IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日機装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-加圧装置 図1
  • 特許-加圧装置 図2
  • 特許-加圧装置 図3
  • 特許-加圧装置 図4
  • 特許-加圧装置 図5
  • 特許-加圧装置 図6
  • 特許-加圧装置 図7
  • 特許-加圧装置 図8
  • 特許-加圧装置 図9
  • 特許-加圧装置 図10
  • 特許-加圧装置 図11
  • 特許-加圧装置 図12
  • 特許-加圧装置 図13
  • 特許-加圧装置 図14
  • 特許-加圧装置 図15
  • 特許-加圧装置 図16
  • 特許-加圧装置 図17
  • 特許-加圧装置 図18
  • 特許-加圧装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/603 20060101AFI20240815BHJP
   B30B 15/34 20060101ALI20240815BHJP
   B30B 7/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L21/603 C
B30B15/34 A
B30B7/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024016820
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
(72)【発明者】
【氏名】森永 高広
(72)【発明者】
【氏名】井手迫 聡
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-202740(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159743(WO,A1)
【文献】特開2014-179420(JP,A)
【文献】特開2011-159847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447-H01L 21/449
H01L 21/60 -H01L 21/607
H05K 3/32 -H05K 3/34
B30B 15/34
B30B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを加圧する加圧装置であって、
前記ワークが載置可能な載置板と、
前記載置板の上方向に配置されて、前記ワークそれぞれを上方向から個別に加圧可能な複数の個別加圧部材と、
前記個別加圧部材を支持する支持金型と、
前記個別加圧部材を下方向に向けて加圧可能な上金型と、
前記個別加圧部材と、前記上金型と、の間に配置される加圧パッドと、
前記支持金型を支持する支持部材と、
を有してなり、
前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、
前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出して
前記支持部材は、
下方向視において前記上金型の側方に配置されて、
前記上金型に対して上下方向に相対移動可能である、
加圧装置。
【請求項2】
前記支持金型は、
前記支持金型を上下方向に貫通する複数の貫通孔、
を備えて、
前記上金型は、
前記個別加圧部材それぞれに対応する複数の個別上金型、
を備えて、
前記加圧パッドは、
前記個別加圧部材それぞれに対応する複数の個別加圧パッド、
を備えて、
前記貫通孔は、対応する前記個別加圧部材と、対応する前記個別加圧パッドと、を収容して、
前記個別上金型は、対応する前記個別加圧部材が収容される前記貫通孔内を、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記個別加圧パッドは、対応する前記個別加圧部材の前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能である、
請求項に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記支持金型と対応する前記個別加圧部材との間に配置されて、対応する前記個別加圧部材を上方向に向けて付勢する複数の付勢部材、
を有してなり、
前記ワークが加圧されていないとき、
前記個別上金型は、対応する前記貫通孔よりも上方向に位置して、
前記個別加圧部材は、対応する前記付勢部材により上方向へ向けて付勢されて、前記支持金型から突出しない、
請求項に記載の加圧装置。
【請求項4】
複数のワークを加圧する加圧装置であって、
前記ワークが載置可能な載置板と、
前記載置板の上方向に配置されて、前記ワークそれぞれを上方向から個別に加圧可能な複数の個別加圧部材と、
前記個別加圧部材を支持する支持金型と、
前記個別加圧部材を下方向に向けて加圧可能な上金型と、
前記個別加圧部材と、前記上金型と、の間に配置される加圧パッドと、
前記加圧パッドを保持する枠部材と、
を有してなり、
前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、
前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出して、
下方向視において、前記加圧パッドは、前記上金型の全面を覆い、
水平方向において、前記枠部材は、前記加圧パッドの全周を囲み、
前記支持金型は、前記加圧パッドと前記枠部材との下方向に配置されて、前記枠部材に支持されて、
前記枠部材は、前記上金型に対して上下方向に相対移動可能である、
加圧装置。
【請求項5】
前記支持金型は、
前記支持金型を上下方向に貫通する複数の貫通孔、
を備えて、
前記貫通孔は、対応する前記個別加圧部材を収容する、
請求項に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記支持金型と対応する前記個別加圧部材との間に配置されて、対応する前記個別加圧部材を上方向に向けて付勢する複数の付勢部材、
を有してなり、
前記ワークが加圧されていないとき、前記個別加圧部材それぞれは、前記付勢部材により上方向へ向けて付勢されて、前記支持金型から突出しない、
請求項に記載の加圧装置。
【請求項7】
前記支持金型は、
下方向に面する下面、
を備えて、
前記載置板は、
前記ワークそれぞれが載置される載置面、
を備えて、
前記下面または前記載置面に対向するように、上下方向において、前記下面と前記載置面との間に配置される金型受部材、
を有してなり、
上下方向において、前記金型受部材の長さは、前記ワークそれぞれの長さよりも大きい、
請求項またはに記載の加圧装置。
【請求項8】
前記ワークを加熱可能な熱ユニット、
を有してなり、
前記個別加圧部材それぞれは、
上層部と、
前記上層部よりも下方向に配置される下層部と、
前記上層部と前記下層部との間に配置される中層部と、
を備えて、
前記中層部を構成する材料の熱伝導率は、前記上層部と前記下層部それぞれを構成する材料の熱伝導率よりも小さい、
請求項1または4に記載の加圧装置。
【請求項9】
前記個別加圧部材それぞれは、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接して、前記ワークの形状に追従して変形する弾性体、
を備える、
請求項1またはに記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの複数のワーク(被加圧物)を一括で加圧する加圧装置が、知られている(例えば、特許文献1参照)。同加圧装置は、ワークそれぞれを均等に加圧可能な加圧パッドを備える。加圧パッドは、ワークそれぞれの形状に追従して変形する柔軟体を備える特殊弾性体で構成されている。そのため、同加圧装置は、公差などにより多少の高低差を有する複数のワークに対して、均等かつ一括に加圧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-296746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された加圧装置では、柔軟体がワークの形状に追従して変形する。そのため、同加圧装置では、加圧が不要な部位(例えば、基板上のチップ以外の部位)も加圧される。ワークの中には、強度の低い部位(例えば、庇状の部位)を有するワークが有る。同加圧装置を用いてこのようなワークが加圧されると、強度の低い部位に割れや欠けなどの不具合が生じ得る。すなわち、同加圧装置には、加圧が必要な部位だけでなく、加圧が不要な部位まで加圧するという技術的課題が存在する。
【0005】
本発明は、複数のワークに対して、加圧が必要な部位のみを一括して加圧可能な加圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様における加圧装置は、複数のワークを加圧する加圧装置であって、前記ワークが載置可能な載置板と、前記載置板の上方向に配置されて、前記ワークそれぞれを上方向から個別に加圧可能な複数の個別加圧部材と、前記個別加圧部材を支持する支持金型と、前記個別加圧部材を下方向に向けて加圧可能な上金型と、前記個別加圧部材と、前記上金型と、の間に配置される加圧パッドと、前記支持金型を支持する支持部材と、を有してなり、前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出して前記支持部材は、下方向視において前記上金型の側方に配置されて、前記上金型に対して上下方向に相対移動可能である、加圧装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のワークに対して、加圧が必要な部位のみを一括して加圧可能な加圧装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る加圧装置の実施の形態を説明する、同加圧装置の模式断面図である。
図2】上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図3】上記本装置が備える上金型の模式底面図である。
図4】上記本装置が備える上加圧ユニットの模式底面図である。
図5】上記上加圧ユニットの一部の構成の模式分解斜視図である。
図6】動作中の上記本装置の一状態を示す模式断面図である。
図7】動作中の上記本装置の別の一状態を示す模式断面図である。
図8図7の状態の上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図9】動作中の上記本装置のさらに別の一状態を示す模式断面図である。
図10図9の状態の上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図11】本発明に係る加圧装置の第2実施形態を説明する、同加圧装置の模式断面図である。
図12】第2実施形態の上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図13】第2実施形態の上記本装置が備える上加圧ユニットの一部の構成の模式分解斜視図である。
