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特許7538943フィーダ運搬装置及びフィーダ管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】フィーダ運搬装置及びフィーダ管理システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023504914
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2021009248
(87)【国際公開番号】W WO2022190202
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 基生
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087451(JP,A)
【文献】特開2020-115514(JP,A)
【文献】特開2015-220304(JP,A)
【文献】特開平07-125836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダが保持される保持台を有する走行可能な台車と、
前記保持台に保持されている前記フィーダに電源を供給する電源供給部と、
前記保持台に前記フィーダが保持されている状態で、前記電源供給部から前記フィーダに電源供給して、前記フィーダにセットされている前記テープのセット解除及び前記フィーダに対する前記テープのセットのうちの少なくとも一方が実行されるように前記フィーダのテープ駆動を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記台車の走行中に前記テープ駆動の制御を実行する、フィーダ運搬装置。
【請求項2】
電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダが保持される保持台を有する走行可能な台車と、
前記保持台に保持されている前記フィーダに電源を供給する電源供給部と、
前記保持台に前記フィーダが保持されている状態で、前記電源供給部から前記フィーダに電源供給して、前記フィーダにセットされている前記テープのセット解除及び前記フィーダに対する前記テープのセットのうちの少なくとも一方が実行されるように前記フィーダのテープ駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電子部品が装着される基板の生産計画と前記保持台に保持されている前記フィーダの識別情報とに基づいて、前記フィーダにセットされている前記テープをリールに巻き戻すセット解除処理と、前記リールに巻かれている前記テープを前記リールから送り出すセット処理と、を切り換える、フィーダ運搬装置。
【請求項3】
電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダが保持される保持台を有する走行可能な台車と、
前記保持台に保持されている前記フィーダに電源を供給する電源供給部と、
前記保持台に前記フィーダが保持されている状態で、前記電源供給部から前記フィーダに電源供給して、前記フィーダにセットされている前記テープのセット解除及び前記フィーダに対する前記テープのセットのうちの少なくとも一方が実行されるように前記フィーダのテープ駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記台車は、前記テープに収容されている前記電子部品の基板への装着が行われる生産エリアと、前記保持台に保持される前記フィーダの受け渡しが行われる外段取エリアと、の間で走行可能であり、
前記制御部は、前記台車が前記生産エリアから前記外段取エリアへ向けて走行される際に、前記テープ駆動として、前記フィーダにセットされている前記テープをリールに巻き戻すセット解除処理を実行する、フィーダ運搬装置。
【請求項4】
前記保持台は、複数の前記フィーダを保持可能なパレット部材を保持する台座である、請求項1乃至3の何れか一項に記載されたフィーダ運搬装置。
【請求項5】
前記電源供給部は、前記台車に搭載されて、前記フィーダが前記保持台に保持された際にコネクタを介して前記フィーダに電気接続されるバッテリである、請求項1乃至4の何れか一項に記載されたフィーダ運搬装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載されたフィーダ運搬装置と、
前記テープの識別情報と該テープがセットされる前記フィーダの識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記制御部により前記フィーダにセットされている前記テープがセット解除されるように前記テープ駆動が行われた場合、前記記憶部に記憶されている前記テープの識別情報と前記フィーダの識別情報との関連付けを解除する解除部と、
を備える、フィーダ管理システム。
【請求項7】
電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダが保持される保持台を有する走行可能な台車と、前記保持台に保持されている前記フィーダに電源を供給する電源供給部と、前記保持台に前記フィーダが保持されている状態で、前記電源供給部から前記フィーダに電源供給して、前記フィーダにセットされている前記テープのセット解除及び前記フィーダに対する前記テープのセットのうちの少なくとも一方が実行されるように前記フィーダのテープ駆動を制御する制御部と、を備えるフィーダ運搬装置と、
前記テープの識別情報と該テープがセットされる前記フィーダの識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記制御部により前記フィーダにセットされている前記テープがセット解除されるように前記テープ駆動が行われた場合、前記記憶部に記憶されている前記テープの識別情報と前記フィーダの識別情報との関連付けを解除する解除部と、
を備える、フィーダ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダ運搬装置及びフィーダ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダを運搬するフィーダ運搬装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィーダ運搬装置は、フィーダが保持される保持台を有する台車を備えている。台車は、電子部品の基板への装着が行われる生産エリアと、フィーダが保持するリールの交換や保管,フィーダの調整作業,フィーダの一時保管などが行われる外段取エリアとの間で走行することが可能である。
