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特許7538879加飾フィルム用粘着剤組成物およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】加飾フィルム用粘着剤組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/14 20060101AFI20240815BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240815BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20240815BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
C09J133/14
C09J7/38
C09J7/22
B32B27/00 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551151
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2021025423
(87)【国際公開番号】W WO2022064809
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2020158628
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米川 雄也
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008222(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013130(WO,A1)
【文献】特開2018-159019(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150728(WO,A1)
【文献】特開2010-077287(JP,A)
【文献】特開平10-158616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)を60質量%以上と、カルボキシ基含有モノマー(a2)を2~10質量%とを含むモノマー成分を共重合した(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
窒素含有モノマー(b1)を1~10質量%含むモノマー成分を共重合してなり、ガラス転移点が80~200℃である(メタ)アクリル系共重合体(B)と
エポキシ系架橋剤と
を含む粘着剤組成物であって、
前記窒素含有モノマー(b1)が、-NR 2 で表される基(Rはアルキル基である)を有するアミノ基含有モノマーであり、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を2~20質量部含む加飾フィルム用粘着剤組成物。
【請求項2】
請求項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材層とを有する加飾フィルム。
【請求項3】
前記基材層が、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABSから選ばれる少なくとも1種からなる、請求項に記載の加飾フィルム。
【請求項4】
車両の内装部品用または外装部品用である、請求項2または3に記載の加飾フィルム。
【請求項5】
車両の外装部品用である、請求項2~4のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の加飾フィルムを有する加飾成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾フィルム用粘着剤組成物、該加飾フィルム用粘着剤組成物を用いた加飾フィルム、ならびに加飾フィルムを有する成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の揮発性有機化合物(VOC)削減の潮流により、各自動車メーカーでは外装塗装を、粘着剤層を有する加飾フィルムで代替する動きが活発である。この加飾フィルムに用いられる粘着剤の要求項目に初期貼り直し性がある。初期貼り直し性とは粘着加工した加飾フィルムを被着体に貼り付ける際に、位置ずれが発生した場合、容易に剥がすことができ、貼り直すことができる性能である。さらに加飾成型後は剥がれることなく、高い耐久性が求められる。
【0003】
特許文献1には、特定のビニル重合体とアクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤層を備えた加飾フィルムが開示されている。また特許文献2には、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、金属基材から生じる金属イオンと金属錯体を形成し得るアミノ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーとを含む感圧接着層と、アクリル樹脂フィルム層とを有する装飾フィルムが開示されている。これらの加飾フィルムあるいは装飾フィルムは、それぞれ長期間安定した接着力を有し、耐久性に優れたものであることが教示されている。
【0004】
また、一年を通して高温多湿な地域においては、使用中に粘着剤層が白化し、特に基材フィルムが透明あるいは隠蔽性が低い場合には外観不良を起こすため、加飾フィルムの粘着剤層には耐白化性が求められる。
【0005】
しかしながら、初期の貼り直し性が良好であり、耐久性が高く、しかも耐白化性に優れた加飾フィルム用粘着剤は見出されていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-112574号公報
【文献】特許第6574109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、良好な初期の貼り直し性、高い耐久性、優れた耐白化性を兼ね備えて有する、加飾フィルム用粘着剤組成物、該加飾フィルム用粘着剤組成物を用いた加飾フィルム、ならびに加飾フィルムを有する成形体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成より上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば以下の〔1〕~〔7〕に関する。
〔1〕アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)を50質量%以上と、カルボキシ基含有モノマー(a2)を2質量%以上とを含むモノマー成分を共重合した(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
窒素含有モノマー(b1)を1~10質量%含むモノマー成分を共重合してなり、ガラス転移点が0℃以上である(メタ)アクリル系共重合体(B)と
を含む粘着剤組成物であって、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を2質量部以上含む加飾フィルム用粘着剤組成物。
