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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A61M25/09 516
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022532979
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026136
(87)【国際公開番号】W WO2022003931
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 将義
(72)【発明者】
【氏名】澤井 陽
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-510125(JP,A)
【文献】特開平03-133463(JP,A)
【文献】特開平08-243169(JP,A)
【文献】特表平07-505316(JP,A)
【文献】特表2006-508739(JP,A)
【文献】米国特許第05406960(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤであって、
放射線不透過材料を含む特定部分を有するシャフト体と、
放射線不透過材料を含み、螺旋状に形成され、少なくとも一部分が前記シャフト体より先端側に位置する先端螺旋体と、
を備え、
前記ガイドワイヤは、
前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの一部分であって、前記先端螺旋体の少なくとも一部分を含む第1の放射線不透過部分と、
前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分より基端側に位置し、前記シャフト体の前記特定部分の少なくとも一部分を含み、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性とは異なる放射線不透過性を有する第2の放射線不透過部分と、
を有し、
前記シャフト体は、
有孔シャフトであって、前記有孔シャフトの先端に開口し、かつ、前記有孔シャフトの長手方向に延びる孔が形成された、有孔シャフトと、
前記孔内に収容され、放射線不透過材料を含む前記特定部分としての第1のコア材と、
を有し、
前記有孔シャフトに形成された前記孔のうち、前記第1のコア材が収容された部分より基端側の部分は、空洞である、ガイドワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のガイドワイヤであって、
前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第2の放射線不透過部分の放射線不透過性より高い、ガイドワイヤ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの長手方向において、前記第2の放射線不透過部分の長さは、前記第1の放射線不透過部分の長さより長い、ガイドワイヤ。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のガイドワイヤであって、
さらに、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分と前記第2の放射線不透過部分との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分を有する、ガイドワイヤ。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のガイドワイヤであって、
さらに、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分と前記第2の放射線不透過部分との間に位置し、放射線不透過材料を含む第3の放射線不透過部分を有し、
前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第2の放射線不透過部分の放射線不透過性より高く、
前記第3の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性より高い、ガイドワイヤ。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤは、前記第2の放射線不透過部分において、アテレクトミー用のカテーテルが有する回転体を回転可能に支持するアテレクトミー用のガイドワイヤである、ガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、血管等に挿入されるガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
血管等における狭窄部や閉塞部(以下、「病変部」という。)を治療または検査する方法として、カテーテルを用いた方法が広く行われている。一般に、カテーテルを血管等における病変部に案内するために、ガイドワイヤが用いられる。
【0003】
ガイドワイヤは、長尺状に形成されたシャフト体と、螺旋状に形成され、少なくとも一部分がシャフト体より先端側に位置する先端螺旋体(例えば、コイル体)とを備える。先端螺旋体は、白金等の放射線不透過材料を含むように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-255396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のガイドワイヤでは、先端螺旋体が放射線不透過材料を含むため、ガイドワイヤが生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、先端螺旋体を明確に視認することができ、その結果、ガイドワイヤの先端部の位置を確実に把握することができる。しかしながら、従来のガイドワイヤでは、先端螺旋体以外の他の部分(例えば、シャフト体)は放射線不透過材料を含まないため、放射線照射によっても該他の部分を明確に視認することはできない。そのため、従来のガイドワイヤでは、造影剤等を用いることなく、ガイドワイヤ自体によって血管走行を把握することは困難である。このように、従来のガイドワイヤでは、ガイドワイヤの先端部の位置を確実に把握しつつ、ガイドワイヤ自体によって血管走行を把握することが困難であり、利便性の点で向上の余地がある。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示されるガイドワイヤは、放射線不透過材料を含む特定部分を有するシャフト体と、放射線不透過材料を含み、螺旋状に形成され、少なくとも一部分が前記シャフト体より先端側に位置する先端螺旋体と、を備える。該ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの一部分であって、前記先端螺旋体の少なくとも一部分を含む第1の放射線不透過部分と、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分より基端側に位置し、前記シャフト体の前記特定部分の少なくとも一部分を含み、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性とは異なる放射線不透過性を有する第2の放射線不透過部分と、を有する。
【0009】
