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特許7539052ゾーン制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ゾーン制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240816BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20240816BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20240816BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20240816BHJP
【FI】
H04L12/28 500E
F24F11/62
F24F11/70
F24F11/72
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023523378
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019335
(87)【国際公開番号】W WO2022249851
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2021088677
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平松 勝彦
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/241297(WO,A1)
【文献】特開2011-187030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
F24F 11/62
F24F 11/70
F24F 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゾーンからなる空間における前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置と、
複数の動作パラメータであって、それぞれが、前記複数のゾーンのうちのいずれかに対応する前記環境制御装置用の複数の動作パラメータを決定し、決定した前記複数の動作パラメータに基づいて前記環境制御装置を動作させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
それぞれが前記複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、
算出した一致度に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザの人数を均一化するための前記複数の動作パラメータを、前記複数の候補パラメータの中から選択して決定する
ゾーン制御システム。
【請求項2】
前記複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、前記複数のユーザの人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、前記制御装置は、前記複数の候補パラメータのうちの第1候補パラメータであって、前記第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、前記複数のユーザのうちの上位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が所定値以上である第1候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定する
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項3】
前記複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、前記複数のユーザの人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、前記制御装置は、前記複数の候補パラメータのうちの第1候補パラメータであって、前記第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、前記複数のユーザのうちの上位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が最も大きい第1候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定する
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第2候補パラメータであって、前記第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザの、前記第2候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の合計が第1閾値以下である第2候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項2に記載のゾーン制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第2候補パラメータであって、前記第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザを除く前記複数のユーザのうちの残りのユーザのうちの、前記第2候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における上位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が第2閾値以上である第2候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項2に記載のゾーン制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第3候補パラメータであって、前記第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザを除く前記複数のユーザのうちの残りのユーザの、前記第3候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記残りのユーザのうちの上位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が最も大きい第3候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項2に記載のゾーン制御システム。
【請求項7】
前記複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、前記複数のユーザの人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、前記制御装置は、前記複数の候補パラメータのうちの第4候補パラメータであって、前記第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、前記複数のユーザのうちの下位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が所定値以下である第4候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定する
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項8】
前記複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、前記複数のユーザの人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、前記制御装置は、前記複数の候補パラメータのうちの第4候補パラメータであって、前記第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、前記複数のユーザのうちの下位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が最も小さい第4候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定する
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項9】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第5候補パラメータであって、前記第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの下位(M/N)人以内の下位ユーザの、前記第5候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の合計が第3閾値以上である第5候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項7に記載のゾーン制御システム。
