(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】型から履物製品の一部を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B29D 35/12 20100101AFI20240815BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240815BHJP
【FI】
B29D35/12
B33Y10/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034447
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】サスマン, ラインホルト
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特公平01-042201(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0298520(US,A1)
【文献】国際公開第2016/161187(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0072436(US,A1)
【文献】特開昭60-193402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219974(US,A1)
【文献】特開2001-145963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 35/12
B33Y 10/00
A43B 13/04
A43B 13/18
A43B 13/00
B29D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物製品のミッドソールを製造する方法であって、
空の体積の領域を画定する格子構造を含むポジティブモデルであって、ミッドソールのポジティブモデルを生成し、
前記ポジティブモデルの前記空の体積の領域に基づくネガティブモデルを生成し、
前記ネガティブモデルの物理的表現を形成するためのネガ型であって、前記ポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含むネガ型を3Dプリントし、
前記ネガ型内の固体体積の領域によってその中に形成された
、相互接続された複数の開口又はチャネルを画定するミッドソール格子構造を含む前記ミッドソールを形成するために、
型ベース及び前記型ベースの凹部型に配置された前記ネガ
型へのミッドソール材料を供給し、
前記型ベースの前記凹部型から脱離された前記ミッドソールから前記ネガ型を除去する方法。
【請求項2】
前記ネガ型における固体体積の領域が、前記ポジティブモデルにおける前記格子構造に基づく型反復パターンを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミッドソールが、前記型反復パターンによって形成され、
前記相互接続された複数の開口又はチャネルを含むミッドソール単位セルを有する前記ミッドソール格子構造を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カバープレートを用いて前記ネガ型を前記型ベース内で囲むことを含む、請求項1乃至3のいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記ポジティブモデルにおける空の体積の領域が内部表面によって画定され、
前記内部表面がジャイロイドパターンにおける最小表面である、請求項1乃至4のいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記ネガ型は前記ミッドソールの最終サイズに対して縮小されたサイズを画定し、
前記縮小されたサイズは前記最終サイズよりも約70%~約30%小さい、請求項1乃至5のいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
ミッドソールを前記縮小されたサイズから前記最終サイズに膨張させることをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
履物製品のミッドソールを製造する方法であって、
空の体積の領域を画定する格子構造を含むポジティブモデルであって、ミッドソールのポジティブモデルを生成し、
前記ポジティブモデルの前記空の体積の領域に基づくネガティブモデルを作成し、
前記ネガティブモデルの物理的表現を形成するためのネガ型であって、前記ポジティブモデルの前記空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含むネガ型を3Dプリントし、
ミッドソール材料を、前記ミッドソール材料が前記ネガ型全体にわたって膨張するように
型ベース及び前記型ベースの凹部型に配置された前記ネガ
型に供給し、
前記ネガ型全体にわたって膨張した前記ミッドソール材料から、ミッドソールを形成する方法であって、
前記ミッドソール材料は、
相互接続された複数の開口又はチャネルを画定するミッドソール格子構造を備えたミッドソールを形成
するために前記ネガ型の周囲に膨張し、
前記型ベースの前記凹部型から脱離された前記ミッドソールから前記ネガ型を除去する方法。
【請求項9】
前記ポジティブモデルは、繰り返しパターンを画定する単位セルを有する前記格子構造を含み、
前記繰り返しパターンは、開口またはチャネルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ネガ型における固体体積の領域が、前記ポジティブモデル中の前記格子構造に基づく型反復パターンを画定する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記ミッドソールが、前記型反復パターンによって形成され、
前記相互接続された複数の開口又はチャネルを含むミッドソール単位セルを有する前記ミッドソールの前記格子構造を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
カバープレートを用いて前記ネガ型を前記型ベース内で囲むことを含む、請求項8乃至11のいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
前記ネガ型は前記ミッドソールの最終サイズに対して縮小されたサイズを画定し、
前記縮小されたサイズは前記最終サイズよりも約70%~約30%小さい、請求項8乃至12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
履物製品のミッドソールを製造する方法であって、
空の体積の領域を画定する格子構造を含むポジティブモデルであって、ミッドソールのポジティブモデルを生成し、
前記ポジティブモデルの前記空の体積の領域に基づくネガティブモデルを作成し、
前記ネガティブモデルの物理的表現を形成するためのスケーリングされたネガ型であって、前記ポジティブモデルの前記空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含むネガ型を3Dプリントし、前記スケーリングされたネガ型は前記ミッドソールの最終的な大きさに対して縮小された縮小サイズを画定し、
ミッドソール材料を、前記ミッドソール材料が前記スケーリングされたネガ型全体にわたって膨張するように、前記スケーリングされたネガ型及び型ベースに供給し、
前記スケーリングされたネガ型全体にわたって膨張して充填された前記ミッドソール材料から、前記ミッドソールを形成し、
前記スケーリングされた前記ネガ型の周囲に膨張する前記ミッドソール材料は、
相互接続された複数の開口又はチャネルを画定するミッドソール格子構造を備えたミッドソールを形成し、
前記型ベースから脱離された前記ミッドソールから
前記スケーリングされた前記ネガ型を除去し、
前記ミッドソールを前記縮小サイズから最終サイズに膨張させる方法。
【請求項15】
前記縮小サイズが前記最終サイズよりも約70%~約30%小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する前記格子構造を含み、
前記繰り返しパターンは、開口またはチャネルを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記スケーリングされたネガ型における固体体積の領域が、前記ポジティブモデルにおける前記格子構造に基づく型反復パターンを画定する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ミッドソールが、前記型反復パターンによって形成され、
前記相互接続された複数の開口又はチャネルを含むミッドソール単位セルを有する前記ミッドソールの前記格子構造を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記型ベース内に、前記スケーリングされたネガ型を3Dプリントすることによって、前記スケーリングされたネガ型および前記
型ベースを一体の構成要素として配置することをさらに含む、請求項14乃至18のいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
カバープレートを用いて、前記スケーリングされたネガ型を前記型ベース内で囲むことをさらに含む、請求項14乃至18のいずれか一に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、型から履物製品の一部を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来の靴または履物製品は一般に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールと、を備える。従来の靴は靴を足に固定する前にユーザの足を受け入れる内部空間、例えば、アッパーおよびソールの内面によって形成される空隙または空洞をさらに含む。ソールは、アッパーの下面に取り付けられ、アッパーと地面の間に配置される。その結果、ソールは典型的には靴が着用されているおよび/又は使用されているときに、ユーザに安定性およびクッション性を提供する。場合によっては、ソールがアウトソール、ミッドソール、およびインソールなどの複数の構成要素を含むことができる。アウトソールはソールの底面に静止摩擦を提供することができ、ミッドソールは、アウトソールの内部表面に取り付けることができる。
【0003】
典型的にはソールの少なくとも一部は型から形成されるが、従来の成形プロセスは形成されたソールの形状によって制限される。したがって、従来の履物製品における型から形成されるソールは、従来の成形プロセスで製造することができる単純な形状に限定される。
【発明の概要】
【0004】
履物製品(article of footwear)は本明細書に記載されるように、様々な構成を有することができる。履物製品は、アッパー(upper)と、アッパーに接続されたソール構造(sole structure)とを有することができる。いくつかの実施形態では、ソール構造が型(mold)から形成されるミッドソール(midsole)を含むことができる。型はミッドソールが複雑な構造/特徴(例えば、アンダーカット(undercuts)、オーバーハング(overhangs)、格子構造(lattice structures)など)で成形されることを可能にする積層造形(additive manufacturing)工程(例えば、三次元プリント(3Dプリント))によって形成されてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、履物製品のミッドソールを製造する方法は、ミッドソールのポジティブモデル(positive model)を生成することを含む。ポジティブモデルには、開口(aperture)またはチャネル(channel)を定義する空の体積(empty volume)の領域が含まれる。この方法はさらに、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデル(negative model)を作成するステップと、ネガ型(negative mold)を層ごとにプリントしてネガティブモデルの物理的表現(physical representation)を形成するステップとを含む。ネガ型は、ポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積(solid volume)の領域を含む。この方法はさらに、ミッドソール材をネガ型に供給してミッドソールを形成することを含む。ミッドソールは、ネガ型の固体体積の領域によってその中に形成されたミッドソール開口(midsole aperture)またはチャネルを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターン(repeating pattern)を画定する単位セル(unit cell)を備えた格子構造(lattice structure)を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターン(mold repeating pattern)を画定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、型反復パターンによって形成され、ミッドソール開口又はチャネルを含むミッドソール単位セル(midsole unit cell)を有するミッドソール格子構造(midsole lattice structure)を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、型ベース(mold base)内にネガ型を配置するステップと、カバープレート(cover plate)を使用して型ベース内にネガ型を封入(enclosing)するステップとをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおける空の体積の領域は内部表面(inner surface)によって画定され、内部表面はジャイロイドパターン(gyroid pattern)における最小表面(minimal surface)である。
【0011】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、積層造形系(additive manufacturing system)によって層ごとにプリントされる。
【0012】
いくつかの実施形態では、履物製品のミッドソールを製造する方法は、ミッドソールのポジティブモデルを生成することを含む。ポジティブモデルは、開口またはチャネルを画定する表面を含む。この方法はさらに、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを作成するステップと、ネガ型を層ごとにプリントしてネガティブモデルの物理的表現を形成するステップとを含む。ネガ型は、ポジティブモデルの開口またはチャネルに対応する固体体積の領域を含む。この方法はさらに、ミッドソール材(midsole material)をネガ型に供給してミッドソールを形成し、ミッドソール材が全体にわたって膨張し、ネガ型を充填するステップと、ネガ型全体にわたって膨張したミッドソール材からミッドソールを形成するステップとを含む。固体体積の領域の周りで膨張するミッドソール材は、ミッドソールにミッドソール開口又はチャネルを形成する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおける表面は、ジャイロイドパターンにおける最小表面である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、型反復パターンによって形成され、ミッドソール開口又はチャネルを含むミッドソール単位セルを有するミッドソール格子構造を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、この方法は、型ベース内にネガ型を配置するステップと、カバープレート(cover plate)を使用して型ベース内にネガ型を封入するステップとをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、履物製品のミッドソールを製造する方法は、ミッドソールのポジティブモデルを生成することを含む。ポジティブモデルは、開口またはチャネルを含む。この方法はさらに、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを作成するステップと、ネガ型を層ごとにプリントしてネガティブモデルの物理的表現を形成するステップと、を含む。ネガ型は、ポジティブモデルの開口またはチャネルに対応する固体体積の領域を含む。この方法はさらに、ネガ型を型ベース内に配置するステップと、ミッドソール材をネガ型内に注入してミッドソールを形成し、ミッドソール材でネガ型を膨張させて充填するステップと、ミッドソール材からミッドソールを形成し、ネガ型全体にわたって膨張させて充填するステップとを含む。固体体積の領域の周りで膨張するミッドソール材は、ミッドソールにミッドソール開口又はチャネルを形成する。
【0019】
いくつかの実施形態では、開口またはチャネルが内部表面によって画定され、ポジティブモデルにおける内部表面はジャイロイドパターンにおける最小表面である。
【0020】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、型反復パターンによって形成され、ミッドソール開口又はチャネルを含むミッドソール単位セルを有するミッドソール格子構造を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、型ベース内にネガ型を配置することは、層ごとに、ネガ型およびベース型を一体構成要素(unitary component)としてプリントすることを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、ネガ型および型ベースが別個の構成要素(separate components)として形成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、履物製品用の型生成システムは、材料を層ごとに堆積(deposit)、融着(fuse)、溶融(melt)、または結合(bind)するように構成されたプリントヘッド(print head)、およびプリントヘッドと通信するコントローラを含む。コントローラは履物製品用ミッドソールのポジティブモデルを受信(receive)または生成(generate)し、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを作成し、ネガティブモデルの物理的表現を形成するネガ型を層ごとにプリントするようにプリントヘッドに指示するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは、開口またはチャネルを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、開口またはチャネルは、ポジティブモデルにおいて空の体積の領域を形成する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおけるの開口またはチャネルは内部表面によって画定され、内部表面はジャイロイドパターン内の最小表面である。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する固体体積の領域を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ネガ型に供給されるミッドソール材中にミッドソール格子構造を形成するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ネガ型が砂(sand)、蝋(wax)、または樹脂材料からプリントされる。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラは、エンドユーザの身体的特徴(physical characteristics)に関する情報を含む入力データに応答してポジティブモデルを生成するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、履物製品用の型を形成する方法は、履物製品用のミッドソールのポジティブモデルを受信または生成し、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを作成し、ネガティブモデルの物理的表現を形成するネガ型を層ごとにプリントすることと、を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは、開口またはチャネルを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、開口またはチャネルは、ポジティブモデルにおいて空の体積の領域を形成する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおける開口またはチャネルは内部表面によって画定され、内部表面はジャイロイドパターン内の最小表面である。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する固体体積の領域を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ネガ型に供給されるミッドソール材中にミッドソール格子構造を形成するように構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ネガ型が砂、蝋、または樹脂材料からプリントされる。