図14】動作中の第2実施形態の上記本装置の一状態を示す模式断面図である。
図15】動作中の第2実施形態の上記本装置の別の一状態を示す模式断面図である。
図16図15の状態の上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図17】動作中の第2実施形態の上記本装置のさらに別の一状態を示す模式断面図である。
図18図17の状態の上記本装置の部分拡大模式断面図である。
図19】変形例に係る本装置が備える個別加圧部材の模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る加圧装置(以下「本装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
【0010】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、空間において相互に直交する3軸がX軸、Y軸およびZ軸であるとき、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は上下方向に平行である。すなわち、XY平面は水平面であり、XZ平面およびYZ平面は鉛直面である。「X軸方向」はX軸に沿う方向であり、「+X方向」はX軸方向の一方向であり、「-X方向」はX軸方向の他方向である。「Y軸方向」はY軸に沿う方向であり、「+Y方向」はY軸方向の一方向であり、「-Y方向」はY軸方向の他方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。「+Z方向」は上方向であり、「-Z方向」は下方向である。「XY方向」はX軸方向およびY軸方向に沿う方向であり、「XY平面」はXY方向に平行な仮想平面である。「XZ方向」はX軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「XZ平面」はXZ方向に平行な仮想平面である。「YZ方向」はY軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「YZ平面」はYZ方向に平行は仮想平面である。
【0011】
以下の説明において、下面は、下方向に面していて、XY方向に平行な面である。上面は、上方向に面していて、XY方向に平行な面である。
【0012】
●加圧装置(1)●
●加圧装置(1)の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す、本装置の模式断面図である。
図2は、本装置1の部分拡大模式断面図である。
これらの図は、XY平面状に載置された本装置1がXZ平面に沿って切断された状態、を示している(後述される図6図10も同様である)。図2は、図1の本装置1のA部を示している。
【0013】
本装置1は、ワークWを加圧する。本装置1は、ベース2、上金型3、サイドユニット4、支持ユニット5、支持金型6、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧部材7、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧パッド8、複数(本実施の形態では9個)の付勢ユニット9、複数(本実施の形態では9個)の個別保護板10、金型受部材11、移動規制部材12、昇降装置13、載置板14、熱ユニット15、制御装置16、および真空ポンプPを有してなる。ベース2、上金型3、サイドユニット4、支持ユニット5、支持金型6、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、付勢ユニット9、個別保護板10、金型受部材11、および移動規制部材12は、上下方向においてワークWよりも上方向に配置されていて、上加圧ユニットUPを構成している。載置板14および熱ユニット15は、上下方向においてワークWよりも下方向に配置されていて、下加圧ユニットDPを構成している。
【0014】
「ワークW」は、本装置1により加圧される対象物である。ワークWは、例えば、電子部品w1、基板w2、およびペースト状の接合剤w6を備える。本実施の形態では、電子部品w1は、例えば、パワー半導体素子である。電子部品w1は、ワークWにおける上端部に配置されている。基板w2は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)を用いて、セラミック板w3と2枚の銅板w4,w5とが接合されたDCB基板である。セラミック板w3は2枚の銅板w4,w5に挟まれていて、セラミック板w3の外縁部は銅板w4,w5から水平方向に突出している接合剤w6は、高温で焼結される接合層であり、電子部品w1と基板w2との間に、配置されている。電子部品w1は、本装置1により基板w2に熱圧着される。熱圧着の手法は公知であるため、その詳細な説明は省略される。
【0015】
ベース2は、上金型3、サイドユニット4、および支持ユニット5を支持する。ベース2の形状は、XY方向に沿う矩形状で、直方体状である。ベース2は、昇降装置13により上下方向に移動可能に、昇降装置13に支持されている。ベース2は、下面2aを備える。下面2aは、XY平面に平行な面である。
【0016】
上金型3は、個別加圧部材7を介して、上方向からワークWを加圧する。上金型3は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。上金型3は、ベース2の下面2aに取り付けられている。上金型3は、ベース部30、および複数(本実施の形態では9個)の個別上金型31を備える。
【0017】
図3は、上金型3の模式底面図である。
以下の説明において、図1および図2は、図3と共に適宜参照される。
【0018】
ベース部30の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、上下方向において扁平な直方体状である。ベース部30は、下面30aを備える。下面30aの一部は、下方向に向けて直方体状に突出していて、個別上金型31を形成している。すなわち、ベース部30は、個別上金型31と一体に構成されている。
【0019】
個別上金型31は、対応する個別加圧部材7を下方向に向けて加圧して、対応するワークWを加圧する。個別上金型31の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。個別上金型31は、下面31aを備える。下方向視において、個別上金型31は、XY方向に沿って均等(3行×3列)に配列されている。以下の説明において、個別上金型31それぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0020】
個別上金型311,312,313は、+X方向側から順にX軸方向に沿うように、ベース部30の+Y方向側の半部に配置されている。個別上金型314,315,316は、+X方向側から順にX軸方向に沿うように、Y軸方向におけるベース部30の中央部に配置されている。個別上金型317,318,319は、+X方向側から順にX軸方向に沿うように、ベース部30の-Y方向側の半部に配置されている。
【0021】
なお、本発明において、上金型3は、ベース2と一体に形成されていてもよい。
【0022】
また、本発明において、上金型3は、ベース部30を備えていなくてもよい。この場合、例えば、個別上金型31は、ベース2の下面2aに取り付けられていてもよく、または、ベース2と一体に形成されていてもよい。
【0023】
図4は、上加圧ユニットUPの模式底面図である。
同図は、上加圧ユニットUPのうち、ベース2の図示を省略している。以下の説明において、図1および図2は、図4と共に適宜参照される。同図は、説明の便宜上、上金型3の外縁部を二点鎖線で示していて、後述される支持部材50の外縁部を太い二点鎖線で示している。
【0024】
サイドユニット4は、ワークWが加圧されるとき、ベース2および載置板14と共に、ワークWが収容される空間(以下「収容室R」という。図6参照。以下同じ。)を形成する。サイドユニット4は、ベース2の下方向に配置されている。サイドユニット4は、第1サイド部材40、第2サイド部材41、第1シール部材42、第2シール部材43、第3シール部材44、およびシリンダ45を備える。
【0025】
第1サイド部材40および第2サイド部材41の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、筒状である。すなわち、下方視において、第1サイド部材40および第2サイド部材41の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。第1サイド部材40は、ベース2の下面2aに取り付けられている。水平方向において、第1サイド部材40は、上金型3、支持ユニット5、および支持金型6を囲むように配置されている。すなわち、下方向視において、上金型3、支持ユニット5、および支持金型6は、第1サイド部材40の内部空間に配置されている。第2サイド部材41は、シリンダ45を介して、ベース2に支持されている。水平方向において、第2サイド部材41は、第1サイド部材40を囲むように配置されている。すなわち、下方向視において、第1サイド部材40(上金型3、支持ユニット5、および支持金型6)は、第2サイド部材41の内部空間に配置されている。第2サイド部材41は、下面41a、上面41b、および排気孔41cを備える。排気孔41cは、第2サイド部材41の内周面および外周面に開口している貫通孔である。
【0026】
第1シール部材42、第2シール部材43、および第3シール部材44は、例えば、公知のO-リングである。第1シール部材42は、ベース2と第1サイド部材40との間に配置されている。第2シール部材43は、第1サイド部材40と第2サイド部材41との間に配置されている。第3シール部材44は、下面41aに取り付けられている。
【0027】
シリンダ45は、第2サイド部材41を昇降させる。シリンダ45は、ベース2の下面2aと第2サイド部材41の上面41bとに取り付けられていて、第2サイド部材41を昇降可能に支持している。シリンダ45は、例えば、公知のエアシリンダである。
【0028】
支持ユニット5は、支持金型6を支持する。支持ユニット5は、ベース2の下方向に配置されている。支持ユニット5は、支持部材50および複数のばね部材51を備える。
【0029】
支持部材50は、支持金型6を支持する。支持部材50の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、枠状である。すなわち、下方向視において、支持部材50の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。支持部材50は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。支持部材50は、下面50aおよび上面50bを備える。下方向視において、支持部材50は、上金型3を囲むように、上金型3の側方に配置されている。
【0030】
ばね部材51は、支持部材50を支持する。ばね部材51は、ベース2の下面2aと支持部材50の上面50bとに取り付けられていて、支持部材50を上金型3に対して上下方向に相対移動可能に支持している。ばね部材51は、例えば、公知のコイルばねである。
