(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】配線回路基板、および配線回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/05 20060101AFI20240815BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H05K1/05 B
H05K3/46 N
(21)【出願番号】P 2023035442
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2020189117の分割
【原出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】池田 敬裕
(72)【発明者】
【氏名】新納 鉄平
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-58899(JP,A)
【文献】特開平1-169990(JP,A)
【文献】特開2016-45971(JP,A)
【文献】特開2000-309887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/05
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、第1金属薄膜と、絶縁層と、第2金属薄膜と、導体層とを、厚さ方向一方側に向かって順に備え、
前記金属支持基板は、金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層とを備え、
前記金属支持層は、ステンレス鋼、銅合金、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種を含み、
前記絶縁層は、当該絶縁層を厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、
前記導体層は、前記貫通孔に配置され且つ前記金属支持基板と電気的に接続されているビア部を有する、配線回路基板。
【請求項2】
前記表面金属層が、金、銀、および銅からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項
1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記ビア部が、前記第1金属薄膜および前記第2金属薄膜を介して前記金属支持基板と電気的に接続されている、請求項1
または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記第1金属薄膜が、前記貫通孔に沿って開口する開口部を有し、
前記ビア部が、前記第2金属薄膜を介して前記金属支持基板と電気的に接続されている、請求項1
または2に記載の配線回路基板。
【請求項5】
金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層と、を備える金属支持基板
であって、前記金属支持層が、ステンレス鋼、銅合金、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種を含む金属支持基板の厚さ方向一方面上に、第1金属薄膜を形成する、第1金属薄膜形成工程と、
前記第1金属薄膜の厚さ方向一方面上に、貫通孔を有する絶縁層を形成する、絶縁層形成工程と、
前記絶縁層の厚さ方向一方面上、および、前記貫通孔にて露出している前記第1金属薄膜の部分の上に、第2金属薄膜を形成する、第2金属薄膜形成工程と、
前記第2金属薄膜の厚さ方向一方面上に、前記貫通孔に配置されるビア部を含む導体層を形成する、導体層形成工程と、を含む配線回路基板の製造方法。
【請求項6】
金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層と、を備える金属支持基板
であって、前記金属支持層が、ステンレス鋼、銅合金、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種を含む金属支持基板の厚さ方向一方面上に、第1金属薄膜を形成する、第1金属薄膜形成工程と、
前記第1金属薄膜の厚さ方向一方面上に貫通孔を有する絶縁層を形成する、絶縁層形成工程と、
前記貫通孔にて露出している前記第1金属薄膜の部分を除去し、前記貫通孔にて前記金属支持基板を露出させる、除去工程と、
