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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】多重管システム及び接合方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/065 20060101AFI20240815BHJP
   F16L 9/18 20060101ALI20240815BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F16L59/065
F16L9/18
F16L59/147
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023122005
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】岸口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亮
(72)【発明者】
【氏名】木坂 有治
(72)【発明者】
【氏名】角 知則
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄策
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0091144(US,A1)
【文献】特開2004-344938(JP,A)
【文献】特開2007-080649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/065
F16L 9/18
F16L 59/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内管と前記第1内管が挿入される第1外管とを含む第1多重管と、
第2内管と前記第2内管が挿入される第2外管とを含む第2多重管と、を備える多重管システムであって、
前記第1内管、前記第2内管、前記第1外管、および前記第2外管は、鋼製のストレート管であり、
前記第1内管の端部は、前記第1外管の端部から突出しており、
前記第2内管の端部は、前記第2外管の端部から突出しており、
前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とは、前記第1内管の端部が前記第1外管の端部から突出し、かつ、前記第2内管の端部が前記第2外管の端部から突出した状態で、接合される、ことを特徴とする多重管システム。
【請求項2】
前記第1内管の長さは、前記第1外管の長さより長く、
前記第2内管の長さは、前記第2外管の長さ以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の多重管システム。
【請求項3】
前記第2内管の長さと前記第2外管の長さとの差は、前記第1内管の端部が前記第1外管の端部から突出する長さに対応する、
ことを特徴とする請求項2に記載の多重管システム。
【請求項4】
前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とは、溶接される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多重管システム。
【請求項5】
前記第2内管の外周面には、前記第2内管の端部にバックシールドガスを供給するための供給チューブが設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の多重管システム。
【請求項6】
第1断熱材と、
第2断熱材と、
を更に備え、
前記第1内管の外周面には、第1耐熱輻射層が設けられ、
前記第1断熱材は、前記第1外管と前記第1耐熱輻射層との間に設けられ、且つ、前記第1内管の管軸方向に所定間隔で設けられ、
前記第2内管の外周面には、第2耐熱輻射層が設けられ、
前記第2断熱材は、前記第2外管と前記第2耐熱輻射層との間に設けられ、且つ、前記第2内管の管軸方向に所定間隔で設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多重管システム。
【請求項7】
前記第1内管の外周面には、第1耐熱輻射層が設けられ、
前記第2内管の外周面には、第2耐熱輻射層が設けられ、
前記第1外管の内周面には、前記第1外管の管軸に向かって突出する第1突出部が形成され、
前記第1突出部は、前記第1外管の管軸方向に沿って連続して形成され、
前記第2外管の内周面には、前記第2外管の管軸に向かって突出する第2突出部が形成され、
前記第2突出部は、前記第2外管の管軸方向に沿って連続して形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多重管システム。
【請求項8】
第1内管と前記第1内管が挿入される第1外管とを含む第1多重管と、
第2内管と前記第2内管が挿入される第2外管とを含む第2多重管と、を備える多重管システムであって、
前記第1内管の端部は、前記第1外管の端部から突出しており、
前記第2内管の端部は、前記第2外管の端部から突出している、多重管システムの接合方法であって、
曲げ加工が施されていない状態の前記第1内管、前記第2内管、前記第1外管、および前記第2外管を、前記多重管システムの敷設箇所に運搬する運搬工程と、
前記第1外管の端部から突出している前記第1内管の端部と、前記第2外管の端部から突出している前記第2内管の端部とを突き合わせる内管突き合わせ工程と、
前記内管突き合わせ工程で突き合せられた前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とを接合する内管接合工程と、
前記第2外管を前記第2外管の管軸方向に移動させることにより、前記第1外管の端部と前記第2外管の端部とを突き合わせる外管突き合わせ工程と、
前記外管突き合わせ工程で突き合せられた前記第1外管の端部と前記第2外管の端部とを接合する外管接合工程と、
を備えることを特徴とする接合方法。
【請求項9】
前記内管接合工程の後、且つ、前記外管突き合わせ工程の前に、前記第1内管の端部及び前記第2内管の端部に耐熱輻射層を設ける設置工程、
を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の接合方法。
【請求項10】
前記内管接合工程の後、且つ、前記外管突き合わせ工程の前に、前記第1内管の端部及び前記第2内管の端部に耐熱輻射層及び断熱材を設ける設置工程、を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の接合方法。
【請求項11】
内管製作工程と、
外管製作工程と、
多重管製作工程と、
を更に備え、
前記第1内管及び前記第2内管は、複数の長尺化用内管から構成され、
前記第1外管及び前記第2外管は、複数の長尺化用外管から構成され、
前記内管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記複数の長尺化用内管を接合することで、前記第1内管及び前記第2内管を製作し、
前記外管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記複数の長尺化用外管を接合することで、前記第1外管及び前記第2外管を製作し、
前記多重管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記第1内管に第1耐熱輻射層を配置して前記第1外管に挿入することで第1多重管を製作し、前記第2内管に第2耐熱輻射層を配置して前記第2外管に挿入することで第2多重管を製作する、ことを特徴とする請求項8に記載の接合方法。
【請求項12】
前記内管突き合わせ工程の後に、前記第1内管の管軸と前記第2内管の管軸とを略一致させる内管芯出し工程と、
前記外管突き合わせ工程の後に、前記第1外管の管軸と前記第2外管の管軸とを略一致させる外管芯出し工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の接合方法。
【請求項13】
始端部内管と前記始端部内管が挿入される始端部外管とを含む始端部多重管と、
中間部内管と前記中間部内管が挿入される中間部外管とを含む中間部多重管と、
終端部内管と前記終端部内管が挿入される終端部外管とを含む終端部多重と、を備える多重管システムであって、
前記始端部内管の一端部は、前記始端部外管の一端部から突出しており、
前記中間部内管の一端部は、前記中間部外管の一端部から突出しており、
前記終端部内管の一端部は、前記終端部外管の一端部から突出しており、
前記中間部内管の長さと前記中間部外管の長さとは、略同一である、多重管システムの接合方法であって、
曲げ加工が施されていない状態の前記始端部内管、前記始端部外管、前記中間部内管、前記中間部外管、前記終端部内管、および前記終端部外管を、前記多重管システムの敷設箇所に運搬する運搬工程と、
前記始端部外管の一端部から突出している前記始端部内管の一端部と前記中間部外管の一端部から突出している前記中間部内管の一端部とを突き合わせる始端部内管突き合わせ工程と、
前記始端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部内管の一端部と前記中間部内管の一端部とを接合する始端部内管接合工程と、
前記中間部外管を前記中間部外管の管軸方向に移動させることにより、前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを突き合わせる始端部外管突き合わせ工程と、
前記始端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを接合する始端部外管接合工程と、
前記中間部外管の他端部から突出している前記中間部内管の他端部と前記終端部外管の一端部から突出している前記終端部内管の一端部とを突き合わせる終端部内管突き合わせ工程と、
前記終端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部内管の他端部と前記終端部内管の一端部とを接合する終端部内管接合工程と、