【0003】
上記の特許文献1記載のフィーダ運搬装置は、台車の保持台に保持したフィーダに電源を供給する電源供給部と、そのフィーダの電源ショートや送り動作の異常の有無を検査する検査部と、を備えている。このフィーダ運搬装置においては、台車上のフィーダに電源供給部から電力が供給されることにより、そのフィーダの異常が検査される。従って、フィーダ運搬装置によるフィーダの運搬中にそのフィーダの検査を行うことができるので、フィーダ異常に起因する電子部品装着機での生産停止やフィーダ保管庫での故障などが生じるのを抑えることができ、生産時間のロスやメンテナンス作業の増加などが発生するのを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-115514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フィーダは、生産エリアでは、電子部品を収容するテープをセットした状態で使用される。一方、生産エリアでのフィーダの使用後、外段取エリアにおいて例えばそのフィーダに対してリール交換などを行ううえでは、そのリール交換作業の実行開始までにフィーダにセットされている使用済のテープをセット解除させることが必要である。
【0006】
しかしながら、上記のフィーダ運搬装置において、フィーダにセットされているテープのセット解除は、生産エリアから外段取エリアへの台車走行中に行われるものでない。このため、この構成では、台車が外段取エリアへ移動した後に、フィーダでのテープのセットを解除するセット解除作業が行われることとなるが、かかる外段取エリアでセット解除作業が行われるものとすると、作業者による作業が増大して時間的なロスや作業スペースの増大が招来する。
【0007】
本明細書は、外段取エリアでの作業の簡素化を図ることが可能なフィーダ運搬装置及びフィーダ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、電子部品を収容するテープがセット可能なフィーダが保持される保持台を有する走行可能な台車と、前記保持台に保持されている前記フィーダに電源を供給する電源供給部と、前記保持台に前記フィーダが保持されている状態で、前記電源供給部から前記フィーダに電源供給して、前記フィーダにセットされている前記テープがセット解除され又は前記フィーダに前記テープがセットされるように前記フィーダのテープ駆動を制御する制御部と、を備える、フィーダ運搬装置を開示する。
【0009】
本開示によれば、フィーダが台車の保持台に保持されている状態で、フィーダがフィーダ運搬装置の電源供給部から電源供給されて、そのフィーダのテープがセット解除され又はそのフィーダにテープがセットされるようにフィーダのテープ駆動が行われる。このため、外段取エリアでフィーダに対するテープのセット解除作業やセット作業を行うことは不要である。従って、外段取エリアでの作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るフィーダ運搬装置及びフィーダ管理システムを備えるシステムの構成図である。
図2】フィーダの側面図である。
図3】複数のフィーダを収容可能な収容ケースの斜視図である。
図4】生産エリアのステーション、及び、そのステーションとの間でフィーダを受け渡すフィーダ運搬装置の台車の斜視図である。
図5】生産エリアのステーションとフィーダ運搬装置の台車との間で収容ケースを受け渡す状況を表した斜視図である。
図6】実施形態のフィーダ運搬装置において実行される一例のフローチャートである。
図7】実施形態のフィーダ管理システムにおいて実行される一例のフローチャートである。
図8】一変形形態に係るフィーダ運搬装置において実行される一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を用いて、一実施形態に係るフィーダ運搬装置及びフィーダ管理システムについて説明する。
【0012】
1.フィーダ運搬装置及びフィーダ管理システムを備える基板生産システムの構成
本実施形態の基板生産システム1は、基板の生産を行うシステムである。基板生産システム1は、図1に示す如く、対基板作業機10と、ステーション40と、交換装置50と、倉庫60と、フィーダ運搬装置70と、ライン制御装置80と、管理装置90と、を備えている。
【0013】
対基板作業機10は、生産する基板に対して所定の作業を行う装置である。対基板作業機10は、複数種類設けられている。対基板作業機10は、例えば、印刷機、印刷検査機、部品装着機、リフロー炉及び外観検査機などである。尚、対基板作業機10としては、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などが必要に応じて含まれてもよい。複数種類(例えば4種類)の対基板作業機10は、所定順に配置された対基板作業ラインを構成している。基板は、基板搬送装置によって、その対基板作業機10の配置順に搬送される。
【0014】
例えば、対基板作業機10である部品装着機は、基板の搬入作業、位置決め作業及び搬出作業を行うと共に、それらの基板に対する作業に付随して電子部品の供給作業、採取作業及び装着作業を行う。この部品装着機は、搬入されて所定位置に位置決めされた基板に複数の電子部品を装着して、その電子部品が装着された基板を搬出する。
【0015】
対基板作業機10である部品装着機は、基板に電子部品を供給する部品供給部11を備えている。部品供給部11は、フィーダ20(図2参照)を保持可能なスロット12を有している。スロット12は、少なくとも一つ設けられている。例えば、スロット12は、基板の搬送方向に沿って並んで複数(例えば30個)設けられていると共に、上下2段になるように配置されている。この場合、例えば、上段のスロットは、フィーダ20を動作可能に保持し、一方、下段のスロットは、フィーダ20を生産に用いるために予備的に保持し又は生産に用いられた使用済みフィーダとして一時的に保持する。
【0016】
フィーダ20は、図2に示す如く、電子部品を収容するテープTを着脱可能な保持部21を有している。基板に供給される電子部品は、長手方向に延在するテープTに設けられた収容部に収容されている。この収容部は、テープTの長手方向に所定間隔で設けられている。各収容部には、電子部品が収容される。テープTは、円盤状のリール22に巻回されている。フィーダ20の保持部21は、リール22着脱可能に保持すると共に回転可能に支持する軸体である。フィーダ20は、保持部21にて保持しているリール22に巻回されているテープTを走行させて電子部品を所定の部品移載位置Psまで供給する。