前記絶縁層の厚さ方向一方面上、および、前記貫通孔にて露出している前記金属支持基板の部分の上に、第2金属薄膜を形成する、第2金属薄膜形成工程と、
前記第2金属薄膜の厚さ方向一方面上に、前記貫通孔に配置されるビア部を含む導体層を形成する、導体層形成工程と、を含む配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板、および配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の支持基材と、支持基材上の絶縁層と、絶縁層上の配線パターンとを備える配線回路基板が知られている。当該配線回路基板では、例えば、配線パターンにおいて良好な特性を確保するために、支持基材は多層構造を有する。このような配線回路基板に関する技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の配線回路基板の支持基材は、金属支持基板と、当該基板の配線パターン側に配置された金属箔とを含む多層構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線回路基板の支持基材は、金属箔形成用の金属薄膜を、金属支持基板と金属箔との間に有する。金属薄膜は、金属箔を形成するためのめっきシード層である。特許文献1に具体的に記載されている一の配線回路基板では、金属支持基板はステンレス製であり、金属箔は銅製であり、金属薄膜はクロム製である。
【0005】
しかしながら、このような配線回路基板の製造過程では、単一のウェットエッチング処理によって効率よく支持基材をパターン加工できない(支持基材のパターン加工は、例えば、支持基材の外形加工時に実施される)。支持基材に含まれるステンレス製の金属支持基板および銅製の金属箔に対するエッチング液と、クロム製の金属薄膜に対するエッチング液とが、異なるからである。
【0006】
一方、配線回路基板では、絶縁層を厚さ方向に貫通して支持基材と配線パターンとに接続しているビアが、設けられることがある。当該ビアを介して、支持基材と配線パターンとが電気的に接続される。このような配線回路基板では、支持基材と配線パターンとの間の電気的接続について、低抵抗化の要求がある。
【0007】
本発明は、金属支持基板と、当該基板上の絶縁層上に形成される配線層との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適するとともに、金属支持基板を効率よくパターン加工するのに適した、配線回路基板、および配線回路基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、金属支持基板と、第1金属薄膜と、絶縁層と、第2金属薄膜と、導体層とを、厚さ方向一方側に向かって順に備え、前記金属支持基板は、金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層とを備え、前記絶縁層は、当該絶縁層を厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、前記導体層は、前記貫通孔に配置され且つ前記金属支持基板と電気的に接続されているビア部を有する、配線回路基板を含む。
【0009】
本発明[2]は、前記金属支持層が、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、上記[1]に記載の配線回路基板を含む。
【0010】
本発明[3]は、前記表面金属層が、金、銀、および銅からなる群より選択される少なくとも一種を含む、上記[1]または[2]に記載の配線回路基板を含む。
【0011】
本発明[4]は、前記ビア部が、前記第1金属薄膜および前記第2金属薄膜を介して前記金属支持基板と電気的に接続されている、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の配線回路基板を含む。
【0012】
本発明[5]は、前記第1金属薄膜が、前記貫通孔に沿って開口する開口部を有し、前記ビア部が、前記第2金属薄膜を介して前記金属支持基板と電気的に接続されている、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の配線回路基板を含む。
【0013】
