IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社ナオトフカサワデザインの特許一覧 ▶ 有限会社thaの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】腕時計及び腕時計型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/02 20100101AFI20240816BHJP
   G04G 9/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G04G21/02 Z
G04G9/00 301Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022565125
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2021039218
(87)【国際公開番号】W WO2022113599
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020196205
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504384561
【氏名又は名称】有限会社ナオトフカサワデザイン
(73)【特許権者】
【識別番号】511058958
【氏名又は名称】有限会社tha
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】深澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇吾
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0227281(US,A1)
【文献】特開平7-253773(JP,A)
【文献】特開2017-176988(JP,A)
【文献】特開2013-40865(JP,A)
【文献】特許第6783003(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 21/02
G04G 9/00 - 9/12
G09F 9/00
G09G 5/00 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計であって、
直方体の腕時計本体と、
前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、
前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、
前記腕時計の位置情報、前記腕時計の姿勢情報、前記腕時計の動き情報、及び、前記腕時計の使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つの情報に基づいて前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有し、
前記検出部は、前記腕時計のいずれかの部位に設置された1つ以上の撮像素子と、前記1つ以上の撮像素子により撮像された前記腕時計の使用者の眼の画像から前記腕時計の使用者の眼と前記腕時計との間の位置関係に関する情報を抽出する演算部と、を備え、
前記検出部は、前記腕時計の位置情報として、前記腕時計の使用者の眼と前記腕時計との間の位置関係に関する情報を検出することを特徴とする腕時計。
【請求項2】
請求項1に記載の腕時計において、
前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することを特徴とする腕時計。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の腕時計において、
前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることを特徴とする腕時計
【請求項4】
請求項3に記載の腕時計において、
前記腕時計本体の前記5面は、前記5つの表示部に何も表示させないときは全域にわたって無模様であることを特徴とする腕時計。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートからなり、
前記5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートは、それぞれが前記腕時計本体の前記5面に対して貼り付けられていることを特徴とする腕時計。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートからなり、
当該1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートは、前記腕時計本体の外形形状に沿うように折り曲げられて前記腕時計本体に貼り付けられていることを特徴とする腕時計。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の腕時計において、
前記腕時計本体の前記5面には、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートに電力及び電気信号を供給するための第1電極群が露出して設けられており、
前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの裏面には、前記第1電極群からの前記電力及び電気信号を受けるための第2電極群が前記第1電極群に対応する位置に設けられているとともに前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられており、
前記第1電極群及び前記第2電極群はそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする腕時計。
【請求項8】
請求項5~7のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部の間に存在する隙間は、黒色部材で埋められており、前記隙間が視認できないように構成されていることを特徴とする腕時計。
【請求項9】
請求項3~8のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、当該5つの表示部の全体を覆うように保護部材が塗布及び硬化されていることを特徴とする腕時計。
【請求項10】
請求項3~9のいずれかに記載の腕時計において、
前記表示制御部は、前記使用者から見て、あたかも前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項11】
請求項3~10のいずれかに記載の腕時計において、
前記5つの表示部は、タッチパネルからなることを特徴とする腕時計。
【請求項12】
請求項11に記載の腕時計において、
前記表示制御部は、使用者が前記タッチパネル面上を指でスワイプ動作したとき当該スワイプ動作に応じて画像が切り替わっていくように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の腕時計において、
前記検出部は、前記腕時計の姿勢情報を検出する3次元加速度センサであり、
前記検出部は、前記腕時計の姿勢情報として、前記腕時計の3次元的な姿勢に関する情報を検出することを特徴とする腕時計。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の腕時計において、
前記検出部は、前記腕時計の動き情報を検出する3次元加速度センサであり、
前記検出部は、前記腕時計の動き情報として、前記腕時計の3次元的な動きに関する情報を検出することを特徴とする腕時計。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の腕時計において、
前記検出部は、前記腕時計の使用者の健康関連情報を検出する脈拍計、体温計、血圧計、心電計、又は、3次元加速度センサであり、
前記検出部は、前記腕時計の使用者の健康関連情報として、前記腕時計の使用者の脈拍、体温、血圧、又は、アクティビティに関する情報を検出することを特徴とする腕時計。
【請求項16】
腕時計型表示装置であって、
直方体の腕時計型表示装置本体と、
前記腕時計型表示装置本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、
前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、
前記腕時計型表示装置本体の位置情報、前記腕時計型表示装置本体の姿勢情報、前記腕時計型表示装置本体の動き情報、及び、前記腕時計型表示装置本体の使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つの情報に基づいて前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有し、
前記検出部は、前記腕時計型表示装置本体のいずれかの部位に設置された1つ以上の撮像素子と、前記1つ以上の撮像素子により撮像された前記腕時計型表示装置本体の使用者の眼の画像から前記腕時計型表示装置本体の使用者の眼と前記腕時計型表示装置本体との間の位置関係に関する情報を抽出する演算部と、を備え、
前記検出部は、前記腕時計型表示装置本体の位置情報として、前記腕時計型表示装置本体の使用者の眼と前記腕時計型表示装置本体との間の位置関係に関する情報を検出することを特徴とする腕時計型表示装置。
【請求項17】
請求項16に記載の腕時計型表示装置において、
前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能をも有することを特徴とする腕時計型表示装置。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の腕時計型表示装置において、
前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面それぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることを特徴とする腕時計型表示装置。
【請求項19】
請求項18に記載の腕時計型表示装置において、
前記表示制御部は、前記使用者から見て、あたかも前記腕時計型表示装置本体の内部が透けて見えるように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することを特徴とする腕時計型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計及び腕時計型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来にない新しい価値をもった腕時計が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。図36は、従来の腕時計900を説明するために示す図である。なお、図36に示す腕時計900は、特許文献2における図13に記載されている腕時計である。図36において、図36(a)は表示時における腕時計900の斜視図であり、図36(b)は非表示時における腕時計900の斜視図である。腕時計900は、図36に示すように、非表示時には時計表示はおろか何も表示がなされないため、腕時計でありながら、非表示時には時刻表示の存在を意識させることのない腕時計となり、腕時計に新しい価値を提供したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第1158328号公報
【文献】特開2007-206577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間社会において、新しい時代には新しい価値をもった商品が求められ、腕時計の分野においても例外ではない。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来にない新しい価値をもった腕時計及び腕時計型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の腕時計は、腕時計であって、直方体の腕時計本体と、前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、前記腕時計の位置情報、前記腕時計の姿勢情報、前記腕時計の動き情報、及び、前記腕時計の使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備え、前記表示制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つの情報に基づいて前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することを特徴とする。
【0007】
[2]本発明の腕時計において、前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することが好ましい。
【0008】
