顔画像データおよび温度情報を生成することができる。
【0036】
ここで、情報生成部13aによって実行される顔画像データの生成処理について説明する。情報生成部13aは、画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの特徴点を検出し、これらの特徴点の相対的位置から人物の顔の領域を抽出した顔画像データを生成することができる。また、情報生成部13aは、画像データに対してエッジ処理を実行し、人物の頭部の輪郭と近似した楕円形のエッジ分布を検出し、エッジ分布に囲まれた領域を顔画像データとして生成することもできる。また、情報生成部13aは、予め登録された顔形状モデルと照合させて類似度を算出し、所定の類似度以上の領域を顔画像データとして生成することもできる。
【0037】
また、情報生成部13aによって実行される温度情報の生成処理について説明する。情報生成部13aは、顔画像データに対応する温度情報を生成することができる。換言すると、情報生成部13aは、温度分布データの中の顔画像データに対応する位置の温度を温度情報として生成することができる。また、情報生成部13aは、温度分布データの中の顔画像データに対応する位置の温度を、温度情報として生成することもできる。なお、顔画像データに対応する位置の温度は、黒体炉14の温度に基づいて補正した温度情報として生成することもできる。
【0038】
顔照合部13bは、顔画像データを取得するとともに、情報記憶部13fから登録情報の登録顔画像データを取得し、顔画像データと登録顔画像データとを照合することができる。
【0039】
ここで、顔照合部13bによって実行される顔画像データの照合処理について説明する。顔照合部13bは、顔画像データの中から顔を構成する部位である目、鼻、または口などの大きさ、方向、または相対的位置などの特徴点を検出することができる。また、顔照合部13bは、顔の輪郭を特徴点として検出することもできる。顔照合部13bは、検出された特徴点を、情報記憶部13fに格納された登録情報の登録顔画像データの特徴点と比較し、類似度を算出する。顔照合部13bは、類似度の最も高い登録情報の登録者が人物であると特定することができる。
【0040】
なお、体表面温度測定システム10が建設現場で利用されるとき、人物がヘルメットおよびマスクを着用している場合がある。特に、人物がマスクを着用している場合には、鼻および口がマスクで覆われるため、検出される特徴点が少なくなる。そのため、顔照合部13bは、顔画像データに対してマスクの着用の判定処理を行い、マスクが着用されていると判定された場合には、特徴点として目の優先順位を高くするような重み付けを行い、類似度を算出することもできる。
【0041】
補正処理部13cは、環境情報に対応した補正テーブルを用いて温度情報を補正し、人物の体温情報を生成することができる。
【0042】
ここで、補正処理部13cによって実行される温度補正処理について説明する。補正処理部13cは、情報記憶部13fから特定された登録者の登録情報に含まれる登録体温情報(予め作成され、登録された登録者の平熱の情報)を取得する。また、補正処理部13cは、人物の温度情報および環境情報を取得する。補正処理部13cは、登録体温情報と温度情報との差分値を算出する。補正テーブルでは、補正値と、差分値および環境情報とが対応付けられている。そのため、補正処理部13cは、補正テーブルを参照し、差分値および環境情報から補正値を取得することができる。また、補正処理部13cは、温度情報および補正値に基づき(例えば、温度情報に補正値を加算し)、人物の体温情報を生成することができる。
【0043】
補正テーブル記憶部13dは、温度情報を補正するための補正テーブルを格納することができる。格納される補正テーブルは1つであってもよく、複数であってもよい。複数の補正テーブルが格納される場合、登録体温情報の範囲に応じた複数の補正テーブルであってもよい。この場合、補正処理部13cは、取得した登録体温情報が含まれる補正テーブルを参照して、補正値を取得することができる。
【0044】
情報処理部13eは、体温情報を取得し、人物の体調を判定することができる。例えば、情報処理部13eは、体温情報が登録体温情報の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、人物の体調が異常であると判定することができる。具体的には、登録体温情報が36.3℃および所定の倍数が1.02倍である場合、体温情報が37.0℃以上であるときには、人物の体調が異常であると判定される。また、情報処理部13eは、体温情報が登録情報の体温統計情報(過去に生成され、または更新された体温情報を統計処理したデータ)の平均値または中央値の所定の倍数以上または所定の閾値以上であるとき、人物の体調が異常であると判定することができる。また、情報処理部13eは、体温情報と体温登録情報の平均値または中央値との差が体温統計情報の標準偏差の所定の倍数以上または所定の閾値であるとき、人物の体調が異常であると判定することもできる。具体的には、体温統計情報の平均値が36.2℃、体温統計情報の標準偏差が0.2℃、および所定の倍数が3倍である場合、体温情報が36.8℃以上であるときには、人物の体調が異常であると判定される。体調判定において人物の体調が異常と判定された場合、情報処理部13eは、体調不良情報を生成することができる。
【0045】
また、情報処理部13eは、顔画像データと体温情報とが紐付けられた顔情報を生成することができる。顔情報は、体温情報がメタ情報として顔画像データに含まれていてもよい。また、体調不良情報が生成された場合には、情報処理部13eは、顔画像データ、体温情報、および体調不良情報が紐付けられた顔情報を生成することができる。この場合の顔情報は、体温情報および体調不良情報がメタ情報として顔画像データに含まれていてもよい。
【0046】
また、情報処理部13eは、生成された顔情報を登録情報に追加し、登録情報を更新することができる。登録情報は、予め登録された登録顔画像データ、登録体温情報、および登録個人情報、ならびに生成された顔情報を含む。また、登録情報は、検出された体温情報を体温統計情報として含まれてもよい。この場合、情報処理部13eによって体温統計情報の平均値および標準偏差を算出され、体温統計情報の平均値および標準偏差が登録情報に含まれていてもよい。なお、平均値の代わりに中央値でもよい。体温に偏りがある人物の場合は中央値の方が望ましい判断ができる場合がある。したがって、統計処理を行う場合、正規分布の場合は平均値を採用し、2つ以上の偏りのある分布の場合は中央値を用いることもできる。なお、この設定は任意に選択することができる。
【0047】
情報記憶部13fは、複数の登録者の登録情報を格納することができる。登録情報は、登録体温情報および体温統計情報を含む。登録体温情報の温度は1つだけでなく、複数であってもよい。登録者の平熱のばらつきを、登録体温情報の複数の温度として代替することができる。
【0048】
体表面温度測定システム10は、上述の構成に限られない。体表面温度測定システム10は、上述した構成以外の構成を含んでいてもよい。
【0049】
[2.体表面温度測定システム10の体温測定処理(ステップS100)]
図3は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10で実行される体温測定処理(ステップS100)のフローチャート図である。
【0050】
ステップS110では、センサ11(環境情報生成部11a)が、環境情報を取得することができる。センサ11(環境情報生成部11a)によって取得された環境情報は、情報処理装置13に送信される。
【0051】