本発明[6]は、金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層と、を備える金属支持基板の厚さ方向一方面上に第1金属薄膜を形成する、第1金属薄膜形成工程と、前記第1金属薄膜の厚さ方向一方面上に、貫通孔を有する絶縁層を形成する、絶縁層形成工程と、前記絶縁層の厚さ方向一方面上、および、前記貫通孔にて露出している前記第1金属薄膜の部分の上に、第2金属薄膜を形成する、第2金属薄膜形成工程と、前記第2金属薄膜の厚さ方向一方面上に、前記貫通孔に配置されるビア部を含む導体層を形成する、導体層形成工程と、を含む配線回路基板の製造方法を含む。
【0014】
本発明[7]は、金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ前記金属支持層より導電率が高い表面金属層と、を備える金属支持基板の厚さ方向一方面上に第1金属薄膜を形成する、第1金属薄膜形成工程と、前記第1金属薄膜の厚さ方向一方面上に貫通孔を有する絶縁層を形成する、絶縁層形成工程と、前記貫通孔にて露出している前記第1金属薄膜の部分を除去し、前記貫通孔にて前記金属支持基板を露出させる、除去工程と、前記絶縁層の厚さ方向一方面上、および、前記貫通孔にて露出している前記金属支持基板の部分の上に、第2金属薄膜を形成する、第2金属薄膜形成工程と、前記第2金属薄膜の厚さ方向一方面上に、前記貫通孔に配置されるビア部を含む導体層を形成する、導体層形成工程と、を含む配線回路基板の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配線回路基板においては、上記のように、金属支持基板が、金属支持層と、当該金属支持層の厚さ方向一方面上に配置され且つ金属支持層より導電率が高い表面金属層とを備える。このような構成は、金属支持基板の厚さ方向一方側に配置される導体層と、金属支持基板との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適する。
【0016】
本発明の配線回路基板においては、上記のように、金属支持層より導電率が高い表面金属層が、金属支持層の厚さ方向一方面上に配置されている。金属支持層と表面金属層とが他の層を介さずに直接的に接する当該構成は、金属支持基板に対する単一の処理(例えばウェットエッチング処理)によって当該金属支持基板を効率よくパターン加工するのに適する。
【0017】
本発明の配線回路基板の製造方法は、このような配線回路基板を製造するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の配線回路基板の一実施形態の部分断面図である。
【
図2】
図1に示す配線回路基板の一部拡大断面図である。
【
図3】
図1に示す配線回路基板の製造方法における一部の工程を表す。
図3Aは、用意工程を表し、
図3Bは、第1金属薄膜形成工程を表し、
図3Cは、ベース絶縁層形成工程を表す。
【
図4】
図3に示す工程の後に続く工程を表す。
図4Aは、第2金属薄膜形成工程を表し、
図4Bは、導体層形成工程を表し、
図4Cは、エッチング工程を表し、
図4Dは、カバー絶縁層形成工程を表す。
【
図5】本発明の配線回路基板の他の実施形態の部分断面図である。
【
図6】
図5に示す配線回路基板の一部拡大断面図である。
【
図7】
図5に示す配線回路基板の製造方法における一部の工程を表す。
図7Aは、除去工程を表し、
図7Bは、第2金属薄膜形成工程を表し、
図7Cは、導体層形成工程を表す。
【
図8】
図7に示す工程の後に続く工程を表す。
図8Aは、エッチング工程を表し、
図8Bは、カバー絶縁層形成工程を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の配線回路基板の一実施形態としての配線回路基板X1は、
図1および
図2に示すように、金属支持基板10と、第1金属薄膜21と、ベース絶縁層としての絶縁層22と、第2金属薄膜23と、導体層24と、カバー絶縁層としての絶縁層25とを、厚さ方向一方側に向かって順に備える。配線回路基板X1は、厚さ方向と直交する方向(面方向)に広がり、所定の平面視形状を有する。
【0020】
金属支持基板10は、金属支持層11と、表面金属層12とを備える。
【0021】
金属支持層11は、配線回路基板X1の強度を確保するための基材である。金属支持層11の材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、ニッケル、チタン、および42アロイが挙げられる。ステンレス鋼としては、例えば、AISI(米国鉄鋼協会)の規格に基づくSUS304が挙げられる。金属支持層11の強度の観点からは、金属支持層11は、好ましくは、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種を含み、より好ましくは、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される少なくとも一種からなる。金属支持層11の強度と導電性との両立の観点からは、金属支持層11は、好ましくは銅合金よりなる。金属支持層11の厚さは、例えば15μm以上である。金属支持層11の厚さは、例えば500μm以下、好ましくは250μm以下である。