なお、ここでいう「連動」には、少なくとも2つの表示部に表示される画像が、当該少なくとも2つの表示部に跨ってシームレスに動くような場合も含まれる。また、少なくとも2つの表示部が所定の規則に基づいて又はランダムに次々と点灯状態を変えて行くような場合も含まれる。例えば、少なくとも2つの表示部のうちある1つの表示部が赤色で光るような表示がなされ、続いて、他の表示部が同じ色または異なった色で光るような表示がなされるというように、それぞれの表示部が所定の規則に基づいて、順次、独立して表示を行うといったことも含まれる。
【0009】
[3]本発明の腕時計において、前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることが好ましい。すなわち、本発明の腕時計は、直方体の腕時計本体と、前記腕時計本体の表面を構成する6面のうち下面を除く5面それぞれの全域にわたって形成された5つの表示部と、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、前記腕時計の位置情報、前記腕時計の姿勢情報、前記腕時計の動き情報、及び、前記腕時計の使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備え、前記表示制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つの情報に基づいて前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することが好ましい。
【0010】
[4]本発明の腕時計において、前記腕時計本体の前記下面を除く5面は、前記5つの表示部に何も表示させないときは全域にわたって無模様であることが好ましい。
【0011】
[5]本発明の腕時計において、前記5つの表示部は、5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートからなり、前記5枚の有機EL表示シート又は5枚のマイクロLED表示シートは、それぞれが前記腕時計本体の前記5面に対して貼り付けられていることが好ましい。
【0012】
[6]本発明の腕時計において、前記5つの表示部は、1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートからなり、当該1枚の有機EL表示シート又は1枚のマイクロLED表示シートは、前記腕時計本体の外形形状に沿うように折り曲げられて前記腕時計本体に貼り付けられていることが好ましい。
【0013】
[7]本発明の腕時計において、前記腕時計本体の前記5面には、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートに電力及び電気信号を供給するための第1電極群が露出して設けられており、前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの裏面には、前記第1電極群からの前記電力及び電気信号を受けるための第2電極群が前記第1電極群に対応する位置に設けられているとともに前記有機EL表示シート又は前記マイクロLED表示シートの各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられており、前記第1電極群及び前記第2電極群はそれぞれ電気的に接続されていることが好ましい。
【0014】
[8]本発明の腕時計において、前記5つの表示部の間に存在する隙間は、黒色部材で埋められており、前記隙間が視認できないように構成されていることが好ましい。
【0015】
[9]本発明の腕時計において、前記5つの表示部は、当該5つの表示部の全体を覆うように保護部材が塗布及び硬化されていることが好ましい。
【0016】
[10]本発明の腕時計において、前記表示制御部は、前記使用者から見て、あたかも前記腕時計本体の内部が透けて見えるように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0017】
[11]本発明の腕時計において、前記5つの表示部は、タッチパネルからなることが好ましい。
【0018】
[12]本発明の腕時計において、前記表示制御部は、使用者が前記タッチパネル面上を指でスワイプ動作したとき当該スワイプ動作に応じて画像が切り替わっていくように前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0019】
[13]本発明の腕時計において、前記検出部は、前記腕時計のいずれかの部位に設置された1つ以上の撮像素子と、前記1つ以上の撮像素子により撮像された前記腕時計の使用者の眼の画像から前記腕時計の使用者の眼と前記腕時計との間の位置関係に関する情報を抽出する演算部と、を備え、前記検出部は、前記腕時計の位置情報として、前記腕時計の使用者の眼と前記腕時計との間の位置関係に関する情報を検出することが好ましい。
【0020】
[14]本発明の腕時計において、前記検出部は、前記腕時計の姿勢情報を検出する3次元加速度センサであり、前記検出部は、前記腕時計の姿勢情報として、前記腕時計の3次元的な姿勢に関する情報を検出することが好ましい。
【0021】
[15]本発明の腕時計において、前記検出部は、前記腕時計の動き情報を検出する3次元加速度センサであり、前記検出部は、前記腕時計の動き情報として、前記腕時計の3次元的な動きに関する情報を検出することが好ましい。
【0022】
[16]本発明の腕時計において、前記検出部は、前記腕時計の使用者の健康関連情報を検出する脈拍計(又は心拍計)、体温計、血圧計、心電計、又は、3次元加速度センサであり、前記検出部は、前記腕時計の使用者の健康関連情報として、前記腕時計の使用者の脈拍(又は心拍)、体温、血圧、又は、アクティビティに関する情報を検出することが好ましい。
【0023】
[17]本発明の腕時計型表示装置は、腕時計型表示装置であって、直方体の腕時計型表示装置本体と、前記腕時計型表示装置本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、前記腕時計型表示装置本体の位置情報、前記腕時計型表示装置本体の姿勢情報、前記腕時計型表示装置本体の動き情報、及び、前記腕時計型表示装置本体の使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備え、前記表示制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つの情報に基づいて前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することを特徴とする。
【0024】
[18]本発明の腕時計型表示装置において、前記表示制御部は、前記少なくとも2つの表示部のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように前記少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する機能をも有することが好ましい。
【0025】
[19]本発明の腕時計型表示装置において、前記少なくとも2つの表示部は、前記上面及び前記4つの側面から構成される5面それぞれの全域に渡って形成された5つの表示部であることが好ましい。
【0026】
[20]本発明の腕時計型表示装置において、前記表示制御部は、前記使用者から見て、あたかも前記腕時計型表示装置本体の内部が透けて見えるように、前記5つの表示部のそれぞれの表示を制御することが好ましい。
【0027】
なお、本発明の腕時計型表示装置においても、上記本発明の腕時計が有する各特徴を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の腕時計及び本発明の腕時計型表示装置によれば、後述する実施形態からも分かるように、直方体の腕時計本体及び腕時計型表示装置本体の上面に加えて側面をも利用して種々の態様で各種の画像の表示を行うことが可能となる。また、検出部で検出した情報(腕時計及び腕時計型表示装置の位置情報、腕時計及び腕時計型表示装置の姿勢情報、腕時計及び腕時計型表示装置の動き情報、及び、腕時計及び腕時計型表示装置の使用者の健康関連情報)のうち少なくとも1つの情報に基づいて、上面に加えて側面に形成された表示部のそれぞれの表示を制御する機能を有することから、上記した少なくとも1つの情報に相応しい各種の画像の表示を行うことが可能となる。このため、本発明の腕時計及び本発明の腕時計型表示装置によれば、従来にない新しい価値をもった腕時計及び腕時計型表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態1に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。
図2】実施形態1に係る腕時計1の腕時計本体100及び当該腕時計本体100の下面を除く5面に形成された表示部200を説明するために示す図である。
図3】実施形態1に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。
図4】隣接する有機EL表示シート間に生じる隙間の対処について説明するために示す図である。
図5】腕時計1の全体を覆うように保護部材290が塗布及び硬化されている状態を説明するために示す図である。
図6】実施形態1に係る腕時計1における第1表示態様を説明するために示す図である。
図7】実施形態1に係る腕時計1における第2表示態様を説明するために示す図である。
図8】実施形態1に係る腕時計1における第3表示態様について説明するために示す図である。
図9】実施形態1に係る腕時計1における第4表示態様について説明するために示す図である。
図10】実施形態1に係る腕時計1の使用者が腕時計1を見る方向の特定方法を説明するための図である。
図11】実施形態2に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。
図12】実施形態2に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。
図13】実施形態2に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。
図14】実施形態2に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。
図15】予めプログラムされた表示態様にて、現在時刻が上面表示部210に加えて側面表示部211~214のうちの1以上の側面表示部へとせり出す一連の動きを示す図である。
図16】実施形態2に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。
図17】実施形態2に係る腕時計1の第4表示態様について説明するために示す図である。
図18】実施形態2に係る腕時計1の第5表示態様について説明するために示す図である。
図19】実施形態2に係る腕時計1の第5表示態様の変形例について説明するために示す図である。
図20】実施形態2に係る腕時計1の第6表示態様について説明するために示す図である。
図21】実施形態2に係る腕時計1の第7表示態様について説明するために示す図である。
図22】実施形態2に係る腕時計1の第8表示態様について説明するために示す図である。
図23】実施形態3に係る腕時計1の主要部をその下面から見た状態を示す図である。
図24】実施形態3に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。
図25】実施形態3に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。
図26】実施形態3に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。
図27】実施形態3に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。
図28】実施形態3に係る腕時計1の第4表示態様について説明するために示す図である。
図29】実施形態4に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。
図30】実施形態4に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。
図31】実施形態4に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。
図32】5つの表示部210~214が3枚の有機EL表示シートからなる場合を説明するために示す図である。
図33】表示部200が少なくとも2つの表示部からなる場合の一例を示す図である。
図34】スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様を説明するために示す図である。
図35】スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様を説明するために示す図である。