【0017】
フィーダ20は、テープ入口にテープ先端が挿入されたテープTを部品移載位置Psまで送り走行させることが可能なオートローディングフィーダである。フィーダ20は、フィーダ本体23と、第一送り部24と、第二送り部25と、テープ押さえ部26と、テープガイド27と、フィーダ制御部28と、を有している。
【0018】
フィーダ本体23は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体23は、挿入部23aと、搬送路23bと、を有している。挿入部23aは、搬送対象であるテープTのテープ先端が挿入されるテープ入口である。搬送路23bは、挿入部23aにテープ先端が挿入されたテープTを下側から支持するレールである。挿入部23aにテープ先端が挿入されたテープTは、テープ押さえ部26により搬送路23bの上面に押し付けられながらその搬送路23b上で送られる。
【0019】
第一送り部24は、挿入部23aにテープ先端が挿入されたテープTを搬送路23bに沿って部品移載位置Ps近傍まで送る部位である。第一送り部24は、一対のスプロケット24a,24bと、モータ24cと、を有している。
【0020】
スプロケット24a,24bはそれぞれ、テープTの送り穴に係合する歯を有する回転部材である。スプロケット24a,24bはそれぞれ、フィーダ本体23に回転可能に支承されている。一対のスプロケット24a,24bは、それぞれその歯が搬送路23bの上面から上方へ僅かに飛び出るように搬送路23bの下方に配置されており、互いにテープ搬送方向に離間して配置されている。
【0021】
モータ24cは、スプロケット24a,24bを正逆の双方に回転させることが可能なステッピングモータである。モータ24cは、減速機を介してスプロケット24a,24bをテープTの収容部のピッチ間隔分ずつ回転させてテープTを送ることが可能である。テープTは、挿入部23aにテープ先端が挿入されかつスプロケット24a,24bの歯が係合した状態でモータ24cが駆動されることにより、部品移載位置Ps近傍まで送り出される。
【0022】
第二送り部25は、第一送り部24により部品移載位置Ps近傍まで送られたテープTを、テープガイド27により上方及びテープ幅方向への移動を規制した状態で更にテープ搬送方向へ送ってその部品移載位置Psに引き込む部位である。第二送り部25は、第一送り部24よりも送り方向下流側に配置されている。第二送り部25は、一対のスプロケット25a,25bと、モータ25cと、を有している。
【0023】
スプロケット25a,25bはそれぞれ、テープTの送り穴に係合する歯を有する回転部材である。スプロケット25a,25bはそれぞれ、フィーダ本体23に回転可能に支承されている。一対のスプロケット25a,25bは、それぞれその歯がテープガイド27での搬送面から上方へ僅かに飛び出るようにその搬送面の下方に配置されており、互いにテープ搬送方向に離間して配置されている。
【0024】
モータ25cは、スプロケット25a,25bを正逆の双方に回転させることが可能なステッピングモータである。モータ25cは、減速機を介してスプロケット25a,25bをテープTの収容部のピッチ間隔分ずつ回転させてテープTを送る。テープTは、テープ先端が部品移載位置Ps近傍に達しかつスプロケット25a,25bの歯が係合した状態でモータ25cが駆動されることにより、部品移載位置Psに引き込まれる。
【0025】
テープガイド27は、搬送路23b上で搬送されるテープT内の電子部品を部品移載位置Psへ供給する際にそのテープTを上面及び側面をガイドする部材である。テープガイド27は、テープTのテープ厚が変わってもそのテープTの上面を押さえることでそのテープTの浮き上がりを防止してテープTとスプロケット25a,25bとの係合を確実なものとすることが可能である。尚、テープガイド27は、テープTの大きさや形状などに対応して複数種類用意されていてよい。また、テープガイド27は、フィーダ20に着脱可能に装着されるものであってよい。
【0026】
フィーダ制御部28は、フィーダ20の動作を制御する部位である。具体的には、フィーダ制御部28は、フィーダ20のフィーダ本体23の各所に配置されたセンサなどの検知結果(具体的には、テープTの有無など)に基づいて、モータ24c,25cの駆動を制御する。フィーダ制御部28は、CPUやメモリを有しており、予め定められたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0027】
ステーション40は、対基板作業機10で用いられる可能性のあるフィーダ20を収容ケース30ごと一時保管し、又は、対基板作業機10で用いられた使用済のフィーダ20を収容ケース30ごと一時保管する装置である。
【0028】
収容ケース30は、複数のフィーダ20を収容して保持可能なパレット部材である。収容ケース30は、箱型に形成されている。収容ケース30は、図3に示す如く、複数(例えば、30個)のフィーダスロット31を有している。複数のフィーダスロット31は、所定方向に並んで設けられている。各フィーダスロット31にはそれぞれ、フィーダ20が収容される。フィーダ20がフィーダスロット31に収容されると、フィーダ20と収容ケース30とが互いにコネクタ接続される。収容ケース30は、フィーダスロット31にフィーダ20を収容した状態でステーション40とフィーダ運搬装置70との間で受け渡されることが可能である。
【0029】
ステーション40は、例えば、図3に示す如く、対基板作業機10に対して基板搬入側に隣接して設けられている。ステーション40は、収容ケース30を保持する複数(例えば2個)の保管庫41を有している。複数の保管庫41は、基板搬送方向に並んで設けられている。各保管庫41はそれぞれ、交換装置50との間でフィーダ20を受け渡すことが可能であると共に、フィーダ運搬装置70との間でフィーダ20を収容ケース30ごと受け渡すことが可能である。
【0030】
尚、以下では、適宜、「フィーダ20」には、「フィーダ20」自体だけでなく、「フィーダ20を収容する収容ケース30」も含まれるものとする。また、「リール22」には、「リール22」自体だけでなく、「リール22に巻回されるテープT」も含まれるものとし、更に、「テープT」には、「テープT」自体だけでなく、「テープTを巻回するリール22」も含まれるものとする。
【0031】