【請求項10】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第5候補パラメータであって、前記第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの下位(M/N)人以内の下位ユーザを除く前記複数のユーザのうちの残りのユーザのうちの、前記第5候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における下位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が第4閾値以下である第5候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項7に記載のゾーン制御システム。
【請求項11】
前記制御装置は、さらに、前記複数の候補パラメータのうちの第6候補パラメータであって、前記第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における前記複数のユーザのうちの下位(M/N)人以内の下位ユーザを除く前記複数のユーザのうちの残りのユーザのうちの、前記第6候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における下位(M/N)人分のユーザの一致度の合計が最も小さい第6候補パラメータを前記複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定する
請求項7に記載のゾーン制御システム。
【請求項12】
前記複数の候補パラメータのそれぞれは、空間環境の第1因子に対応する第1値及び空間環境の第2因子に対応する第2値を含み、
前記複数のユーザのそれぞれの嗜好パラメータは、空間環境の前記第1因子に対応する第3値及び、空間環境の前記第2因子に対応する第4値を含み、
前記制御装置は、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1値と第3値との積、及び、第2値と第4値との積を加算して算出する
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項13】
前記制御装置は、
さらに、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を算出する時期に基づいて決定される補正係数であって、空間環境の前記第1因子に対応する第1係数及び空間環境の前記第2因子に対応する第2係数を含む補正係数を決定し、
候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1係数と第1値と第3値との積、及び、第2係数と第2値と第4値との積を加算して算出する
請求項12に記載のゾーン制御システム。
【請求項14】
前記制御装置は、
さらに、特定ユーザが過去に利用したゾーンにおいて、当該ゾーンに対応する動作パラメータとして決定された候補パラメータである特定候補パラメータを特定し、
候補パラメータと前記特定ユーザの嗜好パラメータとの一致度を算出する際に、前記特定候補パラメータとの一致度を、他の候補パラメータとの一致度よりも高く算出する
請求項1~13のいずれか1項に記載のゾーン制御システム。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項16】
複数のゾーンからなる空間における前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、
複数の動作パラメータであって、それぞれが、前記複数のゾーンのうちのいずれかに対応する前記環境制御装置用の複数の動作パラメータを決定し、
決定した前記複数の動作パラメータに基づいて前記環境制御装置を動作させ、
前記複数の動作パラメータの決定では、
それぞれが前記複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、
算出した一致度に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザの人数を均一化するための複数の動作パラメータを、前記複数の候補パラメータの中から選択して決定する
制御方法。
【請求項17】
請求項16に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間を構成する複数のゾーンの空間環境を制御するためのゾーン制御システム、制御装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ワークスタイルの自由化などの観点から、フリーアドレスでの働き方が提案されている。このような働き方においては、それぞれのユーザは、自身の好きなゾーンを選択して、業務を行うことができる。ユーザは、ゾーンを選択する際、自身の好み(すなわち、嗜好)に合っているかを当該ゾーンの空間環境を参考にして判断することが行われている。ユーザが好みに応じて選択して利用するゾーンに関して、例えば、特許文献1には、空気調和装置による設定温度が高めなゾーンと、設定温度が低めなゾーンとを提供できる空調制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-146212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示された空調制御システム等では、空間の有効利用の観点で、適切な空間環境の制御ができているとは言えない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みて、より適切に空間環境の制御ができるゾーン制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るゾーン制御システムは、複数のゾーンからなる空間における前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置と、複数の動作パラメータであって、それぞれが、前記複数のゾーンのうちのいずれかに対応する前記環境制御装置用の複数の動作パラメータを決定し、決定した前記複数の動作パラメータに基づいて前記環境制御装置を動作させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、それぞれが前記複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、算出した一致度に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザの人数を均一化するための前記複数の動作パラメータを、前記複数の候補パラメータの中から選択して決定する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る制御装置は、上記に記載の制御装置である。
【0008】
また、本開示の一態様に係る制御方法は、複数のゾーンからなる空間における前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、複数の動作パラメータであって、それぞれが、前記複数のゾーンのうちのいずれかに対応する前記環境制御装置の複数の動作パラメータを決定し、決定した前記複数の動作パラメータに基づいて前記環境制御装置を動作させ、前記複数の動作パラメータの決定では、それぞれが前記複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、算出した一致度に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザの人数を均一化するための複数の動作パラメータを、前記複数の候補パラメータの中から選択して決定する。
【0009】
また、本開示の一態様は、上記制御方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、より適切に空間環境の制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、実施の形態に係るゾーン制御システムの使用例を示す第1概観図である。
図1B図1Bは、実施の形態に係るゾーン制御システムの使用例を示す第2概観図である。
図2図2は、実施の形態に係るゾーン制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作の別例を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、実施の形態に係る一致度の算出を説明する第1図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係る一致度の算出を説明する第2図である。
図6図6は、実施の形態の変形例に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態の変形例に係るゾーン制御システムの動作の別例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施の形態に係るゾーン制御システム等について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係るゾーン制御システムの概要について、図1A及び図1Bを参照して説明する。図1Aは、実施の形態に係る制御システムの使用例を示す第1概観図である。図1Bは、実施の形態に係る制御システムの使用例を示す第2概観図である。図1A及び図1Bでは、空間500(後述する図2参照)を複数のユーザ99が利用している状況を示している。特に、図1Aは、空間500を構成する第1ゾーン500aの状況を示している。また、図1Bは、空間500を構成する第2ゾーン500bの状況を示している。
【0015】
