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特許7538946フィルム型正極製造装置、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パック
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  • 特許-フィルム型正極製造装置、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】フィルム型正極製造装置、この製造方法、及びこれを含むリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240815BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20240815BHJP
   H01M 4/1397 20100101ALI20240815BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240815BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 A
H01M4/1397
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023509434
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2022007372
(87)【国際公開番号】W WO2022250427
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0066777
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063467
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キュンシク・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョプ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ミンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドンソク・シン
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071956(JP,A)
【文献】特開2010-109354(JP,A)
【文献】特開平05-205742(JP,A)
【文献】特開2020-053172(JP,A)
【文献】特表2012-533862(JP,A)
【文献】特開昭57-145270(JP,A)
【文献】特開2007-005747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00 - 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する正極材供給部;
前記金型上面に供給された正極材を均一に平坦化する正極材平坦化部;
前記平坦化部を経た正極材に上方で圧力を印加する正極材成形部;及び
前記金型を前記正極材供給部、正極材平坦化部、及び正極材成形部に順次移送する移送手段を含む移送部、
を含むフィルム型正極製造装置。
【請求項2】
硫黄50重量%ないし90重量%及び多孔性炭素材50重量%ないし10重量%で構成される硫黄‐炭素複合体を含む粉末状態の正極材を使用する、請求項1に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項3】
正極材全体重量を基準にして硫黄‐炭素複合体を90重量%ないし100重量%で含む粉末状態の正極材を使用する、請求項1に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項4】
前記正極材平坦化部は正極材の上部面を平坦化するスクレイピングブレードを含む、請求項1に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項5】
前記スクレイピングブレードは固定された状態で移送される正極材の上部面を平坦化したり、移送反対方向と移送方向を1回以上往復しながら正極材の上部面を平坦化するものである、請求項に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項6】
前記スクレイピングブレードは正極材上部面を移送反対方向に平坦化したり、移送反対方向及び移送方向を1回以上往復して平坦化する第1スクレイピングブレード;及び
前記移送方向及び移送反対方向と違う方向に1回平坦化したり、2回以上往復して平坦化する第2スクレイピングブレード;を含むものである、請求項に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項7】
前記移送方向及び移送反対方向と違う方向は移送方向及び移送反対方向と90゜の角度を成す方向である、請求項に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項8】
前記正極材成形部は押圧プレートを含む、請求項1に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項9】
前記フィルム型正極はフリースタンディングフィルム型正極である、請求項1に記載のフィルム型正極製造装置。
【請求項10】
請求項1に記載のフィルム型正極製造装置を利用したフィルム型正極の製造方法であって、
(a)移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する段階;
(b)前記金型上面に供給された正極材の上部面を正極材平坦化部を利用して平坦化する段階;及び
(c)前記(b)段階を通じて平坦化された正極材に正極材成形部を利用して上方で圧力を印加する段階を含むフィルム型正極製造方法。
【請求項11】
前記粉末状態の正極材は硫黄‐炭素複合体を含む、請求項10に記載のフィルム型正極製造方法。
【請求項12】
前記粉末状態の正極材が目的とするローディング量を達成するまで前記(b)段階を繰り返して遂行する、請求項10に記載のフィルム型正極製造方法。
【請求項13】
前記(c)段階の圧力は0.2ないし5MPaである、請求項10に記載のフィルム型正極製造方法。
【請求項14】
前記(c)段階の圧力は1ないし10秒間正極材に加えられる、請求項10に記載のフィルム型正極製造方法。
【請求項15】
前記フィルム型正極はフリースタンディングフィルム型正極である、請求項10に記載のフィルム型正極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年5月25日付韓国特許出願第10‐2021‐0066777号及び2022年5月24日付韓国特許出願第10‐2022‐0063467号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込む。
【0002】
