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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】手術台に対する放射線シールド
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20240816BHJP
   A61G 13/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G21F3/00 F
A61G13/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021575932
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2020068298
(87)【国際公開番号】W WO2021001324
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】19184222.8
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ヘール セドレット
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524127(JP,A)
【文献】米国特許第06325538(US,B1)
【文献】特表2005-523437(JP,A)
【文献】特表2015-537196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 3/00-3/04
A61G 13/00-13/12
A61M 36/10-36/14
A61N 5/00-5/10
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的介入中の散乱放射線からユーザの身体を遮蔽するための遮蔽システムにおいて、前記遮蔽システムは、
手術台に取り付け可能なフレームと、
X線及びγ線のグループのうちの少なくとも1つを有する電離放射線を遮断するための材料を有するシールドであって、前記フレーム上に取り付けられるように構成された前記シールドと、
を有し、
前記遮蔽システムは、鉛直方向における前記シールドの少なくとも一部の変位によって折り畳まれるように構成され、
前記遮蔽システムが、更に、関節機構を含み、前記フレームは、前記フレームの移動及び前記シールドの実質的に水平方向における再配置を可能にするために、前記関節機構を介して前記手術台に取り付け可能であり、
異なるタイプの処置において放射線源を適応させるために、前記シールドは、前記遮蔽システムが前記手術台のヘッドレストの周りで回転することを可能にする前記関節機構を通して前記手術台に回転可能に取り付け可能である、
遮蔽システム。
【請求項2】
前記関節機構は、前記手術台の第1の側と前記手術台の前記第1の側とは反対側の第2の側との間の前記シールドの移動を可能にし、
前記手術台の中心の近くを通る軸の周りの角度は、前記手術台の前記第1の側における前記手術台の上座から遠位位置における前記シールドのエッジから、前記手術台の前記第2の側における前記手術台の上座から遠位位置における前記シールドのエッジまで測定されることができ、
前記角度は180°より大きい、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記関節機構は、前記フレームに取り付け可能なバーと、バーヒンジと、ピンとを有する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記フレームは、前記シールドが実質的に水平方向に移動することを可能にするために、前記関節機構にスライド可能に接続可能である、請求項1乃至3の何れかに記載のシステム。
【請求項5】
前記バーは、少なくとも2つのバーを含み、各バーの1つの端部は、前記バーがその周りを回転することができる前記手術台に対して固定された異なる軸に固定され、反対側の端部は、前記フレームに接続される、請求項3又は請求項3に従属する請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記シールドは、前記ユーザの前記身体の下部を保護するために、前記フレームから鉛直方向において下方に延長可能な下部シールドを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
下部シールド又はその少なくとも一部は、折り畳まれた構成から折り畳まれていない構成に、及びその逆に、選択的に変位可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記下部シールドは、着座位置にある前記ユーザの前記身体の前記下部を保護するために、階段構成における階段として変位可能かつ成形可能である、請求項6又は7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記下部シールドは、変位可能なパネルを有し、前記パネルは、剛性ヒンジによって互いに接続され、前記下部シールドの構成が再配置されるまで安定に保たれるように、前記パネルの相対位置を維持するように構成され、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記シールドは、前記ユーザの前記身体の上部を保護するために、上部シールドを鉛直方向において引っ込める及び延ばすために、前記フレーム上でスライド可能な前記上部シールドを有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記シールドは、前記ユーザの前記身体の上部を保護するために、上部シールドを鉛直方向において引っ込める及び延ばすために、前記フレーム上でスライド可能な前記上部シールドを更に有し、少なくとも前記上部シールドが延ばされた構成にある場合に、前記上部シールドと前記下部シールドとの間に、窓が、残され、前記システムは、前記上部シールドと前記下部シールドとの間で前記窓を遮断するための放射線遮蔽材料を有する一組の可撓性フラップを更に有する、請求項6乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記上部シールドは、少なくとも特定の波長の放射線を遮断するための材料を有し、前記材料は、ユーザが前記上部シールドを通して見ることを可能にするために光に対して少なくとも部分的に透明である、請求項10又は11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の遮蔽システムを含む手術台。