〔2〕前記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分中の前記カルボキシ基含有モノマー(a2)が2~10質量%であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を2~20質量部含む〔1〕に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
〔3〕〔1〕または〔2〕に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材層とを有する加飾フィルム。
〔4〕前記基材層が、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABSから選ばれる少なくとも1種からなる、〔3〕に記載の加飾フィルム。
〔5〕車両の内装部品用または外装部品用である、〔3〕または〔4〕に記載の加飾フィルム。
〔6〕車両の外装部品用である、〔3〕~〔5〕のいずれかに記載の加飾フィルム。
〔7〕〔3〕~〔6〕のいずれかに記載の加飾フィルムを有する加飾成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、良好な初期の貼り直し性、高い耐久性、優れた耐白化性を兼ね備えて有する、加飾フィルム用粘着剤組成物、該加飾フィルム用粘着剤組成物を用いた加飾フィルム、ならびに加飾フィルムを有する成形体を提供することができる。本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、加飾フィルムの粘着剤層に好適に用いることができ、これを用いた加飾フィルムは、初期の張り直し性、耐久性、および耐白化性に優れる。本発明に係る加飾フィルムは、各種成形体の表面加飾に使用でき、自動車、列車等の車両内外装部品の加飾用途に特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを総称する意味で用いる。例えば、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸またはメタクリル酸を意味する。また、本発明において、数値範囲を表すA~Bは、特に断りのない限り、A以上B以下を意味する。
<加飾フィルム用粘着剤組成物>
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、(メタ)アクリル系共重合体(B)、および必要に応じてその他の成分を含有する組成物である。
【0011】
(メタ)アクリル系共重合体(A)
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)を50質量%以上と、カルボキシ基含有モノマー(a2)を2質量%以上含むモノマー成分の共重合体であり、前記モノマー成分を共重合して得られる。
【0012】
モノマー成分は、通常は、重合性二重結合含有モノマーである。
≪アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)≫
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を主成分として有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を含むことにより、それを用いて得られる粘着剤層の吸水性が向上し、高湿環境下で粘着剤層中に吸収された水分が粘着剤層内で分散し、水分に由来する白化現象を抑制することができる。このため本発明に係る加飾フィルムを車両内外装材等の外気に暴露される用途に用いた場合においても、長期にわたり粘着剤層の白化現象を抑制することができる傾向にある。
【0013】
また、本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物がアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を主成分として有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を含むことにより、得られる粘着剤層の被着体表面への濡れ性が低下し、貼付直後の粘着力を低く抑えられることから、加飾フィルムの初期の貼り直し性も向上する傾向にある。
【0014】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)におけるアルコキシアルキル基の炭素数は、通常は2~18、好ましくは2~12、より好ましくは2~10である。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)としては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0015】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、1種または2種以上のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を有することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を得るために用いられる全モノマー成分中のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)量は、50質量%以上であり、好ましくは50~98質量%、より好ましくは50~97質量%、さらに好ましくは55~96質量%、特に好ましくは60~95質量%である。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)量が50質量%以上であると、粘着剤層の吸水性を向上させ、粘着剤層に侵入した水分を粘着剤層で溶解・トラップすることができ、耐白化性が向上する傾向にあり、98質量%以下であると、高粘着力化に有利である。
【0016】
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を、50質量%以上、好ましくは50~98質量%、より好ましくは50~97質量%、さらに好ましくは55~96質量%、特に好ましくは60~95質量%有する。前記構造単位量は、例えば、モノマー成分の仕込み量から把握することができる。その他の構造単位量においても同様である。
【0017】
<カルボキシ基含有モノマー(a2)>
カルボキシ基含有モノマー(a2)としては、カルボキシ基を含有するとともに、重合性二重結合を含有するモノマーを特に制限なく用いることができるが、好ましくは、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸;無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。カルボキシ基含有モノマー(a2)には、開環してカルボキシ基を生じる酸無水物基含有モノマーを含める。
