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特許7538958ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの高純度化精製方法およびそれを含むポリエステル樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの高純度化精製方法およびそれを含むポリエステル樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/81 20060101AFI20240815BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20240815BHJP
   C07C 67/52 20060101ALI20240815BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20240815BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
C08G63/81
C08G63/183
C07C67/52
C07C67/56
C07C69/82 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023528029
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2021012490
(87)【国際公開番号】W WO2022108071
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0154565
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ダヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク グアンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨジン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンイン
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-070101(JP,A)
【文献】特開平10-045890(JP,A)
【文献】特開2008-088096(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109574835(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0061948(KR,A)
【文献】特開2002-121173(JP,A)
【文献】特表2020-521849(JP,A)
【文献】国際公開第2020/149469(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/071708(WO,A1)
【文献】特開2005-089572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00-91
C07C 67/48
C07C 69/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートおよび水を混合する段階(段階1);
2)前記段階1の混合物に活性炭を添加する段階(段階2);
3)前記段階2の混合物からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する段階(段階3);
4)前記段階3の精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液、ジカルボン酸またはその誘導体、およびエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールを、エステル化反応させてオリゴマーを製造する段階(段階4);および
5)前記オリゴマーを縮重合してポリエステル共重合体を製造する段階(段階5)を含むポリエステル共重合体の製造方法において、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液の濃度は25~99wt%であり、
前記ジカルボン酸またはその誘導体は、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、または2,5-チオフェンジカルボン酸であり、
前記段階4は、0.1~3.0kg/cmの圧力および200~300℃の温度で行い、
前記製造されるポリエステル共重合体の厚さ6mm試験片に対するHazeが3以下である、ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記段階1で、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートおよび水の重量比が1:100~99:100になるように混合する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階1で、水の温度が50~90℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階2で、前記段階1の混合物重量に対して前記活性炭を0.1~5.0重量%で添加する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階3は、前記段階2の混合物を濾過してろ過液を回収する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ろ過液を10~40℃に冷却して、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの結晶を回収する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液の温度は25~100℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記共単量体はシクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、またはジエチレングリコールである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記段階4は、2時間~10時間の間行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記製造されるポリエステル共重合体の固有粘度が0.50~1.0dl/gである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記製造されるポリエステル共重合体の厚さ6mm試験片に対する(ハンターL色価)-(ハンターb色価)が87以上である、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの高純度化精製方法およびそれを含むポリエステル樹脂を提供するためのものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、使用後にリサイクルが可能であり、大きく物理的リサイクル方法と化学的リサイクル方法でリサイクルする。物理的リサイクルはPETを洗浄した後に大きな粒子やフレーク状に粉砕して使用することであり、化学的リサイクルは化学反応によりPETの単量体として回収することである。その中で化学的リサイクルは化学反応により単量体に分解され、生成された単量体はポリエステル製造の原料物質として再利用されることができる。分解により生成された単量体は最初の高分子合成に利用される単量体と同等な化学的性質を有する。
【0003】
PETはテレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)の縮合により製造されるか、またはジメチルテレフタレート(DMT)とEGの反応により製造されることができる。二つの方法は、いずれもPETの単量体であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(Bis(2-hydroxylethyl) terephthalate;BHET)を経てPETに重合される。PETのリサイクルはPETをEGで解重合すると単量体であるBHETを得ることができる。解重合により得たBHETは解重合副産物から分離精製を経る場合のみ再びPET重合に用いることができる。
