IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気調和機 図1
  • 特許-空気調和機 図2
  • 特許-空気調和機 図3
  • 特許-空気調和機 図4
  • 特許-空気調和機 図5
  • 特許-空気調和機 図6
  • 特許-空気調和機 図7
  • 特許-空気調和機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20240815BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F24F1/02 371C
F24F1/02 371B
F24F13/22 222
F25B39/04 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023181045
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】江井 太紀
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-214538(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110145811(CN,A)
【文献】特開2003-083639(JP,A)
【文献】特開2007-271219(JP,A)
【文献】特開平10-115432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される凝縮器と、
前記筐体の内部において前記凝縮器の上側に配置される蒸発器と、
上下方向において前記凝縮器と前記蒸発器との間に介在するドレンパンと、
前記ドレンパンに接続される排水管と、を備え、
前記ドレンパンは、
前記蒸発器で発生した結露水を前記凝縮器に導く第1の流路と、
前記蒸発器で発生した結露水を前記排水管に導く第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路のうち一方から他方に切り替える操作部と、を有し、
前記第1の流路には、前記ドレンパンの底面に設けられる複数の孔が含まれ、
前記ドレンパンの底面の中央部から左右の両端に向かって下がるように傾斜している左右一対の傾斜面に複数の前記孔が設けられる、空気調和機。
【請求項2】
前記筐体の内部において前記凝縮器の下側に配置されるドレンタンクを備え、
前記第1の流路は、前記凝縮器を経由して前記ドレンタンクに結露水を導く流路であり、
前記第2の流路は、前記凝縮器を経由せずに前記ドレンタンクに結露水を導く流路であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される凝縮器と、
前記筐体の内部において前記凝縮器の上側に配置される蒸発器と、
上下方向において前記凝縮器と前記蒸発器との間に介在するドレンパンと、
前記ドレンパンに接続される排水管と、を備え、
前記ドレンパンは、
上側が開口している箱状の本体部と、
第1排水孔が設けられ、前記本体部の内部を上下に仕切る仕切板と、
閉状態において前記第1排水孔を塞ぐ蓋と、を有するとともに、
前記第1排水孔が前記蓋で塞がれている前記閉状態と、前記第1排水孔が開放されている開状態と、のうちの一方から他方に切り替える操作部を有し、
前記本体部の底面には、複数の第2排水孔が設けられ、
前記本体部において前記仕切板よりも上側には、第3排水孔が設けられ、
前記排水管は、前記第3排水孔に接続されている、空気調和機。
【請求項4】
前記仕切板は、前側平面部、傾斜部、及び後側平面部が順次に連なった構成であり、
前記前側平面部は、前記蒸発器を支持し、
前記傾斜部は、前記前側平面部からの前後方向の距離が長いほど、その高さ位置が低くなるように傾斜しており、
前記後側平面部に前記第1排水孔が設けられること
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記本体部の底面は、
前記第1排水孔の真下に設けられる中央部と、
横方向において前記中央部の両側に連なる一対の傾斜面と、を有し、
一対の前記傾斜面は、前記中央部からの横方向の距離が長いほど、その高さ位置が低くなるように傾斜しており、
少なくとも一対の前記傾斜面に複数の前記第2排水孔が設けられていること
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記本体部の底面は、横方向において一対の前記傾斜面に連なる一対の横側平面部をさらに有し、
一対の前記横側平面部は、それぞれ、前記凝縮器で支持されていること
を特徴とする請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記操作部は、
ユーザによって手動で操作される手動操作部を有するとともに、
前記手動操作部と前記蓋とを接続する接続部を有し、
前記筐体にはスリットが設けられ、
前記スリットを介して、前記手動操作部が前記筐体の外側に露出していること
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
