(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】銃砲尾ブロックを備えた兵器システムおよび兵器システムの銃砲尾ブロック
(51)【国際特許分類】
F41A 3/26 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
F41A3/26
(21)【出願番号】P 2022528535
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2020081126
(87)【国際公開番号】W WO2021099132
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】102019131439.9
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509334642
【氏名又は名称】ラインメタル ヴァッフェ ムニシオーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Rheinmetall Waffe Munition GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、クラウス-ペーター
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04154142(US,A)
【文献】特表2012-511132(JP,A)
【文献】米国特許第03648561(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0154382(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19903323(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41A 3/00- 3/94
F41A 9/50- 9/51
F41A 17/18
F41A 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃砲尾ブロックキャリア(1)および銃砲尾ブロックヘッド(2)を有し、前記銃砲尾ブロックヘッド(2)は、前記銃砲尾ブロックキャリア(1)によって担持されている武器システム用銃砲尾ブロック(100)であって、
前記銃砲尾ブロックキャリア(1)は、制御カム(4)を有し、前記銃砲尾ブロックヘッド(2)は、前記制御カム(4)に係合し、その中を案内され得る制御ピン(3)を備え、少なくとも1つのスライド(8、9)は、
銃砲尾ブロックキャリア(1)に取り付けられており、
前記制御カム(4)は、複数のカムセクション(4.1~4.4)に分割され、
弾丸の発射時には、第2のカムセクション(4.2)、第3のカムセクション(4.3)、第4のカムセクション(4.4)の順に制御ピン3が走行し、
前記第2のカムセクション(4.2)で、銃砲身と銃砲尾ブロックヘッド(2)とがロックされた状態で、戻り質量が後方へ移動し、
前記第3のカムセクション(4.3)で、前記銃砲尾ブロックヘッド(2)が回転することで、銃砲身と前記銃砲尾ブロックヘッド(2)とのロックが解除され、
前記第4のカムセクション(4.4)で、銃砲身と前記銃砲尾ブロックヘッド(2)とが一緒になった状態で、戻り質量が後方へ移動し、
戻りが終わると、反跳エネルギによって、前記第4のカムセクション(4.4)で、銃砲身と前記銃砲尾ブロックヘッド(2)とが一緒になった状態で、戻り質量が前方へ移動し、前記第4のカムセクション(4.4)の前端で、銃砲尾ブロックヘッド(2)が少なくとも一方のスライド(8、9)によって捕捉されて銃砲身だけがさらに前方に移動する銃砲尾ブロック(100)。
【請求項2】
2つのスライド(8、9)が
銃砲尾ブロックキャリア(1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の銃砲尾ブロック(100)。
【請求項3】
前記スライド(8、9)がブロッキングスライドまたはロッキングスライドであることを特徴とする請求項1または2に記載の銃砲尾ブロック(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスライド(8、9)は、バー(10)及びガイドピン(11)によって前記
