(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】毛髪化粧料キット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20240815BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240815BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240815BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/19
A61K8/34
A61K8/365
A61K8/39
A61K8/41
A61K8/44
A61Q5/02
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2021192975
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 卓也
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-536947(JP,A)
【文献】特表2021-528410(JP,A)
【文献】特表2016-530305(JP,A)
【文献】特開2021-088506(JP,A)
【文献】特開2007-119365(JP,A)
【文献】特開2015-151342(JP,A)
【文献】Shampoo, ID# 8380869,Mintel GNPD[online],2020年12月,[検索日2024.02.19],<URL:http://www.gnpd.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)芳香族スルホン酸又はその塩 1質量%以上
8質量%以下
(a2)成分(a1)以外のアニオン界面活性剤
8質量%以上20質量%以下
(a3)二酸化炭素
0.5質量%以上5質量%以下
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物Aと、
次の成分(b1)
及び(b2):
(b1)
カチオン界面活性剤として作用する第4級アンモニウム塩
0.5質量%以上5質量%以下
(b2)リンゴ酸 0.05質量%以上1質量%以下
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物B
とを含む毛髪化粧料キット。
【請求項2】
ヘアシャンプー組成物Aが、さらに塩基性アミノ酸(a4)を含有する請求項1に記載の毛髪化粧料キット。
【請求項3】
ヘアシャンプー組成物Aが、さらに脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル(a5)を含有する請求項1又は2に記載の毛髪化粧料キット。
【請求項4】
成分(b1)が、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、及びベヘニルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料キット。
【請求項5】
ヘアコンディショナー組成物Bが、さらに高級アルコール(b3)を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料キット。
【請求項6】
髪のくせ及び又はうねりを抑制するための、請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪化粧料キット
【請求項7】
次の工程(I)及び(II):
(I)芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上
8質量%以下、成分(a1)以外のアニオン界面活性剤(a2)
を8質量%以上20質量%以下、及び二酸化炭素(a3)を
0.5質量%以上5質量%以下含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)
カチオン界面活性剤として作用する第4級アンモニウム塩(b1)を
0.5質量%以上5質量%以下、及びリンゴ酸(b2)を0.05質量%以上1質量%以下含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)を経た後に工程(II)を経る毛髪処理方法。
【請求項8】
工程(I)を経た後から工程(II)を経る前に、及び/又は工程(II)を経た後に、毛髪をすすぐ工程を備える請求項7に記載の毛髪処理方法。
【請求項9】
次の工程(I)'及び(II)':
(I)'芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上
8質量%以下、成分(a1)以外のアニオン界面活性剤(a2)
を8質量%以上20質量%以下、及び二酸化炭素(a3)を
0.5質量%以上5質量%以下含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)'
カチオン界面活性剤として作用する第4級アンモニウム塩(b1)を
0.5質量%以上5質量%以下、及びリンゴ酸(b2)を0.05質量%以上1質量%以下含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)'を経た後に工程(II)'を経る毛髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料キットに関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に対する紫外線やドライヤーの熱等の刺激は、毛髪にダメージを与えるだけでなく、くせ毛やうねりの原因ともなる。また、加齢による頭皮の衰えや毛穴の変化にしたがって、毛髪に歪みや縮みが生じたり、水分保持力が低下したりすることもくせ毛やうねりの原因となり得る。こうした毛髪のクセやうねりを緩和し、ストレートで艶やまとまりのある若々しい毛髪を実現することが強く望まれており、従来より種々の開発がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アミノ基等を有するスルファニル酸等の芳香族スルホン酸化合物又はその塩を含む組成物が開示されており、毛髪等のケラチン繊維を縮毛矯正又はストレート化し、扱いやすさや滑らかさをケラチン繊維に付与することを試みている。また特許文献2には、キシレンスルホン酸ナトリウム等の粘度調整剤と、アニオン界面活性剤と、プロパンやイソブタン等の発泡剤とを各々特定量で含む発泡組成物が開示されており、ヘアケア組成物として有効量の活性物質を適正に送達させるべく、泡密度の特定の範囲への調整を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-73443号公報
【文献】特表2019-505546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、毛髪におけるくせやうねりを緩和しようとするにあたり、上記いずれの特許文献に記載の技術であっても、充分な効果を得るには、ある程度の時間を要することを余儀なくされる。そのため、日々使用を繰り返す上では、未だ使用者に過度な負担がかかる状況にある。このように、使用者への負担を軽減しつつ、毛髪におけるくせやうねりを充分に緩和することのできる毛髪化粧料は、未だ実現されるには至っていない。
【0006】
したがって、本発明は、使用者に過度な負担を要することなく、有効かつ迅速に毛髪におけるくせやうねりを充分に緩和することのできる毛髪化粧料キットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、種々検討したところ、特定の成分を含有し、かつpHを特定の範囲とするヘアシャンプー組成物及びヘアコンディショナー組成物を含むことにより、一回あたり比較的短時間の使用であっても、毛髪におけるくせやうねりを効果的に緩和することのできる毛髪化粧料キットを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、次の成分(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)芳香族スルホン酸又はその塩 1質量%以上