このように、本ガイドワイヤは、長手方向におけるガイドワイヤの一部分として、先端螺旋体の少なくとも一部分を含む第1の放射線不透過部分を有している。そのため、ガイドワイヤが生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、長手方向におけるガイドワイヤの各部分のうち、第1の放射線不透過部分を明確に視認することができる。従って、本ガイドワイヤによれば、ガイドワイヤの先端部の位置を確実に把握することができる。また、本ガイドワイヤは、長手方向におけるガイドワイヤの他の一部分として、第1の放射線不透過部分より基端側に位置し、シャフト体における放射線不透過材料を含む特定部分の少なくとも一部分を含む第2の放射線不透過部分を有している。そのため、ガイドワイヤが生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、長手方向におけるガイドワイヤの各部分のうち、第2の放射線不透過部分も明確に視認することができる。また、本ガイドワイヤでは、第2の放射線不透過部分は、第1の放射線不透過部分の放射線不透過性とは異なる放射線不透過性を有している。そのため、ガイドワイヤが生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、第1の放射線不透過部分と明確に識別可能に、第2の放射線不透過部分を視認することができる。従って、本ガイドワイヤによれば、ガイドワイヤの先端部に加えて、より基端側の部分(第2の放射線不透過部分)の位置を把握することができる。これにより、医師等の術者は、放射線下で、血管走行に追従するように湾曲したガイドワイヤの形状を観察することで、造影剤等を用いることなくガイドワイヤ自体によって血管走行を把握することができる。以上のことから、本ガイドワイヤによれば、ガイドワイヤの先端部の位置を確実に把握しつつ、ガイドワイヤ自体によって血管走行を把握することができ、ガイドワイヤの利便性を向上させることができる。
【0010】
(2)上記ガイドワイヤにおいて、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第2の放射線不透過部分の放射線不透過性より高い構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、ガイドワイヤ自体によって血管走行を把握することを可能としつつ、最も視認性の高さが要求されるガイドワイヤの先端部についての視認性を向上させることができる。
【0011】
(3)上記ガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤの長手方向において、前記第2の放射線不透過部分の長さは、前記第1の放射線不透過部分の長さより長い構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、ガイドワイヤの先端部の位置の把握を確実にしつつ、ガイドワイヤ自体によって、より広い範囲で血管走行を把握することができ、ガイドワイヤの利便性をさらに向上させることができる。
【0012】
(4)上記ガイドワイヤにおいて、さらに、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分と前記第2の放射線不透過部分との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分を有する構成としてもよい。本ガイドワイヤでは、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分の存在により、第1の放射線不透過部分と第2の放射線不透過部分とをより明確に識別することができる。従って、本ガイドワイヤによれば、第1の放射線不透過部分の存在によるガイドワイヤの先端部の位置の把握と、第2の放射線不透過部分の存在による血管走行の把握との両方を、より確実に実現することができる。
【0013】
(5)上記ガイドワイヤにおいて、さらに、前記ガイドワイヤの長手方向における前記ガイドワイヤの他の一部分であって、前記第1の放射線不透過部分と前記第2の放射線不透過部分との間に位置し、放射線不透過材料を含む第3の放射線不透過部分を有し、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第2の放射線不透過部分の放射線不透過性より高く、前記第3の放射線不透過部分の放射線不透過性は、前記第1の放射線不透過部分の放射線不透過性より高い構成としてもよい。本ガイドワイヤでは、最も放射線不透過性の高い第3の放射線不透過部分の存在により、第1の放射線不透過部分と第2の放射線不透過部分とをより明確に識別することができる。従って、本ガイドワイヤによれば、第1の放射線不透過部分の存在によるガイドワイヤの先端部の位置の把握と、第2の放射線不透過部分の存在による血管走行の把握との両方を、より確実に実現することができる。
【0014】
(6)上記ガイドワイヤにおいて、前記シャフト体は、有孔シャフトであって、前記有孔シャフトの先端に開口し、かつ、前記有孔シャフトの長手方向に延びる孔が形成された、有孔シャフトと、前記孔内に収容され、放射線不透過材料を含む前記特定部分としての第1のコア材と、を有する構成としてもよい。本ガイドワイヤでは、放射線不透過材料を含む特定部分としての第1のコア材が、有孔シャフトの孔内に収容されており、シャフト体の外周部は有孔シャフトにより構成されている。そのため、本ガイドワイヤによれば、第1のコア材の存在によってガイドワイヤに第2の放射線不透過部分を設けることを実現しつつ、第1のコア材が露出していないことから第1のコア材が摩耗したり損傷したりすることを回避することができ、かつ、有孔シャフトの存在によってシャフト体に求められる特性(例えば、トルク伝達性、押し込み性、耐久性等)を確保することができる。
【0015】
(7)上記ガイドワイヤにおいて、前記有孔シャフトに形成された前記孔のうち、前記第1のコア材が収容された部分より基端側の部分は、空洞である構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、構成の簡素化や軽量化を実現することができる。また、本ガイドワイヤでは、孔のうち、第1のコア材が収容された部分より基端側の部分が空洞であり、この部分が放射線不透過材料を含まない部分となるため、第2の放射線不透過部分をより明確に識別することができる。
【0016】
(8)上記ガイドワイヤにおいて、前記シャフト体は、さらに、前記有孔シャフトに形成された前記孔のうち、前記第1のコア材が収容された部分より基端側の部分に収容され、放射線不透過材料を含まない第2のコア材を有する構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、第2のコア材の存在により、有孔シャフトを用いてシャフト体を構成したことに起因するシャフト体の性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を抑制することができる。また、本ガイドワイヤでは、孔のうち、第1のコア材が収容された部分より基端側の部分に、放射線不透過材料を含まない第2のコア材が収容されており、この部分が放射線不透過材料を含まない部分となるため、第2の放射線不透過部分をより明確に識別することができる。
【0017】
(9)上記ガイドワイヤにおいて、前記有孔シャフトに形成された前記孔は、前記有孔シャフトの基端より先端側の位置に底面を有する有底孔である構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、有孔シャフトにおける孔が形成された範囲を小さくすることができ、有孔シャフトを用いてシャフト体を構成したことに起因するシャフト体の性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を効果的に抑制することができる。
【0018】
(10)上記ガイドワイヤにおいて、前記第2の放射線不透過部分において、前記有孔シャフトの剛性は、前記第1のコア材の剛性より高い構成としてもよい。本ガイドワイヤでは、第1のコア材が、一般に剛性の低い放射線不透過材料を含むため、シャフト体の性能(トルク伝達性や耐久性)が低下しやすい。しかしながら、本ガイドワイヤでは、第2の放射線不透過部分において、有孔シャフトの剛性が第1のコア材の剛性より高くなっている。そのため、本ガイドワイヤによれば、有孔シャフトを用いたことに起因するシャフト体の性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を抑制することができる。
【0019】