【0022】
表面金属層12は、金属支持層11の厚さ方向一方面上に配置されている(表面金属層12は、金属支持層11に接する)。本実施形態では、表面金属層12は、金属支持層11の厚さ方向一方側の全面に配置されている。表面金属層12としては、例えば、スパッタリング法によって成膜された膜(スパッタ膜)、メッキ法によって形成された膜(メッキ膜)、および、真空蒸着法によって成膜された膜(真空蒸着膜)が挙げられる。
【0023】
表面金属層12は、金属支持層11より導電率が高い。表面金属層12の導電性の観点から、表面金属層12は、好ましくは、金、銀、および銅からなる群より選択される少なくとも一種を含み、より好ましくは、金、銀、および銅からなる群より選択される少なくとも一種からなる。金属支持層11が銅合金製である場合における表面金属層12の成膜性の観点から、表面金属層12は、好ましくは銅よりなる。
【0024】
表面金属層12の厚さは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは3μm以上である。
【0025】
第1金属薄膜21は、金属支持基板10の厚さ方向一方面上に配置されている。本実施形態では、第1金属薄膜21は、金属支持基板10の厚さ方向一方側の全面に配置されている。
【0026】
第1金属薄膜21は、金属支持基板10に対する絶縁層22の密着性を確保するための層である。第1金属薄膜21としては、例えば、スパッタリング法によって成膜された膜(スパッタ膜)、メッキ法によって成膜された膜(メッキ膜)、および、真空蒸着法によって成膜された膜(真空蒸着膜)が挙げられる。
【0027】
第1金属薄膜21の材料としては、例えば、クロム、ニッケル、およびチタンが挙げられる。第1金属薄膜21の材料は、クロム、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される2以上の金属を含む合金であってもよい。第1金属薄膜21の材料としては、好ましくはクロムが用いられる。
【0028】
第1金属薄膜21の厚さは、例えば1nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。第1金属薄膜21の厚さは、例えば10000nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。
【0029】
絶縁層22は、第1金属薄膜21の厚さ方向一方面上に配置されている。絶縁層22の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリ塩化ビニルなどの樹脂材料が挙げられる(後述の絶縁層25の材料としても、同様の樹脂材料が挙げられる)。絶縁層22の厚さは、例えば1μm以上、好ましくは3μm以上である。絶縁層22の厚さは、例えば35μm以下である。
【0030】
絶縁層22は、当該絶縁層22を厚さ方向に貫通する貫通孔22aを有する。貫通孔22aは、平面視において例えば略円形状を有する。貫通孔22aは、本実施形態では、傾斜した内壁面22bを有する。内壁面22bは、金属支持基板10に近い部分ほど内側に配置されるように傾斜している。すなわち、内壁面22bは、金属支持基板10に近い部分ほど貫通孔22aの開口断面積が小さくなるように、傾斜している。第1金属薄膜21は、貫通孔22aに臨む部分21aを有する。
【0031】
第2金属薄膜23は、本実施形態では、絶縁層22の厚さ方向一方面上と、貫通孔22aの内壁面22b上と、貫通孔22aに臨む第1金属薄膜21の部分21aの上とに、連続して配置されている。第2金属薄膜23は、貫通孔22a外に配置されている第2金属薄膜23Aと、貫通孔22a内に配置されている第2金属薄膜23Bとを含む。第2金属薄膜23Bは、例えば
図2に示す縦断面において、凹形状を有する。絶縁層22上において、第2金属薄膜23Aは、所定のパターン形状を有する。貫通孔22aにおいて、第2金属薄膜23Bは、第1金属薄膜21と接続されている。第2金属薄膜23Aと第2金属薄膜23Bとは、繋がっている。
【0032】