前記終端部外管を前記終端部外管の管軸方向に移動させることにより、前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを突き合わせる終端部外管突き合わせ工程と、
前記終端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを接合する終端部外管接合工程と、
を備えることを特徴とする接合方法。
【請求項14】
始端部内管と前記始端部内管が挿入される始端部外管とを含む始端部多重管と、
中間部内管と前記中間部内管が挿入される中間部外管とを含む中間部多重管と、
終端部内管と前記終端部内管が挿入される終端部外管とを含む終端部多重管と、を備える多重管システムであって、
前記始端部内管の一端部は、前記始端部外管の一端部から突出しており、
前記中間部内管の一端部は、前記中間部外管の一端部から突出しており、
前記終端部内管の一端部は、前記終端部外管の一端部から突出しており、
前記中間部内管の長さと前記中間部外管の長さとは、略同一である、多重管システムの接合方法であって、
前記始端部外管の一端部から突出している前記始端部内管の一端部と前記中間部外管の一端部から突出している前記中間部内管の一端部とを突き合わせる始端部内管突き合わせ工程と、
前記始端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部内管の一端部と前記中間部内管の一端部とを接合する始端部内管接合工程と、
前記中間部外管を前記中間部外管の管軸方向に移動させることにより、前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを突き合わせる始端部外管突き合わせ工程と、
前記始端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを接合する始端部外管接合工程と、
前記始端部外管突き合わせ工程において前記中間部外管を前記中間部外管の管軸方向に移動させることにより前記中間部外管の他端部から突出した前記中間部内管の他端部と、前記終端部外管の一端部から突出している前記終端部内管の一端部と、を突き合わせる終端部内管突き合わせ工程と、
前記終端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部内管の他端部と前記終端部内管の一端部とを接合する終端部内管接合工程と、
前記終端部外管を前記終端部外管の管軸方向に移動させることにより、前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを突き合わせる終端部外管突き合わせ工程と、
前記終端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを接合する終端部外管接合工程と、
を備えることを特徴とする接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重管システム及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外管と、外管の内部に配置される内管と、を備え、外管と内管との間を真空状態にすることで、外管と内管との間を断熱する多重管システムがある。
例えば、特許文献1では、前述のように断熱された内管の内部に超電導導体が配置されることで、超電導状態を維持する技術が開示されている。特許文献1では、長尺な多重管システムを敷設箇所まで運搬するために、多重管に曲げ加工を施す。そして、敷設箇所において多重管を曲げ戻し、扁平矯正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7098037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、多重管に曲げ加工及び曲げ戻し加工を施すことで、内管と外管が縮径する。すると、例えば、内管の周囲に設けられた断熱輻射層が圧縮される等して、断熱性が低下する課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、断熱性の低下を抑えることができる多重管システム及び接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る多重管システムは、第1内管と前記第1内管が挿入される第1外管とを含む第1多重管と、第2内管と前記第2内管が挿入される第2外管とを含む第2多重管と、を備える多重管システムであって、前記第1内管の端部は、前記第1外管の端部から突出しており、前記第2内管の端部は、前記第2外管の端部から突出しており、前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とは、接合されることを特徴とする。
【0007】
態様1によれば、多重管システムは、第1多重管と、第2多重管と、を備える。換言すれば、敷設箇所等において第1多重管と第2多重管とを接合することで、多重管システムを構成する。これにより、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所等で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層の変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。
ここで、長尺の多重管システムを1つの外管と1つの内管とによって構成する場合、外管の内部に内管を挿入する際の摩擦抵抗が大きくなることや、摩擦によって外管又は内管にたわみが生じることによって、作業が困難となる問題が生じる。上述のように複数の多重管を敷設箇所等で接合して多重管システムを構成することで、上述した問題の発生を抑えることができる。
【0008】
また、第1内管の端部は、第1外管の端部から突出しており、第2内管の端部は、第2外管の端部から突出している。これにより、第1内管と第2内管の端部同士を突き合わせた時、周囲に第1外管及び第2外管が位置しないようにすることができる。そして、この状態で、第1内管の端部と第2内管の端部とは、接合される。したがって、第1内管と第2内管との接合作業を、第1内管及び第2内管の外側から行いやすくすることができる。また、例えば、第1内管と第2内管とを溶接する場合は、溶接作業や溶接不良発生時の補修作業を容易にすることができる。
【0009】
<2>本発明の態様2に係る多重管システムは、態様1に係る多重管システムにおいて、前記第1内管の長さは、前記第1外管の長さより長く、前記第2内管の長さは、前記第2外管の長さ以下であることを特徴とする。
【0010】
態様2によれば、第1内管の長さは、第1外管の長さより長い。これにより、第1内管及び第1外管それぞれの一方の端部の位置を合わせると、第1外管の他方の端部から第1内管の他方の端部が突出した状態となる。したがって、予め第1内管と第1外管との位置を合わせた状態で、第1多重管と第2多重管とを接合することができる。よって、接合後に第1内管と第1外管とを位置合わせすることを不要として、作業性を向上させることができる。
【0011】
また、第2内管の長さは、第2外管の長さ以下である。例えば、第2内管の長さが第2外管の長さよりも短い場合、第2内管と第2外管との長さの差を、第1外管と第1内管との長さの差と同じにすることで、第1多重管と第2多重管とを接合した時、第1内管と第2内管とを合わせた長さと、第1外管と第2外管とを合わせた長さと、を同じにすることができる。これにより、第1多重管と第2多重管とが接合された多重管システムにおける、内管と外管との長さ及び位置の調整作業を不要として、作業性を向上させることができる。
【0012】
また、例えば、第2内管の長さと第2外管の長さが同じである場合、第1多重管と第2多重管とを接合した時、第2内管の、第1内管と接合された側と反対側の端部が、第2外管の、第1外管と接合された側と反対側の端部から突出した状態となる。これにより、第1多重管及び第2多重管に加えて、更に多くの多重管を接合しやすくすることができる。よって、多重管システムをより長尺なものとしやすくすることができる。
【0013】
<3>本発明の態様3に係る多重管システムは、態様1又は態様2に係る多重管システムにおいて、前記第2内管の長さと前記第2外管の長さとの差は、前記第1内管の端部が前記第1外管の端部から突出する長さに対応することを特徴とする。
【0014】
態様3によれば、第2内管の長さと第2外管の長さとの差は、第1内管の端部が第1外管の端部から突出する長さに対応する。これにより、第1多重管と第2多重管とを接合した時、第1内管と第2内管とを合わせた長さと、第1外管と第2外管とを合わせた長さと、を同じにすることができる。したがって、第1多重管と第2多重管とが接合された多重管システムにおける、内管と外管との長さ及び位置の調整作業を不要として、作業性を向上させることができる。
【0015】
<4>本発明の態様4に係る多重管システムは、態様1から態様3のいずれか1つに係る多重管システムにおいて、前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とは、溶接されることを特徴とする。
【0016】
態様4によれば、第1内管の端部と第2内管の端部とは、溶接される。これにより、例えば、第1内管の端部と第2内管の端部とをフランジやフェルールによって接合する場合と比較して、第1内管と第2内管との接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、第1外管及び第2外管の内径をより小さくすることができる。したがって、例えば、外管の外径を抑えることで、多重管システムを小型化することができる。
【0017】
<5>本発明の態様5に係る多重管システムは、態様1から態様4のいずれか1つに係る多重管システムにおいて、第2内管の外周面には、前記第2内管の端部にバックシールドガスを供給するための供給チューブが設けられることを特徴とする。
【0018】
