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特許7538824マンホールの蓋の開閉補助具、およびマンホールの蓋構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】マンホールの蓋の開閉補助具、およびマンホールの蓋構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
E02D29/14 A
E02D29/14 Z
E02D29/14 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022012371
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110756
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000125842
【氏名又は名称】虹技株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】寺田 章広
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-348596(JP,A)
【文献】特開平11-158901(JP,A)
【文献】特開2012-197574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
E02D 29/045-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に埋設されて地中と地上とを連通する開口を形成する枠体と、
該枠体に嵌め込められて該枠体の開口を閉塞可能な蓋と、
前記枠体の開口を閉じた前記蓋に対して施錠、解錠可能な施錠機構とを備え、
該施錠機構が、前記蓋に設けられ、施錠位置と解錠位置とを切替え可能な錠本体部と、前記枠体に設けられ、施錠位置の前記錠本体部に対して係合して前記蓋が開かないように施錠する錠係合部とを有するマンホールの蓋構造体における前記蓋の開閉操作を補助する開閉補助具であって、
前記錠本体部の位置の切替えが可能となるように、前記蓋の上面側から前記錠本体部に対して連結可能に構成される錠連結部と、
前記蓋を前記枠体に対して開閉操作するための開閉工具を用いて前記蓋の開閉操作ができるように、前記錠連結部が解錠位置の前記錠本体部に連結した状態で開閉工具が連結可能に構成される工具連結部と、を備え
前記蓋は、前記開閉工具を用いて所定の離脱方向へ移動操作されることで前記枠体に嵌った状態から離脱するよう構成され、
前記工具連結部は、所定の係止方向で前記開閉工具と係止連結して、前記開閉工具とともに前記施錠機構の施錠または解錠の操作と、前記蓋を前記枠体に対して離脱または嵌める操作とが可能に構成され、
前記錠連結部が連結している前記錠本体部が、
解錠位置に位置した状態では、前記係止方向が離脱方向に沿って、前記工具連結部に係止連結している前記開閉工具を前記係止方向に操作することで、前記蓋を前記枠体から離脱させ、または、前記開閉工具を操作して、前記枠体から離脱した前記蓋体を前記枠体に嵌めることができ、
前記蓋が前記枠体に嵌って施錠位置に位置した状態では、前記係止方向が離脱方向以外の方向となることを特徴とするマンホールの蓋の開閉補助具。
【請求項2】
前記錠連結部は、施錠位置の前記錠本体部に対しては取外し可能に連結され、解錠位置の前記錠本体部に対しては取外し不能に連結されるように構成される請求項1に記載のマンホールの蓋の開閉補助具。
【請求項3】
前記錠連結部は、前記蓋の上面から下方側に挿し込まれて前記錠本体部に連結されるよう構成され、
前記工具連結部は、前記錠連結部が前記錠本体部に連結された状態で前記蓋の上面から上方に突出されるように構成される請求項1または請求項2に記載のマンホールの蓋の開閉補助具。
【請求項4】
地面に埋設されて地中と地上とを連通する開口を形成する枠体と、
該枠体に嵌め込められて該枠体の開口を閉塞可能な蓋と、
前記枠体の開口を閉じた前記蓋に対して施錠、解錠可能な施錠機構と、を備え、
該施錠機構が、前記蓋に設けられ、施錠位置と解錠位置とを切替え可能な錠本体部と、前記枠体に設けられ、施錠位置の前記錠本体部に対して係合して前記蓋が開かないように施錠する錠係合部とを有し、
請求項1ないし請求項の何れか1項に記載のマンホールの前記蓋の前記開閉補助具および前記開閉工具を用いて前記蓋の開閉動作が可能なマンホールの蓋構造体であって、
前記蓋には、前記枠体に嵌った状態の前記蓋を持上げて開閉操作するために、前記開閉工具を直接的に蓋に係止するための開閉係止部が設けられていないことを特徴とするマンホールの蓋構造体。
【請求項5】
前記蓋と前記枠体とを開閉操作可能に連結するヒンジ部をさらに備え、
前記蓋は、該蓋と前記枠体とを縁切りをするために前記開閉工具を挿入する縁切り挿入部を備え、
該縁切り挿入部と前記ヒンジ部とは、前記蓋の径方向おいて前記蓋の中央部を介して対向配置されている請求項に記載のマンホールの蓋構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの蓋の開閉補助具、およびマンホールの蓋構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マンホールとして地下構造物用蓋が開示されている。この地下構造物用蓋は、受枠2と、該受枠2に蝶番構造7により開閉可能に連結され、外周にこじり穴およびバール穴が配置された親蓋本体3と、受枠2と親蓋本体3との間に配置される施錠蓋構造9、とを備える。施錠蓋構造9は、受枠2に突設される係止部と、親蓋本体3に水平回転可能に設けられ、係止部に係合する錠本体とを備える。
【0003】
そして、錠本体を水平回転させて解錠し、バール穴に工具を差込んで親蓋本体を持上げながら水平旋回させることでこれを開口して、所定の作業(特許文献1では、バルブ交換等と記載されている)を行っている。
【0004】
また、所定の作業を終えた際には、バール穴に工具を差込んで、蓋本体を逆方向に水平旋回させて、受枠に取付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-266249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1が示す例では、前記所定の作業を終えて、親蓋本体を受枠に取付ける際に、錠本体の施錠を亡失して解錠したままにする可能性がある。この場合では、施錠できるマンホールとして地下構造物が防犯不足となってしまう。
【0007】
