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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】同軸スピーカ
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20240815BHJP
   H04R 1/24 20060101ALI20240815BHJP
   H04R 1/32 20060101ALI20240815BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G10K11/178 150
H04R1/24
H04R1/32 310Z
H04R9/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022578844
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022106757
(87)【国際公開番号】W WO2024000692
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】202221697453.0
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】任 璋
(72)【発明者】
【氏名】▲鍾▼ 志威
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111193985(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114390407(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0107112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
H04R 1/24
H04R 1/32
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸スピーカであって、
フレームと、前記フレームに固定保持された振動システム及び磁気回路システムとを備え、
前記振動システムは、振動膜及びボイスコイルを備え、
前記磁気回路システムは、伝達チャンバと、前記伝達チャンバを取り囲んで設置された内磁気ギャップと、前記内磁気ギャップを取り囲んで設置された外磁気ギャップとを備え、
前記内磁気ギャップは、間隔を隔てて設置される第1磁気ギャップ及び第2磁気ギャップを備え、
前記伝達チャンバは、前記磁気回路システムを貫通し、
前記振動膜は、第1振動膜と、前記第1振動膜を取り囲んで設置された第2振動膜と、第1振動膜とは逆位相で振動する第3振動膜とを備え、
前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記磁気回路システムに固定され、
前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、
前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気回路システムの前記第1振動膜から離反する側に固定され、かつ前記第1振動膜及び前記第3振動膜は、前記伝達チャンバを密閉し、
前記ボイスコイルは、前記第1磁気ギャップに挿入されかつ前記第1振動膜の振動を駆動する第1ボイスコイルと、前記外磁気ギャップに挿入されかつ前記第2振動膜の振動を駆動する第2ボイスコイルと、前記第2磁気ギャップに挿入されかつ前記第3振動膜の振動を駆動する第3ボイスコイルとを備える、ことを特徴とする同軸スピーカ。
【請求項2】
前記磁気回路システムは、磁気ヨークと、前記外磁気ギャップで囲まれた主磁部とを備え、
前記主磁部は、前記磁気ヨークに固設された第1磁石と、前記第1磁石の前記第1振動膜に向かう側に設置された第2磁石及び主ポールプレートとを備え、
前記第1磁石には第1貫通孔が貫設され、
前記第2磁石には第2貫通孔が貫設され、
前記主ポールプレートは、壁部と、前記壁部に接続されかつ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介設された板部とを備え、