【請求項14】
前記関節機構は、前記手術台の第1の側とそれに対向する前記手術台の第2の側との間の前記シールドの移動を可能にし、前記手術台の中心を通る軸の周りの前記移動は、
前記手術台の前記第1の側における前記手術台の上座から遠位位置における前記シールドのエッジから、
前記手術台の前記第2の側における前記手術台の上座から遠位位置における前記シールドのエッジまで、
測定された180°よりも大きい角度をカバーする、
請求項13に記載の手術台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽の分野に関する。より具体的には、本発明は、介入中に、X線放射線、粒子衝撃、散乱放射線などのような、生体に損傷を与える放射線に対する医療従事者の遮蔽及び保護に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド手術室(OR)は、従来の手術室とCTスキャナ、MRIスキャナなどの高度に進歩した撮像技術を組み合わせた手術室である。ハイブリッドORは、例えば、経カテーテル大動脈弁移植(TAVI)又は血管内動脈瘤修復(EVAR)のような低侵襲手術のような多くの介入で使用される。
【0003】
このようなハイブリッド手術室は、病院、診療所、大学内の医療研究施設などにおいて見つけられることができる。また、外科医、看護師、麻酔科医、情報技術スタッフ、撮像専門家などを含む、多職種の人材を結びつける。介入の間、X線及び/又は他の高エネルギ及び/又は電離放射線を含む撮像機器が、使用されてもよく、これは、手術室の職員に健康上の危険を引き起こす。放射線被ばくが、累積的であるため、これらの環境での作業は、スタッフにとって大きな累積放射線被ばくをもたらす可能性がある。
【0004】
ハイブリッドORは、放射線、例えば散乱放射線の医療スタッフへの曝露を最小化するために構成及び適合されることができる。職員は、通常、水平ビーム用の放射線管が配置される手術台(OT)の側に立っている場合に、高線量の散乱放射線を受ける。この位置は、避けられるべきである。一例として、一部の介入では、麻酔科医は、"Anesthesiologists in the Neurointerventional Suite - What Is Appropriate Radiation Protection?", editorial views, Anesthesiology, V 114, No 3, March 2011で説明されているように、テーブルの上座に位置し、より低い被ばくをもたらすことができる。
【0005】
しかしながら、安全ガイドラインがすべての医療従事者に同じように適用されるわけではないため、一部の医療従事者は、他の医療従事者よりも被ばく又は偶発的な被ばくのリスクが高い。例えば、主要外科医又は介入放射線科医のための眼保護要件のような、ハイブリッド手術室のスタッフに適用されるいくつかの安全ガイドラインは、"Radiation exposure to anaesthetists during endovascular procedures", Anaesthesia. 2015;70(1):47-50で説明されているように、麻酔科医には適用されない。これは、特に緊急時のような高放射線量の状況で、特に麻酔科医が患者に近づかなければならない場合に、危険な被ばくにつながるかもしれない。一般に、ハイブリッド手術室の支援要員の間には低いリスク認識がある。一部の現代の病院は、麻酔科医を低線量技術室に配置しているが、他のほとんどの病院は、この特徴又は可能性を持っていない。これらの要因の組み合わせは、特に長期的に、散乱放射線への不必要かつ危険な曝露につながる可能性がある。
【0006】
放射線の影響を打ち消す際に存在するいくつかの遮蔽製品は、患者とハイブリッドORスタッフとの間に障壁を作り出し、しばしば、下手に扱われる又は完全に廃棄される。これらの例は、移動式、車輪付きシールド又は手術台に取り付けられた遮蔽である。どちらも、患者アクセスを制限する。可動シールドは、しばしば、Cアーム位置が変化する場合に邪魔にならないように移動され、その結果、その機能を失う。固定された遮蔽は、扱いにくく、処置中の混乱、Cアーム位置の変化、結果として散乱放射パターンの変化などの変化する状況に適応することができないことが多いため、しばしば廃棄される。
【0007】
天井取り付け遮蔽のような他の解決策は、大きなフロア設置面積を持たないが、ブームに取り付け照明又はモニタなど、他の天井取り付け機器から空間を奪う。これは、ハイブリッドORの複雑さを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態の目的は、良好な保護を提供し、小さい床設置面積で撮像装置に障害を引き起こさないように容易かつ迅速に構成されることができる、高い可撓性を有する遮蔽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、遮蔽システム、及びそのようなシステムを含む手術台によって提供され、システムは、手術台から遮蔽システムを分離する必要なく、撮像システム(Cアームなど)の移動及び再配置を可能にするために、1つ又は複数のシールド又はその部分を鉛直方向に移動させることによって折り畳まれることができる。鉛直方向は、水平線に平行な面に垂直な方向である。これは、典型的には、手術室内に存在する放射線から保護されるべきであり、かつ手術台の隣に立っている又は座っている人、例えば、医療従事者の長さ方向である。例えば、手術台の患者支持体又はボディレストが実質的に水平に(すなわち、部屋の床又は天井に実質的に平行な面内に)配置される実施形態では、鉛直方向は、手術台に実質的に垂直な方向である。遮蔽システムは、手術台に取り付け可能であってもよい、又は取り付けられてもよい。
【0010】
遮蔽システムは、医療従事者の身体の下部を放射線(例えば、散乱放射線)から保護し、撮像システムとの接触を避けるために折り畳まれることができる、底部折り畳み可能シールドのような折り畳み可能シールドを含んでもよい。代替的に又は追加的に、鉛直方向にスライド可能な上部シールドが、含まれることができ、これは、医療従事者の身体の上部を保護するために上方にスライドすることができ、撮像システムとの接触を回避するために下方にスライドすることができる。
【0011】
