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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】角形鋼管柱の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240815BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E04B1/58 503H
E04B1/24 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023033979
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2019032035の分割
【原出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2023065637
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-141007(JP,A)
【文献】特開2001-288814(JP,A)
【文献】特開2002-106065(JP,A)
【文献】特開2006-070669(JP,A)
【文献】特開2011-052482(JP,A)
【文献】特開2017-115493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/21
E04B 1/24
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端の少なくとも2面が突出するように第1の切欠き部が設けられ、前記第1の切欠き部によって切り欠かれた第1のフランジを含む第1の角形鋼管柱と、
一端の少なくとも1面が突出するように第2の切欠き部が設けられ、前記第2の切欠き部によって突出する第2のフランジを含む第2の角形鋼管柱と、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジと接する第1の添え板と、を有し、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第2のフランジに第1の開口部を有し、
前記第1の角形鋼管柱と前記第2の角形鋼管柱とは、前記第1のフランジと前記第2のフランジとが上下に隣接するように突き合わされた状態で、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジが、前記第1の添え板によってボルト接合された第1の接合部を含み、
前記第1の開口部が前記第1の添え板に隣接している
ことを特徴とする角形鋼管柱の接合構造。
【請求項2】
前記1の角形鋼管柱は、前記第1の切欠き部によって突出する第3のフランジを含み、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第2の切欠き部によって切り欠かれた第4のフランジを含み、
前記第3のフランジ及び前記第4のフランジと接する第2の添え板を有し、
前記第1の角形鋼管柱は、前記第3のフランジに第2の開口部を有し、
前記第3のフランジと前記第4のフランジが上下に隣接するように配置され、前記第3のフランジ及び前記第4のフランジが、前記第2の添え板によってボルト接合された第2のボルト接合部をさらに含み、
前記第2の開口部が前記第2の添え板に隣接している、
請求項1に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項3】
前記第1の角形鋼管柱は、前記第1の切欠き部によって切り欠かれた第5のフランジを含み、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第2の切欠き部によって突出する第6のフランジを含み、
前記第5のフランジ及び前記第6のフランジと接する第3の添え板を有し、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第6のフランジに第3の開口部を有し、
前記第5のフランジと前記第6のフランジとが上下に隣接するように配置され、前記第5のフランジ及び前記第6のフランジが、前記第3の添え板によってボルト接合された第3のボルト接合部をさらに含み、
前記第3の開口部が前記第3の添え板に隣接している、
請求項2に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項4】
前記1の角形鋼管柱は、前記第1の切欠き部によって突出する第7のフランジを含み、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第2の切欠き部によって切り欠かれた第8のフランジを含み、
前記第7のフランジ及び前記第8のフランジと接する第4の添え板を有し、
前記第1の角形鋼管柱は、前記第7のフランジに第4の開口部を有し、
前記第7のフランジと前記第8のフランジが上下に隣接するように配置され、前記第7のフランジ及び前記第8のフランジが、前記第4の添え板によってボルト接合された第4のボルト接合部をさらに含み、
前記第4の開口部が前記第4の添え板に隣接している、
請求項3に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項5】
前記第1のフランジと前記第5のフランジとが、前記第1の角形鋼管柱の隣接する面に配置され、
前記第2のフランジと前記第6のフランジとが、前記第2の角形鋼管柱の隣接する面に配置されている、
請求項4に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項6】
前記第1のフランジと前記第5のフランジとが、前記第1の角形鋼管柱の対向する面に配置され、
前記第2のフランジと前記第6のフランジとが、前記第2の角形鋼管柱の対向する面に配置されている、
請求項4に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項7】
前記第1の角形鋼管柱は、前記第1の切欠き部によって突出する第5のフランジと第7のフランジとを含み、
前記第2の角形鋼管柱は、前記第2の切欠き部によって切り欠かれた第6のフランジと第8のフランジとを含み、
前記第5のフランジ及び前記第6のフランジと接する第3の添え板と、前記第7のフランジ及び前記第8のフランジと接する第4の添え板と、を有し、
前記第1の角形鋼管柱は、前記第5フランジに第3の開口部を有し、前記第7フランジに第4の開口部を有し、
前記第5のフランジと前記第6のフランジとが上下に隣接するように配置され、
前記第7のフランジと前記第8のフランジが上下に隣接するように配置され、
前記第5のフランジ及び前記第6のフランジが、前記第3の添え板によってボルト接合された第3のボルト接合部と、前記第7のフランジ及び前記第8のフランジが、前記第4の添え板によってボルト接合された第4のボルト接合部と、をさらに含み、
前記第3の開口部が前記第3の添え板に隣接し、前記第4の開口部が第4の添え板に隣接している、
請求項2に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項8】
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジと、前記第1の添え板の幅が略同一である、
請求項1に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項9】
前記第1の添え板が、前記1のフランジ及び前記第2のフランジの外側から接し、
前記第1の添え板に対向して、前記1のフランジ及び前記第2のフランジに前記第1の角形鋼管柱及び前記第2の角形鋼管柱の内側から、前記第1の添え板に対向して前記1のフランジ及び前記第2のフランジに接する添え板をさらに含む、
請求項1に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項10】
前記第1の開口部と前記第2の開口部、及び前記第3の開口部と前記第4の開口部とは、前記第1の角形鋼管柱及び前記第2の角形鋼管柱の長手方向における位置が異なっている、
請求項5又は6に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【請求項11】
前記第1の開口部と、前記第2の開口部、前記第3の開口部、及び前記第4の開口部とは、前記第1の角形鋼管柱及び前記第2の角形鋼管柱の長手方向における位置が異なっている、