銃砲尾ブロックキャリア(1)に固定されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の銃砲尾ブロック(100)。
【請求項5】
前記制御カム(4)は、幾つかのカムセクション(4.1~4.4)に分割され、少なくとも4つのカムセクション(4.1~4.4)を備えることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の銃砲尾ブロック(100)。
【請求項6】
前記銃砲尾ブロックキャリア(1)は、側面に少なくとも1つのガイド(18,19)を有することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の銃砲尾ブロック(100)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の銃砲尾ブロック(100)を備えた兵器システム。
【請求項8】
第2のカムセクション(4.2)及び2つの後続のカムセクション(4.3、4.4)の一部が、戻り質量の戻りに使用され、前記戻り質量の前方(4.4)への戻りの終了後であってかつ銃砲尾ブロックヘッド(2)を伴わない移動質量の前方(4.3)への移動に使用されることを特徴とする請求項7に記載の兵器システム。
【請求項9】
前記銃砲尾ブロック(100)は、ハウジング内に収容可能であり、前記ハウジングは、兵器ハウジングの一部であるか、または代替的に、モジュールとして形成されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の兵器システム。
【請求項10】
好ましくは外部駆動部によって兵器または銃砲尾ブロックを駆動することを特徴とする、請求項7~9の何れか1項に記載の兵器システム。
【請求項11】
駆動部および前記銃砲尾ブロック(100)は、ともにハウジング内に配置され、前記ハウジングは、兵器ハウジングの一部であり得るか、または代替的に、モジュールとして形成され得ることを特徴とする、請求項10に記載の兵器システム。
【請求項12】
戻り質量が戻る間において前記銃砲尾ブロック
(100)の解錠が発生し、前記戻り質量が前進する間に空の薬莢が排出され、これによって少なくとも1つのスライド(8、9)が前記戻り質量が戻る間にオーバーランし、前記少なくとも1つのスライド(8、9)が、前進する間に銃砲尾ヘッド(2)に係合して前記銃砲尾ヘッド(2)を遮断位置(16)に保持することを特徴とする請求項7~11の何れか1項に記載の兵器システム。
【請求項13】
請求項12に記載の兵器システムであって、兵器作動時において阻止位置(16)がスライド(9)によって解放され、銃砲尾ブロックヘッド(2)は、前方の「開放位置」(17)に押し込まれることを特徴とする兵器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、兵器システムの銃砲尾ブロックまたは兵器システムの戻り質量が戻る間の兵器のロック解除を扱う。兵器システムは、例えば、自動兵器であり得る。本発明は、特に、戻り質量が戻る間の銃砲尾ブロックの反跳ロック解除を最小限にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
自動兵器は、基本的に、3つのカテゴリー、ブッシュマスターIIIまたはRMG 7.62のような、外部動力システム、MK30-2/ABMのようなガス作動式システム、およびMG3のような反跳作動式火器に分けることができる。後者は、自己作動システムとも呼ばれる。
【0003】
このような兵器システムにおいては、カートリッジは、銃砲尾ブロックの前方に移送される。銃砲尾ブロックの動きの助けを借りて、カートリッジは、兵器の銃砲身内に、または兵器の銃砲身の薬室内に移動される。銃砲尾ブロックと銃砲身との間のロックは、この場合、ブロックロック、スライディングブロック、回転ラグ銃砲尾等の既知の銃砲尾ブロックシステムを介して行われる。
【0004】
外部動力システムは、特に種々のタイプの弾薬の提供において、装荷管理のための明確な利点を有する。しかしながら、3つのシステムすべてが共通しているのは、発射プロセス中の反跳インパルスがシステムの銃砲架によって吸収されなければならないということである。最初に述べた二つの系では、反跳インパルスのこのエネルギは通常使われないままである。このエネルギを利用するのは、第3のカテゴリーのシステムだけである。