【0018】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、1種または2種以上のカルボキシ基含有モノマー(a2)に由来する構造単位を有することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を得るために用いられる全モノマー成分中のカルボキシ基含有モノマー(a2)量は、2質量%以上、好ましくは2~15質量%であり、より好ましくは2~12質量%、さらに好ましくは3~10質量%、またさらに好ましくは4~10質量%、特に好ましくは5~8質量%である。また、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシ基含有モノマー(a2)に由来する構造単位を、2質量%以上、好ましくは2~15質量%、より好ましくは2~12質量%、さらに好ましくは3~10質量%、またさらに好ましくは4~10質量%、特に好ましくは5~8質量%有する。
【0019】
カルボキシ基含有モノマー(a2)を前記量で含むモノマー組成物を共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む加飾フィルム用粘着剤組成物を用いることにより、得られる加飾フィルムの粘着剤層の被着体表面への濡れ性が低下し、貼付直後の粘着力を低く抑えられることから、加飾フィルムの初期の貼り直し性が向上する傾向にある。
【0020】
カルボキシ基含有モノマー(a2)を前記量で共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む加飾フィルム用粘着剤組成物を用いることにより、得られる加飾フィルムの粘着剤層は、被着体への貼付から一定時間経過後に粘着力が上昇し、高粘着力を発現する傾向にある。
【0021】
<他のモノマー>
本発明に係る(メタ)アクリル系共重合体(A)は、前述した(a1)~(a2)以外の他のモノマーに由来する構造単位を有してもよい。他のモノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマー、酢酸ビニル、重合性マクロモノマーが挙げられる。
【0022】
アルキル(メタ)アクリレートでのアルキル基の炭素数は、1~20であることが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0023】
脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0024】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等の官能基化スチレンが挙げられる。
【0026】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0027】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
【0028】
重合性マクロモノマーを構成する重合体鎖(主鎖)部分のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレートおよびtert-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、前記アルキル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、また、(メタ)アクリロニトリル;スチレンおよびα-メチルスチレン等のスチレン系モノマーも挙げられる。前記マクロモノマーは、例えば、(メタ)アクリル系マクロモノマー、(メタ)アクリロニトリル系マクロモノマー、およびスチレン系マクロモノマーが好ましい。
【0029】
他のモノマーの中でも、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート、スチレン系モノマーが好ましく、アルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0030】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、1種または2種以上の他のモノマーに由来する構造単位を有することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を得るために用いられる全モノマー成分中の他のモノマー量は、好ましくは47質量%以下、より好ましくは41質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。また、(メタ)アクリル系共重合体(A)において、他のモノマーに由来する構造単位量は、好ましくは47質量%以下、より好ましくは41質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
【0031】
≪(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性および製造方法≫
(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)は、通常は20万~200万、好ましくは40万~150万、より好ましくは50万~100万である。このような態様であると、高温耐久性に優れた粘着剤が得られる傾向にある。
【0032】
(メタ)アクリル系共重合体(A)の、Mwと数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、通常は2~15、好ましくは2.5~10、より好ましくは3~8である。このような態様であると、高温耐久性に優れた粘着剤が得られる傾向にある。
【0033】
MwおよびMw/Mnは、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常は-70℃以上0℃未満、好ましくは-70~-30℃である。このような態様であると、常温で優れた接着力を有する粘着剤が得られる傾向にある。ガラス転移温度は、いわゆるFoxの式により算出することができる。後述する(メタ)アクリル系共重合体(B)の場合も同様である。
【0034】
Foxの式:1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
前記式中、Tgは(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(K)であり、Tg1,Tg2,…,Tgmは各モノマーから形成されたホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W1,W2,…,Wmは各モノマーに由来する構造単位の前記(メタ)アクリル系共重合体(A)における質量分率である。各モノマーに由来する構造単位の質量分率としては、共重合体合成時の各モノマーの全モノマーに対する仕込み割合を用いることができる。
【0035】
Foxの式の計算時において、各モノマーから形成されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、Polymer Handbook Fourth Edition(Wiley-Interscience 2003)に記載された値を採用することができる。