請求項7に記載の角形鋼管柱の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、建造物に用いられる角形鋼管柱の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
施工現場において、鉄骨部材を接合する方法として溶接接合とボルト接合が用いられている。溶接接合は、十分な強度を確保することができる反面、高度な技能と作業時間を要し、品質及び性能も作業者の技量の影響を受ける。これに対し、ボルト接合は、工期の短縮を図ることができ、品質管理が容易であるという利点を有する。ボルト接合は、例えば、鋼管柱とH型鋼との接合、鋼管柱同士を接合する方式が開示されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-179702号公報(特許第3122209号)
【文献】特開2004-293196号公報(特許第4038449号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄骨部材をボルト接合する場合、H型鋼のような開断面形状を有する部材であれば、容易にボルト接合をすることができる。しかし、角形鋼管柱のような閉断面の場合、ボルト接合が容易に施工できないという問題がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、このような課題を解決するための角形鋼管柱の接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の接合構造は、第1の角形鋼管柱の一端に設けられた第1のボルト孔を含む第1のフランジと、第1のフランジに隣接する第1の角形鋼管柱の角部に設けられた第1の切欠き部と、第2の角形鋼管柱の一端に設けられた第2のボルト孔を含む第2のフランジと、第2のフランジに隣接する第2の角形鋼管柱の角部に設けられた第2の切欠き部と、第1のフランジ及び第2のフランジのそれぞれの一方の面と接し、第1のボルト孔に対応する位置に第3のボルト孔が設けられ、第2のボルト孔に対応する位置に第4のボルト孔が設けられた第1の添え板と、を有する。第1の角形鋼管柱の一端と第2の角形鋼管柱の一端とが突き合わされた状態で、第1の切欠き部と第2の切欠き部とで開口部が形成され、第1の角形鋼管柱と第2の角形鋼管柱とは、第1のフランジ、第2のフランジ、及び第1の添え板を用いてボルト接合されている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の接合構造は、第1の角形鋼管柱の一端を塞ぐ第1のダイアフラムと、第1の角形鋼管柱の各側面に対応し、各角部に間隙を形成するように配置され、且つ第1のボルト孔をそれぞれ含む複数の第1のフランジと、第2の角形鋼管柱の一端を塞ぐ第2のダイアフラムと、第2の角形鋼管柱の各側面に対応し且つ各角部に間隙を形成するように配置され第2のボルト孔をそれぞれ含む複数の第2のフランジと、第1のフランジ及び第2のフランジのそれぞれの一方の面と接し、第1のボルト孔に対応する位置に第3のボルト孔が設けられ、第2のボルト孔に対応する位置に第4のボルト孔が設けられた第1の添え板と、を有する。第1の角形鋼管柱の一端と第2の角形鋼管柱の一端とが対向配置され、第1のフランジの一端と第2のフランジの一端とが突き合わされた状態で、複数の第1のフランジと複数の第2のフランジとは、第1の角形鋼管柱及び第2の角形鋼管柱の角部に対応して複数の開口部を形成し、第1の角形鋼管柱と第2の角形鋼管柱とは、第1のフランジ、第2のフランジ、及び第1の添え板を用いてボルト接合されている。
【0008】
本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の接合構造は、少なくとも一方の端部に、第1のボルト孔が設けられた第1のフランジを有し、第1のフランジ以外の領域が突出するように第1の切欠き部が設けられた第1の角形鋼管柱と、少なくとも一方の端部に、第2のボルト孔が設けられた第2のフランジを有し、第2のフランジの領域が突出するように第2の切欠き部が設けられた第2の角形鋼管柱と、第1のフランジ及び第2のフランジと接し、第1のボルト孔に対応する位置に第3のボルト孔が設けられ、第2のボルト孔に対応する位置に第4のボルト孔が設けられた第1の添え板と、を有する。第1の角形鋼管柱と第2の角形鋼管柱とは、第1の切欠き部及び第2の切欠き部が咬み合わされた状態で、第1のフランジ、第2のフランジ、及び第1の添え板によってボルト接合されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る角形鋼管の継手構造によれば、角形鋼管柱のボルト接合が容易となり、十分な曲げ剛性、曲げ強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図2図1に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図4図3に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図6図5に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図8図7に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図9図8に示す角形鋼管柱の接合構造の変形例を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図11図10に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図12】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図13図12に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示す。
図14】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図15図14に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示し、(A)は第1の角形鋼管柱の接合部の断面構造、(B)は第2の角形鋼管柱の接合部の断面構造を示す。
図16】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図17図16に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示し、(A)は第1の角形鋼管柱の接合部の断面構造、(B)は第2の角形鋼管柱の接合部の断面構造を示す。
図18】本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の斜視図を示し、(A)は展開図を示し、(B)は2つの鋼管柱の接合部を示す。
図19図18に示す角形鋼管柱の接合部における断面構造を示し、(A)は第1の角形鋼管柱の接合部の断面構造、(B)は第2の角形鋼管柱の接合部の断面構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態に係る角形鋼管柱の接合構造の概要を、図1(A)及び(B)を参照して説明する。図1(A)は、角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図1(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。なお、図1(A)において、ボルト、ナット等の締結部材は省略されている。
【0013】
図1(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102の一端に第1のフランジ104が設けられる。第1のフランジ104は、第1の角形鋼管柱102から連続する同一部材で形成される。したがって、第1のフランジ104は、第1の角形鋼管柱102の厚みと同じ厚みを有する。第1のフランジ104は、ボルトを挿通する第1のボルト孔106を含む。第1のボルト孔106は、ボルトを挿通可能な口径を有し第1のフランジ104を貫通する孔である。このような第1のボルト孔106は第1のフランジ104の面内に複数個設けられる。第1の角形鋼管柱102の断面形状は任意である。図1(A)及び(B)は、第1の角形鋼管柱102が矩形である場合を示す。この場合、第1の角形鋼管柱102の各側面に対応して第1のフランジ104が設けられる。例えば、第1の角形鋼管柱102の4つの側面に対応して、4つの第1のフランジ104が設けられる。
【0014】