そこで本発明は、マンホールの蓋の防犯性能を高めることができるマンホールの蓋の開閉補助具、および防犯性能の高いマンホールの蓋構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地面に埋設されて地中と地上とを連通する開口を形成する枠体と、該枠体に嵌め込められて該枠体の開口を閉塞可能な蓋と、前記枠体の開口を閉じた前記蓋に対して施錠、解錠可能な施錠機構とを備え、該施錠機構が、前記蓋に設けられ、施錠位置と解錠位置とを切替え可能な錠本体部と、前記枠体に設けられ、施錠位置の前記錠本体部に対して係合して前記蓋が開かないように施錠する錠係合部とを有するマンホールの蓋構造体における前記蓋の開閉操作を補助する開閉補助具であって、前記錠本体部の位置の切替えが可能となるように、前記蓋の上面側から前記錠本体部に対して連結可能に構成される錠連結部と、前記蓋を前記枠体に対して開閉操作するための開閉工具を用いて前記蓋の開閉操作ができるように、前記錠連結部が解錠位置の前記錠本体部に連結した状態で開閉工具が連結可能に構成される工具連結部と、を備える。
【0009】
本発明のマンホールの蓋の開閉補助具では、錠連結部と工具連結部とを備え、錠連結部は、錠本体部の位置の切替えが可能となるように、蓋の上面側から錠本体部に対して連結可能に構成され、工具連結部は、蓋を枠体に対して開閉操作するための開閉工具を用いて蓋の開閉操作ができるように、錠連結部が解錠位置の錠本体部に連結した状態で開閉工具が連結可能に構成されている。このため、開閉補助具を錠本体部に連結して解錠して、その状態の開閉補助具に開閉工具を連結して、蓋の開閉操作を行う。よって、蓋を閉じた後に、忘れることなく開閉補助具に意識が行くので、蓋の施錠を忘れずに、防犯性を高めることができる。
【0010】
本発明では、前記錠連結部は、施錠位置の前記錠本体部に対しては取外し可能に連結され、解錠位置の前記錠本体部に対しては取外し不能に連結されるように構成されてもよい。
【0011】
本発明のマンホールの蓋の開閉補助具では、錠連結部は、施錠位置の錠本体部に対しては取外し可能に連結され、解錠位置の錠本体部に対しては取外し不能に連結されているので、開閉補助具を用いることで、蓋の開閉操作が容易となる。
【0012】
本発明では、前記錠連結部は、前記蓋の上面から下方側に挿し込まれて前記錠本体部に連結されるよう構成され、前記工具連結部は、前記錠連結部が前記錠本体部に連結された状態で前記蓋の上面から上方に突出されるように構成されてもよい。
【0013】
本発明のマンホールの蓋の開閉補助具では、工具連結部は、錠連結部が錠本体部に連結された状態で蓋の上面から上方に突出されるから、蓋の開閉操作のときに突出した工具連結部を確認し易くなり、施錠のし忘れを効果的に抑制できる。
【0014】
本発明では、前記蓋は、前記開閉工具を用いて所定の離脱方向へ移動操作されることで前記枠体に嵌った状態から離脱するよう構成され、前記工具連結部は、所定の係止方向で前記開閉工具と係止連結するよう構成され、前記錠連結部が連結している前記錠本体部が、解錠位置に位置した状態では、前記係止方向が離脱方向に沿い、施錠位置に位置した状態では、前記係止方向が離脱方向以外の方向となっている構成でもよい。
【0015】
本発明のマンホールの蓋の開閉補助具では、工具連結部の向きによって、施錠、解錠が判別できる。
【0016】
本発明は、地面に埋設されて地中と地上とを連通する開口を形成する枠体と、該枠体に嵌め込められて該枠体の開口を閉塞可能な蓋と、前記枠体の開口を閉じた前記蓋に対して施錠、解錠可能な施錠機構と、を備え、該施錠機構が、前記蓋に設けられ、施錠位置と解錠位置とを切替え可能な錠本体部と、前記枠体に設けられ、施錠位置の前記錠本体部に対して係合して前記蓋が開かないように施錠する錠係合部とを有し、上記何れかの前記開閉補助具および前記開閉工具を用いて前記蓋の開閉動作が可能なマンホールの蓋構造体であって、前記蓋には、前記枠体に嵌った状態の前記蓋を持上げて開閉操作するために、前記開閉工具を直接的に蓋に係止するための開閉係止部が設けられていない。
【0017】
本発明のマンホールの蓋構造体では、蓋の開閉操作が開閉補助具と開閉工具とを用いて開閉操作をする場合に限定されるので、したがって、高い防犯性が得られる。
【0018】
本発明は、前記蓋と前記枠体とを開閉操作可能に連結するヒンジ部をさらに備え、前記蓋は、該蓋と前記枠体とを縁切りをするために前記開閉工具を挿入する縁切り挿入部を備え、該縁切り挿入部と前記ヒンジ部とは、前記蓋の径方向おいて前記蓋の中央部を介して対向配置されていてもよい。
【0019】
本発明のマンホールの蓋構造体では、通常は開閉係止部が設けられている位置に、縁切り挿入部が配置されていることで、簡単に蓋と枠体とを縁切りできるとともに、ヒンジ部周りの開閉操作を、いたずらでなされることも防止できるから、防犯性が高くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のマンホールの蓋の開閉補助具では、マンホールの蓋の防犯性能を高めることができ、本発明のマンホールの蓋構造体では、防犯性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態を表すマンホールの蓋構造体の平面図である。
図2】同枠体と蓋との一部断面図である。
図3】同蓋の底面図である。
図4】同蓋の断面図である。
図5】同開閉工具の正面図である。
図6】同開閉工具の側面図である。
図7】同枠体と蝶番との一部断面図である。
図8】同施錠機構の錠本体部の断面図である。
図9】同施錠機構の錠本体部の底面図である。
図10】同施錠機構の錠本体部のみの平面図である。
図11】同施錠機構の錠本体部の調整ねじ、およびフランジ材の断面図である。
図12】同施錠機構の錠本体部の調整ねじ、およびフランジ材の平面図である。
図13】同施錠機構のフランジ材の平面図である。
図14】同開閉補助具の正面図である。
図15】同開閉補助具の側面図である。
図16】同開閉補助具の平面図である。
図17】同開閉補助具のうち、錠連結部を表す底面図である。
図18】同開閉補助具のうち、工具連結部を切断した平面図である。
図19】同開閉補助具のうち、仲介部を切断した平面図である。
図20】同施錠穴部の全体を示す拡大平面図である。
図21】同施錠穴部の全体を示す断面図であり、図20におけるI―I断面矢視図である。
図22】同施錠穴部の他方向からの断面図であり、図20におけるII方向からの断面図である。
図23】同施錠穴部のさらに他方向からの断面図であり、図20におけるIII-III断面矢視図である。
図24】同施錠穴部の全体を示す拡大底面図である。
