(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 19/52 20060101AFI20240816BHJP
B62D 25/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B60R19/52 N
B62D25/10 B
(21)【出願番号】P 2020188149
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】久岡 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克朋
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09174682(US,B2)
【文献】特開2018-199420(JP,A)
【文献】国際公開第2019/030961(WO,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02642110(DE,A1)
【文献】特開2014-069617(JP,A)
【文献】特開2016-097911(JP,A)
【文献】特開2008-114742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動部を覆うエンジンボンネットが、上面を開閉可能に覆う上面部と、その正面側を覆う前面部と、側面側を覆う側面部とを備えて構成された作業車両であって、
前記前面部は、外郭を形成するフロントパネルと、照明手段を有し、かつ、前記フロントパネルに着脱可能なフロントガーニッシュとを備え、
前記フロントガーニッシュは、前記フロントパネルに形成された曲面状凹領域であるフロントガーニッシュ取付面に嵌合するよう形成され、かつ、車幅方向中心線に向かうほど上下幅が狭くなるように形成された傾斜辺を有するよう構成され、
前記フロントパネルの背面に着脱可能なバックブラケットを備え、
前記フロントパネルは、その左右側面に、前記フロントガーニッシュ取付面の表面から内側へと窪むように形成された凹領域である側面凹部が形成され、さらに、前記側面凹部に、略矩形状の開口であるボルト操作用開口と、前記ボルト操作用開口から前方へと所定範囲切り欠いて形成されたボルト締結用側方切欠きが形成され、
前記ボルト締結用側方切欠きと前記バックブラケットをボルト締結可能に構成されたことを特徴とす
る作業車両。
【請求項2】
前記フロントパネルは、係止用挿通穴が穿設され、
前記フロントガーニッシュの裏面は、前記係止用挿通穴に挿通可能な挿通片が形成され、前記挿通片は、正面締結用切欠きを有し、
前記バックブラケットは、前記係止用挿通穴に前記挿通片を挿通した状態で前記正面締結用切欠きとボルト締結可能な前端バックブラケット締結穴が形成されたことを特徴とする請求項
1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部にエンジンボンネットを配した作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトラクタ等の作業車両におけるエンジンボンネット周辺の構成を
図14に示す。
図14に示されるように、作業車両1のエンジンボンネット2は、開閉揺動可能な上面部3と、上面部3の両側にそれぞれ配された側面部4と、上面部3の前端に配された前面部5とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の作業車両におけるエンジンボンネット周辺の構造は、組み立ての際、側面部4に対する前面部5の部材間の位置決めに精度が要求されるため、エンジンボンネットの組み立て容易性に改善の余地が存在するものであった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解消し、エンジンボンネットの組み立てを容易に行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、
原動部を覆うエンジンボンネットが、上面を開閉可能に覆う上面部と、その正面側を覆う前面部と、側面側を覆う側面部とを備えて構成された作業車両であって、
前記前面部は、外郭を形成するフロントパネルと、照明手段を有し、かつ、前記フロントパネルに着脱可能なフロントガーニッシュとを備え、