【0044】
いくつかの実施形態では、コントローラがエンドユーザの身体的特徴に関する情報を含む入力データに応答してポジティブモデルを生成するように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、型生成システムを用いて履物製品用の型を形成する方法は、ミッドソールのポジティブモデルを生成するステップと、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを作成するステップと、ネガティブモデルの物理的表現を形成するためにスケーリングされたネガ型を層ごとプリントするステップと、を含む。スケーリングされたネガ型は、ミッドソールの最終サイズに対して縮小されたサイズを定義する。この方法は、ミッドソール材をネガ型に供給してミッドソールを形成するステップと、ミッドソールを縮小されたサイズから最終サイズに膨張(expand)させるステップとをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約70%小さい。
【0047】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約25%小さい。
【0048】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約70%~約50%小さい。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルが開口またはチャネルを画定する空の体積の領域を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおけるの開口またはチャネルは内部表面によって画定され、内部表面はジャイロイドパターン内の最小表面である。
【0051】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する固体体積の領域を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ネガ型に供給されるミッドソール材中にミッドソール格子構造を形成するように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、ミッドソールを縮小されたサイズから最終サイズに膨張させることは、ミッドソールを縮小されたサイズから中間サイズに膨張させるステップと、中間サイズを画定するミッドソールを成形型内に配置するステップと、ミッドソールを成形型内で最終サイズに膨張させるステップとを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、履物製品用の型生成システムは、材料を層ごとに堆積、融着、溶融、または結合するように構成されたプリントヘッド、およびプリントヘッドと通信するコントローラを含む。コントローラはミッドソールのポジティブモデルを生成し、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを生成し、スケーリングされたネガ型を層ごとにプリントしてネガティブモデルの物理的表現を形成するようにプリントヘッドに指示するように構成される。スケーリングされたネガ型(scaled negative mold)は、ミッドソールの最終サイズ(final size)に対して縮小されたサイズ(scaled down size)を定義する。ミッドソール材がネガ型に供給されてミッドソールを形成し、ミッドソールは縮小されたサイズから最終サイズに膨張させる。
【0057】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約70%小さい。
【0058】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約25%小さい。
【0059】
いくつかの実施形態では、縮小されたサイズが最終サイズよりも約70%~約50%小さい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは、開口またはチャネルを画定する空の体積の領域を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルにおけるの開口またはチャネルは内部表面によって画定され、内部表面はジャイロイドパターン内の最小表面である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ネガ型がポジティブモデルにおける空の体積の領域に対応する固体体積の領域を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは繰り返しパターンを画定する単位セルを有する格子構造を含み、繰り返しパターンは、開口又はチャネルを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、ネガ型は、ポジティブモデルにおける格子構造に基づく型反復パターンを画定する固体体積の領域を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ネガ型における固体体積の領域は、ネガ型に供給されるミッドソール材中にミッドソール格子構造を形成するように構成される。
【0066】
本明細書に記載される履物製品または履物製品の一部の他の態様(その特徴および利点を含む)は図面および本明細書の詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。したがって、履物製品のそのような態様はすべて、詳細な説明およびこの概要に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、履物製品を含む履物アセンブリ(footwear assembly)の斜視図である。
【
図2】
図2は、左靴の形態の履物製品の左側面図または側面図である。
【
図3】
図3は、
図2の履物製品の右側面図または中央側面図である。
【
図5】
図5は、
図2の履物製品のアッパー平面図であり、アッパーが取り外され、ユーザの骨格足構造(skeletal foot structure)が履物製品上に重ねられている。
【
図6】
図6は、キャスティングのような工程(casting-like process)を用いて履物製品のミッドソールを製造する型の形成法を概説するフローチャートである。
【
図7】
図7は、射出成形法(injection molding process)を用いて履物製品のミッドソールを製造する型の形成法を概説するフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図6および
図7の方法の後処理ステップの概要を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、相互接続された開口部を含むミッドソールのポジティブモデルの一部の概略図である。
【
図10】
図10は、充填体積(filler volume)の一部と
図9のポジティブモデルの一部との交点の概略図である。
【
図11】
図11は、
図9のポジティブモデルの一部に基づくネガ型の一部の概略図である。
【
図14】
図14は、相互接続された差動面(differential surfaces)を含むミッドソールのポジティブモデルの一部の概略図である。
【
図15】
図15は、充填体積の一部と
図14のポジティブモデルの一部との交点の概略図である。
【
図22】
図22は、型ベース内のネガ型の斜視図であり、型ベースは、ネガ型と同様の形状の凹部(recess)を含む。
【
図23B】
図23Bは、ネガ型の周囲に形成された間隙を有する線23-23に沿って切り取られた
図22のネガ型および型ベースの断面図である。
【
図24】
図24は、一体の構成要素として形成されているネガ型および型ベースの斜視図である。
【
図25】
図25は、線25-25に沿って切り取られた
図24のネガ型および型ベースの断面図である。
【
図26】
図26は、型ベースがリザーバ(reservoir)を含む、ネガ型および型ベースの斜視図である。
【
図27】
図27は、線27-27に沿って切り取られたネガ型および型ベースの断面図である。
【
図28】
図28は、型ベースおよびネガ型上に配置されたカバープレートの斜視図である。
【
図29】
図29は、薄膜が形成されたミッドソールと係合(engages)する、形成されたミッドソール上に成形された薄膜の概略図である。
【
図30】
図30は、薄膜が形成されたミッドソールと部分的に係合する、形成されたミッドソール上に成形された薄膜の概略図である。
【
図31】
図31は、選択的な位置に配置された接着パッド(adhesive pads)を有する成形ミッドソールの底面斜視図である。
【
図32】
図32は、所定のパターンで配置された接着パッドを有する成形ミッドソールの底面斜視図である。
【
図33】
図33は、線33-33に沿った
図32の形成されたミッドソールおよび接着パッドの部分断面図である。
【
図34】
図34は、形成されたミッドソールに結合されたピンを有するアウトソールの概略図である。
【
図35】
図35は、形成されたミッドソールに結合された突出ヘッド(protruding heads)を有するピンを有するアウトソールの概略図である。
【
図36】
図36は、ジャイロイドパターンを有する形成されたミッドソールの側面図である。
【
図39】
図39は、ジャイロイドパターンを含む砂型(sand mold)の上面斜視図である。
【
図43】
図43は、複数の周辺梁および支持梁を含む砂型の上面斜視図である。
【
図45】
図45は、蝋型(wax mold)の上面斜視図である。
【
図47】
図47は、
図45の蝋型で形成されたソールアセンブリ(sole assembly)の上面図である。
【
図50】
図50は、複数のチャネルを含むミッドソールの上面、後面、左側等角投影図(isometric view)である。
【
図56】
図56は、本開示による可変パターン(variable pattern)を含むミッドソールの上面斜視図である。
【
図57】
図57は、ユーザの静止特性(stationary characteristics)を測定するプロセスの概略図である。
【
図58】
図58は、ユーザの走行特性(running characteristics)を測定するプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下の議論および添付の図面は、靴の様々な実施形態または構成を開示する。ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズに関して実施形態が開示されているが、シューズの実施形態に関連する概念は例えば、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーブーツおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、ならびにトラッククリートを含む、広範囲の履物および履物スタイルに適用することができる。靴の概念はまた、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、およびハイヒールを含む、非運動性と考えられる履物製品に適用されてもよい。履物に加えて、本明細書に記載される特定の概念は、ヘルメット、パディングまたは保護パッド、すね当て、および手袋などの衣類または他の運動器具を含む他のタイプの物品にも適用され、組み込まれてもよい。さらに、本明細書に記載される特定の概念は、クッション、バックパック、スーツケース、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の消費者もしくは産業製品に組み込まれてもよい。したがって、本明細書で説明する概念は、様々な製品で利用することができる。
【0069】
本明細書で使用される「約」という用語は例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得る履物または他の製造品に使用される典型的な測定手順および製造手順、これらの手順における不注意によるエラー、組成物または混合物を作製するために、または方法を実施するために使用される成分の製造、供給源、または純度の差、などを通じて生じ得る数量の変動を指す。開示全体を通して、用語「約」および「およそ」は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0070】
本発明は、ミッドソール、アウトソール、又はソール構造などの履物製品および/又は履物製品の特定の構成要素若しくは部分に関する。履物製品は、ニット部品(knitted component)、織布、不織布、皮革、メッシュ、スエード、および/または前述の材料のうちの1つ以上の組み合わせから少なくとも部分的に形成されたアッパーを含んでもよい。ニット部品はヤーン(yarn)を編むことによって、織布はヤーンを織ることによって、そして不織布は単一の不織布ウェブ(non-woven web)の製造によって作製されてもよい。織物には、縦編み、横編み、平編み、丸編み、および/又は他の適切な編み操作によって形成される織物が含まれる。織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、および/又はリブニット構造を有することができる。織物には例えば、平織り、ツイル織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、および/または二重布織りなどの多数の織り形態のいずれかによって形成される織物が含まれるが、これらに限定されない。不織布には、例えば、エアレイド(air-laid)および/又はスパンレイド(spun-laid)法によって製造された織物が含まれる。アッパーは、様々な特性または様々な視覚特性を有することができる、第1のヤーン、第2のヤーン、および/または第3のヤーンなどの様々な材料を含むことができる。
【0071】
図1は、ユーザが着用可能な一対の靴22を含む履物アセンブリ(footwear assembly)20を示す。いくつかの実施形態では、履物アセンブリ20が左靴24および右靴26を含んでもよい。左靴24および右靴26は、左靴24および右靴26がそれぞれ、ユーザの左足および右足を受け入れるような大きさおよび形状であることを除いて、すべての材料的側面において同様であってもよい。開示を容易にするために、単一の靴または履物製品(article of footwear)25を参照して、本開示の態様を説明する。いくつかの図では履物製品25は右靴として示され、いくつかの図では履物製品は左靴として示される。履物製品25に関する以下の開示は、左靴24および右靴26の両方に適用可能である。
【0072】
図2~
図5は、アッパー(upper)28およびソールアセンブリ30を含む履物製品25の例示的な実施形態を示す。本明細書でさらに論じるように、アッパー28は、ソールアセンブリ(sole assembly)30に取り付けられ、ともにユーザの足を挿入可能な内部空洞(interior cavity)32(
図4および
図5参照)を画定する。参考までに、履物製品25は、前足領域(forefoot region)34、中足領域(midfoot region)36、および踵領域(heel region)38(
図5参照)を画定する。前足領域34は、つま先、母指球、および中足骨をつま先又は指骨に接続する関節を含む足の部分を包む履物製品25の部分に概ね対応する。中足領域36は前足領域34に近接して隣接し、足の土台と共に足のアーチ(arch)を包む履物製品25の部分に概ね対応する。踵領域38は中足領域36に近接して隣接し、踵または踵骨、足首、および/またはアキレス腱を含む、足の後部を包む履物製品25の部分に概ね対応する。
【0073】
履物製品25は、側部側(lateral side)42(
図2参照)および中央側(medial side)44(
図3参照)を画定する。ユーザが靴を着用しているとき、側部側42は履物製品25の外側に面する部分に対応し、中央側44は履物製品25の内側に面する部分に対応する。このように、左靴24および右靴26は対向する側部側42および中央側44を有し、ユーザが靴22を着用しているとき、中央側44が互いに最も近く、一方、側部側42は、靴22が着用されているとき、互いに最も遠い側として定義される。
【0074】
中央側44および側部側42は、履物製品25の長手方向中心面又は軸46に沿って互いに隣接する(
図5参照)。本明細書でさらに論じるように、長手方向中心面または軸46は、履物製品25の中央側44と側部側42との間の中心の中間軸を画定することができる。言い換えれば、長手方向平面または軸46は履物製品25の後方遠位端(rear distal end)48と履物製品25の前方遠位端(front distal end)50との間に延在してもよく、履物製品25のインソール52、ソールアセンブリ30、および/またはアッパー28の中央を連続的に画定してもよく、すなわち、長手方向平面または軸46は、踵領域38の後方遠位端48を通って前足領域34の前方遠位端50まで延在する直線軸である。
【0075】
前足領域34は一般に、つま先または指骨56を含む足54、足54の母指球、および足54の中足骨62をつま先または指骨56(
図5参照)と連結する1つ以上の関節60の一部を包む履物製品25の一部と対応してもよい。中足領域36は前足領域34に近接し、隣接している。中足領域36は、足54の土台と共に足54のアーチを包む履物製品25の部分に概ね対応する。踵領域38は中足領域36に近接しており、中足領域36に隣接している。踵領域38は、踵または踵骨64、足首(図示せず)、および/またはアキレス腱(図示せず)を含む、足54の後部を包む履物製品25の部分に概ね対応する。
【0076】