図25】同施錠穴部の第二貫通穴を表す平面図であり、図21におけるX―X断面矢視図である。
図26】同施錠穴部の第三貫通穴を表す平面図であり、図21におけるY-Y断面矢視図である。
図27】同施錠穴部の第四貫通穴および第五貫通穴を表す平面図であり、図21におけるZ-Z断面矢視図である。
図28】同施錠機構の施錠位置を表す底面図である。
図29】同施錠機構の施錠位置を表す断面図であり、開閉補助具を装着した状態の断面図である。
図30】同施錠機構の解錠位置を表す断面図であり、開閉補助具を装着した状態の断面図である。
図31】別の実施形態の開閉補助具の正面図である。
図32】第二実施形態の開閉補助具の正面図である。
図33】同開閉補助具の側面図である。
図34】同開閉補助具の平面図である。
図35】同開閉補助具のうち、錠連結部を表す底面図である。
図36】同開閉補助具のうち、仲介部を切断した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を示す、マンホールの蓋構造体を説明する。地下構造物であるマンホールは、地下の下水道や暗渠、埋設された電気・通信ケーブルなどの管理(点検・修理や清掃、排気など)を目的として作業員が地上から出入りできるように地面にあけられた縦孔であり、本発明の蓋構造体は、前記マンホールとして、縦孔の地表の開口を閉塞するものである。
【0023】
図1図2に示すように、マンホールの蓋構造体1は、地面に埋設されて地中と地上とを連通する開口2を形成する枠体3を備える。枠体3は、一般的な部材であり、本実施形態では地中に埋め込まれたマンホール本体(図示せず)の上部に配置される基台4と、基台4の内周面に立設された受台5とから構成されている。枠体3は、平面視して円形とされる。
【0024】
受台5の内周の上下方向途中には、該内周から受台5の中心側へ向けて突出する受枠7が配置されている。開口2は、受台5の上部であって、受台5の内部に配置されており、受台5の内周面は、下方に縮径された傾斜面5aとされている。受枠7は、傾斜面5aから前記中心側へ向けて突出しており、後述する錠本体部19が係合する錠係合部である。錠本体部19は、受枠7に対して上下方向で係合する。なお、受枠7の下面7aは、水平方向とされる。
【0025】
マンホールには、枠体3に嵌め込められて枠体3(受枠7)の開口2を閉塞可能な蓋10が設けられている。蓋10は、開口2を閉塞可能なように平面視して円形とされる。蓋10の外周部には、図2に示すように、受枠7に上方から嵌め込まれる縁体11が形成されている。縁体11の外周面は、前記傾斜面5aに倣うように傾斜面とされる。また、蓋10の下面には、図3図4に示すような、縦横にリブ12が形成されている。
【0026】
図1図3で示すように、蓋10の外周部の所定間隔置き(本実施形態では120°置き)にバール穴13が形成されている。バール穴13は、図5図6で示す開閉工具16(バール)の基端部17で、枠体3に対して蓋10をこじる穴として用いられる。すなわち、バール穴13は、蓋10に設けられ蓋10と枠体3とを縁切りをするために開閉工具16を挿入する縁切り挿入部として構成される。各バール穴13は、開閉工具16の基端部17で蓋10がこじられるように、高さ方向下部に向けて広幅に形成されている。
【0027】
蓋10において、隣合うバール穴13の中間位置であって、蓋10の下面に、図7に示すような、蝶番支持機構18が配置されている。蝶番支持機構18は、蓋10の裏面から下方に向けて突出するよう形成されている。蝶番支持機構18には、横軸18a周りに回動することが可能な蝶番20、すなわちヒンジ部が配置されている。また、蝶番支持機構18の奥側であって、受台5の上下方向途中には、蝶番受部21が突設されている。
【0028】
蓋10は、蝶番受部21の内部に形成された蝶番穴22に、蝶番20が摺動することで、枠体3に対して上下方向に開閉可能であるとともに、蓋10を蝶番20周りで略水平方向に回動可能に構成されている。すなわち、蝶番20は、蓋10が枠体3に対して上下方向に開閉可能であるとともに、水平方向に回動可能となるように、蓋10と枠体3とを連結している。
【0029】
なお、図3で示すように、隣合うバール穴13以外のバール穴13、これを特定バール穴14と称すが、構成としては他のバール穴13と同一である。この特定バール穴14は、蓋10の周方向において、ヒンジ部としての蝶番20が配置される蝶番支持機構18に対応する位置である。すなわち、特定バール穴14は、蓋10の径方向おいて蓋10の中央部を介して蝶番20と対向配置されて、平面視して蓋10の周方向において、180°だけ離れて配置されている。
【0030】
図5図6に基づいて、バール穴13(バール穴13,14)に挿入される開閉工具16の構成について説明する。開閉工具16は、一般的な部材で構成されているため、その概要を述べる。開閉工具16は、杆状の工具本体23と、工具本体23の前記基端部17と、工具本体23の前端部24と、工具本体23の杆状途中に配置され、作業者が把持する把手25とを有する。
【0031】
工具本体23の基端部17は、バール穴13の広幅形状に対応して挿入されるように、工具本体23よりも縮径して形成されている。工具本体23の前端部24は、工具本体23の中心軸から前端に向けて傾斜するTの字形を呈しており、工具本体23に連続して該中心軸から傾斜した取付部26と、取付部26の先端にあって、取付部26から直交するように形成される広幅部27とから構成されている。
【0032】
広幅部27は、工具本体23の径方向に突設され、中心軸に対して対向するように一対、具体的には、取付部26から対向する方向に突出している。また、広幅部27における工具本体23側(基端側)は、前端側から基端側へ向けて先細りとなるテーパ形状であり、該テーパ形状は、取付部26の中心軸に対して交差する平面となるよう平面部28によってなり、平面部28は、一対で形成されている。把手25は、双方の広幅部27(平面部28)と平行であり、工具本体23において前端部24側に配置されて、把手25の断面形状は円形である。
【0033】
図2に示すように、マンホールの蓋構造体1は、施錠機構29を備える。施錠機構29は、受台5側に配置された機構部分と、蓋10側に配置された機構部分とを有する。具体的に、施錠機構29は、受台5側に配置された機構部分として、受台5から突出する前記受枠7を備えている。また、蓋10側に配置された機構部分として、錠本体部19と、錠取付部31と、錠付勢部Sとを備える。
【0034】
このような施錠機構29は、施錠機構29全体として(受枠7が固定された状態で)、蓋10が開かないようにする施錠位置F1と、蓋10を開くことが可能な解錠位置F2とを切替え可能である。施錠位置F1と、解錠位置F2については、後に述べる。