(a2)成分(a1)以外のアニオン界面活性剤
(a3)二酸化炭素
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物Aと、
次の成分(b1):
(b1)第4級アンモニウム塩
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物B
とを含む毛髪化粧料キットを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、次の工程(I)及び(II):
(I)芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上、成分(a1)以外のアニオン界面活性剤(a2)、及び二酸化炭素(a3)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)第4級アンモニウム塩(b1)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)を経た後に工程(II)を経る毛髪処理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪化粧料キットによれば、一回の使用に要する時間の短縮を可能にしつつも、有効かつ迅速に毛髪におけるくせやうねりを緩和することができる。したがって、日々繰り返される使用において、使用者への負担を有効に軽減しながら、ストレートで艶やまとまりのある若々しい毛髪を容易に実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「ヘアシャンプー組成物A」を「組成物A」とも略称し、「ヘアコンディショナー組成物B」を「組成物B」とも略称する。
【0012】
本発明の毛髪化粧料キットが含むヘアシャンプー組成物A(組成物A)は、成分(a1)として、芳香族スルホン酸又はその塩を1質量%以上含有する。かかる成分(a1)により、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に発揮させることができる。
【0013】
成分(a1)としては、具体的には、例えば、ベンゼンスルホン酸又はその塩、ナフタレンスルホン酸又はその塩、アズレンスルホン酸又はその塩、並びにベンゾフェノンスルホン酸又はその塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。かかる成分(a1)の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩(NH4+)、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
【0014】
ベンゼンスルホン酸又はその塩としては、より具体的には、例えば、ベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0015】
ナフタレンスルホン酸又はその塩としては、より具体的には、例えば、1-又は2-ナフタレンスルホン酸(α-又はβ-ナフタレンスルホン酸)、2,7-ナフタレンジスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、1-ナフトール-2-スルホン酸、1-ナフトール-4-スルホン酸、2-ナフトール-6-スルホン酸、2-ナフトール-7-スルホン酸、2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸、1,7-ジヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸、J酸(2-アミノ-5-ナフトール-7-スルホン酸)、1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸、1-ナフチルアミン-4-スルホン酸、ブロエナーズ酸(2-ナフチルアミン-6-スルホン酸)、クレーブズ酸(1-ナフチルアミン-7-スルホン酸)、2-ナフチルアミン-1-スルホン酸、1-ナフチルアミン-6-スルホン酸、1-ナフチルアミン-8-スルホン酸、2,7-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、7,8-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、6-メチル-2-ナフタレンスルホン酸、4-エチル-1-ナフタレンスルホン酸、5-イソプロピル-1-ナフタレンスルホン酸、5-ブチル-2-ナフタレンスルホン酸、並びにこれらの塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0016】
アズレンスルホン酸又はその塩としては、より具体的には、例えば、グアイアズレンスルホン酸、1-アズレンスルホン酸、3-アセチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-(2-ヒドロキシエチル)-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-メチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,4-ジメチル-7-イソプロピル-2-アズレンスルホン酸、1,3-アズレンジスルホン酸、3-ホルミル-4,6,8-トリメチル-1-アズレンスルホン酸、並びにこれらの塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0017】
ベンゾフェノンスルホン酸又はその塩としては、より具体的には、例えば、o-クロロベンゾフェノンスルホン酸、p-クロロベンゾフェノンスルホン酸、2-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、2-アミノベンゾフェノンスルホン酸、4-アミノベンゾフェノンスルホン酸、2-メチルベンゾフェノンスルホン酸、4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、4,4’-ジメチルベンゾフェノンスルホン酸、並びにこれらの塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0018】
これら成分(a1)のなかでも、後述する組成物Bとともに、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に発揮させる観点から、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0019】
成分(a1)の含有量は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に発揮させる観点から、組成物A中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である。そして、成分(a1)の含有量は、組成物A中に、好ましくは1~10質量%であり、より好ましくは1~8質量%であり、さらに好ましくは2~8質量%である。
【0020】
本発明の毛髪化粧料キットが含む組成物Aは、成分(a2)として、成分(a1)の芳香族スルホン酸又はその塩以外のアニオン界面活性剤を含有する。これにより、上記成分(a1)とともに、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に高めながらも、高い洗浄性能を確保することができる。
かかる成分(a2)としては、具体的には、例えば、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、並びにスルホコハク酸エステル塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0021】
成分(a2)を構成するアルキル基又はアルケニル基等の炭化水素基の炭素数、或いは脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8以上であり、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上であり、好ましくは22以下であり、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは18以下である。
