(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】流動装置
(51)【国際特許分類】
A61C 13/087 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A61C13/087
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022208551
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2020198788の分割
【原出願日】2016-09-22
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516011143
【氏名又は名称】コルテン/ウェルデント・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COLTENE/WHALEDENT AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コップマン,コルネリア
(72)【発明者】
【氏名】ベーナー,ラルフ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-292713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0162216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用コンポジットブロックの製造のための、実質的に中空円筒形状の流動装置、特に2つの側で開口した流動装置であって、
前記流動装置は前記流動装置の長さの一部に沿っ
て、熱伝導を妨げる材料を有する第1の領域
を備える、または、前記流動装置
は前記流動装置の長さの一部に沿って、熱伝導を妨げる材料を有する第1の領域と、0.05~12W/(mxK)の熱伝導率
である、熱伝導を妨げる材料を有する第2の領域とを備える、または、
前記流動装置は前記流動装置の長さの一部に沿って、0.05~12W/(mxK)の熱伝導率
である、熱伝導を妨げる材料を有する第1の領域と第2の領域とを有し、前記長さに沿った前記第1の領域および前記第2の領域の間に空間が存在する、流動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用コンポジットブロックを製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用コンポジットブロックを製造するための方法が広く知られている。そのような方法では、歯科用コンポジット材料は金型に導入されて硬化される。重合可能な成分、たとえばコンポジット材料は、とりわけ開始剤によって硬化されることが一般的である。
【0003】
WO2007/099158 A2は、重合可能な成分および減感された態様の開始剤を含む材料について記載している。この材料はキュベット内に押圧またはさらに押圧され、キュベット内の材料は加熱され、減感された開始剤はそれによって放出される。それに応じて、熱によって引き起こされた材料の重合が起こる。この方法の欠点は、重合収縮を避けるためにキュベット内の材料をさらに勢いよく押圧することが必要になるということである。これは、比較的複雑で制御が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、きわめて良好に制御可能で、素早く実行可能で、コンポジットブロックの品質が高められた歯科用コンポジットブロックを製造するための方法を提供することである。これらの目的は、独立請求項の特長によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、歯科用コンポジットブロックを製造するための方法に関する。第1の開口部および第2の開口部を有する特に実質的に中空円筒形状の装置、特に2つの側に開口した容器が、歯科用コンポジットブロックの連続製造のために提供される。硬化型コンポジット材料および温度制御ユニットがさらに提供される。硬化型コンポジット材料は、第1の開口部を通して装置内に導入される、特に連続して導入される。特に連続して導入されたコンポジット材料は、温度制御ユニットによるエネルギー入力によって硬化される。これによって、エネルギー入力は、実質的に寸法が安定したコンポジットブロックが製造されるまで維持される。