第1の角形鋼管柱102は、第1のフランジ104に隣接する角部に第1の切欠き部108が設けられる。図1(A)に示すように、第1の切欠き部108は、隣接する2つの第1のフランジ104を分割するように形成される。第1の切欠き部108は、第1の角形鋼管柱102の各角部にそれぞれ設けられていることが好ましいが、対角する2つの角部に設けられていてもよく、少なくとも1つの角部に設けられていることが求められる。
【0015】
第2の角形鋼管柱112は、第1の角形鋼管柱102と同様の形態を有する。すなわち、第2の角形鋼管柱112は、一端に第2のボルト孔116が形成された第2のフランジ114が設けられ、第2のフランジ114に隣接して第2の切欠き部118が設けられる。
【0016】
第1のフランジ104と第2のフランジ114とは、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせたときに両者が相対するように、各角形鋼管柱の同じ断面位置に略同一の幅をもって設けられる。また、第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とは、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とのそれぞれの一端を突き合わせたとき、相対するそれぞれの角部に設けられる。
【0017】
図1(A)は、また、第1の添え板130と第2の添え板140とを示す。例えば、第1の添え板130は、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の外側に配置され、第2の添え板140は、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の内側に配置される。第1のフランジ104及ぶ第2のフランジ114、並びに第1の添え板130及び第2の添え板140は鉄鋼材料で形成される。例えば、これらに部材は、角形鋼管柱と同じ素材で形成されてもよい。第1の添え板130及び第2の添え板140の厚みは、第1のフランジ104と略同じ厚みを有していてもよいし、接合部100の強度を増すために第1のフランジ104より厚みが大きくてもよい。さらには、第1の添え板130及び第2の添え板140の厚みの合計が第1のフランジ104の厚み以上となるのであれば、第1の添え板130及び第2の添え板140それぞれの厚さは、第1のフランジ104より薄くともよい。この結果、地震力により柱に損傷が生じても、第1の角形鋼管柱102における塑性変形の能力を十分発揮させることが可能である。第1の添え板130は、第1のボルト孔106に対応する位置に第3のボルト孔132が設けられ、第2のボルト孔116に対応する位置に第4のボルト孔134を有する。第1の添え板130及び第2の添え板140は、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせたとき、第1のフランジ104と第2のフランジ114の両方を覆うことのできる大きさを有する。なお、第1の添え板130及び第2の添え板140は、第1のフランジ104と第2のフランジ114とを連接するように設けられていればよく、複数に分割されていてもよい。例えば、第1の添え板130及び第2の添え板140の一方又は双方は、長手方向に2以上の部材に分割されていてもよい。また、第1の添え板130及び第2の添え板140の一方は省略されてもよい。例えば、第1の添え板130及び第2の添え板140の一方のみによって十分が接合強度を確保することができる場合は、他方の添え板を省略してもよい。
【0018】
図1(B)は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とをボルト接合した状態を示す。接合部100では、第1の添え板130と第2の添え板140とは、第1のフランジ104及び第2のフランジ114を挟み、第1のボルト孔106、第3のボルト孔132、及び第5のボルト孔142が連通し、第2のボルト孔132、第4のボルト孔134、及び第6のボルト孔144が連通するように配置される。そして、連通するこれらのボルト孔にボルトが挿通され、ナットにより締結される。
【0019】
図2は、図1(B)において、矢印A1で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。接合部100は、第1の角形鋼管柱102の各面に設けられる。図2は、第1の角形鋼管柱102の各面に形成された接合部100を、時計回りに第1の接合部100a、第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dとして示す。第1の接合部100aにおいて、第1のフランジ104aは、第1の添え板130aと第2の添え板140aによって挟まれる。そして、第1のボルト孔106a、第3のボルト孔132a、第5のボルト孔142aにボルト122が挿通されナット124により締結される。接合部100においては、第1のフランジ104と第1の添え板130及び第2の添え板140が複数箇所でボルト締めされる。このような構造は、第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dについても同様である。
【0020】
第1の角形鋼管柱102は、角部に第1の切欠き部108a、108b、108c、108dを有する。第1の切欠き部108a、108b、108c、108dに対応して第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dが形成される。すなわち、第1の接合部100aと第2の接合部100bとの間には第1の開口部120aが形成され、第2の接合部100bと第3の接合部100cとの間には第2の開口部120bが形成され、第3の接合部100cと第4の接合部100dとの間には第3の開口部120cが形成され、第4の接合部100dと第1の接合部100aとの間には第4の開口部120dが形成される。これらの第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dは、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の内側の空間と外側の空間とを連接する。
【0021】
図1(B)に示すように、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせ、両者をフランジ及び添え板によって接合した状態では、第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とが結合され、一つの開口部120が形成される。
【0022】
図1(B)及び図2に示すように、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の幅と、第1の添え板130及び第2の添え板140の幅は略同一に設けることができる。または、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の幅に対し、第1の添え板130及び第2の添え板140の幅が狭くなるように設けることもできる。また、図1(B)に示すように、開口部120の第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の長手方向に沿った長さは、第1の添え板130の長手方向の長さより長く形成することができる。換言すれば、第1の添え板130及び第2の添え板140のそれぞれの長手方向の長さは、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の合計長さより短くすることができる。第1のフランジ104及び第2のフランジ114と第1の添え板130及び第2の添え板140とは、このような寸法関係を有することにより、接合部100の強度を維持しつつ、開口部120が小さくなることを防止することができる。
【0023】
本実施形態に係る角形鋼管柱の接合構造は、角形鋼管柱の角部に対応して開口部120を有することにより、接合部100を容易に作製することができる。すなわち、作業者は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とを接合するとき、施工現場において、開口部120を使って内側からボルト122をボルト孔に差し込み、ボルト接合を形成することが容易となる。開口部120の高さは、第1のフランジ104の長さ(角形鋼管柱の長手方向の長さ)と第2のフランジ114の長さ(同)との合計長さと同程度にすることができ、開口部120の幅は、角形鋼管柱の太さに応じて適宜設定することができる。そのため、作業者が角形鋼管柱の内側に工具等を入れて作業するのに十分な大きさの開口部120を設けることができる。