(11)上記ガイドワイヤにおいて、前記ガイドワイヤは、前記第2の放射線不透過部分において、アテレクトミー用のカテーテルが有する回転体を回転可能に支持するアテレクトミー用のガイドワイヤである構成としてもよい。上述したように、本ガイドワイヤでは、ガイドワイヤが生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、明確に、かつ、第1の放射線不透過部分と識別可能に、第2の放射線不透過部分を視認することができる。そのため、アテレクトミー用のカテーテルが有する回転体がガイドワイヤの第2の放射線不透過部分に位置していることを明確に把握することができ、回転体が先端螺旋体に接触することを防止することができる。また、ガイドワイヤ自体によって血管走行を把握した上で回転体の回転の可否を判断することができるため、例えば、血管における屈曲のきつい箇所で回転体の回転が行われることを防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0020】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガイドワイヤやその製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態におけるガイドワイヤ100の構成を概略的に示す説明図
図2】第2実施形態におけるガイドワイヤ100aの構成を概略的に示す説明図
図3】第3実施形態におけるガイドワイヤ100bの構成を概略的に示す説明図
図4】第4実施形態におけるガイドワイヤ100cの構成を概略的に示す説明図
図5】第5実施形態におけるガイドワイヤ100dの構成を概略的に示す説明図
図6】第6実施形態におけるガイドワイヤ100eの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.第1実施形態:
A-1.ガイドワイヤ100の構成:
図1は、第1実施形態におけるガイドワイヤ100の構成を概略的に示す説明図である。図1には、ガイドワイヤ100の縦断面(YZ断面)の構成が、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸と共に示されている。なお、図1では、ガイドワイヤ100の一部分の図示が省略されている。図1において、Z軸正方向側が、体内に挿入される先端側(遠位側)であり、Z軸負方向側が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。これらの点は、他の図においても同様である。本明細書では、ガイドワイヤ100およびその各構成部材について、先端側の端部を「先端」といい、先端およびその近傍を「先端部」といい、基端側の端部を「基端」といい、基端およびその近傍を「基端部」という。なお、図1では、ガイドワイヤ100が全体としてZ軸方向に略平行な直線状となった状態を示しているが、ガイドワイヤ100は湾曲させることができる程度の可撓性を有している。また、本明細書では、説明の便宜上、ガイドワイヤ100が図1に示された状態であるものとし、Z軸方向を「ガイドワイヤ100の長手方向」または単に「長手方向」という。
【0023】
ガイドワイヤ100は、血管等における病変部(狭窄部や閉塞部)にカテーテルを案内するために、血管等に挿入される長尺状の医療用デバイスである。ガイドワイヤ100の全長は、例えば1000mm~4000mm程度である。
【0024】
なお、本実施形態のガイドワイヤ100は、アテレクトミー用のカテーテルを案内するための、アテレクトミー用のガイドワイヤである。ここで、アテレクトミー(Atherectomy)とは、ミクロダイヤモンドが埋め込まれたドリル状の回転体RBを有するアテレクトミー用のカテーテルを用い、回転体RBを高速で(例えば、15万回転/分程度で)回転させることによって病変(例えば、石灰化した病変)を削り取る治療法である。回転体RBは、ガイドワイヤ100における後述する第2の放射線不透過部分P2において、回転可能に支持される。
【0025】
ガイドワイヤ100は、シャフト体10と、先端螺旋体20と、先端コア材30と、先端側接合部42と、基端側接合部44とを備える。
【0026】
シャフト体10は、長手方向に延びる長尺状の部材である。シャフト体10は、有孔シャフト11と、放射線不透過コア材18とを有する。
【0027】
シャフト体10の有孔シャフト11は、長手方向に延びる長尺状の部材である。有孔シャフト11は、略一定の外径を有する太径部13と、太径部13に対して先端側に位置し、太径部13との境界位置から先端側に向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部12とから構成されている。有孔シャフト11の各位置における横断面(XY断面)の外形状は、任意の形状を取り得るが、例えば円形である。太径部13の外径は、例えば0.15~0.89mm程度であり、テーパ部12の最小径部の外径は、例えば0.05~0.2mm程度である。また、長手方向におけるテーパ部12の長さは、例えば30~500mm程度である。
【0028】
有孔シャフト11には、有孔シャフト11の先端に開口し、かつ、長手方向に延びる孔14が形成されている。本実施形態では、孔14は、有孔シャフト11の先端から基端まで貫通する貫通孔である。孔14の各位置における横断面(XY断面)の形状は、任意の形状を取り得るが、例えば円形である。孔14の内径は、有孔シャフト11の先端から基端まで略一定であり、例えば、0.05~0.18mm程度である。なお、孔14の内径は有孔シャフト11の先端から基端まで略一定である必要はなく、有孔シャフト11の長手方向の複数の位置における孔14の内径が互いに異なっていてもよい。
【0029】
有孔シャフト11を形成する材料としては、公知の材料が使用され、例えば金属材料、より具体的には、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金等が使用される。有孔シャフト11は、全体が同じ材料により形成されていてもよいし、部分毎に互いに異なる材料により形成されていてもよい。
【0030】
放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11に形成された孔14内に収容された棒状の部材である。本実施形態では、放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、テーパ部12に形成された部分に収容されている。放射線不透過コア材18の各位置における横断面(XY断面)の外形状は、任意の形状を取り得るが、例えば円形である。また、放射線不透過コア材18の外径は、有孔シャフト11に形成された孔14の内径と同一、または、孔14の内径より僅かに小さく、例えば、0.05~0.18mm程度である。なお、本実施形態では、放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、テーパ部12に形成された部分の全体にわたって配置されている。そのため、長手方向における放射線不透過コア材18の長さは、有孔シャフト11のテーパ部12の長さと略同一であり、例えば30~500mm程度である。なお、長手方向における放射線不透過コア材18の長さは、有孔シャフト11のテーパ部12の長さと略同一でなくてもよく、例えば、テーパ部12の長さより短くてもよい。また、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、太径部13に形成された部分には、何も収容されていない。すなわち、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分は、空洞である。
【0031】
放射線不透過コア材18は、放射線不透過材料(例えば、X線不透過材料)を含むように構成されている。放射線不透過材料は、放射線不透過性を有する材料であり、例えば放射線不透過金属や放射線不透過樹脂である。放射線不透過金属としては、例えば、白金、金、銀、錫、タングステン、ビスマス、レニウム、タンタル、パラジウム、イリジウム、バリウム、またはそれらの合金が挙げられる。例えば、一実施例として、放射線不透過コア材18は、白金合金により形成される。放射線不透過コア材18は、特許請求の範囲における第1のコア材および特定部分の一例である。
【0032】