【0031】
図5は、上加圧ユニットUPの一部の構成(上金型3、支持金型6、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、付勢ユニット9、および個別保護板10)の模式分解斜視図である。
以下の説明において、図1図4は、図5と共に適宜参照される。
【0032】
支持金型6は、個別加圧部材7を、支持金型6に対して上下方向に相対移動可能に支持する。支持金型6は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。支持金型6の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。下方向視において、支持金型6の外縁部の形状(大きさ)は、支持部材50の外縁部の形状(大きさ)と同じである。支持金型6は、上金型3および支持ユニット5の下方向に配置されている。支持金型6は、下面6a、上面6b、複数(本実施の形態では9個)の収容孔6cを備える。支持金型6は、移動規制部材12を介して、支持部材50の下面50aに取り付けられている。
【0033】
収容孔6cは、支持金型6を上下方向に貫通する貫通孔である。収容孔6cの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、2段角柱状である。収容孔6cは、内周面6dおよび内フランジ部6eを備える。収容孔6cの内周面6dの下端部は、全周に亘り、水平方向(収容孔6cの内方向)に向けて突出していて、内フランジ部6eを形成している。すなわち、収容孔6cの内部には、2段角柱状の空間が形成されている。内フランジ部6eの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、枠状である。内フランジ部6eは、上面6fを備える。収容孔6cそれぞれは、個別上金型31それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。下方向視において、収容孔6cは、対応する個別上金型31と同じ位置に配置されている。以下の説明において、収容孔6cそれぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0034】
後述のとおり、支持金型6のうち、収容孔6c以外の部分は、ワークWが加圧されるとき、個別加圧パッド8から水平方向に向かう圧力(押圧力)を受ける。そのため、水平方向において、同部分の長さ(厚さ)は、同圧力により変形しない長さとなるように設計されている。
【0035】
個別加圧部材7は、対応するワークWを上方向から個別に加圧する。個別加圧部材7は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。図2に示されているとおり、個別加圧部材7は、下面7a、上面7b、本体部7c、外フランジ部7dを備える。下面7aは本体部7cの下面であり、上面7bは本体部7cおよび外フランジ部7dの上面である。個別加圧部材7それぞれは、収容孔6cそれぞれおよび個別上金型31それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。個別加圧部材7は、対応する収容孔6cに収容されている。個別加圧部材7は、対応する収容孔6c内を上下方向に移動(摺動)可能である。すなわち、個別加圧部材7は、支持金型6に対して、上下方向に相対移動可能である。以下の説明において、個別加圧部材7それぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0036】
本体部7cの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。XY方向において、本体部7cの長さ(幅)は、内フランジ部6eにおける収容孔6cの長さ(幅)よりも小さい。上下方向において、本体部7cの長さ(高さ)は、収容孔6cの長さ(すなわち、支持金型6の長さ)よりも小さい。
【0037】
本体部7cの外周面の上端部は、全周に亘り、外方向に向けて突出していて、外フランジ部7dを構成している。すなわち、側方視において、個別加圧部材7の形状は、「T」字状である。外フランジ部7dの形状は、XY方向に沿う矩形状である。XY方向において、外フランジ部7dの長さ(幅)は、対応する収容孔6cの長さ(幅)よりも僅かに(個別加圧部材7が収容孔6c内を摺動可能な程度に)小さい。外フランジ部7dは、下面7eを備える。上下方向において、下面7eは、対応する内フランジ部6eの上面6fに対向するように配置されている。
【0038】
個別加圧パッド8は、ワークWが加圧されるとき、対応する個別加圧部材7の支持金型6に対する相対移動量に応じて変形する。図2に示されているとおり、個別加圧パッド8は、柔軟体8a、および2枚の膜8b,8cを備える。個別加圧パッド8それぞれは、収容孔6cそれぞれおよび個別加圧部材7それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。個別加圧パッド8は、対応する収容孔6cに収容されていて、対応する個別加圧部材7の上方向に、同個別加圧部材7に隣接して配置されている。すなわち、個別加圧パッド8は、対応する個別加圧部材7と、対応する個別上金型31(上金型3)と、の間に配置されている。つまり、個別加圧パッド8は、本発明における加圧パッドとして機能している。換言すれば、本装置1は、複数の個別加圧パッド8を備えて、上金型3と個別加圧部材7との間に配置される、加圧パッドPdを有している。以下の説明において、個別加圧パッド8それぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0039】
柔軟体8aは、ワークWが加圧されるとき、対応する個別上金型31からの圧力を対応する個別加圧部材7に均等に伝達する。柔軟体8aは、例えば、公知の高い流動性および低い反発弾性率を有する弾性体材料(例えば、(株)ジェルテック製、高ダンピング熱伝導ゲルシート「αGEL(登録商標)」など)製である。柔軟体8aは、仮に、凹凸の有る物体に向けて押圧されたとき、同物体の凹凸形状に追従して変形可能な柔軟性を有する。柔軟体8aは、例えば、柔軟体8aの上下に配置されている2枚の膜8b,8cの間に充填されている。
【0040】
膜8b,8cは、対応する個別加圧部材7および個別保護板10の柔軟体8aへの付着を防止する。また、膜8b,8cは、対応する収容孔6cと個別加圧部材7(外フランジ部7d)との間の隙間、および対応する収容孔6cと個別保護板10との間の隙間への柔軟体8aの浸入を防ぐシール材としても機能する。膜8b,8cの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、膜状である。XY方向において、膜8b,8cの長さ(幅)は、対応する収容孔6cの長さ(幅)と同じ、または、収容孔6cの長さよりも僅かに大きい。
【0041】
なお、本発明において、対応する収容孔6cと個別加圧部材7(外フランジ部7d)との間の隙間、および対応する収容孔6cと個別保護板10との間の隙間の大きさが、柔軟体8aが浸入不可能な大きさであるとき、XY方向において、膜8b,8cの長さ(幅)は、収容孔6cの長さ(幅)よりも小さくてもよい。この場合、収容孔6cと外フランジ部7dとの間には、シール材(例えば、O-リング)が配置されていてもよい。また、柔軟体8aが同隙間に浸入しない材料製であるとき、個別加圧パッド8は、膜8b,8cを備えていなくてもよい。
【0042】
付勢ユニット9は、個別加圧部材7を上方向に向けて付勢する。付勢ユニット9は、例えば、1個以上(本実施の形態では4個)の付勢部材(例えば、コイルばね)で構成されている。付勢ユニット9それぞれは、収容孔6cおよび個別加圧部材7それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。付勢ユニット9は、対応する収容孔6cに収容されていて、対応する内フランジ部6eの上面6fと、個別加圧部材7の外フランジ部7dの下面7eと、の間に配置されている。以下の説明において、付勢ユニット9それぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0043】
なお、本発明において、付勢ユニット9を構成する付勢部材の数は、「4」に限定されない。すなわち、例えば、付勢ユニット9は、本体部7cを芯材とするように配置される1つのコイルばねで構成されていてもよい。また、付勢部材は、コイルばねに限定されない。すなわち、例えば、付勢部材は、板ばねでもよい。
【0044】
個別保護板10は、個別加圧パッド8を個別上金型31から保護する。個別保護板10は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。個別保護板10の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、板状である。XY方向において、個別保護板10の長さ(幅)は、対応する収容孔6cの長さ(幅)よりも僅かに小さい。個別保護板10それぞれは、個別上金型31それぞれ、収容孔6cそれぞれ、および個別加圧パッド8それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。個別保護板10は、対応する個別上金型31の下方向に配置されていて、対応する収容孔6cに収容されていて、対応する個別加圧パッド8の上に載置されている。以下の説明において、個別保護板10それぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0045】
金型受部材11は、ワークWが加圧されるとき、支持金型6からの下方向への圧力を受け止める。また、金型受部材11は、ワークWが加圧されるとき、上下方向において、載置板14に対する支持金型6の位置(高さ)を決定する。金型受部材11は、例えば、公知の硬質断熱材料(例えば、数10MPa~100MPa以上の圧縮強度を有する断熱材料)製である。金型受部材11の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、枠状である。金型受部材11は、支持金型6の下面6aの外縁部に取付けられている。その結果、金型受部材11は、載置板14の後述される載置面14aに対向している。図2に示されているとおり、上下方向において、金型受部材11の長さ(厚さ)L11は、ワークWの長さ(厚さ)Lwよりも大きい。金型受部材11は、下面11aを備える。
【0046】
移動規制部材12は、付勢ユニット9による、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10の上方向への移動を規制する。移動規制部材12は、XY方向に沿う矩形状であり、板状である。移動規制部材12は、支持金型6の上方向に配置されていて、支持金型6の上面6bに取り付けられている。移動規制部材12は、下面12a、および複数(本実施の形態では9個)の挿通孔12bを備える。
【0047】
