(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】光源ユニット、光源モジュール、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240816BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240816BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240816BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240816BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21S2/00 611
F21V8/00 360
F21V8/00 310
F21V5/00 510
F21S2/00 412
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021555944
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2020037842
(87)【国際公開番号】W WO2021095399
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019206387
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋平
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209370897(CN,U)
【文献】特開2015-159028(JP,A)
【文献】特開2015-156295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
F21V 5/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光素子及び第2発光素子と、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子から出射した光が入射する第1端面と、前記第1端面の反対側に位置する第2端面と、前記第1端面と前記第2端面の間に位置する側面と、を有し、前記第2端面の面積が前記第1端面の面積よりも小さいロッドレンズと、
前記第2端面の少なくとも一部を露出する開口部が設けられ、前記側面から離れて前記側面を覆う遮光体と、
を備え、
前記遮光体は、前記第1端面から前記第2端面に向かう第1方向に、前記第2端面よりも突出した先端を有し、
前記第1方向と交差する第1平面は、前記第1方向において前記先端と同じ位置に位置し、
前記第1方向と交差する第2平面は、前記第1方向において前記第2端面と同じ位置又は前記先端と前記第2端面との間に位置し、
前記第1平面における前記開口部の第1面積は、前記第2平面における前記開口部の第2面積よりも大きい光源ユニット。
【請求項2】
前記遮光体は、前記第2端面の周縁部を覆う請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記遮光体は、前記第2端面の全域を露出し、
前記開口部は、前記第2平面において最も面積が小さい請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記遮光体において前記開口部に臨む面のうち前記第1平面と前記第2平面の間に位置する領域は、前記第1方向に対して傾斜している請求項1~3のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記遮光体において前記開口部に臨む面のうち前記第1平面と前記第2平面の間に位置する前記領域と、前記第1方向と、のなす角は、45度以上90度未満である請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記遮光体において前記開口部に臨む面のうち前記第1平面と前記第2平面の間に位置する領域には、段差が設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記遮光体において前記開口部に臨む面のうち前記第1平面と前記第2平面の間に位置する領域は、湾曲している請求項1~3のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記第2端面から前記第1端面に向かう第2方向に見て、前記第1平面における前記開口部の外周は、前記第2平面における前記開口部の外周の外側に位置する請求項1~7のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記第2端面から前記第1端面に向かう第2方向に見て、前記ロッドレンズの前記第2端面の外周は、前記ロッドレンズの前記第1端面の外周の内側に位置する請求項1~8のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記第1発光素子から出射する光の色温度は、前記第2発光素子から出射する光の色温度と異なる請求項1~9のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した前記光を投光する光学部材と、
を備えた光源モジュール。
【請求項12】
前記光学部材は、
前記光源ユニットから出射した光が入射する第1面と、前記光が出射する第2面と、前記第2面の反対側に位置する第3面と、を有する透光部材と、
前記透光部材の前記第3面に設けられたミラー層と、
を有する請求項11に記載の光源モジュール。
【請求項13】
前記第1面に入射した前記光は、前記第2面において全反射し、前記第2面において全反射した前記光は、前記ミラー層によって反射され、前記第2面から出射する請求項12に記載の光源モジュール。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1つに記載の光源モジュールと、
前記光源モジュールを保持する保持部材と、
を備えた照明装置。
【請求項15】
歯科用の照明装置である請求項14に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、光源ユニット、光源モジュール、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、発光素子及びロッドレンズを備えた光源ユニットが知られている。発光素子から出射した光は、ロッドレンズの第1端面に入射する。そしてロッドレンズ内に入射した光は全反射を繰り返し、ロッドレンズの第1端面の反対側に位置する第2端面から出射する。このような光源ユニットでは、所望の照度を得るために発光素子の数を増やし、それに伴いロッドレンズを大型化した場合に、ロッドレンズから出射した光が所望の照明領域から外れる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、所望の照度を実現しつつ照明領域を精密に制御できる光源ユニット、光源モジュール、及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、第1発光素子及び第2発光素子と、前記第1発光素子及び前記第2発光素子から出射した光が入射する第1端面と、前記第1端面の反対側に位置する第2端面と、前記第1端面と前記第2端面の間に位置する側面と、を有し、前記第2端面の面積が前記第1端面の面積よりも小さいロッドレンズと、前記第2端面の少なくとも一部を露出する開口部が設けられ、前記側面から離れて前記側面を覆う遮光体と、を備える。前記遮光体は、前記第1端面から前記第2端面に向かう第1方向に、前記第2端面よりも突出した先端を有する。前記第1方向と交差する第1平面は、前記第1方向において前記先端と同じ位置に位置する。前記第1方向と交差する第2平面は、前記第1方向において前記第2端面と同じ位置又は前記先端と前記第2端面との間に位置する。前記第1平面における前記開口部の第1面積は、前記第2平面における前記開口部の第2面積よりも大きい。