リール22には、リール22を識別するための識別情報が格納されたリールタグ22aが取り付けられている。リールタグ22aは、例えば識別情報がシールに印字された状態又は識別情報が埋め込まれた状態でリール22に取り付けられている。リール22の識別情報は、例えば、そのリール22に巻回されるテープT又はそのテープTに収容される電子部品の識別情報(例えば、製造メーカ等が設定する部品の型番などであってよい。)がそのリール22に関連付けられて登録される際に付与される。
【0032】
また、フィーダ20には、フィーダ20を識別するための識別情報が格納されたフィーダタグ20aが取り付けられている。フィーダタグ20aは、例えば識別情報がシールに印字された状態又は識別情報が埋め込まれた状態でフィーダ20のフィーダ本体23に取り付けられている。更に、収容ケース30には、収容ケース30を識別するための識別情報が格納されたケースタグ(図示せず)が取り付けられている。このケースタグは、例えば識別情報がシールに印字された状態又は識別情報が埋め込まれた状態で収容ケース30に取り付けられている。
【0033】
リール22の識別情報、フィーダ20の識別情報、及び収容ケース30の識別情報はそれぞれ、例えば、バーコードなどの一次元コードやQRコード(登録商標)などの二次元コードである。リール22の識別情報は、リール22の自他を識別する情報であって、例えば、リール22の大きさやリール幅などで区別された種類、シリアル番号、製造元などの情報を含む。フィーダ20の識別情報は、フィーダ20の自他を識別する情報であって、例えば、フィーダ20の大きさや幅などで区別された種類、シリアル番号、製造元などを含む。また、収容ケース30の識別情報は、例えば、収容ケース30の自他を識別する情報である。
【0034】
交換装置50は、フィーダ20の交換作業、補給作業、及び回収作業を行う装置である。交換装置50は、対基板作業機10とステーション40との間で上記の交換作業などを行う。例えば、交換装置50は、ステーション40からフィーダ20を取り出して対基板作業機10のスロット12に装着し、或いは、対基板作業機10のスロット12からフィーダ20を取り外してステーション40に回収する。尚、交換装置50は、対基板作業機10内の互いに異なるスロット12間や互いに異なる対基板作業機10間で上記の交換作業などを行うものであってもよい。交換装置50は、第一レール51と、第二レール52と、移動装置53と、を有している。
【0035】
第一レール51及び第二レール52は、移動装置53の走行路を形成する部材である。第一レール51及び第二レール52はそれぞれ、対基板作業機10の配置方向(すなわち、基板搬送方向)に沿ってすべての対基板作業機10とステーション40とをカバーする概ね全域に亘って延びている。
【0036】
移動装置53は、第一レール51及び第二レール52によって形成される走行路に沿って走行する運搬装置である。移動装置53は、対基板作業機10との間及びステーション40との間でフィーダ20の受け渡しを行うことが可能である。移動装置53は、例えば、第一レール51に設けられる送電部と対向して設けられる受電部を有している。移動装置53は、その送電部からの電力を非接触給電によってその受電部で受けながら、第一レール51及び第二レール52に沿って走行すると共に、上記の交換作業などを行う。移動装置53による上記の走行や作業は、例えば、位置検出装置によって走行路上の位置(現位置)を光学的又は電磁誘導的に検出しながら行われる。
【0037】
移動装置53は、ステーション40内の収容ケース30から対基板作業機10のスロットへフィーダ20を搬送して、フィーダ補給作業を行う。更に、移動装置53は、対基板作業機10で不要になったフィーダ20をスロット12からステーション40内の収容ケース30へ搬送して、フィーダ回収作業を行う。
【0038】
倉庫60は、対基板作業機10が設置された工場に着荷されて使用される物品(少なくともフィーダ20を含む。)を収容して保管する装置である。倉庫60は、対基板作業機10やステーション40が配置された生産エリアから離間した場所に設けられている。倉庫60への物品の入庫作業や倉庫60からの物品の出庫作業は、作業者又はロボットアームなどのアクチュエータを用いて行われる。尚、倉庫60は、例えばタワー型のものであってよい。
【0039】
また、倉庫60、又は、ステーション40と倉庫60との間には、作業者によりフィーダ20が保持するリール22の交換或いはフィーダ20の調整作業,補修作業などが行われる外段取エリアが設けられている。外段取エリアには、各種作業が行われる載置台が配置されている。この載置台と後述の台車71との間では、フィーダ20の受け渡しが行われる。
【0040】
フィーダ運搬装置70は、生産エリアと外段取エリアとの間でフィーダ20を運搬する装置である。フィーダ運搬装置70は、ステーション40との間及び倉庫60などとの間でフィーダ20の受け渡しを行うことが可能である。フィーダ運搬装置70によるフィーダ20の受け渡しは、フィーダ20を収容する収容ケース30ごと行われる。フィーダ運搬装置70は、図1に示す如く、台車71と、電源供給部72と、制御部73と、を備えている。
【0041】
台車71は、作業者による牽引が不要な自動走行可能な無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)である。尚、台車71は、作業者によって牽引される有人搬送車であってもよい。台車71は、生産エリアと外段取エリアとの間で予め定められた軌道74に沿って走行する。
【0042】
尚、台車71は、生産エリアと外段取エリアとの間で一台だけ設けられてもよいが、軌道74としてすれ違い走行可能な軌道が設けられていれば、二台以上設けられていてもよい。また、台車71は、上記の如く生産エリアと外段取エリアとの間で予め定められた軌道74に沿って走行するものに代えて、ガイドレスで自立走行するものであってもよい。
【0043】
台車71は、ステーション40との間及び倉庫60などとの間でフィーダ20の受け渡しを行うことが可能である。台車71は、例えば、床面側に設けられる送電部と対向して設けられる受電部を有している。台車71は、その送電部からの電力を非接触給電によってその受電部で受けながら、走行すると共にフィーダ20の受け渡し作業を行う。台車71による上記の走行や作業は、例えば、位置検出装置によって軌道74上の位置(現位置)やフィーダ20の位置を光学的又は電磁誘導的に検出しながら行われる。
【0044】