第1の態様では、医学的介入中に身体を散乱放射線から遮蔽するための遮蔽システムが、提供される。遮蔽システムは、手術台に取り付け可能なフレームと、少なくとも特定の波長の放射線、例えば、X線及び/又はγ線などの電離放射線を遮断するための材料を有するシールドとを有し、シールドは、フレームに取り付けられるように構成され、遮蔽システムは、手術台に実質的に垂直な方向へのシールドの少なくとも一部の変位によって折り畳まれるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムが、関節機構を更に含み、フレームは、関節機構を介して手術台に取り付け可能である。機構は、フレームの移動及び手術台に実質的に平行な方向へのシールドの再配置を可能にする。
【0013】
したがって、フレームを横方向に又は手術台から離れる方向に移動させる必要がなく、したがって、例えば手術台、又はCアーム、又はその両方の位置を変更する場合に遮蔽システムの構成を迅速に変更することを可能にし、したがって医学的介入中のダウンタイムを低減する、容易かつ迅速な再構成で、快適な方法で保護が得られることができることは、有利であり得る。
【0014】
更に、シールドが、例えば遮断されるべき放射線が存在しない場合に、手術台への広範なアクセスを可能にするために、脇に移動されることができることは、有利であり得る。例えば、緊急時に、シールドを迅速に脇に移動させることが可能であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、関節機構は、第1の位置と第2の位置との間のシールドの移動を可能にし、第1の位置は、手術台の第1の側に配置可能であり、第2の位置は、第1の側とは反対の手術台の第2の側に配置可能であり、移動は、シールドの第1のエッジからシールドの第2のエッジまで測定される手術台の中心を通過するように配置可能であり、180°よりも大きい、軸の周りの角度をカバーし、この第1のエッジは、シールドが手術台の第1の側における第1の位置にある場合には回転遠位にあり、第2のエッジは、第1のエッジと反対であり、第2のエッジは、シールドが手術台の第2の側における第2の位置にある場合には回転遠位にある。
【0016】
一例では、関節機構が、手術台の第1の側とそれとは反対の手術台の第2の側との間のシールドの移動を可能にする。手術台の中心の近くを通過する軸の周りの角度は、手術台の第1の側における手術台の上座から遠位位置にあるシールドのエッジから、手術台の第2の側における手術台の上座から遠位位置にあるシールドのエッジまで測定されることができる。例えば、前記角度は、180°より大きくてもよい。
【0017】
したがって、数人の医療従事者(例えば、麻酔科医)が介入中に滞在する、手術台の上座の周りでシールドを移動させることが可能であってもよい。有利には、シールドは、X線放射線を使用して検査される患者支持体上の患者などの、特に散乱放射線の線源の周りの任意の位置において保護を提供することができる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、関節機構が、フレームに取り付け可能なバー及びバーヒンジ及びピンを有する。関節機構の部分は、鉛パネル、鉛フラップ及び/又は上部シールドを運ぶのに十分な強度を有するべきである。ピンは、例えば、高性能鋼及び/又はチタンから作られてもよい。バーは、例えば、鋼又はアルミニウムのような金属から作られてもよい。これにより、手術台とシールドとの間の関節接続が、容易に提供されうる。
【0019】
特定の例では、フレームは、シールドが、例えば手術台に対して横方向に、移動することを可能にするために、関節機構にスライド可能に接続可能である。これにより、可撓性配置が、達成されてもよく、広い領域のカバレージと、放射線源及び医療従事者に対するシールドの相対的な配置とを可能にする。
【0020】
特定の例では、バーは、少なくとも2つのバーを含み、各バーの片端は、その周囲でバーが回転することができる手術台に対して固定された異なる軸に固定され、その反対側は、フレームに接続される。このようにして、関節機構への低歪みでの安定した強力な接続が、容易に得られることができる。
【0021】
いくつかの例では、シールドは、医療従事者の身体の下部を保護するために、フレームから下方に、例えば鉛直方向に延長可能な下部シールドを有する。このような下部シールドを用いて、例えば、脆弱な生殖器領域を含む身体の下部が、散乱放射線から保護されることができる。
【0022】
いくつかの例では、下部シールド又はその少なくとも一部が、折り畳まれた構成及び展開された構成において選択的に変位可能である。その結果、下部シールドの領域は、容易かつ迅速な方法で折り畳む及び展開することによって縮小及び拡張されることができ、それによって、ユーザに良好な放射線保護を提供すると同時に、使用の利便性も提供する。
【0023】
一例では、下部シールドは、追加的又は代替的に、着着座位置置にある医療従事者の身体の下部をより良好に保護するために、階段構成の階段として変位可能及び成形可能である。従って、医師が座っている間であっても、シールドパネルの位置は、、複数の位置における保護を提供するように散乱放射線の源に面するように構成されることができる。
【0024】
代わりに又は加えて、下部シールドは、剛性ヒンジによって互いに接続され、下部シールドの構成が、再配置されるまで安定に保たれるように、パネルの相対的位置を維持するように構成された変位可能なパネルを有してもよい。その結果、シールドパネルの位置は、医療従事者の身体に接触させる必要なく保たれることができ、したがって、医療従事者の移動の快適さ及び範囲及び容易さを改善することができる。
【0025】
更なる例では、シールドは、医療従事者の身体の上部を保護するために、上部シールドを鉛直方向に引っ込める及び延ばすためにフレーム上でスライド可能な上部シールドを有する。したがって、有利には、医療従事者の身体の上部(例えば、目)が、保護されることができ、同時に、例えば手術台、又はCアーム、又はその両方の位置を変更する場合に、遮蔽システムの迅速な再構成を可能にし、したがって、手術中のダウンタイムを低減することができる。
【0026】
特定の例では、上部シールドは、下部シールドと組み合わされることができ、この場合、少なくとも上部シールドが延ばされた構成である場合に、窓が、上部シールドと下部シールドとの間に残されることができる。システムは、上部シールドと下部シールドとの間の窓を放射線から遮断するための放射線遮蔽材料を備えた一組の可撓性フラップを更に有してもよい。
【0027】
これにより、手術台に対する医療従事者の一時的なアクセスは、シールドの大部分をつぶす又は移動させる必要なしに、可能であってもよく、したがって、有利には、介入中の曝露を低減し、例えば曝露面積を低減してもよい。
【0028】