図36】従来の腕時計900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。図1(a)は腕時計1を使用者の上半身とともに示す図であり、図1(b)は図1(a)とは違った角度から見た腕時計1の拡大図である。なお、図1(b)において矢印Aは、左腕の手首に装着されている腕時計1を使用者が見る際の視線の方向を示している。すなわち、左腕の手首に装着されている腕時計1を使用者が見る際においては、使用者は腕の肘を当該使用者の身体(腹又は胸側)に少し曲げるようにした状態で腕時計1を見ることが一般的であり、このときの視線の方向を示している。図1(b)においては、矢印Aは水平面上での方向が描かれているが、実際の視線の方向は、使用者の目から斜め下方向に向くこととなるのが一般的である。
【0032】
図2は、実施形態1に係る腕時計1の腕時計本体100及び当該腕時計本体100の、使用時に使用者の腕側を向く下面を除く5面に形成された表示部200を説明するために示す図である。図2(a)は腕時計本体100の斜視図であり、図2(b)は腕時計1の表示部200を5つの表示部210~214に展開して示す平面図である。図2(c)は腕時計1の表示部200を5つの表示部210~214に展開して示す底面図である。
【0033】
図1及び図2を参照して実施形態1に係る腕時計1の構成について説明する。実施形態1に係る腕時計1は、直方体の腕時計本体100と、腕時計本体100の表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く下面を除く5面(上面及び4つの側面)の全域にわたって形成された5つの表示部210~214と、腕時計1を使用者の腕に装着するためのベルト300と、5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する表示制御部(表示制御部については図3により後述する。)と、腕時計1の位置情報を検出する検出部と、を備えている。ベルト300は、腕時計1に必須の構成ではなく、好適に備える構成である。この実施形態では、検出部は、腕時計1のいずれかの部位に設置された2つの撮像素子50,60と、当該2つの撮像素子50,60により撮像された腕時計1の使用者の眼の画像から、腕時計1の使用者の眼と腕時計1との間の位置関係に関する情報を抽出する演算部と、を備える。検出部は、腕時計1の位置情報として、腕時計1の使用者の眼と腕時計1との間の位置関係に関する情報を検出することができる。表示制御部は、検出部50,60により検出された情報に基づいて5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する機能を有する。なお、本願における少なくとも1つの「情報」は、「データ」と読み替えてもよい。
【0034】
撮像素子50,60は、図1に示すように、好ましくは、直方体の腕時計本体100の上面における4つの角のうち、通常の使用状態において使用者に近い側の2つの角に配置されている。ただし、撮像素子50,60は、腕時計本体100の上面における他の角部に配置されていてもよい。また、1つ、3つ若しくは4つ以上の撮像素子を腕時計本体100、又はベルト300に配置してもよい。4つの撮像素子を腕時計1に配置する場合には、好ましくは、腕時計1の4つの側面のうち隣接する側面と腕時計1の上面とが接する頂点近傍に、撮像素子を1つずつ設置することができる。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Devices: 電荷結合素子)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor: 相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを例示できる。撮像素子のレンズは、好ましくは、撮像素子を中心として広角に撮像可能である。なお、本発明において、「全域にわたって形成され」とは、使用者から見て全域にわたって形成されているように見えればそれで足り、厳密な意味で全域にわたって形成されていなくてもよい。したがって、表示部210~214間に、表示不能な隙間が存在する場合も「全域にわたって形成され」の範疇に含まれる。
【0035】
腕時計本体100は、図2(a)に示すように、所定の厚みtを有する直方体をなしており、下面とは反対側の上面110及び4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)の5面には、図1に示すように、5つの表示部210~214が形成されている。なお、5つの表示部210~214において、腕時計本体100の上面110に形成される表示部を上面表示部210とし、腕時計本体100の第1側面111に形成される表示部を第1側面表示部211とし、腕時計本体100の第2側面112に形成される表示部を第2側面表示部212とし、腕時計本体100の第3側面113に形成される表示部を第3側面表示部213とし、腕時計本体100の第4側面114に形成される表示部を第4側面表示部214とする。
【0036】
5つの表示部210~214は、5枚の有機EL(Electro Luminescence)表示シートからなる。すなわち、上面表示部210は上面用有機EL表示シートからなり、第1側面表示部211は第1側面用有機EL表示シートからなり、第2側面表示部212は第2側面用有機EL表示シートからなり、第3側面表示部213は第3側面用有機EL表示シートからなり、第4側面表示部214は第4側面用有機EL表示シートからなる。第1側面表示部211、第2側面表示部212、第3側面表示部213及び第4側面表示部214をまとめて又は個別に説明する場合には、「側面表示部210~214」というように表記する場合もある。
【0037】
以下の説明において、5つの表示部210~214を、それぞれ対応する有機EL表示シートとして説明する場合には、各有機EL表示シートを上面用有機EL表示シート210、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213、第4側面用有機EL表示シート214というように、5つの表示部210~214と同じ符号を用いることとする。
【0038】
なお、上面用有機EL表示シート210、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213及び第4側面用有機EL表示シート214をまとめて説明する場合には、「各有機EL表示シート210~214」というように表記する場合もある。また、第1側面用有機EL表示シート211、第2側面用有機EL表示シート212、第3側面用有機EL表示シート213及び第4側面用有機EL表示シート214をまとめて説明する場合には、「各側面有機EL表示シート211~214」というように表記する場合もある。
【0039】
これら各有機EL表示シート210~214は、1枚ずつ腕時計本体100の上面110と4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)、すなわち、合計5面に対して貼り付けられる。これにより、図1に示すような腕時計1が構成される。なお、図1においては、アナログ時刻表示がなされている状態が示されているが、何も表示されていない場合には、腕時計本体100の下面を除く5面は、全域にわたって無模様となる。ここでの無模様とは、アナログ時計表示だけでなく、デジタル時計表示及び各種の表示が行われていないことを意味している。
【0040】
この場合、5枚の有機EL表示シート(各有機EL表示シート210~214)を1枚ずつ腕時計本体100に貼り付けて表示部200を構成しているが、このようにすることにより、腕時計1の角部(上面用有機EL表示シート210と各側面用の有機EL表示シート211~214とにより形成される角部)を直角とすることができるとともに、各有機EL表示シート210~214の平面度を高くすることができるため、見た目にシンプルで心地よいものとなる。
【0041】
また、腕時計本体100の5面、すなわち、上面110と4つの側面(第1側面111、第2側面112、第3側面113及び第4側面114)には、各有機EL表示シート210~214に電力及び電気信号を供給するための第1電極群120が露出して設けられている。一方、各有機EL表示シート210~214のそれぞれの裏面には、第1電極群120からの電力及び電気信号を受けるための第2電極群220が第1電極群120に対応する位置に設けられている。そして、腕時計本体100の第1電極群120と各有機EL表示シート210~214の第2電極群220とは、それぞれ対応する電極同士が電気的に接続されている。また、各有機EL表示シート210~214の裏面には、各有機EL表示シート210~214の各画素の点灯状態を制御するための電気信号を供給する駆動回路が設けられている。なお、図2においては、当該駆動回路については図示が省略されている。
【0042】
図3は、実施形態1に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。なお、図3に示す機能ブロック図は、実施形態1に係る腕時計1が有する種々の機能のうち、主に表示を行うために必要な機能ブロックが示されている。
【0043】
腕時計本体100の側においては、5つの表示部210~214(各有機EL表示シート210~214)にどのような表示を行わせるかをユーザーが選択することができるユーザーインターフェースとしての表示画像選択部410と、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像を記憶している画像データ記憶部420と、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像が連動又関連した画像となるように各有機EL表示シート210~214間での同期をとるための同期信号を発生する同期信号発生部430と、現在の時刻データを発生する時刻データ発生部440と、各有機EL表示シート210~214のそれぞれの表示を制御する表示制御部450と、撮像素子50,60によって撮影された画像から人の顔の眼の位置を特定して、その眼の位置から表示部210に向かう方向を特定するための演算を行う演算部460と、が備えられている。演算部460も、検出部の一例である。なお、各有機EL表示シート210~214に表示させる画像は、画像データ記憶部420に記憶している画像のほか、図示しない画像データ生成部により生成された画像であってもよく、或いは外部から通信を介して受信した画像であってもよい。例えば、使用者のスマートフォンからの画像、或いは契約している映像配信会社からの画像を有機EL表示シート210~214に表示させてもよい。
【0044】
一方、表示部200の側においては、上面用有機EL表示シート210の駆動回路510、第1側面用有機EL表示シート211の駆動回路511、第2側面用有機EL表示シート212の駆動回路512、第3側面用有機EL表示シート213の駆動回路513及び第4側面用有機EL表示シート214の駆動回路514が備えられている。
【0045】
なお、図3においては、図示は省略されているが、腕時計本体100側においては、図3に示す各機能ブロックに電力を供給するための電源部も設けられており、電源部からの電力及び表示制御部450からの各種信号などは、腕時計本体100側に設けられている第1電極群120(図2(a)参照。)と、各有機EL表示シート210~214側にそれぞれ設けられている第2電極群220(図2(c)参照。)と、を介して供給される。
【0046】
表示制御部450は、使用者が表示画像選択部410から選択した内容に基づいて画像データ記憶部420に記憶されている画像を読み出して、読み出した画像を各有機EL表示シート210~214に表示させるための制御を行う。このとき、表示制御部450は、各有機EL表示シート210~214のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように各有機EL表示シート210~214それぞれの表示を制御する。
【0047】
このように、表示制御部450は、画像データ記憶部420から読み出した画像を各有機EL表示シート210~214に表示させるための制御を行うが、実施形態1に係る腕時計1の起動時においては、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面を表示させるための制御を行う。表示画像選択画面が腕時計1に表示されることにより、使用者は、表示された表示画像選択画面から表示させたい内容を選択することができる。そして、表示制御部450は、使用者が選択した表示モードに基づいて表示を制御する。なお、表示画像の選択は、腕時計1と連携している使用者のスマートフォンの選択画面から行うようにしてもよい。
【0048】
例えば、使用者が表示画像選択部410からアナログ時刻表示を選択した場合には、実施形態1に係る腕時計1の5つの表示部210~214は、アナログ時計表示モードとなり、表示制御部450は、時刻データ発生部440から現在の時刻データを読み出して、各有機EL表示シート210~214において時針と分針による現在時刻を表示させるように各有機EL表示シート210~214の各駆動回路510~514を制御する。なお、表示画像の選択は、腕時計1と連携している使用者のスマートフォンの選択画面から行うようにしてもよい。アナログ時刻表示モードにおける具体的な時刻の表示の仕方などについては後述する。