凝縮器及び蒸発器が1つの筐体に収容された構成の一体型空気調和機に関して、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、エバポレータ(蒸発器)の下方にコンデンサ(凝縮器)が設けられるとともに、コンデンサとエバポレータとの間にドレンパンが設けられた構成の空気調和機について記載されている。さらに、特許文献1には、ドレンパンから下部ドレン水排水経路を介してコンデンサにドレン水を流す場合と、ドレンパンから上部ドレン水排水経路を介してドレンタンクにドレン水を流す場合と、で流路を切り替える開閉弁を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-214538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、前記した開閉弁の他、ドレン水を導くための複数の配管が筐体内に設けられるため、空気調和機の構造の複雑化や大型化を招く可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、小型化が可能な簡素な構成の空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本開示に係る空気調和機は、筐体と、前記筐体の内部に配置される凝縮器と、前記筐体の内部において前記凝縮器の上側に配置される蒸発器と、上下方向において前記凝縮器と前記蒸発器との間に介在するドレンパンと、前記ドレンパンに接続される排水管と、を備え、前記ドレンパンは、前記蒸発器で発生した結露水を前記凝縮器に導く第1の流路と、前記蒸発器で発生した結露水を前記排水管に導く第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路のうち一方から他方に切り替える操作部と、を有し、前記第1の流路には、前記ドレンパンの底面に設けられる複数の孔が含まれ、前記ドレンパンの底面の中央部から左右の両端に向かって下がるように傾斜している左右一対の傾斜面に複数の前記孔が設けられることとした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、小型化が可能な簡素な構成の空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る空気調和機の概略断面図である。
図2】実施形態に係る空気調和機において、図1の蒸発器用ドレンパンを含む要部拡大図である。
図3】実施形態に係る空気調和機において、前後方向に対して垂直な所定平面で蒸発器用ドレンパンを切断した場合の断面図である。
図4】実施形態に係る空気調和機が備える蒸発器用ドレンパンの分解斜視図である。
図5】実施形態に係る空気調和機において、第1排水孔が開放された状態の蒸発器用ドレンパンを含む斜視図である。
図6】実施形態に係る空気調和機において、第1排水孔が蓋で塞がれた状態の蒸発器用ドレンパンを含む斜視図である。
図7】実施形態に係る空気調和機の蒸発器用ドレンパンを介して流れ落ちる結露水の量に関する説明図である。
図8】実施形態に係る空気調和機が備える蒸発器用ドレンパンの本体部の平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪実施形態≫
図1は、実施形態に係る空気調和機100の概略断面図である。
なお、空気調和機100において、凝縮器4や蒸発器5やドレンタンク9が設けられる側を正面(前側)とする。また、図1では、アキュムレータ3の上流側に接続されるキャピラリチューブ等の図示を省略している。
図1に示す空気調和機100は、凝縮器4及び蒸発器5が1つの筐体1に収容された構成の床置型の一体型空気調和機であり、スポットエアコンとも呼ばれる。このような空気調和機100は、ユーザ(作業員等)にスポット的に冷風を当てることができる他、手押しで移動させることが可能であるため、工場や工事現場や調理場で使用されることが多い。
【0010】
図1に示すように、空気調和機100は、筐体1と、圧縮機2と、アキュムレータ3と、凝縮器4と、蒸発器5と、蒸発器用ドレンパン6(ドレンパン)と、凝縮器用ドレンパン7と、排水管8と、ドレンタンク9と、を備えている。また、空気調和機100は、前記した構成の他に、送風機用モータ10と、支持部材11と、隔壁12と、蒸発器用送風機13と、凝縮器用送風機14と、キャスタ15と、を備えている。
【0011】
筐体1は、圧縮機2や凝縮器4や蒸発器5といった部材を収容するための金属製の箱体であり、その外形が直方体状を呈している。筐体1は、その正面側に網状パネル1aを備えている。そして、送風機用モータ10の駆動に伴い、網状パネル1aの複数の隙間を介して、筐体1の内部に空気が吸い込まれるようになっている。なお、塵埃を捕集するためのフィルタ(図示せず)が網状パネル1aの内側に設置されるようにしてもよい。
【0012】
筐体1の正面側の下部(網状パネル1aの下側)には、後側に凹んでなるタンク収容部1bが設けられている。そして、タンク収容部1bにドレンタンク9が収容されるようになっている。なお、ドレンタンク9は、ユーザが前側に引き出すことで取外し可能になっている。
【0013】
筐体1の上面パネル1cには、冷風用の開口1dが設けられている。なお、図1では図示を省略しているが、冷風用の開口1dには、冷風ダクトが設置される。そして、蒸発器5で冷やされた空気(冷風)が冷風ダクトを介して吹き出されるようになっている。冷風ダクトは、例えば、樹脂で形成された蛇腹状の筒体であり、伸縮・湾曲が可能になっている。これによって、冷風がスポット的に吹き出される際の位置をユーザが手動で調整できる。
【0014】
また、筐体1の上面パネル1cには、排気用の開口(図示せず)も設けられている。排気用の開口には、排気ダクト(図示せず)が設置される。そして、凝縮器4で吸熱した空気(熱風)が排気ダクトを介して上方に排気されるようになっている。その他、筐体1の上面パネル1cには、電源のオン・オフや運転モードを切り替えるためのダイヤル式のスイッチが設けられている。
【0015】
