(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】制御方法、情報端末、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20240816BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240816BHJP
G16Y 10/45 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q50/12
G07G1/12 361C
G16Y10/45
(21)【出願番号】P 2022046936
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2021535222の分割
【原出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2020035960
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】矢羽田 洋
(72)【発明者】
【氏名】西 孝啓
(72)【発明者】
【氏名】遠間 正真
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 敏康
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134002(JP,A)
【文献】特開2005-222191(JP,A)
【文献】特開2019-023829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/12
G16Y 10/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する前記ユーザの情報端末の制御方法であって、
前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示されるマッチングアプリが指定する共通スタイルに即した第1操作画面を介して、一のレストランを表すレストランIDを取得し、
前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、
前記情報端末に格納された前記識別情報を前記第1サーバに送信し、前記識別情報に基づき、前記第1サーバから前記宗教情報を取得し、
前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を前記情報端末にて抽出し、前記宗教情報には前記ユーザの宗教において避けるべき食材に関する情報が含まれており、前記メニュー情報には料理毎の食材情報が含まれており、
前記レストランが指定する個別スタイルの第2操作画面であって前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、
前記第2操作画面を用いて前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報を、前記情報端末から前記第2サーバに送信することを含む、
制御方法。
【請求項2】
前記1以上の第1料理は、前記宗教情報に対応しない第2料理を除外したものである、
請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2操作画面は、前記1以上の料理において、前記宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含む、
請求項1記載の制御方法。
【請求項4】
前記第2操作画面は、前記宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含む、
請求項1記載の制御方法。
【請求項5】
前記第2操作画面は、前記1以上の料理において、所定期間における前記ユーザの過去の食事において、前記ユーザが不足していた栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含む、
請求項1記載の制御方法。
【請求項6】
前記第2操作画面は、所定期間における前記ユーザの過去の食事において、前記ユーザが不足していた栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含む、
請求項1記載の制御方法。
【請求項7】
前記ユーザの宗教情報は、前記ユーザの宗教、及び、前記宗教において避けるべき食材に関して前記避けるべき食材の程度を示すレベル情報を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2操作画面は、前記ユーザが可能な限り避けるべき食材を含む料理、を含む、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項9】
前記識別情報は、ユーザIDを含む、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項10】
前記第1サーバは、前記第2サーバと異なる、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項11】
前記レストランI
Dは、前記第1操作画面を介して、前記ユーザが着席したテーブルの対応位置に用意された識別コードを読み取ることで、取得される、
請求項1記載の制御方法。
【請求項12】
前記識別コードは、QRコードを含む、
請求項11記載の制御方法。
【請求項13】
前記識別コードは、NFC(Near FieldCommunication)を用いて読み取られる、
請求項11記載の制御方法。
【請求項14】
前記第1サーバは、前記宗教情報、生体情報、前記ユーザの物品の購買履歴情報又は料理の注文履歴情報を含む嗜好情報、及び前記ユーザの位置情報を含む行動履歴情報を分散管理する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項15】
ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する前記ユーザの情報端末の制御方法であって、
前記情報端末の位置情報に基づき、前記位置情報が示す地点を含む所定範囲の地域の地図情報を地図データベースから取得し、
前記情報端末に格納された前記識別情報を前記第1サーバに送信し、
前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示されるマッチングアプリが指定する共通スタイルに即した第1の第1操作画面を介して、前記地図情報及び前記識別情報に基づき、前記所定範囲の地域に存在し前記識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一以上のレストランを表すレストラン情報を、前記第1サーバから取得し、
前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示されるマッチングアプリが指定する共通スタイルに即した第2の第1操作画面を介して、前記一以上のレストランの中の一のレストランを示すレストランIDを取得し、
前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、
前記識別情報に基づき、前記第1サーバから前記宗教情報を取得し、
前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を前記情報端末にて抽出し、前記宗教情報には前記ユーザの宗教において避けるべき食材に関する情報が含まれており、前記メニュー情報には料理毎の食材情報が含まれており、
前記レストランが指定する個別スタイルの第2操作画面であって前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、
前記第2操作画面を用いて前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報を、前記情報端末から前記第2サーバに送信することを含む、
制御方法。
【請求項16】
前記ユーザの情報端末の位置情報は、前記第1サーバにおいてGPSシステムを用いて取得されている、
請求項15記載の制御方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の制御方法を実行する情報端末。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の制御方法を前記情報端末のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記ユーザを特定する識別情報は、前記プログラムに付与された情報端末毎のシリアルコードを含む、
請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか1項に記載の制御方法を前記情報端末のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体。
【請求項21】
ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する前記ユーザの情報端末の制御方法であって、
前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示されるマッチングアプリが指定する共通スタイルに即した第1操作画面を介して、一のレストランを表すレストランIDを取得し、
前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、
前記情報端末に格納された前記識別情報を前記第1サーバに送信し、前記識別情報に基づき、前記第1サーバから前記宗教情報を取得し、
前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を前記情報端末にて抽出し、前記宗教情報には前記ユーザの宗教を示す情報が含まれており、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理には、前記ユーザの宗教において避けるべき食材が含まれておらず、前記メニュー情報には料理毎の食材情報が含まれており、
前記レストランが指定する個別スタイルの第2操作画面であって前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、
前記第2操作画面を用いて前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報を、前記情報端末から前記第2サーバに送信することを含む、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報端末の制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ユーザの嗜好情報及び摂取が禁止された食材を表す危険食材情報、及び摂取量管理のための健康管理情報を含む個人データに基づいて、個人データに適合したメニューを提案する技術を開示する。
【0003】
特許文献2は、飲食店に設置され、メニューのオーダー情報等を入力して接客業務を支援するための飲食店用注文受付装置を開示する。特許文献2の飲食店用注文受付装置は、メニューのオーダー情報を入力できるオーダー入力画面を表示デバイスに表示させる手段を備えている。前記オーダー入力画面において、テーブルに設定されている個々の座席毎にメニューのオーダー情報が入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-222191号公報
【文献】特開2008-299821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、更なる改善が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る制御方法は、ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する情報端末の制御方法であって、前記第1サーバに対応し前記ユーザの情報端末のディスプレイに表示される第1操作画面を介して、前記識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一のレストランを表すレストランID及び前記ユーザの座席を示す席IDを取得し、前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を抽出し、前記第2サーバに対応し前記ユーザの情報端末のディスプレイに表示された前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報及び前記席IDを前記第2サーバに送信することを含む。
【発明の効果】
【0007】
上記態様により、更なる改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一般的な料理の注文システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の情報処理システムの情報基盤の全体像の一例を示す図である。
【
図3】本実施の形態の情報処理システムの全体像をより詳しく示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る情報処理システムの具体的な構成の一例を示す図である。
【
図5】レストランのある店舗のレイアウトを示した図である。
【
図6A】座席に対するQRコード(登録商標、以下同様)の設置例を示す図である。
【
図6B】座席に対するQRコードの設置例を示す図である。
【
図6C】座席に対するQRコードの設置例を示す図である。
【
図6D】座席に対するQRコードの設置例を示す図である。
【
図7】ユーザがQRコードを情報端末に読み取らせる場合に情報端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図8】QRコードリーダーがQRコードを読み取った直後の情報端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図9】レストランA社の標準メニューを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図10】ユーザが操作画面を操作して標準メニューから料理を注文するシーンの一例を示した図である。
【
図11】標準メニューから注文する料理を最終的に決定する際に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図12】料理を注文するユーザがマッチングアプリを起動した直後に情報端末に表示される認証画面の一例を示す図である。
【
図14】マッチングアプリによるユーザ認証が終わった直後に表示されるホーム画面の一例を示す図である。
【
図15】マッチングアプリを起動したユーザが自席に対応するQRコードを情報端末に読み取らせる場合に情報端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図16】NFCによりレストランID及び席IDを取得する場合に情報端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図17】マッチングアプリが個別メニューを生成している際に情報端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図18】個別メニューを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図19】ユーザが操作画面を操作して個別メニューから料理を注文するシーンを示した図である。
【
図20】個別メニューから注文する料理を最終的に決定する際に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図21】これまでの注文履歴をユーザが確認する時に表示される注文履歴画面の一例を示す図である。
【
図22】宗教の種類と、各宗教に応じたユーザの避けるべき食材をまとめた表である。
【
図23】第1サーバからマッチングアプリへ返信されるユーザの宗教情報を含む情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図24】第2サーバから返信されるメニュー情報を構成する食材情報のデータ3構成の一例を示す図である。
【
図25】ラーメンと野菜餃子の食材情報の一例を示す図である。
【
図26】本実施の形態における情報処理システムの処理の全体像の一例を示すシーケンス図である。
【
図27】標準メニューから料理が注文される場合の情報端末の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図28】個別メニューから料理が注文される場合の情報端末の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図29】
図28のステップS1の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図30】
図28のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図31】
図28のステップS3の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図32】
図28のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図33】本実施の形態における情報処理システムの具体的な実装形態の一例を示す図である。
【
図34】マッチングアプリが起動してから個別メニューを表示するまでのファイルに対するマッチングアプリの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図35】個別メニューの1つ目のバリエーションを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図36】個別メニューの2つ目のバリエーションを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図37】グレイアウト表示されたタイルオブジェクトを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図38】個別メニューの3つ目のバリエーションを含む操作画面の一例を示す図である。
【
図39】情報端末に表示されるマップ画面の一例を示す図である。
【
図40】マップ画面からユーザにレストランを選択させる態様が採用された場合の情報処理システムの処理の全体像の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至る経緯)
日本においては、近年、観光ブーム等の影響により、様々な宗教を持つ外国人の来日が増大している。各宗教には独自の教義があり、教義によって避けるべき食材が規定されている。このような事情を鑑みて、レストランは、客の宗教を考慮に入れて、食することが可能な料理を主に含むメニューを提案することができれば、顧客満足度が向上し、他の店との差別化を図ることができる。
【0010】
しかしながら、世界には、イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教、及びユダヤ教等の様々な宗教があり、各宗教において避けるべき食材が異なる。また、同じ宗教であっても宗派によって避けるべき食材が異なるケースもある。したがって、客が信仰する宗教及び宗派に応じて適切なメニューを提案することは容易ではない。
【0011】
さらに、ある客が注文した料理が間違って同じテーブルに座っている宗教の異なる別の客の席に配膳され、しかもその料理に別の客が宗教上の理由により避けるべき食材が含まれている場合、別の客に不快感を与えてしまう。さらに、別の客がそのような料理であることを気付かず、その料理を食してしまった場合、普段、食べ慣れていない食材を食したために、別の客の健康を害するおそれもある。したがって、このような配膳ミスは回避しなければならない。