前記壁部は、一端が前記第1貫通孔に挿入されかつ前記第1貫通孔を前記第2磁気ギャップと第1チャンバとに区画し、その他端が前記第2貫通孔に挿入されかつ前記第2貫通孔を前記第1磁気ギャップと第2チャンバとに区画し、
前記磁気ヨークには第3貫通孔が貫設され、
前記伝達チャンバは、前記第3貫通孔、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の同軸スピーカ。
【請求項3】
前記壁部は、前記第1貫通孔に挿入された第1壁部と、前記第2貫通孔に挿入された第2壁部とを備え、前記板部は、前記第1壁部から延在して形成されかつ前記第1磁石に固設された第1板部と、前記第2壁部から延在して形成されかつ前記第1板部と前記第2磁石との間に固設された第2板部とを備える、ことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカ。
【請求項4】
前記第1壁部は連続的な環状構造であり、及び/又は、前記第2壁部は連続的な環状構造である、ことを特徴とする請求項3に記載の同軸スピーカ。
【請求項5】
前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記第2磁石に固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気ヨークの前記主磁石から離反する側に固定される、ことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカ。
【請求項6】
前記磁気回路システムは、前記磁気ヨークと前記フレームとの間に固設されかつ前記主磁部と間隔を隔てて前記外磁気ギャップを形成する副磁部をさらに備える、ことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカ。
【請求項7】
前記副磁部は、前記磁気ヨークに固設された第3磁石と、前記第3磁石と前記フレームとの間に固設された副ポールプレートとを備える、ことを特徴とする請求項6に記載の同軸スピーカ。
【請求項8】
前記第2振動膜は、内膜体と、前記内膜体を取り囲んで設置された外膜体及び骨格とを備え、前記骨格は、前記内膜体と前記外膜体とを接続するプレート部と、前記プレート部から前記外磁気ギャップに延在して形成されかつ前記第2ボイスコイルに接続された第1接続部とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の同軸スピーカ。
【請求項9】
前記骨格は、前記プレート部から延在して形成されかつ前記第1接続部と間隔を隔てて設置される第2接続部をさらに備え、前記振動システムは、弾性支持部材をさらに備え、前記弾性支持部材は、一端が前記第2接続部に接続され、その他端が前記フレームに接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の同軸スピーカ。
【請求項10】
前記磁気回路システムの両対向側にはいずれも固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁と前記第3振動膜の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の同軸スピーカ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特に同軸スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸スピーカは、2つのスピーカユニットが集積されかつ2つのスピーカユニットが同軸に設けられたスピーカを指す。同軸スピーカの2つのスピーカユニットの音源は、同軸スピーカの正面に位置してもよく、すなわち2つのスピーカユニットの発音方向が同じであり、同軸スピーカの表裏面に位置してもよく、すなわち2つのスピーカユニットの発音方向が異なる。
【0003】
関連技術における同軸スピーカの2つのスピーカユニットは、それぞれ独立した振動システムと磁気回路システムとを備える。一般的に、2つのスピーカユニットのうちの一つは、高音の発音に用いられ、もう一つは低音の発音に用いられる。しかしながら、関連技術における同軸スピーカは、受話器の動作時における正面での音漏れを効果的に低減してプライバシー通話機能を実現することができない。
【0004】