【0024】
本実施形態によれば、第1のフランジ104に隣接する角部に第1の切欠き部108を設け、第2のフランジに隣接する角部に第2の切欠き部118を設け、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とを接合する際に第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とを連結させて開口部120を形成することで、ボルト接合の作業を容易にすることができる。それにより、角形鋼管柱を接合するとき、溶接接合によらず施工が容易で、品質の高いボルト接合を形成することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112の双方に切欠き部を設ける構成を示すが、本発明はこのような態様に限定されず、施工性に影響を与えない場合には(十分な口径の開口部が得られる場合には)、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の一方のみに切欠き部が設けられた構成であってもよい。設計上十分な接合強度が確保される場合には、第1の添え板130及び第2の添え板140の一方が省略されてもよい。また、開口部120は、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の各角部に対応して設けられていなくてもよく、一部の角部に対応して設けられていてもよい。
【0026】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態で示す角形鋼管柱の接合構造に、ウエブが付加された構成を示す。
【0027】
図3(A)は、本実施形態形態に係る角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図3(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。また、図4は、接合部の断面図を示す。以下においては、第1の実施形態と相違する部分について説明する。
【0028】
図3(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102の内側に、第1のフランジ104と接続される第1のウエブ150が設けられる。第2の角形鋼管柱112も同様に、第2のフランジ114と接続される第2のウエブ160が設けられる。図3(B)に示すように、第1のウエブ150及び第2のウエブ160は、接合部100において開口部120を塞がない位置に設けられる。
【0029】
図4は、図3(B)において、矢印A2で示す部位を断面視したときの接合部100の構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。本実施形態において、接合部100にはフランジに加えウエブが設けられる。図4に示すように、第1のウエブ150は板状部材で十字状に形成されていてもよい。このような形状とすることで、第1のウエブ150は、第1の角形鋼管柱102の各側面に対応して配置される第1のフランジ104a、104b、104c、104dと接続することができる。この場合、第2の添え板140は、第1のウエブ150と干渉しないように複数に分割されていてもよい。第1のウエブ150が第1のフランジ104と接続される位置をボルト孔と重ならないようにすることで、第2の添え板140を第1のフランジ104に取り付けることができ、確実にボルト締めすることができる。なお、第1の添え板130も、第2の添え板140と同様に複数に分割されていてもよい。
【0030】
第1のウエブ150と第1のフランジ104との接続は、例えば、溶接により行うことができる。第1のフランジ104a、104b、104c、104dに第1のウエブ150を接続することで、第1の接合部100a、第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dの機械的な強度を高めることができる。例えば、接合部100に作用する剪断力に対する耐性を高めることができる。このような構成は、第2の角形鋼管柱112における第2のウエブ160bについても同様である。
【0031】
また、ウエブに対して添え板を設け、ボルト締めをしてもよい。図5(A)は、ウエブがボルト締めされた角形鋼管柱の展開図を示し、図5(B)はウエブがボルト締めされた角形鋼管柱の接合部の斜視図を示し、図6は、接合部の断面図を示す。
【0032】
図5(A)に示すように、第1のウエブ150は第7のボルト孔152が設けられ、第2のウエブ160は第8のボルト孔162が設けられる。第3の添え板154及び第4の添え板164は、第1のウエブ150及び第2のウエブ160の両方を挟むように設けられる。第3の添え板154には第9のボルト孔156が設けられ、第4の添え板164には第10のボルト孔166が設けられる。
【0033】
第3の添え板154及び第4の添え板164は、第2の添え板140よりも内側に配置される。第1のウエブ150及び第2のウエブ160が十字状の形状を有する場合、第3の添え板154及び第4の添え板164は、少なくとも2箇所、好ましくは4箇所に設けられる。この場合、第1の角形鋼管柱102の第1の切欠き部108及び第2の角形鋼管柱112に設けられる第2の切欠き部118は、各鋼管柱の角部に対応して4箇所設けられていることが好ましい。
【0034】
図5(B)は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とをボルト接合した状態を示す。ボルト接合された接合部は、角形鋼管柱の第1のフランジ104及び第2のフランジ114が設けられる領域と、角形鋼管柱の内側のウエブが設けられる領域の2つの領域に形成される。これにより、本実施形態による接合構造は、接合強度をより高めることが可能となる。
【0035】
図6は、図5(B)において、矢印A3で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。図6に示すように、第1のウエブ150は、第3の添え板154及び第4の添え板164に挟まれる。そして、第7のボルト孔152、第9のボルト孔156、及び第10のボルト孔166にボルト122が挿通されナット124により締結される。これにより、角形鋼管柱の内側に、接合部100e、100f、100g、100hが形成される。この場合、第1の角形鋼管柱102の各角部に対応して、第1の切欠き部108によって第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dが形成されているため、ボルト接合を形成する作業を容易に行うことができる。例えば、接合部100eを形成するために、作業者は、第1の開口部120aと第4の開口部120dから工具等を入れてボルト締めの作業を行うことができる。
【0036】
本実施形態によれば、第1の角形鋼管柱102の内側に、第1のウエブ150を設け第1のフランジと接続し、第2の角形鋼管柱112の内側に、第2のウエブ160を設け第2のフランジ114と接続することで、接合部100の強度を高めることができる。さらに、第1のウエブ150に第7のボルト孔152を設け、第2のウエブ160に第8のボルト孔162を設け、第7のボルト孔152及び第8のボルト孔162に対応する位置にボルト孔が設けられた第3の添え板154及び第4の添え板164で第1のウエブ150及び第2のウエブ160を挟んでボルト締めすることで、接合部100の強度をより高めることができる。この場合において、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の各角部を切欠き、開口部120を形成することで、ボルト締めをするときの作業を容易に行うことができる。すなわち、角形鋼管柱の内側にボルト接合部を形成するときに、作業者は開口部を使ってボルト締めすることができるので、施工時の作業性を高めることができる。
【0037】
[第3の実施形態]
本実施形態は、角形鋼管柱の接合部の構成が第1の実施形態と異なる態様を示す。以下においては、第1の実施形態と相違する部分について説明する。
【0038】
