(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ドライブユニット、画像診断装置及び作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240815BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 526
A61B1/00 530
(21)【出願番号】P 2022511714
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008824
(87)【国際公開番号】W WO2021199924
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2020061491
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】堀池 豊和
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126321(JP,A)
【文献】特表2018-525159(JP,A)
【文献】特開2015-181788(JP,A)
【文献】特開2013-70814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断層撮影を実行するイメージングコアが内挿されたカテーテルを接続可能なスキャナユニットと、
前記スキャナユニットを所定方向に変位可能に支持するプルバックユニットと、
を備える、ドライブユニットであって、
前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されていない非ホールド状態と、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されたホールド状態と、を制御するホールド部と、
前記スキャナユニットに接続された前記カテーテルの前記イメージングコアを回転駆動させる駆動部と、
前記ホールド状態及び前記非ホールド状態の切換入力を受け付ける切換入力部と、
前記切換入力部に対する、前記ホールド状態から前記非ホールド状態への切換入力操作を検出したとき、前記イメージングコアが回転駆動されていない場合、前記イメージングコアを回転駆動させてから、前記スキャナユニットを前記非ホールド状態にする、制御部と、
を備える、ドライブユニット。
【請求項2】
前記制御部は、前記スキャナユニットを前記ホールド状態から前記非ホールド状態にしてから、前記スキャナユニットが前記プルバックユニットに対して変位していない状態が所定時間継続したと判定した場合、前記スキャナユニットを前記ホールド状態にする、請求項1に記載のドライブユニット。
【請求項3】
前記スキャナユニットが前記非ホールド状態である場合に、前記プルバックユニットに対する前記スキャナユニットの変位速度を所定速度以下に制限するブレーキ部をさらに備える、請求項1又は2に記載のドライブユニット。
【請求項4】
前記カテーテルと、
請求項1から3のいずれか一項に記載のドライブユニットと、
前記イメージングコアにより実行された前記断層撮影により取得された信号に基づいて断層画像を生成する画像処理装置と、
を備える、画像診断装置。
【請求項5】
前記イメージングコアは、光による断層撮影と、超音波による断層撮影とを実行可能である、請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項6】
断層撮影を実行するイメージングコアが内挿されたカテーテルを接続可能なスキャナユニットと、前記スキャナユニットを所定方向に変位可能に支持するプルバックユニットと、を備え、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されていない非ホールド状態と、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されたホールド状態と、を取ることができるドライブユニットの作動方法であって、
前記ホールド状態から前記非ホールド状態への切換入力を検出するステップと、
前記切換入力を検出したときに、前記イメージングコアが回転駆動されているか否かを検出するステップと、
前記イメージングコアが回転駆動されていない場合、前記イメージングコアを回転駆動させるステップと、
前記イメージングコアを回転駆動させてから、前記スキャナユニットを前記非ホールド状態にするステップと、
を含む、作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライブユニット、画像診断装置及び作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管内腔を診断する装置として、血管内超音波診断(IVUS:IntraVascular Ultra Sound)装置や光干渉断層診断(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)装置等が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IVUS装置では、血管内腔の状態を測定するイメージングコアを備えるカテーテルを、ドライブユニットのスキャナユニットに接続し、スキャナユニットの位置を変位させるモータに電流を供給して駆動することにより、イメージングコアをカテーテルの長手方向に変位させることができる。従来のIVUS装置では、モータへの電流の供給を停止し、ユーザによる手動操作でイメージングコアの位置決めを実行することができるように構成されているものがある。
【0005】
しかしながら、スキャナユニットを手動操作で変位させる場合、カテーテルの内部機構が破損する恐れがある。特に、IVUSとOFDIとにより血管内腔を診断可能な装置の場合、カテーテルの内部機構として光ファイバが設けられており、光ファイバが破損する恐れがある。
【0006】