前足領域34、中足領域36、踵領域38、中央側44、および側部側42は、履物製品25の境界または領域を画定するように意図されている。そのために、前足領域34、中足領域36、踵領域38、中央側44、および側部側42は、一般に履物製品25の部分を特徴付ける。本発明の特定の態様は、前足領域34、中足領域36、踵領域38、中央側44、または側部側42のうちの1つまたは複数と同一の広がりを有する部分または要素を指すことができる。さらに、アッパー28およびソールアセンブリ30の両方は、前足領域34、中足領域36、踵領域38内、および/または中央側44および/または側部側42に沿った部分を有するものとして特徴付けることができる。したがって、アッパー28およびソールアセンブリ30、および/またはアッパー28およびソールアセンブリ30の個々の部分は、前足領域34、中足領域36、踵領域38、および/または中央側44および/または側部側42に沿って配置されるそれらの部分を含むことができる。
【0077】
前足領域34は、履物製品25の前方遠位端50から最も幅の広い部分68まで延びている。最も幅の広い部分68は、前方遠位端50から前方遠位端50の反対側にある後方遠位端48まで延在する長手方向軸46に対して垂直な第1の線70に沿って画定または測定される。中足領域36は、履物製品25の最も幅の広い部分68から最も薄い部分74まで延びている。履物製品25の最も幅の狭い部分74は、長手方向軸46に対して垂直である第2の線76を横切って測定された履物製品25の最も幅の狭い部分として定義される。踵領域38は、履物製品25の最も幅の狭い部分74から後方遠位端48まで延びている。
【0078】
中央側44は前方遠位端50で始まり、前足領域34に沿って中足領域36に向かって履物製品25の内側に沿って外方に湾曲する。中央側44は第1の線70に達し、その点で、中央側44は中心の長手方向軸46に向かって内方に湾曲する。中央側44は第1の線70、すなわち最も幅の広い部分68から、第2の線76、すなわち最も幅の狭い部分74に向かって延び、その点で、中央側44は中足領域36に入り、すなわち第1の線70を横切る。第2の線76に到達すると、中央側44は長手方向中心軸46から離れて外方に湾曲し、その点で、中央側44は、すなわち第2の線76を横切ると、踵領域38内に延在する。次に、中央側44は後方遠位端48に向かって外方に湾曲し、次いで内方に湾曲し、中央側44が長手方向中心軸46と交わる点で終了する。
【0079】
側部側42は前方遠位端50で始まり、前足領域34に沿って中足領域36に向かって履物製品25の外側に沿って外方に湾曲する。側部側42は第1の線70に達し、その点で、側部側42は長手方向中心軸46に向かって内方に湾曲する。側部側42は第1の線70、すなわち最も幅の広い部分68から、第2の線76、すなわち最も幅の狭い部分74に向かって延び、その点で、側部側42は中足領域36に入り、すなわち第1の線70を横切る。第2の線76に到達すると、側部側42は長手方向中心軸46から離れて外方に湾曲し、その点で、側部側42は、すなわち第2の線76を横切ると、踵領域38内に延在する。次に、側部側42は後方遠位端48に向かって外方に湾曲し、次いで内方に湾曲し、側部側42が長手方向中心軸46と交わる点で終了する。
【0080】
前述の説明を考慮すると、当業者において、多数の変更ができることは明らかであり、その個々の構成要素を多数の履物製品に組み込むことができることを理解されたい。したがって、履物製品25およびその構成要素の態様は履物製品25の全体的な領域または部分に関して説明することができ、本明細書で説明するように、前足領域34、中足領域36、踵領域38、中央側44、および/または側部側42の境界は、履物製品間で異なってもよい。
【0081】
しかしながら、履物製品25およびその個々の構成要素の態様は履物製品25の厳密な領域又は部分に関して説明することもでき、本明細書の添付の特許請求の範囲の範囲は、本明細書で論じる前足領域34、中足領域36、踵領域38、中央側44、および/又は側部側42のこれらの境界に関連する制限を組み込むことができる。
【0082】
引き続き
図2~
図5を参照すると、ソールアセンブリ30は、アッパー28に接続または固定され、履物製品25がユーザによって着用されると、ユーザの足と地面との間に延在する。また、ソールアセンブリ30はアウトソール(outsole)、ミッドソール(midsole)、ヒール(heel)、つま革(vamp)、補強部材(stiffening member)(例えば、カーボンプレート)又はインソール(insole)を含むことができる1つ又は複数の構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソールアセンブリは、ソールアセンブリに構造的一体性(structural integrity)を提供するアウトソールと、ユーザに静止摩擦(traction)を提供すると共に、クッションシステムを提供するミッドソールと、ユーザのアーチを支持するインソールとを含むことができる。
【0083】
ソールアセンブリ30は、アウトソール又はアウトソール領域78、ミッドソール又はミッドソール領域80、およびインソール又はインソール領域52を特徴とする。アウトソール78、ミッドソール80、およびインソール52、および/又はそれらの任意の構成要素は、前足領域34、中足領域36、および/又は踵領域38内の部分を含むことができる。さらに、アウトソール78、ミッドソール80、およびインソール52、および/またはそれらの任意の構成要素は、側部側42および/または中央側44上の部分を含み得る。
【0084】
他の例では、アウトソール78は、履物製品25が着用されたときに、外面、例えば地面に少なくとも部分的に接触するソールアセンブリ30の一部として画定されてもよい。インソール52は、履物製品が着用されたときにユーザの足に少なくとも部分的に接触するソールアセンブリ30の一部として画定されてもよい。最後に、ミッドソール80はアウトソール78とインソール52との間に延在し、それらを接続するソールアセンブリ30の少なくとも一部として画定されてもよい。いくつかの実施形態では、アウトソール78は、射出成形された熱可塑性材料(thermoplastic material)(例えば、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane))、成形されたポリウレタン材料、またはゴム材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、アウトソール78が約55~約75のショアA硬度(shore A hardness)を画定することができる。
【0085】
本明細書に記載されるように、ソールアセンブリ30は、アッパー28に接続または固定されてもよい。多くの従来の履物製品用アッパーは複数の要素、例えば、織物(textiles)、ポリマー発泡体(polymer foam)、ポリマーシート(polymer sheets)、皮革(leather)、および/または合成皮革(synthetic leather)から形成され、これらは、継ぎ目での接着または縫合によって接合される。いくつかの実施形態では、履物製品25のアッパー28がニット構造(knitted structure)またはニット部品から形成される。様々な実施形態では、ニット部品がアッパーに異なる特性を提供することができる様々なタイプのヤーンを組み込むことができる。例えば、アッパー28の1つの領域は第1の組の特性を付与する第1の種類のヤーンから形成されてもよく、アッパー28の別の領域は第2の組の特性を付与する第2の種類のヤーンから形成されてもよい。この構成を使用すると、アッパー28の異なる領域に対して特別なヤーンを選択することによって、アッパー28の特性をアッパー28の全体にわたって変えることができる。いくつかの実施形態では、履物製品25が第1の層またはメッシュ層と、第2の層またはベース層と、を含むことができる。ベース層は、複数のアイレット(eyelets)90を設けることができる外面88、およびユーザが履物製品25を着用したときに足が嵌め込まれる内面92などの複数の層を含むことができる。メッシュ層およびベース層は、履物製品25に沿った1つ以上の位置で接続されてもよい。
【0086】
アッパー28を構成する材料に関して、特定の種類のヤーンがニット部品の領域に与える特有の特性は、ヤーンの様々なフィラメント(filaments)および繊維(fibers)を形成する材料に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、綿は、編まれた材料に柔らかな効果、生分解性、又は自然な美観を提供することができる。エラスタンおよびストレッチポリエステルは、それぞれ、所望の弾性および回復力を有するニット部品を提供することができる。レーヨンは高光沢で吸湿性のある材料を提供することができ、ウールは吸湿性の高い材料を提供することができ、ナイロンは耐摩耗性である耐久性のある材料であり、ポリエステルは疎水性で耐久性ある材料を提供することができる。
【0087】
ニット部品の他の態様もまた、ニット部品の特性に影響を及ぼし、所望の属性を提供するように変更されてもよい。例えば、ニット部品を形成するヤーンはモノフィラメントヤーン(monofilament yarn)またはマルチフィラメントヤーン(multifilament yarn)を含むことができ、またはヤーンは、各々が2つ以上の異なる材料から形成されるフィラメントを含むことができる。さらに、ニット部品は、ニット部品の領域に特定の特性を付与するために、特定のニットプロセスを使用して形成されてもよい。従って、ヤーンを形成する材料およびヤーンの他の態様の両方は、アッパー28の特定の領域に様々な特性を付与するように選択することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、ニット構造の弾力性は、ニット構造が横方向に力を加えられた後、第1の非延伸状態(non-stretched state)のニット構造の幅または長さを、第2の延伸状態のニット構造の幅または長さと比較することに基づいて測定することができる。さらなる実施形態では、アッパー28はまた、追加の構造要素を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒールプレート(heel plate)またはカバー(図示せず)を踵領域38上に設けて、ユーザのヒールに追加のサポートを提供することができる。場合によっては、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標などを、接着剤または熱成形プロセスを使用して外面に塗布し、固定することもできる。いくつかの実施形態では、アッパー28に関連する特性、例えば、ステッチタイプ、ヤーンタイプ、または弾力性、美的外観、厚さ、通気性、または擦り傷抵抗などの様々なステッチタイプまたはヤーンタイプに関連する特性を変えることができる。
【0089】
図示の実施形態では、アッパー28がソールアセンブリ30から上方に延び、ユーザの足を受け入れて固定する内部空洞32を画定する。アッパー28は、足領域(foot region)84および足首領域(ankle region)86によって画定され得る。一般に、足領域84はソールアセンブリ30から、前足領域34、中足領域36、および踵領域38を通って上方に延びる。足首領域86は主に踵領域38内に配置されるが、いくつかの実施形態では足首領域86が中足領域36内に部分的に延在してもよい。
【0090】
アッパー28は側部側42および中央側44に沿って、かつ、前足領域34、中足領域36、および踵領域38を横切って延びて、ユーザの足を収容し、囲む。完全に組み立てられると、アッパー28は、内面92と外面88も含む。内面92は内側を向き、全体的に内部空洞32を画定し、アッパー28の外面88は外側を向き、一般的にアッパー28の外周又は境界を画定する。内面92および外面88は、上記で開示されたベース層および/またはメッシュ層の一部を含んでもよい。アッパー28はまた、履物製品25の踵領域38に少なくとも部分的に位置する開口部94を含み、これは、内部空洞32へのアクセスを提供し、これを通して足を挿入および脱離することができる。また、いくつかの実施形態では、アッパー28は踵領域38の開口部94から足の甲に対応する領域を越えて前足領域34に隣接する領域まで延びる甲部領域(instep area)96を含むことができる。甲部領域96は、本実施形態の舌部(tongue)98が配置される領域と同様の領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、アッパー28が舌部98を含まず、すなわち、アッパー28には舌部がない。
【0091】
ひも100は、複数のアイレット90に通すことができる。ひも100は、ユーザがアッパー28の寸法を変更できるようにするために、例えば、ユーザが望むように足の周りのアッパー28の部分を締めたり緩めたりするために、ユーザによって操作され得る。いくつかの実施形態では、履物製品25が手動で操作されるひも100を備えなくてもよく、その代わりに、電子的に操作される自動靴ひも締めシステムを含んでもよい。
【0092】
本明細書に記載されるように、ミッドソールはクッション性を提供し、履物製品を着用するユーザに提供することができる。一般に、ミッドソールは、型を使用して製造または形成され、完成したミッドソールは履物製品に組み立てる前に、離型され、型から取り外される必要がある。形成されたミッドソールの離型要件は、ミッドソールおよび型の形状を大幅に制限する。例えば、従来の成形プロセスでは、アンダーカットを包含することは不可能である。そして、開口、開口部、相互接続された巻線チャネル(winding channels)、または離型方向に形成されていない他の凹部は、従来の成形技術で製造するには非常に複雑である。
【0093】
従来の成形プロセスでは、複雑な幾何学的特徴を有するミッドソールを製造することは不可能であるため、カスタマイズされたミッドソール、クッション特性が改善されたミッドソールの形成が妨げられる。例えば、ミッドソールに格子又はジャイロイド構造を含めることにより、ミッドソールは、従来のミッドソール設計と比較して、改善されたクッション特性を提供する幾何学的形状を利用することが可能となり得る。そして、格子構造の幾何学的特徴は、ユーザの足型、つぼ、歩幅などに合わせてカスタマイズすることができる。
【0094】
本開示は、ミッドソール設計によって制限されない成形プロセスを使用して、複雑でカスタマイズ可能な幾何学的特徴を有するミッドソールを形成または製造するためのシステムおよび方法を提供する。本発明の成形プロセスは、ポジティブミッドソールモデル(すなわち、成形プロセス中に形成されるミッドソールのモデル)のネガ型をプリントするために、積層造形プロセス(additive manufacturing processes)(例えば、層ごとにプリントされる)を利用する。積層造形により、ネガ型は、従来の成形プロセスでは形成できない、ほぼ無制限の数の形状、構造、および/またはパターンでプリントすることができる。ネガ型は、型ベース内に配置されるか、またはそれと一体に形成されてもよく、材料はミッドソールを形成するために、ネガ型および周囲の型ベースに供給されてもよい。形成されたミッドソールは、ネガ型を生成しプリントするために使用されたミッドソールの模型によって決定される特性を含むことができる。すなわち、ネガ型はミッドソールに1つまたは複数の意図された幾何学的構造の形成をもたらす幾何学的特徴(例えば、相互接続されたセグメント(interconnected segments)、相互接続されたチャネル(interconnected channels)、開口部、開口など)を含み得る。いくつかの実施形態では、意図された幾何学的構造は、ミッドソールに形成された開口(aperture)、開口部(opening)、チャネル(channel)、トンネル(tunnel)、または空隙(void)を含む。
【0095】
本開示によるネガ型および/または履物製品の一部を製造するために使用される積層造形の様々な方法はバインダジェット、直接エネルギー堆積、選択的レーザー溶融、溶融堆積モデル化(FDM)、電子ビーム溶融、レーザーパワードベッドフュージョン(LPBF)、超音波積層造形、材料押出し、材料ジェット、ジュールプリント、電気化学堆積、コールドスプレーメタルプリント、DLPメタルプリント、超音波圧密または超音波積層造形(UAM)、レンズレーザーベースプリント、バット光重合、シートラミネーション、または電子ビームフリーフォーム製造(EBF3)を含むことができる。
【0096】
「格子部分(lattice portion)」または「格子構造(lattice structure)」という用語の使用は本明細書では複数の相互接続されたセグメント、相互接続された形状、相互接続されたチャネル、相互接続された開口部、および/または相互接続された表面のうちの1つによって形成された、ネガ型および/または履物製品(例えば、ミッドソール)の一部分を指す。いくつかの実施形態では、格子構造または格子部分が積層造形工程によって、ネガ型または履物製品の一部と一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、格子構造又は格子部分は単位セル内に形成される材料の少なくとも1つの切り抜き、開口部、開口、又は欠如(例えば、格子構造によって画定される繰り返しパターン)を画定することができる。ネガ型および/または履物製品の一部の中に格子構造を使用することにより、様々な製造特性および性能特性を修正、改善、および/またはカスタマイズすることができる。例えば、格子構造又は格子部分は、固体材料と比較した場合、実質的に減少した重量又は密度を画定することができる。したがって、靴またはソールに格子構造または格子部を組み込むことにより、履物製品を製造するのに必要な材料の総体積または量を低減することができる。さらに、格子構造または格子部分は固体材料と比較した場合に、改善されたクッション性能を有する幾何学的特徴を含んでもよく、したがって、格子構造または格子部分をミッドソールに組み込むことにより、履物製品の総重量を低減し、クッション性能を改善することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、格子構造は相互接続された交点の間に画定される切り抜き、空隙、又は材料の欠如によって形成される単位セルを画定することができる。例えば、格子構造は、三角形、球形、正方形、長方形、又はひし形の単位セルを画定することができる。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、本発明による格子構造内の単位セルの少なくとも一部が五角形、六角形、または任意の他の多角形を画定することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明による格子構造によって画定される単位セルが繰り返しパターンまたは単位セルを形成するために、様々な配向を有する相互接続された形状(例えば、楕円形、円形、または別の形状)によって形成することができる。いくつかの実施形態では、本発明による格子構造が微分幾何学構造によって形成されてもよい。例えば、本開示による格子構造は、複数の相互接続された周期的最小表面(periodic minimal surface)を含むジャイロイド構造によって形成されてもよい。ジャイロイド構造は本開示による格子構造を形成するために、特定の体積にわたってあるパターンで繰り返される単位セルを画定することができる。一般に、微分幾何学構造(例えば、ジャイロイド)の使用は、格子構造上に形成される鋭いエッジの減少により、格子構造に沿って形成される応力集中を減少させることができ、これは、従来のミッドソールで使用される固体材料と比較した場合、例えば、履物製品のミッドソールにおいて改善されたクッション性能を提供することができる。
【0099】