前記フロントガーニッシュは、前記フロントパネルに形成された曲面状凹領域であるフロントガーニッシュ取付面に嵌合するよう形成され、かつ、車幅方向中心線に向かうほど上下幅が狭くなるように形成された傾斜辺を有することを特徴とする作業車両を提供する。
【0007】
上記第1の発明によれば、フロントガーニッシュが、前記フロントパネルに形成された曲面状凹領域であるフロントガーニッシュ取付面に嵌合するよう形成されたことにより、フロントガーニッシュの位置ズレが防止される。その結果、エンジンボンネットBの組み立てが容易となっている。加えて、フロントガーニッシュが、車幅方向中心線に向かうほど上下幅が狭くなるように形成された傾斜辺を有することにより、車幅方向の位置ズレを防止し、エンジンボンネットの組み立てがより容易となる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、
前記フロントパネルの背面に着脱可能なバックブラケットを備え、
前記フロントパネルは、その左右側面に、前記フロントガーニッシュ取付面の表面から内側へと窪むように形成された凹領域である側面凹部が形成され、さらに、前記側面凹部に、略矩形状の開口であるボルト操作用開口と、前記ボルト操作用開口から前方へと所定範囲切り欠いて形成されたボルト締結用側方切欠きが形成され、
前記ボルト締結用側方切欠きと前記バックブラケットをボルト締結可能に構成されたことを特徴とする作業車両を提供する。
【0009】
上記第2の発明によれば、ボルト締結用側方切欠きと前記バックブラケットをボルト締結可能に構成されたことにより、フロントパネルの背面から、バックブラケットを着脱できるため、組み立てがさらに容易となる。加えて、フロントガーニッシュ装着時に、ボルト操作用開口と、ボルト操作用開口はフロントガーニッシュに覆われるため、意匠的美観を向上できる。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明の構成に加え、
前記フロントパネルは、係止用挿通穴が穿設され、
前記フロントガーニッシュの裏面は、前記係止用挿通穴に挿通可能な挿通片が形成され、前記挿通片は、正面締結用切欠きを有し、
前記バックブラケットは、前記係止用挿通穴に前記挿通片を挿通した状態で前記正面締結用切欠きとボルト締結可能な前端バックブラケット締結穴が形成されたことを特徴とする作業車両を提供する。
【0011】
上記第3の発明によれば、係止用挿通穴に、挿通片を挿通して固定する構成により、フロントガーニッシュ装着時の位置決めが容易となっている。その結果、エンジンボンネットの組み立てがさらに容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エンジンボンネットの組み立てを容易に行うことができる作業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の左側面図である。
【
図4】
図4は、
図3の前面部(フロントガーニッシュを取り外した状態)の斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、
図3の前面部のフロントガーニッシュ及びバックブラケットの斜視図であり、
図8(B)は、
図3の前面部(背面側)のフロントガーニッシュ及びバックブラケットの斜視図である。
【
図9】
図9は、
図3の前面部(背面側)のフロントパネル及びフロントガーニッシュの部分拡大図である。
【
図10】
図10は、
図3の前面部のフロントパネル及びバックブラケットの左側斜視図である。
【
図12】
図12は、
図3の前面部(バックブラケットを取り外した状態)の背面図である。
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、作業車両の前進方向を前とし、その逆方向を後とし、前方を向いて右方を右、左方を左とする。
【0015】
<1.作業車両の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る作業車両Aの左側面図である。
作業車両Aは、走行手段を備えた走行車体a1と、農作業を行う作業機を走行車体a1の後部に連結する作業機連結手段を備えた所謂トラクタの構成を有する。
【0016】
走行車体a1は、走行手段として、車体の前部に前輪a2、後部に後輪a3が支承され、エンジンフレームa4上のエンジンボンネットB内に収納したエンジンa5を備え、さらに、該エンジンa5の後面にクラッチハウジングが固設されており、該クラッチハウジングの後面には、ミッションケースa6が延設される。これらの機構により、四輪駆動による走行が可能となっている。