ステップS120では、撮像装置12(撮像部12a)が、可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを生成することができる。撮像装置12(撮像部12a)によって生成された画像データおよび温度分布データは、情報処理装置13に送信される。
【0052】
ステップS130では、情報処理装置13(情報生成部13a)が、人物の顔画像データおよび温度情報を生成することができる。
【0053】
ステップS140では、情報処理装置13(顔照合部13b)が、人物の顔画像データと登録情報の登録顔画像データ(登録者の顔画像データ)とを照合することができる。照合判定において人物が特定された場合(ステップS140:YES)、ステップS200(温度補正処理)が実行される。照合判定において人物が特定されなかった場合(ステップS140:NO)、ステップS300(人物登録処理)が実行される。なお、ステップS200(温度補正処理)の詳細については、後述する。また、ステップS300(人物登録処理)の詳細については、後述する第4実施形態で説明する。
【0054】
ステップS150では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、体温情報を用いて人物の体調を判定することができる。体調判定において人物の体調が正常と判定された場合(ステップS150:YES)、ステップS170が実行される。体調判定において人物の体調が異常と判定された場合(ステップS150:NO)、ステップS160が実行される。また、この場合、顔画像データ、体温情報、および体調不良情報が紐付けられた顔情報が生成される(ステップS160)。
【0055】
ステップS160では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、体調不良情報を生成することができる。
【0056】
ステップS170では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、顔画像データと体温情報とが紐付けられた顔情報が生成される。また、ステップS160において体調不良情報が生成された場合、情報処理装置13(情報処理部13e)は、顔画像データ、体温情報、および体調不良情報が紐付けられた顔情報を生成することができる。
【0057】
ステップS180では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、生成された顔情報を登録情報に追加し、登録情報を更新することができる。このとき、体温情報は、登録情報の体温統計情報に追加され、登録情報が更新されてもよい。
【0058】
登録情報が更新されると、体温測定処理(ステップS100)は終了する。
【0059】
体表面温度測定システム10の体温測定処理は、上述した処理に限られない。体表面温度測定システム10は、上述した処理の一部を並列的に実行してもよく、上述した処理以外の処理を実行してもよい。
【0060】
ここで、図4を参照して、温度補正処理(ステップS200)について詳細に説明する。
【0061】
ステップS210では、情報処理装置13(補正処理部13c)が、登録情報の登録体温情報(特定された登録者の登録体温情報)、人物の温度情報、および環境情報を取得することができる。
【0062】
ステップS220では、情報処理装置13(補正処理部13c)が、登録温度情報と温度情報との差分値を算出することができる。
【0063】
ステップS230では、情報処理装置13(補正処理部13c)が、補正テーブルを参照し、環境情報および差分値に応じた補正値を取得することができる。
【0064】
ステップS240では、情報処理装置13(補正処理部13c)が、温度情報および補正値に基づいて、人物の体温情報を生成することができる。
【0065】
体温情報が生成されると、温度補正処理(ステップS200)は終了する。
【0066】
[3.体表面温度測定システム10の利用態様]
図5は、本発明の一実施に係る体表面温度測定システム10で生成された体温情報の利用態様の一例を説明する模式図である。
【0067】
図5では、No.1~No.3に示す3人の人物(以下、それぞれを、第1の人物、第2の人物、および第3の人物とする。)が登録情報に登録されているものとして説明する。
【0068】
一般的に、サーマルカメラなどの非接触の撮像装置から得られた温度情報は、環境によって左右され、環境温度(例えば、気温など)が低下すると得られる温度情報も低下する傾向にある。図5では、第1の人物、第2の人物、第3の人物の補正前の温度情報(単に情報生成部13aによって生成された温度情報)は、それぞれ、36.7℃、37.0℃、および37.0℃である。しかしながら、これらの温度情報が登録温度情報よりも低い環境温度の下で検出された場合、実際の人物の平熱よりも低い温度情報である可能性が高い。
【0069】
体表面温度測定システム10では、補正テーブルを用いて温度情報を補正し、環境情報に依存しない体温情報を取得することができる。これにより、人物の日々の体温情報における環境情報による変動が抑制されるため、体表面温度測定システム10は、精度の高い体温測定が可能となる。
【0070】
また、図5に示すように、人の平熱は個人によって異なっている。大人の平均的な平熱は、概ね36.6℃~37.0℃である。そのため、検出された体温情報が37.0℃以上であっても、その体温情報が平熱である人もいる。図6では、第3の人物の登録体温情報が36.9℃であるのに対し、体表面温度測定システム10で得られた体温情報は37.2℃であり、その差はわずか0.3℃である。この値は第3の人物の平熱の変動の範囲内と言える。これに対し、登録体温情報が35.5℃である第1の人物が体表面温度測定システム10を利用して検出された体温情報は、36.9℃である。この場合、登録体温情報と体温情報との差は1.4℃である。この値は第1の人物の平熱の変動を超えるものであり、第1の人物が発熱していることは明らかである。この場合、体調判定において、37.0℃以上の体温情報を異常であると判定すると、第1の人物の体調は正常と判定され、第3の人物の体調は異常と判定されてしまい、実際の人物の体調とは異なる判定がなされる可能性がある。
【0071】
そこで、体表面温度測定システム10では、各人物の平熱の情報(登録体温情報または体温統計情報)を基準として、人物の体調を判定することが好ましい。例えば、体調判定において、登録体温情報と体温情報との差が0.5℃以上である場合を体調に異常があると判定すると、第1の人物および第2の人物の各々の体調は異常と判定され、第3の人物の体調は正常と判定され、実際の人物の体調に合致するものとなる。したがって、体表面温度測定システム10は、環境に左右されず、各個人に合わせた体調の判定が可能である。
【0072】
以上、体表面温度測定システム10は、体表面温度測定時の周囲環境の環境情報および登録時の人物の登録体温情報が反映された補正テーブルに基づいて、人物の体温情報を取得することができる。また、体表面温度測定システム10は、登録体温情報または人物ごとにデータが蓄積された体温統計情報に基づいて、人物の体調を判定することができる。そのため、体表面温度測定システム10は、周囲環境および個人差を考慮した人物の体温を検出し、人物の体調を判定することができる。
【0073】
<第2実施形態>
図6および図7を参照して、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Aについて説明する。本実施形態に係る体表面温度測定システム10Aは、第1実施形態に係る体表面温度測定システム10とは温度補正処理が異なる。なお、以下では、体表面温度測定システム10Aが体表面温度測定システムと同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0074】