【0012】
上述した特許文献1には、ある店舗においてテーブルごとに設けられたメニュー端末にユーザID及びパスワードをユーザに入力させ、データセンターからそのユーザの個人データとその店舗の店舗データとを店舗サーバが取得し、個人データ及び店舗データに基づいて問題食材(危険食材及び苦手食材)が除かれたメニュー及びお勧めメニュー(そのユーザの好物が多く含まれているメニュー等)を店舗サーバが決定し、決定されたメニューをメニュー端末が表示することが開示されている。
【0013】
しかしながら、特許文献1では、メニュー端末にはテーブル毎にユニークなテーブル番号が設定されていることからも明らかなように、テーブル単位での料理の注文のみが考慮されており、座席単位での料理の注文は何ら考慮されていない。そのため、特許文献1は、ある客が注文した料理が同一テーブルに座っている宗教の異なる別の客に間違って配膳される配膳ミスが発生する可能性がある。
【0014】
一方、嗜好情報のような個人データはセンシティブな情報であるため、その情報がユーザの許諾なしに第三者に提供されることは妥当ではない。
【0015】
しかしながら、特許文献1では、ユーザの個人データはデータセンターから店舗サーバへ送信されているため、ユーザの許諾なしに個人データが店舗側に提供されるという課題もある。
【0016】
特許文献2においては、個々のテーブルに設定されている個々の座席毎に料理のオーダー情報が入力デバイスによって入力及び登録指示可能にするオーダー入力画面が開示されている。このオーダー入力画面には、複数の座席を示す座席オブジェクトを含む座席位置画像と、各料理品目に対応する複数の料理特定画像とが含まれている。例えば、店員は座席位置画像から所望の座席の座席オブジェクトをタッチした後、所望の料理品目に対応する料理特定画像をタッチする。これにより、タッチされた座席に着席する客が個別にオーダーする料理品目が選択される。
【0017】
このように、特許文献2では、座席と料理品目との対応付けはオーダー入力画面を介した店員の手入力により行われている。そのため、座席と料理品目との対応付けに際して誤入力が生じる可能性がある。特に、店の混雑時においてはこのような誤入力が生じ易い。さらに、特許文献2のオーダー入力画面には、特許文献2の第38図に示されるように座席位置画像及び料理特定画像以外にも様々な情報及びオブジェクトが含まれている。このことからも、特許文献2のオーダー入力画面においてはこのような誤入力が生じる可能性が高いことが分かる。そのため、特許文献2も特許文献1と同様、上述の配膳ミスを防止することはできない。
【0018】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ある客が注文した料理が宗教の異なる別の客に配膳されることを防止することを第1の目的とする。
【0019】
さらに、本開示は、第1サーバが記憶するセンシティブな情報がユーザの許諾なしに第1サーバの外部に漏洩することを防止することを第2の目的とする。
【0020】
本開示の一態様に係る制御方法は、ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する情報端末の制御方法であって、前記第1サーバに対応し前記ユーザの情報端末のディスプレイに表示される第1操作画面を介して、前記識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一のレストランを表すレストランID及び前記ユーザの座席を示す席IDを取得し、前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を抽出し、前記第2サーバに対応し前記ユーザの情報端末のディスプレイに表示された前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報及び前記席IDを前記第2サーバに送信することを含む。
【0021】
上記の態様によると、料理を注文するに際して、ユーザの情報端末のディスプレイには第1操作画面が表示され、この第1操作画面を介して識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一のレストランを表すレストランID及びユーザの座席を示す席IDが取得される。取得されたレストランIDに基づき、そのレストランIDに対応する一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報が第2サーバから取得される。
【0022】
取得されたメニュー情報及びユーザの宗教情報に基づいて宗教情報に対応する1以上の第1料理が抽出される。抽出された1以上の第1料理は、一のレストランの料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して情報端末のディスプレイに表示される。第2操作画面に表示された1以上の第1料理7の中から料理が選択され、その料理を示す注文料理情報が席IDと対応付けられて第2サーバに送信される。
【0023】
このように、本態様では、ユーザが料理を注文する一連の過程の中で、個別メニューからユーザにより選択された料理を示す注文料理情報とユーザの座席との対応付けが人手を介することなく自動的に行われている。これにより、例えば、あるユーザが注文した料理に同一テーブルに座っている別のユーザが宗教上の理由から避けるべき食材が含まれており、しかもその料理が間違って別のユーザの座席に配膳されるという配膳ミスを防止できる。その結果、別のユーザに不快感を与えることを防止できる。さらに、このような配膳ミスが防止されるため、別のユーザが間違えて配膳された料理を食したことにより、別のユーザの健康を害することを防止できる。
【0024】
さらに、本態様では、宗教情報が第2サーバに送信されていないため、宗教情報がレストラン側に漏洩することが防止される。さらに、本態様では、注文料理情報はユーザを特定する識別情報ではなく席IDと対応付けられて送信されているため、識別情報がレストラン側に漏洩することが防止される。
【0025】
さらに、本態様では、第1操作画面は第1サーバに対応しているため、第1操作画面のデザインに関して第1サーバの運営者の意向を反映させることができる。また、第2操作画面は第2サーバに対応しているため、第2操作画面のデザインに関して第2サーバの運営者の意向を反映させることができる。
【0026】
上記制御方法において、前記1以上の第1料理は、前記宗教情報に対応しない第2料理を除外したものであってもよい。
【0027】
本態様によれば、宗教情報に対応していない料理が除外された第2操作画面が生成されるため、ユーザは料理の注文をスムーズに行うことができる。
【0028】
上記制御方法において、前記第2操作画面は、前記1以上の料理において、前記宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含んでもよい。
【0029】
本態様によれば、第2操作画面には宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を含む食材が追加された一の料理が含まれているため、専門知識が要求されるために特定することが困難な不足しがちな栄養成分を、補うことが可能な料理をユーザに提案できる。
【0030】
上記制御方法において、前記第2操作画面は、前記宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含んでもよい。
【0031】
本態様によれば、第2操作画面には、宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を補うための料理の組み合わせが表示されるため、専門知識が要求されるために特定することが困難な不足しがちな栄養成分を、補うことが可能な料理の組み合わせをユーザに提案できる。
【0032】
上記制御方法において、前記第2操作画面は、前記1以上の料理において、所定期間における前記ユーザの過去の食事において、前記ユーザが不足していた栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含んでもよい。
【0033】
本態様によれば、第2操作画面には、1以上の料理において、所定期間におけるユーザの過去の食事において、ユーザが不足していた栄養成分を含む食材を追加した一の料理が含まれているため、専門知識が要求されるために特定することが困難な所定期間における不足しがちな栄養成分を、補うことが可能な料理をユーザに提案できる。
【0034】
上記制御方法において、前記第2操作画面は、所定期間における前記ユーザの過去の食事において、前記ユーザが不足していた栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含んでもよい。
【0035】
本態様によれば、第2操作画面には、所定期間におけるユーザの過去の食事において、ユーザが不足していた栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示が含まれているため、専門知識が要求されるために特定することが困難な不足しがちな栄養成分を、補うことが可能な料理の組み合わせをユーザに提案できる。
【0036】
上記制御方法において、前記ユーザの宗教情報は、前記ユーザの宗教、及び、前記宗教において避けるべき食材に関して前記避けるべき食材の程度を示すレベル情報を含んでもよい。
【0037】
本態様によれば、宗教情報には、ユーザの宗教、及び宗教情報が示す宗教に対応する避けるべき食材に関して、避けるべき食材の程度を示すレベル情報が含まれている。そのため、ユーザが信仰する宗教及び避けるべき食材の程度を考慮に入れて、メニュー情報に含まれる各料理の優先順位をきめ細かく決定し、個別メニューを生成できる。
【0038】
上記制御方法において、前記ユーザが可能な限り避けるべき食材を含む料理、を含んでもよい。
【0039】
本態様によれば、個別メニューにはユーザが可能な限り避けるべき食材を含む料理が含まれているため、宗教の教義を厳格に貫かないユーザのニーズに応じた個別メニューを生成できる。
【0040】
上記制御方法において、前記識別情報は、ユーザIDを含んでもよい。
【0041】
本態様によれば、識別情報にはユーザIDが含まれるため、第1サーバからユーザに対応する宗教情報を確実に取得できる。
【0042】
上記制御方法において、前記第1サーバは、前記第2サーバと異なっていてもよい。
【0043】
第1サーバにはユーザの宗教情報というようなユーザのセンシティブな情報が記憶されている。このようなセンシティブな情報はユーザの許諾なしに第1サーバの外部に提供されることは好ましくない。本態様では、第1サーバは第2サーバとは異なるサーバで構成されている。そのため、ユーザのセンシティブな情報が第1サーバの外部に漏洩することが防止される。
【0044】
上記制御方法において、前記レストランID及び前記席IDは、前記第1操作画面を介して、前記ユーザが着席したテーブルの対応位置に用意された識別コードを読み取ることで、取得されてもよい。
【0045】
本態様によれば、レストランID及び席IDは、ユーザが着席したテーブルの対応位置に用意された識別コードを読み取ることで取得される。これにより、レストランID及び席IDをユーザに手入力させずに取得できる。
【0046】
上記制御方法において、前記識別コードは、QRコードを含んでもよい。
【0047】
本態様によれば、識別コードがQRコードであるため、この情報をユーザに手入力させることなく取得できる。
【0048】
上記制御方法において、前記識別コードは、NFC(NearField Communication)を用いて読み取られてもよい。
【0049】
本態様によれば、識別コードはNFCを用いて読み取られるため、この情報をユーザに手入力させることなく取得できる。
【0050】
上記制御方法において、前記第1サーバは、前記宗教情報、生体情報、前記ユーザの物品の購買履歴情報又は料理の注文履歴情報を含む嗜好情報、及び前記ユーザの位置情報を含む行動履歴情報を分散管理してもよい。
【0051】
本態様によれば、第1サーバは、宗教情報、生体情報、購買履歴情報又は嗜好情報、及び行動履歴情報を分散管理するため、ユーザの個人情報が随時取得可能である。その結果、本態様は、第1サーバに記憶される個人情報の鮮度を保つことが可能となり、これにより、過去の宗教情報に基づいて個別メニューが作成されることを防止できる。
【0052】
本開示の別の一態様に係る制御方法は、ユーザを特定する識別情報に対応するユーザの宗教情報を管理する第1サーバとネットワークを介して通信する情報端末の制御方法であって、前記情報端末に格納された前記識別情報を前記第1サーバに送信し、前記第1サーバに対応し前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示される第1の第1操作画面を介して、前記情報端末の位置情報及び前記識別情報に基づき、前記位置情報が示す地点を含む地域に存在し前記識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一以上のレストランを表すレストラン情報を、前記第1サーバから取得し、前記第1サーバに対応し前記ユーザの前記情報端末のディスプレイに表示される第2の第1操作画面を介して、前記一以上のレストランの中の一のレストランを示すレストランID及び前記ユーザの座席を示す席IDを取得し、前記レストランIDに基づき、前記レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバからネットワークを介して前記一のレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、前記メニュー情報及び前記宗教情報に基づき、前記宗教情報に対応した1以上の第1料理を抽出し、前記第2サーバに対応し前記ユーザの情報端末のディスプレイに表示された前記一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、前記1以上の第1料理を表示し、前記1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報及び前記席IDを前記第2サーバに送信することを含む。
【0053】
本態様によると、料理を注文するに際して、ユーザの情報端末のディスプレイには第1の第1操作画面が表示される。この第1の第1操作画面を介して、情報端末の位置情報が示す地点を含む地域に存在し、識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一以上のレストラン情報が第1サーバから取得される。
【0054】
情報端末のディスプレイには、第2の第1操作画面が表示される。この第2の第1操作画面を介して、一以上のレストラン情報の中の一のレストランのレストランID及び席IDが取得される。取得されたレストランIDからそのレストランIDに対応するレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報が第2サーバから取得される。
【0055】
取得されたメニュー情報及びユーザの宗教情報に基づいて宗教情報に対応するユーザの個別メニューが生成される。この個別メニューは、第2操作画面を介して情報端末のディスプレイに表示される。表示された個別メニューの中から料理が選択され、その料理を示す注文料理情報が席IDと対応付けられて第2サーバに送信される。
【0056】
このように、本態様では、ユーザが料理を注文する一連の過程の中で、個別メニューからユーザにより選択された料理を示す注文料理情報とユーザの座席との対応付けが人手を介することなく自動的に行われている。これにより、例えば、あるユーザが注文した料理に同一テーブルに座っている別のユーザが宗教上の理由から避けるべき食材が含まれており、しかもその料理が間違って別のユーザの座席に配膳されるという配膳ミスを防止できる。その結果、別のユーザに不快感を与えることを防止できる。さらに、このような配膳ミスが防止されるため、別のユーザが間違えて配膳された料理を食したことにより、別のユーザの健康を害することを防止できる。
【0057】
さらに、本態様では、宗教情報が第2サーバに送信されていないため、宗教情報がレストラン側に漏洩することが防止される。さらに、本態様では、注文料理情報はユーザを特定する識別情報ではなく席IDと対応付けられて送信されているため、識別情報がレストラン側に漏洩することが防止される。
【0058】
さらに、本態様では、第1の第1操作画面を介して、ユーザの周囲にあるレストランであって、ユーザの宗教に適合するレストランのレストラン情報が取得されているため、ユーザは、自身の宗教に適合するレストランをスムーズに選択できる。
【0059】
さらに、本態様では、第1の第1操作画面及び第2の第1操作画面は第1サーバに対応しているため、両操作画面のデザインに関して第1サーバの運営者の意向を反映させることができる。また、第2操作画面は第2サーバに対応しているため、第2操作画面のデザインに関して第2サーバの運営者の意向を反映させることができる。
【0060】
上記制御方法において、前記ユーザの情報端末の位置情報は、前記第1サーバにおいてGPSシステムを用いて取得されてもよい。
【0061】
本態様によれば、ユーザの情報端末の位置情報を正確に取得できる。
【0062】
上記制御方法は情報端末において実行されてもよい。上記制御方法は情報端末のコンピュータにおいて実行されるプログラム又はそのプログラムを記録する記録媒体であってもよい。
【0063】
これらの構成によれば、上述の制御方法を実行する情報端末及びプログラムを提供できる。
【0064】
上記プログラムにおいて、ユーザを特定する識別情報は、プログラムに付与された情報端末毎のシリアルコードを含んでもよい。
【0065】
この構成によれば、プログラムに付与された情報端末毎のシリアルコードが採用されるため、秘匿性がより高められた情報で識別情報を構成できる。
【0066】
(実施の形態)
我々の社会は、今後もさらにインターネットが普及し、各種センサーが身近になることが予想される。これにより、我々の社会は、個人の状態及び活動等に関する情報から建造物及び交通網等を含む街全体の情報までもが、デジタル化されてコンピューターシステムで利用できる状態になっていくと予想される。デジタル化された個人に関するデータ(個人情報)は、通信ネットワークを介してクラウドに蓄積され、ビッグデータとして情報銀行に管理され、個人のために様々な用途に利用されていく。
【0067】
このような高度情報化社会は、日本ではSociety5.0と呼ばれる。高度情報化社会は、現実空間(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)とを高度に融合させた情報基盤(サイバーフィジカルシステム)により、経済発展と社会的課題の解決とが期待される社会である。
【0068】
そうした高度情報化社会では、個人が日常の様々なシーンで意思決定を行う際に、蓄積された個人情報を含むビッグデータを分析して、その時の状況に応じた、その個人にとって最適と思われる選択肢を、その個人が知ることが可能になる。
【0069】
以降では、そのようなサイバーフィジカルシステムが稼働する高度情報化社会において、個人の食事をテーマとして、経済効率化と個人最適化(パーソナライゼーション)とを実施する様態について説明していく。
【0070】
個人最適化された料理の注文システムの一例としては、レストランの店舗端末から個人の情報端末にメニュー情報を送信し、宗教上の理由によりユーザが避けるべき食材を含んでいない料理からなるメニューを推奨メニューとして携帯端末上に提示するものが考えられる。まず、上述の高度情報化社会が提案される以前の社会において構築されることが予想される一般的な料理の注文システムを説明する。
【0071】