本実施の形態では、空間500をこのように第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bに分けてそれぞれのゾーンに設定された空間環境を、嗜好に応じてユーザ99が選択して利用することを想定している。なお、以下説明される実施の形態では、空間500は第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bの2個のゾーンから構成されている。ここでは、第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bのそれぞれに2人ずつのユーザ99が存在している。本実施の形態では、図示するように、空間500を利用するユーザ99が、ゾーンごとに均一な人数となるように、空間環境が設定される。すなわち、本実施の形態において、ゾーン制御システム200(後述する図2参照)が動作することにより、複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の人数が均一化される。
【0016】
なお、本開示において用いられる均一化とは、空間500を利用するユーザ99の人数を、空間500を構成するゾーンの数で除した人数が、複数のゾーンのそれぞれに存在している状況を意味している。図中の例では、空間500を利用するユーザ99が4人であるので、第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bの2個のゾーンを均一化された状態で利用するためには、4÷2=2人ずつがそれぞれのゾーンに存在していることになる。
【0017】
ただし、均一化とは、厳密な人数のみを意図するものではなく、例えば、ユーザ99の人数が10人未満の場合に1人又は2人程度の誤差が生じる場合がある。これは、例えば、ユーザ99の嗜好が時間変動するものであることから自然に発生する場合もあるし、3人のユーザ99の人数を、2個のゾーンの数で除したときの余剰の1人がいずれかのソーンを利用することによる場合もある。また、同様に、本実施の形態では、ユーザ99の人数が10人以上の場合に、数%~20%程度の誤差が生じていても均一化されているとみなしうる場合がある。
【0018】
また、本実施の形態では、空間500を2個のゾーンによって構成している例を説明するが、空間500は、3個以上のゾーンから構成されていてもよい。3個以上のゾーンから構成される場合については後述する。
【0019】
図1Aに示すように、本実施の形態では、第1ゾーン500aの空間環境を、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aによって制御する。第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aは、環境制御装置の一例である。なお、環境制御装置は1種類のみであってもよい。この場合、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aのうち、いずれか1つのみが備えられていればよい。
【0020】
図1Bに示すように、本実施の形態では、第2ゾーン500bの空間環境を、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bによって制御する。第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bは、環境制御装置の一例である。なお、環境制御装置は1種類のみであってもよい。この場合、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bのうち、いずれか1つのみが備えられていればよい。
【0021】
また、本実施の形態では、第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bのそれぞれに、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置が個別に設けられているが、例えば、1つの装置によって、複数のゾーンのそれぞれの空間環境を制御できる装置であれば、環境制御装置は複数のゾーンのそれぞれに個別に設けられる必要はない。したがって、環境制御装置を空間500に1つだけ設けて、より適切に複数のゾーンの空間環境の制御を行うこともできる。
【0022】
本実施の形態では、環境制御装置として、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置を備える例を説明する。環境制御装置としては、この他に、換気装置、加湿装置、芳香成分発生装置、及び、空気清浄装置など、空間500の空間環境の1つ以上の因子を制御しうる装置であればあらゆる装置を適用することができる。
【0023】
[構成]
以下、図2図1A及び図1Bと併せて参照しながらゾーン制御システム200の構成について説明する。図2は、実施の形態に係るゾーン制御システムの機能構成を示すブロック図である。本実施の形態におけるゾーン制御システム200は、制御装置100と、空間500の複数のゾーンのそれぞれに配置された複数の環境制御装置とを備える。
【0024】
第1ゾーン500aでは、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aは、第1コントローラ10aを介して制御装置100に接続されている。制御装置100は、例えば、クラウドサーバ又はエッジサーバなどとして実現され、空間500と物理的に離れた場所に設けることもできるし、空間500内に設けることもできる。第1コントローラ10aと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0025】
第1コントローラ10aは、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第1コントローラ10aは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aへと無線通信で送信する。また、第1コントローラ10aは、無線通信で第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第1コントローラ10aは備えられなくてもよい。
【0026】
制御装置100は、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aを動作させるための動作パラメータを、第1コントローラ10aを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0027】
第1照明装置11aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの明るさを制御する装置である。第1照明装置11aは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第1照明装置11aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第1照明装置11aは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0028】
第1音響装置12aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの音を制御する装置である。第1音響装置12aは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第1音響装置12aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第1音響装置12aは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0029】
第1空気調和装置13aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの温度を制御する装置である。第1空気調和装置13aは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第1ゾーン500aを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第1空気調和装置13aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第1空気調和装置13aは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0030】
第2ゾーン500bでは、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bは、第2コントローラ10bを介して制御装置100に接続されている。第2コントローラ10bと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0031】
第2コントローラ10bは、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第2コントローラ10bは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bへと無線通信で送信する。また、第2コントローラ10bは、無線通信で第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第2コントローラ10bは備えられなくてもよい。
【0032】