図6は本発明のいくつかの実施形態による、履物製品の型を形成し、ミッドソールを製造するための方法200の概要を示す。いくつかの実施形態では、方法の一部がプロセッサおよびメモリを含むコントローラを使用して実行されてもよく、方法の他の部分は積層造形システム(例えば、3Dプリンター)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラが積層造形システムに一体化されてもよい。他の実施形態では、コントローラが積層造形システムから離れて配置されてもよく、積層造形システムとワイヤレス通信してもよい。
【0100】
さらに
図6を参照すると、方法200は、履物製品(例えば、履物製品25)で形成され、製造されることが意図されるミッドソールのポジティブモデルを生成することによって、ステップ202を開始することができる。ポジティブモデルは、履物製品のために形成されることが意図されるミッドソールの電子的三次元表現(electronic three-dimensional representation)であってもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは3D CADファイル、または3Dステレオリソグラフィファイル(.STLファイル)の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルがコントローラを含む型生成システムのユーザによって設計および生成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルが既存の物理的ミッドソールの3Dスキャンに基づいてコントローラによって生成されてもよい。代替的に又は追加的に、ポジティブモデルは、エンドユーザの身体的特徴に関する情報を含む入力データに応答して、コントローラによって生成されてもよい。例えば、コントローラに入力され、ポジティブモデルを設計および生成するために使用される身体的特徴は、エンドユーザの体重、エンドユーザのゲート(end users gate)、および/または立位、歩行、カッティング動作(cutting movements)、および/または走行中に測定されるエンドユーザの足圧マップを含んでもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、身体的特徴がコントローラによって処理され、ミッドソールのポジティブモデル全体にわたって延びる格子構造を含むポジティブモデルを生成することができる。格子構造は複数の相互接続されたチャネル、形状、表面などを含み、これらは、ポジティブモデルの体積全体にわたって延在してもよい。格子構造は繰り返しパターン(例えば、ジャイロイドを形成する複数の差動表面(differential surfaces))によって形成されてもよく、格子構造の幾何学的特性は、ポジティブモデルに沿って変化させて、ミッドソールに沿った異なる領域で増加または減少したクッション性能を提供してもよい。例えば、格子構造を形成する梁および/または開口部によって占有される大きさ、厚さ、または体積はポジティブモデルに沿って変化させることができ、その結果、ミッドソールは、ミッドソール上の異なる位置で変化するクッション性能で形成される。これに代えて又はこれに加えて、格子構造によって画定される形又は型パターン(type pattern)は、形成されたミッドソールの様々な部分にわたって変化してもよい。例えば、形成されたミッドソールは、踵および中足部領域全体にジャイロイド構造を含み、前足部領域に円筒形トンネルを備えたチャネル構造を含んでもよい。
【0102】
ステップ202でポジティブモデルが生成されると、ステップ204でネガティブモデルを生成することができる。一般に、ネガティブモデルは、ネガティブモデルの物理的表現を形成するために使用され得るネガ型の電子的三次元表現であってもよい。いくつかの実施形態では、型生成システムのコントローラがポジティブモデルからネガティブモデルを生成するように構成されてもよい。例えば、ポジティブモデルは充填体積(例えば、立方体、またはポジティブモデルのミッドソールに類似するが、体積がより大きい形を有する構造)によって囲まれ、閉じられていてもよい。充填体積はポジティブモデルから差し引かれてもよく、残りの体積はネガティブモデルを表してもよい。
【0103】
ポジティブモデルから充填体積を差し引く間、充填体積とポジティブモデルとの間の重なり合う体積を有する領域はネガティブモデルにおける空の体積(例えば、空隙、空洞等)の領域をもたらし、充填体積とポジティブモデルとの間の重なり合う体積を有さない領域は、ネガティブモデルにおける固体体積の領域をもたらし得る。このようにして、例えば、ネガティブモデルはポジティブモデルが固体体積を定義する空の体積を定義することができ、ポジティブモデルが空の体積を定義する固体体積を定義することができる。ネガティブモデルのこれらの性質により、素材を充填し、ポジティブモデルを鏡にしたデザインのミッドソールを形成できる型のデザインとして使用できるようになった。
【0104】
いくつかの実施形態では、ネガティブモデルが3D CADファイル、または3Dステレオリソグラフィファイル(.STLファイル)の形態であってもよい。ステップ204の後に生成されたネガティブモデルを用いて、ステップ206でネガティブモデルに基づくネガ型をプリントするためにネガティブモデルを使用することができる。例えば、ネガティブモデルを積層造形システムに入力し、積層造形システムは、ミッドソールのポジ構造を形成するためのネガ型として使用できるネガティブモデルの物理表現を層ごとにプリントすることができる。いくつかの実施形態では、ネガ型が製造目標(production-intent)のミッドソールを形成するように寸法決めされる。すなわち、ネガ型によって形成されるミッドソールのサイズは、ミッドソールの製造目標サイズと1:1の相関関係にあってもよい。いくつかの実施形態では、層ごとにプリントされるネガ型が化学溶剤(chemical solvent)および/または液状材料に溶解可能な可溶性材料(例えば、可溶性樹脂、可溶性プラスチックなど)、溶解可能な樹脂に結合された砂材(sand material)、または蝋材(wax material)から製造されてもよい。
【0105】
本明細書に記載されるように、ポジティブモデルは、ポジティブモデルの体積全体にわたって延在する、複数の相互接続されたチャネル、形状、表面などを有する格子構造を含んでもよい。ネガティブモデルとプリントされたネガ型には、格子構造の差し引き版、あるいはネガティブ版が含まれていることになる。例えば、格子構造によって画定される相互接続された固体体積はチャネル、空隙、開口などの相互接続されたネットワークに変換することができ、これは、ネガ型の全体積にわたって流体が流れることを可能にし、ミッドソールを形成するように構成された、相互接続されたチャネルを提供する。
【0106】
いくつかの実施形態では、ステップ206でプリントされるネガ型がネガ型を構造的に支持する型ベースに配置され、少なくとも部分的に取り付けられてもよい。例えば、型ベースは、その中にネガ型を受容するように寸法決めされた凹部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、型ベースが樹脂材料またはケイ素材料から製造されてもよい。ネガ型が型ベース内に配置された状態で、ステップ208において、ミッドソール材をネガ型に供給することができる。いくつかの実施形態では、ネガ型に供給されるミッドソール材がネガ型を部分的に充填することができ、発泡膨張はネガ型の残りの体積を充填することができる。いくつかの実施形態では、ミッドソール材が気泡剤(foaming agent)または発泡剤(blowing agent)(例えば、水、二酸化炭素、または窒素)と組み合わされた液体樹脂材料であってもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール材がポリオール材料(polyol material)と、気泡剤または発泡剤と組み合わされたイソシアネート材料(isocyanate material)とから構成されてもよい。
【0107】
ミッドソール材がネガ型に供給された後、ネガ型、およびネガ型に供給されたミッドソール材は、カバープレートによって囲まれてもよい。ミッドソール材中の発泡剤は所定の期間後に反応し始め、それによってミッドソール材は全体にわたって膨張し、ネガ型を満たす。例えば、気泡剤又は発泡剤によって引き起こされる反応は、ネガ型内のミッドソール材の膨張圧を増大させることができる。これは、液状ミッドソール材によって画定される一般的な低粘性と組み合わされて、ネガ型内のチャネル、空隙、または開口の相互接続されたネットワーク全体にわたるミッドソール材の膨張を促進し、それによってネガ型の周りにミッドソールを形成することができる。所定の期間の後、ミッドソール材中での反応の結果として生じる架橋過程が完了し、ネガ型が型ベースから脱離され得る。ミッドソール材は、ここではネガ型の周りに形成されたミッドソールを画定する固体発泡樹脂材料の形態であってもよい。
【0108】
架橋工程が完了し、ミッドソールが固定され、ネガ型の周りに強固に形成された後、ネガ型および形成されたミッドソールを型ベースから脱離することができ、続いて、ステップ210において、形成されたミッドソールをネガ型から解放することができる。いくつかの実施形態では、ネガ型が形成されたミッドソールから機械的に、化学的に、または熱的に解放されてもよい。例えば、ネガ型は形成されたミッドソールから手でかき取ることができ(例えば、ネガ型が砂質材料、または他のタイプの砂よりも球形の粒子を画定する珪砂または砂漠砂のような特殊なタイプの砂質材料から製造される場合)、または型の樹脂を割り、形成されたミッドソールから吹き飛ばされた型を脱離することを可能にするために手で砕くことができる。いくつかの実施形態では、ネガ型が溶剤(例えば、水、アルコールなど)の存在下で少なくとも部分的に溶解可能な可溶性樹脂から形成されてもよく、ミッドソール材料はネガ型を溶解するために使用される溶剤に不溶性であってもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール材がネガ型よりも高い融点を画定することができ(例えば、ネガ型が蝋質材料から製造される場合)、ネガ型は形成されたミッドソールの構造的完全性を損なうことなく溶融除去することができる。いくつかの実施形態では、形成されたミッドソールからのネガ型の解放または取り外しは1つまたは複数のステップを含むことができる。例えば、本明細書に記載される機械的、化学的、および/または熱的除去アプローチは形成されたミッドソールからネガ型を除去するために、順番に組み合わされてもよく、または使用されてもよい。
【0109】
いずれにしても、形成されたミッドソールをネガ型から取り外した状態で、形成されたミッドソールを履物製品(例えば、履物製品25)に製造することができる。さらに、形成されたミッドソールはポジティブモデルに存在した格子構造(例えば、ジャイロイドパターン)を含んでもよく、これは、形成されたミッドソールおよび履物製品に軽量特性および改善されたクッション特性を提供する。いくつかの実施形態では、形成されたミッドソールのクッション性能をさらに強化するために、形成されたミッドソールの格子構造全体にわたって配置された開口部、開口、または空隙に、ミッドソール材よりも軟質の性能を備えた発泡材料(foam material)を充填することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、ネガ型および型ベースがステップ206において、単一構成要素として、層ごとにプリントされてもよい。これらの実施形態では、ネガ型および型ベースがハンドリング中または成形工程中のプリントされた型の破損を回避するために、支持枠内に固定されてもよい。ネガ型からのミッドソールの形成はステップ208および210で上述したように行うことができるが、この実施形態では型ベースおよびネガ型は同じ材料から製造され、形成されたミッドソールがネガ型および型ベースから解放される前に支持枠が脱離される。
【0111】
一般に、ステップ208でミッドソール材がネガ型に供給され、ネガ型内でミッドソール材の膨張が生じた後、空気または気体がネガ型および/または形成されたミッドソールに捕捉されることを回避することが望ましい。いくつかの実施形態では、型ベースがネガ型の周囲とネガ型を取り囲む型ベースの一部との間に間隙を含むように設計されてもよい。このようにして、例えば、ネガ型内において膨張するミッドソール材には充填(フラッシュ)するための空間が設けられ、結果としてフラッシュされた材料は形成されたミッドソールの後処理において脱離されてもよい。いくつかの実施形態では、ネガ型が形成工程中にネガ型内から空気を放出するのを助けるために、微小穿孔を含む材料から製造されてもよい。代替的に又は追加的に、型ベースは余分な材料がオーバーフローリザーバ(overflow reservoir)内に流れ込むことを可能にし、ネガ型がミッドソール材内に完全に膨張し、ミッドソール材で満たされることを確実にするために、その中に形成されたオーバーフローリザーバを含むことができる。これに代えて、またはこれに加えて、ミッドソール材の膨張中にネガ型を封入するために使用されるカバープレートを使用して、ネガ型を減圧し、ミッドソールの成形中に大気を除去することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、ステップ208でネガ型に供給されるミッドソール材が発泡剤または気泡剤を含まなくてもよい。これらの実施形態ではネガ型がステップ208で、部分的に充填されるのではなく、ミッドソール材で完全に充填されてもよく、ネガ型は形成されたミッドソールがネガ型の周りに固定されるまで、カバープレートで囲まれる。次いで、形成されたミッドソールはステップ210の間に、上記のように、ネガ型から解放され得る。
【0113】
一般に、本明細書に記載される方法200は、キャスティングのような工程を介してネガ型からミッドソールを形成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ネガ型手法が射出成形工程で利用されてもよい。例えば、
図7は本発明のいくつかの実施形態による、履物製品の型を形成し、ミッドソールを製造するための方法300の概要を示す。いくつかの実施形態では、方法の一部がプロセッサおよびメモリを含むコントローラを使用して実行されてもよく、方法の他の部分は積層造形システム(例えば、3Dプリンター)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラが積層造形システムに一体化されてもよい。他の実施形態では、コントローラが積層造形システムから離れて配置されてもよく、積層造形システムとワイヤレス通信してもよい。
【0114】
方法200と同様に、方法300は履物製品(例えば、履物製品25)で形成され製造されることが意図されるミッドソールのポジティブモデルを生成することによって、ステップ302で開始することができる。ポジティブモデルは、履物製品のために形成されることが意図されるミッドソールの電子的三次元表現であってもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルが3D CADファイル、または3Dステレオリソグラフィファイル(.STLファイル)の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルがコントローラを含む型生成システムのユーザによって設計および生成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルが既存の物理的ミッドソールの3Dスキャンに基づいてコントローラによって生成されてもよい。代替的に又は追加的に、ポジティブモデルは、エンドユーザの身体的特徴に関する情報を含む入力データに応答して、コントローラによって生成されてもよい。例えば、コントローラに入力され、ポジティブモデルを設計および生成するために使用される身体的特徴は、エンドユーザの体重、エンドユーザのゲート、および/または立位、歩行、および/または走行中に測定されるエンドユーザの足圧マップを含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、身体的特徴がコントローラによって処理され、ミッドソールのポジティブモデル全体にわたって延びる格子構造を含むポジティブモデルを生成することができる。格子構造は複数の相互接続されたチャネル、形状、表面などを含み、これらは、ポジティブモデルの体積全体にわたって延在してもよい。格子構造は繰り返しパターン(例えば、ジャイロイドを形成する複数の差動表面)によって形成されてもよく、格子構造の幾何学的特性は、ポジティブモデルに沿って変化させて、ミッドソールに沿った異なる領域で増加または減少したクッション性能を提供してもよい。例えば、格子構造を形成する梁および/または開口部によって占有される大きさ、厚さ、または体積はポジティブモデルに沿って変化させることができ、その結果、ミッドソールは、ミッドソール上の異なる位置で変化するクッション性能で形成される。
【0116】
ステップ302でポジティブモデルが生成されると、ステップ304でネガティブモデルを生成することができる。一般に、ネガティブモデルは、ポジティブモデルの物理的表現を形成するために使用され得るネガ型の電子的三次元表現であってもよい。いくつかの実施形態では、型生成システムのコントローラがポジティブモデルからネガティブモデルを生成するように構成されてもよい。例えば、ポジティブモデルは充填体積(例えば、立方体、またはポジティブモデルのミッドソールに類似するが、体積がより大きい形を有する構造)によって囲まれ、閉じられていてもよい。充填体積はポジティブモデルから差し引かれてもよく、残りの体積はネガティブモデルを表してもよい。
【0117】
ポジティブモデルから充填体積を差し引く間、充填体積とポジティブモデルとの間の重なり合う体積を有する領域はネガティブモデルにおける空の体積(例えば、空隙、空洞等)の領域をもたらし、充填体積とポジティブモデルとの間の重なり合う体積を有さない領域は、ネガティブモデルにおける固体体積の領域をもたらし得る。このようにして、例えば、ネガティブモデルはポジティブモデルが固体体積を定義する空の体積を定義することができ、ポジティブモデルが空の体積を定義する固体体積を定義することができる。ネガティブモデルのこれらの性質により、素材を充填し、ポジティブモデルを鏡にしたデザインのミッドソールを形成できる型のデザインとして使用できるようになった。
【0118】
いくつかの実施形態では、ネガティブモデルが3D CADファイル、または3Dステレオリソグラフィファイル(.STLファイル)の形態であってもよい。ステップ304の後に生成されたネガティブモデルは、ステップ306でネガティブモデルに基づくネガ型がスケーリングされたもの(スケーリング版)をプリントするために使用されてもよい。例えば、ネガティブモデルを積層造形システムに投入することができ、積層造形システムは、ネガ型として使用してミッドソールのポジ構造を形成することができるネガティブモデルの物理的表現のスケーリング版を層ごとにプリントすることができる。いくつかの実施形態では、層ごとにプリントされるネガ型が可溶性材料(例えば、可溶性樹脂、可溶性プラスチックなど)、可溶性樹脂と結合される砂材、または蝋材から作製されてもよい。
【0119】
本明細書に記載されるように、ポジティブモデルは、ポジティブモデルの体積全体にわたって延在する、複数の相互接続されたチャネル、形状、表面などを有する格子構造を含んでもよい。ネガティブモデルとプリントされたネガ型には、格子構造の差し引き版、あるいはネガティブ版が含まれていることになる。例えば、格子構造によって画定される相互接続された固体体積はチャネル、空隙、開口などの相互接続されたネットワークに変換することができ、これは、ネガ型の全体積にわたって流体が流れることを可能にし、ミッドソールを形成するように構成された相互接続されたチャネルを提供する。