本発明は、フィルム型正極製造装置、この製造方法、及びリチウム二次電池、電池モジュール及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器分野と電気自動車分野の急速な発展によって二次電池の需要が増加している。特に、携帯用電子機器の小型化及び軽量化の成り行きによって、それに応えられる高エネルギー密度を持つ二次電池に対する要求が大きくなっている。
【0004】
二次電池の中でリチウム‐硫黄二次電池は、硫黄‐硫黄結合を持つ硫黄系化合物を正極活物質として使用し、リチウムのようなアルカリ金属またはリチウムイオンのような金属イオンの挿入及び脱挿入が起きる炭素系物質、またはリチウムと合金を形成するシリコーンやスズなどを負極活物質で使用する二次電池である。具体的に、還元反応である放電時の硫黄‐硫黄結合が切れて硫黄の酸化数が減少し、酸化反応である充電時の硫黄の酸化数が増加して硫黄‐硫黄結合が再度形成される酸化‐還元反応を利用して電気的エネルギーを貯蔵して生成する。
【0005】
特に、リチウム‐硫黄二次電池に正極活物質で使用される硫黄は、理論エネルギー密度が1,675mAh/gで、既存のリチウム二次電池に使用される正極活物質に比べて5倍程度高い理論エネルギー密度を持っているため、高出力、高エネルギー密度の発現が可能な電池である。これに加え、硫黄は安価で埋蔵量が豊かであって需給が容易であり、環境にやさしいという利点のため携帯用電子機器だけでなく電気自動車のような中大型装置のエネルギー源として注目されている。
【0006】
硫黄は電気伝導度が5×10‐30S/cmで電気伝導性がない不導体なので、電気化学反応によって生成された電子の移動が難しい問題がある。ここで、電気化学的反応サイトを提供することができる炭素のような電気伝導性物質とともに複合化されて硫黄‐炭素複合体として使用されている。
【0007】
前記硫黄‐炭素複合体を正極活物質で使用するために導電材及びバインダーとともにスラリーを製造した後、前記スラリーを集電体に塗布するスラリーコーティング、すなわち、湿式工程を通じて正極を製造する方式が一般的に使用されている。
【0008】
しかし、このような湿式工程によって製造される正極はスラリー製造の際に使用される導電材、及びバインダーによって正極内で正極活物質のローディング量が低下してエネルギー密度も減少される問題がある。また、湿式工程で正極を製造する場合、正極内に残っている水分による問題とともに混合、コーティング、及び乾燥工程による追加費用が発生する問題がある。
【0009】
一方、乾式工程で正極を製造する場合、バインダーの繊維化が必須的に行われなければならないため、使用可能なバインダーの種類及び含量が制限的である。また、このためには、正極活物質、導電材、及びバインダーの予備混合(pre‐mixing)工程とバインダーの繊維化のために高いせん断力が印加されるミーリング(milling)工程が伴われることで工程が複雑になって、費用及び時間が増加する問題がある。さらに、バインダーの繊維化工程で印加される高いエネルギーによって正極活物質、導電材の破砕が起きる問題がある。
【0010】
ここで、乾式工程を通じて高ローディングの大面積リチウム二次電池用正極を製造することができる技術開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】中国公開特許公報第109873120号(2019年06月11日)
【文献】米国公開特許公報第2018‐0212252号(2018年07月26日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、本発明者らは前記問題を解決するために多角的に研究した結果、乾式工程を通じてフィルム型正極を製造する装置において、粉末状態の正極材を平坦化する正極材平坦化部を含むように構成することで、高ローディング及び大面積のフィルム型正極を容易に製造できることを確認して本発明を完成した。
【0013】
したがって、本発明の目的は正極活物質のローディング量が均一ながらも広い面積を持つフィルム型正極の製造装置及び製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は前記製造装置及び製造方法によって製造されたフィルム型正極を提供することにある。
【0015】
同時に、本発明のまた他の目的は前記フィルム型正極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する正極材供給部;前記金型上面に供給された正極材を均一に平坦化する正極材平坦化部;前記平坦化部を経た正極材に上方で圧力を印加する正極材成形部;及び前記金型を前記正極材供給部、正極材平坦化部、及び正極材成形部に順次移送する移送手段を含む移送部を含むフィルム型正極製造装置を提供する。
【0017】
また、本発明は前記フィルム型正極製造装置を利用して、(a)移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する段階;(b)前記金型上面に供給された正極材の上部面を正極材平坦化部を利用して平坦化する段階;及び(c)前記(b)段階を通じて平坦化された正極材に正極材成形部を利用して上方で圧力を印加する段階を含むフィルム型正極製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は前記フィルム型正極製造装置及び製造方法によって製造されたフィルム型正極を提供する。
【0019】
同時に、本発明は前記フィルム型正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0020】
また、本発明は前記リチウム二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0021】
また、本発明は前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるフィルム型正極製造装置は、湿式工程の代わりに粉末状態の正極材を利用した乾式工程を適用して湿式工程による問題点が発生しない。また、正極材平坦化部を通じて粉末状態の正極材を平坦化する段階を導入することで最終的に製造される正極のローディング量を調節しやすいだけでなく、その精密度に優れる。これに加え、広い面積のフィルム型正極を連続工程で簡単に製造することができて生産性を向上させることができ、大量生産を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例によるフィルム型正極製造装置の構成を簡略に示す図面である。
図2】本発明の一実施例によるフィルム型正極製造装置で正極材平坦化部に含まれるスクレイピングブレードによって一気に多量の正極材を取り除く場合の写真である。
図3】本発明の一実施例によるフィルム型正極製造方法において、前記(b)段階の平坦化進行可否による正極材の側面写真である(A:実施例1、B:比較例1)。
図4】本発明によるフィルム型正極製造方法から製造されたフィルム型正極の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参考して本発明の好ましい実施例について詳しく説明する。本発明を説明する前に、関わる公知機能及び構成に対する具体的説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすることがあると判断される場合、それに対する説明は省略する。
【0025】