本開示の目的は、手動操作によりカテーテルが破損される可能性を低減可能な、ドライブユニット、画像診断装置及び作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様としてのドライブユニットは、断層撮影を実行するイメージングコアが内挿されたカテーテルを接続可能なスキャナユニットと、前記スキャナユニットを所定方向に変位可能に支持するプルバックユニットと、を備える、ドライブユニットであって、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されていない非ホールド状態と、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されたホールド状態と、を制御するホールド部と、前記スキャナユニットに接続された前記カテーテルの前記イメージングコアを回転駆動させる駆動部と、前記ホールド状態及び前記非ホールド状態の切換入力を受け付ける切換入力部と、前記切換入力部に対する、前記ホールド状態から前記非ホールド状態への切換入力操作を検出したとき、前記イメージングコアが回転駆動されていない場合、前記イメージングコアを回転駆動させてから、前記スキャナユニットを前記非ホールド状態にする、制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一実施形態としてのドライブユニットにおいて、前記制御部は、前記スキャナユニットを前記ホールド状態から前記非ホールド状態にしてから、前記スキャナユニットが前記プルバックユニットに対して変位していない状態が所定時間継続したと判定した場合、前記スキャナユニットを前記ホールド状態にする。
【0009】
本開示の一実施形態としての駆動ユニットは、前記スキャナユニットが前記非ホールド状態である場合に、前記プルバックユニットに対する前記スキャナユニットの変位速度を所定速度以下に制限するブレーキ部をさらに備える。
【0010】
本開示の第2の態様としての画像診断装置は、前記カテーテルと、上述のドライブユニットと、前記イメージングコアにより実行された前記断層撮影により取得された信号に基づいて断層画像を生成する画像処理装置と、を備える。
【0011】
本開示の一実施形態としての画像診断装置において、前記イメージングコアは、光による断層撮影と、超音波による断層撮影とを実行可能である。
【0012】
本開示の第3の態様としての作動方法は、断層撮影を実行するイメージングコアが内挿されたカテーテルを接続可能なスキャナユニットと、前記スキャナユニットを所定方向に変位可能に支持するプルバックユニットと、を備え、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されていない非ホールド状態と、前記スキャナユニットの前記プルバックユニットに対する変位が規制されたホールド状態と、を取ることができるドライブユニットの作動方法であって、前記ホールド状態から前記非ホールド状態への切換入力を検出するステップと、前記切換入力を検出したときに、前記イメージングコアが回転駆動されているか否かを検出するステップと、前記イメージングコアが回転駆動されていない場合、前記イメージングコアを回転駆動させるステップと、前記イメージングコアを回転駆動させてから、前記スキャナユニットを前記非ホールド状態にするステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によると、手動操作によりカテーテルが破損される可能性を低減可能な、ドライブユニット、画像診断装置及び作動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】画像診断装置の外観構成の一例を示す図である。
【
図2】画像診断装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1のMDUの外観構成の一例を示す図である。
【
図4】
図1のMDUの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図4の制御部が実行する切換処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図4の制御部が実行する切換処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る画像診断装置は、IVUS機能とOFDI機能とを有する。
【0016】
<1.画像診断装置の外観構成>
図1は、一実施形態に係る画像診断装置100の外観構成を示す図である。
図1に示すように、画像診断装置100は、カテーテル101と、スキャナ及びプルバック部(以下、MDU(モータドライブユニット)と記載する)102と、断層撮影装置としての画像処理装置103と、表示装置113とを備える。MDU102が、本開示におけるドライブユニットである。MDU102と画像処理装置103とは、コネクタ105を介して、信号線や光ファイバを収容したケーブル104により接続されている。なお、本実施形態では画像処理装置103と表示装置113とが別体であるとして説明するが、画像処理装置103が表示装置113を備えて構成されていてもよい。
【0017】
カテーテル101は、直接血管内に挿入されるものである。カテーテル101は、パルス信号に基づく超音波を送信するとともに血管内からの反射波を受信する超音波送受信部と、伝送されてきた光(測定光)を連続的に血管内に送信するとともに血管内からの反射光を連続的に受信する光送受信部と、を備えるイメージングコアが内挿されている。画像診断装置100は、該イメージングコアを用いることで血管内部の状態を測定する(断層像を取得する)。すなわち、画像診断装置100は、カテーテル101からの超音波信号の戻り信号と光干渉信号とに基づいて血管断層撮影による断層像を得る。
【0018】
MDU102は、カテーテル101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでカテーテル101に内挿されたイメージングコアの血管内の長軸方向の動作及び回転方向の動作を規定している。また、MDU102は、イメージングコア内の超音波送受信部において受信された反射波の信号及び光送受信部において受信された反射光の信号を取得し、画像処理装置103に対して送信する。
【0019】
画像処理装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られた超音波データや光干渉データを処理し、各種血管像を表示するための機能を備える。
【0020】