【0049】
腕時計本体100の制御系を構成する各構成部のうちの少なくとも表示制御部450及び演算部460は、CPU(Central Processing Unit: 中央処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit: 画像処理装置)に代表される処理装置の動作によって各種処理を実行する。当該各種処理は、例えば、腕時計本体100内のメモリ(ROM、RAM、EEPROMなど)に格納されているコンピュータプログラムを読み出しながら行われる。画像データ記憶部420も、メモリである。コンピュータプログラムを格納しているメモリは、画像データ記憶部420であっても、又はこれとは別の記憶部であってもよい。また、表示部200の各種駆動回路510~514のうちの少なくとも1つの駆動回路は、上述のCPU或いはGPUに代表される処理装置を含んでいてもよい。
【0050】
ところで、図2において説明したように、各有機EL表示シート210~214は、腕時計本体100の表面を構成する6面のうち、下面を除く5面それぞれに貼り付けられている。すなわち、上面有機EL表示シート210は腕時計本体100の上面110に貼り付けられ、第1側面用有機EL表示シート211は腕時計本体100の第1側面111に貼り付けられ、第2側面用有機EL表示シート212は腕時計本体100の第2側面112に貼り付けられ、第3側面用有機EL表示シート213は腕時計本体100の第3側面113に貼り付けられ、第4側面用有機EL表示シート214は腕時計本体100の第4側面114に貼り付けられている。このように、各有機EL表示シート210~214が腕時計本体100のそれぞれ対応する面に貼り付けられると、腕時計本体100の角部においては、隣接する有機EL表示シート間には、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が生じる場合がある。
【0051】
図4は、隣接する有機EL表示シート間に生じる隙間の対処について説明するために示す図である。図4は上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間に生じる隙間を例にとって示す図である。
【0052】
図4に示すように、腕時計本体100の角部においては、隣接する有機EL表示シート間(この場合、上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間)には、黒色部材280が埋設されている。なお、黒色部材280としては、例えば、シリコーンゴムなどにグラファイトフィラーを混ぜて黒色としたものを用いることができる。このように、隣接する有機EL表示シート間の隙間を黒色部材280で埋めることにより、隣接する有機EL表示シート間の隙間が目立たなくなり、腕時計1の外観がすっきりして、見た目によいものとなる。
【0053】
なお、図4においては、上面用有機EL表示シート210と第3側面用有機EL表示シート213との間のみが示されているが、5つの表示部210~214の間、すなわち、第1側面用有機EL表示シート211と第2側面用有機EL表示シート212との間、第2側面用有機EL表示シート212と第3側面用有機EL表示シート213との間、第3側面用有機EL表示シート213と第4側面用有機EL表示シート214との間、第4側面用有機EL表示シート214と第1側面用有機EL表示シート211との間、及び、上面用有機EL表示シート210と各側面用有機EL表示シート211~214との間の隙間も同様に黒色部材280で埋められている。
【0054】
これにより、腕時計本体100の角部、すなわち、隣接する有機EL表示シート間に黒色部材280が埋設された状態となる。そして、隣接する有機EL表示シート間に黒色部材280が埋設された状態の各有機EL表示シート210~214の表面には、当該各有機EL表示シート210~214の全体を覆うように保護部材290(図6参照。)が塗布及び硬化されている。
【0055】
図5は、腕時計1の全体を覆うように保護部材290が塗布及び硬化されている状態を説明するために示す図である。なお、図5は、直方体の腕時計本体100の長辺と平行に、腕時計本体100を、上面用有機EL表示シート210からその下面のベルト300まで垂直に切断した断面図であり、腕時計本体100の内部に存在する表示制御部450などの構成要素(図3の機能ブロック図を参照。)は図示を省略する。図5に示すように、腕時計1の5つの表示部、すなわち、上面用有機EL表示シート210及び各第1側面用有機EL表示シート211~214全体を覆うように透明の保護部材290が塗布及び硬化されている。
【0056】
ここで、保護部材290としては、防水性、耐食性及び耐熱性を有するシリコーン樹脂などを好ましく用いることができる。このように、腕時計1の5つの表示部、すなわち、上面用有機EL表示シート210及び各第1側面用有機EL表示シート211~214全体を覆うように透明の保護部材290が塗布及び硬化されていることにより、腕時計1は、防水性、耐食性及び耐熱性を有するとともに破損し難くなることから、信頼性の高い腕時計となる。
【0057】
なお、前述した5つの表示部210~214を1枚の有機EL表示シート(図示せず。)からなるものとしてもよい。その場合、当該1枚の有機EL表示シートは、腕時計本体100の外形形状に沿うように折り曲げられて腕時計本体100に貼り付けられる。なお、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなる場合には、折り曲げ部には隙間が形成されないため、当該折り曲げ部は、黒色部材で埋める必要がなくなる。一方、折り曲げ部ではなく、隣接する有機EL表示シートの境目となる部分には、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が形成される場合がある。
【0058】
例えば、中央に存在する上面用有機EL表示シートから第1側面用有機EL表示シート、第2側面用有機EL表示シート、第3側面用有機EL表示シート、第4側面用有機EL表示シートがそれぞれ四方に延出して存在するような形状の1枚の有機EL表示シートにおいては、上面用有機EL表示シートを腕時計本体100の上面110に貼り付けて、各側面用有機EL表示シートを折り曲げることにより、各側面用有機EL表示シートを腕時計本体100の各側面111~114に貼り付けることができる。この場合、各側面表示部の角部となる部分には、有機EL表示シートの厚みに相当する隙間が形成される場合があるため、当該隙間に黒色部材を埋めることが好ましい。
【0059】
続いて、実施形態1に係る腕時計1の具体的な表示態様について説明する。実施形態1に係る腕時計1は使用者の左右いずれかの腕に装着することが可能であるが、ここでは、図1に示すように、実施形態1に係る腕時計1を使用者の左腕の手首に装着した場合について説明する。
【0060】
[第1表示態様]
使用者は、表示画像選択部410からデジタル時計表示モードを選択したとする。これにより、5つの表示部210~214は数字で時刻を表示するデジタル時計表示モードによる表示を行い、腕時計1の5つの表示部210~214には、現在の時刻が表示される。ここで、時刻の表示形態としては、時と分のそれぞれを2桁の数字で表示する例を挙げる。
【0061】
図6は、実施形態1に係る腕時計1における第1表示態様を説明するために示す図である。例えば、図6に示すように、現在の時刻として、23時46分が表示されているとする。図6(a)は、撮像素子60に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。図6(b)は、腕時計本体100の上面用有機EL表示シート210の面に対して垂直上方から見たときの時刻表示を示す。図6(c)は、撮像素子50に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。
【0062】
図6(a)、図6(b)及び図6(c)のいずれの時刻表示の場合にも、23時46分を示す4つの数字は、可能な範囲で使用者の方を向くように、表示部210~214のうちの少なくとも1つの表示部に表示される。
【0063】
例えば、図6(a)の例では、表示部210,213,214に、腕時計本体100の斜め上方で撮像素子60に近い使用者の視線に対して正対するように時刻の表示が行われる。実際には、表示部210,213,214で構成される面は平面ではない。このため、2つ又は3つの表示部にまたがって表示される数字は、表示部の辺や角部で折れ曲がるように表示されることになる。図6(a)では、数字の「4」は、表示部210と表示部214とにまたがって表示されている。また、数字の「6」は、表示部210と表示部213と表示部214にまたがって表示されている。このため、数字の「4」と「6」は、表示部同士の接する辺にて折れ曲がるように表示される。
【0064】
図6(b)の例では、表示部210のみに、腕時計本体100の上面から垂直上方にある使用者の視線に対して正対するように時刻の表示が行われる。時刻は、表示部210のみに表示されるため、折れ曲がりのない4つの数字が表示部210に表示される。
【0065】
図6(c)の例では、表示部210,212,213に、腕時計本体100の斜め上方であって撮像素子50に近い方向にある使用者の視線に対して正対するように時刻の表示が行われる。実際には、表示部210,212,213で構成される面は平面ではない。このため、2つの表示部にまたがって表示される数字は、表示部の辺や角部で折れ曲がるように表示されることになる。図6(c)では、数字の「4」は、表示部210と表示部212と表示部213にまたがって表示されている。また、数字の「6」は、表示部210と表示部212にまたがって表示されている。このため、数字の「4」と「6」は、表示部同士の接する辺にて折れ曲がるように表示される。
【0066】
以上のように、使用者の視線に対して時刻を正対表示するために、撮像素子50,60による人の眼を含む画像の撮影及び演算部460による画像の認識等の処理が行われる。上記のような処理の詳細については後述する。
【0067】
[第2表示態様]
次に、第2表示態様について説明する。使用者は、表示画像選択部410からアナログ時計表示モードを選択したとする。これにより、5つの表示部210~214は、時計の外縁部、12時と3時と6時と9時を示す合計4つの数字、短針(時針)及び長針(分針)を表示する。
【0068】
図7は、実施形態1に係る腕時計1における第2表示態様を説明するために示す図である。例えば、図7に示すように、現在の時刻として、10時10分が表示されているとする。図7(a)は、撮像素子60に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。図7(b)は、腕時計本体100の上面用有機EL表示シート210の面に対して垂直上方から見たときの時刻表示を示す。図7(c)は、撮像素子50に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。
【0069】
図7(a)、図7(b)及び図7(c)のいずれの時刻表示の場合にも、10時10分を示すアナログ時計の表示は、可能な範囲で使用者の方を向くように、表示部210~214のうちの少なくとも1つの表示部に表示される。
【0070】
例えば、図7(a)の例では、表示部210,213,214に、腕時計本体100の斜め上方で撮像素子60に近い使用者の視線に対して正対するようにアナログ時計の表示が行われる。実際には、表示部210,213,214で構成される面は平面ではない。このため、アナログ時計の表示は、各表示部210,213,214の境界となる辺で折れ曲がった状態で表示されることになる。図7(a)では、アナログ時計の下方領域の一部は、表示部213と表示部214に表示されている。
【0071】
図7(b)の例では、表示部210のみに、腕時計本体100の上面から垂直上方にある使用者の視線に対して正対するようにアナログ時計の表示が行われる。アナログ時計は、表示部210のみに表示されるため、折れ曲がりのない状態で表示部210に表示される。
【0072】
図7(c)の例では、表示部210,212,213に、腕時計本体100の斜め上方で撮像素子50に近い使用者の視線に対して正対するようにアナログ時計の表示が行われる。実際には、表示部210,212,213で構成される面は平面ではない。このため、アナログ時計の表示は、各表示部210,212,213の境界となる辺で折れ曲がった状態で表示されることになる。図7(c)では、アナログ時計の下方領域の一部は、表示部212と表示部213に表示されている。
【0073】
以上のように、アナログ時計が使用者に向かって正対表示されるようにするために、撮像素子50,60による人の眼を含む画像の撮影及び演算部460による画像認識等の処理が行われる。上記のような処理の詳細については後述する。
【0074】
[第3表示態様]
次に、第3表示態様について説明する。