下記説明と図面は当業者が説明される装置と方法を容易に実施できるように特定実施例を例示する。他の実施例は構造的、論理的に他の変形を含むことができる。個別構成要素と機能は明確に要求されない限り、一般的に選択されることができ、過程の手順は変わることがある。いくつかの実施例部分と特徴は他の実施例に含まれたり、他の実施例に代替されることができる。
【0026】
本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0027】
本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に違うことを意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「持つ」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0028】
本明細書で使用されている用語「複合体(composite)」とは、2つ以上の材料が組み合わせられて物理的・化学的に互いに異なる相(phase)を形成し、より有効な機能を発現する物質を意味する。
【0029】
本明細書で使用されている用語「フリースタンディングフィルム(free‐standing film)」とは、常温・常圧で別途支持体なく、それ自体でフィルム形態を維持できるフィルムを意味する。
【0030】
リチウム‐硫黄二次電池は二次電池の中で高い理論放電容量及び理論エネルギー密度を持つだけでなく、正極活物質で使用される硫黄は埋蔵量が豊かで低価であり、環境にやさしいという利点によって次世代二次電池として脚光を浴びている。
【0031】
このようなリチウム‐硫黄電池において、正極は正極集電体に正極活物質、導電材、バインダーなどが含まれたスラリーを塗布する湿式工程を通じて製造した。
【0032】
しかし、正極製造に用いられるスラリーは、正極活物質だけでなく導電材、バインダーのような他の材料を必須的に含むので、正極活物質のローディング量に制限があり、これによってエネルギー密度が低くなる短所がある。また、正極の伝導性向上と接着力付与のために一般的に使用される導電材とバインダーの中で、特に、バインダーは抵抗要素として作用して電池のエネルギー密度をさらに減少させる。なお、スラリーを利用した湿式工程の場合、スラリー構成成分の混合、コーティング、及び乾燥のような一連の細部工程を遂行するため、工程が複雑なだけでなく時間及び費用の側面で消耗が多い問題がある。
【0033】
このため、従来技術ではバインダーの繊維化を用いる乾式工程を利用したが、バインダーの種類と含量の変更に制約があって、なお、正極活物質と導電材を損傷させ、工程に多くの時間と費用が所要され、大面積化が難しいという短所がある。
【0034】
ここで、本発明ではスラリーを利用する湿式工程の代わりにフィルム形成用粉末正極材を使用する乾式工程を利用し、前記粉末状態の正極材を平坦化する正極材平坦化部を導入することで既存正極対比硫黄のローディング量が高いながら、大面積正極の製造が容易であるフィルム型正極製造装置及び製造方法を提供する。
【0035】
前記フィルム形成用粉末正極材としては、フリースタンディングフィルム形成用粉末正極材が使用されることができる。
【0036】
図1は本発明の一実施例によるフィルム型正極製造装置の構成を簡略に示す図面である。
【0037】
具体的に、図1を参照すれば、本発明の一実施例によるフィルム型正極製造装置100は、移送手段110によって移送される金型の上面に粉末状態の正極材を供給する正極材供給部120;前記金型上面に供給された正極材を均一に平坦化する正極材平坦化部130;前記平坦化部130を経た正極材に上方で圧力を印加する正極材成形部140;及び前記金型を前記正極材供給部120、正極材平坦化部130、及び正極材成形部140に順次移送する前記移送手段110を含む移送部150を含む。
【0038】
図1に示すように、本発明の一実施例によるフィルム型正極製造装置100は、前記正極材供給部120、正極材平坦化部130、及び正極材成形部140を順次連結させて各段階を連続工程で処理する移送部150を含み、これによって生産性を向上させることができる。
【0039】
前記移送手段110は所定の移送経路に沿って粉末状態の正極材を移送させるためのもので、前記移送部150に形成された移送経路上に配置される。前記移送手段110を図1では四角形状のプレートを一例として挙げて説明するが、前記移送手段はこれに限定されるものではなく、多様な形態になる。
【0040】
前記移送手段110は上面に金型(mold)を含むことができる。前記金型(mold)は凹部に正極活物質であるフィルム形成用正極材を収容することができ、圧力が印加されても変形を起こさない素材からなる一般的な金型であって、本発明では、目的とする正極の規格に合わせた凹部(または、正極活物質収容部)が形成されたものである。
【0041】
本発明において、前記粉末状態の正極材では、硫黄50重量%ないし90重量%及び多孔性炭素材10重量%ないし50重量%で構成される硫黄‐炭素複合体を含むものが使用されることができる。
【0042】
また、前記粉末状態の正極材は正極材全体重量を基準にして硫黄‐炭素複合体を90ないし100重量%、好ましくは95ないし100重量%、より好ましくは97ないし100重量%で含むものが使用されることができる。
【0043】
前記硫黄‐炭素複合体は前記硫黄が前記多孔性炭素材に担持されている形態を意味する。例えば、前記硫黄‐炭素複合体は前記多孔性炭素材の表面に硫黄が付着またはコーティングされている状態である。また、前記硫黄‐炭素複合体は前記硫黄は前記多孔性炭素材の内部気孔に付着、充填またはコーティングされた状態;または前記多孔性炭素材の内部に前記硫黄が浸透されて附着された状態であってもよい。
【0044】
前記正極材はフィルム形成のためのもので、集電体に塗布する工程がなくても前記フィルム型正極材自体を正極材として活用することができる。前記フィルム型正極材は、フリースタンディングフィルム型正極材である。
【0045】
前記粉末状態の正極材は正極のさらなる物性向上のために、必要な場合、最小限のバインダーを含むことができる。この時、前記バインダーは当業界で通常使用されるものであれば、制限せずに使用することができる。また、前記粉末状態の正極材は正極材全体重量を基準にして前記バインダーを0ないし10重量%、0ないし5重量%、0ないし3重量%、0ないし2重量%、または0ないし1重量%で含むことができる。
【0046】
前記粉末状態の正極材はバインダーと導電材を含まないバインダー及び導電材フリー形態であってもよい。このように、前記粉末状態の正極材がバインダー及び導電材を含まない場合、バインダー抵抗による電池のエネルギー密度減少問題と凝集力が足りない導電材による成形性低下問題を根本的に防ぐことができる。
【0047】
前記粉末状態の正極材は、前記多孔性炭素材が正極材の骨格を成した状態で、前記多孔性炭素材の表面に形成された硫黄によって繋がってフィルム形態を形成することができる。
【0048】
また、前記粉末状態の正極材は、後述する押圧による成形後フィルム型正極の内部接着力が10gf/cm以上のものであってもよい。前記内部接着力は押圧工程の際に硫黄が溶融されて周辺の硫黄と結集される性質に起因したものであり、前記正極材の内部接着力が10gf/cm未満であると、接着力不足によってフィルム形態への成形が難しくなることがある。具体的に、前記内部接着力は10gf/cm以上、15gf/cm以上、20gf/cm以上、25gf/cm以上、30gf/cm以上または35gf/cm以上である。また、前記接着力の上限は50gf/cm以下、60gf/cm以下、70gf/cm以下、80gf/cm以下、90gf/cm以下または100gf/cm以下であるが、これに制限されるものではなく、前記正極材の内部接着力は高いほど成形性、耐久性及び電池性能の側面でよいことがある。