画像処理装置103、本体制御部111を備える。本体制御部111は、測定により得られた超音波の反射波の信号からラインデータを生成し、補間処理を経て血管の超音波断層画像(IVUS画像)を生成する。さらに、本体制御部111は、イメージングコアからの反射光と、光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成し、該干渉光データに基づいてラインデータを生成し、補間処理を経て血管の光断層画像(OFDI画像)を生成する。
【0021】
本体制御部111はプリンタ及びDVDレコーダ111-1を備える。プリンタ及びDVDレコーダ111-1は、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。また、本体制御部111は、操作パネル112を備える。ユーザは該操作パネル112を用いて、各種設定値及び指示の入力を行う。表示装置113は、例えばLCDモニタを備え、本体制御部111において生成された各種断面画像を表示する。また、本体制御部111は、ポインティングデバイス(座標入力装置)としてのマウス114を備え、操作パネル112で行う操作をLCDモニタ画面上でも行うことができる。
【0022】
<2.画像診断装置(主に画像処理装置)の機能構成>
次に、画像診断装置100(主に画像処理装置103)の機能構成について説明する。
図2は、画像診断装置100の構成例を示すブロック図である。以下、同図を用いて、波長掃引型の光干渉断層画像撮影(OFDI)と超音波による断層画像撮影(IVUS)を実現するための機能構成について説明する。
【0023】
図中、画像処理装置103は、画像診断装置100の全体の制御を司る信号処理部201を備える。信号処理部201は、マイクロプロセッサをはじめ、いくつかの回路で構成される。例えば、信号処理部201は、画像取得部2010を備える。画像取得部2010は、後述のイメージングコア250で撮影された超音波断層画像(IVUS画像)や光干渉断層画像(OFDI画像)を取得する。また、信号処理部201は、制御部2011を備える。制御部2011は、各種処理を行うとともに表示装置113への表示を制御する。また、信号処理部201は、メモリ2012を備える。メモリ2012は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)により構成されている。また、画像処理装置103は、記憶装置210を備える。記憶装置210は、ハードディスクに代表される不揮発性の記憶装置であり、信号処理部201が実行する各種プログラムやデータファイルを格納している。
【0024】
画像処理装置103は、波長掃引光源203を備える。波長掃引光源203は、時間軸に沿って、予め設定された範囲内で変化する波長の光を繰り返し生成する光源である。波長掃引光源203から出力された光は、第1のシングルモードファイバ271の一端に入射され、先端側に向けて伝送される。第1のシングルモードファイバ271は、途中の光ファイバカップラ272において第4のシングルモードファイバ275と光学的に結合されている。
【0025】
第1のシングルモードファイバ271に入射され、光ファイバカップラ272より先端側に発された光は、コネクタ105を介して、第2のシングルモードファイバ273に導かれる。第2のシングルモードファイバ273の他端はMDU102内の光ロータリージョイント230に接続されている。
【0026】
一方、カテーテル101はMDU102と接続するためのアダプタ101aを有する。また、MDU102はカテーテル101と接続するためのアダプタ101bを有する。アダプタ101aをアダプタ101bに装着することによりカテーテル101とMDU102が接続され、カテーテル101が安定してMDU102に保持される。また、カテーテル101は、イメージングコア250に接続され、カテーテル101に接続されたシャフト106を備える。シャフト106は、MDU102による、イメージングコア250の長手方向を軸とした回転運動を伝達する。すなわち、カテーテル101がMDU102に接続されると、MDU102による回転運動がシャフト106に伝達され、イメージングコア250が回転駆動される。
【0027】
カテーテル101内に回転自在に収容された第3のシングルモードファイバ274の端部は、光ロータリージョイント230に接続される。この結果、第2のシングルモードファイバ273と第3のシングルモードファイバ274が光学的に結合される。第3のシングルモードファイバ274の他方端(カテーテル101の先頭部分側)には、光を回転軸に対してほぼ直行する方向に出射するミラーとレンズで構成される光送受信部を搭載したイメージングコア250が設けられている。
【0028】
上記の結果、波長掃引光源203が発した光は、光ファイバとしての、第1のシングルモードファイバ271、第2のシングルモードファイバ273、第3のシングルモードファイバ274を介して、第3のシングルモードファイバ274の端部に設けられたイメージングコア250に導かれる。イメージングコア250の光送受信部は、この光を、ファイバの軸に直行する方向に出射するとともに、その反射光を受信し、その受信した反射光が今度は逆に導かれ、画像処理装置103に返される。
【0029】
一方、光ファイバカップラ272に結合された第4のシングルモードファイバ275の反対の端部には、参照光の光路長を微調整する光路長調整機構220が設けられている。光路長調整機構220は、カテーテル101を交換した場合など、個々のカテーテル101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変更手段として機能する。そのため、第4のシングルモードファイバ275の端部に位置するコリメートレンズ225が、その光軸方向である矢印226で示すように移動自在な1軸ステージ224上に設けられている。
【0030】
具体的には、1軸ステージ224はカテーテル101を交換した場合に、カテーテル101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変更手段として機能する。さらに、1軸ステージ224はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、カテーテル101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ224により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能である。
