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特許7539060物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240816BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
G05D1/43
G01S17/93
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019056119
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020160511
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000242600
【氏名又は名称】北陽電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼川 夏生
(72)【発明者】
【氏名】山本 明人
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隆弘
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】堀内 亮吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-69671(JP,A)
【文献】特開2001-249718(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軌道に沿って走行する走行機構を備えた搬送台車と、前記搬送台車に搭載された物体検出装置と、を備えて構成される物体検出システムであって、
前記物体検出装置は、
発光素子と、
受光素子と、
前記発光素子から出力された測定光を空間に走査するとともに測定光に対する物体からの反射光を前記受光素子に導く走査光学系と、
前記発光素子から出力される測定光と前記受光素子で検出される反射光との物理的関係に基づいて前記物体までの距離及び方向を算出する距離演算回路と、
監視領域を記憶する領域記憶回路と、
前記距離演算回路で算出された物体までの距離及び方向が前記領域記憶回路に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する物体判定回路と、
前記物体判定回路で前記監視領域の内側に物体があると判定された場合に物体検知信号を出力する信号出力回路と、
前記受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する先行する搬送台車を含む任意の物体を検知する第1モードと、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させ、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく先行する搬送台車を検知する第2モードとの何れかに切り替えるモード切替回路と、
を備えて構成され、
前記搬送台車は、
前記走行機構を制御して予め設定されたステーションに向けて走行制御するとともに、前記信号出力回路から出力された物体検知信号に基づいて減速または停止制御する走行制御回路と、
前記軌道に沿った走行位置を監視する走行位置監視回路と、
前記走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、前記監視領域に非監視対象物体が存在しないと判断する場合に前記第1モードに切り替え、前記監視領域に非監視対象物体が存在すると判断する場合に前記第2モードに切り替えるモード切替信号を、前記モード切替回路に出力するモード切替信号出力回路と、
を備えて構成されている物体検出システム。
【請求項2】
前記物体検出装置は、さらに、前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域から前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択回路を備え、
前記搬送台車は、さらに、前記走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択信号を前記領域選択回路に出力する監視領域選択信号出力回路を備えている請求項1記載の物体検出システム。
【請求項3】
前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域毎に前記第1モードと前記第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている請求項記載の物体検出システム。
【請求項4】
前記モード切替信号出力回路は、前記監視領域選択信号出力回路から出力される領域選択信号に対応する監視領域毎に前記モード切替回路に前記第1モードと前記第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力する請求項記載の物体検出システム。
【請求項5】
前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上となる特定の強反射シートが前記搬送台車の後端部に配置され、前記第2モードでは先行する搬送台車に設けられた前記強反射シートから反射され、前記受光素子で受光された出力のみが前記距離演算回路に出力される請求項1からの何れかに記載の物体検出システム。
【請求項6】
請求項1からの何れかの物体検出システムに用いられる搬送台車。
【請求項7】
空間に走査された測定光に対する反射光に基づいて物体を検出する物体検出装置であって、
発光素子と、
受光素子と、
前記発光素子から出力された測定光を空間に走査するとともに測定光に対する物体からの反射光を前記受光素子に導く走査光学系と、
前記発光素子から出力される測定光と前記受光素子で検出される反射光との物理的関係に基づいて前記物体までの距離及び方向を算出する距離演算回路と、
監視領域を記憶する領域記憶回路と、
前記距離演算回路で算出された物体までの距離及び方向が前記領域記憶回路に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する物体判定回路と、
前記物体判定回路で前記監視領域の内側に物体があると判定された場合に物体検知信号を出力する信号出力回路と、
外部から入力され、前記監視領域に存在する監視対象物体を含む任意の物体を検知するか、前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知するか、の何れかを指定するモード切替信号に基づいて、前記モード切替信号が前記監視領域に存在する監視対象物体を含む任意の物体を検知するモードを示す場合に、前記受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を含む任意の物体を検知する第1モードに切り替え、前記モード切替信号が前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知するモードを示す場合に、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させ、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知する第2モードに切り替えるモード切替回路と、
を備えて構成されている物体検出装置。
【請求項8】
前記領域記憶回路に複数の監視領域が記憶され、
前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域から前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択回路を備え、