【0049】
本発明において、前記硫黄は無機硫黄(S)、Li(n≧1、nは整数)、有機硫黄化合物及び炭素‐硫黄ポリマー((C、2.5≦x≦50、n≧2、x及びnは整数である)からなる群から選択される1種以上である。
【0050】
また、前記硫黄は前記硫黄‐炭素複合体全体重量を基準にして50重量%以上、55重量%以上または60重量%以上で含まれることが可能で、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下で含まれることが可能である。前記硫黄が50重量%未満であると電気化学的活物質である硫黄の割合が減って多孔性炭素材の表面に形成される硫黄コーティング層が薄くなって硫黄‐炭素複合体がまともに成形されにくいか、または前記多孔性炭素材の内部に含まれる硫黄の量が減少されて電池容量が低下されることがある。また、前記硫黄が90重量%超過であれば非伝導性の硫黄が多孔性炭素材の導電構造を遮断して電気化学的活性が遮断されるので、電池駆動が制限的である。
【0051】
前記硫黄‐炭素複合体において、硫黄が50重量%ないし90重量%で含まれる時、多孔性炭素材の表面及び/または気孔に適切に付着、コーティングまたは充填される形態で担持されてフィルム形態(例:フリースタンディングフィルム形態)の正極が安定的に形成されることができる。
【0052】
本発明において、前記多孔性炭素材は内部に気孔または中空が形成されている構造であるか、比表面積が高い多孔性炭素材であってもよく、当業界で通常使用されるものであれば、いずれもかまわない。
【0053】
前記多孔性炭素材は、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックの中で選択されるカーボンブラック;単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)及び多重壁炭素ナノチューブ(MWCNT)の中で選択される炭素ナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)及び活性化炭素ファイバー(ACF)の中で選択される炭素繊維;及び活性炭素からなる群から選択される1種以上であるが、これに制限されない。好ましくは、前記多孔性炭素材は炭素ナノチューブであってもよい。
【0054】
前記炭素ナノチューブは構造的な特徴によって連結点がもっと多く、フィルム成形時にもさらに有利である。具体的に、前記炭素ナノチューブは縦横比が1超過の形態を持つので、互いに接続されてフィルムを形成するに有利である。
【0055】
また、前記グラフェンは炭素原子が2次元上に蜂の巣模様の配列を持つ単一層の形態を意味するものであって、薄くて広い断面積と卓越した伝導特性を持ち、撓む特性、光に対する高感度など優れる物性を示す物質である。本発明において、グラフェンは酸化グラフェンを還元して形成した還元されたグラフェン、物理的に剥離されたグラフェンなどを全て含む。前記グラフェン薄膜は、炭素ナノチューブの外面を包む形態で含まれることができ、電気伝導の経路を補強すると同時に、電池駆動の際に硫黄が電解液へ湧出されることを抑制することができる。
【0056】
また、前記多孔性炭素材の含量は前記硫黄‐炭素複合体全体重量を基準にして10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上または5重量%以上であって、40重量%以下、45重量%以下または50重量%以下である。前記多孔性炭素材が10重量%未満であると硫黄が充填、付着またはコーティングされることができる表面積と空間の提供が十分ではなく、硫黄の電気化学活用性(反応性)が低下されることがある。前記炭素材が50重量%超過であれば硫黄の含量が相対的に低下してリチウム二次電池に適用する時、電池のエネルギー密度が低下し過ぎることがある。
【0057】
前記正極材供給部120は前記移送手段110によって移送される金型上面に前記粉末状態の正極材を供給するためのもので、その構成、装置などは特に限定されない。一例として、前記正極材供給部110は前記粉末状態の正極材から粗い粒子を取り除くために超音波ふるい機(ultrasonic sieve machine)、振動供給機(vibratory feeder)などを備えることができる。
【0058】
前記正極材平坦化部130は前記正極材供給部120から前記金型上面に供給された正極材を均一に平坦化することで、目的とするローディング量(ターゲットローディング量)を超える余りの正極材を取り除く。
【0059】
特に、本発明のフィルム型正極製造装置100は前記正極材平坦化部130を通じて前記粉末状態の正極材のローディング量を目的に合うように容易に調節できるだけでなく、ローディング量の偏差を改善することができて最終的に製造される正極のローディング量を用途によって容易に調節することができ、製造工程に対する信頼性を向上させることができる。
【0060】
前記正極材平坦化部130は前記移送手段110によって移送される金型上面に供給された正極材の上部面を平坦化することができるものであれば、その構成、装置などは特に制限されない。一例として、前記正極材平坦化部130は前記金型上面に供給された正極材の中で目的とするローディング量を超える余りの正極材を取り除くために前記粉末状態の正極材の上部面を削るスクレイピングブレード(scraping blade)131と2軸(y、z)で構成されて前記スクレイピングブレード131の位置を調節するための線形ステージ(linear stage)を含むことができる。
【0061】
前記スクレイピングブレード131は、固定された状態で移送される正極材の上部面を平坦化するか、移送反対方向と移送方向を1回以上往復しながら正極材の上部面を平坦化する。
【0062】
前記スクレイピングブレード131は正極材上部面を移送反対方向に平坦化するか、移送反対方向及び移送方向を1回以上往復して平坦化する第1スクレイピングブレード;及び前記移送方向及び移送反対方向と違う方向に1回平坦化するか、2回以上往復して平坦化する第2スクレイピングブレードを含むことができる。この時、前記移送方向及び移送反対方向と違う方向は移送方向及び移送反対方向と90゜の角度を成す方向を意味する。
【0063】
ただし、前記スクレイピングブレード131が2回以上往復して平坦化を進行する場合、前記スクレイピングブレード131の高さを目的とした正極の厚さより高い厚さから始めて徐々に下げながら進めることが好ましい。平坦化工程で一気に多すぎる量の粉末(すなわち、正極材)をスクレイピングブレードで取り除くようになると、図2のように除去される粉末の重さによって金型上面に残存すべき粉末(ターゲットローディング量)が一緒に引っ張られて充填が均一に維持できない問題が発生するので、数回に分けて平坦化を進めることが好ましい。
【0064】