図8は、実施形態に係る腕時計1における第3表示態様について説明するために示す図である。実施形態に係る腕時計1の第3表示態様も、前述した第2表示態様と同様に、5つの表示部210~214をアナログ時計表示モードに設定した場合の態様である。ただし、第3表示態様においては、前述の第2表示態様と異なり、時刻を表す数字を「1」から「12」の12種類とし、それらを腕時計本体100の各側面にある各側面用有機EL表示シート211~214に表示させている。また、表示部210は、時刻を表す12種類の数字に対応するドット(図8中のMで示す。)を楕円若しくは矩形の周上に表示し、かつその内部に時針230と分針240とを表示している。第3表示態様では、時刻は、1時43分である。
【0075】
実施形態1に係る腕時計1の第3表示態様においては、表示制御部450は、使用者から見て、あたかも腕時計本体100の内部が透けて見えるように、かつ、アナログ時計表示モードにおける時刻を示す数字が側面表示部211~214に表示されるように制御する。この際、表示制御部450は、使用者から見て視認できない側面については、時刻を表す数字を左右逆表示して、あたかも腕時計本体100の内部を透過して左右逆表示の数字が見えているような表示処理を行う。第3表示態様では、第1表示態様及び第2表示態様と異なり、時刻若しくは時計の表示を使用者に正対させる表示態様を行うものではなく、使用者からは見えないはずの数字を、使用者から見える側面を使って、あたかも透過しているかのように表示させている。このような表示は、腕時計本体100の部分に立体画像が見えるような表示と称してもよい。
【0076】
ここで、腕時計本体100の内部が透けて見えるように各有機EL表示シート210~214のそれぞれを表示制御するというのは、腕時計本体100があたかも透明容器であるかのように表示制御するものである。例えば、図8(a)に示す表示態様によれば、腕時計本体100内部の側面(第1側面211の内側の側面111a及び第2側面212の内側の側面112a)を使用者がそれぞれ目視でき、かつ、腕時計本体100の内部底面115aが使用者から見て目視できるように表示制御するということである。なお、この場合の「透明容器」というのは、無色透明の容器であってもよく、光透過性を有する有色透明の容器であってもよい。
【0077】
このような表示制御を行うことにより、使用者から見て、あたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるようになる。特に、図8(a)の表示態様の場合、使用者から本来は見えない第1側面表示部211及び第2側面表示部212に表示されている「11」、「12」、「1」及び「2」、「3」、「4」は、使用者から見て個々の数字が左右逆表示で表示されている。このため、使用者は、あたかも、腕時計本体100が透明容器であって、腕時計本体100の内部が透けて見えるような感覚を持つこととなる。
【0078】
また、第3表示態様においては、時針230及び分針240は、使用者から見て、あたかも透明に見える上面表示部210上に表示される。なお、この場合、分針240は、上面表示部210のみに表示されているが、側面表示部211~214のうちの1つの側面表示部にかけて延伸して表示されるようにしてもよい。
【0079】
図8(a)に示す表示態様は、撮像素子60に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。このような表示態様を実現できるのは、使用者が腕時計本体100をどの方向から見ているかが特定されるからである。そのために、撮像素子50,60及び演算部460を用いて、人の眼を含む画像の撮影及び画像認識等の処理が行われる。かかる処理によって、腕時計本体100において使用者から見えない側面が特定され、その側面の透過表示を、使用者から見えている上面や側面に疑似的に表示することができる。
【0080】
図8(b)は、腕時計本体100の上面用有機EL表示シート210の面に対してベルト300に沿ってわずかに後方に傾斜した上方から見たときの時刻表示を示す。この場合には、側面表示部211を疑似透過させるように表示部210の表示処理を行う必要がある。一方、側面表示部213は使用者から見えているので、通常の表示態様でよい。また、側面表示部212,214は、使用者から全く見えないので、何ら表示処理を行う必要はない。このような表示は、図8(a)の場合と同様、撮像素子50,60及び演算部460を用いることで実現できる。
【0081】
図8(c)は、撮像素子50に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。図8(c)に示す表示態様によれば、表示制御部450は、腕時計本体100内部の側面(第1側面211の内側の側面111a及び第4側面214の内側の側面114a)を使用者が透過的に目視でき、かつ、腕時計本体100の内部底面115aも使用者から見て透過的に目視できるように、表示部210,212,213を表示制御する。このような表示は、図8(a)の場合と同様、撮像素子50,60及び演算部460を用いることで実現できる。
【0082】
このように、第3表示態様においては、使用者から見て、あたかも、腕時計本体100の内部が透けて見えるとともに、アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値の表示が、使用者から見える側面においては左右正表示され、使用者から見えない側面においては、使用者から見える面を使って左右逆表示されるようにしている。このため、実施形態1に係る腕時計1は、従来にない新しい価値をもった腕時計となる。なお、使用者から見えない側面については、アナログ時計表示モードにおける時刻を表す数値その他の表示をさせないことにしてもよいが、使用者以外の人が当該腕時計を見たときに違和感を与えないように、使用者以外の人からは、時刻を表す数値の表示を左右正表示させるようにしてもよい。上記のような処理の詳細については後述する。
【0083】
[第4表示態様]
図9は、実施形態1に係る腕時計1における第4表示態様について説明するために示す図である。第4表示態様は、5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定した場合の態様である。なお、ここでのデジタル時計表示モードというのは、時刻を時針と分針で表すのではなく、第1表示態様と同様、時刻を数値により表示する表示モードを意味する。また、第4表示態様においては、時刻だけではなく、日付、曜日、その他の情報などの表示を行う例を説明する。このような表示を行わせるには、使用者は、例えば、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から、例えば「デジタル時計表示」を選択することで、5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定することができる。
【0084】
5つの表示部210~214をデジタル時計表示モードに設定することによって、例えば、図9に示すように、上面表示部210においては、例えば、10時25分34秒といった現在の時刻を「10:25:34」というように表示する他、2020年10月1日といった本日の日付を「20.10.01」というように表示するとともに、本日の曜日を「Thursday」というように表示できる。さらには、その他の情報として、例えば、本日の天気予報を、天気マークなどによって各側面表示部211~214(図9の例においては側面)に表示する。なお、これらの各種情報は各表示部上を流れるように表示することもできる。一例として、曜日を流れるように表示させて、曜日に続けて次々と各種の情報を表示させるようにすることも可能である。
【0085】
第4表示態様は、第1表示態様と異なり、使用者に正対する時刻等の表示を行うものではない。第4表示態様は、使用者が時刻等の表示を可能な限り横書きの状態で見ることができるように、表示形態を表示部210の面内において90度単位で回転させるとともに、天気の表示を時刻等の表示面の直下に位置する側面に表示させる態様である。
【0086】
図9(a)は、撮像素子60に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。このような表示態様を実現できるのは、使用者が腕時計本体100をどの方向から見ているかが特定されるからである。そのために、撮像素子50,60及び演算部460を用いて、人の眼を含む画像の撮影及び画像認識等の処理が行われる。この結果、使用者の視線では、長方形の表示部210の長辺に略平行で、かつ逆さになることなく正常に視認できるように時刻等の表示が行われる。当該長辺に平行な表示の方が短辺に平行な表示に比べて使用者から見やすいからである。天気は、表示部210における時刻等の表示の直下に位置する表示部214にて表示される。撮像素子60に近い斜め上方から腕時計本体100を見た場合、表示制御部450は、撮像素子50,60及び演算部460を利用して、使用者が腕時計1の表示部210を見る視線の方向を特定し、表示部210~214における時刻等の表示態様を決定する。この詳細については後述する。
【0087】
図9(b)は、腕時計本体100の上面用有機EL表示シート210の面に対してベルト300に沿ってわずかに後方に傾斜した上方から見たときの時刻表示を示す。この場合、長方形の表示部210において、表示部210の短辺に対して略平行に時刻等の表示が行われる。表示制御部450等の処理については、図9(a)の場合と同様である。
【0088】
図9(c)は、撮像素子50に近い斜め上方から腕時計本体100を見たときの時刻表示を示す。図9(a)及び図9(b)の場合と同様、撮像素子50,60及び演算部460を用いて、人の眼を含む画像の撮影及び画像認識等の処理が行われる。この結果、使用者の視線では、長方形の表示部210の長辺に略平行で、かつ逆さになることなく正常に視認できるように時刻等の表示が行われる。天気は、表示部210における時刻等の表示の直下に位置する表示部212にて表示される。撮像素子50に近い斜め上方から腕時計本体100を見た場合、表示制御部450は、撮像素子50,60及び演算部460を利用して、使用者が腕時計1の表示部210を見る視線の方向を特定し、表示部210~214における時刻等の表示態様を決定する。上記のような処理の詳細については後述する。
【0089】
このように、第4表示態様においては、デジタル時計表示を含む各種の情報を画像として5つの表示部211~214を使用して表示させることができるとともに、一部の情報(画像)又はすべての情報(画像)を流れるように表示させることも可能である。以上のように、実施形態1に係る腕時計1は、使用者の視線に応じた画像表示を実現できるので、従来にない新しい価値をもった腕時計とすることができる。
【0090】
[使用者が腕時計を見る方向の特定方法]
次に、実施形態1に係る腕時計1の使用者が腕時計1を見る方向の特定方法について説明する。
【0091】
図10は、実施形態1に係る腕時計1の使用者が腕時計1を見る方向の特定方法を説明するための図である。実施形態1に係る腕時計1は、2つの撮像素子50,60及び演算部460を用いて、使用者の眼と腕時計の表示部210の面内中心との距離と方向を特定している。
【0092】
以下、2つの撮像素子50,60を用いて使用者の眼と腕時計の表示部210の面内中心との距離と方向を特定する方法を説明する。図10(a)は、撮像素子60(点Aとする。)を原点として、表示面210をXY平面、表示面210に垂直方向をZ軸とする3次元の空間を示す。撮像素子50(点Bとする。)は、X軸上に存在するものとする。撮像素子60が使用者を撮像すると、演算部460は、使用者の画像から両眼を認識できる。具体的には、演算部460は、画像データ記憶部420内の学習済みモデルを利用して、画像内の人の顔及びその眼の位置を認識する。この結果、3次元空間内において、撮像素子60の点Aから使用者の両眼を結ぶ線分内の中点Mへの方向D2が特定される。ただし、撮像素子60により撮影された画像からは、方向D2しか特定できない。
【0093】
次に、撮像素子50が使用者を撮像すると、撮像素子60による撮像と同様、演算部460は、使用者の画像から両眼を認識できる。学習済みモデルの利用については、撮像素子60を用いて撮像された画像の解析の際と同様である。この結果、3次元空間内において、撮像素子60の点Bから使用者の両眼を結ぶ線分内の中点Mへの方向D3が特定される。D2とD3という2つの方向が特定されると、演算部460は、それらの方向が交わる点Mの座標を決定する。点Aと点Bとの距離は、表示部210の短辺の長さに相当する。点Aと点Mとの距離L2、点Bと点Mとの距離L3、及び方向D1,D2も特定されているため、表示部210からある角度で傾斜する三角形ABMが特定できる。
【0094】
図10(b)は、使用者の両眼を結ぶ線分の中点Mと表示部210の中心Cとを結ぶ方向及び距離を説明するための図である。図10(c)は、図10(b)から腕時計1を省略して、腕時計1に近い位置から見た図である。三角形ABMと、三角形ABMが表示部210となす角度θとが特定されると、点Mから表示部210の中心Cに向かう方向D4と、MC間の距離L4も一義的に決まる。中心Cと点A(又は点B)との位置関係は固定されているからである。上述の計算は、演算部460によって実行される。このように、中点Mから表示部210の中心Cまでの方向と距離が決まると、腕時計1の表示制御部450は、駆動回路510~514に信号を送信して、使用者からの視線の方向に応じた表示を行わせる。