一例では、上部シールドは、放射線、例えばX線放射線の少なくとも特定の波長を遮断するための材料を有し、この材料は、医療従事者が上部シールドを通して見ることを可能にするために、光に対して少なくとも部分的に透明である。したがって、身体の上部は、有害な放射線から保護され得ると同時に、手術中に視覚的視野を遮らない。
【0029】
更なる態様では、本発明は、本発明の前述の態様の遮蔽システムを有する手術台を提供する。
【0030】
特定の例では、関節機構は、手術台の第1の側とそれとは反対の手術台の第2の側との間のシールドの移動を可能にし、移動は、手術台の第1の側における手術台の上座からの遠位位置におけるシールドのエッジから、手術台の第2の側における手術台の上座からの遠位位置におけるシールドのエッジまで測定され、180°よりも大きい、手術台の中心を通る軸の周りの角度をカバーする。
【0031】
任意選択で、遮蔽システムは、関節機構なしで提供される。一例では、遮蔽システムは、医学的介入中に散乱放射線からユーザの身体を遮蔽するために提供される。遮蔽システムは、手術台に取り付け可能なフレームと、X線及びγ線のグループのうちの少なくとも1つを有する電離放射線を遮断するための材料を有するシールドとを有する。シールドは、フレームに取り付けられるように構成される。遮蔽システムは、鉛直方向におけるシールドの少なくとも一部の変位によって折り畳まれるように構成される。
【0032】
更なるオプションでは、遮蔽は、上述した下部シールドの例の1つで提供される。
【0033】
更に別のオプションでは、遮蔽は、上述の上部シールドの例のうちの1つで提供される。
【0034】
別のオプションでは、遮蔽は、上述した下部シールドの例の1つ、及び上述した上部シールドの例の1つで提供される。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるような関節機構を有する遮蔽システムは、開示されるような上部シールド体及び/又は下部シールド体を含む遮蔽と組み合わせられてもよい。しかしながら、このような遮蔽が関節機構なしで有利に使用され得るように補足されてもよい。
【0036】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、単に特許請求の範囲に明示的に記載されているものとしてではなく、必要に応じて、独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と組み合わせられてもよい。
【0037】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明のいくつかの実施形態による遮蔽システムを示す。
図2】本発明のいくつかの実施形態による遮蔽システムの折り畳み可能な下部シールドの3つの異なる交換可能な構成を示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態による遮蔽システムのスライド可能な上部シールドの3つの異なる交換可能な構成を示す。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、1つ又は複数のシールドを保持するフレームを手術台に取り付けるための関節システムを示す。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、遮蔽システムを手術台に取り付けるための関節システムを含む遮蔽システムを示す。
図6】本発明のいくつかの実施形態による遮蔽システムにおける関節システムとフレームとの間の接続の詳細を示す。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、背もたれとヘッドレストとの間に取り付けられた上部シールド及び部分的に折り畳まれた下部シールドを含む、遮蔽システムを備えた手術台の側面図を示す。
図8】本発明のいくつかの実施形態による手術台の斜視図を示し、遮蔽システムの2つの位置について、関節システムは、手術台のヘッドレストの周りでシールドを回転し、水平方向に沿って、例えば手術台に対して横向きにスライドさせることを可能にする。
図9図8の上面図を示し、2つの反対側の構成を示す。
図10】折り畳まれた遮蔽システムと、医療撮像のための放射線源としてのCアームとを有する手術台を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面は、概略的なものに過ぎず、非限定的なものである。図面において、いくつかの要素のサイズは、例示の目的のために誇張され、縮尺通りに描かれていないことがある。
【0040】
請求項におけるいかなる参照符号も、その請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0041】
異なる図面において、同じ参照符号は、同じ又は類似の構成要素を指す。
【0042】
本発明は、特定の実施形態に関して、及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、それに限定されず、特許請求項の範囲によってのみ限定される。寸法及び相対的な寸法は、本発明の実施への実際の縮図に対応しない。
【0043】
説明及び特許請求の範囲における第1、第2などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、時間的、空間的、ランク付け、又は任意の他の方法のいずれかで、必ずしもシーケンスを説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明され又は図示される以外のシーケンスで動作することができることが理解されるべきである。
【0044】
更に、明細書及び特許請求の範囲における上、下などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を記述するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明され又は図示される以外の他の向きで動作することができることが理解されるべきである。
【0045】
特許請求の範囲で使用される用語「有する」は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外するものではない。したがって、言及される特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことに留意されたい。したがって、「有する」という用語は、言及される特徴のみが存在する状況、及びこれらの特徴及び1つ又は複数の他の特徴が存在する状況を包含する。したがって、「手段A及びBを有する装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるものとして解釈されるべきではない。本発明に関して、装置の関連する構成要素のみがA及びBであることを意味する。