図7(A)は、本実施形態に係る角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図7(B)は接合部の斜視図を示す。第1の角形鋼管柱102は、一端に第1のダイアフラム126が設けられる。第1のダイアフラム126は、第1の角形鋼管柱102の開放端を塞ぐように設けられる。第1のダイアフラム126を形成する材料は任意であるが、第1の角形鋼管柱102と同じ素材で形成されることが好ましい。第1のダイアフラム126は、平板状の形態を有し主面が第1の角形鋼管柱102の開放端を塞ぐように設けられる。第1のダイアフラム126は、例えば、溶接により第1の角形鋼管柱102と接合される。
【0039】
第1のフランジ104は、第1のダイアフラム126に設けられる。第1のフランジ104は、第1のダイアフラム126の主面に立設するように設けられる。第1のダイアフラム126は、第1の角形鋼管柱102の各側面に対応するように設けられる。第1の角形鋼管柱102が矩形である場合、第1のフランジ104は各側面に対応するように設けられる。第1のフランジ104は、例えば、第1のダイアフラム126と溶接により接合される。
【0040】
なお、図示されないが、第1のフランジ104は、第1の角形鋼管柱102の断面形状によらず任意の数で配設することができる。例えば、第1の角形鋼管柱102の断面形状が円形である場合、第1のフランジ104は4面を形成するように配置することができる。また、第1の角形鋼管柱102の断面形状が矩形であるとき、第1のダイアフラム126を三角形又は多角形(例えば、五角形、六角形等)を形成するように配置することができる。
【0041】
第1の角形鋼管柱102とは別部材で第1のダイアフラム126を設けることで、接合部100の設計の自由度を高めることができる。例えば、第1の角形鋼管柱102と第1のフランジ104の厚みを異ならせることができる。また、第1の角形鋼管柱102の厚みに比べて第1のフランジ104の厚みを大きくすることで接合部100の強度を高めることができる。また、第1のフランジ104の配置を、第1の角形鋼管柱102の外面より内側に配置することができる。それにより、接合部100の外形を第1の角形鋼管柱102の外径よりも小さくすることができ、第1の角形鋼管柱102の外面よりボルトを内側に配置させることができる。また、第1のダイアフラム126を設けることで、第1の角形鋼管柱102のフランジの座屈を抑制することができる。また,複数のフランジに応力が分散され、特定のフランジに応力が集中することを防ぐことが可能である。さらに、第1のフランジ104は、第1の角形鋼管柱102と異なる材質で設けることも可能である。例えば、第1の角形鋼管柱102及び第1のフランジ104が鉄鋼材で形成されるとき、例えば、第1のフランジ104が含有するクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)の含有量を高めた素材を用いることができる。それにより、接合部100において、高い引張強さと高いじん性の両方を高めることができる。
【0042】
以上は、第1の角形鋼管柱102の側の構成について説明したが、第2の角形鋼管柱112の構成も同様である。すなわち、第2の角形鋼管柱112は、第2のダイアフラム128、及び第2のフランジが設けられる。
【0043】
図7(A)に示すように、第1のフランジ104は第1の角形鋼管柱102の角部と重ならない位置に設けられ、第1のフランジ104は第2の角形鋼管柱112の角部に重ならないように設けられる。このようなフランジの配置により、図7(B)に示すように第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112を接合したとき、接合部100において開口部120が形成される。開口部120は、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の各角部に対応して形成することができる。
【0044】
接合部100の構成は第1の実施形態と同様である。図8は、図7(B)において矢印A4で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。図8に示すように、接合部100は、第1のダイアフラム126に固定された第1のフランジ104により第1の角形鋼管柱102の各側面に対応するように設けられる。図8は、第1のフランジ104a、第1の添え板130a、第2の添え板140aによって形成された第1の接合部100aを示す。第1の接合部100a、第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dの構成は、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0045】
図8に示すように、第1のフランジ104aと第1のフランジ104bは、第1の角形鋼管柱102の角部で突き合わないように配置される。本実施形態では図示されないが、第2の角形鋼管柱112についても同様に、第2のフランジ114の隣接するもの同士は、第2の角形鋼管柱112の角部において突き合わないように配置される。このような、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の配置により、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の角部に対応して第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dが形成される。
【0046】
図7(B)に示すように、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112とを接合すると一つの開口部120が形成される。開口部120は、角形鋼管柱の内側空間と外側空間とを連接する領域となる。このような構成により、作業者は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とを接合するとき、施工現場において、開口部120から工具等を入れてボルト接合を形成することが容易となる。
【0047】
第1のフランジ104及び第2のフランジ114と、第1の添え板130及び第2の添え板140の大きさは第1の実施形態と同様に設定することができる。すなわち、開口部120の長さ(角形鋼管柱の長手方向の長さ)と幅は第1のフランジ104及び第2のフランジ114、並びに第1の添え板130及び第2の添え板140の寸法に応じて第1の実施形態と同様に設定することができる。それにより、接合部100の強度を維持しつつ、開口部120が小さくなることを防止することができる。
【0048】
本実施形態によれば、第1の角形鋼管柱102に第1のダイアフラム126及び第1のフランジ104を設け、第2の角形鋼管柱112に第2のダイアフラム128及び第2のフランジ114を設け、第1の添え板130及び第2の添え板140を用いて両角形鋼管柱を接合する際に、第1のフランジ104及び第2のフランジ114を開口部120が形成されるように配置することで、ボルト接合の作業を容易化することができる。これにより、角形鋼管柱を接合するとき、溶接接合によらず施工が容易で、品質の高いボルト接合を形成することができる。
【0049】
なお、図9に示すように、第1のダイアフラム126は開口部127が設けられていてもよい。図9は、第1のダイアフラム126の略中央に開口部127が設けられる態様を示す。開口部127の数は限定されず、第1のダイアフラム126の中に複数設けられていてもよい。第1のダイアフラム126に開口部127が設けられることで、接合部の軽量化を図ることができ、ひいては柱体の軽量化を図ることができる。図示されないが、第2のダイアフラム128についても同様である。
【0050】
[第4の実施形態]
本実施形態は、第3の実施形態で示す角形鋼管柱の接合構造に、ウエブが付加された構成を示す。
【0051】
図10(A)は、本実施形態形態に係る角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図10(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。また、図11は、接合部の断面図を示す。以下においては、第3の実施形態と相違する部分について説明する。
【0052】
図10(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102の内側に、第1のフランジ104と接続される第1のウエブ150が設けられる。第2の角形鋼管柱112も同様に、第2のフランジ114と接続される第2のウエブ160が設けられる。第1のウエブ150は、第1のダイアフラム126に固定され、第2のウエブ160は第2のダイアフラム128に固定される。図10(B)に示すように、第1のウエブ150及び第2のウエブ160は、接合部100において開口部120を塞がない位置に固定される。