【0006】
本発明の一実施形態に係る光源モジュールは、上記の光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した前記光を投光する光学部材と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る照明装置は、上記の光源モジュールと、前記光源モジュールを保持する保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、所望の照度を実現しつつ照明領域を精密に制御できる光源ユニット、光源モジュール、及び照明装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る照明装置を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る光源モジュールを示す端面図である。
【
図4A】第1の実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図であって、遮光体を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図4B】第1の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図であって、遮光体を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図であって、遮光体を取り付けた状態を示す図である。
【
図6A】第1の実施形態に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
【
図6B】第1の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図であって、遮光体を取り付けた状態を示す図である。
【
図8】X方向及びZ方向を含む端面において、第1発光素子及び第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9A】第1の実施形態に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【
図9B】第1の参考例に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【
図9C】第2の参考例に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【
図10A】第1の実施形態に係る照明装置の照射パターンを例示する図である。
【
図10B】縦軸に照度を取り、横軸にX方向における位置をとって、
図10Aの10B-10B線上の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図11A】第1の実施形態の第1の変形例に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
【
図11B】第1の実施形態の第2の変形例に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
【
図12】第2の実施形態に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
【
図13】第2の実施形態に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る照明装置を示す断面図である。
図3は、本実施形態に係る光源モジュールを示す端面図である。
【0011】
照明装置1は、
図1に示すように、複数の光源モジュール10と、複数の光源モジュール10を保持する保持部材20と、を備える。各光源モジュール10は、
図2に示すように、光源ユニット30と、光学部材40と、を備える。光源ユニット30は、第1発光素子51と、第2発光素子52と、ロッドレンズ60と、遮光体70と、を備える。
【0012】
以下、説明の便宜上、本明細書においては、XYZ直交座標系を採用する。後述する保持部材20を構成する基板81は、XY平面上に設けられている。基板81の長手方向を「X方向」とし、基板81の短手方向を「Y方向」とする。X方向及びY方向と直交する方向を「Z」方向とする。
【0013】
ロッドレンズ60は、
図3に示すように、第1発光素子51及び第2発光素子52から出射した光が入射する第1端面60aと、第1端面60aの反対側に位置する第2端面60bと、第1端面60aと第2端面60bの間に位置する側面60cと、を有する。第2端面60bの面積は第1端面60aの面積よりも小さい。
【0014】
以下、ロッドレンズ60の第1端面60aから第2端面60bに向かう方向を「第1方向Z+」とし、その逆方向を「第2方向Z-」とする。また、第2方向Z-に照明装置1の各構成要素を見ることを「上面視」という。第1方向Z+は、例えば、Z方向のうち基板81からロッドレンズ60に向かう方向と同じである。なお、「第1方向Z+」は、例えば第1端面60aの中心から第2端面60bの中心に向かう方向である。「第1端面60aの中心」とは、第1端面60aが矩形である場合には、対角線の交点である。第2端面60bの中心も同様である。「第1端面60a」は、ロッドレンズ60の表面のうち、ロッドレンズ60の側面60cの第2方向Z-における端縁、又は、側面60cをロッドレンズ60において第1発光素子51及び第2発光素子52に臨む面まで延長した面Dの第2方向Z-における端縁によって囲まれた面である。
【0015】
遮光体70は、第2端面60bの少なくとも一部を露出する開口部70aが設けられている。遮光体70は、側面60cから離れて側面60cを覆う。遮光体70は、第1端面60aから第2端面60bに向かう第1方向Z+に、第2端面60bよりも突出した先端70bを有している。「先端70b」とは、第1方向Z+において、最も第2端面60bから離れた位置に位置する点、線又は領域を意味し、第1方向Z+に厚みを持たない。
【0016】
第1方向Z+と交差する第1平面P1は、第1方向Z+において先端70bと同じ位置に位置している。第1方向Z+と交差する第2平面P2は、第1方向Z+において第2端面60bと同じ位置又は先端70bと第2端面60bとの間に位置している。第1平面P1における開口部70aの第1面積は、第2平面P2における開口部70aの第2面積よりも大きい。「開口部70a」は、遮光体70の内部のうち、第1方向Z+において第2端面60bと同じ位置から、先端70bと同じ位置までの部分を意味する。
【0017】
光学部材40は、光源ユニット30から出射した光を投光する。