圧縮機2は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器である。このような圧縮機2として、例えば、ロータリ圧縮機やスクロール圧縮機が用いられる。アキュムレータ3は、凝縮器4で凝縮した冷媒を気液分離するものであり、圧縮機2の吸込側に接続されている。
【0016】
凝縮器4は、圧縮機2で圧縮された高温高圧の冷媒と、網状パネル1aを介して吸い込まれた空気と、の間で熱交換が行われる熱交換器であり、筐体1の内部に配置されている。このような凝縮器4として、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。フィンチューブ式の熱交換器は、複数のフィン(図示せず)に伝熱管(図示せず)が所定に貫通された構成になっている。図1の例では、凝縮器4が網状パネル1aの下部に対向し、この網状パネル1aに近接した状態で設置されている。
【0017】
また、図1には図示していないが、空気調和機100は、キャピラリチューブを備えている。キャピラリチューブは、凝縮器4で凝縮した冷媒を減圧するための細長い銅管(毛細管)である。キャピラリチューブで減圧された冷媒は、蒸発器5に導かれる。
【0018】
蒸発器5は、キャピラリチューブで減圧された冷媒と、網状パネル1aを介して吸い込まれた空気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。このような蒸発器5として、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。図1の例では、蒸発器5が網状パネル1aの上部に対向し、この網状パネル1aに近接した状態で設置されている。
【0019】
図1に示すように、蒸発器5は、筐体1の内部において凝縮器4の上側に配置されている。蒸発器5と凝縮器4とは、上下方向において離間している。蒸発器5と凝縮器4との間には、後記する蒸発器用ドレンパン6(ドレンパン)が介在している。なお、蒸発器5における冷媒の吸熱量よりも、凝縮器4における冷媒の放熱量の方が大きい(その差分の熱量は圧縮機2で与えられる)関係上、蒸発器5よりも凝縮器4の方が伝熱管(図示せず)の全長が長くなっている。その結果として、蒸発器5よりも凝縮器4の方が前後方向の長さが長くなっている。
【0020】
前記したように、凝縮器4及び蒸発器5は、いずれも前後方向において網状パネル1aに近接している。つまり、前後方向において凝縮器4及び蒸発器5の前端の位置が略一致している。網状パネル1aを介して筐体1の内部に吸い込まれた空気が、そのまま凝縮器4や蒸発器5に向かうようにするためである。また、凝縮器4よりも蒸発器5の方が前後方向の長さが短くなっている。したがって、前後方向において、凝縮器4の後端よりも蒸発器5の後端の方が前側に位置している。
【0021】
蒸発器用ドレンパン6(ドレンパン)は、蒸発器5から滴り落ちる結露水を受けるものである。このような蒸発器用ドレンパン6として、金属製のものが用いられてもよく、また、樹脂製のものが用いられてもよい。図1に示すように、蒸発器用ドレンパン6は、上下方向において凝縮器4と蒸発器5との間に介在している。なお、蒸発器用ドレンパン6の詳細については後記する。
【0022】
凝縮器用ドレンパン7は、凝縮器4から滴り落ちる水を受けるものであり、凝縮器4の下側に配置されている。すなわち、凝縮器用ドレンパン7は、冷房運転時に蒸発器5から蒸発器用ドレンパン6を介して滴り落ちた結露水のうち、凝縮器4で蒸発し切らなかったものを受ける機能を有している。図1に示すように、凝縮器用ドレンパン7は、排水部7aを備えている。そして、凝縮器4から凝縮器用ドレンパン7に滴り落ちた結露水が、排水部7aを介してドレンタンク9に導かれるようになっている。
【0023】
排水管8は、除湿運転時において蒸発器5の結露水を、凝縮器4を経由せずに凝縮器用ドレンパン7に導く管であり、逆L字状を呈している。図1に示すように、排水管8は、蒸発器用ドレンパン6(ドレンパン)に接続されている。具体的には、排水管8の上流端が、蒸発器用ドレンパン6の排水管接続部61aに接続されている。一方、排水管8の下流端は、凝縮器用ドレンパン7に臨んでいる。排水管8を介して凝縮器用ドレンパン7に導かれた結露水は、排水部7aを介してドレンタンク9に流れ込む。
【0024】
ドレンタンク9は、結露水を貯留するためのタンクであり、筐体1の内部において凝縮器4の下側に配置されている。また、ドレンタンク9は、筐体1のタンク収容部1bに収容されている。ドレンタンク9に溜まった結露水をユーザが捨てる際には、ドレンタンク9が前側に引き出される。そして、結露水が捨てられた後、ドレンタンク9がタンク収容部1bに再び収容される。
【0025】
送風機用モータ10は、蒸発器用送風機13及び凝縮器用送風機14の駆動源であり、筐体1の上部空間に配置されている。送風機用モータ10の中心軸線(図示せず)は、筐体1の正面・背面に対して垂直であり、また、前後・左右の方向において蒸発器5の中心付近を通っている。
【0026】
図1に示すように、送風機用モータ10は、軸方向の一方側(前側)において蒸発器用送風機13に接続されている。また、送風機用モータ10は、軸方向の他方側(後側)において凝縮器用送風機14に接続されている。そして、送風機用モータ10の駆動に伴って、蒸発器用送風機13及び凝縮器用送風機14が一体で回転するようになっている。図1に示す支持部材11は、送風機用モータ10を筐体1に固定するための金属部材である。
【0027】
隔壁12は、筐体1の内部空間を冷風側と熱風側とに仕切る壁であり、筐体1に設置されている。冷風側の空間A1は、蒸発器5で冷やされた空気(冷風)が通流する空間である。熱風側の空間A2は、凝縮器4で吸熱した空気(熱風)が通流する空間である。図1の例では、蒸発器用送風機13の周囲を他から仕切るように、肉厚の隔壁12が設けられている。
