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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電話システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20240816BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20240816BHJP
   H04M 1/57 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/42 T
H04M1/57
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112706
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011516
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】591207574
【氏名又は名称】サクサシステムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】▲黒▼坂 愛
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-258954(JP,A)
【文献】特開2012-095147(JP,A)
【文献】特開2013-219816(JP,A)
【文献】特開平08-214069(JP,A)
【文献】特開2002-033796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電話機と、第2電話機と、前記第1電話機及び前記第2電話機との間の電話回線を接続する主装置とを備える電話システムであって、
前記第1電話機は、
前記第1電話機を用いて発信する第1発信者の生体情報を取得する第1生体情報取得部と、
ユーザの前記生体情報と前記ユーザのID情報とを対応づけて記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部を参照して、前記第1生体情報取得部が取得した前記生体情報に対応する前記ID情報を特定するID特定部と、
前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて、特定された前記ID情報を前記主装置に送信する第1通信部と
を有し、
前記主装置は、
前記ユーザの前記ID情報と前記ユーザの特定情報とを対応づけて記憶する主記憶部と、
前記主記憶部を参照して、前記第1通信部から受信した前記ID情報に対応する前記ユーザの前記特定情報を特定する特定情報特定部と、
前記第1電話機からの発信を前記第2電話機に着信させる場合、前記生体情報に対応する前記第1発信者を特定するための前記特定情報と前記第1電話機を特定するための電話機情報とを関連付けた着信通知を前記第2電話機に送信する通信処理部を有し、
前記第2電話機は、
前記主装置からの前記着信通知を受け取る第2通信部と、
前記主装置からの前記着信通知に関連付けられた前記特定情報と前記電話機情報とのうち少なくとも前記特定情報を表示する特定情報表示部と
を有する、
電話システム。
【請求項2】
第1電話機と、第2電話機と、前記第1電話機及び前記第2電話機との間の電話回線を接続する主装置とを備える電話システムであって、
前記第1電話機は、
前記第1電話機を用いて発信する第1発信者の生体情報を取得する第1生体情報取得部と、
前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて、前記第1生体情報取得部が取得した前記生体情報に基づく情報を前記主装置に送信する第1通信部と
を有し、
前記主装置は、前記第1電話機からの発信を前記第2電話機に着信させる場合、前記生体情報に対応する前記第1発信者を特定するための特定情報と前記第1電話機を特定するための電話機情報とを関連付けた着信通知を前記第2電話機に送信する通信処理部を有し、
前記第2電話機は、
前記主装置からの前記着信通知を受け取る第2通信部と、
前記主装置からの前記着信通知に関連付けられた前記特定情報と前記電話機情報とのうち少なくとも前記特定情報を表示する特定情報表示部と
前記主装置から受け取った前記第1発信者の前記特定情報を含む情報を着信履歴として記憶する着信記憶部と、
前記着信履歴に基づく発信を受け付ける発信受付部と
を有し、
前記第2電話機の前記第2通信部は、前記発信受付部が前記着信履歴に基づく発信を受け付けた場合、前記特定情報を含む発信要求を前記主装置に送信し、
前記主装置の前記通信処理部は、前記特定情報が示す前記第1発信者に関連付けられた電話機に前記着信通知を送信する、
電話システム。
【請求項3】
前記第1電話機の前記第1通信部は、前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて前記生体情報を前記主装置に送信し、
前記主装置は、
ユーザの前記生体情報と前記ユーザの前記特定情報とを対応づけて記憶する主記憶部と、
前記主記憶部を参照して、前記第1通信部から受信した前記生体情報に対応する前記第1発信者の前記特定情報を特定する特定情報特定部と
を更に有する、
請求項に記載の電話システム。
【請求項4】
前記第1電話機は、前記ユーザとして登録する登録者の前記特定情報と前記生体情報とを受け付ける第1登録部を更に有し、
前記第1電話機の前記第1通信部は、前記登録者の前記特定情報と前記生体情報とを登録情報として前記主装置に送信し、
前記主装置は、受信した前記登録情報に前記ID情報を付与し、付与した前記ID情報と前記登録情報に含まれている前記特定情報とを対応づけて前記主記憶部に記憶する主登録部を更に有し、
前記主装置の前記通信処理部は、付与した前記ID情報と前記登録情報に含まれている前記生体情報とを更新登録情報として前記第1電話機及び前記第2電話機に送信し、
前記第1電話機の前記第1登録部は、前記第1通信部が受信した前記更新登録情報を前記第1記憶部に記憶し、
前記第2電話機は、
前記ユーザの前記生体情報と前記ユーザの前記ID情報とを対応づけて記憶する第2記憶部と、
前記第2通信部が受信した前記更新登録情報を前記第2記憶部に記憶する第2登録部と
を更に有する、
請求項に記載の電話システム。