成分(a2)の塩としては、アンモニウム塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム塩(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等の塩)が挙げられる。
【0022】
これら成分(a2)の中でも、高い洗浄性能をも保持する観点から、好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ラウレス酢酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルアミノ酸塩から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアルキルエーテル硫酸塩、及びアルキル硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上である。
【0023】
成分(a2)の含有量は、高い洗浄性能を確保しつつ、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に発揮させる観点から、組成物A中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。そして、成分(a2)の含有量は、組成物A中に、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは8~30質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。
【0024】
成分(a2)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a2)/(a1))は、高い洗浄性能と毛髪におけるくせやうねりの優れた緩和効果とを有効に兼ね備える観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1以上であり、さらに好ましくは1.2以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは10以下である。そして、成分(a2)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a2)/(a1))は、好ましくは0.5~50であり、より好ましくは1~30であり、さらに好ましくは1.2~10である。
【0025】
組成物Aは、成分(a3)として、二酸化炭素を含有する。このように、組成物A中に二酸化炭素を存在させることによって、組成物A中の他の含有成分の毛髪への浸透性を効果的かつ効率的に高めることが可能となり、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果の有効かつ迅速な発揮を有効に促進させることができる。
【0026】
成分(a3)の含有量は、組成物A中の他の含有成分の毛髪への浸透性を効果的かつ効率的に高める観点、及び組成物Aへの溶解性の観点から、組成物A中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。そして、成分(a3)の含有量は、組成物A中に、好ましくは0.5~5質量%であり、より好ましくは1~4質量%であり、さらに好ましくは1~3質量%である。
【0027】
組成物Aは、さらに塩基性アミノ酸(a4)を含有することができる。これにより、有効かつ迅速な毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を発揮させることができる。かかる成分(a4)としては、アルギニン、リシン、ヒスチジン、グアニジン等が挙げられる。なかでも、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に高める観点から、アルギニンが好ましい。
【0028】
成分(a4)の含有量は、髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に高める観点から、組成物A中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。そして、成分(a4)の含有量は、組成物A中に、好ましくは0.5~15質量%であり、より好ましくは1.0~12質量%であり、さらに好ましくは1.0~10質量%である。
【0029】
成分(a4)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a4)/(a1))は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を一層有効かつ迅速に発揮させる観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.12以上であり、好ましくは15以下であり、より好ましくは12以下であり、さらに好ましくは5以下である。そして、成分(a4)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a4)/(a1))は、好ましくは0.05~15であり、より好ましくは0.12~12であり、さらに好ましくは0.12~5である。
【0030】
組成物Aは、さらに脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種以上(a5)を含有することができる。これにより、有効かつ迅速な毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を発揮させることができる。
脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルの脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは14以下である。また、成分(a5)におけるエチレンオキシ基の平均付加モル数は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下である。
【0031】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、次の一般式(1)で表されるものを用いることができる。
R1-O-(CH2CH2-O)m-H・・・(1)
〔式中、R1は炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、mは平均値で5以上50以下の数を示す。〕
一般式(1)において、R1の炭素数は、有効かつ迅速な毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を発揮させる観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、好ましくは16以下であり、より好ましくは14以下である。
【0032】
かかる成分(a5)としては、具体的には、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルとしては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(例えば、ポリソルベート80)が挙げられる。
なかでも、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を迅速に高める観点から、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンが好ましく、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンがより好ましい。
【0033】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(13)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルが挙げられる。