保持部材20は、
図1に示すように、光源モジュール10を保持する。保持部材20は、例えば、複数の光源ユニット30が取り付けられた基板81と、複数の光学部材40が取り付けられ、基板81に取り付けられるホルダ82a、82bと、を有する。
【0018】
以下、照明装置1の各部について詳述する。なお、以下では照明装置1が例えば歯科診療で患者の口腔内を照らすために用いる歯科用の照明装置に適用される例を説明する。ただし、照明装置1の用途は上記に限定されない。
【0019】
基板81は、例えば、樹脂材料からなる母材中に、第1発光素子51及び第2発光素子52の配線が設けられた配線基板である。基板81の形状は、略中央に貫通孔81aが設けられた略矩形の板状である。ただし、基板81の形状はこれに限定されない。
【0020】
基板81の表面は、実装面81bと、実装面81bの反対側に位置する背面81cと、を含む。複数の光源ユニット30は、基板81の実装面81bに搭載されている。背面81cには、ヒートシンク90が取り付けられている。
【0021】
基板81の実装面81bには、例えば6個の光源ユニット30が搭載されている。実装面81bは、X方向を長手方向とする第1領域83aと、第1領域83aからY方向に離れ、X方向を長手方向とする第2領域83bと、を含む。第1領域83aと第2領域83bとの間には貫通孔81aが設けられている。3個の光源ユニット30は、第1領域83a上にX方向に沿って配列している。他の3個の光源ユニット30は、第2領域83b上にX方向に沿って配列している。ただし、照明装置1が備える光源ユニット30の数及び位置は上記に限定されない。
【0022】
基板81には、
図3に示すように、ロッドレンズ60に設けられた取付部61a、61bのピン61eが配置される孔81dが設けられている。また、基板81には、取付部61a、61bを基板81に固定するためのネジやリベット等の固定具63が挿通する貫通孔81eが設けられている。
【0023】
ヒートシンク90の形状は、
図1に示すように、例えば基板81の形状と略同一であり、例えば略中央に貫通孔90aが設けられた略矩形の板状である。ヒートシンク90は、例えば放熱性に優れた銅、アルミニウム、及びステンレス鋼等の金属材料からなる。ただし、ヒートシンク90の形状は上記に限定されない。また、照明装置1は、ヒートシンク90を備えなくてもよい。
【0024】
照明装置1が例えば歯科用の照明装置に適用された場合、基板81の貫通孔81a及びヒートシンク90の貫通孔90aには、例えば患者の口腔内を撮影するためのカメラ等を設けてもよい。
【0025】
図4Aは、本実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図であって、遮光体を取り付ける前の状態を示す図である。
図4Bは、本実施形態に係る光源ユニットを示す上面図であって、遮光体を取り付ける前の状態を示す図である。
図4Aに示すように、各光源ユニット30は、複数の第1発光素子51と、複数の第2発光素子52と、ロッドレンズ60と、を備える。
【0026】
第1発光素子51及び第2発光素子52は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。第1発光素子51から出射する光の色温度と第2発光素子52から出射する光の色温度は、異なることが好ましい。第1発光素子51から出射する光の色温度は、例えば2000K以上、5000K以下であり、例えば4500Kである。第2発光素子52から出射する光の色温度は、例えば4000K以上、7000K以下であり、例えば6500Kである。ただし、第1発光素子51から出射する光の色温度と第2発光素子52から出射する光の色温度は同じであってもよい。
【0027】
例えば、第1発光素子51の出力と第2発光素子52の出力は、独立して制御可能であってもよい。例えば、照明装置1においては、第1発光素子51のみを点灯させた状態と、第2発光素子52のみを点灯させた状態と、第1発光素子51及び第2発光素子52の両方を点灯させた状態と、を切り替え可能であってもよい。第1発光素子51及び第2発光素子52の両方を点灯させた状態においては、第1発光素子51の出力と第2発光素子52の出力が独立して制御可能であってもよい。これにより、照明装置1が例えば歯科用の照明装置に適用された場合、歯科医等は、白昼及び夕暮れ時等の光の状態が異なる複数の環境下における患者の歯の見え方を確認しながら、歯のホワイトニング等の処置を行うことができる。
【0028】
第1発光素子51の数と第2発光素子52の数は、
図4Aに示すように、例えば同じであり、本実施形態では、例えば第1発光素子51が3個と第2発光素子52が3個の場合を示している。以下、一つの光源ユニット30における複数の第1発光素子51及び複数の第2発光素子52を「発光素子群50」という。ただし、各光源ユニット30における第1発光素子51の数及び第2発光素子52の数は、上記に限定されない。例えば、第1発光素子51の数と第2発光素子52の数は、異なっていてもよい。また、各光源ユニット30における第1発光素子51の数及び第2発光素子52の数は同一であってもよいし、異なっていてもよい。更に、各光源ユニット30は、出射する光の色温度が相互に異なる3種類以上の発光素子を備えていてもよい。
【0029】
第1発光素子51の形状及び第2発光素子52の形状は、
図4A及び
図4Bに示すように、例えば矩形の板状である。各第1発光素子51及び各第2発光素子52は、基板81の実装面81b上に搭載されている。
【0030】
3個の第1発光素子51及び3個の第2発光素子52は、例えば、X方向に3行、Y方向に2列の行列をなすように配列されている。第1発光素子51及び第2発光素子52は分散するように配置されていることが好ましい。例えば、各第1発光素子51は、X方向及びY方向において第2発光素子52と隣り合っており、他の第1発光素子51とはX方向及びY方向において隣り合っていない。各第2発光素子52は、X方向及びY方向において第2発光素子52と隣り合っており、他の第2発光素子52とはX方向及びY方向において隣り合っていない。ただし、各発光素子51、52の形状及び位置は上記に限定されない。
【0031】
ロッドレンズ60は、透光性の材料からなる。ロッドレンズ60の形状は、例えば略錐台形であり、例えば略四角錐台形である。ロッドレンズ60は、例えば軸C1を中心軸として延びている。軸C1は、例えばZ方向に沿って延びている。ただし、軸C1はZ方向に対して傾斜していてもよい。
【0032】
ロッドレンズ60は、第1端面60aと、第2端面60bと、側面60cと、を含む。第1発光素子51及び第2発光素子52から出射した光の大部分は、第1端面60aに入射する。第1端面60aに入射した光の大部分は、側面60cにおいて全反射を繰り返し、全体として第1方向Z+に伝搬する。ロッドレンズ60内を伝搬して第2端面60bに到達した光は、第2端面60bからロッドレンズ60の外に出射する。
【0033】
ロッドレンズ60の形状が四角錐台形である場合、側面60cは、
図4Aに示すように、4つの面62a、62b、62c、62dを含む。各面62a、62b、62c、62dは、例えば第1方向Z+に向かうにつれ軸C1に近づく。各面62a、62b、62c、62dは、例えば平面である。ただし、各面62a、62b、62c、62dは、平面ではなく、例えば湾曲した面であってもよい。