したがって、上記問題を解決するために、新たな同軸スピーカを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、受話器の動作時における正面での音漏れを効果的に低減しかつプライバシー通話機能を実現できる同軸スピーカを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は同軸スピーカを提供して、当該同軸スピーカは、フレーム、前記フレームに固定保持された振動システム及び磁気回路システムを備え、前記振動システムは、振動膜及びボイスコイルを備え、前記磁気回路システムは、伝達チャンバ、前記伝達チャンバを取り囲んで設置された内磁気ギャップ及び前記内磁気ギャップを取り囲んで設置された外磁気ギャップを備え、前記内磁気ギャップは、間隔を隔てて設置される第1磁気ギャップ及び第2磁気ギャップを備え、前記伝達チャンバは、前記磁気回路システムを貫通し、前記振動膜は、第1振動膜と、前記第1振動膜を取り囲んで設置された第2振動膜と、第1振動膜とは逆位相で振動する第3振動膜とを備え、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記磁気回路システムに固定され、前記第2振動膜の外周縁は、前記フレームに固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気回路システムの前記第1振動膜から離反する側に固定され、かつ前記第1振動膜及び前記第3振動膜は、前記伝達チャンバを密閉し、前記ボイスコイルは、前記第1磁気ギャップに挿入されかつ前記第1振動膜の振動を駆動する第1ボイスコイルと、前記外磁気ギャップに挿入されかつ前記第2振動膜の振動を駆動する第2ボイスコイルと、前記第2磁気ギャップに挿入されかつ前記第3振動膜の振動を駆動する第3ボイスコイルとを備える。
【0007】
好ましくは、前記磁気回路システムは、磁気ヨーク及び前記外磁気ギャップにより囲まれた主磁部を備え、前記主磁部は、前記磁気ヨークに固設された第1磁石、前記第1磁石の前記第1振動膜に向かう側に設置された第2磁石及び主ポールプレートを備え、前記第1磁石には第1貫通孔が貫設され、前記第2磁石には第2貫通孔が貫設され、前記主ポールプレートは、壁部と、前記壁部に接続されかつ前記第1磁石と前記第2磁石との間に介設された板部とを備え、前記壁部は、一端が前記第1貫通孔に挿入されかつ前記第1貫通孔を前記第2磁気ギャップと第1チャンバに区画し、その他端が前記第2貫通孔に挿入されかつ前記第2貫通孔を前記第1磁気ギャップと第2チャンバに区画し、前記磁気ヨークには第3貫通孔が貫設され、前記伝達チャンバは、前記第3貫通孔、前記第1チャンバ及び前記第2チャンバを含む。
【0008】
好ましくは、前記壁部は、前記第1貫通孔に挿入された第1壁部と、前記第2貫通孔に挿入された第2壁部とを備え、前記板部は、前記第1壁部から延在して形成されかつ前記第1磁石に固設された第1板部と、前記第2壁部から延在して形成されかつ前記第1板部と前記第2磁石との間に固設された第2板部とを備える。
【0009】
好ましくは、前記第1壁部は、連続的な環状構造であり、及び/又は、前記第2壁部は、連続的な環状構造である。
【0010】
好ましくは、前記第1振動膜の外周縁と前記第2振動膜の内周縁は、いずれも前記第2磁石に固定され、前記第3振動膜の外周縁は、前記磁気ヨークの前記主磁石から離反する側に固定される。
【0011】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記磁気ヨークと前記フレームとの間に固設されかつ前記主磁部と間隔を隔てて前記外磁気ギャップを形成する副磁部をさらに備える。
【0012】
好ましくは、前記副磁部は、前記磁気ヨークに固設された第3磁石と、前記第3磁石と前記フレームとの間に固設された副ポールプレートとを備える。
【0013】
好ましくは、前記第2振動膜は、内膜体、前記内膜体を取り囲んで設置された外膜体及び骨格を備え、前記骨格は、前記内膜体と前記外膜体とを接続するプレート部と、前記プレート部から前記外磁気ギャップに延在して形成されかつ前記第2ボイスコイルに接続された第1接続部とを備える。
【0014】
好ましくは、前記骨格は、前記プレート部から延在して形成されかつ前記第1接続部と間隔を隔てて設置される第2接続部をさらに備え、前記振動システムは、弾性支持部材をさらに備え、前記弾性支持部材は、一端が前記第2接続部に接続され、その他端が前記フレームに接続される。