【請求項5】
前記第2電話機は、
前記主装置から受け取った前記第1発信者の前記特定情報を含む情報を着信履歴として記憶する着信記憶部と、
前記着信履歴に基づく発信を受け付ける発信受付部と
を更に有し、
前記第2通信部は、前記発信受付部が前記着信履歴に基づく発信を受け付けた場合、前記特定情報を含む発信要求を前記主装置に送信し、
前記主装置の前記通信処理部は、前記特定情報が示す前記第1発信者に関連付けられた電話機に前記着信通知を送信する、
請求項1又は記載の電話システム。
【請求項6】
前記主装置は、前記第2電話機へと着信させた前記第1電話機の情報と前記第1発信者の前記特定情報とを履歴情報として記憶する履歴記憶部を更に有し、
前記主装置の前記通信処理部は、前記履歴記憶部に記憶されている前記特定情報を含む履歴情報のうち、現在の時間に最も近い時刻に記憶された履歴情報に含まれている電話機へと、前記第2電話機からの前記着信通知を送信する、
請求項2又は5に記載の電話システム。
【請求項7】
前記第1電話機の前記第1通信部は、前記第1発信者が電話番号を入力しないで前記第1生体情報取得部へ前記生体情報を取得させた場合、前記生体情報を前記主装置に送信し、
前記主装置は、前記通信処理部が前記第1通信部から発信先の電話番号が関連付けられていない前記生体情報を受信したことに応じて、前記履歴記憶部に記憶されている履歴情報のうち前記生体情報に対応する前記第1発信者の履歴情報に含まれている電話機の情報を、前記第1電話機の情報に更新する更新部を更に備える、
請求項6に記載の電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公衆電話網と接続されている主装置と、主装置に接続されている複数の電話機とを備え、外線と内線との間、内線同士の間を主装置が接続する電話システムがオフィス等で用いられている。このような電話システムを構成している電話機、主装置等は、様々な機能を有し、利用者の要求に応えるように進歩している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-72665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電話システムの場合、電話機の電話番号等を発信先の電話機で表示させることができるので、例えば、不在時に着信があっても発信先の電話機から発信元の電話機へと電話をかけることができる。しかしながら、利用者のそれぞれに専用の電話機が配布されていなければ、発信元の電話機で操作した人が誰であるかを特定できない。例えば、発信元の電話機が会議室等の多数の人が利用する電話機の場合、発信先の電話機の利用者は、誰からの着信であるかを特定することは困難である。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電話システムにおいて、電話発信をした発信者の情報を着信した電話機で表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、第1電話機と、第2電話機と、前記第1電話機及び前記第2電話機との間の電話回線を接続する主装置とを備える電話システムであって、前記第1電話機は、前記第1電話機を用いて発信する第1発信者の生体情報を取得する第1生体情報取得部と、前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて、前記第1生体情報取得部が取得した前記生体情報に基づく情報を前記主装置に送信する第1通信部とを有し、前記主装置は、前記第1電話機からの発信を前記第2電話機に着信させる場合、前記生体情報に対応する前記第1発信者を特定するための特定情報と前記第1電話機を特定するための電話機情報とを関連付けた着信通知を前記第2電話機に送信する通信処理部を有し、前記第2電話機は、前記主装置からの前記着信通知を受け取る第2通信部と、前記主装置からの前記着信通知に関連付けられた前記特定情報と前記電話機情報とのうち少なくとも前記特定情報を表示する特定情報表示部とを有する、電話システムを提供する。
【0007】
前記第1電話機の前記第1通信部は、前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて前記生体情報を前記主装置に送信し、前記主装置は、ユーザの前記生体情報と前記ユーザの前記特定情報とを対応づけて記憶する主記憶部と、前記主記憶部を参照して、前記第1通信部から受信した前記生体情報に対応する前記第1発信者の前記特定情報を特定する特定情報特定部とを更に有してもよい。
【0008】
前記第1電話機は、ユーザの前記生体情報と前記ユーザのID情報とを対応づけて記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部を参照して、前記第1生体情報取得部が取得した前記生体情報に対応する前記ID情報を特定するID特定部とを更に有し、前記第1電話機の前記第1通信部は、前記第1発信者が入力した前記第2電話機の電話番号に関連付けて、特定された前記ID情報を前記主装置に送信し、前記主装置は、前記ユーザの前記ID情報と前記ユーザの前記特定情報とを対応づけて記憶する主記憶部と、前記主記憶部を参照して、前記第1通信部から受信した前記ID情報に対応する前記ユーザの前記特定情報を特定する特定情報特定部とを更に有してもよい。
【0009】
前記第1電話機は、前記ユーザとして登録する登録者の前記特定情報と前記生体情報とを受け付ける第1登録部を更に有し、前記第1電話機の前記第1通信部は、前記登録者の前記特定情報と前記生体情報とを登録情報として前記主装置に送信し、前記主装置は、受信した前記登録情報に前記ID情報を付与し、付与した前記ID情報と前記登録情報に含まれている前記特定情報とを対応づけて前記主記憶部に記憶する主登録部を更に有し、前記主装置の前記通信処理部は、付与した前記ID情報と前記登録情報に含まれている前記生体情報とを更新登録情報として前記第1電話機及び前記第2電話機に送信し、前記第1電話機の前記第1登録部は、前記第1通信部が受信した前記更新登録情報を前記第1記憶部に記憶し、前記第2電話機は、前記ユーザの前記生体情報と前記ユーザの前記ID情報とを対応づけて記憶する第2記憶部と、前記第2通信部が受信した前記更新登録情報を前記第2記憶部に記憶する第2登録部とを更に有してもよい。
【0010】
