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特許7538897分光器装置を使用するレーザはんだ付けプロセス監視方法およびレーザはんだ付けシステム
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  • 特許-分光器装置を使用するレーザはんだ付けプロセス監視方法およびレーザはんだ付けシステム 図1
  • 特許-分光器装置を使用するレーザはんだ付けプロセス監視方法およびレーザはんだ付けシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】分光器装置を使用するレーザはんだ付けプロセス監視方法およびレーザはんだ付けシステム
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/00 20060101AFI20240815BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20240815BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20240815BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240815BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240815BHJP
   G01N 21/71 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B23K1/00 A
B23K1/005 A
B23K3/06 H
G01N21/956 B
G01N21/88 K
G01N21/71
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022576151
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021065385
(87)【国際公開番号】W WO2021259635
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】102020116394.0
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501198796
【氏名又は名称】パック テック-パッケージング テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェットケ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】クブシュ,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】コルバソウ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ボノウ,ゲロ
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-072736(JP,A)
【文献】特開平07-058448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
B23K 1/005
B23K 3/06
G01N 21/956
G01N 21/88
G01N 21/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザはんだ付けシステム(10)の監視装置(13)を用いてレーザはんだ付けプロセスを監視するための方法であって、はんだボール(21)を、前記レーザはんだ付けシステムのはんだボール供給装置(11)を用いて基板(19)のはんだ付け可能な表面(20)の上に与え、前記はんだボールを、前記レーザはんだ付けシステムのレーザ装置を用いて少なくとも部分的に溶融させ、前記レーザはんだ付けプロセス中に形成された光信号(23)を、前記監視装置の光学検出部(14)を用いて検出し、前記光信号を、前記監視装置の分光器装置(15)を用いて前記光信号のスペクトル(24,25)に分散させ、前記スペクトルを、前記監視装置の処理装置(16)を用いて分析し、前記スペクトルの組成に基づいて、前記レーザはんだ付けプロセス中に前記基板の焼付き(22)が発生したか否かを識別し、