前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域毎に前記第1モードと前記第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている請求項記載の物体検出装置。
【請求項9】
前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域毎に前記第1モードまたは前記第2モードの何れかが設定され、
前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域に設定されたモードに切り替える請求項記載の物体検出装置。
【請求項10】
前記領域記憶回路に記憶される複数の監視領域は、予め外部制御装置から入力可能に構成されている請求項からの何れかに記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫などに構築される物流管理システムでは、荷物や部品の集荷および配送を効率的に行なうために、倉庫内に集荷用の複数のステーションや配送用の複数のステーションを配置し、各ステーションにわたって搬送台車が走行するための軌道が設置され、同一の軌道上を複数の搬送台車が走行して、搬送台車とステーション間で荷物の受け渡しが行なわれる。この様な搬送台車をSTV(Sorting Transfer Vehicle の略記、STVは登録商標2266491号)という。
【0003】
ステーション間を結ぶ軌道は、直線軌道のみならず曲線軌道が組み合わさって構成されており、そのような軌道に沿って走行する搬送台車が、軌道近傍の異物に衝突したり、先行する搬送台車に衝突したりすることが無いように、各搬送台車の前端側に物体検出装置が取り付けられている。
【0004】
特許文献1には、走行位置に応じて物体の検出領域を変化させることができる無人搬送車の障害物検出センサが開示されている。当該障害物検出センサは、無人搬送車に取り付けられ、その周囲を放射状に分割した所定の角度範囲毎に、検出物体までの距離を測定する非接触式の距離測定器と、前記距離測定器の測定範囲に、指定した複数の境界点を結ぶ線により区画される検出エリアを複数パターン登録する検出エリア登録手段と、無人搬送車の走行区間毎に、検出エリア登録手段に登録された複数の検出エリアのパターンの中から使用するパターンを選択して設定する使用パターン設定手段と、無人搬送車の走行中に、距離測定器で所定の角度範囲毎に測定された検出物体までの距離が、現在の走行区間に設定された検出エリアの範囲内にあるとき、障害物検出の出力を発生する判定手段とを具備している。
【0005】
また、特許文献2には、天井走行式無人搬送車OHT(Overhead Hoist Transfer)に搭載された物体検出装置の一例が開示されている。当該物体検出装置は、天井に配された軌道の近傍に配置される各種の製造設備の壁面からの反射光による誤検出を回避しつつ、先行する無人搬送車との衝突を回避するために、後方の無人搬送車の先端側に走査式測距装置のような物体検出装置が設置され、先行する無人搬送車の後端側に再帰性反射部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-215238号公報
【文献】WO2018/150998号国際公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された障害物検出センサによれば、無人搬送車の走行経路に沿って物体の検出領域を変更することができるので、走行経路に応じて柔軟に物体を検出することができるようになる。
【0008】
特許文献2に記載された物体検出装置は、天井に配された軌道の近傍に衝突する虞があるような異物は存在せず、専ら天井走行式無人搬送車OHT同士の衝突回避が目的であったため、軌道の近傍に配置される各種の製造設備の壁面からの反射光による誤検出を回避することができれば充分であった。
【0009】
しかし、物流倉庫の床面に配された軌道に沿って走行する搬送台車の場合、軌道の近傍に接近する人や物を検出して、衝突事故を未然に防止する必要があった。また、軌道の曲線部位に配された安全柵や設備を誤って異物として誤認識することを回避する必要もあった。
【0010】
そこで、特許文献1に開示されたような走行経路に沿って物体の検出領域を変更する構成を採用し、物体検出装置により監視される監視領域を搬送台車の走行経路に沿って複数に区画し、人が進入する可能性のある領域では監視領域を広く設定し、安全柵や設備が設置された領域では監視領域を狭く設定することで、誤検出を回避しながらも安全性を高めることができる。
【0011】
しかし、搬送台車の走行経路に沿って監視領域を細かく切替設定するのは、非常に煩雑な制御を伴なうという問題があり、監視領域を狭く設定するとそれだけ先行の搬送台車に対する検出範囲が狭くなり、衝突する虞があるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、検出範囲を狭小化することなく、安全柵や設備の誤検出を回避しながらも異物を適切に検出することができる物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による物体検出システムの第一の特徴構成は、所定の軌道に沿って走行する走行機構を備えた搬送台車と、前記搬送台車に搭載された物体検出装置と、を備えて構成される物体検出システムであって、前記物体検出装置は、発光素子と、受光素子と、前記発光素子から出力された測定光を空間に走査するとともに測定光に対する物体からの反射光を前記受光素子に導く走査光学系と、前記発光素子から出力される測定光と前記受光素子で検出される反射光との物理的関係に基づいて前記物体までの距離及び方向を算出する距離演算回路と、監視領域を記憶する領域記憶回路と、前記距離演算回路で算出された物体までの距離及び方向が前記領域記憶回路に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する物体判定回路と、前記物体判定回路で前記監視領域の内側に物体があると判定された場合に物体検知信号を出力する信号出力回路と、前記受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する任意の物体を検知する第1モードと、前記受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する先行する搬送台車を含む任意の物体を検知する第1モードと、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させ、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく先行する搬送台車を検知する第2モードとの何れかに切り替えるモード切替回路と、を備えて構成され、前記搬送台車は、前記走行機構を制御して予め設定されたステーションに向けて走行制御するとともに、前記信号出力回路から出力された物体検知信号に基づいて減速または停止制御する走行制御回路と、前記軌道に沿った走行位置を監視する走行位置監視回路と、前記走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、前記監視領域に非監視対象物体が存在しないと判断する場合に前記第1モードに切り替え、前記監視領域に非監視対象物体が存在すると判断する場合に前記第2モードに切り替えるモード切替信号を、前記モード切替回路に出力するモード切替信号出力回路と、を備えて構成されている点にある。
【0014】
モード切替回路で第1モードに切り替えられると、反射光の強度にかかわらず距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路が作動して、監視領域内に物体が検出されると信号出力回路から物体検知信号が出力される。従って、例えば軌道の近傍に進入した人などが障害物として確実に検出されるようになる。