図1は、一般的な料理の注文システムの構成を示す図である。注文システムは、店舗端末1100及び携帯端末1200を含む。店舗端末1100及び携帯端末1200は、レストランの店舗1000内に設置されている。店舗端末1100は、メニュー情報を発信するコンピュータである。店舗端末1100は、外部機器との通信を行うための通信部、演算処理を行うための演算部、データを記憶するためのメモリ、情報を表示及び操作するためのUI部を含む。メモリはメニュー情報1101を記憶する。メニュー情報1101にはレストランが提供する料理に関する情報が含まれている。具体的には、メニュー情報1101には、料理の名前、料理に使用される材料、及び料理の価格が含まれている。
図1の例では、メニュー情報1101には、ビーフハンバーグ、シーフードパスタ、ビーフカレー、及びほうれん草のグラタンの4つの料理が含まれている。
【0072】
携帯端末1200は、店舗1000を訪れたユーザが保有するスマートフォン等の携帯端末である。携帯端末1200は、外部機器との通信を行うための通信部、演算処理を行うための演算部、データを記億するためのメモリ、情報を表示及び操作するためのUI部を含む。メモリは、携帯端末1200を保有するユーザの識別情報に対応するユーザの宗教情報及び食事履歴情報等を記憶する。この宗教情報にはユーザが信仰する宗教に応じてユーザが避けるべき食材に関する情報が含まれている。
【0073】
ユーザが店舗1000に入店すると、店舗端末1100と携帯端末1200とは自動又は手動で通信を開始する。通信を開始した携帯端末1200は店舗端末1100からメニュー情報1101を取得する。メニュー情報1101を取得した携帯端末1200はメニュー情報とメモリに記憶された宗教情報とを照合し、避けるべき食材を含まない料理を抽出する。携帯端末1200は、抽出した料理に基づいて推奨メニュー1211を生成し、UI部に表示する。
図1の例では、ユーザの避けるべき食材が牛肉であるため、牛肉を含まない料理であるほうれん草のグラタンが推奨メニュー1211として表示されている。
【0074】
上記の構成によると、ユーザは表示された推奨メニューから、避けるべき食材の入っていない料理を選択することができる。
【0075】
Society5.0では、宗教情報のような個人情報は、情報銀行と称される個人情報を管理する事業者のサーバによって第三者に個人が特定されないように秘匿化された上で一元管理される。この個人情報は末端のユーザの手入力に依存することなく、情報銀行の管理の下、随時更新される。
【0076】
しかしながら、
図1に示す注文システムでは、宗教情報は携帯端末1200で管理されており、サーバで管理されていない。そのため、
図1に示す注文システムは、宗教情報を更新することが容易ではない。例えば、宗教情報を更新するには、ユーザは宗教情報を携帯端末1200に手入力させることが要求され、ユーザにとって手間である。さらに、宗教情報は秘匿化されていないため、店舗端末1100に宗教情報が漏洩する可能性もある。そのため、
図1に示す注文システムをSociety5.0が標榜する高度情報化社会に適合させるためには、更なる改善が必要である。そこで、本実施の形態では、Society5.0を踏まえた情報処理システムを提案する。以下、本開示の実施の形態に係る情報処理システムを、図面を参照しながら説明する。
【0077】
図2は、本開示の情報処理システムの情報基盤の全体像の一例を示す図である。
図2の情報処理システムは、Society5.0を踏まえて構成されたシステムであり、個人情報を利用して一消費者であるユーザに適した商品又はサービスをユーザに提案し、商品又はサービスのユーザによる選択を支援する選択支援サービスを提供するシステムである。本実施の形態では選択支援サービスとして料理の注文を支援するサービスを主眼としているが、このサービスを説明する前に、
図2を用いて本実施の形態を実現するための情報基盤の全体像を説明する。この情報処理システムは大きく3つの機器群から構成される。
【0078】
1つ目の機器群はユーザが保有するスマートフォン等の情報端末100を含む機器群である。情報端末100にはマッチングアプリケーションがインストールされている。マッチングアプリケーション(以下、マッチングアプリと称する。)は、ユーザに適した商品又はサービスを、そのユーザの個人情報を用いて選別又は推薦するためのアプリケーションである。ここで言う個人情報とは、個人に関する公開又は非公開の情報が広く包含される。例えば、個人情報は、氏名、生年月日、住所、年収、所有する動産/不動産情報、身長/体重等の身体情報、遺伝子情報、宗教情報、病歴/診断カルテ等の医療情報、歩数/消費カロリーなどの活動量情報、食事履歴情報、心拍/血圧等のバイタルサイン情報、店舗/ECサイトなどを介した購買情報、Web検索エンジン/AIスピーカーで検索した単語情報、メール/SNSで送受信された文章/映像音声情報、並びに移動履歴情報等のうちの少なくとも一つを含む。情報端末100は、例えば、4G、5Gと称される移動体通信網により携帯基地局400を介して、インターネットに接続可能である。
【0079】
2つ目の機器群は第1サーバ200を含む機器群である。第1サーバ200は、ユーザの個人情報を複数箇所に分散し、分散した個人情報をさらに暗号化して記憶する個人情報サーバである。例えば、第1サーバ200は、クラウド上にある複数のストレージ装置にユーザの個人情報を断片化及び暗号化して記憶することで個人情報を管理する。これにより、高いセキュリティが確保され、個人情報の漏洩等が防止される。さらに、第1サーバ200は、第三者からの問い合わせに応じて必要なデータをユーザ本人の許諾に応じて返信する機能を持つ。さらに、第1サーバ200は、ユーザが許諾した事業者に対してユーザが許諾した個人情報をセキュアに共有する機能を持つ。すなわち、第1サーバ200は情報銀行としての機能を持つ。この場合、第1サーバ200は、例えば1つのデータを複数のストレージ装置に分散して記録する。1つのデータの一例は個人情報を記録した1つのファイルである。
【0080】
本実施の形態では、第1サーバ200は、ユーザの許諾に基づき、特定の事業者に対して特定の個人情報を共有させる。さらに、第1サーバ200は、以下で説明する選択支援サービスを提供するための機能を持つ。
【0081】
上述のマッチングアプリは、例えば第1サーバ200の運営会社によって開発及び/または配布される。この運営会社はユーザが利用する可能性のある商品又はサービスに対するユーザの適合度合いを、ユーザの個人情報を用いて評価する。第1サーバ200の運営会社、マッチングアプリの開発会社、及びマッチングアプリの配布会社は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
図2に示す情報処理システムは、上述したマッチングアプリを用いて選択支援サービスを実現するが、これは一例である。例えば、マッチングアプリ以外のアプリ又は一般的なブラウザ等を用いて選択支援サービスを実現してもよい。ユーザの個人情報をセキュアに扱うためには、マッチングアプリ等の専用のアプリによって選択支援サービスを提供することが好ましい。但し、これは一例であり、例えば公開されている個人情報などのセキュリティの重要度が低い個人情報を扱う場合、又はセキュリティを確保するための機能が提供される場合は、マッチングアプリ以外の手段で選択支援サービスが提供されてもよい。
【0082】
マッチングアプリは、情報端末100の内部でのみ個人情報を取り扱う。例えば、マッチングアプリは、時間、場所、及び状況等の任意の条件下において、ユーザに最も適すると思われる商品又はサービスをユーザに提示する。例えば、マッチングアプリは、ユーザの購買等の経済活動における仲介斡旋機能を提供する。
【0083】
マッチングアプリは、これまでサービス事業者ごとにサイロ化されていたリコメンド機能をオープンに開放したアプリである。例えば、ECサイト等の電子商取引市場で有名なある1つのサービス事業者の例で説明する。当該サービス事業者のサイトには数多くの商品が掲載されている。特定の商品が検索又は購入されると、その商品と関連性が高い他の商品(例えば、よく一緒に購入される商品)がユーザに推薦される。このような購買に対するリコメンド機能は、当該サービス事業者のECサイトの中でしか有効にならない。したがって、当該リコメンド機能は、他のサービス事業者が運営するECサイトにおいて商品を購入する時、レストランで食事を注文する時、又は休暇の家族旅行を計画する時において、何ら効果を発揮しない。
【0084】
今後、情報銀行に個人情報が集約され、膨大かつ多種多様で長期間に渡る正確な個人情報が所定の条件下で誰でもアクセスできる仕組みが整うことが予想されている。この場合、ある1つのサービス事業者のECサイトにおける検索又は購入履歴、及び様々なユーザの個人情報を用いて、当該サービス事業者の商品だけなく、あらゆる商品又はサービスを対象として適合度合いを推定することが可能となる。これにより、様々な選択肢の中からユーザにとってより価値の高い商品又はサービスを推薦することが可能となる。
【0085】
本実施の形態が想定する第1サーバ200は、上記のような思想又は機能を実現するために、個人情報を分散化及び暗号化して管理するクラウド上に設けられた汎用のストレージ装置である。
【0086】
3つ目の機器群は、各事業者が各事業者固有のデータを管理する第2サーバ300を含む機器群である。
図2では事業者X、事業者Y、事業者Zの3社がそれぞれ第2サーバ300を所有又はレンタルし、自社の商品及び/又は自社のサービスに関する情報を管理及び/又は提供している。事業者は、本開示で詳細に述べる外食事業者だけに限定されない。例えば、事業者は、お弁当屋又はファストフード店のように調理済み料理のテイクアウトが可能な中食事業者であってもよい。さらに、事業者は、スーパーマーケットのように自宅で調理することを主眼においた内食向けの事業者であってもよい。さらに、事業者は、自動車メーカ、不動産会社、病院、学校、勉強又はスポーツなどの塾、弁護士事務所、並びに一般消費者に対して商品及び/又はサービスを提供する事業者であってもよい。
【0087】
本実施の形態の情報処理システムの効果の1つとしては、個人情報が事業者に渡らないことが挙げられる。情報銀行では本人許諾に基づき、特定の事業者に対して個人情報の共有を許可することが想定されている。
【0088】
しかしながら、この運用を個々にユーザに判断させるのはとても面倒である。データ運用ポリシーを定める信託業者がいても、具体的にどのデータが誰に渡ったのかをユーザは把握できず、ユーザは不安に感じる可能性がある。
【0089】
そこで、本実施の形態は、第1サーバ200を運営している事業者が、保管している個人情報を利用すること、例えば、暗号を解き解釈することを、ユーザの許諾が無い限り、禁止又は制限する。
【0090】
さらに、プライバシーに厳密な運営ポリシーの下で、個人情報の管理及びマッチングアプリを提供する情報銀行又は情報仲介業者が市場に参入している場合、ユーザは当該情報銀行又は情報仲介業者との間でそのサービスの提供を受ける契約を結んでもよい。これにより、個人情報が他の事業者に渡らないようにすることが可能となる。
【0091】
本実施の形態の情報処理システムは、本人以外の第三者にセンシティブな情報を含む個人情報が知られる可能性を低減し、時々刻々と変化する膨大な個人情報を様々なサービスとのマッチングのために利用することができる次世代情報社会の運用システムの一形態である。以降、この想定の下で情報処理システムが説明される。
【0092】
図3は、本実施の形態の情報処理システムの全体像をより詳しく示す図である。
図3に示す情報処理システムは、外食時にユーザが料理を注文するために閲覧するメニュー情報を、そのユーザの個人情報とマッチングさせ、そのユーザにとって最適なメニューを提示するシステムである。
図3に示す情報処理システムは、
図2に示す情報処理システムに対してさらに生体センサー600及びパブリック情報サーバ500を含んでいる。
【0093】
サービス提供側の事業者としては、外食産業の会社であるレストランA社、レストランB社、レストランC社が想定されている。レストランA社,B社,C社は、それぞれ別会社である。
図3に示す情報処理システムは、レストランA社が運用する第2サーバ300、レストランB社が運用する第2サーバ300、レストランC社が運用する第2サーバ300を含む。各レストランのメニュー情報及び各店舗に関する情報はこれらの第2サーバ300によって管理されている。第2サーバ300は例えばクラウドサーバで構成される。
【0094】
パブリック情報サーバ500は、レストランに関する情報及び個人情報とは異なる公共情報を管理する。パブリック情報サーバ500はインターネットに接続されている。例えば、公共情報には、天気情報、及び交通情報などが含まれる。これらの情報はマッチングにおいて必要があれば、適宜利用される。
【0095】
生体センサー600は、スマートウォッチなどの生体センサーである。生体センサー600は、情報端末100を所有するユーザにより装着されている。生体センサー600は、継続的にユーザのバイタルサイン情報を計測する。生体センサー600が計測した各種のバイタルサイン情報は、Bluetooth(登録商標)のような近距離通信によって、生体センサー600から情報端末100に送信される。バイタルサイン情報は、情報端末100にインストールされたセンサーアプリによって、保管及び/又は管理される。センサーアプリは、収集したバイタルサイン情報とバイタルサイン情報の測定時刻を示す時刻情報とを、ユーザアカウント情報にしたがって第1サーバ200へアップロードする。これによりバイタルサイン情報が蓄積される。
【0096】
センサーアプリは、保管及び/又は管理するデータに対するアクセス権をマッチングアプリ又は情報端末100のOS(Operatingsystem)に付与してもよい。この場合、バイタルサイン情報はマッチングアプリ又はOSを介して、第1サーバ200へアップロードされる。センサーアプリは、バイタルサイン情報を、情報端末100のメモリに保管してもよいし、第1サーバ200にアップロードすることによって保管してもよい。
【0097】
図4は、本実施の形態に係る情報処理システムの具体的な構成の一例を示す図である。
図4に示す情報処理システムは、
図2及び
図3で説明した情報端末100、第1サーバ200、及び第2サーバ300を含む。なお、
図4においては、携帯基地局400、生体センサー600の図示は説明の便宜上省かれている。情報端末100、第1サーバ200、及び第2サーバ300はネットワークNTを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNTは携帯電話通信網及びインターネットを含む広域通信網である。
【0098】
情報端末100は、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯型の情報処理装置で構成されている。本実施の形態において、情報端末100は、レストランの店舗で料理を注文するユーザによって携帯される。情報端末100は、通信部101、メモリ102、カメラ103、演算部104、ディスプレイ105、操作部106、近接通信部107、及びGPSセンサー108を含む。
【0099】
通信部101は、情報端末100をネットワークNTに接続する通信回路で構成されている。通信部101は、第2サーバ300から送信された後述するメニュー情報を受信して、メモリ102に記憶させる。演算部104はメモリ102に記憶されたメニュー情報を読み出し処理を行う。また、通信部101は、第1サーバ200から送信された後述する宗教情報を受信して、メモリ102に記憶させる。演算部104はメモリ102に記憶された宗教情報を読み出し処理を行う。これにより、演算部104は、宗教情報及びメニュー情報を取得する。さらに、通信部101は、演算部104の制御の下、後述する注文料理情報及び後述する席IDを対応付けて第2サーバ300に送信する。
【0100】
メモリ102は、フラッシュメモリ等の不揮発性のストレージ装置で構成されている。メモリ102は、
図23に例示される宗教情報を含む情報2300と、
図24及び
図25に例示される食材情報2400を記憶する。1つの食材情報2400は1つの料理に対応しており、料理に使用される食材に関する情報である。メニュー情報は1以上の食材情報2400によって構成される。情報2300及び食材情報2400の詳細は後述する。さらに、メモリ102はユーザを特定する識別情報を記憶する。識別情報はユーザID(Identifier)が含まれる。ユーザIDはユーザの識別子である。
【0101】
カメラ103は、CMOSセンサー等で構成される撮像装置である。カメラ103は、レストランの店舗の座席に取り付けられたQRコードを撮影するために用いられる。
【0102】
演算部104は、CPU等のプロセッサで構成されている。演算部104は、情報端末100のOS、上述のマッチングアプリ、QRコードリーダー、及びブラウザ等を実行する。
【0103】
演算部104は、第1サーバ200に対応し、ディスプレイ105に表示される第1操作画面を介して、ユーザの識別情報に対応する宗教情報が示す宗教に適合する一のレストランを表すレストランID及びユーザの座席を示す席IDを取得する。第1操作画面は例えば
図15に示すようにマッチングアプリが提供するQRコードを読み取るための操作画面或いは
図16に示すようにNFCにより情報を読み取るための操作画面である。レストランIDは、レストランの識別子である。レストランが複数の店舗を持つ場合、レストランIDにはレストランの識別子と店舗の識別子とが含まれてもよい。席IDは店舗に配置された座席の識別子である。演算部104は、ユーザが操作部106に対して撮影指示を入力した時にカメラ103が撮影したQRコードを解析することでレストランID及び席IDを取得してもよい。或いは、演算部104は、マッチングアプリの起動中に、情報端末100がレストランの各座席に配置されたNFCのICチップに近接された場合、近接通信部107を介してICチップからレストランID及び席IDを取得してもよい。
【0104】
演算部104は、レストランIDに対応する一のレストランに関連する第2サーバ300からネットワークNTを介してレストランが提供する1以上の料理を示すメニュー情報を取得し、メモリ102に記憶する。例えば、レストランIDがレストランA社の識別子を含む場合、レストランA社の第2サーバ300からメニュー情報が取得される。
【0105】
演算部104は、メモリ102に記憶された識別情報を第1サーバ200に送信し、識別情報に基づき、第1サーバ200からユーザの宗教情報を取得し、メモリ102に記憶する。
【0106】
演算部104は、取得したメニュー情報及び取得した宗教情報に基づき、宗教情報に対応した1以上の第1料理を抽出する。演算部104は、第2サーバ300に対応し、ディスプレイ105に表示された一のレストランにおける料理の注文を受け付けるための第2操作画面を介して、抽出した1以上の第1料理を表示する。
【0107】
第2操作画面には、1以上の第1料理において、宗教情報に対応しない第2料理、すなわち、避けるべき食材を含む第2料理を除外またはグレイアウトさせて生成される。これにより、ユーザは避けるべき食材を含まない料理をスムーズに注文できる。
【0108】
第2操作画面は、例えば
図18に示すようにレストランがユーザから料理の注文を受け付けるための操作画面であり、ユーザ個別の料理が配列された個別メニューを含む。第2操作画面は、レストランのデザイン指定に基づき、マッチングアプリを介して提供される。ユーザはこの第2操作画面に表示された個別メニューの中から希望の料理を選択する操作を入力し、料理を注文する。
【0109】
演算部104は、第2操作画面に表示された1以上の第1料理から選択された料理を示す注文料理情報及び席IDを対応付けて通信部101を介して第2サーバ300に送信する。第2サーバ300に送信された注文料理情報及び席IDは、送信先の第2サーバ300に対応するレストランの店舗に設置されたディスプレイに表示される。この店舗の従業員は表示された内容にしたがってユーザが注文した料理を調理し、ユーザの座席に運ぶ。これにより、ユーザは注文した料理を食することができる。