前記スペクトル(24,25)は、少なくとも1つの基板非依存性正常部分(28,29)を含み、前記レーザはんだ付けプロセス中に生じる前記基板(19)の焼付き(22)の場合は基板依存性焼付き部分(30,31)をさらに含み、前記基板非依存性正常部分と前記基板依存性焼付き部分とを前記処理装置(16)を用いて区別することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スペクトル(24,25)内の前記基板依存性焼付き部分(30,31)の存在に基づいて、前記レーザはんだ付けプロセス中に前記基板(19)の焼付き(22)が発生したか否かを、前記処理装置(16)を用いて識別することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記基板依存性焼付き部分(30,31)の組成に基づいて、前記基板(19)の材料または材料組成を、前記処理装置(16)を用いて判断することを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記判断は、前記基板依存性焼付き部分(30,31)の特性パラメータと、前記処理装置(16)のデータベースに格納され基板の複数の異なる材料または材料組成を分光法で記述する特性パラメータとの比較を通して行われることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザはんだ付けプロセス中に前記基板(19)の焼付き(22)が発生したか否かを、前記処理装置(16)を用いて出力することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザはんだ付けプロセス中に前記基板(19)の焼付き(22)が発生した場合、前記レーザはんだ付けシステム(10)の動作を停止させることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記光信号(23)は、前記はんだボール(21)の前記溶融に起因して形成され、前記レーザはんだ付けプロセス中に焼付き(22)が発生した場合はさらに前記焼付きに起因して形成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
レーザはんだ付けシステム(10)であって、
前記レーザはんだ付けシステムは、基板(19)のはんだ付け可能な表面(20)の上にはんだボール(21)を与えるためのはんだボール供給装置(11)と、前記はんだボールを少なくとも部分的に溶融させるためのレーザ装置とを備え、
前記レーザはんだ付けシステムは、レーザはんだ付けプロセスを監視するための監視装置(13)を備え、前記監視装置は、前記レーザはんだ付けプロセス中に形成された光信号(23)を検出するための光学検出部(14)と、前記光信号を前記光信号のスペクトル(24,25)に分散させるための分光器装置(15)とを有し、前記監視装置は、前記スペクトルを分析することが可能な処理装置(16)を有し、前記スペクトルの組成に基づいて、前記レーザはんだ付けプロセス中に前記基板の焼付き(22)が発生したか否かを識別することが可能であり、
前記スペクトル(24,25)は、少なくとも1つの基板非依存性正常部分(28,29)を含み、前記レーザはんだ付けプロセス中に生じる前記基板(19)の焼付き(22)の場合は基板依存性焼付き部分(30,31)をさらに含み、前記基板非依存性正常部分と前記基板依存性焼付き部分とを前記処理装置(16)を用いて区別することを特徴とする、レーザはんだ付けシステム(10)。
【請求項9】
前記光学検出部(14)は少なくとも1つの収束レンズ(17)を含むことを特徴とする、請求項に記載のレーザはんだ付けシステム。
【請求項10】
前記レーザはんだ付けシステム(10)はガラス繊維アセンブリ(18)を備え、前記ガラス繊維アセンブリにより、前記光信号(23)を前記光学検出部(14)から前記分光器装置(15)に送信可能であることを特徴とする、請求項またはに記載のレーザはんだ付けシステム。
【請求項11】
前記処理装置(16)は、基板の異なる材料または材料組成を分光法で記述する複数の特性パラメータを格納することが可能なデータベースを含むことを特徴とする、請求項10のいずれか1項に記載のレーザはんだ付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザはんだ付けシステムの監視装置を用いてレーザはんだ付けプロセスを監視する方法、およびレーザはんだ付けシステムに関し、このシステムは、基板のはんだ付け可能な表面の上にはんだボールを与えるためのはんだボール供給装置と、はんだボールを少なくとも部分的に溶融させるためのレーザ装置とを含む。
【背景技術】
【0002】
レーザはんだ付けシステムを用いて、特にチップ、半導体装置などを、たとえばプリント回路基板であってもよい基板上にはんだ付けすることが、従来技術から十分に知られている。この目的のために、チップまたは半導体装置の接触面が、この文脈では「パッド」とも呼ばれる、基板のはんだ付け可能な表面に、はんだボールを介して接続される。その部分のためのはんだボールを、レーザはんだ付けシステムのはんだボール供給装置を用いて、はんだ付け可能な表面の上に与え、レーザはんだ付けシステムのレーザ装置を用いて、チップまたは半導体装置の接触面とはんだ付け可能な表面との間に材料結合を形成することができるように、少なくとも部分的に溶融させる。
【0003】
