(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】風力タービンの主軸受ハウジング
(51)【国際特許分類】
F03D 80/70 20160101AFI20240815BHJP
【FI】
F03D80/70
(21)【出願番号】P 2022542196
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 DK2020050354
(87)【国際公開番号】W WO2021139859
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-09-26
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,トーマス コースガード
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン,ヤン ホーベ
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-505199(JP,A)
【文献】特開2016-125587(JP,A)
【文献】特開2015-224566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの主ロータシャフト(18)を支持するための主軸受ハウジング(22)であって、前記主軸受ハウジングは、第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部の中間のフロア領域(40)とを画定しており、前記主軸受ハウジングは、
前記主軸受ハウジングの前記第1の端部に配置された第1の軸受装置(24)と、
前記主軸受ハウジングの前記第2の端部に配置された第2の軸受装置(26)を備え、
前記フロア領域(40)は、前記第1の軸受装置に配置された第1のオイルサンプ(42)と、前記第2の軸受装置に配置された第2のオイルサンプ(44)とを含
み、
前記第1のサンプと前記第2のサンプとの間にオーバーフロー容器(86)をさらに含み、前記オーバーフロー容器、前記第1のサンプ及び前記第2のサンプの各々が流体排出システム(90)に接続されている、主軸受ハウジング。
【請求項2】
前記流体排出システム(90)は、前記第1のサンプに接続された第1の排出通路(92)と、前記第2のサンプに接続された第2の排出通路(92)とを含み、前記第1の排出通路及び/又は前記第2の排出通路は、前記主軸受ハウジングによって画定される、請求項
1に記載の主軸受ハウジング。
【請求項3】
前記第1の排出通路及び前記第2の排出通路のための1つ以上の排出出口(94)が、前記主軸受ハウジングによって画定される、請求項
2に記載の主軸受ハウジング。
【請求項4】
前記流体排出システムは、前記第1及び第2のオイルサンプの一方又は両方から流体を排出するように選択的に動作可能な排出制御バルブ(98)を含む、請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載の主軸受ハウジング。
【請求項5】
前記制御バルブは、前記複数の排出出口のうちの1つとインターフェースするように前記主軸受ハウジングに直接結合される、請求項
4に記載の主軸受ハウジング。
【請求項6】
前記第1のサンプ及び/又は前記第2のサンプは、1つ以上のバッフルプレート(104)を含む、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の主軸受ハウジング。
【請求項7】
前記1つ以上のバッフルプレートのうちの少なくとも1つが前記主軸受ハウジングと一体化されている、請求項
6に記載の主軸受ハウジング。
【請求項8】
前記1つ以上のバッフルプレートのうちの少なくとも1つが、前記主軸受ハウジングに対して別個の構成要素として形成され、前記主軸受ハウジングに取り付けられる、請求項
6又は7に記載の主軸受ハウジング。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2のサンプが、境界壁と、前記それぞれのオイルサンプから前記境界壁を通って潤滑流体が流出することを可能にするためのスピル通路(76)とを含み、前記スピル通路は、入口開口(78)とスピル出口開口(80)とを有し、前記入口開口は、前記スピル出口開口よりも低い位置にある、請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の主軸受ハウジング。
【請求項10】
前記入口開口が前記オイルサンプの床に隣接して設けられている、請求項
9に記載の主軸受ハウジング。
【請求項11】
前記スピル出口開口が前記境界壁の上方部分に設けられている、請求項
9又は1
0に記載の主軸受ハウジング。
【請求項12】
前記請求項1から請求項1
1のいずれか
一項に記載の主軸受ハウジング(22)によって回転可能に支持された主シャフトと、
前記主シャフトに結合されたギアボックス(12)と、
潤滑流体のためのタンク(52)と、前記タンクから潤滑流体をくみ上げるための潤滑ポンプ(54)と、前記潤滑ポンプから前記主軸受ハウジング上の1つ以上の潤滑箇所と前記ギアボックス上の1つ以上の潤滑箇所とに潤滑流体を搬送するための流体供給ネットワーク(56)と、を含む潤滑システム(50)と