【0110】
ディスプレイ105は、例えば液晶表示パネルまたは有機ELパネル等で構成され、種々の画像を表示する。例えば、ディスプレイ105は、上述の第1操作画面及び第2操作画面を表示する。
【0111】
操作部106は、例えばタッチパネル等の入力装置で構成される。操作部106は、個別メニューの中からユーザが希望する料理を選択する指示を受け付ける。
【0112】
近接通信部107は、NFCの通信機能を備える通信回路で構成され、NFCの通信機能を有するICチップから情報を読み込んだり、当該ICチップに情報を書き込んだりすることができる。
【0113】
GPSセンサー108は、GPS衛星から送信される電波を受信し、その電波基づいて情報端末100の現在位置を示す位置情報を算出する。
【0114】
以上が情報端末100の構成である。
【0115】
次に、第1サーバ200の構成について説明する。第1サーバ200は、通信部201、演算部202、及びメモリ203を含む。通信部201は、第1サーバ200をネットワークNTに接続するための通信回路で構成されている。通信部201は、情報端末100からの要求に応じて情報端末100に対して宗教情報を送信する。演算部202はCPU等のプロセッサで構成されている。演算部202は、メモリ203が記憶するユーザの個人情報を処理する。
【0116】
メモリ203は、ハードディスクドライブ等の不揮発性の複数のストレージ装置で構成されている。メモリ203は、1以上のユーザの個人情報を記憶する。個人情報には各ユーザの宗教情報が含まれる。個人情報は、複数のストレージ装置において分散化及び暗号化された上で記憶される。
【0117】
メモリ203が記憶する個人情報には、宗教情報と、生体情報と、購買履歴情報と、嗜好情報、及び行動履歴情報が含まれていてもよい。生体情報は心拍数等の各ユーザの生体に関する情報である。生体情報には、ユーザのアレルギー情報等が含まれる。購買履歴情報は、各ユーザの商品(物品)又はサービスの購買履歴を示す情報である。嗜好情報は、各ユーザの嗜好を示す情報である。嗜好情報には、各ユーザの料理の注文履歴を示す注文履歴情報が含まれる。行動履歴情報は、各ユーザの行動履歴を示す情報である。行動履歴情報は、例えば、ユーザの位置情報と時刻情報とが対応付けられた時系列データで構成される。
【0118】
次に、第2サーバ300の構成について説明する。第2サーバ300は、各レストラン会社に対応して1又は複数存在する。第2サーバ300は、通信部301、演算部302、及びメモリ303を含む。通信部301は第2サーバ300をネットワークNTに接続するための通信回路で構成される。通信部301は、情報端末100からの要求に応じてメニュー情報を情報端末100に送信する。演算部302は、CPU等のプロセッサで構成される。演算部302は、メモリ303が記憶するメニュー情報を処理する。メモリ303はハードディスクドライブ等の不揮発性のストレージ装置で構成されている。メモリ303は、メニュー情報を記憶する。
【0119】
図5は、レストランのある店舗のレイアウトを示した図である。
図5の例ではレストランA社の店舗40のレイアウトが示されている。店舗40には4つのテーブル410が設置されている。各テーブル410には4つの椅子411,412,413,414が設置されている。
【0120】
1つのテーブル410に宗教の異なる2名以上のユーザが着席することがある。この場合、あるユーザが注文した料理が間違って宗教の異なる別のユーザに配膳され、しかも、その料理に当該ユーザの避けるべき食材が含まれていることは避けなければならい。これは、このような配膳ミスが生じると、当該ユーザに不快感を与える可能性があるからである。さらに、当該ユーザが間違って配膳された料理を食してしまうと、普段、食べ慣れていない食材を食することによって当該ユーザの健康を害する可能性があるからである。
【0121】
このような間違いを避けるためには、ユーザとそのユーザが注文した料理とを対応づける適切な仕組みが必要である。しかしながら、現在そのような間違いを避けるためのソリューションは限定的であった。特に、
図5に示すような一般的なレストランの店舗に適用可能なソリューションは存在していない。現在、1席1席ごとに番号が付けられたカウンターが設置された小規模店舗において、このような対応付けが試みられているが、この対応付けは、注文伝票又は注文入力端末を用いて人為的に行われているため、配膳の間違いを解消するには不十分である。
【0122】
本実施の形態は、ユーザとそのユーザが注文した料理とをより確実に対応付けて管理するための仕組みを提供する。以下、この仕組みを実現するための具体例について説明する。本実施の形態では、店舗40の各座席にQRコードを設置する。
図6A,
図6B,
図6C,
図6Dは、座席に対するQRコード601の設置例を示す図である。
図6Aの例では、QRコード601は店舗の各椅子の背もたれ部の上面に配置されている。QRコード601には、上述したようにレストランID及び各座席の席IDが含まれている。ここでは、QRコードが用いられているが、これは一例でありバーコード等、レストランID及び席IDが識別可能な情報であればどのような情報が採用されてもよい。
【0123】
図6Bの例では、QRコード601は、各椅子の座部の側面に配置されている。QRコード601を座部の側面に配置することで、QRコード601を読み取らせる際のユーザの操作が容易となる。
【0124】
図6Cの例では、QRコード601は、椅子ではなくテーブルの側面(例えば、椅子に向いた面)に配置されている。この例ではテーブルは4人用であるため、テーブルの側面には各座席に対応する4つのQRコード601が配置されている。
【0125】
図6Dの例では、QRコード601は、テーブルの天板の上面に配置されている。この例ではテーブルは4人用であるため、天板の上面には各座席に対応する4つのQRコード601が配置されている。天板の上面にQRコード601を配置することで、QRコード601の存在をユーザに容易に気づかせることができる。
【0126】
座席毎に準備されたQRコードは、料理を注文したユーザの情報端末100が、店舗のメニュー情報を取得するために利用される。以下、順を追ってQRコードと情報端末100とを使った料理の注文方法について詳細に説明する。本実施の形態において、料理の注文は、標準メニューから行うケースと、個別メニューから行うケースとがある。
【0127】
なお、
図6では、各座席にはQRコード601が配置されているが、NFCによってレストランID及び席IDを取得する態様が採用される場合、QRコード601に代えて、NFCの通信機能を有するICチップが採用される。
【0128】
(標準メニューからの注文)
標準メニューは、信仰する宗教が特にないユーザ、或いは信仰している宗教の教義に食事制限のないユーザが料理を注文する場合に用いられる。標準メニューは、ユーザが店舗で提供される一般的な料理を含むメニューである。以下、標準メニューにより料理が注文される処理を、情報端末100に表示される各種画面を用いて説明する。
【0129】
この標準メニューからの注文処理は、
図27のフローチャートに相当しているため、以下の説明では、適宜
図27のフローチャートが参照される。まず、QRコードリーダーが起動され、QRコードリーダーが、ユーザが着席した座席に対応するQRコードを読み取る。この処理は
図27のステップS11に相当する。
【0130】
図7は、ユーザがQRコードを情報端末100に読み取らせる場合に情報端末100に表示される操作画面G1の一例を示す図である。操作画面G1は、レストランの店舗に入店して着席したユーザが、着席した座席(自席)に対応するQRコードを情報端末100に読み取らせるシーンにて表示される。自席に対応するQRコードは、
図6A~
図6Dに示す何れかの様態で配置されている。着席したユーザは、情報端末100を取り出し、レストランの店舗の標準メニューを取得するために、自席に対応するQRコードを情報端末100に読み取らせる。QRコードの読み取りは情報端末100に予めインストールされた「QRコードリーダー」という汎用のQRコード読み取りアプリを用いて実現される。
図7では、自席に対応するQRコードに情報端末100のピントを合わせる操作をユーザが行っている最中の操作画面G1が表されている。ユーザはQRコードリーダーのガイド線701(図中の破線四角)内にQRコード601が収まるように、情報端末100の向き及び位置を調整する。座席ごとに配置されたQRコード601の近くには、ユーザ又は店舗のスタッフが座席を特定するための情報である「席番号18」と、このQRコード601の用途の説明(図中では「パーソナルマッチング用QRコード」)も配置されている。そのため、操作画面G1には、「席番号18」を示す画像と、「パーソナルマッチング用QRコード」を示す画像も表示されている。
【0131】
次に、QRコードリーダーが読み取ったQRコードからレストランA社のメニュー情報が取得され、メニュー情報に基づいて標準メニューが生成され、情報端末100に表示される。
【0132】
この処理は
図27のステップS12に相当する。
図8は、QRコードリーダーがQRコードを読み取った直後の情報端末100に表示される操作画面G2の一例を示す図である。この操作画面G2には、QRコードリーダーによる読み取りが成功されたQRコードの読み取り結果である文字列が表示されている。この例では、「http://restaurantA.com/QRorder-18」という文字列がQRコードの読取結果として得られている。操作画面G2には、「ブラウザで開く」と記載されたボタン801と、「メールを送る」と記載されたボタン802とが含まれている。ボタン801は、QRコードの読み取り結果である文字列がURLであるとユーザが解釈した場合に選択されるボタンである。ボタン801がタッチされると、インターネットのブラウザが起動し、このURLで示されるウェブページが情報端末100に表示される。
【0133】
ボタン802は、QRコードの読み取り結果である文字列がメールアドレスであるとユーザが解釈した場合に選択されるボタンである。ボタン802がタッチされると、メールアプリが起動される。ここでは、標準メニューを閲覧するためにボタン801がタッチされている。
【0134】
この標準メニューからの料理を注文するに際して、特定のアプリを情報端末100にインストールする必要はなく、QRコードリーダー及びブラウザがあれば足りる。そのため、標準メニューを用いた料理の注文は多数のユーザによって容易に行われる。
【0135】
ブラウザは、QRコードリーダーが読み取った文字列(例えば、URL)に含まれる接続先情報(例えば、ドメイン名、restaurantA.comの部分)から接続先がレストランA社であること、すなわちレストランIDを特定できる。第2サーバ300は、リクエストされたURLの末尾の数字が18であるため、このリクエストが席番号「18」の座席のQRコードを読み込んだ情報端末100のブラウザからのリクエストであることを特定できる。
図8に示す文字列には、店舗40の店舗IDは含まれていないが、明示的に店舗40(Store-A)が含まれてもよい。この場合は、QRコードが意味する文字列は、例えば、「http://restaurantA.com/Store-A/QRorder-18」のように表現される。情報端末100のブラウザは、このようにしてリクエストする接続先情報を取得する。
【0136】
図9は、レストランA社の標準メニューを含む操作画面G3の一例を示す図である。この操作画面G3は、メニュー情報が情報端末100によって受信された場合に表示される。標準メニューには、メニュー情報に含まれる料理がそのまま含まれており、ユーザの宗教情報には対応していない。メニュー情報は個別メニューを生成する際に使用されるメニュー情報と同じ情報であってもよいし、異なる情報であってもよい。
【0137】
この操作画面G3には、複数のタイルオブジェクト901がマトリックス状に配置されている。標準メニューはこれら複数のタイルオブジェクト901によって構成される。1つのタイルオブジェクト901は標準メニューに含まれる1つの料理に対応している。各タイルオブジェクト901には、料理の料理名、料理の価格、及び料理の画像が含まれている。操作画面G3において標準メニューはユーザのスクロール操作に応じてスクロールする。これにより、操作画面G3内で一度に表示仕切れなかった他の料理が表示される。このように、ユーザは、スクロール操作をすることで、標準メニューに含まれる全ての料理を閲覧できる。
【0138】
操作画面G3は、QRコードの読み取り結果である文字列が示すURL(例えば、http://restaurantA.com/QRorder-18)にブラウザが接続し、ブラウザがレストランA社の第2サーバ300からメニュー情報を受信することで表示される。
【0139】
例えば、情報端末100のブラウザは上記URLに接続し、レストランA社の標準メニューを描画するためのHTMLファイルをHTTPリクエストし、レストランA社の第2サーバ300からHTTPレスポンスを受信し、受信したHTTPレスポンスに従って標準メニューを含む操作画面G3を描画する。但し、この実装形態は一例であり、操作画面G3の描画は、他の技術手段で実現されてもよい。
【0140】
次に、表示された標準メニューからユーザにより料理が選択される。この処理は
図27のステップS13に相当する。
【0141】
図10は、ユーザが操作画面G3を操作して標準メニューから料理を注文するシーンの一例を示した図である。この図のように、ユーザは指等の指示体1001を用いたタッチ操作で注文する料理を決定できる。例えば、情報端末100は、「ラーメンBセット」の料理に対応するタイルオブジェクト901Aが1回タッチされたことを検知すると、タイルオブジェクト901Aの色をデフォルトの第1色から選択されたことを示す第2色に変更する。このとき、情報端末100は、「ラーメンBセット」の注文数を示す「1」をタイルオブジェクト901Aの例えば右上に表示する。以上より、この例では標準メニューの中から、「ラーメンBセット」の料理が選択されていることが分かる。ユーザは、各料理に対応するタイルオブジェクト901をタッチすることで料理を注文できるため、慣れた操作感覚で料理の注文を直感的且つ簡単に行うことができる。
【0142】
尚、ここではユーザが注文する料理を選択した際にタイルオブジェクト901の色を変更するとしたが、これに限らない。例えば、ユーザにより選択された際に、タイルオブジェクト901の模様を第1模様から、第2模様に変更してもよい。または、ユーザにより選択された際に、タイルオブジェクト901の色及び模様を第1の色及び模様から、第2の色及び模様に変更してもよい。
【0143】
図11は、標準メニューから注文する料理を最終的に決定する際に表示される操作画面G4の一例を示す図である。操作画面G4は、操作画面G3において、注文する料理を決定したユーザにより注文ボタン(
図9に図示せず)がタッチされた場合に表示される。操作画面G4には、操作画面G3で選択された料理に対応するタイルオブジェクト901Aと、注文した料理の合計金額(例えば、1,100円)を示す合計金額欄1011と、注文を最終的に決定する注文ボタン1012とが含まれている。このように、操作画面G4には、注文する料理の一覧と、各料理の数量と、注文する料理の合計金額とが表示されているため、ユーザは1画面で効率的に注文内容を確認できる。注文内容に問題がないことを確認したユーザは操作画面G4の下部にある注文ボタン1012をタッチする。これにより、料理の注文が確定する。さらに、注文ボタンには席番号「18」が記載されているため、ユーザは自身の座席に配膳されることを確認した上で料理を注文できる。注文ボタン1012がタッチされると、情報端末100は、QRコードから読み取った席ID(
図11の例では席番号「18」)と、選択された料理を示す注文料理情報とを対応付けた注文リクエストを、レストランA社の第2サーバ300に送信する。以上により、標準メニューにおける注文処理が完了する。この処理は、
図27のステップS14に相当する。
【0144】
一般向けである標準メニューからの注文処理は、上記の説明のように実施される。この注文処理では、料理を注文するユーザは、情報端末100にQRコードを読み取らせ、ブラウザによりレストランA社の標準メニューを表示させ、この標準メニューを通じて料理を注文できる。そのため、レストランA社が配布するような特定のアプリを情報端末100に事前にインストールする手間が省かれる。よって、ユーザは情報端末100を用いてすぐにこのサービスを利用でき、このサービスはより多くのユーザにより利用される。また、ユーザは、標準メニューを通じて好きな料理を直感的な操作で簡単に選択して注文することができる。さらに、操作画面G3は、ピンチ操作によってズーム倍率が調節可能である。そのため、老眼のユーザでも操作メニューに含まれる料理を容易に確認できる。さらに、ユーザは、操作画面G3を縮小表示することによって、より多くの情報を同時に閲覧できる。さらに、注文リクエストは、注文料理情報と席ID(例えば席番号「18」)とが対応付けられたHTTPリクエストであるため、レストランA社の第2サーバ300は、このHTTPリクエストを通じて席番号「18」のユーザが注文した料理を認識し、認識した席番号「18」と注文した料理とを店舗内のディスプレイに表示することができる。
【0145】
これにより、レストランの従業員は席番号「18」に注文された料理を間違わずに配膳することができる。さらに、標準メニューは紙媒体ではないため、レストランA社は、紙媒体からなる標準メニューを採用した場合に必要となる標準メニューの更新又は管理に要する手間を省くことができる。その結果、注文を取るための人的リソース及び注文を間違って受け付けるクレームリスクが低減され、コストダウン及び経営の効率化が図られる。
【0146】
(個別メニューからの注文)
次に、個別メニューからの料理の注文について説明する。標準メニューはレストランが提供する一般向けのメニューであるが、個別メニューはユーザの宗教情報に対応した料理を含むメニューである。この個別メニューから料理を注文する処理は、後述する
図26のフローチャートによって示される。以下、
図26のフローチャートを適宜参照しながら、個別メニューから料理を注文する処理について説明する。
【0147】
個別メニューによる料理の注文は、マッチングアプリの起動をトリガーに開始される。
図12は、料理を注文するユーザがマッチングアプリを起動した直後に情報端末100に表示される認証画面G101の一例を示す図である。認証画面G101は、指紋認証によりユーザ認証を行うための画面である。認証画面G101には、中央に指紋を模式的に示す指紋画像1201が表示され、指紋画像1201の下部には「指紋認証してください」とのメッセージが表示されている。これらにより、認証画面G101は、ユーザに対して指紋認証を行うよう促している。認証画面G101の上部には「パーソナルマッチング」と記載されている。これにより、認証画面G101はマッチングアプリの画面であることをユーザに確認させることができる。このことは、後述する
図13~
図17においても同じである。
【0148】
図13は、認証画面G102の他の一例を示す図である。認証画面G102は、顔認証によりユーザ認証を行うための画面の一例である。認証画面G102には、情報端末100がユーザの正面からの顔の画像を適当なサイズで捉えられるよう、中央に顔の輪郭を模式的に示す点線1301が表示されている。ユーザは点線1301に収まるように自身の正面からの顔が表示されるように情報端末100の向き及び位置を調整する。
【0149】
上記のユーザ認証の方法に比べて必要な認証精度をより少ないユーザの負担で実現できるユーザ認証の方法があれば、その方法が採用されてもよい。ユーザ認証の方法としては、一般的にセキュリティ強度が高いと言われる2段階認証が採用されてもよいし、ユーザIDとパスワードとを入力する方法が採用されてもよい。
【0150】