【0031】
1軸ステージ224で光路長が微調整され、グレーティング221、レンズ222を介してミラー223にて反射された光は再び第4のシングルモードファイバ275に導かれ、光ファイバカップラ272にて、第2のシングルモードファイバ273側から得られた光と混合されて、干渉光としてフォトダイオード204にて受光される。
【0032】
このようにしてフォトダイオード204にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ205により増幅された後、復調器206に入力される。復調器206では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器207に入力される。
【0033】
A/D変換器207では、干渉光信号を例えば90MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を90MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(25μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0034】
A/D変換器207にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部201に入力され、一旦、メモリ2012に格納される。そして、信号処理部201では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、血管内の各位置での光断層画像を構築し、所定のフレームレートで表示装置113に出力する。
【0035】
信号処理部201は、更に光路長調整用駆動部209及び通信部208と接続されている。信号処理部201は光路長調整用駆動部209を介して1軸ステージ224の位置の制御(光路長制御)を行う。
【0036】
通信部208は、いくつかの駆動回路を内蔵するとともに、信号処理部201の制御下にてMDU102と通信する。具体的には、通信部208は、コネクタ105を介して、回転駆動装置240が備える、ラジアル走査モータ241、エンコーダ部242及び直線駆動部243と通信する。より具体的には、通信部208は、MDU102内の光ロータリージョイントによる第3のシングルモードファイバ274の回転を行うためのラジアル走査モータ241への駆動信号の供給、ラジアル走査モータ241の回転位置を検出するためのエンコーダ部242からの信号受信、並びに、第3のシングルモードファイバ274を所定速度で引っ張るための直線駆動部243への駆動信号の供給などを行う。
【0037】
なお、信号処理部201における上記処理が、所定のプログラムがコンピュータによって実行されることで実現されるものである。
【0038】
上記構成を有する画像診断装置100による、光干渉のスキャニングを実行させる場合、カテーテル101を患者の診断対象の血管位置(冠状動脈など)に位置させて、ユーザの操作によりカテーテル101の先端に向けて、ガイディングカテーテルなどを通じて透明なフラッシュ液を血管内に放出させる。血液の影響を除外するためである。そして、ユーザがスキャン開始の指示入力を行うと、信号処理部201は、波長掃引光源203を駆動し、ラジアル走査モータ241並びに直線駆動部243を駆動させる(以降、ラジアル走査モータ241と直線駆動部243の駆動による光の照射と受光処理をスキャニングと呼ぶ)。この結果、波長掃引光源203から波長掃引光が、上記のような経路でイメージングコア250に供給される。このとき、カテーテル101の先端位置にあるイメージングコア250は回転しながら回転軸に沿って移動することになるので、イメージングコア250は、回転しながら且つ血管軸に沿って移動しながら、血管内腔面への光の出射とその反射光の受信を行うことになる。
【0039】
次に、超音波を用いた画像形成にかかる構成とその処理内容を説明する。超音波を用いたスキャニングは、上記の光干渉のスキャニングと同時に行われる。すなわち、スキャニングを行い、イメージングコア250を回転させながら、カテーテル101のカテーテルシース内を移動している間、そのイメージングコア250に収容された超音波送受信部から超音波の出射とその反射波の検出を行う。このため、画像診断装置100は、イメージングコア250に収容された超音波送受信部への駆動するための駆動信号の生成、並びに、超音波送受信部が出力した超音波の検出信号の受信を行う必要がある。駆動信号の送信と、検出した信号の受信は、超音波送受信制御部232が実行する。超音波送受信制御部232と、イメージングコア250とは、信号線ケーブル281、282及び283を介して接続される。イメージングコア250は回転するので、MDU102内に設けられたスリップリング231を介して、信号線ケーブル282と283とが電気的に接続されることになる。なお、
図2では信号線ケーブル281から283は一本の線で結ばれているように示しているが、実際には、複数の信号線を収容していてよい。
【0040】
超音波送受信制御部232は、信号処理部201の制御下で動作し、イメージングコア250に収容された超音波送受信部を駆動し、超音波のパルス波を発生させる。超音波送受信部は、血管組織からの反射波を電気信号に変換し、超音波送受信制御部232に供給する。超音波送受信制御部232は、受信した超音波信号をアンプ233に出力する。アンプ233は、超音波信号を増幅する。増幅された超音波信号は、検波器234、A/D変換器235を経て、超音波データとして信号処理部201に供給され、メモリ2012に一旦格納される。なお、A/D変換器235では、検波器234より出力された超音波信号を例えば30.6MHzで200ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波データ)を生成する。なお、ここでは、30.6MHzとしているが、これは音速を1530m/secとしたときに、深度5mmに対して200ポイントサンプリングすることを前提として算出されたものである。したがって、サンプリング周波数は特にこれに限定されるものではない。
【0041】
信号処理部201は、メモリ202に格納された超音波データから、グレースケールに変換することにより、血管内の各位置での超音波画像を生成する。
【0042】