【0028】
蒸発器用送風機13は、蒸発器5で冷やされた空気(冷風)を冷風ダクト(図示せず)に送り込むための送風機であり、冷風側の空間A1に配置されている。このような蒸発器用送風機13として、例えば、シロッコファンが用いられる。なお、送風機用モータ10の回転軸は、隔壁12の孔(図示せず)を介して挿通され、蒸発器用送風機13に接続されている。そして、蒸発器用送風機13の回転に伴って、蒸発器5で冷やされた空気(冷風)が冷風ダクト(図示せず)を介して吹き出されるようになっている。
【0029】
凝縮器用送風機14は、凝縮器4で吸熱した空気(熱風)を排気ダクト(図示せず)に送り込むための送風機であり、熱風側の空間A2に配置されている。このような凝縮器用送風機14として、例えば、シロッコファンが用いられる。そして、凝縮器用送風機14の回転に伴って、凝縮器4で吸熱した空気(熱風)が排気ダクト(図示せず)を介して吹き出されるようになっている。
【0030】
図1に示すキャスタ15は、空気調和機100をユーザが手押しで移動できるようにするものであり、筐体1の下面の四隅に設置されている。その他、空気調和機100は、圧縮機2や送風機用モータ10の制御回路(例えば、リレー回路)が実装された基板(図示せず)を備えている。
【0031】
図2は、図1の蒸発器用ドレンパン6を含む要部拡大図である。
図2に示す蒸発器用ドレンパン6は、前記したように、蒸発器5から滴り落ちる結露水を受けるものであり、本体部61と、仕切板62と、蓋63と、操作部64(図4参照)と、を備えている。本体部61は、上側が開口した箱状を呈している。仕切板62は、本体部61の内部を上下に仕切る板である。ここで、本体部61の「内部」とは、箱状の本体部61(図4も参照)の内壁面と、この本体部61の開口縁を含む仮想平面(図示せず)と、で形成される空間のことを意味している。
【0032】
仕切板62には、冷房運転時に蒸発器5からの結露水を仕切板62の下側の空間に導く第1排水孔62d(図4参照)が設けられている。蓋63は、閉状態において仕切板62の第1排水孔62d(図4参照)を塞ぐものである。なお、蓋63の開閉を切り替えるための操作部64(図4参照)については後記する。
【0033】
図3は、前後方向に対して垂直な所定平面で蒸発器用ドレンパン6を切断した場合の断面図である。
図3に示すように、本体部61において仕切板62よりも上側の所定箇所に第3排水孔61cが設けられている。図3の例では、本体部61の後面において、左右方向の中央付近に第3排水孔61cが設けられている。第3排水孔61cは、除湿運転時に蒸発器5(図2参照)から滴り落ちる結露水を排水管8に導く孔である。なお、第3排水孔61cの周縁から後方に延びる筒状の排水管接続部61a(図2参照)に排水管8が差し込まれている。このような構成も、排水管8が第3排水孔61cに接続されているという事項に含まれる。
【0034】
図3に示すように、本体部61の底面は、左右一対の傾斜面61m,61nを備えている。傾斜面61m,61nは、横方向における中央からの距離が長いほど、その高さ位置が低くなるように傾斜している。詳細については後記するが、蒸発器5(図2参照)から単位時間当たりに滴り落ちる結露水の量は、横方向の中央付近が最も多く、また、左右の両端に近いほど少なくなる傾向がある。そこで、本実施形態では傾斜面61m,61nを設けることで、冷房運転時に本体部61から凝縮器4に流れ落ちる結露水の量を横方向で均等化するようにしている。なお、本体部61の底面には、複数の第2排水孔61b(図4参照)が設けられている。
【0035】
図4は、蒸発器用ドレンパン6の分解斜視図である。
前記したように、蒸発器用ドレンパン6は、本体部61と、仕切板62と、蓋63と、操作部64と、を備えている。図4に示すように、仕切板62には所定の段差が設けられている。具体的には、仕切板62は、前側平面部62aと、傾斜部62bと、後側平面部62cと、が順次に連なった構成になっている。前側平面部62aは、横長の矩形板状を呈し、水平面に対して略平行に延びている。平面視における前側平面部62aの領域は、平面視における蒸発器5(図2参照)の領域に対応している。また、蒸発器5の下端が前側平面部62aの上面に接触している。そして、前側平面部62aによって、蒸発器5(図2参照)が支持されている。
【0036】
傾斜部62bは、前側平面部62aの後端に連なり、後下がりに傾斜している部分である。すなわち、傾斜部62bは、前側平面部62aからの前後方向の距離が長いほど、その高さ位置が低くなるように傾斜している。後側平面部62cは、横長の矩形板状を呈し、傾斜部62bの後端に連なっている。また、後側平面部62cは、前側平面部62aに対して平行になっている。
【0037】
図4に示すように、前側平面部62aよりも後側平面部62cの方が、その高さ位置が低くなっている。そして、蒸発器5(図2参照)から前側平面部62aに滴り落ちた結露水が、傾斜部62bを伝って後側平面部62cに流れ込むようになっている。
【0038】
また、仕切板62には、第1排水孔62dが設けられている。具体的には、横方向において後側平面部62cの中央付近に第1排水孔62dが設けられている。第1排水孔62dは、冷房運転時に蒸発器5(図2参照)から仕切板62に滴り落ちた結露水を、仕切板62の下側の空間(本体部61の底面と仕切板62との間の空間)に導く孔である。
【0039】