【0053】
図11は、図10(B)において矢印A5で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。図11に示すように、第1のウエブ150は、第1のダイアフラム126のみならず、第2の実施形態と同様に第1のフランジ104と固定されていてもよい。第1のウエブ150と、第1のダイアフラム126及び第1のフランジ104との固定方法は任意であるが、例えば、溶接により接続することが好ましい。この場合、第2の添え板140は、第1のウエブ150と干渉しないように、複数に分割されていてもよい。第1のウエブ150が第1のフランジ104と接続される位置を第1のボルト孔106と重ならないようにすることで、第2の添え板140を第1のフランジ104に取り付けることができ、確実にボルト締めすることができる。
【0054】
このように、第1のウエブ150を第1のダイアフラム126とも固定することで、接合部100の機械的な強度をより高めることができる。例えば、接合部100に作用する剪断力に対する耐性を高めることができる。このような構成は、第2の角形鋼管柱112における第2のウエブ160bについても同様である。
【0055】
第2の実施形態と同様に、第1のウエブ150と第2のウエブ160のそれぞれに対して添え板を設け、ボルト締めをしてもよい。図12(A)は、ウエブがボルト締めされた角形鋼管柱の展開図を示し、図12(B)はウエブがボルト締めされた角形鋼管柱の接合部の斜視図を示し、図13は、接合部の断面図を示す。第1のウエブ150と第2のウエブ160とを、第3の添え板154及び第4の添え板164によって固定する構造の詳細は、第2の実施形態における構成と同様である。また、本実施形態においても、第1のダイアフラム126及び第2のダイアフラム128として、図9に示すような開口部127が設けられた構造を適用することもできる。
【0056】
図13は、図12(B)において矢印A6で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。図13に示すように、第1の接合部100aと第2の接合部100bとの間には第1の開口部120aが形成され、第2の接合部100bと第3の接合部100cとの間には第2の開口部120bが形成され、第3の接合部100cと第4の接合部100dとの間には第3の開口部120cが形成され、第4の接合部100dと第1の接合部100aとの間には第4の開口部120dが形成される。第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dが形成されているため、ボルト接合を形成する作業を容易に行うことができる。例えば、角形鋼管柱の内部に形成される接合部100eを形成するために、作業者は第1の開口部120aと第4の開口部120dから工具等を入れてボルト締めの作業を行うことができる。
【0057】
本実施形態によれば、第3の実施形態の構成に加え、第3の添え板154及び第4の添え板164が付加されることで、第1のウエブ150及び第2のウエブ160をより強固に固定することができるので、接合部100の強度をより高めることができる。接合部100は、第1のダイアフラム126及び第2のダイアフラム128に隣接するように開口部120が形成されるため、ボルト接合により接合部100を形成するときの作業を容易に行うことができる。すなわち、角形鋼管柱の内側にボルト接合部を形成するときに、作業者は開口部を使ってボルト締めすることができるので、施工時の作業性を高めることができる。
【0058】
[第5の実施形態]
本実施形態は、角形鋼管柱の接合構造において、フランジ及び開口部の構成が第1の実施形態とは異なる一例を示す。
【0059】
図14(A)は、本実施形態形態に係る角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図14(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。また、図15(A)及び図15(B)は、図14(B)に示す接合部の断面構造を示す。なお、図14(A)において、ボルト、ナット等の締結具は省略されている。
【0060】
図14(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102は、一端に第1のボルト孔106を含む第1のフランジ104aを有する。第1のフランジ104aは、第1の角形鋼管柱102の本体から連続する部位に設けられる。第1のボルト孔106は、ボルトが挿通可能な口径を有し第1のフランジ104を貫通する孔であり、第1のフランジ104aの面内に複数個設けられる。また、第1の角形鋼管柱102は、第1のフランジ104aと角部を挟んで隣接する面に第1のフランジ104bを有する。同様に、第2の角形鋼管柱112は、第2のフランジ114aと、第2のフランジ114bとを有する。
【0061】
第1の角形鋼管柱102は矩形の断面形状を有する。本実施形態においては、第1の角形鋼管柱102の一端に第1の切欠き部108が設けられる。第1の切欠き部108は、第1のフランジ104a、104bが設けられる面とは異なる少なくとも2面が突出するように設けられる。換言すれば、第1のフランジ104a、104bは、第1の角形鋼管柱102の、第1の切欠き部108で切欠かれた一端に設けられる。一方、第1の角形鋼管柱102の突出部には、第3のフランジ105a、105bが設けられる。第3のフランジ105a、105bは、第1の角形鋼管柱102の長手方向において、第1のフランジ104a、104bと異なる位置に設けられる。第2の角形鋼管柱112の一端には、第2の切欠き部118が設けられる。第2の角形鋼管柱112の断面形状は矩形であり、第1の角形鋼管柱102と略同一の管径を有する。第2の角形鋼管柱112は、第2の切欠き部118によって突出する部位に、第4のフランジ115a、115bが設けられる。第4のフランジ115a、115bは、第2の角形鋼管柱112の長手方向において、第2のフランジ114a、114bと異なる位置に設けられる。
【0062】
第1の角形鋼管柱102に設けられる第3のフランジ105a、105bは、配置される位置が異なる他は、第1のフランジ104aと同様の構成を有する。また、第2の角形鋼管柱112に設けられる第4のフランジ115a、115bは、配置される位置が異なる他は、第2のフランジ114aと同様の構成を有する。
【0063】
図14(A)に示すように、第1の切欠き部108は、第1の角形鋼管柱102の連続する2面を切欠くように形成される。第2の切欠き部118も同様に、第2の角形鋼管柱112の連続する2面を切欠くように形成される。図14(B)に示すように、第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とは、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせたとき、相互に咬み合うように形成される。第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とが突き合わされたとき、第1のフランジ104aと第4のフランジ115a、及び第1のフランジ104bと第4のフランジ115bがそれぞれ隣接するように配置される。同様に、第3のフランジ105aと第2のフランジ114a、及び第3のフランジ105bと第2のフランジ114bとが隣接するように配置される。
【0064】
図14(A)は、また、第1の添え板130aと第2の添え板140aとを示す。例えば、第1の添え板130aは、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の外側に配置され、第2の添え板140aは内側に配置される。第1の添え板130a及び第2の添え板140aは鋼板であり、角形鋼管柱と同じ素材で形成されてもよい。第1の添え板130a及び第2の添え板140aの厚みは、第1のフランジ104aと略同じ厚みを有していてもよいし、接合部の強度を増すために第1のフランジ104aより厚くてもよい。さらには、第1の添え板130a及び第2の添え板140aの厚みの合計が第1のフランジ104aの厚みと略同じとなるのであれば、第1の添え板130a及び第2の添え板140aそれぞれの厚さは、第1のフランジ104aより薄くともよい。第1の添え板130aは、第1のボルト孔106aに対応する位置に第3のボルト孔132aが設けられ、第2のボルト孔116aに対応する位置に第4のボルト孔134aが設けられる。第2の添え板140aは、第1のボルト孔106aに対応する位置に第5のボルト孔142aが設けられ、第2のボルト孔116aに対応する位置に第6のボルト孔144aが設けられる。第1の添え板130a及び第2の添え板140aは、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせたとき、第1のフランジ104aと第4のフランジ115aの両方を覆うことのできる大きさを有する。なお、第1の添え板130及び第2の添え板140は、第1の実施形態と同様に、第1のフランジ104と第2のフランジ114とを連接するように設けられていればよく、複数に分割されていてもよい。例えば、第1の添え板130及び第2の添え板140の一方又は双方は、長手方向に2以上の部材に分割されていてもよい。