【0015】
また、モード切替回路で第2モードに切り替えられると、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路が作動し、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路の何れかの作動が阻止されるので、監視領域内に物体が存在しても受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときにのみ信号出力回路から物体検知信号が出力され、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満であれば、信号出力回路から物体検知信号が出力されることがない。その結果、例えば安全柵など受光素子で受光される反射光の強度が所定の閾値未満となるような物体からの反射光がノイズとして排除されるようになる。
【0016】
そして、第1モードと第2モードの何れに切り替えるかを、搬送台車のモード切替信号出力回路から出力されるモード切替信号基づいて設定することで、例えば軌道に沿って安全柵が近接している走行位置では第2モードを選択し、安全柵が無く、人が進入する虞のあるような走行位置では第1モードを選択するように、走行位置に基づいて適切なモードを選択することが容易にできるようになる。
【0017】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記物体検出装置は、さらに、前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域から前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択回路を備え、前記搬送台車は、さらに、前記走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択信号を前記領域選択回路に出力する監視領域選択信号出力回路を備えている点にある。
【0018】
物体検出装置に備えた物体判定回路の判定対象となる監視領域が、搬送台車に備えた走行位置監視回路で監視された走行位置に対応して適切な監視領域に切り替えられるようになる。
【0019】
同第の特徴構成は、上述の第の特徴構成に加えて、前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域毎に前記第1モードと前記第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている点にある。
【0020】
モード切替回路によって監視領域毎に第1モードまたは第2モードに切り替えることができるので、個々の監視領域に応じた柔軟性の高い物体検出システムが実現できる。
【0021】
同第の特徴構成は、上述の第の特徴構成に加えて、前記モード切替信号出力回路は、前記監視領域選択信号出力回路から出力される領域選択信号に対応する監視領域毎に前記モード切替回路に前記第1モードと前記第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力する点にある。
【0022】
予め監視領域毎に第1モードと第2モードの何れのモードを選択するかが設定できるので、きめ細かく対応することができる。
【0023】
同第の特徴構成は、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上となる特定の強反射シートが前記搬送台車の後端部に配置され、前記第2モードでは先行する搬送台車に設けられた前記強反射シートから反射され、前記受光素子で受光された出力のみが前記距離演算回路に出力される点にある。
【0024】
第2モードに切り替えられると、搬送台車に配置された強反射シートからの反射光のみが障害物として検出され、他の物体からの反射光はノイズとして排除されるようになる。
【0025】
本発明による搬送台車の特徴構成は、上述した第一から第の何れかの特徴構成を備えた物体検出システムに用いられる搬送台車である点にある。
【0026】
物体検出装置から出力される物体検知信号に基づいて走行制御回路が搬送台車を適切に走行制御できるようになる。
【0027】
本発明による物体検出装置の第一の特徴構成は、空間に走査された測定光に対する反射光に基づいて物体を検出する物体検出装置であって、発光素子と、受光素子と、前記発光素子から出力された測定光を空間に走査するとともに測定光に対する物体からの反射光を前記受光素子に導く走査光学系と、前記発光素子から出力される測定光と前記受光素子で検出される反射光との物理的関係に基づいて前記物体までの距離及び方向を算出する距離演算回路と、監視領域を記憶する領域記憶回路と、前記距離演算回路で算出された物体までの距離及び方向が前記領域記憶回路に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する物体判定回路と、前記物体判定回路で前記監視領域の内側に物体があると判定された場合に物体検知信号を出力する信号出力回路と、外部から入力され、前記監視領域に存在する監視対象物体を含む任意の物体を検知するか、前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知するか、の何れかを指定するモード切替信号に基づいて、前記モード切替信号が前記監視領域に存在する監視対象物体を含む任意の物体を検知するモードを示す場合に、前記受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を含む任意の物体を検知する第1モードに切り替え、前記モード切替信号が前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知するモードを示す場合に、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路を作動させ、前記受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに前記距離演算回路、前記物体判定回路及び前記信号出力回路の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知することなく監視対象物を検知する第2モードに切り替えるモード切替回路と、を備えて構成されている点にある。
【0028】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記領域記憶回路に複数の監視領域が記憶され、前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域から前記物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択回路を備え、前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域毎に前記第1モードと前記第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている点にある。
【0029】
同第三の特徴構成は、上述の第二の特徴構成に加えて、前記領域記憶回路に記憶された複数の監視領域毎に前記第1モードまたは前記第2モードの何れかが設定され、前記モード切替回路は、前記領域選択回路で選択された監視領域に設定されたモードに切り替える点にある。
【0030】