制御装置100は、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bを動作させるための動作パラメータを、第2コントローラ10bを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0033】
第2照明装置11bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの明るさを制御する装置である。第2照明装置11bは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第2照明装置11bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第2照明装置11bは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0034】
第2音響装置12bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの音を制御する装置である。第2音響装置12bは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第2音響装置12bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第2音響装置12bは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0035】
第2空気調和装置13bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの温度を制御する装置である。第2空気調和装置13bは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第2ゾーン500bを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第2空気調和装置13bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第2空気調和装置13bは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0036】
ここで、制御装置100は、第1ゾーン500aの動作パラメータと第2ゾーン500bの動作パラメータとを別々のパラメータとして決定して、第1コントローラ10a及び第2コントローラ10bのそれぞれへと送信する。したがって、動作パラメータは、空間500を構成するゾーンの数に応じた数だけ決定されて、個々に各ゾーンのコントローラなどを介して環境制御装置へと送信される。ここで決定される動作パラメータは、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置用の動作を指定する数値を含んでいるので、空間500を構成するゾーンの数と同じ数だけ生成される。一方で、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置のいずれかの動作を指定する動作パラメータがそれぞれの装置分だけ生成される場合は、動作パラメータは、ゾーンの数に各ゾーンに設けられた装置の数を乗じた数だけ決定される。
【0037】
詳細は後述するが、この動作パラメータは、空間500を構成する複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の人数を均一化するための動作パラメータである。したがって、各ゾーンに設けられた環境制御装置が動作パラメータに従って動作することで、各ゾーンの空間環境がユーザ99の人数を均一化するような空間環境となる。
【0038】
例えば、上記の背景技術の欄に示した特許文献1のように、単に設定温度が高めなゾーンと、設定温度が低めなゾーンとを提供した場合、高めの温度を好むユーザ99が多く存在する場合に、設定温度が高めなゾーンにユーザ99が集中してしまうことが起こる。この場合、設定温度が低めなゾーンが効率的に利用されない問題が生じる。また、高めの温度を好むユーザ99の一部が妥協して設定温度が低めなゾーンを利用するなど、ユーザ99が満足に空間を利用できないことが起こる場合がある。
【0039】
本実施の形態では、ユーザ99が嗜好に応じた選択をしても、空間を構成する複数のゾーンのそれぞれを均一な人数のユーザ99が利用することとなるので、空間500の利用効率が高い適切な空間の利用が可能となる。このように、本実施の形態のゾーン制御システム200によれば、空間の有効利用の観点で、より適切な空間環境の制御が可能となる。
【0040】
[動作]
以下、本実施の形態におけるゾーン制御システム200の動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。また、図4は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作の別例を示すフローチャートである。
【0041】
なお、本フローチャートの動作が実行されるよりも前に、あらかじめ、空間500を利用する複数のユーザ99のそれぞれに対して、アンケート等の手段によって、それぞれのユーザ99の嗜好に応じた嗜好パラメータが設定され、図示しない記憶部等に格納される処理が実行されているものとして説明する。嗜好パラメータには、ユーザ99の嗜好に適合する照明装置による明るさ、音響装置による音量、及び、空気調和装置におる温度等の空間環境の因子に関する数値が含まれる。なお、明るさと、音量と、温度とは、互いにスケールの異なる数値であるが、嗜好パラメータには、空間環境の因子に関する数値として、各因子のスケールを10段階又は100段階などの標準スケールに標準化した数値が含まれている。
【0042】
また、空間500を利用するユーザ99が固定的なユーザ99ではない場合、すなわち、ある時点で空間を利用する複数のユーザ99が、別の時点で空間を利用する複数のユーザ99に対して、内訳が異なるような場合には、別にユーザ99を特定する動作が必要となる。例えば、空間500を利用する可能性のあるすべてのユーザ99のうち、ゾーン制御システム200が動作する時点で空間500を利用するユーザ99を特定して、当該空間500を利用するユーザ99の嗜好パラメータを記憶部から読み出す動作が、上記フローチャートの動作が実行されるよりも前に行われる。ユーザ99の特定は、空間500の入り口などにID認証によるゲートを設け、照合データから特定することや、空間500を利用するユーザ99の画像を撮像して画像認識等の技術によってユーザ99の特定をすることなどによって行われればよい。
【0043】
上記の動作に次いで、図3に示すように、制御装置100は、候補パラメータのそれぞれとユーザ99のそれぞれの嗜好パラメータとの一致度の算出を行う(S101)。候補パラメータとは、動作パラメータの候補であるパラメータであり、照明装置による明るさ、音響装置による音量、及び、空気調和装置におる温度等の空間環境の因子に関する数値が含まれる。候補パラメータには、嗜好パラメータと同様に、空間環境の因子に関する数値として、各因子のスケールを10段階又は100段階などの標準スケールに標準化した数値が含まれている。これにより、候補パラメータと嗜好パラメータとを直接的に比較することもできるし、候補パラメータ内又は嗜好パラメータ内で、各因子同士の数値を直接的に比較することもできる。本実施の形態における各因子の数値の標準化では、各因子に設けられた基準値からの分散の値などによってパラメータにおける各因子が基準値に対してどの程度高くなっているか、又は、低くなっているかの観点での標準化が行われていてもよい。
【0044】
上記したように、嗜好パラメータは、明るさ、音量、及び、温度の数値を含んでいる。すなわち、ユーザ99の嗜好パラメータの1つPu1は、Pu1=(Lu1、Su1、Tu1)のように、ベクトル表現によって表すことができる。また、候補パラメータは、明るさ、音量、及び、温度の数値を含んでいる。すなわち、候補パラメータの1つPz1は、Pz1=(Lz1、Sz1、Tz1)のように、ベクトル表現によって表すことができる。ここで、ある候補パラメータとある嗜好パラメータとの一致度は、これらのパラメータそれぞれのベクトル同士の関係として表現できる。
【0045】
例えば、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度は、ベクトルの内積として表されてもよい。この場合、候補パラメータの1つPz1と嗜好パラメータの1つPu1との一致度mu1z1は、mu1z1=Lz1u1+Sz1u1+Tz1u1として算出される。また、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の算出においては、パラメータそれぞれのベクトルの大きさがさらに考慮されてもよい。すなわち、候補パラメータのベクトルの大きさと嗜好パラメータのベクトルの大きさとの差などが、上記式によって算出されたmu1z1等の数値にさらに乗じられてもよい。
【0046】
また、制御装置100は、さらに、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を算出する時期に基づいて決定される補正係数であって、空間環境のある因子に対応する第1係数及び空間環境の別の因子に対応する第2係数を含む補正係数を決定し、この補正係数に基づいて、一致度の算出を行ってもよい。例えば、空気調和装置の効果が顕著となる夏場(6月~9月等)、及び、冬場(11月~2月等)においては、空気調和装置による温度に対して、1より大きい補正係数を乗じてもよい。一方で、この季節においては、照明装置及び音響装置には、補正係数として1を乗じてもよい。また、例えば、太陽光などの外光が届きやすい時刻(11時~16時等)においては、照明装置による明るさに対して、1より大きい補正係数を乗じてもよい。一方で、この時刻においては、音響装置及び空気調和装置には、補正係数として1を乗じてもよい。