態様5によれば、第2内管の外周面には、第2内管の端部にバックシールドガスを供給するための供給チューブが設けられる。これにより、第1外管と第2外管とを接合する際、接合部の付近において、第1内管及び第2内管と第1外管及び第2外管との間に、バックシールドガスを供給することができる。よって、第1外管と第2外管との接合部において、シールド不良を原因とする溶接欠陥が発生することを抑えることができる。
【0019】
<6>本発明の態様6に係る多重管システムは、態様1から態様5のいずれか1つに係る多重管システムにおいて、第1断熱材と、第2断熱材と、を更に備え、前記第1内管の外周面には、第1耐熱輻射層が設けられ、前記第1断熱材は、前記第1外管と前記第1耐熱輻射層との間に設けられ、且つ、前記第1内管の管軸方向に所定間隔で設けられ、前記第2内管の外周面には、第2耐熱輻射層が設けられ、前記第2断熱材は、前記第2外管と前記第2耐熱輻射層との間に設けられ、且つ、前記第2内管の管軸方向に所定間隔で設けられることを特徴とする。
【0020】
態様6によれば、第1内管及び第2内管の外周面には、それぞれ第1耐熱輻射層及び第2耐熱輻射層が設けられる。更に、第1外管と第1耐熱輻射層との間には第1断熱材が設けられ、第2外管と第2耐熱輻射層との間には第2断熱材が設けられる。これにより、例えば、多重管システムにおいて内管と外管との間を断熱する際に、内管と外管との間を真空状態にした後、外管から内管への熱伝導をより確実に抑えることができる。
また、第1断熱材及び第2断熱材は、それぞれ、第1内管及び第2内管の管軸方向に所定間隔で設けられる。これにより、多重管システムの管軸方向に亘って、内管に対する外管の位置を一定にすることができる。また、第1断熱材及び第2断熱材をガイドとして機能させることで、第1内管を第1外管に挿入する作業、及び、第2内管を第2外管に挿入する作業を行いやすくすることができる。
【0021】
<7>本発明の態様7に係る多重管システムは、態様1から態様5のいずれか1つに係る多重管システムにおいて、前記第1内管の外周面には、第1耐熱輻射層が設けられ、前記第2内管の外周面には、第2耐熱輻射層が設けられ、前記第1外管の内周面には、前記第1外管の管軸に向かって突出する第1突出部が形成され、前記第1突出部は、前記第1外管の管軸方向に沿って連続して形成され、前記第2外管の内周面には、前記第2外管の管軸に向かって突出する第2突出部が形成され、前記第2突出部は、前記第2外管の管軸方向に沿って連続して形成されることを特徴とする。
【0022】
態様7によれば、第1内管及び第2内管の外周面には、それぞれ第1耐熱輻射層及び第2耐熱輻射層が設けられる。これにより、第1内管及び第2内管への外側からの熱伝導を抑えることができる。
第1外管の内周面には、第1外管の管軸に向かって突出する第1突出部が形成され、第2外管の内周面には、第2外管の管軸に向かって突出する第2突出部が形成される。これにより、第1内管を第1外管に挿入した時、第1突出部のみが第1内管に設けられた第1耐熱輻射層に接する。また、第2内管を第2外管に挿入した時、第2突出部のみが第2内管に設けられた第2耐熱輻射層に接する。したがって、例えば、多重管システムにおいて内管と外管との間を断熱する際に、内管と外管との間を真空状態にした後、外管から内管への熱伝導をより抑えることができる。
また、第1突出部及び第2突出部は、それぞれ、第1外管及び第2外管の管軸方向に沿って連続して形成される。これにより、多重管システムの管軸方向に亘って、内管に対する外管の位置を一定にすることができる。また、第1突出部及び第2突出部をガイドとして機能させることで、第1内管と第1外管とを、及び、第2内管と第2外管とを、多重管システムの管軸方向に相対移動させやすくすることができる。よって、第1内管を第1外管に挿入する作業、及び、第2内管を第2外管に挿入する作業を行いやすくすることができる。
【0023】
<8>本発明の態様8に係る接合方法は、態様1から態様7のいずれか1つに係る多重管システムの接合方法であって、前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とを突き合わせる内管突き合わせ工程と、前記内管突き合わせ工程で突き合せられた前記第1内管の端部と前記第2内管の端部とを接合する内管接合工程と、前記第2外管を前記第2外管の管軸方向に移動させることにより、前記第1外管の端部と前記第2外管の端部とを突き合わせる外管突き合わせ工程と、前記外管突き合わせ工程で突き合せられた前記第1外管の端部と前記第2外管の端部とを接合する外管接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
態様8によれば、第1多重管と第2多重管とを接合する際、内管接合工程において第1内管と第2内管とを接合した後に、外管接合工程において第1外管と第2外管とを接合する。換言すれば、予め製作した複数の多重管を、多重管システムの敷設箇所等で接合する。これにより、長尺の多重管システムを設置する際、敷設箇所等において長尺の内管を長尺の外管に挿入する場合と比較して、設置作業を容易にすることに加えて、作業時間を短縮することができる。また、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所等で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層の変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。
【0025】
<9>本発明の態様9に係る接合方法は、態様8に係る接合方法において、前記内管接合工程の後、且つ、前記外管突き合わせ工程の前に、前記第1内管の端部及び前記第2内管の端部に耐熱輻射層を設ける設置工程、を更に備えることを特徴とする。
【0026】
ここで、第1内管の端部及び第2内管の端部において、内管接合工程の前に耐熱輻射層が設けられていると、内管接合工程の作業に耐熱輻射層が干渉する。
態様9によれば、第1内管の端部及び第2内管の端部に耐熱輻射層を設ける設置工程が、内管接合工程の後、且つ、外管突き合わせ工程の前に行われる。換言すれば、内管接合工程の作業時には、第1内管の端部及び第2内管の端部には、耐熱輻射層が設けられていない。これにより、内管接合工程の作業に耐熱輻射層が干渉することを抑えることができる。また、第1多重管と第2多重管とが接合された後に、第1内管の端部と第2内管の端部との接合部に耐熱輻射層が設けられた状態となることで、多重管システムにおいて、輻射熱等による外管から内管への熱伝導を抑えることができる。
【0027】
<10>本発明の態様10に係る接合方法は、態様8に係る接合方法において、前記内管接合工程の後、且つ、前記外管突き合わせ工程の前に、前記第1内管の端部及び前記第2内管の端部に耐熱輻射層及び断熱材を設ける設置工程、を更に備えることを特徴とする。
【0028】
態様10によれば、第1内管の端部及び第2内管の端部に耐熱輻射層及び断熱材を設ける設置工程が、内管接合工程の後、且つ、外管突き合わせ工程の前に行われる。換言すれば、内管接合工程の作業時には、第1内管の端部及び第2内管の端部には、耐熱輻射層及び断熱材が設けられていない。これにより、内管接合工程の作業に耐熱輻射層及び断熱材が干渉することを抑えることができる。また、第1多重管と第2多重管とが接合された後に、第1内管の端部と第2内管の端部との接合部に耐熱輻射層及び断熱材が設けられた状態となることで、多重管システムにおいて、輻射熱等による外管から内管への熱伝導を抑えることができる。
また、設置工程で設けられた断熱材をガイドとして機能させることで、外管突き合わせ工程において、第2外管を第2外管の管軸方向に移動させやすくすることができる。よって、作業性を向上させることができる。
【0029】
<11>本発明の態様11に係る接合方法は、態様8から態様10のいずれか1つに係る接合方法において、内管製作工程と、外管製作工程と、多重管製作工程と、を更に備え、前記第1内管及び前記第2内管は、複数の長尺化用内管から構成され、前記第1外管及び前記第2外管は、複数の長尺化用外管から構成され、前記内管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記複数の長尺化用内管を接合することで、前記第1内管及び前記第2内管を製作し、前記外管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記複数の長尺化用外管を接合することで、前記第1外管及び前記第2外管を製作し、前記多重管製作工程では、前記内管突き合わせ工程の前に、前記第1内管に第1耐熱輻射層を配置して前記第1外管に挿入することで第1多重管を製作し、前記第2内管に第2耐熱輻射層を配置して前記第2外管に挿入することで第2多重管を製作することを特徴とする。
【0030】
態様11によれば、第1内管及び第2内管は、内管突き合わせ工程の前に内管製作工程において製作される。第1外管及び第2外管は、内管突き合わせ工程の前に外管製作工程において製作される。これにより、第1内管、第2内管、第1外管、及び第2外管のそれぞれの長さを、製作工場から多重管システムの敷設箇所等まで運搬可能な範囲で最長とすることができる。よって、多重管システムの敷設箇所等における溶接の回数を削減し、設置に要する時間を短縮することができる。また、内管突き合わせ工程の前に、予め多重管製作工程において第1多重管及び第2多重管を製作することで、多重管システムの敷設箇所等での作業を少なくすることができる。
【0031】
<12>本発明の態様12に係る接合方法は、態様8から態様11のいずれか1つに係る接合方法において、前記内管突き合わせ工程の後に、前記第1内管の管軸と前記第2内管の管軸とを略一致させる内管芯出し工程と、前記外管突き合わせ工程の後に、前記第1外管の管軸と前記第2外管の管軸とを略一致させる外管芯出し工程と、を更に備えることを特徴とする。
【0032】
態様12によれば、内管突き合わせ工程の後に、内管芯出し工程によって第1内管の管軸と第2内管の管軸とを略一致させる。また、外管突き合わせ工程の後に、外管芯出し工程によって第1外管の管軸と第2外管の管軸とを略一致させる。これにより、第1内管と第2内管、及び第1外管と第2外管との位置精度を確保することができる。
【0033】