【0036】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は1種または2種以上を用いることができる。
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系共重合体(A)と、後述する(メタ)アクリル系共重合体(B)との合計含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量%中、通常は60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。固形分とは、有機溶媒を除く成分である。
【0037】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、公知の方法により製造することができ、溶液重合により製造することが好ましい。具体的には反応容器内にモノマー成分および重合溶媒を仕込み、重合開始剤を添加し、反応温度50~90℃程度に加熱し、2~20時間反応させる。例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合を行う。また、重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0038】
重合溶媒としては、後述する有機溶媒が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、有機系重合開始剤が挙げられ、具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物が好ましい。重合開始剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0039】
重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、通常は0.01~5質量部である。このような態様であると、(メタ)アクリル系共重合体(A)のMwを適切な範囲内に調整することができる。
【0040】
(メタ)アクリル系共重合体(B)
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、窒素含有モノマーを含むモノマー成分を共重合してなる共重合体であり、ガラス転移温度が0℃以上である。
【0041】
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に対して(メタ)アクリル系共重合体(B)を粘着付与樹脂として特定量含有することで、耐白化性、粘着性および初期の貼り直し性などの諸性能に優れる粘着剤層を形成することができる。
【0042】
≪窒素含有モノマー(b1)≫
窒素含有モノマー(b1)としては、窒素を含有するとともに、重合性二重結合を含有するモノマーを特に制限なく用いることができ、たとえばアミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーなどが挙げられるが、好ましくは、アミノ基含有モノマー、すなわちアミノ基類を含有するとともに重合性二重結合を含有するモノマーを用いることができる。ここで、アミノ基類としては、-NH2で表される基の他、例えば、-NHRで表される基、-NR2で表される基が包含される。ここでRは、例えばアルキル基である。
【0043】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
【0044】
窒素含有モノマー(b1)としては、好ましくは、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートにおけるジアルキルアミノアルキル基の炭素数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。
【0045】
(メタ)アクリル系共重合体(B)を得るために用いられる全モノマー成分中の窒素含有モノマー(b1)量は、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~10質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。また、(メタ)アクリル系共重合体(B)は、窒素含有モノマー(b1)に由来する構造単位を、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~10質量%、さらに好ましくは5~10質量%有する。
【0046】
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物では、窒素含有モノマーを前記量で共重合して得られる、高いガラス転移温度を有する(メタ)アクリル系共重合体(B)を、(メタ)アクリル系共重合体(A)に添加することにより、密着性が適度に低下し、得られる加飾フィルムの初期の貼り直し性を向上させることができる。
【0047】
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるカルボキシ基含有モノマー(a2)由来のカルボキシ基と、(メタ)アクリル系共重合体(B)における窒素含有モノマー(b1)由来のアミノ基等の窒素含有基との酸・塩基相互作用により、ベースポリマーである(メタ)アクリル系共重合体(A)と高いガラス転移温度を有する(メタ)アクリル系共重合体(B)との相溶性が向上し、耐白化性が向上する傾向にある。
【0048】
(メタ)アクリル系共重合体(B)を得るために用いられる全モノマー成分中の窒素含有モノマー(b1)量が10質量%以下であると、得られる粘着剤層の耐白化性が良好であるため好ましい。
【0049】
≪(メタ)アクリル酸エステル(b2)≫
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステル(b2)(ただし、窒素含有モノマー(b1)に該当する(メタ)アクリル酸エステルを除く)に由来する構造単位をさらに有することが好ましい。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステル(b2)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの具体例は、(メタ)アクリル系共重合体(A)における≪他のモノマー≫欄に記載したモノマーが挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリル系共重合体(B)を得るために用いられる全モノマー成分中の(メタ)アクリル酸エステル(b2)量は、好ましくは50~99質量%であり、より好ましくは60~97質量%、さらに好ましくは70~95質量%である。また、(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステル(b2)に由来する構造単位を、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~97質量%、さらに好ましくは70~95質量%有する。
【0052】
≪他のモノマー≫
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、前述した窒素含有モノマー(b1)および(メタ)アクリル酸エステル(b2)以外の他のモノマーに由来する構造単位をさらに有してもよい。