前記正極材平坦化部130は前記スクレイピングブレード131の刃先部分の高さくまたは角度(θ)を調節することで前記正極材のローディング量を調節することができる。前記スクレイピングブレード131の刃先部分の高さは製造しようとするフィルム型正極の厚さまたは目的とするローディング量を考慮して決まることができる。一例として、前記スクレイピングブレード131の刃先部分の高さは、前記移送手段110の上部面を基準にして200ないし1500μm、好ましくは300ないし800μm範囲であってもよい。また、前記スクレイピングブレード131の刃先部分の角度(θ)は45゜ないし90゜、好ましくは70゜ないし90゜範囲であってもよい。前記スクレイピングブレード131の刃先部分の高さまたは角度(θ)が前述した範囲を脱する場合、前記粉末状態の正極材表面が充分平坦化されず、ローディング量の不均一や表面粗さが発生する。
【0065】
前記正極材成形部140は前記正極材平坦化部130を経た正極材に上方で圧力を印加するためのもので、その構成、装置などは特に限定されない。一例として、前記正極材成形部140は押圧プレートを含むことができる。
【0066】
前記移送部150は前記移送手段110及び金型を支持し、前記移送手段110を一定方向、例えば、矢印Aの方向に移送させるための移送経路を形成し、駆動部の制御によって前記移送手段110が一定速度で前記正極材供給部120、正極材平坦化部130、及び正極材成形部140を順次通過させるものであれば、その構成、装置などは特に限定されない。一例として、前記移送部150はコンベヤーベルトのような移送装置を含むことができる。
【0067】
本発明において、前記フィルム型正極はフリースタンディングフィルム型正極を意味するものであってもよい。前記「フリースタンディングフィルム(free‐standing film)」とは、常温・常圧で別途支持体なく、それ自体でフィルム形態を維持することができるフィルムを意味する。
【0068】
また、本発明は前述したフィルム型正極製造装置を利用したフィルム型正極製造方法を提供することができる。
【0069】
本発明の一実施例によるフィルム型正極製造方法は、(a)移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する段階;(b)前記金型上面に供給された正極材の上部面を正極材平坦化部を利用して平坦化する段階;及び(c)前記(b)段階を通じて平坦化された正極材に正極材成形部を利用して上方で圧力を印加する段階を含む。
【0070】
特に、本発明のフィルム型正極製造方法は、前述したような、押圧時の硫黄‐炭素複合体の特徴を利用した乾式工程によるもので、既存湿式工程で行われたスラリー構成成分の混合、コーティング、及び乾燥工程が省略されることによって、これによる工程費用の増加問題とともに正極内で残る水分による問題点が発生しない長所がある。また、正極材平坦化部を通じて粉末状態の正極材を平坦化する段階を導入することで最終的に製造される正極のローディング量を調節しやすいだけでなく、その精密度に優れる利点がある。これに加え、本発明によるフィルム型正極製造方法は、広い面積のフィルム型正極を一連の連続工程で独立的に簡単に製造することができるという長所がある。
【0071】
以下、前記フィルム型正極製造方法に対して各段階別に詳しく説明する。
【0072】
先ず、前記(a)段階は移送手段によって移送される金型上面に粉末状態の正極材を供給する段階で、正極材供給部から粉末状態の正極材が金型の上面に塗布される。この時、前記正極材供給部及び粉末状態の正極材は上述したとおりである。
【0073】
前記粉末状態の正極材は、硫黄‐炭素複合体を含み、前記硫黄‐炭素複合体は硫黄と多孔性炭素材を混合する段階;及び前記製造された硫黄と多孔性炭素材の混合物を熱処理して段階を含む製造方法によって製造されたものであってもよい。
【0074】
一般に、硫黄は押圧条件で表面が溶融され、周辺の硫黄と結集する性質を示すため成形は可能であるが、柔軟性がないため硫黄単独ではフィルム形態の正極材を製造することができない。また、炭素は柔軟性はあるが凝集力が足りないため押圧の時、成形自体にならずフィルム形態の正極材を製造することができない。
【0075】
一方、前記硫黄‐炭素複合体は硫黄と多孔性炭素材が複合されたもので、前記多孔性炭素材の外部表面にも硫黄が存在するので、押圧の際に多孔性炭素材の外部表面に存在する硫黄が溶融されて周辺の硫黄‐炭素複合体と結集する性質を示して成形が可能であり、前記硫黄‐炭素複合体で骨格を形成する多孔性炭素材が柔軟性があるので、フィルム形態の正極材、特にフリースタンディングフィルム形態の正極材で成形することが可能である。
【0076】
前記硫黄‐炭素複合体を含む本発明の粉末状態の正極材を製造するために、硫黄‐炭素複合体を製造するための原料物質である硫黄と多孔性炭素材を混合して硫黄と多孔性炭素材の混合物を形成する。この時、前記硫黄と多孔性炭素材の種類及び適正重量範囲は上述したとおりある。
【0077】
次いで、前の段階で形成された硫黄と多孔性炭素材の混合物を熱処理して硫黄‐炭素複合体を製造する。
【0078】
前記硫黄と多孔性炭素材の混合物を加熱すれば硫黄は液体状態に変わるようになって、液体状態の硫黄が多孔性炭素材の内部に入ったり、表面にコーティングまたは附着されて硫黄が多孔性炭素材に担持または充填されるか、及び/またはコーティングされた硫黄‐炭素複合体が形成されることができる。例えば、前記多孔性炭素材が炭素ナノチューブの場合、液体状態の硫黄が毛細管現象を通じて炭素ナノチューブの内部に吸い込まれて硫黄が炭素ナノチューブに担持されることがある。
【0079】
前記熱処理は硫黄の融点以上で行われることができる。例えば、前記熱処理温度は130℃以上、140℃以上または150℃以上であって、160℃以下、165℃以下または170℃以下である。前記熱処理温度が130℃未満であると硫黄が溶けないため、多孔性炭素材に担持されるか、コーティングされた形態の複合体を形成しにくいことがあって、170℃超過であれば硫黄‐炭素複合体が製造されることはできるが、硫黄の揮発が発生して硫黄の損失と製造装備の劣化を誘発することがある。
【0080】
また、前記熱処理時間は硫黄が熱処理によって溶けて多孔性炭素材に担持されることがある程度の適正時間であれば可能であり、25分以上または30分以上可能で、40分以下、45分以下または50分以下可能である。
【0081】
前記粉末状態の正極材は必要な場合前述した硫黄‐炭素複合体以外にバインダーをさらに含むことができ、前記バインダーは前述した内容に基づいて製造された硫黄‐炭素複合体を含む正極材に添加されて混合されることができる。
【0082】
次に、前記(b)段階は前記金型上面に供給された正極材の上部面を正極材平坦化部を利用して平坦化する段階で、前記正極材平坦化部は移送反対方向と移送方向を1回以上往復することで前記金型上面に正極材が均一に塗布されるようにする。
【0083】
図3には本発明の一実施例によるフィルム型正極製造方法で前記(b)段階の平坦化を進行可否による正極材の側面写真が示されている。
【0084】
図3のAを参照すれば、前記(b)段階の平坦化を通じて前記金型上面に供給された粉末状態の正極材表面が均一に形成されることを確認することができる。特に、図3のAの下端に赤色で表示された写真は正極材の側面を拡大したもので、平坦化を通じて正極材が均一な平坦度を持っていることを示す。一方、図3のBは平坦化段階が進められていない場合の正極材の表面写真で、表面が平坦ではないことを示す。
【0085】