【0034】
第1端面60aは、ロッドレンズ60の表面のうち、第1方向Z+において第1発光素子51及び第2発光素子52と対向し、面62a、62cの第2方向Z-における端縁と、面62b、62dをロッドレンズ60において発光素子群50に臨む面まで延長した面Dの第2方向Z-における端縁と、によって囲まれた面である。第1端面60aは、例えば略矩形の平面である。第1端面60aは、第1方向Z+において発光素子群50から離れている。第1端面60aは、例えば第1方向Z+と直交している。
図4Bに示すように、上面視において発光素子群50は、第1端面60aの範囲内に位置する。
図4Bに示す例では、第1端面60aのX方向の最大寸法Lx1は、例えば発光素子群50のX方向の最大寸法Lx0より大きい。また、第1端面60aのY方向の最大寸法Ly1は、例えば発光素子群50のY方向の最大寸法Ly0と略同一、又は第1端面60aのY方向の最大寸法Ly1は、発光素子群50のY方向の最大寸法Ly0より大きいことが好ましい。
【0035】
第2端面60bは、例えば略矩形の平面である。第2端面60bは、Z方向において第1端面60aの反対側に位置する。第2端面60bは、例えば第1方向Z+と直交している。
図4Bに示すように、第2端面60bの面積は、第1端面60aの面積よりも小さい。
図4Bに示す例では、第2端面60bのX方向の最大寸法Lx2は、第1端面60aのX方向の最大寸法Lx1よりも小さい。また、第2端面60bのY方向の最大寸法Ly2は、例えば第1端面60aのY方向の最大寸法Ly1よりも小さい。
【0036】
このように、第1端面60aの面積よりも第2端面60bの面積は小さい。これにより、発光素子群50から出射した光を第1端面60aに入射させつつ、照明領域を絞ることができる。そのため、例えば照明装置1を歯科用の照明装置に適用した場合、例えば患者の歯を照らしつつ、患者の目等が照らされることを抑制できる。
【0037】
ただし、第1端面60aに入射した光の一部は、側面60cへの入射角が臨界角より小さく、側面60cで全反射されずに、側面60cから出射する。第1端面60aの面積よりも第2端面60bの面積が小さい場合は、第2端面60bの面積が第1端面60aの面積と等しい場合と比較して、側面60cが第1方向Z+に向かうほど軸C1に近づくように傾斜し、側面60cに対する光の入射角が小さくなる。このため、第1端面60aに入射した光のうち、側面60cから出射する光の割合が高くなる。側面60cから出射した光は、後述する遮光体70に到達し、吸収される。
【0038】
後述する遮光体70が設けられていない場合、側面60cから出射した光は、第2端面60bから出射した光よりも軸C1から離れる方向に出射し、所望の照明領域から外れた迷光となる。本実施形態においては、後述する遮光体70が側面60cから出射した光を遮断するため、迷光を抑制できる。これにより、照明領域を精密に制御できる。また、迷光が所望の照明領域の外側の領域に照射された場合、所望の照明領域と所望の照明領域の外側の領域との明るさのコントラストが低下する。後述する遮光体70によって照明領域を精密に制御することで、所望の照明領域と所望の照明領域の外側の領域とのコントラストを高くできる。
【0039】
ロッドレンズ60には、基板81に取り付けられる取付部61a、61bが設けられている。取付部61a、61bは、透光性の材料からなる。取付部61a、61bとロッドレンズ60は、一体的に成形されている。
【0040】
取付部61a、61bは、例えば、ロッドレンズ60の第2方向Z-側の端部からX方向に延び、基板81に取り付けられている。取付部61a、61bの第2方向Z-の端部は、実装面81bに当接している。
【0041】
取付部61a、61bには、固定具63が挿通する貫通孔61dが設けられている。また、取付部61a、61bには、
図3に示すように、基板81の孔81d内に配置されるピン61eが設けられている。また、取付部61a、61bには、後述する遮光体70の溝72d内に配置されるピン61fが設けられている。
【0042】
図5は、本実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図であって、遮光体を取り付けた状態を示す図である。
図6Aは、本実施形態に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
図6Bは、本実施形態に係る光源ユニットを示す上面図であって、遮光体を取り付けた状態を示す図である。
【0043】
遮光体70は、
図5に示すように、ロッドレンズ60の側面60cから離れて側面60cを覆う本体部71と、本体部71の第2方向Z-側の端縁からX方向に延び、基板81に取り付けられる取付部72a、72bと、を有する。
【0044】
本体部71の形状は、例えば略四角錐台形を中空とした形状である。本体部71は、例えば軸C1を中心軸として延びている。
図6Aに示すように、本体部71は、例えば第2端面60bの周縁部を覆っており、第2端面60bの中央部を露出している。すなわち、本体部71の先端70bから第2方向Z-に向かって一定の部分は、第2端面60bよりも第1方向Z+に突出している。以下、本体部71において第2端面60bよりも第1方向Z+に突出している部分を突出部71aという。
【0045】
突出部71aには、第2端面60bの中央部を露出する開口部70aが設けられている。突出部71aは、第2端面60bから離れている。ただし、突出部71aは、第2端面60bに接していてもよい。突出部71aの表面は、開口部70aに臨む面(遮光体70の内面の一部73a)と、遮光体70の外面の一部73bと、先端面73cと、を含む。
【0046】
内面の一部73aは、例えば軸C1に略平行な第1領域74aと、第1領域74aと先端面73cとの間に位置する第2領域74bと、を含む。第1領域74aの形状は、
図6Bに示すように、上面視において矩形である。第2領域74bは、
図6Aに示すように、第1方向Z+に向かうにつれて軸C1から離れる。第2領域74bは、例えば、第1方向Z+及び第1方向Z+と直交する方向に対して傾斜した平面である。第2領域74bと第1方向Z+とのなす角θは、例えば45度以上90度未満であり、50度以上70度以下であることが好ましい。外面の一部73bは、例えば第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に近づく。外面の一部73bは、第1方向Z+に対して傾斜した平面である。先端面73cは、内面の一部73aと外面の一部73bとの間に配置され、内面の一部73a及び外面の一部73bと接している。先端面73cは、例えば第1方向Z+に直交する平面である。
【0047】
上述したように、第1方向Z+と直交し、第1方向Z+において先端70b(先端面73c)と同じ位置に位置する平面を第1平面P1という。また、第1平面P1における開口部70aの面積を「第1面積」という。また、本実施形態においては、先端70bと第2端面60bとの間に、第1面積よりも開口部70aの面積が小さくなるような第2平面P2が存在する。本実施形態では、第2平面P2は、例えばXY平面の面積が最小となるような平面であり、例えば、第1領域74aの第2方向Z-側の端縁を含む平面である。第2平面P2における開口部70aの面積を「第2面積」という。
【0048】
第1平面P1における開口部70aの第1面積は、第2平面P2における開口部70aの第2面積よりも大きい。