【0120】
一般に、ミッドソールを形成するために使用されるミッドソール材(例えば、熱可塑性材料)は、射出成形プロセス中により堅牢な材料が必要であるため、本明細書に記載の発泡材料と比較した場合、より重い最終成分を生成することができる。方法300では、1つまたは複数の重量低減対策を実施することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ネガ型のスケーリング版が履物製品(例えば、履物製品25)で製造されるミッドソールの最終または製造目標サイズ(例えば、体積)に対して、あるスケールファクタ(scale factor)によって縮小されてもよい。例えば、ステップ306でプリントされる、ネガ型のスケーリング版は、ミッドソールの製造目標の寸法よりも約70%小さく、約65%小さく、約60%小さく、約55%小さく、約50%小さく、約45%小さく、約40%小さく、約35%小さく、又は約30%小さくすることができる。いくつかの実施形態では、ネガ型のスケーリング版がミッドソールの製造目標の寸法よりも約70%~約30%小さく、約65%~約35%小さく、または約60%~約40%小さくてもよい。いくつかの実施形態では、ネガ型のスケーリング版がミッドソールの製造目標の寸法よりも約70%~約60%小さく、約50%~約40%小さく、または約30%~約20%小さくてもよい。プリントされたネガ型のスケールファクタは形成されたミッドソールのサイズを所定量だけ縮小することができ、その結果、本明細書に記載されるように、形成されたミッドソールがスケールダウンされたものは、発泡工程後に製造目標のサイズまで膨張させることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスケールファクタがミッドソールの最終サイズに対して均一にスケールダウンされる。例えば、スケーリングは、ミッドソールによって画定されるすべての座標軸の周りで体積が均一である。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるスケールファクタがネガ型を横切る勾配を定義することができる。例えば、ネガ型のいくつかの部分は、ネガ型の他の部分よりも体積が大きくまたは小さく縮小されてもよい。いくつかの実施形態では形成されたミッドソールの質量特性(mass properties)がプリントされたネガ型の様々な部分に沿ったスケールファクタの大きさを決定することができ、形成されたミッドソールにおいてより大きな厚さまたは体積を有する領域を形成するネガ型の部分は、形成されたミッドソールにおいてより小さな厚さまたは体積を有する領域を形成するネガ型の部分よりもスケールダウンされる。すなわち、いくつかの実施形態ではスケールファクタによって画定される勾配が形成されたミッドソールの幾何学的特性(例えば、厚さ、体積、または少なくとも1つの座標軸に沿って画定される幾何学的特性)に相関されてもよく、より大きな幾何学的特性を画定する面積はより小さな幾何学的特性を画定する面積よりも縮小される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスケールファクタがミッドソールの最終サイズに対して、一方向に、またはミッドソールによって画定される1つの座標軸に沿って、形成されたミッドソールを縮小することができる。例えば、形成されたミッドソールは2つの方向(例えば、x軸およびz軸、又は履物製品がユーザによって着用されている間に履物製品が載置される接地面に平行な平面)に沿った膨張を防止するために、型ベースによって構造的に支持されてもよく、形成されたミッドソールの大きさは、これら2つの方向に沿ったミッドソールの最終的な大きさにほぼ等しくてもよい。次いで、形成されたミッドソールは一方向に縮小されたサイズを有し、型ベースによって許容される一方向(例えば、ユーザが歩行する地面に垂直なy軸または座標軸)に沿って拡大されてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、ネガ型と形成されたミッドソールによって画定されるスケールファクタおよびスケールの種類が、最終ミッドソールおよびミッドソールが製造される対応する履物製品によって画定される体積および形に基づいて、コントローラによって自動的に生成されてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、ステップ306でプリントされるネガ型のスケーリング版がネガ型を構造的に支持する型ベースに配置され、少なくとも部分的に取り付けられてもよい。ステップ306でプリントされた、ネガ型のスケーリング版では、ステップ308でミッドソール材をネガ型に供給することができる。いくつかの実施形態では、ミッドソール材が熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性アクリル、熱可塑性エラストマーなど)であってもよい。ミッドソール材は、ネガ型をミッドソール材で充填するために、ネガ型のスケーリング版に射出成形されてもよい。本明細書に記載されるように、ポジティブモデルは、ポジティブモデルの体積全体にわたって延在する、複数の相互接続されたチャネル、形状、表面などを有する格子構造を含んでもよい。ネガティブモデルと、プリントされたネガ型のスケーリング版には、格子構造の差し引き版、あるいはネガティブ版が含まれていることになる。例えば、格子構造によって画定される相互接続された固体体積はチャネル、空隙、開口などの相互接続されたネットワークに変換することができ、これは、射出成形プロセス中にネガ型の全体積にわたってミッドソール材が流れることを可能にし、ミッドソールを形成するように構成された相互接続されたチャネルを提供する。
【0125】
ミッドソール材がネガ型内に注入され、その周りにセットされると、ステップ310において、形成されたミッドソールのスケーリング版を型ベースおよびネガ型から解放することができる。いくつかの実施形態では、ネガ型が形成されたミッドソールから機械的に、化学的に、または熱的に解放されてもよい。例えば、ネガ型は形成されたミッドソールから手でかき取ることができる(例えば、ネガ型が砂材から製造される場合)。いくつかの実施形態ではネガ型が溶剤(例えば、水、アルコールなど)の存在下で少なくとも部分的に溶解可能な可溶性樹脂から形成されてもよく、ミッドソール材料はネガ型を溶解するために使用される溶剤に不溶性であってもよい。いくつかの実施形態ではミッドソール材がネガ型よりも高い融点を画定することができ(例えば、ネガ型が蝋質材料から製造される場合)、ネガ型は形成されたミッドソールの構造的完全性を損なうことなく溶融除去することができる。いくつかの実施形態では、形成されたミッドソールからのネガ型の解放または取り外しは1つまたは複数のステップを含むことができる。例えば、本明細書に記載される機械的、化学的、および/または熱的除去アプローチは形成されたミッドソールからネガ型を除去するために、順番に組み合わされてもよく、または使用されてもよい。
【0126】
ネガ型から解放された成形ミッドソールのスケーリング版を用いて、成形ミッドソールのスケーリング版は、ステップ312において、最終または製造目標の大きさに膨張し得る。例えば、形成されたミッドソールのスケーリング版は加圧オートクレーブ(pressurized autoclave)内に封入され、加圧ガス(例えば、1平方インチ当たり数千ポンドのオーダーの窒素)が供給されてもよい。オートクレーブ内の高圧ガスは、形成されたミッドソールのスケーリング版に伝達することができる。オートクレーブの減圧に際して、形成されたミッドソールのスケーリング版に伝達される高圧ガスと減圧されたオートクレーブとの間の圧力差は、形成されたミッドソールをスケーリング版から最終または製造目標のサイズに膨張させることができ、これは形成されたミッドソールの密度を減少させ、改善されたクッション特性を提供する。そして、形成されたミッドソールはポジティブモデルに存在した格子構造(例えば、ジャイロイドパターン)を含むことができ、これは、形成されたミッドソールおよび履物製品に軽量化された特性および改善されたクッション性能を更に提供する。
【0127】
いくつかの実施形態ではミッドソール材料は発泡剤を含むことができ、ステップ312での膨張はミッドソールを形成した後に活性化することを含むことができる。例えば、発泡剤が注入された材料から製造された成形ミッドソールを加熱して、膨張プロセスと、それに伴う成形ミッドソールの最終サイズへの膨張とを開始することができる。いくつかの実施形態では、発泡剤がステップ308(例えば、MuCell(登録商標)法)でミッドソール材がネガ型に供給されているときに、輸送および軟化段階中にミッドソール材に注入されてもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、ステップ312においてミッドソールの膨張が多段階プロセスで形成されてもよい。例えば、形成されたミッドソールは、最初に、本明細書に記載の膨張プロセスのうちの1つを介して、ネガ型のサイズよりも大きいがミッドソールの最終サイズよりも小さい中間サイズに膨張させることができる。次いで、中間サイズを有する成形ミッドソールを、最終ミッドソールの形状およびサイズを画定する成形型内に配置することができる(例えば、成形型は、ミッドソールが成形される靴のサイズを表す)。ミッドソールが成形型に入ると、ミッドソールは(例えば、成形型内のミッドソールに供給される気温および/または気圧によって)最終的な大きさに膨張される。最終ミッドソールが冷却されると、最終寸法を画定する成形ミッドソールを成形型から取り外すことができる。
【0129】
この方法300のいくつかの実施形態では、ステップ306でプリントされたネガ型のスケーリング版がミッドソールの最終又は製造目標のサイズに対してネガ型のサイズを縮小するスケールファクタではなく、ミッドソールの最終又は製造目標のサイズに対して1:1のスケールファクタでプリントされてもよい。これらの実施形態では膨張ステップ312は必要とされなくてもよく、ステップ308でネガ型に供給されるミッドソール材はガス充填熱可塑性材料(gas-loaded thermoplastic material)であってもよい。ガスを充填した熱可塑性材料はネガ型を少なくとも部分的に充填するように注入されてもよく、材料はネガ型を完全に充填するように膨張してもよい。
【0130】
一般に、方法200および300は、複雑な幾何学的特徴を有するミッドソールを形成することができるネガ型をプリントするために積層造形を利用する。本明細書に記載の成形解除技術に加えて、プリントされるネガ型はネガ型とミッドソール材との間の機械的または化学的相互作用を回避するために、剥離剤(release agent)(例えば、ケイ素または蝋)で処理されてもよい。代替的に又は追加的に、ミッドソール材は、ネガ型とミッドソール材との間の接着を低減又は防止する添加剤を含むことができる。
【0131】
図8を参照すると、いくつかの実施形態では方法200または方法300のいずれかによってミッドソールが形成された後、ミッドソールは形成後に1つまたは複数の後処理ステップを受けることができる。例えば、ステップ320において、形成されたミッドソール上に薄膜を減圧成形することができる。本明細書に記載されるように、本明細書に記載される技術は、形成されたミッドソール全体に延在する格子構造を含むミッドソールの形成を可能にする。格子構造を含むことにより、形成されたミッドソールに開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路を導入することができ、これにより、ミッドソールに湿気および汚れ/他の粒子を導入され得る。形成されたミッドソールの周りに薄膜を真空密封することにより、湿気および汚れ/粒子がミッドソールに入るのを防止することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、形成されたミッドソールがフィルム層の下の真空成形機内に配置されてもよい。フィルム層は、約0.1ミリメートル(mm)~約0.6mmの厚さを画定することができる。フィルム層は熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性アクリル、熱可塑性エラストマーなど)から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、薄膜が成型前に膜が予熱されるのと同様の温度で活性化される熱活性化接着剤で処理されてもよい。例えば、薄膜は(例えば、ランプによって)約100℃~約160℃に加熱されてもよく、薄膜に塗布された熱活性化接着剤は、この範囲内で活性化されてもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は透明または半透明であり、黄変しない。いくつかの実施形態では、接着剤が反応性ホットメルト材料(hot melt material)または1Kホットメルト材料であってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、薄膜が加熱され、接着剤が活性化されると、薄膜は、形成されたミッドソールの周りに巻き付けられてもよく、形成されたミッドソールの周りに薄膜を吸引するために減圧が適用されてもよい。加熱された膜は、形成されたミッドソールの開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路内に延在してもよい。形成されたミッドソールの開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路への薄膜の浸透深さは、加熱された薄膜の厚さおよび粘性、ならびに薄膜に適用される減圧の大きさに依存し得る。例えば、より薄いフィルム、より高い加熱温度、およびより強い真空は、全て、より深い浸透深さを提供し得る。薄膜が形成されたミッドソールに浸透し、それを覆うと、活性化された接着剤は形成されたミッドソールに結合することができ、場合によっては、冷やした後に切り取ることができる。形成されたミッドソールの周りに薄膜真空成形されることにより、ミッドソールは、湿気および汚れ/粒子の浸透から保護され得る。また、いくつかの実施形態では、薄膜が減圧成型の前に、形成されたミッドソールに挿入された構成要素を固定するために使用されてもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、ユーザが薄膜を通して見て、形成されたミッドソールの構造を視覚化することを可能にするために、薄膜は透明であってもよい。いくつかの実施形態では、薄膜が透明、半透明、または不透明であってもよく、例えば、無地色または多色であってもよい。いくつかの実施形態では、薄膜が形成されたミッドソールを覆う様々な透過特性を有する膜のより小さい部分(例えば、透明部分および不透明部分)から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、薄膜が単層または多層から構成されてもよい。例えば、薄膜は、ミッドソールのいくつかの部分を透明にし、ミッドソールの他の部分を不透明にすることを可能にするために、透明な第1のフィルム層と、不透明なより小さい第2のフィルム層と、を含むことができる。薄膜が多層から構成される実施形態では、薄膜層が薄膜の層の間に伸縮性のある布を挟んでもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、薄膜が共成形ハンドルまたはラグ(co-molded handles or lugs)を用いて、または用いずに形成される3D成形または3D予備成形ネガ(3D pre-formed negative)(すなわち、成形ミッドソールを受容するように成形された構成要素)であってもよい。いくつかの実施形態では、薄膜が真空モールディングプロセスの前にプリントまたは形成されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、レーザー活性化添加剤を薄膜に一体化し、真空モールディングプロセス後にミッドソールをレーザー形成(laser decorating)するために利用することができる。
【0136】
引き続き
図8を参照すると、形成されたミッドソールは、履物製品(例えば履物製品25)のソールアセンブリの一部を形成するためにステップ322でアウトソールに結合される。本明細書に記載されるように、ミッドソールへの格子構造の組み込みはいくつかの性能上の利点を提供するが、アウトソールへの取り付けは履物製品上のソールアセンブリにおいてミッドソールをアウトソールに取り付けるために使用される従来の固定プロセス(cementing process)に困難を加える可能性がある。例えば、格子構造で形成されたミッドソールは、ミッドソールに開口部、空隙、開口、チャネル、および/又は通路を含むため、それほど多くの結合面面積を含まない。
【0137】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、形成されたミッドソールに挿入され、ミッドソールをアウトソールに結合するために使用される接着パッドを含むことができる。接着パッドは、ミッドソールおよびアウトソールへの結合を可能にするために接着層によって取り囲まれてもよく、これはミッドソールとアウトソールとの間の結合をもたらす。例えば、ネガ型はインソールの底面(すなわち、アウトソールに面する表面)に空洞を形成するように設計されてもよく、その中に接着パッドが挿入されてもよい。空洞は接着パッドがミッドソールならびにアウトソールと良好な結合を形成することを確実にするために、ミッドソールの底面に窪んだ連続表面によって形成されてもよい。接着パッドの外側表面(すなわち、アウトソールに面する表面)はアウトソールの内部表面に結合し、ミッドソールをアウトソールに結合するように構成される。
【0138】
いくつかの実施形態では、接着パッドがミッドソールの底面に沿った選択的な位置に配置されてもよい。例えば、接着パッドは、前足領域34、ミッドソールの踵領域38、および/または履物製品を着用している間にユーザの母指を置くことができる領域の下など、特異的な高摩耗領域に置くことができる。他の実施形態では、接着パッドが形成されたミッドソールの底面に沿って所定のパターンで選択的に配置されてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、アウトソールがステップ210で形成されたミッドソールからネガ型が解放される前に、ステップ322でミッドソールに結合されてもよい。これらの実施形態では、接着パッドによって提供されるミッドソールとアウトソールとの間の接着結合は、形成されたミッドソールからネガ型を解放するために利用される解放メカニズムに耐性があることが必要とされる。例えば、接着結合は、ネガ型を溶解し、形成されたミッドソールを解放するために使用される溶剤に対して不溶性であってもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、ステップ322におけるミッドソールとアウトソールとの間の連結が代替的にまたは追加的に、アウトソールの内部表面から上方に(すなわちミッドソールに向かって)延在する突起またはピンの使用を介して達成されてもよく、ミッドソールはその中にアウトソールから延在する1つまたは複数の突起を受容するように構成された、その中に形成された嵌合凹部を含んでもよい。アウトソールのピンとミッドソールの凹部を形成する表面との間の嵌合は、アウトソールとミッドソールとの間の機械的結合を提供することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、ミッドソールは、アウトソールから突出するラグ(lugs)を受容するように寸法決めされた空洞を有して形成されてもよい。これらの実施形態では、アウトソールおよびミッドソールがステップ208または308のいずれかの間で一緒に形成されてもよく、ステップ322におけるアウトソールとミッドソールとの間の連結はステップ208またはステップ308の間で同時に行われてもよい。