【0035】
施錠機構29のうち、錠本体部19について述べる。錠本体部19は、図8に示すように、フック本体8Aと、フック本体8Aの上部に配置された調整ねじ35と、調整ねじ35の上方に配置されたフランジ材40とを備える。
【0036】
錠本体部19におけるフック本体8Aについて説明する。フック本体8Aは、フック部8と、フック9とを有する。フック部8は上下方向に延長されており、円筒形である。フック部8の上部は、後述する錠取付部31に対して、水平方向に回動自在に装着されている。フック部8の内側には、円筒状のスペース34(鍵穴)が形成されている。
【0037】
フック9は、受枠7に対して係合することが可能であって、蓋10が開かないように施錠する部材である。フック9は、フック部8の下端側に配置されており、フック部8から水平方向に突出する突起である。フック9の上面9aは、水平方向に延出される。
また、図9図10図28で示すように、フック9の周方向面は、フック部8の中心軸を中心として周方向一方側が径方向に沿った一方面9bとされ、周方向他方側が一方面9bから傾斜した他方面9cとされている。
【0038】
錠本体部19における調整ねじ35について説明する。調整ねじ35は、図11図13に示すように、フック本体8Aの上端部に配置されている。調整ねじ35は、天板部36と、天板部36の外周から下方に向かって延出される円筒状の支持部37とを備える。支持部37の内部に雌ねじが形成され、フック本体8Aの上端部に形成された雄ねじに螺合されている。そして、支持部37の下端縁が、錠取付部31の内フランジ部33の底に上方向から当接して、フック本体8Aが錠取付部31のフック挿入穴32内で支持されることで、錠本体部19が錠取付部31に取付けられる(図2参照)。なお、内フランジ部33およびフック挿入穴32は、後述する。調整ねじ35の天板部36の中心には、開閉補助具45の錠連結部38が挿入される連結上穴39が穿設される。この連結上穴39は、円形の穴として形成される。
【0039】
錠本体部19におけるフランジ材40について説明する。フランジ材40は、フック本体8Aの上端に、調整ねじ35と下方で重なるようにして配置される。フランジ材40は、フック部8の上端と略面一とされた平面視して略矩形の形状とされる。このフランジ材40の中心には、錠連結部38が挿入可能な楕円状の連結下穴41が形成されている。この連結下穴41は、後述する開閉補助具45の錠連結部38が上下に挿通されることで、上下方向周りの回転方向で錠連結部38と係合するよう構成される補助具係合部である。
【0040】
施錠機構29の錠取付部31について説明する。まず、図1に示すように、前記特定バール穴14の横に、施錠穴本体30が配置されている。図2に示すように、施錠穴本体30は、蓋10の厚み方向に貫通して形成され、錠取付部31は、施錠穴本体30の下方に形成されて、錠本体部19の上部は、錠取付部31に取付けられる。錠取付部31は、施錠穴本体30の底壁である内フランジ部33を有する。内フランジ部33の内部に、フック挿入穴32が形成され、フック挿入穴32の上方に連続して形成された下部穴60を有する。下部穴60は、フック挿入穴32よりも大きく形成されている。錠本体部19の上部は、内フランジ部33に貫通されたフック挿入穴32から装着されるとともに、下部穴60に装着される。また、内フランジ部33の表面には、調整ねじ35における支持部37の下端縁が上方向から当接する当接面33aが形成されている。
【0041】
施錠機構29の錠付勢部Sについて説明する。錠付勢部Sは、図2に示すように、ばね44と、一方ばね座42と、他方ばね座43とを有する。ばね44は、錠本体部19(フック部8、フック9)を下方に付勢するよう設定される。また、ばね44は、調整ねじ35を螺合することによって圧縮量が変化して、フック9を上動あるいは下動することが可能である。一方ばね座42は、フック9から連続してフック部8の外周に亘って形成された水平な面とされる。他方ばね座43は、施錠穴本体30(内フランジ部33)の底面であり、水平な面とされる。したがって、ばね44は、フック部8の下端部に配置され、一方ばね座42と他方ばね座43をばね座として設置される。
【0042】
前記施錠位置F1と前記解錠位置F2について述べる。フック本体8Aは、枠体3の開口2を閉じた蓋10に対して施錠、解錠可能とされる。フック本体8Aにおいて、施錠位置F1(図29参照)は、受枠7の下側にフック9が配置された状態であり、蓋10は、受枠7の下側にフック9が配置された状態であるから、開くことができない。この際、フック9の上面9aと、受枠7の下面7aとが当接するから、蓋10は開くことができない。解錠位置F2(図30参照)は、受枠7からフック9が外れた状態であり、蓋10は、受枠7からフック9が外れた状態であるから、蓋10は、上下方向に開閉可能であるとともに、蝶番20周りで略水平方向に回動可能となる。
【0043】
図2に示すように、前記施錠穴部15は、蓋10の厚み方向に沿った施錠穴本体30の内側に形成されている。施錠穴本体30は、蓋10の上面より下方に突設された中空状の円筒体とされる。
【0044】
施錠穴本体30(施錠穴部15)は、図1に示すように、特定バール穴14の横に配置され、蓋10の厚み方向に貫通して形成されている。特定バール穴14の横とは、具体的に、特定バール穴14の横側近傍であって、蓋外周の縁より蓋10の中心側に配置されている。特定バール穴14の中心と、施錠穴部15の中心とは、蓋10の中心に対して所定間隔(本実施形態の場合、平面視して右側に15°であるが、0°より大きく45°以下でもよい)で配置されている。また、施錠穴部15の中心は、蓋10の径方向のうち、特定バール穴14と蝶番20とが対向する対向方向に対しても、周方向にずれて配置される。
【0045】
ここで、錠本体部19の施錠位置F1と解錠位置F2とを切替え可能であって、施錠穴本体30(施錠穴部15)に挿入される開閉補助具45について説明する。図14図19に示すように、開閉補助具45は、施錠穴部15に挿入される上下方向の使用状態において、前記錠連結部38と、蓋連結部46と、仲介部47と、基部48と、工具連結部49とを有し、これら部材は、下側から上側に一体的に備えている。
【0046】
錠連結部38は、錠本体部19に連結する部材である。錠連結部38は、錠本体部19の位置の切替え、すなわち、施錠位置F1と解錠位置F2との切替えが可能となるように、蓋10の上面側から錠本体部19に対して連結可能に構成される。この錠連結部38の水平方向の断面は、錠本体部19の補助具係合部としての連結下穴41の楕円形状に対応した楕円形状(図17参照)である。よって、錠連結部38が連結下穴41に上方から挿入されることで、開閉補助具45と錠本体部19とが共回りするよう連結される。
