(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】販売管理装置、販売管理プログラム、および販売管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240815BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2022012339
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗焼 洋介
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 壮宇
(72)【発明者】
【氏名】西山 英峰
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-63378(JP,A)
【文献】特開2005-250719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える販売管理装置であって、
得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、
得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成手段と、
得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成手段と、
を備え、
前記受注データ作成手段は、前記消費実績データ作成手段が算出した差額を値引きする後値引用の受注データを作成することを特徴とする販売管理装置。
【請求項2】
前記標準仕切単価および前記本仕切単価は更新可能である、請求項1に記載の販売管理装置。
【請求項3】
制御部を備える販売管理装置で実行される販売管理プログラムであって、
得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、
得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成ステップと、
得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成ステップと、
前記消費実績データ作成ステップで算出した差額を値引きする後値引用の受注データを作成する後値引受注データ作成ステップと、
をコンピュータで実行することを特徴とする販売管理プログラム。
【請求項4】
制御部を備える販売管理装置で実行される販売管理方法であって、
得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、
得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成ステップと、
得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成ステップと、
前記消費実績データ作成ステップで算出した差額を値引く後値引用の受注データを作成する後値引受注データ作成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする販売管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売管理装置、販売管理プログラム、および販売管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器業界では、商流として代理店である得意先と建値で取引を行い、代理店から個別の施設へ商品の販売後、各施設への商品の販売実績に応じて値引きを行う運用が行われている。商品の建値(標準仕切単価)と、施設毎に設定された本仕切価格との差額分値引きが行われるが、販売実績に応じて施設毎に本仕切価格が設定されるため、値引額の算出と値引注文の作成にかかる業務負荷が大きなものであった。
【0003】
特許文献1には、得意先、メーカ、商品の値引後単価とを設定した後値引単価マスタを記憶する手段と、得意先データ、商品データ、受注数量、販売価格、販売原価を含む受注データを取得する受注手段と、前記後値引単価マスタに基づいて、前記受注データに対するリベート申請金額、予測原価および予測粗利額を含む予測額データを取得する予測額取得手段と、を備えた粗利管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、販売代理店が後値引額(リベート)を加味した原価および粗利を予測するものであり、メーカ側のリベート付与手続に関するものではない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、販売数量等の販売実績を考慮して施設毎に設定された本仕切価格と得意先からの販売実績に基づき、後値引額(リベート)を算出し、後値引受注データを作成し得る販売管理装置、販売管理プログラム、および販売管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る販売管理装置は、制御部を備える販売管理装置であって、得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、にアクセス可能であり、前記制御部は、得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成手段と、得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成手段と、を備え、前記受注データ作成手段は、前記消費実績データ作成手段が算出した差額を値引く後値引用の受注データを作成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る販売管理装置は、前記標準仕切り単価および前記本仕切単価は更新可能である。
【0009】