、を備える風力タービン。
【請求項13】
前記主軸受ハウジング上の前記潤滑箇所は、前記第1の軸受装置及び前記第2の軸受装置に潤滑流体を導く、請求項1
2に記載の風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンの主軸受ハウジングに関し、特にそのハウジングの潤滑態様に関する。
【背景技術】
【0002】
規模の経済を活用するために、風力タービンのロータディスクの直径をより大きく設計し、エネルギー捕捉能力を高め、それによってエネルギー生産の平均コストを下げるという一般的な傾向がある。この原理は、石油やガスのような非再生可能エネルギーから風力や太陽光のような再生可能エネルギーへと発電構成のバランスを変えるべく、世界の設備容量の年々増加に貢献している。
【0003】
しかしながら、風力タービンタワーはより高くなければならず、ブレードはより長く、より強くなければならず、ナセルはより大きく、より重くしなければならないため、風力タービンサイズの大型化は課題を伴う。ハブとロータブレードを担持し、ブレードによって発生した回転エネルギーを利用して発電機によって電気エネルギーに変換できるため、風力タービンの心臓部は主ロータシャフトであると考えることができる。そのため、主ロータシャフトとそれを支持する軸受装置は、発電時に発生する大きな力に耐えられるように、非常に頑丈でなければならない。
【0004】
ある既知の構成では、主ロータシャフトは、ハブに近いシャフトの端部、すなわち「前部」又は「前方」端部を支持する前方軸受と、ハブから遠いシャフトの端部、すなわち「後部」又は「後方」端部を支持する後方軸受とを含む軸受装置を通って延在する。軸受は、主ロータシャフトがスムーズに回転し、軸荷重や曲げモーメントをベッドプレートやベースフレームに伝達することを確保するように機能する。この構成は、概して風力タービンのギアボックスを主ロータシャフトの軸方向への力及び曲げる力から切り離し、トルクのみがギアボックスに伝達されるようにするのに有効である。前方及び後方軸受の各々の効果的な潤滑を確保するため、典型的な既知の構成において、軸受は適切なグリース装置で供給される。
【0005】
このような背景から、本発明は考案された。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、本発明の実施形態は、風力タービンの主ロータシャフトを支持する主軸受ハウジングを提供し、主軸受ハウジングは、第1の端部、第2の端部、及び第1及び第2の端部の中間のフロア領域を画定する。主軸受ハウジングは、主軸受ハウジングの第1の端部に配置された第1の軸受装置と、主軸受ハウジングの第2の端部に配置された第2の軸受装置とを含み、フロア領域は、第1の軸受装置に配置された第1のオイルサンプと、第2の軸受装置に配置された第2のサンプとを含む。
【0007】
本発明の利点は、主軸受ハウジングの軸受が、主ロータシャフトの前方及び後方軸受の各々に配置されたサンプを含む潤滑システムによって潤滑されることである。したがって、前方及び後方軸受は、適切な潤滑箇所でオイルが供給され、例えばギアボックス及び/又は発電機軸受のようなオイル潤滑を必要とする風力タービンの他の構成要素にオイルを供給する潤滑システムの一部である。したがって、主軸受ハウジングの前方及び後方軸受は、グリースベースのシステムのような別個の潤滑システムを必要としないため、ナセルの全体的な潤滑要件が簡素化される。
【0008】
第1及び第2のオイルサンプは軸受装置に設置されているので、軸受装置からのオイルは使用中に単にオイルサンプに収集され得る。オイルサンプ及び軸受装置は、使用時に、軸受装置がサンプ内の流体によって潤滑されるように構成及び配置されてもよい。これは、例えば潤滑ポンプの故障により軸受装置の周囲へのオイル供給ができないような状況において有利である。また、軸受装置の周囲に供給されるオイルに加えて、軸受装置の補助的な潤滑箇所としても有用である。
【0009】
主軸受ハウジングは、第1及び第2のサンプの間にオーバーフロー流域をさらに含むことができ、オーバーフロー流域、第1のサンプ及び第2のサンプは、それぞれ流体排出システムに接続される。流体排出システムは、第1のサンプに接続された第1の排出通路と、第2のサンプに接続された第2の排出通路とを含むことができ、第1の排出通路及び/又は第2の排出通路は、主軸受ハウジングによって画定される。このような構成の利点は、オイル通路が主軸受ハウジングによって画定され、外部パイプ又はホースの別個のネットワークによって提供されないので、オイル通路が主軸受ハウジングと一体であることである。「一体」という用語は、通路が、主軸受ハウジングの主鋳物に対する鋳込み形体であるドリル又はボアによって画定されることを意味する。この点において、第1の排出通路及び第2の排出通路のための一つ以上の出口ポートは、主軸受ハウジングによって画定されてもよい。したがって、出口は、追加ホース接続を必要とせず、主軸受ハウジングに直接取り付けられた適切なバルブワークに直接供給することができる。この目的のために、流体放出システムは、第1及び第2のオイルサンプの一方又は両方から流体を排出するように選択的に操作可能な排水制御バルブを含むことができる。制御バルブは、サンプのオイル内容物のより効果的な洗浄を提供するために定期的に操作されてもよい。排出通路はまた、コレクタ流域からの入力を含んでもよい。