<13>本発明の態様13に係る接合方法は、始端部内管と前記始端部内管が挿入される始端部外管とを含む始端部多重管と、中間部内管と前記中間部内管が挿入される中間部外管とを含む中間部多重管と、終端部内管と前記終端部内管が挿入される終端部外管とを含む終端部多重間と、を備える多重管システムであって、前記始端部内管の一端部は、前記始端部外管の一端部から突出しており、前記中間部内管の一端部は、前記中間部外管の一端部から突出しており、前記終端部内管の一端部は、前記終端部外管の一端部から突出しており、前記中間部内管の長さと前記中間部外管の長さとは、略同一である、多重管システムの接合方法であって、前記始端部内管の一端部と前記中間部内管の一端部とを突き合わせる始端部内管突き合わせ工程と、前記始端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部内管の一端部と前記中間部内管の一端部とを接合する始端部内管接合工程と、前記中間部外管を前記中間部外管の管軸方向に移動させることにより、前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを突き合わせる始端部外管突き合わせ工程と、前記始端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記始端部外管の一端部と前記中間部外管の一端部とを接合する始端部外管接合工程と、前記中間部内管の他端部と前記終端部内管の一端部とを突き合わせる終端部内管突き合わせ工程と、前記終端部内管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部内管の他端部と前記終端部内管の一端部とを接合する終端部内管接合工程と、前記終端部外管を前記終端部外管の管軸方向に移動させることにより、前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを突き合わせる終端部外管突き合わせ工程と、前記終端部外管突き合わせ工程で突き合せられた前記中間部外管の他端部と前記終端部外管の一端部とを接合する終端部外管接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0034】
態様13によれば、始端部多重管と、中間部多重管と、終端部多重間とを、多重管システムの敷設箇所等において接合する。これにより、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所等で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層の変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。また、敷設箇所等において長尺の内管を長尺の外管に挿入する場合と比較して、設置作業を容易にすることに加えて、作業時間を短縮することができる。
また、始端部内管の一端部は、始端部外管の一端部から突出しており、中間部内管の一端部は、中間部外管の一端部から突出している。これにより、始端部内管の一端部と中間部内管の一端部とを接合する始端部内管接合工程を行いやすくすることができる。
また、終端部内管の一端部は、終端部外管の一端部から突出しており、中間部内管の長さと中間部外管の長さとは、略同一である。ここで、中間部内管の長さと中間部外管の長さとが略同一であると、始端部外管突き合わせ工程において中間部外管を中間部外管の管軸方向に移動させることにより、中間部内管の他端部が、中間部外管の他端部から突出する。これにより、中間部内管の他端部と終端部内管の一端部とを接合する終端部内管接合工程を行いやすくすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、断熱性の低下を抑えることができる多重管システム及び接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態に係る多重管システムの正面図である。
図2】第1実施形態に係る多重管システムの分解正面図である。
図3図2に示すIII部の拡大図である。
図4】第1多重管と第2多重管とを接合する前の状態を示す図である。
図5】第1多重管と第2多重管とを接合した後の状態の変形例である。
図6】内管芯出し工程の正面図である。
図7】内管芯出し工程の側面図である。
図8】設置工程の正面図である。
図9】外管芯出し工程の正面図である。
図10】第2実施形態に係る第2多重管システムの正面図である。
図11】第2実施形態に係る第1多重管の側面図である。
図12】第2実施形態に係る第2多重管の側面図である。
図13】第3実施形態に係る第3多重管システムの正面図である。
図14】第3実施形態に係る第3多重管システムの分解正面図である。
図15】第3実施形態において、始端部多重管と中間部多重管とを接合した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る多重管システム100及び多重管システム100の接合方法を説明する。
図1は、実施形態に係る多重管システム100の正面図である。
本実施形態に係る多重管システム100は、例えば、断熱多重管として用いられる。具体的には、多重管システム100は、内部に配置された超電導ケーブルの温度を固有の転移温度以下に保ち、超電導ケーブルの電気抵抗をゼロにするために用いられる。
図1に示すように、本実施形態に係る多重管システム100は、内管IPと、外管OPと、耐熱輻射層SIと、を備える。
【0038】
内管IPは、例えば、ストレート管である。内管IPの内部には、超電導ケーブルが挿通される。超電導ケーブルと内管IPとの間には隙間が形成される。内管IPは、ステンレス鋼製である。例えば、内管IPの材質は、SUS316、SUS316L、SUS304、SUS304L等から適宜選択される。内管IPは円筒状である。内管IPは、例えば、外径60.5mm、厚さ2.0mmである。
【0039】
外管OPは、内管IPの外側に設けられる。内管IPと外管OPとの間には隙間が形成される。外管OPは、ステンレス鋼製である。例えば、外管OPの材質は、SUS316、SUS316L、SUS304、SUS304L等から適宜選択される。外管OPは円筒状である。外管OPは、例えば、外径76.3mm、厚さ2.0mmである。
【0040】
耐熱輻射層SIは、内管IPの外周面に設けられる。耐熱輻射層SIは、内管IPの全長に亘って設けられる。耐熱輻射層SIは、内管IPの外面の全体を覆うように設けられる。耐熱輻射層SIは、スーパーインシュレーションと呼ばれるアルミニウムが蒸着された樹脂フィルムおよびポリエステルネットを積層したシートが適用される。耐熱輻射層SIは、同シートを多重巻きして用いる。
耐熱輻射層SIは、例えば、厚さ1mm程度(多重巻き後のトータルの厚さが1mm程度)である。耐熱輻射層SIは、外部からの輻射熱の侵入を抑制する。すなわち、耐熱輻射層SIにより、外管OP側から内管IP側への輻射熱の伝達を抑制することができる。
なお、耐熱輻射層SIは、外管OPに対して内管IPを挿入する際の抵抗を小さくするため、摩擦抵抗が小さいものが用いられることが好ましい。
【0041】
ここで、多重管システム100は、例えば、超電導ケーブルの長さに対応して長距離に亘って敷設される。このとき、長尺の内管IP及び外管OPを用いて多重管システム100を構成しようとすると、外管OPの内部に内管IPを挿入する際の摩擦抵抗が大きくなることや、摩擦によって外管OP又は内管IPにたわみが生じることによって、作業が困難となる問題が生じる。これを抑える為に、本実施形態に係る多重管システム100は、以下に説明するように、複数の多重管を敷設現場において接合することで構成される。
【0042】
図2は、実施形態に係る多重管システム100の分解正面図である。
図1及び図2に示すように、多重管システム100は、第1多重管10と、第2多重管20と、を備える。多重管システム100は、敷設箇所において第1多重管10と第2多重管20とを接合することで構成される。
【0043】
第1多重管10は、第1内管11と、第1外管12と、第1耐熱輻射層13と、第1断熱材14と、を含む。
第1内管11は、上述した内管IPの一部である。第1内管11の端部は、後述する第2内管21の端部に接続される。第1内管11は、複数の長尺化用内管から構成される。
第1外管12は、上述した外管OPの一部である。第1外管12の内部には、第1内管11が挿入される。第1外管12の端部には、後述する第2外管22の端部が接続される。第1外管12は、複数の長尺化用外管から構成される。
【0044】
第1耐熱輻射層13は、上述した耐熱輻射層SIの一部である。第1耐熱輻射層13は、第1内管11の外周面に設けられ、第1外管12から第1内管11への熱伝導を抑える。したがって、第1耐熱輻射層13は、第1内管11の外周面と、第1外管12の内周面との間に設けられる。
第1耐熱輻射層13は、第1内管11と第2内管21との接合作業時に溶損すること等によって作業に干渉することを避けるため、接合作業前は、図2に示すように、第1内管11と第2内管21との接合部付近には設けられないことが好ましい。具体的には、第1耐熱輻射層13は、第1内管11の管軸方向において、第1内管11の端部の溶接部から絶対量として200mm程度の領域には設けられないことが好ましい。
【0045】
第1断熱材14は、第1外管12と第1耐熱輻射層13との間に設けられ、第1外管12から第1内管11への熱伝導を抑える。第1断熱材14は、円筒状である。第1断熱材14は、円筒状の内管IPと外管OPとの間に、全周に亘って配置されている。第1断熱材14は、第1内管11の管軸方向に所定間隔で設けられる。前記所定間隔は、例えば、第1断熱材14で第1外管12を支持した時の第1内管11のたわみが、1mm以下となる程度の距離であることが好ましい。このように第1断熱材14が配置されることで、第1断熱材14によって、第1多重管10の管軸方向に亘って、第1内管11に対する第1外管12の位置を一定にすることができる。なお、第1断熱材14も、第1耐熱輻射層13と同様に、第1内管11と第2内管21との接合部付近には設けられないことが好ましい。
【0046】