先端コア材30は、長手方向に延びる棒状の部材である。先端コア材30は、放射線不透過コア材18より先端側に配置されている。本実施形態では、先端コア材30の基端部は、シャフト体10の有孔シャフト11の先端部に、例えばロウ付けや溶接により接合されている。先端コア材30を形成する材料としては、公知の材料が使用され、例えば金属材料、より具体的には、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金等が使用される。
【0033】
先端螺旋体20は、螺旋状に形成された部材である。本実施形態では、先端螺旋体20は、1本の素線を螺旋状に密巻きすることにより中空円筒状に形成したコイル体により構成されている。先端螺旋体20は、少なくとも一部分(本実施形態では略全体)がシャフト体10より先端側に位置している。また、先端螺旋体20は、先端コア材30の少なくとも一部分(本実施形態では略全体)を覆うように巻回されている。先端螺旋体20を構成する素線の径は、例えば0.03~0.1mm程度であり、先端螺旋体20の外径は、例えば0.25~0.5mm程度である。また、長手方向における先端螺旋体20の長さは、例えば15~40mm程度である。本実施形態では、長手方向における先端螺旋体20の長さは、シャフト体10を構成する放射線不透過コア材18の長さより短い。
【0034】
先端螺旋体20は、放射線不透過材料(例えば、X線不透過材料)を含むように構成されている。先端螺旋体20に含まれる放射線不透過材料は、シャフト体10を構成する放射線不透過コア材18に含まれる放射線不透過材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。例えば、一実施例として、先端螺旋体20は、白金合金により形成される。
【0035】
先端側接合部42は、先端螺旋体20の先端と先端コア材30の先端とを接合する部材である。なお、先端側接合部42の先端側の外周面は、滑らかな面(例えば、略半球面)となっている。また、基端側接合部44は、先端螺旋体20の基端とシャフト体10の先端とを接合する部材である。先端側接合部42および基端側接合部44を構成する材料としては、公知の材料が使用され、例えば、ロウ材(アルミニウム合金ロウ、銀ロウ、金ロウ等)、金属ハンダ(Ag-Sn合金、Au-Sn合金等)、接着剤(エポキシ系接着剤等)等が使用される。
【0036】
本実施形態のガイドワイヤ100は、上述したような構成であるため、それぞれ長手方向におけるガイドワイヤ100の一部分(すなわち、ガイドワイヤ100を仮想的に長手方向に並ぶ複数の部分に分割したときの各部分)として、2つの放射線不透過部分(第1の放射線不透過部分P1および第2の放射線不透過部分P2)を有する。第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20の少なくとも一部分を含む部分である。本実施形態では、第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20の全体と先端コア材30の全体とから構成されている。先端螺旋体20は放射線不透過材料を含んでいるため、第1の放射線不透過部分P1は放射線不透性を有する。また、第2の放射線不透過部分P2は、第1の放射線不透過部分P1より基端側に位置し、シャフト体10の放射線不透過コア材18の少なくとも一部分を含む部分である。本実施形態では、第2の放射線不透過部分P2は、放射線不透過コア材18の全体と有孔シャフト11のテーパ部12とから構成されている。
【0037】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性と、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性とは、互いに異なっている。より具体的には、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より高くなっている。ここで、放射線不透過性とは、放射線を透過させない性能の高さを意味する。すなわち、放射線不透過性は、換言すれば、放射線を照射した際の視認性の高さを意味する。
【0038】
上述した第1の放射線不透過部分P1および第2の放射線不透過部分P2における放射線不透過性の高低関係は、先端螺旋体20および放射線不透過コア材18の形成材料や形状を調整することにより実現される。例えば、先端螺旋体20および放射線不透過コア材18を同一の放射線不透過材料を用いて形成し、かつ、先端螺旋体20の外径や素線径を放射線不透過コア材18の外径より大きくすることにより、上述した放射線不透過性の高低関係を実現することができる。あるいは、先端螺旋体20の形成材料として、放射線不透過コア材18の形成材料より放射線不透過性の高い材料を用いることにより、上述した放射線不透過性の高低関係を実現することができる。
【0039】
なお、ガイドワイヤ100の各部分における放射線不透過性の高低関係は、以下のようにして判別することができる。X線装置を用いて所定の出力条件(60kV、10W)でX線照射を行い、ガイドワイヤ100の画像(8ビットのモノクロ画像(黒の画素値:0、白の画素値:255))を取得する。取得された画像では、ガイドワイヤ100のうちの放射線不透過性が高い部分の色は黒に近くなり、放射線不透過性が低い部分の色は白に近くなる。画像処理ソフトを用いて、ガイドワイヤ100の各部分を表す各画素の値の平均値を算出する。長手方向におけるガイドワイヤの一部分(以下、「第1の部分」という。)の画素値の平均値Av1と、長手方向におけるガイドワイヤの他の一部分(以下、「第2の部分」という。)の画素値の平均値Av2(ただし、Av2<Av1)とを算出し、(Av1-Av2)/Av1の値が0.1以上である場合、ガイドワイヤの第2の部分の放射線不透過性は、ガイドワイヤの第1の部分の放射線不透過性と異なる(ガイドワイヤの第2の部分の放射線不透過性は、ガイドワイヤの第1の部分の放射線不透過性より高い)と判別する。
【0040】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、長手方向において、放射線不透過コア材18の長さは、先端螺旋体20の長さより長くなっている。そのため、長手方向において、第2の放射線不透過部分P2の長さは、第1の放射線不透過部分P1の長さより長くなっている。また、本実施形態では、第2の放射線不透過部分P2において、有孔シャフト11の剛性は、放射線不透過コア材18の剛性より高くなっている。このような剛性の高低関係は、放射線不透過コア材18および有孔シャフト11の形成材料や形状を調整することにより実現される。例えば、有孔シャフト11を比較的弾性率の高い材料を用いて形成したり、有孔シャフト11の外径を比較的大きくしたりすることにより、上述した剛性の高低関係が実現される。
【0041】
A-2.ガイドワイヤ100の製造方法:
本実施形態のガイドワイヤ100は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、例えばステンレス製のハイポチューブを準備し、該ハイポチューブにテーパ加工等を施すことにより、テーパ部12と太径部13とから構成された有孔シャフト11を作製する。また、放射線不透過材料を用いて棒状の放射線不透過コア材18を作製する。なお、放射線不透過コア材18を有孔シャフト11の孔14にスムーズに挿入するため、放射線不透過コア材18の外径を、有孔シャフト11の孔14の内径より僅かに小さくしてもよい。次に、有孔シャフト11の先端側から、有孔シャフト11の孔14内に放射線不透過コア材18を挿入する。このとき、放射線不透過コア材18の全体が有孔シャフト11の孔14内に収容されるようにする。これにより、有孔シャフト11と放射線不透過コア材18とを有するシャフト体10が作製される。
【0042】
次に、先端コア材30を作製し、先端コア材30の基端部をシャフト体10の有孔シャフト11の先端部に、例えばロウ付けや溶接により接合する。次に、先端螺旋体20を作製し、先端螺旋体20を先端コア材30およびシャフト体10に接合する。具体的には、例えばロウ付け等により、先端螺旋体20と先端コア材30とを接合する先端側接合部42、および、先端螺旋体20とシャフト体10とを接合する基端側接合部44を形成する。主として、以上の方法により、本実施形態のガイドワイヤ100が製造される。