台車71は、図4及び図5に示す如く、保持台71aを有している。保持台71aは、収容ケース30を保持する台座である。保持台71aは、少なくとも一つの収容ケース30を保持することが可能である。保持台71aは、例えば、ローラコンベアやベルトコンベアなどの上面などである。台車71は、保持台71a上に収容ケース30を保持した状態で走行可能である。尚、台車71は、走行中に保持台71a上の収容ケース30が落下しないようにストッパを有するものであってよい。
【0045】
台車71は、移載装置71bと、走行装置71cと、を有している。移載装置71bは、保持台71aとステーション40や倉庫60と間で収容ケース30ごとフィーダ20を受け渡して移載する装置である。移載装置71bは、例えばローラコンベアやベルトコンベアなどの移載部と、その移載部を作動させるモータなどの駆動部と、を有している。移載装置71bは、適切なタイミングで駆動部の駆動により移載部を作動させることにより、フィーダ20を外部から保持台71aへ進入させ或いは保持台71a上のフィーダ20を外部へ進出させる。
【0046】
走行装置71cは、台車71を生産エリアと外段取エリアとの間で走行させる装置である。走行装置71cは、台車71を走行させるモータなどの駆動部を含む。走行装置71cは、床面に埋め込まれたマグネットなどの案内部材を検知しながら駆動部を駆動させることにより、台車71を走行させる。
【0047】
電源供給部72は、台車71の保持台71aに保持されているフィーダ20に収容ケース30の端子を介して電源を供給する部位である。電源供給部72は、台車71に取り付けられている。電源供給部72は、フィーダ20(具体的には、第一送り部24及び第二送り部25)の作動に適した電圧を出力するバッテリ、又は、外部電源(例えば、台車71に搭載されて移載装置71b及び走行装置71cを作動させるうえで必要なバッテリ)をそのフィーダ20の作動に適した電圧に変換する電圧変換器である。尚、電源供給部72は、移載装置71b及び走行装置71cを作動させるうえで必要なバッテリであって、フィーダ20の作動に適した電圧を出力するバッテリであってもよい。
【0048】
制御部73は、保持台71a上のフィーダ20のテープ駆動制御を含む各種制御を行う部位である。制御部73が行う制御には、上記のテープ駆動制御以外に、移載装置71bによる移載制御、走行装置71cによる走行制御などが含まれる。制御部73による各種制御は、管理装置90において管理されている基板の生産計画に従って行われる。尚、フィーダ20のテープ駆動制御は、後に詳述する。
【0049】
収容ケース30は、第一ケースコネクタ32と、第二ケースコネクタ33と、を有している。第一ケースコネクタ32は、収容ケース30がステーション40の保管庫41などに保持された際にその保管庫41などに接続されるコネクタである。第二ケースコネクタ33は、収容ケース30がフィーダ運搬装置70の台車71の保持台71aに保持された際にその台車71に接続されるコネクタである。尚、第一ケースコネクタ32と第二ケースコネクタ33とは、同一のコネクタであってもよい。
【0050】
ステーション40は、第一ステーションコネクタ42と、第二ステーションコネクタ43と、を有している。第一ステーションコネクタ42は、ステーション40の保管庫41に収容ケース30が保持された際にその収容ケース30の第一ケースコネクタ32に接続されるコネクタである。第二ステーションコネクタ43は、ステーション40の保管庫41に交換装置50の移動装置53やフィーダ運搬装置70の台車71が到着した際にその移動装置53や台車71に接続されるコネクタである。
【0051】
台車71は、第一台車コネクタ71dと、第二台車コネクタ71eと、を有している。第一台車コネクタ71dは、台車71の保持台71aに収容ケース30が保持された際にその収容ケース30の第二ケースコネクタ33に接続されるコネクタである。第二台車コネクタ71eは、台車71がステーション40の保管庫41に到着した際にその保管庫41の第二ステーションコネクタ43に接続されるコネクタである。
【0052】
収容ケース30の第一ケースコネクタ32及び第二ケースコネクタ33、ステーション40の第一ステーションコネクタ42及び第二ステーションコネクタ43、並びに台車71の第一台車コネクタ71d及び第二台車コネクタ71eはそれぞれ、有線接続又は無線接続して電源送受やデータ通信を行うための中継器である。
【0053】
ライン制御装置80は、生産ラインの各動作などを制御する制御装置である。ライン制御装置80は、生産ラインを構成する各装置との間で有線又は無線でデータを送受信することが可能であって、生産ラインの動作状況を監視し、対基板作業機10、ステーション40、及び交換装置50を統括制御する。
【0054】
管理装置90は、基板生産システム1による基板の生産を管理する装置である。尚、管理装置90は、工場に複数の基板生産システム1が設けられている場合は、それら複数の基板生産システム1による基板生産を統合的に管理する。管理装置90は、今後所定期間(例えば、一週間や一ヶ月)に亘る複数種類の基板の生産計画やその基板の生産計画に合わせて使用される電子部品の種類や数を示した使用計画を格納している。管理装置90は、その予め定められた計画に基づいて基板生産を実行してテープTやフィーダ20の交換や回収などを行う。フィーダ20を装着する対基板作業機10の位置やスロット12の位置、回収したフィーダ20のステーション40又は倉庫60での保管位置やその回収後の処理などは、上記の計画に基づいて予め決められている。
【0055】
管理装置90は、各基板生産システム1のライン制御装置80との間で有線又は無線でデータ通信することが可能である。また、管理装置90は、倉庫60及びフィーダ運搬装置70との間で有線又は無線でデータ通信することが可能であり、倉庫60及びフィーダ運搬装置70を管理することが可能である。
【0056】
2.基板生産システムの基本動作
上記の基板生産システム1においては、フィーダ20が対基板作業機10のスロット12に保持されて基板生産に用いられる場合、まず、外段取エリアで、そのフィーダ20に、テープTが巻回されたリール22が装着される。このリール装着作業は、例えば作業者による手作業で行われる。フィーダ20にリール22が装着される際に、そのフィーダ20のフィーダタグ20a及びそのリール22のリールタグ22aがコードリーダや無線リーダなどを用いて読み取られることで、そのフィーダ20の識別情報とそのリール22の識別情報(すなわち、テープTの識別情報)とが互いに関連付けられて管理装置90に記録される。
【0057】