前記第2電話機は、前記主装置から受け取った前記第1発信者の前記特定情報を含む情報を着信履歴として記憶する着信記憶部と、前記着信履歴に基づく発信を受け付ける発信受付部とを更に有し、前記第2通信部は、前記発信受付部が前記着信履歴に基づく発信を受け付けた場合、前記特定情報を含む発信要求を前記主装置に送信し、前記主装置の前記通信処理部は、前記特定情報が示す前記第1発信者に関連付けられた電話機に前記着信通知を送信してもよい。
【0011】
前記主装置は、前記第2電話機へと着信させた前記第1電話機の情報と前記第1発信者の前記特定情報とを履歴情報として記憶する履歴記憶部を更に有し、前記主装置の前記通信処理部は、前記履歴記憶部に記憶されている前記特定情報を含む履歴情報のうち、現在の時間に最も近い時刻に記憶された履歴情報に含まれている電話機へと、前記第2電話機からの前記着信通知を送信してもよい。
【0012】
前記第1電話機の前記第1通信部は、前記第1発信者が電話番号を入力しないで前記第1生体情報取得部へ前記生体情報を取得させた場合、前記生体情報を前記主装置に送信し、前記主装置は、前記通信処理部が前記第1通信部から発信先の電話番号が関連付けられていない前記生体情報を受信したことに応じて、前記履歴記憶部に記憶されている履歴情報のうち前記生体情報に対応する前記第1発信者の履歴情報に含まれている電話機の情報を、前記第1電話機の情報に更新する更新部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電話システムにおいて、電話発信をした発信者の情報を着信した電話機で表示できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る電話システム10の構成例を示す。
図2】本実施形態に係る主記憶部350が記憶している情報のデータ構造の一例を示す。
図3】本実施形態に係る電話システム10の動作フローの一例を示す。
図4】本実施形態に係る電話システム10の第1変形例を示す。
図5】第1変形例の電話システム10の動作フローの一例を示す。
図6】本実施形態に係る電話システム10の第2変形例を示す。
図7】第2変形例の電話システム10の動作フローの一例を示す。
図8】第2変形例の電話システム10がユーザの生体情報とID情報とを登録する動作フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<電話システム10の構成例>
図1は、本実施形態に係る電話システム10の構成例を示す。電話システム10は、例えば、会社のオフィス等に設けられており、会社に在籍している社員等によって利用される。電話システム10は、内線通話が着信した電話機において発信者の情報を確認できるシステムである。電話システム10は、第1電話機110と、第2電話機210と、主装置300とを備える。なお、本実施形態において、第1発信者20が第1電話機110から第2電話機210へと電話をかける例について説明する。
【0016】
第1電話機110及び第2電話機210は、主装置300に接続されている複数の電話機の一例である。第1電話機110及び第2電話機210は、卓上型、携帯型等の電話機であり、外部の電話機との通話(外線通話)、主装置300に接続されている電話機同士の通話(内線通話)のために用いられる。第1電話機110及び第2電話機210は、例えば、会議室、応接室、社員が利用する机等に配置されている。第1電話機110は、第1入力部112、第1受話器114、第1生体情報取得部120、第1通信部130、第1制御部140、第1記憶部150、及び第1表示部160を有する。
【0017】
第1入力部112は、ユーザからの電話番号等の入力を受け付ける。第1入力部112は、例えば、ボタン、タッチパネル等を含む。第1受話器114は、ユーザの音声を取得して電気信号に変換する。また、第1受話器114は、接続先の電話機から受信した電気信号を音声に変換する。第1受話器114は、第1電話機110の本体から分離可能に形成されていてもよく、これに代えて、第1電話機110の本体と一体に形成されていてもよい。
【0018】
第1生体情報取得部120は、第1電話機110を用いて発信する第1発信者20の生体情報を取得する。生体情報は、例えば、第1発信者20の指紋である。この場合、第1生体情報取得部120は、例えば、第1発信者20が指先を接触させることで指紋の凹凸を検出して電気信号に変換する指紋センサを有する。第1生体情報取得部120は、例えば第1電話機110の本体に設けられていてもよく、第1受話器114に設けられていてもよい。第1生体情報取得部120が第1受話器114に設けられている場合、ユーザが指紋センサに指を触れることを意識しなくても第1生体情報取得部120が指紋を取得することができる。第1生体情報取得部120は、指紋の検出結果を生体情報として取得してもよく、これに代えて、指紋の凹凸を解析して指紋の特徴を抽出した結果を生体情報として取得してもよい。
【0019】
第1通信部130は、主装置300と通信し、主装置300を介して他の電話機と音声信号を含む電気信号を送受信する。また、第1通信部130は、第1入力部112が受け付けた電話番号を主装置300に送信する。
【0020】
第1制御部140は、第1記憶部150に記憶されたプログラムを実行することにより、第1入力部112、第1受話器114、第1生体情報取得部120、第1通信部130、第1記憶部150、及び第1表示部160を制御して、第1電話機110を電話として機能させる。第1制御部140は、例えば、CPUである。詳細な動作については後述するが、第1制御部140は、例えば、第1通信部130を制御して、第1発信者20が入力した第2電話機210の電話番号に関連付けて第1生体情報取得部120が取得した生体情報を主装置300に送信する。
【0021】
第1記憶部150は、第1制御部140が制御動作に用いる設定値、閾値、及びパラメータ等を記憶する。第1記憶部150は、CPU等のコンピュータが第1制御部140として動作する場合、第1制御部140として機能するOS(Operating System)、及びプログラムの情報を格納してもよい。また、第1記憶部150は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。
【0022】
