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特許7538974椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240815BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B17/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024040836
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-04-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1 OPERAカタログ 令和5年4月1日 2 OPERA手技書 令和5年4月1日 3 OPERA添付文書 令和5年4月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522339352
【氏名又は名称】シンフォニーメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】植田 朋和
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0155204(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042649(US,A1)
【文献】特開2022-018846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0287752(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第115486913(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された椎弓の一方と他方のそれぞれに固定されて前記分割された椎弓の間隔を維持するための椎弓形成プレートであって、
長手方向を有する板状の本体部と、
前記本体部から突出するスペーサ突起とを備え、
前記本体部は、
長手方向の一方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の一方に所定の固定具によって固定される略平板状の第1固定部と、
長手方向の他方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の他方に所定の固定具によって固定される略平板状の第2固定部と、
前記第1固定部および第2固定部を接続する略板状の接続板部とを有しており、
前記本体部は、
前記接続板部の途中に位置する板厚変更位置よりも長手方向の一方端部側の部分の厚さが、前記板厚変更位置よりも長手方向の他方端部側の部分の厚さよりも小さくなっており、
前記接続板部における前記板厚変更位置よりも長手方向の他方端部側の厚みは、略一定であることを特徴とする
椎弓形成プレート。
【請求項2】
前記スペーサ突起は、長手方向の一方端部側に配置された一方のスペーサ突起と、長手方向の他方端部側に配置された他方のスペーサ突起とを有しており、
前記一方のスペーサ突起の先端部は、先細り形状となっていることを特徴とする
請求項1記載の椎弓形成プレート。
【請求項3】
前記板厚変更位置は、前記接続板部の長手方向の中央よりも一方端部側に位置し、
前記板厚変更位置から一方端部側の部分の厚さは、前記板厚変更位置から他方端部側の部分の厚さの2/3以下、かつ、当該板厚変更位置から他方端部側の部分の厚さの2/5以上の範囲に設定されていることを特徴とする
請求項2記載の椎弓形成プレート。
【請求項4】
前記本体部は、前記第1固定部および前記接続板部の間に設けられた湾曲板部をさらに有しており、
前記湾曲板部の厚さが、前記第1固定部の厚さよりも小さくなっていることを特徴とする
請求項3記載の椎弓形成プレート。
【請求項5】
前記板厚変更位置は、前記スペーサ突起よりも一方端部側に位置することを特徴とする
請求項4記載の椎弓形成プレート。
【請求項6】
分割された椎弓の一方と他方のそれぞれに固定されて前記分割された椎弓の間隔を維持するための椎弓形成プレートと、
前記椎弓形成プレートを前記椎弓の一方と他方にそれぞれ固定する2以上の固定具とを備え、
前記椎弓形成プレートは、
長手方向を有する板状の本体部と、
前記本体部から突出するスペーサ突起とを備え、
前記本体部は、
長手方向の一方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の一方に所定の固定具によって固定される略平板状の第1固定部と、
長手方向の他方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の他方に所定の固定具によって固定される略平板状の第2固定部と、
前記第1固定部および第2固定部を接続する略板状の接続板部とを有しており、