【0053】
他のモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマー、酢酸ビニルが挙げられる。ただし、(メタ)アクリル酸エステル(b2)に該当するモノマーを除く。
【0054】
≪(メタ)アクリル系共重合体(B)の物性および製造方法≫
(メタ)アクリル系共重合体(B)のGPC法により測定される重量平均分子量(Mw)は、通常は10,000~50,000、好ましくは10,000~40,000、より好ましくは15,000~30,000である。このような態様であると、(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層中で偏在しづらくなり、良好な相溶状態が得られる傾向にある。
【0055】
(メタ)アクリル系共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常は2~15、好ましくは2.5~10、より好ましくは3~8である。このような態様であると、良好な相溶状態が得られる傾向にある。
【0056】
MwおよびMw/Mnは、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以上であり、好ましくは50~200℃、より好ましくは80~150℃である。このような態様であると、初期貼り直し性および粘着力の耐久性に優れた粘着剤層が得られる傾向にある。ガラス転移温度は、前述のいわゆるFoxの式により算出することができる。
【0057】
(メタ)アクリル系共重合体(B)は1種または2種以上を用いることができる。
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、2質量部以上であり、好ましくは2~20質量部、より好ましくは3~17質量部、さらに好ましくは3~15質量部である。(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が2質量部以上であると、密着性が適度に低下し、初期の貼り直し性が向上する傾向にあり、(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が20質量部以下であると、粘着力に優れる粘着剤層が得られる傾向にある。
【0058】
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、公知の方法により製造することができ、溶液重合により製造することが好ましい。具体的な製造条件として、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)欄に記載した製造条件を参照することができる。
【0059】
<架橋剤(C)>
本発明に係る加飾フィルム用粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系共重合体(B)に加えて、架橋剤(C)を含有することができる。
【0060】
架橋剤(C)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋反応を起こすことができる成分であれば特に限定されない。架橋剤(C)としては、例えば、エポキシ系架橋剤(C1)、金属キレート系架橋剤(C2)、イソシアネート系架橋剤(C3)が挙げられる。
【0061】
架橋剤(C)は1種または2種以上を用いることができる。
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物において、架橋剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部、さらに好ましくは0.01~1質量部である。このような態様であると、架橋構造が充分かつ適度に形成され、凝集力が高く、また粘着物性のバランスに優れ、耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
【0062】
≪エポキシ系架橋剤(C1)≫
エポキシ系架橋剤(C1)としては、例えば、1分子中のエポキシ基数が2以上のエポキシ化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m-N,N-ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N-ジグリシジルアニリンが挙げられる。前記エポキシ化合物における1分子中のエポキシ基数は、例えば2~10である。
【0063】
エポキシ系架橋剤(C1)は1種または2種以上を用いることができる。
≪金属キレート系架橋剤(C2)≫
金属キレート系架橋剤(C2)としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等の成分が配位した化合物が挙げられる。これらの中でも、アルミキレート化合物が好ましい。具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが挙げられる。
【0064】
金属キレート系架橋剤(C2)は1種または2種以上を用いることができる。
≪イソシアネート系架橋剤(C3)≫
イソシアネート系架橋剤(C3)としては、例えば、1分子中のイソシアネート基数が2以上のイソシアネート化合物が挙げられる。
【0065】
1分子中のイソシアネート基数が2のジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。1分子中のイソシアネート基数が3以上のイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基数が2または3以上の上記イソシアネート化合物の、多量体(例えば2量体または3量体、ビウレット体、イソシアヌレート体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上のジイソシアネート化合物との付加反応生成物)、重合物が挙げられる。
【0066】
イソシアネート系架橋剤(C3)は1種または2種以上を用いることができる。
<添加剤>
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系共重合体(B)以外の樹脂成分、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤、充填剤、安定剤、軟化剤、および濡れ性調整剤から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
【0067】
<有機溶媒>
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、その塗布性を調整するため、有機溶媒を含有することが好ましい。
【0068】
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル;クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン等のアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドが挙げられる。