同第四の特徴構成は、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記領域記憶回路に記憶される複数の監視領域は、予め外部制御装置から入力可能に構成されている点にある。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、検出範囲を狭小化することなく、安全柵や設備の誤検出を回避しながらも異物を適切に検出することができる物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は物流管理システムの平面図、(b)は搬送台車の説明図、(c)は前方から視た搬送台車の説明図
図2】搬送台車の制御システムの機能ブロックを示す説明図
図3】物体検出装置の外観説明図
図4】物体検出装置の断面図
図5】物体検出装置の機能ブロックを示す説明図
図6図6(a)は反射光強度の確認試験をおこなう際の物体検出装置と反射シートの位置関係の説明図、図6(b)は反射光強度の確認試験の結果を示すとともに、第1モードと第2モードの閾値を示す説明図
図7】第1モードと第2モードの切替説明図
図8】搬送手順を説明するフローチャート
図9】物体検出手順を説明するフローチャート
図10】別実施形態を示す物体検出手順を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明による物体検出システム、搬送台車及び物体検出装置が、物流管理設備に適用された実施形態を説明する。
【0034】
図1(a)~(c)に示すように、物流管理設備100は、建屋の床面に敷設された2本のレールで構成される軌道1と、軌道1上を走行する複数台の搬送台車2と、軌道1に沿って配設された複数のステーション3を備えて構成されている。不用意に人が接近して搬送台車2と接触するような事故を未然に防止し、カーブ走行時の遠心力により荷崩れが発生しても周囲に荷物が飛散しないように、軌道1のうち所定の曲線領域には、周囲に安全柵Gが設置されている。
【0035】
搬送台車2は、軌道1上を走行する前後一対の車輪Wが取り付けられたフレームFと、フレームF上に設けられたパレット載置部Aと、パレット載置部Aに載置されたパレットPLをステーション3との間で移動させる一対のチェーン式のコンベア機構Cなどを備えている。
【0036】
コンベア機構Cを介して搬送台車2とステーション3との間で、パレットPLに載置された荷物がパレットPLと一体で受け渡しされる。この様な搬送台車をSTV(Sorting Transfer Vehicle の略記、STVは登録商標2266491号)という。なお、図1(b),(c)は略図であるため、車輪Wは輪状に描かれていないなど、実際とは異なり簡略化されている点に留意されたい。
【0037】
フレームFの内部には、物流管理設備100の全体を制御するホストコントローラHC(図2参照)と通信することによって、搬送台車2を所定のステーション3に走行し、パレットPLに収容された荷物をステーション3との間で移載する搬送制御装置40(図2参照)や、車輪Wを駆動する走行モータ、コンベア機構Cを正逆回転駆動するコンベアモータなどが設けられている。
【0038】
進行方向に向かってフレームFの前端側には平面視で幅方向中央部に物体検出装置20が取り付けられ(図1(c)参照。)、フレームFの後端側には、平面視で幅方向両端部に強反射シートである再帰性反射シート2A,2Bが設けられるとともに、平面視で幅方向中央部の下方に光を拡散反射する反射板2Cが垂下されている(図1(b)参照。)。強反射シート2A,2Bはカーブ走行時及び直線走行時の検出に用いられ、反射板2Cは直線走行時など搬送台車間が所定距離以上離隔している場合に用いられる。
【0039】
左カーブで確実に検出できるように、強反射シート2Aは幅方向中央側領域が軌道1の延伸方向に対して直交するように鉛直姿勢に配され、側部領域が幅方向中央側領域に対して軌道1の延伸方向に45度傾斜している。また、右カーブで確実に検出できるように、強反射シート2Bは幅方向中央側領域が軌道1の延伸方向に対して直交するように鉛直姿勢に配され、側部領域が幅方向中央側領域に対して軌道1の延伸方向に45度傾斜している。
【0040】
図2には、搬送台車2に設けられた搬送制御装置40を構成する複数の機能ブロックが示されている。搬送制御装置40は、CPU、メモリIC、通信回路、及び入出力回路などの複数の集積回路を備えたマイクロコンピュータ及び周辺回路で構成され、メモリICに格納された制御プログラムがCPUで実行されることにより、各機能ブロックが回路ブロックとして具現化される。
【0041】
搬送制御装置40は、搬送台車2を統括制御する搬送制御回路41と、搬送制御回路41の指令に基づいて走行モータを制御する走行制御回路42と、車輪Wに組み込まれたエンコーダから出力されるパルス信号に基づいて軌道上の走行位置を監視する走行位置監視回路43と、コンベアモータを制御するコンベア制御回路44と備えている。
【0042】
走行位置監視回路43は軌道記憶回路45に格納された軌道データとエンコーダからのパルス信号に基づいて走行位置を監視および把握する。なお、初期位置はホストコントローラHCから受信した位置データや、軌道1上に設けた位置センサなどの出力に基づいて把握可能に構成されている。
【0043】
搬送制御装置40は、さらに、走行位置監視回路43により監視された走行位置に対応して物体検出装置20により監視される監視領域を選択するための監視領域選択信号を出力する監視領域選択信号出力回路49や、物体検出装置20により実行される物体検出の態様を切り替えるためのモード切替信号を出力するモード切替信号出力回路48を備えている。モード切替信号出力回路48及び監視領域選択信号出力回路49は、搬送制御回路41を構成する論理回路ブロック内に構成されている。
【0044】
搬送制御回路41には、ホストコントローラHCとの間で無線通信する第1通信インタフェース46と、物体検出装置20との間で通信する第2通信インタフェース47が接続されている。各通信インタフェースの規格は特に限定されるものではなく、汎用の規格を適宜用いることができる。
【0045】
ホストコントローラHCは軌道1上を走行する複数の搬送台車2と個別に無線交信して、各搬送台車2の走行位置を把握し、ステーション3との間で荷物を移載するために、各搬送台車2に対して走行目標ステーションを指示するとともに荷物の移載指示を行なう。
【0046】
図3には物体検出装置20の外観が示され、図4には物体検出装置20の内部構造が示されている。図3に示すように、物体検出装置20は、略直方体形状の下部ケーシング20Aと、略円筒形状の光学窓20Cを備えた上部ケーシング20Bを備えている。下部ケーシング20Aには信号接続部CNと表示部20Dが設けられている。
【0047】
図4に示すように、物体検出装置20のケーシング20A,20Bの内部には、発光素子21と、受光素子22と、走査光学系23と、投光レンズ24と、受光レンズ25と、信号処理基板30,31が収容されている。
【0048】
上部ケーシング20Bの上面内壁に設置されたモータ50と、モータ50の回転軸51にモータ50と一体回転可能に固定された偏向ミラー52とによって走査光学系23が構成されている。偏向ミラー52は回転軸51に対して45度の傾斜角度に設定され、さらに回転軸51にはモータ50の回転速度を計測するエンコーダ53が設けられている。当該エンコーダ53が測定光の走査角度検出部として機能する。
【0049】
鉛直姿勢に配されたモータ50の回転軸51と同軸心となる光軸P上で、偏向ミラー52を挟んでモータ50とは反対側には、受光レンズ25と受光素子22が上下方向に位置を異ならせて配置されている。受光レンズ25の中央部に筒状に切り欠かれた開孔部が形成され、開孔部の下端に発光素子21が配置され、その上方に投光レンズ24が配置されている。
【0050】
偏向ミラー52で偏向された測定光を測定対象空間に案内する測定光光路L1と反射光を偏向ミラーで52偏向して受光素子22に導く反射光光路L2とを区画する光ガイド部54が、偏向ミラー52と一体に回転するように偏向ミラー52に固定されている。