【0047】
蓋連結部46は、錠連結部38の上側に形成される。蓋連結部46の水平方向の断面は、長軸が錠連結部38の短軸と同方向で且つ短軸より長く、短軸が錠連結部38の長軸と同方向で且つ長軸と同じ長さの楕円形状(図19参照)である。蓋連結部46の断面は、錠連結部38に直交する楕円形状であって、蓋連結部46の長軸と短軸とは、錠連結部38の長軸と短軸に比べて長く形成されている。すなわち、蓋連結部46は、錠連結部38より径外方向に突出した形状である。また、蓋連結部46は、水平方向の上面46aと、水平方向の下面46bとを備える。
【0048】
仲介部47は、蓋連結部46と基部48とを連結する部材であり、水平方向の断面は円形である。この円形断面は、蓋連結部46の短軸と同様である(図19参照)。
【0049】
基部48は、仲介部47の上側に形成される。基部48は、上部を有底とする円板部材50と、円板部材50の外周面から下方に垂下された環状部材51とを備えている。環状部材51は、仲介部47の上部を覆っている。環状部材51の下面51aは水平方向に形成される。また、環状部材51の内周径は、後述する第二穴形成部材52の外径よりも大きく形成されている。
【0050】
工具連結部49は開閉工具16を連結する部材である。工具連結部49は基部48の円板部材50から上方に突出する。そして、工具連結部49は、円板部材50の径方向に沿って、離間して一対で配置されている(図16参照)。工具連結部49は、円板部材50から立ち上がる上下方向杆53と、上下方向杆53の上端部に形成されて、上下方向杆53から屈曲される屈曲体54とを備える。屈曲体54は基部48の中心軸から傾斜する傾斜体49Aと、傾斜体49Aの一端(上端)から傾斜体49Aに戻るように傾斜される鍵体49Bとを有する。そして、屈曲体54の対向する対向内面54a、すなわち傾斜体49Aと鍵体49Bの対向面がそれぞれ形成されている。この対向内面54aには、開閉工具16の平面部28が当接可能とされている。
【0051】
すなわち、屈曲体54は、開閉補助具45の中心軸に交差する方向における一方側が開放し、他方側へ凸となるように屈曲または湾曲した鉤形状であり、開放側から開閉工具16の前端部24の広幅部27が進入して係合することで、工具連結部49に開閉工具16が連結される。
【0052】
なお、平面視した図16に示すように、基部48に対して前記蓋連結部46は、両工具連結部49側が長軸であり、基部48に対して前記錠連結部38は、工具連結部49に沿う方向が長軸である。
【0053】
次に、図20図27に基づいて、施錠穴部15の穴形状について説明する。施錠穴部15の穴形状は、蓋10の上面側に配置される補助具挿入部15A(図21参照)と、下面側に配置される錠取付部31とを備える。補助具挿入部15Aは、上端が蓋10上面において開口し、上方から下方へ向けて開閉補助具45を挿入可能である。錠取付部31は、下端が蓋10の下面において開口し、下方から上方へ向けて錠本体部19を挿入して取付け可能である。また、補助具挿入部15Aの下端と錠取付部31の上端とは連通して形成されている。
【0054】
補助具挿入部15Aは、第一穴部55、第二穴部56、第三穴部57、第四穴部58、第五穴部59を有する。錠取付部31は、下部穴60を有し、下部穴60は、フック挿入穴32と内フランジ部33とを有する。具体的に、施錠穴部15は、図20に示すように、複数種類の上下の穴領域から構成される。図21に示すように、穴領域は、蓋10の表面側から順に、第一穴部55、第二穴部56、第三穴部57、第四穴部58、第五穴部59および内フランジ部33(下部穴60)として構成されている。これら、第一穴部55、第二穴部56、第三穴部57、第四穴部58、第五穴部59および内フランジ部33(下部穴60)は、施錠穴本体30を用いて形成されている。
【0055】
図20図23に示すように、第一穴部55の上部は拡径され、第一穴部55の下部は、上部に対して縮径されている。第一穴部55の上部および下部は、以下に示す第二穴部56、第三穴部57、第四穴部58および第五穴部59よりも大きな面積である。
【0056】
第一穴部55の内部に形成された、上部および下部に連続する第一貫通穴61は、平面視して何れも円形である。第一貫通穴61の直径は、開閉補助具45の基部48の直径よりも大きく形成されており、該基部48を収容可能に構成されている。この第一貫通穴61には、開閉補助具45の錠連結部38、蓋連結部46、仲介部47、および基部48が、上方から押込まれる。また、工具連結部49の下端部を上方から押込むことができる。
【0057】
第二穴部56は、第一穴部55から上方に向けて突設された第二穴形成部材52から構成される。この第二穴形成部材52は、第一穴部55(第一貫通穴61)の下端部に配置されている。第二穴形成部材52は、第一貫通穴61の底面61aから立設されている。第二穴形成部材52の高さは、基部48における環状部材51の高さと同等である。第二穴形成部材52の内部に第二貫通穴62が配置されている。
【0058】
第二貫通穴62は、図25において、蓋10の径方向に倣う方向を長軸とする楕円形状である。この第二貫通穴62は、錠連結部38および蓋連結部46(断面が楕円形状)である長軸が挿入可能であり、また、仲介部47(断面が円形)も挿入可能である。すなわち、第二貫通穴62には、開閉補助具45の錠連結部38、蓋連結部46および仲介部47が上方から押込まれる。
【0059】
第二貫通穴62の長軸および短軸は、蓋連結部46の長軸および短軸と対応した長さとなっている。これにより、蓋連結部46が第二貫通穴62を通過するためには、長軸および短軸の向きを合わせる必要がある。すなわち、第二貫通穴62は、開閉補助具45を補助具挿入部15Aに挿入する際に、開閉補助具45の向きを規制する挿入向き規制部を有している。
【0060】
第三穴部57は、第二穴部56の下方に連続して形成されている。第三穴部57の内部に形成された第三貫通穴63は、図26に示すように、第二貫通穴62に連続した楕円形状の一の楕円63Aと、一の楕円63Aと水平方向で直交して、一の楕円63Aと同形状の他の楕円63Bとを有する。このことから、第三貫通穴63は、一の楕円63Aと他の楕円63Bとが交差する交差穴63Cと、一の楕円63Aの長軸の両端部と他の楕円63Bの長軸の両端部となる単独穴63Dとで形成されており、単独穴63Dどうしの間に一の楕円63Aと他の楕円63Bとが交差することで形成される内向き凸の凸部63aを、直交する対角線状に四つ有している。この第三貫通穴63には、開閉補助具45の錠連結部38および蓋連結部46が上方から押込まれる。