【0095】
上述の表示制御部450による表示制御を行うには、MC間の距離L4は必須ではない。点Mから表示部210の中心Cに向かう方向D4のみが特定できれば十分である。ただし、距離L4を特定することにより、次のようなメリットを享受できる。腕時計1は、距離L4がある閾値(例えば800mm)を超えている場合には、腕時計1の表示を行わずに黒色状態を維持する一方、距離L4が上記閾値(例えば800mm)以下の場合には、腕時計1の表示部210~240への時刻等の表示を行うように制御できる。このような制御を行うのは、腕時計1を机の上に置いている際に、腕時計1の近くに偶然居合わせた人が腕時計1に視線をなげたときに時刻等の表示を行わないようにして、主に腕時計1を手首にはめている使用者が腕時計1を見たときだけに時刻等の表示を行わせる必要からである。上述のような閾値は、800mmに限定されず、例えば、500mm、1200mmといった別の距離に設定することができる。閾値は、例えば、画像データ記憶部420に記憶されていてもよい。表示制御部450又は演算部460は、画像データ記憶部420内に記憶されている閾値を読み出して、MC間の距離L4と比較することができる。なお、閾値の設定は、使用者が設定不可でもよく、又は表示画像選択部410のような設定手段を利用して使用者が自由に設定できるようにしてもよい。
【0096】
加えて、距離L4の大小から表示部210~214における表示と非表示の切り替えを行うのではなく、撮像素子60から中点Mまでの距離L2、撮像素子50から中点Mまでの距離L3、又は距離L2+距離L3に応じて表示と非表示の切り替えを行ってもよい。また、中点Mに代えて、眼の位置E1又は位置E2を用いてもよい。変形例として、使用者の画像から片眼しか検出されない場合には、中点Mの座標を特定するのではなく、検出された片方の眼の位置(例えばE2とする。)を特定して、三角形ABE2(当該三角形ABE2と表示部210とのなす角θも含む。)を特定してもよい。
【0097】
上述の実施形態は、2つの撮像素子50,60を含む検出部を備えた腕時計1の実施形態であるが、撮像素子の数は2つにと限定されない。例えば、変形例に係る腕時計1において、検出部は、腕時計1のいずれかの部位に設置された1つ以上の撮像素子と、当該1つ以上の撮像素子により撮像された腕時計1の使用者の眼の画像から腕時計1の使用者の眼と腕時計1との間の位置関係に関する情報を抽出する演算部を備えてもよい。この結果、演算部は、腕時計1の位置情報として、腕時計1の使用者の眼と腕時計1との間の位置関係に関する情報を抽出することができる。例えば、1つのみの撮像素子を備えた腕時計1では、使用者の眼から腕時計1の上面表示部210の所定位置(一例として、上面表示部210の中央)に向かう方向を特定できるものの、使用者の眼と上面表示部210の所定位置との間の距離については特定できない。しかし、上記方向を特定できれば、表示部210~214に表示する画像の向きを、上記方向に応じて決定できる。一方、撮像素子を3つ以上設けると、前述した2つの撮像素子50,60を用いた例よりさらに正確に、使用者の眼から腕時計1の上面表示部210の所定位置に向かう方向及び距離を特定できる。
【0098】
1以上の撮像素子を4つの撮像素子としてもよい。4つの撮像素子は、好ましくは、腕時計1の4つの側面のうち隣接する側面と腕時計1の上面とが接する頂点近傍に設置可能である。かかる位置に4つの撮像素子を配置すると、前述の撮像素子50,60では撮像困難な方向に使用者の眼が存在する場合に、撮像素子50,60以外の2つの撮像素子を用いて当該眼の位置を容易に撮像できる。また、変形例として、4つの撮像素子は、腕時計1に接続されたベルト300のみに設置され、又は腕時計本体100とベルト300との接続部位にそれぞれ2つずつに分けて設置されてもよい。また、上面表示部210の4つ角のうちの3つの角にそれぞれ1つの撮像素子を配置した場合には、4つ角全てに撮像素子を1つずつ配置する場合と比べると撮像の補完のレベルは低くなるが、2つの撮像素子50,60を配置する場合と比較すると補完レベルは高くなる。また、3つの撮像素子のうちの2つを上面表示部210の2つの角に配置し、残る1つの撮像素子を腕時計本体100とベルト300との接続部位に配置してもよい。
【0099】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2において、実施形態1と共通する構成要素については同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0100】
図11は、実施形態2に係る腕時計1を使用者の左腕に装着した状態を示す図である。なお、図11において矢印Aは、実施形態1と同様、左腕の手首に装着されている腕時計1を使用者が見る際の視線の方向を示している。図11においては、矢印Aは水平面上での方向が描かれているが、実際の視線の方向は、使用者の目から斜め下方向に向くこととなるのが一般的である。
【0101】
実施形態2に係る腕時計1は、非表示状態では表示部210~214が黒色となっていて、表示状態では表示部210~214にデジタル時計表示が行われる。図11の例では、表示部210のみに、23時46分を示す数字「2」、数字「3」、数字「4」及び数字「6」の合計4つの数字が表示されている。
【0102】
図12は、実施形態2に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。なお、図12に示す機能ブロック図は、実施形態2に係る腕時計1が有する種々の機能のうち、主に表示を行うために必要な機能ブロックが示されている。実施形態2に係る腕時計1に備えられている検出部は、腕時計1の姿勢情報を検出する3次元加速度センサを含み、腕時計1の姿勢情報として、腕時計1の3次元的な姿勢に関する情報を検出することができる。また、検出部は、腕時計1の動き情報を検出する3次元加速度センサでもあり、腕時計1の動き情報として、腕時計1の3次元的な動きに関する情報を検出することができる。以下、図12を参照して、実施形態2に特有の機能について説明し、実施形態1と共通する機能については重複した説明を省略する。
【0103】
腕時計本体100は、実施形態1と同様の表示画像選択部410、画像データ記憶部420、同期信号発生部430、時刻データ発生部440及び表示制御部450の各種構成部に加えて、さらに3次元加速度センサ(以後、単に、「加速度センサ」という。)610を備える。表示部200の各構成部については、実施形態1と同様である。加速度センサ610は、加速度を測定可能な慣性センサの一種であり、3次元の慣性運動を検出できる。加速度センサ610は、使用者の腕の動きに対応した腕時計1の動きを検出可能であると共に、腕時計1の表示部210が水平若しくは水平に近い角度を保持しているか否かも検出可能である。この実施形態では、加速度センサ610は、演算部も含む。演算部は、CPU又はGPU等の処理装置によって演算を行う部分である。以後の「演算部」も同様である。なお、腕時計本体100は、加速度センサ610とジャイロセンサとを一体化した装置を備えてもよい。また、地磁気センサをさらに備えてもよい。画像データ記憶部420は、各種画像データを記憶する他、加速度の閾値及び各種コンピュータプログラムを記憶している。表示制御部450は、画像データ記憶部420内の上記閾値を参照して、使用者の腕の動きに応じて腕時計1の加速度が閾値を超えない場合と超えた場合とで表示部210~214における表示を切り替えることができる。
【0104】
[第1表示態様]
図13は、実施形態2に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。使用者が腕時計を見る動作を行うことによって腕時計1内の加速度センサ610があらかじめ設定されている閾値を超える加速度を検知すると、検知前の表示状態aは、時刻を示す各数字が所定方向(数字の周囲の矢印方向を参照)に回転する状態bと当該所定方向と反対方向(数字の周囲の矢印方向を参照)に回転する状態cとを交互に繰り返す状態に切り替わる。具体的には、表示制御部450は、加速度センサ610から受け取った加速度が予め画像データ記憶部420に格納されている閾値を超えた際に、表示部210等に表示されている現在時刻252を構成する4つの数字を振動させる表示を各駆動回路510~514に行わせる。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「時刻振動模様」を選択する。数字の振動画像は画像データ記憶部420に格納されている。なお、現在時刻252を構成する4つの数字は、表示部210のみならず、表示部211~214にはみ出しながら振動してもよい。
【0105】
画像データ記憶部420は、加速度センサ610によって検知した加速度が閾値を超えて数字を振動させる表示を開始した時刻から所定時間が経過すると、元の表示状態aに表示を戻すようにプログラムされたコンピュータプログラムを格納している。表示制御部450は、振動開始からの時間の経過を計測し、所定時間(例えば30秒とする。)が経過すると、上記コンピュータプログラムに従って表示状態bと表示状態cの繰り返しの振動表示状態を、数字が振動しない元の表示状態aへと切り替える。
【0106】
[第2表示態様]
図14は、実施形態2に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。第2表示態様は、使用者が表示画像選択部410からモードを指定することで設定される。第2表示態様は、初期状態としては上面表示部210に現在時刻252が表示されているが、例えば、使用者の腕が動くことにより腕時計1に加速度が加わると、それをきっかけにして、当該現在時刻252がぷるんぷるんと動いて側面までせり出すような表示態様である。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「時刻表示せり出し模様」を選択する。実施形態2に係る腕時計1において、表示制御部450は、使用者の手元に腕時計1を近づけて見るときの加速度が予め画像データ記憶部420に格納されている閾値を超えた際に、現在時刻252が動く表示態様となるように、各駆動回路510~514に信号を送り、5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0107】
また、現在時刻252が側面にせり出す際に、何れの側面にせり出すかは、予めプログラムされていても良く、又は加速度センサ610によって計測された傾斜に応じて、使用者から見える側面の有機ELシートにせり出すような表示を行ってもよい。
【0108】
図15は、予めプログラムされた表示態様にて、現在時刻が上面表示部210に加えて側面表示部211~214のうちの1以上の側面表示部へとせり出す一連の動きを示す図である。図15に示すように、現在時刻を構成する4つの数字は、上面表示部210のみならず4種の側面までせり出しながらその表示態様を、図中のaからhへと変化させている。aからhへと変化した後、プログラムが終了してもよく、又は再度aに戻ってhへと変化してもよい。このような表示動作は、画像データ記憶部420に格納されているコンピュータプログラムの記述による。
【0109】
[第3表示態様]
図16は、実施形態2に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。第3表示態様は、直方体の腕時計本体100の中で小さな玉262の集合が使用者の腕の動きに反応して物理的に挙動している表示態様である。使用者が腕時計1を見ると、小さな玉262が集まって時刻表示に変わる。すなわち、この表示態様では、初期状態として、直方体の腕時計本体100内で小さな球262が分散してランダムに動いている様子が表示され、その後、時間の経過とともに、小さな球262が上面に集まってきて現在時刻252を構成する様子が表示される。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「小さな玉の模様」を選択する。加速度センサ610によって使用者の腕の動作に応じた腕時計本体100の加速度及び/又は上面表示部210の傾斜が検知されると、表示制御部450は、当該検知状況に基づき腕時計本体100内で多くの小さな球262を動かすような表示を行う。小さな球262は、例えば、時間の経過に応じて動いてもよく、又は使用者の腕の動きに応じて動いてもよい。小さな球262が現在時刻252を形成する表示は、加速度センサ610が加速度を検出しなくなった時点で、それまでのランダムな動きの表示から切り替わるようにしてもよい。その場合、加速度センサ610からの加速度がゼロ若しくは所定の閾値以下となったときに、表示制御部450は、その信号を受け取って、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出して、小さい球262を用いた現在時刻252の表示に切り替えることができる。具体的には、表示制御部450は、上記のような表示態様が可能となるように各駆動回路510~514に信号を送り、5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0110】