【0004】
米国特許登録番号第9127136号は、BHETに対してメタノールと水混合溶媒を用いてliquid chromatography処理してBHET分離精製工程を試みた。しかし、混合溶媒を分離精製工程に用いる場合、混合溶媒の回収過程で困難が生じ得る。また、米国特許登録番号第3120560号と第3268575号は、BHETの精製のための結晶化溶媒として水、エチレンジクロリドとヘキシルアルコールなどを使用した。しかし、エチレンジクロリドを溶媒として使用する場合、70℃以上の高温で結晶化が行われて高温での分離が求められる。また、米国特許登録番号第3632830号はベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族溶媒を用いたBHET結晶化により精製を試みた。欧州特許公開番号EP0723951はPET解重合後、濾過して得たBHETを水を用いた結晶化によりBHETの精製を試みた。
【0005】
日本特許公開番号第2000-169623号は、エチレングリコールを用いたBHET結晶化精製工程を開示しているが、副反応物を完全に除去することが難しく、これを用いて製造した再生ポリエステルで色相が変色した低品質のポリエステルを生成する。また、日本特許公開番号第2008-088096号、第2000-053802号、第2016-536291号などにもPETを解重合して得られるBHETの精製について開示されているが、同様に精製されたBHETおよびこれを用いて製造されるポリエステルの色相品質は満足でない問題がある。
【0006】
そこで、本発明者らはポリエステルの化学的リサイクルにより回収されるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの品質改善を極大化できるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート精製方法について鋭意研究を繰り返した結果、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの水溶液で活性炭を活用する場合、高い純度で精製することができ、また、これを使用して製造されるポリエステルの色相を改善させ得ることを確認して本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの高純度化精製方法およびそれを含むポリエステル樹脂を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、下記の段階を含むビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの精製方法を提供する:
1)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートおよび水を混合する段階;
2)前記段階1の混合物に活性炭を添加する段階;および
3)前記段階2の混合物からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する段階。
【0009】
以下各段階別に本発明を詳細に説明する。
【0010】
(段階1)
本発明の段階1は、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートおよび水を混合する段階であって、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液を製造する段階である。
【0011】
本発明で精製対象になるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、特に限定されないが、ポリエステルまたは消費後に回収されたポリエステルを解重合して得られるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを使用する。
【0012】
一般的に消費後に回収されたリサイクルPETを用いてビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを製造する時、PETをEGに入れた後に高温で沸かして解重合するが、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートとともにダイマーなどの不純物が生成される。また、酸素が制御されない条件でEGは高温で沸かす場合、黄色に変わり、変色した化学物質が混ざって出ることがある。また、消費後に回収されたリサイクルPETが色相がある場合は過量の顔料や染料があり得るが、解重合時にこのような染料と顔料がそのままEGに溶けており、これらがきちんと精製過程を経ない場合、形成されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートに混ざって出ることがある。
【0013】
したがって、上記のように精製過程でビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを除いた残りの物質を除去するために、本発明ではビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液を製造した後、後述するように活性炭を用いることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記段階1で、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートおよび水の重量比が20:80~90:10になるように混合する。
【0015】
好ましくは、前記段階1の水の温度は50~90℃が好ましい。これは前記段階1で製造されるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液の温度を意味し、前記温度範囲でビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの溶解度を上げることができる。より好ましくは、前記水の温度は60~90℃である。
【0016】
(段階2)
本発明の段階2は、前記段階1で製造したビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液に活性炭を添加して精製する段階である。これによりビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液内の不純物が活性炭に吸着して不純物を除去することができる。
【0017】
好ましくは、前記段階1の混合物重量に対して前記活性炭を0.1~5.0重量%で添加する。
【0018】
一方、前記活性炭を添加した後に、不純物の除去効率を上げるために、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液を攪拌し得る。また、肉眼などで不純物が除去される程度を確認して攪拌時間と攪拌速度を調節することができる。
【0019】
(段階3)
本発明の段階3は、前記段階2の混合物からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する段階である。
【0020】
前記回収は生成されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを活性炭と分離することであれば、特に制限されず、好ましくは濾過方法で分離することができる。したがって、前記段階3は前記段階2の混合物を濾過してろ過液を回収して行うことができる。このように回収されたろ過液内には精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含んでいるので、別途の追加工程なしで回収されたろ過液を後述するポリエステル共重合体の製造に使用することができる。
【0021】