【0010】
必要に応じて、オイルサンプは、使用中の風力タービンの作動中に発生し得るスロッシングによってサンプ内のオイルが気化するのを防止するのに役立つ1つ以上のバッフルプレートを含むことができる。複数のバッフルプレートのうちの少なくとも1つは、主軸受ハウジングと一体的に鋳造される構成要素であってもよい。いくつかのバッフルプレートは、主軸受ハウジング鋳造物に鋳造された機構であってもよい。或いは、複数のバッフルプレートのうちの少なくとも1つは、主軸受ハウジングに対して別個の構成要素として形成されるが、それに取り付けられてもよい。これにより、オイルサンプの構成方法に柔軟性がもたらされる。
【0011】
オイルサンプの一方又は両方は、それぞれのオイルサンプから流体が流出することを可能にするように構成されたオーバーフロー構成を含むことができる。オーバーフロー構成は、サンプのフロアパン又はその近くにあるスピル(流出)入口と、各スピル入口とサンプ側壁の上縁の間にあり各スピル入口から間隔を置いた位置にあるスピル(流出)出口とで構成されたスピル(流出)通路を含んでいてもよい。別の表現をすれば、スピル出口は、スピル入口の上方でかつサンプ側壁の上縁の下方の位置にある。当業者であれば、「上方」及び「下方」という用語は、サンプが使用時にその通常の向きにあるときを意味するものと理解するであろう。
【0012】
有利には、スピル通路はサンプの底に近い位置からオイルが送り込まれるので、サンプの底のデブリや沈殿物はオイルの流れに巻き込まれ、サンプの底にたまらないという傾向がある。したがって、潤滑システムは、デブリ及び沈殿物が潤滑システムの周りを循環するように促進されるので、より効果的にオイルを洗浄することができる。これは、サンプが満杯になるとオイルがサンプの側壁の上部を越えて単にオーバーフローする既知のサンプ設計とは対照的である。
【0013】
別の表現をすると、スピル出口は、スピル入口の上方でかつサンプ側壁の上縁の下方の位置にある。当業者であれば、「上方」及び「下方」という用語は、サンプが使用時にその通常の向きにあるときを意味するものと理解するであろう。
【0014】
スピル通路は、様々な形状をとることができる。一実施形態では、スピル通路は、サンプ側壁の一体化した部分であってもよい。例えば、スピル通路は、サンプ側壁の材料に画定されたチャネル又は穿孔であってもよい。これは、このような機能をサンプに統合する特に便利な方法であり得る。
【0015】
一実施形態では、スピル通路は柱状のタワー状構造によって画定されてもよい。タワー状構造は、サンプ側壁と一体であってもよく、又はサンプ側壁から分離されていてもよい。単一のタワー状構造として、スピル通路はサンプからの単一の流出点を提供し、これはサンプからのオイルのより速い流出フローを促進し、オイルの流れにおいてより大きな粒子を巻き込むのにより効果的であり得る。複数のスピル通路をそれぞれのタワー状構造として設けてもよい。
【0016】
別の実施形態では、スピル通路は、スピル壁とサンプ側壁との間に延在する横方向に細長いチャネルを含むことができる。したがって、スピル通路はサンプの幅を横切って延在してもよい。このような実施形態は、サンプフロアパンの様々な領域に粒子が滞留する可能性を低減することができることが想定される。
【0017】
サンプは排出通路を含むことができる。排出通路は、スピル通路と別個としてもよく、又はスピル通路と組み合わされてもよい。一実施形態では、排出通路はスピル通路に接続され、そこから離れて延在する。排出通路は、主軸受ハウジングが一部を形成する潤滑システムのオイルタンクにフィードバックする戻り通路に接続されてもよい。
【0018】
本発明の第1の態様の好ましい及び/又は任意の特徴は、本発明の他の態様と組み合わせることができることが理解されよう。様々な態様における本発明は、独立請求項において定義され、有利な特徴は、従属請求項において定義される。
【0019】
ここで、本発明の上記及び他の態様を、以下、図面を参照して、一例としてのみ説明する。
【0020】
異なる図面において同一又は類似する特徴は、同様の参照符号で示されることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態を組み込むことができる風力タービンの図。
【
図3】
図1及び
図2の風力タービンの主軸受ハウジングの斜視図。
【
図4】本発明の実施形態を示す
図3の主軸受ハウジングを通る概略断面図。
【
図5】
図4の主軸受ハウジングに潤滑流体を供給する潤滑システムの概略図
【
図6】
図4の主軸受ハウジングのフロア領域を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、風力タービン2は、それ自体が土台8に取り付けられたほぼ垂直なタワー6に支持されたナセル4を含む。土台8は、陸上にあってもよく、全体的に又は部分的に水中にあってもよい。ナセル4は、多数の機能的構成要素を収容し、そのうちのいくつかは、例として