【0069】
有機溶媒は1種または2種以上用いることができる。
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物において、有機溶媒の含有割合は、通常は0~90質量%であり、好ましくは10~80質量%である。
【0070】
<加飾フィルム用粘着剤組成物>
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル系共重合体(A)と(メタ)アクリル系共重合体(B)とを含有する組成物であって、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、(メタ)アクリル系共重合体(B)を2質量部以上含む。このような粘着剤組成物から得られる粘着剤層は、初期の貼り直し性が良好であり、耐久性が高く、耐白化性に優れる。
【0071】
一般に、ベースとなるポリマーに対して、異なるポリマーを添加するに際しては、両者の相溶性が問題となることが多い。ポリマー同士の相溶性が悪い場合には、粘着剤層は白化し、さらには一方がブリードアウトすることで耐久性が悪化することが懸念される。
【0072】
しかしながら本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物では、(メタ)アクリル系共重合体(A)がカルボキシ基含有モノマー(a2)に由来する構造単位を有し、(メタ)アクリル系共重合体(B)がアミノ基含有モノマーなどの窒素含有モノマーに由来する構造単位を有することから、酸-塩基相互作用により、(メタ)アクリル系共重合体(A)と(メタ)アクリル系共重合体(B)とは良好な相溶性を示す。このため本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、長期にわたって安定性を有し、得られる粘着剤層が、初期の貼り直し性が良好であり、耐久性が高く、耐白化性が優れるという特性を有する。
【0073】
<加飾フィルム用粘着剤組成物の製造方法>
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、上述の各成分を、公知の方法により逐次または同時に混合することにより製造することができる。
【0074】
すなわち本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系共重合体(B)と、必要に応じて架橋剤(C)、添加剤、有機溶媒等の他の成分とを、従来公知の方法により混合することで調製することができる。一実施態様では、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系共重合体(B)を合成する際に得られた、当該ポリマーと有機溶媒とを含むポリマー溶液を混合するとともに、必要に応じて架橋剤(C)、添加剤等を配合することが挙げられる。
【0075】
加飾フィルム
本発明の加飾フィルムは、上述の加飾フィルム用粘着剤組成物から得られる粘着剤層と、基材層とを有する。本発明の加飾フィルムでは、基材層が加飾の役割を果たすことが好ましいが、装飾層を有していてもよい。また本発明の加飾フィルムは、使用するまでの間粘着剤層を保護する、剥離フィルムを粘着剤層上に有していてもよい。
【0076】
≪粘着剤層≫
本発明の加飾フィルムの粘着剤層は、上述した本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成される。
【0077】
粘着剤層は、例えば、上述の加飾フィルム用粘着剤組成物を基材上あるいは加飾層上に塗布し、必要に応じて架橋することにより得ることができる。すなわち、公知の方法、例えばスピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法により、所定の厚さになるように加飾フィルム用粘着剤組成物の塗布し、乾燥する方法を用いることができる。具体的には、例えば、前記加飾フィルム用粘着剤組成物を、基材上あるいは加飾層上に塗布し、通常は60~120℃、好ましくは70~110℃で、通常は1~10分間、好ましくは2~5分間乾燥し、塗膜を形成する。続いて、通常は1日以上、好ましくは2~10日間、通常は5~60℃、好ましくは15~50℃、通常は30~70%RH、好ましくは40~70%RHの環境下で養生(熟成)する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体(ネットワークポリマー)の形成が可能である。
【0078】
粘着剤層の厚さは、通常3~1000μm、好ましくは5~500μmである。
≪基材層≫
基材層は、通常は、装飾対象である被着体に加飾フィルムを貼付して得られた加飾成形体における最外層を構成する。基材層を構成する基材は、有色であっても、無色であってもよく、透明、半透明および不透明のいずれでもよい。また、基材層は、通常フィルム状あるいはシート状であり、単層構造でも複数の層で構成されていてもよい。本発明では、加飾フィルムを構成する粘着剤層が、優れた耐白化性を示すため、透明または半透明の基材層を好適に用いることができる。
【0079】
基材層は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABSから選ばれる少なくとも1種からなることがより好ましい。
【0080】
基材層には、必要に応じて、シリカ等の無機粒子、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤等の機能性付与物質が含まれていてもよい。また、基材表面に意匠性を付与するための模様、文字および絵柄などが印刷されていてもよく、基材内部に模様、文字および絵柄などが形成されていてもよい。
【0081】
基材層は、フィルム状あるいはシート状であることが好ましい。基材層の厚さは、通常10~1000μm、好ましくは20~200μm、より好ましくは50~150μmである。
【0082】
≪装飾層≫
本発明の加飾フィルムは、基材層と粘着剤層との間あるいは基材層上に、装飾層をさらに有することができる。装飾層は、加飾フィルムに意匠性を付与するために設けられる層であり、模様、文字および絵柄などを表現する層である。
【0083】
≪剥離フィルム≫
本発明に係る加飾フィルムは、必要に応じて、粘着剤層上に剥離フィルムを有していてもよい。剥離フィルムは、加飾フィルムを実際に使用するまでの間、粘着剤層の表面を保護するものであり、加飾フィルムの使用時に剥離除去される。剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるフィルムであれば特に限定されず、樹脂フィルムが挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンのフィルムが挙げられる。剥離フィルムの少なくとも片面は、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系または脂肪酸アミド系等の剥離処理剤により、易剥離処理が施されていてもよい。
【0084】
剥離フィルムの厚さは通常は10~500μm、好ましくは25~200μmである。
≪加飾フィルムの製造方法≫