図14は、マッチングアプリによるユーザ認証が終わった直後に表示されるホーム画面G103の一例を示す図である。ホーム画面G103には、上段にアプリ名称「パーソナルマッチング」が表示され、中段に複数のタイルオブジェクト1401がマトリックス状に表示されている。各タイルオブジェクト1401には、マッチングアプリが取り込んだ連携機能又は別アプリが対応付けられている。別アプリは、例えば、マッチングアプリ内で起動するアプリである。この例では、a、b、c、d、eと記載された5つのタイルオブジェクト1401が表示されている。これらのタイルオブジェクト1401には、マッチングアプリに連携して自社商品又は自社サービスのマッチングを行う専用機能(例えば、マッチングアプリ内のアプリ)が対応付けられている。これにより、ユーザは、a、b、c、d、eで示される5種類の連携機能が利用可能である。グレイアウトされたタイルオブジェクト1401は、連携機能がインストールされていない空きのタイルオブジェクトである。ホーム画面の下段には、左よりスキャンボタン1402、マップボタン1403、アカウントボタン1404、及びホームボタン1405が表示されている。こら4つのボタンは固定ボタンである。スキャンボタン1402は、上述したレストラン等の事業者が提供するサービスに連携したQRコード等を読み取る場合に使用されるボタンである。マップボタン1403は、情報端末100の現在地の周辺にあるマッチングアプリ対応店舗を地図画面を用いて表示させるボタンである。アカウントボタン1404は、ユーザのアカウント情報を登録及び編集するためのボタンである。アカウント情報の登録及び編集には、例えば、個人認証の設定及び第1サーバ200との連携機能の設定等が含まれる。ホームボタン1405は、画面表示をこの図に示されるホーム画面G103に戻すためのボタンである。
【0151】
ホーム画面G103では、連携機能、別アプリ、又は他の事業者のサービスと連携するためのタイルオブジェクト1401が中段に集約して配置されている。これらのタイルオブジェクト1401はユーザの好みに応じて、表示の有無及び配置する場所が設定可能である。よって、ユーザは、1つのマッチングアプリを用いて、数多くの事業者(例えば、家電量販店、DVD/Blu-ray(登録商標)レンタル店、本屋、コーヒーショップ、タクシー等)が提供する商品又はサービスのうち、個人情報をもとにそのユーザに適合する商品及び/又はサービスを取得できる。
【0152】
図15は、マッチングアプリを起動したユーザが自席に対応するQRコードを情報端末100に読み取らせる場合に情報端末100に表示される操作画面G104の一例を示す図である。操作画面G104(第1操作画面の一例)は、
図7の操作画面G1とほぼ同様である。操作画面G104では上段にアプリの名称表示が「パーソナルマッチング」である点が操作画面G1と相違する。
【0153】
マッチングアプリは、QRコードから読み取った文字列(例えば、URL)の接続先情報(例えば、ドメイン名、restaurantA.com)から接続先がレストランA社であることを特定できる。このリクエストを受信した第2サーバ300は、マッチングアプリからリクエストされたURLの末尾の番号が「18」であることから、このリクエストが席番号「18」の座席のQRコードを読み取った情報端末100から送信されたリクエストであることを識別できる。本実施の形態は、レストランA社の店舗40に対して、店舗40の席番号「18」に着席したユーザが料理を注文することを例示する。このリクエストにおいてマッチングアプリは明示的に店舗40(Store-A)を指定してもよい。この場合、QRコードが意味する文字列は、例えば、http://restaurantA.com/Store-A/QRorder-18と設定される。マッチングアプリは、このようにして接続先を特定する情報(例えば、レストランID)を取得できる。
【0154】
以上、説明したマッチングアプリを起動し、ユーザ認証を行い、QRコードを読み取る処理は、
図28のステップS1に対応する。
【0155】
QRコードに代えてNFCによりレストランID及び席IDが取得される態様が採用される場合、以下の第1操作画面が用いられる。
図16は、NFCによりレストランID及び席IDを取得する場合に情報端末100に表示される操作画面G1011の一例を示す図である。この操作画面も操作画面G104と同様、ホーム画面G103においてスキャンボタン1402がタッチされた場合に表示される。
【0156】
操作画面G1011には、上部に「パーソナルマッチング」と表示され、この画面がマッチングアプリの画面であることが示されている。画面の中央には、NFCをシンボリックに表すNFCマーク1601と、情報端末100をNFCマーク1601が付された物体へ近接させることを促すメッセージ(例えば「NFCマークに近づけてください」)が表示されている。
【0157】
NFCによりレストランID及び席IDが取得される場合、レストランの各座席には、レストランID及び席IDを記憶するメモリと、NFCの通信機能とを有するICチップが配置されている。このICチップにはNFCマーク1601が表示されている。これにより、操作画面G1011でNFCマーク1601を確認したユーザは情報端末100を自身の座席に配置されたICチップに近接させればよいことを容易に確認できる。ICチップのメモリは、上述のQRコードで説明したように、レストランID及び席IDが特定可能なレストランのURLを記憶すればよい。
【0158】
次に、マッチングアプリがレストランA社の第2サーバ300へアクセスし、メニュー情報を取得する処理を説明する。この処理は、
図28のステップS2に対応する。
【0159】
図17は、マッチングアプリが個別メニューを生成している際に情報端末100に表示される表示画面G105の一例を示す図である。表示画面G105では、円形状の矢印オブジェクト1501が回転表示される。さらに、矢印オブジェクト1501の下側には、「レストランAのメニューとマッチングしています」と表示されている。これにより、マッチングアプリが処理中であることをユーザは認識できる。
【0160】
表示画面G105の表示中において、情報端末100のマッチングアプリはレストランA社の第2サーバ300と第1サーバ200と連携して個別メニューを生成する。具体的には、マッチングアプリは、QRコード601又はNFCで読み取ったURLに基づいてレストランA社の第2サーバ300にアクセスして、メニュー情報を取得する。メニュー情報を取得したマッチングアプリは、メニュー情報のデータ属性を検出する。メニュー情報は食に関する情報であるため、ここで検出されるデータ属性は食属性となる。
【0161】
メニュー情報は、例えばHTMLファイルである。メニュー情報には、例えば、データ属性が食属性であることが、所定のフォーマットで記述されている。マッチングアプリはこのフォーマットに基づいて、メニュー情報のデータ属性が食属性であることを検出すればよい。或いは、マッチングアプリは、例えば、QRコードが示すURLのドメイン名からメニュー情報のデータ属性が食属性であることを検出してもよい。ここでは、ドメイン名「restaurantA.com」がレストランA社を示すため、メニュー情報のデータ属性が食属性であると判断される。或いは、マッチングアプリは、取得したメニュー情報を解析し、食に関するデータであるとの解析結果が得られた場合、メニュー情報のデータ属性が食属性であると判定してもよい。或いは、マッチングアプリは、第2サーバ300からメニュー情報のデータ属性を示す補足情報を取得することで、メニュー情報のデータ属性が食属性であることを検出してもよい。メニュー情報のデータ属性を検出する実装形態は、データ属性が識別できる手法であれば他の手法が採用されてもよい。
【0162】
次に、マッチングアプリが第2サーバ300から、宗教情報を取得する処理を説明する。この処理は、
図28のステップS3に対応する。
【0163】
メニュー情報のデータ属性が食属性であると判断したマッチングアプリは、食属性に分類されるユーザの食事制約条件である最新の宗教情報の取得を第1サーバ200に要求する。この要求には、ユーザIDが含まれる。この要求を受信した第1サーバ200は、分散暗号化された個人情報の中から最新の宗教情報をユーザIDに基づいて抽出する。抽出された宗教情報は、第1サーバ200から情報端末100へ送信される。これにより、マッチングアプリは、宗教情報を取得する。宗教情報の詳細については、
図23を用いて後述する。
【0164】
宗教情報を取得した情報端末100は、レストランA社のメニュー情報と宗教情報とを照合し、個別メニューを生成する処理を実行する。この処理は
図28のステップS4に対応する。このとき、情報端末100には依然、
図17に示す表示画面G105が表示されているが、マッチングアプリは、メニュー情報と宗教情報とを照合し、宗教情報に対応する個別メニューを生成する処理を実行している。
【0165】
ここで、第2操作画面に含まれる個別メニューの生成方法には、以下のバリエーションがある。
【0166】
1つ目のバリエーションでは、演算部104は、メニュー情報及び宗教情報に基づき、メニュー情報に含まれる各料理において宗教情報に対応していない料理(第2料理)、すなわち避けるべき食材を含む料理を除外又はグレイアウトする個別メニューを生成する。例えばユーザの避けるべき食材が牛肉であり、メニュー情報にビーフカレーが含まれていたとする。この場合、ビーフカレーを示すタイルオブジェクト901が個別メニューから除外される、或いはグレイアウトされる。グレイアウトとは、ビーフカレーのタイルオブジェクト901を例えばグレイ色で半透明表示させる表示方法である。なお、宗教情報には
図23で後述するように避けるべき食材に関する情報が含まれているため、演算部104は、この宗教情報から避けるべき食材を特定できる。
【0167】
2つ目のバリエーションでは、演算部104は、宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含む個別メニューを生成する。
図22に示すように、宗教には、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教、キリスト教、及び仏教等があり、各宗教の教義によって避けるべき食材が定められている。そのため、各宗教の信者について不足しやすい栄養成分はおよそ推定できる。そこで、演算部104は、宗教に応じて不足しやすい栄養成分を予めメモリ102に記憶させておき、その栄養成分を含む料理を個別メニューに含めればよい。一の料理とはある一つの料理のことを意味する。例えば、ヒンドゥー教を信仰する人は、動物性の食材が禁じられているため、タンパク質、ビタミン、カルシウム、鉄、及び亜鉛が不足しやすい。そのため、ヒンドゥー教を信仰ユーザに関しては、これらの食材を含む料理が個別メニューに追加される。
【0168】
3つ目のバリエーションでは、演算部104は、宗教情報が示す宗教に対応する不足しやすい栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含む個別メニューを生成する。例えば、ヒンドゥー教徒は、鉄が不足しやすい。小松菜のおひたし及び納豆は鉄分を多く含んでいる。したがって、このバリエーションの一例としては、小松菜のおひたしの小鉢又は納豆の小鉢を含むセット料理を個別メニューに含ませることが挙げられる。或いは、この一例としては、
図38で後述するように、個別メニューにおいてユーザがある料理を選択すると、その料理に加えて不足する栄養成分を含む料理の注文をユーザに促す画面をディスプレイ105に表示することが挙げられる。この場合、演算部104は、料理ごとに予め定められた不足する栄養成分を含む料理を、ユーザに注文を促す料理として決定すればよい。
【0169】
その他、不足しやすい栄養成分を補うための料理の組み合わせの一例としては、鉄分摂取量を高めるためにビタミンCを多く含む料理を、鉄分を含む料理と合わせて食するセット料理が挙げられる。
【0170】
さらに、不足しやすい栄養成分を補うために料理の調理法が変更されてもよい。例えば、演算部104は、ビタミン摂取量を高めるために食材の加熱温度と加熱時間とを抑えるように料理の調理法を変更するよう対応するレストランの第2サーバ300に指示してもよい。
【0171】
4つ目のバリエーションでは、演算部104は、所定期間におけるユーザの過去の食事において、ユーザにとって不足していた栄養成分を含む食材を追加した一の料理を含む個別メニューを生成する。所定期間とは、現在から1週間又は1か月等の期間である。各宗教の信者が不足しやすい栄養成分は、各宗教に応じておよそ推定できることは2つ目のバリエーションで上述したとおりである。この推定は、所定期間における不足しやすい栄養成分の推定についても同様に適用可能である。したがって、演算部104は、各宗教に応じて所定期間における不足しやすい栄養成分を予めメモリ102に記憶させておき、その栄養成分を含む料理を個別メニューに含めればよい。
【0172】
或いは、演算部104は、所定期間における料理の注文履歴情報を第1サーバ200から取得し、その注文履歴情報から該当するユーザにとって不足している栄養成分を特定してもよい。例えば、注文履歴情報には、ユーザが過去に注文した料理に関する情報が含まれている。料理に関する情報には、例えば料理名に加えて各料理に使用される食材及びその量が含まれる。食材及び食材の量が分かれば、食材に含まれる各栄養成分及び各栄養成分の量も特定可能である。そこで、演算部104は、注文履歴情報に含まれる料理毎にユーザが摂取した栄養成分と各栄養成分の量とを特定し、特定した各栄養成分の量の所定期間における累計値を算出する。そして、演算部104は、その累積値が栄養成分毎に予め定められた閾値を下回るか否かを判定し、下回ると判定した栄養成分を不足する栄養成分として特定すればよい。
【0173】
5つ目のバリエーションでは、演算部104は、所定期間におけるユーザの過去の食事において、ユーザが不足していた栄養成分を補うための料理の組合せを示す表示を含む個別メニューを生成する。このバリエーションでは、4つ目のバリエーションで説明した手法を用いて所定期間におけるユーザにとって不足していた栄養成分が特定される。そして、3つ目のバリエーションで示した手法を用いて不足していた栄養成分を補うための料理の組み合わせが表示される。
【0174】
これら5つのバリエーションは適宜組み合わされてもよい。
【0175】
個別メニューを生成したマッチングアプリは、個別メニューを標準メニューからの注文時と同じように、ブラウザを用いて、情報端末100に表示する。個別メニューに掲載された料理は、全て最新の宗教情報が考慮された料理である。そのため、ユーザは料理の注文をスムーズに行うことができる。
【0176】
図18は、個別メニューを含む操作画面の一例を示す図である。操作画面G106(第2操作画面の一例)は、操作画面G3と同様、複数のタイルオブジェクト901がマトリックス状に配置されている。操作画面G106において、個別メニューはユーザのスクロール操作に応じてスクロール可能に構成されている。これら複数のタイルオブジェクト901により個別メニューが構成される。操作画面G106の個別メニューにおいては、
図8の標準メニューに含まれていた「ステーキセット」、「ラーメンAセット」、「ラーメンBセット」、及び「ハンバーガー」等の料理を示すタイルオブジェクト901が、食肉を含む等の理由により、「ラーメンと野菜餃子」、「ベジタブルカレーとウーロン茶」、「トマトソースパスタ」、及び「代替肉カレー」等のユーザが食することが可能な料理を示すタイルオブジェクト901に変更されている。なお、
図18の例は上述の1つ目のバリエーション(避けるべき食材を含む料理を除外)と2つ目のバリエーション(不足しやすい栄養成分を含む食材を追加)とを組み合わせた態様に対応している。
【0177】
操作画面G106の上部には「レストランAのカスタムメニュー」と表記されており、操作画面G106に掲載された個別メニューがユーザに対してカスタマイズされたメニューであることが明示されている。これにより、操作画面G106に含まれる個別メニューが安心して食べて貰える料理からなるメニューであることがユーザに訴求されている。
【0178】
操作画面G106において、タイルオブジェクト901の上部には、注文切替ボタン1801が表示されている。注文切替ボタン1801は、タイルオブジェクト901の選択後に
図20に示す操作画面G107に画面表示を切り替えるためのボタンである。
【0179】
個別メニューを表示したマッチングアプリは、ユーザから注文する料理の選択を受け付ける処理を実行する。この処理は、
図28のステップS5に対応する。
図19は、ユーザが操作画面G106を操作して個別メニューから料理を注文するシーンを示した図である。
【0180】
この操作画面G106の例では、個別メニューから、「ラーメンと野菜餃子」の料理のタイルオブジェクト901Bが1回タッチされている。そのため、タイルオブジェクト901Bの色が第1色から第2色に変更され且つ右上に注文数「1」が表示されている。このようにユーザは指等の指示体1001を用いたタッチ操作で簡単且つ直感的に料理を注文できる。
【0181】
尚、ここではユーザが注文する料理を選択した際にタイルオブジェクト901の色を変更するとしたが、これに限らない。例えば、ユーザにより選択された際に、タイルオブジェクト901の模様を第1模様から、第2模様に変更してもよい。または、ユーザにより選択された際に、タイルオブジェクト901の色及び模様を第1色及び模様から、第2色及び模様に変更してもよい。
【0182】
操作画面G106を通じて料理の注文を受け付けたマッチングアプリは、注文料理情報と席IDと対応付けた注文リクエストを第2サーバ300に送信する。
図20は、個別メニューから注文する料理を最終的に決定する際に表示される操作画面G107の一例を示す図である。操作画面G107は、操作画面G106において、注文切替ボタン1801がタッチされた場合に表示される。
【0183】
操作画面G107には、操作画面G106で選択された料理に対応するタイルオブジェクト901Bと、注文した料理(ラーメンと野菜餃子)の合計金額(1,000円)を示す合計金額欄2001とが含まれている。さらに、操作画面G107には、注文ボタン2000が含まれている。この操作画面G107の内容は、標準メニューにおける操作画面G4と同じである。注文ボタン2000がタッチされると、注文料理情報と席IDとを対応付けた注文リクエストがレストランA社の第2サーバ300に送信される。注文リクエストはレストランA社の店舗に設置されたディスプレイに表示される。これにより、レストランスタッフは、表示された席番号「18」及び注文料理情報から注文内容を把握し、調理を開始し、注文された料理を席番号「18」に配膳することができる。
【0184】
図21は、これまでの注文履歴をユーザが確認する時に表示される注文履歴画面の一例を示す図である。注文履歴画面G108には、画面左側に設けられた調理中枠2101と画面右側に設けられた配膳済枠2102とを含む。調理中枠2101内には注文を受けて現在調理中である料理を示すタイルオブジェクト901Bが配列される。配膳済枠2102内には配膳済みの料理を示すタイルオブジェクト901が配列されている。
図20の例では未だ配膳された料理はないため、配膳済枠2102内にタイルオブジェクト901は配列されていない。現在、調理中枠2101には「ラーメンと野菜餃子」のタイルオブジェクト901Bが配列されている。注文履歴画面G108において画面下段には、マッチングアプリを介して行われたこれまでの注文料理の合計金額(1,000円)が分かり易く表示されている。ユーザは注文履歴画面G108を確認することで、現在までの注文した料理及び数量と支払金額とを一目で確認できる。なお、「注文履歴」ボタン(図略)を操作画面G106に設け、この「注文履歴」ボタンがタッチされたときに注文履歴画面G108が表示されてもよい。
【0185】
このレストランA社における個別メニューからの注文処理は、上記のように実施される。料理を注文するユーザは、第1サーバ200が配信するマッチングアプリを使って、レストランの自席のQRコードを情報端末100に読み取らせるだけで、自身の宗教情報が配慮された個別メニューを取得し、その個別メニューから料理を注文できる。これはこれまでに前例のない手軽で間違いのない個別の料理の注文方法である。これを実行するために、ユーザは予めマッチングアプリを情報端末100にインストールしておけばよい。