第2金属薄膜23は、導体層24を形成するためのシード層である。第2金属薄膜23としては、例えば、スパッタ膜、メッキ膜、および真空蒸着膜が挙げられる。
【0033】
第2金属薄膜23の材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、およびチタンが挙げられる。第2金属薄膜23の材料は、クロム、銅、ニッケル、およびチタンからなる群より選択される2以上の金属を含む合金であってもよい。第2金属薄膜23の材料としては、好ましくはクロムが用いられる。第2金属薄膜23は、単層構造を有してもよく、2層以上の多層構造を有してもよい。第2金属薄膜23が多層構造を有する場合、当該第2金属薄膜23は、例えば、下層としてのクロム層と、当該クロム層上の銅層とからなる。
【0034】
第2金属薄膜23の厚さは、例えば1nm以上、好ましくは10nm以上である。第2金属薄膜23の厚さは、例えば500nm以下、好ましくは200nm以下である。
【0035】
導体層24は、第2金属薄膜23の厚さ方向一方面上に配置されている。導体層24は、貫通孔22a外に配置されている配線部24Aと、貫通孔22a内に配置されているビア部24Bとを含む。配線部24Aとビア部24Bとは、繋がっている。配線部24Aは、所定のパターン形状を有する。ビア部24Bは、例えば
図2に示す縦断面において、凹形状を有する。ビア部24Bは、傾斜した周側面24bを有する。周側面24bは、金属支持基板10に近い部分ほど内側に配置されるように傾斜している。すなわち、周側面24bは、金属支持基板10に近い部分ほどビア部24Bの横断面積が小さくなるように、傾斜している。
【0036】
導体層24の材料としては、例えば、銅、ニッケル、および金が挙げられる。導体層24の材料は、銅、ニッケル、および金からなる群より選択される2以上の金属を含む合金であってもよい。導体層24の材料としては、好ましくは銅が用いられる。
【0037】
絶縁層22上において、第2金属薄膜23Aと、第2金属薄膜23A上の配線部24Aとが、所定のパターン形状を有する配線層31を形成する。貫通孔22aにおいて、第1金属薄膜21の部分21aと、第2金属薄膜23Bと、第2金属薄膜23B上のビア部24Bとが、ビア32を形成する。ビア32は、金属支持基板10において金属支持層11より高導電率の表面金属層12と接続されている。金属支持基板10と配線層31とは、ビア32を介して電気的に接続されている。配線層31は、ビア32および金属支持基板10を介してグラウンド接続可能である。
【0038】
配線層31の厚さは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上である。配線層31の厚さは、例えば50μm以下、好ましくは30μm以下である。配線層31の幅(配線層31の延び方向と直交する方向の寸法)は、例えば5μm以上、好ましくは8μm以上である。配線層31の幅は、例えば100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0039】
絶縁層25は、絶縁層22の厚さ方向一方側において配線層31およびビア32を覆うように配置されている。絶縁層25は、配線層31および/またはビア32を部分的に露出させる開口部を有してもよい。すなわち、絶縁層25が開口部を有し、当該開口部にて配線層31および/またはビア32が露出していてもよい。配線層31および/またはビア32において当該開口部にて露出する部分は、例えば、配線回路基板X1の端子部として機能できる。このような絶縁層25の厚さは、例えば4μm以上、好ましくは6μm以上である。絶縁層の厚さは、例えば60μm以下、好ましくは40μm以下である。
【0040】
図3および
図4は、本発明の配線回路基板の製造方法の一実施形態として、配線回路基板X1の製造方法を表す。
図3および
図4は、本製造方法を、
図1に相当する断面の変化として表す。
【0041】
本製造方法では、まず、
図3Aに示すように、金属支持基板10を用意する(用意工程)。金属支持基板10は、基材としての金属支持層11の上に表面金属層12を形成することによって用意できる。表面金属層12の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、メッキ法、および真空蒸着法が挙げられる。表面金属層12は、好ましくはメッキ法によって形成される。
【0042】
次に、