第1表示部160は、他の電話機からの着信の通知、着信履歴等を表示する。第1表示部160は、第1入力部112が受け付けた入力内容を表示してもよい。また、第1表示部160は、時刻等を表示してもよい。第1電話機110は、後述するように、主装置300から特定情報を受信すると、第1表示部160に特定情報を表示させる。この場合、第1表示部160は、特定情報表示部として機能する。特定情報は、発信者を特定するための情報であり、例えば発信者名又は発信者を識別するためのコード情報であり、発信者の苗字、名前、フルネーム、ニックネーム等を示す文字列である。
【0023】
以上のような第1電話機110の基本的な構成及び第1電話機110を用いたユーザの通常の通話動作は、既知の技術なので、詳細な説明は省略する。また、第2電話機210も同様の構成であるので、説明を省略する。図1には、第2電話機210が第1電話機110と同様に、第2入力部212、第2受話器214、第2生体情報取得部220、第2通信部230、第2制御部240、第2記憶部250、及び第2表示部260を有する例を示す。
【0024】
主装置300は、第1電話機110及び第2電話機210との間の電話回線を接続する。主装置300は、接続可能な回線数の範囲内で、内線と外線との間、内線同士の間を接続する。主装置300は、インターフェイス部310と、通信処理部320と、主制御部330と、特定情報特定部340と、主記憶部350とを備える。主制御部330及び特定情報特定部340は、例えば、CPUを有する。
【0025】
インターフェイス部310は、電話会社等によって敷設されている電話回線が接続されている。外部の電話回線についての説明は省略する。
【0026】
通信処理部320は、通話路を切り替えるとともに、第1電話機110及び第2電話機210との間で各種の情報を送受信する。通信処理部320は、例えば、第1通信部130から発信先の電話番号と生体情報とを受信する。通信処理部320は、受信した電話番号に対応する第2電話機210の第2通信部230に着信通知を送信する。通信処理部320は、第2通信部230から応答を受信すると、第1電話機110及び第2電話機210の間で通話路を接続する。
【0027】
通信処理部320は、第1電話機110からの発信を第2電話機210に着信させる場合、生体情報に対応する第1発信者20を特定するための特定情報を関連付けて着信通知を第2電話機210に送信する。具体的には、まず通信処理部320は、第1電話機110から受信した生体情報を主制御部330に通知する。通信処理部320は、主制御部330に通知した生体情報に対応する第1発信者20を特定するための特定情報の通知を主制御部330から受ける。通信処理部320は、通知された特定情報を、着信通知とともに第2通信部230に送信する。
【0028】
主制御部330は、主記憶部350に記憶されているプログラムを実行することによりインターフェイス部310、通信処理部320、特定情報特定部340、主記憶部350を制御して、インターフェイス部310に接続されている電話回線と電話機とを接続する。また、主制御部330は、主装置300に接続されている電話機同士を接続する。主制御部330は、通信処理部320から生体情報の通知を受けると、通知された生体情報を特定情報特定部340に入力し、特定情報特定部340から、生体情報に対応する特定情報を取得する。主制御部330は、取得した特定情報を通信処理部320に通知する。
【0029】
特定情報特定部340は、主記憶部350を参照して、第1通信部130から受信した生体情報に対応する第1発信者20の特定情報を特定する。ここで、主記憶部350は、ユーザの生体情報とユーザの特定情報とを対応づけて記憶している。特定情報特定部340は、例えば主制御部330の指示に基づいて、複数のユーザのうち、第1発信者20に対応する特定情報を主記憶部350から読み出すことにより、第1発信者20の特定情報を特定する。
【0030】
主記憶部350は、複数の電話機に割り当てられている内線番号を記憶する。これにより、例えば、第1発信者20が第1電話機110から第2電話機210に割り当てられている内線番号に発信すると、通信処理部320は、内線番号が割り当てられている第2電話機210の第2通信部230へと着信通知を送信できる。
【0031】
主記憶部350は、電話機がユーザに配布されている場合、内線番号とユーザの特定情報とを対応付けて記憶することが望ましい。また、主記憶部350は、複数の電話機の電話番号と複数の電話機を特定する電話機情報とを対応づけて更に記憶してもよい。電話機情報は、電話機の名前、電話機が配置されている部屋又は場所の名前、電話機を共有しているグループの名前等である。
【0032】
<データ構造の一例>
図2は、本実施形態に係る主記憶部350が記憶している情報のデータ構造の一例を示す。図2は、内線番号101の電話機がAさんに配布されており、内線番号101と特定情報である「Aさん」とAさんの生体情報である指紋の情報とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている例を示す。
【0033】
また、内線番号102の電話機をBさんとCさんが共有しており、内線番号102と電話機情報の「共有電話1」と特定情報である「Bさん」及び「Cさん」とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている例を示す。そして、「Bさん」とBさんの指紋の情報とが対応付けられ、「Cさん」とCさんの指紋の情報とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている。
【0034】
また、電話機が配布されていないDさんに対して、特定情報である「Dさん」とDさんの指紋の情報とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている。更に、会議室Aに配置されている内線番号501の電話機に対して、内線番号501と電話機情報の「会議室A」とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている。同様に、会議室Bに配置されている内線番号502の電話機に対して、内線番号502と電話機情報の「会議室B」とが対応付けられて主記憶部350に記憶されている。
【0035】
主記憶部350は、主制御部330が制御動作に用いる設定値、閾値、及びパラメータ等を記憶する。主記憶部350は、CPU等のコンピュータが主制御部330及び特定情報特定部340として動作する場合、主制御部330及び特定情報特定部340として機能するOS、及びプログラムの情報を格納してもよい。また、主記憶部350は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。