なかでも、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を迅速に高める観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましい。
【0034】
成分(a5)の含有量は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を迅速に高める観点から、組成物A中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。そして、成分(a5)の含有量は、組成物A中に、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.2~12質量%であり、さらに好ましくは0.5~10質量%である。
【0035】
成分(a5)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a5)/(a1))は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を一層有効かつ迅速に発揮させる観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.06以上であり、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である。そして、成分(a5)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a5)/(a1))は、好ましくは0.01~15であり、より好ましくは0.02~10であり、さらに好ましくは0.06~5である。
【0036】
組成物Aは、さらに水を含有するのが好ましい。これにより、組成物Aの各含有成分を良好に分散又は溶解させ、毛髪への浸透性を促進させることができる。水としては、イオン交換水や蒸留水等が挙げられる。
水の含有量は、組成物A中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは95質量%以下である。そして、水の含有量は、組成物A中に、好ましくは10~95質量%であり、より好ましくは30~95質量%であり、さらに好ましくは50~95質量%である。
【0037】
組成物Aは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分の他、毛髪化粧料に通常配合される成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、上記成分以外の界面活性剤、酸化防止剤、油剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0038】
組成物Aの使用形態としては、エアゾール製剤であることが好ましい。エアゾール製剤としては、本発明の組成物Aを成分(a3)以外の組成物(以下、組成物Aの原液とも称する)として、成分(a3)を含む噴射剤と共に加圧容器に封入したエアゾールスプレー、エアゾールフォーム等の1剤式形態で使用するのがよい。
エアゾール製剤に用いられるエアゾール容器としては、金属製又はプラスチック製等の公知の耐圧容器、或いは耐圧容器の内部に内袋が収容された二重構造容器が挙げられる。二重構造容器においては、内袋に組成物Aの原液を充填し、耐圧容器と内袋との間に噴射剤を充填する。また、エアゾール製剤の調製方法は特に制限されない。例えば、エアゾール容器を構成する耐圧容器に組成物Aの原液を充填してバルブを取り付け、次いでバルブ部分から噴射剤を充填することにより調製できる。
【0039】
噴射剤は、成分(a3)の二酸化炭素を含み、その他、窒素、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン及びこれらの混合物である液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、イソペンタン等のその他液化ガスを含んでいてもよい。
組成物Aの原液と共に噴射剤を耐圧容器に充填する場合、組成物Aの原液、及び噴射剤中の成分(a3)の含有量は、組成物Aの原液と成分(a3)との合計量である組成物A100質量%中に上記含有量となるように調製する。また、噴射剤中成分(a3)の含有量は、泡の吐出性及び泡質を向上させる観点、成分(a1)の毛髪内部への浸透を促進して、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を高める観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、よりさらに好ましくは90質量%以上であり、よりさらに好ましくは100質量%である。すなわち噴射剤は、成分(a3)の二酸化炭素のみからなることが好ましい。
エアゾール容器として、二重構造容器を用い、内袋に組成物Aの原液を充填し、耐圧容器と内袋との間に噴射剤を充填する場合には、噴射剤中の二酸化炭素の含有量は、組成物Aの原液と成分(a3)との合計量である組成物A100質量%中に上記含有量となればよく、特に制限されない。
【0040】
噴射剤の充填量は、泡の吐出性及び泡質を向上させる観点、成分(a1)の毛髪内部への浸透を促進して、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を高める観点、及び適度な噴射速度を得る観点から、組成物Aの原液と成分(a3)を含む噴射剤との合計量を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。そして、組成物Aの原液と成分(a3)を含む噴射剤との合計量を100質量%とした場合における噴射剤の充填量は、好ましくは0.5~5質量%であり、より好ましくは1.0~3質量%である。
また、適度な噴射速度を得る観点から、噴射剤を充填した後のエアゾール容器の25℃における内圧は、好ましくは0.1MPa以上であり、より好ましくは0.3MPa以上であり、好ましくは1.3MPa以下であり、より好ましくは1.0MPa以下であり、さらに好ましくは0.8MPa以下となるように調整する。そして、噴射剤を充填した後のエアゾール容器の25℃における内圧は、好ましくは0.1~1.3MPaであり、より好ましくは0.3~1.0MPaであり、さらに好ましくは0.3~0.8MPaである。
【0041】
組成物Aの30℃における粘度は、エアゾール容器からの良好な吐出性及び吐出後の形状維持の観点から、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは50mPa・s以上であり、さらに好ましくは80mPa・s以上であり、好ましくは1000mPa・s以下であり、より好ましくは500mPa・s以下である。そして、組成物Aの30℃における粘度は、好ましくは10~1000mPa・sであり、より好ましくは50~500mPa・sであり、さらに好ましくは80~500mPa・sである。
なお、組成物Aの30℃における粘度は、組成物Aを110mLガラス瓶に約100mL充填した後、密閉し、30℃の定温恒温槽にて1時間以上静置した後、No.1のローターを用い、BM型粘度計(TV-10、東機産業(株)製)にて粘度を測定した。また、回転速度は50rpmとし、回転開始から60秒経過した時点での粘度を、30℃における組成物Aの粘度とした。エアゾール製剤の場合は、エアゾール容器から吐出した後、5分間放置した時点での粘度である。
【0042】
組成物Aは、5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満である。これにより、組成物A中において、上記成分(a3)の不要な解離を抑制して有効に存在させることが可能となり、組成物A中の含有成分の毛髪への浸透を効果的かつ効率的に促進することができる。
【0043】
組成物Aを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHは、組成物A中の含有成分の毛髪への浸透を効果的かつ効率的に促進する観点から、1以上であって、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、5未満であって、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である。そして、組成物Aを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHは、1以上5未満であって、好ましくは2~4.5であり、より好ましくは3~4である。