また、本発明に係る販売管理プログラムは、制御部を備える販売管理装置で実行される販売管理プログラムであって、得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、にアクセス可能であり、前記制御部は、得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成ステップと、得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価に基づき算出した売上金額と、標準仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成ステップと、前記消費実績作成ステップで算出した差額を値引く後値引用の受注データを作成する後値引受注データ作成ステップと、をコンピュータで実行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る販売管理方法は、制御部を備える販売管理装置で実行される販売管理方法であって、得意先が販売する商品毎に標準仕切単価を記憶する得意先商品別単価マスタと、得意先が販売する施設および商品毎に後値引用の本仕切単価を記憶する得意先施設商品別単価マスタと、にアクセス可能であり、前記制御部は、得意先、商品、販売数量、標準仕切単価、売上金額を含む受注データを作成する受注データ作成ステップと、得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と標準仕切単価に基づき算出した売上金額と、施設毎に設定された本仕切単価で算出した売上価格との差額を含む消費実績データを作成する消費実績データ作成ステップと、前記消費実績データ作成ステップで算出した差額を値引く後値引用の受注データを作成する後値引受注データ作成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、販売数量等の販売実績を考慮して施設毎に設定された本仕切価格と得意先からの販売実績に基づき、後値引額(リベート)を算出し、後値引用の受注データを自動的に作成し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態における販売管理装置100の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態における販売管理装置100で処理する後値引の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態における販売管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施の形態における販売管理装置100の受注データ作成画面MA、明細画面MBの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、得意先マスタ106a、得意先商品別単価マスタ106b、および受注データ106eの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、売上データ106fの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、得意先商品別単価マスタ106b、得意先施設商品別単価マスタ106c、消費実績データ106gの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、後値引の受注データ作成画面MA、明細画面MBの一例を示す図である。
【
図9】
図9は商品マスタ106d、および後値引受注データ106e’の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、後値引売上データ106f’の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る販売管理装置、販売管理プログラム、および販売管理方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.構成]
本実施形態に係る販売管理装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る販売管理装置100の構成の一例を示す図である。
【0015】
販売管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、販売管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0016】
販売管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。販売管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0017】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、販売管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、販売管理装置100とサーバ装置200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ装置200に格納されてもよい。
【0018】
入出力インターフェース部108には、入力装置400および出力装置500が接続されている。出力装置500には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置400には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置500をモニタ500とし、入力装置400をキーボード400またはマウス400として記載する場合がある。
【0019】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0020】
記憶部106は、例えば、得意先マスタ106aと、得意先商品別単価マスタ106bと、得意先施設商品別単価マスタ106cと、商品マスタ106dと、受注データ106eと、売上データ106fと、消費実績データ106g等が格納されている。
【0021】
得意先マスタ106aには、得意先と、商品の標準仕切単価での販売後、後値引を行うか否かを示す情報である建値対象フラグとが関連付けて格納されている。
【0022】
得意先商品別単価マスタ106bには、得意先と、商品毎の標準仕切単価とが関連付けて格納されている。得意先商品別単価マスタ106bの標準仕切単価は、更新可能であって、後述する受注データ106eの作成の際、改定日が売上予定日の直前の標準仕切単価が使用される。