【0051】
発光素子21は、片持ち状に支持された基板にマウントされた赤外域の波長のレーザダイオードで構成されている。レーザダイオードから出射されたコヒーレントな測定光が投光レンズ24により平行光に整形され、光軸Pに沿って偏向ミラー52に入射し、90度偏向された後に光軸P1に沿った光ガイド部54で区画された内側領域の測定光光路L1を経由して光学窓20Cから測定対象空間に照射される。
【0052】
測定対象空間に存在する物体の表面に測定光が照射され、その反射光の一部が光軸P1に沿って光学窓20Cから光ガイド部54で区画された外側領域の反射光光路L2を経由して偏向ミラー52に入射し、偏向ミラー52によって90度偏向された後に受光レンズ25で集光されて受光素子22に入射する。
【0053】
受光レンズ25は、その周部に形成されたフランジ部がレンズホルダー26で支持され、当該レンズホルダー26に発光素子21を構成する基板が支持されている。さらに、受光素子22がマウントされた基板や信号処理基板30,31がレンズホルダー26を支持する複数の脚部27に支持されている。
【0054】
信号処理基板30には、物体検出装置20を制御する制御装置80(図5参照)が設けられ、信号処理基板31には、表示部20Dに各種の情報を表示するためのLEDや液晶表示素子がマウントされている。信号処理基板30と発光素子21及び受光素子22は信号線で互いに接続され、信号処理基板30から下部ケーシング20Aに備えた信号接続部CNを介して搬送台車の搬送制御装置40との間で信号を遣り取りする信号ケーブルが延伸されている。
【0055】
図5には、制御装置80の機能ブロック構成が示されている。制御装置80は、CPU、メモリICなどを備えたマイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどの複数の集積回路及び入出力周辺回路を備えて構成されている。メモリICに格納された制御プログラムがCPUで実行されることにより、所期の機能が具現化される複数の回路ブロックが構成される。
【0056】
即ち、制御装置80は、走査制御回路81と、発光制御回路82と、距離演算回路83と、領域記憶回路84と、物体判定回路85と、信号出力回路86と、モード切替回路87と、領域選択回路88と、スイッチ回路89などの複数の回路ブロックを備えている。
【0057】
走査制御回路81は、走査角度検出素子53で検出された走査角度に基づいてモータ50を駆動し、走査光学系23を所定の回転速度で回転制御する回路ブロックである。
【0058】
発光制御回路82は、走査角度に基づいて発光素子21の発光タイミングを制御する回路ブロックである。
【0059】
距離演算回路83は、走査光学系23で走査された測定光と物体からの反射光との物理的関係、つまり測定光と反射光の時間差または位相差から当該検出物までの距離を算出するとともに、物体が検出された走査角度を物体の方向として特定する回路ブロックであり、領域記憶回路84は、監視領域を記憶する回路ブロックである。
【0060】
物体判定回路85は、距離演算回路83で算出された物体までの距離及び方向が領域記憶回路84に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する回路ブロックで、信号出力回路86は、物体判定回路85で監視領域の内側に物体があると判定されたときに、物体検知信号を出力する回路ブロックである。
【0061】
モード切替回路87は、距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86を第1モードと第2モードとの何れかに切り替える回路ブロックである。第1モードとは、受光素子22で受光された反射光の強度にかかわらず距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86を作動させることにより前記監視領域に存在する任意の物体を検知するモードである。第2モードとは、受光素子22で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86を作動させ、受光素子22で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知しないモードである。
【0062】
スイッチ回路89は、第1モードが選択されたときに反射光の強度にかかわらず受光素子22からの出力信号を距離演算回路83に出力し、第2モードが選択されたときに反射光の強度が所定の閾値以上のときにのみ受光素子22からの出力信号を距離演算回路83に出力し、反射光の強度が所定の閾値未満のときに受光素子22からの出力信号の距離演算回路83への入力を阻止する回路ブロックである。
【0063】
本実施形態では、第2モードが選択されるとスイッチ回路89により反射信号の距離演算回路83への入力が阻止されるために、距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の全てが作動しないように構成されている。
【0064】
他の態様として、スイッチ回路89を設けることなく、距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の其々が選択されたモードが第1モードであるか第2モードであるかを個々に判断して所期の動作を行なうように構成してもよい。
【0065】
この場合は、受光素子22で受光された反射光に対応する反射信号が距離演算回路83に入力され、距離演算回路83で物体までの距離及び方向が算出される際に反射信号の強度が所定の閾値以上であるか否かを判断すればよく、その際にその判断結果が物体判定回路85及び信号出力回路86の其々に出力されるように構成すればよい。
【0066】
測定光と反射光との時間差に基づき距離を算出する方式をTOF方式といい、以下の数式1により距離dが算出される。ここに、Cは光速、ΔTは時間差である。
〔数1〕
d=(1/2)×C×ΔT
【0067】
光源を所定の変調周波数でAM変調した測定光と反射光との位相差に基づき距離を算出する方式をAM方式といい、以下の数式2により距離dが算出される。ここに、φは計測された位相差、Cは光速、Fは光源の変調周波数である。
〔数2〕
d=(1/2)×(φ/2π)×C/F
【0068】
なお、距離演算回路83には、物体検出装置20の部品ばらつきなどに起因する誤差を補正する補正演算回路が設けられ、上部ケーシング20Bの内壁の一部に設けられた基準反射板55(図4参照)からの反射光に基づき算出される距離が所定距離となるように補正係数を求め、上式で算出された距離が当該補正係数により補正された値が出力される。以下では、TOF方式が採用された場合を例に説明を続けるが、AM方式が採用された場合も同様である。
【0069】
物体判定回路85は、距離演算回路83から出力された距離及び方向に基づいて、領域記憶回路84に記憶された監視領域の内部に物体が位置するか否かを判断し、監視領域の内部に物体が位置すると判断した場合に信号出力回路86を介して搬送制御回路41にその旨の信号を出力する。
【0070】
図1(a)には、軌道1のうち直線部を走行する搬送台車2に設定された監視領域R1(搬送台車2に近い側から順にRa,Rb,Rcの3領域で構成されている。)が破線で示され、軌道1のうち曲線部を走行する搬送台車2に設定された監視領域R2が破線で示されている。
【0071】
物体判定回路85は、直線走行時に領域Raで障害物を検出すると、信号出力回路86を介して搬送制御回路41に停止指令を示す信号を出力し、領域Rbで障害物を検出すると、信号出力回路86を介して搬送制御回路41に減速指令を示す信号を出力し、領域Rcで障害物を検出すると、信号出力回路86を介して搬送制御回路41に警戒指令を示す信号を出力する。警戒指令を受信した搬送制御回路41は、例えば搬送台車2を加速せずに定速走行する。