【0017】
該エンジンボンネットBの後部にはダッシュボードa7が連設され、該ダッシュボードa7上にステアリングハンドルa8が配置され、ミッションケースa6上には油圧シリンダケースa9が載置され、該油圧シリンダケースa9上方に運転席a10が配置されている。該運転席a10の前方に主変速レバーやポジションレバーや、ドラフトレバー等の操作部材が配設されている。
【0018】
車体の後部には、作業機連結手段として、油圧シリンダケースa9側部より後方に突出されたリフトアームa11,a11と、トップリンクa12、ロアリンクa13,a13等よりなる作業機装着装置a14が配設されており、作業機装着装置a14に装着した作業機を昇降可能としている。
【0019】
<2.エンジンボンネットの構成>
次にエンジンボンネットBの構成について説明する。
エンジンボンネットBは、エンジンやラジエータ等を備えた原動部の上面を覆う上面部b1と、その正面側を覆う前面部b2と、側面側を覆う側面部b3とからなり、エンジンa5が搭載されたエンジンフレームa4上に固定されている。
【0020】
上面部b1は、所謂エンジンフードであり、開閉可能な蓋部材で構成されている。また、側面部b3は、サイドフェンダーの機能を有する板部材である。
【0021】
前面部b2は、外郭を形成するフロントパネルPと、このフロントパネルPに着脱可能なフロントガーニッシュGとを備えて構成されている。
【0022】
<3.フロントパネルの構成>
図2は、
図1の作業車両Aの前面部b2の左側面図であり、
図3は斜視図である。
図4は、
図3の前面部b2(フロントガーニッシュGを取り外した状態)の斜視図であり、
図5は、
図4の前面部b2(背面側)の斜視図であり、
図6は、
図3の前面部b2の分解斜視図であり、
図7は、
図3の前面部b2(背面側)の分解斜視図である。
【0023】
フロントパネルPは、
図2ないし
図7に示されるように、その幅方向に沿って延び、前方へと張り出して段差が形成された上方段差部pd1及び下方段差部pd2が上下に形成され、上方段差部pd1より上部分がフロントパネル上部P1、上方段差部pd1と下方段差部pd2で囲まれた部分がフロントパネル中部P2、下方段差部pd2より下部分がフロントパネル下部P3となっている。
【0024】
フロントパネル上部P1は、フロントガーニッシュGを取付可能な曲面状凹領域であるフロントガーニッシュ取付面p1と、このフロントガーニッシュ取付面p1に対して前方に隆起した隆起面p2を備えており、この隆起面p2の下縁と上方段差部pd1との間に形成された曲面領域が、フロントガーニッシュGを取り付けるフロントガーニッシュ取付面p1となっている。また、フロントパネル上部P1の上端には、その上端に沿って、内側に向けて略水平状に延出形成されたフロントパネル上端フランジ部p3が設けられている。
【0025】
隆起面p2は、その下縁が、第1の下縁傾斜辺p21と、第1の下縁傾斜辺p21よりも大なる傾斜角を有する第2の下縁傾斜辺p22と、略水平に延びる下縁水平辺p23を有して左右対称に形成されており、その中央には、意匠凹部p24が設けられている。
【0026】
このフロントガーニッシュ取付面p1には、略中央右寄りに係止用挿通穴H1が穿設されている。さらに、走行車体a1の車幅方向中心線Lcに対して、左右それぞれ、後述する灯火ユニットgl2,gr2との干渉を避けるための開口である灯火ユニット用開口部p11,p11が設けられている。
【0027】
加えて、フロントガーニッシュ取付面p1の表面(凹凸を有さない領域)には、左右それぞれ、隆起面p2の下縁と略平行に延設された複数の第1凸条部p12,p12と、上方段差部pd1と略平行に延設された複数の第2凸条部p13,p13とが形成されている。この第1凸条部p12,p12と及び第2凸条部p13,p13は、フロントガーニッシュGの裏面の凹凸(図示せず)と嵌合して、フロントガーニッシュGの位置ズレを防止する機能を果たす。
【0028】
また、フロントガーニッシュ取付面p1の表面から内側へと窪むように形成された凹領域である、正面第1凹部p14,p14、正面第2凹部p15,p15が灯火ユニット用開口部p11,p11の左右にそれぞれ形成されており、さらに、正面第2凹部p16,p16の外側(フロントパネルPの左右側面)には側面凹部p16,p16が形成されている。また、正面第1凹部p14には第1挿通穴H2が、正面第2凹部p15には第2挿通穴H3が、それぞれ貫通形成されている。