前記(b)段階は前記粉末状態の正極材が目的とするローディング量を達成するまで高さを低くしながら繰り返して遂行する。
【0086】
次に、前記(c)段階は前記(b)段階を通じて平坦化された正極材に正極材成形部を利用して上方で一定の圧力を印加することでフィルム型正極を製造する。
【0087】
上述したように、硫黄‐炭素複合体は押圧状態で強い自己凝集力を示す特性がある。具体的に、押圧状態で前記硫黄‐炭素複合体表面の硫黄が部分的に溶融されて複合体の間に連結性を与え、強い自己凝集力を示すことができる。したがって、粒子状態の硫黄‐炭素複合体に対して圧力をかけるようになれば、粒子の間に凝集力が発生し、また、炭素材は骨格の機能をし、それ自体で柔軟性を持つので、フィルム形態の正極が形成されるようになる。また、このような物性によってフリースタンディングフィルム形態の正極を形成することが可能である。
【0088】
前記(c)段階の圧力は前記正極材に含まれた硫黄‐炭素複合体の間に凝集力が充分発生してフィルムを形成するほどの圧力であってもよい。例えば、前記押圧時の圧力は0.2Mpa以上であって、2Mpa以下または5Mpa以下が可能である。前記押圧時の圧力が0.2Mpa未満であると硫黄‐炭素複合体の間に凝集力が弱くてフィルムが形成されないこともあって、5Mpa超過であれば正極材の気孔率が低すぎて、これを含む正極の構造が崩れることがある。
【0089】
前記(c)段階で圧力をかける時間は数秒ないし数十秒、好ましくは1ないし10秒、より好ましくは3ないし10秒であってもよい。また、前記正極材に加えられる圧力によって最終的に製造されるフィルム型正極の気孔率が決まるので、製作しようとするフィルム型正極の気孔率によって圧力が異なることがある。
【0090】
前記(c)段階の押圧時には加熱もいっしょに遂行されることができる。この時、移送手段110及び/または正極材成形部140には内部にヒーターを備えることもできる。前記ヒーターはこの分野に公知されたヒーターが公知の形態で設置されることができる。
【0091】
本発明の製造装置及び製造方法によって製造されたフィルム型正極は、気孔率が68%以下、65%以下、60%以下、55%以下であって、45%以上または50%以上である。前記フィルム型正極の気孔率が68%超過であれば耐久性が低下されることがあって、45%未満であると気孔内で電気化学反応が起きる空間が狭くなるので正常な電池駆動が難しい。
【0092】
前述した製造装置及び製造方法によって製造されたフィルム型正極は、硫黄‐炭素材複合体を含む粉末状態の正極材を利用して乾式工程によって製造されることで、本発明によるフィルム型正極は正極活物質である硫黄のローディング量が高い長所がある。また、前記乾式工程は従来湿式工程で要求されるスラリー構成成分の混合、コーティング、及び乾燥のような一連の細部工程を省略することができ、工程費用の節減が可能であり、残存水分による問題が発生しない。また、前記乾式工程によって製造された本発明のフィルム型正極はバインダーと導電材を含まないバインダー及び導電材フリー形態でも製造が可能であるため、バインダー抵抗による電池性能低下問題を始め、凝集力が足りない導電材による成形性低下問題を根本的に取り除くことができる。これに加え、本発明の場合、製造の際に粉末状態の正極材を平坦化する段階を含むので、図3に示すように、ローディング量が均一ながら広い面積を持つフィルム型正極を容易に製造することができる。なお、本発明の場合、フィルム型正極の製造工程が連続工程で進められて生産性に優れるという長所がある。
【0093】
また、本発明は前述した製造装置及び製造方法から製造されたフィルム型正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0094】
前記フィルム型正極はフリースタンディングフィルム型正極であってもよい。
【0095】
本発明によるリチウム二次電池は、正極;負極;これらの間に介在される電解質を含んで、前記正極として本発明によるフィルム型正極を含む。
【0096】
前記正極は前述した製造装置及び製造方法で製造されるものである。
【0097】
特に、本発明の正極は乾式工程によって製造されたフィルム型正極を含むことで既存電極対比より多量の硫黄をローディングすることができる。これによって、本発明で前記正極は硫黄のローディング量、すなわち正極内で正極活物質層の単位面積当たり硫黄のローディングは3.0ないし5.0mAh/cmである。このように高い硫黄ローディング量を持つことによって本発明による正極を含むリチウム二次電池は優れる放電容量及び寿命特性を示すことができる。
【0098】
前記正極は少なくとも一面に正極集電体を含むことができる。
【0099】
前記正極集電体は正極活物質を支持し、当該電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば特に制限されるものではない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などが使用されることができる。
【0100】
前記正極集電体はその表面に微細な凹凸を形成して正極活物質との結合力を強化させることができ、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を使用することができる。
【0101】
前記負極は負極集電体の少なくとも一面上に負極活物質を含む負極活物質層を形成したり、負極活物質層(例えば、リチウム板金、リチウム金属薄膜、リチウムホイル)を単独で使用することができる。
【0102】
前記負極集電体は負極活物質層を支持するためのもので、正極集電体で説明したとおりである。
【0103】
前記負極活物質層は負極活物質を含み、導電材、バインダーなどをさらに含むことができる。
【0104】
前記負極活物質はリチウム(Li)を可逆的に挿入(intercalation)または脱挿入(deintercalation)できる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属またはリチウム合金を含むことができる。
【0105】
前記リチウムイオン(Li)を可逆的に挿入または脱挿入することができる物質は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの混合物であってもよい。前記リチウムイオン(Li)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ、窒化チタンまたはシリコーンであってもよい。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群から選択される金属の合金であってもよい。
【0106】
好ましくは、前記負極活物質はリチウム金属であってもよく、具体的に、リチウム金属薄膜またはリチウム金属粉末の形態であってもよい。
【0107】
前記負極活物質の形成方法は特に制限されず、当業界で通常使用される層または膜の形成方法を利用することができる。例えば、圧搾、コーティング、蒸着などの方法を利用することができる。また、集電体にリチウム薄膜がない状態で電池を組立てた後、初期充電によって板金上に金属リチウム薄膜が形成される場合も本発明の負極に含まれる。
【0108】
前記導電材は負極活物質と電解質を電気的に連結させて集電体(current collector)から電子が負極活物質まで移動する経路の役目をする物質として、導電性を持つものであれば制限せずに使用することができる。