【0036】
以上の本実施形態に係る電話システム10は、第1電話機110が第1発信者20の生体情報を取得し、取得した生体情報を用いることにより、発信先の第2電話機210に第1発信者20を特定する特定情報を表示させる。このような電話システム10の動作について次に説明する。
【0037】
<電話システム10の動作フローの一例>
図3は、本実施形態に係る電話システム10の動作フローの一例を示す。主装置300の主記憶部350には、図2に示すような情報が記憶されているものとする。第1発信者20が第1電話機110を操作して第2電話機210に電話をかけると、電話システム10は、図3に示す動作フローを実行して、第1電話機110の発信を第2電話機210に着信させる。本実施例において、第1発信者20であるBさんが、会議室Aから内線番号101のAさんに電話をかける例を説明する。
【0038】
まず、第1発信者20は、第1電話機110の第1入力部112を操作して第2電話機210の電話番号を入力する。第1入力部112は、第2電話機210の電話番号を受け付ける(S51)。次に、第1発信者20は、自分の指先を第1生体情報取得部120に当てて指紋を入力する。第1生体情報取得部120は、第1発信者20の指紋を生体情報として取得する(S52)。なお、S51及びS52の動作は、順序が逆であってもよい。
【0039】
次に、第1通信部130は、第1発信者20が入力した第2電話機の電話番号に関連付けて、第1生体情報取得部120が取得した生体情報を主装置300に送信する(S53)。以上のように、第1電話機110は、第1発信者20の入力に基づく発信処理をする。
【0040】
主装置300の通信処理部320は、第1電話機110が送信した情報を受信する。そして、特定情報特定部340は、主記憶部350を参照して、第1通信部130から受信した生体情報に対応する第1発信者20の特定情報を特定する(S54)。特定情報特定部340は、例えば、第1発信者20の指紋を解析して特徴を抽出し、抽出した特徴と主記憶部350に記憶されている情報とを照合して、第1発信者20の特定情報である「Bさん」を特定する。
【0041】
なお、第1電話機110の第1生体情報取得部120が第1発信者20の指紋を解析して特徴を抽出して生体情報として取得してもよい。この場合、主記憶部350には、指紋の特徴を示す生体情報が指紋情報として記憶されており、特定情報特定部340は、指紋の特徴を示す生体情報と主記憶部350に記憶されている指紋情報とを照合する。また、第1生体情報取得部120が取得した生体情報が不鮮明な場合、特定情報特定部340は、生体情報とマッチする情報が得られないことがある。この場合、主装置300は、通常の電話発信と同様に特定情報はないものとして処理してよい。
【0042】
次に、通信処理部320は、生体情報に対応する第1発信者20を特定するための特定情報を関連付けて着信通知を第2電話機210に送信する(S55)。通信処理部320は、例えば、「Bさん」の特定情報を関連付けた着信通知を第2電話機210に送信する。ここで、通信処理部320は、第1電話機110からの発信を第2電話機210に着信させる場合、特定情報と第1電話機110の電話機情報とを関連付けて第2電話機に送信してもよい。通信処理部320は、例えば、「Bさん」の特定情報と「会議室A」を示す電話機情報とを関連付けた着信通知を第2電話機210に送信する。
【0043】
第2電話機210の第2通信部230は、主装置300からの着信通知を受け取ると、音、光、振動等を発生して着信していることをユーザに知らせる(S56)。そして、第2表示部260は、主装置300からの着信通知に関連付けられた特定情報を表示する(S57)。第2表示部260は、着信していることを表示してもよく、第1電話機110の電話番号を表示してもよい。
【0044】
これにより、第2電話機210の第2表示部260は、特定情報を表示する特定情報表示部として機能することができる。したがって、例えば、第2電話機210の近くにいるユーザは、第1電話機110からのBさんの発信を第2電話機210が着信していることが電話を受ける前からわかる。
【0045】
また、主装置300が特定情報と電話機情報とを第2電話機210に送信した場合、第2表示部260は、特定情報と電話機情報とのうち少なくとも特定情報を表示する。例えば、第2表示部260は、特定情報と電話機情報とを表示する。第2表示部260は、特定情報と電話機情報とを同時に表示してもよく、順次表示してもよい。これにより、第2電話機210の近くにいるユーザは、会議室Aにある第1電話機110からBさんの着信があることがわかる。
【0046】
電話システム10は、このような特定情報を主装置300の主記憶部350に記憶し、電話機の記憶部には記憶させない。したがって、例えば、電話機の紛失、第三者による電話機の解析等が生じても、個人を特定することができる特定情報が外部に流出するリスクを低減することができる。
【0047】
なお、第1電話機110及び第2電話機210は、主装置300から受け取った第1発信者20の特定情報を含む情報を着信履歴として記憶する着信記憶部を更に有してよい。この場合、第2記憶部250の一部が、着信記憶部として機能してもよい。これにより、例えば、第2電話機210を操作するAさんが離席して着信を受けられなかった場合、第2表示部260は、着信履歴に特定情報を表示することができる。したがって、Aさんが戻ってきた場合、会議室Aにある第1電話機110からBさんの着信があったことがわかる。
【0048】
これにより、Aさんは、多数のユーザが利用する会議室Aの第1電話機110からの着信履歴があっても、実際に電話をかけた第1発信者20が誰であるかを把握することができる。したがって、Aさんは、会議室Aの第1電話機110に電話をかけて、第1発信者20のBさんと速やかに通話することができる。
【0049】
ここで、第1制御部140及び第2制御部240は、特定情報が着信記憶部に記憶されてから予め定められた時間が経過したことに応じて、記憶した特定情報を削除することが望ましい。また、例えば、第2制御部240は、第2通信部230が特定情報に対応付けられている第1電話機110へと発信したことに応じて、着信記憶部が記憶した特定情報を削除してもよい。これにより、第2電話機210の紛失、第三者による電話機の解析等が生じても、個人を特定する特定情報等が外部に流出するリスクを低減することができる。