【0186】
(宗教について)
次に、宗教について説明する。
図22は、宗教の種類と、各宗教に応じたユーザの避けるべき食材をまとめた表である。この表の例では、宗教は、「イスラム教」、「ユダヤ教」、「ヒンドゥー教」、「キリスト教」、及び「仏教」に分類される。この表において、「X」は該当する宗教が原則、避けるべき食材であると規定する食材を示している。「Y」は該当する宗教が避けるのが望ましい食材として規定する食材、或いは一部の宗派によって避けるべき食材として規定される食材を示している。以下、「X」で規定される食材を「原則的に避けるべき食材」と称し、「Y」で規定される食材を「必要に応じて避けるべき食材」と称し、両者を纏めて「避けるべき食材」と称する。
【0187】
イスラム教は、教義に則って食べることが許可された食事(ハラルフード)がある。イスラム教は、豚肉及び酒が原則的に避けるべき食材であり、魚及び乳製品は必要に応じて避けるべき食材である。
【0188】
ユダヤ教は、教義に則った厳格な食事規定(カシュルート)があり、食べることが許可された食事(コーシャ)がある。ユダヤ教では、特に豚肉が原則的に避けるべき食材であり、鳥、魚、卵、乳製品は必要に応じて避けるべき食材である。
【0189】
ヒンドゥー教は、教義に則った食事規定があり、牛肉、豚肉、及び魚が原則的に避けるべき食材であり、鳥及び卵は必要に応じて避けるべき食材である。
【0190】
キリスト教は、食事に関する規定は殆どない。ただし、一部の宗派では、飲食に関する様々な規定が設けられている。
【0191】
いずれの宗教及び宗派においても、厳格に食事規定を守る人もいれば、守らない人もいる。また、宗教に関わらずベジタリアンの食事法をとる人は、さらなる食事制約がある。本実施の形態では、このような各ユーザの事情を踏まえて、各ユーザに適した個別メニューが生成可能である。
【0192】
例えば、ヒンドゥー教、キリスト教の一部の宗派、仏教の一部の宗派の信者は、動物性食品の摂取が禁じられる或いは敬遠されている。このような信者はタンパク質、ビタミン、カルシウム、鉄、及び亜鉛が不足しがちになる。特定の宗教の食事規約を厳密に守る人は、特定の食材を長期間に渡り継続して摂取しないため、健康維持に必要な特定の栄養成分又はミネラルが慢性的に不足しがちになる。これら不足しがちな栄養成分を限られた食品から摂取するためには、宗教又は宗派に応じて不足しがちな栄養成分が多く含まれる食材であって、食することが可能な食材を用いて、必要な栄養成分がバランス良く摂取されるように、料理の食材を追加したり、料理の調理法を変更したり、料理を組み合わせたりすることが望まれる。
【0193】
例えば、ビタミンB12を多く含む植物性の食材は、藻類(ほしのり、味付けのり、焼きのり)である。ビタミンDを多く含む植物性の食材は、干しシイタケ、きくらげ等である。亜鉛を多く含む植物性の食材は、藻類(焼きのり、わかめ)、野菜類(切り干し大根、枝豆)、豆類(きな粉、納豆)等である。カルシウムを多く含む植物性の食材は、野菜類(小松菜、乾燥ひじき、チンゲンサイ)、豆類(豆腐、納豆)等である。鉄を多く含む植物性の食材は、野菜類(小松菜、ほうれん草)、豆類(納豆、厚揚げ)等である。したがって、これらの栄養成分が不足するユーザは上記の食材を摂取して、不足する栄養成分を補うことが望まれる。
【0194】
特定の宗教を信仰するユーザが、不足しがちな栄養成分を考慮に入れて料理を選択するにはこのような知識が必要であり、また面倒でもあるため、長続きしにくいと思われる。
【0195】
そこで、本実施の形態では、上述した2つ目~5つ目のバリエーションで説明したように、情報端末100が自動的に、不足しがちな栄養成分を含む食材が追加された料理、不足しがちな栄養成分が壊されないように調理法が変更された料理、不足しがちな栄養成分を補うことが可能な料理の組み合わせを個別メニューを通じてユーザに提案する。
【0196】
(データ構成)
次に、宗教情報及び食材情報2400のデータ構成について説明する。
図23は、第1サーバ200からマッチングアプリへ返信されるユーザの宗教情報を含む情報2300のデータ構成の一例を示す図である。この情報2300は、演算処理が容易にできるようにフィールドとバリューとが対応付けて記載されている。情報2300は、例えば、JSON(JavaScript(登録商標)Object Notation)フォーマットにて1ファイルが構成されている。
【0197】
「情報カテゴリ」フィールドは、情報2300がどういう種類の個人情報であるかを示すフィールドである。情報2300は食事に関するデータであるため、「情報カテゴリ」フィールドに対するバリューには「食事」が記載されている。「情報カテゴリ」フィールドは情報2300の先頭に記載されている。
【0198】
「発行元」フィールドは、マッチングアプリを介してユーザに質問をしてこの情報2300を取得した法人を識別するためのフィールドである。ここでは、ABCマッチング株式会社により質問が行われて情報2300が取得されたため、「発行元」フィールドに対応するバリューには、ABCマッチングが記載されている。
【0199】
「発行日」フィールドは、この情報2300の発行元による発行日時を示すフィールドである。ここでは、「発行日」フィールドに対応するバリューには、2020年2月7日が記載されている。このバリューには発行日に加えて時刻が含まれていてもよい。また、このバリューにはタイムゾーン情報が含まれていてもよい。
【0200】
「データ種別」フィールドは、この情報2300の内容を具体的に特定するフィールドである。ここでは、「データ種別」フィールドに対応するバリューには、例えば、「宗教情報」が記載されている。これにより、以下のフィールドに記載されたデータが該当するユーザの宗教情報であることが示される。
【0201】
なお、情報端末100は、「情報カテゴリ」フィールド及び「データ種別」フィールドのそれぞれに対応するバリューの記載内容に基づいて、情報2300に宗教情報が含まれていると解釈すればよい。或いは、情報端末100は、情報2300に関連する情報(例えば、情報2300のファイル名)に基づいて情報2300に宗教情報が含まれていると解釈してもよい。
【0202】
「データ測定日」フィールドは、先行する「データ種別」フィールドに対応するバリュー「宗教情報」が測定された日時情報を示すフィールドである。ここでは、「データ測定日」フィールドに対応するバリューは2020年2月7日と記載されている。このバリューには測定日に加えて時刻が含まれていてもよい。また、このバリューにはタイムゾーン情報が含まれていてもよい。なお、第1サーバ200に該当するユーザについて複数の宗教情報が記憶されている場合、「データ測定日」フィールドに記載された日付が最新の情報2300が使用される。
【0203】
「宗教分類」は、ユーザが信仰する宗教を示している。「宗教分類」としては、
図22に示した列挙された各種宗教が採用できる。或いは、宗教分類には宗教を示す情報に加えて宗派を示す情報が含まれてもよい。ここでは、該当するユーザは仏教であるため、「宗教分類」に対応するバリューには、「仏教」が記載されている。
【0204】
「宗教分類」フィールド以降には、牛肉、豚肉、鳥肉、魚、卵、乳製品、及び酒の食材のそれぞれに対して、ユーザが食することへの抵抗感の度合いを示す抵抗値が記載されている。抵抗値は例えば0~5の6段階で表され、数値が増大するほど抵抗感が低いことを示している。例えば、抵抗値「0」の食材は絶対に避けるべき食材であり、抵抗値「5」の食材は食することに抵抗がない食材である。
【0205】
このユーザは、「宗教分類」が仏教であり、牛肉、豚肉、鳥肉、及び魚は必要に応じて避けるべき食材であるため、これらの食材の抵抗値は「1」が設定されている。一方、卵、乳製品、及び酒は食することが可能な食材であるため、これらの抵抗値は「3」、「5」、「5」が設定されている。卵の抵抗値が「3」であるのは、このユーザは卵については食することに多少の抵抗感を抱いているからである。
図22の表に示すように避けるべき食材は宗教に応じて予め定められている。そのため、各食材のバリューには、原則的に避けるべき食材には「0」、必要に応じて避けるべき食材には「1」、食することが可能な食材には「5」の抵抗値がデフォルトで設定される。但し、ユーザは、食することが可能な食材であっても食することに対して抵抗感を感じる食材については、マッチングアプリを通じて「5」未満の抵抗値を入力することが可能である。また、原則的に避けるべき食材であっても、宗教の教義を厳格に貫かないユーザは、マッチングアプリを通じて、原則的に避けるべき食材に対して「0」より大きな抵抗値を入力することが可能である。また、必要に応じて避けるべき食材に対して「1」よりも大きな抵抗値をユーザは入力することが可能である。
【0206】
抵抗値は、ユーザの宗教、及びユーザの宗教において避けるべき食材に関して避けるべき食材の程度を示すレベル情報の一例である。
【0207】
一方で、レストランA社の第2サーバ300から取得されるメニュー情報において、料理毎の食材情報が記述されなければ、情報端末100は各ユーザの避けるべき食材を含む料理を特定することが不可能になる。
図24は、第2サーバ300から返信されるメニュー情報を構成する食材情報2400のデータ構成の一例を示す図である。
図24では、ラーメンBセットの食材情報2401を示している。ラーメンBセットは醤油ラーメンと小籠包とが含まれている。そのため、情報端末100は、ラーメンBセットにユーザが避けるべき食材が含まれているか否かを判定するに際して、醤油ラーメンの食材情報2402と、小籠包の食材情報2403とを参照する。
【0208】
食材情報2400は、演算処理が容易にできるようにフィールドとバリューとが対応付けて記載されている。食材情報2400は、レストラン各社の第2サーバ300から取得される、例えばHTMLファイル形式のメニュー情報の中に食材情報を示すタグと共に埋め込まれている。但し、これは一例であり、食材情報2400はJSONフォーマットで構成され、料理毎に準備された別ファイルで構成されていてもよい。
【0209】
「料理名」フィールドは、この情報がどの料理に関する食材情報であるかを示すフィールドである。食材情報2401の例では「料理名」フィールドに対応するバリューにはラーメンBセットが記載され、食材情報2402の例では「料理名」フィールドに対応するバリューには醤油ラーメンが記載され、食材情報2403の例では「料理名」フィールドに対応するバリューには小籠包が記載されている。
【0210】
「料理名」フィールドに続くフィールド及びバリューには、使用される食材の一覧が記載されている。例えば、食材情報2401は、一杯の醤油ラーメンと3個の小籠包とで構成されているため、「醤油ラーメン」フィールド及び「小籠包」フィールドが含まれており、醤油ラーメンに対応するバリューには「1」が記載され、小籠包に対応するバリューには「3」が記載されている。食材情報2401はセット料理の食材情報2400であるため、料理を構成する食材に関するフィールド及びバリューは設けられていない。
【0211】
食材情報2402には、醤油ラーメン単品の食材情報2400であるため、「小麦粉」は「50g」、「食塩」は「5g」というように醤油ラーメンを構成する各食材と各食材の量とが対応付けて記載されている。食材情報2403も食材情報2402と同様、小籠包単品の食材情報2400であるため、小籠包を構成する各食材と各食材の量とが対応付けて記載されている。
【0212】
ラーメンBセットには、食材情報2402及び食材情報2403に示されるように、「豚チャーシュー」、「豚ひき肉」、及び「鶏ガラスープ」が食材として含まれている。しかしながら、このユーザの情報2300には、豚肉及び鶏肉の抵抗値がそれぞれ「1」に設定されており、「豚ひき肉」及び「鶏ガラスープ」はこのユーザにとって必要に応じて避けるべき食材である。そのため、このユーザはラーメンBセットを食さないのが望ましい。そこで、情報端末100の演算部104は、例えばラーメンBセットに代えて、
図25に示すラーメンと野菜餃子の料理セットを個別メニューを通じてユーザに提案する。
【0213】
図25は、ラーメンと野菜餃子の食材情報2404の一例を示す図である。ラーメンと野菜餃子は、食材情報2405及び食材情報2406に示すように、豚チャーシューに代えて、チンゲンサイが使用され、豚ひき肉に代えてニラが使用され、鶏ガラスープに代えてキャベツが使用されている。これにより、個別メニューには、このユーザが食することが可能な「ラーメンと野菜餃子」が個別メニューに表示され、このユーザは自身が食することが可能な料理の中からスムーズに注文できる。
【0214】
料理を差し替えるにあたり、情報端末100は、
図24に示す食材情報2402及び食材情報2403と該当するユーザの情報2300に含まれる宗教情報とを照合し、食材情報2402及び食材情報2403の中から置換対象の食材を抽出する。例えば、情報2300において抵抗値が「0」又は「1」の食材が食材情報2402及び食材情報2403において置換対象の食材として抽出される。食材情報2402及び食材情報2403に「NG」で示される置換対象の食材として抽出された食材を示している。そして、情報端末100は、抽出した置換対象の食材に対して料理ごとに予め定められた代替食材及びその代替食材の量で置換対象の食材及び量を置換することで、食材情報2402及び食材情報2403を差し替える。さらに、情報端末100は、食材情報の料理名も置換後の食材に応じて予め定められた料理名に差し替える。これにより、
図25に示す食材情報2400が得られる。情報端末100は、この処理を、取得したメニュー情報に含まれる各料理のそれぞれについて適用することで、料理を差し替えればよい。
【0215】
或いは、情報端末100は、置換対象の食材を含む料理に対して、宗教に応じた代替料理が予め定められているのであれば、置換対象の食材を含む料理をその代替料理に差し替えてもよい。
【0216】
(処理の全体像)
次に、本実施の形態における情報処理システムの処理の全体像について説明する。
図26は、本実施の形態における情報処理システムの処理の全体像の一例を示すシーケンス図である。
【0217】
レストランA社に入店及び着席したユーザの操作にしたがって情報端末100により起動されたマッチングアプリは、ユーザ認証を行う(ステップS501)。ユーザ認証に成功したマッチングアプリは、ホーム画面G103(
図14参照)を表示する。
【0218】
ホーム画面G103においてユーザによりスキャンボタン1402がタッチされると、マッチングアプリは、スキャン機能を起動し、ユーザの座席に対応するQRコードを取得する(ステップS502)。これにより、マッチングアプリは、接続先であるレストランA社の第2サーバ300(HTTPサーバ)のURLを取得する。
【0219】
URLを取得したマッチングアプリは、URLに基づいてレストランA社の第2サーバ300に対してメニュー情報を取得するための要求(例えばHTTPリクエスト)を送信する(ステップS503)。この際、マッチングアプリは、上述したようにQRコードに含まれる席IDを第2サーバ300に送信してもよい。
【0220】
その要求を受信した第2サーバ300は、HTTPサーバ機能を用いて、メニュー情報を返信するHTTPレスポンスを送信する。これにより、マッチングアプリは、レストランA社のメニュー情報を受信する(ステップS504)。
【0221】
メニュー情報を受信したマッチングアプリは、受信したメニュー情報を解析し、受信したメニュー情報のデータ属性が食属性であることを検出する。この場合、マッチングアプリは、メニュー情報を内部解析することで食属性であることを検出すればよい。或いは、マッチングアプリは、メニュー情報とは別に送信された補足情報から食属性であることを検出してもよい。そして、マッチングアプリは、受信したメニュー情報のデータ属性が食属性であるため、宗教情報をマッチングを行うためのデータとして決定する(ステップS505)。
【0222】
次に、マッチングアプリは、ユーザ認証が行われたユーザのユーザIDに基づいて、当該ユーザの宗教情報の取得を要求するためのHTTPリクエストを第1サーバ200に送信する(ステップS506)。このHTTPリクエストをHTTPサーバの機能を用いて受信した第1サーバ200は、ユーザIDに基づいて当該ユーザの宗教情報をメモリ203から抽出し、抽出した宗教情報を返信するHTTPレスポンスをマッチングアプリに送信する。これにより、マッチングアプリは、当該ユーザの宗教報を受信する(ステップS507)。
【0223】
宗教情報を受信したマッチングアプリは、受信したメニュー情報と受信した宗教情報とから、上述した5つのバリエーションで示される方法のいずれかを用いて、当該ユーザの宗教情報に対応した個別メニューを生成する(ステップS508)。
【0224】
マッチングアプリは、ステップS501からステップS508までの処理において表示される各種画面のスタイルUI(UserInterface)デザインをマッチングアプリのスタイルに則って生成するが、個別メニューから注文完了までの各種画面のスタイル(例えばUIデザイン)については、レストランA社が提供するスタイルに則って生成する。言い換えると、サービス提供会社である各事業者(例えば、各レストラン)は、他社(例えば、情報銀行又は情報仲介業者)が開発したマッチングアプリ上でありながら、自らの好むスタイル(例えばUIデザイン)でユーザ(例えば、顧客)とコミュニケーションをとることができる。これは、上述した標準メニューと個別メニューとのそれぞれを、レストランA社が指定するスタイル(例えばUIデザイン)で表現し、さらには一貫性を持たせることが可能であることを意味する。
【0225】
個別メニューを生成したマッチングアプリは、生成した個別メニューを含む操作画面G106をレストランA社が指定するスタイルで表示し、個別メニューの中から料理を注文するユーザによる選択指示を受け付ける(ステップS509)。
【0226】
選択指示を受け付けたマッチングアプリは、ユーザの席IDと注文する料理を示す注文料理情報とを対応付けた注文リクエストをレストランA社の第2サーバ300へ送信する(ステップS510)。注文リクエストを受信した第2サーバ300は、マッチングアプリへ注文を受信したことを示す応答確認(ACK)と、必要に応じて現在の注文状況(例えば、注文履歴画面G108に関する情報)とを返信する。これにより、マッチングアプリは、現在の注文状況を受信する(ステップS511)。
【0227】
マッチングアプリは、レストランA社の第2サーバ300に対して、注文料理情報をユーザIDと対応付けて第1サーバ200にも送付し(ステップS512)、当該ユーザの食事履歴情報に追加又は更新するように要請する。注文料理情報を受信した第1サーバ200は、当該ユーザの食事履歴情報を受信した料理情報に従って更新する(ステップS513)。この場合、食事履歴情報には料理情報が示す料理の注文時刻を示すタイムスタンプも付与される。
【0228】
注文リクエストを受信したレストランA社の第2サーバ300は店舗内のディスプレイに注文リクエストを表示する(ステップS514)。これにより店舗の従業員は料理を注文した座席のユーザに対して間違いなく注文された料理を配膳できる。
【0229】
このようにユーザの個人情報の一部でもある食事履歴情報が、きめ細かく、正確、且つ時系列的に第1サーバ200に蓄積されていく。これにより、次の料理の注文の際に、そのビッグデータが活用され、適合度の高い料理の選択肢がより高精度にユーザに提示される。
【0230】
図26に示される制御方法によれば、料理を注文したユーザに対して、注文と異なる料理であって、宗教上の理由からユーザが避けるべき食材を含む料理が間違って配膳されるリスクを低減できる。さらに、
図26に示される制御方法によれば、避けるべき食材及び調理方法等の細かな確認が必要なユーザであっても、そのような確認をレストラン側に行わせることなく、そのユーザは簡易に料理を注文することができ、さらに、レストラン側もそのようなユーザからの料理の注文を簡易に対応することができる。また、