挿通孔12bは、移動規制部材12を上下方向に貫通する貫通孔である。挿通孔12bの形状は、XY方向に沿う矩形状である。挿通孔12bそれぞれは、個別上金型31それぞれ、収容孔6cそれぞれ、および個別保護板10それぞれに対応している。同対応関係は、後述される。下方向視において、挿通孔12bは、対応する個別上金型31および収容孔6cと同じ位置に配置されている。上方向視において、移動規制部材12のうち、挿通孔12bの周囲の部分は、矩形枠状に、対応する収容孔6cの外縁部を覆っている。その結果、同部分は、対応する個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10の上方向への移動を規制している。XY方向において、挿通孔12bの長さ(幅)は、対応する個別上金型31の長さ(幅)よりも大きく、対応する収容孔6cおよび個別保護板10の長さ(幅)よりも小さい。以下の説明において、挿通孔12bそれぞれが特に区別されるとき、これらの末尾には符号「1」~「9」が付記される。
【0048】
なお、本発明において、移動規制部材12は、複数(例えば、収容孔6cと同数)の枠状の部材で構成されていてもよい。
【0049】
昇降装置13は、ベース2を昇降させる。昇降装置13は、例えば、公知の油圧シリンダである。
【0050】
載置板14は、ワークWが載置される部材である。載置板14は、例えば、グラファイト、または、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。載置板14の形状は、下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、板状である。載置板14は、熱ユニット15の上に載置されている。載置板14は、上面である載置面14aを備える。
【0051】
熱ユニット15は、ワークWを加熱する。熱ユニット15は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。熱ユニット15の形状は、上下方向視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、直方体状である。熱ユニット15は、熱ユニット15の内部に配置される複数のヒータおよび冷媒流路(共に不図示。)を備える。
【0052】
制御装置16は、本装置1全体の動作を制御する。
【0053】
真空ポンプPは、後述される収容室R内の雰囲気を減圧雰囲気(真空雰囲気)に調整する。真空ポンプPは、公知の真空ポンプである。真空ポンプPは、配管を介して排気孔41cに接続されている。
【0054】
ここで、個別上金型31、収容孔6c、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、付勢ユニット9、個別保護板10、および挿通孔12bそれぞれにおいて、区別のために付記された符号の番号が同じ部材同士は、相互に対応している。すなわち、例えば、個別上金型311、収容孔6c1、個別加圧部材71、個別加圧パッド81、付勢ユニット91、個別保護板101、および挿通孔12b1それぞれは、相互に対応している。個別加圧部材71、個別加圧パッド81、付勢ユニット91、個別保護板101は、収容孔6c1に収容されている。個別加圧部材71は、収容孔6c1内を上下方向に移動(摺動)可能である。個別加圧パッド81は、個別加圧部材71の上方向に、個別加圧部材71に隣接して配置されている。付勢ユニット91は、個別加圧部材71、個別加圧パッド81、および個別保護板101を上方向に向けて付勢している。個別保護板101は、個別上金型311の下方向に配置されていて、個別加圧パッド81の上に載置されている。上方向視において、移動規制部材12のうち、挿通孔12b1の周囲の部分は、矩形枠状に、収容孔6c1の外縁部を覆っている。その結果、同部分は、個別加圧部材71、個別加圧パッド81、および個別保護板101の上方向への移動を規制している。
【0055】
このように構成される本装置1は、上金型3(個別上金型31)、支持金型6、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、付勢ユニット9、個別保護板10、および移動規制部材12を交換することにより、異なる品種のワークWを加圧可能である。
【0056】
●加圧装置(1)の動作
次に、本装置1の動作が、以下に説明される。以下の説明において、本装置1は、9個のワークWを一括で加圧する。以下の説明において、図1図2、および図5は、適宜参照される。
【0057】
図1に示されているとおり、ワークWが加圧されていないとき、上加圧ユニットUPは、下加圧ユニットDPの上方向に、下加圧ユニットDPとは離間して配置されている。この状態では、図2に示されているとおり、収容孔6cにおいて、付勢ユニット9は、対応する個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10を上方向に向けて付勢している。その結果、個別加圧部材7は、対応する収容孔6cに収容されていて、支持金型6から下方向には突出していない。また、個別保護板10は、移動規制部材12に当接していて、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10は、収容孔6cから上方向には突出していない。個別上金型31は、対応する個別保護板10と対向していて、対応する収容孔6cおよび挿通孔12bよりも上方向に位置している。支持金型6および個別加圧部材7は、載置板14の上方向に配置されている。
【0058】
先ず、ワークWが、載置板14の載置面14aに載置される。このとき、各ワークWは、対応する個別加圧部材7の下方向に位置している。
【0059】
なお、本発明において、ワークWは載置板14に載置された状態で、載置板14ごと熱ユニット15の上方向まで搬送されていてもよい。
【0060】
次いで、昇降装置13は、上加圧ユニットUPを下降させる。具体的には、昇降装置13は、第2サイド部材41および第3シール部材44が載置板14に密着するまで、上加圧ユニットUPを下降させる。このとき、上加圧ユニットUPと、載置板14と、の間には、ワークWが収容される収容室Rが形成されている。収容室Rは、ベース2、サイドユニット4、および載置板14により囲まれた空間である。
【0061】
図6は、動作中の本装置1の一状態を示す模式断面図である。
同図は、収容室Rが形成されている状態を示している。
【0062】
次いで、真空ポンプPは、収容室R内の雰囲気を減圧雰囲気にする。
【0063】
次いで、昇降装置13は、金型受部材11が載置板14に当接するまで、上加圧ユニットUPを下降させる。このとき、第2サイド部材41は、ベース2の下降に応じて、第1サイド部材40に対して上方向に相対移動する。
【0064】
図7は、動作中の本装置1の別の一状態を示す模式断面図である。
図8は、図7の状態の本装置1の部分拡大模式断面図である。
これらの図は、金型受部材11が載置板14に当接している状態を示している。図8は、図7の本装置1のB部を示している。
【0065】
金型受部材11が載置板14に当接したとき、金型受部材11は、支持部材50および支持金型6を介して、ばね部材51により下方向に向けて押圧される。すなわち、金型受部材11は、支持金型6(下面6a)と載置板14(載置面14a)との間で挟まれている。このとき、金型受部材11は、支持金型6から下方向に向けて加えられる圧力(主に、支持部材50および支持金型6の重量に起因する圧力、および、ばね部材51からの押圧力)を受け止めていている。また、金型受部材11と載置板14との間には、同圧力に起因して、載置板14に対する支持金型6の水平方向の移動を阻止する摩擦力が生じている。その結果、載置板14に対する支持金型6の水平方向への滑りは、生じない。さらに、上下方向において、載置面14aに対する下面6aの位置は、金型受部材11の長さL11分の位置に維持される。すなわち、金型受部材11が載置板14に当接することにより、載置板14(ワークW)に対する支持金型6の位置が固定(決定)される。この状態では、支持金型6(下面6a)および個別加圧部材7(下面7a)は、ワークWに接触しない。したがって、これらのワークWへの接触に起因するワークWの移動や、意図されないワークWの加圧などの不具合は、生じない。このように、金型受部材11が載置板14に押圧されることにより、金型受部材11は、載置板14(ワークW)に対する支持金型6の位置を決定する。
【0066】
次いで、熱ユニット15は、ワークWを所定の温度(例えば、300℃)まで加熱する。
【0067】
なお、本発明において、熱ユニット15がワークWの加熱を開始するタイミングは、上加圧ユニットUPが下降する前でもよい。
【0068】
次いで、昇降装置13は、個別加圧部材7それぞれが対応するワークWに当接するまで、上加圧ユニットUPを下降させる。このとき、個別上金型31は、対応する挿通孔12bに挿通されて、対応する個別保護板10に当接する。また、ばね部材51がベース2の下降に応じて縮むことにより、支持部材50および支持金型6は、上金型3に対して上方向に相対移動する。次いで、個別上金型31は、対応する個別保護板10を下方向に向けて押し込む。このとき、個別上金型31、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10は、付勢ユニット9の付勢力に抗して、収容孔6c内を下降(摺動)する。すなわち、個別上金型31、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10は、支持金型6に対して下方向に相対移動する。その結果、個別加圧部材7は、対応するワークWに向けて、収容孔6cから突出して、対応するワークWの上端部(電子部品w1)に当接する。個別加圧部材7は、ワークWのうち、加圧が必要な部分(電子部品w1)のみに当接している。ここで、上下方向において、ワークWそれぞれの長さLw、および個別加圧部材7の下面7aの位置は、ワークWおよび各部材の公差などに応じて、僅かに異なり得る。そのため、個別加圧部材7それぞれの支持金型6に対する相対移動量は、僅かに異なり得る(相対移動量に差異が有る)。
【0069】
次いで、昇降装置13は、個別加圧部材7それぞれが対応するワークWに対して規定の圧力(例えば、数10MPa。以下「規定圧力」という。)を加える(ワークWが加圧される)まで、上加圧ユニットUPを下降させる。
【0070】
図9は、動作中の本装置1のさらに別の一状態を示す模式断面図である。
図10は、図9の状態の本装置1の部分拡大模式断面図である。
図9は、ワークWが加圧されている状態を示している。図10は、図9の本装置1のC部を示している。
【0071】