【0005】
EP2 359 085 B1は、クランクハウジング内に制御カムを備えた駆動部を記載しており、制御カムは、銃砲尾ブロックの所望の動き並びに銃砲尾ブロックの必要な滞留時間を設定するために、種々のセクション/セクタに分割されている。この場合の駆動部は、外部駆動である。
【0006】
WO 2017/009114 A1は、外部から駆動される兵器用の兵器駆動部または銃砲尾ブロック駆動部を開示する。駆動部には、連結ロッドユニットが案内される駆動カムがある。駆動カムは、兵器の発射サイクルを規定し、したがって、銃砲尾ブロックの滞留時間を規定する。前進位置(発射方向に見て)では、銃砲尾ブロックは非作動状態とされ、ロックされる。弾丸が発射された後、銃砲尾ブロックは作動する兵器の一部としてロック解除され、その後方位置に移動する。空の薬莢は、銃砲身から取り外され、兵器または兵器システムから排出される。後方位置では、銃砲尾ブロックは再び非作動状態とされ、新たな弾薬が兵器に挿入され、銃砲尾ブロックに供給される。銃砲尾ブロックの駆動により、新しい弾薬が銃砲身に挿入され、銃砲尾ブロックが再び銃砲身にロックされる。銃砲尾ブロックが兵器システム内で休止している、または非作動状態にある時間の間、銃砲尾ブロック駆動部すなわち連結ロッドは作動を続ける。
【0007】
一般的に、各駆動部は、発射サイクル(ケイデンス)でのピーク負荷に合わせて設計する必要がある。特に、外部動力システムでは、空の薬莢が既存の駆動部によっては確実に取り出されないことが実践によって示されている。特に、外部駆動部としてのチェーン駆動部は、銃砲尾ブロックがロック解除され、空の薬莢が取り出されると、駆動チェーンに大きな力が作用し、駆動部すなわちチェーンによって排出力を加えなければならないという問題がある。個々の場合、薬莢が排出されていないことはミッションの中止を意味する可能性がある。空になった薬莢は、(クリーニングロッドを用いて)手動で排出する必要がある。戦闘中に車両の保護領域を残すことを必要とする場合があることは、排除できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】EP 2 359 085 B1
【文献】WO 2017/009114 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、これらの問題を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題を解決するための1つのアプローチは、高度に変形した薬莢も排出できるように駆動部を強化することである。しかしながら、このアプローチは、より大きな施工容積、付加的な重量、及びより高いコストをもたらすであろう。
【0011】
本発明は、これとは対照的に、銃砲尾ブロックのロック解除時に銃砲尾ブロック駆動部に作用する力を最小限に抑え、かつ、銃砲尾ブロックではなく、銃砲身によってロック解除を行なわせて薬莢を排出することにより、銃砲尾ブロック駆動部とは独立して薬莢を排出するという考え方に基づいている。このようにして、別の方法では、特に、外部駆動部(例えば、チェーン)の場合には、銃砲尾ブロックがロック解除され、薬莢が取り外されると、銃砲尾ブロック駆動部に作用する力は、低減されるか、または排除されることさえある。
【0012】
未公開のDE 10 2019 120 180.2は、すでに戻り質量または移動質量が戻る間に銃砲尾ブロックが反跳してロック解除する例を示している。適切な設計により、火器の戻り質量が戻る間に、銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックの頭部が銃砲身からロック解除される。戻り質量が前進すると、兵器の薬室内に位置する薬莢が、薬室から放出される。次に、その実際に作動する兵器の一部として、銃砲尾ブロックが銃砲尾ブロック駆動部を介して動かされるときに、銃砲身から薬莢が完全に取り外される。
【0013】