図2に概略的に示されている。このような構成は、当業者には周知である。
【0023】
ここで、ナセル4は、少なくとも部分的に、主ロータ装置10、ギアボックス12及び発電機14を収容するものとして示されている。簡潔さのために、いくつかの典型的な構成要素、例えば、電力変換器及びヨードライブは、この議論の中心ではないので、
図2から省略されている。しかしながら、このような構成要素の存在は暗黙の了解であり、このような構成要素は当業者には十分に理解されるであろう。
【0024】
主ロータ装置10は、主ロータシャフト18に結合されたハブ16を含み、このハブは、主軸受ハウジング22内に収容されている主軸受装置20によって回転可能に支持されている。この実施形態では、主軸受装置20は、前方軸受装置24及び後方軸受装置26を含む。ハブ16は複数のロータブレード27に接続されるが、HAWT(水平軸風力タービン)では3つのブレードが典型的である。ブレード27は風によって作用され、したがって、ハブ16によってトルクが主ロータシャフト18に加えられ、それによって主軸受ハウジング22内で回転させられる。前部および後部の軸受装置は、今後この議論において単に「軸受」と呼ばれ得る。
【0025】
主ロータシャフト18の入力部または「前方」部分は、ハブ接続フランジ18aを備え、これにより、主ロータシャフト18がハブ16に接続され、ハブ16によって駆動される。ここで、フランジ18aは、ハブ16に関連する更なるフランジ29に接続されているように示されており、2つのフランジがハブ16と主ロータシャフト18との間の結合を形成するようになっている。従って、フランジ18aは、主ロータシャフト18のハブ連結端にあると考えることができる。
【0026】
シャフト18の出力部18bは、ギアボックス12に入力駆動を与える。ギアボックス12は、内部ギア(不図示)を介して主ロータシャフト18の回転速度を上昇させ、高速ギアボックス出力シャフト28を駆動する。そして、高速出力シャフト28は発電機14を駆動し、これにより高速出力シャフト28の回転を電力に変換する。それから、発電機14によって生成された電気エネルギーは、例えばグリッド、又は実際に任意の電気消費者に供給される前に、必要に応じて他の構成要素(不図示)によって変換され得る。
【0027】
この時点で、この実施形態では、前方及び後方位置において主ロータシャフト18に支持を提供する2つの支持軸受24、26が示されているが、後方軸受が省略され、代わりに、主ロータシャフト18への後方支持が、例えばギアボックス12によって提供され得る配置もまた知られていることに留意されたい。
【0028】
主軸受ハウジング22は、ベッドプレートとしても知られるベースフレーム30に支持されている。ここでは図示していないが、ベースフレーム30は、風力タービンタワー6の上方部分でヨードライブに結合されて、ベースフレーム30、ひいてはナセル4全体をタワー6に対してヨー駆動させ、ハブ16の方向を風向きに対して調整できるようにしてもよい。
【0029】
ベースフレーム30は、典型的には、例えば鉄/鋼の鋳造部品であり、主シャフト負荷をシャフト18から、軸受24、26、主軸受ハウジング22、及びベースフレーム30を経て、風力タービンタワー6に伝達する機能を有する。
【0030】
図3、
図4及び
図6は、関連する構成要素の構成をより良く理解するために、主軸受ハウジング22及び主ロータシャフト18のより実用的な例を示す。主軸受ハウジング22の全体的な形状及び構成は、説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明を限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0031】
最初に
図3及び
図4を参照すると、主ロータシャフト18は、その長さに沿ってテーパが付けられ、シャフト18の前方端32において比較的大きな円周を提供し、シャフト18の後方端(不図示)において比較的小さな円周を提供する。なお、主ロータシャフト18にテーパを付けることは必須ではないことに留意されたい。
【0032】
前方及び後方軸受24、26は、主ロータシャフト18と主軸受ハウジング22との間に、シャフト18の長さに沿って前方及び後方の位置にそれぞれ位置している。したがって、前方及び後方軸受24、26は、シャフト18と主軸受ハウジング22との間にクランプ又は挟まれ、風力タービンの運転中に、シャフト18が主軸受ハウジング22に対して、主ロータシャフト18の中心を通って延在するロータ軸Rの周りを自由に回転することを可能にする。
【0033】
前方及び後方軸受24、26の正確な形状及び構成は、本発明にとって重要ではない。概略図に示すように、軸受は、便宜上、滑り転がり軸受として示す。しかしながら、このような用途では、シャフト18の軸方向スラスト力をより効果的に対処するために、軸受は、円錐転がり軸受及び/又は円錐テーパ軸受として構成される可能性が高い。
【0034】
引き続き