【0047】
また、このような補正係数は、時期によらず、各種センサなどによって検知された結果に基づいてもよい。例えば、上記したような空気調和装置の効果が顕著となるタイミングを、外気温センサが30℃以上又は10℃以下の温度を検知したタイミングとしてもよい。
【0048】
また、制御装置100は、さらに、ユーザ99のうちの特定のユーザ99である特定ユーザが過去に利用したゾーンにおいて、当該ゾーンに対応する動作パラメータとして決定された候補パラメータである特定候補パラメータを特定し、特定候補パラメータに含まれる数値に基づいて、一致度の算出を行ってもよい。一例を、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5Aは、実施の形態に係る一致度の算出を説明する第1図である。また、図5Bは、実施の形態に係る一致度の算出を説明する第2図である。図5A及び図5Bでは、嗜好パラメータの温度値と、各候補パラメータの温度値とに対して、算出される温度値での一致度が示されている。つまり、図5Aに示すように、温度値tを含む嗜好パラメータと、温度値tを含む候補パラメータとの一致度の算出において、温度値の項(上記式におけるTz1u1の項)は、t11となる。なお、図5A図5Bとでは、以下の特定候補パラメータに含まれる数値に基づく一致度の算出を行うか行わないかの点で差異がある。
【0049】
例えば、特定ユーザが過去に温度値tの動作パラメータで空気調和装置が動作しているゾーンを選択したことがある場合、当該特定ユーザは、温度値tを好む傾向があるといえる。そこで、このような過去の特定ユーザのゾーンの選択の履歴を記録しておき、一致度の算出の際に、ユーザ99の嗜好の観点での補正を行うことで、より実測的なユーザ99の嗜好に応じた、正確度の高い一致度の算出を行うことができる。この例では、図5Bに示すように、tに対応するt11の項をt11+δ(δ>0)とすることで、過去のゾーンの選択に基づく、特定ユーザがtを好みやすいという結果を一致度の算出に反映することができる。また、図5Bに示すように、t及びtなどの選択されたゾーンとは対応していない候補パラメータの数値は、対応する温度値の項においてδが減算されることで特定ユーザの嗜好に沿っていないことを反映させることもできる。なお、このようなδの加算及び減算は、いずれか一方のみが行われていればよい。
【0050】
図3に戻り、制御装置100は、次に、候補パラメータごとに、上位ユーザの一致度の合計を行う(S102)。上位ユーザとは、各候補パラメータにおける、ユーザ99ごとに算出された一致度を昇順に並べた時の上位の(つまり一致度が高い)ユーザ99である。上位ユーザの一致度の合計は、各候補パラメータにおいて上位に位置するユーザ99の一致度の高さを表しているので、数値が大きいほど、この候補パラメータと上位ユーザの嗜好とが対応しているといえる。したがって、上位ユーザの一致度の合計が高い候補パラメータを動作パラメータとして選択すれば、当該候補パラメータにおける上位ユーザは、この動作パラメータで環境制御装置が動作しているゾーンを選択しやすいといえる。
【0051】
そのため、本実施の形態では、上位ユーザの一致度の合計が比較的高いという所定の条件を満たすような第1候補パラメータを動作パラメータの1つとして選択する(S103)。この所定の条件は、例えば、すべての候補パラメータにおける上位ユーザの一致度の合計の中で、平均値(所定値の一例)よりも高い合計値を示す候補パラメータであってもよいし、合計値の昇順における上位3位等(所定値の一例)よりも高い合計値を示す候補パラメータであってもよいし、実験的又は経験的に設定された基準の合計値(所定値の一例)よりも高い合計値を示す候補パラメータであってもよい。本実施の形態では、所定の条件として、すべての候補パラメータにおける上位ユーザの一致度の合計値の中で、最も大きい合計値の候補パラメータを第1候補パラメータとして選択するとして説明する。
【0052】
なお、上位ユーザとしては、均一化されたときに1つのゾーンを利用するだけの人数のユーザ99が含まれるとよい。本実施の形態では、ユーザ99の人数をゾーンの数で除した人数が上位ユーザの人数となればよい。言い換えると、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人が上位ユーザとなる。本実施の形態では、ゾーンの数は2個であるので、複数のユーザ99の人数をM人としたとき、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの上位(M/2)人、すなわち、半数が上位ユーザとなる。なお、MをNで割り切れない場合、上位ユーザの人数は、余りを切り上げてもよいし、切り捨ててもよい。いずれの場合においても人数の差分は、均一化の誤差範囲内となる。
【0053】
次に、引き続き図3のフローチャートを参照しながら、空間500を構成する2つのゾーンに対して、第1候補パラメータに対応するもう一方の候補パラメータの決定について説明する。
【0054】
もう一方の候補パラメータとしては、第1候補パラメータでの上位ユーザが選びにくく、かつ、当該上位ユーザ以外のその他のユーザ99が選びやすい空間環境が設定されるような候補パラメータが好ましい。このため、まず、制御装置100は、図3に示すように、残りのユーザ(第1候補パラメータでの上位ユーザを除くその他のユーザ99)の一致度を、すべての候補パラメータごとに合計する(S104)。この合計値は、大きいほど残りのユーザによって選択されやすい空間環境を形成しうるパラメータとなるものの、例えば、上位ユーザにおいても一致度の合計値が高い(つまり、上位ユーザによって選択されやすい空間環境を形成しうる)場合がある。
【0055】
そこで、制御装置100は、上位ユーザの一致度の合計値が第1閾値以下であり、かつ、残りのユーザの一致度の合計値が第2閾値以上の候補パラメータを第2候補パラメータとして選択する(S105)。これにより、上位ユーザでの一致度の合計値が比較的低く、残りのユーザでの一致度の合計値が比較的高い候補パラメータが選択される。すなわち、このようにして選択された第2候補パラメータで環境制御装置が動作した場合、当該ゾーンは、上位ユーザによって選択されにくく、かつ、残りのユーザによって選択されやすい空間環境を形成することとなる。
【0056】
なお、候補パラメータの数がもとより少ない等の種々条件が揃っている場合などで、残りのユーザにおける一致度の合計値が高い候補パラメータが、上位ユーザにおける一致度の合計値が高い候補パラメータと重複する恐れがない場合、図4のフローチャートに示すように動作してもよい。すなわち、制御装置100は、単に、残りのユーザにおける一致度の合計値が最も大きい第3候補パラメータを選択してもよい(S105a)。
【0057】
図3に戻り、制御装置100は、選択した第1候補パラメータ及び第2候補パラメータ(又は第3候補パラメータ)を動作パラメータとして決定して、各ゾーンに備えられた環境制御装置へと送信することにより、これらの環境制御装置を動作させる(S106)。
【0058】
このようにして、本実施の形態では、第1候補パラメータ及び第2候補パラメータ(又は第3候補パラメータ)を上記のようにして選択して決定する。これにより、上位ユーザと残りのユーザとがそれぞれ排他的に選択しやすい空間環境が形成された2つのゾーンが提供される。上位ユーザは、第1候補パラメータが選択され、動作パラメータとして決定されたゾーンを選択しやすく、一方で、残りのユーザは、第2候補パラメータ(又は第3候補パラメータ)が選択され、動作パラメータとして決定されたゾーンを選択しやすくなる。
【0059】
上位ユーザ及び残りのユーザのそれぞれの人数は略同等であるので、上記のようにして、各ゾーンに上位ユーザと残りのユーザとが分かれて空間500を利用することで、各ゾーンを利用するユーザ99の人数が均一化され、空間500の利用効率が高い適切な空間の利用が可能となる。このように、本実施の形態のゾーン制御システム200によれば、空間の有効利用の観点で、より適切な空間環境の制御が可能となる。
【0060】
[変形例]
以下、本実施の形態の変形例におけるゾーン制御システム200の動作について、図6及び図7を参照して説明する。以下説明される変形例では、上記の実施の形態におけるゾーン制御システム200と異なる点を説明し、重複する点については省略又は簡略化する場合がある。具体的には、本変形例では、上記の実施の形態と比較してゾーン制御システム200の構成は同一である。一方で、本変形例では、上記の実施の形態と比較してゾーン制御システム200の動作が異なる。したがって、以下では、変形例に係るゾーン制御システム200の動作について説明する。図6は、実施の形態の変形例に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。また、図7は、実施の形態の変形例に係るゾーン制御システムの動作の別例を示すフローチャートである。
【0061】
なお、本フローチャートの動作が実行されるよりも前に、あらかじめ、空間500を利用する複数のユーザ99のそれぞれに対して、アンケート等の手段によって、それぞれのユーザ99の嗜好に応じた嗜好パラメータが設定され、図示しない記憶部等に格納される処理が実行されているものとして説明する。
【0062】
また、空間500を利用するユーザ99が固定的なユーザ99ではない場合、すなわち、ある時点で空間を利用する複数のユーザ99が、別の時点で空間を利用する複数のユーザ99に対して、内訳が異なるような場合には、別にユーザ99を特定する動作が、上記フローチャートの動作が実行されるよりも前に行われる。