この状態では、個別加圧パッド8(柔軟体8a)は、対応する個別加圧部材7の相対移動量に応じて変形している。その結果、対応する個別上金型31からの規定圧力は、対応する個別加圧部材7に均等に伝達される。すなわち、個別上金型31は、対応する個別加圧部材7を下方向に向けて加圧している。前述のとおり、柔軟体8aは、2枚の膜8b,8cにより挟まれている。そのため、柔軟体8aは、収容孔6cと個別加圧部材7(外フランジ部7d)との間の隙間、および収容孔6cと個別保護板10との間の隙間へ浸入しない。また、柔軟体8aが対応する個別加圧部材7の相対移動量の差異を吸収するため、個別上金型31からの規定圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。前述のとおり、柔軟体8aは、ゲルシート製であるため、数百μオーダーの差異も吸収可能である。このとき、個別加圧パッド8が変形することにより、個別上金型31からの規定圧力は、個別加圧パッド8を介して、水平方向(すなわち、収容孔6cの内周面6d)にも伝達される。そのため、前述のとおり、支持金型6は、内周面6dに伝達される規定圧力により変形しないように設計されている。
【0072】
前述のとおり、個別加圧部材7は、対応するワークWの電子部品w1のみに当接していて、電子部品w1のみを下方向に向けて加圧している。そのため、銅板w4,w5から突出しているセラミック板w3の外縁部は、加圧されておらず、同外縁部の割れや欠けなどの不具合は生じない。このように、本装置1は、支持金型6に対して相対移動する個別加圧部材7を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位(電子部品w1)のみを、一括に加圧できる。
【0073】
ワークWが加圧されているとき、付勢ユニット9を構成している各コイルばねは、完全には圧縮されていない。そのため、個別加圧部材7に伝達される規定圧力は、ワークWに伝達されて、内フランジ部6e(支持金型6)に伝達されない。また、前述のとおり、ワークWが加圧されるとき、支持部材50および支持金型6は、上金型3に対して上方向に相対移動している。そのため、上金型3からの規定圧力は、個別加圧部材7に集中的に伝達されて、支持金型6には伝達されない。そのため、本装置1では、「上金型の全面を覆うように配置される加圧パッドで複数のワークを加圧する従来の加圧装置(以下「従来装置」という。)」と比較して、ワークWを加圧するために必要な昇降装置13からの圧力は低減される(例えば、1/4程度)。その結果、昇降装置13は、従来装置よりも小型化される。また、支持金型6に要求される耐圧力は、支持金型6の上面6bが加圧される場合と比較して、小さくなる。したがって、上下方向における支持金型6の長さは縮小できて、支持金型6の重量は低減できる。
【0074】
次いで、昇降装置13は、ワークWに規定圧力が加えられている状態を所定時間維持する。ここで、支持金型6は載置板14に当接しておらず、金型受部材11は断熱材料製である。そのため、熱ユニット15からの熱は、ワークWを介して個別加圧部材7には間接的に伝達されるが、載置板14から支持金型6には直接的に伝達されない。
【0075】
次いで、昇降装置13は、上加圧ユニットUPを上昇させる。このとき、個別上金型31は、対応する収容孔6c内を上昇して、対応する挿通孔12bから上方向に向けて移動する。その結果、個別加圧部材7、個別加圧パッド8、および個別保護板10は、付勢ユニット9の付勢力により、収容孔6c内を上昇して、個別加圧部材7は収容孔6cに収容される。したがって、個別加圧部材7は、支持金型6から下方向には突出していない。また、個別加圧パッド8の柔軟体8aは加圧前の状態に戻り、個別保護板10は移動規制部材12に当接している。前述のとおり、個別保護板10は、膜8bと個別上金型31との間に配置されている。そのため、個別上金型31が収容孔6cより上方向に移動するとき、膜8b(個別加圧パッド8)は、個別上金型31に付着せず、個別上金型31と共に収容孔6cから持ち上げられない。
【0076】
昇降装置13が上加圧ユニットUPを上昇させるとき、制御装置16は、収容室R内をガス(例えば、窒素ガス)でパージして、収容室R内の雰囲気を大気圧雰囲気にする。また、熱ユニット15は、ワークWの加熱を停止する。
【0077】
●まとめ(1)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、上金型3、支持金型6、複数の個別加圧部材7、複数の個別加圧パッド8を備える加圧パッドPd、および載置板14を有してなる。支持金型6は、個別加圧部材7それぞれを支持する。個別加圧部材7は、載置板14の上方向に配置されていて、対応するワークWを上方向から個別に加圧可能である。加圧パッドPd(個別加圧パッド8)は、上金型3と対応する個別加圧部材7との間に配置されている。個別加圧部材7は、支持金型6に対して上下方向に相対移動可能である。加圧パッドPdは、対応する個別加圧部材7の支持金型6に対する相対移動量に応じて変形可能である。ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材7は、対応するワークWに向けて、支持金型6から下方向に突出する。この構成によれば、ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材7のみがワークWに当接していて、上金型3からの圧力は個別加圧部材7を介してワークWの上端部(電子部品w1)のみに加えられる。そのため、銅板w4,w5から突出しているセラミック板w3の外縁部は、加圧されておらず、同外縁部の割れや欠けなどの不具合は生じない。このように、本装置1は、支持金型6に対して相対移動する個別加圧部材7を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位(電子部品w1)のみを、一括に加圧できる。
【0078】
また、以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、支持金型6を支持する支持部材50を有してなる。支持部材50は、下方向視において上金型3の側方に配置されていて、上金型3に対して上下方向に相対移動可能である。この構成によれば、ワークWが加圧されるとき、上金型3からの圧力は、個別加圧部材7に集中して、支持金型6には伝達されない。そのため、本装置1の昇降装置13は、従来装置と比較して、小型化される。また、支持金型6に要求される耐圧力は、支持金型6の上面6bが加圧される場合と比較して、小さくなる。したがって、上下方向における支持金型6の長さは縮小できて、支持金型6の重量は低減できる。
【0079】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、上金型3は、個別加圧部材7に対応する複数の個別上金型31を備える。加圧パッドPdは、個別加圧部材7に対応する複数の個別加圧パッド8を備える。支持金型6は、支持金型6を上下方向に貫通して、対応する個別加圧部材7および個別加圧パッド8を収容する複数の収容孔6cを備える。個別上金型31は、対応する収容孔6c内を支持金型6に対して上下方向に相対移動可能である。個別加圧パッド8は、対応する個別加圧部材7の支持金型6に対する相対移動量に応じて変形可能である。この構成によれば、対応する個別上金型31からの規定圧力は、対応する個別加圧部材7に均等に伝達される。また、柔軟体8aが個別加圧部材7の相対移動量の差異を吸収して、個別上金型31からの規定圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。
【0080】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、複数の付勢部材から構成される複数の付勢ユニット9を備える。付勢ユニット9それぞれは、支持金型6の内フランジ部6eと、対応する個別加圧部材7の外フランジ部7dと、の間に配置されていて、対応する個別加圧部材7を上方向に向けて付勢している。ワークWが加圧されていないとき、個別上金型31それぞれは、対応する収容孔6cよりも上方向に位置していて、個別加圧部材7それぞれは、付勢ユニット9の付勢力により上方向に向けて付勢されていて、支持金型6から下方向には突出していない。この構成によれば、上加圧ユニットUPが下降するとき、支持金型6の位置決め前、または、個別上金型31からの規定圧力が個別加圧部材7に加えられる前に、個別加圧部材7(下面7a)は、支持金型6から突出しておらず、ワークWに接触しない。そのため、下面7aのワークWへの接触に基づくワークWの移動などの不具合は、生じない。その結果、本装置1は、安定して、複数のワークWを一括に加圧できる。
【0081】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、金型受部材11を備える。金型受部材11は、支持金型6の下面6aに取り付けられていて、載置面14aに対向するように、上下方向において、下面6aと載置面14aとの間に配置されている。上下方向において、金型受部材11の長さL11は、ワークWそれぞれの長さLw1よりも大きい。この構成によれば、ワークWが加圧されるとき、支持金型6(下面6a)は、ワークWに接触しない。そのため、下面6aのワークWへの接触に起因するワークWの移動や、意図されないワークWの加圧などの不具合は、生じない。また、上下方向において、載置板14に対する支持金型6の位置は、金型受部材11の長さ分の位置に維持される。さらに、金型受部材11が載置面14aに当接することにより、載置板14(ワークW)に対する支持金型6の位置が固定(決定)される。
【0082】
なお、本発明において、柔軟体8aの材料は、ゲルシートに限定されない。すなわち、例えば、ワークW間の高低差が数十μオーダーの微差であるとき、柔軟体8aの材料は、ゲルシートよりも形状への追従性が低い材料(例えば、シリコンゴムなど)でもよい。
【0083】
また、本発明において、本装置1は、個別保護板10を備えていなくてもよい。
【0084】
さらに、本発明において、金型受部材11は、載置板14に取り付けられていてもよい。
【0085】
さらにまた、本発明において、本装置1は、移動規制部材12を備えていなくてもよい。この場合、例えば、個別保護板10の全体が収容孔6cから上方向に突出しないように、上下方向における収容孔6cの長さ、または、付勢ユニット9の付勢力が調整される。
【0086】
さらにまた、本発明において、金型受部材11は、支持金型6および/または載置板14と一体に形成されていてもよい。
【0087】
さらにまた、本発明において、ワークWが加圧されていないとき、個別加圧部材7は、支持金型6から下方向に向けて突出していてもよい。この場合、好ましくは、金型受部材11が載置板14に当接したとき、突出量が、個別加圧部材7がワークWに接触しない程度に抑えられているとよい。
【0088】
●加圧装置(2)●
次に、本装置の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)が、先に説明された実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。第2実施形態では、上加圧ユニットの構成が、第1実施形態と異なる。以下の第2実施形態の説明において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および共通している機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されていて、詳細な説明は省略される。
【0089】
●加圧装置(2)の構成