なお、組成物Aを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHとは、具体的には、実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
【0044】
本発明の毛髪化粧料キットが上記組成物Aとともに含むヘアコンディショナー組成物B(組成物B)は、成分(b1)として、第4級アンモニウム塩を含有する。成分(b1)は、いわゆるカチオン界面活性剤として作用する成分であり、上記組成物Aによる毛髪におけるくせやうねりの緩和効果の発揮をさらに相乗的に高めることができる。
【0045】
かかる成分(b1)としては、具体的には、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、アラキルトリメチルアンモニウム塩、及びベヘニルトリメチルアンモニウム塩等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。成分(b1)の塩としては、塩化物、臭化物、有機酸又は無機酸による塩等が挙げられる。
なかでも、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を高める観点から、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩がより好ましく、またこれらの塩化物が好ましい。
【0046】
成分(b1)の含有量は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効に高める観点から、組成物B中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。そして、成分(b1)の含有量は、組成物B中に、好ましくは0.2~15質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは1~5質量%である。
【0047】
組成物Bは、さらに有機酸(b2)を含有することができる。成分(b2)は、組成物Aに含有される上記成分(a1)以外の有機酸であり、組成物Bがこれを含有することにより、毛髪におけるくせやうねりを緩和しつつ、毛髪へハリやコシを良好に付与することができる。
かかる成分(b2)としては、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸;酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも毛髪へのハリやコシの付与効果を高める観点から、ヒドロキシカルボン酸が好ましく、乳酸、リンゴ酸がより好ましい。
【0048】
成分(b2)の含有量は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果とともに、毛髪へのハリやコシの付与効果をも高める観点から、組成物B中に、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。そして、成分(b2)の含有量は、組成物B中に、好ましくは0.05~5質量%であり、より好ましくは0.1~3質量%であり、さらに好ましくは0.2~1質量%である。
【0049】
成分(b2)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b2)/(b1))は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を一層有効かつ迅速に発揮させる観点から、好ましくは0.003以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.10以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.8以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。そして、成分(b2)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b2)/(b1))は、好ましくは0.003~1.0であり、より好ましくは0.05~0.8であり、さらに好ましくは0.10~0.5である。
【0050】
組成物Bは、さらに高級アルコール(b3)を含有することができる。これにより、毛髪におけるくせやうねりを緩和しつつ、毛髪に滑らかさを付与することができる。
かかる成分(b3)としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール、或いは飽和又は不飽和の脂肪族アルコールでもよく、その炭素数は、好ましくは10以上であり、より好ましくは14以上であり、さらに好ましくは16以上であり、好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、さらに好ましくは18以下である。成分(b3)としては、具体的には、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び2-オクチルドデカノール等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコールがより好ましい。
【0051】
成分(b3)の含有量は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果とともに、毛髪への滑らかさの付与効果をも高める観点から、組成物B中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、よりさらに好ましくは5質量%以下である。そして、成分(b3)の含有量は、組成物B中に、好ましくは0.2~20質量%であり、より好ましくは0.5~15質量%であり、さらに好ましくは1.5~10質量%であり、よりさらに好ましくは1.5~5質量%である。
【0052】
成分(b3)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b3)/(b1))は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を一層有効かつ迅速に発揮させる観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.2以上であり、よりさらに好ましくは0.3以上であり、よりさらに好ましくは1.0以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは10以下であり、よりさらに好ましくは5以下である。そして、成分(b3)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b3)/(b1))は、好ましくは0.01~50であり、より好ましくは0.05~30であり、さらに好ましくは0.2~30であり、よりさらに好ましくは0.3~10であり、よりさらに好ましくは1.0~5である。
【0053】
組成物Bは、さらに水を含有するのが好ましい。これにより、組成物Bの各含有成分を良好に分散又は溶解させ、毛髪への浸透性を促進させることができる。水としては、イオン交換水や蒸留水等が挙げられる。
水の含有量は、組成物B中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは99.9質量%以下である。そして、水の含有量は、組成物B中に、好ましくは50~99.9質量%であり、より好ましくは60~99.9質量%であり、さらに好ましくは70~99.9質量%である。
【0054】
組成物Bは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分の他、毛髪化粧料に通常配合される成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、油剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤、pH調整剤、噴射剤等が挙げられる。