前記本体部は、
前記接続板部の途中に位置する板厚変更位置よりも長手方向の一方端部側の部分の厚さが、前記板厚変更位置よりも長手方向の他方端部側の部分の厚さよりも小さくなっており、
前記接続板部における前記板厚変更位置よりも長手方向の他方端部側の厚みは、略一定であることを特徴とする
椎弓形成インプラントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、椎弓の間隔を維持するための椎弓形成術に用いる、椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎疾患の治療の1つとして椎弓形成術がある。この椎弓形成術で分割された椎弓の間に介在して人工骨としての役割を担う椎弓形成術用のインプラントデバイスは、様々なものが提案されている。
【0003】
たとえば、椎弓形成用のインプラントデバイスの一種として、分割された脊椎椎弓板の間隙に等しい長さを有するスペーサ部分と、スペーサ部分と一体として形成され、分割された脊椎椎弓板の一方の分離面に突き当てることのできる第1凹面を備えた第1端部と、スペーサ部分と一体として形成され、分割された前記脊椎椎弓板の他方の分離面に突き当てることのできる第2凹面を備えた第2端部とを備えるプレートが提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、椎弓形成術を受ける患者の分割された椎弓の形状(骨格形状)には個人差があり、椎弓形成術施行時に安定してインプラントデバイスを固定することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-142657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、椎弓形成術において、患者の骨格形状に合わせて椎弓の安定した保持を可能とする椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、分割された椎弓の一方と他方のそれぞれに固定されて前記分割された椎弓の間隔を維持するための椎弓形成プレートであって、長手方向を有する板状の本体部と、前記本体部から突出するスペーサ突起とを備え、前記本体部は、長手方向の一方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の一方に所定の固定具によって固定される略平板状の第1固定部と、長手方向の他方端部側に設けられ、前記分割された椎弓の他方に所定の固定具によって固定される略平板状の第2固定部と、前記第1固定部および第2固定部を接続する略板状の接続板部とを有しており、前記本体部は、前記接続板部の途中に位置する板厚変更位置よりも長手方向の一方端部側の部分の厚さが、前記板厚変更位置よりも長手方向の他方端部側の部分の厚さよりも小さくなっていることを特徴とする、椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、椎弓形成術において、患者の骨格形状に合わせて椎弓の安定した保持を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】椎弓形成インプラントデバイスの側面図。
図2】椎弓形成プレートの構成を示す概略斜視図。
図3】椎弓形成インプラントデバイスの固定状態を示す説明図。
図4】椎弓形成プレートの本体部の構成を示す拡大側面図。
図5】椎弓形成プレートの使用状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0011】
図1は、椎弓形成インプラントデバイス100(椎弓形成プレート1および固定具50を含有した椎弓形成インプラントデバイス)の側面図である。図2は、椎弓形成プレート1の構成を示す概略斜視図である。図3は、椎弓形成インプラントデバイス100の固定状態を示す説明図である。
【0012】
椎弓形成インプラントデバイス100は、椎弓形成術に用いられるものである。図1図3に示すように、椎弓形成インプラントデバイス100は、外科手術等によって分割された人の椎弓のそれぞれに固定される椎弓形成プレート1と、この椎弓形成プレート1を各椎弓のそれぞれに固定するための固定具50とを有している。
【0013】
椎弓形成プレート1および固定具50は、いずれもチタン合金Ti-6Al-4V ELIで形成されている。なお、椎弓形成プレート1および固定具50の素材は、チタン合金Ti-6Al-4V ELIに限らず、人体に適合できる適宜の素材とすることができる。
【0014】
図1および図3に示すように、固定具50は、軸部51と、軸部51の基端側に設けられた頭部52を有している。本実施形態では、固定具50は、円柱や円錐の面に沿って螺旋状の溝を設けた所謂ねじであり、固定具50の頭部52には十字や六角形の穴が形成されており、軸部51の外周面にはねじ山が形成されている。
【0015】