【0061】
なお、他の楕円63Bは、その長軸が第二穴部56の第二貫通穴62の短軸に平行となっている。よって、第二穴部56には、図21図25に示すように、第二貫通穴62の短軸方向の両側に下向きの面62aが形成されている。この下向きの面62aは、蓋連結部46が当接して、開閉補助具45を取外し不能とする取外し規制部となるが、詳細は後述する。
【0062】
第四穴部58は、第三穴部57の下方に連続して形成されている。第四貫通穴64には、開閉補助具45の錠連結部38および蓋連結部46が上方から押込まれる。第四穴部58の内部に形成された第四貫通穴64は、蓋連結部46の長軸が回動可能となるように形成されている。具体的に、図27に示すように第四貫通穴64は、第三貫通穴63と同様に一の楕円64Aと他の楕円64Bとで形成され、加えて一の楕円64Aと他の楕円64Bとが交差することで形成される四つの凸部64aのうち、一の対角線上で対向する二つの凸部64aを円弧状に切除して形成されている。つまり、第四貫通穴64は、一の楕円64Aと他の楕円64Bとが交差し、一の対角上では円弧面64bが対向し、他の対角上では凸部64aが対向する。
【0063】
これにより、第四貫通穴64に収容された蓋連結部46は、一の楕円64Aと他の楕円64Bとの間を円弧面64bに沿うように回動して移動し、凸部64aに当接することで、回動が規制されて位置決めされる。すなわち、第四穴部58は、蓋連結部46の長軸が一の楕円64Aの長軸に沿った施錠位置F1において、開閉補助具45を位置決めする施錠位置決め部(凸部64a)と、蓋連結部46の長軸が他の楕円64Bの長軸に沿った解錠位置F2おける開閉補助具45を位置決めする解錠位置決め部(凸部64a)とを有している。
【0064】
図21図27に示すように、第五穴部59は、第四穴部58の下方に連続して形成されている。第五穴部59には、開閉補助具45の錠連結部38が上方から押込まれる。
第五穴部59の内部に形成された第五貫通穴65は、第四貫通穴64よりも小さく相似形状を有しており、且つ第四貫通穴64の二楕円集合体形状の軸心回りに90°だけ周方向に回動された形状である。
【0065】
すなわち第五貫通穴65は、第四貫通穴64と相似形状をしており、一の楕円65Aと他の楕円65Bとで形成され、加えて一の楕円65Aと他の楕円65Bとが交差することで形成される四つの凸部65aのうち、一の対角線上で対向する二つの凸部65aを円弧状に切除して形成されている。つまり、第五貫通穴65は、一の楕円65Aと他の楕円65Bとが交差し、一の対角上では円弧面65bが対向し、他の対角上では凸部65aが対向する。
【0066】
これにより、第五貫通穴65に収容された錠連結部38は、一の楕円65Aと他の楕円65Bとの間を円弧面65bに沿うように回動して移動し、凸部65aに当接することで、回動が規制されて位置決めされる。すなわち、第五穴部59は、錠連結部38の長軸が一の楕円65Aの長軸に沿った施錠位置F1において、開閉補助具45を位置決めする施錠位置決め部(凸部65a)と、錠連結部38の長軸が他の楕円65Bの長軸に沿った解錠位置F2おける開閉補助具45を位置決めする解錠位置決め部(凸部65a)とを有している。
【0067】
図21に示すように、第四貫通穴64と第五貫通穴65(第五穴部59)との間に、水平方向の段付面66を備えている。この段付面66に、蓋連結部46の長軸の端部が当接される。また、前記錠取付部31は、第五穴部59(第五貫通穴65)の下方に連続して形成されている。
【0068】
第一貫通穴61、第二貫通穴62、第三貫通穴63、第四貫通穴64、第五貫通穴65の上下方向の軸心は同一である。また、連結上穴39、連結下穴41およびスペース34の軸心も同様である。なお、錠取付部31の内フランジ部33は、施錠穴本体30に対して、フック部8を組立て可能なように構成されている。
【0069】
また、開閉補助具45を取外した後には、下方の大径部K1と上方の小径部K2とを有するキャップK(図2参照)が、施錠穴部15の第一貫通穴61に装着される。
【0070】
上記構成において、枠体3(受台5)の開口2に蓋10が嵌め込められ、且つ錠本体部19が施錠位置F1、解錠位置F2である場合について説明する。まず、図2図28図29において、錠本体部19の施錠位置F1では、フック9の上面9a、一方面9b、他方面9cは、受枠7の下面7aに所定間隔をもって配置されており、フック9の上面9aが受枠7の下面7aに当接することで、蓋10は開かない。
【0071】
また、図30に示す解錠位置F2では、施錠位置F1から錠本体部19の中心軸を中心として90°回動して、フック9の上面9a、一方面9b、他方面9cは受枠7から外れている。したがって、蓋10の裏側に配置した蝶番20周りに回動することで、蓋10が開けられる。図28において錠本体部19(フック9)の回転方向は矢印で示す。なお、施錠位置F1、解錠位置F2の何れも、蓋10に対する外力が働かなければ、蓋10は自重によって枠体3に嵌め込まれた状態を維持する。
【0072】
図29の施錠位置F1から、開閉補助具45を用いて、図30に示す解錠位置F2とする場合を説明する。なお、錠本体部19が施錠位置F1にある場合は、施錠穴部15にはキャップK(図2参照)等が嵌められている。このようなキャップKを外して、施錠位置F1から解錠位置F2とする。
【0073】
開閉補助具45を補助具挿入部15Aに上方から挿入すると、開閉補助具45の錠連結部38が補助具挿入部15Aから錠取付部31へ進入し、錠取付部31に取付けられている錠本体部19に対して共回りするように連結される。これにより、開閉補助具45を上下方向周りに回動操作することで、錠本体部19を回動させ、解錠位置F2と施錠位置F1との切替えができる。
【0074】
開閉補助具45において、開閉補助具45における工具連結部49以外の部材は、施錠穴部15の貫通穴に押込むことができる。また、このとき、開閉補助具45の設置状態として、開閉補助具45において、工具連結部49の屈曲体54の開放部分が、蓋10の周方向を向くようにして設置する。
【0075】
具体的に開閉補助具45において、施錠穴部15への押込みの仕方を述べる。施錠位置F1において、開閉補助具45の錠連結部38および蓋連結部46は、第一貫通穴61に容易に押込まれる。そして、錠連結部38および蓋連結部46は互いに直交する楕円形状であるものの、第二貫通穴62は、錠連結部38および蓋連結部46の長軸が挿入可能である。したがって、初めに、錠連結部38から第二貫通穴62に押込まれ、続いて蓋連結部46が第二貫通穴62に押込まれる。また、開閉補助具45は、挿入向き規制部によって規制される。