更に、第1断熱材14は、第1外管12に第1内管11を挿入する際のガイドとしても用いられる。すなわち、第1断熱材14は、第1外管12の管軸方向に第1内管11を移動させやすくするためにも用いられる。このため、第1断熱材14には、熱伝導がしにくいことに加えて、摩擦抵抗が小さいものが好適に用いられる。
すなわち、第1断熱材14は、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロチレン)もしくはフッ素樹脂に繊維状のフィラーを添加したガラス繊維強化プラスチックなどを用いても良い。または、シリカエアロゲルを添加したガラス繊維状の断熱紙などが望ましい。なお、第1断熱材14の材質はこれに限られない。例えば、第1断熱材14は、スーパーインシュレーションを第1耐熱輻射層13に複数回巻き付けることにより形成されていてもよい。
【0047】
第2多重管20は、第2内管21と、第2外管22と、第2耐熱輻射層23と、第2断熱材24と、を含む。
第2内管21は、上述した内管IPの一部である。第2内管21の端部は、第1内管11の端部に接続される。第2内管21は、複数の長尺化用内管から構成される。
第2外管22は、上述した外管OPの一部である。第2外管22の内部には、第2内管21が挿入される。第2外管22の端部には、第1外管12の端部が接続される。第2外管22は、複数の長尺化用外管から構成される。
【0048】
第2耐熱輻射層23は、上述した耐熱輻射層SIの一部である。第2耐熱輻射層23は、第2内管21の外周面に設けられ、第2外管22から第2内管21への熱伝導を抑える。したがって、第2耐熱輻射層23は、第2内管21の外周面と、第2外管22の内周面との間に設けられる。
第2耐熱輻射層23は、第1内管11と第2内管21との接合作業時に溶損すること等によって作業に干渉することを避けるため、接合作業前は、図2に示すように、第1内管11と第2内管21との接合部付近には設けられないことが好ましい。具体的には、第2耐熱輻射層23は、第2内管21の管軸方向において、第2内管21の端部の溶接部から絶対量として200mm程度の領域には設けられないことが好ましい。
【0049】
第2断熱材24は、第2外管22と第2耐熱輻射層23との間に設けられ、第2外管22から第2内管21への熱伝導を抑える。第2断熱材24は、円筒状である。第2断熱材24は、円筒状の内管IPと外管OPとの間に、全周に亘って配置されている。第2断熱材24は、第2内管21の管軸方向に所定間隔で設けられる。前記所定間隔は、例えば、第2断熱材24で第2外管22を支持した時の第2内管21のたわみが、1mm以下となる程度の距離であることが好ましい。このように第2断熱材24が配置されることで、第2断熱材24によって、第2多重管20の管軸方向に亘って、第2内管21に対する第2外管22の位置を一定にすることができる。なお、第2断熱材24も、第2耐熱輻射層23と同様に、第1内管11と第2内管21との接合部付近には設けられないことが好ましい。
【0050】
更に、第2断熱材24は、第2外管22に第2内管21を挿入する際のガイドとしても用いられる。すなわち、第2断熱材24は、第2外管22の管軸方向に第2内管21を移動させやすくするためにも用いられる。このため、第2断熱材24には、熱伝導がしにくいことに加えて、摩擦抵抗が小さいものが好適に用いられる。第2断熱材24の材質は、上述した第1断熱材14と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本実施形態において、多重管システム100における内管IPは、第1内管11と第2内管21とが接合されることで構成される。本実施形態において、第1内管11の端部と第2内管21の端部とは、溶接される。このため、互いに接合される第1内管11の端部と第2内管21の端部との間には、例えば、不図示の開先が設けられることが好ましい。
本実施形態において、多重管システム100における外管OPは、第1外管12と第2外管22とが接合されることで構成される。本実施形態において、第1外管12の端部と第2外管22の端部とは、溶接される。
【0052】
図3は、図2に示すIII部の拡大図である。
ここで、第1外管12と第2外管22とを溶接する際、内管IPと外管OPとの間に酸素などの気体が存在すると、前記気体が溶接中に溶融金属と反応することで、シールド不良を原因とする溶接欠陥が発生する原因となる。これを抑えるために、図3に示すように、第2内管21の外周面には、第2内管21の端部にバックシールドガスを供給するための供給チューブ21tが設けられる。本実施形態において、第1外管12と第2外管22との溶接は、この供給チューブ21tからバックシールドガスを供給しながら行う。
なお、供給チューブ21tを第2内管21の外周面に沿って配置できるようにするため、第2断熱材24の周方向の一部には、切欠き24sが設けられていてもよい。また、供給チューブ21tは、第1多重管10と第2多重管20との接合後には、取り外されてもよい。
【0053】
図4は、第1多重管10と第2多重管20とを接合する前の状態を示す図である。
本実施形態において、第1多重管10と第2多重管20とを接合する際、第1内管11と第2内管21とを接合した後に、第1外管12と第2外管22とを接合する(詳細は後述する)。本実施形態において、上記工程を行いやすくするために、第1多重管10及び第2多重管20は、それぞれ下記のような構造を備える。
【0054】
すなわち、第1多重管10と第2多重管20とを接合する前において、図4に示すように、第1多重管10における第1内管11の、第2外管22に面する側の端部は、第1外管12の端部から突出している。第2内管21の、第1内管11に面する側の端部は、第2外管22の端部から突出している。
上記を満たすために、第1内管11の長さは、図2に示すように、第1外管12の長さより長い。すなわち、第1多重管10の管軸方向において、第1内管11及び第1外管12の、第2多重管20に面しない側の端部の位置を合わせると、第1内管11の第2内管21に面する側の端部が、第1外管12の第2外管22に面する側の端部から突出する。
そして、第2内管21の長さは、第2外管22の長さ以下である。すなわち、第2内管21の長さは、第2外管22の長さよりも短いか、第2外管22の長さと等しい。
【0055】
第2内管21の長さが第2外管22の長さよりも短い場合は、図2に示すように、第2内管21の長さと第2外管22の長さとの差は、第1内管11の端部が第1外管12の端部から突出する長さに対応することが好ましい。このことで、第1多重管10と第2多重管20とを接合した時、第1内管11と第2内管21とを合わせた長さと、第1外管12と第2外管22とを合わせた長さと、を同じにすることができる。つまり、内管IPと外管OPとの長さを同じにすることができる。
【0056】
図5は、第1多重管10と第2多重管20とを接合した後の状態の変形例である。
第2内管21の長さと第2外管22の長さが同じである場合は、図5に示すように、第1多重管10と第2多重管20とを接合した時、第2内管21の、第1内管11と接合された側と反対側の端部が、第2外管22の、第1外管12と接合された側と反対側の端部から突出した状態となる。換言すれば、第1多重管10と第2多重管20とが接合された時、第2内管21の端部と第2外管22の端部との位置関係が、上述した第1内管11の端部と第1外管12の端部との位置関係と同様になる。この形態は、後述する第3実施形態と同様の形態である。
【0057】
(多重管システムの接合方法)
次に、本実施形態に係る多重管システム100の接合方法について説明する。すなわち、本実施形態に係る接合方法は、内管製作工程と、外管製作工程と、多重管製作工程と、内管突き合わせ工程と、内管芯出し工程と、内管接合工程と、設置工程と、外管突き合わせ工程と、外管芯出し工程と、外管接合工程と、を備える。
図6は、内管芯出し工程の正面図である。
図7は、内管芯出し工程の側面図である。
図8は、外管芯出し工程の正面図である。
【0058】
内管製作工程は、内管突き合わせ工程の前に、複数の長尺化用内管を接合することで、第1内管11及び第2内管21を製作する工程である。複数の長尺化用内管は、例えば、溶接される。
外管製作工程は、内管突き合わせ工程の前に、複数の長尺化用外管を接合することで、第1外管12及び第2外管22を製作する工程である。複数の長尺化用外管は、例えば、溶接される。
多重管製作工程は、内管突き合わせ工程の前に、第1内管11に第1耐熱輻射層13及び第1断熱材14を配置して第1外管12の内部に挿入することで第1多重管10を製作し、第2内管21に第2耐熱輻射層23及び第2断熱材24を配置して第2外管22の内部に挿入することで第2多重管20を製作する工程である。
上述の各工程により第1多重管10及び第2多重管20を製作した後、以下に述べる各工程を実施する。
【0059】
内管突き合わせ工程は、第1内管11の端部と第2内管21の端部とを突き合わせる工程である。すなわち、第1内管11の端部と第2内管21の端部とを接合可能な位置に移動させる。
【0060】
内管芯出し工程は、内管突き合わせ工程の後に、第1内管11の管軸と第2内管21の管軸とを略一致させる工程である。本実施形態において、略一致とは、第1内管11と第2内管21との目違いが±0.5mm以下の範囲内であることをいう。
具体的には、まず、第1内管11及び第2内管21のそれぞれの端部における、周方向の板厚を計測する。
次に、計測した結果に基づき、第1内管11及び第2内管21のそれぞれの代表板厚の部分が下方に位置するように、第1内管11及び第2内管21の位相を合わせる。代表板厚とは、例えば、第1内管11及び第2内管21のうち、互いに板厚が等しくなる部分の板厚である。このように、第1内管11と第2内管21との板厚が等しくなる部分が下方に位置するようにすることで、第1内管11と第2内管21との板厚が異なることによって生じる段差が、下方に位置しないようにする。このことで、内管IPの内部に超電導ケーブル等を配設する際に、超電導ケーブル等が前記段差に干渉して配設作業に影響することを抑える。
そして、図6及び図7に示すように、当て板J1と押し付け具J2とを備える治具Jを用いて、第1内管11と第2内管21との位置を合わせる。すなわち、まず、第1内管11及び第2内管21の外周面に沿った形状を備える当て板J1を、第1内管11と第2内管21との接合部の下面に接するように配置する。そして、押し付け具J2によって、第1内管11と第2内管21とを当て板J1に押し付けるように押圧する。