図4に示すように、本体部61は、上側が開口した横長の箱状を呈し、前側支持部61dと、左右一対の後側支持部61eと、を備えている。前側支持部61dは、仕切板62の前側平面部62aを支持する部分である。前側支持部61dは、横長の矩形板状を呈し、本体部61の前板61fから後方に延びている。
【0040】
前側支持部61dの高さ位置は、本体部61の前板61fの上端よりも低くなっている。これによって、仕切板62の前方への移動が本体部61の前板61fで規制される。左右一対の後側支持部61eは、仕切板62の後側平面部62cを支持する部分である。左側の後側支持部61eは、平面視でL字状を呈し、本体部61の左後ろの隅部から内側に延びている(右側の後側支持部61eも同様)。
【0041】
本体部61の底面は、中央部61hと、左右一対の傾斜面61m,61nと、左右一対の横側平面部61p,61qと、を備えている。これらの各構成の詳細については後記する。図4に示すように、本体部61の底面には、複数の第2排水孔61bが設けられている。具体的には、中央部61h、傾斜面61m,61n、及び横側平面部61p,61qのそれぞれに複数の第2排水孔61bが設けられている。これらの第2排水孔61bは、冷房運転時に蒸発器5(図2参照)から蒸発器用ドレンパン6に滴り落ちた結露水を凝縮器4(図2参照)に導くための孔である。
【0042】
図4に示す蓋63は、閉状態において仕切板62の第1排水孔62dを塞ぎ(図6参照)、開状態において第1排水孔62dを開放するものである(図5参照)。蓋63は、第1排水孔62dを塞げる程度の大きさを有し、仕切板62の上側に配置されている。そして、ユーザによって操作部64が所定に操作されることで、蓋63の開閉状態が切り替わるようになっている。
【0043】
操作部64は、蓋63を移動させるための部材である。すなわち、操作部64は、第1排水孔62dが蓋63で塞がれている閉状態(図6参照)と、第1排水孔62dが開放されている開状態(図5参照)と、のうちの一方から他方に切り替える機能を有している。なお、図4の例では、操作部64が蓋63とともに一体形成されている。
【0044】
図4に示すように、操作部64は、手動操作部64aと、接続部64bと、を備えている。手動操作部64aは、ユーザによって手動で操作される部分である。図4に示すように、本体部61の左側の側板61kには、前後方向に細長いスリット61sが設けられている。スリット61sは、ユーザの操作で手動操作部64aを前後方向に移動させるためのものである。
【0045】
なお、筐体1(図1参照)において本体部61のスリット61sに対応する箇所にも別のスリット(図示せず)が設けられている。そして、本体部61のスリット61s及び筐体1のスリット(図示せず)を順次に介して、手動操作部64aが筐体1(図1参照)の外側に露出した状態になっている。冷房運転及び除湿運転のうちの一方から他方に切り替えられる際には、ユーザによって手動操作部64aが所定に操作される。
【0046】
接続部64bは、手動操作部64aと蓋63とを接続する部分である。図4の例では、接続部64bは、第1接続部641bと、第2接続部642bと、を備えている。第1接続部641bは、仕切板62の後側平面部62cの上面に沿うように、蓋63から横方向に細長く延びている(図5も参照)。第2接続部642bは、第1接続部641bと手動操作部64aとを接続する部分であり、本体部61の左側の側板61kの内壁面に沿って上下方向に延びている(図5も参照)。
【0047】
また、蒸発器用ドレンパン6(ドレンパン)は、蒸発器5(図1参照)で発生した結露水を凝縮器4(図1参照)に導く「第1の流路」と、蒸発器5で発生した結露水を排水管8に導く「第2の流路」と、を有している。より具体的には、「第1の流路」は、凝縮器4を経由してドレンタンク9(図1参照)に結露水を導く流路である。本実施形態では、「第1の流路」は、仕切板62の第1排水孔62dと、本体部61の複数の第2排水孔61bと、を含んで構成されている。例えば、冷房運転時には、「第1の流路」を介して、結露水が凝縮器4に導かれる。
【0048】
また、「第2の流路」は、凝縮器4を経由せずにドレンタンク9に結露水を導く流路である。本実施形態では、「第2の流路」は、本体部61の第3排水孔61cを含んで構成されている。例えば、除湿運転時には、「第2の流路」を介して、結露水が排水管8に導かれ、さらにドレンタンク9に導かれる。そして、操作部64が所定に操作されることで、「第1の流路」と「第2の流路」のうち一方から他方に切り替えられるようになっている。これによって、冷房運転及び除湿運転のうちの一方から他方に切り替えられる。
【0049】
図5は、第1排水孔62dが開放された状態の蒸発器用ドレンパン6を含む斜視図である。
例えば、仕切板62の第1排水孔62dが蓋63で塞がれた状態(図6参照)から、手動操作部64a(図4参照)の操作によって蓋63が後方に移動されると、第1排水孔62dが開放された状態になる。この状態で圧縮機2(図1参照)や送風機用モータ10(図1参照)が駆動されると、冷房運転が行われる。なお、筐体1(図1参照)の左側面において、手動操作部64a(図4参照)の付近に「冷房」や「除湿」といった文字が示されていてもよい。また、圧縮機2や送風機用モータ10の駆動中に蓋63の開操作(又は閉操作)が行われてもよい。
【0050】
冷房運転時に蒸発器5(図1参照)から蒸発器用ドレンパン6に滴り落ちた結露水は、第1排水孔62dを介して、仕切板62の下側の空間に導かれる。そして、結露水は、本体部61の底面の複数の第2排水孔61b(図4参照)を介して、高温の凝縮器4(図1参照)に滴り落ちる。そして、凝縮器4のフィン(図示せず)や伝熱管(図示せず)の表面に結露水が付着する。
【0051】