【0015】
好ましくは、前記磁気回路システムの両対向側にはいずれも固定枠が固設され、前記第1振動膜の外周縁と前記第3振動膜の外周縁は、前記固定枠の内壁に固定される。
【発明の効果】
【0016】
関連技術に比べて、本発明が提供する同軸スピーカは、第1振動ユニット及び第3振動ユニットの逆位相振動によって逆位相音波を提供し、これによって、同軸スピーカが遠場で逆位相音波によって相殺され、第1振動ユニット受話器の動作時の音漏れを低減してプライバシー通話機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の提供する同軸スピーカの分解図である。
図2図1に示す同軸スピーカにおける主ポールプレートの構成を示す模式図である。
図3図1に示す同軸スピーカにおける骨格の構成を示す模式図である。
図4図1に示す同軸スピーカの組み立て後の構成を示す模式図である。
図5図4に示す同軸スピーカのA-A方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態における図面を参照して、本発明の実施形態における技術案を明確かつ完全に説明するが、説明された実施形態は、本発明の実施形態の一部だけであり、全ての実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当該分野の当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0019】
図1図5に示すように、同軸スピーカは、フレーム1と、フレーム1に固定保持された振動システム3及び磁気回路システム5とを備える。
【0020】
振動システム3は、振動膜6及びボイスコイル7を備え、ボイスコイル7は、振動膜6の振動発音を駆動する。
【0021】
振動膜6は、第1振動膜61と、第1振動膜61を取り囲んで設置された第2振動膜63と、第1振動膜61とは逆位相で振動する第3振動膜65とを備える。第1振動膜61の外周縁と第2振動膜63の内周縁は、いずれも磁気回路システム5に固定され、第2振動膜63の外周縁は、フレーム1に固定され、第3振動膜65の外周縁は、磁気回路システム5の第1振動膜61から離反する側に固定される。
【0022】
ボイスコイル7は、第1振動膜61の振動を駆動する第1ボイスコイル71と、第2振動膜63の振動を駆動する第2ボイスコイル73と、第3振動膜65の振動を駆動する第3ボイスコイル75とを備える。ここで、第1振動膜61と第1ボイスコイル71は、第1振動ユニットを構成し、第2振動膜63と第2ボイスコイル73は、第2振動ユニットを構成し、第3振動膜65と第3ボイスコイル75は、第3振動ユニットを構成し、かつ第1振動ユニットと第2振動ユニットは、同軸スピーカの同じ側に発音し、第3振動ユニットは、同軸スピーカの他方側に発音する。
【0023】
ここで、第1振動膜61、第2振動膜63、第3振動膜65、第1ボイスコイル71、第2ボイスコイル73及び第3ボイスコイル75は、いずれも同軸に設置される。このようにすることで、振動システム3の各振動ユニットを同軸に設置することができる。
【0024】
なお、第1ボイスコイル71による駆動で、第1振動膜61の振動によって生成された音声は、第1オーディオ範囲を有し、第2ボイスコイル73による駆動で、第2振動膜63の振動によって生成された音声は、第2オーディオ範囲を有し、第3ボイスコイル75による駆動で、第3振動膜65の振動によって生成された音声は、第1オーディオ範囲を有する。このようにして、同軸スピーカの周波数帯域範囲を大きくすることができる。同時に、第1振動膜61と第3振動膜65はそれぞれ磁気回路システム5の相対する両側に設置され、かつ第1振動膜61と第3振動膜65は互いに逆位相で振動するため、遠場で第1振動ユニット及び第3振動ユニットの逆相位振動によって逆位相音波を提供して相殺し、第1振動ユニット受話器の動作時の音漏れを低減して、プライバシー通話機能を実現することができる。ここで、第1振動ユニットが受話器として動作するとき、第3振動ユニットは、アクティブノイズ低減ユニットとして動作する。
【0025】
本実施例において、好ましくは、第1オーディオ範囲は、高周波オーディオ(すなわち、第1振動膜61及び第3振動膜65は高周波音響効果を提供する)であり、第2オーディオ範囲は、低周波オーディオ(すなわち、第2振動膜63は低周波音響効果を提供する)である。