【0055】
組成物Bの使用形態としては、液状製剤、乳化製剤、ゲル製剤、エアゾール製剤等が利用できる。なかでも、本発明の効果をより有意に発揮する観点から、液状製剤、乳化製剤、ゲル製剤であることが好ましい。
【0056】
組成物Bの30℃における粘度は、毛髪へ良好に伸展させる観点から、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは50mPa・s以上であり、さらに好ましくは50mPa・s以上であり、好ましくは100000mPa・s以下であり、より好ましくは70000mPa・s以下であり、さらに好ましくは50000mPa・s以下である。そして、組成物Aの30℃における粘度は、好ましくは10~100000mPa・sであり、より好ましくは50~70000mPa・sであり、さらに好ましくは50~50000mPa・sである。
なお、組成物Bの30℃における粘度は、組成物Bを110mLガラス瓶に約100mL充填した後、密閉し、30℃の定温恒温槽にて1時間以上静置した後、BM型粘度計(TV-10、東機産業(株)製)にて粘度を測定した。ローター及び回転速度はメーカーカタログ記載の測定上限値表に基づき、適宜変更される。また、回転開始から60秒経過した時点での粘度を、30℃における組成物Bの粘度とした。
【0057】
組成物Bは、5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満である。これにより、組成物B中の含有成分の毛髪への浸透を効果的かつ効率的に促進し、上記組成物Aとともに、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を有効かつ迅速に発揮させることができる。
【0058】
組成物Bを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHは、組成物B中の含有成分の毛髪への浸透を効果的かつ効率的に促進する観点から、1以上であって、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、5未満であって、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である。そして、組成物Aを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHは、1以上5未満であって、好ましくは2~4.5であり、より好ましくは3~4である。
なお、組成物Bを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHとは、具体的には、実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
【0059】
本発明の毛髪化粧料キットは、毛髪処理方法としても極めて有用性が高い。すなわち、本発明の毛髪処理方法は、次の工程(I)及び(II):
(I)芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上、アニオン界面活性剤(a2)、及び二酸化炭素(a3)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)第4級アンモニウム塩(b1)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)を経た後に工程(II)を経る。
【0060】
工程(I)は、上記ヘアシャンプー組成物Aを毛髪に塗布する工程、いわゆる毛髪を洗髪する工程である。より具体的には、まずヘアシャンプー組成物Aを手のひらにのせ、両手をこすりあわせて適宜泡立てた後、毛髪に塗布してもよい。また、ヘアシャンプー組成物Aを毛髪へ良好に伸展させる観点から、ブラシ等の道具を用いて予め毛髪の絡まりを解いておくことが好ましく、また水を用いて予め毛髪を濡らしておくことが好ましい。毛髪に塗布するヘアシャンプー組成物Aの量は、1回あたり毛髪100gに対して、0.2g以上50g以下が好ましい。
ヘアシャンプー組成物Aを毛髪に塗布した後、手のひらを用いて洗髪してもよく、ブラシ等の道具を用いて洗髪してもよい。
【0061】
工程(I)に要する時間は、本発明の毛髪化粧料キットであれば、有効かつ迅速に毛髪におけるくせやうねりを充分に緩和することができることから、好ましくは1分以上であり、10分以下であってもよく、さらに5分以下であってもよい。
【0062】
なお、工程(I)を経た後から、後述する工程(II)を経る前に、毛髪をすすぐ工程を備えるのが好ましい。これにより、ヘアシャンプー組成物Aにより良好に毛髪の洗髪効果を得つつ毛髪におけるくせやうねりの緩和効果も享受した後、続く工程(II)において用いるヘアコンディショナー組成物Bによる毛髪におけるくせやうねりの緩和効果をも重畳的に得ることができる。
【0063】
工程(II)は、上記工程(I)を経た後に経る工程であって、上記ヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程、いわゆる洗髪後の毛髪のコンデションを整える工程である。なお、ヘアコンディショナー組成物Bを毛髪へ塗布する際、かかるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪の隅々にわたり良好に浸透させる観点から、ブラシ等の道具を用いて塗布してもよい。毛髪に塗布するヘアコンディショナー組成物Bの量は、1回あたり毛髪100gに対して、0.2g以上50g以下が好ましい。
【0064】
工程(II)に要する時間は、本発明の毛髪化粧料キットであれば、有効かつ迅速に毛髪におけるくせやうねりを充分に緩和することができることから、ヘアコンディショナー組成物Bの塗布後の放置時間も含め、好ましくは1分以上であり、10分以下であってもよく、さらに5分以下であってもよい。
【0065】
なお、工程(II)を経た後、毛髪をすすぐ工程を備えるのが好ましい。これにより、毛髪にヘアシャンプー組成物Aやヘアコンディショナー組成物Bを不要に残存させることなく、毛髪の洗髪効果を得つつ毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を良好に享受することができる。
【0066】
組成物A中の成分(a1)の毛髪への塗布量と組成物B中の成分(b1)の毛髪への塗布量との質量比〔(a1)/(b1)〕は、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を向上させる観点から、好ましくは0.02~15であり、より好ましくは0.06~10であり、さらに好ましくは0.1~2.5である。
【0067】
また、本発明は、髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法としても極めて有用性が高い。すなわち、本発明の髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法は、次の工程(I)'及び(II)':
(I)'芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上、アニオン界面活性剤(a2)、及び二酸化炭素(a3)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)'第4級アンモニウム塩(b1)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)'を経た後に工程(II)'を経る。
【0068】
なお、工程(I)'は、上記工程(I)と同様であり、また工程(II)'は上記工程(II)と同様である。かかる工程を経ることにより、本発明の毛髪化粧料キットによる有効かつ迅速な毛髪におけるくせやうねりを充分に緩和する効果を得ることができ、髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法として活用することができる。