【0109】
例えば、前記導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;スーパーP(Super‐P)、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素ナノチューブ、フラーレンなどの炭素誘導体;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0110】
前記バインダーは負極を構成する成分の間、及びこれらと負極集電体の間の結着力をより高めるもので、当該業界で公知された全てのバインダーを使用することができる。
【0111】
例えば、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVdF)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン‐ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル‐ブチジエンゴム、スチレン‐イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;及びシラン系バインダー;からなる群から選択された1種、2種以上の混合物または共重合体を使用することができる。
【0112】
前記電解質はリチウムイオンを含み、これを媒介にして正極と負極で電気化学的な酸化または還元反応を起こすためのものである。
【0113】
前記電解質はリチウム二次電池に通常使用されたものなどが全て使用されることができる。
【0114】
例えば、前記電解質で電解質として含まれることができるリチウム塩は、リチウム二次電池用電解質に通常使用されるものなどが制限せずに使用されることができ、例えば、前記リチウム塩の陰イオンでは、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN及び(CFCFSOからなる群から選択されたいずれか一つであってもよい。具体的に前記リチウム塩としては、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO(Lithium bis(perfluoroethylsulfonyl)imide、BETI)、LiN(CFSO(Lithium bis(Trifluoromethanesulfonyl)imide、LiTFSI)、LiN(C2a+1SO)(C2b+1SO)(ただし、a及びbは自然数、好ましくは1≦a≦20で、1≦b≦20である)、リチウムポリ[4,4’‐(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノキシ]スルホニルイミド(lithium poly[4,4’‐(hexafluoroisopropylidene)diphenoxy]sulfonylimide、LiPHFIPSI)、LiCl、LiI、LiB(C、LiNOなどが使用されることができ、この中でもLiTFSI、BETIまたはLiPHFIPSIなどのようなスルホニル基‐含有イミドリチウム化合物がより好ましい。
【0115】
本発明で使用される電解質において、電解質に含まれる有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどが制限されずに使用されることができ、代表的に、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、ジオキソラン(DOL)、ジメチルスルファオキサイド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビニレンカーボネート、スルホラン、ガンマ‐ブチロラクトン、プロピレンスルファイト及びテトラハイドロフランからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物などが代表的に使用されることができる。特に、前記カーボネート系有機溶媒の中で環形カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは高粘度の有機溶媒として誘電率が高く、電解質内のリチウム塩をよく解離させるので、好ましく使用されることができ、このような環形カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率線形カーボネートを適当な割合で混合して使えば高い電気伝導率を持つ電解液を作ることができて、より好ましく使用されることができる。
【0116】
前記電解質は前述したリチウム塩と有機溶媒以外に添加剤として硝酸または亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。
【0117】
このような硝酸または亜硝酸系化合物としては、本発明で特に限定しないが、硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸セシウム(CsNO)、硝酸バリウム(Ba(NO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸セシウム(CsNO)、亜硝酸アンモニウム(NHNO)などの無機系硝酸または亜硝酸化合物;メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラートなどの有機系硝酸または亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種が可能であり、好ましくは硝酸リチウムを使用する。
【0118】
前記正極と負極の間にはさらに分離膜が含まれることができる。
【0119】
前記分離膜は前記正極と負極を互いに分離または絶縁させ、正極と負極の間にリチウムイオンの輸送をできるようにすることで多孔性非伝導性または絶縁性物質からなることができ、通常、リチウム二次電池で分離膜として使用されるものであれば特に制限されずに使用可能である。このような分離膜はフィルムのような独立的な部材であってもよく、正極及び/または負極に付け加えられたコーティング層であってもよい。
【0120】
前記分離膜としては電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解質に対する含湿能力に優れるものが好ましい。
【0121】
前記分離膜は多孔性基材からなることができて、前記多孔性基材は通常二次電池に使用される多孔性基材であれば全て使用可能で、多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用することができ、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布またはポリオレフィン系多孔性膜を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0122】