【0026】
磁気回路システム5は、伝達チャンバ5Aと、伝達チャンバ5Aを取り囲んで設けられた内磁気ギャップ5Bと、内磁気ギャップ5Bを取り囲んで設けられた外磁気ギャップ5Cとを備える。内磁気ギャップ5Bは、間隔を隔てて設置される第1磁気ギャップ5B1と第2磁気ギャップ5B3を備える。ここで、伝達チャンバ5Aは、磁気回路システム5を貫通し、第1ボイスコイル71は、第1磁気ギャップ5B1に挿入され、第2ボイスコイル73は、外磁気ギャップ5Cに挿入され、第3ボイスコイル75は、第2磁気ギャップ5B3に挿入され、かつ第1振動膜61及び第3振動膜65は、伝達チャンバ5Aを密閉する。第1振動膜61及び第3振動膜65は、伝達チャンバ5Aを密封するため、第1振動膜61及び第3振動膜65は、第1オーディオユニットの防水性を保証することもできる。
【0027】
具体的には、磁気回路システム5は、磁気ヨーク51と、外磁気ギャップ5Cで囲まれた主磁部53と、磁気ヨーク51とフレーム1との間に固設されかつ主磁部53と間隔を隔てて外磁気ギャップ5Cを形成する副磁部55とを備える。
【0028】
磁気ヨーク51には、第3貫通孔511が貫設されている。
【0029】
主磁部53は、磁気ヨーク51に固設された第1磁石531と、第1磁石531の第1振動膜61に向かう側に設置された第2磁石533と、主ポールプレート535とを備える。
【0030】
本実施例では、第1振動膜61の外周縁と第2振動膜63の内周縁は、いずれも第2磁石533に固定され、第3振動膜65の外周縁は、磁気ヨーク51の主磁石53から離反する側に固定される。
【0031】
第1磁石531には、第1貫通孔532が貫設されている。すなわち、第1磁石531は連続的環状構造を呈する。
【0032】
第2磁石533には、第2貫通孔534が貫設されている。すなわち、第2磁石533は連続的環状構造を呈する。
【0033】
主ポールプレート535は、壁部536と、壁部536に接続されかつ第1磁石531と第2磁石533との間に介設された板部537とを備え、壁部536は、一端が第1貫通孔532に挿入されかつ前記第1貫通孔532を第2磁気ギャップ5B3と第1チャンバ5Dに区画し、その他端が第2貫通孔534に挿入されかつ第2貫通孔534を第1磁気ギャップ5B1と第2チャンバ5Eに区画する。ここで、伝達チャンバ5Aは、第3貫通孔511、第1チャンバ5D及び第2チャンバ5Eを含む。
【0034】
図2及び図5に示すように、壁部536は、第1貫通孔532に挿入された第1壁部53Aと、第2貫通孔534に挿入された第2壁部53Bとを備え、板部537は、第1壁部53Aから延在して形成されかつ第1磁石531に固設された第1板部53Cと、第2壁部53Bから延在して形成されかつ第1板部53Cと第2磁石533との間に固設された第2板部53Dとを備える。すなわち、主ポールプレート535は、2つの単独のポールプレートで構成される。
【0035】
本実施例では、第1壁部53Aと第2壁部53Bは、いずれも連続的環状構造である。すなわち、第2磁気ギャップ5B3と第1チャンバ5Dとの間は、第1壁部53Aによって隔てられ、第1磁気ギャップ5B1と第2チャンバ5Eとの間は、第2壁部53Bによって隔てられ、伝達チャンバ5Aは、第3貫通孔511、第1チャンバ5D及び第2チャンバ5Eを含み、第1磁気ギャップ5B1及び第2磁気ギャップ5B3を含まない。理解されるように、他の実施形態では、第1壁部53Aと第2壁部53Bは、いずれも間隔を隔てて設置される複数の分割構造で構成されてもよい。すなわち、第2磁気ギャップ5B3と第1チャンバ5Dとの間は、第1壁部53Aの各分体間のギャップを介して連通してもよく、第1磁気ギャップ5B1と第2チャンバ5Eとの間は、第2壁部53Bの各分体間のギャップを介して連通してもよく、伝達チャンバ5Aは、第3貫通孔511、第1チャンバ5D及び第2チャンバ5Eに加えて、第1磁気ギャップ5B1及び第2磁気ギャップ5B3を含む。
【0036】
副磁部55は、磁気ヨーク51に固設された第3磁石551と、第3磁石551とフレーム1との間に固設された副ポールプレート553とを備える。すなわち、磁気回路システム5は、副ポールプレート553がフレーム1に固定されることによって、フレーム1との固定を図ることができる。
【0037】