図3は、
図1のMDU102の外観構成の一例を示す図であり、
図1よりも詳細な外観構成の一例を示す図である。MDU102は、スキャナユニット121と、プルバックユニット122とを備える。
図3に示すように、スキャナユニット121は、プルバックユニット122上に支持(載置)される。スキャナユニット121は、プルバックユニット122上において、所定方向に変位可能である。具体的には、スキャナユニット121は、プルバックユニット122に対して一方向に変位可能であり、本実施形態では、
図3の矢印で示す方向Aに変位可能である。
【0043】
スキャナユニット121は、カテーテル101を接続可能(着脱可能)なカテーテル接続部123を備える。カテーテル接続部123は、スキャナユニット121において、変位可能な一方向(つまり
図3の矢印で示す方向)の一端側に設けられる。
【0044】
スキャナユニット121は、前記一端側の反対側である他端側においてケーブル104が接続され、ケーブル104の先端にはコネクタ105が接続されている。スキャナユニット121は、コネクタ105が画像処理装置103と接続されることにより、ケーブル104を介して画像処理装置103と情報通信可能になる。
【0045】
スキャナユニット121は、内部にラジアル走査モータ241を備える。ラジアル走査モータ241は、本開示における駆動部の一例である。ラジアル走査モータ241は、後述する制御部127の制御に基づき、スキャナユニット121のカテーテル接続部123に接続されたカテーテル101に内挿されたイメージングコア250を回転駆動させるモータである。
【0046】
プルバックユニット122は、ユーザによる入力操作を受け付ける入力部を備える。
図3に示す例では、プルバックユニット122は、入力部として、切換入力部124と、スキャン入力部125と、プルバック入力部126とを備える。本実施形態では、切換入力部124、スキャン入力部125及びプルバック入力部126は、いずれも押下可能な操作ボタン(操作キー)として構成されていてよい。ただし、入力部の形態は、押下可能な操作ボタンに限られない。入力部は、例えばタッチスクリーンにより構成され、表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。また、入力部は、必ずしも、切換入力部124、スキャン入力部125及びプルバック入力部126であるとは限らない。MDU102は、MDU102が実行可能な機能に応じて、適宜の態様、数量及び配置の入力部を備えていてよい。
【0047】
切換入力部124は、スキャナユニット121のホールド状態と非ホールド状態との切換えを実行させるためのボタンである。ホールド状態及び非ホールド状態については、後述する。スキャン入力部125は、画像診断装置100にスキャニングを実行させるためのボタンである。プルバック入力部126は、MDU102にプルバックを実行させるためのボタンである。プルバックは、モータ等を含んで構成される直線駆動部243を駆動することによって、プルバックユニット122に支持されたスキャナユニット121を、プルバックユニット122に対して一方向に変位させることである。本実施形態では、プルバックは、スキャナユニット121を一端側から他端側に変位させることをいう。
【0048】
図4は、MDU102の概略構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、MDU102は、機能ブロックとして、制御部127と、ホールド部128と、ブレーキ部129と、切換入力部124と、スキャン入力部125と、プルバック入力部126と、回転駆動装置240とを備える。切換入力部124、スキャン入力部125、プルバック入力部126及び回転駆動装置240については、上述の通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、回転駆動装置240は、ラジアル走査モータ241と、エンコーダ部242と、直線駆動部243とを備える。
【0049】
制御部127は、MDU102の各機能部をはじめとして、MDU102の全体を制御及び管理する。制御部127は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部127は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、MDU102が備える図示しない記憶部又はMDU102の外部の記憶媒体に記憶されている。
【0050】
制御部127は、ユーザによる入力部に対する入力操作に基づいて、各種制御を行う。本実施形態において、制御部127は、ユーザによる切換入力部124に対する入力操作に基づいて、ホールド部128によるホールド状態と非ホールド状態との切換処理を行う。制御部127が実行する切換処理の詳細については、後述する。
【0051】
ホールド部128は、制御部127による制御に基づき、ホールド状態と非ホールド状態とを切り換える。
【0052】
ここで、ホールド状態は、スキャナユニット121の、プルバックユニット122に対する変位が規制された状態である。変位が規制された状態は、スキャナユニット121を、手などで動かそうとしても、プルバックユニット122に対して位置関係が変化しない状態をいう。つまり、ホールド状態においては、スキャナユニット121は、プルバックユニット122に対して位置が固定されている。ただし、入力部としてのスキャン入力部125及びプルバック入力部126に対する入力操作を受け付けた場合、制御部127は、ホールド状態においても、ラジアル走査モータ241又は直線駆動部243を駆動することにより、スキャナユニット121をプルバックユニット122で変位させることは可能である。従って、ホールド状態は、ユーザが随意にスキャナユニット121をプルバックユニット122に対して変位させることができない状態を言う。
【0053】
一方、非ホールド状態は、スキャナユニット121の、プルバックユニット122に対する変位が規制されていない状態である。従って、非ホールド状態において、ユーザは、手などで、スキャナユニット121をプルバックユニット122に対して変位させることができる。
【0054】