軸部51の軸方向の長さは、4.0mmから10.0mmの範囲内とすることができ、5.00mmから7.00mmの範囲内とすることが好ましい。また、軸部51の外径は、2.6mmから3.0mmの範囲内とすることができる。なお、軸部51の軸方向の長さおよび軸部51の外径については、患者の骨格形状に合わせて適宜選択することができる。
【0016】
図1図3に示すように、椎弓形成プレート1は、分割された人の椎弓の一方と他方のそれぞれに、固定具50によって固定されることによって、分割された2つの椎弓の間に介在し、各椎弓の間隔を維持するための部材である。すなわち、椎弓形成プレート1は、人工骨としての役割を担う。
【0017】
椎弓形成プレート1は、長手方向を有する板状の本体部10と、本体部10から突出するスペーサ突起30とを有している。また、本体部10の主面のうちの一方の面は、椎弓に固定する際、椎弓に対向する(当接する)側の面(以下、「裏面」ということがある。)となり、裏面に対向する面が椎弓の外側に向く面(以下、「表面」ということがある。)となる。さらに、以下、本体部10の長手方向の寸法のことを単に「長さ」といい、本体部10の短手方向の寸法のことを単に「幅」ということがある。
【0018】
本体部10は、長手方向の一方端部側に設けられ、分割された椎弓の一方に固定される略平板状の第1固定部11と、長手方向の他方端部側に設けられ、分割された椎弓の他方に固定される略平板状の第2固定部12と、第1固定部11および第2固定部12を接続する略板状の接続板部13と、第1固定部11および接続板部13の間に設けられた第1湾曲板部14と、第2固定部12および接続板部13の間に設けられた第2湾曲板部15とを有している。すなわち、図1に示すように、一方端側(図1の左側)の側面視直線部分が第1固定部11であり、この第1固定部11の他方端側(図1の右側)に続く側面視湾曲部分が第1湾曲板部14であり、この第1湾曲板部14の他方端側(図1の右側)に続く側面視直線部分(少なくとも上面側が側面視直線の部分)が接続板部13であり、この接続板部13の他方端側(図1の右側)に続く側面視湾曲部分が第2湾曲板部15であり、この第2湾曲板部15の他方端側(図1の右側)に続く側面視直線部分が第2固定部12である。また、接続板部13は、大部分が接続厚板部13cであり、一方端側(図1の左側)に接続薄板部13bが設けられ、その間に傾斜面13aが設けられている。
【0019】
第1湾曲板部14および第2湾曲板部15のそれぞれは、本体部10の厚み方向に湾曲するものであり、互いに反対方向に湾曲している。具体的には、第1湾曲板部14は、接続板部13から第1固定部11側に向かって本体部10の裏面側に湾曲している(表面側から見て山折りされている)のに対し、第2湾曲板部15は、接続板部13から第2固定部12側に向かって本体部10の表面側に湾曲している(表面側から見て谷折りされている)。
【0020】
図2に示すように、第1固定部11および第2固定部12のそれぞれには、少なくとも1つの固定用孔20が形成されている。本実施形態では、第1固定部11および第2固定部12のそれぞれに2つの固定用孔20が形成されている。固定用孔20は、固定具50の軸部51を通すための貫通孔である。
【0021】
各固定用孔20は、第1固定部11および第2固定部12のそれぞれに形成された円形の開口端20aによって形成されている。また、各固定用孔20は、皿穴(皿ザグリ)となっており、開口端20aの表面側が円錐形状に面取りされている。すなわち、開口端20aの表面側の部分は、表面から裏面へ向けて縮径する逆円錐台形状となっている。また、各固定用孔20が皿穴であることにより、固定具50を適切な位置および向きに誘導することができ、固定具50の頭部52が外側に突出しすぎないようにすることができる。
【0022】
本実施形態では、第1固定部11に形成された2つの固定用孔20は、本体部10の長手方向に並ぶように配置されている。第2固定部12に形成された2つの固定用孔20は、本体部10の短手方向(幅方向)に並ぶように配置されている。すなわち、第1固定部11側の2つの固定用孔20と、第2固定部12側の2つの固定用孔20とでは、並ぶ方向が平面視において90°異なるように配置されている。
【0023】
第1固定部11および第2固定部12の外輪郭は、固定用孔20の周りのリング状の部分が2つ連結(結合)されたような形状となっている。このため、第1固定部11および第2固定部12の外輪郭は、必要以上に突出する部分が無くコンパクトに構成されている。
【0024】
図3に示すように、第1固定部11および第2固定部12のそれぞれは、固定具50によって各椎弓に固定される。ここで、椎弓形成インプラントデバイス100の使用者(施術者)は、患者の椎弓の形状から2つの固定用孔20のうち適切な1つ以上の固定用孔20を選択し、選択した固定用孔20に固定具50を貫通させて固定することができる。たとえば、2つの固定用孔20の両方に固定具50を貫通させて合計4箇所固定し、椎弓形成プレート1と各椎弓とを固定することもできる。