【0142】
図9~
図13は方法200および300に関して本明細書に記載されるように、ポジティブモデルからネガ型を形成し、その後ミッドソールの一部を製造する一実施形態を示す。特に
図9を参照すると、ミッドソールのポジティブモデル350の一部が示されている。ポジティブモデル350の一部は、ポジティブモデル350の全体にわたって延在する格子構造からの単位セル(unit cell)352の二次元部分を表すことができる。すなわち、単位セル352は、ポジティブモデルの全体積にわたってタイル状に繰り返され、格子構造を画定する三次元形状を画定してもよい。
【0143】
一般に、ポジティブモデル350の一部は幾何学的な形または面を確定し、形成されたミッドソールに開口、開口部、空隙、チャネル、または通路を形成する少なくとも1つの領域の固体体積を含むことができる。図示の実施形態では、ポジティブモデル350の一部がモデルミッドソール材(model midsole material)356によって取り囲まれた複数の相互接続された開口354を含む。
図9~
図13に示す複数の相互接続された開口354の数および配列は、これらに限定することを意味するものではなく、ポジティブモデル350の一部内の単位セル352によって画定される具体的なパターンは、単位セル内の特定の配列に配置された任意の数の開口を含むようにカスタマイズすることができる。さらに、
図9において同じ平面内にあるものとして示される開口354の数も、ユニット電池352の設計に応じて変化させることができる。
【0144】
図示の実施形態では、複数の相互接続された開口354は、内部表面358によって画定される略円形を画定する。内部表面358はポジティブモデル350の一部が空の体積、空洞、または空隙(すなわち、形成されたミッドソールに材料が存在しない)の境界を画定することができる。複数の相互接続された開口354は、1つまたは複数のセグメント360によって接続されてもよい。図示の実施形態では、セグメント360が複数の相互接続された開口354と同様に、中空であるか、または空の体積を画定する。
図9~
図13のセグメント360上の破線は、セグメントが
図9~
図13に示される2次元セクションとは異なる平面内で、複数の相互接続された開口354を接続していることを示す。いくつかの実施形態では、セグメント360は、ポジティブモデル350に沿った1つまたは複数の共通平面に沿って、複数の相互接続された開口354を接続してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、複数の相互接続された開口354が異なる形状を画定してもよい。例えば、複数の相互接続された開口354は、三角形、球形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、および/又は任意の他の多角形の形状を画定することができる。いくつかの実施形態では、複数の相互接続された開口354が同じ単位セル内に異なる形状の開口を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の相互接続された開口部354は、本明細書に記載されるように、セグメント360と組み合わせて、ポジティブモデル350を通る開口、開口部、空隙、チャネル、または通路を画定する単位セル内に形成された1つまたは複数の表面(例えば、ジャイロイドパターンを形成する対向する最小表面)を形成してもよい。
【0146】
図9および
図10を参照すると、ネガ型の生成中に、ポジティブモデル350の一部を充填体積(filler volume)362で重ねることができる。図示の実施形態では、充填体積362がポジティブモデル350の周囲とほぼ同じ形状を画定する。いくつかの実施形態では、充填体積362はポジティブモデル350(例えば、立方体)より大きい形状を画定し、それを包囲することができる。
【0147】
ポジティブモデル350の一部からネガティブモデルの一部を生成するために、充填体積362をポジティブモデル350の一部から差し引くことができる。
図10から
図11に移ると、ネガティブモデル364の一部が示されており、これは、ポジティブモデル350の一部から充填体積362を差し引いた結果である。一般に、ポジティブモデル350における充填体積362とモデルミッドソール材356との間の重複体積はネガティブモデル364における空の体積(例えば、空隙、空洞、開口、チャネルなど)の領域をもたらし、充填体積362とポジティブモデル350との間の体積が重複しない領域(すなわち、充填体積362と複数の相互接続された開口354とセグメント360との間の交差部)は、ネガティブモデル364における固体体積の領域をもたらし得る。このようにして、例えば、ネガティブモデル364は、ポジティブモデル350が固体体積を定義した空の体積を定義することができ、ポジティブモデル350が空の体積を定義した固体体積を定義することができる。ネガティブモデル364のこれらの特性は、材料で充填することができ、ポジティブモデル350を反映するデザインを有するミッドソールを形成することができる型のためのデザインとして使用することを可能にする。
【0148】
次に、ネガ型364の一部は、積層造形システムを使用して、ネガ型の固体版(
図20参照)を層ごとにプリントするための設計として使用することができる。
図12を参照すると、ネガティブモデル364に基づいてネガ型366がプリントされると、ネガ型366にミッドソール材370を供給することができる。一般に、本発明に従って形成されたネガ型は形成されたミッドソールに開口を形成するように構成された固体表面(例えば、材料で充填された)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ネガ型が形成されたミッドソールに複数の相互接続された開口、開口部、空隙、チャネル、または通路を形成するように構成された複数の相互接続された表面または形状を含むことができる。図示の実施形態では、ネガ型366の一部が複数の相互接続された固体表面368(solid surfaces)を含む。複数の相互接続された表面368は、複数の相互接続された開口354とそれに接続されたセグメント360のサイズおよび形状に適合する形状およびサイズを画定してもよい。
【0149】
ミッドソール材を供給するプロセスは、方法200および300を参照して本明細書に記載される。図示の実施形態では、ミッドソール材370がネガ型366を取り囲むことができる。ミッドソール材370がネガ型366の周りに取り付けられると、方法200および300に関連して説明した技術に従って、形成されたミッドソール371からネガ型366を解放することができる。
図13は、ポジティブモデル350に基づいて形成された成形ミッドソール371の一部を示す。ポジティブミッドソール371の部分は、複数の相互接続された開口部354と、それに接続されたセグメント360とを含む。
【0150】
一般に、ポジティブモデル350の設計は
図9~
図13に示されるように、形成されたミッドソール
371に複製され得る。このようにして、例えば、ポジティブモデル350は、任意の形および構造を含むように設計され得る。ポジティブモデル350の形および構造の複雑さは、積層造形システムによって提供されるデザインの自由度のために、ネガ型366のプリントによって制限されない。
【0151】
ポジティブモデルにおけるの単位セルの幾何学的特徴は
図9~
図13に例示されているように、相互接続された形状に限定されない。いくつかの実施形態では、ポジティブモデルは、ポジティブモデルを通る1つまたは複数の開口、チャネル、または通路を画定し、それによって形成されたミッドソールに結合する相互接続表面(例えば、ジャイロイドの最小表面)を含んでもよい。例えば、
図14~
図18は方法200および300に関して本明細書に記載されるように、ポジティブモデルからネガ型を形成し、その後ミッドソールの一部を製造する別の実施形態を示す。
【0152】
特に
図14を参照すると、ミッドソールのポジティブモデル372の一部が示されている。ポジティブモデル372の一部は、ポジティブモデル372の全体にわたって延在する格子構造からの単位セル374の二次元部分を表すことができる。すなわち、単位セル374は、ポジティブモデルの全体積にわたってタイル状に繰り返され、格子構造を画定する三次元形状を画定してもよい。
【0153】
一般に、ポジティブモデル372の一部は幾何学的な形または面を画定し、形成されたミッドソールに開口、開口部、空隙、チャネル、または通路を形成する少なくとも1つの領域の固体体積を含むことができる。図示の実施形態では、ポジティブモデル372の一部が固体体積、例えば、相互接続表面、またはモデルミッドソール材378によって取り囲まれた複数の相互接続表面376を含む。
図14~
図18に示す相互接続面(interconnected surfaces)376の数および配列は、これらに限定することを意図するものではなく、ポジティブモデル372の一部内の単位セル374によって画定される特定のパターンは、特定の配列に配置された任意の数の面を含むようにカスタマイズすることができる。さらに、
図14において同じ平面内にあるものとして示される表面376の数(表面が平面外であることを示す破線)も、ユニット電池374の設計に応じて変更することができる。当然のことながら、
図14に示される複数の相互接続面376は、離散的でなくてもよく、ポジティブモデル372全体にわたって繰り返しパターンで延在する連続面によって形成されてもよい。したがって、
図14の相互接続面376は、ポジティブモデル372全体にわたって所定のパターンで膨張する単一の相互接続面によって形成することができる。
図14における個々の表面の出現は、図示されている平面視によることにさらに留意されたい。
【0154】
図示の実施形態では、相互接続された表面376が交互に湾曲した形状を画定する。いくつかの実施形態では、複数の相互接続された表面376は、組み合わせてジャイロイド構造又はパターンを形成する最小の表面を画定することができる。例えば、相互接続された表面376はポジティブモデル372全体にわたってジャイロイドを形成する周期的最小表面(periodic minimal surface)(例えば、三重周期的最小表面(triply periodic minimal surface))であってもよい。
【0155】
相互接続された表面376はポジティブモデル372の一部が空の体積、空洞、チャネル、通路、または空隙(すなわち、形成されたミッドソールに材料が存在しない)の境界を画定することができる。例えば、相互接続された表面376はポジティブモデル372を通って延在する1つ以上の相互接続されたチャネルまたは通路の輪郭を描くことができ、その結果、形成されたミッドソールの一部が、1つ以上の相互接続されたチャネルまたは通路を含む。図示の実施形態では、相互接続された表面376がモデルミッドソール材378を通って延びるか、またはモデルミッドソールに空の体積を画定する1つまたは複数のチャネルまたは通路380を画定する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のチャネルまたは通路380がポジティブモデル372を通って延在する単一の相互接続されたチャネルまたは通路によって形成されてもよい。あるいは、1つまたは複数のチャネルまたは通路380がポジティブモデル372全体にわたって延在し、接続する複数の相互接続チャネルおよび通路380を含むことができる。
【0156】
図14および
図15を参照すると、ネガ型の生成中に、ポジティブモデル372の一部を充填体積382で重ねることができる。図示の実施形態では、充填体積382がポジティブモデル372の周囲とほぼ同じ形状を画定する。いくつかの実施形態では、充填体積382はポジティブモデル372(例えば、立方体)より大きい形状を画定し、それを包囲することができる。
【0157】
ポジティブモデル372の一部からネガティブモデルの一部を生成するために、充填体積382をポジティブモデル372の一部から差し引くことができる。
図15から
図16に移ると、ネガティブモデル384の一部が示されており、これは、ポジティブモデル372の一部から充填体積382を差し引いた結果である。一般に、ポジティブモデル372における充填体積382とモデルミッドソール材378との間の重複体積はネガティブモデル384における空の体積(例えば、空隙、空洞、開口、チャネル、通路など)の領域をもたらし、充填体積382とポジティブモデル372との間の体積が重複しない領域(すなわち、充填体積382と1つ以上のチャネルまたは通路380との間の交差部)は、ネガティブモデル384における固体体積の領域をもたらし得る。このようにして、例えば、ネガティブモデル384は、ポジティブモデル372が固体体積を定義した空の体積を定義することができ、ポジティブモデル372が空の体積を定義した固体体積を定義することができる。ネガティブモデル384のこれらの特性は、材料で充填することができ、ポジティブモデル350を反映するデザインを有するミッドソールを形成することができる型のためのデザインとして使用することを可能にする。
【0158】
次に、ネガ型384の一部は、積層造形システムを使用して、ネガ型の固体版(
図20参照)を層ごとにプリントするための設計として使用することができる。
図17を参照すると、ネガティブモデル384に基づいてネガ型386がプリントされると、ネガ型386にミッドソール材390を供給することができる。一般に、本発明に従って形成されるネガ型は形成されたミッドソールに開口部、通路、またはチャネルを形成するように構成された固体表面(例えば、材料で充填された)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ネガ型が形成されたミッドソールに複数の相互接続された開口、開口部、空隙、チャネル、または通路を形成するように構成された複数の相互接続された表面または形状を含んでもよい。図示の実施形態では、ネガ型386の一部が1つまたは複数の固体相互接続セグメント(solid interconnected segments)392を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の固体相互接続セグメント392がネガ型全体に延在する単一の連続的相互接続セグメントによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の固体相互接続セグメント392が複数の固体セグメントによって形成されてもよい。いずれの場合も、固体相互接続セグメント392は、相互接続表面376の形状に対応する外面を画定することができる。例えば、固体相互接続セグメント392の外面は最小表面(例えば、周期的最小表面または三重周期的最小表面)を画定し得る。
【0159】
ミッドソール材を供給するプロセスは、方法200および300を参照して本明細書に記載される。図示の実施形態では、ミッドソール材390がネガ型386を取り囲むことができる。ミッドソール材390がネガ型386の周りに取り付けられると、方法200および300に関連して説明した技術に従って、形成されたミッドソール394からネガ型386を解放することができる。
図18は、ポジティブモデル372に基づいて形成された成形ミッドソール394の一部を示す。形成されたミッドソール394の部分は、その中に形成された相互接続された表面376と、相互接続された表面376によって形成された付随する1つまたは複数のチャネルまたは通路380とを含む。
【0160】
図19および20は、本開示による型をデザインおよびプリントするために使用され得る型生成システム400の一実施形態を示す。型生成システム400は、コントローラ402およびプリントヘッド404を含むことができる。コントローラ402は、プロセッサによって実行される命令を含むメモリを備えたプロセッサを含むことができる。コントローラ402はプリントヘッド404と通信することができ、所定のパターンで材料を層ごとに堆積させるようにプリントヘッド404に命令するように構成することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ402およびプリントヘッド404が積層造形システム406(
図20参照)に一体化されてもよい。いくつかの実施形態ではコントローラ402がプリントヘッド404離隔されて、通信していてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、コントローラ402がミッドソールのポジティブモデルを含むファイルを設計または受信するように構成されてもよい。例えば、コントローラ402は、ユーザがミッドソールのポジティブモデルを視覚化し、設計することを可能にするモニタ405と通信することができる。いくつかの実施形態では、ミッドソールのポジティブモデルは、コントローラ402に入力される既存の物理的ミッドソールの3Dスキャンに基づいて、コントローラ402によって生成されてもよい。代替的に又は追加的に、ミッドソールのポジティブモデルは、エンドユーザの身体的特徴に関する情報を含む入力データに応答して、コントローラ402によって生成されてもよい。例えば、コントローラ402に入力され、ポジティブモデルを設計および生成するために使用される身体的特徴は、エンドユーザの体重、エンドユーザの歩行、および/または立っている間、歩いている間、および/または走っている間に測定されたエンドユーザの足圧マップを含むことができる。
【0162】
ミッドソールのポジティブモデルがコントローラ402によってどのように生成されるかにかかわらず、コントローラ402は、本明細書に記載される方法および技術に従って、ポジティブモデルに基づいてネガティブモデルを生成することができる。ネガティブモデルは、コントローラ402から積層造形システム406に送ることができる。例えば、ネガティブモデルは3Dプリントフォーマット(例えば、STLファイル)であってもよく、積層造形システム406のプリントヘッド404は、ネガティブモデル(
図20参照)に基づいて、ネガ型を層ごとにプリントしてもよい。いずれにしても、プリントヘッド404は、方法200および300、ならびに
図9~
図18に関して説明した例示的な実施形態に従ってネガ型をプリントするように構成することができる。
【0163】
具体的に
図20を参照すると、プリントヘッド404は、構築ベッド(build bed)又は構築平面(build plane)410を支持する筐体408内に封入されてもよい。いくつかの実施形態では、構築ベッド410がミッドソール材(例えば、粉末または微粒子形態)で充填されてもよく、プリントヘッド404はネガ型412をプリントするために、構築ベッド410内のミッドソール材を層ごとに結合、溶融、および/または融着するように構成されてもよい。ネガ型412は、ネガティブモデルおよびネガ型について本明細書に記載される形状、格子構造、単位セル、面、および/または形状のうちの任意のものを含んでもよく、次いで、ポジティブモデルおよび形成されたミッドソールについても本明細書に記載される形状、格子構造、単位セル、面、および/または形状のうちの任意のものを形成してもよい。図示の実施形態では、ネガ型412が形成されたミッドソールにジャイロイドパターンを形成する最小表面(例えば、周期的最小表面又は三重周期的最小表面)を画定する外部表面を有する1つ以上の固体相互接続セグメント392を含むことができる。
【0164】
方法200および300に記載されるように、ネガ型がプリントされると、ネガ型は型ベース内に固定され得る。
図21を参照すると、ネガ型412は、型ベース(mold base)414内に配置することができる。図示の実施形態では、型ベース414は略直角柱形(rectangular prism shape)を画定する。他の実施形態では、型ベース414はネガ型412からミッドソールを形成するために利用される成形技術によって必要とされる任意の形を画定することができる。