[1.体表面温度測定システム10Aの構成]
図6は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Aの構成を示すブロック図である。
【0075】
図6に示すように、体表面温度測定システム10Aは、センサ11、撮像装置12、および情報処理装置13Aを含む。情報処理装置13Aは、情報生成部13a、顔照合部13b、補正処理部13Ac、情報処理部13e、情報記憶部13f、および体温測定学習部13Agを含む。
【0076】
補正処理部13Acは、体温測定学習モデルを用いて温度情報を補正した体温情報を生成することができる。体温測定学習モデルは、環境情報、温度情報、および照合された人物の登録情報に含まれる登録体温情報が入力されると体温情報を出力することができる。
【0077】
体温測定学習部13Agは、機械学習またはディープラーニングなどによる学習によって、体温測定学習モデルを生成することができる。
【0078】
[2.体表面温度測定システム10Aの温度補正処理(ステップS200A)]
図7は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Aで実行される温度補正処理(ステップS200A)のフローチャート図である。
【0079】
ステップS210Aでは、情報処理装置13A(補正処理部13Ac)が、登録情報の登録体温情報(特定された登録者の登録体温情報)、人物の温度情報、および環境情報を取得することができる。
【0080】
ステップS220Aでは、情報処理装置13A(補正処理部13Ac)は、体温測定学習モデルを適用し、登録体温情報、温度情報、および環境情報から補正値を生成することができる。
【0081】
ステップS230Aでは、情報処理装置13A(補正処理部13Ac)は、温度情報および補正値に基づいて、人物の体温情報を生成することができる。
【0082】
体温情報が生成されると、温度補正処理(ステップS200A)は終了する。
【0083】
以上、本実施形態に係る体表面温度測定システム10Aは、体温測定学習モデルが適用され、体温測定時の周囲の環境および登録時の人物の登録体温情報から人物の体温情報を取得することができる。そのため、体表面温度測定システム10Aは、周囲環境および個人差を考慮した人物の体温を検出することができる。
【0084】
<第3実施形態>
図8および図9を参照して、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Bについて説明する。本実施形態に係る体表面温度測定システム10Bは、第1実施形態に係る体表面温度測定システム10とは人物の体調判定処理が異なる。なお、以下では、体表面温度測定システム10Aが体表面温度測定システムと同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0085】
[1.体表面温度測定システム10Bの構成]
図8は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Bの構成を示すブロック図である。
【0086】
図8に示すように、体表面温度測定システム10Bは、センサ11、撮像装置12、および情報処理装置13Bを含む。情報処理装置13Bは、情報生成部13a、顔照合部13b、補正処理部13c、補正テーブル記憶部13d、情報処理部13Be、情報記憶部13f、および表情学習部13Bhを含む。
【0087】
情報処理部13Beは、表情学習モデルを用いて人物の表情を判定し、表情情報を生成することができる。表情学習モデルは、人物の特徴点を抽出し、これら特徴点に基づき表情情報を生成することができる。また、表情学習モデルは、体温情報を利用して顔画像データから人物の表情情報が出力されるものであってもよい。また、表情学習モデルは、体温情報および体調不良情報を利用して顔画像データから人物の表情情報が出力されるものであってもよい。表情学習モデルは、表情情報だけでなく、体調情報を出力することもできる。表情情報は、体調判定における重みとしてもよい。
【0088】
表情学習部13Bhは、機械学習またはディープラーニングなどによる学習によって表情学習モデルを生成することができる。
【0089】
[2.体表面温度測定システム10Bの体温測定処理(ステップS100B)]
図9は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10Bで実行される体温測定処理(ステップS100B)のフローチャート図である。
【0090】
体表面温度測定システム10Bで実行される体温測定処理(ステップS100B)では、温度補正処理(ステップS200)の後で、ステップS190Bが実行される。
【0091】
ステップS190Bでは、情報処理装置13B(情報処理部13Be)が、人物の表情情報を生成することができる。
【0092】
また、体表面温度測定システム10Bで実行される体温測定処理(ステップS100B)では、ステップS190Bの後で、ステップS150Bが実行される。
【0093】
ステップS150Bでは、情報処理装置13B(情報処理部13Be)が、体温情報および表情情報を用いて人物の体調を判定することができる。体調判定において人物の体調が正常と判定された場合(ステップS150B:YES)、ステップS170が実行される。体調判定において人物の体調が異常と判定された場合(ステップS150B:NO)、ステップS160が実行される。また、ステップS160が実行された後は、ステップS170が実行される。なお、ステップS160およびステップS170は、第1実施形態で説明したため、ここでは説明を省略する。
【0094】
登録情報が更新されると、体温測定処理(ステップS100B)は終了する。
【0095】
以上、体表面温度測定システム10Bは、体温測定時の周囲環境の環境情報および登録時の人物の登録体温情報が考慮された体温情報および人物の表情情報によって、人物の体調を判定することができる。そのため、体表面温度測定システム10Bは、周囲環境および個人差を考慮して、人物の体調を判定することができる。
【0096】
<第4実施形態>
図10および図11を参照して、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10の人物登録処理(ステップS300)について説明する。なお、以下で説明する人物登録処理(ステップS300)は一例であって、これに限られない。
【0097】
図10は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10の撮像装置12で撮影される映像を説明する模式図である。
【0098】
体表面温度測定システム10の人物処理(ステップS300)では、人物とともに、人物に関する情報(個人情報)の文字列を撮影する。個人情報としては、所属または氏名などである。なお、登録する人物(登録者)は、マスクを着用していなくてもよく(図10(A))、マスクを着用していてもよい(図10(B))。
【0099】
また、図11は、本発明の一実施形態に係る体表面温度測定システム10の人物登録処理(ステップS300)のフローチャート図である。
【0100】
ステップS310では、センサ11(環境情報生成部11a)が、環境情報を取得することができる(ステップS310)。センサ11(環境情報生成部11a)によって取得された環境情報は、情報処理装置13に送信される。
【0101】
ステップS320では、撮像装置12(撮像部12a)が、可視光領域の画像データおよび赤外光領域の温度分布データを生成することができる(ステップS320)。撮像装置12(撮像部12a)によって生成された画像データおよび温度分布データは、情報処理装置13に送信される。