【0050】
図3は、Bさんの着信履歴に対応して、Aさんが第2電話機210を用いてBさんに電話をかける例を更に示す。この場合、Aさんは、第2発信者30となり、例えば、第2電話機210の第2入力部212を操作して第1電話機110の電話番号を入力する(S58)。第2発信者30は、第2電話機210が有する履歴発信の機能を使って第1電話機110に発信してもよい。ここで、第2発信者30は、自分の指先を第2生体情報取得部220に当てて指紋を入力してもよい(S59)。
【0051】
これにより、第2電話機210の第2通信部230と主装置300の通信処理部320は、第2発信者30の特定情報と第2電話機210の電話機情報とを関連付けて着信通知を第1電話機110に送信することができる(S60)。このように、第2電話機210の着信履歴に基づいて発信元に電話をかける場合、主装置300及び第2電話機210は、第1電話機110の特定情報を再利用してもよい。このような電話システム10について、次に説明する。
【0052】
<電話システム10の第1変形例>
図4は、本実施形態に係る電話システム10の第1変形例を示す。第1変形例の電話システム10において、図1に示された本実施形態に係る電話システム10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第1変形例の電話システム10は、第2電話機210が発信受付部270を有し、主装置300が更新部360を有し、主記憶部350が履歴記憶部352を有する。また、第2記憶部250の一部は、上述の着信記憶部252である。なお、第1電話機110も、第2電話機210と同様の構成であってもよい。
【0053】
発信受付部270は、着信履歴に基づく発信を受け付ける。ここで、第2入力部212が発信受付部270の機能を有してもよい。発信受付部270は、着信記憶部252が記憶した第1発信者20の特定情報を再利用する。例えば、第2通信部230は、発信受付部270が着信履歴に基づく発信を受け付けた場合、特定情報を含む発信要求を主装置300に送信する。
【0054】
主装置300の通信処理部320は、特定情報が示す第1発信者20に関連付けられた電話機に着信通知を送信する。例えば、主制御部330は、主記憶部350に記憶されている図2に示すデータ構造を読み出し、Bさんに関連付けられている内線番号102の電話機に着信通知を送信する。これにより、例えば、会議が終了してBさんが会議室Aから内線番号102の電話機が配置されている部屋に戻っても、主制御部330は、第2電話機210と内線番号102の電話機とを接続することができる。
【0055】
また、内線番号102の電話機がBさんとCさんとの共有の電話機であっても、第2発信者30のAさんは、第1発信者20がBさんであることを知っているので、速やかにBさんと通話することができる。なお、会議がまだ終了していない場合、又はBさんが更に離席している場合であっても、主制御部330は、第1発信者20のBさんが滞在している可能性が高い部屋の電話機に着信通知を送信しているので、第2発信者30は第1発信者20が離席中であることを把握できる。
【0056】
これに代えて、主制御部330は、履歴記憶部352に記憶されている情報を利用してもよい。履歴記憶部352は、第2電話機210へと着信させた第1電話機110の情報と第1発信者20の特定情報とを履歴情報として記憶する。そして、主制御部330は、第2電話機210の着信要求に含まれている特定情報が示す第1発信者20に関連付けられた第1電話機110の情報を履歴情報から取得する。これにより、通信処理部320は、履歴記憶部352に記憶されている特定情報を含む履歴情報のうち、現在の時間に最も近い時刻に記憶された履歴情報に含まれている電話機へと、第2電話機210からの着信通知を送信する。
【0057】
このように、主装置300は、電話機が発信した履歴を特定情報に関連付けて記憶することにより、第1発信者20の最新の履歴を利用することができ、第1発信者20がいる可能性がより高い場所に設置されている電話機に着信通知を送信できる。ここで、主装置300は、第1発信者20の入力に対応して、更新部360を用いて履歴記憶部352の記憶を更新させてもよい。なお、更新部360は、例えば、主制御部330と同様に、CPU等により構成されている。
【0058】
例えば、第1発信者20は、電話番号を入力しないで履歴情報を更新するための操作を行うとともに、生体情報を第1電話機110に入力する。第1制御部140は、生体情報の入力に対応して、履歴情報の更新要求とともに、第1通信部130から生体情報を主装置300に送信する。更新部360は、このように通信処理部320が第1電話機110から履歴情報の更新要求とともに生体情報を受信した場合に、受信した生体情報に関連付けられている履歴情報を更新する。これにより、第1発信者20は、電話をかけた後に移動した場合、別の電話から生体情報を入力するだけで、自分が利用できる電話機の情報を更新することができる。このような第1変形例の電話システム10の動作について次に説明する。
【0059】
<電話システム10の動作フローの一例>
図5は、第1変形例の電話システム10の動作フローの一例を示す。図5は、第1発信者20であるBさんが会議室Aの第1電話機110から第2電話機210への着信履歴を利用して、第2電話機210を使用するAさんがBさんに電話をかけた例を示す。なお、Bさんは会議室Aから自分の席がある部屋へと移動しているものとする。そして、Bさんの席の近くには第4電話機410が配置されているものとする。すなわち、図5は、Aさんが第2電話機210を用いて第4電話機410を利用するBさんに電話をかける場合の、電話システム10の処理の流れを示している。なお、図5に示す動作フローにおいて、S51からS57までの動作は図3に示された動作フローと同様の動作であるので、説明は省略する。
【0060】
第4電話機410は、例えば、図2のデータ構造における内線番号102の電話である。なお、第4電話機410は、第1電話機110及び第2電話機210と同様の構成とする。また、第1電話機110及び第2電話機210の部材と対応する第4電話機410の部材について、符号を400番台の符号に代えて説明する。
【0061】