【0165】
型ベース414は、型ベース414の上面418に凹んだベース凹部(base recess)416を含む。図示の実施形態では、ベース凹部416は矩形形状(rectangular shape)を画定する周縁417を含むことができる。別の実施形態では、周縁417がネガ型412(
図22参照)の外周に適合する形を画定してもよい。いくつかの実施形態では、ベース凹部416がネガ型412の外周とベース凹部416の周縁417との間に所定の間隙420を提供するように寸法決めされてもよい(
図23A参照)。方法200および300に記載されるように、間隙420はミッドソール材が成形プロセス中に充填(フラッシュ)し、成形プロセス中に空気が閉じ込められるのを防止するのを助けるための空間を提供することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、ネガ型412の外周とベース凹部416の周縁417との間の所定の間隙420が閉じられた外壁または外面(例えば、開口部またはチャネルが貫通していない固体材料で形成された壁または表面)を形成するように構成されてもよい。例えば、所定の間隙420はミッドソール材がネガ型412の周りを流れるための空間を提供し、形成されたミッドソールの周囲を取り囲む固体の側壁の形成をもたらすことができる。固体側壁はネガ型412によってミッドソールに形成される格子構造、格子パターン、開口、開口部、トンネル、チャネル、または他の構造を囲み、デブリ(debris)が形成されたミッドソールに入らないようにしてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、
図23Bに示されるように、所定の間隙420は少なくとも1つの開口部またはチャネルが所定のギャップ内に配置され得ることを除いて、形成されたミッドソールを囲む固体外壁を形成するために、ネガ型412のすべての外面を囲んでもよい。例えば、ネガ型412は固体の外壁を通る開口部又はチャネルの形成をもたらす固体の棒又はピン421を含むことができる。図示の実施形態では、固体の棒またはピン421がネガ型412の上面に形成される。他の実施形態では、固体の棒またはピン421が側面または底面のうちの1つ以上で形成されてもよい。固体の棒またはピン421の配向に関係なく、形成されたミッドソールは、固体の外壁の少なくとも1つを通って形成される開口部またはチャネルを除いて、固体の外壁によってすべての表面上で囲まれてもよい。固体外壁の少なくとも1つに形成された開口部又はチャネルは(例えば、ネガ型412を形成する材料が化学的に、機械的に、又は熱的に分解された後に)形成されたミッドソールから除去されるネガ型412のための出口を提供することができる。いくつかの実施形態では、ネガ型412の上面に沿って形成された所定の間隙420が型ベース414の上に配置されたカバープレート426(
図28参照)によって提供されてもよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、ネガ型416の底面に沿って型ベース414とネガ型416との間に形成される所定の間隙420がアウトソールを受容するように寸法決めされてもよい。例えば、ネガ型416の底面と型ベース414(例えば、ベース凹部416の上面)との間に形成される所定の間隙420の形および大きさは、アウトソールと一致してもよい。いくつかの実施形態では、アウトソールは、アウトソールが形成されたミッドソールと結合し、接着し得ることを確実にするために、形成されたミッドソールに適合する幾何学的特徴(例えば、格子構造、開口、チャネル、トンネルなど)で形成されてもよい。
【0169】
方法200および300に記載されるように、いくつかの実施形態では、ネガ型が型ベースと一体的にプリントされてもよい。
図24および
図25は、ネガ型412および型ベース414が一体構成要素として形成された一実施形態を示す。例えば、プリントヘッド404は、ネガ型412と型ベース414とを層毎に同時にプリントすることができる。組み合わされたネガ型412および型ベース414は、支持枠422に挿入され得る。支持枠422は、型ベース414を少なくとも部分的に囲むことができる。例えば、図示の実施形態では、支持枠422が上面418を除いて、型ベース414の全ての外面を取り囲むことができる。一般に、支持枠422は取扱い中または成形工程中に、ネガ型412および型ベース414の破損を回避するように構成されてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、型ベース414が
図26および
図27に示すように、型ベース414の内部に配置されたリザーバ(reservoir)424を含むことができる。リザーバ424は、ネガ型412および型ベース414が一体の構成要素として製造されるかどうかにかかわらず、型ベース414内に配置されてもよい。図示された実施形態では、リザーバ424が型ベース414内に空洞を画定し、形成工程中に余分なミッドソール材がその空洞内を流れることができる。図示の実施形態では、リザーバ424が略直角柱空洞を画定し、ネガ型412の片側から延びる。いくつかの実施形態では、リザーバ424がネガ型412の周囲に延在してもよく、所望に応じて任意の形を画定してもよい。
【0171】
図28を参照すると、いくつかの実施形態では、ネガ型412および型ベース414は、ネガ型412にミッドソール材が供給された後、カバープレート426によって囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、カバープレート426が型ベース414および/または支持枠422にクランプされてもよい。図示の実施形態では、カバープレート426が型ベース414と同様の形を画定する。他の実施形態では、カバープレート426がネガ型412の外周と同様の形を画定することができる。
【0172】
ステップ320で本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、薄膜が形成されたミッドソール上に減圧成形(vacuum molded)されてもよい。
図29および
図30は、方法200または方法300によって形成した後にミッドソール428上に減圧成形することができるフィルム430を有する成形ミッドソール428の実施形態を示す。
図29の実施形態では、フィルム430はミッドソール428上に成形されてもよく、その結果、フィルム430はミッドソール428の外面432と一致し、結合される。
【0173】
いくつかの実施形態では、フィルム430がミッドソール428の外面432と連続的に結合していなくてもよい。例えば、膜430は、ミッドソール428の外面432に沿って延びるか、又はそれに形成された開口部、空隙、開口、チャネル、および/又は通路434内に部分的に延びることができる。言い換えれば、開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路434への膜430の侵入の深さは、真空成型プロセスの特性によって制御することができる。
【0174】
本明細書のステップ322で説明するように、いくつかの実施形態では、成形ミッドソールをアウトソールに結合することができる。
図31~33は、形成されたミッドソール428をアウトソール438に結合するように構成された1つ以上の接着パッド436の使用を示す。接着パッド436はミッドソール428およびアウトソール438への接着を可能にするために、接着層によって取り囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、
図31に示されるように、接着パッド436は前足領域(例えば、前足領域34を参照)、踵領域(例えば、踵領域38を参照)、および/または履物製品を着用している間にユーザの親指(big toe)が配置される領域の下など、特有の耐摩耗性領域(high-abrasion areas)に配置することができる。他の実施形態では
図32に示すように、接着パッド436は形成されたミッドソール428の底面440に沿って所定のパターンで選択的に配置することができる。
【0175】
特に
図33に関して、いくつかの実施形態では、ネガ型は、接着パッド436が挿入され得るミッドソール428の底面440(すなわち、アウトソールに面する側)に空洞を形成するように設計されてもよい。接着パッド436の各々は、それぞれの空洞442内に受容され得る。空洞442は接着パッドがミッドソール428およびアウトソール438と確実に良好な結合を形成するために、ミッドソール428の底面440に窪んだ連続面(continuous surface)444によって形成されてもよい。接着パッド436の外面446(すなわち、アウトソール438に対向する表面)はアウトソール438の内部表面448に結合し、ミッドソール428をアウトソール438に結合するように構成される。
【0176】
いくつかの実施形態では、形成されたミッドソールが接着結合に加えて、または接着結合の代替として、アウトソールへの機械的結合を含んでもよい。例えば、
図34は、アウトソール438がアウトソール438の内部表面448から上方に(すなわち、ミッドソールに向かって)延びる複数のピン450を含む一実施形態を示し、ミッドソール428は、アウトソール438から延びるピン450を受け入れるように構成された、ミッドソールの中に形成された嵌合凹部(mating recesses)452を含むことができる。アウトソール438内のピン450とミッドソール428内の凹部452を形成する表面との間の嵌合は、アウトソール438とミッドソール428との間の機械的結合を提供することができる。いくつかの実施形態では、ピン450および嵌合凹部452は、ピン450が凹部452から過剰な力を受けていないのに脱離することを抑制または防止する形状を画定することができる。例えば、
図35は、ピン450の端部が凹部452内に受容され、ミッドソール428からのアウトソール438の脱離を阻止または防止するように構成されたプラグ454を含む一実施形態を示す。
【0177】
本明細書に記載されるように、方法200および300は積層造形システムを介してネガ型をプリントすることを可能にし、履物製品のミッドソールは、ネガ型から形成されてもよい。
図36~38は、方法200または方法300のいずれかによって形成され得るミッドソール500の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ミッドソール500が履物製品(例えば、履物製品25)に形成され、製造されてもよい。
【0178】
一般に、ミッドソール500を形成するために使用されるネガ型は、ミッドソール500内に1つ以上の開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路を形成する1つ以上の固体の相互接続された表面またはセグメントを含んでもよい。図示の実施形態では、ミッドソール500が相互接続された最小表面又はセグメント506によって形成された単位セル504を有する格子構造502を含む。一般に、ミッドソール500内に形成された格子構造502は、相互接続された最小表面またはセグメント506によって形成され、ミッドソール500全体にわたって延在する1つまたは複数の開口部、空隙、開口、チャネル、および/または通路508を画定することができる。図示の実施形態では、格子構造502が三重周期的最小表面を含むジャイロイド構造を画定する。一般に、微分幾何学構造(例えば、ジャイロイド)の使用は、格子構造502上に形成される鋭いエッジの減少により、ミッドソール500に沿って形成される応力集中を低減することができ、これは、例えばミッドソール500において改善されたクッション性能を提供することができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、本発明による型が砂質材料または蝋質材料からなる積層造形によって形成されてもよい。例えば、本発明による型は積層造形工程を介して層ごとに形成することができ、型は、形成されたミッドソールに1つまたは複数の開口部、空隙、開口、チャネル、または通路を形成する1つまたは複数の表面またはセグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、砂粒子を一緒に結合させるために砂質材料に添加された結合剤(例えば、高分子または樹脂)を含み得る砂質材料から、型を層ごとにプリントすることができる。いくつかの実施形態では、蝋材または砂材から1層ずつプリントされる型が1つまたは複数の周辺セグメントに接続される内側または外側を支持するセグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、プリントされた砂型またはプリントされた蝋型が方法200または方法300に従ってネガ型として形成されてもよい。
【0180】
図39は、本発明に従って形成することができる砂型550の一実施形態を示す。図示の実施形態では、砂型550が、砂型550の第1(例えば、アッパー)側面554上に形成された複数のパッド552と、砂型550全体に延在する複数のチャネル556とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パッド552がミッドソールまたは履物製品(例えば、履物製品25)の別の構成要素に同様の形状の空洞を形成することができる。図示の実施形態では、複数のチャネル556が1つまたは複数の相互接続された表面558によって形成することができる。相互接続された表面558は、形成されたミッドソール又は形成されたミッドソールの一部に格子構造を形成することができる。相互接続された表面558は、形成されたミッドソールまたはミッドソールの一部に1つ以上の開口部、空隙、開口、チャネル、または通路を形成することができるポジティブ構造を画定することができる(
図42参照)。
【0181】
図40および
図41を参照すると、
図39の実施形態は、ミッドソール566の少なくとも一部に形成された状態で示されている。例えば、
図40に示すように、ミッドソール材568を砂型550の第1の面554に供給することができ、ミッドソール材568は砂型550を充填することができる。いくつかの実施形態では、ミッドソール材が樹脂発泡体またはポリマー材料(例えば、ポリウレタンまたはポリウレタン発泡体)であってもよい。砂型550がミッドソール566の成形部分から除去された後のミッドソール566の結果部分が
図41に示されている。いくつかの実施形態では、砂型550は、形成されたミッドソール566から機械的(例えば、ブラッシング)および/または化学的(例えば、溶剤)に除去することができる。
図41に示すように、ミッドソール566の一部は、砂型550内に存在する相互接続面558によって形成される1つ以上の相互接続開口部、空隙、開口、チャネル、または通路570を含む。1つまたは複数の相互接続された開口部、空隙、開口、チャネル、または通路570は、形成されたミッドソール566の1つまたは複数の相互接続された表面572内に囲まれ、形成されてもよい。
【0182】
図42は、本発明に従って形成することができる砂型560の別の実施形態を示す。図示の実施形態では、砂型560がミッドソールの全体的な形の空洞562を画定し、空洞562を横切って横方向に延びる複数の梁(beams)又はセグメント564を含むことができる。図示の実施形態では、複数の梁またはセグメント564が、複数の梁またはセグメント564によって画定される直径が変化する略円筒形状を画定することができる。梁またはセグメント564は、形成されたミッドソールに1つまたは複数の開口部、空隙、開口、チャネル、または通路を形成することができる固体体積を砂型560内に画定することができる(
図41参照)。例えば、成型工程中に、ミッドソール材(例えば、樹脂発泡体、ポリマー発泡体、ポリウレタン発泡体など)を砂型560の空洞562内に注入または注ぐことができ、ミッドソール材は梁564によって画定される固体体積の周りに形成することができ、その結果、形成されたミッドソールに、対応する様々な直径を有する同様の形状のチャネルまたはトンネル(例えば、空の体積)が形成される。
【0183】
図示の実施形態では、梁又はセグメント564が空洞562の側部側563から空洞562の中央側565まで空洞562を横切って横方向に延びる。梁又はセグメント564は、空洞562の後方遠位端(rear distal end)567から、後方遠位端567と前方遠位端(front distal end)569との間の位置まで空洞562内に配置される。このようにして、例えば、空洞562は、梁又はセグメント564がない空の領域571を画定することができる。図示の実施形態では、空の領域571が空洞562の前方遠位端569に近接して配置される(例えば、形成されたミッドソール上にユーザのつま先が配置される領域)。いくつかの実施形態では、梁またはセグメント564は、空の領域を伴わずに、後方遠位端567から前方遠位端569まで空洞562の上に長手方向に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、空の領域571が空洞562に沿った別の位置に配置されてもよい。例えば、空の領域571は後方遠位端567に近接して配置されてもよい(例えば、ミッドソール上にユーザの踵が配置される領域)。
【0184】
図43および
図44は、本発明に従って形成される砂型572の別の実施形態を示す。図示の実施形態では、砂型572がミッドソールの全体的な形の空洞573を画定する。空洞573は、空洞573の周りに延在する周面574と、砂型572の上面576に窪んで空洞573の深さを画定する底面575とによって画定される。周辺表面574は、空洞573の周りに延びて、中央側577、側部側578、後方遠位端579、および前方遠位端580を画定する。
【0185】
砂型572は、支持セグメントまたは梁581と、複数の周辺セグメントまたは梁582とを含む。支持梁581は、後方遠位端579に隣接する位置から前方遠位端580に隣接する位置まで、空洞に沿って湾曲した形状で長手方向に延在する。周辺梁582の各々は、支持梁581と、周辺面574または底面575のうちの1つと、の間に接続される。図示の実施形態では、周辺梁582の各々は、徐々に変化する直径が周辺梁582に沿って長手方向に画定される略切頭円錐形(generally frustoconical shape)を画定する。例えば、周辺梁582の各々は、支持梁581から周辺面574又は底面575に向かう方向に徐々に増大する直径を画定することができる。いくつかの実施形態では、周辺梁582の各々が略一定の直径を画定してもよい。いくつかの実施形態では周辺梁582の一部が略一定の直径を画定することができ、周辺梁582の残りの部分は徐々に変化する直径を画定することができる。
【0186】
一般に、支持梁581は、周辺面574または底面575に対向して配置される周辺梁581のそれぞれの端部を支持してもよい。図示の実施形態では、周辺梁582が、支持梁581と周辺表面574の中央側577との間、支持梁581と周辺表面574の側部側578との間、支持梁581と周辺表面574の後方遠位端579との間、支持梁581と周辺表面574の前方遠位端580との間、または、支持梁581と底面575との間、のうちの1つ以上に接続される。換言すれば、周辺梁582は、周辺面574の周囲のさまざまな位置、および底面575に沿ったさまざまな位置に接続されてもよい。支持梁581に沿ったいくつかの位置では、2つ以上の周辺梁582が支持梁581から延在し、周辺表面574に接続する。支持梁581に沿ったいくつかの位置では、2つ以上の周辺梁582が支持梁581から延在し、底面575に接続する。支持梁581に沿ったいくつかの位置では、1つの支持梁が支持梁581から延び、周辺表面574に接続し、別の支持梁は支持梁581に沿った同じ位置から延び、周辺表面に接続する。