【0043】
A-3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、第1実施形態のガイドワイヤ100は、シャフト体10と、先端螺旋体20とを備える。シャフト体10は、放射線不透過材料を含む放射線不透過コア材18(特定部分)を有する。先端螺旋体20は、放射線不透過材料を含み、螺旋状に形成されている。先端螺旋体20の少なくとも一部分は、シャフト体10より先端側に位置している。また、第1実施形態のガイドワイヤ100は、それぞれ長手方向におけるガイドワイヤ100の一部分である、第1の放射線不透過部分P1および第2の放射線不透過部分P2を有する。第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20の少なくとも一部分を含む放射線不透過性を有する部分である。第2の放射線不透過部分P2は、第1の放射線不透過部分P1より基端側に位置し、シャフト体10の放射線不透過コア材18の少なくとも一部分を含む放射線不透過性を有する部分である。また、第2の放射線不透過部分P2は、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性とは異なる放射線不透過性を有する。
【0044】
このように、本実施形態のガイドワイヤ100は、長手方向におけるガイドワイヤ100の一部分として、先端螺旋体20の少なくとも一部分を含む第1の放射線不透過部分P1を有している。そのため、ガイドワイヤ100が生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、長手方向におけるガイドワイヤ100の各部分のうち、第1の放射線不透過部分P1を明確に視認することができる。従って、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100の先端部の位置を確実に把握することができる。また、本実施形態のガイドワイヤ100は、長手方向におけるガイドワイヤ100の他の一部分として、第1の放射線不透過部分P1より基端側に位置し、シャフト体10の放射線不透過コア材18の少なくとも一部分を含む第2の放射線不透過部分P2を有している。そのため、ガイドワイヤ100が生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、長手方向におけるガイドワイヤ100の各部分のうち、第2の放射線不透過部分P2も明確に視認することができる。また、本実施形態のガイドワイヤ100では、第2の放射線不透過部分P2は、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性とは異なる放射線不透過性を有している。そのため、ガイドワイヤ100が生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、第1の放射線不透過部分P1と識別可能に、第2の放射線不透過部分P2を視認することができる。従って、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100の先端部に加えて、より基端側の部分(第2の放射線不透過部分P2)の位置を把握することができる。これにより、医師等の術者は、放射線下で、血管走行に追従するように湾曲したガイドワイヤ100の形状を観察することで、造影剤等を用いることなくガイドワイヤ100自体によって血管走行を把握することができる。以上のことから、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100の先端部の位置を確実に把握しつつ、ガイドワイヤ100自体によって血管走行を把握することができ、ガイドワイヤ100の利便性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より高い。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100自体によって血管走行を把握することを可能としつつ、最も視認性の高さが要求されるガイドワイヤ100の先端部についての視認性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、長手方向において、第2の放射線不透過部分P2の長さは、第1の放射線不透過部分P1の長さより長い。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、ガイドワイヤ100の先端部の位置の把握を確実にしつつ、ガイドワイヤ100自体によって、より広い範囲で血管走行を把握することができ、ガイドワイヤ100の利便性をさらに向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、シャフト体10は、有孔シャフト11と、放射線不透過コア材18とを有する。有孔シャフト11には、有孔シャフト11の先端に開口し、かつ、有孔シャフト11の長手方向に延びる孔14が形成されている。放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11の孔14内に収容され、放射線不透過材料を含んでいる。このように、本実施形態のガイドワイヤ100では、放射線不透過コア材18が有孔シャフト11の孔14内に収容されており、シャフト体10の外周部は有孔シャフト11により構成されている。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、放射線不透過コア材18の存在によってガイドワイヤ100に第2の放射線不透過部分P2を設けることを実現しつつ、放射線不透過コア材18が露出していないことから放射線不透過コア材18が摩耗したり損傷したりすることを回避することができ、かつ、有孔シャフト11の存在によってシャフト体10に求められる特性(例えば、トルク伝達性、押し込み性、耐久性等)を確保することができる。
【0048】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分は、空洞である。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、構成の簡素化や軽量化を実現することができる。また、本実施形態のガイドワイヤ100は、孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分が空洞であり、この部分が放射線不透過材料を含まない部分となるため、第2の放射線不透過部分P2をより明確に識別することができる。
【0049】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、第2の放射線不透過部分P2において、有孔シャフト11の剛性は、放射線不透過コア材18の剛性より高い。上述したように、本実施形態のガイドワイヤ100では、放射線不透過コア材18が、一般に剛性の低い放射線不透過材料を含むため、シャフト体10の性能(トルク伝達性や耐久性)が低下しやすい。しかしながら、本実施形態のガイドワイヤ100では、第2の放射線不透過部分P2において、有孔シャフト11の剛性が放射線不透過コア材18の剛性より高くなっている。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、有孔シャフト11を用いたことに起因するシャフト体10の性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態のガイドワイヤ100は、第2の放射線不透過部分P2において、アテレクトミー用のカテーテルが有する回転体RBを回転可能に支持するアテレクトミー用のガイドワイヤである。上述したように、本実施形態のガイドワイヤ100では、ガイドワイヤ100が生体内に挿入されている状態において、生体の外部から放射線を照射することにより、明確に、かつ、第1の放射線不透過部分P1と識別可能に、第2の放射線不透過部分P2を視認することができる。そのため、アテレクトミー用のカテーテルが有する回転体RBがガイドワイヤ100の第2の放射線不透過部分P2に位置していることを明確に把握することができ、回転体RBが先端螺旋体20に接触することを防止することができる。また、ガイドワイヤ100自体によって血管走行を把握した上で回転体RBの回転の可否を判断することができるため、例えば、血管における屈曲のきつい箇所で回転体RBの回転が行われることを防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、上述したように、第2の放射線不透過部分P2において、有孔シャフト11の剛性が放射線不透過コア材18の剛性より高いため、シャフト体10の径方向内側に向かって剛性が低くなる構成となっている。そのため、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、血管の屈曲部において回転体RBを摺動させる場合に、摺動によるガイドワイヤ100の破断の発生を抑制することができる(摺動に対するガイドワイヤ100の耐久性を向上させることができる)。