図26に示される制御方法によれば、宗教情報というユーザのプライバシーに関わる個人情報がレストランのスタッフに伝わるユーザの不安、及びプライバシーに関わる個人情報が店舗端末に蓄積されることに関するユーザの不安が低減される。
【0231】
さらに、
図26に示される制御方法によれば、正確且つ時間的に連続した宗教情報、食事履歴情報(例えば、注文履歴情報)、活動量、及びバイタルサイン情報等を含む個人情報が効率的且つ安全に管理される。さらに、
図26に示される制御方法によれば、個人情報がユーザにより許諾された事業者以外に漏洩することが防止される。
【0232】
(注文処理のフローチャート)
次に、本実施の形態における情報端末100の処理について説明する。
図27は、標準メニューから料理が注文される場合の情報端末100の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、情報端末100においてユーザによりQRコードリーダーが起動されたことをトリガーに開始される。
【0233】
ステップS11において、QRコードリーダーは、QRコードで読み取り、読み取った文字列(例えば、URL)をブラウザに渡す。この処理では、
図7に示す操作画面G1を用いてQRコードが読み取られ、
図8に示すQRコードの読み取り結果が操作画面G2に表示される。
【0234】
ステップS12において、ブラウザは、URLに従ってレストランA社の第2サーバ300にアクセスし、メニュー情報を取得し、標準メニューを情報端末100のディスプレイ105に表示する。この処理では、
図9に示す標準メニューを含む操作画面G3が表示される。
【0235】
ステップS13において、ブラウザは標準メニューの中から注文する料理を選択する指示をユーザから受け付ける。この処理では、
図10に示す操作画面G3に含まれる標準メニューがユーザによって操作され、注文する料理が選択される。
【0236】
ステップS14において、ブラウザは、レストランA社の第2サーバ300に対して、ユーザの席IDとユーザが注文した料理を示す注文料理情報とを対応付けた注文リクエストを送信する。以上により標準メニューからの注文処理が終了される。
【0237】
このように、レストランにて、自身の宗教情報が考慮された適切なメニューを注文したいユーザは、マッチングアプリを使って個別メニューを表示して料理を注文する。一方で、自身の宗教情報が考慮されることなくレストランの標準メニューから料理を選択したいユーザは、汎用的なQRコードリーダーを使って標準メニューを表示し、料理を注文する。
【0238】
いずれのケースにおいても、ユーザが着席した座席に対応したQRコードから読み取られた席IDが料理注文情報と対応付けて第2サーバ300に送信されているため、注文した料理は間違いなく配膳される。
【0239】
図28は、個別メニューから料理が注文される場合の情報端末100の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、レストランに入店して料理を注文するユーザがマッチングアプリを起動させたことをトリガーに開始される。
【0240】
ステップS1において、マッチングアプリは、ユーザの自席に対応するQRコードを取得する処理を実行する。この処理の詳細は
図29を用いて後述する。この処理においては、
図15に示す操作画面G104を通じてQRコードが読み取られ、席ID及びレストランIDが取得される。この処理は、
図26のステップS501,S502に対応している。
【0241】
ステップS2において、マッチングアプリは、取得したQRコードが示すURLにブラウザ機能を使ってアクセスし、レストランA社の第2サーバ300からレストランA社のメニュー情報を取得する処理を実行する。この処理の詳細は
図30を用いて後述する。この処理において、メニュー情報のデータ属性が食属性であることも検出される。この処理においては、
図17に示す表示画面G105が情報端末100に表示される。この処理は、
図26のステップS503,S504に対応している。
【0242】
ステップS3において、マッチングアプリは、第1サーバ200から、ユーザの個人情報の中から、食属性に関する個人情報である宗教情報を取得する処理を実行する。この処理の詳細は
図31を用いて後述する。この処理により、ステップS1で取得された席IDが示す座席に着席したユーザの宗教情報が取得される。この処理は、
図26のステップS505,S506,S507に対応している。
【0243】
ステップS4において、マッチングアプリは、レストランA社のメニュー情報と、ユーザの宗教情報とを照合し、宗教に対応した料理を含む個別メニューを生成する処理を実行する。この処理により、個別メニューを含む操作画面G106が表示される。この処理は、
図26のステップS508に対応している。
【0244】
ステップS5において、マッチングアプリは、個別メニューを閲覧したユーザにより注文する料理の選択指示を受け付ける。この場合、
図18の操作画面G106に示されるように料理が選択される。この処理は、
図26のステップS509に対応している。
【0245】
ステップS6において、マッチングアプリは、ステップS5で選択された料理を示す注文料理情報をステップS1で取得した席IDと対応付けた注文リクエストをレストランA社の第2サーバ300に送信する。この処理は、
図26のステップS510に対応している。
【0246】
以下、個別メニューから料理が注文されるケースの詳細を説明する。
図29は、
図28のステップS1の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS101において、ユーザにより起動されたマッチングアプリは、ユーザに対してユーザ認証を要求する。この場合、
図12に示す認証画面G101又は
図13に示す認証画面G102を用いたユーザ認証が行われる。
【0247】
ステップS102において、マッチングアプリは、ユーザの認証に成功したか否かを判定する。ここで、ユーザ認証に失敗した場合(ステップS102でNO)、処理はステップS101に戻る。ユーザ認証に成功した場合(ステップS102でYES)、処理はステップS103に進む。ステップS103において、マッチングアプリは、
図14に示すマッチングアプリのホーム画面G103を表示する。
【0248】
ステップS104において、マッチングアプリは、ホーム画面G103のスキャンボタン1402をタッチするユーザの操作を受け付け、QRコードの読取機能を起動する。これにより、
図15に示す操作画面G104が表示される。なお、NFCでレストランID及び席IDを読み取る態様が採用される場合、
図16に示す操作画面G1011が表示される。
【0249】
ステップS105において、ユーザにより情報端末100の向きと位置とが調整され、マッチングアプリは、ユーザが着席した座席に対応するQRコードを読み取る。
【0250】
図30は、
図28のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS201において、マッチングアプリは、QRコードに記述された文字列(例えば、URL)に基づき、レストランA社の第2サーバ300にアクセスする。このアクセスは、例えば、HTTPリクエストにより行われる。
【0251】
ステップS202において、レストランA社の第2サーバ300は、HTTPサーバ機能を用いて、最新のメニュー情報を、マッチングアプリへ返信する。この返信は例えばHTTPレスポンスにより行われる。
【0252】
ステップS203において、マッチングアプリは、レストランA社の最新のメニュー情報を取得する。
【0253】
ステップS204において、マッチングアプリは、取得したメニュー情報から、メニュー情報のデータ属性が食属性であることを検出する。この検出は、例えば、メニュー情報を構成するHTMLファイル内に記載されたデータ属性に基づいて行われる。
【0254】
図31は、
図28のステップS3の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS301において、マッチングアプリは、取得したメニュー情報のデータ属性が食属性であるため、ユーザの宗教情報をマッチングを行うためのデータとして決定する。
【0255】
ステップS302において、マッチングアプリは、第1サーバ200に対して、マッチングの対象となるユーザの最新の宗教情報の取得を要求する。この場合、マッチングアプリは、ユーザIDを指定して、宗教情報を所定の暗号化状態で返信するよう要求する。
【0256】
ステップS303において、第1サーバ200は、分散暗号化されて管理されている膨大な個人情報の中から、ユーザIDに基づいて最新の宗教情報を抽出し、この宗教情報を所定のフォーマットに成形した後、所定の暗号化を行い、マッチングアプリへ返信する。
【0257】
ステップS304において、マッチングアプリは、取得した最新の宗教情報を復号する。これにより、ユーザの最新の宗教情報が取得される。
【0258】
図32は、
図28のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS401において、マッチングアプリは、レストランA社のメニュー情報と、ユーザの最新の宗教情報とを照合し、ユーザの宗教に対応した料理のみが含まれる個別メニューを生成する。メニュー情報には後述するように各料理に含まれる1以上の食材と食材の量とが含まれる。メニュー情報には、各料理の調理方法を示す調理方法情報が含まれていてもよい。ここでは、上述した5つのバリエーションのいずれかの方法を用いて個別メニューが生成される。
【0259】
ステップS402において、マッチングアプリは、ブラウザ機能を用いて、生成した個別メニューを含む操作画面G106を生成し、情報端末100のディスプレイ105に表示する。この場合、個別メニューは、例えばレストランA社のメニュー情報に含まれる表示スタイル情報が適用されて表示される。
【0260】
(個別メニューから注文をする際の情報処理の実装例)
次に、個別メニューから料理を注文する場合の情報処理の実装例について説明する。情報通信のインターフェース及び取り扱うデータ構造がレストラン店舗に固有である場合、情報処理システムで取り扱われる各種データが、例えば、レストランA社の店舗40では利用可能だが、レストランB社では使用できないといった事態、又はレストランA社の別店舗及びレストランB社の両方で使用できないという事態が生じ得る。このような事態を回避するために、多くのユーザが多くのレストランで個別メニューを用いた料理の注文を実施するめの汎用的なソリューションについて、以下説明する。
【0261】
図33は、本実施の形態における情報処理システムの具体的な実装形態の一例を示す図である。情報端末100のメモリ102には、マッチングアプリの実行に必要となるファイルの格納場所である「matching_app」ディレクトリがある。「matching_app」ディレクトリの下には、「account」ディレクトリ、「main」ディレクトリ、及び「matching_temp」ディレクトリがある。「account」ディレクトリにはユーザのアカウント及び/又はユーザ認証に必要な情報が格納される。「main」ディレクトリには、マッチングアプリがホーム画面の描画及びQRコードスキャンなどの基本機能を実現するために必要な情報が格納される。「matching_temp」ディレクトリには、マッチングに必要な情報が一時的に格納される。
【0262】
「account」ディレクトリには、アカウント及び/又はユーザ認証に必要な情報を記述した「user_account.xml」ファイルが格納される。「user_account.xml」ファイルには、例えばユーザを特定するための情報として、ユニークなアカウント名(例えば、ユーザが指定するユーザID)とその認証情報(例えば、パスワード、指紋の特徴量、及び/又は顔の特徴量)とが暗号化されて記録されている。
【0263】
アカウント名としてはユーザが指定するユーザIDに限定されず、マッチングアプリを利用するユーザを個別に識別可能な情報が採用されればよい。例えば、マッチングアプリのプログラムに埋め込まれた、又はマッチングアプリに付随して配布された、マッチングアプリの個体別にユニークなシリアルコードが採用されてもよい。個体別にユニークなシリアルコードとは、マッチングアプリをインストールする情報端末100毎にユニークに付与されたシリアルコードである。或いは、アカウント名としては、マッチングアプリの初回起動時又は初回登録時に、マッチングアプリが乱数に基づいて生成したユニークなアカウント名が採用されてもよい。この場合、マッチングアプリは、例えば、既に登録済みアカウント名と重複していないことを第1サーバ200に確認することで、アカウント名を自動生成すればよい。
【0264】
このようにアカウント名として人が見て無意味な文字列情報が設定されることにより、秘匿性がより高められた個人情報の通信が可能となる。
図33に示す個人情報に含まれる宗教情報は、後述するように複数のファイルに断片化されて管理される。上述したアカウント名は、断片化された各ファイルにおいてファイル名のuserID部分に採用されてもよい。或いは、上述したアカウント名と1対1にペアリングされた別の情報が、断片化された各ファイルのファイル名の一部(例えば、ユーザIDの部分)に採用されてもよい。
【0265】
「main」ディレクトリには、マッチングアプリの基本機能を実現するために必要なコンテンツ情報を記述した「main.html」ファイルと、その画面表示のスタイル(例えば、UIデザイン)を記述した「main.css」ファイルとが格納されている。
【0266】
レストランA社の第2サーバ300には、QRコードの読み取りで得られた文字列が表すURL(例えば、http://restaurantA.com/QRorder-18)にアクセスされた際に返信するファイル群が予め格納されている。このファイル群には、返信するコンテンツ情報を記述した「ResA.html」ファイルと、そのコンテンツ情報の画面表示のスタイル(例えば、UIデザイン)を記述した「ResA.css」ファイルとがある。例えば
図24及び
図25に示す食材情報2400は「ResA.html」ファイルに含まれてもよい。または「ResA.html」ファイルにて参照される外部ファイルに格納してもよい。
【0267】
第1サーバ200には、このユーザの多種多様で膨大な個人情報が分散暗号化されて蓄積されている。例えば、本開示で利用したユーザの宗教情報は、「userID_healthcare_religion_1.json」ファイル、「userID_healthcare_religion_2.json」ファイル、...、「userID_healthcare_religion_N.json」ファイルというN個のJSONフォーマットのファイルとして、第1サーバ200内の物理的に異なるストレージ装置に保管されている。N個のファイルにおいて、ファイル名の先頭部分の「userID」は対象ユーザを特定するための識別情報であり、続く「healthcare」は
図23で説明した情報カテゴリ(例えば、食事)を特定するための識別情報であり、続く「religion」は
図23で説明したデータ種別(例えば、宗教情報)を特定するための識別情報であり、最後の数字は分断したファイルの識別番号である。
【0268】
第1サーバ200は、ユーザの宗教情報のリクエストを適切なパーミッション(例えば、アクセス許可情報)と共に受信できれば、これらN個のファイルから正しくデータを復元し、所定の記述フォーマット(.json)に変換して「religion.json」ファイルを取得し、この「religion.json」ファイルを暗号化した「religion.json.enc」ファイルを、マッチングアプリへ返信できる。
【0269】
以下、
図34のフローチャートに従いながら、マッチングアプリがHTMLを用いて画面制御を行う場合のファイルの取り扱いについて説明する。
図34は、マッチングアプリが起動してから個別メニューを表示するまでのファイルに対するマッチングアプリの処理の一例を示すフローチャートである。
【0270】
ステップS601において、マッチングアプリが起動し、ホーム画面を描画する。マッチングアプリは、起動直後に「main」ディレクトリにある「main.html」ファイルと「main.css」ファイルとを用いてホーム画面を描画する。これにより、
図14に示すホーム画面G103が描画される。
【0271】
ステップS602において、マッチングアプリは、レストランA社の第2サーバ300からメニュー情報を受信する。受信されたメニュー情報は、「matching_temp」ディレクトリの下に、「ResA.html」ファイルと「ResA.css」ファイルとして記録される。
【0272】
ステップS603において、マッチングアプリは、第1サーバ200からユーザの暗号化された宗教情報(religion.json.enc)を受信する。受信された宗教情報は、マッチングアプリにより復号され、「matching_temp」ディレクトリの下に、「religion.json」ファイルとして記録される。
【0273】
ステップS604において、マッチングアプリは、このユーザの宗教情報に対応する個別メニューを、ResA.htmlファイルを編集することで生成する。生成された個別メニューは、「Custom_ResA.html」ファイルとして、新規に「matching_temp」ディレクトリの下に記録される。以上により、
図33に示されるように、「matching_temp」ディレクトリの下に「religion.json」ファイル、「ResA.html」ファイル、「Custom_ResA.html」ファイル、及び「ResA.css」ファイルが記録される。
【0274】
ステップS605において、マッチングアプリは、生成した個別メニューを、レストランA社が指定するスタイルで描画するために、「Custom_ResA.html」ファイルと「ResA.css」ファイルとを用いて描画する。
【0275】
このようにHTML/CSSファイルを用いて各種画面が描画されている。そのため、単一のマッチングアプリから、不特定多数の事業者が提供する商品又はサービスのうち、ユーザの膨大且つ多様な個人情報と適合する商品又はサービスを提示する場合において、当該事業者が期待する情報を、当該事業者が期待するスタイル(例えば、UIデザイン)で表示させることができる。
【0276】
個別メニューからの料理の注文が終了したユーザによって、表示画面がマッチングアプリのホーム画面に戻された時、又は個別メニューからの料理の注文が終了してから所定時間が経過した時、「matching_temp」ディレクトリに一時保管されていたファイルは安全のため全て消去されてもよい。
【0277】
(個別メニューのバリエーション)
個別メニューは
図18に示したものに代えて下記のバリエーションが採用できる。
図35は、個別メニューの1つ目のバリエーションを含む操作画面G106の一例を示す図である。この個別メニューでは、各料理を示すタイルオブジェクト901について、表示順、サイズ、枠の太さ、枠の装飾、料理を示す画像のサイズ、料理を示す画像の周囲にその料理をデフォルメするマーク3501、料理名の文字列のサイズ、料理名の文字列に対するデフォルメ、及びお気に入りであることを示すハートマーク3502が設定されている。
【0278】
この個別メニューに対する設定は、後述する優先度にしたがって行われる。
図35の例では、レタスサンドウィッチとコーンスープの料理の優先度が最大であり、次に、ベジバーガーであった。そのため、レタスサンドウィッチのタイルオブジェクト901Cが1番上に配置され、ベジバーガーのタイルオブジェクト901Cは上から2番目に表示されている。ベジタブルカレーとウーロン茶は優先度が3番目であり、トマトソースパスタは優先度が4番目であるため、これらのタイルオブジェクト901Dは、タイルオブジェクト901Cの下に表示されている。なお、優先度が5番目以降の料理のタイルオブジェクト901はスクロール操作によりディスプレイ105内に表示させることが可能である。