本発明の加飾フィルムの製造には、本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物からなる粘着剤層と、基材層とを有する加飾フィルムを形成し得る方法を特に制限なく採用することができる。例えば、本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物を、基材層上に塗布・乾燥して粘着剤層を形成する方法;該方法により得られた加飾フィルムの粘着剤層上に必要に応じてさらに剥離フィルムを貼り合わせる方法;本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布し乾燥して粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層における剥離フィルムとは接しない露出した面と基材層となる基材とを貼り合わせ、養生して形成する方法;等の方法が挙げられる。
【0085】
粘着剤層は、通常、上述した本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物を、基材層を構成する基材上または剥離フィルム上に塗布し、乾燥することにより得ることができる。乾燥条件は、組成物中に含まれる有機溶媒の種類や、粘着剤層の厚さ等によっても異なるが、通常は乾燥温度が50~150℃であり、乾燥時間が1~10分間である。
【0086】
加飾フィルム用粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法が挙げられる。
【0087】
養生の条件は、例えば以下のとおりである。通常は1日以上、好ましくは2~10日間、通常は5~60℃、好ましくは15~50℃、通常は30~70%RH、好ましくは40~70%RHの環境下で、養生する。この養生条件で架橋を行うと、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(C)とからなる架橋体(ネットワークポリマー)を効率良く形成することができる。
【0088】
≪用途・加飾成形体≫
本発明の加飾成形体は、被着体である成形体の表面の少なくとも一部に、本発明の加飾フィルムを貼付したものである。
【0089】
本発明の加飾フィルムの被着体としては、立体形状を有する物品などの成形体が挙げられ、3次元曲面を有する物品が好ましい。具体的には、車両の車体、車両内装材、建材、化粧板が挙げられる。なお、「車両」としては、例えば、乗用車、バス、トラック等の4輪車;オートバイ、スクーター、原動機付自転車等の二輪車;電車が挙げられる。
【0090】
本発明の加飾フィルムは、車両用フィルム、具体的には車両外装用フィルム(例:カーラッピング用フィルム)として特に好ましく用いられる。カーラッピング用フィルムを車体に貼付するときには、手作業で大判フィルムの貼り付けを行うことが多く、また貼付から長期間経過後に当該フィルムを車体から剥離することがある。本発明の加飾フィルムは、上述したように初期貼り直し性および再剥離性に優れているので、カーラッピング用フィルムとして好適である。
【0091】
被着体を形成する材料としては、特に制限されず、金属材料;木材;アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックが挙げられ、その表面に塗装が施されていてもよい。
【0092】
加飾フィルムを被着体である成形体に貼付する方法としては、例えば、手作業による貼り付け、真空成形法、圧空成形法、熱高圧成形法が挙げられる。これらの中でも、真空成形法が好ましい。
【0093】
本発明の加飾成形体は、成形体(前述した被着体)と、前記成形体の表面に配置された、前記加飾フィルムから剥離フィルムを除去してなる粘着剤層付き基材とを有する。より具体的には、前記加飾成形体は、成形体、粘着剤層、必要に応じて装飾層、および基材をこの順に有する。
【実施例
【0094】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0095】
各測定値は、以下の方法により求めた。
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]
(メタ)アクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
・測定装置:HLC-8220GPC(東ソー製)
・GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー製)(1)TSK-GEL HXL-H (ガードカラム)(2)TSK-GEL G7000HXL(3)TSK-GEL GMHXL(4)TSK-GEL GMHXL(5)TSK-GEL G2500HXL
・サンプル濃度:1.0mg/cm3となるように、テトラヒドロフランで希釈
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:1.0cm3/min
・カラム温度:40℃
【0096】
[重合例1]((メタ)アクリル系共重合体(A-1)の製造)
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素道入管を備えた反応装置に、2-メトキシエチルアクリレート(MEA)92部、アクリル酸(AA)8部、および酢酸エチル200部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、窒素雰囲気下、75~76℃で4時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、固形分濃度39質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体(A-1)のMwは70万、Mw/Mnは7.5であった。
【0097】
[重合例2~6]
モノマー組成を表1(組成の単位は質量部)に記載したとおりに変更したこと以外は上記重合例1と同様に重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(A-2)~(A-3)、(A'-4)~(A'-6)を得た。得られた各(メタ)アクリル系共重合体のTg、MwおよびMw/Mnを表1に併せて示す。
【0098】
【表1】
【0099】
[重合例7]
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素道入管を備えた反応装置に、メタクリル酸メチル(MMA)95部、メタクリル酸N-ジメチルアミノエチル(DM)5部、連鎖移動剤としてN-ドデシルメルカプタン1部、および酢酸エチル100部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、窒素雰囲気下、75~76℃で4時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、固形分濃度45質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体(B-1)のTgは102℃、Mwは15,000、Mw/Mnは4.5であった。
【0100】
[重合例8]