【0046】
なお、本明細書を通して「一実施形態」又は「1つの実施例」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通して様々な箇所における「一実施形態において」又は「一実施形態では」の語句の出現は、必ずしも全てが同一の実施の形態を指すものではないが、そうであってもよい。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者には明らかである任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0047】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴が、開示を簡潔にし、様々な発明的態様のうちの1つ又は複数の理解を助ける目的で、時々、単一の実施形態、図、又はその説明において一緒にグループ化されることを理解すべきである。しかしながら、この開示の方法は、請求項に記載の本発明が、各請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映するように、発明的態様は、前記の開示される単一の実施形態のすべての特徴よりも少ないところにある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、それ自体が本発明の別個の実施形態として存在する。
【0048】
更に、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することが意図される。例えば、特許請求の範囲では、請求項に記載の実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用されることができる。
【0049】
本明細書で提供される説明には、多くの具体的な詳細が、記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、こうした特定の詳細なしで実施されうることが理解される。他の例において、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、及び技術は、詳細に示されていない。
【0050】
本発明は、手術台に取り付けられたシールドを有する遮蔽システムに関し、手術台は、スタンドに取り付けられた、ボディレストとも称される、患者が横たわる実際の表面である患者支持体を有する。
【0051】
ボディレストは、水平に平行な平面内の位置である、水平位置に配置されることができるが、その必要はない。シールドは、好ましくは、実質的鉛直方向に配置されてもよく、鉛直方向は、水平面に対して垂直である。実質的鉛直方向は、人が手術台の隣に立っている又は座っている場合にとる位置に最良に適合する。
【0052】
異なる放射線遮蔽要件が、ハイブリッド手術室のような手術室内の異なる要員に対して存在する。従来の剛体シールドは、いくつかのスタッフに高い保護を提供するが、他のスタッフは、例えば緊急事態の場合に、放射線にさらされることもあるが、より低い要件を有する。加えて、エプロンのような完全に携帯可能な保護は、あらゆる状況において保護を提供するわけではない。例えば、歴史的で実際的な観点から、麻酔科医は、しばしば患者の頭の近くで可動スツールに座る。この領域を保護することが想定される鉛の、放射線低減エプロンは、ユーザのひざの上に平坦な横たわり、生殖器領域を電離ビームにさらされたままにする。放射線源の近くのこの着着座位置置は、生殖器領域における腫瘍及びがんにつながる可能性がある。
【0053】
本発明は、エプロンの場合のように遮蔽を着用する必要がなく、可搬性と剛性の壁状遮蔽の利点を組み合わせる。本発明は、患者の周りに多くの方法で配置されることができる保護遮蔽システムを含む、線量低減ワークステーションを、麻酔科医及び看護師などのハイブリッド手術室スタッフに提供する。遮蔽は、車輪付き遮蔽の場合のように手術台から離れて移動することができないので、手術台の隣の少なくとも1つの保護ゾーンを保証するが、しかしながら、緊急時であっても、その目的を達成することができるように、容易に移動可能であり、迅速に再配置可能であるように、手術台に取り付けられる。また、この遮蔽システムは、放射線源の配置の自由度を可能にするように、容易かつ迅速に折り畳み可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、シールドの存在にかかわらず、患者アクセスは、鉛直方向に移動可能な上部シールドを介して依然として可能である。シールドは、上部シールドと下部シールドとの間の窓を開き、手術台にアクセスすることを可能にするように、上方に移動されてもよい。窓は、可撓性の放射線吸収フラップによって覆われてもよい。上部シールドは、医療スタッフを保護するために、例えば、可視光に対しては透明でありうるが、所定の波長範囲の散乱放射線、例えば、電離放射線を遮断してもよい。
【0055】
遮蔽システムは、患者アクセスを可能にする。いくつかの実施形態では、本発明は、例えばレールシステムを介して、高さにおいて調節可能である上部シールドと、高さにおいて調節可能であり且つ/又は折り畳み可能である下部シールドとを含む。上部シールドが最も高い位置まで延ばされ、下部シールドが完全に下方に延ばされている場合、人間は、システムの後方1メートル付近に立つことができ、散乱放射線から完全に保護されることができる。両方が少なくとも部分的に折り畳まれている場合、それらは、位置の変化の間、Cアームに障害を引き起こさない。いくつかの実施形態では、実践的患者アクセスが必要とされる場合、上部シールドが、上方に移動させることができ、患者は、可撓性放射線吸収遮蔽フラップを介して直接的にモニタされることができる。
【0056】
異なるタイプの処置において放射線源を適応させるために、シールド又は複数のシールドは、遮蔽システムが手術台のヘッドレストの周りで回転することを可能にする関節システム、例えば4バー機構を通してヘッドレストに取り付けられることができる。このようにして、それは、一般に、散乱放射線源(患者)に対して垂直に配置され、鉛表面による(例えば、シールド内の鉛パネルによる)最適な保護を提供する。加えて、これは、放射線源(Cアームなど)の移動を妨げないように、折り畳まれることができる。
【0057】
第1の態様では、本発明は、散乱放射線などの放射線から医療スタッフの身体の少なくとも一部を保護するための1つ又は複数のシールドを有する放射線遮蔽システムを提供する。シールドは、手術台に移動可能に取り付けられる。