【0072】
また、物体判定回路85は、曲線走行時に領域R2に障害物を検出すると、信号出力回路86を介して搬送制御回路41に停止指令を示す信号を出力する。
【0073】
高速走行する直線走行時には、障害物が検知された場合に、減速から停止までの十分な時間を確保すべく、進行方向に沿って十分に遠方まで監視領域R1が確保される。また、低速走行する曲線走行時には、前方走行車両を見失わないように、走行方向と交差する幅方向に広い監視領域R2が確保される。つまり、搬送台車2の走行位置に応じて搬送台車2から送信される領域選択信号に基づいて、領域記憶回路84に記憶された複数の監視領域から適宜搬送環境に適した監視領域が選択される。複数の監視領域は、予め外部制御装置から領域記憶回路84に記憶されるように構成されている。
【0074】
即ち、搬送台車2の走行位置監視回路43により把握された走行位置情報に基づいて搬送制御回路41に備えた監視領域選択信号出力回路49が、適切な監視領域に切り替える旨の監視領域選択信号を物体検出装置20の制御装置80に出力すると、領域選択回路88が領域記憶回路84に予め記憶されている複数の監視領域から監視領域選択信号に対応した監視領域を読み出して、障害物判断対象の監視領域として採用するように構成されている。
【0075】
本実施形態では設定された監視領域はR1,R2の2種類であるが、軌道1の形状や設備状況に応じて複数種類の監視領域を設定することが可能である。搬送台車2の速度が速い場合には、より進行方向に延伸された監視領域を設定し、搬送台車2の速度が比較的遅くオープンなスペースを走行する場合は、進行方向に対して垂直方向(幅方向)に広がった監視領域を設定することが可能である。つまり、搬送台車2の速度に応じて監視領域を切り替えることが可能となる。その場合に搬送台車2の走行位置監視回路43により把握された走行位置情報に基づいてさらに適切な監視領域に切り替えることも可能となる。
【0076】
曲線走行時の監視領域R2は幅方向に広いため、軌道1の曲線領域に設置された安全柵Gが監視領域R2に含まれ、安全柵Gを障害物と誤認識して搬送台車2に停止指令を出力する虞がある。一方、それを回避するため、安全柵Gが含まれないように監視領域R2を狭い監視領域に設定すると、先行する搬送台車2の検出が遅れて衝突を回避できなくなる虞がある。
【0077】
そこで、安全柵Gのような一般的な設備の表面が光散乱面で構成されている点に着目して、監視領域R2を狭くすることなく、搬送台車2と他の物体とを明確に識別できるように上述したモード切替回路87を設けている。
【0078】
軌道1の近傍に設置した安全柵Gのような監視対象から排除可能な一般的な設備は、その表面を光散乱面で構成し、あるいは、反射光強度を減衰するような吸光部材で被覆するように構成すればよい。
【0079】
上述したように、モード切替回路87により第1モードに切り替えられると、受光素子22で受光された反射光の強度にかかわらず距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86が作動し、監視領域内に物体が検出されるとその結果が信号出力回路86から出力される。
【0080】
モード切替回路87により第2モードに切り替えられると、受光素子22で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86が作動し、受光素子22で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の何れかの作動が阻止される。
【0081】
従って、第2モードでは、反射光の強度が所定の閾値以上のときにのみ監視領域内に物体が検出されるとその結果が信号出力回路86から出力され、反射光の強度が所定の閾値未満であれば、監視領域内に物体が存在していても信号出力回路86から物体検出信号が出力されることはない。
【0082】
安全柵Gのような光散乱面で反射された反射光が受光素子22で検出された信号の強度と、搬送台車2に設置された再帰性反射シート2A,2Bで反射された反射光が受光素子22で検出された信号の強度と、を分離する比較器をスイッチ回路89として用いることができる。
【0083】
比較器により、所定の閾値電圧よりも高い再帰性反射シート2A,2Bからの反射信号に対応する反射信号が距離演算回路83に出力され、所定の閾値電圧よりも低い光散乱面からの反射信号に対応する反射信号が遮断される。
【0084】
比較器に代えて、受光素子22で検出された反射光に対応する信号を、所定の閾値電圧よりも高い場合に信号を通過させ、所定の閾値電圧よりも低い場合に信号を遮断するアナログスイッチを用いてスイッチ回路89を構成することも可能である。
【0085】
前者はTOF方式が採用された場合に好適であり、後者はAM方式が採用された場合に好適となる。
【0086】
搬送台車2に備えたモード切替信号出力回路48は、走行位置監視回路43で監視された走行位置に基づいて、モード切替回路87に第1モードと第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力する。
【0087】
搬送台車2に備えた監視領域選択信号出力回路49は、走行位置監視回路43で監視された走行位置に基づいて領域選択回路88に監視領域選択信号を出力し、領域記憶回路84に記憶された複数の監視領域から物体判定回路85の判定対象となる監視領域を指定する。
【0088】
本実施形態では、曲線走行時には監視領域がR2に切り替えられるとともに、第1モードから第2モードに切り替えられ、直線走行時には監視領域がR1に切り替えられるとともに、第2モードから第1モードに切り替えられる。つまり、監視領域の切替に同期して第1モードと第2モードが切り替えられる。
【0089】
即ち、モード切替回路87は、領域選択回路88で選択された監視領域毎に第1モードと第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている。また、モード切替信号出力回路48は、監視領域選択信号出力回路49から出力される領域選択信号に対応する監視領域毎にモード切替回路87に第1モードと第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力する。
【0090】
監視領域は予め外部装置を介して領域記憶回路84に記憶するように設定され、その領域数は記憶容量に応じて十分な数だけ記憶するように設定することが可能である。各監視領域に対応付けて第1モードまたは第2モードを振り分けることができ、それにより監視領域を切替設定すると同時にモードの切替設定が行われるように構成することも可能である。この場合には、モード切替信号出力回路48を作動させる必要はない。
【0091】
図1では監視領域R2として一つの領域のみが設定されているが、監視領域R1と同様に、搬送台車2に近接した順にR2a,R2b,R2cなど複数に区画された監視領域を設定し、それぞれの監視領域R2a,R2b,R2cに対応した物体検出信号を出力1、出力2、出力3というように出力されるように構成してもよい。搬送台車2に備えた走行制御回路42により、出力1に対応して緊急停止制御、出力2に対応して減速制御、出力3に対応して警戒制御(加速をしないなど)が行なわれる。また、領域R2a,R2b,R2c毎に第1モード、第2モードを個別に設定するように構成してもよい。
【0092】
なお、監視領域R1,R2の切替とモード切替回路87の動作が同期して切り替わるように構成することが好ましいが、必須ではない。同じ監視領域であっても搬送台車2の走行位置や走行速度によっては第1モードと第2モードを切り替える必要がある場合も想定されるためである。また、搬送台車の走行位置で監視領域を切り替えているが、これも必須でない。
【0093】