また、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを追加で精製するために、前記回収したろ過液からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート結晶を誘導して、生成された結晶を回収することができる。
【0022】
具体的には、前記ろ過液を10~40℃に冷却して、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの結晶を回収することができる。前記生成された結晶は生成されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート結晶と溶液を分離して回収し、好ましくは遠心分離方法で回収することができる。
【0023】
(ポリエステル共重合体の製造)
上述した精製方法で精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、不純物などが除去されて純度が高いので、これをポリエステル共重合体の製造に使用することができる。
【0024】
具体的には、本発明は下記のポリエステル共重合体の製造方法を提供する:
上述した本発明による精製方法で精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液、ジカルボン酸またはその誘導体、およびエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールを、エステル化反応させてオリゴマーを製造する段階(段階1);および
2)前記オリゴマーを縮重合してポリエステル共重合体を製造する段階(段階2)を含み、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液の濃度は25~99wt%である、
ポリエステル共重合体の製造方法。
【0025】
前記ポリエステル共重合体の製造方法の段階1は、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液、ジカルボン酸またはその誘導体、およびエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールを、エステル化反応させてオリゴマーを製造する段階である。
【0026】
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液は、上述した本発明による精製方法で精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート水溶液であるか、または本発明による精製方法で精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート結晶である場合は前記結晶を水に溶解させた水溶液を意味する。
【0027】
好ましくは、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液の濃度は25~99wt%である。前記濃度が25wt%未満である場合は、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの含有量が低いので、反応効率が低くなり、前記濃度が99wt%を超える場合は、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの濃度が高いため均一なエステル化反応を誘導し難い。
【0028】
また、好ましくは、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む水溶液の温度は25~100℃であり、より好ましくは30~90℃である。
【0029】
一方、本発明で使用されるジカルボン酸またはその誘導体は、ジオール成分と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジカルボン酸はテレフタル酸を含み、テレフタル酸により本発明によるポリエステル共重合体の耐熱性、耐化学性、耐候性などの物性が向上することができる。また、前記テレフタル酸誘導体は、テレフタル酸アルキルエステル、好ましくはジメチルテレフタル酸である。
【0030】
前記ジカルボン酸はテレフタル酸の他に芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、またはこれらの混合物を追加で含むことができる。この場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸は、全体ジカルボン酸成分の総重量に対して1~30重量%で含まれることが好ましい。
【0031】
前記芳香族ジカルボン酸成分は、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物などであり得る。前記芳香族ジカルボン酸の例として、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,5-チオフェンジカルボン酸などがあるが、前記芳香族ジカルボン酸の具体的な例はこれに限定されるものではない。前記脂肪族ジカルボン酸成分は炭素数4~20、好ましくは炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸成分またはこれらの混合物などであり得る。前記脂肪族ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などの線状、分岐状または環状脂肪族ジカルボン酸成分などがあるが、前記脂肪族ジカルボン酸の具体的な例はこれに限定されるものではない。
【0032】
本発明で使用されるジオール成分は上述したジカルボン酸またはその誘導体とともにポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジオール成分はエチレングリコールおよび共単量体を含み、前記共単量体はシクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、またはジエチレングリコールを含む。
【0033】
前記エチレングリコールはポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記エチレングリコールは前記全体ジオール成分100モルに対して5~100モルで使用する。
【0034】
前記シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノール)は、製造されるポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノールは前記全体ジオール成分の残基100モルに対して5~90モルで使用する。
【0035】
前記イソソルビド(isosorbide)は製造されるポリエステル共重合体の加工性を向上させるために使用される。上述したシクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールのジオールによりポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度が向上するが、加工性のために剪断流動化特性を改善し、かつ結晶化速度を遅らせなければならないが、シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールだけではその効果を達成し難い。そのため、ジオール成分としてイソソルビドを含む場合、透明性と耐衝撃強度を維持しながらも剪断流動化特性を改善し、結晶化速度を遅らせることにより、製造されるポリエステル共重合体の加工性が改善される。好ましくは、前記イソソルビドは前記全体ジオール成分100モルに対して0.1~50モルで使用する。
【0036】
一方、後述するように、本発明により製造されるポリエステル共重合体は、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基を1~90重量%を含む。このため、前述したように前記段階1で製造したリサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート溶液の濃度を調節する。前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が1重量%未満の場合は、上述したジオールの含有量が相対的に高くなるが、そのため、ジオール成分から由来する副産物、特にエチレングリコールから由来する副産物が多くなってポリエステル共重合体の品質低下の一要因になる。また、前記リサイクルビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が90重量%超である場合には、ポリエステル共重合体の色相品質および透明性が低下する問題がある。