【0029】
左右の側面凹部p16,p16には、それぞれ、略矩形状の開口であるボルト操作用開口H4と、ボルト操作用開口H4から前方へと所定範囲切り欠いて形成されたボルト締結用側方切欠きH5が設けられている。この左右のボルト操作用開口H4,H4を利用することで、フロントパネルPの背面側からボルトを操作して、左右のボルト締結用側方切欠きH5,H5にボルト締結が可能となっている。また、左右のボルト操作用開口H4,H4の近傍には、補助ボルト操作用開口H4´,H4´が設けられ、操作性を向上するよう構成されている。
【0030】
また、このフロントガーニッシュ取付面p1の左右両端には、それぞれ、フロントガーニッシュ係止用壁部p17,p17が設けられている。このフロントガーニッシュ係止用壁部p17,p17は、平面視でフロントガーニッシュ取付面p1の側面と90度の角度をなして外側へと張り出すように形成され、上下方向を長手とする耳壁部p171と、耳壁部p171から前方へと延設され、前後方向を長手とする水平延設部p172を備えている。この水平延設部p172は、先端に向けてやや先細りの形状となっている。
【0031】
このフロントガーニッシュ係止用壁部p17は、フロントガーニッシュGの装着時にフロントガーニッシュGの後方両端を係止する機能を果たし、さらに、フロントガーニッシュGの位置合わせを容易にするとともに、装着時の部材間の隙間の発生を防止する。加えて、水平延設部p172は、フロントガーニッシュGの裏面の凹凸(図示せず)と嵌合して、上下方向の位置ズレを防止するように構成されている。
【0032】
フロントパネル中部P2は、多数の通気孔が形成されたメイングリルPG1を備え、フロントパネル下部P3は、多数の通気孔が形成された左右のサブグリルPG2,PG2を備えている。
【0033】
フロントパネル下部P3の下端には、その下端に沿って、内側に向けて略水平状に延出形成されたフロントパネル下端フランジ部p31が設けられている。このフロントパネル下端フランジ部p31の下面には、フロントパネルPを固定するための固定用突起p32,p32が設けられている。この固定用突起p32は、エンジンフレームa4に設けられた凹部(図示せず)に挿入嵌合されて、フロントパネルPをエンジンフレームa4に固定する機能を果たす。
【0034】
フロントパネルPの裏面には、ボルトを締結可能な上部フロントパネル締結孔H6及び左右の下部フロントパネル締結孔H7,H7が設けられている。これらは、後述するバックブラケットBBの上部バックブラケット締結穴H11及び下部バックブラケット締結穴H14,H14とボルト締結が可能となっている。
【0035】
<4.フロントガーニッシュの構成>
フロントガーニッシュGは、
図6及び
図7に示されるように、左右分解可能に構成されており、フロントガーニッシュ取付面p1の左側に装着される左側の左側ガーニッシュGLと、右側に装着される右側の右側ガーニッシュGRとを備えて構成されている。左側フロントガーニッシュGL及び右側フロントガーニッシュGRは、中央側に位置する嵌合部Vを除き、左右対称に形成されている。
【0036】
フロントガーニッシュGは、左右の外郭をそれぞれ構成する左側外郭パネルgl1及び右側外郭パネルgr1を備え、左側外郭パネルgl1には左側灯火ユニットgl2が、右側外郭パネルgr1には右側灯火ユニットgr2が、それぞれ嵌装されている。なお、左側灯火ユニットgl2及び右側灯火ユニットgr2は、ヘッドライト等の照明手段を備えた照明装置である。
【0037】
フロントガーニッシュGは、左側外郭パネルGL及び右側外郭パネルGRを嵌合可能とする嵌合部Vを備える。嵌合部Vは、左側外郭パネルgl1側に形成された左方嵌合部vlと、右側外郭パネルgr1側に形成された右方嵌合部vrとで構成されている。
【0038】
左方嵌合部vlは、
図7に示されるように、後方へと延びる平板状の挿通片vl1を備え、この挿通片vl1の後端は、締結具(ボルト)を締結可能な正面締結用切欠きvl2が設けられている。
【0039】
右方嵌合部vrは、挿通片vl1と略同一の幅を有する挿通片係止用切欠きvr1が形成されている。この挿通片係止用切欠きvr1は、左向きに開口するように形成されており、左側外郭パネルgl1及び右側外郭パネルgr1を嵌合するとき、左側から挿通片vl1を導入して係止可能となっている。このとき、左方嵌合部vlの前端が、右方嵌合部vrの前端を覆うようにして両者は合体し、外観上の美観を向上するよう構成されている。