【0065】
同様に、第3のフランジ105aと第2のフランジ114aを接合する第1の添え板130b及び第2の添え板140bが設けられる。第1の添え板130bは、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の外側に配置され、第2の添え板140bは内側に配置される。第1の添え板130bは、第1のボルト孔106bに対応する位置に第3のボルト孔132bが設けられ、第2のボルト孔116bに対応する位置に第4のボルト孔134bが設けられる。第2の添え板140bは、第1のボルト孔106bに対応する位置に第5のボルト孔142bが設けられ、第2のボルト孔116bに対応する位置に第6のボルト孔144bが設けられる。第1の添え板130b及び第2の添え板14bは、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とを突き合わせたとき、第3のフランジ105aと第2のフランジ114aの両方を覆うことのできる大きさを有する。
【0066】
なお、図14(A)は、第1のフランジ104a及び第4のフランジ115aを挟むように、第1の添え板130a及び第2の添え板140aが設けられ、第3のフランジ105a及び第2のフランジ114aを挟むように、第1の添え板130b及び第2の添え板140bが設けられる態様を示すが、第1の添え板130a及び第2の添え板140aの一方、並びに、第1の添え板130b及び第2の添え板140bの一方は省略されてもよい。例えば、第1の添え板130a及び第2の添え板140aの一方のみによって十分が接合強度を確保することができる場合は、他方の添え板を省略してもよい。
【0067】
図14(B)は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とがボルト接合された状態を示す。図14(B)は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とが接合される部位に、時計回りに第1の接合部100a、第2の接合部100b(図示せず)、第3の接合部100c(図示せず)、第4の接合部100dが設けられる態様を示す。第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112との第1の接合部100aは、第1のフランジ104a、第4のフランジ115a、第1の添え板130a、及び第2の添え板140aを含む。第1の添え板130aと第2の添え板140aとは、第1のフランジ104a及び第4のフランジ115aを挟み、第1のボルト孔106a、第3のボルト孔132a、及び第5のボルト孔142aが連通し、第2のボルト孔116a、第4のボルト孔134a、及び第6のボルト孔144aが連通するように配置される。そして、連通するこれらのボルト孔にボルトが挿通され、ナットにより締結される。第4の接合部100dは、第3のフランジ105a、第2のフランジ114a、第1の添え板130b、及び第2の添え板140bを含み、第1の接合部100aと同様の構成を有する。図示されないが、第2の接合部100b、第3の接合部100cについても第1の接合部100aと同様の構成を有する。
【0068】
第1の角形鋼管柱102は、第1のフランジ104aと隣接する面(第3のフランジ105aが設けられる面)に第1の開口部120aを有し、第1のフランジ104aと対向する面に第2の開口部120bを有する。第2の角形鋼管柱112は、第4のフランジ115aと同じ面に第3の開口部120cを有し、隣接する面に第4の開口部120d(図示せず)を有する。これらの第1の開口部120a、第2の開口部120b、第3の開口部120c、第4の開口部120dは、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の内側の空間と外側の空間とを連接する。
【0069】
図15(A)は、図14(B)において矢印A7で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。また、図15(B)は、図14(B)において矢印A8で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第2の角形鋼管柱112の側を見たときの構造を示す。図15(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102は、第1のフランジ104aで第1の接合部100aが形成され、角部を挟んで隣接する面に設けられる第1のフランジ104bで第2の接合部100bが形成される。第1の角形鋼管柱102において、第1の接合部100aと対向する面には第2の開口部120bが設けられ、第2の接合部100bと対向する面には第1の開口部120aが設けられる。また、図15(B)に示すように、第2のフランジ114bに第3の接合部100cが形成され、第2のフランジ114aに第4の接合部100dが形成される。第2の角形鋼管柱112において、第3の接合部100cと対向する面には第3の開口部120cが設けられ、第4の接合部100dと対向する面には第4の開口部120dが設けられる。第1の接合部100a、第2の接合部100b、第3の接合部100c、及び第4の接合部100dの構成は、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0070】
図15(A)に示すように、第1の開口部120a及び第2の開口部120bは、第1の角形鋼管柱102の内側空間と外側空間とを連接する部位となる。また、第3の開口部120c及び第4の開口部120dは、第2の角形鋼管柱112の内側空間と外側空間とを連接する部位となる。図14(B)、図15(A)、及び図15(B)に示すように、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とが接合されるとき、第1の接合部100aに対し、同一の面側に第3の開口部120cが配置され、対向する面側に第2の開口部120bが配置され、第1の接合部100aに隣接する面側に第1の開口部120a、第4の開口部120d(図14では図示せず)が配置される。このように、第1の接合部100aに対して複数の開口部が配置されることにより、作業者は、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112とを接合する作業が容易となる。すなわち、作業者は、施工現場において、第1の開口部120aのみでなく、第2の開口部120b、第3の開口部120c、及び第4の開口部120dから工具等を入れてボルト接合を容易に施工することができる。この場合において、第1の開口部120aと第2の開口部120bは同じ高さに配置され、第3の開口部120cと第4の開口部120dは同じ高さに配置され、且つ、第1の開口部120aと第3の開口部120cとが異なる高さに配置されることにより、角形鋼管柱の内部に様々な角度から工具等を差し入れることが可能となり、作業の自由度を高めることができる。
【0071】
図16(A)は、図14(A)に対し、切欠き部の構成が異なる構成を示す。図16(A)は、角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図16(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。また、図17(A)及び図17(B)は、図16(B)に対応する接合部の断面構造を示す。なお、図16(A)において、ボルト、ナット等の締結具は省略されている。
【0072】