【0052】
B.第2実施形態:
図2は、第2実施形態におけるガイドワイヤ100aの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態のガイドワイヤ100aの構成のうち、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0053】
第2実施形態のガイドワイヤ100aは、シャフト体10aの構成が、第1実施形態のガイドワイヤ100と異なる。具体的には、第2実施形態のガイドワイヤ100aでは、シャフト体10aが、放射線不透過材料を含まない放射線透過コア材19を有している。
【0054】
放射線透過コア材19は、有孔シャフト11に形成された孔14内に収容された棒状の部材である。本実施形態では、放射線透過コア材19は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、太径部13に形成された部分に収容されている。すなわち、放射線透過コア材19は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分に収容されている。放射線透過コア材19の各位置における横断面(XY断面)の外形状は、任意の形状を取り得るが、例えば円形である。また、放射線透過コア材19の外径は、有孔シャフト11に形成された孔14の内径と同一、または、孔14の内径より僅かに小さく、例えば、0.05~0.18mm程度である。なお、本実施形態では、放射線透過コア材19は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、太径部13に形成された部分の全体にわたって配置されている。そのため、長手方向において、放射線透過コア材19と放射線不透過コア材18とは接触しており、両者の間に隙間は存在しない。
【0055】
なお、このような構成のシャフト体10aは、例えば、例えばステンレス製のハイポチューブにより構成された有孔シャフト11の基端側から、有孔シャフト11の孔14内に放射線透過コア材19を挿入すると共に、先端側から放射線不透過コア材18を挿入することによって製造することができる。
【0056】
放射線透過コア材19は、例えば、金属材料、より具体的には、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金等により形成されている。放射線透過コア材19は、特許請求の範囲における第2のコア材の一例である。
【0057】
第2実施形態のガイドワイヤ100aは、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同様の構成を有しているため、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100が奏する効果と同様の効果を奏する。ただし、第2実施形態のガイドワイヤ100aでは、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分は、空洞ではない。すなわち、第2実施形態のガイドワイヤ100aでは、シャフト体10が、さらに、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分に収容され、放射線不透過材料を含まない放射線透過コア材19を有する。そのため、第2実施形態のガイドワイヤ100aによれば、放射線透過コア材19の存在により、有孔シャフト11を用いてシャフト体10aを構成したことに起因するシャフト体10aの性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を抑制することができる。また、第2実施形態のガイドワイヤ100aでは、孔14のうち、放射線不透過コア材18が収容された部分より基端側の部分に、放射線不透過材料を含まない放射線透過コア材19が収容されており、この部分が放射線不透過材料を含まない部分となるため、第2の放射線不透過部分P2をより明確に識別することができる。
【0058】
C.第3実施形態:
図3は、第3実施形態におけるガイドワイヤ100bの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態のガイドワイヤ100bの構成のうち、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0059】
第3実施形態のガイドワイヤ100bは、シャフト体10bの構成が、第1実施形態のガイドワイヤ100と異なる。具体的には、第3実施形態のガイドワイヤ100bでは、シャフト体10bの有孔シャフト11bに形成された孔14bが、有孔シャフト11bの基端まで貫通しておらず、有孔シャフト11bの基端より先端側の位置に底面を有する有底孔となっている。なお、本実施形態では、有孔シャフト11bに形成された孔14bの底面は、テーパ部12と太径部13との境界に位置している。また、本実施形態では、放射線不透過コア材18が、有孔シャフト11bに形成された孔14bの全体にわたって配置されている。
【0060】
なお、このような構成のシャフト体10bは、例えば、ステンレス製のワイヤの先端側に孔空け加工を施すことによって、有底孔である孔14bが形成された有孔シャフト11を作製し、有孔シャフト11の先端側から、有孔シャフト11の孔14b内に放射線不透過コア材18を挿入することによって製造することができる。
【0061】
第3実施形態のガイドワイヤ100bは、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同様の構成を有しているため、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100が奏する効果と同様の効果を奏する。ただし、第3実施形態のガイドワイヤ100bでは、有孔シャフト11bに形成された孔14bが、有孔シャフト11bの基端より先端側の位置に底面を有する有底孔である。そのため、第3実施形態のガイドワイヤ100bによれば、有孔シャフト11bにおける孔14bが形成された範囲を小さくすることができ、有孔シャフト11bを用いてシャフト体10bを構成したことに起因するシャフト体10bの性能(トルク伝達性や耐久性)の低下を効果的に抑制することができる。また、第3実施形態のガイドワイヤ100bでは、放射線不透過コア材18が配置された部分より基端側が放射線不透過材料を含まない部分となるため、第2の放射線不透過部分P2をより明確に識別することができる。
【0062】
D.第4実施形態:
図4は、第4実施形態におけるガイドワイヤ100cの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第4実施形態のガイドワイヤ100cの構成のうち、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0063】
第4実施形態のガイドワイヤ100cは、シャフト体10cの構成が、第1実施形態のガイドワイヤ100と異なる。具体的には、第4実施形態のガイドワイヤ100cでは、シャフト体10cを構成する放射線不透過コア材18cの先端が、有孔シャフト11の先端より基端側に位置している。その結果、長手方向において、放射線不透過コア材18cと先端コア材30との間に、隙間15が存在している。