図4において、主軸受ハウジング22は、主軸受ハウジング22の前方端と後方端との間に延在し、前方軸受24及び後方軸受26の潤滑に関係する様々な機能的特徴、構造、及び形成を含む領域40を含むことが理解されよう。より具体的には、第1のオイルサンプ42が前方軸受24に配置され、第2のオイルサンプ44が後方軸受26に配置される。2つのサンプ42、44は、前方及び後方軸受装置軸受装置24、26で注入、送達、又はその他の方法で提供される潤滑オイルが、重力の影響を受けてそれぞれのオイルサンプに堆積し、サンプ内のオイルが軸受の下端を潤滑できるように配置され、構成される。
【0035】
主シャフト軸受のための既知の潤滑アプローチとは対照的に、図示の実施形態では、主軸受ハウジング22は、当該技術分野で一般的なグリースベースのアプローチではなく、流体ベースの潤滑システム50の一部を形成することが理解されよう。潤滑システム50は、本発明の更なる背景を提供するために、
図5に概略的に示されている。
【0036】
図示のように、潤滑システム50は、タンク52から潤滑流体が供給される一連の潤滑サブシステムを含む。様々なタイプの潤滑流体を使用することができるが、簡明さのために、循環潤滑に使用することができる液体形態の潤滑流体、すなわち適切なリザーバ又はタンクに貯蔵され、そこからシステムの周囲で様々な消費者ユニットに繰り返しポンプ搬送されるものを指すものとして、これからは一般用語「オイル」を使用することとする。
【0037】
潤滑流体は、潤滑ポンプ54によってタンク52から引き出され、適切な流体供給ネットワーク56に沿って潤滑剤消費サブシステムに導かれ、この潤滑剤消費サブシステムは、概観的には、主軸受ハウジング22、ギアボックス12及び発電機14である。流体戻りネットワーク57は、主軸受ハウジング22、ギアボックス12及び発電機14の各々からの流体をタンク52に戻し、そこでポンプ54によって流体供給ネットワーク56に再循環させることができる。
【0038】
ここで流体供給ネットワーク56に示されているのは、フィルタユニット58及びオイルヒータ60であり、これらは、様々な環境条件で使用され得るオイルベースの潤滑システムにおける通常の構成要素である。この点において注意すべきは、潤滑システム50は、
図5に簡略化された形で示されており、したがって、明快さのために、逆止弁、タッピングポイント、圧力ゲージなどの様々な一般的な構成要素が省略されていることである。
【0039】
流体供給ネットワーク56は、主軸受ハウジング22、ギアボックス12及び発電機14に潤滑オイルを供給する供給ライン62を含む。ここで62a及び62bと表示されている2つの供給ラインは、主軸受ハウジング22に潤滑オイルを供給する。
【0040】
より具体的には、第1の供給ライン62aは、前方軸受24に潤滑流体を供給し、第2の供給ライン62bは、後方軸受26に潤滑流体を供給する。ここには示されていないが、2つの供給ライン62a及び62bは、最適なオイル供給のために、軸受装置の周りに適切に間隔をあけて配置され得る1つ以上の供給ノズルに潤滑オイルを供給し得ることが理解されよう。供給ライン62a及び62bは、軸受装置24、26のそれぞれの上端に向けられたものとして
図4にも示されている。
【0041】
ノズルを介して前方及び後方軸受装置24、26に噴射されたオイルは、潤滑のために使用され、その後、各オイルサンプ42、44に流れ込み、そこから流体戻りネットワーク57に流れ込む。オイルサンプの更なる詳細は、以下の説明でより詳細に説明する。
【0042】
ここで、上記の構成に関連する重要な利点は、主軸受ハウジング22がギアボックス12及び発電機14と共に流体潤滑システム50に含まれることであることが理解されよう。これは、典型的にはギアボックス12及び任意に発電機14がポンプ式システムによって潤滑オイルで潤滑され、主軸受ハウジング22が典型的には別の媒体、通常はグリースで潤滑される公知のシステムの場合とは異なる。したがって、これは、風力タービンのパワートレイン構成要素を潤滑するための既知のアプローチに対する簡易化を表す。
【0043】
ここでは、前方及び後方軸受装置24、26に最適な潤滑を提供するように機能する主軸受ハウジング22のより具体的な特徴に焦点を当てる。
【0044】
再び
図4を参照すると、主軸受ハウジング22のフロア領域40は、第1の軸受装置(第1の端部)24に位置する第1のオイルサンプ42と、第2の軸受装置(第2の端部)26に位置する第2のオイルサンプ44とを含むことが上記において述べられている。オイルサンプ42、44の各々は、軸受装置24、26の底部が少なくとも部分的に潤滑オイルに浸されるか又は沈められるような深さで潤滑オイルのためのリザーバを提供するように構成され、配置される。これは、
図4に示されており、第1のオイルサンプ42及び第2のオイルサンプ44の各々におけるオイルレベル(それぞれL1及びL2)が、軸受24、26のローラ要素と一致するように示されている。また、
図6の平面図にも示されており、この図では、2つのサンプ内のオイルレベルがそれぞれの軸受に溢れ出ていることがわかる。ここでは、2つのオイルサンプは、共通の機構を有する場合、簡潔さのためにまとめて言及する。同様に、両方のオイルサンプに共通の機構は、同じ参照符号を使用する。
【0045】