このとき、押し付け具J2は、図7に示すように、第1内管11及び第2内管21の周方向において、当て板J1から少なくとも90°以上離れた位置に複数設けられることが好ましい。具体的には、押し付け具J2は、第1内管11及び第2内管21の周方向において、上方から一方及び他方にそれぞれ60°移動した位置に設けられることが好ましい。また、押し付け具J2は、第1内管11と第2内管21との溶接作業に干渉しないように、第1内管11及び第2内管21の端部から離れた位置に配置されることが好ましい。
内管芯出し工程を行うことで、第1内管11と第2内管21との位置精度を確保するとともに、第1内管11と第2内管21とを溶接する場合の溶接品質を確保する。
【0061】
内管接合工程は、内管突き合わせ工程で突き合せられた第1内管11の端部と第2内管21の端部とを接合する工程である。より具体的には、内管接合工程は、内管芯出し工程で管軸同士を略一致させた第1内管11の端部と第2内管21の端部とを接合する工程である。すなわち、第1内管11の端部と第2内管21の端部とを溶接する工程である。
【0062】
設置工程は、内管接合工程の後、且つ、外管突き合わせ工程の前に、第1内管11の端部及び第2内管21の端部に耐熱輻射層SI及び断熱材Iを設ける工程である。上述したように、第1内管11と第2内管21との接合作業に干渉することを避けるため、第1内管11と第2内管21との接合部付近には、第1耐熱輻射層13、第1断熱材14、第2耐熱輻射層23、及び第2断熱材24が設けられていない。
設置工程において、図8に示すように、第1内管11と第2内管21との接合部付近に耐熱輻射層SI及び断熱材Iを設けることで、第1多重管10と第2多重管20との接合後に外管OPから内管IPへの熱伝導を確実に抑える。なお、断熱材Iとは、第1断熱材14及び第2断熱材24と同様の構成である。
【0063】
外管突き合わせ工程は、第2外管22を第2外管22の管軸方向に移動させることにより、第1外管12の端部と第2外管22の端部とを突き合わせる工程である。これにより、第2外管22を、第1外管12の端部と第2外管22の端部とを接合可能な位置に移動させる。
【0064】
外管芯出し工程は、外管突き合わせ工程の後に、第1外管12の管軸と第2外管22の管軸とを略一致させる工程である。本実施形態において、略一致とは、第1外管12と第2外管22との目違いが±0.5mm以下の範囲内であることをいう。外管芯出し工程は、図9に示すように、治具Jを用いて、上述の内管芯出し工程と同様に行う。
【0065】
外管接合工程は、外管突き合わせ工程で突き合せられた第1外管12の端部と第2外管22の端部とを接合する工程である。より具体的には、外管接合工程は、外管芯出し工程で管軸同士を略一致させた第1外管12の端部と第2外管22の端部とを接合する工程である。すなわち、第1外管12の端部と第2外管22の端部とを溶接する工程である。
上記工程により、第1多重管10と第2多重管20とを接合する。なお、第1多重管10と第2多重管20とを接合した後は、外管OPと内管IPとの間を真空にすることで、断熱性を確保する。
以上の各工程により、本実施形態に係る多重管システム100は構成される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る多重管システム100によれば、第1多重管10と、第2多重管20と、を備える。換言すれば、敷設箇所において第1多重管10と第2多重管20とを接合することで、多重管システム100を構成する。これにより、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層SIの変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。
ここで、長尺の多重管システム100を1つの外管OPと1つの内管IPとによって構成する場合、外管OPの内部に内管IPを挿入する際の摩擦抵抗が大きくなることや、摩擦によって外管OP又は内管IPにたわみが生じることによって、作業が困難となる問題が生じる。上述のように複数の多重管を敷設箇所で接合して多重管システム100を構成することで、上述した問題の発生を抑えることができる。
【0067】
また、第1内管11の端部は、第1外管12の端部から突出しており、第2内管21の端部は、第2外管22の端部から突出している。これにより、第1内管11と第2内管21の端部同士を突き合わせた時、周囲に第1外管12及び第2外管22が位置しないようにすることができる。そして、この状態で、第1内管11の端部と第2内管21の端部とは、接合される。したがって、第1内管11と第2内管21との接合作業を、第1内管11及び第2内管21の外側から行いやすくすることができる。また、例えば、第1内管11と第2内管21とを溶接する場合は、溶接作業や溶接不良発生時の補修作業を容易にすることができる。
【0068】
また、第1内管11の長さは、第1外管12の長さより長い。これにより、第1内管11及び第1外管12それぞれの一方の端部の位置を合わせると、第1外管12の他方の端部から第1内管11の他方の端部が突出した状態となる。したがって、予め第1内管11と第1外管12との位置を合わせた状態で、第1多重管10と第2多重管20とを接合することができる。よって、接合後に第1内管11と第1外管12とを位置合わせすることを不要として、作業性を向上させることができる。
【0069】
また、第2内管21の長さは、第2外管22の長さ以下である。例えば、第2内管21の長さが第2外管22の長さよりも短い場合、第2内管21と第2外管22との長さの差を、第1外管12と第1内管11との長さの差と同じにすることで、第1多重管10と第2多重管20とを接合した時、第1内管11と第2内管21とを合わせた長さと、第1外管12と第2外管22とを合わせた長さと、を同じにすることができる。これにより、第1多重管10と第2多重管20とが接合された多重管システム100における、内管IPと外管OPとの長さ及び位置の調整作業を不要として、作業性を向上させることができる。
【0070】
また、例えば、第2内管21の長さと第2外管22の長さが同じである場合、第1多重管10と第2多重管20とを接合した時、第2内管21の、第1内管11と接合された側と反対側の端部が、第2外管22の、第1外管12と接合された側と反対側の端部から突出した状態となる。これにより、第1多重管10及び第2多重管20に加えて、更に多くの多重管を接合しやすくすることができる。よって、多重管システム100をより長尺なものとしやすくすることができる。
【0071】
また、第2内管21の長さと第2外管22の長さとの差は、第1内管11の端部が第1外管12の端部から突出する長さに対応する。これにより、第1多重管10と第2多重管20とを接合した時、第1内管11と第2内管21とを合わせた長さと、第1外管12と第2外管22とを合わせた長さと、を同じにすることができる。したがって、第1多重管10と第2多重管20とが接合された多重管システム100における、内管IPと外管OPとの長さ及び位置の調整作業を不要として、作業性を向上させることができる。
【0072】
また、第1内管11の端部と第2内管21の端部とは、溶接される。これにより、例えば、第1内管11の端部と第2内管21の端部とをフランジやフェルールによって接合する場合と比較して、第1内管11と第2内管21との接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、第1外管12及び第2外管22の内径をより小さくすることができる。したがって、例えば、外管OPの外径を抑えることで、多重管システム100を小型化することができる。
【0073】
また、第2内管21の外周面には、第2内管21の端部にバックシールドガスを供給するための供給チューブ21tが設けられる。これにより、第1外管12と第2外管22とを接合する際、接合部の付近において、第1内管11及び第2内管21と第1外管12及び第2外管22との間に、バックシールドガスを供給することができる。よって、第1外管12と第2外管22との接合部において、シールド不良を原因とする溶接欠陥が発生することを抑えることができる。
【0074】
また、第1内管11及び第2内管21の外周面には、それぞれ第1耐熱輻射層13及び第2耐熱輻射層23が設けられる。更に、第1外管12と第1耐熱輻射層13との間には第1断熱材14が設けられ、第2外管22と第2耐熱輻射層23との間には第2断熱材24が設けられる。これにより、例えば、多重管システム100において内管IPと外管OPとの間を断熱する際に、内管IPと外管OPとの間を真空状態にした後、外管OPから内管IPへの熱伝導をより確実に抑えることができる。
また、第1断熱材14及び第2断熱材24は、それぞれ、第1内管11及び第2内管21の管軸方向に所定間隔で設けられる。これにより、多重管システム100の管軸方向に亘って、内管IPに対する外管OPの位置を一定にすることができる。また、第1断熱材14及び第2断熱材24をガイドとして機能させることで、第1内管11を第1外管12に挿入する作業、及び、第2内管21を第2外管22に挿入する作業を行いやすくすることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る接合方法によれば、第1多重管10と第2多重管20とを接合する際、内管接合工程において第1内管11と第2内管21とを接合した後に、外管接合工程において第1外管12と第2外管22とを接合する。換言すれば、予め製作した複数の多重管を、多重管システム100の敷設箇所で接合する。これにより、長尺の多重管システム100を設置する際、敷設箇所において長尺の内管IPを長尺の外管OPに挿入する場合と比較して、設置作業を容易にすることに加えて、作業時間を短縮することができる。また、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層SIの変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。
【0076】