レーザはんだ付けプロセス中、基板の焼付きが発生することがあり、この場合の「焼付き」という用語は、特に、炎が形成された状態で必ずしも起こる訳ではない熱的加熱を意味すると理解され、この熱的加熱は基板の永久的な損傷を伴う。そのような焼付きの理由は、レーザ装置によって形成されたレーザビームが基板に直接衝突することである可能性がある。しかしながら、はんだ付け可能な表面したがってはんだ付け可能な表面に熱的に結合された基板も、はんだ付け可能な表面に衝突したはんだボールによって熱的に励起または加熱され、基板の焼付きが生じるような態様で少なくとも部分的に溶融され熱的に加熱される場合がある。
【0004】
したがって、基本的に上記種類の基板の焼付きも生じ得るレーザ溶接プロセスでは、特にレーザ溶接プロセス中に基板の焼付きが生じたか否かを識別することを目的として、レーザ溶接プロセスをレーザ溶接システムの監視装置を用いて監視することが、従来技術から知られている。たとえば、レーザ溶接の技術分野では、レーザ溶接プロセスをサーモグラフィカメラを用いて監視することが知られている。
【0005】
しかしながら、冒頭で説明した種類のレーザはんだ付けプロセスを監視するための監視装置として、サーモグラフィカメラを使用することは、従来技術で知られているサーモグラフィカメラの時間的および空間的分解能が、「正常な」レーザはんだ付けプロセスに関連付けられる、特にはんだボールの溶融に関連付けられる光信号の部分を、基板の焼付きに関連付けられる光信号の別の部分から明確に区別するには不十分であるという点で、不都合であることが判明している。さらに、改善された時間的および空間的分解能を有するサーモグラフィカメラを使用することは、コストがかかる作業である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はしたがって、レーザはんだ付けシステムの監視装置を用いてレーザはんだ付けプロセスを監視する方法、および、レーザはんだ付けプロセスの確実で低コストの監視を実行できるようにするレーザはんだ付けシステムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法および請求項9の特徴を有するレーザはんだ付けシステムによって達成される。
【0008】
本発明に係る、レーザはんだ付けシステムの監視装置を用いてレーザはんだ付けプロセスを監視する方法では、はんだボールを、レーザはんだ付けシステムのはんだボール供給装置を用いて基板のはんだ付け可能な表面の上に与え、はんだボールを、レーザはんだ付けシステムのレーザ装置を用いて少なくとも部分的に溶融させ、レーザはんだ付けプロセス中に形成された光信号を、監視装置の光学検出部を用いて検出し、光信号を、監視装置の分光器装置を用いて光信号のスペクトルに分散させ、スペクトルを、監視装置の処理装置を用いて分析し、スペクトルの組成に基づいて、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生したか否かを識別する。
【0009】
この場合の「焼付き」という用語は、特に、基板上に永久的に残る基板の損傷に至るまたは至る可能性がある、基板の熱的な加熱および/または励起を意味すると理解される。炎(火)の形成は必ずしも必須ではない。加えて、「焼付き」という用語はまた、ごく一般的に説明すると、熱または熱放射および光の形態でエネルギが放出された状態で起こる基板の酸化還元反応を意味すると理解される。
【0010】
特に「光信号」という用語に関連する「光」という用語は、この文脈において、肉眼で見ることができるまたは知覚できる光に限定される訳ではなく、広く、電磁スペクトル全体、特に赤外線放射(熱放射)および紫外線放射も含み得る。
【0011】
「はんだボール」という用語は、この文脈において、必ずしもボール形状の物体を意味すると理解される訳ではない。一般的に、「はんだボール」という用語は、任意の形状のはんだ材料を意味し得る。たとえば、はんだボールは、ワイヤ状の形状で存在する可能性がある。
【0012】
同時に、「はんだボール供給装置」という用語は、ごく一般的に説明すると、はんだ材料をはんだ付け可能な表面の上に与えることができる装置を意味すると理解することができる。
【0013】
本発明は、レーザはんだ付けプロセス中に形成された光信号が、監視装置の光学検出部によって検出され、次に、監視装置の分光器装置によって光信号のスペクトルまたはスペクトル成分に分散させられる、という考えに基づいている。スペクトルはその後、監視装置の処理装置によって分析され、スペクトルの組成に基づいて、特にスペクトルを記述する特性パラメータに基づいて、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生したか否かが識別される。特性パラメータは、特に、波長に依存する、基板依存性強度ピークであってもよい。
【0014】
本発明に係る方法は、特に、分光器装置を用いて、「正常な」レーザはんだ付けプロセスに関連付けられる光信号の部分と、基板の焼付きに起因する可能性がある光信号の部分とを明確に区別すること、または、スペクトルの中で、「正常な」レーザはんだ付けプロセスを説明する部分と、基板の焼付きを説明する部分とを区別することが可能である、という利点を有する。このように、全体として、本発明に係る方法は、レーザはんだ付けプロセスを確実にかつ低コストで監視することを可能にする。