【0187】
周辺梁582の一部(例えば、2つ以上)は周辺面574に沿った同じ高さ(すなわち、底面575と周辺梁582が接続される周辺面574上の位置との間の距離)で、周辺面574に接続されてもよい。周辺梁582の一部(例えば、2つ以上)は、周辺表面574に沿って異なる高さで周辺表面574に接続されてもよい。
【0188】
一般に、支持梁581および周辺梁582は、形成されたミッドソールに空の体積(例えば、1つまたは複数の開口部、空隙、開口、チャネル、トンネル、または通路)の形成をもたらす砂型572内の固体体積を画定する。例えば、成型工程中に、ミッドソール材(例えば、樹脂発泡体、ポリマー発泡体、ポリウレタン発泡体など)を砂型572の空洞573内に注入または注ぐことができ、ミッドソール材は支持梁581および周辺梁582によって画定される固体体積の周りに形成することができ、その結果、形成されたミッドソールに複数の同様の形状の開口部、チャネル、またはトンネルが形成される。ミッドソールに形成された開口、チャネル、またはトンネルは、形成されたミッドソールの外周面(すなわち、周辺梁582がない周辺面574に沿って領域して形成されたミッドソール材によって形成されたミッドソールの表面)まで、それを通って延びることができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、セグメント化された蝋型が蝋質材料から層ごとにプリントされ、次いでミッドソール材で外側被覆されて、ミッドソールとアウトソールとを組み合わせたミッドソールアセンブリまたはミッドソールアセンブリを形成することができる。
【0190】
図45は、本発明に従って形成することができる蝋型600の一実施形態を示す。蝋型600は、複数の相互接続されたセグメント602を含む。図示の実施形態例では、複数のセグメント602が複数の周辺セグメント604と、複数の周辺セグメント604の間に横方向に配置された複数の内部セグメント606とを含む。複数の周辺セグメント604は、それぞれ内側部608および外側部610を含むことができる。内側部608は、蝋型600によって画定される縦軸612に向かって横方向内向きに延びることができる。外側部610は縦軸612から横方向に離れる方向に(例えば、蝋型の外周に向かう方向に)延在してもよい。外側部610は、蝋型600の外周または外周を画定するように組み合わされてもよい。
【0191】
図示の実施形態では、内側部608が縦軸612に向かって延びる2つの突起を有する略フォーク状の形状を画定し、外側部610が蝋型600の周囲に向かって外側に延びる2つの突起を有する略フォーク状の形状を画定する。他の実施形態では、内側部608および/又は外側部610が代替形状(例えば、1つのプロング(prong)又は3つ以上のプロング)を画定することができる。図示の実施形態では、内側セグメント606が蝋型600に沿って連続支持構造を形成するように互いに相互接続する。内部セグメント606は、延在して、複数の周辺セグメント604のうちの1つまたは複数に接続することができる。このようにして、例えば、内側セグメント606は周辺セグメント604を支持し、蝋型600の全構造的一体性を促進することができる。
【0192】
図46を参照すると、蝋型600は、ミッドソールまたはミッドソールアセンブリを形成する前に、蝋型600を囲むように設計された型ベース614内に配置されてもよい。蝋型600は、型ベース614と組み合わされて、ミッドソールまたはミッドソールアセンブリを成形するように構成されてもよい。図示の実施形態では、外側部610が型ベース614と結合している。このようにして、例えば、型ベース614は蝋型600をその中に固定し、成型工程中に複数のセグメント602が変位するのを防止又は抑制することができる。
【0193】
成型工程中、ミッドソール材(例えば、樹脂フォーム、ポリマーフォーム、ポリウレタンフォーム等)を型ベース614内に、蝋型600上に注入または注ぐことができる。言い換えれば、ミッドソール材は、ミッドソールまたはミッドソールアセンブリを形成するために、蝋型600の周りに外側被覆されてもよい。ミッドソール材がいったん冷却され、形成されたミッドソールまたはミッドソールアセンブリは、蝋型600の融点より高いが、形成されたミッドソールまたはミッドソールアセンブリの融点より低い温度に加熱されてもよい。その後、蝋型600は溶け去り、形成されたミッドソールまたはミッドソールアセンブリ616が残り(
図47~49参照)、履物製品(例えば履物製品25)に組み立てられる。いくつかの実施形態では、蝋型600から溶融した蝋を回収し、別の蝋型をプリントするために再使用することができる。
【0194】
一般に、セグメント602は、形成されたミッドソール616に開口、開口部、チャネル、またはトンネルを形成するように形成された蝋型600内に固体体積を画定することができる。例えば、ミッドソール材がセグメント602によって画定される固体体積の周りに形成され、蝋型600のセグメント602が続いて溶融除去されると、形成されたミッドソールは、蝋型600のセグメント602と一致する形状およびサイズを有する複数の開口、トンネル、またはチャネル618を含むことができる(
図47および48参照)。
【0195】
いくつかの実施形態では、型ベース614の底面がミッドソールと一体的にソールを形成する空の体積を含むことができる。例えば、
図49に示すように、形成されたミッドソール616は、ミッドソール616と一体に形成されたソール部分620を含む。
【0196】
図50および
図51は、本開示によるミッドソール650の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ミッドソール650が方法200または方法300に従って層ごとにプリントされるネガ型から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール650が砂型(例えば、砂型572)または蝋型(例えば、蝋型600)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール650が方法200または方法300を介してネガ型としてポジティブモデルから層ごとにプリントされる砂型(例えば、砂型572)または蝋型(例えば、蝋型600)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール650が方法200または方法300を介してネガ型としてポジティブモデルから層ごとにプリントされる樹脂またはプラスチック型から形成されてもよい。
【0197】
ミッドソール650は、上面654と、底面656と、周面658とを画定する本体652を含む。本体652は、内側659、外側660、後方遠位端662、および前方遠位端664をさらに画定する。図示の実施形態では、本体652が第1の内部切り抜き664と、第2の内部切り抜き666と、本体652を通って延びる複数の開口、トンネル、またはチャネル668と、第1の内部切り抜き664と第2の内部切り抜き666との間に配置された中央部669と、を含む。第1の内部切り抜き664は第1の内面665によって画定され、第2の内部切り抜き666は第2の内面667によって画定される。第1の内部切り抜き664および第2の内部切り抜き666は、本体652の内部に配置され、略楕円形を画定することができる。例えば、第1の内部切り抜き664および第2の内部切り抜き666は、周面658まで延在しない又はそれと交差しない。図示の実施形態では、第1の内部切り抜き664および第2の内部切り抜き666が本体652を通って上面654から底面656まで延びる。第1の内側切り抜き664は、本体652の前方遠位端664に近接して配置される。例えば、第1の内側切り抜き664は、本体652によって画定される前足領域の一部および中足領域の一部を通って延びてもよい。第2の内側切り抜き666は、本体652の後方遠位端666に近接して配置される。例えば、第2の内側切り抜き666は、中足領域の一部と、本体652によって画定される踵領域の一部とを通って延びることができる。
【0198】
図示された実施形態では、本体652の上面654は、チャネル668が上面654を通って延在しない、連続的な表面領域を画定する。いくつかの実施形態では、チャネル668が上面654を通って延びることができる。図示された実施形態では、チャネル668が底面656および周辺面658まで、かつそれらを通って延びる。例えば、チャネル668のうちの1つ以上は第1の内面665から周辺面658の内側659まで延在し、チャネル668のうちの1つ以上は第1の内面665から周辺面658の外側660まで延在し、チャネル668のうちの1つ以上は、第1の内面665から底面656まで延在する。同様に、チャネル668のうちの1つまたは複数は第2の内面667から周辺面658の内側659まで延在し、チャネル668のうちの1つまたは複数は第2の内面667から周辺面658の外側660まで延在し、チャネル668のうちの1つまたは複数は、第1の内面665から底面656まで延在する。
【0199】
図52~
図55を参照すると、中間部669は、後方遠位端662と前方遠位端664との間の方向にそれを通って延びる支持チャネル670を含むことができる。いくつかの実施形態では、支持チャネル670が砂型572の支持梁581によって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、支持チャネル670が蝋型600の内側セグメント606によって形成されてもよい。チャネル668のうちの1つまたは複数は、中間部669を通って延びることができる。例えば、チャネル668のうちの1つ以上は支持チャネル670から底面656まで延在し、チャネル668のうちの1つ以上は支持チャネル670から周辺表面658の内側659まで延在し、チャネル668のうちの1つ以上は、支持チャネル670から周辺表面658の外側660まで延在する(
図54および55を参照のこと)。
【0200】
一般に、方法200によるネガ型、方法300によるネガ型、蝋型、または砂型、またはそれらの組み合わせを介して、形成されたミッドソールに開口、チャネル、またはトンネルを形成することにより、複雑な幾何学的特徴で形成されることができない従来のミッドソールと比較して、改善された重さ特性および改善されたクッション特性を提供することができる。
【0201】
図56は、本開示によるミッドソール700の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ミッドソール700が方法200または方法300に従って層ごとにプリントされるネガ型から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール700が砂型または蝋型から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール700が方法200または方法300を介してネガ型としてポジティブモデルから層ごとにプリントされる砂型または蝋型から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール700が方法200または方法300を介してネガ型としてポジティブモデルから層ごとにプリントされる樹脂またはプラスチック型から形成されてもよい。
【0202】
図示の実施形態では、ミッドソール700が上面704と、底面706と、本体702全体にわたって上面704と底面706との間に延在する格子構造708と、を画定する本体702を含む。本体702は、内側710、外側712、後方遠位端714、および前方遠位端716をさらに画定する。図示の実施形態では、上面704が第1の部分718、第2の部分720、および第3の部分722を含む可変型幾何学構造を画定する。第2の部分720は、第1の部分718と第3の部分722との間に配置される。第1の部分718は、前方遠位端716から第1の部分718と第2の部分720との間の交点まで延在する。第3の部分722は、後方遠位端714から第3の部分と第2の部分720との間の交点まで延在する。いくつかの実施形態では、第1の部分718が前足領域を越えて、本体702によって画定される中足領域内に少なくとも部分的に延びることができる。いくつかの実施形態では、第2の部分720が足の中央領域を少なくとも部分的に覆って、本体702によって画定される踵領域内に延びることができる。いくつかの実施形態では、第3の部分722が本体702によって画定される踵領域を少なくとも部分的に覆って延在してもよい。
【0203】
第1の部分718および第3の部分722は、第2の部分720とは異なる幾何学的構造を画定する。例えば、第1の部分718は、第1の支持面724を少なくとも部分的に貫通して延びる第1の複数の開口726を有する第1の支持面724を含むことができる。複数の開口726は、第1の支持面724上に配列パターンで配置される。第1の部分718と同様に、第3の部分722は、第2の支持面728を少なくとも部分的に貫通して延びる第2の複数の開口730を有する第2の支持面728を含む。第2の複数の開口730は、第2の支持面728上に配列パターンで配置される。第2の部分720は、格子構造708によって形成される略開放構造を画定する。換言すれば、第1の部分718上に延在する第1の支持面724と、第3の部分722上に延在する第2の支持面728と、は第2の部分720上に延在しなくてもよく、格子構造708は第2の部分720において本体702の上側704を通して見ることができる。
【0204】
図示の実施形態では、格子構造708が本体702を通って延びる1つ以上の開口部空隙、開口、チャネル、トンネル、又は通路736を画定する相互接続された表面又はセグメント734によって形成される単位セル732を含む。いくつかの実施形態では、相互接続された表面734が最小表面を画定することができる。いくつかの実施形態では、相互接続された表面734が三重周期的最小表面(例えば、ジャイロイド)を画定してもよい。一般に、微分幾何学構造(例えば、ジャイロイド)の使用は、ミッドソール700において改善されたクッション性能を提供する本体702内に形成された鋭いエッジの減少により、ミッドソール700に沿って形成された応力集中を低減することができる。さらに、上面704に沿って画定される可変形状は、ミッドソール700に沿った強力/高圧の領域に追加の支持を提供する。例えば、第1の支持面724は前足領域(例えば、ユーザの母指球の下および/またはユーザのつま先の下)に追加の支持を提供することができ、第2の支持面728は踵領域(例えば、ユーザの踵の下)に追加の支持を提供することができる。第1の支持面724および第2の支持面728によって提供される付加された支持体は格子構造708上に加えられる圧力/力を広げたり、分配したりするのを助け、格子構造708の改善されたクッション特性をさらに利用することができる。
【0205】
図57および
図58を参照すると、本発明による型は、ユーザの身体的特性に基づくか、またはユーザの身体的特性によって決定される構造を有する層ごとにプリントすることができる。履物製品のミッドソールを製造するための型の形成方法は、静止している間にユーザの身体的特性を測定することを含むことができる(
図56参照)。いくつかの実施形態では、静止している間のユーザの身体的特徴がスケール800によって測定される体重を含んでもよい。代替的に又は追加的に、ユーザの圧点(例えば、ユーザの足の領域にわたる力)はスケール(scale)800によって測定されてもよく、ユーザの本体は撮像センサ802によってスキャンされてもよい。いくつかの実施形態では、撮像センサ802は、ユーザの本体の輪郭をキャプチャすることができる2Dカメラであってもよく、コントローラ804は輪郭を処理して、ユーザの身長および他の幾何学的特性(例えば、脚の長さ、膝と股関節との間の距離、膝と足首との間の距離など)を決定することができる。コントローラ804は、プロセッサによって実行される命令を含むメモリを備えたプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態では、撮像センサ802がユーザの高さ、足の長さ、膝と股関節との間の距離、膝と足首との間の距離などを測定するユーザの本体の3D走査をキャプチャすることができる3Dカメラ(例えば、飛行時間カメラ)とすることができる。スケール800によって捕捉される重量および圧力点、ならびに撮像センサ802によって測定されるユーザの身体的特徴は、コントローラ804に通信されてもよい。
【0206】
静止している間のユーザの身体的特性が測定された後、ユーザは圧力マッピングプラットフォーム806上で走り、圧力マッピングデータが捕捉され、コントローラ804に通信する(
図58参照)。代替的に又は追加的に、撮像センサ802は、圧力マッピングプラットフォーム806上を走行している間にユーザの本体姿勢をキャプチャすることができる。コントローラ804は、走行中にユーザのゲートを決定するために姿勢データを処理することができる。コントローラ804に通信された静止データおよび走行データは、ユーザの静止および走行特性に適合するミッドソールをカスタマイズするために処理されてもよい。例えば、型生成システム400(
図20参照)は、格子構造または形成されたミッドソールの1つまたは複数の開口、トンネル、開口部、チャネル、または空隙の形成をもたらす固体体積を含む型を層毎にプリントするために使用されてもよい。これらの実施形態では、コントローラ804が型生成システム400からのコントローラ402であってもよい。あるいはコントローラ402がコントローラ804と通信してもよく、測定された静止および走行データはコントローラ402からコントローラ804に通信されてもよい。ミッドソールによって画定される固体体積はユーザの静止および走行特性に適合するように、幾何学的に(例えば、サイズ、形状、密度など)カスタマイズすることができる。
【0207】
型がプリントされると、ミッドソール材を型に注入または注ぐことができ、型の固体体積の周りに形成するミッドソール材は、格子構造、またはミッドソールの1つまたは複数の開口、トンネル、開口部、チャネル、または空隙を形成することができる。いくつかの実施形態では、ミッドソールがソールと一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソールが成形後にソールに取り付けてもよい。組み合わされたミッドソールおよびソールはアッパーに組み立てられて履物製品を形成してもよく、履物製品はユーザに提供されてもよい。
【0208】
本明細書に記載される実施形態のいずれも、様々な実施形態に関連して開示される構造または方法のいずれかを含むように修正されてもよい。さらに、本開示は、具体的に示されたタイプの履物製品に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物製品の態様は、任意のタイプの履物、衣類、または他の運動器具と協働するように修正されてもよい。
【0209】
前述のように、本開示を特定の実施形態および実施例に関連して上述したが、本開示は必ずしもそのように限定されず、多数の他の実施形態、実施例、使用、修正、および実施形態、実施例、および使用からの逸脱は本明細書に添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者には理解されるのであろう。本明細書に引用された各特許および刊行物の開示全体はかかる各特許または刊行物が個々に本明細書に組み込まれたかのように、参照により組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本開示に対する多数の修正は前述の説明を考慮すれば、当業者には明らかであろう。したがって、この説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を作製および使用することを可能にする目的のために提示される。添付の特許請求の範囲の範囲に含まれるすべての変更に対する独占権は留保される。