ホールド部128は、プルバックユニット122に対するスキャナユニット121の変位を規制することができる任意の構成を有していてよい。例えば、ホールド部128は、機械的に挟み込むなどにより、スキャナユニット121をプルバックユニット122に対してロック可能な機構により構成されていてよい。あるいは、ホールド部128は、例えば電磁石を利用した電磁ロックにより、スキャナユニット121をプルバックユニット122に対してロック可能な機構により構成されていてよい。一例として、ホールド部128は、直線駆動部243が備えるモータの励磁力により、スキャナユニット121の変位を規制してよい。この場合、直線駆動部243が備えるモータにホールド部128が電流を流すことにより、モータが励磁され、モータの軸が回転しなくなる。これにより、スキャナユニット121の変位を規制することができる。
【0055】
ブレーキ部129は、スキャナユニット121が非ホールド状態である場合に、プルバックユニット122に対するスキャナユニット121の変位速度を所定速度以下に制限する。ブレーキ部129は、例えばディスクブレーキや渦電流ブレーキ等の公知の機構により構成することができる。
【0056】
ブレーキ部129は、例えば、プルバックユニット122に対するスキャナユニット121の変位速度が所定速度を超えたときに、スキャナユニット121の変位を停止させるものであってもよく、プルバックユニット122に対するスキャナユニット121の変位速度が所定速度を超えないように制御するものであってもよい。所定速度は、70mm/秒未満であることが好ましく、40mm/秒未満であることがさらに好ましい。所定速度が70mm/秒未満である場合、シャフト106がスキャナユニット121の変位に追従しやすく、所定速度が40mm/秒未満である場合、シャフト106がスキャナユニット121の変位に、より確実に追従できるためである。
【0057】
ブレーキ部129は、スキャナユニット121を、ケーブル104が設けられた他端側から、カテーテル接続部123が設けられた一端側に向かって変位させる場合のみに作動するように構成されていてもよい。後述するように、スキャナユニット121を他端側から一端側に変位させることが、カテーテル101の内部機構における断線の要因となり得る。そのため、少なくともスキャナユニット121の他端側から一端側への変位に対して変位速度が制限されることにより、カテーテル101の内部機構が破損する可能性を低減することができる。
【0058】
画像診断装置100において、ユーザは、スキャナユニット121を非ホールド状態とすることにより、スキャナユニット121をプルバックユニット122に対して手などで動かすことができるようになる。例えばMDU102にカテーテル101が接続された状態で、スキャナユニット121を動かすことにより、イメージングコア250の位置を調整したり、位置決めしたりすることができる。しかしながら、カテーテル101の内部機構を回転させることなく、スキャナユニット121を動かしてイメージングコア250をカテーテル101の長手方向に動かすと、カテーテル101の内部機構が破損する恐れがある。例えば、カテーテル101内においてシャフト106が屈曲した状態で、スキャナユニット121を動かすと、カテーテル101の内部機構である、光ファイバ(つまり第3のシングルモードファイバ274)などに捻れが発生し、断線する恐れがある。特に、スキャナユニット121を、ケーブル104が設けられた他端側から、カテーテル接続部123が設けられた一端側に向かって変位させる場合、捻れの程度が大きくなり、断線の可能性が高くなる。
【0059】
これに対し、カテーテル101の内部機構を回転駆動させた状態で、イメージングコア250をカテーテル101の長手方向に動かした場合、光ファイバなどの内部機構が破損する可能性を低減することができる。そこで、本実施形態では、制御部127は、カテーテル101の内部機構が破損されにくい態様で、スキャナユニット121を非ホールド状態とする。具体的には、制御部127は、ホールド状態から非ホールド状態への切換入力操作を検出したとき、イメージングコア250が回転駆動されていない場合、イメージングコア250を回転駆動させ、イメージングコア250が回転駆動した状態で、スキャナユニット121を非ホールド状態にする。
【0060】
ここで、制御部127が実行する、ホールド状態と非ホールド状態との切換処理の詳細について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、制御部127が実行する切換処理の一例を示すフローチャートである。
図5の開始時点において、スキャナユニット121はホールド状態であるとする。
【0061】
まず、ユーザが、スキャナユニット121をホールド状態から非ホールド状態にするために、切換入力部124を押下する。すると、制御部127は、切換入力部124が押下されたことにより、ホールド状態の解除が入力されたことを検出する(ステップS11)。
【0062】
そして、制御部127は、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されているか否かを判定する(ステップS12)。制御部127は、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されているか否かを、任意の公知の方法により検出することができる。制御部127は、例えば、電気的又は機械的方法により、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されているか否かを検出することができる。具体的には、例えば、カテーテル101のアダプタ101aに突起部を設け、スキャナユニット121にカテーテル101が接続された際に、突起部がカテーテル接続部123に設けられたマイクロスイッチを押下するように構成されていてよい。この場合、マイクロスイッチが押下されることにより、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されていることを検出できる。ただし、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されているか否かの検出方法は、これに限られず、他の任意の方法を採用することができる。
【0063】