【0063】
上記の動作に次いで、図6に示すように、制御装置100は、候補パラメータのそれぞれとユーザ99のそれぞれの嗜好パラメータとの一致度の算出を行う(S201)。
【0064】
上記したように、本例においても、例えば、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度は、ベクトルの内積として表されてもよい。また、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の算出においては、パラメータそれぞれのベクトルの大きさがさらに考慮されてもよい。すなわち、候補パラメータのベクトルの大きさと嗜好パラメータのベクトルの大きさとの差などが、算出された数値にさらに乗じられてもよい。
【0065】
また、制御装置100は、さらに、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を算出する時期に基づいて決定される補正係数であって、空間環境のある因子に対応する第1係数及び空間環境の別の因子に対応する第2係数を含む補正係数を決定し、この補正係数に基づいて、一致度の算出を行ってもよい。
【0066】
また、制御装置100は、さらに、ユーザ99のうちの特定のユーザ99である特定ユーザが過去に利用したゾーンにおいて、当該ゾーンに対応する動作パラメータとして決定された候補パラメータである特定候補パラメータを特定し、特定候補パラメータに含まれる数値に基づいて、一致度の算出を行ってもよい。制御装置100は、次に、候補パラメータごとに、下位ユーザの一致度の合計を行う(S202)。下位ユーザとは、各候補パラメータにおける、ユーザ99ごとに算出された一致度を昇順に並べた時の下位の(つまり一致度が低い)ユーザ99である。下位ユーザの一致度の合計は、各候補パラメータにおいて下位に位置するユーザ99の一致度の低さを表しているので、数値が小さいほど、この候補パラメータと下位ユーザの嗜好とが対応していないといえる。したがって、下位ユーザの一致度の合計が低い候補パラメータを動作パラメータとして選択すれば、当該候補パラメータにおける下位ユーザは、この動作パラメータで環境制御装置が動作しているゾーンを選択しにくいといえる。
【0067】
そのため、本実施の形態の変形例では、下位ユーザの一致度の合計が比較的低いという所定の条件を満たすような第4候補パラメータを動作パラメータの1つとして選択する(S203)。この所定の条件は、例えば、すべての候補パラメータにおける下位ユーザの一致度の合計の中で、平均値(所定値の一例)よりも低い合計値を示す候補パラメータであってもよいし、合計値の昇順における下位3位等(所定値の一例)よりも低い合計値を示す候補パラメータであってもよいし、実験的又は経験的に設定された基準の合計値(所定値の一例)よりも低い合計値を示す候補パラメータであってもよい。本実施の形態の変形例では、所定の条件として、すべての候補パラメータにおける下位ユーザの一致度の合計値の中で、最も小さい合計値の候補パラメータを第4候補パラメータとして選択するとして説明する。
【0068】
なお、下位ユーザとしては、均一化されたときに1つのゾーンを利用するだけの人数のユーザ99が含まれるとよい。本実施の形態の変形例では、ユーザ99の人数をゾーンの数で除した人数が下位ユーザの人数となればよい。言い換えると、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの下位(M/N)人が下位ユーザとなる。本実施の形態の変形例では、ゾーンの数は2個であるので、複数のユーザ99の人数をM人としたとき、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの下位(M/2)人、すなわち、半数が下位ユーザとなる。なお、MをNで割り切れない場合、下位ユーザの人数は、余りを切り上げてもよいし、切り捨ててもよい。いずれの場合においても人数の差分は、均一化の誤差範囲内となる。
【0069】
次に、引き続き図6のフローチャートを参照しながら、空間500を構成する2つのゾーンに対して、第4候補パラメータに対応するもう一方の候補パラメータの決定について説明する。
【0070】
もう一方の候補パラメータとしては、第4候補パラメータでの下位ユーザが選びやすく、かつ、当該下位ユーザ以外のその他のユーザ99が選びにくい空間環境が設定されるような候補パラメータが好ましい。このため、まず、制御装置100は、図6に示すように、残りのユーザ(第4候補パラメータでの下位ユーザを除くその他のユーザ99)の一致度を、すべての候補パラメータごとに合計する(S204)。この合計値は、小さいほど残りのユーザによって選択されにくい空間環境を形成しうるパラメータとなるものの、例えば、下位ユーザにおいても一致度の合計値が低い(つまり、下位ユーザによって選択されにくい空間環境を形成しうる)場合がある。
【0071】
そこで、制御装置100は、下位ユーザの一致度の合計値が第3閾値以上であり、かつ、残りのユーザの一致度の合計値が第4閾値以下の候補パラメータを第5候補パラメータとして選択する(S205)。これにより、下位ユーザでの一致度の合計値が比較的高く、残りのユーザでの一致度の合計値が比較的低い候補パラメータが選択される。すなわち、このようにして選択された第5候補パラメータで環境制御装置が動作した場合、当該ゾーンは、下位ユーザによって選択されやすく、かつ、残りのユーザによって選択されにくい空間環境を形成することとなる。
【0072】
なお、候補パラメータの数がもとより少ない等の種々条件が揃っている場合などで、残りのユーザにおける一致度の合計値が低い候補パラメータが、下位ユーザにおける一致度の合計値が低い候補パラメータと重複する恐れがない場合、図7のフローチャートに示すように動作してもよい。すなわち、制御装置100は、単に、残りのユーザにおける一致度の合計値が最も小さい第6候補パラメータを選択してもよい(S205a)。
【0073】
図6に戻り、制御装置100は、選択した第4候補パラメータ及び第5候補パラメータ(又は第6候補パラメータ)を動作パラメータとして決定して、各ゾーンに備えられた環境制御装置へと送信することにより、これらの環境制御装置を動作させる(S206)。
【0074】
このようにして、本実施の形態の変形例では、第4候補パラメータ及び第5候補パラメータ(又は第6候補パラメータ)を上記のようにして選択して決定する。これにより、下位ユーザと残りのユーザとがそれぞれ排他的に選択しやすい空間環境が形成された2つのゾーンが提供される。下位ユーザは、第5候補パラメータ(又は第6候補パラメータ)が選択され、動作パラメータとして決定されたゾーンを選択しやすく、一方で、残りのユーザは、第4候補パラメータが選択され、動作パラメータとして決定されたゾーンを選択しやすくなる。
【0075】
下位ユーザ及び残りのユーザのそれぞれの人数は略同等であるので、上記のようにして、各ゾーンに下位ユーザと残りのユーザとが分かれて空間500を利用することで、各ゾーンを利用するユーザ99の人数が均一化され、空間500の利用効率が高い適切な空間の利用が可能となる。このように、本実施の形態の変形例のゾーン制御システム200によれば、空間の有効利用の観点で、より適切な空間環境の制御が可能となる。
【0076】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係るゾーン制御システム200は、複数のゾーンからなる空間500における複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置と、複数の動作パラメータであって、それぞれが、複数のゾーンのうちのいずれかに対応する環境制御装置用の複数の動作パラメータを決定し、決定した複数の動作パラメータに基づいて環境制御装置を動作させる制御装置100と、を備え、制御装置100は、それぞれが複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、空間500を利用する複数のユーザ99のそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、算出した一致度に基づいて、複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の人数を均一化するための複数の動作パラメータを、複数の候補パラメータの中から選択して決定する。
【0077】
このようなゾーン制御システム200は、ユーザ99の嗜好パラメータに応じて、複数のゾーンを利用するユーザ99の人数を均一化するための動作パラメータを候補パラメータの中から選択することができる。この結果、空間内の各ゾーンは均一化された人数のユーザ99によって利用される。このようにして、ゾーン制御システム200は、空間の有効利用の観点で、より適切な空間環境の制御を行うことができる。
【0078】
また、例えば、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、制御装置100は、複数の候補パラメータのうちの第1候補パラメータであって、第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が所定値以上である第1候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定してもよい。
【0079】