【0015】
スペクトルは、少なくとも1つの基板非依存性正常部分を含み得るものであって、レーザはんだ付けプロセス中に生じる基板の焼付きの場合は基板依存性焼付き部分をさらに含み得るものであり、基板非依存性正常部分と基板依存性焼付き部分とを処理装置を用いて区別してもよい。この文脈における「基板依存性」という用語は、焼付き部分の組成が基板の材料または材料組成に依存することを意味すると理解されるものであり、「基板非依存性」という用語は、正常部分の組成が基板の材料または材料組成に依存していない、すなわち本質的にどの基板に対しても同一の組成を有することを示す。基板非依存性正常部分は、「正常に」進行するレーザはんだ付けプロセスに由来する可能性があり、したがって常にスペクトルの一部である可能性がある。特に、基板非依存性正常部分は、はんだボールの溶融および関連する熱的加熱によって引き起こされる可能性がある。レーザはんだ付けプロセス中に生じる基板の焼付きの場合にのみ、スペクトルは、焼付きに起因して生じ得る基板依存性焼付き部分をさらに含む可能性がある。たとえば、レーザ装置によって形成されたレーザビームが基板に直接衝突すると、基板の材料または材料組成に含まれる電子が励起される。この励起に関連付けられる発光スペクトルは、基板依存性焼付き部分に寄与する可能性がある。処理装置を用いることで、基板非依存性正常部分と基板依存性焼付き部分とを区別または弁別し、スペクトル情報に基づいて焼付きに関与する材料または焼付きに関与する材料組成を特定することができる。
【0016】
この方法の好都合なある実施形態において、スペクトル内の基板依存性焼付き部分の存在に基づいて、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生したか否かを、処理装置を用いて識別してもよい。たとえば、スペクトルが、基板非依存性正常部分に加えて基板依存性焼付き部分も含む場合、処理装置は、スペクトル内の基板依存性焼付き部分のこの存在に基づいて、基板の焼付きが発生したか否かを識別することができる。この場合、処理装置の基板非依存性正常部分は既知の可能性があり処理装置のデータベースに格納することが可能である。たとえば、処理装置は、その後、格納された基板非依存性正常部分に、識別のためにアクセスすることができ、光学検出部によって検出されたスペクトルからそれを減算または差し引くことができ、減算または差し引いた後に、スペクトル内にさらに別の部分が存在するか否かを判断することができ、これをその後焼付き部分を用いて識別することができる。
【0017】
さらに、基板依存性焼付き部の組成に基づいて、基板の材料または材料組成を、処理装置を用いて判断することができる。よって、たとえばレーザ装置によって引き起こされた、基板の材料または複数の材料中に存在する電子の励起が、上記材料もしくは複数の材料または材料組成の特徴である発光スペクトル(スペクトルフィンガープリント)の形成をもたらし、基板の材料または材料組成は、上記発光スペクトルに基づいて判断または識別することができる。基板の材料または材料組成が既知であれば、上記判断は、基板非依存性正常部分に加えてスペクトルに生じる部分が実際に基板の焼付きに起因するか否かを判断するための制御の機能を果たすこともできる。
【0018】
好都合には、上記判断は、基材依存性焼付き部の特性パラメータと、処理装置のデータベースに格納され基板の複数の異なる材料または材料組成を分光法で記述する特性パラメータとの比較を通して行われてもよい。特に、特性パラメータは、波長に依存する強度ピークであってもよい。
【0019】
好都合には、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生したか否かを、処理装置を用いて出力してもよい。この目的のために、処理装置は、たとえば、基板の焼付きが発生したことをレーザはんだ付けシステムのオペレータに通知することが可能な音響および/または光信号を出力することができる。次に、オペレータは、必要であればレーザはんだ付けシステムの動作を手動で停止し焼付きが原因で損傷した基板を選別することができる。
【0020】
さらに、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生した場合、レーザはんだ付けシステムの動作を停止させてもよい。好都合には、そのような場合に、レーザはんだ付けシステムの動作を、自動的に中断させることができる。レーザはんだ付けシステムの動作を停止させることにより、さらなる焼付きを防止することができる。
【0021】