各オイルサンプ42、44は、「境界」又は「側壁」63によって囲まれたフロアパン61を含むと考えることができる。側壁の正確な構成は、主軸受ハウジング22のフロア領域40の形状及び構成に応じて変化し得る。例えば、主軸受ハウジング22の円筒形状のためにフロア領域40が実質的な曲率を有する場合、オイルサンプは、側壁が主軸受ハウジング22自体の内面によって部分的に画定されるように主軸受ハウジング22のフロア領域40に鋳造される機構であってもよい。別の可能性としては、フロア領域40が比較的平坦であるため、オイルサンプ42、44は、フロア領域40上に配置され、固定される別個の構成要素であってもよい。したがって、そのような状況では、オイルサンプ42、44は、その中に潤滑オイルを収容するためにオイルサンプの境界壁を共に画定する1つ以上の壁部分によって囲まれるフロアパン61又は基部を有する箱形の構成要素であり得る。
【0046】
図4及び
図6の図示された実施形態では、オイルサンプ42、44は、部分的にフロア領域40の横方向に湾曲した表面によって画定され、部分的に端壁によって画定されることに留意されたい。したがって、各オイルサンプ42、44の側壁63は、軸方向内側端壁部64と軸方向外側端壁部66とによって部分的に画定される。軸方向内側端壁部64が主軸受ハウジング22のフロア領域40の中心に向けて位置するのに対し、外側端壁部66はそれぞれの軸受装置24、26の後方に位置する。
【0047】
図4に示されるように、通常の動作中、オイルサンプ42、44内のオイルのレベルは、それぞれの軸受装置の一部がオイルに浸されるような動作中の深さに達する。しかしながら、潤滑オイルを潤滑システムの周りで再循環させるために、主軸受ハウジング22はオーバーフロー装置74を含む。より詳細に説明するように、オーバーフロー装置74は、サンプ42、44のフロアパン70又はその近傍にあるスピル(流出)入口開口(以下「スピル入口」)78と、スピル入口78と内側側壁部の上縁82との間の位置にあるスピル(流出)出口開口(以下「スピル出口」)80とで構成されるスピル(流出)通路76を備える。したがって、スピル出口80は、主軸受ハウジング22の通常の配向を基準にしてスピル入口78の上方にあるが、側壁部82の上方範囲の一般的なレベルよりも下方にある。通常の配向は、
図4に示す参照符号Dによって示されるように、サンプの深さ方向に対して考慮することも可能である。ここで、寸法「D」は、重力方向、すなわち地球の中心に向かって下向きに作用する方向と一致する垂直矢印によって示される。したがって、スピル出口80は、深さ方向で考えた場合スピル入口78の上方に位置し、また、スピル出口80は、この同じ基準フレームで考えた場合サンプ側壁部82の下方に位置する。スピル出口80がサンプ側壁82及びスピル入口78との「間」にありかつ離間しているという言及もまた、同じ基準方向に沿っていると解釈されるべきである。サンプ42、44が側壁をオーバーフローする前にスピル出口80から流出するので、スピル出口80とサンプ側壁部82との間の比較的小さい間隔は十分であると想定される。1cmの高低差は許容できると考えられるが、より大きな高低差、例えば、5cm~10cmの高低差によって、より高い流量を達成することができる。なお、サンプ42、44は、水平な基準に対して傾斜するように、使用時に取り付けられ得ることに注意が必要である。そのような状況では、サンプ自体を基準にして考えた場合、スピル出口80とサンプ側壁部82とが同じ高さにあるとしても、サンプの傾斜は、重力方向で考えた場合、スピル出口80とサンプ側壁部82とが実際には異なる垂直高さにあることを意味する。このようにサンプが傾斜していると、サンプ内のオイルの表面は真の水平となり、サンプ側壁部82をオーバーフローする前にまずスピル出口80から流出する。
【0048】
この構成の利点は、小さな金属片などのデブリや粒子が典型的に集まるオイルサンプ42、44の底部から潤滑オイルが流出することである。したがって、サンプ42、44からスピル入口78を通ってスピル通路76へのオイルの流れは、そこにデブリを巻き込む傾向があり、サンプ42、44の洗浄機構として機能する。
【0049】
オーバーフロー装置74は、異なる方法で構成することができる。1つの実施形態は、
図4及び
図6に示されており、一方、代替案は、
図7及び
図8に描かれている。
【0050】
図4及び
図6の実施形態に留まり、この図示された実施形態では、内側側壁部64は、主軸受ハウジング22と共通の鋳造部品であり、スピル通路76は内側側壁部64の一体部分であることに留意されたい。より詳細には、
図6から、スピル通路は、主軸受ハウジング22のフロア領域40から上方に延在するタワー状構造84によって画定されることが分かる。
【0051】
この実施形態では、タワー状構造84は、
図6に明確に見られるように、内側側壁部64の横方向範囲に沿ったほぼ中間位置に配置される。これは体裁がよく単純な解決策であるが、他の構成が可能であることが理解されよう。例えば、タワー状構造84は、内側側壁部64の左側又は右側により多く配置されてもよい。別の選択肢は、関連するスピル通路を有する複数のタワー状構造が提供され得るということである。別の選択肢は、関連するスピル通路を有する単一のタワー状構造が、複数のスピル入口によって供給され得ることである。