未公開のDE 10 2019 120 183.7も、反跳を使うアイデアを取り上げている。銃砲尾ブロックの実際のロック解除および薬莢の取り外しは、戻り質量が戻った後の前進運動中に行われる。したがって、銃砲尾ブロックのロック解除および薬莢の取り外しは、戻り(移動)質量の前進運動すなわち前進の間に最初に行われる。弾丸が発射され、反跳が生じると、銃砲尾ブロックヘッドは銃砲尾ブロックキャリアおよび銃砲身と共に銃砲身にロックされ、戻り質量の一部として後方に移動する。兵器の反跳の反転の後、すなわち、戻り質量の前方運動の間、銃砲尾ブロックキャリアは、銃砲尾ブロックの一部として適所に保持される。この目的のために、銃砲尾ブロックキャリアを保持し、銃砲尾ブロックキャリアに対して銃砲尾ブロックヘッドを解放する手段が提供される。その結果、銃砲身にロックされた銃砲尾ブロックヘッドは、前進運動中に銃砲身と共に前方に素早く動き続けることができる。更なる所定の時点で、銃砲尾ブロックヘッドは手段を介して所定の位置に保持され、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲身の室スリーブとの間のロックは、「ロック解除」状態に到達し、銃砲尾ブロックがロック解除されるまで解除される。銃砲尾ブロックヘッドを所定の位置に保持し、銃砲身から解放することは、ここでは、銃砲尾ブロックキャリア内の制御カムと、銃砲尾ブロックヘッド上の制御ピンとによって、最も簡単な方法で行われる。そうすることにより、銃砲尾ブロックヘッドは制御カムに沿って案内され、その結果、銃砲尾ブロックヘッドは、銃砲尾ブロックキャリア内で回転する。この回転運動により、銃砲尾ブロックヘッドは銃砲身から排出される。このフェーズでは、銃砲尾ブロックヘッド自体が所定の位置に保持される。
【0014】
未公開のDE 10 2019 120 184.5は、制御カム付きの制御スリーブを銃砲尾ブロックの銃砲尾ブロックキャリアに挿入することを提案している。銃砲尾ブロックヘッドは、この制御カムに係合して案内することができるピンを有することができる。制御スリーブは、ピンを介して銃砲尾ブロックヘッドを保持する。スライドは、戻り質量の後方への移動の場合に、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアとの間の機械的接続の解放を可能にする。戻り質量の前進中に、銃砲尾ブロックのロックを解除し、薬莢を排出するために、制御スリーブと銃砲尾ブロックキャリアとの間に、発射方向に剛性のある機械的接続がなされる。この場合、銃砲尾ブロックヘッドは、戻り質量の前方への移動中に制御スリーブによって保持され、その結果、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアとの間に機械的接続を行うことができる。これは、制御スリーブをブロックすること、および/または銃砲尾ブロックヘッドの回転能力をブロックすることによって達成することができる。制御スリーブにはキャッチが付いている。このキャッチは、好ましくは、制御スリーブの側面に、例えば、歯付きラックの形態で取り付けられる。このキャッチは、銃砲尾ブロックキャリア側に取り付けられたロッキングスライドによって係合される。ロッキングスライドは延長されているため、兵器の反跳中は無効である。戻り質量の前進中、ロッキングスライドは制御スリーブをブロックし、それを保持する。銃砲尾ブロックヘッドは、制御スリーブの制御カム内で素早く前進し続け、その中で回転する。その結果、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲身または室スリーブとの間のロックが解除される。銃砲尾ブロックヘッドは、制御スリーブの制御カムによって保持され、それによって捕捉される。銃砲身は、発射方向にさらに素早く前進し、その結果、少なくともある程度までは、銃砲尾ブロックヘッドに掛かっている薬莢が銃砲身から引き出される。
【0015】
本発明はまた、この考え方を取り扱う。ここでも同様に、銃砲尾ブロックのロック解除のタスクとカートリッジを排出するタスクは、銃砲尾ブロックと銃砲身に移行される。このアイデアを実行する際、発射後の兵器の反跳(兵器反跳)は、銃身からの銃砲尾ブロックのロックを解除し、薬莢を取り外すために使用される。すなわち、薬莢のロック解除および取り外しは、反跳を使用して、したがって、兵器の戻り質量を使用して実現される。
【0016】