光信号は、はんだボールの溶融に起因して形成される可能性があり、レーザはんだ付けプロセス中に焼付きが発生した場合はさらに焼付きに起因して形成される可能性がある。この場合、はんだボールの溶融は、スペクトルの基板非依存性正常部分に寄与する可能性があり、焼付きは、スペクトルの基板依存性焼付き部分に寄与する可能性がある。この場合、はんだボールの溶融による寄与は、特に、熱的に加熱されたはんだボールから放出された赤外線放射または熱放射に起因する可能性があり、焼付きによる寄与は、特に、熱的に加熱された基板から放出された赤外線放射または熱放射と、基板の焼付きによって放出され肉眼で見える光との両方に起因する可能性がある。
【0022】
本発明に係るレーザはんだ付けシステムは、基板のはんだ付け可能な表面の上にはんだボールを与えるためのはんだボール供給装置と、はんだボールを少なくとも部分的に溶融させるためのレーザ装置とを備え、レーザはんだ付けシステムは、レーザはんだ付けプロセスを監視するための監視装置を備え、監視装置は、レーザはんだ付けプロセス中に形成された光信号を検出するための光学検出部と、光信号を光信号のスペクトルに分散させるための分光器装置とを有し、監視装置は、スペクトルを分析することが可能な処理装置を有し、スペクトルの組成に基づいて、レーザはんだ付けプロセス中に基板の焼付きが発生したか否かを識別することが可能である。本発明に係るレーザはんだ付けシステムの有利な効果については本発明に係る方法の利点の説明を参照されたい。
【0023】
好都合には、光学検出部は少なくとも1つの収束レンズを含む。収束レンズは、光信号に関連付けられる光を収集することができ、かつ、それを分光器装置に送ることができる。
【0024】
好都合には、レーザはんだ付けシステムはガラス繊維アセンブリを含み得るものであって、ガラス繊維アセンブリにより、光信号を光学検出部から分光器装置に送信可能である。
【0025】
レーザはんだ付けシステムのある好都合な実施形態において、処理装置は、基板の異なる材料または材料組成を分光法で記述する複数の特性パラメータを格納することが可能なデータベースを含み得る。処理装置は、特に、そのハードディスクがデータベースを形成可能なコンピュータであってもよい。
【0026】
レーザはんだ付けシステムのさらに他の好都合な実施形態は、方法の請求項1を引用する従属請求項の特徴の説明から明らかである。
【0027】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】レーザはんだ付けシステムの概略図を示す。
図2】2つの異なるレーザはんだ付けプロセスに関するスペクトルのグラフの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、はんだ付けシステム10の概略図を示し、はんだ付けシステム10は、基板19のはんだ付け可能な表面20の上にはんだボール21を与えるためのはんだボール供給装置11と、はんだボール21を少なくとも部分的に溶融させるためのレーザ装置(ここでは図示せず)とを含む。この場合、レーザ装置によってレーザビーム12を形成することができ、このレーザビームは、一方では、はんだボール21に衝突することによってはんだボール21の部分的な溶融を引き起こし、他方では、図1に示すように、基板19に直接衝突することによって基板19の焼付き22も引き起こす。はんだボール21の溶融および焼付き22により、光信号23が形成される。
【0030】
さらに、レーザはんだ付けシステム10は、光信号23を検出するための光学検出部14を有する監視装置13を含む。さらに、光学検出部14は収束レンズ17を含む。光信号23は、次に、光学検出部14から、レーザはんだ付けシステム10のガラス繊維アセンブリ18を通して監視装置13の分光器装置15に送信され、光信号23は、分光器装置15によって光信号23のスペクトル(ここでは図示せず)に分散させられる。加えて、監視装置13は、スペクトルを分析することが可能な処理装置16を有し、スペクトルの組成に基づいて、レーザはんだ付けプロセス中に基板19の焼付き22が発生したか否かを識別することができる。レーザはんだ付けシステム10の動作は、特にさらなる焼付き22を防止するために、レーザはんだ付けプロセス中に基板19の焼付き22が生じた場合は停止される。
【0031】
図2は、2つの異なるレーザはんだ付けプロセスに関するスペクトル24およびスペクトル25を示す。この場合、横軸26に波長をナノメートルの単位で示し、縦軸27に強度を任意の単位で示す。スペクトル24および25は、それぞれ基板非依存性正常部分28および29を含み、正常部分28は実質的に正常部分29と一致する。さらに、スペクトル24および25は、それぞれ基板依存性焼付き部分30および31を含む。この場合、焼付き部分30の強度ピーク32は、特に横軸26における位置に関して、焼付き部分31の強度ピーク33と明らかに異なることが、特に明白である。したがって、焼付き部分30および31ならびにスペクトル24および25は、異なる基板タイプおよび/または異なる材料もしくは材料組成を有する基板に由来する。強度ピーク32および33の位置および高さは、一種のスペクトルフィンガープリントを表し、このフィンガープリントに基づいて、基板の材料または材料組成を判断することができる。
図1
図2