図6Bに示すように、第2方向Z-に見て、第1平面P1における開口部70aの外周75aは、第2平面P2における開口部70aの外周75bの外側に位置する。
【0049】
取付部72a、72bには、例えば固定具63が挿通する貫通孔72cが設けられている。また、取付部72a、72bには、ピン61fが配置される溝72dが設けられている。取付の際は、
図3に示すように、ロッドレンズ60のピン61eが基板81の孔81d内に配置され、ピン61fが遮光体70の溝72d内に配置された状態で、固定具63を用いてロッドレンズ60及び遮光体70を基板81に固定する。これにより、ロッドレンズ60を基板81に対して位置決めできる。また、遮光体70をロッドレンズ60に対して位置決めできる。
【0050】
遮光体70は、本体部71の内面が暗色であることが好ましく、黒色であることがより好ましい。遮光体70は、例えば樹脂材料からなり、表面に黒色の塗装が施されていてもよい。また、遮光体70は、例えばカーボンブラック等の光吸収性の材料からなってもよい。これにより、遮光体70は、ロッドレンズ60の側面60cから出射した光を吸収できる。
【0051】
遮光体70は、ロッドレンズ60の側面60cから離れており、例えば遮光体70とロッドレンズ60の側面60cとの間には空気層64が存在している。ロッドレンズ60の屈折率と空気層64の屈折率は大きく異なるため、側面60cにおける臨界角は大きく、側面60cに到達した光が全反射しやすい。これに対して、仮に遮光体70がロッドレンズ60に接しており空気層64が存在しないと、側面60cにおける臨界角は小さくなり、側面60cに到達した光は遮光体70に吸収されやすく、全反射しにくくなる。
【0052】
図7Aは、光学部材を示す斜視図である。
図7Bは、光学部材を示す断面斜視図である。
光学部材40は、例えば、透光部材41と、ミラー層42と、を有する。
【0053】
透光部材41は、例えば本体部43及び鍔部44を有する。本体部43は、軸C2を中心軸として延びている。以下、軸C2が延びる方向において光源ユニット30が配置されている側を「光入射側」といい、その反対側を「光出射側」という。なお、
図7A及び
図7BのXYZ座標系において軸C2が延びる方向は一例であり、後述するように各光源ユニット30において、軸C2が延びる方向は異なる。
【0054】
透光部材41の表面は、光源ユニット30から出射した光が入射する第1面41aと、入射した光が出射する第2面41bと、第2面41bの反対側に位置する第3面41cと、を有する。第1面41aは、光入射側に配置されている。第1面41aは、例えば軸C2を中心軸とし、光出射側に向かうにつれて軸C2に近づく。第1面41aは、光出射側に向かって凹状に湾曲した面である。第1面41aは、ロッドレンズ60の第2端面60bと対向している。第2面41bは、第1面41aよりも光出射側に配置されている。第2面41bは、例えば軸C2を中心軸とし、光入射側に向かうにつれて軸C2に近づく。第2面41bは、例えば、光入射側に向かって凹状の面である。第3面41cは、第1面41aの周囲に配置されている。第3面41cは、例えば軸C2を中心軸とし、光入射側に向かうにつれて軸C2に近づく。第3面41cは、例えば光入射側に向かって凸状に湾曲した面である。
【0055】
鍔部44は、本体部43から軸C2と交差する方向に突出している。鍔部44には、例えばネジやリベット等の固定具86(
図2参照)が挿通する貫通孔44aが設けられている。また、鍔部44には、ホルダ82a、82bに設けられた孔(図示省略)内に配置されるピン44bが設けられている。貫通孔44aは、軸C2と交差する一の対角線上に2つ設けられている。ピン44bは、軸C2と交差する他の対角線上に2つ設けられている。取付の際は、ピン44bがホルダ82a、82bの孔内に配置された状態で、固定具86によって光学部材40をホルダ82a、82bに固定する。これにより、光学部材40をホルダ82a、82bに位置決めできる。
【0056】
ミラー層42は、第3面41cに設けられている。ミラー層42は、例えばアルミニウム、及び銀等の光の反射率が高い金属材料からなる。
【0057】
ホルダ82aは、
図1に示すように、例えば基板81の第1領域83a上に配置されている。ホルダ82bは、例えば基板81の第2領域83b上に配置されている。ホルダ82a、82bは、例えば樹脂材料からなる。
図1及び
図2に示すように、各ホルダ82a、82bは、光学部材40が取り付けられる取付部84と、基板81に取り付けられ、取付部84を支持する支持部85と、を有する。支持部85は、第1方向Z+に延びており、基板81に取り付けられる。
【0058】
取付部84には、例えば3個の光学部材40が取り付けられている。取付部84は、例えば、照明装置1から第1方向Z+に離れた所定の位置において、各光源モジュール10の照明領域が概ね一致するように、各光学部材40を保持する。各光源モジュール10の第1方向Z+の所定の位置における照明領域は、例えば、基板81の貫通孔81aの中心を通り、第1方向Z+に延びる軸C3(
図1参照)を中心とする略矩形の領域である。そのため、
図2に示すように、各光学部材40の軸C2は、照明装置1から第1方向Z+に離れた所定の位置において貫通孔81aの軸C3に近づくように、ロッドレンズ60の軸C1に対して傾斜している。
【0059】
次に、本実施形態に係る照明装置1の動作について説明する。
図8は、X方向及びZ方向を含む端面において、第1発光素子及び第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図9Aは、本実施形態に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
図9Bは、第1の参考例に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
図9Cは、第2の参考例に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【0060】
図8に示すように、第1発光素子51及び第2発光素子52から出射した光の大部分は、第1端面60aからロッドレンズ60内に入射する。ロッドレンズ60内に入射した光の大部分は、側面60cにおいて全反射を繰り返し、全体として第1方向Z+に伝播していく。ロッドレンズ60内を伝播して第2端面60bに到達した光は、第2端面60bからロッドレンズ60外に出射する。
【0061】
第1端面60aに入射した光の一部は、
図9Aに矢印L1で示すように、側面60cへの入射角が臨界角より小さく、側面60cで全反射されずに、側面60cから出射する。第1端面60aの面積よりも第2端面60bの面積が小さい場合は、側面60cへの光の入射角が小さくなりやすく、側面60cから出射する光が増加する。本実施形態における遮光体70は、ロッドレンズ60の側面60cから出射した光を吸収する。
【0062】
遮光体70が設けられていない場合、ロッドレンズ60の側面60cから出射した光は、第2端面60bから出射した光よりも軸C1から離れる方向に出射し、所望の照明領域から外れた迷光となる。本実施形態においては、遮光体70が側面60cから出射した光を遮断するため、迷光を抑制できる。これにより、照明領域を精密に制御できる。また、迷光が所望の照明領域の外側の領域に照射された場合、所望の照明領域と所望の照明領域の外側の領域とのコントラストが低下する。遮光体70によって照明領域を精密に制御することで、所望の照明領域と所望の照明領域の外側の領域とのコントラストを高くできる。