図3Bに示すように、金属支持基板10上に第1金属薄膜21を形成する(第1金属薄膜形成工程)。第1金属薄膜21の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、およびメッキ法が挙げられる。メッキ法としては、電解メッキ法および無電解メッキ法が挙げられる。第1金属薄膜21は、好ましくはスパッタリング法によって形成される。
【0043】
次に、
図3Cに示すように、第1金属薄膜21の厚さ方向一方面上に絶縁層22を形成する(ベース絶縁層形成工程)。本工程では、例えば次のようにして、絶縁層22を形成する。まず、第1金属薄膜21上に、感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜を加熱によって乾燥させる。次に、塗膜に対して、所定のマスクを介しての露光処理と、その後の現像処理と、その後に必要に応じてベイク処理とを施す。例えば以上のようにして、貫通孔22aを有する絶縁層22を第1金属薄膜21上に形成できる。貫通孔22aには、第1金属薄膜21の部分21aが露出している。
【0044】
次に、
図4Aに示すように、第2金属薄膜23を形成する(第2金属薄膜形成工程)。本工程において、第2金属薄膜23は、絶縁層22の厚さ方向一方面上と、貫通孔22aの内壁面22b上と、貫通孔22aにて露出している第1金属薄膜21の部分21aの上とに、連続して形成される(第2金属薄膜23は、貫通孔22a外の第2金属薄膜23Aと、貫通孔22a内の第2金属薄膜23Bとを含む)。第2金属薄膜23の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、およびメッキ法が挙げられる。メッキ法としては、電解メッキ法および無電解メッキ法が挙げられる。第2金属薄膜23は、好ましくはスパッタリング法によって形成される。
【0045】
次に、
図4Bに示すように、第2金属薄膜23の厚さ方向一方面上に導体層24を形成する(導体層形成工程)。具体的には、例えば次のとおりである。
【0046】
まず、第2金属薄膜23上にレジストパターンを形成する。レジストパターンは、導体層24のパターン形状に相当する形状の開口部を有する。レジストパターンの形成においては、まず、感光性のレジストフィルムを第2金属薄膜23上に貼り合わせてレジスト膜を形成する。次に、レジスト膜に対し、所定マスクを介しての露光処理と、その後の現像処理と、その後に必要に応じてベイク処理とを施す。導体層24の形成においては、次に、例えば電解メッキ法により、レジストパターンの開口部内の第2金属薄膜23上に上記した金属を成長させる。次に、レジストパターンを除去する。例えば以上のようにして、第2金属薄膜23の厚さ方向一方面上に、所定パターンの導体層24を形成できる(導体層24は、第2金属薄膜23A上の配線部24Aと、第2金属薄膜23B上のビア部24Bとを含む)。
【0047】
本製造方法では、次に、
図4Cに示すように、第2金属薄膜23において、導体層24で覆われていない部分を、エッチングにより除去する(エッチング工程)。これにより、配線層31(配線部24A,第2金属薄膜23A)およびビア32(ビア部24B,第2金属薄膜23B,部分21a)が形成される。本工程の後、例えば無電解メッキ法または電解メッキ法により、配線層31の表面にニッケル被膜を形成してもよい。
【0048】
次に、
図4Dに示すように、絶縁層22上に、配線層31およびビア32を覆うように絶縁層25を形成する(カバー絶縁層形成工程)。本工程では、例えば次のようにして、絶縁層22を形成する。まず、絶縁層22上、配線層31およびビア32上に、感光性樹脂の溶液(ワニス)を塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜を乾燥させる。次に、塗膜に対して、所定のマスクを介しての露光処理と、その後の現像処理と、その後に必要に応じてベイク処理とを施す。例えば以上のようにして、カバー絶縁層としての絶縁層22を形成できる。
【0049】
本実施形態では、次に、金属支持基板10に対するエッチング処理により、金属支持基板10をパターン加工する。このパターン加工には、例えば、金属支持基板10の外形(平面視における外郭形状)を形成する加工、および、金属支持基板10において周囲から離隔する例えばアイランド部を形成する加工が含まれる。例えば本工程の後、金属支持基板10の露出表面に、電解メッキ法または無電解メッキ法によって金メッキ膜を形成してもよい。金属支持基板10の露出表面には、具体的には、金属支持基板10の厚さ方向一方面(表面金属層12)において絶縁層25によって覆われていない表面、金属支持基板10の側面、および、金属支持基板10の厚さ方向他方面(図中下面)が含まれる。