【0069】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の毛髪化粧料キット、毛髪処理方法、及び毛髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法を開示する。
[1]次の成分(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)芳香族スルホン酸又はその塩 1質量%以上
(a2)成分(a1)以外のアニオン界面活性剤
(a3)二酸化炭素
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物Aと、
次の成分(b1):
(b1)第4級アンモニウム塩
を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物B
とを含む毛髪化粧料キット。
[2]成分(a1)が、ベンゼンスルホン酸又はその塩、ナフタレンスルホン酸又はその塩、アズレンスルホン酸又はその塩、並びにベンゾフェノンスルホン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上であり、成分(a1)の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩(NH4+)、有機アンモニウム塩であり、或いは好ましくはベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはo-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である上記[1]の毛髪化粧料キット。
[3]成分(a1)の含有量が、組成物A中に、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下である上記[1]又は[2]の毛髪化粧料キット。
【0070】
[4]成分(a2)が、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、並びにスルホコハク酸エステル塩等から選ばれる1種又は2種以上であり、成分(a2)の塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム塩である上記[1]~[3]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[5]成分(a2)の含有量が、組成物A中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である上記[1]~[4]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[6]成分(a2)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a2)/(a1))が、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1以上であり、さらに好ましくは1.2以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは10以下である上記[1]~[5]いずれか1の毛髪化粧料キット。
【0071】
[7]成分(a3)の含有量が、組成物A中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である上記[1]~[6]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[8]組成物Aが、さらに塩基性アミノ酸(a4)を含有し、成分(a4)が、好ましくはアルギニン、リシン、ヒスチジン、グアニジンであり、より好ましくはアルギニンである上記[1]~[7]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[9]成分(a4)の含有量が、組成物A中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である上記[8]の毛髪化粧料キット。
[10]成分(a4)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a4)/(a1))が、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.12以上であり、好ましくは15以下であり、より好ましくは12以下であり、さらに好ましくは5以下である上記[8]又は[9]の毛髪化粧料キット。
【0072】
[11]組成物Aが、さらに脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種以上(a5)を含有する上記[1]~[10]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[12]脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステルの脂肪酸残基の炭素数が、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは14以下であり、エチレンオキシ基の平均付加モル数が、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下である上記[11]の毛髪化粧料キット。
[13]ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、次の一般式(1)で表される上記[11]又は[12]の毛髪化粧料キット。
R1-O-(CH2CH2-O)m-H・・・(1)
〔式中、R1は炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、mは平均値で5以上50以下の数を示す。〕
[14]成分(a5)の含有量が、組成物A中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である上記[11]~[13]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[15]成分(a5)の含有量と成分(a1)の含有量との質量比((a5)/(a1))が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.06以上であり、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である上記[11]~[14]いずれか1の毛髪化粧料キット。
【0073】
[16]組成物Aの使用形態が、エアゾール製剤である上記[1]~[15]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[17]組成物Aを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である上記[1]~[16]いずれか1の毛髪化粧料キット。
【0074】
[18]成分(b1)が、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、アラキルトリメチルアンモニウム塩、及びベヘニルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種又は2種以上であり、成分(b1)の塩が、塩化物、臭化物、有機酸又は無機酸による塩であり、好ましくはセチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩である上記[1]~[17]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[19]成分(b1)の含有量が、組成物B中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である上記[1]~[18]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[20]組成物Bが、さらに有機酸(b2)を含有し、成分(b2)が、好ましくはヒドロキシカルボン酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、及び酸性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはヒドロキシカルボン酸であり、さらに好ましくは乳酸、リンゴ酸である上記[1]~[19]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[21]成分(b2)の含有量が、組成物B中に、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である上記[20]の毛髪化粧料キット。