その結果、凝縮器4(図1参照)の熱の他、凝縮器用送風機14(図1参照)の回転に伴う風で結露水の一部が蒸発する。なお、蒸発し切らずに残った結露水は、凝縮器用ドレンパン7(図1参照)を介して、ドレンタンク9(図1参照)に導かれる。このように、凝縮器4において結露水の一部が蒸発するため、ドレンタンク9に溜まった水をユーザが捨てる際の頻度を低減できる。また、結露水が蒸発する際に冷媒の熱が奪われるため、凝縮器4における冷媒の凝縮が促進される。
【0052】
図6は、第1排水孔が蓋63で塞がれた状態の蒸発器用ドレンパン6を含む斜視図である。
例えば、仕切板62の第1排水孔62dが開放された状態(図5参照)から、手動操作部64a(図4参照)の操作によって蓋63が前方に移動されると、第1排水孔62dが蓋63で塞がれた状態になる。この状態で圧縮機2(図1参照)や送風機用モータ10(図1参照)が駆動されると、除湿運転が行われる。なお、圧縮機2(図1参照)や送風機用モータ10(図1参照)のそれぞれの回転速度については、冷房運転時と除湿運転時とで同一であってもよく、また、異なっていてもよく、いずれであってもよい。
【0053】
除湿運転時に蒸発器5(図1参照)から蒸発器用ドレンパン6に滴り落ちた結露水は、凝縮器4を経由せずに排水管8及び凝縮器用ドレンパン7(図1参照)を順次に介して、ドレンタンク9(図1参照)に導かれる。これによって、蒸発器5(図1参照)の結露水が凝縮器4(図1参照)における蒸発で再び室内に戻されることなく、ドレンタンク9に回収される。その結果、除湿運転時に排気ダクト(図示せず)から湿った熱風が吹き出されない(つまり、乾いた熱風が吹き出される)ため、室内の除湿が促進される。
【0054】
図7は、蒸発器用ドレンパン6を介して流れ落ちる結露水の量に関する説明図である。
なお、図7に示す複数の白抜き矢印は、結露水の流れを示している。また、白抜き矢印が大きいほど、単位時間当たりの結露水の量が多いことを示している。
前記したように、蒸発器用送風機13(図1参照)の中心軸線(図示せず)は、蒸発器5(図1参照)の中心付近を通っている。また、蒸発器5の前側の網状パネル1a(図1参照)において、横方向の端付近には、網状パネル1aの枠部(図示せず)が設けられている。したがって、蒸発器5の中心付近では風通しがよく(つまり、空気の流量が多く)、その結果として蒸発器5のフィンの温度が低くなるため、結露水が生じやすくなる。また、蒸発器5の横方向の端に近いほど風通しが悪くなるため、フィンの温度が高くなり、結露水が生じにくくなる傾向がある。
【0055】
仮に、蒸発器5からの結露水が蒸発器用ドレンパン6を介して、そのまま凝縮器4に流れ落ちるようにした場合、凝縮器4においても横方向の中心付近で結露水が多くなる。つまり、凝縮器4に流れ落ちる結露水の量に偏りが生じる。その結果、凝縮器4で蒸発し切らない結露水が生じやすくなるため、ドレンタンク9(図1参照)が満水になるまでの時間が短くなる。つまり、ユーザがドレンタンク9の水を捨てる頻度が多くなるため、ユーザの負担の増加を招く。
【0056】
これに対して本実施形態では、蒸発器用ドレンパン6において、本体部61の底面に左右一対の傾斜面61m,61nを設けるようにしている。これによって、凝縮器4に流れ落ちる結露水の量を横方向で均等化するようにしている。
【0057】
図8は、蒸発器用ドレンパン6の本体部61の平面図及び側面図である(適宜、図4も参照)。
なお、図8の紙面上側が本体部61の平面図であり、紙面下側が本体部61の側面図である。また、図8の平面図では、紙面の上側を「前」としている関係上、「左」及び「右」が紙面の左・右に対して逆になっている(側面図も同様)。
前記したように、本体部61の底面は、横方向の略中央に設けられる中央部61hと、左右一対の傾斜面61m,61nと、左右一対の横側平面部61p,61qと、を備え、これらが一体的に形成されている。
【0058】
中央部61hは、平面視で矩形状を呈し、第1排水孔62d(図4参照)の真下に設けられている。したがって、蓋63が開状態(図5参照)である冷房運転時には、結露水が第1排水孔62d(図5参照)を介して、まず中央部61hに流れ落ちる。なお、中央部61hの板面は、仕切板62の前側平面部62a(図4参照)や後側平面部62c(図4参照)に対して略平行になっている。また、仕切板62(図4参照)が設置された状態において、中央部61hと仕切板62とは上下方向で離間している。
【0059】
図8に示す一対の傾斜面61m,61nは、横方向において中央部61hの両側に連なり、平面視で矩形状を呈している。これらの一対の傾斜面61m,61nは、中央部61hからの横方向の距離が長いほど、その高さ位置が低くなるように傾斜している。すなわち、左側の傾斜面61mは、中央部61hの左側に連なり、左下がりに傾斜している。同様に、右側の傾斜面61nは、中央部61hの右側に連なり、右下がりに傾斜している。
【0060】
一対の横側平面部61p,61qは、平面視で矩形状を呈し、横方向において一対の傾斜面61m,61nに連なっている。具体的には、左側の横側平面部61pは、左側の傾斜面61mの左側に連なっている(右側の横側平面部61qも同様)。また、横側平面部61p,61qの板面は、中央部61hの板面に対して平行(略水平)になっている。前記したように、傾斜面61mは左下がりであるため、左側の横側平面部61pは、中央部61hよりも高さ位置が低くなっている(右側の横側平面部61qも同様)。
【0061】
また、凝縮器4(図1参照)の上端が横側平面部61p,61qの下面に接触している。そして、一対の横側平面部61p,61qが、それぞれ、凝縮器4(図1参照)で支持されている。このように、本体部61の底面の左右両端付近に一対の横側平面部61p,61qを設けることで、蒸発器用ドレンパン6(図1参照)と凝縮器4(図1参照)との接触面積を十分に確保できる。その結果、蒸発器用ドレンパン6を凝縮器4によって適切に支持できる。