図11は、本装置の第2実施形態を示す、本装置の模式断面図である。
図12は、本装置1Zの部分拡大模式断面図である。
これらの図は、XY平面状に載置された本装置1ZがXZ平面に沿って切断された状態、を示している(後述される図14図18も同様である)。図12は、図11の本装置1ZのD部を示している。
【0090】
本装置1Zは、ワークWを加圧する。本装置1Zは、ベース2、上金型3Z、サイドユニット4、支持ユニット5、支持金型6Z、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧部材7、複数(本実施の形態では9個)の付勢ユニット9、金型受部材11Z、昇降装置13、載置板14、熱ユニット15、制御装置16、枠部材17、加圧パッド18、および真空ポンプPを有してなる。ベース2、上金型3Z、サイドユニット4、支持ユニット5、支持金型6Z、個別加圧部材7、付勢ユニット9、枠部材17、および加圧パッド18は、上下方向においてワークWよりも上方向に配置されていて、上加圧ユニットUPZを構成している。金型受部材11Z、載置板14および熱ユニット15は、上下方向においてワークWよりも下方向に配置されていて、下加圧ユニットDPZを構成している。
【0091】
上金型3Zは、個別加圧部材7を介して、上方向からワークWを加圧する。上金型3Zは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。上金型3Zの形状は、XY軸方向に沿う矩形状であり、上下方向において扁平な直方体状である。上金型3Zは、下面3aを備える。上金型3Zは、ベース2の下面2aに取り付けられている。
【0092】
支持ユニット5は、枠部材17を支持する。支持ユニット5は、ベース2の下方向に配置されている。下方向視において、支持部材50は、上金型3Zを囲むように、上金型3Zの側方に配置されている。
【0093】
図13は、上加圧ユニットUPZの一部の構成(上金型3Z、支持金型6Z、個別加圧部材7、枠部材17、および加圧パッド18)の模式分解斜視図である。以下の説明において、図11および図12は、図13と共に適宜参照される。
【0094】
支持金型6Zは、個別加圧部材7を、支持金型6Zに対して上下方向に相対移動可能に支持する。支持金型6Zは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。支持金型6Zの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。下方向視において、支持金型6Zの外縁部の形状(大きさ)は、支持部材50の外縁部の形状(大きさ)、および枠部材17の外縁部の形状(大きさ)と同じである。支持金型6Zは、上金型3Z、支持ユニット5、枠部材17、および加圧パッド18の下方向に配置されている。支持金型6Zは、枠部材17に支持されている。支持金型6Zは、下面6a、上面6b、複数(本実施の形態では9個)の収容孔6c、および凹部6gを備える。収容孔6cは、対応する個別加圧部材7および付勢ユニット9を収容している。
【0095】
支持金型6Zの上面6bは、外縁部を除き、下方向に矩形板状に凹んでいて、凹部6gを形成している。XY方向において、凹部6gの長さ(幅)は、上金型3Zの長さ(幅)と同じ、または、上金型3Zの長さよりも僅かに小さい。支持金型6Zは、枠部材17の後述される下面17aに取り付けられている。
【0096】
後述のとおり、支持金型6Zは、ワークWが加圧されるとき、加圧パッド18から下方向に向かう規定圧力を受ける。そのため、上下方向において、支持金型6Zの長さ(厚さ)は、規定圧力により変形しない長さとなるように設計されている。
【0097】
金型受部材11Zは、ワークWが加圧されるとき、支持金型6Zからの下方向への圧力(規定圧力)を受け止める。また、金型受部材11Zは、ワークWが加圧されるとき、上下方向において、載置板14に対する支持金型6Zの位置(高さ)を決定する。金型受部材11Zは、例えば、公知の硬質断熱材料(例えば、数10MPa~100MPa以上の圧縮強度を有する断熱材料)製である。金型受部材11Zの形状は、XY方向に沿う矩形状であり、格子状である。金型受部材11Zは、載置板14の載置面14aのうち、支持金型6Zの下面6aに対向する位置(収容孔6cに対向しない位置)に取付けられている。図12に示されているとおり、上下方向において、金型受部材11Zの長さL11Zは、ワークWの長さLwよりも大きい。金型受部材11Zは、下面11aおよび上面11bを備える。
【0098】
枠部材17は、加圧パッド18を保持する。枠部材17は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。枠部材17の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、枠状であり、下方向視において、支持部材50の形状と同じである。すなわち、下方向視において、枠部材17の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。枠部材17は、下面17aおよび上面17bを備える。枠部材17は、支持部材50の下方向に配置されていて、支持部材50の下面50aに取り付けられている。下方向視において、枠部材17は、上金型3Zを囲むように、上金型3Zの側方に配置されている。枠部材17は、支持部材50と一体的に、上金型3Zに対して上下方向に相対移動可能である。上下方向において、枠部材17は、上金型3Zの下面3aよりも下方向に位置している。
【0099】
加圧パッド18は、ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材7の支持金型6Zに対する相対移動量に応じて変形する。加圧パッド18は、上方向視において支持金型6Zの凹部6gの全面を覆うように支持金型6Zの上方向に配置されていて、下方向視において上金型3Zの全面を覆うように配置されている。すなわち、加圧パッド18は、上金型3Zと個別加圧部材7との間に配置されている。加圧パッド18は、柔軟体18a、2枚の膜18b,18c、および断熱体18dを備える。
【0100】
柔軟体18aは、ワークWが加圧されるとき、上金型3Zからの圧力を個別加圧部材7に均等に伝達する。柔軟体18aは、例えば、第1実施形態の柔軟体8aと同じ材料製である。柔軟体8aは、例えば、柔軟体8aの上下に配置されている2枚の膜18b,18cの間に充填されている。膜18b,18cの外縁部が全周に亘って枠部材17に保持されることにより、水平方向において、柔軟体18aは、枠部材17に囲まれている(枠部材17の内部空間に充填されている)。
【0101】
断熱体18dは、ワークWが加圧されるとき、上金型3Zからの圧力を個別加圧部材7へ均等に伝達すると共に、熱ユニット15からの熱の柔軟体18aへの伝達を抑制する。断熱体18dは、例えば、公知の高い柔軟性および低い熱伝導性を有する繊維素材製である。断熱体18dは、柔軟体18aと同様に、個別加圧部材7の支持金型6Zに対する相対移動量に応じて柔軟に変形可能な柔軟性を有している。断熱体18dは、柔軟体18aの下方向に、膜18cに隣接して配置されていて、支持金型6Zの凹部6gに収容されている。
【0102】
このように構成される本装置1Zは、支持金型6Z、個別加圧部材7、および付勢ユニット9を交換することにより、異なる品種のワークWを加圧可能である。
【0103】
●加圧装置(2)の動作
次に、本装置1Zの動作が、以下に説明される。以下の説明において、本装置1Zは、9個のワークWを一括で加圧する。以下の説明において、図11および図12は、適宜参照される。
【0104】
図11に示されているとおり、ワークWが加圧されていないとき、上加圧ユニットUPZは、下加圧ユニットDPZの上方向に、下加圧ユニットDPZとは離間して配置されている。この状態では、収容孔6cにおいて、付勢ユニット9は、対応する個別加圧部材7を上方向に向けて付勢している。その結果、個別加圧部材7は、対応する収容孔6cに収容されていて、支持金型6Zから下方向には突出していない。また、個別加圧部材7は、断熱体18dに当接していて、個別加圧部材7は、収容孔6cから上方向には突出していない。断熱体18dは支持金型6Zと柔軟体18aとに挟持されていて、上金型3Zは加圧パッド18の上方向に加圧パッド18と離間して配置されている。
【0105】
本装置1Zの動作のうち、ワークWの載置板14の載置から収容室Rの減圧までの動作は、第1実施形態の本装置1の動作と共通する。
【0106】
図14は、動作中の本装置1Zの一状態を示す模式断面図である。
同図は、収容室Rが形成されている状態を示している。
【0107】
次いで、昇降装置13は、支持金型6Zが金型受部材11Zに当接するまで、上加圧ユニットUPZを下降させる。このとき、第2サイド部材41は、ベース2の下降に応じて、第1サイド部材40に対して上方向に相対移動する。
【0108】
図15は、動作中の本装置1Zの別の一状態を示す模式断面図である。
図16は、図15の状態の本装置1Zの部分拡大模式断面図である。
これらの図は、支持金型6Zが金型受部材11Zに当接している状態を示している。図16は、図15の本装置1ZのE部を示している。
【0109】
支持金型6Zが金型受部材11Zに当接したとき、金型受部材11Zは、支持部材50、枠部材17、および支持金型6Zを介して、ばね部材51により下方向に向けて押圧される。すなわち、金型受部材11Zは、支持金型6Zと載置板14との間で挟まれている。このとき、金型受部材11Zは、支持金型6Zから下方向に向けて加えられる圧力(主に、支持部材50、支持金型6Z、枠部材17、および加圧パッド18の重量に起因する圧力、および、ばね部材51からの押圧力)を受け止めていている。この状態では、第1実施形態の本装置1と同様に、載置板14(ワークW)に対する支持金型6の位置が固定(決定)される。また、支持金型6Z(下面6a)および個別加圧部材7(下面7a)は、ワークWに接触しない。したがって、これらのワークWへの接触に起因するワークWの移動や、意図されないワークWの加圧などの不具合は、生じない。このように、支持金型6Zが金型受部材11Zに押圧されることにより、金型受部材11Zは、載置板14(ワークW)に対する支持金型6Zの位置を決定する。
【0110】
次いで、熱ユニット15は、ワークWを所定の温度(例えば、300℃)まで加熱する。
【0111】
なお、本発明において、熱ユニット15がワークWの加熱を開始するタイミングは、上加圧ユニットUPZが下降する前でもよい。
【0112】
次いで、昇降装置13は、個別加圧部材7それぞれが対応するワークWに当接するまで、上加圧ユニットUPZを下降させる。このとき、上金型3Zは、加圧パッド18を下方向に向けて加圧しながら、枠部材17の内部空間に進入する。また、支持部材50および枠部材17は、上金型3Zの下降に応じて、上金型3Zに対して上方向に相対移動する。その結果、柔軟体18aは変形しながら支持金型6Zの凹部6g内に進入して、断熱体18dを下方向に向けて押圧する。断熱体18dは、支持金型6Zの形状に追従して変形しながら収容孔6c内に進入して、個別加圧部材7を下方向に向けて押し込む。このとき、個別加圧部材7は、付勢ユニット9の付勢力に抗して、収容孔6c内を下降(摺動)する。すなわち、個別加圧部材7は、支持金型6Zに対して下方向に相対移動する。その結果、個別加圧部材7は、対応するワークWに向けて、収容孔6cから支持金型6Zの下方向に突出して、対応するワークWの上端部(電子部品w1)に当接する。個別加圧部材7は、ワークWのうち、加圧が必要な部分(電子部品w1)のみに当接している。