ここで、第1内管11の端部及び第2内管21の端部において、内管接合工程の前に耐熱輻射層SIが設けられていると、内管接合工程の作業に耐熱輻射層SIが干渉する。
そこで、第1内管11の端部及び第2内管21の端部に耐熱輻射層SIを設ける設置工程が、内管接合工程の後、且つ、外管突き合わせ工程の前に行われる。換言すれば、内管接合工程の作業時には、第1内管11の端部及び第2内管21の端部には、耐熱輻射層SIが設けられていない。これにより、内管接合工程の作業に耐熱輻射層SIが干渉することを抑えることができる。また、第1多重管10と第2多重管20とが接合された後に、第1内管11の端部と第2内管21の端部との接合部に耐熱輻射層SIが設けられた状態となることで、多重管システム100において、輻射熱等による外管OPから内管IPへの熱伝導を抑えることができる。
【0077】
また、第1内管11の端部及び第2内管21の端部に耐熱輻射層SI及び断熱材Iを設ける設置工程が、内管接合工程の後、且つ、外管突き合わせ工程の前に行われる。換言すれば、内管接合工程の作業時には、第1内管11の端部及び第2内管21の端部には、耐熱輻射層SI及び断熱材Iが設けられていない。これにより、内管接合工程の作業に耐熱輻射層SI及び断熱材Iが干渉することを抑えることができる。また、第1多重管10と第2多重管20とが接合された後に、第1内管11の端部と第2内管21の端部との接合部に耐熱輻射層SI及び断熱材Iが設けられた状態となることで、多重管システム100において、輻射熱等による外管OPから内管IPへの熱伝導を抑えることができる。
また、設置工程で設けられた断熱材Iをガイドとして機能させることで、外管突き合わせ工程において、第2外管22を第2外管22の管軸方向に移動させやすくすることができる。よって、作業性を向上させることができる。
【0078】
また、第1内管11及び第2内管21は、内管突き合わせ工程の前に内管製作工程において製作される。第1外管12及び第2外管22は、内管突き合わせ工程の前に外管製作工程において製作される。これにより、第1内管11、第2内管21、第1外管12、及び第2外管22のそれぞれの長さを、製作工場から多重管システム100の敷設箇所まで運搬可能な範囲で最長とすることができる。よって、多重管システム100の敷設箇所における溶接の回数を削減し、設置に要する時間を短縮することができる。また、内管突き合わせ工程の前に、予め多重管製作工程において第1多重管10及び第2多重管20を製作することで、多重管システム100の敷設箇所での作業を少なくすることができる。
【0079】
また、内管突き合わせ工程の後に、内管芯出し工程によって第1内管11の管軸と第2内管21の管軸とを略一致させる。また、外管突き合わせ工程の後に、外管芯出し工程によって第1外管12の管軸と第2外管22の管軸とを略一致させる。これにより、第1内管11と第2内管21、及び第1外管12と第2外管22との位置精度を確保することができる。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2多重管システム200を、図10図12を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0081】
図10は、第2実施形態に係る第2多重管システムの正面図である。
図11は、第2実施形態に係る第1多重管の側面図である。
図12は、第2実施形態に係る第2多重管の側面図である。
図10に示すように、第2多重管システム200は、第1多重管10と、第2多重管20と、を備える点で、第1実施形態と共通する。
第2多重管システム200は、第1多重管10及び第2多重管20において、第1断熱材14及び第2断熱材24に代えて、下記構成を備える点で、第1実施形態と相違する。
【0082】
すなわち、第2多重管システム200の第1多重管10において、第1外管12の内周面には、図11に示すように、第1外管12の管軸に向かって突出する第1突出部12pが形成される。
第1突出部12pは、例えば、第1外管12の内周面に一体に成形される。第1突出部12pは、第1外管12の周方向に間隔をあけて複数設けられる。第1突出部12pは、第1内管11の外周面に設けられた第1耐熱輻射層13に接する。このように、第1突出部12pのみが第1耐熱輻射層13に接することで、第1外管12から第1内管11への熱伝導を抑える。また、第1突出部12pは、第1外管12の管軸方向に沿って連続して形成される。このことに加えて、第1突出部12pと第1耐熱輻射層13を介した第1内管11との接点が、第1内管11の周方向において複数位置することで、第1多重管10の管軸方向に亘って、第1内管11に対する第1外管12の位置を一定にすることができる。
【0083】
また、第2多重管システム200の第2多重管20において、第2外管22の内周面には、図12に示すように、第2外管22の管軸に向かって突出する第2突出部22pが形成される。
第2突出部22pは、例えば、第2外管22の内周面に一体に成形される。第2突出部22pは、第2外管22の周方向に間隔をあけて複数設けられる。第2突出部22pは、第2内管21の外周面に設けられた第2耐熱輻射層23に接する。このように、第2突出部22pのみが第2耐熱輻射層23に接することで、第2外管22から第2内管21への熱伝導を抑える。また、第2突出部22pは、第2外管22の管軸方向に沿って連続して形成される。このことに加えて、第2突出部22pと第2耐熱輻射層23を介した第2内管21との接点が、第2内管21の周方向において複数位置することで、第2多重管20の管軸方向に亘って、第2内管21に対する第2外管22の位置を一定にすることができる。
【0084】
(第2多重管システムの接合方法)
第2実施形態における接合方法は、設置工程の際、第1内管11の端部及び第2内管21の端部に耐熱輻射層SIのみを設ける。換言すれば、第2実施形態では、設置工程の際に、第1断熱材14及び第2断熱材24を設けない点でのみ、第1実施形態と相違する。
【0085】
以上説明したように、第2実施形態に係る第2多重管システム200によれば、第1内管11及び第2内管21の外周面には、それぞれ第1耐熱輻射層13及び第2耐熱輻射層23が設けられる。これにより、第1内管11及び第2内管21への外側からの熱伝導を抑えることができる。
第1外管12の内周面には、第1外管12の管軸に向かって突出する第1突出部12pが形成され、第2外管22の内周面には、第2外管22の管軸に向かって突出する第2突出部22pが形成される。これにより、第1内管11を第1外管12に挿入した時、第1突出部12pのみが第1内管11に設けられた第1耐熱輻射層13に接する。また、第2内管21を第2外管22に挿入した時、第2突出部22pのみが第2内管21に設けられた第2耐熱輻射層23に接する。したがって、例えば、多重管システム100において内管IPと外管OPとの間を断熱する際に、内管IPと外管OPとの間を真空状態にした後、外管OPから内管IPへの熱伝導をより抑えることができる。
また、第1突出部12p及び第2突出部22pは、それぞれ、第1外管12及び第2外管22の管軸方向に沿って連続して形成される。これにより、多重管システム100の管軸方向に亘って、内管IPに対する外管OPの位置を一定にすることができる。また、第1突出部12p及び第2突出部22pをガイドとして機能させることで、第1内管11と第1外管12とを、及び、第2内管21と第2外管22とを、多重管システム100の管軸方向に相対移動させやすくすることができる。よって、第1内管11を第1外管12に挿入する作業、及び、第2内管21を第2外管22に挿入する作業を行いやすくすることができる。
【0086】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の第3多重管システム300を、図13図15を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0087】
図13は、第3実施形態に係る第3多重管システムの正面図である。
図14は、第3実施形態に係る第3多重管システムの分解正面図である。
図15は、第3実施形態において、始端部多重管と中間部多重管とを接合した後の状態を示す図である。
第3実施形態においては、以下に述べるように3種類の多重管を備える。すなわち、第3多重管システム300は、図13に示すように、始端部多重管310と、中間部多重管320と、終端部多重間330と、を備える。
始端部多重管310は、始端部内管311と、内部に始端部内管311が挿入される始端部外管312と、を含む。
中間部多重管320は、中間部内管321と、内部に中間部内管321が挿入される中間部外管322と、を含む。
終端部多重間330は、終端部内管331と、内部に終端部内管331が挿入される終端部外管332と、を含む。
始端部多重管310、中間部多重管320、及び終端部多重間330は、それぞれ、内部に第1耐熱輻射層13又は第2耐熱輻射層23、及び第1断熱材14又は第2断熱材24に相当する構成を備える(不図示)。
【0088】
第3実施形態において、第3多重管システム300における内管IPは、始端部内管311と、中間部内管321と、終端部内管331と、が接合されることで構成される。当該接合は、それぞれの端部が互いに溶接されることでなされる。
第3実施形態において、第3多重管システム300における外管OPは、始端部外管312と、中間部外管322と、終端部外管332と、が接合されることで構成される。当該接合は、それぞれの端部が互いに溶接されることでなされる。
【0089】
第3実施形態において、始端部多重管310、中間部多重管320、及び終端部多重間330は、それぞれの接合を行いやすくするために、下記のような構造を備える。
すなわち、図14に示すように、始端部内管311の一端部は、始端部外管312の一端部から突出しており、中間部内管321の一端部は、中間部外管322の一端部から突出しており、終端部内管331の一端部は、終端部外管332の一端部から突出している。
【0090】
上記を満たすために、始端部内管311の長さは、始端部外管312の長さよりも長い。当該構造は、第1実施形態の多重管システム100の備える第1多重管10と同様である。