【0040】
左側外郭パネルgl1左上部には、内方に突出する左側内フランジ部gl3が形成されおり、右側外郭パネルgr1右上部には、内方に突出する右側内フランジ部gr3が形成されている。左側内フランジ部gl3及び右側内フランジ部gr3には、それぞれ、ボルト締結用上方切欠きH8が形成されている。
【0041】
右側外郭パネルgl1の裏面には、左側灯火ユニットgl2の左右にそれぞれ、後方へと突出する棒状の左係止用挿通棒gl4,gl4が設けられており、右側外郭パネルgr1の裏面には、左側灯火ユニットgl2の左右にそれぞれ、後方へと突出する棒状の右係止用挿通棒gr4,gr4が設けられている。
【0042】
右側ガーニッシュGRの下縁及び左側ガーニッシュGRの上縁は、隆起面p2の下縁の形状に合わせ、第1の上縁傾斜辺gl5,gr5と、第1の傾斜辺gl5,gr5よりも大なる傾斜角を有する第2の上縁傾斜辺gl6,gl6と、略水平に延びる上縁水平辺gl7,gr7と、が左右対称に形成されている。
【0043】
右側ガーニッシュGRの下縁及び左側ガーニッシュGRの下縁は、上方段差部pd1の形状に合わせて、第1の下縁傾斜辺gl8,gr8と、第1の下縁傾斜辺gl8,gr8と反対に傾斜する第2の下縁傾斜辺gl9,gr9とを有している。
【0044】
左側灯火ユニットgl2、右側灯火ユニットgr2の後部には、それぞれ、ボルト締結用の二連灯火ユニット締結穴H9がそれぞれ形成されている。
【0045】
<5.バックブラケットの構成>
図8(A)は、
図3の前面部のフロントガーニッシュG及びバックブラケットBBの斜視図であり、
図8(B)は、
図3の前面部b2(背面側)のフロントガーニッシュG及びバックブラケットBBの斜視図である。また、
図9は、
図3の前面部b2(背面側)のフロントパネルP及びフロントガーニッシュGの部分拡大図である。
図10は、
図3の前面部b2のフロントパネルP及びバックブラケットBBの左側斜視図であり、
図11は、
図3の前面部b2の背面図であり、
図12は、前面部b2(バックブラケットBBを取り外した状態)の背面図であり、
図13は、前面部b2の背面側斜視図である。
【0046】
フロントパネルPの背面には、
図10、
図11、
図13等に示されるように、バックブラケットBBが着脱可能に取り付けられる。このバックブラケットBBは、フロントパネルPの強度を向上し、左右の灯火ユニットgl2,gr2を固定する機能を有する。
【0047】
バックブラケットBBは、フロントパネルPの裏面の左右幅に合わせて形成されたメインフレーム本体bb1に、このメインフレーム本体から前方へと突出するように平面視コの字に形成されたコの字状フレーム部bb2と、メインフレーム本体bb1の左右において下垂するように腕状に形成された左右の下垂アーム部bb3,bb3とを備えている。
【0048】
メインフレーム本体bb1には、操作性を向上するための矩形開口bb11が左右に設けられ、下方に開口した逆U字状切欠きbb12が略中央下部に設けられている。
【0049】
メインフレーム本体bb1の右下隅角部及び左下隅角部には、それぞれ、二連バックブラケット締結穴H10,H10が穿設されている。これにより、左側灯火ユニットgl2及び右側灯火ユニットgr2の背面にそれぞれ設けられた二連灯火ユニット締結穴H9,H9と、二連バックブラケット締結穴H10,H10をボルト締結して固定可能となっている。
【0050】
コの字状フレーム部bb2の前端の垂直面には、上部バックブラケット締結穴H11が穿設されている。この上部バックブラケット締結穴H11にボルトを挿通し、フロントパネルPの裏面に設けられた上部フロントパネル締結孔H6にボルト締結して、バックブラケットBBを固定可能となっている。また、コの字状フレーム部bb2の前端上部には、水平面を有する舌状板部が折り返し延出形成され、この舌状板部に前端バックブラケット締結穴H12が穿設されている。
【0051】
メインフレーム本体bb1の上部には、断面略L字に前方に折り返し形成された庇状フレーム部bb13が設けられている。
【0052】
庇状フレーム部bb13は、左右方向に延びる水平面の中央に、ラジエータブラケット(図示せず)を取り付けるバー部材bb14が配設され、左右両端に、それぞれ、平面視舌状に形成された舌状板部bb15,bb15が形成されている。この左右の舌状板部bb15,bb15には、それぞれ、左右の庇状フレーム部締結穴H13,H13が穿設されている。
【0053】