【0058】
遮蔽システムは、フレームと、フレームによって取り付けられ、保持されるように構成されたシールドとを有する。遮蔽システムは、医療スタッフと手術台との間に配置される。遮蔽システムは、折り畳まれることができる。例えば、シールドの領域の前面プロジェクションは、移動されることができ、又は例えば本質的に減少されることができる。これは、鉛直方向に上方向又は下方向、例えば、水平面、例えば手術室の地面によって規定される面に対して実質的に垂直である又は少なくとも平行ではない方向における、シールドの少なくとも一部の変位によって達成される。本発明の実施形態では、シールドは、手術台に対して実質的に垂直な方向に、例えば鉛直方向に、変位可能である。当業者は、手術台がわずかに傾斜している場合であっても、シールドが、Cアームなどの他の器具が、障害物なしで、例えば、上方及び/又は下方(鉛直方向)に引っ込められる場合に1つ又は複数のシールドの上部又は下部に衝突することなく、移動されることを可能にするように、折り畳み可能であることができることを理解するであろう。例えば、1つ又は複数のシールドは、手術室の地面に対して鉛直方向に変位可能であることができる(地面は、水平であるとして、すなわち、水平面に平行な面内にあると規定される)。
【0059】
いくつかの実施形態では、遮蔽システムは、直立位置に立つ医療スタッフの身体の下部を保護するように、フレームから下方に延びる下部シールドを含む。例えば、それは、鉛直方向において、手術台のボディレストに対して下方に延ばされてもよい。下部シールドは、鉛直方向において、手術台に対して上方及び下方に引っ込められ、延ばされることができる。例えば、下部シールドは、上方に折りたたまれることができるように、折りたたみ可能であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、遮蔽システムは、医療スタッフの身体の上部を保護するように、上部シールドを引っ込める及び延ばすために、フレーム上を上下の鉛直方向にスライド可能な上部シールドを含む。
【0061】
図1は、遮蔽システム100の例示的実施形態の鉛直方向分解斜視図を示す。シールドは、放射線、例えば、医療撮像に使用される放射線、特に、例えば電離放射線から医療スタッフを遮蔽するための材料を有する少なくとも1つの遮蔽要素、例えば、少なくとも1つの遮蔽パネル112を含む少なくとも1つの下部シールド102を有する。下部シールド102は、フレーム103によって保持されている。例えば、フレーム103は、バー又は類似の細長い形状であってもよく、下部シールド102が取り付けられる又は吊り下げられることができるホルダ123を含んでもよい。
【0062】
図1に示される実施形態では、下部シールド102は、3つの遮蔽要素、例えば折り畳まれることができる3つの鉛パネル112を含む。しかしながら、本発明は、この数の遮蔽要素に限定されない。下部シールドは、ユーザが、異なる位置における医療スタッフの身体の形状に適合されることができる所望の形状に配置することを可能にするように構成される。異なる数の遮蔽要素は、下部シールドが異なる身体サイズに適合させることを可能にしてもよい。下部シールドは、遮蔽要素112が、図1に示されるように、1つの長いシールド102を作り出すように下方にアラインされることができるように、構成されることもできる。本発明の実施形態では、シールド102は、実質的に鉛直方向に、すなわち水平面に平行な面に実質的に垂直に配置されてもよい。
【0063】
更に、図1の遮蔽システム100の実施形態は、放射線の特定の波長範囲から医療従事者の身体の上部を遮蔽するように構成される、上部シールド101を示す。いくつかの実施形態では、上部シールド101は、1組の波長の放射線、例えば可視放射線(光)を通過させることを可能にする一方で、別の組の波長の放射線、例えば電離放射線を遮断する材料を有する。このように、上部シールドは、特定の波長の放射線に対する保護を依然として提供しながら、医療従事者の視線を遮らない。いくつかの実施形態では、上部シールドは、鉛ガラスパネルを有する。
【0064】
上部シールド101は、フレーム103に取り付けられる。上部シールド101の位置は、上下方向に鉛直方向に調整可能であってもよく、したがって、上部シールド101の上縁の高さが、調節されることができる。例えば、フレーム103は、上部シールド101に固定され、スライドホルダ143上でスライドすることができるスライダ133を有するレールシステムを含んでもよい。レールシステムは、ねじ、タブなどの他の特徴を含んでもよく、上部シールド101の高さは、上部シールド101をスライドホルダ143に対してスライドさせることを選択的に阻止又は許容するように、スライドホルダ143に対して固定されることができる。
【0065】
シールドのいずれか又は両方の位置は、手術台に対する医師の、例えば腕を用いる、アクセスを可能にする窓を形成するように、高さにおいて適合されることができる。例えば、下部シールド102に対する上部シールド101の位置は、適合されることができ、したがって、実践的な患者アクセスが必要とされる場合、上部シールド101は、移動されることができ、したがって、窓113は、手術台上の患者に到達することを可能にするために上部シールド101と下部シールド102との間に残されることができる。窓は、好ましくは、放射線の特定の波長範囲を遮断するために、1組の可撓性放射線遮断フラップ104によって覆われる。例えば、フラップは、電離放射線を遮断するために、ポリマ外層及び鉛を有してもよい。可撓性鉛遮蔽フラップ104を介して、患者は、直接的にモニタされることができる。
【0066】
一方又は両方の遮蔽部品が少なくとも部分的に折り畳まれる場合、これらは、位置の変化中に放射線源(例えばCアーム)などの他の器具に対する障害を引き起こさない。例えば、C アームがヘッドマウントの周りを回転しているシナリオでは、下部シールドは、一緒に折り畳まれることができ、したがって、最小量の鉛直方向の空間を取る。
【0067】
したがって、遮蔽システムは、高度に適合可能かつ構成可能なシールドを提供し、その遮蔽領域は、外科手術の異なる段階の間に医療スタッフのニーズに対して容易かつ迅速に適合されることができる。遮蔽システムは、延長及び収縮されることができるだけでなく、その形状が、異なる構成に適合されることもできる。
【0068】
例えば、一部の実施形態では、図2(右上の図面)に示されるように、下部シールドは、階段のように成形されることができる。階段構成の下部シールドは、医療スタッフ、例えば、麻酔科医が着着座位置置にある間、膝及び脚のための空間を提供することができる。いくつかの実施形態では、階段構成は、下部シールドが手術台の下の領域まで延びることを可能にし、したがって、放射線から遮蔽される台の下の空間を作成する。これは、医療スタッフの腹部及び生殖器領域に対する放射線保護を改善する。