【0023】
得意先施設商品別単価マスタ106cには、得意先と、得意先から商品が販売される施設と、商品毎の本仕切単価とが関連付けて格納されている。得意先施設商品別単価マスタ106cの本仕切単価は、更新可能であって、後述する消費実績データ106gの作成の際、改定日が売上日の直前の本仕切単価が使用される。
【0024】
商品マスタ106dには、品種ごとの後値引商品が格納されている。
【0025】
受注データ106eには、受注した商品の受注番号と、売上予定日、取引区分、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額、建値フラグ等が関連付けて格納されている。取引区分は、通常の受注データであるか、後値引用の受注データであるかを示すものである。
【0026】
売上データ106fには、販売された商品の売上番号と、受注番号、売上日、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額等が関連付けて格納されている。
【0027】
消費実績データ106gは、得意先、施設、商品毎の消費実績(販売実績)のデータである。消費実績データ106gには、消費実績番号と、商品の売上日、得意先、販売先の施設、施設毎の販売数量、標準仕切単価、本仕切単価、標準仕切単価での売上金額と本仕切単価での売上金額との差額等が関連付けて格納されている。消費実績番号は、得意先および商品毎に同一の番号が付与されている。
【0028】
制御部102は、販売管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0029】
制御部102は、機能概念的に、受注データ作成部102a、売上データ作成部102b、消費実績取得部102cなどを備える。
【0030】
受注データ作成部102aは、受注した商品の受注番号と、売上予定日、取引区分、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額、建値フラグ等が関連付けて格納された受注データ106eを作成する。また、受注データ作成部102aは、後述する消費実績データ作成部102cが算出した差額を値引く後値引用の受注データ106e’を作成する。
【0031】
売上データ作成部102bは、受注データ106eに基づき、販売された商品の売上番号と、受注番号、売上日、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額等が関連付けて格納された売上データ106fを作成する。また、売上データ作成部102bは、受注データ作成部102aが作成した後値引用の受注データ106e’に基づき、後値引用の売上データ106f’を作成する。
【0032】
消費実績データ作成部102cは、得意先が販売した施設毎の商品の販売数量を取得し、取得した施設毎の販売数量と施設毎に設定された本仕切単価に基づき算出した売上金額と、標準仕切単価で算出した売上価格との差額含む消費実績データ106gを作成する。消費実績データ作成部102cは、得意先から取得した各施設への商品の販売数量を取得し、取得した販売数量と施設毎に設定された本仕切単価とをかけた実質的な売上価格を取得し、標準仕切単価に基づく売上価格から減ずることにより施設毎の差額を算出する。
【0033】
[2.処理]
ここでは、販売管理装置100で実行される処理の具体例について、
図2~10を参照して説明する。
【0034】
本説明は、販売管理装置100が、商品Aを販売した得意先への後値引を行う処理について説明する。例えば、
図2に示すような取引が行われた場合の処理について説明する。
図2に示すように、自社から得意先(代理店)に商品Aを100個、標準仕切り単価1,000円で販売し、得意先から施設A、B、Cへ商品Aを30個、20個、50個それぞれ販売したものとする。施設A、B、Cに商品Aを販売するに際し、商品Aの各施設への販売単価は、従前の販売実績に伴い値引きされるが、自社から得意先への商品Aの販売の段階では、標準仕切単価(1,000円)で販売を行い、得意先からの納入実績の報告後、納入数量に応じた後値引が行われる。
図2のケースでは、施設Aの本仕切単価は850円、施設Bの本仕切単価は900円、施設Cの本仕切単価は800円に設定されており、標準仕切単価と本仕切り単価の差額に納入実績を乗じた額が後値引として得意先に返金される。従前は、後値引処理はすべて担当者が行っており、業務負荷が大きく、算出した金額等の間違いが発生するおそれもある。
【0035】
図3は、本実施の形態における販売管理装置100処理の一例を示すフローチャートである。受注データ作成部102aは、ユーザにより
図4に示す受注データ作成画面MA、明細画面MBを介して入力された、売上予定日、取引区分、得意先、商品、数量等から、受注データ106eを作成する(ステップS-1)。
【0036】
受注データ作成画面MAでは受注番号が自動採番され、ユーザが受注データ作成画面MA、明細画面MBに、売上予定日、取引区分、得意先、商品、販売数量を入力すると、受注データ作成部102aは、得意先商品別マスタ106bから得意先の商品毎の標準仕切単価を取得し、取得した標準仕切単価と商品の販売数量から売上金額を算出して、明細画面MBに自動入力される。また、受注データ作成部102aは、得意先マスタ106aを参照し、得意先Aが建値フラグの対象か否かを明細画面MBに自動入力する。得意先Aが建値対象である場合(受注データ106eで「1」)、建値(標準仕切単価)で商品Aを販売後、後値引を行い、建値対象でない場合(受注データ106eで「0」)、後値引処理の対象とされない。
図5は、得意先マスタ106aおよび得意先商品別単価マスタ106bからの受注データ106eの作成の一例を示す図であり、
図5に示す受注データ106eの得意先Aは、建値フラグの対象となっている。
【0037】
受注データ106eの作成後、売上データ作成部102bは、受注データ106eを参照し、
図6に示す売上データ106fを作成する(ステップS-2)。売上データ106fは、商品の売上番号、受注番号、売上日、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額等からなる。