これによれば、複数のゾーンのうちの1つに、空間500を利用するユーザ99の人数(M)をゾーンの数(N)で除した人数(M/N)のユーザ99が対応するゾーンを利用しやすい動作パラメータとして、第1候補パラメータを選択することができる。
【0080】
また、例えば、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、制御装置100は、複数の候補パラメータのうちの第1候補パラメータであって、第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が最も大きい第1候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定してもよい。
【0081】
これによれば、複数のゾーンのうちの1つに、空間500を利用するユーザ99の人数(M)をゾーンの数(N)で除した人数(M/N)のユーザ99が対応するゾーンを利用しやすい動作パラメータとして、第1候補パラメータを選択することができる。
【0082】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第2候補パラメータであって、第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザの、第2候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の合計が第1閾値以下である第2候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0083】
これによれば、第1候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しやすい(M/N)人の上位ユーザが、対して利用しにくい第2候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。これにより、第1候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しやすい上位ユーザは、第2候補パラメータが動作パラメータとして選択された別のゾーンを利用する可能性が低減され、結果的に、上位ユーザを除く残りのユーザによって、この別のゾーンが利用されやすくなる。
【0084】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第2候補パラメータであって、第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザを除く複数のユーザ99のうちの残りのユーザのうちの、第2候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における上位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が第2閾値以上である第2候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0085】
これによれば、第1候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しやすい(M/N)人の上位ユーザを除く、残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99が利用しやすい第2候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。上位ユーザを除く残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99によって、この別のゾーンが利用されやすくなる。
【0086】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第3候補パラメータであって、第1候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザ99のうちの上位(M/N)人以内の上位ユーザを除く複数のユーザ99のうちの残りのユーザの、第3候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における残りのユーザのうちの上位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が最も大きい第3候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0087】
これによれば、第1候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しやすい(M/N)人の上位ユーザを除く、残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99が利用しやすい第3候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。上位ユーザを除く残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99によって、この別のゾーンが利用されやすくなる。
【0088】
また、例えば、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、制御装置100は、複数の候補パラメータのうちの第4候補パラメータであって、第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの下位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が所定値以下である第4候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定してもよい。
【0089】
これによれば、複数のゾーンのうちの1つに、空間500を利用するユーザ99の人数(M)をゾーンの数(N)で除した人数(M/N)のユーザ99が対応するゾーンを利用しにくい動作パラメータとして、第4候補パラメータを選択することができる。この結果、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンは、このゾーンを利用しにくい(M/N)人のユーザ99を除く、残りのユーザによって利用されやすくなる。
【0090】
また、例えば、複数のゾーンの数をN個(Nは2以上の整数)とし、複数のユーザ99の人数をM人(MはN以上の整数)としたとき、制御装置100は、複数の候補パラメータのうちの第4候補パラメータであって、第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における、複数のユーザ99のうちの下位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が最も小さい第4候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの1つとして選択して決定してもよい。
【0091】
これによれば、複数のゾーンのうちの1つに、空間500を利用するユーザ99の人数(M)をゾーンの数(N)で除した人数(M/N)のユーザ99が対応するゾーンを利用しにくい動作パラメータとして、第4候補パラメータを選択することができる。この結果、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンは、このゾーンを利用しにくい(M/N)人のユーザ99を除く、残りのユーザによって利用されやすくなる。
【0092】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第5候補パラメータであって、第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザ99のうちの下位(M/N)人以内の下位ユーザの、第5候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の合計が第3閾値以上である第5候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0093】
これによれば、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しにくい(M/N)人の下位ユーザが、対して利用しやすい第5候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。これにより、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しにくい下位ユーザは、第5候補パラメータが動作パラメータとして選択された別のゾーンを利用する可能性が増大され、結果的に、下位ユーザによって、この別のゾーンが利用されやすくなる。
【0094】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第5候補パラメータであって、第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザの99うちの下位(M/N)人以内の下位ユーザを除く複数のユーザ99のうちの残りのユーザのうちの、第5候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における下位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が第4閾値以下である第5候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0095】