図16(A)に示す構成は、第1の切欠き部108及び第2の切欠き部118の構成が図14(A)に示す構成と相違する。具体的には、第1の切欠き部108は、第1の角形鋼管柱102の一端の対向する2つの面を切欠くように設けられる。第2の切欠き部118も同様に、第2の角形鋼管柱112の一端の対向する2つの面を切欠くように設けられる。そして、図14(A)に示す場合と同様に、第1の角形鋼管柱102は、第1のフランジ104a、104b、第3のフランジ105a、105bが設けられ、第2の角形鋼管柱112には、第2のフランジ114a、114b、第4のフランジ115a、115bが設けられる。図16(A)に示す、第1のフランジ104a、104b、第2のフランジ114a、114b、第3のフランジ105a、105b、及び第4のフランジ115a、115b、並びに第1の添え板130a、130b及び第2の添え板140a、104bの構成は、図14(A)に示す構成と同様である。
【0073】
図16(B)に示すように、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とは、第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とが咬み合うように突き合わせて接合される。図16(B)では詳細に示されないが、第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の各面にフランジを設けることで、角形鋼管柱の各面に接合部を設けることができる。例えば、角形鋼管柱の断面形状が矩形である場合、各側面に対応するように接合部を設けることができる。すなわち、図16(B)では示されないが、第1の接合部100aから時計回りに第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dを設けることができる。
【0074】
図17(A)は、図16(B)において矢印A9で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。また、図17(B)は、図16(B)において矢印A10で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第2の角形鋼管柱112の側を見たときの構造を示す。図17(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102は、第1の接合部100aと、角部を挟んで隣接する両側の側面に第1の開口部120aと第2の開口部120bとがそれぞれ設けられる。第1の角形鋼管柱102は、第1の開口部120aと第2の開口部120bとが対向するように設けられる。このような構成により、第1の接合部100a、第3の接合部100cをボルト接合する際に、第1の開口部120a及び第3の開口部120cを使ってボルト締め等を行うことができ、施工を容易に行うことができる。図17(B)に示すように、第2の角形鋼管柱112は、第4の接合部100dと、角部を挟んで両側に隣接する両側の側面に、第3の開口部120cと第4の開口部120dとがそれぞれ設けられる。第2の角形鋼管柱112は、第3の開口部120cと第4の開口部120dとが対向するように設けられる。このような構成により、第2の接合部100b、第4の接合部100dをボルト接合する際に、第3の開口部120c及び第4の開口部120dを使ってボルト締め等を行うことができ、施工を容易に行うことができる。第1の開口部120aと第2の開口部120bとは略同じ高さに設けられ、第3の開口部120cと第4の開口部120dとは略同じ高さに設けられる。これに対し、図16(B)に示すように、第1の開口部120aと第3の開口部120cとは、異なる高さに設けられる。それにより、接合部100のボルト締の作業において、適宜開口部を選択することにより、様々な角度で工具を挿入することができ、施工のしやすさを向上させることができる。
【0075】
図18(A)は、図16(A)と比べて、切欠き部の構成が異なる構成を示す。図18(A)は、角形鋼管柱の接合部の展開図を示し、図18(B)は角形鋼管柱の接合部の斜視図を示す。また、図19(A)及び図19(B)は、図18(B)に示す接合部の断面図を示す。なお、図18(A)において、ボルト、ナット等の締結具は省略されている。
【0076】
図18(A)に示す構成は、第1の切欠き部108が、第1の角形鋼管柱102の一つの面を切欠くように設けられ、第2の切欠き部110が、第2の角形鋼管柱112の3つの面を切欠くように設けられる態様を示す。第1の切欠き部108によって、第1の角形鋼管柱102には、第1のフランジ104aと、第1の切欠き部108によって形成される突出部に第3のフランジ105a、105b、105cとが設けられる。第3のフランジ105a、105b、105cは3面を囲むように設けられる。また、第2の切欠き部118によって、第2の角形鋼管柱112には、第2のフランジ114a、114b、114cと、第2の切欠き部118によって形成される突出部に第4のフランジ115aが設けられる。
【0077】
図18(B)に示すように、第1の角形鋼管柱102の一端と第2の角形鋼管柱112の一端とは、第1の切欠き部108と第2の切欠き部118とが咬み合うように突き合わせて接合される。第1の角形鋼管柱102及び第2の角形鋼管柱112の各面にはフランジが設けられているので、各面に接合部を形成することができる。例えば、第1の角形鋼管柱102と第2の角形鋼管柱112の接合部には、時計回りに、第1の接合部100a、第2の接合部100b(図示せず)、第3の接合部100c(図示せず)、第4の接合部100dが設けられる。
【0078】
図19(A)は、図18(B)において矢印A11で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第1の角形鋼管柱102の側を見たときの構造を示す。また、図19(B)は、図18(B)において矢印A12で示す部位を断面視したときの接合部100の断面構造を示し、第2の角形鋼管柱112の側を見たときの構造を示す。
【0079】
図19(A)に示すように、第1の角形鋼管柱102は、第1の接合部100aと角部を介して隣接する一方の面に第1の開口部120aが設けられ、他方の面に第2の開口部120bが設けられる。また、第1の角形鋼管柱102は、第1の接合部100aと対向する面に第3の開口部120cが設けられる。このように、第1の角形鋼管柱102は、第1の接合部100aに対して3方に開口部が設けられる。第1の開口部120a、第2の開口部100b、第3の開口部120cは、第1の角形鋼管柱102の長手方向の位置において、略同じ位置に設けられる。
【0080】
図19(B)に示すように、第2の角形鋼管柱112は、第2の接合部100b、第3の接合部100c、第4の接合部100dが3方を囲むように設けられる。また、第2の角形鋼管柱は、第2の接合部100cに対向する面に第4の開口部120dが設けられる。
【0081】
図18(B)に示すように、第1の開口部120a、第2の開口部120b、及び第3の開口部120cと、第4の開口部120dとの高さは異なっている。このような構成により、各接合部をボルト接合する際に、各開口部を使ってボルト締め等の作業を行うことができ、施工を容易に行うことができる。
【0082】
本実施形態によれば、角形鋼管柱の面内に開口部を設けると共に、当該開口部の高さを異なるように配置することで、さらには、隣接するフランジの接合部と略同じ高さに開口部を設けることで、ボルト接合の作業を容易化することができる。これにより、角形鋼管柱を接合するとき、溶接接合によらず施工が容易で、品質の高いボルト接合を形成することができる。
【符号の説明】
【0083】
100・・・接合部、102・・・第1の角形鋼管柱、104・・・第1のフランジ、105・・・第3のフランジ、106・・・第1のボルト孔、108・・・第1の切欠き部、112・・・第2の角形鋼管柱、114・・・第2のフランジ、115・・・第4のフランジ、116・・・第2のボルト孔、118・・・第2の切欠き部、120・・・開口部、122・・・ボルト、124・・・ナット、126・・・第1のダイアフラム、127・・・開口部、128・・・第2のダイアフラム、130・・・第1の添え板、132・・・第3のボルト孔、134・・・第4のボルト孔、140・・・第2の添え板、142・・・第5のボルト孔、144・・・第6のボルト孔、150・・・第1のウエブ、152・・・第7のボルト孔、154・・・第3の添え板、156・・・第9のボルト孔、160・・・第2のウエブ、162・・・第8のボルト孔、164・・・第4の添え板、166・・・第10のボルト孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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