【0038】
次に、消費実績データ作成部102cは、得意先Aから商品Aの消費実績(販売実績)を取得し(ステップS-3)、消費実績データ106gを作成する(ステップS-4)。消費実績データ106gは、施設毎の商品Aの消費実績(販売実績)データであり、消費実績番号、商品の売上日、得意先、販売先の施設、施設毎の販売数量、標準仕切単価、本仕切単価、標準仕切単価での売上金額と本仕切単価での売上金額との差額等からなる。消費実績データ作成部102cは、
図7に示すように、得意先商品単価マスタ106bおよび得意先施設商品別単価マスタ106cを参照して標準仕切単価および本仕切単価を取得し、標準仕切単価と本仕切単価とによる売上金額の差額を算出する。
【0039】
消費実績データ106gの作成後、受注データ作成部102aは、消費実績データ作成部102cが算出した差額を値引きする後値引用の受注データ106e’を作成する(ステップS-5)。受注データ作成部102aは、ユーザにより受注データ作成画面MA、明細画面MBを介して入力された、売上予定日、取引区分、得意先、商品等から、受注データ106e’を作成する(ステップS-5)。
【0040】
ユーザが受注データ作成画面MAに消費実績番号を入力すると、受注データ作成部102aは、商品マスタ106dおよび消費実績データ106gを参照し、受注データ作成画面MAおよび明細画面MBに、取引区分、消費実績番号の得意先、消費実績番号の商品と同一品種の商品(後値引A)、数量を自動入力する。また、受注データ作成部102aは、消費実績データ106g中の同じ消費実績番号の商品の差額の合計を算出し、売上金額にマイナス値として入力する。
図8は、後値引用の受注データ作成画面MA、明細画面MBの一例を示す図である。
図8に示すように、受注データ作成画面MAに消費実績番号SJ001を入力すると、値引区分として「後値引」、得意先「得意先A」、数量「1」、売上標準仕切単価「0」、商品「後値引A」、売上金額「-16,500」が自動入力される。売上金額「-16,500」は、
図7の消費実績データ106gにおいて、同じ消費実績番号SJ0001の商品Aの差額4,500、2,000、10,000の合計である。
図9は、商品マスタ106dからの後値引用の受注データ106e’の作成の一例を示す図である。後値引用の受注データ106e’の売上金額には、差額の合計額がマイナス値「-16,500」として入力される。後値引用の受注データ106e’が作成されると、受注データ106e’に基づき得意先Aに後値引処理が行われる。
【0041】
後値引用の受注データ106e’が作成され、後値引処理が終了した後、売上データ作成部102bは、受注データ106e’を参照し、
図10に示す後値引用の売上データ106f’を作成する(ステップS-6)。売上データ106f’は、商品の売上番号、受注番号、売上日、得意先、商品の販売数量、商品の標品仕切単価、売上金額等からなる。後値引用の売上データ106f’の作成、登録により、得意先Aの商品Aに関する商品の受注、販売、後値引処理が完了となる。
【0042】
以上、本実施の形態によれば、得意先商品別単価マスタおよび得意先施設商品別単価マスタに、標準仕切価格および本仕切価格をそれぞれ格納し、得意先から商品についての消費実績情報を取得することで、自動的に標準仕切価格での売上金額と本仕切価格での売上金額との差額を算出し、後値引の金額を取得でき、また、同時に後値引用の受注データも作成できるため、後値引額の算出および後値引額の返金処理に要する業務負荷を低減することができる。さらに、後値引額を自動的に算出するため、算出ミス等の発生を防止することができる。
【0043】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0046】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0047】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0048】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0049】
また、販売管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0050】
例えば、販売管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて販売管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0051】
また、このコンピュータプログラムは、販売管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0052】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0053】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0054】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0055】
また、販売管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、販売管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0056】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、特に、医療機器業界における後値引処理などにおいて有用である。
【符号の説明】
【0058】
100 販売管理装置
102 制御部
102a 受注データ作成部
102b 売上データ作成部
102c 消費実績データ作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 得意先マスタ
106b 得意先商品別単価マスタ
106c 得意先施設商品別単価マスタ
106d 商品マスタ
106e、106e’ 受注データ
106f、106f’ 売上データ
106g 消費実績データ
108 入出力インターフェース部
200 サーバ
300 ネットワーク
400 入力装置
500 出力装置