前記多孔性基材の材質としては、本発明で特に限定せず、通常電気化学素子に使用される多孔性基材であれば、いずれも使用可能である。例えば、前記多孔性基材は、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)などのポリオレフィン(polyolefin)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)などのポリエステル(polyester)、ポリアミド(polyamide)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalate)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、セルロース(cellulose)、ナイロン(nylon)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(poly(p‐phenylene benzobisoxazole)及びポリアリレート(polyarylate)からなる群から選択された1種以上の材質を含むことができる。
【0123】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1ないし100μm、好ましくは5ないし50μmである。前記多孔性基材の厚さ範囲が前述した範囲で限定されるものではないが、厚さが前述した下限より薄すぎる場合は、機械的物性が低下されて電池使用中に分離膜が容易に損傷されることがある。
【0124】
前記多孔性基材に存在する気孔の平均直径及び気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.001ないし50μm及び10ないし95%である。
【0125】
前述したリチウム二次電池の形態は特に制限されず、例えば、ゼリー‐ロール型、スタック型、スタック‐フォールディング型(スタック‐Z‐フォールディング型を含む)、またはラミネーション‐スタック型であってもよく、好ましくはスタック‐フォールディング型であってもよい。
【0126】
このような前記負極、分離膜及び正極を順次積層させて電解質を注入した電極組立体を製造した後、これを電池ケースに入れた後、キャッププレート及びガスケットで密封して組立ててリチウム二次電池を製造することができる。
【0127】
この時、リチウム二次電池は使用する正極/負極材質によってリチウム‐硫黄二次電池、リチウム‐空気電池、リチウム‐酸化物電池、リチウム全固体電池など多様な電池に分類可能であり、形態によって円筒状、角形、コイン型、ポーチ型などに分類されることができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分けることができる。これらの電池の構造と製造方法は、この分野に広く知られているので詳細な説明は省略する。
【0128】
本発明において、リチウム二次電池は正極として硫黄‐炭素複合体を含むフィルム型正極を使用するので、リチウム‐硫黄二次電池であってもよい。前記リチウム‐硫黄二次電池は負極活物質でリチウム金属を使用することができる。リチウム‐硫黄二次電池の放電の際に負極ではリチウムの酸化反応が起きて、正極では硫黄の還元反応が発生する。この時、還元された硫黄は負極から移動されてきたリチウムイオンと結合してリチウムポリスルフィドに変換され、最終的にリチウムスルフィドを形成する反応を伴う。
【0129】
また、本発明は前記リチウム二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0130】
前記電池モジュールは、高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源で使用されることができる。
【0131】
前記中大型デバイスの例としては、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)、プラグ‐インハイブリッド電気自動車(plug‐in hybrid electric vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E‐bike)、電気スクーター(E‐scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0132】
また、本発明は前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0133】
前記電池パックは前記電池モジュールを含むことを特徴として、前記特徴を除いた構成はこの分野に公知された構成を制限されずに採用することができる。
【0134】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0135】
製造例1:硫黄‐炭素複合体製造
硫黄(S)と炭素ナノチューブ(CNT)を固体状態で7:3の重量比で均一に混合した後、100rpmの条件で1時間ボールミーリングして混合物を製造した。
【0136】
前記混合物を155℃で35分間熱処理して硫黄をCNTの気孔内で担持及び表面にコーティングされるようにして硫黄‐炭素複合体(S‐CNT)を製造した。この時、前記CNTは比表面積350m/gのものを使用した。
【0137】
実施例及び比較例
[実施例1]
前記製造例1の硫黄‐炭素複合体(S‐CNT)を超音波ふるい機(Telesonic社)を利用して大きい粉体を取り除いた後、金型上面に供給した。
【0138】
前記金型上面を基準にしてスクレイピングブレードを1000μmに位置させた後、移送方向へと走行させて余りの前記製造例1の硫黄‐炭素複合体を取り除いた。以後、20μmずつスクレイピングブレードの高さを下げて移送反対方向と移送方向を10回反復走行することで平坦化して800μm厚さの正極材を形成した。
【0139】
前記平坦化段階を経た正極材を正極材成形部に移送した後、1MPaの圧力を5秒間印加してフリースタンディングフィルム型正極を製造した。
【0140】
[実施例2]
前記製造例1の硫黄‐炭素複合体(S‐CNT)を超音波ふるい機(Telesonic社)を利用して大きい粉体を取り除いた後、金型上面に供給した。
【0141】
前記金型上面を基準にしてスクレイピングブレードを1000μmに位置させた後、移送方向へと走行させて余りの前記製造例1の硫黄‐炭素複合体を取り除いた。以後、スクレイピングブレードを200μmに下げて1回平坦化することで、800μm厚さの正極材を形成した。
【0142】
前記平坦化段階を経た正極材を正極材成形部に移送した後、1MPaの圧力を5秒間印加してフリースタンディングフィルム型正極を製造した。
【0143】
[比較例1]
前記製造例1の硫黄‐炭素複合体(S‐CNT)を超音波ふるい機(Telesonic社)を利用して大きい粉体を取り除いた後、金型上面に供給した。
【0144】
前記製造例1の硫黄‐炭素複合体が供給された金型上面を正極材成形部に移送した後、1MPaの圧力を5秒間印加してフィルム型正極を製造した。
【0145】
実験例1.表面評価
実施例2で平坦化を進めた後の正極材の表面を肉眼で評価した。この時、得られた結果は図2に示す。
【0146】
図2に示すように、正極材の平坦化工程の際にスクレイピングブレードの高さ変化が大きい場合、スクレイピングブレードに粉末状態の正極材が滞積され、スクレイピングブレードの走行方向に位置する正極材の一部が一緒に脱落され、不均一な充填様相を持つことを確認することができる。
【符号の説明】
【0147】
100:フィルム型正極製造装置
110:移送手段
120:正極材供給部
130:正極材平坦化部
131:スクレイピングブレード
140:正極材成形部
150:移送部
図1
図2
図3A
図3B
図4