【0037】
前記エステル化反応は0.1~3.0kg/cmの圧力および200~300℃の温度で行う。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、各成分の比率、または工程条件などによって適宜調節することができる。具体的には、前記エステル化反応条件の好ましい例として、240~295℃、より好ましくは245~275℃の温度が挙げられる。
【0038】
そして、前記エステル化反応はバッチ(batch)式または連続式で行われることができ、それぞれの原料は別に投入されるが、ジオール成分にジカルボン酸成分およびリサイクル(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート溶液を混合したスラリー形態で投入することが好ましい。そして、常温で固形分であるイソソルビドなどのジオール成分は水またはエチレングリコールに溶解させた後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーにすることができる。または、60℃以上でイソソルビドが溶融した後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分とその他ジオール成分を混合してスラリーにすることができる。また、前記混合されたスラリーに水を追加で投入してスラリーの流動性増大を助けることもできる。
【0039】
好ましくは、前記段階2のエステル化反応は2時間~10時間の間行う。前記反応時間は最終生成されるポリエステル共重合体の品質に影響を及ぼし、前記反応時間が2時間未満であるかまたは10時間超である場合は最終生成されるポリエステル共重合体の色相品質の低下が生じる。
【0040】
一方、前記エステル化反応は、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を含む触媒を使用することができる。
【0041】
前記チタン系化合物の例としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトナートチタネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタンジオキシドなどが挙げられる。前記ゲルマニウム系化合物の例としてはゲルマニウムジオキシド、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムエチレングリコキシド、ゲルマニウムアセテート、これらを用いた共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。好ましくは、ゲルマニウムジオキシドを使用でき、このようなゲルマニウムジオキシドとしては結晶性または非結晶性をいずれも使用でき、グリコール可溶性も使用することができる。
【0042】
前記ポリエステル共重合体の製造方法の段階2は、前記オリゴマーを縮重合してポリエステル共重合体を製造する段階である。
【0043】
前記重縮合反応は、前記エステル化反応生成物を240~300℃の温度および400~0.01mmHgの圧力条件で行うことが好ましい。また、前記重縮合反応は1~10時間の間行うことが好ましい。
【0044】
前記重縮合反応の温度および圧力条件を適用することによって重縮合反応の副産物であるグリコールを系外に除去することができる。また、前記重縮合反応時間を適用した時、最終生成物の固有粘度が適切な水準に達することができる。
【0045】
また、本発明は上述したポリエステル共重合体の製造方法で製造したポリエステル共重合体を提供する。
【0046】
本発明によるポリエステル共重合体は、固有粘度が0.50~1.0dl/gであり、好ましくは0.50~0.85dl/gであり、より好ましくは0.55~0.80dl/gである。前記固有粘度の測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0047】
また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体の厚さ6mm試験片に対する「(ハンターL色価)-(ハンターb色価)」(以下、Plaque Color L-bという)が87以上であり、より好ましくは、88以上、89以上、または90以上である。また、前記Plaque Color L-bの上限は100であり得、本発明では99以下、98以下、97以下、96以下、または95以下であり得る。前記Plaque Color L-bの測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0048】
また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体の厚さ6mm試験片に対するヘイズが3以下であり、より好ましくは、2.5以下である。また、前記ヘイズの上限は0であり得、本発明では0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、または0.5以上である。前記ヘイズの測定方法は後述する実施例で具体化する。
【0049】
また、本発明は前記ポリエステル共重合体を含む物品を提供する。
【発明の効果】
【0050】
前述したように、本発明による精製方法はビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの高純度に精製することができ、これをポリエステル共重合体として使用する場合、色相品質に優れるという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の理解を深めるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供するだけであり、本発明の内容はこれにより限定されない。
【0052】
ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)は商業的に購買可能な品質を使用し、以下の製造例、実施例および比較例でも同一である。
【0053】
[製造例]
製造例1:蒸留水と活性炭を用いたBHETの精製
20L Vesselに蒸留水1250gを投入した後70℃に攪拌しながら加熱した。温度が70℃に到達すると、BHET250gを投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去した。フィルタを通過したBHET水溶液を常温(23℃)に冷却させて結晶状態のBHETを得て、フィルタを介して混合溶液と分離した後減圧乾燥を経て最終的に精製されたBHETを得た。
【0054】
製造例2:活性炭を用いたBHETの精製および水溶液状態で重合工程に使用
3L Vesselに蒸留水300gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET2000gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去した。
【0055】
比較製造例1:蒸留水を用いたBHETの精製
製造例1で活性炭による吸着精製を実施しなかったことを除いては製造例1と同様の方法でBHETを得た。
【0056】
比較製造例2:未精製BHET水溶液
別途の精製を経ず、製造例2と同じ組成で溶解させたBHET水溶液を準備した。
【0057】
比較製造例3:未精製BHET
別途の精製をせず、蒸留水と混合しなかったBHET結晶を準備した。
【0058】
前記製造例および比較製造例で得たBHETの純度、colorおよび収率を測定して下記表1に示した。この時colorは各結晶に対して測定し、Konica Minolta社の分光測色計(CM-3600A)で測定した。
【0059】
【表1】
【0060】
[実施例]
実施例1
3L Vesselに蒸留水200gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET1269.7gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去して、BHET溶液(濃度:86.4%)を製造した。