【0063】
遮光体70とロッドレンズ60の側面60cとの間には空気層64が存在している。ロッドレンズ60の屈折率と空気層64の屈折率は大きく異なるため、側面60cにおける臨界角は大きく、側面60cに到達した光が全反射しやすい。これに対して、仮に遮光体70がロッドレンズ60に接しており空気層64が存在しないと、側面60cにおける臨界角は小さくなり、側面60cに到達した光は遮光体70に吸収されやすく、全反射しにくくなる。
【0064】
更に、矢印L2で示すように、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から光が出射する場合がある。本実施形態における遮光体70は、ロッドレンズ60の第2端面60bよりも第1方向Z+に突出した突出部71aを有する。そのため、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から光が出射した光も、遮光体70が吸収できる。
【0065】
更に、第1平面P1における開口部70aの第1面積は、第2平面P2における開口部70aの第2面積よりも大きい。これにより、矢印L3で示すように、第2端面60bにおける側面60cの近傍の領域から第1方向Z+と交差する方向に出射した光が、突出部71aによって遮断されることを抑制できる。このように、本実施形態においては、矢印L1及びL2で示す光は吸収して迷光を抑制しつつ、矢印L3で示す光は通過させて、照明領域に十分な光を照射することができる。
【0066】
図9Bに示す第1の参考例に係る光源ユニット10aは、遮光体870の先端870bが第1方向Z+において第2端面60bと同じ位置に位置する。このような場合、遮光体870は、矢印L1で示すように、側面60cのうち第2端面60bから離れた領域から出射する光は遮断することができる。また、矢印L3で示すように、遮光体870は、第2端面60bから第1方向Z+と交差する方向に出射する光を遮断しない。しかしながら、矢印L2で示すように、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から出射した光は、遮断しない。そのため、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から出射した光が所望の照明領域から外れた迷光となる場合がある。したがって、本実施形態に係る光源ユニット30は、第1の参考例に係る光源ユニット10aと比較して、迷光を抑制できる。
【0067】
図9Cに示す第2の参考例に係る光源ユニット10bは、遮光体970の先端970bが第1方向Z+において第2端面60bよりも突出しているものの、第1方向Z+の各位置において、開口部970aの各XY平面における面積が一定である。このような場合、遮光体970は、矢印L1で示すように、側面60cのうち第2端面60bから離れた領域から出射する光を遮断することができる。また、遮光体970は、矢印L2で示すように、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から出射した光を遮断することができる。しかしながら、矢印L3で示すように、遮光体970は、第2端面60bから第1方向Z+と交差する方向に出射する光も遮断する。したがって、本実施形態に係る光源ユニット30は、第2の参考例に係る光源ユニット10bと比較して、光の取出効率が高い。
【0068】
図8に示すように、第2端面60bから出射した光の大部分は、光学部材40の第1面41aに入射する。第1面41aに入射した光の一部は、第2面41bにおいて全反射する。第2面41bにおいて全反射した光は、ミラー層42によって反射される。ミラー層42によって反射された光は、第2面41bから出射する。このように、光源ユニット30から出射した光の進行方向は、光学部材40を用いて主に2回反射することにより、曲げられる。その結果、凸レンズを用いて屈折により光の進行方向を曲げる場合と比較して、色収差の発生を抑制できる。
【0069】
図10Aは、本実施形態に係る照明装置の照射パターンを例示する図である。
図10Bは、縦軸に照度をとり、横軸にX方向における位置をとって
図10Aの10B-10B線上の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0070】
JIS T 5753:2017は、歯科診療で患者の口腔内を照らすために用いる歯科用の照明装置に対する要求事項等について規定している。JIS T 5753:2017によれば、歯科用の照明装置の照射距離700mmの位置における照明領域T0のうち、最高照度となる点を含む水平軸50mm(本実施形態ではX方向に沿う長軸)及び垂直軸25mm(本実施形態ではY方向に沿う短軸)の楕円内の領域は、「A領域T1」と定義される。A領域T1は、最高照度の75%の等照度線T2の範囲内であることが求められる。また、最高照度の50%の等照度線T3とA領域T1との間の領域は、「B領域T4」と定義される。B領域T4の外郭は、水平軸80mm及び垂直軸40mmの楕円上またはその外側に位置することが求められる。また、短軸方向において、A領域T1の上端T1aから上方に(本実施形態ではY方向に)60mmに位置し、水平上(本実施形態では10B-10B線上)のあらゆる点における照度は、1200lx以下であることが要求される。これは、患者の口腔内に光を照射する一方で、患者の目に光が照射されることを抑制するためである。
【0071】
図10Aに、照明装置1の照明領域T0におけるA領域T1、最高照度の75%の等照度線T2と、最高照度の50%の等照度線T3と、B領域T4と、を示している。このように、照明装置1の照明領域T0において、A領域T1は、最高照度の75%以上である。また、B領域T4の外郭は、水平軸80mm及び垂直軸40mmの楕円の外側に位置する。
【0072】
図10Bに示すように、本実施形態に係る照明装置1おいては、A領域T1の上端T1aから上方に60mmに位置する水平上(
図10Aにおける10B-10B線上)のあらゆる点における照度は、1200lxより低い。一方、遮光体70を備えない参考例に係る照明装置においては、A領域T1の上端T1aから上方に60mmに位置する水平上の一部における照度は、1200lxよりも高い。これは、本実施形態に係る照明装置1においては、遮光体70により迷光が抑制されているのに対し、参考例に係る照明装置においては、迷光が抑制されていないためである。以上説明したように、本実施形態に係る照明装置1は、JIS T 5753:2017の規格を満たす一方、参考例に係る照明装置は、JIS T 5753:2017の規格を満たさない。
【0073】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態において、ロッドレンズ60の第2端面60bの面積は、第1端面60aの面積よりも小さい。これにより、第1発光素子51及び第2発光素子52から出射した光を第1端面60aに入射させつつ、照明領域を絞ることができる。
【0074】