【0025】
図1および図3に示すように、スペーサ突起30は、本体部10の主面のうちの一方の面(本実施形態では裏面)から突出した突起である。スペーサ突起30は、分割された人の椎弓の一方と他方のそれぞれに当接して、人口骨としての椎弓形成プレート1と各椎弓との位置関係を維持するために設けられている。
【0026】
本実施形態のスペーサ突起30は、所定距離を隔てて配置される2つのスペーサ突起30a,30bを有している。スペーサ突起30a,30bのそれぞれは、接続板部13の裏面に設けられている。すなわち、スペーサ突起30a,30bは、第1湾曲板部14および第2湾曲板部15の間に設けられている。
【0027】
一方のスペーサ突起30aは、接続板部13の接続厚板部13cの長手方向の一方端部側に配置されており、他方のスペーサ突起30bは、接続板部13の長手方向の他方端側(第2湾曲板部15付近)に配置されている。
【0028】
スペーサ突起30aは、接続板部13の裏面に対し略垂直に延びるように形成されている。また、スペーサ突起30aの先端部は、先細り形状となっている。スペーサ突起30aの先細り形状となる部分は、スペーサ突起30aの先端側からみて突出高さの2分の1から3分の1程度の部分とすることができ、先端は曲面状にして最も薄い部分が最も厚い部分の3分の1から2分の1程度となるように構成されている。また、スペーサ突起30aは、厚み及び幅よりも、突出高さの方が大きくなるように形成されている。具体的には、スペーサ突起30aの長さは、厚みおよび幅の1.5倍以上、または2倍以上に形成されている。
【0029】
スペーサ突起30bは、第2固定部12に対し略垂直に延びるように形成されている。また、スペーサ突起30bの他方端側の側面は、スペーサ突起30bの基端部において第2固定部12の裏面に連続するように湾曲した面となっている。
【0030】
図3に示すように、椎弓形成プレート1と各椎弓とが固定された状態では、スペーサ突起30a,30bが各椎弓に当接することによって、椎弓形成プレート1と各椎弓との位置関係を維持することができる。すなわち、各椎弓の相対位置を維持することができる。このように、各椎弓の相対位置がスペーサ突起30a,30bによって固定されるので、各椎弓の位置を安定させることができる。
【0031】
図4は、椎弓形成プレート1の本体部10の構成を示す拡大図である。図5は、椎弓形成プレート1の使用状態(椎弓形成術の施術時における使用態様)を示す説明図である。
【0032】
図1および図4に示すように、本体部10は、接続板部13の途中に位置する板厚変更位置P1よりも長手方向の一方端部側の部分(薄板部)10aの厚さT1が、板厚変更位置P1よりも長手方向の他方端部側の部分(厚板部)10bの厚さT2よりも小さくなっている。
【0033】
このような構成にすることで、図5に示すように、椎弓形成プレート1が椎&#12088;にフィットするように、椎弓形成プレート1の他方端部側を固定具50で固定した状態で、椎弓形成プレート1の一方端部側をコッヘル鉗子等で変形(ベンディング)させることができる。したがって、椎弓形成プレート1(第1固定部11)の角度を患者の骨格形状に合わせて適切な角度に調整することができる。このように、本発明によれば、椎弓形成術を受ける患者の骨格形状の個人差を吸収し、椎弓形成術施行時に安定してインプラントデバイスを固定することができる。すなわち、本発明の椎弓形成プレート1によれば、患者の骨格形状に合わせて椎弓の安定した保持を実現することができる。
【0034】
図4に戻って、板厚変更位置P1は、接続板部13の長手方向の中央よりも一方端部側に位置する。したがって、少なくとも第2固定部12および第2湾曲板部15は厚板部10bとなる。また、接続板部13は、長手方向の半分以上が厚板部10bとなり、長手方向の半分未満が薄板部10aとなる。このように、椎弓形成プレート1の長手方向の半分以上が厚板部10bとなるため、第2固定部12、第2湾曲板部15および接続板部13(本体部10における板厚変更位置P1よりも他方端側)の強度、剛性、耐久性等を確保することができる。
【0035】
本実施形態では、板厚変更位置P1(すなわち接続板部13における接続薄板部13bの長さ)は、接続板部13の長手方向の全体長さを1としたときに、接続板部13の一方端から1/3の長さの範囲内に位置することができ、接続板部13の一方端から1/4の長さの範囲内に位置することが好ましい。この場合、接続板部13において厚板部10bが占める割合が半分よりも大きくなる(2/3または3/4)ため、接続板部13の強度、剛性、耐久性等をより高い水準で確保することができる。
【0036】
また、本実施形態では、板厚変更位置P1は、スペーサ突起30よりも一方端部側に位置している。すなわち、スペーサ突起30は、本体部10における厚板部10bに配置されている。このため、スペーサ突起30の基端部の強度、剛性、耐久性等を確保することができ、各椎弓に椎弓形成プレート1を確実に固定することができる。