周知のように、反跳は、弾丸が発射されると開始され、通常、銃身および銃砲尾ブロックである兵器の戻り質量は、発射方向と反対に加速される。戻り工程が終わると、戻り機構等の反跳ばねに反跳エネルギの一部が蓄積される。このエネルギによって、戻り質量は、これらが進行位置(advancing position)にあるとき再び前方に移動する。このことを利用して、特に外部駆動部の欠点と問題点を回避することができる。
【0017】
戻り質量の戻りが終わると、銃砲尾ブロックのロックが解除される。薬莢は、今度は、戻り質量の前進中に薬室から放出され、数ミリメートル引き出される。したがって、戻り質量の戻りの間、銃砲尾ブロックのロック解除の間、および戻り質量の前方移動の間、反跳インパルスが存在するために、空の薬莢の排出が行われる。銃砲尾ブロックのロック解除および空の薬莢の排出は、兵器駆動部とは独立して行われる。銃砲尾ブロックをロック解除し、空の薬莢を排出し、排出抵抗を克服するために要求される大きな力は、反跳インパルスによって、完全に供給される。兵器駆動部は、空になった薬莢を排出し、新しいカートリッジを供給するために、銃砲尾ブロックの前後移動などの兵器の作動のみを実行する。兵器駆動部は、時々、または適宜フィーダを駆動するために使用されてもよい。
【0018】
火器管制を有する自動兵器は、DE 37 12 905 A1から知られている。銃砲尾ブロックは、上側の銃砲尾ブロック部分およびキャリッジから構成され、これらは、それぞれ、兵器ハウジング内で個別かつ長手方向に変位可能に配置され、接続手段を介して、相互に積極的にロックする方法で結合することができる。カートリッジの不具合が発生した場合、デカップルされた上側の銃砲尾ブロック部分はロック位置のままであるが、他のすべての兵器の機能または動作は制動されず、走行を続ける。この点に関し、キャリッジからの上側の銃砲尾ブロック部分のガス圧制御デカップリングが提供される。
【0019】
EP 3 155 354 B1は、打撃機構と発射ピン安全装置とを備えた銃砲尾ブロックを開示している。銃砲尾ブロックの銃砲尾ブロックキャリアは、銃砲尾ブロックヘッドを武器の銃砲身にロックするためのロックカムを有し、ロックピンがガイドされ、それは、銃砲尾ブロックキャリア内の銃砲尾ブロックヘッドを回転させることによって、銃砲尾ブロックヘッドのロックを開始させ、効果を与える。銃砲尾ブロックが引き込まれたときに銃砲尾ブロックによって打撃機構に張力が加えられる。発射ピン安全装置、ひいては発射ピンは、銃砲尾ブロックが前進位置で確実にロックされている場合にのみ解除される。固定ロックがない場合は、発射ピンがロックされる。これにより、固定位置においては、発射機構の撃鉄(the sear of the striking mechanism)は発射ピンに当たることはできても発射ピンを動かすことはできない。
【0020】
DE 20 2007 010 111 U1は、銃砲尾ブロックのロックについて記載している。この場合、回動可能なロックは、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアとの間の銃砲尾ブロックキャリアに挿入される。ロックは、銃砲尾ブロックキャリアが後方に移動したときに、銃砲尾ブロックヘッドをロックするために必要な動きをブロックするために使用される。ロック領域では、このブロッキングが除去されるため、回転動作が実行できる。
【0021】
好ましい実施例では、本発明の銃砲尾ブロックは、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアによって形成される。銃砲尾ブロックキャリアは、銃砲尾ブロックヘッドを運ぶ。銃砲尾ブロックキャリアは、銃砲尾ブロックヘッドの制御ピンを案内し得る制御カムを有している。兵器の反跳中に、兵器の実際の作動と、銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックヘッドのロック解除がこの制御カムによって組み合わされる。この組合せにより、反跳開錠部の小型化が可能となる。本発明の基本的な考え方は、銃砲尾ブロックの制御カムを拡張し、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアとの間に少なくとも1つの追加のロック位置を導入することである。これは、好ましくは、銃砲尾ブロックキャリア上の銃砲尾ブロックヘッドのブロッキング位置の形態で実現することができる。したがって、兵器反跳の間、すなわち戻り(移動)質量が戻る間に、銃砲尾ブロックヘッドと銃砲尾ブロックキャリアとの間に機械的分離が存在する。この分離は、戻り質量の前進中に復元される。