【0050】
以上のようにして、配線回路基板X1を製造できる。
【0051】
配線回路基板X1においては、上述のように、金属支持基板10が、金属支持層11と、当該金属支持層11の厚さ方向一方面上に配置され且つ金属支持層11より導電率が高い表面金属層12とを備える。ビア32は、金属支持基板10において金属支持層11より高導電率の表面金属層12と接続されている。したがって、配線回路基板X1は、金属支持基板10の厚さ方向一方側に配置される配線層31と、金属支持基板10との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適する。
【0052】
また、配線回路基板X1においては、上述のように、金属支持層11より導電率が高い表面金属層12が、金属支持層11の厚さ方向一方面上に配置されている。金属支持層11と表面金属層12とが、めっきシード層としてのCr層など他の層を介さずに直接的に接する当該構成は、金属支持基板10に対する単一の処理によって当該金属支持基板10を効率よくパターン加工するのに適する。
【0053】
以上のように、配線回路基板X1は、金属支持基板10と、金属支持基板10上の絶縁層22上に形成される配線層31との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適するとともに、金属支持基板10を効率よくパターン加工するのに適する。
【0054】
図5および
図6は、本発明の配線回路基板の他の実施形態としての配線回路基板X2を表す。配線回路基板X2は、金属支持基板10と、第1金属薄膜21と、ベース絶縁層としての絶縁層22と、第2金属薄膜23と、導体層24と、カバー絶縁層としての絶縁層25とを、厚さ方向一方側に向かって順に備える。配線回路基板X2では、第1金属薄膜21が開口部21bを有し、且つ、開口部21bにおいて第2金属薄膜23が第1金属薄膜21と接続されている。このこと以外について、配線回路基板X2は、配線回路基板X1と同じ構成を有する。
【0055】
配線回路基板X2において、第1金属薄膜21の開口部21bは、第1金属薄膜21を厚さ方向に貫通する。開口部21bは、平面視において例えば略円形状を有する。開口部21bは、絶縁層22の貫通孔22aに沿って開口している。すなわち、貫通孔22aと開口部21bとは、平面視において重なる。貫通孔22aと開口部21bとは、貫通孔Hを形成する。
【0056】
配線回路基板X2において、第2金属薄膜23は、絶縁層22の厚さ方向一方面上と、貫通孔Hに臨む第1金属薄膜21の部分21aの上とに、連続して配置されている(第2金属薄膜23は、貫通孔H外の第2金属薄膜23Aと、貫通孔H内の第2金属薄膜23Bとを含む)。開口部Hにおいて、第2金属薄膜23Bは、金属支持基板10と直接に接続されている。
【0057】
本実施形態では、貫通孔Hにおいて、第2金属薄膜23Bと、第2金属薄膜23B上のビア部24Bとが、ビア32を形成する。ビア32は、金属支持基板10において金属支持層11より高導電率の表面金属層12と接続されている。金属支持基板10と配線層31とは、ビア32を介して電気的に接続されている。配線層31は、ビア32および金属支持基板10を介してグラウンド接続可能である。
【0058】
図7および
図8は、本発明の配線回路基板の製造方法の一実施形態として、配線回路基板X2の製造方法における一部の工程を表す。
図7および
図8は、本製造方法を、
図5に相当する断面の変化として表す。
【0059】
本製造方法では、まず、
図3Aから
図3Cを参照して上述したのと同様に、用意工程と、第1金属薄膜形成工程と、ベース絶縁層形成工程とを実施する。
【0060】
次に、絶縁層22の貫通孔22aにて露出している第1金属薄膜21の部分21aを除去する。これにより、
図7Aに示すように、貫通孔22aにて金属支持基板10の一部(部分10a)を露出させる(除去工程)。本工程では、第1金属薄膜21において、部分21aの除去によって開口部21bが形成される(開口部21bは、貫通孔22aに沿って開口し、貫通孔22aと開口部21bとによって開口部Hが形成される)。
【0061】