【0037】
本体部10における板厚変更位置P1よりも長手方向の一方端部側の部分(薄板部)10aの厚さT1の上限は、板厚変更位置P1よりも長手方向の他方端部側の部分(厚板部)10bの厚さT2に対し、2/3または2/3以下とすることができ、3/5または3/5以下とすることが好ましく、1/2または1/2以下とすることもできる。また、薄板部10aの厚さT1の下限は、厚板部10bの厚さT2に対し、2/5または2/5以上とすることができ、1/2または1/2以上とすることもできる。このようにすれば、椎弓形成プレート1の一方端部側(薄肉部)を変形させやすくするとともに、薄肉部においても各椎弓を固定後に必要な強度、剛性、耐久性等を確保することができる。
【0038】
また、本体部10における板厚変更位置P1よりも長手方向の一方端部側の部分(厚板部)10bのうち、第1湾曲板部14の厚さT1bは、第1固定部の厚さT1aよりも小さい。たとえば、第1湾曲板部14および接続板部13の接続薄板部13bの厚さT1bは、第1固定部の厚さT1aを基準に85%~99%の範囲内である。このようにすれば、第1湾曲板部14と接続板部13の接続薄板部13bの範囲を中心に椎弓形成プレート1の一方端部側(薄肉部)をさらに変形させやすくすることができ、椎弓形成術の施術時の作業性の向上を図ることができる。また、椎弓形成プレート1の変形時の自由度(柔軟性)が増し、患者の骨格形状の個人差を吸収しやすくなる。特に、椎弓形成術を受ける患者の骨格形状に合わせて椎弓形成プレート1を変形する際に、変形する部分が接続板部13の接続薄板部13bと第1湾曲板部14の範囲内とすることができるため、施術後に長い部分となる接続板部13と第2固定部12が変形せずに安定して固定され、かつ、第1固定部11は変形せずに第1固定部11付近で自由度を持って変形できる。このため、第2固定部12を固定具50で固定する第1工程をした後、患者の骨格形状や大きさにかかわらず、第2工程となる第1固定部11の固定具50での固定を容易に安定して実現することができる。
【0039】
さらに、接続板部13の裏面には、板厚変更位置P1から一方端部側に向かうにつれて表面側に傾斜する傾斜面13aが形成されている。この傾斜面13aによって、板厚変更位置P1から一方端部側に向かうにつれて接続板部13(本体部10)の厚さが徐々に減少する。このようにすれば、椎弓形成プレート1(第1固定部11)の角度を変化させた場合に、一部に応力が集中することを防止し、椎弓形成プレート1の強度、剛性、耐久性等の低下を防止することができる。
【0040】
また、傾斜面13aの一方端と、第1湾曲板部14と接続板部13との接続位置とは、離間している。傾斜面13aの一方端と、第1湾曲板部14と接続板部13との接続位置との離間距離L(すなわち接続板部13における接続薄板部13bの長手方向長さ)は、少なくとも第1湾曲板部14の厚さT1bまたは第1固定部の厚さT1a以上の距離(長さ)である。
【0041】
この発明の椎弓形成プレートは上記実施形態の椎弓形成プレート1に対応し、以下同様に、本体部は本体部10に対応し、スペーサ突起はスペーサ突起30に対応し、第1固定部は第1固定部11に対応し、第2固定部は第2固定部12に対応し、接続板部は接続板部13に対応し、板厚変更位置は、板厚変更位置P1に対応し、湾曲板部は、第1湾曲板部14に対応し、固定具は固定具50に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、分割された椎弓の一方と他方のそれぞれに固定されて前記分割された椎弓の間隔を維持するための椎弓形成プレートおよび椎弓形成インプラントデバイスの産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100…インプラントデバイス
1…椎弓形成プレート
11…第1固定部
12…第2固定部
13…接続板部
14…第1湾曲板部
15…第2湾曲板部
20…固定用孔
20a…開口端
50…固定具
【要約】
【課題】椎弓形成術において、患者の骨格形状に合わせて椎弓の安定した保持を可能とする。
【解決手段】分割された椎弓の間隔を維持するための椎弓形成プレート1であって、長手方向を有する板状の本体部と、本体部10から突出するスペーサ突起30とを備え、本体部10は、長手方向の一方端部側に設けられ、分割された椎弓の一方に所定の固定具50によって固定される略平板状の第1固定部11と、長手方向の他方端部側に設けられ、分割された椎弓の他方に所定の固定具50によって固定される略平板状の第2固定部12と、第1固定部11および第2固定部12を接続する略板状の接続板部13とを有しており、本体部10は、接続板部13の途中に位置する板厚変更位置P1よりも長手方向の一方端部側の部分の厚さが、板厚変更位置P2よりも長手方向の他方端部側の部分の厚さよりも小さい構成である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5