【0061】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(terephthalic acid;2361.8g)、EG(ethylene glycol;673.5g)、CHDM(1,4-cyclohexanedimethanol;221.5g)、ISB(isosorbide;98.2g)を投入して、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0062】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より1.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して245分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0063】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.55dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0064】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、200℃まで40℃/時間の速度で昇温して200℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0065】
実施例2
製造例1で製造したr-BHET(3461.1g)と水(200g)を70℃で溶解してr-BHET水溶液を製造した。
【0066】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記r-BHET水溶液、TPA(969.4g)、EG(12.1g)、CHDM(140.2g)、ISB(113.7g)を投入して、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0067】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より1.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して200分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0068】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0069】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、200℃まで40℃/時間の速度で昇温して200℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.95dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0070】
実施例3
3L Vesselに蒸留水200gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET3461.1gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去して、BHET溶液(濃度:94.5%)を製造した。
【0071】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(420.3g)、CHDM(121.5g)を投入して、触媒としてTiO/SiO copolymer(0.5g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.016g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0072】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して500分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0073】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0074】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、210℃まで40℃/時間の速度で昇温して210℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.80dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0075】
実施例4
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、製造例1で製造したr-BHET(795.8g)、TPA(3814.0g)、EG(1554.0g)、CHDM(188.0g)を投入して、触媒としてTiO/SiO copolymer(0.5g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、1.1g)を投入した。
【0076】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より1.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、250℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を250℃に維持して500分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0077】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を265℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.55dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0078】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、220℃まで40℃/時間の速度で昇温して220℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.85dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0079】
実施例5
3L Vesselに蒸留水300gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET2439.2gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去して、BHET溶液(濃度:89.0%)を製造した。
【0080】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(1471.5g)、EG(68.7g)、CHDM(797.8g)を投入して、触媒としてTiO/SiO copolymer(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.8g)を投入した。
【0081】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を255℃に維持して360分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0082】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0083】
実施例6
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、製造例1で製造したr-BHET(40.9g)、TPA(2643.1g)、EG(329.1g)、CHDM(1158.0g)、ISB(587.0g)を投入して、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.020g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.008g)を投入した。