下垂アーム部bb3,bb3は、メインフレーム本体bb1の左右端にそれぞれ後方へと折り返し延出形成された後方延出板部bb31,bb31と、この後方延出板部bb31,bb31から下方前方へと先端が延びるよう連続形成された腕状のアーム本体部bb32,bb32とが形成されている。アーム本体部bb32,bb32の先端近傍は、垂直面を形成するように折り返され、該垂直面に、下部バックブラケット締結穴H14,H14が穿設されている。下部バックブラケット締結穴H14,H14にボルトを挿通し、フロントパネルPの裏面に設けられた下部フロントパネル締結孔H7,H7にボルト締結して、バックブラケットBBを固定可能となっている。
【0054】
左右の後方延出板部bb31,bb31には、それぞれ、側方バックブラケット締結穴H15,H15が穿設されている。これにより、フロントパネルPの左右のボルト締結用側方切欠きH5,H5にボルトを挿通し、左右の側方バックブラケット締結穴H15,H15にボルト締結して、バックブラケットBBをフロントパネルPに固定可能となっている。
【0055】
<6.フロントガーニッシュの取付方法>
フロントガーニッシュGの取付方法について以下説明する。
(STEP1)
フロントパネルPの背面に、バックブラケットBBをセットし、上部フロントパネル締結孔H6及び左右の下部フロントパネル締結孔H7,H7と上部バックブラケット締結穴H11及び左右の下部バックブラケット締結穴H14,H14をボルト締結して固定する。さらに、左右のボルト締結用側方切欠きH5,H5と左右の側方バックブラケット締結穴H15,H15をボルト締結する。
【0056】
(STEP2)
右側ガーニッシュGRをフロントガーニッシュ取付面p1に装着する。このとき、右係止用挿通棒gr4,gr4を、右方の第1挿通穴H2及び第2挿通穴H3に挿通し、右方の庇状フレーム部締結穴H13と右側ガーニッシュGRのボルト締結用上方切欠きH8をボルト締結する。さらに、右方の二連灯火ユニット締結穴H9と二連バックブラケット締結穴H10をボルト締結する。これにより、右側ガーニッシュGRがフロントパネルPに固定される。
【0057】
(STEP3)
続いて、左側ガーニッシュGLを、右側フロントガーニッシュと同様の要領で、フロントガーニッシュ取付面p1に装着する。このとき、左係止用挿通棒gl4,gl4を、左方の第1挿通穴H2及び第2挿通穴H3に挿通し、左方の庇状フレーム部締結穴H13と左側ガーニッシュGLのボルト締結用上方切欠きH8をボルト締結する。さらに、左方の二連灯火ユニット締結穴H9と二連バックブラケット締結穴H10をボルト締結する。
【0058】
このとき、挿通片vl1を係止用挿通穴H1に挿入した状態で、正面締結用切欠きvl2と前端バックブラケット締結穴H12をボルト締結する。これにより、左方嵌合部vlと右方嵌合部vrが嵌合して一体化された状態で、左方嵌合部vlの浮きを防止しながら、左側ガーニッシュGLをフロントパネルPに固定できる。以上の操作により、フロントガーニッシュGの取付が完了する。
【0059】
<7.技術的意義>
上記実施形態によれば、前面部b2をエンジンボンネットBに装着する際の位置決めが容易である。即ち、第1の下縁傾斜辺p21、第2の下縁傾斜辺p22、第1の上縁傾斜辺gl5、第2の上縁傾斜辺gl6、第1の下縁傾斜辺gl8、第2の下縁傾斜辺gl9、第1の上縁傾斜辺gr5、第2の上縁傾斜辺gr6、第1の下縁傾斜辺gr8、第2の下縁傾斜辺gr9が、フロントガーニッシュGの位置ズレを防止するためである。その結果、エンジンボンネットBの組み立てが容易となっている。
【0060】
特に、フロントガーニッシュGが、走行車体a1の車幅方向中心線Lcに向かうほど上下幅が狭くなるように形成された傾斜辺(第1の上縁傾斜辺gl5、第2の上縁傾斜辺gl6、第2の下縁傾斜辺gl9、第1の上縁傾斜辺gr5、第2の上縁傾斜辺gr6、第2の下縁傾斜辺gr9)を有することにより、車幅方向の位置ズレを防止し、組み立てが容易となるよう構成されている。
【0061】
さらに、係止用挿通穴H1に、挿通片vl1を挿通して固定する構成により、フロントガーニッシュG装着時の位置決めが容易となっている。その結果、組み立てがさらに容易となる。
【0062】
加えて、第1凸条部p12、第2凸条部p13により、フロントガーニッシュG装着時の位置ズレをさらに良好に防止できるよう構成されている。
【0063】