【0113】
次いで、昇降装置13は、個別加圧部材7それぞれが対応するワークWに対して規定圧力を加える(ワークWが加圧される)まで、上加圧ユニットUPZを下降させる。
【0114】
図17は、動作中の本装置1Zのさらに別の一状態を示す模式断面図である。
図18は、図17の状態の本装置1Zの部分拡大模式断面図である。
これらの図は、ワークWが加圧されている状態を示している。図18は、図17の本装置1ZのF部を示している。
【0115】
この状態では、加圧パッド18(柔軟体18aおよび断熱体18d)は、断熱体18dの収容孔6cへの進入量(すなわち、個別加圧部材7の相対移動量)に応じて、支持金型6Zの形状に追従して変形している。その結果、上金型3Zからの規定圧力は、個別加圧部材7に均等に伝達される。すなわち、上金型3Zは、個別加圧部材7を下方向に向けて加圧している。また、柔軟体18aが個別加圧部材7の相対移動量の差異を吸収するため、上金型3Zからの規定圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。
【0116】
前述のとおり、加圧パッド18は支持金型6Zの上方向に配置されていて、断熱体18dは凹部6gに収容されている。そのため、支持金型6Zは、柔軟体18aおよび断熱体18dを介して、上金型3Zから規定圧力で加圧される。第2実施形態では、金型受部材11Zは、支持金型6Zの下面6aと、載置板14の載置面14aと、の間に、格子状に配置されていて、規定圧力で加圧される支持金型6Zを支持している。そのため、支持金型6Zは、規定圧力が加えられても変形しない。また、昇降装置13に要求される出力(加圧力)は、第1実施形態の昇降装置13に要求される出力よりも大きい。そのため、第2実施形態の昇降装置13は、第1実施形態の昇降装置13よりも大きくなる。
【0117】
個別加圧部材7は、対応するワークWの電子部品w1のみに当接していて、電子部品w1のみを下方向に向けて加圧している。そのため、本装置1Zは、支持金型6Zに対して相対移動する個別加圧部材7を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位(電子部品w1)のみを、一括に加圧できる。
【0118】
次いで、昇降装置13は、ワークWに規定圧力が加えられている状態を所定時間維持する。ここで、支持金型6Zは載置板14に当接しておらず、金型受部材11Zは断熱材料製である。そのため、熱ユニット15からの熱は、ワークWを介して個別加圧部材7には間接的に伝達されるが、載置板14から支持金型6Zには直接的に伝達されない。また、支持金型6Zと柔軟体18aとの間には、高い断熱性を有する断熱体18dが配置されている。そのため、熱ユニット15からの熱が支持金型6Zに伝達されても、同熱の柔軟体18aへの伝達は、抑制される。
【0119】
次いで、昇降装置13は、上加圧ユニットUPZを上昇させる。このとき、上金型3Zは、加圧パッド18から離間して、加圧パッド18の上方向に移動する。その結果、個別加圧部材7は、付勢ユニット9の付勢力により、断熱体18dを押し上げながら収容孔6c内を上昇して、収容孔6cに収容される。また、柔軟体18aは、加圧前の状態に戻る。前述のとおり、断熱体18dは、凹部6gに収容されている。そのため、個別加圧部材7は、断熱体18dに押し付けられて、収容孔6cから上方向に突出しない。
【0120】
●まとめ(2)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1Zは、上金型3Z、支持金型6Z、複数の個別加圧部材7、載置板14、および加圧パッド18を有してなる。支持金型6Zは、個別加圧部材7それぞれを支持する。個別加圧部材7は、載置板14の上方向に配置されていて、対応するワークWを上方向から個別に加圧可能である。加圧パッド18は、上金型3Zと対応する個別加圧部材7との間に配置されている。個別加圧部材7は、支持金型6Zに対して上下方向に相対移動可能である。加圧パッド18は、対応する個別加圧部材7の支持金型6Zに対する相対移動量に応じて変形可能である。ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材7は、対応するワークWに向けて、支持金型6Zから下方向に突出する。この構成によれば、ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材7のみがワークWに当接していて、上金型3Zからの圧力は個別加圧部材7を介してワークWの上端部(電子部品w1)のみに加えられる。そのため、銅板w4,w5から突出しているセラミック板w3の外縁部は、加圧されておらず、同外縁部の割れや欠けなどの不具合は生じない。このように、本装置1Zは、支持金型6Zに対して相対移動する個別加圧部材7を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位(電子部品w1)のみを、一括に加圧できる。
【0121】
また、以上説明された実施の形態によれば、本装置1Zは、加圧パッド18を保持する枠部材17を備える。加圧パッド18は、下方向視において上金型3Zの全面を覆うように、上金型3Zの下方向に配置されている。水平方向において、枠部材17は、加圧パッド18の全周を覆うように配置されている。支持金型6Zは、枠部材17および加圧パッド18の下方向に配置されていて、枠部材17に支持されている。枠部材17は、上金型3Zに対して上下方向に相対移動可能である。この構成によれば、上金型3Zは、下面3aの全面で加圧パッド18を下方向に向けて加圧する。加圧パッド18は、加圧パッド18の下方向に配置されている個別加圧部材7の相対移動量に応じて変形する。そのため、上金型3Zからの規定圧力は、個別加圧部材7に均等に伝達される。また、柔軟体18aおよび断熱体18dが個別加圧部材7の相対移動量の差異を吸収して、上金型3Zからの圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。
【0122】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、支持金型6Zは、支持金型6Zを上下方向に貫通している複数の収容孔6cを備える。収容孔6cは、対応する個別加圧部材7を収容する。この構成によれば、加圧パッド18は、収容孔6cの形状に追従して変形する。そのため、上金型3Zからの規定圧力は、個別加圧部材7に均等に確実に伝達される。
【0123】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1Zは、複数の付勢部材から構成される複数の付勢ユニット9を備える。付勢ユニット9それぞれは、支持金型6Zの内フランジ部6eと、対応する個別加圧部材7の外フランジ部7dと、の間に配置されていて、対応する個別加圧部材7を上方向に向けて付勢している。ワークWが加圧されていないとき、個別加圧部材7それぞれは、付勢ユニット9の付勢力により上方向に向けて付勢されていて、支持金型6Zから下方向には突出していない。この構成によれば、第1実施形態の本装置1と同様に、個別加圧部材7のワークWへの接触に基づくワークWの移動などの不具合は、生じない。その結果、本装置1Zは、安定して、複数のワークWを一括に加圧できる。
【0124】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1Zは、金型受部材11Zを備える。金型受部材11Zは、載置板14の載置面14aに取り付けられていて、下面6aに対向するように、上下方向において、下面6aと載置面14aとの間に配置されている。上下方向において、金型受部材11Zの長さL11Zは、ワークWそれぞれの長さLwよりも大きい。この構成によれば、第1実施形態の本装置1と同様に、下面6aのワークWへの接触に起因するワークWの移動や、意図されないワークWの加圧などの不具合は、生じない。また、上下方向において、載置板14に対する支持金型6Zの位置は、金型受部材11Zの長さL11Z分の位置に維持される。さらに、金型受部材11Zが載置面14aに当接することにより、載置板14(ワークW)に対する支持金型6Zの位置が固定(決定)される。さらにまた、支持金型6Zは、規定圧力が加えられても変形しない。
【0125】
なお、第2実施形態において、加圧パッド18は、断熱体18dを備えていなくてもよい。この場合、支持金型6Zは、凹部6gを備えていなくてもよい。
【0126】
また、第2実施形態において、断熱体18dは、枠部材17に保持されていてもよい。この場合、支持金型6Zは、凹部6gを備えていなくてもよい。
【0127】
さらに、第2実施形態において、金型受部材11Zの構成は、支持金型6Zが変形しなければよく、第2実施形態に記載された構成に限定されない。すなわち、例えば、金型受部材11Zは、複数の分割可能な部材で構成されていてもよい。また、例えば、金型受部材11Zは、X方向またはY方向に沿う複数の部材で構成されていてもよい。さらに、金型受部材11Zは、支持金型6Zの下面6aに取り付けられていてもよい。
【0128】
さらにまた、本発明において、金型受部材11Zは、支持金型6Zおよび/または載置板14と一体に形成されていてもよい。
【0129】
●変形例●
次に、本装置1,1Zの変形例が、第1実施形態および第2実施形態と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例の説明において、説明の便宜上、第1実施形態および第2実施形態と同じ部材、および、共通している機能を有する部材には、特に明示されている場合を除き、第1実施形態および第2実施形態と同じ符号が付されていて、その説明は省略されている。以下の変形例では、個別加圧部材の構成が、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。以下の説明において、図1図2、および図11は、適宜参照される。
【0130】
図19は、変形例に係る本装置が備える個別加圧部材の模式断面図である。
【0131】
個別加圧部材7Xは、下層部7Xa、中層部7Xb、上層部7Xc、複数(例えば、4個)のボルト7Xd,7Xe(2個は不図示。以下同じ。)、および弾性体7Xfを備える。下層部7Xaおよび上層部7Xcは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。中層部7Xbは、例えば、公知の硬質断熱材料(例えば、数10MPa~100MPa以上の圧縮強度を有する断熱材料)製である。すなわち、中層部7Xbを構成する材料の熱伝導率は、下層部7Xaおよび上層部7Xcそれぞれを構成する材料の熱伝導率よりも小さい。中層部7Xbは下層部7Xaの上に載置されていて、上層部7Xcは中層部7Xbの上に載置されている。下層部7Xaは、ボルト7Xd,7Xeにより上層部7Xcに締結されている。その結果、中層部7Xbは、下層部7Xaおよび上層部7Xcに挟持されている。XY方向において、上層部7Xcは、全周に亘り、下層部7Xaおよび中層部7Xbよりも外方向に向けて突出していて、外フランジ部7dとして機能している。弾性体7Xfは、例えば、第2実施形態の断熱体18dと同じ材料製である。弾性体7Xfは、下層部7Xaの下面7Xgに、例えば、接着剤で固定されている。