これによって、エネルギー入力は、実質的に中空円筒形状の装置(1)の1~300cm、好ましくは1.5~200cm、特に好ましくは5~60cmの長さにわたって、および/または、1~200分、好ましくは5~60分、特に好ましくは15~45分間行なわれ得る。硬化型コンポジット材料はさらに、実質的に中空円筒形状の装置の第1の開口部を通して供給される、特に連続してさらに供給される。したがって、コンポジット材料は装置に対して移動する。同様に、硬化型コンポジット材料は圧縮可能である。硬化されたコンポジット材料は、装置の第2の開口部から放出される。したがって、きわめて良好に制御され急速な製造時間を保証する方法が提供される。特に、これにより性能が改良されたコンポジットブロックが提供される。特に、歯科用コンポジットブロック内では欠陥がほとんど発生しない。
【0006】
硬化型コンポジット材料が最大10バールでさらに供給される、特に連続してさらに供給される。特に実質的に中空円筒形状の装置は、たとえば曲線状の縁部または台形状などの任意の形状であり得る。射出成型によって典型的に製造される中空円筒形状の装置は一般に正確な中空円筒形状からは外れるため、ここおよび以下では、実質的に中空円筒形状の装置については、上述の表現は正確な中空円筒形状から幾何学的に逸脱したものを含むと理解されることを意味しているとも理解される。
【0007】
硬化され排出されたコンポジット材料は、その後加工され得る、特に形を整えられ得る。このように、排出されたコンポジット材料を、その後任意のサイズの歯科修復物の製造のために使用可能なサイズに形を整えることが可能である。
【0008】
コンポジット材料を歯科修復物にさらに加工するためのマウントを、硬化されたコンポジット材料にさらに当てることが可能である。歯科領域で使用される任意のマウントを当てることが可能である。このように、さらなる加工のために硬化されたコンポジット材料を、たとえば商用CAD/CAMプロセスで使用可能である。したがって、歯科修復物の製造のための硬化されたコンポジット材料を、あらゆる市販のプラットフォームの上で使用可能である。
【0009】
実質的に中空円筒形状の装置は、0.5~5cm、特に1~3cmの範囲の幅を有し得る。実質的に中空円筒形状の装置の基部領域は、0.25~25cm2、特に1~9cm2の範囲であり得る。このように、きわめて多様なサイズの歯科修復物を、硬化された材料から製造可能である。
【0010】
コンポジット材料は、有機層の好適な重合可能な単官能モノマーまたは多官能モノマーを含み得る。好ましくは、有機層の好適な重合可能な単官能モノマーまたは多官能モノマーは、メチル、エチル、ブチル、ベンジル、フルフリルまたはフェニルメタクリレートなどのモノメタクリレート、たとえば、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAグリシジルメタクリレート(「ビスGMA」として知られる、メタクリル酸とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの付加生成物)、UDMA(メタクリル酸2‐ヒドロキシエチルと2,2,4‐ヘキサメチレンジイソシアネートとの付加生成物)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート(たとえば、TEGDMAなど)、デカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、およびブタンジオールジメタクリレート、1,10‐デカンジオールジメタクリレートまたは1,12‐ドデカンジオールジメタクリレートなどの多官能性アクリレートおよびメタクリレートである。メタクリレート変性ポリシロキサンを含む有機層も使用可能である。
【0011】
原則として、高網目密度および圧力によって生じる流れにつながるモノマーの使用は、すでに重合し始めている層に欠陥をもたらし得る。コンポジット材料は二官能モノマーを含むことが好ましいため、重合によって網目密度が高くなり、欠陥が形成されるリスクが非常に高くなる。歯科用コンポジットブロックの連続製造のための上述の方法では、結果として生じる高い網目密度にもかかわらず欠陥が少ないコンポジットブロックを製造可能である。
【0012】