【0052】
図4のはめ込みパネルによって分かるように、サンプ42、44の底部又はフロアパン70からの潤滑オイルは、サンプ42、44内のその上の潤滑オイルの圧力により、スピル入口78に流入し、スピル通路76を通って上昇する。ノズルによる軸受装置への噴射に続いて、サンプ42、44が潤滑オイルで満たされると、スピル通路76内のオイルの高さは、オイルがスピル出口80を通って外に出るような点まで上昇する。スピル出口80が内側側壁部64よりも低い位置にあるので、スピル通路76のオイルはスピル出口80を出て、サンプ42、44から出ていく。
【0053】
オイルは、サンプ42、44から流出して、2つのサンプの間に位置するオーバーフロー又は収集容器86に流入する。この実施形態では、収集容器86は、主軸受ハウジング22のフロア領域40の一部である。
【0054】
主軸受ハウジング22はまた、サンプ42、44及び溜めます86から潤滑オイルを排出するように構成された流体排出システム90を含む。
【0055】
図示された実施形態では、説明されるように、排出システム90は、鋳造物の一部であるという意味で主軸受ハウジング22の構造と一体である流体通路のネットワークを含む。これは、主軸受ハウジング22を潤滑システム50に接続するのに必要なホース接続の数を減らすので、排出システム90を形成するのに特に便利な方法である。しかしながら、通路の1つ以上は、主軸受ハウジング22の外部にあるパイプ又はホースとして具現化することもできる。
【0056】
排出システム90の機能は、溜めます86に不変的に開放された排水を提供し、また、2つのサンプ42、44のそれぞれに選択的な排出機能を提供することである。したがって、このようにして、サンプ42、44の内容物を時々パージして、サンプ内の潤滑オイルをタンク52及びフィルタ58に再循環させることができる。
【0057】
この目的のために、2つのサンプ42、44の各々は、それぞれのサンプを排出システム90に連結する第1の排出通路92を含む。図示の実施形態では、第1の排出通路92は、スピル通路76の延長であるため、スピル入口78から送り込まれる。見てわかるように、第1の排出通路92は、スピル通路76から下方に延在し、主軸受ハウジング22の下側に画定されたそれぞれの排出出口94で終端している。
【0058】
各サンプ42、44には、第1の排出通路92に加えて第2の排出通路96が設けられている。第2の排出通路96は、各サンプ42、44の軸方向外側端壁部66から溢れたオイルを回収し、第1の排出通路92にフィードバックするように構成されている。したがって、各第2の排出通路96は、それぞれのスピル出口94に接続されている。図示の実施形態では、第2の排出通路96は、第1の排出通路92への接続又は結合部97を介して各排出出口94に接続されていることに留意されたい。さらなる通路99が接続部97から排出出口94まで延在している。
【0059】
排出出口94は排出制御バルブ98に接続されている。制御バルブ98は、排出出口94のいずれか一方又は両方を選択的に開閉するように構成されている。制御バルブ98の出口から、流体戻りネットワーク57に排出される。したがって、制御バルブ98は、各サンプ42、44からそれぞれのドレイン出口を通って流体戻りネットワーク57への潤滑オイルの流れを制御する。
【0060】
図示の実施形態では、収集容器86はまた、それぞれの排出通路100を含むことに留意されたい。ここで、収集容器の排出通路100は、収集容器86から下方に延在してコネクタ102で終端する主軸受ハウジング22内の一体型通路又は穿孔として具現化されている。コネクタ102は、流体戻りシステム57へのインターフェースを提供する。したがって、本実施形態では、収集容器86からのオイル排出経路をバルブで制御していない。必要に応じて、収集容器の排出通路100をバルブ制御することができる。
【0061】
本実施形態では、制御バルブ98は単一の三方弁である。同じ機能を別個の二方弁によって実現することも想定されるが、そのような弁は2つの弁を同等に使用するよりもはるかにコンパクトになる傾向があるので、単一の弁は特に有益である。また、単一の三方弁は、単一の流体制御機構、主軸受ハウジングとの単一の流体接続、及び制御入力目的のための単一の電子接続を有するだけである。したがって、単一の三方弁は、各排出通路からの流れを制御するために個々の弁を使用するよりもはるかにコスト効率がよい。通常の運転モードでは、制御バルブ98は、サンプ42、44が所定の深さまでオイルで満たされるように、サンプ42、44と流体戻りネットワーク57との間の連通を閉じることが想定される。その後定期的に、制御バルブ98は、サンプ42、44のそれぞれからオイルを排出するために操作される。サンプからの排出は、一度に1つのサンプに実施することも、両方のサンプに同時に実施することもできる。制御バルブ98に対する制御は、潤滑システムの他の構成要素を制御するのと同じコンピュータ制御システムによって達成されることが想定される。これは、他の風力タービンサブシステム用の主制御システムとは別の制御システムであってもよく、その主制御システムに統合してもよい。
【0062】