第1発信者20は、第4電話機410が配置されている部屋に移動した後に、第4電話機410の第4生体情報取得部420から生体情報を入力する(S61)。第4通信部430は、第1発信者20が電話番号を入力しないで第4生体情報取得部420へ生体情報を取得させた場合、生体情報を主装置300に送信する(S62)。
【0062】
そして、更新部360は、通信処理部320が第4通信部430から発信先の電話番号が関連付けられていない生体情報を受信したことに応じて、履歴記憶部352に記憶されている履歴情報のうち、受信した生体情報に対応する第1発信者20の履歴情報に含まれている電話機の情報を、第4電話機410の情報に更新する(S63)。更新部360は、例えば、第1発信者20に対応する特定情報(Bさん)に関連付けられている第1電話機110から第2電話機210に発信した履歴情報を、第4電話機410から第2電話機210に発信した履歴情報に更新する。
【0063】
更新部360による履歴情報の更新後、第2発信者30であるAさんは、第1発信者20の着信履歴に基づいて、発信受付部270から第1電話機110への履歴発信を入力する(S64)。第2通信部230は、発信受付部270が着信履歴に基づく発信を受け付けた場合、第1発信者20の特定情報を含む発信要求を主装置300に送信する(S65)。
【0064】
そして、主装置300は、履歴記憶部352に記憶されている履歴情報において、特定情報が示す第1発信者20に関連付けられた電話機に着信通知を送信する。ここで、履歴情報は、更新部360が更新しているので、第1発信者20に対応付けられている電話機は、第4電話機410となる。これにより、通信処理部320は、第4電話機410に第2電話機210からの着信通知を送信できる(S66)。
【0065】
以上のように、第1変形例の電話システム10は、第1発信者20が移動先の電話機に生体情報を入力することで、着信通知を受信する電話機を変更できる。これにより、第2発信者30は、第1発信者20の移動先を考慮せず、着信履歴に対応して発信するだけで、効率よく第1発信者20と通話を開始することができる。
【0066】
以上の本実施形態に係る電話システム10は、第1電話機110から生体情報を主装置300に送信する例を説明したが、これに限定されることはない。第1電話機110は、生体情報に基づく情報を主装置300に送信してもよい。第1電話機110は、暗号化された情報を送信してもよく、これに代えて、ユーザのIDを示すID情報を送信してもよい。ユーザのID情報を利用した電話システム10について、次に説明する。
【0067】
<電話システム10の第2変形例>
図6は、本実施形態に係る電話システム10の第2変形例を示す。第2変形例の電話システム10において、図1に示された本実施形態に係る電話システム10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2変形例の電話システム10において、第1電話機110はID特定部180と第1登録部190とを更に有し、第2電話機210は第2登録部290を更に有し、主装置300は主登録部370を更に有する。なお、第2電話機210もID特定部と第2登録部とを更に有し、第1電話機110も第1登録部を更に有してもよい。
【0068】
第2変形例の第1電話機110の第1記憶部150は、ユーザの生体情報とユーザのID情報とを対応づけて記憶する。ID情報は、例えば、予めユーザに関連付けて登録されている数字、文字、記号等の組み合わせである。なお、第1電話機110において、ユーザの生体情報とユーザのID情報は、第1登録部190が第1記憶部150に登録する。同様に、第2電話機210において、ユーザの生体情報とユーザのID情報は、第2登録部290が第2記憶部250に登録する。ユーザのID情報の登録については、後述する。
【0069】
ID特定部180は、第1記憶部150を参照して、第1生体情報取得部120が取得した生体情報に対応するID情報を特定する。ID特定部180及び第1登録部190は、例えば、第1制御部140と同様に、CPU等である。そして、第1通信部130は、第1発信者20が入力した第2電話機210の電話番号に関連付けて、特定されたID情報を主装置300に送信する。
【0070】
第2変形例の主装置300の主記憶部350は、ユーザのID情報とユーザの特定情報とを対応づけて記憶する。主登録部370は、例えば第1電話機110からの指示に基づいて、ID情報とユーザの特定情報とを対応づけて主記憶部350に記憶させる。そして、特定情報特定部340は、主記憶部350を参照して、第1通信部130から受信したID情報に対応するユーザの特定情報を特定する。以上のように、第2変形例の電話システム10は、電話機において生体情報をID情報に変換してから、主装置300に送信する。このような電話システム10の動作フローについて次に説明する。
【0071】
<第2変形例の電話システム10の動作フローの一例>
図7は、第2変形例の電話システム10の動作フローの一例を示す。図7に示す動作フローは、図3に示す動作フローと同様に、第1発信者20であるBさんが、会議室Aから内線番号101のAさんに電話をかける例を示す。
【0072】
まず、第1発信者20は、第1電話機110の第1入力部112を操作して第2電話機210の電話番号を入力する(S71)。第1入力部112は、第2電話機210の電話番号を受け付ける。次に、第1発信者20は、自分の指先を第1生体情報取得部120に当てて指紋を入力する。第1生体情報取得部120は、第1発信者20の指紋を解析して指紋の特徴を抽出し、抽出した特徴を生体情報として取得する(S72)。
【0073】
次に、ID特定部180は、第1記憶部150を参照して、第1生体情報取得部120が取得した生体情報に対応するID情報を特定する(S73)。第1通信部130は、第1発信者20が入力した第2電話機210の電話番号に関連付けて、特定されたID情報を主装置300に送信する(S74)。
【0074】
主装置300の特定情報特定部340は、主記憶部350を参照して、第1通信部130から受信したID情報に対応するユーザの特定情報を特定する(S75)。特定情報特定部340は、例えば、受信したID情報に関連付けて主記憶部350に記憶されている、第1発信者20の特定情報である「Bさん」を特定する。
【0075】
次に、通信処理部320は、特定した特定情報を含む着信通知を第2電話機210に送信する(S76)。ここで、通信処理部320は、特定情報と第1電話機110の電話機情報とを関連付けて第2電話機に送信してもよい。