また、第2端面60bの面積が第1端面60aの面積よりも小さいため、第2端面60bの面積が第1端面60aの面積と等しい場合と比較して、側面60cが第1方向Z+に対して光出射側に向かうほど軸C1に近づくように傾斜し、側面60cに対する光の入射角が小さくなる。このため、第1端面60aに入射した光のうち、側面60cから出射する光の割合が高くなる。本実施形態に係る光源ユニット30においては、遮光体70がロッドレンズ60の側面60cを覆っている。また、遮光体70の先端70bは、第2端面60bよりも第1方向Z+に突出している。すなわち、遮光体70は、突出部71aを有する。これにより、遮光体70は、側面60cから出射した光の大部分を遮断することができ、迷光を抑制できる。更に、本実施形態においては、遮光体70によって迷光の発生を抑制することで、遮光体70を設けない場合と比較して、所望の照明領域と所望の照明領域の外側の領域とのコントラストを高くできる。
【0075】
更に、本実施形態において、第1方向Z+において先端70bと同じ位置に位置する第1平面P1における開口部70aの第1面積は、第1方向Z+において先端70bと第2端面60bとの間に位置する第2平面P2における開口部70aの第2面積よりも大きい。これにより、突出部71aにより迷光を抑制しつつも、第2端面60bから出射する光が突出部71aによって遮断されることを抑制できる。これにより、光の取出し効率を向上させることができる。
【0076】
以上により、本実施形態によれば、所望の照度を実現しつつ、照明領域を精密に制御できる光源ユニット30、光源モジュール10、及び照明装置1を提供できる。
【0077】
また、本実施形態において、遮光体70は、第2端面60bの周縁部を覆う。これにより、遮光体70が、ロッドレンズ60の側面60cと遮光体70との間の隙間を覆うため、迷光をより確実に抑制できる。
【0078】
また、本実施形態において、遮光体70において開口部70aに臨む面(遮光体70の内面の一部73a)のうち第1平面P1と第2平面P2との間に位置する領域(第2領域74b)は、第1方向Z+に対して傾斜している。これにより、迷光を抑制しつつ、第2端面60bから第1方向Z+と交差する方向に出射する光が遮光体70によって遮断されることを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態において、第2方向Z-に見て、第1平面P1における開口部70aの外周75aは、第2平面P2における開口部70aの外周75bの外側に位置する。これにより、迷光を抑制しつつ、第2端面60bから第1方向Z+と交差する様々な方向に出射する光が遮光体70によって遮断されることを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態において、第2方向Z-に見て、ロッドレンズ60の第2端面60bの外周は、ロッドレンズ60の第1端面60aの外周の内側に位置する。これにより、第1発光素子51及び第2発光素子52から出射した光を第1端面60aに入射させつつ、照明領域を絞ることができる。
【0081】
また、第1発光素子51から出射する光の色温度は、第2発光素子52から出射する光の色温度と異なる。このため、第1発光素子51の出力と第2発光素子52の出力を調整することにより、第2端面60bから出射する光の色調を変化させることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る光源モジュール10は、光源ユニット30と、光学部材40と、を有する。光学部材40は、光源ユニット30から出射した光が入射する第1面41aと、光が出射する第2面41bと、第2面41bの反対側に位置する第3面41cと、を有する透光部材41と、透光部材41の第3面41cに設けられたミラー層42と、を有する。これにより、光源ユニット30から出射した光の進行方向は、光学部材40を用いて主に反射により曲げられる。その結果、凸レンズを用いて屈折により光の進行方向を曲げる場合と比較して、色収差の発生を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態に係る照明装置1は、例えば歯科用の照明装置である。歯科用の照明装置では、患者の口腔内に光を照射する一方で、目元等に光が照射されないようにすることが好ましい。光源ユニット30を備える照明装置1を歯科用の照明装置に適用することで、患者の口腔に光を照射する一方で、目元等に光が照射されないようにすることができる。
【0084】
<第1の実施形態の第1の変形例>
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
図11Aは、本変形例に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
本変形例に係る光源ユニット130は、遮光体70の突出部171aの形状が、第1の実施形態に係る突出部71aの形状と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。後述する他の変形例及び実施形態についても同様である。
【0085】
遮光体70の突出部171aには、第2端面60bの中央部を露出する開口部170aが設けられている。突出部171aの表面は、開口部170aに臨む面(遮光体70の内面の一部173a)と、遮光体70の外面の一部173bと、先端面173cと、を含む。
【0086】
内面の一部173aには、段差が設けられている。例えば、内面の一部173aは、第1方向Z+に略平行な第1領域174aと、第1領域174aの第1方向Z+側の端縁に接し、第1方向Z+に対して交差する第2領域174bと、第2領域174bの第1方向Z+側の端縁に接し、第1方向Z+に略平行な第3領域174cと、を含む。外面の一部173bは、例えば第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に接近するように傾斜している。先端面173cは、内面の一部173aと外面の一部173bとの間に配置され、内面の一部173a及び外面の一部173bと接している。先端面173cは、例えば第1方向Z+に直交する平面である。
【0087】
以下、第1方向Z+と直交し、第1方向Z+において先端70b(先端面173c)と同じ位置に位置する平面を第1平面P11という。また、第1平面P11における開口部170aの面積を「第1面積」という。また、先端70bと第2端面60bとの間に、第1面積よりも開口部170aの面積が小さくなるような第2平面P12が存在する。本変形例では、第2平面P12は、例えばXY平面の面積が最小となるような平面であり、例えば、第1領域174aの第2方向Z-側の端縁を含む平面である。第2平面P12における開口部170aの面積を「第2面積」という。
【0088】
第1平面P11における開口部170aの第1面積は、第2平面P12における開口部170aの第2面積よりも大きい。第2方向Z-に見て、第1平面P11における開口部170aの外周は、第2平面P12における開口部170aの外周の外側に位置する。上述したように、第1平面P11と第2平面P12の間に位置する内面の一部173aには、段差が設けられている。なお、段差は2段以上であってもよい。
【0089】
次に、本変形例の効果について説明する。
本変形例においては、遮光体70において開口部170aに臨む面のうち第1平面P11と第2平面P12の間に位置する領域(遮光体70の内面の一部173a)には、段差が設けられている。これにより、迷光を抑制しつつ、第2端面60bから第1方向Z+に対して交差する方向に出射する光が遮光体70によって遮断されることを抑制できる。