ここで、第1磁石531、第2磁石533、第3磁石551は、いずれも振動膜6の振動方向に沿って着磁され、かつ第1磁石531と第2磁石533は、同極が対向するように設けられ、第1磁石531と第3磁石551の着磁方向が逆である。
【0038】
なお、第1磁石531、第2磁石533及び第3磁石551は、人工磁性鋼であってもよく、天然磁石で加工して形成されてもよい。主ポールプレート535及び副ポールプレート553は、いずれも導磁材料で製造される。
【0039】
なお、磁気回路システム5は、上記構造に限定されず、例えば、他の実施形態では、副磁部55を設けなくてもよく、それに応じて、磁気回路システム5は、磁気ヨーク51がフレーム1に固定されることによって、フレーム1との固定を実現することができ、又は、外磁気ギャップは、磁気ヨークと主磁石との間隔で形成されてもよく、具体的には、磁気ヨークは、第1磁石531に固設される底壁と、底壁から延在して形成されかつ主磁石と間隔を隔てて外磁気ギャップを形成する側壁とを含むように設けられる。
【0040】
図3及び図5に示すように、第2振動膜63は、内膜体631と、内膜体631を取り囲んで設置された外膜体633及び骨格635とを備え、骨格635は、内膜体631と外膜体633とを接続するプレート部637と、プレート部637から外磁気ギャップ5Cに延在して形成されかつ第2ボイスコイル73に接続された第1接続部638とを備える。ここで、内膜体631の内周縁は、第2磁石533に固定され、外膜体633の外周縁は、フレーム1に固定される。
【0041】
図3及び図5に示すように、骨格635は、プレート部637から延在して形成され、かつ第1接続部638と間隔を隔てて設置される第2接続部639をさらに備え、振動システムは、弾性支持部材8をさらに備え、弾性支持部材8は、一端が第2接続部639に接続され、その他端がフレームに接続される。
【0042】
本実施例では、弾性支持部材8は2つ設置され、かつ2つの弾性支持部材8は、同軸スピーカの長手方向に沿って間隔を隔てて設置される。このようにすることで、弾性支持部材8によって第2ボイスコイル73の長手方向における揺動を抑制することができ、発音品質を向上させる。
【0043】
弾性支持部材8は、フレーム1の第2振動膜63から離れる側に固設され、かつ第2ボイスコイル73に電気的に接続されたフレキシブル回路板81と、フレキシブル回路板81の第2振動膜63から離れる側に固設された補助振動膜83とを備える。
【0044】
本実施例では、磁気回路システム5の両対向側にはいずれも固定枠57が固設され、第1振動膜61の外周縁と第3振動膜65の外周縁は、固定枠57の内壁に固定される。具体的には、第2磁石533の第1磁石531から離反する側に一つの固定枠57が固定され、磁気ヨーク51の第1磁石531から離反する側にも一つの固定枠57が固定されている。すなわち、第1振動膜61及び第3振動膜65は、いずれも固定枠57を介して磁気回路システム5に間接的に固定され、このようにすることで、第1振動膜61と第3振動膜65の相対する両側にはいずれも十分な振動スペースを有するようになって、第2磁石533と磁気ヨーク51において第1振動膜61と第3振動膜65の振動を退避する構造を設けることを避けることができ、これによって、第2磁石533の体積及び磁気ヨーク51の導磁性を増加して内磁気ギャップ5B及び外磁気ギャップ5C内の磁界強度を増加することに有利となる。
【0045】
なお、第1振動膜61及び第3振動膜65の相対する両側にはいずれも十分な振動スペースを有するため(すなわち、第1振動膜61及び第3振動膜65がいずれも磁気回路システムとの間に一定のギャップを有する)、本実施例では、伝達チャンバ5Aは、第1振動膜61と磁気回路システム5との間のスペース、及び第3振動膜65と磁気回路システム5との間のスペースを含む。
【0046】
本実施例では、第1振動膜61と第3振動膜65は、同じ構造を備える。第3振動膜65を例として、第3振動膜65は、第3膜体651及び第3ドーム部653を備え、第3膜体651の外周縁は、固定枠57の内壁に固定され、第3膜体653の外周縁は、第3ドーム部653に固定される。
【0047】
上記したのは、本発明の実施形態だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱しない範囲において種々変更可能であるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5