【0076】
開閉補助具45全体を下方に押込むと、錠連結部38、蓋連結部46が第三貫通穴63に押込まれる。このとき、第三貫通穴63は、第二貫通穴62に連続した楕円形状の一の楕円63Aと、一の楕円63Aと水平方向で直交して、一の楕円と同形状の他の楕円63Bとを有しているから、錠連結部38、蓋連結部46が第三貫通穴63に押込まれる。
【0077】
さらに、開閉補助具45全体を下方に押込むと、第三貫通穴63を径方向内外で含んで二楕円集合体形状から形成される第四貫通穴64に、蓋連結部46が押込まれ、第五貫通穴65の長軸は、錠連結部38の楕円形状の長軸より大きく形成されているから、錠連結部38は、第五貫通穴65に押込まれる。そして、錠連結部38は、連結上穴39を挿通し、略矩形のフランジ材40の連結下穴41に押込まれる。一方で、錠連結部38が連結下穴41に押込まれたとき、蓋連結部46は、その長軸の外端下面部46cが段付面66に当接する。
【0078】
また、仲介部47において、仲介部47の円形断面は錠連結部38の短軸と同様であるので、第一貫通穴61、第二貫通穴62、第三貫通穴63、および第四貫通穴64に押込まれる。
【0079】
また、基部48において、環状部材51の下面51aは、第二穴形成部材52の外径よりも大きく形成されているので、環状部材51の下面51aが、第一貫通穴61の底面61aに当接する。そして、第二穴形成部材52における第一貫通穴61の底面61aからの高さは、基部48における環状部材51の高さと同等であるから、開閉補助具45の下動が制限される。また、工具連結部49の上下方向杆53の下部が、第一貫通穴61に入る。
【0080】
このように、開閉補助具45は、施錠穴部15の補助具挿入部15Aに挿入されることにより、基部48が第一貫通穴61に、仲介部47が第一貫通穴61、第二貫通穴62、第三貫通穴63、第四貫通穴64に、蓋連結部46が第四貫通穴64にそれぞれ収容され、錠連結部38が第五貫通穴65から錠取付部31のフック挿入穴32へ進入して錠本体部19に挿入され、該錠本体部19と共回りするように連結される。また、開閉補助具45の工具連結部49は、第一貫通穴61から蓋10の上面より上方に突出している。
【0081】
錠本体部19の施錠位置F1においては、開閉補助具45は、錠連結部38を含めて、施錠穴部15に押込まれる。この施錠位置F1の錠本体部19に対して開閉補助具45の上動を邪魔するものがないので、開閉補助具45は施錠穴部15から容易に取外し可能に連結された状態にある。
【0082】
錠本体部19の施錠位置F1から、錠本体部19の解錠位置F2に位置する動作は、本実施形態では、開閉工具16を用いる。開閉工具16は、工具連結部49に取付けられる。この場合、施錠位置F1では、工具連結部49の屈曲体54が、蓋10の周方向を向くようにして設置されている。すなわち、図29で示すように、このような向きの工具連結部49に対し、開閉工具16の広幅部27の平面部28を、開閉補助具45の屈曲体54の、対向する対向内面54aに係止連結(当接)させる。そして、開閉補助具45を一方向(この場合、図1の矢印で示すように、平面視して右方向)に回動させる。このようにすると、図30で示すような開閉補助具45の状態となり、錠連結部38を介して錠本体部19も共回りする。そして、開閉補助具45は、施錠穴部15の施錠位置決め部で回動が位置決めされているため、確実に解錠することができる。この図30の状態が、フック9が受枠7から外れた、錠本体部19の解錠位置F2である。
【0083】
錠本体部19の解錠位置F2においては、錠連結部38を含めた開閉補助具45は、取外し不能に連結されている。すなわち、開閉補助具45を、工具本体23を用いて持上げようとしても、施錠位置F1から開閉補助具45が90°だけ回動しているから、開閉補助具45の蓋連結部46の上面46aが、第二穴部56の下向き面62aの下方に位置し、開閉補助具45が上動すると、上面46aが下向き面62aに当接する。すなわち、下向き面62aは、解錠位置F2の錠本体部19に連結している開閉補助具45が、錠本体部19から外れることを規制する前記取外し規制部となっている。
【0084】
そして、所定の距離だけ開閉補助具45を持上げると、工具連結部49は蓋10の上方に上がり、基部48の環状部材51の下面51aは、第一貫通穴61の底面61aから上方に上がる。なお、錠連結部38も所定の距離だけ上がるが、錠連結部38は、連結上穴39、連結下穴41に挿入された状態を維持する。
【0085】
錠本体部19を解錠位置F2として、蓋10は、開閉工具16を用いて所定の離脱方向への移動操作されることで、枠体3に嵌った状態から離脱するよう構成されている。すなわち、蓋10は、開閉工具16を用いて、蝶番20周りで枠体3に対して上下方向に開閉操作可能であり、蝶番20周りで略水平方向に開閉操作可能となる。
【0086】
なお、蓋10を枠体3に対して縁切り操作する場合には、バール穴13(縁切り挿入部)に、蓋10と枠体3とを縁切りをするために開閉工具16を挿入する。例えば、蓋10の周囲に砂が溜まっている場合、開閉工具16とバール穴13を用いて、蓋10と枠体3との縁切りをする。
【0087】
開閉工具16を用いて、蓋10を蝶番20周りで略水平方向に開閉操作する場合、開閉工具16の把手25を把持した作業者は、作業者に対して略水平方向に開閉工具16を引く。そして、錠本体部19が解錠位置F2に位置した状態では、開閉工具16を引くようにした係止方向が、蓋10の離脱方向に沿っている。
【0088】
具体的には、蓋10の施錠穴部15に設置され、解錠位置F2の錠本体部19に連結している開閉補助具45は、図1図30に示すように、蓋10の中央部に対して蝶番20と反対側に配置され、工具連結部49の鉤状体としての屈曲体54は、蝶番20の方へ向けて開放し、蝶番20から離れる方へ凸形状が向けられている。
【0089】
よって、屈曲体54に開閉工具16の前端部24を係止させる方向と蓋10の離脱方向とは、蝶番20から離れる方向となる。このため、開閉工具16を用いることによって、蓋10を開閉操作し易く、開け易い。なお、解錠位置F2の錠本体部19に連結している開閉補助具45においては、図29に示すように、屈曲体54は周方向の一方向きに開放して他方向に凸形状となっているため、前記離脱方向以外の方向となる。
【0090】
そして、錠本体部19が施錠位置F1に位置した状態では、前記係止方向が離脱方向以外の方向となっている。よって、開閉補助具45は、工具連結部49の向きによって、施錠、解錠が判別できる。
【0091】