以上説明した態様に加えて、搬送台車2に備えたモード切替信号出力回路48は、先行する搬送台車の位置情報が取得できないときに、第2モードへ切り替えるモード切替信号を出力するように構成されている。
【0094】
ホストコントローラHCは各搬送台車2と交信し、軌道1の何れの位置に何れの搬送台車2が走行しているのかを把握可能に構成されている。そのため、通常は、搬送台車2に先行して走行する他の搬送台車2の位置情報がホストコントローラHCで把握され、予め搬送台車2間の車間距離を調整して走行制御される。
【0095】
しかし、システムの立上げ時などに搬送台車の走行位置を把握するまでの間は、各搬送台車2の並び順が把握できない。また、搬送台車2に異常が生じて交信ができなくなった場合に、他の搬送台車2に対して走行指令を出力すると、衝突事故など不測の事態を招く虞がある。
【0096】
そこで、ホストコントローラHCが先行する搬送台車2の位置情報が取得できないような場合に、その後方で走行するであろう搬送台車2に第2モードへ切り替えるように指示することで、当該搬送台車2のモード切替信号出力回路48から物体検出装置20に第2モードへ切り替えるモード切替信号が出力され、これにより、例えば第1モードでは安全柵などの非監視対象物体を障害物と誤検知する虞があるような監視領域を走行していても、第2モードへ切り替えることにより、監視領域を狭く設定しなくても非監視対象物体を障害物であると誤検出することなく先行する搬送台車を適切に検出でき、不意の衝突事故を回避することができるようになる。なお、この場合、後方で走行する搬送台車2は通常の走行速度よりも低い走行速度で走行するように構成することが好ましい。
【0097】
前を走行する搬送台車2の位置情報が取得できないときとは、ホストコントローラHCで把握されるべき各搬送台車の並び順が確定するまでの間で、前を走行する搬送台車2が何号機であるか把握できないとき、前を走行する搬送台車2の走行系に異常が発生し、当該搬送台車2の現在位置が不明になったとき、前を走行する搬送台車2の電源が消失したときなどである。
【0098】
図6(a)に示すように、物体検出装置20の測定光の走査方向角度θ2、測定光の光軸に垂直な面と反射シートとのなす角度θ1を其々異ならせた場合に、2種類の反射シート(再帰性反射シートと光散乱反射シート)に対して受光素子22で検出される反射光強度の特性が図6(b)示されている。光散乱反射シートとして白色ケント紙を用いている。
【0099】
図6(b)は、測定光の走査方向が搬送台車2の直線進行方向に沿う場合を0度として、其々左右に45度、90度の走査方向角度θ2に対して、角度θ1を±45度の範囲で変化させた場合の特性である。図中、白丸は、再帰性反射シートの特性を示し、黒丸は光散乱反射シートの特性を示す。なお、再帰性反射シートと物体検出装置20の距離は1500mm、300mmに設定され、光散乱反射シートと物体検出装置20の距離は300mmに設定されている。
【0100】
図6(b)に示すように、光散乱反射シートに対する反射光強度は、距離300mmの近傍に設置された場合でも、距離1500mmの遠方に設置された再帰性反射シートに対する反射光強度よりも十分に低く、両者の間に破線で示すような所定の閾値を設定することにより、物体検出装置20からの離隔距離が300mmから1500mmの範囲で両者が識別可能であることが示されている。つまり、所定の閾値以上の反射光のみを検出する第2モードを採用することで安全柵Gなどの光散乱反射体の影響を排除でき、所定の閾値未満の反射光を含めて全ての反射光を検出する第1モードを採用することで全ての反射光を障害物検知に活用できるようになる。
【0101】
図7には、軌道1のレール面を基準に、前方に走行する搬送台車2の後面側に設置された反射シート2A,2B及び光散乱用の反射板2Cの設置高さと、後方から走行する搬送台車2の前面側に設置された物体検出装置20から出射される測定光の走査面との関係が示されている。
【0102】
各搬送台車2に設置された物体検出装置20の測定光が互いに迷光として検出されることが無いように、水平面に対して走査面を3度下方に傾斜させている。そのため、車両間隔が開くほど測定光が水平面より下方にずれる。なお、走査面の水平面に対する傾斜角度は特に限定される値ではない。
【0103】
D1は仕様上第2モードによる物体検出が可能とされる距離となる。D3は直線走行時等、通常の走行区域内で先行搬送台車2を検出する必要のある距離となり第1モードで物体検出される。
【0104】
通常の走行区域に比べカーブ区域内では搬送台車2は速度を落として走行するため、一般的にD1<D3の関係となる。カーブ区域内では先行搬送台車2と周辺の防御壁とを区分して先行搬送台車2のみを検知する必要があり、第2モードで物体検知を行う。
【0105】
そのため車間距離D1以内で先行搬送台車2が検出可能なように、搬送台車2の後方に取り付ける再帰性反射シート2A,2Bは、車間距離D1以内で測定光が照射されその反射光が物体検出装置20に検出される高さに設置される。
【0106】
車両間隔がD2を越えると、測定光の走査面が先行搬送台車のバンパーより下面となり、反射光が物体検出装置に帰ってこない恐れがある。そのためD2より車間距離が離れた場合も確実に先行搬送台車が検出されるように、D2より車間距離が離れている場合でも反射光が確実に物体検出装置で検出が可能な高さに反射板2Cが設けられる。
【0107】
なお、D0より近い距離では、白ケント紙など通常の散乱光反射物と再帰反射シートからの反射光の反射光強度が分離困難な程度に近接するため、第2モードの検出範囲はD1からD0までとなる。D3は物体検出装置の性能で決まる物体検出可能な最大距離となり、第1モードに設定される場合はD3の距離以内で物体検知可能となる。本実施形態では、D0=300mm、D1=1500mm、D2=1900mm、D3≒5500mmである。D0、D1は図6の評価結果より定められたものであり、物体検出装置の性能や再帰性反射板の性能その他を考慮して適宜定められるものである。
【0108】
図8には、搬送制御装置40によって実行される搬送制御の処理手順が示されている。ホストコントローラHCとの間で所定の通信が実行され、所定のステーション3に走行するように指令を受けると(SA1)、走行制御回路42によって走行モータが駆動され、目標ステーション3に向けて走行制御される(SA2)。
【0109】
走行に伴って走行位置監視回路43によって走行位置が監視される(SA3)。モード切替信号出力回路48は直線走行時には直線走行用の監視領域に設定し第1モードで障害物を検知するように、物体検出装置20に指令を出力し、曲線走行に入ると、曲線走行用の監視領域に設定し第2モードで障害物を検知するように、物体検出装置20に指令を出力する(SA4)。
【0110】
なお、予め監視領域と関連付けられて第1モード/第2モードが物体検出装置20の領域記憶回路84に記憶されている場合では、監視領域の選択指令を物体検出装置20に出力することで、自動的に第1モード/第2モードが選択設定されるように構成してもよい。
【0111】
搬送制御回路41は、物体検出装置20から障害物検知信号(停止指令)が入力されると(SA5,Y)、直ちに停止して障害物検知信号が解除されるまで待機し(SA9)、障害物検知信号が入力されず(SA5,N)、目標ステーション3に到着するまでは(SA6,N)、ステップSA3からステップSA5,SA9の処理を繰り返す。なお、直線走行時には、監視領域Rbに対応して物体検出装置20から減速指定が入力されると減速制御し、監視領域Rcに対応して物体検出装置20から警戒指令が入力されると、例えば加速制御を停止して定速制御に入る。
【0112】
搬送制御回路41は、目標ステーション3に到着すると(SA6,Y)、搬送台車2を停止して(SA7)、ステーション3との間で荷物を移載する(SA8)。そして、ステップSA1からSA8までの処理が繰り返される。