制御部127は、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されていないと判定した場合(ステップS12のNo)、スキャナユニット121のホールド状態を解除する(ステップS14)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121をホールド状態から非ホールド状態にする。スキャナユニット121にカテーテル101が接続されていない場合には、ユーザがスキャナユニット121を手などで所定方向に動かしても、カテーテル101の内部機構が破損することがないためである。
【0064】
この場合、ユーザが、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にするために、再び切換入力部124を押下したとする。制御部127は、切換入力部124が押下されたことにより、ホールド状態の設定が入力されたことを検出する(ステップS15)。
【0065】
制御部127は、ステップS15においてホールド状態の設定が入力されたことに応じて、ホールド状態を設定する(ステップS16)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にする。
【0066】
一方、制御部127は、ステップS12において、スキャナユニット121にカテーテル101が接続されていると判定した場合(ステップS12のYes)、MDU102がスキャニングを実行中であるか否かを検出する(ステップS13)。制御部127は、スキャニングの処理を行っているか否かにより、スキャニングを実行中であるか否かを判定できる。
【0067】
制御部127は、MDU102がスキャニングを実行中であると判定した場合(ステップS13のYes)、スキャナユニット121のホールド状態を解除する(ステップS14)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121をホールド状態から非ホールド状態にする。MDU102がスキャニングを実行中である場合、ラジアル走査モータ241が駆動され、イメージングコア250が回転駆動されている状態であるため、ホールド状態を解除しても、カテーテル101の内部機構が破損する可能性が低減された状態であるためである。
【0068】
この場合、ユーザが、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にするために、再び切換入力部124を押下したとする。制御部127は、切換入力部124が押下されたことにより、ホールド状態の設定が入力されたことを検出する(ステップS15)。
【0069】
制御部127は、ステップS15においてホールド状態の設定が入力されたことに応じて、ホールド状態を設定する(ステップS16)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にする。このとき、制御部127は、MDU102によるスキャニングを継続して実行させてよい。つまり、ラジアル走査モータ241が駆動された状態を維持してよい。これにより、スキャニングを継続することができる。
【0070】
一方、制御部127は、ステップS13において、MDU102がスキャニングを実行中でないと判定した場合(ステップS13のNo)、シャフト106が回転駆動しているか否かを判定する(ステップS17)。制御部127は、ラジアル走査モータ241が駆動されているかに基づき、シャフト106が回転駆動しているか否かを判定することができる。
【0071】
制御部127は、シャフト106が回転駆動していると判定した場合(ステップS17のYes)、ステップS19に移行する。
【0072】
一方、制御部127は、シャフト106が回転駆動していないと判定した場合(ステップS17のNo)、シャフト106の回転運動を開始させる(ステップS18)。具体的には、制御部127は、ラジアル走査モータ241を駆動させることにより、シャフト106の回転運動を開始させる。これにより、イメージングコア250が回転駆動された状態となる。
【0073】
そして、制御部127は、スキャナユニット121のホールド状態を解除する(ステップS19)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121をホールド状態から非ホールド状態にする。これにより、ユーザはスキャナユニット121を手などで所定方向に動かすことができるようになる。このとき、シャフト106が回転駆動することにより、イメージングコア250が回転駆動した状態であるため、カテーテル101の内部機構が破損する可能性が低減された状態で、ホールド状態が解除されることとなる。これにより、画像診断装置100の安全性を維持しやすくなる。
【0074】
ユーザが、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にするために、再び切換入力部124を押下したとする。制御部127は、切換入力部124が押下されたことにより、ホールド状態の設定が入力されたことを検出する(ステップS20)。
【0075】
制御部127は、ステップS20においてホールド状態の設定が入力されたことに応じて、ホールド状態を設定する(ステップS21)。すなわち、制御部127は、スキャナユニット121を非ホールド状態からホールド状態にする。
【0076】
また、制御部127は、シャフト106の回転駆動を停止する(ステップS22)。具体的には、制御部127は、ラジアル走査モータ241を停止させることにより、シャフト106の回転運動を停止する。このようにして、制御部127は、スキャニングが実行されていない場合には、非ホールド状態からホールド状態に切り換えたときに、シャフト106の回転運動を停止することができる。
【0077】
なお、制御部127は、スキャニングを実行しておらず(ステップS13のNo)、かつシャフト106が回転駆動をしている場合(ステップS17のYes)、ホールド状態を一度解除してから再びホールド状態を設定する際に、シャフト106の回転運動を停止しなくてもよい。つまり、この場合、ステップS22を実行しなくてもよい。これにより、ホールド状態を一度解除してから再びホールド状態を設定する際に、ホールド状態が解除される前と同じ状態に戻すことができる。
【0078】
制御部127は、必ずしも
図5に示す手順で切換処理を実行しなくてもよい。
図6は、制御部127が実行する切換処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図6に示すフローにおいて、ステップS11からステップS14は、それぞれ