【0102】
ステップS330では、情報処理装置13(情報生成部13a)が、人物の顔画像データおよび温度情報を生成することができる(ステップS330)。
【0103】
ステップS340では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、画像データの中に文字情報が含まれているか否かを判定することができる(ステップS340)。画像データの中に文字情報が含まれている場合(ステップS340:YES)、ステップS360が実行される。画像データの中に文字情報が含まれていない場合、または文字情報から個人情報を抽出することができない場合(ステップS340:NO)、ステップS350が実行される。
【0104】
ステップS350では、個人情報が入力される。
【0105】
ステップS360では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、文字情報から個人情報を抽出し、顔画像データ、温度情報、および抽出された個人情報が紐付けられた登録情報を生成することができる。なお、ステップS350が実行された場合、情報処理装置13(情報処理部13e)は、顔画像データ、温度情報、および入力された個人情報が紐付けられた登録情報を生成することができる。なお、ステップS360では、情報処理装置13(情報処理部13e)は、顔画像データから人物がマスクを着用しているか否かを判定して、マスク着用情報を生成してもよい。この場合、マスク着用情報は、登録情報に含まれる。
【0106】
ステップS370では、情報処理装置13(情報処理部13e)が、生成された登録情報を登録する。すなわち、登録情報が、情報記憶部13fに格納される。なお、登録情報に含まれる顔画像データ、温度情報、および個人情報は、それぞれ、登録顔画像データ、登録体温情報、および登録個人情報として、体表面温度測定システム10の体温測定処理(ステップS100)または温度補正処理(ステップS200)で利用される。
【0107】
登録情報が登録されると、人物登録処理(ステップS300)は終了する。
【0108】
以上、本実施形態に係る体表面温度測定システム10の人物登録処理(ステップS300)は、顔画像データとともに、個人情報を取得することができる。そのため、体表面温度測定システム10の人物登録処理(ステップS300)では、容易に人物の登録を行うことができる。
【0109】
<第5実施形態>
図12図16を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20について説明する。入退場管理システム20は、体表面温度測定システム10を含む。そのため、入退場管理システム20では、体表面温度測定システム10を利用して、人物の体温を検出することができる。なお、以下では、一例として、入退場管理システム20が建設現場に設置されているものとし、入退場管理システム20を利用した建設現場の作業者(対象者)の入退場管理について説明する。
【0110】
[1.入退場管理システム20の構成]
図12は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の配置図である。入退場管理システム20は、第1のゲート100と第1のゲート100に対向する第2のゲート110とを接続する通路120内に設置されて利用される。建設現場は第2のゲート110の先にあり、対象者は、第2のゲート110を通り抜け、建設現場に入場することができる。すなわち、入退場管理システム20は、建設現場の出入口に設置することができる。図12(A)および図12(B)は、入退場管理システム20の配置は同一であるが、それぞれ、対象者の入場時および退場時を示している。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1のゲート100から進入し、入退場管理システム20を利用した入場処理が行われ、第2のゲート110から退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2のゲート110から進入し、入退場管理システム20を利用した退場処理が行われ、第1のゲート100から退出する。したがって、対象者は、建設現場への入場だけでなく退場においても、入退場管理システム20を用いて入退場管理(入場処理および退場処理)が行われる。
【0111】
なお、図12では、第1のゲート100および第2のゲート110が示されているが、第1のゲート100および第2のゲート110は明確に設置されていなくてもよい。例えば、通路120の途中に入退場管理システム20が設置され、入退場管理システム20が設けられた通路120の一方の端が第1のゲート100となり、他方の端が第2のゲート110となる場合がある。この場合であっても、対象者が通路120を通る際に入退場管理システム20を利用するため、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0112】
図12(A)および図12(B)に示すように、入退場管理システム20は、第1の情報処理装置200、センサ210、第1の撮像装置220、第1の表示装置230、警告装置240、黒体炉250、第2の情報処理装置300、第2の撮像装置320、第2の表示装置330、および第3の情報処理装置400を含む。第1の情報処理装置200、センサ210、第1の撮像装置220、第1の表示装置230、警告装置240、および黒体炉250は、対象者の入場処理において利用される。第2の情報処理装置300、第2の撮像装置320、および第2の表示装置330は、対象者の退場処理において利用される。第3の情報処理装置400は、対象者の入退場管理処理において利用される。
【0113】
詳細は図示しないが、センサ210、第1の撮像装置220、第1の表示装置230、および警告装置240は、第1の情報処理装置200と接続されている。また、第2の撮像装置320および第2の表示装置330は、第2の情報処理装置300と接続されている。さらに、第1の情報処理装置200および第2の情報処理装置300は、第3の情報処理装置400と接続されている。なお、これらの接続は、有線による接続であってもよく、無線による接続であってもよい。
【0114】
センサ210、第1の撮像装置220、第1の表示装置230、および警告装置240は、第2のゲート110の近傍に配置されている。センサ210および第1の撮像装置220の各々は、例えば、通路120の天井面または壁面に配置されている。第1の撮像装置220は、第1のゲート100から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。第1の撮像装置220は、歩行している対象者および黒体炉250を撮影することができ、対象者は、必ずしも第1の撮像装置220の前で停止する必要はない。黒体炉250は、第1の撮像装置220の画角内であって、第1の撮像装置220から適切な距離に設置されている。第1の情報処理装置200は、撮影した対象者を照合し、または対象者の体温を取得し、体温を判定することができる。第1の情報処理装置200は、通路120内に設置されていてもよく、通路120外に配置されていてもよい。第1の表示装置230は、対象者の照合結果を表示することができる。対象者は、第1の表示装置230の画面に表示された照合結果を確認し、第2のゲート110から退出することができる。警告装置240は、対象者の体温がしきい値を超える場合に作動し、体温の異常が認められることを対象者に通知する。
【0115】