【0064】
第4実施形態のガイドワイヤ100cは、上述した構成であるため、第2の放射線不透過部分P2は、放射線不透過コア材18cおよび有孔シャフト11のテーパ部12における基端側の一部分から構成される。そのため、第4実施形態のガイドワイヤ100cは、長手方向におけるガイドワイヤ100cの他の一部分として、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0を有する。本実施形態では、放射線透過部分P0は、シャフト体10cの有孔シャフト11における最先端部(放射線不透過コア材18cが配置されていない部分)から構成されている。
【0065】
なお、このような構成のシャフト体10cは、例えば、例えばステンレス製のハイポチューブにより構成された有孔シャフト11の先端側から放射線不透過コア材18cを挿入する際に、放射線不透過コア材18cの先端の位置が有孔シャフト11の先端の位置と揃った状態から、さらに放射線不透過コア材18cを押し込むことによって製造することができる。
【0066】
第4実施形態のガイドワイヤ100cは、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同様の構成を有しているため、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100が奏する効果と同様の効果を奏する。ただし、第4実施形態のガイドワイヤ100cは、さらに、長手方向におけるガイドワイヤ100cの他の一部分であって、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0を有する。そのため、第4実施形態のガイドワイヤ100cでは、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0の存在により、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2とをより明確に識別することができる。従って、第4実施形態のガイドワイヤ100cによれば、第1の放射線不透過部分P1の存在によるガイドワイヤ100cの先端部の位置の把握と、第2の放射線不透過部分P2の存在による血管走行の把握との両方を、より確実に実現することができる。また、第4実施形態のガイドワイヤ100cによれば、第2の放射線不透過部分P2に支持される回転体RBが先端螺旋体20に接触することをより確実に防止することができる。
【0067】
E.第5実施形態:
図5は、第5実施形態におけるガイドワイヤ100dの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第5実施形態のガイドワイヤ100dの構成のうち、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0068】
第5実施形態のガイドワイヤ100dは、先端螺旋体20dの構成が、第1実施形態のガイドワイヤ100と異なる。具体的には、第5実施形態のガイドワイヤ100dでは、先端螺旋体20dが、先端コア材30の全体に加えて、シャフト体10の先端部も覆うように構成されている。すなわち、先端螺旋体20dの長さが先端コア材30の長さより長くなっており、基端側接合部44が、先端螺旋体20dの基端と、シャフト体10の先端より基端側の位置と、を接合している。
【0069】
第5実施形態のガイドワイヤ100dは、上述した構成であるため、さらに、長手方向におけるガイドワイヤ100dの他の一部分であって、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含む第3の放射線不透過部分P3を有する。第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20dの少なくとも一部分を含む部分である。本実施形態では、第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20dの先端側の一部分と先端コア材30の全体とから構成されている。また、第2の放射線不透過部分P2は、第1の放射線不透過部分P1より基端側に位置し、シャフト体10の放射線不透過コア材18の少なくとも一部分を含む部分である。本実施形態では、第2の放射線不透過部分P2は、放射線不透過コア材18および有孔シャフト11のテーパ部12における基端側の一部分から構成されている。また、第3の放射線不透過部分P3は、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置する部分である。本実施形態では、第3の放射線不透過部分P3は、先端螺旋体20dの基端側の一部分と、放射線不透過コア材18および有孔シャフト11のテーパ部12における先端側の一部分と、から構成されている。また、本実施形態では、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より高くなっており、かつ、第3の放射線不透過部分P3の放射線不透過性は、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性より高くなっている。
【0070】
第5実施形態のガイドワイヤ100dは、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同様の構成を有しているため、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100が奏する効果と同様の効果を奏する。ただし、第5実施形態のガイドワイヤ100dは、さらに、長手方向におけるガイドワイヤ100dの他の一部分であって、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含む第3の放射線不透過部分P3を有する。また、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より高く、かつ、第3の放射線不透過部分P3の放射線不透過性は、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性より高い。そのため、第5実施形態のガイドワイヤ100dでは、最も放射線不透過性の高い第3の放射線不透過部分P3の存在により、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2とをより明確に識別することができる。従って、第5実施形態のガイドワイヤ100dによれば、第1の放射線不透過部分P1の存在によるガイドワイヤ100dの先端部の位置の把握と、第2の放射線不透過部分P2の存在による血管走行の把握との両方を、より確実に実現することができる。また、第5実施形態のガイドワイヤ100dによれば、第2の放射線不透過部分P2に支持される回転体RBが先端螺旋体20dに接触することをより確実に防止することができる。
【0071】
F.第6実施形態:
図6は、第6実施形態におけるガイドワイヤ100eの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第6実施形態のガイドワイヤ100eの構成のうち、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0072】
第6実施形態のガイドワイヤ100eは、先端螺旋体20eの構成が、第1実施形態のガイドワイヤ100と異なる。具体的には、第6実施形態のガイドワイヤ100eでは、先端螺旋体20eが、先端コア材30の全体ではなく、先端側の一部分のみを覆うように構成されている。すなわち、先端螺旋体20eの長さが先端コア材30の長さより短くなっており、基端側接合部44が、先端螺旋体20eの基端と、先端コア材30における基端より先端側の部分とを接合している。
【0073】