また、蓋10を開けてマンホールに対して所定の作業を終えると、蓋10を枠体3に嵌めて、蓋10を閉じた状態とする。このとき、工具連結部49は、錠連結部38が錠本体部19に連結された状態であり、蓋10の上面から上方に突出される。このため、蓋10の開閉操作のときに、突出した工具連結部49を確認し易くなり、施錠のし忘れを効果的に抑制できる。
【0092】
枠体3に蓋10を嵌めると、錠本体部19を、解錠位置F2から施錠位置F1とする。このとき、開閉工具16を用いて、今度は、開閉補助具45を、施錠位置F1側へ回動させ、錠本体部19を施錠位置F1とし、例えば、開閉工具16ごと、開閉補助具45は施錠穴部15から上方に離脱することが可能である。そして、開閉補助具45は、施錠穴部15の施錠位置決め部で回動が位置決めされているため、確実に施錠して、施錠穴部15から上方に離脱することができる。また、開閉補助具45を取外した後は、施錠穴部15に、キャップKを取付ける。
【0093】
本実施形態では、開閉補助具45を錠本体部19のフック本体8Aに連結して解錠して、その状態の開閉補助具45に開閉工具16を連結して、蓋10の開閉操作を行う。よって、蓋10を閉じた後に、忘れることなく開閉補助具45に意識が行くので、蓋10の施錠を忘れずに、防犯性を高めることができる。
【0094】
本実施形態では、開閉補助具45の錠連結部38は、施錠位置F1の錠本体部19のフック本体8Aに対しては取外し可能に連結され、解錠位置F2のフック本体8Aに対しては取外し不能に連結されている。このため、開閉補助具45を用いることで、蓋10の開閉操作が容易となる。
【0095】
本実施形態では、蓋10には、枠体3に嵌った状態の蓋10を持上げて開閉操作するために、開閉工具16を直接的に蓋に係止するための開閉係止部が設けられていない。このため、開閉補助具45と開閉工具16とを用いて蓋10の開閉操作をする場合に限定される。したがって、高い防犯性が得られる。
【0096】
本実施形態では、バール穴13と蝶番20とは、蓋10の径方向おいて蓋10の中央部を介して対向配置されている。通常は開閉工具16を直接的に蓋10に係止するための開閉係止部が設けられている位置に、縁切り挿入部としての特定バール穴14が配置されている。このため、簡単に蓋10と枠体3とを縁切りでき、また蝶番20周りの開閉操作を、いたずらでなされることも防止できるから、防犯性が高くなる。
【0097】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、開閉補助具45は、工具連結部49を備えており、工具連結部49は、上下方向杆53と、屈曲される屈曲体54とを備えた。これに対して、図31に示す例では、工具連結部49の形状は、上下方向杆53から湾曲される湾曲体70を備えている。そして、湾曲体70の内面が対向内面54aであり、開閉工具16の平面部28が当接可能である。
【0098】
図32図36には、別の例の第二実施形態の開閉補助具45を示す。この開閉補助具45は、上記一実施形態の開閉補助具45に対し、工具連結部49と基部48は同様であるが、錠連結部38と蓋連結部46が異なる。上記一実施形態では、基部48に対して蓋連結部46は、両工具連結部49側が長軸であり、基部48に対して錠連結部38は、工具連結部49に沿う方向が長軸である構成を説明した。しかしながら、第二実施形態では、上記一実施形態に対して、蓋連結部46および錠連結部38の長軸がずれた方向とされている。
【0099】
具体的には、蓋連結部46の長軸が、両工具連結部49が並ぶ方向に対して15°ずれた方向とされ、錠連結部38は長軸が工具連結部49に沿う方向に対して15°ずれた方向とされている。すなわち、施錠穴部15の中心が、特定バール穴14と蝶番20との対向方向に対してずれて配置されているのに対応してずれた配置である。
【0100】
第二実施形態の開閉補助具45では、蓋連結部46および錠連結部38の長軸がずれた方向とされているので、この開閉補助具45を錠本体部19に連結して解錠位置F2とした状態においては、開閉工具16を工具連結部49に係止させて引く方が、特定バール穴14と蝶番20との対向方向である蓋10の離脱に沿った方向、具体的には平行な方向となる。このため、蓋10の開閉操作がし易くなる。
【0101】
上記実施形態では、開閉補助具45を補助具挿入部15Aに挿入して錠本体部19に連結したが、補助具挿入部15Aを設けなくてもよい。また、上記実施形態では、開閉補助具45において、開閉補助具45の工具連結部49が蓋10の上面から突出する場合について挙げたが、突出しなくてもよい。上記実施形態では、開閉補助具45を回転させて解錠位置F2と施錠位置F1とを切替えるようにしたが、例えば、開閉補助具45を上下動させて、解錠位置F2と施錠位置F1との位置を切替えも可能である。
【0102】
また、上記実施形態では、開閉工具16を引くようにした係止方向が、蓋10の離脱方向に沿った場合で説明したが、係止方向が離脱方向に沿っていなくてもよい。
【0103】
上記実施形態では、特定バール穴14は、蓋10の周方向において、ヒンジ部としての蝶番20が配置される蝶番支持機構18に対向する対向位置で説明したが、蝶番20から蓋10の周方向にずらすこともでき、対向位置に施錠機構を配置することもできる。
【符号の説明】
【0104】
1…蓋構造体、3…枠体、7…受枠、8…フック部、8A…フック本体、9…フック、10…蓋、13…バール穴、14…特定バール穴、15…施錠穴部、15A…補助具挿入部、16…開閉工具、17…基端部、18…蝶番支持機構、19…錠本体部、20…蝶番、23…工具本体、24…前端部、26…取付部、27…広幅部、28…平面部、29…施錠機構、30…施錠穴本体、31…錠取付部、32…フック挿入穴、33…内フランジ部、33a…当接面、36…天板部、37…支持部、38…錠連結部、39…連結上穴、40…フランジ材、41…連結下穴、45…開閉補助具、46…蓋連結部、47…仲介部、48…基部、49…工具連結部、49A…傾斜体、49B…鍵体、50…円板部材、51…環状部材、52…第二穴形成部材、53…上下方向杆、54…屈曲体、54a…対向内面、55…第一穴部、56…第二穴部、57…第三穴部、58…第四穴部、59…第五穴部、60…下部穴、61…第一貫通穴、62…第二貫通穴、63…第三貫通穴、63A…一の楕円、63B…他の楕円、63C…交差穴、63D…単独穴、63a…凸部、64…第四貫通穴、64A…一の楕円、64B…他の楕円、64a…凸部、64b…円弧面、65…第五貫通穴、65A…一の楕円、65B…他の楕円、65a…凸部、65b…円弧面、66…段付面、70…湾曲体、F1…施錠位置、F2…解錠位置、K…キャップ
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