【0022】
制御カムは、好ましくは、4つのセクションに分割される。発射方向から見た最初の2つのセクションは、兵器の実際の作動、すなわち、銃身または室スリーブに銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックヘッドをロックするために使用される。第3のセクションは、弾丸が発射された後に戻り質量が戻る間に、銃砲尾ブロックのヘッドがロック解除されることを可能にし、一方、銃砲尾ブロックキャリアは静止したままである。第4のセクションは、銃砲尾ブロックヘッドが、銃砲尾ブロックキャリアに対して、発射方向に対して、さらに(自由に)移動する可能性を作り出す。移動質量の前進中に、発射方向に見られるように、この第4のセクションの前端の領域において、銃砲尾ブロックヘッドがこの位置で捕捉されるか、またはロックされる。
【0023】
銃砲尾ブロック、すなわち銃砲尾ブロックキャリアによって移送される銃砲尾ブロックヘッド、および銃砲尾ブロックキャリアは、銃砲尾ブロック駆動によって、兵器の実際の作動の一部として、兵器内のその(a)後方位置に誘導される。この位置では、新しいカートリッジを、銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックヘッドに提供することができる。
【0024】
銃砲尾ブロックキャリアが排出および装填位置に移動する間に、銃砲尾ブロックヘッドのブロッキング位置が解放されることが提供される。このタスクは、銃砲尾ブロックヘッドの上またはその上のスライド(ブロックまたはロッキングスライド)によって、簡単な方法で達成することができる。次に、銃砲尾ブロックヘッドを制御カムに沿って、第1のカムセクションの前方の「開位置」に押し込むことができる。この位置では、次いで、好ましくは軸方向に、銃砲尾ブロックヘッドのさらなるスライド(ブロッキングまたはロッキングスライド)を、銃砲尾ブロックキャリアでロックすることができる。
【0025】
新しいカートリッジまたは弾薬が、装填位置の銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックヘッドに提供される。銃砲尾ブロックとカートリッジは、銃砲尾ブロック駆動部によって発射方向に移送される。銃砲尾ブロックは、制御カムの最初の2つのセクションおよび銃砲尾ブロック駆動部を介して、既知の方法で銃砲身または室スリーブにロックされる。
【0026】
駆動部と同様に、銃砲尾ブロックは、ハウジング内に収容することができる。この点に関し、これは兵器ハウジングの一部であり得る。あるいは、ハウジングは、モジュールを形成するように設計することができる。その結果、銃砲尾ブロックおよび駆動部は、簡単な方法で兵器ハウジングから取り外すことができる。この種のモジュラー設計がしばしば好まれる。
【0027】
銃砲尾ブロックキャリアは、好ましくは、兵器システム内および/またはハウジングの内部で案内され得るように設計される。銃砲尾ブロックキャリアの全長に沿った横方向の長手方向の穴は、兵器システムおよび/またはハウジングのガイドロッドを収容するためのガイドとして役立てられる。あるいは、銃砲尾ブロックキャリアは、側面に、兵器システムおよび/またはハウジング内のガイドと係合することができる何らかのタイプのレールなどを有してよい。両方の変形例の組み合わせも考えられる。
【0028】
外部駆動部は、好ましくは、兵器駆動部として好適である。他の駆動部も考えられる。
【0029】
あらゆる場合において空の薬莢が安全に排出されることが、提案された設計によって達成される。これには、薬莢の詰まりによる兵器の誤作動が排除されるというさらなる利点が伴う。また、外部エネルギのシェアを純粋に装填管理に必要なエネルギまで低減することができる。外部駆動部の動力は、装填管理に必要なエネルギに調整しさえすればよい。これは、小さな構造容積と、兵器全体のより低い質量とをもたらす。兵器の安全性はそれ以上の影響を受けない。反跳インパルスは無いので、発射に失敗したときにロックが解除される可能性は排除される。したがって、このような場合に銃砲尾ブロックのロックを解除することは、兵器の反跳が不足しているために不可能である。