同様に、第2の撮像装置320および第2の表示装置330は、第1のゲート100の近傍に配置されている。通路120の天井面または壁面に配置された第2の撮像装置320は、第2のゲート110から進入し、通路120を通過する対象者を撮影することができる。通路120内または通路120外に配置された第2の情報処理装置300は、撮影した対象者を照合することができる。対象者は、第2の表示装置330の画面に表示された照合結果を確認し、第1のゲート100から退出することができる。
【0116】
入退場管理システム20では、対象者が建設現場に入場するときには対象者の体温を検出するが、対象者が建設現場から退場するときには対象者の体温を検出していない。但し、入退場管理システム20は、対象者が退場するときに対象者の体温を検出してもよい。その場合、入退場管理システム20は、対象者の入場時と退場時の体温を比較し、所定の温度差であったときに、警告装置を作動させて体温の異常が認められることを対象者に通知することができる。
【0117】
なお、上述した装置の配置は一例であって、本実施形態に係る入退場管理システム20の装置の配置はこれに限られない。
【0118】
以下では、入退場管理システム20の各装置の構成について説明する。なお、以下では、入退場管理システム20が体表面温度測定システム10と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0119】
第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400の各々は、プログラムに基づいて演算処理を実行することができる。第1の情報処理装置200、第2の情報処理装置300、および第3の情報処理装置400は、1つのコンピュータであってもよく、それぞれが処理可能な複数のコンピュータであってもよい。
【0120】
センサ210は、体表面温度測定システム10のセンサ11と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0121】
第1の撮像装置220は、体表面温度測定システム10の撮像装置12と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。第2の撮像装置320は、少なくとも可視光領域の映像を撮像することができればよく、第1の撮像装置220と同様のカメラであってもよい。
【0122】
第1の表示装置230および第2の表示装置330の各々は、映像を表示することができる装置であり、例えば、液晶表示装置またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置である。また、第1の表示装置230および第2の表示装置330の各々は、入力装置を備えていることが好ましく、例えば、画面上の表示に触れて操作することができるタッチパネルを含んでいてもよい。
【0123】
警告装置240は、異常が発生したことを対象者に知らせることができる装置であり、例えば、警告灯または警告音を発するスピーカーなどである。また、警告装置240は、電光掲示板であってもよい。
【0124】
黒体炉250は、体表面温度測定システム10の黒体炉14と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0125】
以下では、図13を参照して、入退場管理システム20の各装置の構成について、さらに詳細に説明する。
【0126】
図13は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の構成を示すブロック図である。
【0127】
図13に示すように、入退場管理システム20は、環境情報生成部1010、第1の撮像部1020、第1の情報生成部1030、第1の顔照合部1040、補正処理部1050、補正テーブル記憶部1060、入場者情報処理部1070、第1の情報記憶部1080、第1の表示部1090、警告部1100、第2の撮像部1120、第2の情報生成部1130、第2の顔照合部1140、退場者情報処理部1170、第2の情報記憶部1180、第2の表示部1190、入退場管理情報処理部1210、および入退場管理情報記憶部1220を含む。
【0128】
第1の情報処理装置200は、第1の情報生成部1030、第1の顔照合部1040、補正処理部1050、補正テーブル記憶部1060、入場者情報処理部1070、および第1の情報記憶部1080を含む。センサ210は、環境情報生成部1010を含む。第1の撮像装置220は、第1の撮像部1020を含む。第1の表示装置230は、第1の表示部1090を含む。警告装置240は、警告部1100を含む。第2の情報処理装置300は、第2の情報生成部1130、第2の顔照合部1140、退場者情報処理部1170、および第2の情報記憶部1180を含む。第2の撮像装置320は、第2の撮像部1120を含む。第2の表示装置330は、第2の表示部1190を含む。第3の情報処理装置400は、入退場管理情報処理部1210および入退場管理情報記憶部1220を含む。
【0129】
なお、各装置の構成は、図13に示すものに限られない。例えば、第1の撮像装置220が、第1の撮像部1020、第1の情報生成部1030を含んでいてもよい。
【0130】
環境情報生成部1010は、体表面温度測定システム10の環境情報生成部11aと同様の構成である。環境情報生成部1010によって検出された環境情報は、第1の情報処理装置200に送信される。
【0131】
第1の撮像部1020は、体表面温度測定システム10の撮像部12aと同様の構成である。第1の撮像部1020によって生成された画像データおよび温度分布データは、第1の情報処理装置200に送信される。
【0132】
第1の情報生成部1030は、体表面温度測定システム10の情報生成部13aと同様の構成である。すなわち、第1の情報生成部1030は、対象者の顔画像データおよび温度情報を生成することができる。
【0133】
第1の顔照合部1040は、体表面温度測定システム10の顔照合部13bと同様の構成である。すなわち、第1の顔照合部1040は、顔画像データと登録顔画像データとを照合することができる。
【0134】
補正処理部1050は、体表面温度測定システム10の補正処理部13cと同様の構成である。すなわち、補正テーブルを用いて温度情報を補正し、対象者の体温情報を生成することができる。
【0135】
補正テーブル記憶部1060は、体表面温度測定システム10の補正テーブル記憶部13dと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0136】
入場者情報処理部1070は、体表面温度測定システム10の情報処理部13eと同様の構成を含み、対象者の体調を判定することができる。入場者情報処理部1070は、対象者の体調を異常と判定した場合、制御信号を生成することができる。生成された制御信号は、警告装置240に送信される。また、入場者情報処理部1070は、顔画像データと体温情報とが紐付けられた顔情報を生成することができる。なお、顔情報には、入場日時または登録個人情報が含まれていてもよい。
【0137】
また、入場者情報処理部1070は、操作情報を受信したか否かを判定することができる。操作情報を受信しなかった場合、入場者情報処理部1070によって生成された顔情報は、第3の情報処理装置400に送信される。
【0138】
第1の情報記憶部1080は、建設現場で作業する作業者の情報(登録情報)をデータベースとして格納することができる。登録情報は、登録顔画像データまたは登録個人情報などが紐付けられて格納されている。
【0139】