モノマー組成を表2(組成の単位は質量部)に記載したとおりに変更したこと以外は上記重合例7と同様に重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(B'-2)を得た。
【0101】
【表2】
【0102】
[実施例1]
重合例1で得られた(メタ)アクリル系共重合体(A-1)のポリマー溶液に、重合例7で得られた(メタ)アクリル系共重合体(B-1)のポリマー溶液、および架橋剤としてエポキシ系化合物「E-AX」を添加して混合し、粘着剤組成物を得た。それぞれの配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A-1)100部に対して、(メタ)アクリル系共重合体(B-1)10部、エポキシ系化合物「E-AX」の固形分0.045部となる量である。
【0103】
次いで、得られた粘着剤組成物を用いて、以下のようにして粘着シート試料を作成し、初期貼り直し性、耐白化性および耐久性を測定あるいは評価した。結果を表3に示す。
[粘着シート試料作製]
粘着剤組成物を、剥離処理されたPETフィルム上に塗布し、90℃で4分間乾燥させ、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。その後、厚さ25μmのPETフィルム基材に貼り合わせ、40℃×3日間熟成させて粘着シートを作製した。
【0104】
[ボールタック(初期の貼り直し性)]
J.Dow法により測定した。具体的には、作製した粘着シートから剥離処理されたPETフィルムを剥がし、粘着剤層が露出するように傾斜角30度の傾斜面に取り付けた。次に、23℃/65%RH環境下でスチールボールを傾斜面の上部から助走させた後に、粘着面(粘着剤層表面)上を滑走させた。この際の助走距離は10cm、滑走距離は10cmとした。スチールボールの径を変えて滑走テストを行い、粘着面で滑走を停止したスチールボールの最大径を求めた。なお、使用したスチールボールの径はX/32インチ(但し、Xは1~32の整数)であり、表3中に示す数値はXの値を示している。判定基準は次のとおりである。
判定基準
AA:2~4(タックが低く、貼り直し性が良好である)
BB:5~9(タックをやや有するが、使用上問題ない範囲である)
CC:10以上(タックが高く、貼り直し性に問題がある)
【0105】
[耐白化性]
作製した粘着シートを60mm×50mmの大きさに裁断し、剥離処理されたPETフィルムを剥がして、露出した粘着剤層をガラス板(被着体)に貼着し、次いで50℃、5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して試験板を作製し、白化の程度をヘイズメーター(型名「HM-150」、村上色彩技術研究所社製)で測定し、初期ヘイズとした。その後、試験板を85℃/85%RH条件下に72時間放置し、白化の程度をヘイズメーター(型名「HM-150」、村上色彩技術研究所社製)で測定し、耐久後ヘイズとした。測定結果および判定結果を表3に示す
判定基準
AA:湿熱処理前後のヘイズの差が0.5未満であった
BB:湿熱処理前後のヘイズの差が0.5以上1.0未満であった
CC:湿熱処理前後のヘイズの差が1.0以上であった
[耐久性試験]
作製した粘着シートを25mm×100mmの大きさに裁断し、剥離処理されたPETフィルムを剥がして、露出した粘着剤層をポリカーボネート板に貼着した。次いで、50℃、5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して圧着させた。その後、85℃/85%RH環境下に1000時間放置し、外観の観察を行った。判定結果を表3に示す。
判定基準
AA:発泡、剥がれが観察されなかった
BB:発泡、剥がれが若干観察されたが、使用上問題ない
CC:発泡、剥がれが顕著に観察された
【0106】
[実施例2~5、比較例1~6]
表3に記載したとおりに配合組成を変更したこと以外は実施例1と同様に行い、粘着剤組成物を得た。表3において、各成分の量は(メタ)アクリル系共重合体(A)またはそれに相当する対比用共重合体100部に対する量(質量部)である。表3中の架橋剤の量は固形分量である。また、表3中において、「Y-75」はイソシアネート系化合物である。
【0107】
次いで、得られた各粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様に粘着シート試料を作成し、初期貼り直し性、耐白化性および耐久性を測定あるいは評価した。結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
実施例1と比較例1の対比から、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いた場合に、耐白化性が向上することがわかる。
【0109】
実施例1と、比較例2,3との対比から、カルボキシ基含有モノマー(a2)に由来する構造単位を2質量%以上含有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いた場合に、初期貼り直し性および耐久性が向上することがわかる。
【0110】
実施例1~3と、比較例1~3との対比から、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を50質量%以上含むとともに、カルボキシ基含有モノマー(a2)を2質量%以上含む(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いることで、初期貼り直し性、耐白化性および耐久性が向上することがわかる。
【0111】
実施例1と、比較例4との対比から、0℃以上の高いガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系共重合体(B)を用いた場合には、初期貼り直し性および耐久性が向上することがわかる。
【0112】
実施例1,4と比較例5,6との対比から、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して(メタ)アクリル系共重合体(B)を2質量部以上用いた場合には、初期貼り直し性および耐久性が向上することがわかる。
【0113】
以上より、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a1)に由来する構造単位を50質量%以上含むとともに、カルボキシ基含有モノマー(a2)を2質量%以上含む(メタ)アクリル系共重合体(A)に対して、0℃以上の高いガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系共重合体(B)を特定量含む粘着剤組成物を用いることで、初期貼り直し性、耐白化性および耐久性に優れた粘着剤層を形成できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物は、加飾フィルムの粘着剤層の形成に好適である。本発明の加飾フィルムは、車両の車体、車両内装材、建材、化粧板等の成形体の表面加飾に好適に用いられ、車両用フィルム、具体的には、カーラッピング用フィルム車両外装用フィルムとして特に好ましく用いることができる。