充填材料または充填材料の混合物という意味で、コンポジット材料は40重量%より大きな充填剤を含み得る。特に、単一要素である相対組成または複数の単一要素の組成が提供される。分離された充填剤という意味で、または凝集された形態でもしくはクラスターとして、1つまたは複数の充填剤が単独で存在し得る。凝集物は、以前はばらばらだった構成物質がある程度1つにまとまった堆積物が固体化合物を形成すると一般に理解される。生産技術においては、凝縮物はたとえば粒状化、凝集、または焼結によって得られる。クラスタは、機械的にまたは化学的に結合可能である。上述の40重量%よりも大きな充填剤は、0.1~5μm(たとえばSchottで得られる)の平均粒径を有する0~100重量%の歯科用ガラス、0~100重量%の有機基質のスライバ、および1~30μmの平均粒径を有する有機充填剤を含み得る。これにより、スライバは基礎複合材料に相当する。組成はさらに、ゾルゲル法によって製造され0.1~5μmの平均粒径を有する0~1
00重量%の無機充填剤と、特に0.002~0.25μmの平均粒径を有する、0~100重量%の熱分解法シリカとを含む。このように、歯科用分野の要求条件、たとえば研磨性、圧縮硬度、および耐久性に関する要求条件を満たす、方法のためのコンポジット材料組成が提供される。
【0013】
温度制御ユニットは実質的に中空円筒形状の装置の壁に好適なエネルギー入力を行なうことが可能であり、定期試験で当業者によって所与の条件に適合させることが可能である。これにより、中空円筒形状の装置への定められたエネルギー入力が確実に行なわれ、導入されたコンポジット材料は硬化する。エネルギー入力を調節または制御することによって、使用されるコンポジット材料に依存して硬化に必要なエネルギーを適合させることができる。
【0014】
装置の材料に関して、0.05~12W/(mxK)の熱伝導率を有する物質を使用することが好ましい。充填されていないプラスチック材料、充填されたプラスチック材料、または発泡プラスチック材料であり得るプラスチック材料の使用が優先される。特に、0.14~1.2W/(mxK)の熱伝導率を有するプラスチック材料である。しかしながら、より高い熱伝導率を有する、たとえば金属などの他の材料も使用可能である。この場合、熱伝導が障害物、たとえば0.05~12W/(mxK)の熱伝導率を有する絶縁体または絶縁層によって妨げられ得る。このため、絶縁体は温度制御ユニットによるエネルギー入力領域の近くに配置される。このように、熱エネルギーは装置全体に広がらないことが保証され、重合領域外での導入されたコンポジット材料の望ましくない重合が防止される。
【0015】
本発明の他の態様は、歯科用コンポジットブロックの製造のための方法に関する。この方法は、特に実質的に中空円筒形状の金型、特に容器を設けるステップと、硬化型コンポジット材料を設けるステップと、焦点を合わせることが可能な熱源を設けるステップとを備える。硬化型コンポジット材料は、実質的に中空円筒形状の金型、特に容器内に導入される。金型において導入された硬化型コンポジット材料は、特に重力、沈降、または圧縮によって圧縮成形可能である。導入された硬化型コンポジット材料は、特に実質的に中空円筒状の金型への連続伝熱によって硬化され、これによって、コンポジット材料は常に金型内にとどまる、または金型に対して移動しない。これはたとえば、硬化型コンポジット材料が充填された容器、たとえばキュベットを加熱槽内に浸漬することによって達成され、このため、熱源の前方は容器に沿って移動する。これによって、実質的に中空円筒形状の金型、特に容器の壁は、0.05~12W/(mxK)、特に0.14~1.2W/(mxK)の範囲の熱伝導率を有するような形状になる。このように、導入されたコンポジット材料が特に有利な態様で硬化可能である方法が提供される。そのため、特に孔および空気含有物のない均質な仕掛品のための硬化されたコンポジット材料が提供される。それゆえ、硬化されたコンポジット材料は、応力がない、したがってほとんど欠陥がない状態で製造される。特に無空気圧縮は、たとえば空気を取り除くことによって、たとえば真空および/または遠心分離によって実施可能である。
【0016】
「連続伝熱」は、ここおよび以下では、熱入力が実質的に中空円筒形状の金型の領域で特定の時間最初に起こることを意味すると理解される。その後、熱入力は、特に第1の領域に隣接した実質的に中空円筒形状の金型の第2の領域において特定の時間行なわれる。そのような連続伝熱は、実質的に中空円筒形状の金型の少なくとも2つ以上の領域において起こり得、実質的に中空円筒形状の金型内の硬化型コンポジット材料は、層単位という意味で連続して複数の領域において硬化される。