【0132】
この構成では、ワークWが加圧されるとき、弾性体7Xfは、ワークW(電子部品w1)の形状に追従して変形して、電子部品w1を均等に加圧する。その結果、電子部品w1と銅板w4との境界部において、接合剤w6の形状は、良好なフィレット形状に仕上げられる。また、この構成では、ワークWを介して個別加圧部材7Xに伝達される熱ユニット15からの熱は、中間層X7bにより遮断される。その結果、同熱の柔軟体8a,18aへの伝達は、抑制される。
【0133】
なお、変形例において、個別加圧部材7Xは、弾性体7Xfを備えていなくてもよい。
【0134】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、上金型3,3Zの形状は、XY方向に沿う矩形状でなくてもよい。すなわち、例えば、上金型3,3Zの形状は、円柱状でもよい。この場合、支持金型6,6Zの形状は、円柱状である。支持部材50および枠部材17の形状は、円環状である。加圧パッド18の形状は、下方向視において円形状であり、板状である。
【0135】
また、本発明において、サイドユニット4は、第1サイド部材40を備えていなくてもよい。この場合、第2シール部材43は、第1サイド部材40と支持部材50との間に配置されていてもよい。
【0136】
さらに、本発明において、個別加圧部材7の数は、複数であればよく、9個に限定されない。この場合、個別上金型31、収容孔6c、個別加圧パッド8、付勢ユニット9、および個別保護板10の数および配置は、個別加圧部材7の数および配置に応じて適宜設定される。
【0137】
さらにまた、本発明において、個別加圧部材7の形状は、下方向視においてXY方向に沿う矩形状に限定されない。すなわち、例えば、個別加圧部材7の形状は、下方向視において、円形状でもよい。
【0138】
さらにまた、本発明において、個別加圧部材7の構成は、各実施形態の構成に限定されない。すなわち、例えば、個別加圧部材7Xのように、個別加圧部材7は、複数の分割可能な部材により構成されていてもよい。
【0139】
さらにまた、本発明において、内フランジ部6eおよび外フランジ部7dそれぞれの形状は、これらが上下方向において対向するように配置されていればよく、矩形枠状に限定されない。すなわち、例えば、内フランジ部6eおよび外フランジ部7dは、X方向またはY方向のみに配置されていてもよい。
【0140】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0141】
本発明の第1の実施態様は、複数のワーク(例えば、ワークW)を加圧する加圧装置(例えば、加圧装置1,1Z)であって、前記ワークが載置可能な載置板(例えば、載置板14)と、前記載置板の上方向に配置されて、前記ワークそれぞれを上方向から個別に加圧可能な複数の個別加圧部材(例えば、個別加圧部材7,7X)と、前記個別加圧部材を支持する支持金型(例えば、支持金型6,6Z)と、前記個別加圧部材を下方向に向けて加圧可能な上金型(例えば、上金型3,3Z)と、前記個別加圧部材と、前記上金型と、の間に配置される加圧パッド(例えば、加圧パッドPd,18)と、を有してなり、前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出する、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、複数のワークそれぞれの加圧が必要な部位のみを、一括に加圧できる。
【0142】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記支持金型を支持する支持部材(例えば、支持部材50)、を有してなり、前記支持部材は、下方向視において前記上金型(例えば、上金型3)の側方に配置されて、前記上金型に対して上下方向に相対移動可能である、加圧装置(例えば、加圧装置1)である。
この構成によれば、上下方向における支持金型の長さ(厚さ)は縮小できて、支持金型の重量は低減できる。
【0143】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記支持金型は、前記支持金型を上下方向に貫通する複数の貫通孔(例えば、収容孔6c)、を備えて、前記上金型は、前記個別加圧部材それぞれに対応する複数の個別上金型(例えば、個別上金型31)、を備えて、前記加圧パッド(例えば、加圧パッドPd)は、前記個別加圧部材それぞれに対応する複数の個別加圧パッド(例えば、個別加圧パッド8)、を備えて、前記貫通孔は、対応する前記個別加圧部材と、対応する前記個別加圧パッドと、を収容して、前記個別上金型は、対応する前記個別加圧部材が収容される前記貫通孔内を、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記個別加圧パッドは、対応する前記個別加圧部材の前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能である、加圧装置である。
この構成によれば、個別上金型からの規定圧力は、全てのワークに対して、均等に伝達される。
【0144】
本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記支持金型と対応する前記個別加圧部材との間に配置されて、対応する前記個別加圧部材を上方向に向けて付勢する複数の付勢部材(例えば、付勢ユニット9)、を有してなり、前記ワークが加圧されていないとき、前記個別上金型は、対応する前記貫通孔よりも上方向に位置して、前記個別加圧部材は、対応する前記付勢部材により上方向へ向けて付勢されて、前記支持金型から突出しない、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、安定して、複数のワークを一括に加圧できる。
【0145】
本発明の第5の実施態様は、第1の実施態様において、前記加圧パッド(例えば、加圧パッド18)を保持する枠部材(例えば、枠部材17)、を有してなり、下方向視において、前記加圧パッドは、前記上金型(例えば、上金型3Z)の全面を覆い、水平方向において、前記枠部材は、前記加圧パッドの全周を囲み、前記支持金型は、前記加圧パッドと前記枠部材との下方向に配置されて、前記枠部材に支持されて、前記枠部材は、前記上金型に対して上下方向に相対移動可能である、加圧装置(例えば、加圧装置1Z)である。
この構成によれば、上金型からの圧力は、全てのワークに対して、均等に伝達される。
【0146】
本発明の第6の実施態様は、第5の実施態様において、前記支持金型(例えば、支持金型6Z)は、前記支持金型を上下方向に貫通する複数の貫通孔、を備えて、前記貫通孔は、対応する前記個別加圧部材を収容する、加圧装置である。
この構成によれば、上金型からの規定圧力は、個別加圧部材に均等に確実に伝達される。
【0147】
本発明の第7の実施態様は、第6の実施態様において、前記支持金型と対応する前記個別加圧部材との間に配置されて、対応する前記個別加圧部材を上方向に向けて付勢する複数の付勢部材、を有してなり、前記ワークが加圧されていないとき、前記個別加圧部材それぞれは、前記付勢部材により上方向へ向けて付勢されて、前記支持金型から突出しない、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、安定して、複数のワークを一括に加圧できる。
【0148】
本発明の第8の実施態様は、第2または第5の実施態様において、前記支持金型は、下方向に面する下面(例えば、下面6a)、を備えて、前記載置板は、前記ワークそれぞれが載置される載置面(例えば、載置面14a)、備えて、前記下面または前記載置面に対向するように、上下方向において、前記下面と前記載置面との間に配置される金型受部材(例えば、金型受部材11,11Z)、を有してなり、上下方向において、前記金型受部材の長さは、前記ワークそれぞれの長さよりも大きい、加圧装置である。
この構成によれば、下面のワークへの接触に起因するワークの移動や、意図されないワークの加圧などの不具合は、生じない。
【0149】
本発明の第9の実施態様は、第1の実施態様において、前記載置台を加熱可能なヒータユニット(例えば、熱ユニット15)、を有してなり、前記個別加圧部材それぞれは、上層部(例えば、上層部7Xc)と、前記上層部よりも下方向に配置される下層部(例えば、下層部7Xa)と、前記上層部と前記下層部との間に配置される中層部(例えば、中層部7Xb)と、を備えて、前記中層部を構成する材料の熱伝導率は、前記上層部と前記下層部それぞれを構成する材料の熱伝導率よりも小さい、加圧装置である。
この構成によれば、熱ユニットからの熱の柔軟体への伝達は、抑制される。
【0150】
本発明の第10の実施態様は、第1または9の実施態様において、前記個別加圧部材それぞれは、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接して、前記ワークの形状に追従して変形する弾性体(例えば、弾性体7Xf)、を備える、加圧装置である。
この構成によれば、電子部品と銅板との境界部において、接着剤の形状は、良好なフィレット形状に仕上げられる。
【符号の説明】
【0151】
1 加圧装置
3 上金型
31 個別上金型
50 支持部材
6 支持金型
6a 下面
6c 収容孔(貫通孔)
7 個別加圧部材
8 個別加圧パッド
9 付勢ユニット(付勢部材)
11 金型受部材
15 熱ユニット
Pd 加圧パッド
1Z 加圧装置
3Z 上金型
6Z 支持金型
11Z 金型受部材
17 枠部材
18 加圧パッド
7X 個別加圧部材
7Xa 下層部
7Xb 中層部
7Xc 上層部
7Xf 弾性体
【要約】
【課題】複数のワークに対して、加圧が必要な部位のみを一括して加圧可能な加圧装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧装置1,1Zは、複数のワークWを加圧する加圧装置である。加圧装置は、ワークが載置可能な載置板14と、載置板の上方向に配置されて、ワークそれぞれを上方向から個別に加圧可能な複数の個別加圧部材7と、個別加圧部材を支持する支持金型6と、個別加圧部材を下方向に向けて加圧可能な上金型3と、個別加圧部材と、上金型と、の間に配置される加圧パッドPd,18と、を有してなる。個別加圧部材は、支持金型に対して上下方向に相対移動可能である。加圧パッドは、個別加圧部材それぞれの支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能である。ワークが加圧されるとき、個別加圧部材は、対応するワークに向けて支持金型から突出する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19