中間部内管321の長さと中間部外管322の長さとは、略同一である。第3実施形態において、略同一とは、中間部内管321の長さと中間部外管322の長さとの誤差が絶対量で100mm以下であることをいう。当該構造は、第1実施形態の多重管システム100の備える第2多重管20において、第2内管21の長さと第2外管22の長さが同じである場合と同様である。すなわち、上述の各構造を備える始端部多重管310の一端部と中間部多重管320の一端部とを接合すると、図15に示すように、中間部内管321の他端部が、中間部外管322の他端部から突出した状態となる。
そして、終端部内管331の長さは、終端部外管332の長さよりも短い。また、終端部内管331の長さと終端部外管332の長さとの差は、始端部内管311の端部が始端部外管312の端部から突出する長さに対応することが好ましい。このことで、始端部内管311と、中間部内管321と、終端部内管331と、を合わせた長さと、始端部外管312と、中間部外管322と、終端部外管332と、を合わせた長さと、を同じにすることができる。つまり、内管IPと外管OPとの長さを同じにすることができる。
【0091】
(第3多重管システム300の接合方法)
次に、第3多重管システム300の接合方法について説明する。すなわち、本実施形態に係る接合方法は、内管製作工程と、外管製作工程と、始端部内管突き合わせ工程と、始端部内管芯出し工程と、始端部内管接合工程と、始端部設置工程と、始端部外管突き合わせ工程と、始端部外管芯出し工程と、始端部外管接合工程と、終端部内管突き合わせ工程と、終端部内管芯出し工程と、終端部内管接合工程と、終端部設置工程と、終端部外管突き合わせ工程と、終端部外管芯出し工程と、終端部外管接合工程と、を備える。
【0092】
内管製作工程及び外管製作工程は、第1実施形態と同様に行う。すなわち、複数の長尺化用内管を接合することで、始端部内管311、中間部内管321、及び終端部内管331を製作する。また、複数の長尺化用外管を接合することで、始端部外管312、中間部外管322、及び終端部外管332を製作する。
また、第1実施形態と同様に、始端部多重管310、中間部多重管320、及び終端部多重間330を構成した後、以下に述べる各工程を実施する。
【0093】
始端部内管突き合わせ工程は、始端部内管311の一端部と中間部内管321の一端部とを突き合わせる工程である。
始端部内管芯出し工程は、始端部内管突き合わせ工程の後に、始端部内管311の管軸と中間部内管321の管軸とを略一致させる工程である。
始端部内管接合工程は、始端部内管突き合わせ工程で突き合せられた後、始端部内管芯出し工程で互いに芯出しされた始端部内管311の一端部と中間部内管321の一端部とを接合する工程である。
始端部設置工程は、始端部内管接合工程の後、始端部外管突き合わせ工程の前に、始端部内管311の端部及び中間部内管321の端部に耐熱輻射層SI及び断熱材Iを設ける工程である。
【0094】
始端部外管突き合わせ工程は、中間部外管322を中間部外管322の管軸方向に移動させることにより、始端部外管312の一端部と中間部外管322の一端部とを突き合わせる工程である。
始端部外管芯出し工程は、始端部外管突き合わせ工程の後に、始端部外管312の管軸と中間部外管322の管軸とを略一致させる工程である。
始端部外管接合工程は、始端部外管突き合わせ工程で突き合せられた後、始端部外管芯出し工程で互いに芯出しされた始端部外管312の一端部と中間部外管322の一端部とを接合する工程である。
【0095】
終端部内管突き合わせ工程は、中間部内管321の他端部と終端部内管331の一端部とを突き合わせる工程である。
終端部内管芯出し工程は、終端部内管突き合わせ工程の後に、中間部内管321の管軸と終端部内管331の管軸とを略一致させる工程である。
終端部内管接合工程は、終端部内管突き合わせ工程で突き合せられた後、終端部内管芯出し工程で互いに芯出しされた中間部内管321の他端部と終端部内管331の一端部とを接合する工程である。
終端部設置工程は、終端部内管接合工程の後、終端部外管突き合わせ工程の前に、中間部内管321の端部及び終端部内管331の端部に耐熱輻射層SI及び断熱材Iを設ける工程である。
【0096】
終端部外管突き合わせ工程は、終端部外管332を終端部外管332の管軸方向に移動させることにより、中間部外管322の他端部と終端部外管332の一端部とを突き合わせる工程である。
終端部外管芯出し工程は、終端部外管突き合わせ工程の後に、中間部外管322の管軸と終端部外管332の管軸とを略一致させる工程である。
終端部外管接合工程は、終端部外管突き合わせ工程で突き合せられた後、終端部外管芯出し工程で互いに芯出しされた中間部外管322の他端部と終端部外管332の一端部とを接合する工程である。
【0097】
第3実施形態において、始端部内管突き合わせ工程と終端部内管突き合わせ工程とは、第1実施形態の内管突き合わせ工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部内管芯出し工程と終端部内管芯出し工程とは、第1実施形態の内管芯出し工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部内管接合工程と終端部内管接合工程とは、第1実施形態の内管接合工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部設置工程と終端部設置工程とは、第1実施形態の設置工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部外管突き合わせ工程と終端部外管突き合わせ工程とは、第1実施形態の外管突き合わせ工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部外管芯出し工程と終端部外管芯出し工程とは、第1実施形態の外管芯出し工程と同様の工程である。
第3実施形態において、始端部外管接合工程と終端部外管接合工程とは、第1実施形態の外管接合工程と同様の工程である。
【0098】
上記工程により、始端部多重管310と、中間部多重管320と、終端部多重間330と、を接合する。なお、始端部多重管310と、中間部多重管320と、終端部多重間330と、を接合した後は、外管OPと内管IPとの間を真空にすることで、断熱性を確保する。
以上の各工程により、第3多重管システム300は構成される。
【0099】
以上説明したように、第3実施形態に係る第3多重管システム300及び接合方法によれば、始端部多重管310と、中間部多重管320と、終端部多重間330とを、多重管システム100の敷設箇所において接合する。これにより、長尺の多重管に曲げ加工を施した状態で運搬し、敷設箇所で直線状に曲げ戻すことによって生じる管の縮径や、管の縮径による耐熱輻射層SIの変形による断熱性の低下が生じないようにすることができる。また、敷設箇所において長尺の内管IPを長尺の外管OPに挿入する場合と比較して、設置作業を容易にすることに加えて、作業時間を短縮することができる。
また、始端部内管311の一端部は、始端部外管312の一端部から突出しており、中間部内管321の一端部は、中間部外管322の一端部から突出している。これにより、始端部内管311の一端部と中間部内管321の一端部とを接合する始端部内管接合工程を行いやすくすることができる。
また、終端部内管331の一端部は、終端部外管332の一端部から突出しており、中間部内管321の長さと中間部外管322の長さとは、略同一である。ここで、中間部内管321の長さと中間部外管322の長さとが略同一であると、始端部外管突き合わせ工程において中間部外管322を中間部外管322の管軸方向に移動させることにより、中間部内管321の他端部が、中間部外管322の他端部から突出する。これにより、中間部内管321の他端部と終端部内管331の一端部とを接合する終端部内管接合工程を行いやすくすることができる。
【0100】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1内管11と第2内管21とは溶接されると説明したが、これに限らない。すなわち、第1内管11と第2内管21とは、フランジによって接合されてもよいし、フェルールによって接合されてもよい。この場合、設置工程において、耐熱輻射層SIをフランジ又はフェルールの外側に配置することが好ましい。また、第1外管12及び第2外管22の内径は、フランジ又はフェルール及び耐熱輻射層SIが配置可能な程度とすることが好ましい。
また、第1外管12と第2外管22とは溶接されると説明したが、これに限らない。すなわち、第1外管12と第2外管22とは、フランジによって接合されてもよいし、フェルールによって接合されてもよい。
【0101】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 第1多重管
11 第1内管
12 第1外管
12p 第1突出部
13 第1耐熱輻射層
14 第1断熱材
20 第2多重管
21 第2内管
21t 供給チューブ
22 第2外管
22p 第2突出部
23 第2耐熱輻射層
24 第2断熱材
24s 切欠き
100 多重管システム
200 第2多重管システム
300 第3多重管システム
310 始端部多重管
311 始端部内管
312 始端部外管
320 中間部多重管
321 中間部内管
322 中間部外管
330 終端部多重間
331 終端部内管
332 終端部外管
I 断熱材
IP 内管
J 治具
J1 当て板
J2 押し付け具
OP 外管
SI 耐熱輻射層
【要約】
【課題】断熱性の低下を抑えることができる多重管システム及び接合方法を提供する。
【解決手段】第1内管11と第1内管11が挿入される第1外管12とを含む第1多重管10と、第2内管21と第2内管21が挿入される第2外管22とを含む第2多重管20と、を備える多重管システム100であって、第1内管11の端部は、第1外管12の端部から突出しており、第2内管21の端部は、第2外管22の端部から突出しており、第1内管11の端部と第2内管21の端部とは、接合されることを特徴とする。
【選択図】図1
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