【0017】
「焦点を合わせることが可能な熱源」は、ここおよび以下では、熱源の熱入力が物体、ここでは実質的に中空円筒形状の金型に局所的に焦点を合わせることが可能であることを
意味すると理解される。すなわち、熱入力は、熱源によって実質的に中空円筒形状の金型の一部の領域に焦点を合わせることが可能である。したがって、主な熱入力は、熱源によって局所的に焦点を合わせられる物体の領域において行なわれる。それゆえ、実質的に中空円筒形状の金型内のコンポジット材料は、たとえばオーブンの場合のように同時に全体として硬化されることはなく、コンポジット材料は、領域単位でしたがって層単位で硬化される。
【0018】
上述のコンポジット材料は、同様に使用可能である。
さらに、コンポジット材料を歯科修復物にさらに処理するためのマウントを、硬化されたコンポジット材料に当てることが可能である。したがって、硬化されたコンポジット材料を歯科修復物にさらに処理するために共通のプラットフォームに供給可能である。
【0019】
実質的に寸法が安定したコンポジットブロックが製造されるまで、熱源は実質的に中空円筒形状の金型の壁にエネルギー入力を行なうことができる。これによって、実質的に中空円筒形状の金型に対する定められたエネルギー入力が確実に行なわれ、導入されたコンポジット材料は硬化する。エネルギー入力の調節または制御によって、使用されるコンポジット材料に依存して硬化に必要なエネルギーを適合させることができる。エネルギー入力は、定期試験で当業者によって所与の条件に適合させることができる。
【0020】
実質的に中空円筒形状の金型、特に容器は、実質的に歯科用コンポジットブロックの寸法を有するような形状であり得る。幅は、0.5~5cm、特に1~3cmの範囲であり得る。実質的に中空円筒形状の金型の基部領域は、0.25~25cm2、特に1~9cm2の範囲であり得る。同様に、12cm×3cm、特に10cm×2.5cmの寸法を設けることができる。このように、さまざまに異なるサイズの歯科修復物を硬化された材料から製造可能である。
【0021】
ここおよび以下では、実質的に中空円筒形状の金型、特に容器は、キュベットであることが好ましい。
【0022】
コンポジット材料は、充填材料という意味で、40重量%よりも大きな充填剤を含み得る。コンポジット材料および充填剤は、上述のように構成可能である。
【0023】
熱源および/または実質的に中空円筒形状の金型、特に容器は、垂直方向に調節可能に配置され得る。上述の要素は双方とも、特に互いに垂直に調節可能に配置され得る。これは、熱源が実質的に中空円筒形状の金型に対して移動可能に配置される、実質的に中空円筒形状の金型が熱源に対して垂直方向に調節可能に配置される、または熱源と実質的に中空円筒形状の金型との双方が互いに垂直に調節可能に配置されることのいずれかを意味すると理解される。このように、上述の2つの要素の相対位置は互いに依存して適合させることが可能であり、したがって、金型への連続エネルギー入力が特に最適な態様で可能になる。それゆえ、方法は特に有利に制御可能である。金型および熱源が互いに対して移動される場合、移動の速度は金型への熱入力、およびしたがってコンポジット材料の硬化を制御するために使用可能である。
【0024】
本発明の他の態様は、歯科修復部品を製造するための上述の方法のうちの1つによって製造された歯科用コンポジットブロックの使用に関する。このように、硬化されたコンポジット材料から、特に有利な特性、たとえば研磨性、圧縮硬度、および耐久性を有する歯科修復部品が製造される。
【0025】
本発明はさらに、上述の方法のうちの1つによって製造された、または製造可能な歯科用コンポジットブロックに関する。
【0026】
本発明の他の態様は、歯科用コンポジットブロックの製造のための、実質的に円筒形状の流動装置、特に2つの側で開口した容器に関する。この装置は、装置の長さの一部に沿った第1の領域において絶縁体を有する、または、装置の第1の領域の材料は0.05~12W/(mxK)の熱伝導率を有する。必要に応じて、装置は第2の領域においてさらに絶縁体を有する、または、第2の領域の材料は0.05~12W/(mxK)の熱伝導率を有する。長さに沿った第1の領域と第2の領域との間に空間が存在する。絶縁体は、金型の領域に熱入力があると熱が特に金型の上述の領域において集められるような形状および配置になっている。このように、離れている領域におけるエネルギー入力は防止され、熱入力領域前の導入されたコンポジット材料の望ましくない重合が除外される。