図5で説明したステップS11からステップS14と同様であるため、ここではこれらの詳細な説明を省略する。
【0080】
制御部127は、ステップS14でホールド状態を解除した後、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS23)。所定時間は、ユーザに、スキャナユニット121を手などで変位させる意思がないことが推定される時間であり、適宜定められる。例えば、所定時間は、数十秒から数分の時間として設定することができる。
【0081】
制御部127は、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続していないと判定した場合(ステップS23のNo)、ステップS23を繰り返す。
【0082】
制御部127は、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続したと判定した場合(ステップS23のYes)、ホールド状態を設定する(ステップS16)。
【0083】
同様に、
図6に示すフローにおいて、ステップS17からステップS19は、それぞれ
図5で説明したステップS17からステップS19と同様であるため、ここではこれらの詳細な説明を省略する。
【0084】
制御部127は、ステップS19でホールド状態を解除した後、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS24)。所定時間は、ユーザに、スキャナユニット121を手などで変位させる意思がないことが推定される時間であり、適宜定められる。ステップS24における所定時間は、ステップS23における所定時間と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0085】
制御部127は、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続していないと判定した場合(ステップS24のNo)、ステップS24を繰り返す。
【0086】
制御部127は、スキャナユニット121がプルバックユニット122に対して変位していない状態が所定時間継続したと判定した場合(ステップS24のYes)、ホールド状態を設定し(ステップS21)、シャフト106の回転駆動を停止する(ステップS22)。
【0087】
ステップS23及びステップS24のように、スキャナユニット121が変位していない状態が所定時間継続した場合に、ホールド状態を設定することにより、ユーザに、スキャナユニット121を手などで変位させる意思がないことが推定される場合に、自動的に非ホールド状態からホールド状態に移行させることができる。これにより、ホールド状態が長期に維持されて意図せずスキャナユニット121が変位する可能性を低減することができる。
【0088】
なお、制御部127は、
図5及び
図6で示したフローを組み合わせて、非ホールド状態からホールド状態に切り換えてもよい。つまり、ホールド状態を解除して非ホールド状態に切り換えたあと、制御部127は、ユーザによるホールド状態の設定の入力を検出した場合、又は、スキャナユニット121が変位していない状態が所定時間継続した場合に、ホールド状態に切り換えてもよい。
【0089】
このように、本実施形態に係る画像診断装置100によれば、制御部127は、ホールド状態から非ホールド状態への切換入力操作を検出したとき、イメージングコア250が回転駆動されていない場合、イメージングコア250を回転駆動させてから、スキャナユニット121を非ホールド状態にする。そのため、カテーテル101の内部機構が破損する可能性が低減された状態で、ホールド状態を解除することができる。
【0090】
なお、上記実施形態では、イメージングコア250が回転駆動されていない場合、イメージングコア250を回転駆動させてから、スキャナユニット121を非ホールド状態にすると説明した。しかしながら、制御部127による切換処理は、これに限られない。例えば、制御部127は、
図5及び
図6のステップ11においてホールド状態の解除の入力を検出した場合、スキャニングを実行中である(ステップS13のYes)か、シャフト106が回転駆動している(ステップS17のYes)と判断した場合であっても、シャフト106の回転数が所定回転数以下である場合、所定回転数までシャフト106の回転数を増加させ、その後、ホールド状態を解除してもよい。所定回転数は、カテーテル101の内部機構の破損を所定程度まで低減可能な回転数であってよい。これにより、ホールド状態を解除したときの破損の可能性を、より確実に低減することができる。
【0091】
本開示は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0092】
100 画像診断装置
101 カテーテル
101a、101b アダプタ
102 モータドライブユニット(MDU)
103 画像処理装置
104 ケーブル
105 コネクタ
106 シャフト
111 本体制御部
111-1 DVDレコーダ
112 操作パネル
113 表示装置
114 マウス
121 スキャナユニット
122 プルバックユニット
123 カテーテル接続部
124 切換入力部
125 スキャン入力部
126 プルバック入力部
127 制御部
128 ホールド部
129 ブレーキ部
201 信号処理部
202、2012 メモリ
203 波長掃引光源
204 フォトダイオード
205 アンプ
206 復調器
207 変換器
208 通信部
209 光路長調整用駆動部
210 記憶装置
220 光路長調整機構
221 グレーティング
222 レンズ
223 ミラー
224 1軸ステージ
225 コリメートレンズ
226 矢印
230 光ロータリージョイント
231 スリップリング
232 音波送受信制御部
233 アンプ
234 検波器
235 変換器
240 回転駆動装置
241 ラジアル走査モータ(駆動部)
242 エンコーダ部
243 直線駆動部
250 イメージングコア
271 第1のシングルモードファイバ
272 光ファイバカップラ
273 第2のシングルモードファイバ
274 第3のシングルモードファイバ
275 第4のシングルモードファイバ
281、282 信号線ケーブル
2010 画像取得部
2011 制御部