【0090】
<第1の実施形態の第2の変形例>
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
図11Bは、本変形例に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
本変形例に係る光源ユニット230は、遮光体70の突出部271aの形状が、第1の実施形態に係る突出部71aの形状と相違する。
【0091】
遮光体70の突出部271aには、第2端面60bの中央部を露出する開口部270aが設けられている。突出部271aの表面は、開口部270aに臨む面(遮光体70の内面の一部273a)と、遮光体70の外面の一部273bと、先端面273cと、を含む。
【0092】
内面の一部273aは、第1方向Z+に向かうにつれて軸C1から離れる。内面の一部273aは、第1方向Z+に向かって凸状に湾曲している。ただし、内面の一部273aは、第2方向Z-に向かって凹状に湾曲していてもよい。外面の一部273bは、例えば第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に接近するように傾斜している。外面の一部273bは、例えば第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に接近するように傾斜している。先端面273cは、内面の一部273aと外面の一部273bとの間に配置され、内面の一部273a及び外面の一部273bと接している。先端面273cは、例えば第1方向Z+に直交する平面である。
【0093】
以下、第1方向Z+と直交し、第1方向Z+において先端70bと同じ位置に位置する平面を第1平面P21という。また、第1平面P21における開口部270aの面積を「第1面積」という。また、先端70bと第2端面60bとの間に、第1面積よりも開口部270aの面積が小さくなるような第2平面P22が存在する。本変形例では、第2平面P22は、例えばXY平面の面積が最小となるような平面であり、例えば、内面の一部273aの第2方向Z-側の端縁を含む平面である。第2平面P22における開口部270aの面積を「第2面積」という。
【0094】
第1平面P21における開口部270aの第1面積は、第2平面P22における開口部270aの第2面積よりも大きい。第2方向Z-に見て、第1平面P21における開口部270aの外周は、第2平面P22における開口部270aの外周の外側に位置する。上述したように、第1平面P21と第2平面P22の間に位置する内面の一部273aは、湾曲している。
【0095】
次に、本変形例の効果について説明する。
本変形例においては、遮光体70において開口部270aに臨む面のうち第1平面P21と第2平面P22の間に位置する領域(遮光体70の内面の一部273a)は、湾曲している。これにより、迷光を抑制しつつ、第2端面60bから第1方向Z+に対して傾斜する方向に出射する光が遮光体70によって遮断されることを抑制できる。
【0096】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る光源ユニットの一部を示す端面図である。
本実施形態に係る光源ユニット330は、遮光体70の突出部371aの形状が、第1の実施形態に係る突出部71aの形状と相違する。
【0097】
遮光体70の突出部371aには、第2端面60bの全域を露出する開口部370aが設けられている。突出部371aの表面は、開口部370aに臨む面(遮光体70の内面の一部373a)と、遮光体70の外面の一部373bと、先端面373cと、を含む。
【0098】
内面の一部373aは、第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に接近するように第1方向Z+に対して傾斜した第1領域374aと、第1領域374aと先端面373cとの間に位置し、第1方向Z+に向かうにつれて軸C1から離れるように第1方向Z+に対して傾斜した第2領域374bと、を含む。外面の一部373bは、例えば第1方向Z+に向かうにつれて軸C1に接近するように傾斜している。先端面373cは、内面の一部373aと外面の一部373bとの間に配置され、内面の一部373a及び外面の一部373bと接している。先端面373cは、例えば第1方向Z+に直交する平面である。
【0099】
なお、内面の一部373aの形状は上記に限定されない。例えば、内面の一部373aには段差が設けられていてもよい。また、内面の一部373aは、第1方向Z+に向かうにつれて軸C1から離れるように湾曲していてもよい。
【0100】
以下、第1方向Z+と直交し、第1方向Z+において先端70b(先端面373c)と同じ位置に位置する平面を第1平面P31という。また、第1平面P21における開口部370aの面積を「第1面積」という。また、先端70bと第2端面60bとの間に、第1面積よりも開口部370aの面積が小さくなるような第2平面P32が存在する。本実施形態では、第2平面P32は、例えばXY平面の面積が最小となるような平面であり、例えば、第2領域374bの第2方向Z-側の端縁を含む平面である。第2平面P32における開口部370aの面積を「第2面積」という。
【0101】
第1平面P31における開口部370aの第1面積は、第2平面P32における開口部370aの第2面積よりも大きい。第2方向Z-に見て、第1平面P31における開口部370aの外周は、第2平面P32における開口部370aの外周の外側に位置する。
【0102】
次に、本実施形態に係る照明装置の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係る光源ユニットにおいて、ロッドレンズから出射した光を示す模式図である。
【0103】
図13に矢印L1で示すように、第1端面60aに入射した光の一部は、側面60cから出射する場合がある。本実施形態における遮光体70は、側面60cから出射した光を吸収する。
【0104】
更に、矢印L2で示すように、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から光が出射する場合がある。本実施形態における遮光体70は、ロッドレンズ60の第2端面60bよりも第1方向Z+に突出した突出部371aを有する。そのため、側面60cのうち第2端面60bの近傍の領域から光が出射した光も、遮光体70が吸収できる。
【0105】
更に、第1平面P31における開口部370aの第1面積は、第2平面P32における開口部370aの第2面積よりも大きい。これにより、矢印L3で示すように、第2端面60bから第1方向Z+と交差する方向に出射する光が、突出部371aによって遮断されることを抑制できる。
【0106】
次に、本実施形態の効果について説明する。
遮光体70は、第2端面60bの全域を露出する。そのため、本実施形態に係る光源ユニット330は、第1の実施形態に係る光源ユニット30と比較して、光の取出効率が高い。
【0107】
また、開口部370aは、第2平面P32において最も面積が小さい。そして、第2平面P32は、第1方向Z+において先端70bと第2端面60bの間に位置する。これにより、遮光体70は、側面60cから出射した光の大部分を遮断することができる。
【0108】
本発明は、例えば、歯科用の照明装置等に利用することができる。