さらなる任意の強化として、サンプ42、44はバッフルプレート104を含むことができる。図示された実施形態に示されるように、バッフルプレート104は、各サンプ42、44に配置され、サンプの容積を区画に分割するようにフロアパン70から垂直に延在している。このようにして、バッフルプレート104は、運転中の風力タービンが揺れる際のサンプ内のオイルのスロッシングを低減するように機能する。
【0063】
バッフルプレート104の上縁は、効果を高めることができるサンプの意図された最大オイルレベルL1、L2付近の点まで延在することができる。
【0064】
オイルがサンプ42、44を循環することを可能にするために、バッフルプレート104は適切な開口を備えてもよい。これらは、オイルが通過できるようにバッフルプレート104に穴又は穿孔の形態をとることができる。代替的に又は追加的に、開口は、フロアパン70とバッフルプレート104との間に隙間106が存在するようにバッフルプレートの下縁に画定されてもよい。したがって、サンプ42、44内のオイルはバッフルプレート104の下を流れることができるが、バッフルプレートは依然としてサンプ42、44内のオイルの過度のスロッシングを防止するのに有効である。
【0065】
バッフルプレート104の一部又は全部は、それらが単一鋳造物の一部であるという意味で、主軸受ハウジング22と一体的な構成要素であってもよいことが想定される。或いは、別の実施形態では、バッフルプレート104は、主軸受ハウジング22が製造された後にサンプ42、44に取り付けられる別個の構成要素であってもよい。任意に、バッフルプレート104は、ここに示されるように、サンプ42、44の幅にわたって縁から縁に達することができるが、これは本質的ではなく、他の実施形態では、バッフルプレート104の一方又は両方の側縁とサンプ42、44の側壁との間に隙間が残されることが想定される。
【0066】
サンプ110の代替設計が
図7及び
図8に示されており、これは上述のようにサンプ42、44と多くの類似点を有しており、したがって主軸受ハウジング22にも使用することができる。そのようなものとして、サンプ110は、フロアパン112と、上方に延在する側壁114とを含む。この配置における側壁114は、形状が長方形であるが、これは必須ではないことに留意されたい。
【0067】
サンプ110の側壁114は、上述のようにサンプ110が主軸受ハウジング22内に配置されたときにとる配向を考慮して、第1の軸方向内側側壁部116と第2の軸方向外側側壁部118とを含む。
【0068】
オーバーフロー装置120は、内側側壁部116に隣接して配置される。先の実施形態のオーバーフロー装置74のタワー状構造とは対照的に、本実施形態のオーバーフロー装置120は、サンプの前部を横方向に横切って延在する細長いスピル通路122を含むことに留意されたい。したがって、スピル通路122は、内側端壁部116と更なる端壁すなわち「スピル壁」124とによって画定される浅い箱状構造によって画定される。更なる端壁の高さは、内側端壁部116の高さ、より詳細には、その上縁117の高さよりも低いスピル出口128の高さを画定する。
【0069】
サンプ110の底部には、フロアパン112と内壁部116の下縁との間に、スピル入口130が画定される。したがって、オーバーフロー装置120を通るオイルの流れは、オイルがサンプ110内の非常に低い位置にあるスピル入口130を通ってスピル通路122に流入するという点で、前の実施形態のものと非常によく似ている。その後、オイルはスピル通路122を通って上昇し、スピル出口128から出る。したがって、先の図示された実施形態と同様に、スピル出口128は、スピル入口130の上方に、しかし側壁の上縁の下方に配置されることに留意されたい。別の表現では、スピル出口128は、側壁の上縁とスピル入口130との間に位置する。
【0070】
図4及び
図6の先の実施形態と同様に、本実施形態のサンプ110はバッフルプレート132を含む。しかしながら、ここでは、明確にするために、2つのバッフルプレート132のみが示されている。しかしながら、
図8に示されるように、バッフルプレート132の一方は、オイルを通過させるための複数の開口又は穿孔134を含み、バッフルプレート132の他方は、バッフルプレート132bの下縁138とサンプ110のフロアパン112との間に画定された隙間136を含む。
【0071】
サンプの構造によっては、内端端壁部116は、実質的に、その底縁に向かって開口を有するバッフルプレート132、又はサンプ110のフロアパン112において下方隙間を画定するバッフルプレートによって画定され得ることに留意されたい。
【0072】
図7及び
図8のオイルサンプは分離して説明されているが、疑義を避けるために、この図示された実施形態のオイルサンプは、
図4から
図6の実施形態のように、そこに記載され図示されたオイルサンプ構成に代えて、主軸受ハウジング22に使用できることがここに述べられている。
【0073】
上記の議論は、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲から外れるとは考えられない、例示された実施形態に対する当業者によって行われる様々な変形及び修正を論じていることに留意されたい。他の選択肢も可能である。