【0113】
図9には、物体検出装置20に備えた制御装置80の処理手順が示されている。制御装置80に備えた走査制御回路81は、走査用のモータ50を起動して、走査角度検出素子53の出力であるエンコーダパルスに基づいて所定の目標速度で回転制御し、発光制御回路82は、当該エンコーダパルスに基づいて所定走査角度になると発光素子21を駆動してパルス光を出力する(SB1)。
【0114】
第2モードが選択されていれば(SB2,Y)、所定の閾値以上の強度の反射光が検出されるまでステップSB1からステップSB3の処理が繰り返され、第2モードが選択されていなければ(SB2,N)、何らかの反射光が検出されるまで、ステップSB1、SB2、SB4の処理が繰り返される。
【0115】
ステップSB3,SB4の何れかで反射光が検知されると、距離演算回路83によって物体までの距離・方向が算出され(SB5)、算出された距離・方向が監視領域の内部であるか否かが物体判定回路85によって判断される(SB6)。物体判定回路85によって監視領域の内部に障害物があると判断されると(SB6,Y)、搬送台車2に障害物検知信号を出力される(SB7)。
【0116】
なお、図9のフローチャートでは、第2モード選択と閾値判定の処理SB2、SB3、SB4の処理がSB1とSB5の間で実行されるように記載されているが、SB6とSB7の間で実行されてもよい。さらに図9では走査角度毎にモードの判定と物体判定を実施しているが、所定の走査角範囲内の全ての測定距離、走査角度、反射光強度を一旦記憶装置に蓄積した後、SB2からSB7を実行するように構成してもよい。処理の実施内容・順序は特に上記に限定されるものではない。
【0117】
図10には、測定光の走査周期を単位に実行される物体検出処理の手順が示されている。監視領域として設定された領域が1領域のみではなく、n領域に分割された場合が示されている。例えば、図1の領域R1のように、領域がRa,Rb,Rcの3領域である場合には、n=3となる。
【0118】
上述した実施形態では、第1モードでは、受光素子22で受光された反射光の強度にかかわらず距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路を作動させる旨説明したが、ノイズを除去することを目的として微小レベルの反射光を除去することを排除する意図はなく、充分に低い閾値でノイズを除去する場合も第1モードに含まれる。
【0119】
以上説明した実施形態では、第1モードでは距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の全てが作動し、第2モードでは全てが非作動するように構成されているが、第2モードが選択されたときには、距離演算回路83、物体判定回路85及び信号出力回路86の何れかが非作動に切り替えられればよい。
【0120】
以上説明したように、本発明による物体検出システムは、所定の軌道に沿って走行する走行機構を備えた搬送台車と、搬送台車に搭載された物体検出装置と、を備えて構成される物体検出システムである。
【0121】
そして、物体検出装置は、発光素子と、受光素子と、発光素子から出力された測定光を空間に走査するとともに測定光に対する物体からの反射光を受光素子に導く走査光学系と、発光素子から出力される測定光と受光素子で検出される反射光との物理的関係に基づいて物体までの距離及び方向を算出する距離演算回路と、監視領域を記憶する領域記憶回路と、距離演算回路で算出された物体までの距離及び方向が記憶回路に記憶された監視領域の内側にあるか否かを判定する物体判定回路と、物体判定回路で監視領域の内側に物体があると判定された場合に物体検知信号を出力する信号出力回路と、受光素子で受光された反射光の強度にかかわらず距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路を作動させることにより前記監視領域に存在する任意の物体を検知する第1モードと、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上のときに距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路を作動させ、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値未満のときに距離演算回路、物体判定回路及び信号出力回路の何れかの作動を阻止することにより前記監視領域に存在する非監視対象物体を検知しない第2モードとの何れかに切り替えるモード切替回路と、を備えて構成されている。
【0122】
また、搬送台車は、走行機構を制御して予め設定されたステーションに向けて走行制御するとともに、信号出力回路から出力された物体検知信号に基づいて減速または停止制御する走行制御回路と、モード切替回路に前記第1モードまたは第2モードの何れかに切り替えるモード切替信号を出力するモード切替信号出力回路と、を備えて構成されている。
【0123】
さらに、モード切替信号出力回路は、先行する搬送台車の位置情報が取得できないときに、第2モードへ切り替えるモード切替信号を出力するように構成されている。
【0124】
搬送台車は、さらに、軌道に沿った走行位置を監視する走行位置監視回路を備え、モード切替信号出力回路は、走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、モード切替回路に第1モードと第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力するように構成されている。
【0125】
物体検出装置は、さらに、領域記憶回路に記憶された複数の監視領域から物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択回路を備え、搬送台車は、さらに、走行位置監視回路で監視された走行位置に基づいて、物体判定回路の判定対象となる監視領域を選択する領域選択信号を前記領域選択回路に出力する監視領域選択信号出力回路を備えている。
【0126】
モード切替回路は、領域選択回路で選択された監視領域毎に第1モードと第2モードの何れかに切り替え可能に構成されている。
【0127】
モード切替信号出力回路は、監視領域選択信号出力回路から出力される領域選択信号に対応する監視領域毎にモード切替回路に第1モードと第2モードの何れかにモードを切り替えるモード切替信号を出力するよう構成されている。
【0128】
さらに、受光素子で受光された反射光の強度が所定の閾値以上となる特定の強反射シートが搬送台車の後端部に配置され、第2モードでは先行する搬送台車に設けられた強反射シートから反射され、受光素子で受光された出力のみが前記距離演算回路に出力されるように構成されている。
【0129】
以上説明した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0130】
1:軌道(レール)
2:搬送台車
2A,2B:強反射シート(再帰性反射シート)
2C:反射板(光散乱反射シート)
3:ステーション
20:物体検出装置
21:発光素子
22:受光素子
23:走査光学系
24:投光レンズ
25:受光レンズ
40:搬送制御装置
41:搬送制御回路
42:走行制御回路
43:走行位置監視回路
44:コンベア制御回路
45:軌道記憶回路
46:第1通信インタフェース
47:第2通信インタフェース
48:モード切替信号出力回路
49:監視領域選択信号出力回路
80:制御装置
81:走査制御回路
82:発光制御回路
83:距離演算回路
84:領域記憶回路
85:物体判定回路
86:信号出力回路
87:モード切替回路
88:領域選択回路
89:スイッチ回路
100:物流管理設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10