リール22がフィーダ20に装着された後は、そのリール22からテープTが引き出されてフィーダ20にセット(装填)される。このテープセットは、例えば、フィーダ20に電力が供給された状態で作業者によりフィーダ20の挿入部23aにテープTのテープ先端が挿入されることにより、その後、自動的にそのテープ先端が部品移載位置Ps近傍まで送られて第二送り部25のスプロケット25a,25bに係合するように行われる。
【0058】
リール22が装着されたフィーダ20は、収容ケース30のフィーダスロット31に収容される。フィーダ20が収容ケース30に収容されると、フィーダ20と収容ケース30のフィーダスロット31とが互いにコネクタ接続される。その後、フィーダ20は、収容ケース30に収容された状態でフィーダ運搬装置70の台車71の保持台71aに保持される。フィーダ20が収容ケース30に収容された状態で台車71の保持台71aに保持されると、収容ケース30の第二ケースコネクタ33が台車71の第一台車コネクタ71dに接続される。
【0059】
収容ケース30の第二ケースコネクタ33と台車71の第一台車コネクタ71dとが互いに接続されると、フィーダ運搬装置70の電源供給部72から収容ケース30内のフィーダ20へ電力が供給されると共に、フィーダ運搬装置70の制御部73と管理装置90とが互いに通信可能な状態になる。この場合には、フィーダ20の識別情報と収容ケース30の識別情報とが互いに関連付けられて管理装置90に記録される。尚、この関連付けられて記録される情報には、そのフィーダ20が収容されたフィーダスロット31のスロット番号が含まれる。
【0060】
収容ケース30が台車71の保持台71aに保持された後、その台車71は、管理装置90からの走行指示に従って、走行装置71cによりステーション40まで走行する。台車71がステーション40の保管庫41に到達すると、台車71の第二台車コネクタ71eが保管庫41の第二ステーションコネクタ43に接続される。かかる接続が行われると、保持台71a上の収容ケース30が移載装置71bによりその保管庫41へ移載される。かかる移載が行われると、収容ケース30の第二ケースコネクタ33と台車71の第一台車コネクタ71dとの接続が解除されると共に、収容ケース30の第一ケースコネクタ32がその保管庫41の第一ステーションコネクタ42に接続される。収容ケース30の第二ケースコネクタ33と台車71の第一台車コネクタ71dとの接続が解除されると、台車71が他の保管庫41に移動され又は倉庫60側へ移動される。
【0061】
収容ケース30の第一ケースコネクタ32と保管庫41の第一ステーションコネクタ42とが互いに接続されると、収容ケース30内のフィーダ20に外部から電力が供給されると共に、フィーダ20のフィーダ制御部28とライン制御装置80とが互いに通信可能な状態になる。
【0062】
次に、基板の生産計画に基づいて、ステーション40の保管庫41に保持されている収容ケース30内のフィーダ20を対基板作業機10で用いるタイミングが招来すると、まず、そのフィーダ20を保持している保管庫41の位置などが識別情報を基に特定される。そして、管理装置90からの指示により、交換装置50の移動装置53がその保管庫41まで移動して第二ステーションコネクタ43にコネクタ接続される。かかる接続が行われると、対象のフィーダ20が保管庫41内の収容ケース30から移動装置53へ移載され、その移動装置53が対象の対基板作業機10へ移動され、そして、そのフィーダ20がその対基板作業機10のスロット12へ移載される。かかる移載が行われると、そのフィーダ20が電子部品を供給可能な動作可能状態になる。
【0063】
次に、基板の生産計画に基づいて、対基板作業機10のスロット12に保持されたフィーダ20のそのスロット12での使用を終了するタイミングが招来すると、まず、そのフィーダ20を保持している対基板作業機10やスロット12の位置などが識別情報を基に特定される。そして、管理装置90からの指示により、そのフィーダ20が、スロット12から移動装置53へ移載され、その後、その移動装置53を介して別のスロット12又はステーション40の保管庫41へ移載される。
【0064】
更に、基板の生産計画に基づいて、ステーション40の保管庫41に保持されている収容ケース30内のフィーダ20(具体的には、そのフィーダ20に保持されているリール22ひいてはそのリール22に巻回されているテープT)が今後長期間に亘って何れの対基板作業機10でも基板生産に用いられないタイミングが招来すると、まず、そのフィーダ20を保持している保管庫41の位置などが識別情報を基に特定される。そして、管理装置90からの指示により、そのフィーダ20が、収容ケース30に収容された状態で保管庫41からフィーダ運搬装置70の台車71へ移載され、その後、その台車71を介して外段取エリアへ運搬される。
【0065】
そして、外段取エリアへのフィーダ20の運搬が完了すると、そのフィーダ20へのリール22の装着が解除される。このリール装着の解除は、フィーダ20からリール22を外す作業のことであり、具体的には、フィーダ20の保持部21に保持されているリール22の保持を解除する作業のことであって、作業者による手作業で行われる。以下、この作業をリール装着解除作業と称す。
【0066】
3.フィーダ運搬装置の動作
フィーダ運搬装置70は、上記の如く外段取エリアでフィーダ20に対してリール装着解除作業が行われる前、台車71の保持台71aにそのリール装着解除作業の対象であるフィーダ20が保持されている状態で、そのフィーダ20にセットされているテープTがセット解除されるようにそのフィーダ20のテープ駆動を制御する。
【0067】
フィーダ20は、台車71の保持台71aに保持されている状態では、電源供給部72から収容ケース30を介して電源供給されることが可能であり、その電源供給により動作可能である。
【0068】
フィーダ運搬装置70の制御部73は、まず、識別情報に基づいて、基板の生産計画に基づくリール装着解除作業の対象であるフィーダ20が保持台71aに保持されているか否かを判別する(図6に示すステップS100)。この判別は、そのフィーダ20が保持台71aに保持されていると判別されるまで繰り返し実行される。そして、制御部73は、上記対象のフィーダ20が保持台71aに保持されていると判別すると、その後、その台車71が生産エリア(具体的には、ステーション40)から外段取エリアに向けて走行するか否かを判別する(ステップS101)。この判別は、台車71が保持台71aに上記対象のフィーダ20を保持しかつその台車71がステーション40から外段取エリアに向けて走行すると判別されるまで繰り返し実行される。
【0069】