これによれば、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しにくい(M/N)人の下位ユーザを除く、残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99が利用しやすい第5候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。下位ユーザを除く残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99にも、利用されにくいゾーンを形成できる。このゾーンは、(M/N)人の下位ユーザに次ぐ(M/N)人のユーザ99以外のユーザによって利用されやすいゾーンとなる。なお、下位ユーザに次ぐ(M/N)人のユーザ99以外のユーザには、下位ユーザが含まれる。
【0096】
また、例えば、制御装置100は、さらに、複数の候補パラメータのうちの第6候補パラメータであって、第4候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における複数のユーザ99のうちの下位(M/N)人以内の下位ユーザを除く複数のユーザ99のうちの残りのユーザのうちの、第6候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度の昇順における下位(M/N)人分のユーザ99の一致度の合計が最も小さい第6候補パラメータを複数の動作パラメータのうちの別の1つとして選択して決定してもよい。
【0097】
これによれば、第4候補パラメータが動作パラメータとして選択されたゾーンを利用しにくい(M/N)人の下位ユーザを除く、残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99が利用しやすい第6候補パラメータを別の動作パラメータ(つまり別のゾーンの動作パラメータ)として選択することができる。下位ユーザを除く残りのユーザのうちの(M/N)人のユーザ99にも、利用されにくいゾーンを形成できる。このゾーンは、(M/N)人の下位ユーザに次ぐ(M/N)人のユーザ99以外のユーザによって利用されやすいゾーンとなる。なお、下位ユーザに次ぐ(M/N)人のユーザ99以外のユーザには、下位ユーザが含まれる。
【0098】
また、例えば、複数の候補パラメータのそれぞれは、空間環境の第1因子に対応する第1値及び空間環境の第2因子に対応する第2値を含み、複数のユーザ99のそれぞれの嗜好パラメータは、空間環境の第1因子に対応する第3値及び、空間環境の第2因子に対応する第4値を含み、制御装置100は、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1値と第3値との積、及び、第2値と第4値との積を加算して算出してもよい。
【0099】
これによれば、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1値と第3値との積、及び、第2値と第4値との積を加算して算出することができる。
【0100】
また、例えば、制御装置100は、さらに、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を算出する時期に基づいて決定される補正係数であって、空間環境の第1因子に対応する第1係数及び空間環境の第2因子に対応する第2係数を含む補正係数を決定し、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1係数と第1値と第3値との積、及び、第2係数と第2値と第4値との積を加算して算出してもよい。
【0101】
これによれば、時期に基づいて決定される補正係数を考慮して、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を、第1係数と第1値と第3値との積、及び、第2係数と第2値と第4値との積を加算して算出することができる。
【0102】
また、例えば、制御装置100は、さらに、特定ユーザが過去に利用したゾーンにおいて、当該ゾーンに対応する動作パラメータとして決定された候補パラメータである特定候補パラメータを特定し、候補パラメータと特定ユーザの嗜好パラメータとの一致度を算出する際に、特定候補パラメータとの一致度を、他の候補パラメータとの一致度よりも高く算出してもよい。
【0103】
これによれば、ユーザが過去に利用したゾーンの履歴を考慮して、候補パラメータと嗜好パラメータとの一致度を算出することができる。
【0104】
また、本実施の形態における制御装置100は、上記に記載のゾーン制御システム200に備えられる制御装置100である。
【0105】
このような制御装置100は、環境制御装置を動作させることで、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0106】
また、本実施の形態における制御方法では、複数のゾーンからなる空間500における複数のゾーンのそれぞれの空間環境を個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、複数の動作パラメータであって、それぞれが、複数のゾーンのうちのいずれかに対応する環境制御装置用の複数の動作パラメータを決定し、決定した複数の動作パラメータに基づいて環境制御装置を動作させ、複数の動作パラメータの決定では、それぞれが複数の動作パラメータの候補である複数の候補パラメータのそれぞれと、空間500を利用する複数のユーザ99のそれぞれの嗜好に応じた嗜好パラメータとの一致度を算出し、算出した一致度に基づいて、複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の人数を均一化するための複数の動作パラメータを、複数の候補パラメータの中から選択して決定する。
【0107】
このような制御方法では、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0108】
また、本実施の形態におけるプログラムは、上記に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0109】
このようなプログラムは、コンピュータを用いて、上記に記載の制御方法を実行することができ、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0110】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係るゾーン制御システム等について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0111】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、ゾーン制御システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0112】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0113】
また、上記実施の形態において、2個のゾーンから構成される空間に適用される例についてゾーン制御システム等を説明したが、例えば、3個以上のゾーンから構成される空間にゾーン制御システムが適用されてもよい。この場合、上位ユーザとして一致度の昇順における上位M/N人が上位ユーザとなった後に、残りのユーザの中で、さらに一致度の昇順における上位M/N(つまり次点の上位M/N)人が次点の上位ユーザとなればよい。その後順次M/N人ずつ次々点と続けて上位から順番にユーザがまとめられればよい。
【0114】
また、上記実施の形態において、上位ユーザのための第1候補パラメータが選択されたあとに、残りのユーザが選択しやすいことを条件に第2候補パラメータ等の選択を行ったが、例えば、複数のユーザそれぞれの嗜好がより単純化された場合、単に、上位ユーザの一致度の合計値が最も大きい候補パラメータと、次点で大きい候補パラメータとが2つの候補パラメータとして選択されてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0116】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0117】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC又はLSIなどが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integraion)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGAも同じ目的で使うことができる。
【0118】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0119】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態に係る構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
11a 第1照明装置(環境制御装置)
11b 第2照明装置(環境制御装置)
12a 第1音響装置(環境制御装置)
12b 第2音響装置(環境制御装置)
13a 第1空気調和装置(環境制御装置)
13b 第2空気調和装置(環境制御装置)
99 ユーザ
100 制御装置
200 ゾーン制御システム
500 空間
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7