第1の表示部1090は、表示画像信号を受信し、表示画像信号に基づく画像を第1の表示装置230の画面に表示することができる。第1の表示部1090は、例えば、顔情報の顔画像データもしくは体温情報、または登録情報の登録顔画像データもしくは登録個人情報などを第1の表示装置230の画面に表示することができる。また、第1の表示部1090は、顔情報と登録情報とが一致しているか否かを確認するためのアイコン、例えば、対象者の照合が誤検出である場合にタッチ操作可能なアイコンを画面に表示することができる。対象者によってアイコンがタッチされた場合、第1の表示部1090は、操作情報を生成し、操作情報を第1の情報処理装置200に送信することができる。
【0140】
警告部1100は、制御信号を受信し、制御信号に基づいて警告装置240を作動させることができる。
【0141】
第2の撮像部1120は、少なくとも可視光領域の映像を撮像し、画像データを生成することができるが、第1の撮像部1020と同様の構成であってもよい。第2の撮像部1120によって生成された画像データは、第2の情報処理装置300に送信される。
【0142】
第2の情報生成部1130は、少なくとも対象者の顔画像データを生成することができればよい。
【0143】
第2の顔照合部1140は、第1の顔照合部1040と同様の構成である。すなわち、第2の顔照合部1140は、顔画像データと登録顔画像データとを照合することができる。
【0144】
退場者情報処理部1170は、入場者情報処理部1070と同様の構成を含み、顔画像データを含む顔情報を生成することができる。なお、顔情報には、退場日時または登録個人情報が含まれていてもよい。
【0145】
また、退場者情報処理部1170は、操作情報を受信したか否かを判定することができる。操作情報を受信しなかった場合、退場者情報処理部1170によって生成された顔情報は、第3の情報処理装置400に送信される。
【0146】
第2の情報記憶部1180は、第1の情報記憶部1080と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0147】
第2の表示部1190は、第1の表示部1090と同様の構成である。すなわち、第2の表示部1190は、顔情報の顔画像データ、または登録情報の登録顔画像データもしくは登録個人情報などを第2の表示装置330の画面に表示することができる。また、対象者によってアイコンがタッチされた場合、第2の表示部1190は、操作情報を生成し、操作情報を第2の情報処理装置300に送信することができる。
【0148】
入退場管理情報処理部1210は、入場者情報処理部1070によって生成された顔情報および退場者情報処理部1170によって生成された顔情報を受信し、これらが紐付けられた入退場管理情報を生成または更新することができる。すなわち、入退場管理情報処理部1210は、入場者情報処理部1070によって生成された顔情報および退場者情報処理部1170によって生成された顔情報に含まれる情報を項目とし、データベース化された入退場管理情報を生成または更新することができる。入退場管理情報は、例えば、入場日時、退場日時、入場時の顔画像データ、退場時の顔画像データ、体温、所属、または氏名などの情報を含む。
【0149】
入退場管理情報記憶部1220は、入退場管理情報処理部1210によって生成された入退場管理情報をデータベースとして格納することができる。
【0150】
上述した装置および各装置の構成は一例であって、本実施形態に係る入退場管理システム20の構成はこれに限られない。例えば、各構成によるデータまたは情報の送受信が無線である場合には、各装置に通信部が含まれていてもよい。
【0151】
また、入退場管理システム20の利用は、建設現場における入退場管理に限られない。例えば、イベント施設またはイベント会場の出入口に入退場管理システム20を設置し、利用者の入退場管理を行うこともできる。イベント施設への入退場管理システム20の設置の一例としては、利用者の顔画像データを登録させてチケットを販売する場合が挙げられる。この場合、利用者はウォークスルーでイベント施設へ入退場できるとともに、後に、利用者の中にインフルエンザウイルスまたはコロナウイルスの感染者がいたことが判明した場合であっても、入退場管理システム20を用いて利用者がイベント施設へ入退場していたことを確認することができる。
【0152】
以下では、図14図16を参照して、入退場管理システム20による入場処理(ステップS1000)および退場処理(ステップS2000)について説明する。
【0153】
[2.入退場管理システム20の入場処理(ステップS1000)]
図14および図15は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の入場処理(ステップS1000)を示すフローチャート図である。具体的には、図14は、第1の情報処理装置200および第3の情報処理装置400で実行される処理を示し、図15(A)は、第1の表示装置230で実行される処理を示し、図15(B)は、警告装置240で実行される処理を示している。
【0154】
入場処理(ステップS1000)のステップS1010~ステップS1050の処理は、それぞれ、体表面温度測定システム10の体温測定処理(ステップS100)のステップS110~ステップS150の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0155】
ステップS1060では、入場者情報処理部1070が、顔画像データと体温情報とが紐付けられた顔情報を生成することができる。
【0156】
ステップS1070では、体調判定において対象者の体調が異常と判定された場合(ステップS1050:NO)において、入場者情報処理部1070が、制御信号を生成することができる。生成された制御信号は、警告装置240に送信され、ステップS1080(警告処理)が実行される。
【0157】
ここで、図15(A)を参照して、警告処理(ステップS1080)について説明する。
【0158】
ステップS1081では、警告部1100が、制御信号を取得することができる。
【0159】
ステップS1082では、警告部1100が、制御信号に基づき、警告装置240を作動することができる。対象者は、警告装置240の作動により、自分自身の体温が高いことを確認することができる。警告装置240が作動すると、警告処理(ステップS1080)は終了する。
【0160】
再び、図14に戻り、入場処理(ステップS1000)について説明する。
【0161】
警告処理(ステップS1080)の終了後は、ステップS1010が実行される。
【0162】
また、ステップS1060の後は、ステップS1090(表示処理)が実行される。
【0163】
ここで、図15(B)を参照して、表示処理(ステップS1090)について説明する。
【0164】
ステップS1091では、第1の表示装置230(第1の表示部1090)が、表示画像信号を取得することができる。
【0165】
ステップS1092では、第1の表示装置230(第1の表示部1090)が、表示画像信号を基に、画面に画像を表示することができる。このとき、第1の表示装置230の画面には、対象者の照合結果が表示されている。そのため、対象者は、画面を見て、照合結果が正しいか否かを確認することができる。
【0166】
ステップS1093では、第1の表示装置230(第1の表示部1090)が、画面に表示されている照合結果が誤検出であるか否かを判定することができる。具体的には、第1の表示装置230は、対象者による誤検出の入力操作が行われた否かを判定する。誤検出の入力操作が行われた場合(ステップS1093:YES)、ステップS1094が実行される。誤検出の入力操作が行われなかった場合(ステップS1093:NO)、表示処理(ステップS1090)は終了する。
【0167】
ステップS1094では、第1の表示装置230(第1の表示部1090)が、操作情報を生成することができる。生成された操作情報は、第1の情報処理装置200に送信される。操作情報が生成されると、表示処理(ステップS1090)は終了する。