制御部73は、ステーション40から外段取エリアへ向けて台車71が走行して対象のフィーダ20が運搬されていると判別した場合に、そのフィーダ20のテープTをリール22に巻き戻すセット解除処理を実行する。具体的には、そのフィーダ20のテープTが送り方向とは逆方向に戻ってリール22に巻き戻されるようにそのフィーダ20の第一送り部24のモータ24c及び第二送り部25のモータ25cを逆方向に駆動させる(ステップS102)。
【0070】
フィーダ20の部品移載位置Ps近傍の先端側に位置する第二送り部25のモータ25cが逆方向に駆動されると、スプロケット25a,25bが逆回転して、そのスプロケット25a,25bに係合するテープTが後側に巻き戻され、そのテープTとそのスプロケット25a,25bとの係合が解除される。更に、フィーダ20の後側に位置する第一送り部24のモータ24cが逆方向に駆動されると、スプロケット24a,24bが逆回転して、そのスプロケット24a,24bに係合するテープTが後側に巻き戻される。そして、テープTのテープ先端がスプロケット24a,24bから外れるまでモータ24cの逆方向駆動が継続されると、そのテープTとそのスプロケット24a,24bとの係合が解除される。
【0071】
また、上記したフィーダ20の運搬は、複数のフィーダ20を収容可能な収容ケース30に収容された状態で行われる。そこで、収容ケース30にリール装着解除作業の対象となるフィーダ20が複数個収容されているときは、それら複数のフィーダ20におけるリール22へのテープTの巻き戻しは、台車71の走行中にその収容ケース30内で一括して行われる。
【0072】
このように、今後長期間に亘って生産エリアで使用予定の無いフィーダ20(例えば、使用済のフィーダ20)は、フィーダ運搬装置70において台車71の保持台71aに保持されているとき、具体的には、台車71がそのフィーダ20を保持した状態でステーション40から外段取エリアへ向けて走行する間に、そのフィーダ20にセットされているテープTがリール22に巻き戻されるようにテープ駆動される。
【0073】
かかる構成によれば、上記の如く使用予定の無いフィーダ20が外段取エリアに到達する前に、そのフィーダ20にセットされているテープTがセット解除されるので、外段取エリアでそのテープTのセット解除作業を行うことは不要である。このため、外段取エリアに到達した使用予定の無いフィーダ20に対する作業を削減することができる。特に、収容ケース30に収容されているリール装着解除作業の対象となるすべてのフィーダ20については、台車71の走行中に一括してテープTのセット解除が行われるので、外段取エリアでの作業の大幅な削減を図ることができる。従って、外段取エリアでの作業工数の削減を図ることができると共に、外段取エリアでの作業の簡素化を図ることができる。
【0074】
また、外段取エリアへの使用予定の無いフィーダ20の到達後、そのフィーダ20の保持部21からリール22を外すリール装着解除作業を直ちに開始することができるので、作業の効率化を図ることができる。更に、外段取エリアにテープTのセット解除作業のために必要な部材や作業スペースを設ける必要が無いので、作業スペースの削減を図ることができる。
【0075】
尚、上記したリール22へのテープTの巻き戻しは、第二送り部25のスプロケット25a,25bへのテープTの係合が解除されると共に第一送り部24のスプロケット24a,24bへのテープTの係合が解除されるタイミングまで行われればよい。また、この巻き戻しは、テープTがフィーダ20の挿入部23aから引き抜かれるタイミングまで又はテープTのテープ先端がリール22に巻き戻されるタイミングまで行われるのが、外段取エリアでテープTをフィーダ20の挿入部23aから引き抜く作業を不要として、作業の更なる簡素化を図るうえで有効である。
【0076】
4.フィーダ管理システムの構成及び動作
本実施形態のフィーダ管理システム100は、フィーダ20を管理するシステムである。具体的には、フィーダ管理システム100は、フィーダ20とリール22ひいてはテープTとの関連付けを管理する。フィーダ管理システム100は、上記のフィーダ運搬装置70と、記憶部91と、解除部92と、を備えている。記憶部91及び解除部92はそれぞれ、管理装置90に設けられている。
【0077】
記憶部91は、フィーダ20とリール22ひいてはテープTとを関連付けた情報を記憶する部位である。記憶部91には、フィーダ20にリール22が装着された際に識別情報の読み取り作業が行われることで(図7に示すステップS110)、そのリール22の識別情報(すなわち、テープTの識別情報)とそのテープTがセットされるフィーダ20の識別情報とが互いに関連付けられて記憶される(ステップS111)。記憶部91にテープTの識別情報とフィーダ20の識別情報とが互いに関連付けられて記憶されると、その記憶情報を用いて基板生産が実行される。
【0078】
解除部92は、記憶部91に記憶されているフィーダ20とリール22ひいてはテープTとを関連付けた情報を解除する部位である。フィーダ運搬装置70の制御部73は、フィーダ20にセットされているテープTがセット解除されるようにテープ駆動を行った際、フィーダ20におけるテープTのセット解除を行った旨を管理装置90へ通信する。解除部92は、制御部73からの通信によりフィーダ20にセットされているテープTがセット解除されるようにテープ駆動が行われたことを検知した場合(ステップS112)に、記憶部91に記憶されている情報を消去して、テープTの識別情報とフィーダ20の識別情報との関連付けを解除する(ステップS113)。
【0079】
かかる構成においては、フィーダ20とそのフィーダ20にセットされたリール22ひいてはテープTとが一旦関連付けられて記憶部91に記憶された後、そのフィーダ20へのテープTのセットが解除されたときに、記憶部91に記憶された上記の関連付けが解除される。このため、記憶部91に記憶されたフィーダ20とテープTとの関連付けを解除するうえで、外段取エリアで作業者がその関連付け解除のための作業入力を行うのを不要とすることができる。従って、フィーダ20へのテープTのセットが解除されたときの識別情報の管理を、信頼性良くかつ作業者の手間をかけることなく効率的に行うことができる。
【0080】
ところで、上記の実施形態においては、生産エリアで使用されていた使用予定の無いフィーダ20がフィーダ運搬装置70において台車71の保持台71aに保持されているときに、そのフィーダ20にセットされているテープTがリール22に巻き戻されるものとし、そのテープTの巻き戻しが行われた際に、解除部92が、記憶部91に記憶されている情報を消去してテープTの識別情報とフィーダ20の識別情報との関連付けを解除するものとしている。