【0069】
例えば、折り畳み可能な下部シールド102は、ヒンジ122によって水平にリンクされることができる変位可能なパネル112を有してもよい。これらのヒンジ122は、ユーザによって再配置されるまでパネル112の位置を維持することができる。例えば、ヒンジ122は、例えば摩擦的に、パネル112の位置をロックすることができ、ユーザがシールド102を手動で折りたたむ又は延ばすことを可能にする。ヒンジ122の静摩擦係数は、パネル112の重さによる力に打ち勝つように十分に高くてもよいが、ユーザによって例えば手動で移動されることができるように十分に低くてもよい。したがって、下部シールドの構成は、ユーザがそれを新しい構成に再配置するまで安定であり、これは、また、ヒンジのおかげで安定に保たれ得る。
【0070】
本発明は、これに限定されるものではなく、下部シールドは、アクチュエータを含んでもよく、延長、ロック、及び折り畳みは、ユーザによって電子的に制御されることができる。ヒンジ122の存在は、任意であり、折り畳みのための他のシステムが、使用されることができ、例えば、パネルが、上下に巻かれることができる。
【0071】
その折り畳まれた構成(図2の左の図面)では、下部シールド102は、折り畳まれ、シールドの領域が、減少される。より小さい空間を占めるので、遮蔽システムは、放射線源、例えばCアームなどの手術室の他の器具に対する、より少ない障害を提示する又は全く障害を提示しない。下の図では、シールド102は、完全に延ばされており、散乱放射線から医療スタッフ、例えば立っている看護婦に対する保護を改善する。
【0072】
パネル112は、剛性又は半可撓性の鉛フラップ、例えば、不透明フラップを有してもよい。
【0073】
図3は、遮蔽領域から見たように、延長/折りたたみの3つ段階におけるシステム100を示す。手術台のスタンド301は、遮蔽システムの背後に示される。この場合、下部シールド102は、放射線源の移動を妨害しないように折り畳み可能であることができるだけでなく、代替的に又は付加的に、上部シールド101も、同様の機能性を有することができることが示されている。この場合、上部シールド101は、高さにおいて調節可能である。前に説明したように、上部シールド101及びスライドホルダ143に取り付けられたスライダ133を有するレールシステムが、使用されることができるが、そのような相対運動を提供する任意の他のシステムも、使用されることができる。図3に示されるように、保護の領域は、医療スタッフの保護のために拡張されることができ、又は、放射線源、例えばCアームのような近くの器具の移動を妨げることを回避するために収縮されることができる。拡張された構成であっても、医療スタッフは、上部シールド101と下部シールド102との間の自由領域を覆う一組の可撓性放射線遮蔽フラップ104を通してアームを導入することによって手術台に到達することができる。
【0074】
これは、延長するための唯一のオプションではなく、本発明の実施形態の上部シールドは、ヒンジを用いて、下部シールドの場合と同様に折り畳まれることができるパネル、例えば透明鉛パネルを有してもよく、同じ機能を提供する。
【0075】
遮蔽システムは、手術台に移動可能に取り付けられることができ、したがって、これは、そこに取り付けられ、同時に、手術台の周りで医療スタッフがたどる経路のわきに又はそれに沿ってこれを移動させることができる。例えば、遮蔽システムは、手術台のヘッドレスト、又はヘッドレストとボディレストとの間のリンクに取り付けられてもよい。遮蔽システムは、シールドがこれに面しながら手術台の周りで回転することができるように取り付けられる。遮蔽システムは、スライド運動を提示してもよく、したがって、シールドは、回転なしで横にスライドすることができる。他の実施形態では、遮蔽システムは、回転及びスライド運動の両方を提示する。
【0076】
図4は、手術台300のヘッドレスト302とボディレスト303との間のリンク要素に取り付けられる又はその一部であることができる関節機構200を含む、手術台300を分解斜視図で示す。関節システム又は機構200は、手術台に固定可能な、例えばヘッドレスト302に、又はボディレスト03に、又はそれらの間のアタッチメントに固定可能な、又は前記アタッチメントの一部である取り付け部又は取り付けバー202を含んでもよい。1つ又は複数の関節ピース、例えば、少なくとも1つの関節バー201は、遮蔽システムを手術台に連結し、取り付けバーに取り付けられる又は接続されることができる。例えば、取り付けバー202は、回転可能な関節バー201のピン211を、例えばバー201の端部において取り付けるための回転軸又はヒンジ204として機能する2つの取り付け点を含んでもよい。関節バー201は、取り付けバー202に取り付けられた場合に、ヒンジ204の周りで回転することができる。関節バー201は、反対側の端部にあるピンを介して、更なるバー、例えば、遮蔽システム100のシールド101、102を保持するフレーム103に接続される、例えば、スライド可能に接続されることができるスライドバー203におけるヒンジ213に取り付けられることができる。
【0077】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、遮蔽システム100及び手術台300の分解斜視図を示す。遮蔽システム100は、図1のようにフレームに取り付けられた2つのシールド101、102を含み、更に、シールドを手術台300に移動可能に接続することを可能にする、図4の関節機構200を含む。スライドバー203は、そのホルダ123を介してフレーム103に接続されることができる。
【0078】
特に、図5は、シールド101、102及びフレームが、スライドバー203を取り付けバー202にリンクする2つの関節バー201を含む4バー機構を介してを手術台300に接続されてもよいことを示す。バーのヒンジは、他のバーの嵌合ピン(例えば、取り外し可能なピンを有する全てのバー内のヒンジのような、代替的な接続が使用されることができるが、関節バー内のピン211を有するスライドバー203及び取り付けバー202内のヒンジ213、204)と接続し、これは、遮蔽システムが手術台ヘッドレストの周囲で回転することを可能にする。
【0079】
本実施形態では、スライドバー203は、フレーム103のホルダ123の上をスライドすることができ、横方向の配置の更なる自由度を遮蔽システムに提供する。
【0080】