【0076】
第2電話機210の第2通信部230は、主装置300からの着信通知を受け取ると、音、光、振動等を発生して着信していることをユーザに知らせる(S77)。そして、第2表示部260は、主装置300からの着信通知に関連付けられた特定情報を表示する(S78)。
【0077】
以上のように、第2変形例の電話システム10においても、第1発信者20の特定情報を関連付けた着信通知を発信先の第2電話機210に送信できる。また、第2変形例の電話システム10は、それぞれの電話機がID情報を送信し、主装置300がID情報から特定情報に変換する。したがって、電話機の紛失、第三者による電話機の解析等が生じても、個人を特定する特定情報等が外部に流出するリスクを低減することができる。
【0078】
また、第2変形例の電話システム10においても、着信履歴を利用して、第2電話機210から第1電話機110に発信してもよい。更に、第2変形例の電話システム10においても、図4で説明したように、主装置300の通信処理部320は、特定情報が示す第1発信者20に関連付けられた電話機に着信通知を送信してもよい。
【0079】
以上の第2変形例の電話システム10は、ユーザの生体情報とID情報とが複数の電話機と主装置とに登録されている例を説明した。この場合、電話機ごとにユーザの生体情報とユーザのID情報をそれぞれ登録してもよいが、これに代えて、主装置300が登録すべき情報を複数の電話機に送信することが望ましい。このような電話システム10の動作について次に説明する。
【0080】
<第2変形例の電話システム10の登録動作の一例>
図8は、第2変形例の電話システム10がユーザの生体情報とID情報とを登録する動作フローの一例を示す。電話システム10は、図7に示す動作フローを実行する前に、図8に示す動作フローを実行することが望ましい。本実施形態において、電話システム10に新たに登録するユーザを登録者とする。
【0081】
まず、第1登録部190は、ユーザとして登録する登録者の特定情報と生体情報とを受け付ける(S81)。第1登録部190は、第1入力部112と第1生体情報取得部120との組み合わせでもよい。例えば、第1入力部112が登録者の特定情報を受け付け、第1生体情報取得部120が登録者の生体情報を取得する。
【0082】
次に、第1電話機110の第1通信部130は、登録者の特定情報と生体情報とを登録情報として主装置300に送信する(S82)。主装置300の通信処理部320は登録情報を受信し、主登録部370は、受信した登録情報にID情報を付与し、付与したID情報と登録情報に含まれている特定情報とを対応づけて主記憶部350に記憶する(S83)。主登録部370は、予め主記憶部350に記憶されている複数のID情報から1つのID情報を読み出して登録情報に付与してもよく、これに代えて、予め定められたアルゴリズム等によってID情報を生成して付与してもよい。
【0083】
次に、通信処理部320は、付与したID情報と登録情報に含まれている生体情報とを更新登録情報として主装置300に接続されている電話機に送信する(S84)。図8は、通信処理部320が更新登録情報を第1電話機110及び第2電話機210に送信する例を示す。
【0084】
これにより、主装置300に接続されている電話機の登録部は、更新登録情報を記憶部に記憶して登録情報を更新する。例えば、第1電話機110の第1登録部190は、第1通信部130が受信した更新登録情報を第1記憶部150に記憶する(S85)。第2電話機210の第2登録部290は、第2通信部230が受信した更新登録情報を第2記憶部250に記憶する(S86)。
【0085】
以上のように、第2変形例の電話システム10は、登録者の情報を主装置300から複数の電話機へと送信するので、例えば、登録者は1台の電話機に対して登録の操作をするだけで全ての電話機への登録操作を完了することができる。なお、図8の動作フローにおいて、主登録部370が登録情報にID情報を付与する例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、S81において、第1登録部190がユーザからID情報を受け付けてもよい。
【0086】
以上の本実施形態の電話システム10において、生体情報が発信者の指紋である例を説明したが、これに限定されることはない。生体情報は、虹彩、網膜、静脈パターン、声紋、顔形、筆跡等でもよい。電話機には、このような生体情報を取得して電気信号に変換する生体情報取得部が設けられる。
【0087】
なお、生体情報が発信者の声紋の場合、生体情報取得部は、発信者の音声を取得し、取得した音声を解析することになる。この場合、生体情報取得部は、発信者が発した言葉をさらに解析してもよい。これにより、例えば、発信者が「BだけどAさんに発信して」と発声することにより、生体情報取得部は、発信者の声紋の情報と発信先の情報を取得することができる。言い換えると、例えば、第1電話機110は、発信者の音声を受け付けるだけで、発信者の生体情報と第2電話機210への発信の指示を取得することができる。
【0088】
なお、発信者の音声の解析は、それぞれの電話機で実行してもよく、主装置300で実行してもよい。主装置300で音声解析を実行する場合、それぞれの電話機は発信者の音声を音声信号に変換し、変換した音声信号を主装置300に送信すればよい。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0090】
10 電話システム
20 第1発信者
30 第2発信者
110 第1電話機
112 第1入力部
114 第1受話器
120 第1生体情報取得部
130 第1通信部
140 第1制御部
150 第1記憶部
160 第1表示部
180 ID特定部
190 第1登録部
210 第2電話機
212 第2入力部
214 第2受話器
220 第2生体情報取得部
230 第2通信部
240 第2制御部
250 第2記憶部
252 着信記憶部
260 第2表示部
270 発信受付部
290 第2登録部
300 主装置
310 インターフェイス部
320 通信処理部
330 主制御部
340 特定情報特定部
350 主記憶部
352 履歴記憶部
360 更新部
370 主登録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8