【0030】
提案されるのは、少なくとも銃砲尾ブロックキャリアと銃砲尾ブロックヘッドによって形成される兵器システム用の銃砲尾ブロックである。銃砲尾ブロックヘッドは、銃砲尾ブロックキャリアによって移送される。銃砲尾ブロックキャリアには、制御カムがある。制御カムは、多数の、好ましくは少なくとも4つのカムセクションに分割される。この制御カムでは、薬莢の部分的およびその後の完全な排出と同様に、兵器の実際の作動および銃砲尾ブロックまたは銃砲尾ブロックヘッドのロック解除が組み合わされる。銃砲尾ブロックヘッドは、制御ピンを備え、制御カムに係合する。この制御カムには、制御ピンを案内することができる。制御カムは、銃砲尾ブロックキャリアに対する銃砲尾ブロックヘッドの自由な移動を可能にする。2つのスライド(ブロッキングスライドまたはロッキングスライド)が銃砲尾ブロックキャリアに取り付けられる。1つのスライドは、兵器の実際の作動の範囲内で、その「開」位置にある銃砲尾ブロックヘッドを保持(係合)するために使用される。もう一つのスライドは、戻り質量の前進において、後方の「開放」位置におい
て、銃砲尾ブロックヘッドをロックするタスクを有する。銃砲尾ブロックキャリアは、兵器システム内での移送のために、少なくとも1つ、好ましくは2つ、1つまたは複数のガイドおよび/または1つまたは複数のガイドホールを側面に有する。
【0031】
本発明を、例示的な実施形態を用いて、図面とともにより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の銃砲尾ブロックを発射方向に見た透視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1による銃砲尾ブロックキャリア内の制御カムの代表例を示す。
【
図3】
図3は、
図1による銃砲尾ブロックヘッドの透視図を示す。
【
図4】
図4は、
図3による銃砲尾ブロックヘッドのさらなる透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
銃砲尾ブロック100が
図1に示されている。銃砲尾ブロック100は、少なくとも1つの銃砲尾ブロックキャリア1および銃砲尾ブロックヘッド2から形成される。銃砲尾ブロックヘッド2は、銃砲尾ブロックキャリア1によって担持される。銃砲尾ブロックヘッド2は、制御ピン3を有する。制御ピン3は、銃砲尾ブロックヘッド2の周辺部に取り付けられている。銃砲尾ブロックキャリア1は、制御ピン3を案内できる制御カム4を有する。
【0034】
制御カム4は、好ましくは4つのカムセクション4.1~4.4に分割される。発射方向に見て前側の第1のカムセクション4.1は、銃砲尾ブロックヘッド2の銃砲身(より詳細には示されていない)とのロックを形成する。このロックは、制御ピン3が第2カムセクション4.2に入ると完了する。両方のカムセクション4.1、4.2は、兵器の実際の機能に関連付けられている。第2のカムセクション4.2の一部および2つの後続のカムセクション4.3、4.4は、兵器反跳の用、特に、戻り(移動)質量の戻り、ならびに銃砲尾ブロックヘッド2を含まない移動質量の前進までの移動質量の前進の用をなす。
【0035】
発射ピン5は、銃砲尾ブロックヘッド2に挿入され、好ましくはスリーブ(より詳細には示されていない)に保持される。銃砲尾ブロックヘッド2内の発射ピン3は、リング7を介してスライド6によって緊張させることができる。この目的のために、例えば、より詳細には示されていない発射ピンスプリングが、発射ピン3の周囲に配置される。
【0036】
二つのいわゆるブロッキングまたはロッキングスライド8、9は、
銃砲尾ブロックキャリア1に取り付けられている。銃砲尾ブロックヘッド2は、ロッキングスライド8を備えた兵器の実際の作動の範囲内で、その「開位置」に保持することができる。ブロッキングスライド9は、戻り質量の前進中に、銃砲尾ブロックヘッド2を後部の「開位置」(戻り止め点16、
図2)にロックまたは保持することができることを確実にするように働く。
【0037】