【0062】
また、中央部61hと、一対の傾斜面61m,61nと、一対の横側平面部61p,61qと、のそれぞれに複数の第2排水孔61bが設けられている。図8の例では、複数の第2排水孔61bは、その縁が円形状であり、径が略同一になっている。また、前後・左右の方向で隣り合っている第2排水孔61bの間の間隔が略同一になっている。
【0063】
図8に示すように、本体部61の底面が上側に反り返ったような形状になっているため、本体部61において左右の両端に近い領域ほど、凝縮器4(図7参照)に結露水が流れ落ちやすくなる。すなわち、蓋63が開状態(図5参照)の冷房運転時において、第1排水孔62d(図5参照)を介して中央部61hに流れ落ちた結露水は、左側の傾斜面61mを伝って横側平面部61pに向かう他、右側の傾斜面61nを伝って横側平面部61qに向かう。
【0064】
前記したように、蒸発器5(図7参照)の中央に近いほど結露水の量が多くなる傾向があるが、その一方で、蒸発器用ドレンパン6では左右の両端に近いほど凝縮器4(図7参照)に結露水が流れ落ちやすくなっている。その結果、横方向において凝縮器4に満遍なく結露水が流れ落ちるため、冷房運転時に凝縮器4での結露水の蒸発が促進される。これによって、ドレンタンク9(図1参照)に結露水が溜まりにくくなるため、ユーザがドレンタンク9の水を捨てる頻度を低減できる。
【0065】
また、除湿運転の際には、前記したように、第1排水孔62d(図4参照)が蓋63で塞がれた状態になっている(図6参照)。したがって、蒸発器5(図1参照)からの結露水は、凝縮器4(図1参照)を経由することなく、排水管8(図1参照)を介してドレンタンク9(図1参照)に回収される。これによって、蒸発器5に向かって吸い込まれた空気に含まれる水分が結露水としてドレンタンク9に回収されるため、室内を適切に除湿できる。
【0066】
本実施形態によれば、蒸発器用ドレンパン6の仕切板62に第1排水孔62dを設け、第1排水孔62dに対する蓋63の開閉を操作部64で切り替えるようにしている(図5図6参照)。これによって、前記した特許文献1のように結露水を導くための複数の配管(図示せず)や開閉弁(図示せず)を設ける必要が特にないため、小型化が可能な簡素な構成の空気調和機100を提供できる。
【0067】
また、ユーザが操作部64を手動で操作することで、冷房運転及び除湿運転のうちの一方から他方に切り替えることができる。すなわち、ユーザによる操作部64の操作によって、凝縮器4に結露水を導く「第1の流路」と、排水管8に結露水を導く「第2の流路」と、のうちの一方から他方に切り替えられる。これによって、冷房運転及び除湿運転の一方から他方に切り替えることができるため、ユーザにとっての利便性が高められる。
【0068】
また、蒸発器用ドレンパン6の本体部61の底面には、左右一対の傾斜面61m,61nが設けられている(図8参照)。したがって、蒸発器5の中央付近で多くの結露水が発生する傾向があっても、凝縮器4に結露水を満遍なく流れ落ちるようにすることができる(図7参照)。その結果、凝縮器4における冷媒の凝縮が促進される他、単位時間当たりにドレンタンク9に溜まる結露水の量を少なくすることができる。したがって、ユーザがドレンタンク9の水を捨てる頻度を低減できる。
【0069】
≪変形例≫
以上、本開示に係る空気調和機100ついて実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、実施形態では、除湿運転時に蒸発器用ドレンパン6(図1参照)から排水管8(図1参照)及び凝縮器用ドレンパン7(図1参照)を順次に介して、結露水がドレンタンク9に導かれる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、除湿運転時に蒸発器用ドレンパン6から排水管(図示せず)を介して、ドレンタンク9に直接的に結露水が導かれるようにしてもよい。
【0070】
また、実施形態では、蒸発器用ドレンパン6の本体部61(図8参照)の底面において、中央部61h、一対の傾斜面61m,61n、及び一対の横側平面部61p,61qのそれぞれに複数の第2排水孔61bが設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、中央部61hの左右方向の幅を狭くし、中央部61hには第2排水孔61bを特に設けないようにしてもよい。この場合において、一対の傾斜面61m,61n及び一対の横側平面部61p,61qのそれぞれに複数の第2排水孔61bが設けられた構成にしてもよい。
【0071】
また、一対の横側平面部61p,61q(図8参照)を適宜に省略することも可能である。この場合において、一対の傾斜面61m,61n(図8参照)の下端付近と、凝縮器4(図1参照)と、の間に所定の支持部材(図示せず)を介在させてもよい。そして、少なくとも一対の傾斜面61m,61nに複数の第2排水孔61bが設けられるようにするとよい。これによって、傾斜面61m,61nを結露水が伝い流れる過程で、複数の第2排水孔61bを介して凝縮器4に結露水を導くことができる。
【0072】