【0168】
再び、図14に戻り、入場処理(ステップS1000)について説明する。
【0169】
表示処理(ステップS1090)の終了後は、ステップS1100が実行される。
【0170】
ステップS1100では、第1の情報処理装置200(入場者情報処理部1070)が、操作情報を受信したか否かを判定することができる(ステップS1100)。例えば、第1の情報処理装置200が、一定の時間内に操作情報を受信することを判定条件とすることができる。第1の情報処理装置200が操作情報を受信した場合(ステップS1100:YES)、ステップS1010が実行される。第1の情報処理装置200が操作情報を受信しなかった場合(ステップS1100:NO)、顔情報が第3の情報処理装置400に送信される。
【0171】
ステップS1110では、第3の情報処理装置400(入退場管理情報処理部1210)が、入場者情報処理部1070で生成された顔情報を対象者の入場情報として、データベース化された入退場管理情報を生成または更新することができる(ステップS1170)。
【0172】
入退場管理情報が生成または更新されると、入場処理(ステップS1000)は終了する。
【0173】
[3.入退場管理システム20の退場処理(ステップS2000)]
図16は、本発明の一実施形態に係る入退場管理システム20の退場処理(ステップS2000)を示すフローチャート図である。具体的には、図16は、第2の情報処理装置300および第3の情報処理装置400で実行される処理を示している。
【0174】
退場処理(ステップS2000)は、入場処理(ステップS1000)において対象者の体温の検出が行われない以外の処理は同様である。すなわち、体温の検出に関する処理を除くと、退場処理(ステップS2000)のステップS2010~S2060の処理は、それぞれ、入場処理(ステップS1000)のステップS1020~ステップS1040、ステップS1060、およびステップS1090~ステップS1110と同様の処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0175】
ステップS2060の後は、ステップS2070が実行される。
【0176】
ステップS2070では、第3の情報処理装置400(入退場管理情報処理部1210)が、退場者情報処理部1170で生成された顔情報を対象者の退場情報として、データベース化された入退場管理情報を更新することができる。
【0177】
入退場管理情報が更新されると、退場処理(ステップS2000)は終了する。
【0178】
以上、入退場管理システム20の構成ならびに入場処理および退場処理について説明したが、入退場管理システム20は、対象者の入場だけでなく、退場も管理することができる。そのため、入退場管理情報を利用し、対象者の滞在時間、または対象者と接触した可能性のある作業者などを容易に把握することができる。
【0179】
<第6実施形態>
図17および図18を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットパネル30について説明する。ユニットパネル30に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0180】
図17および図18は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットパネル30の模式的な斜視図および模式的な平面図である。ユニットパネル30は、パネル材500Aを含み、パネル材500Aには、入退場管理システムの構成の全部または一部が設けられている。パネル材500Aに設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200A、センサ210A、第1の撮像装置220A、第1の表示装置230A、警告装置240A、第2の情報処理装置300A、第2の撮像装置320A、または第2の表示装置330Aなどである。したがって、建設現場の出入口にユニットパネル30を設置すれば、ユニットパネル30に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。なお、黒体炉250Aは、第1の撮像装置220Aの画角内に入る位置に配置されている。
【0181】
パネル材500Aの材質は、特に限定されない。パネル材500Aとして、例えば、木材または樹脂材などを用いることができる。また、パネル材500Aには、対象者が通り抜けるための開口部510Aが設けられている。
【0182】
パネル材500Aの第1の面501Aの一方の側に、センサ210A、第1の撮像装置220A、第1の表示装置230A、および警告装置240Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第2の面502Aの一方の側に、第1の情報処理装置200Aが設けられている。センサ210A、第1の撮像装置220A、第1の表示装置230A、および警告装置240Aは、第1の情報処理装置200Aと接続されている。なお、第1の情報処理装置200Aが無線で接続される場合、第1の情報処理装置200Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0183】
パネル材500Aの第2の面502Aの他方の側に、第2の撮像装置320Aおよび第2の表示装置330Aが設けられている。また、これらの装置が設けられたパネル材500Aの裏面である第1の面501Aの他方の側に、第2の情報処理装置300Aが設けられている。第2の撮像装置320Aおよび第2の表示装置330Aは、第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第2の情報処理装置300Aが無線で接続される場合、第2の情報処理装置300Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0184】
図18(A)および図18(B)では、第3の情報処理装置400Aがパネル材500Aから離れて設置されているが、第3の情報処理装置400Aも、パネル材500Aに設けられていてもよい。第3の情報処理装置400Aは、第1の情報処理装置200Aおよび第2の情報処理装置300Aと接続されている。なお、第3の情報処理装置400Aが無線で接続される場合、第3の情報処理装置400Aは、パネル材500Aの近傍に配置されていなくてもよい。
【0185】
開口部510Aは、第1のゲートまたは第2のゲートに対応する。ユニットパネル30は、パネル材500Aの第2の面502Aが建設現場の出入口に接続されるように設置される。図14(A)に示すように、入場時には、対象者は、パネル材500Aの第1の面501A側において入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、開口部510Aを通過して第2の面502A側へ向かう。図14(B)に示すように、退場時には、対象者は、パネル材500Aの第2の面502A側において入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、開口部510Aを通過して第1の面501A側へ向かう。
【0186】
本実施形態に係るユニットパネル30は、あらゆる場所に簡便に設置し、または撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットパネル30を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0187】
<第7実施形態>