また、上記実施形態によれば、組み立て時の左側灯火ユニットgl2及び右側灯火ユニットgr2の位置決めも容易である。即ち、灯火ユニット用開口部p11,p11、矩形開口bb11を設けたことにより、フロントパネルPにフロントガーニッシュGを装着時、容易にボルト操作して、左側灯火ユニットgl2及び右側灯火ユニットgr2をバックブラケットBBに固定できるように構成されているためである。
【0064】
さらに、フロントガーニッシュ係止用壁部p17により、フロントガーニッシュGの後端部の位置ズレが防止され、さらに、フロントガーニッシュGと側面部b3の部材間の隙間や浮きの発生が防止される。
【0065】
また、上記実施形態によれば、バックブラケットBBの着脱が容易である。即ち、側面凹部p16,p16に、ボルト操作用開口H4、ボルト締結用側方切欠きH5を設けたことにより、フロントガーニッシュGをフロントパネルPに装着した状態で、ボルトを操作して、バックブラケットBBを着脱できるためである。
【0066】
また、上記実施形態によれば、前面部b2の意匠的美観を向上できる。即ち、ボルト操作用開口H4、ボルト締結用側方切欠きH5は、フロントガーニッシュGをフロントパネルPに装着した際、フロントパネルPに覆われるよう構成されている。また、左方嵌合部vlの前端が、右方嵌合部vrの前端を覆うようにして両者は合体し、外観上の美観を向上するよう構成されている。これにより、前面部b2の意匠的美観が向上するのである。
【0067】
また、上記実施形態によれば、下垂アーム部bb3,bb3をメインフレーム本体bb1の左右において下垂するように腕状に形成されているため、メイングリルPG1、サブグリルPG2の通気性を妨げない。
【0068】
また、上記実施形態によれば、下垂アーム部bb3,bb3をメインフレーム本体bb1の左右において下垂するように腕状に形成されているため、メイングリルPG1、サブグリルPG2の通気性を妨げない。
【符号の説明】
【0069】
A 作業車両
a1 走行車体
a2 前輪
a3 後輪
a4 エンジンフレーム
a5 エンジン
a6 ミッションケース
a7 ダッシュボード
a8 ステアリングハンドル
a9 油圧シリンダケース
a10 運転席
a11 リフトアーム
a12 トップリンク
a13 ロアリンク
a14 作業機装着装置
B エンジンボンネット
b1 上面部
b2 前面部
b3 側面部
BB バックブラケット
bb1 メインフレーム本体
bb2 コの字状フレーム部
bb3 下垂アーム部
bb11 矩形開口
bb12 逆U字状切欠き
bb13 庇状フレーム部
bb14 バー部材
bb15 舌状板部
bb31 後方延出板部
bb32 アーム本体部
P フロントパネル
P1 フロントパネル上部
P2 フロントパネル中部
P3 フロントパネル下部
PG1 メイングリル
PG2 サブグリル
p1 フロントガーニッシュ取付面
p2 隆起面
p3 フロントパネル上端フランジ部
p11 灯火ユニット用開口部
p12 第1凸条部
p13 第2凸条部
p14 正面第1凹部
p15 正面第2凹部
p16 側面凹部
p17 フロントガーニッシュ係止用壁部
p171 耳壁部
p172 水平延設部
p21 第1の下縁傾斜辺
p22 第2の下縁傾斜辺
p23 下縁水平辺
p24 意匠凹部
p31 フロントパネル下端フランジ部
p32 固定用突起
pd1 上方段差部
pd2 下方段差部
G フロントガーニッシュ
GL 左側ガーニッシュ
GR 右側ガーニッシュ
gl1 左側外郭パネル
gl2 左側灯火ユニット
gl3 左側内フランジ部
gl4 左係止用挿通棒
gl5 第1の上縁傾斜辺
gl6 第2の上縁傾斜辺
gl7 上縁水平辺
gl8 第1の下縁傾斜辺
gl9 第2の下縁傾斜辺
gr1 右側外郭パネル
gr2 右側灯火ユニット
gr3 右側内フランジ部
gr4 右係止用挿通棒
gr5 第1の上縁傾斜辺
gr6 第2の上縁傾斜辺
gr7 上縁水平辺
gr8 第1の下縁傾斜辺
gr9 第2の下縁傾斜辺
Lc 車幅方向中心線
V 嵌合部
vl 左方嵌合部
vl1 挿通片
vl2 正面締結用切欠き
vr 右方嵌合部
vr1 挿通片係止用切欠き
H1 係止用挿通穴
H2 第1挿通穴
H3 第2挿通穴
H4 ボルト操作用開口
H5 ボルト締結用側方切欠き
H6 上部フロントパネル締結孔
H7 下部フロントパネル締結孔
H8 ボルト締結用上方切欠き
H9 二連灯火ユニット締結穴
H10 二連バックブラケット締結穴
H11 上部バックブラケット締結穴
H12 前端バックブラケット締結穴
H13 庇状フレーム部締結穴
H14 下部バックブラケット締結穴
H15 側方バックブラケット締結穴