そのため、コンポジット材料の硬化のための、定められたまたは熱が集められた領域が設けられる。1つの絶縁体を熱入力領域の上流に配置可能であり、流入する材料が早まって硬化し始めることはない。同様に、2つの絶縁体を配置可能であり、2つの絶縁体によって熱入力領域が取り囲まれ、それによって、熱源の前方部分がふたたび画定される。したがって、絶縁体を含む上述の装置は、特に連続して続く上述の製造方法のうちの1つで使用可能である。「連続して」は上述のように理解され、ここおよび以下では、硬化型コンポジット材料が連続して装置の第1の開口部内に導入されること、および導入された材料が硬化されて第2の開口部から排出されることを意味すると理解される。
【0027】
本発明は、例示的な実施形態の図面によって以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】歯科用コンポジットブロックを製造するための本発明に係る方法を実施するための装置の第1の実施形態を示す図である。
【
図2】歯科用コンポジットブロックを製造するための本発明に係る方法を実施するための装置の第2の実施形態を示す図である。
【
図3】歯科用コンポジットブロックを製造するための本発明に係る方法を実施するための装置の第3の実施形態の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示的な実施形態の範囲内で使用されるコンポジット材料は、以下の表において例として示されている。
【0030】
【0031】
図1は、長さLの中空円筒形領域および容器6を備える装置1を示す図である。硬化型コンポジット材料4が、装置1の容器6内に第1の開口部2を通して導入される。容器6は装置1の中空円筒形領域と接触しており、硬化型コンポジット材料4は中空円筒形領域内に流れる。硬化型コンポジット材料は流れFの方向に流れる、またはさらに流れる。装置1はさらに、装置の壁を介して硬化型コンポジット材料にエネルギー入力を行なう温度制御ユニット5を備える。そのため、流入するコンポジット材料は温度制御ユニット5の領域で硬化される。装置1の領域Aにおいて硬化型コンポジット材料がさらに流れると、装置の領域Bで硬化されたコンポジット材料が装置1の領域Cおよび第2の開口部3を通
って排出される。このように、硬化されたコンポジット材料は連続して硬化型コンポジット材料から製造されるため、装置1の第2の開口部3を離れた硬化されたコンポジット材料を、歯科用コンポジットブロックの形に整えることができる。装置1は、有利な幅Dおよび長さLで構成可能である。
【0032】
図2は、
図1に関して上述されたすべての特徴を示す図である。
図2はさらに、温度制御ユニット5の側面に位置する2つの絶縁体7’、7’’をさらに示す。第1の絶縁体7’は流れFの方向で温度制御ユニット5の上流に配置され、第2の絶縁体7’’は流れFの方向で温度制御ユニット5の下流に配置される。このため、2つの絶縁体7’、7’’により、温度制御ユニット5によって装置1の壁内に入力されたエネルギーが装置の他の領域に広がることが防止される。そのため、エネルギー入力は装置の領域Bのみで行なわれ、硬化型コンポジット材料の硬化、重合は領域Bのみで起こる。それゆえ、領域Aにおける重合の開始は除外可能である。このように、取り付け可能なコンポジット材料は領域Bにおいて目的にかなった態様および制御された態様で硬化される。
【0033】
図3は、キュベット11と、加熱液体14および加熱液体14の表面15を有する加熱槽13の形状の熱源12との配置を示す図である。キュベット11は、硬化型コンポジット材料4で充填されている。充填されたキュベット11は、移動Xの方向に制御された態様で加熱液体14の表面15に近づけられ、その中に浸漬される。充填されたキュベットを連続してさらに案内することにより、画定された熱源の前方部分が、加熱液体への浸漬によって硬化型コンポジット材料4に当てられる。それゆえ、コンポジット材料の重合は熱源の前方領域で、したがって移動Xの方向に沿って層単位で起こる。キュベットの壁は、0.05~0.12W/(mxK)、特に0.14~1.2W/(mxK)の範囲の熱伝導率を有する。選択された熱伝導率は、キュベット内でコンポジット材料を硬化するための熱源の前方部分を確実に画定する。そのため、ほとんど欠陥を有さない、歯科用コンポジットブロックの製造のための歯科用コンポジット材料が提供される。