【0084】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して360分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0085】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.80dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0086】
実施例7
3L Vesselに蒸留水100gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET3418.5gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去して、BHET溶液(濃度:97.2%)を製造した。
【0087】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(957.5g)、DMT(dimethyl terephthalate;1119.0g)、EG(345.7g)、CHDM(221.5g)、ISB(84.2g)を投入して、触媒としてMn(II) acetate tetrahydrate(1.5g)およびSb(1.8g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0088】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力を常圧にした。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、240℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を240℃に維持して150分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0089】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を265℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0090】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、200℃まで40℃/時間の速度で昇温して200℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.95dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0091】
実施例8
製造例1で製造したr-BHET(3461.1g)と水(1500g)を95℃で溶解してr-BHET水溶液を製造した。
【0092】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記r-BHET水溶液、TPA(969.4g)、IPA(isophthalic acid;2262.0g)、EG(12.1g)、CHDM(140.2g)、ISB(113.7g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0093】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より3.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2956.7mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して200分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0094】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、190℃まで40℃/時間の速度で昇温して190℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が1.0dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0095】
比較例1
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、比較製造例3のr-BHET(1291.0g)、TPA(2401.4g)、EG(721.2g)、CHDM(140.8g)、ISB(99.9g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)を投入した。
【0096】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して720分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0097】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0098】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、200℃まで40℃/時間の速度で昇温して200℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0099】
比較例2
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、比較製造例1のr-BHET(304.1g)、TPA(2640.8g)、EG(583.3g)、CHDM(1231.6g)、ISB(25.0g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.012g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.004g)を投入した。
【0100】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を255℃に維持して750分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.75dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化してポリエステル共重合体を製造した。
【0101】
比較例3
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、製造例1で製造したr-BHET(3898.7g)、TPA(162.6g)、EG(81.0g)、ISB(95.4g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、ブルートナーとしてPolysynthren Blue RLS(Clarient社、0.010g)、およびレッドトナーとしてSolvaperm Red BB(Clarient社、0.003g)を投入した。
【0102】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.1kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:823.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して850分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0103】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を270℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.65dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0104】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、220℃まで40℃/時間の速度で昇温して220℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.85dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0105】