本工程での除去方法としては、ウェットエッチングおよびドライエッチングが挙げられ、ウェットエッチングが好ましい。当該ウェットエッチングのためのエッチング液としては、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウム溶液、苛性ソーダ水溶液、過マンガン酸カリウム溶液、およびメタケイ酸ナトリウム溶液が挙げられ、好ましくは、硝酸第二セリウムアンモニウム溶液が用いられる。当該ウェットエッチングにおけるエッチング液の温度は、例えば20℃以上であり、好ましくは30℃以上である。同エッチング液温度は、例えば80℃以下であり、好ましくは65℃以下である。当該ウェットエッチングにおけるエッチング時間(浸漬時間)は、例えば1分以上である。同エッチング時間は、例えば15分以下であり、好ましくは10分以下である。
【0062】
次に、
図7Bに示すように、第2金属薄膜23を形成する(第2金属薄膜形成工程)。本工程において、第2金属薄膜23は、絶縁層22の厚さ方向一方面上、および、貫通孔Hにて露出している金属支持基板10の部分10aの上に、連続して形成される(第2金属薄膜23は、貫通孔22a外の第2金属薄膜23Aと、貫通孔22a内の第2金属薄膜23Bとを含む)。第2金属薄膜23の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、およびメッキ法が挙げられる。メッキ法としては、電解メッキ法および無電解メッキ法が挙げられる。第2金属薄膜23は、好ましくはスパッタリング法によって形成される。
【0063】
次に、
図7Cに示すように、第2金属薄膜23の厚さ方向一方面上に導体層24を形成する(導体層形成工程)。具体的には、
図4Bを参照して上述した導体形成工程と同様である。
【0064】
次に、
図8Aに示すように、第2金属薄膜23において、導体層24で覆われていない部分を、エッチングにより除去する(エッチング工程)。これにより、配線層31(配線部24A,第2金属薄膜23A)およびビア32(ビア部24B,第2金属薄膜23B)が形成される。
【0065】
次に、
図8Bに示すように、絶縁層22上に、配線層31およびビア32を覆うように絶縁層25を形成する(カバー絶縁層形成工程)。具体的には、
図4Dを参照して上述したカバー絶縁層形成工程と同様である。
【0066】
本実施形態では、次に、金属支持基板10に対するエッチング処理により、金属支持基板10をパターン加工する。このパターン加工には、例えば、金属支持基板10の外形(平面視における外郭形状)を形成する加工、および、金属支持基板10において周囲から離隔する例えばアイランド部を形成する加工が含まれる。
【0067】
以上のようにして、配線回路基板X2を製造できる。
【0068】
本製造方法では、ベース絶縁層形成工程(
図3Cに示す)より後に、除去工程(
図7Aに示す)が実施される。除去工程では、第1金属薄膜21の部分21aが除去され、貫通孔22aにて金属支持基板10が露出される。このような除去工程では、第1金属薄膜21において貫通孔22aに臨む部分21a(
図3Cに示される)の表面が仮に酸化されている場合であっても、酸化膜付きの当該部分21aを除去できる。その後の第2金属薄膜形成工程(
図7Bに示す)では、貫通孔22aに臨む金属支持基板10の部分10aの上に第2金属薄膜23Bが形成される。そして、導体層形成工程(
図7Cに示す)では、第2金属薄膜23B上にビア部24Bが形成される。これにより、貫通孔22a内にビア32(第2金属薄膜23B,ビア部24B)が形成される。
【0069】
このように、本製造方法によると、第1金属薄膜21を介さずに金属支持基板10と接続されるビア32が形成される。したがって、本製造方法は、金属支持基板10と、配線層31との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適する。
【0070】
配線回路基板X2においては、配線回路基板X1と同様に、金属支持基板10が、金属支持層11の厚さ方向一方面上に配置され且つ金属支持層11より導電率が高い表面金属層12を備える。また、ビア32は、金属支持基板10において金属支持層11より高導電率の表面金属層12と接続されている。そのため、配線回路基板X2は、配線回路基板X1と同様に、金属支持基板10と配線層31との間において、低抵抗の電気的接続を実現するのに適するとともに、金属支持基板10を効率よくパターン加工するのに適する。
【符号の説明】
【0071】
X1,X2 配線回路基板
10 金属支持基板
11 金属支持層
12 表面金属層
21 第1金属薄膜
21b 開口部
22 絶縁層
22a,H 貫通孔
22b 内壁面
23,23A,23B 第2金属薄膜
24 導体層
24A 配線部
24B ビア部
24b 周側面
25 絶縁層
31 配線層
32 ビア