【0279】
上位2つの料理のタイルオブジェクト901Cには、サイズがデフォルトのタイルオブジェクト901Dより大きく(例えば2倍)設定されて、枠を太くする装飾が施され、料理名を示す文字列を太くする装飾が施され、デフォルメするマーク3501が表示され、料理を示す画像のサイズがタイルオブジェクト901Dより大きく(例えば2倍)設定され、ハートマーク3502が表示されている。さらに、タイルオブジェクト901Cには、「大豆で不足しがちな鉄分をチャージ」といったユーザにこの料理を食することへのメリットを伝えるメッセージ、及び「動物由来の原料は一切含まれていません」といったユーザにこの料理を食することへの不安を打ち消すメッセージが表示されている。これらのメッセージは、料理毎に予め定められた文言が採用されればよい。
【0280】
ここでは、タイルオブジェクト901Cの形式で表示される料理は上位2位までであったが、上位3位まで或いは上位4位までというように、タイルオブジェクト901Cの形式で表示される料理は上位2位までの料理に限定されない。
【0281】
図35の例では、タイルオブジェクト901Cの横幅は操作画面G106の横幅とほぼ同じ大きさに設定されている。一方、タイルオブジェクト901Dの横幅はタイルオブジェクト901Cの横幅の約半分の大きさに設定されている。そのため、優先度が3位、4位のタイルオブジェクト901Dは同じ行に表示されている。優先度が5位以降のタイルオブジェクトも優先度が3位及び4位のタイルオブジェクト同様、2つのタイルオブジェクト901Dが同一行に位置するように、2つずつ優先度の順で配置されている。このとき、同一行において優先度が高いタイルオブジェクト901Dが例えば左、優先度が低いタイルオブジェクト901Dが例えば右に位置するように各タイルオブジェクト901Dが配置される。2つずつタイルオブジェクト901C及びタイルオブジェクト901Dの縦幅は同じサイズに設定されている。
【0282】
図35の例は、仏教徒に対する個別メニューであるため、ベジバーガーに対して「仏教徒向け」とのメッセージが表示されている。
【0283】
これを実現するために、演算部104は、メニュー情報を構成する各料理に対して後述する優先度を算出する。そして、演算部104は、予め定められた個別メニューのレイアウト情報にしたがって優先度の大きい順に各料理のタイルオブジェクト901を配置することで個別メニューを含む操作画面G106の画像データを生成する。レイアウト情報としては、例えば、各料理について、優先度に応じたタイルオブジェクト901の配置位置及び優先度に応じた上述の装飾内容を規定する情報等が採用できる。
【0284】
生成された個別メニューの画像データのうち、先頭からディスプレイ105の表示エリア内の画像データが初期画面としてディスプレイ105に表示される。そして、演算部104は、ディスプレイをスクロールする操作が入力されると、個別メニューの表示エリアを下側にスライドさせていくことで、個別メニューをスクロール表示させればよい。
【0285】
図35では、タイルオブジェクト901Cに対して、表示順、サイズ、枠の太さ、枠の装飾、料理を示す画像のサイズ、料理を示す画像の周囲にその料理をデフォルメするマーク3501、料理名の文字列のサイズ、料理名の文字列に対するデフォルメ、及びお気に入りであることを示すハートマーク3502が設定されているが、これらのうち少なくとも1つの設定が採用されてもよい。
【0286】
図36は、個別メニューの2つ目のバリエーションを含む操作画面G106の一例を示す図である。この例では、優先度が下位の料理における表示方法が示されている。
図36において、左側はユーザがタイルオブジェクト901を選択する前の操作画面G106を示し、右側はユーザがタイルオブジェクト901を選択した後の操作画面G106を示している。この個別メニューではユーザが避けるべき食材を含む料理については、その料理のタイルオブジェクト901内に注意を促す注意マーク3602が表示されている。そして、注意マーク3602を含むタイルオブジェクト901Eが指示体1001によりタッチされると、注意点を説明する吹き出し枠3601がタッチされたタイルオブジェクト901Eに対応付けて表示される。ここでは、ラーメンAセットのタイルオブジェクト901Eが選択され、この料理には、避けるべき食材である、豚ひき肉、豚チャーシュー、及び卵が含まれている。そのため、吹き出し枠3901には、「この料理には次の食材が含まれています」のメッセージに下に、これらの避けるべき食材と、各食材の量とが対応付けて表示されている。これにより、この料理を注文すべきか否かの判断材料がユーザに提示される。その結果、ユーザは料理の注文をスムーズに行うことができる。
【0287】
これを実現するために、演算部104は、各料理について、食材情報2400及び宗教情報を参照して、避けるべき食材が含まれているか否かを判定し、避けるべき食材が含まれている料理についてはそのタイルオブジェクト901に注意マーク3602を表示させる。そして、演算部104は、このタイルオブジェクト901がタッチされると、該当する料理の食材情報2400から避けるべき食材とその食材の量とを抽出し、吹き出し枠3601内に表示させればよい。
【0288】
演算部104は、注意マーク3602を個別メニューでのみ表示してもよいし、標準メニューにおいて表示してもよい。標準メニューにおいて、注意マーク3602を表示させる場合、演算部104は、個別メニューにおいて、標準メニューとは異なる表示態様で注意マーク3602を表示すればよい。例えば、個別メニューで表示される注意マーク3602は標準メニューで表示される注意マーク3602に対して大きなサイズで表示されてもよいし、目立つ色で表示されてもよいし、目立つ図柄で表示されてもよい。
【0289】
なお、抵抗値が0のユーザが絶対に避けるべき食材を含む料理について、演算部104は、その料理のタイルオブジェクト901に注意マーク3602に代えて
図37に示す禁止マーク3603を表示してもよい。或いは、抵抗値が0の食材を含む料理について、演算部104は、宗教に拘わらず、その料理のタイルオブジェクト901を非表示にしてもよい。さらに、宗教の食事規律に従った調理法がとられていない料理に対してそのタイルオブジェクト901に禁止マーク3603が表示されてもよい。
【0290】
或いは、抵抗値が0の食材を含む料理について、演算部104は、その料理のタイルオブジェクト901に禁止マーク3603を表示した上で、指示体1001による選択を禁止させてもよい。このとき、この料理のタイルオブジェクト901はグレイアウト表示されてもよい。
図37は、グレイアウト表示されたタイルオブジェクト901を含む操作画面G106の一例を示す図である。ここでは、タイルオブジェクト901Eに付された禁止マーク3603Aは、グレイアウト表示されていないタイルオブジェクト901に付された禁止マーク3603を示している。タイルオブジェクト901Fに付された禁止マーク3603Bは、グレイアウト表示されたタイルオブジェクト901に付された禁止マーク3603を示している。禁止マーク3603Aは禁止マーク3603Bよりも薄い色で表示されている。これは、タイルオブジェクト901E内に表示された料理を示す画像と禁止マーク3603Aとの区別を容易にするためである。
図37では、禁止マーク360Aと禁止マーク3603Bとが両方同時に表示されているが、いずれか一方を表示する態様が採用されてもよい。
【0291】
タイルオブジェクト901Fは料理を示す画像が半透明表示されることで、グレイアウト表示されている。ここでは、料理名の文字列は半透明表示されていないが、この文字列も半透明表示されてもよい。
【0292】
演算部104は、抵抗値が所定値(例えば1~3)の食材を含む料理についてのみ、その料理のタイルオブジェクト901に注意マーク3602を表示し、抵抗値が所定値以外(例えば4~5)の食材を含む料理については注意マーク3602を表示させなくてもよい。さらに、注意マーク3602及び禁止マーク3603が表示されたタイルオブジェクト901が指示体1001によってタッチされた場合、演算部104は、情報端末100が備えるバイブレータを駆動して情報端末100を振動させてもよい。これにより、ユーザに対して避けるべき食材が含まれている料理であることをより分かりやすく伝えることが可能となる。
【0293】
注意マーク3602が付された料理はユーザが可能な限りさけるべき食材を含む料理の一例である。
【0294】
図38は、個別メニューの3つ目のバリエーションを含む操作画面G106の一例を示す図である。この個別メニューは、ユーザがある料理のタイルオブジェクト901を指示体1001でタッチしたとき、そのユーザに対して不足しやすい栄養成分を含む料理の注文を提案するものである。
図38において、左側はユーザがタイルオブジェクト901を選択する前の操作画面G106を示し、右側はユーザがタイルオブジェクト901を選択した後の操作画面G106を示している。
【0295】
例えば、特定の宗教を信仰する人の不足しやすい栄養成分が鉄分であったとする。納豆は鉄分を豊富に含んでいる。そこで、この例では、演算部104は、「きのこパスタ」のタイルオブジェクト901Gが指示体1001によりタッチされたとき、納豆の追加注文を促す吹き出し枠3801をタイルオブジェクト901Gに対応付けて表示する。この吹き出し枠3801内には、「納豆で鉄分をチャージしませんか?」とのメッセージに加えて、納豆を追加することにより摂取可能な鉄分の量の増加量(+1.5mg)が表示されている。これにより、納豆を追加注文することで鉄分が効率的に補えることがユーザに訴求される。
【0296】
さらに、この吹き出し枠3801内には、NOボタン3804とYESボタン3805とが含まれている。YESボタン3805が指示体1001によりタッチされると、演算部104は、納豆が追加注文されたと判定し、注文内容を「きのこパスタ」単品から「きのこパスタ」と「納豆」との組み合わせに変更する。このような吹き出し枠3801が表示可能な料理はタイルオブジェクト901内に情報マーク3802が表示されている。
【0297】
一方、NOボタン3804が指示体1001によりタッチされると、演算部104は、注文内容を変更しない。
【0298】
演算部104は、例えば、特定の宗教を信仰するユーザに対して予め定められた不足しがちな栄養成分(例えば鉄分)の量が閾値を下回る料理であるか否かをその料理の食材情報2400を参照することで判定し、閾値を下回ると判定した料理に対して情報マーク3802を付与すればよい。このように、情報マーク3802が付された料理が選択された場合、栄養バランスを高め健康維持を支援するための提案が個別メニューを通じて行われる。
【0299】
(優先度の算出)
次に、優先度の算出について説明する。本実施の形態では、情報端末100の演算部104は、メニュー情報に含まれる各料理の優先度を算出し、その優先度にしたがった表示態様で各料理が表示された個別メニューを生成する。なお、優先度の値が大きい料理ほど、優先して表示される。以下、優先度の算出方法について説明する。まず、演算部104は、ある料理の食材情報2400を参照し、その料理を構成する食材及び各食材の量を特定する。次に、演算部104は、その料理を構成する食材のうち、
図23に示す分類情報に列挙され食材に該当するものについては、それぞれ(0.2*抵抗値-1)で計算される係数を食材の量に乗じて、その合計値が小さい程、個別メニューでの表示優先度を下げる処理を行ってもよい。
【0300】
例えば、
図24に示すラーメンBセット(醤油ラーメンと小籠包3個)については、醤油ラーメンの豚チャーシュー18g、小籠包の豚ひき肉10g、鶏ガラスープ10gが、
図23に示す分類情報の食材リストの豚肉「0」、鶏肉「0」に対して、次のように計算される。
【0301】
18*(0.2*0-1)+3*(10*(0.2*0-1)+10*(0.2*0-1))=-78したがって、この料理の優先度は、-78と算出される。このようにして、演算部104はメニュー情報に含まれる各料理の優先度を算出する。
【0302】
(マップ画面)
本開示は、情報端末100に表示されるマップ画面にユーザの宗教に適合する1以上のレストランを表示させた上で個別メニューを表示させる態様が採用されてもよい。
【0303】
図39は、情報端末100に表示されるマップ画面G3900の一例を示す図である。このマップ画面G3900は、ホーム画面G103においてマップボタン1403を選択する操作が入力された場合に表示される。マップ画面G3900には、情報端末100の現在の地点を含む地域の地図が含まれる。さらに、マップ画面G3900には、この地域内にあるマッチングアプリに対応した店舗であってユーザの宗教に適合する店舗の店舗情報が表示されている。ここでは、ユーザの現在の地点を示すアイコン3200に加えて、レストランA社の店舗A1、レストランA社の店舗A2、レストランB社の店舗B1、及びレストランB社の店舗B2が表示されている。宗教に適合した店舗とは、ユーザが信仰する宗教の教義で食することが可能な食材をその教義に従った調理法で調理した料理が提供可能な店舗である。
【0304】
ユーザはこのマップ画面G3900を見ながら、来店を希望する店舗を選択する。この例では、アイコン3210で示される、現在の地点から一番近いレストランB社の店舗B1が選択されている。ユーザは、例えば、アイコン3210を指示体1001でタッチすることで、レストランB社の店舗B1を選択することができる。店舗B1を選択したユーザは店舗B1に入店し、上述のレストランID及び席IDを情報端末100に読み取らせることにより、自身の宗教に対応する個別メニューを情報端末100に表示させることができる。
【0305】
図40は、マップ画面G3900からユーザにレストランを選択させる態様が採用された場合の情報処理システムの処理の全体像の一例を示すシーケンス図である。
図40において、
図26と同一の処理については同一のステップ番号が付されており、相違点についてのみ説明する。
【0306】
S501に続くS4001において、ユーザ認証に成功したマッチングアプリは、ホーム画面G103を表示し、ユーザによりマップボタン1403がタッチされる。
【0307】
ステップS4002において、マップボタン1403がタッチされたマッチングアプリは、GPSセンサー108が検知した情報端末100の現在の地点を示す位置情報を取得し、当該地点を含む周辺地域の地図情報である周辺地図情報の取得要請をパブリック情報サーバ500に送信する。
【0308】
この取得要請を受信したパブリック情報サーバ500は、この取得要請に含まれる位置情報から情報端末100の現在の地点を取得し、その地点を基準に所定範囲の地域の地図情報を周辺地図情報として地図データベースから抽出し、マッチングアプリに送信する。周辺地図情報を受信したマッチングアプリは、周辺地図情報が示す地図を含むマップ画面G3900を表示する(ステップS4003)。地域を示す所定範囲は、例えば現在の地点から半径1km又は2kmの範囲等、今から外食をしようとするユーザが徒歩又は車によって来店することが可能な範囲である。
【0309】
マップ画面G3900を表示したマッチングアプリは、受信した周辺地
図70情報が示す地図内に含まれる店舗のうち、ユーザの宗教に適合する店舗の店舗情報の取得要請を第1サーバ200に送信する(ステップS4004)。
【0310】
この取得要請を受信した第1サーバ200はメモリ203から該当する地図内に含まれる店舗であってユーザの宗教に適合する店舗の店舗情報を抽出し、マッチングアプリに送信する。メモリ203には、例えば各店舗の店舗情報を含む店舗データベースが記憶されている。各店舗情報には店舗の店舗ID、店舗名、位置情報、及び接続情報に加えて宗教適合情報が含まれている。宗教適合情報は、該当するレストランが例えば
図22で示す宗教のうちいずれの宗教に適合しているかを示す情報である。例えば、宗教適合情報は、イスラム教は適合、その他は不適合といった情報である。
【0311】
第1サーバ200は、店舗情報の取得要請が示す地図の地域内に含まれる店舗を、店舗データベースに記憶された各店舗の位置情報から抽出する。そして、第1サーバ200は、ユーザの宗教情報と店舗データベースに記憶された各店舗の宗教適合情報とを照合し、特定した地図の地域内に含まれる店舗のうち、ユーザの宗教に適合する店舗を抽出し、情報端末100に送信する。
【0312】
抽出された店舗情報を受信したマッチングアプリは、その店舗情報をマップ画面G3900の地図上に表示する(ステップS4005)。これにより、
図39に示すマップ画面G3900に示されるように、ユーザの現在の地点の周辺地域に含まれる店舗であってユーザの宗教に適合する店舗がその周辺地域を示す地図上に表示される。
【0313】
ステップS4006において、マッチングアプリは、マップ画面G3900に表示された店舗の中から一の店舗を選択するユーザの指示を受け付ける。以後、マッチングアプリは、ナビゲーション機能を用いて、ユーザが選択した店舗までユーザを誘導してもよい。店舗に来店すると、ステップS502以降の処理が実行され、料理が注文される。
【0314】
なお、マップ画面G3900は、第1の第1操作画面の一例である。また、このマップ画面G3900が表示される態様において、操作画面G104及び操作画面G1011は第2の第1操作画面の一例である。この態様では、マップ画面G3900において、ユーザの周囲にあるユーザの宗教に適合する店舗が表示されるため、ユーザは周囲にある自身の宗教に適合する店舗をスムーズに確認できる。
【0315】
なお、店舗の選択指示(ステップS4006)で選択された店舗が、このユーザの宗教に適合した料理としてどのような料理が提供できるのかを、その店舗へ態々行かなくても確認できることが望ましい。この場合は、店舗の選択指示(ステップS4006)から、個別メニューを確認するボタンをマッチングアプリが提供するようにしてもよい。上記の説明では座席番号18として、席のQRコードを読むと「http://restaurantA.com/Store-A/QRorder-18」というURLが取得できるとしたが、この場合は、特殊な席番号「00」を用いて「http://restaurantA.com/Store-A/QRorder-00」にアクセスするようにしてもよい。この場合、レストランAのサーバは店舗外からの個別メニューの事前確認リクエストであることを理解して、注文できない、閲覧だけが可能な個別メニューを作成できるように、メニュー情報をマッチングアプリに返信するようにしてもよい。
【0316】
上記の説明は一例に過ぎず、本開示は当該技術者による様々な応用が適用されてもよい。
【0317】
上記実施の形態において、ユーザの座席とは椅子が想定されているが、本開示はこれに限定されず、立食形式のレストランにおいては、例えばユーザが料理を食べるテーブルの1区画が該当する。
【0318】
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されても良い。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されても良い。
【0319】
本開示の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲に含まれても良い。
【産業上の利用可能性】
【0320】
本開示にかかる制御方法の一例によれは、宗教上の理由からユーザの避けるべき食材が考慮されて個別メニューが生成されるため、レストランに適用される料理の注文システムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0321】
100 :情報端末
101 :通信部
102 :メモリ
103 :カメラ
104 :演算部
105 :ディスプレイ
106 :操作部
107 :近接通信部
108 :GPSセンサー
200 :第1サーバ
201 :通信部
202 :演算部
203 :メモリ
300 :第2サーバ
301 :通信部
302 :演算部
303 :メモリ
2400 :食材情報