ブロッキングスライド8およびブロッキングスライド9は、少なくとも1つのバー10および少なくとも1つのガイドピン11の助けを借りて、それらの端位置を保持する。このバー10およびガイドピン11は、2つのロッキングスライド8、9のストロークを制限する。バー10は、円筒形スクリュー等により、銃砲尾ブロックキャリア1内に固定することができる。圧縮ばね(より詳細には示されていない)は、ブロッキングスライド8および9をその上端位置に保持する。テンションピン12は、ガイドピン11を銃砲尾ブロックキャリア1に固定し、更なるテンションピン13は、スリーブ(より詳細には図示せず)を銃砲尾ブロックヘッド2に固定する。
【0038】
銃砲尾ブロック100または銃砲尾ブロックヘッド2のロック解除ならびに薬莢(より内容には図示せず)の排出を、
図2を参照してより詳細に検討する。
【0039】
発射時、制御ピン3は制御カム4の第2カムセクション4.2にある。銃砲尾ブロック100はロックされる。弾丸が発射されると、戻り質量は発射方向とは反対に動かされる。制御ピン3は、カムセクション4.2に沿って走行する。この間、銃砲尾ブロックヘッド2とロックされた銃砲身は、発射方向とは逆に走行する。戻り質量が移動し続けると、すなわち移動質量が戻ると、制御ピン3は制御カム4のカムセクション4.3に沿って案内される。これにより銃砲尾ブロックヘッド2は回転運動を実行する。この回転運動により、銃砲尾ブロックヘッド2が銃砲身または銃砲身の室スリーブから放出される。銃砲尾ブロックヘッド2は、銃砲身から放出され、銃砲身は、制御カム4のカムセクション4.4内で、発射方向とは反対の後方へ一緒に走り続ける。この場合、ブロッキングスライド9は無効となり、オーバーランする。
【0040】
戻りが終わると、戻り機構等(より詳細には示されていない)の反跳ばねに反跳エネルギの一部が蓄積される。これらが進行位置にあるとき、戻り質量はこのエネルギを使って再び前方に移動する。
【0041】
移動質量が進むにつれて、ブロッキングスライド9は、その「開」位置に銃砲尾ブロックヘッド2を係合し、保持する。一方、放出された銃砲身はさらに前方に移動し、銃砲尾ブロックヘッド2の前方に移動する。銃砲尾ブロックヘッド2の排出爪15に掛けられた薬莢は、薬室と共に銃砲身から部分的に排出される。
【0042】
次いで、銃砲尾ブロック100が兵器駆動部または銃砲尾ブロック駆動部(より詳細には示されていない)を介してその排出および装填位置に移送されるときに、兵器の実際の作動の間に空の薬莢が取り外される。銃砲尾ブロックキャリア1が排出および装填位置に移動される間、銃砲尾ブロックヘッド2のブロッキング位置16はスライド9によって解放され、銃砲尾ブロックヘッド2は前面の「開放位置」17に押し出される。この位置において、銃砲尾ブロックヘッド2上のブロッキングスライド8は、銃砲尾ブロックキャリア1と共に、好ましくは軸方向に銃砲尾ブロックヘッド2をロックすることができる。
【0043】
新しいカートリッジは、装填位置にある銃砲尾ブロック100または銃砲尾ブロックヘッド2に供給できる。次いで、銃砲尾ブロック100およびカートリッジは、銃砲尾ブロック駆動部によって発射方向に移送される。銃砲尾ブロック100は、制御カム4、カムセクション4.1および4.2、ならびに銃砲尾ブロック駆動部を介して公知の方法で銃砲身または室スリーブにロックされる。ここで、銃砲尾ブロックヘッド2の制御ピン3は、制御カムセクション4.1に沿って制御カムセクション4.2に進む。銃砲尾ブロック100と銃砲身は再びロックされる。
【0044】
サイクルは、発射とともに再び開始する。
【0045】
銃砲尾ブロック100を兵器の実際の機能の一部として移送するために、銃砲尾ブロックキャリア1は、横方向ガイドまたはガイド穴18、19を有することができる。これらは、兵器システム内のガイド(さらなる図示せず)に整合される。
【0046】
銃砲尾ブロックキャリア1は、その下に溝20を有していてもよく、この溝では、例えば、銃砲尾ブロック駆動部の連結ロッド(より詳細には図示せず)が係合し、WO 2017/009114 A1と同様に案内され得る。
【符号の説明】
【0047】
1 銃砲尾ブロックキャリア
2 銃砲尾ブロックヘッド
3 制御ピン
4 制御カム
4.1-4.4 カムセクション
5 発射ピン
6 スライド
7 リング
8 スライド(ブロッキングまたはロッキングスライド)
9 スライド(ブロッキングまたはロッキングスライド)
10 バー
11 ガイドピン
12 テンションピン
13 テンションピン
15 排出爪
16 ブロッキング位置
17 開位置
18 ガイド
19 ガイド
20 溝
100 銃砲尾ブロック