また、実施形態では、蒸発器用ドレンパン6の本体部61(図8参照)の底面において、複数の第2排水孔61bが前後方向・左右方向で等間隔に設けられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、蒸発器用ドレンパン6の左右方向の両端に近いほど、複数の第2排水孔61bの間隔が狭くなる(つまり、複数の第2排水孔61bが密集して存在する)ようにしてもよい。この場合において、複数の第2排水孔61bの径が等しくてもよく、また、異なっていてもよい。複数の第2排水孔61bの径が異なっている場合については、例えば、蒸発器用ドレンパン6の左右方向の両端に近いほど、複数の第2排水孔61bの径が大きくなるようにしてもよい。これによって、蒸発器用ドレンパン6の左右方向の両端に近いほど、凝縮器4に結露水が流れ落ちやすくなる。
【0073】
また、実施形態では、蒸発器用ドレンパン6(図2参照)の仕切板62が傾斜部62bを備える構成について説明したが、これに限らない。すなわち、傾斜部62bに代えて、前側平面部62aの板面に対して垂直に立ち下がっている段差部(図示せず)を設けるようにしてもよい。なお、前記した段差部は、その上端が前側平面部62aに連なり、下端が後側平面部62cに連なっているものとする。
【0074】
また、実施形態では、仕切板62(図2参照)の前側平面部62aが蒸発器5の下端に接触している構成について説明したが、これに限らない。すなわち、蒸発器5と前側平面部62aとの間に他の部材が介在していてもよい。このような構成も、前側平面部62aが蒸発器5を支持しているという事項に含まれる。
また、実施形態では、本体部61における一対の横側平面部61p,61q(図8参照)の下面が凝縮器4(図1参照)の上端に接触している構成について説明したが、これに限らない。すなわち、すなわち、横側平面部61p,61qと凝縮器4との間に他の部材が介在していてもよい。このような構成も、横側平面部61p,61qが凝縮器4で支持されているという事項に含まれる。
【0075】
また、実施形態では、操作部64(図4参照)を移動させるためのスリット61s(図4参照)が本体部61に設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、スリット61sを省略し、本体部61の上縁に沿って手動操作部64a(図4参照)を移動できるように、手動操作部64aの高さ位置が設計段階で調整されてもよい。この場合において、筐体1(図1参照)には、操作部64を移動させるためのスリット(図示せず)が設けられるものとする。
【0076】
また、実施形態では、蓋63(図4参照)を移動させるための操作部64(図4参照)がスライド式である場合について説明したが、これに限らない。例えば、ダイヤル式といった他の方式でユーザが手動操作するようにしてもよい。また、蓋63の移動機構を機械式にしてもよい。すなわち、冷房運転と除湿運転とを切り替えるスイッチ(図示せず)を設け、このスイッチの操作に応じてモータ(図示せず)を所定に駆動させることで、蓋63を移動させるようにしてもよい。このような構成も、操作部64が第1排水孔62dの開状態又は閉状態を切り替えるという事項に含まれる。
【0077】
また、実施形態では、冷媒の減圧手段としてキャピラリチューブ(図示せず)が用いられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、キャピラリチューブに代えて、膨張弁(図示せず)が用いられてもよい。
また、実施形態では、空気調和機100の運転モードとして、冷房運転及び除湿運転について説明したが、これに限らない。例えば、送風運転といった他の運転モードが追加で設けられてもよい。なお、送風運転では、送風機用モータ10(図1参照)が駆動される一方、圧縮機2(図1参照)は停止状態で維持されるものとする。
【0078】
また、実施形態では、凝縮器4に結露水を導く「第1の流路」が第1排水孔62d及び第2排水孔61bを含み、また、排水管8に結露水を導く「第2の流路」が第3排水孔61cを含む構成について説明したが、これに限らない。すなわち、操作部64の操作によって、「第1の流路」と「第2の流路」のうち一方から他方に切り替えることが可能であれば、実施形態とは異なる他の構成であってもよい。
また、実施形態では、一体型の空気調和機100が床置型である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、天吊型等の他の種類の一体型空気調和機にも実施形態を適用できる。
【0079】
また、各実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0080】
1 筐体
2 圧縮機
3 アキュムレータ
4 凝縮器
5 蒸発器
6 蒸発器用ドレンパン(ドレンパン)
7 凝縮器用ドレンパン
8 排水管
9 ドレンタンク
61 本体部
61b 第2排水孔(第1の流路、孔
61c 第3排水孔(第2の流路)
61h 中央部
61m,61n 傾斜面
61p,61q 横側平面部
62 仕切板
62a 前側平面部
62b 傾斜部
62c 後側平面部
62d 第1排水孔(第1の流路)
63 蓋
64 操作部
64a 手動操作部
64b 接続部
100 空気調和機
【要約】
【課題】小型化が可能な簡素な構成の空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、筐体と、筐体の内部に配置される凝縮器と、筐体の内部において凝縮器の上側に配置される蒸発器と、上下方向において凝縮器と蒸発器との間に介在する蒸発器用ドレンパン6と、蒸発器用ドレンパン6に接続される排水管8と、を備え、蒸発器用ドレンパン6は、蒸発器で発生した結露水を凝縮器に導く第1の流路と、蒸発器で発生した結露水を排水管8に導く第2の流路と、第1の流路と第2の流路のうち一方から他方に切り替える操作部64と、を有する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8