[22]成分(b2)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b2)/(b1))が、好ましくは0.003以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.10以上であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.8以下であり、さらに好ましくは0.5以下である上記[20]又は[21]の毛髪化粧料キット。
【0075】
[23]組成物Bが、さらに高級アルコール(b3)を含有し、成分(b3)の炭素数が、好ましくは10以上であり、より好ましくは14以上であり、さらに好ましくは16以上であり、好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、さらに好ましくは18以下である上記[1]~[22]いずれか1の毛髪化粧料キット。
[24]成分(b3)の含有量が、組成物B中に、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、よりさらに好ましくは5質量%以下である上記[23]の毛髪化粧料キット。
[25]成分(b3)の含有量と成分(b1)の含有量との質量比((b3)/(b1))が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.2以上であり、よりさらに好ましくは0.3以上であり、よりさらに好ましくは1.0以上であり、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは10以下であり、よりさらに好ましくは5以下である上記[23]又は[24]の毛髪化粧料キット。
[26]組成物Bを5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である上記[1]~[25]いずれか1の毛髪化粧料キット。
【0076】
[27]次の工程(I)及び(II):
(I)芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上、アニオン界面活性剤(a2)、及び二酸化炭素(a3)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)第4級アンモニウム塩(b1)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)を経た後に工程(II)を経る毛髪処理方法。
[28]工程(I)に要する時間が、好ましくは1分以上であり、10分以下であってもよく、さらに5分以下であってもよい上記[27]の毛髪処理方法。
[29]工程(II)に要する時間が、好ましくは1分以上であり、10分以下であってもよく、さらに5分以下であってもよい上記[27]又は[28]の毛髪処理方法。
[30]組成物A中の成分(a1)の毛髪への塗布量と組成物B中の成分(b1)の毛髪への塗布量との質量比〔(a1)/(b1)〕が、好ましくは0.02~15であり、より好ましくは0.06~10であり、さらに好ましくは0.1~2.5である上記[27]~[29]いずれか1の毛髪処理方法。
【0077】
[31]次の工程(I)'及び(II)':
(I)'芳香族スルホン酸又はその塩(a1)を1質量%以上、アニオン界面活性剤(a2)、及び二酸化炭素(a3)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアシャンプー組成物A
を毛髪に塗布する工程
(II)'第4級アンモニウム塩(b1)を含有し、かつ5質量%の水溶液としたときの25℃におけるpHが1以上5未満であるヘアコンディショナー組成物Bを毛髪に塗布する工程
を備え、かつ工程(I)'を経た後に工程(II)'を経る髪のくせ及び又はうねりを抑制する方法。
【実施例】
【0078】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0079】
[実施例1~10、比較例1~9]
表1の処方にしたがって、ヘアシャンプー組成物Aを調製した。具体的には、成分(a3)及び噴射剤x(成分(a3)以外の噴射剤)以外の各成分を配合した後、均一になるまで混合し、ヘアシャンプー組成物Aの原液を調製した。次いで、成分(a3)及び噴射剤xを含むものに関しては、ヘアシャンプー組成物Aの原液50gと、各表に示す成分(a3)及び噴射剤xとを、表に示す質量比となるように容量100mLのエアゾール容器(東洋製罐社製、容器型:BL35A115-H、内面コート:エポキシフェノール系、外面:銀無地(若しくは白))に充填し、エアゾール型毛髪洗浄剤を作製した。成分(a3)及び噴射剤x充填後のエアゾール容器の内圧は、0.65~0.85MPaの範囲に調整した。
【0080】
別途表2の処方にしたがって、ヘアコンディショナー組成物Bを調製した。具体的には、各成分を配合した後、均一になるまで混合してヘアコンディショナー組成物Bを調製した。
【0081】
調製した各ヘアシャンプー組成物A及びヘアコンディショナー組成物BのpHを、下記方法により測定した。次いで、表3~4にしたがって、ヘアシャンプー組成物Aとヘアコンディショナー組成物Bを組み合わせ、毛髪化粧料キットを得た。
得られた各キットを用い、下記方法にしたがって、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果を評価した。
結果を表3~4に示す。
【0082】
《pHの測定》
得られたヘアシャンプー組成物A及びヘアコンディショナー組成物Bについて、各々水を用いて5質量%の水溶液となるように調製し、よく攪拌した後、pHメーター(東亜ディーケーケー(株)製、HM-30R)を用いて25℃にて測定した。
【0083】
《毛髪におけるくせやうねりの緩和効果の評価》
日々繰り返されるシャンプー組成物及びコンディショナー組成物による短時間のヘアケアを想定して、以下の1)~8)の操作を行った。
【0084】
1)カールしたコーカシアン毛(Kerling international haarfabrik社製、European-natural hair remis curly 30~35cm)を平らな板上に置き、上方から見た時の変曲点となる場所で切り出し(以下、Cカール毛と称する)、これをイオン交換水に20分間浸漬した後、20℃50%RHにて24時間以上静置した。
2)Cカール毛を1mm方眼紙上に置いて上方より撮影を行い、得られた画像を用いてCカール毛を円弧に見立てた時の、かかる円弧に内接する円の直径D0を測定した。
3)次に、Cカール毛を40℃のシャンプー組成物Aに5分間浸漬した後、イオン交換水に1分間浸漬した。
4)次いで、得られたCカール毛を25℃のコンディショナー組成物Bに2分間浸漬した後、イオン交換水に1分間浸漬した。
5)上記3)~4)の操作を5回繰り返した。
【0085】
6)その後、得られたCカール毛をイオン交換水に20分間浸漬した後、20℃50%RHにて24時間以上静置した。
7)次いで、得られたCカール毛を円弧に見立てた時の、かかる円弧に内接する円の直径Dを測定し、直径D/直径D0の値を算出した。
8)上記1)~7)の操作を別途切り出した5本のCカール毛に対して行い、その平均値をくせ緩和率として求め、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果の評価の指標とした。
なお、得られたくせ緩和率の値が1.10以上であると、1回あたりのキットの使用が比較的短時間であっても、毛髪におけるくせやうねりの緩和効果に優れると判断できる。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】