図6及び図7は、スライドバー203とホルダ123との間の接続をより詳細に示す。ホルダは、また、下部シールド102(例えば、下側又は下部シールド102内のフック等)を受け入れ、それをフレーム103に保持又は吊り下げるための取り付け要素153を示す。
【0081】
フレームのホルダ123は、フレーム103及び取り付けられた1つ又は複数のシールド101、102に、例えば水平方向(X)において、手術台300又は手術室の地面に対して横方向の移動を提供するように、関節機構200のスライドバー203のスライド要素223、例えばタブに適合する保持要素163、例えば溝を含む。スライド要素203は、図4を参照して述べられるように、ヒンジーピン接続を介して関節アーム201に接続する。これは、回転とスライドの組み合わせを可能にする、単純で信頼性のあるタイプの接続である。もちろん、本発明は、ホルダ及びコネクタ内の溝及びスライドタブに限定されず、任意の他の同等のスライド要素は、水平面に続く方向にシールドの横方向運動を提供する限り、使用されることができる。例えば、レールシステムが、使用されることができ、及び/又は単一のアームは、2つのヒンジを有するスライドバーではなく、スライド可能ヒンジ、又はフレーム上に突出部を受け入れるための溝を有するヒンジを介してフレームに接続されてもよく、スライド運動を可能にする。
【0082】
図7は、遮蔽システムに取り付けられた手術台300(の一部)の断面を示す。関節機構200は、シールド101、102及びフレーム103を手術台にリンクする。手術台300に固定された取り付けバーは、関節バー201を介してスライドバー203にリンクされている。スライドバーは、溝及びそれに挿入された嵌合タブ223によって提供されたスライドシステムを介してフレーム103のホルダ123に接続される。
【0083】
下側又は下部シールド102は、部分的に曲げられ、手術台のヘッドレスト302の隣の着座位置であっても、医療従事者の生殖器領域を含む下半身の保護を可能にするように示される。
【0084】
図面に示される本発明の実施形態における回転及びスライドの組み合わせのために、シールドの配置は、柔軟であることができ、広い範囲のカバレージ、及び放射線源及び医療従事者に対するシールドの相対的な配置を可能にする。
【0085】
図8及び図9は、手術台を含む領域から散乱される放射線から異なる領域を保護するための遮蔽システムの配置を示す。図8は、手術台に対するシールドの2つの位置を示す。ヘッドレストの隣の領域は、手術台の一方の側又は他方の側で交換可能に放射線から遮蔽されることができる。関節バーに対してシールドをスライドさせ、関節バーを回転させることは、高い自由度での手術台に対するシステムのシールドの容易な配置を可能にする。例えば、図9は、シールドの2つの異なる位置を示し、第1及び第2の関節バー201は、(図8及び図9には示されない)取り付けバーのヒンジ204の位置によって決定され得る、第1及び第2の軸205の周りで回転することを可能にされる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態では、遮蔽システムは、2つの反対側の端部位置の間、手術台300の第1の側と反対側との間で遷移してもよい。角度Aは、手術台の中心において又はその近くを通り、それに垂直な軸の周りに規定されることができ、この角度は、シールドの2つのエッジの間で、特に、手術台300の第1の側における手術台の上座から遠位位置におけるシールドのエッジ105から、手術台300における上座から遠位位置におけるシールドの第2のエッジ106まで測定される。いくつかの実施態様において、角度Aは、180°よりも大きい。例えば、関節アームの回転は、異なる軸の周りで行われ、したがって、それらの回転角度は、制限され、バーの一方は、他方のバーによって停止されることができ、したがって、エッジ105、106の位置は、バー201の相対的な回転によって制限されてもよい。スライド機構のおかげで、スライドバーをフレームの上にスライドさせることによってバーが固定されている間に、シールドの領域が、再配置されることができる。したがって、角度Aは、エッジをスライドさせることによって増加されることができる。図9に示される実施形態では、角度Aは、例えば、約190°であってもよい。このようにして、シールドは、一般に、散乱放射線源(例えば、放射線源、及び/又は患者)に対して垂直に配置されることができ、鉛表面による最適な保護を提供する。
【0087】
しかしながら、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、関節機構200は、シールドのスライドのみ、例えば、その周囲の手術台に対するスライドを可能にしてもよい。他の実施形態では、関節システムは、例えば少なくとも1つの関節バー201をシールド又はそれらを保持するフレームに対してスライドさせることを可能にせずに取り付けることによって、手術台の周囲のシールドの回転を可能にしうるが、スライドさせることを可能にしなくてもよい。
【0088】
別の態様では、第1の態様のシールドシステムを含む手術台が、提供される。手術台は、フレームと、少なくとも1つのシールドとを含む。少なくとも1つのシールドを保持するフレームは、第1の態様の実施形態を参照して説明されるように、関節システムによって手術台に接続される。したがって、手術台は、高い安全性及び医療従事者のための放射線遮蔽を提供される。シールドは、手術台、例えばそのヘッドレストの周りで回転することができ、手術台からシステムを分離し、取っておく必要なしに、医療スタッフに対する移動の完全な自由を可能にする。遮蔽システムも、放射線源(例えばCアーム)のような、手術室の他の器具を邪魔しないように、折りたたみ可能である。図10は、関節システムによって台300に取り付けられた上部及び下部シールド101、102を含む、遮蔽システム100を有する手術台300を示す。上部シールド101は、引っ込められ、下部シールド102は、折り畳まれた構成にあり、したがって、Cアーム400は、遮蔽システム100によって妨害されることなく、手術台300のヘッドレストの周りで移動されることができる。
【0089】
先に説明されたように、遮蔽システムは、また、台上の患者に到達し、同時に上部シールドを引き上げることを可能にすることによって、医療スタッフを保護することを可能にし、可撓性鉛フラップ(又は同様の放射線遮蔽可撓性カーテン)における覆われた窓は、開かれ、患者は、患者に到達するためにシールドをわきに置く必要なく到達されることができる。ようにしながら、テーブル上の患者に到達することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10