[第4表示態様]
図17は、実施形態2に係る腕時計1の第4表示態様について説明するために示す図である。第4表示態様は、使用者が腕時計1を見る加速度に基づき、腕時計本体100のフレーム自体がぷるんと振動する錯覚的な視覚効果を発揮する態様である。すなわち、第4表示態様は、図17に示すように、初期状態としては上面表示部210に現在時刻252が表示されているが、例えば腕が動くことにより腕時計1に加速度が加わると、その動きをきっかけとして、腕時計1の内部で疑似腕時計フレーム264がぷるんぷるんと振動するように見える表示態様(錯視的な表示態様)である。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「ぷるんと振動する模様」を選択する。実施形態2に係る腕時計1においては、表示制御部450は、上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。画像データ記憶部420は、上面表示部210において現在時刻252の表示から切り替わる疑似腕時計フレーム264(複数のフレームから成る)と、加速度の所定閾値と、所定閾値を超えた加速度の信号を得た際に通常の時刻表示から疑似腕時計フレーム264の表示へと切り替えるためのコンピュータプログラムとを格納している。
【0111】
表示制御部450は、加速度センサ610から所定閾値を超える加速度の信号を受けると、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出して、各駆動回路510~514に向けて信号を出し、現在時刻252の表示を、疑似腕時計フレーム264の表示に切り替える。各表示画像のデータは、表示制御部450によって画像データ記憶部420から読み出される。なお、当該コンピュータプログラムは、所定閾値を超えた加速度を検出してから所定時間経過すると、疑似腕時計フレーム264の表示から元の現在時刻252の表示へと切り替えるようにしてもよい。
【0112】
[第5表示態様]
図18は、実施形態2に係る腕時計1の第5表示態様について説明するために示す図である。第5表示態様は、図18に示すように、腕時計1にリボン254が巻き付けられた様子が表示された表示態様である。この表示態様においては、時間の経過、例えば1秒経過ごとにリボン254が巻き付けられたり、巻き付けられたリボン254がほどけたりしていく様子が表示されていてもよい。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「リボン巻き付け模様」を選択する。第5表示態様は、加速度センサ610により検出された加速度が、前記第1表示態様から第4表示態様における所定閾値よりもさらに大きな閾値(第2閾値とする。)を超えた際に、通常の現在時刻252の表示を、リボン254の巻き付け表示に切り替えることによって実現可能である。画像データ記憶部420は、リボン巻き付け型の時刻表示フレームと、加速度の第2閾値と、第2閾値を超えた加速度の信号を得た際に通常の時刻表示からリボン巻き付け型の時刻表示フレームの表示へと切り替えるためのコンピュータプログラムとを格納している。なお、当該コンピュータプログラムは、第2閾値を超えた加速度を検出してから所定時間(例えば3分とする)経過すると、リボン巻き付け型の時刻表示フレームの表示から元の現在時刻252の表示へと切り替えるようにしてもよい。
【0113】
表示制御部450は、加速度センサ610から第2閾値を超える加速度の信号を受けると、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出して、各駆動回路510~514に向けて信号を出し、現在時刻252の表示を、リボン巻き付け型の時刻表示フレームの表示に切り替える。各表示画像のデータは、表示制御部450によって画像データ記憶部420から読み出される。
【0114】
図19は、実施形態2に係る腕時計1の第5表示態様の変形例について説明するために示す図である。この変形例は、現在時刻252を上面表示部210に表示したまま、リボン254を腕時計1に巻き付けるような表示を行う例である。このような表示制御は、図18を参照しながら説明した上記制御と同様の制御方法によって実現可能である。変形例として、加速度が第2閾値を超えないときには、図18に示すように、現在時刻252が表示されていない状態でリボン254が秒単位で巻かれていく表示がされる一方、加速度が第2閾値を超えたときには、図19に示すように、現在時刻252が表示されている状態でリボン254が秒単位で巻かれていく表示がされてもよい。
【0115】
[第6表示態様]
図20は、実施形態2に係る腕時計1の第6表示態様について説明するために示す図である。第6表示態様は、図20に示すように、腕時計1の上面から底面にかけて細かな粒子256がしみ込んでいく様子が表示された表示態様である。この表示態様においては、定期的に表面の色が変わって別の色の細かな粒子256がしみ込んでいくような表示態様であってもよい。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「しみ込む模様」を選択する。これにより、腕時計1において第8表示態様による表示がなされる。第6表示態様は、加速度センサ610により検出された加速度が第2閾値を超えた際に、それまでの現在時刻252のみの表示から、現在時刻252を上面表示部210に表示したまま、側面表示部211~214に細かな粒子256が底面方向へとしみ込む表示に切り替えることによって実現可能である。画像データ記憶部420は、細かな粒子256がしみ込む動画と、加速度の第2閾値と、第2閾値を超えた加速度の信号を得た際に通常の時刻表示から細かな粒子256がしみ込む表示へと切り替えるためのコンピュータプログラムとを格納している。なお、当該コンピュータプログラムは、第2閾値を超えた加速度を検出してから所定時間(例えば3分とする)経過すると、細かな粒子256がしみ込む表示から元の現在時刻252の表示へと切り替えるようにしてもよい。
【0116】
表示制御部450は、加速度センサ610から第2閾値を超える加速度の信号を受けると、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出して、各駆動回路510~514に向けて信号を出し、現在時刻252の表示を、細かな粒子256がしみ込む表示に切り替える。上面表示部210及び側面表示部211~214の色を定期的に変化させる場合には、表示制御部450は、画像データ記憶部420内の上記記述を有するコンピュータプログラムを読み出しながら、各駆動回路に、色の変化を指示する。また、表示に要するデータは、表示制御部450によって画像データ記憶部420から読み出される。
【0117】
[第7表示態様]
図21は、実施形態2に係る腕時計1の第7表示態様について説明するために示す図である。第7表示態様は、図21に示すように、使用者から見てあたかも透明容器に液体が入っていて、その液体が透明容器内で揺れると共に増減する表示がされるものである。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「液体模様」を選択する。これにより、腕時計1において第8表示態様による表示がなされる。
【0118】
画像データ記憶部420は、透明容器内の液体265を表示するためのデータと、加速度センサ610からの信号及び時刻の経過に応じて透明容器内の液体265の形態を変化させて表示部210~214に表示するためのコンピュータプログラムと、を格納している。表示制御部450は、加速度センサ610から受け取る信号に基づき、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出すと共に、各駆動回路510~514に向けて信号を出して、腕時計1の水平度及び動きに対応した液体265の表示を行わせる。図21では、上面表示部210が太矢印の方向に傾斜しているため、液体265は、表示部213側に寄っている。また、腕時計1が太い矢印方向に動いたことから、液体265は波打っているように表示されている。
【0119】
また、液体265は、現在時刻252の経過に伴い増加するように表示可能である。このような表示も、表示制御部450の制御によって実現される。すなわち、表示制御部450は、時刻の信号に基づき、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出すと共に、各駆動回路510~514に向けて信号を出して、時刻に応じて液体265を徐々に増加させる表示を行わせる。
【0120】
このように、表示制御部450は、腕時計本体100中の液体265の位置の変化は加速度センサ610からの加速度に基づき、液体265の量の変化は時刻に基づくように制御する。変形例として、液体265の位置及び量の両変化は、加速度センサ610からの信号によらず、時刻のみに依存するように制御されてもよい。その場合、液体265は、透明容器内にて予めプログラムされた揺れる動きをして、時刻の経過に伴って増加していくように表示される。一方、液体265の位置及び量の両変化は、時刻によらず、加速度センサ610から送られる加速度のみに依存するように制御されてもよい。その場合、液体265は、腕時計本体100の傾きと加速度に応じて透明容器内にて揺れる動きをするように表示される。
【0121】
[第8表示態様]
図22は、実施形態2に係る腕時計1の第8表示態様について説明するために示す図である。第8表示態様は、図22に示すように、各表示面(上面表示部210及び4つの側表示部211~214)毎に流れ方向266の異なった流れが発生していて、当該流れが例えば1秒毎にランダムに変化していくような表示態様である。上面表示部210には、現在時刻252も表示されている。ただし、現在時刻252を表示しなくてもよい。このような表示態様は、表示部210~214の各面で方向が異なった高速の流れを発生させている態様である。すなわち、流れの方向性で各面が区分けされている。このような表示を行わせるには、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「流れ模様」を選択する。これにより、腕時計1において第8表示態様による表示がなされる。
【0122】
図22では、流れの表示態様は、状態aと状態bとを1秒ごとに繰り返す例を示す。しかし、状態aと状態bとの間の表示の切り替えは、1秒ごとに限定されず、2秒ごと、又は10秒ごとのように任意に変更可能である。上述した表示態様を行うには、表示制御部450は、時刻の信号に基づき、各表示部210~214に流れの表示を行うように制御する。流れの画像は、画像データ記憶部420内に格納されている。表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムを読み出しながら、画像データ記憶部420内の流れの画像を読み出し、各駆動回路510~514に向けて信号を出して当該画像を表示させる。
【0123】
変形例として、流れの表示態様は、加速度センサ610からの信号に基づいて変化してもよい。画像データ記憶部420は、複数種の流れの画像データと、流れの画像を切り替えるときの加速度の閾値と、加速度が当該閾値を超えたときに、複数種の流れの画像からランダムに1種類の流れの画像を選択するためのコンピュータプログラムと、を格納している。表示制御部450は、加速度センサ610から受け取る加速度が予め記憶されている上記閾値を超えると、画像データ記憶部420からランダムに流れの画像のデータを選び、駆動回路510~514に向けて信号を出して、現在の流れの画像の表示から新しい流れの画像の表示に切り替える。
【0124】
以上のように、実施形態2に係る腕時計1は、加速度センサ610からの情報を利用して、表示部210~214の表示を実行又は変更できるので、従来にない新しい価値をもった腕時計とすることができる。
【0125】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態3において、前述の各実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0126】
実施形態3に係る腕時計1に備えられる検出部は、腕時計1の使用者の健康関連情報(健康情報およびフィットネス情報を含む情報)を検出する脈拍計(又は心拍計)、体温計、血圧計、心電計、又は、3次元加速度センサである。検出部は、腕時計1の使用者の健康関連情報として、腕時計1の使用者の脈拍(又は心拍)、体温、血圧、又は、アクティビティに関する情報を検出することができる。ここで、「アクティビティに関する情報」とは、使用者の行動に関する情報を意味する。アクティビティに関する情報としては、何歩歩いたかという情報、何Km歩いたかという情報、何階上がったという情報、何カロリー消費したかという情報、イスに何時間すわっていたかという情報、イスに何時間連続して座ったかという情報、何時間泳いだかという情報、何時に起きて何時に寝たという情報、何を食べたかという情報、何時間寝たかという情報、何時に寝て何時に起きたかという情報、何カロリー摂取したかという情報、時差情報、何時間映画を見たかという情報、何時間TVを見たかという情報、何時間本を読んだかという情報、何時間仕事をしたかという情報、手洗い情報、他人との接触確認情報、呼吸情報、視聴した音楽情報・ポッドキャスト情報、緊急SOS情報などを例示できる。