比較例4
3L Vesselに蒸留水2300gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET735.6gをゆっくり投入して完全に溶解させて、BHET溶液(濃度:24.2%)を製造した。
【0106】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(2724.3g)、EG(1239.0g)、CHDM(222.4g)、ISB(98.7g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)を投入した。
【0107】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して650分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0108】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化した。
【0109】
前記粒子を150℃で1時間の間放置して結晶化した後、20L容積の固相重合反応器に投入した。その後、前記反応器に窒素を50L/min速度で流した。この時、反応器の温度を常温から140℃まで40℃/時間の速度で上げ、140℃で3時間維持した後、200℃まで40℃/時間の速度で昇温して200℃を維持した。前記固相重合反応は反応器内の粒子の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで行って、ポリエステル共重合体を製造した。
【0110】
比較例5
3L Vesselに蒸留水3000gを投入した後85℃に攪拌しながら加熱した。温度が85℃に到達すると、BHET615.7gをゆっくり投入して完全に溶解させた。BHETが完全に溶けると投入されたBHETの0.5重量%の粉末活性炭を投入した後1時間の間攪拌しながら不純物を吸着させた。その後、加熱したフィルタを介して溶解しない不純物と活性炭を除去して、BHET溶液(濃度:17.0%)を製造した。
【0111】
カラムと、水により冷却が可能なコンデンサが連結されている10L容積の反応器に、前記製造したBHET溶液、TPA(2280.0g)、EG(566.0g)、CHDM(698.1g)、ISB(82.6g)を投入して、触媒としてGeO (1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.46g)、呈色剤として酢酸コバルト(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0112】
次に、反応器に窒素を注入して反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その次、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで反応器の温度を260℃に維持して900分間エステル化反応を行った。この過程でカラムとコンデンサを経て副産物が流出した。エステル化反応が完了すると、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に下げた後、反応器内の混合物を真空反応が可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0113】
そして、反応器の圧力を常圧状態から5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて下げ、同時に反応器の温度を280℃まで1時間かけて上げ、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には攪拌速度を速く設定するが、重縮合反応が進行するにつれて反応物の粘度上昇により攪拌力が弱くなるかまたは反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、攪拌速度を適宜調節することができる。前記重縮合反応は反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで行った。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すると、混合物を反応器外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後に平均重量が12~14mg程度になるように粒子化してポリエステル樹脂を製造した。
【0114】
[実験例]
前記実施例および比較例で製造した共重合体について、以下のように物性を評価した。
【0115】
1)残基組成
ポリエステル樹脂内の酸およびジオール由来の残基組成(mol%)は試料をCDCl溶媒に3mg/mLの濃度で溶解した後核磁気共鳴装置(JEOL、600MHz FT-NMR)を用いて25℃で得た1H-NMRスペクトルにより確認した。また、TMA残基はEthanolysisによりエタノールがTMAと反応して生成されたベンゼン-1,2,4-トリエチルカルボキシレートの含有量をガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies、7890B)を用いて250℃で測定したスペクトルにより定量分析して確認し、全体ポリエステル樹脂重量に対して含有量(wt%)で確認した。
【0116】
2)固有粘度
150℃オルソクロロフェノール(OCP)に0.12%濃度でポリエステル共重合体を溶解させた後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を用いて固有粘度を測定した。具体的には、粘度管の温度を35℃に維持して、粘度管の特定の内部区間の間を溶媒(solvent)が通過するのにかかる時間(efflux time)t0と、溶液(solution)が通過するのにかかる時間tを求めた。その後、t0値とt値を式1に代入して比粘度(specific viscosity)を算出して、算出された比粘度値を式2に代入して固有粘度を算出した。
【0117】
【数1】
【0118】
【数2】
【0119】
3)plaque color L-b
サンプルの色度および明度を拡散反射付属品を取り付けたバリアンケアリー(Cary)5UV/Vis/NIR分光光度計を用いて測定した。厚さ6mmのポリエステル樹脂試験片を準備し、観測者の角度2°でイルミナント(Illuminant)D65で透過データを得て、これをグラムズ/32(Grams/32)ソフトウェア内の色分析装置を用いて処理してハンター(Hunter)L*a*b*値を計算し、以下の表ではL値からb値を引いた結果(L-b)を記載した。
【0120】
4)ヘイズ(Haze)
厚さ6mmのポリエステル樹脂試験片を準備して、ASTM D1003-97測定法でMinolta社のCM-3600A測定機を用いて前記試験片のHazeを測定した。
【0121】
前記結果を下記表2に示した。
【0122】
【表2】
【0123】
前記表2に示すように、本発明により精製されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを使用して製造したポリエステル共重合体(実施例1~8)はColor L-b値が87以上で優れることに対して、比較製造例1~3のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを使用して製造したポリエステル共重合体(比較例1,2および4)および比較例3および5のようにそれぞれCHDMとISBを重合に使用しなかった場合は、これに達しない値を示した。
【0124】
したがって、本発明による精製方法で精製したビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートはポリエステル樹脂の単量体として使用する場合、色相品質に優れることを確認することができた。