【0081】
しかしながら、本開示は、これに限定されるものではなく、解除部92が、記憶部91に記憶されている情報を消去してテープTの識別情報とフィーダ20の識別情報との関連付けを解除するタイミングを、外段取エリアでのフィーダ20とリール22との切り離し時において作業者によりフィーダ20のフィーダタグ20a及びリール22のリールタグ22aを読み取る作業が行われた際とすることとしてもよい。或いは、そのタイミングを、外段取エリアでの収容ケース30とフィーダ20との切り離し時において作業者により収容ケース30のケースタグ、フィーダ20のフィーダタグ20a、及びリール22のリールタグ22aを読み取る作業が行われた際とすることとしてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態においては、生産エリアで使用されていた使用予定の無いフィーダ20がフィーダ運搬装置70において台車71の保持台71aに保持され、かつ、その台車71がそのフィーダ20を保持した状態でステーション40から外段取エリアへ向けて走行する間に、制御部73が、そのフィーダ20を、そのフィーダ20にセットされているテープTがリール22に巻き戻されるようにテープ駆動するセット解除処理を実行することとしている。
【0083】
しかしながら、本開示は、これに限定されるものではなく、未使用の又は使用予定のあるフィーダ20がフィーダ運搬装置70において台車71の保持台71aに保持され、かつ、その台車71がそのフィーダ20を保持した状態で外段取エリアからステーション40へ向けて走行する間に、制御部73が、そのフィーダ20を、そのフィーダ20の挿入部23aにテープ先端が挿入されているテープTがリール22から送り出されてそのフィーダ20にセットされるようにテープ駆動するセット処理を実行するものに適用することとしてもよい。
【0084】
かかる変形形態の構成によれば、未使用の又は使用予定のあるフィーダ20が外段取エリアから生産エリアへ向けて走行する間に、そのフィーダ20にテープTがセットされるので、外段取エリアでそのテープTのセット作業を行うことは不要である。このため、外段取エリアでフィーダ20へのテープTのセットが完了するのを待機することなくそのフィーダ20の生産エリアへの運搬を開始することができる。特に、収容ケース30に収容されているすべての未使用の又は使用予定のあるフィーダ20について台車71の走行中に一括してテープTがセットされるので、外段取エリアでの作業の大幅な削減を図ることができる。従って、外段取エリアでの作業工数の削減を図ることができると共に、外段取エリアでの作業の簡素化を図ることができる。
【0085】
尚、制御部73は、上記のセット解除処理と上記のセット処理との双方を実行可能であるときは、管理装置90で管理されている基板の生産計画と台車71の保持台71aに保持されているフィーダ20の識別情報とに基づいて、それらのセット解除処理とセット処理とを切り換えるものであってよい。具体的には、制御部73は、まず、保持台71aに保持されているフィーダ20の識別情報を基板の生産計画と照らし合わせることで、保持台71aに保持されているフィーダ20が、基板の生産計画に基づくリール装着解除作業の対象のフィーダであるか或いは基板の生産計画に基づく未使用の又は使用予定のある(すなわちテープセットの対象の)フィーダであるかを判別する。そして、その判別結果に基づいてセット解除処理又はセット処理を実行する。かかる構成によれば、フィーダ20に対するテープTのセット解除処理とセット処理とを作業者の作業によることなく自動的に切り換えることができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0086】
例えば、制御部73は、保持台71aに保持されたフィーダ20の識別情報に基づいて、そのフィーダ20が基板の生産計画では生産エリアで使用される予定であると判別されたときは、セット処理を実行する(ステップS122)。尚、このセット処理の実行タイミングは、保持台71aにフィーダ20が保持されている状態(図8に示すステップS120の肯定判定)で台車71が外段取エリアから生産エリアへ向けて走行した時点(ステップS121の肯定判定)であってよい。
【0087】
一方、制御部73は、保持台71aに保持されたフィーダ20の識別情報に基づいて、そのフィーダ20が基板の生産計画では今後使用されず又は使用されるまでの期間が長くなって倉庫60に保管される予定であると判別されたときは、セット解除処理を実行する(ステップS124)。尚、このセット解除処理の実行タイミングは、保持台71aにフィーダ20が保持されている状態(図8に示すステップS120の肯定判定)で台車71が生産エリアから外段取エリアへ向けて走行した時点(ステップS123の肯定判定)であってよい。
【0088】
更に、上記の実施形態においては、基板生産システム1に、収容ケース30ごとフィーダ20を保管するステーション40が設けられると共に、ステーション40と対基板作業機10との間でフィーダ20の交換作業などを行う交換装置50と、ステーション40と倉庫60との間でフィーダ20の受け渡しを収容ケース30ごと行うフィーダ運搬装置70と、が設けられるものとしている。
【0089】
しかしながら、本開示は、これに限定されるものではなく、基板生産システム1に、フィーダ20を保管するステーション40が設けられることなくかつフィーダ20の交換作業などを行う交換装置50が設けられることなく、フィーダ運搬装置70が、対基板作業機10と倉庫60との間で直接にフィーダ20の受け渡しを行うものに適用することとしてもよい。この変形形態においては、対基板作業機10の部品供給部11が、フィーダ20を収容ケース30ごと保持可能なスロット12を有するものとし、フィーダ運搬装置70によるフィーダ20の受け渡しが収容ケース30ごと行われるものとしてもよい。
【0090】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1:基板生産システム、10:対基板作業機、11:部品供給部、12:スロット、20:フィーダ、22:リール、24:第一送り部、25:第二送り部、30:収容ケース、31:フィーダスロット、40:ステーション、50:交換装置、60:倉庫、70:フィーダ運搬装置、71:台車、71a:保持台、72:電源供給部、73:制御部、T:テープ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8