図19および図20を参照して、本発明の一実施形態に係る入退場管理システムを含むユニットハウス40について説明する。ユニットハウス40に含まれる入退場管理システムが、入退場管理システム20と同様の構成を含む場合、その構成の説明を省略する場合がある。
【0188】
図19および図20は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るユニットハウス40の外観を示す模式的な斜視図および内部構成を示す模式的な平面図である。ユニットハウス40は、4つの側壁面、4つの側壁面で囲まれた空間の上方を覆う天井面、および4つの側壁面で囲まれた空間の下方を覆う床面からなる箱状体600Bを含み、箱状体600B内には、入退場管理システムの構成全部または一部が設けられている。箱状体600B内に設けられる入退場管理システムは、例えば、第1の情報処理装置200B、センサ210B、第1の撮像装置220B、第1の表示装置230B、警告装置240B、黒体炉250B、第2の情報処理装置300B、第2の撮像装置320B、第2の表示装置330B、または第3の情報処理装置400Bなどである。したがって、建設現場の出入口にユニットハウス40を設置すれば、ユニットハウス40に備えられた入退場管理システムを利用し、建設現場の作業者の入退場管理を行うことができる。
【0189】
箱状体600Bの側壁面、天井面、および床面の各々は、1つの部材で構成されていてもよく、複数の部材で構成されていてもよい。また、箱状体600Bは、柱材または梁材を用いて枠体を構成し、枠体にパネル材が固定されて構成されていてもよい。箱状体600Bは、いわゆるコンテナ、プレハブハウス、またはトランクルームであってもよく、住宅、事務所、倉庫、または店舗などに用いられる簡易的な建築物であってもよい。
【0190】
なお、ユニットハウス40は、そのまま移動して建設現場に設置することができてもよく、またはいくつかの構成部材に分割され、建設現場で組み立てることによって設置することができてもよい。
【0191】
箱状体600Bの4つの側壁面のうち、対向する2つの側壁面には第1の扉610Bおよび第2の扉620Bが設けられている。第1の扉610Bおよび第2の扉620Bは、それぞれ、第1のゲートおよび第2のゲートに対応し、ユニットハウス40は、第2の扉620Bが建設現場の出入口に接続するように設置される。対象者が建設現場に入場するとき、対象者は、第1の扉610Bから進入し、入退場管理システムを利用した入場処理が行われ、第2の扉620Bから退出する。対象者が建設現場から退場するとき、対象者は、第2の扉620Bから進入し、入退場管理システムを利用した退場処理が行われ、第1の扉610Bから退出する。
【0192】
箱状体600Bの側壁面、第1の扉610B、または第2の扉620Bに窓が設けられている場合、窓を通じてユニットハウス40内に入射する光を遮光するために、窓にカーテン、ブラインド、またはスモークフィルムなどの遮光部材が設けられていることが好ましい。窓からの光を遮光することによって、箱状体600B内の照度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ照度条件で対象者を撮影することができ、対象者の照合処理の精度が向上する。
【0193】
箱状体600Bの側壁面には、室内機651B、室外機652B、および配管653Bを含む空調機650Bが設けられている。ユニットハウス40は、空調機650Bが設けられていることにより、箱状体600B内の温度を一定に保つことができる。そのため、常に同じ温度条件で対象者を撮影することができ、対象者の体温測定の精度が向上する。また、箱状体600B内の空気を循環させるため、側壁面に換気口または換気扇などが設けられていてもよい。なお、室内機651B、換気口、および換気扇は、側壁面だけでなく、天井面に設置してもよい。
【0194】
また、ユニットハウス40は、充電可能なバッテリー部660Bを備えていることが好ましい。ユニットハウス40がバッテリー部660Bを備えることで、建設現場において外部からの電源の供給が困難である場合であっても、バッテリー部660Bからユニットハウス40の各装置に電源を供給することができる。なお、ユニットハウス40は、発電装置(例えば、天井面または壁面に設けられた太陽光発電装置、風力発電装置、または床下などに設けられた自己発電装置など)を備えていてもよい。
【0195】
さらに、ユニットハウス40は、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bの開閉を検出するセンサを備えていてもよい。ユニットハウス40がセンサを備えることで、第1の扉610Bまたは第2の扉620Bが開けられたときに、例えば、ユニットハウス40の入退場管理システムの電源をオンにすることができる。
【0196】
本実施形態に係るユニットハウス40は、箱状体600Bを移動させ、いくつかの構成を取り付けることによって設置することができるため、あらゆる場所に簡便に設置し、または撤去することが可能である。そのため、建設現場での工程期間中、またはイベント施設もしくはイベント会場の開催期間中などにおいて、ユニットハウス40を一時的に設置し、入退場管理システムを利用して、対象者の入退場管理を行うことができる。
【0197】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0198】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0199】
10、10A、10B:体表面温度測定システム、 11:センサ、 11a:環境情報生成部、 12:撮像装置、 12a:撮像部、 13、13A、13B:情報処理装置、 13a:情報生成部、 13b:顔照合部、 13c、13Ac:補正処理部、 13d:補正テーブル記憶部、 13e、13Be:情報処理部、 13f:情報記憶部、 13Ag:体温測定学習部、 13Bh:表情学習部、 14:黒体炉、
20:入退場管理システム、 30:ユニットパネル、 40:ユニットハウス、
100:第1のゲート、 110:第2のゲート、 120:通路、
200、200A、200B:第1の情報処理装置、 210、210A、210B:センサ、 220、220A、220B:第1の撮像装置、 230、230A、230B:第1の表示装置、 240、240A、240B:警告装置、 250、250A、250B:黒体炉、 300、300A、300B:第2の情報処理装置、 320、320A、320B:第2の撮像装置、 330、330A、330B:第2の表示装置、 400、400A、400B:第3の情報処理装置、
500A:パネル材、 501A:第1の面、 502A:第2の面、 510A:開口部、
600B:箱状体、 610B:第1の扉、 620B:第2の扉、 650B:空調機、 651B:室内機、 652B:室外機、 653B:配管、 660B:バッテリー部、
1010:環境情報生成部、 1020:第1の撮像部、 1030:第1の情報生成部、 1040:第1の顔照合部、 1050:補正処理部、 1060:補正テーブル記憶部、 1070:入場者情報処理部、 1080:第1の情報記憶部、 1090:第1の表示部、 1100:警告部、 1120:第2の撮像部、 1130:第2の情報生成部、 1140:第2の顔照合部、 1170:退場者情報処理部、 1180:第2の情報記憶部、 1190:第2の表示部、 1210:入退場管理情報処理部、 1220:入退場管理情報記憶部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
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