第6実施形態のガイドワイヤ100eは、上述した構成であるため、第1の放射線不透過部分P1は、先端螺旋体20eの全体と先端コア材30の先端側の一部分とから構成される。そのため、第6実施形態のガイドワイヤ100eは、長手方向におけるガイドワイヤ100eの他の一部分として、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0を有する。本実施形態では、放射線透過部分P0は、先端コア材30における基端部(先端螺旋体20eに覆われていない部分)から構成されている。
【0074】
第6実施形態のガイドワイヤ100eは、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100と同様の構成を有しているため、上述した第1実施形態のガイドワイヤ100が奏する効果と同様の効果を奏する。ただし、第6実施形態のガイドワイヤ100eでは、さらに、長手方向におけるガイドワイヤ100eの他の一部分であって、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に位置し、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0を有する。そのため、第6実施形態のガイドワイヤ100eでは、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0の存在により、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2とをより明確に識別することができる。従って、第6実施形態のガイドワイヤ100eによれば、第1の放射線不透過部分P1の存在によるガイドワイヤ100eの先端部の位置の把握と、第2の放射線不透過部分P2の存在による血管走行の把握との両方を、より確実に実現することができる。また、第6実施形態のガイドワイヤ100eによれば、第2の放射線不透過部分P2に支持される回転体RBが先端螺旋体20eに接触することをより確実に防止することができる。
【0075】
G.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0076】
上記各実施形態におけるガイドワイヤ100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記各実施形態では、シャフト体10を構成する有孔シャフト11が、太径部13とテーパ部12とから構成されているが、有孔シャフト11は、これら2つの部分の内の少なくとも1つを有さないとしてもよいし、該2つの部分の他に他の部分を有するとしてもよい。例えば、有孔シャフト11が、さらに、テーパ部12に対して先端側に位置し、テーパ部12の最小径と同径の細径部を有していてもよい。あるいは、有孔シャフト11が、さらに、太径部13に対して基端側に位置し、太径部13との境界位置から基端側に向けて外径が徐々に大きくなる第2のテーパ部と、第2のテーパ部に対して基端側に位置し、第2のテーパ部の最大径と同径の第2の太径部とを有していてもよい。
【0077】
また、上記各実施形態(ただし、第4実施形態を除く)では、放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、テーパ部12に形成された部分の全体にわたって配置されているが、放射線不透過コア材18が、孔14のうち、テーパ部12に形成された部分の一部のみに配置されていてもよい。また、上記各実施形態では、放射線不透過コア材18は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、テーパ部12に形成された部分に収容されているが、放射線不透過コア材18が、孔14のうち、有孔シャフト11のテーパ部12以外の部分(例えば、太径部13)に形成された部分に収容されていてもよい。
【0078】
また、上記第2実施形態では、放射線透過コア材19は、有孔シャフト11に形成された孔14のうち、太径部13に形成された部分の全体にわたって配置されているが、放射線透過コア材19が、孔14のうち、太径部13に形成された部分の一部のみに配置されていてもよい。
【0079】
また、上記第3実施形態では、ワイヤの先端側に孔空け加工を施すことによって、有底孔である孔14bが形成された有孔シャフト11を作製しているが、ワイヤに貫通孔を形成し、該ワイヤの基端にロウ材や樹脂部材を配置して該貫通孔の基端側を塞ぐことにより、有底孔である孔が形成された有孔シャフトを作製してもよい。
【0080】
また、上記第4実施形態では、長手方向において、放射線不透過コア材18cと先端コア材30との間に隙間15が存在しているが、この隙間15の少なくとも一部に放射線不透過材料を含まない他の部材が配置されていてもよい。このような構成であっても、第1の放射線不透過部分P1と第2の放射線不透過部分P2との間に、放射線不透過材料を含まない放射線透過部分P0が存在することとなる。
【0081】
また、上記各実施形態では、シャフト体10が、有孔シャフト11と放射線不透過コア材18とから構成されているが、シャフト体10は、放射線不透過材料を含む部分(特定部分)を有する限りにおいて、他の構成であってもよい。例えば、シャフト体10は、長手方向におけるシャフト体10の一部分が、中心から外周までの全体にわたって放射線不透過材料を含む構成であってもよい。
【0082】
また、上記各実施形態では、先端螺旋体20は、素線が密巻きされたコイル体により構成されているが、先端螺旋体20は、素線が粗巻きされたコイル体により構成されてもよい。また、上記各実施形態では、先端螺旋体20は、1本の素線を螺旋状に巻回することにより中空円筒形状に形成されたコイル体により構成されているが、先端螺旋体20は、複数の素線を螺旋状に巻回することにより中空円筒形状に形成したコイル体により構成されてもよいし、複数の素線を撚って形成した1本の撚線を螺旋状に巻回することにより中空円筒形状に形成したコイル体により構成されてもよいし、複数の素線を撚って形成した撚線を複数本、螺旋状に巻回することにより中空円筒形状に形成したコイル体により構成されてもよい。また、先端螺旋体20は、螺旋状に形成されていれば、コイル体以外の部材により構成されてもよい。例えば、先端螺旋体20は、ハイポチューブに対して螺旋状にスリット加工が施された部材により構成されてもよい。
【0083】
また、上記各実施形態では、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より高いが、反対に、第1の放射線不透過部分P1の放射線不透過性は、第2の放射線不透過部分P2の放射線不透過性より低くてもよい。また、上記各実施形態では、第2の放射線不透過部分P2の長さは、第1の放射線不透過部分P1の長さより長いが、第2の放射線不透過部分P2の長さは、第1の放射線不透過部分P1の長さより短くてもよいし、第1の放射線不透過部分P1の長さと同じでもよい。
【0084】
また、上記各実施形態における各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記各実施形態におけるガイドワイヤ100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記各実施形態では、ハイポチューブを用いて作製された有孔シャフト11の孔14内に放射線不透過コア材18を挿入することによってシャフト体10を製造しているが、芯部が放射線不透過材料により構成されたクラッド材を用いてシャフト体10を製造してもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、アテレクトミー用のガイドワイヤ100を例に挙げて説明しているが、本明細書に開示される技術は、他の用途のためのガイドワイヤにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
10:シャフト体 11:有孔シャフト 12:テーパ部 13:太径部 14:孔 15:隙間 18:放射線不透過コア材 19:放射線透過コア材 20:先端螺旋体 30:先端コア材 42:先端側接合部 44:基端側接合部 100:ガイドワイヤ P0:放射線透過部分 P1:第1の放射線不透過部分 P2:第2の放射線不透過部分 P3:第3の放射線不透過部分 RB:回転体
図1
図2
図3
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図5
図6