【0127】
図23は、実施形態3に係る腕時計1の主要部をその下面から見た状態を示す図である。腕時計1の下面以外の面は、実施形態2(図11を参照。)と共通する。実施形態3において、腕時計本体100の下面に対応するベルト300は、ベルト300の厚さ方向に貫通する2つの貫通孔を有する。それら貫通孔のうちの1つは、ベルト300の下面(図23では上方の面。)から見て円形の孔である。残る1つの貫通孔は矩形の孔である。血圧、脈拍、及び心電図を測定するために必要な発光・受光部621は、腕時計本体100に備えられ、かつ上述の円形の孔から外に露出しており、使用者の手首に向けて発光及び手首方向からの受光を可能とする。また、体温測定用センサ622は、腕時計本体100に備えられる直方体の形状を有するセンサであり、上記の矩形の孔を通じてベルト300の下面から露出している。
【0128】
図24は、実施形態3に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。なお、図24に示す機能ブロック図は、実施形態3に係る腕時計1が有する種々の機能のうち、主に表示を行うために必要な機能ブロックが示されている。以下、図24を参照して、実施形態3に特有の機能について説明し、前述の各実施形態と共通する機能については重複した説明を省略する。
【0129】
腕時計本体100は、実施形態2と同様の表示画像選択部410、画像データ記憶部420、同期信号発生部430、時刻データ発生部440、表示制御部450及び加速度センサ610の各種構成部に加えて、さらに、発光・受光部621、体温測定センサ622、血圧測定部(血圧計と称してもよい。)630、脈拍測定部(脈拍計と称してもよい。)640、心電図測定部(心電計と称してもよい。)660及び体温測定部(体温計と称してもよい。)670を備える。この実施形態では、加速度センサ610、血圧測定部630、脈拍測定部640、心電図測定部660及び体温測定部670は、演算部も含む。発光・受光部621は、例えば、発光用のダイオードと受光用のダイオードとを搭載している。体温測定用センサ622は、例えば、使用者の手首の皮膚表面から熱流束を計測する高感度センサである。当該センサによって計測された値は、特定のアルゴリズムを使って、体内中心の温度に変換される。表示画像選択部410は、加速度の測定の選択の他、血圧測定、脈拍測定、心電図測定、体温測定のいずれかの健康関連情報についても選択可能となっている。使用者が表示画像選択部410から上記いずれかの測定を選択すると、腕時計1は、その選択に応じた各種表示を行うことができる。各種表示の詳細については、後述する。
【0130】
腕時計本体100の少なくとも表示制御部450、加速度センサ610、血圧測定部630、脈拍測定部640、心電図測定部660及び体温測定部670は、CPU、GPUに代表される処理装置の動作によって各種処理を実行する。当該各種処理は、例えば、腕時計本体100内のメモリ(ROM、RAM、EEPROMなど)に格納されているコンピュータプログラムを読み出しながら行われる。かかるコンピュータプログラムを格納しているメモリは、画像データ記憶部420を兼ねていても、或いはこれとは別の記憶部であってもよい。表示部200の各種駆動回路510~514のうちの少なくとも1つの駆動回路は、上述のCPU或いはGPUに代表される処理装置を含んでいてもよい。以下、腕時計1の使用者の健康若しくはフィットネス情報の内、最初に、血圧計、脈拍計、心電計及び体温計をそれぞれ検出部として備える腕時計1の例について図面を参照しながら説明する。次に、3次元加速度センサを用いたアクティビティに関する情報(フィットネス情報も包含する情報)の検出と表示について説明する。
【0131】
[第1表示態様]
図25は、実施形態3に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。第1表示態様は、図25に示すように、使用者の血圧を表示する態様である。図25(a)は、使用者の血圧が正常の場合の表示例を示す。図25(b)は、使用者の血圧が正常値から外れた場合、すなわち、異常の場合の表示例を示す。血圧を測定する際には、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「血圧測定」を選択する。これにより、血圧測定が可能となる。使用者が血圧測定のモードを選択すると、血圧測定部630は、使用者の選択の指示から所定時間経過後(例えば、10秒後。)に血圧の測定を開始する。血圧を測定する場合、発光・受光部621内の緑色発光ダイオードから使用者の手首に向けて発光する。これは、血液が緑色の波長の光を反射する仕組みを利用したものである。心臓が脈打って血管内の血流が多くなったときと血流が少ないときとでは光の反射が異なる。受光用のダイオードが経時的に反射光を受光すると、血圧測定部630は、光の反射の相違に基づき血圧を測定する。血圧測定部630は、発光・受光部621に対する発光と受光とを制御可能である。血圧の測定が終了すると、血圧測定部630は、血圧のデータを表示制御部450に送る。表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の血圧表示用の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に血圧の表示を行わせる。
【0132】
この表示態様の一例では、血圧は、最高血圧と最低血圧の数字のみならず、円環領域268とその内部領域269の表示形態267にて視覚的に表示されている。使用者の血圧が正常値の場合には、図25(a)に示すように、円環領域268と内部領域269が上面表示部210の範囲内に表示される。一方、使用者の血圧が異常値の場合には、円環領域268及び/又は内部領域269が大きくなり、例えば、側面表示部212,214にはみ出して表示される。最高血圧が異常値で最低血圧が正常値の場合には、円環領域268のみが、例えば、側面表示部212,214にはみ出して表示される。また、最高血圧が正常値で最低血圧が異常値の場合には、内部領域269のみが、例えば、側面表示部212,214にはみ出して表示される。さらに、最高血圧及び最低血圧が共に異常値の場合には、図25(b)に示すように、円環領域268及び内部領域269が共に側面表示部212,214にはみ出して表示される。表示制御部450は、血圧測定部630から受け取った血圧に応じて、画像データ記憶部420から画像のデータを受け取り、表示部210~214に血圧に応じた表示を行う。なお、上記表示態様に代えて、円環領域268及び内部領域269の大きさを変化させることなく、各領域268,269の色を変えてもよい。例えば、血圧が正常の場合には各領域268,269の色を緑色又は青色に、異常値の場合には各領域268,269の色を赤色にすることができる。さらに、各領域268,269の大きさの変化と色の変化の両方を実行してもよい。
【0133】
[第2表示態様]
図26は、実施形態3に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。第2表示態様は、図26に示すように、使用者の脈拍を表示する態様である。脈拍を測定する際には、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「脈拍測定」を選択する。これにより、脈拍の測定が可能となる。使用者が脈拍測定のモードを選択すると、脈拍測定部640は、使用者の選択の指示から所定時間経過後(例えば、10秒後。)に、発光・受光部621から発光し、使用者の手首の血管を通じて脈拍を検出する。血液中のヘモグロビンは、緑色の光を吸収しやすい性質を有する。受光用のダイオードは、反射光を経時的に受光する。脈拍測定部640は、反射光の強度の時間変化から脈拍数を算出する。脈拍測定部640は、発光・受光部621に対する発光と受光とを制御可能である。脈拍測定部640は、脈拍のデータを表示制御部450に送る。表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の脈拍表示用の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に脈拍数の表示を行わせる。
【0134】
表示部210~214の脈拍表示270は、上面表示部210の例えば中央に表示されるハートマーク271と、ハートマーク271から上面表示部210を経由して各側面表示部211~214へと延出するライン272と、を備える。ハートマーク271は、検出された脈拍に応じて点滅する。ライン272は、例えば、表示部214から表示を開始し、表示部213、表示部212、表示部211の順番に累積表示される(図26の矢印の方向を参照。)。
【0135】
[第3表示態様]
図27は、実施形態3に係る腕時計1の第3表示態様について説明するために示す図である。第3表示態様は、図27に示すように、第2表示態様と異なる表示態様であって、脈拍測定時の表示285を表示部210~214に表示させる態様である。脈拍を測定する際には、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「脈拍測定その2」を選択する。これにより、第2表示態様にて説明した場合と同様、脈拍の測定が可能となる。使用者が脈拍測定その2のモードを選択すると、脈拍測定部640は、使用者の選択の指示から所定時間経過後(例えば、10秒後。)に、発光・受光部621から発光し、使用者の手首の血管を通じて脈拍を検出する。脈拍測定部640が脈拍のデータを表示制御部450に送ると、表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の脈拍表示用の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に脈拍の表示を行わせる。また、第3表示態様では、脈拍の時間軸上の変化を側面表示部211~214にログすることが可能である。
【0136】
脈拍測定時の表示285は、第2表示態様における脈拍の表示と異なる。当該表示285は、例えば、音楽の再生と共に実行され、上面表示部210への音楽に関する情報表示286と、側面表示部211~214への脈拍の情報としてのビジュアライザーの表示287と、を含む。この表示287は、脈拍に応じて動く。使用者が予め好きな曲を設定しておくと、表示制御部450は、当該曲を選択して再生することもできる。曲の選択は、画像データ記憶部420、又はクラウド上にあるサーバから可能である。なお、表示285は、音楽の再生を必ずしも伴うことを要しない。例えば、上面表示部210における通常の時刻表示と共に、脈拍の変化のみを側面表示部211~214に表示してもよい。また、音楽の再生中に脈拍の測定を行ったときに、表示285を行うようにしてもよい。また、厳密には、脈拍と心拍とは異なるが、上記脈拍の測定に代えて心拍の測定を行うようにしてもよい。その場合、例えば、心臓の近くから心拍の信号を得るようにするのが好ましい。例えば、心拍時の振動を検知可能なセンサを腕時計1に備え、当該センサを心臓近くに付けることで、腕時計1に心拍情報を送ってもよい。
【0137】
使用者が心電図の表示を希望する場合には、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「心電図測定」を選択する。これにより、心電図の測定が可能となる。使用者が心電図測定のモードを選択すると、心電図測定部660は、使用者の選択の指示から所定時間経過後(例えば、10秒後。)に、発光・受光部621により心電図を測定する。心電図測定部660は、心拍測定時と同様に、発光・受光部621から血管に向けて発光して得られた反射光の経時変化をとらえ、これを波形に変換する。表示制御部450は、心電図測定部660からの波形表示用のデータを受け取って、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の心電図表示用の画像データを読み出す。表示制御部450は、続いて、各駆動回路510~514に信号を送って、表示部210~214に心電図の表示を行わせる。例えば、図27の側面表示部211~214の少なくとも1つに、心電図の波形を経時的に表示することができる。心電図の測定は、腕時計又はベルトの下面に電極を設け、この電極を通して電気的に行ってもよい。
【0138】
アクティビティ情報の一例である「何時に起きて何時に寝たという情報」及び「何時間寝たかという情報」についても、脈拍測定部640及び発光・受光部621によって使用者の心拍を検知し、表示制御部450によって表示部210~214に表示できる。起床時の心拍数の急増と就寝時の心拍数の急減とを検知できるからである。なお、第3表示態様の変形例として、側面表示部211~214に「脈拍の時間軸上の変化」を表示させる代わりに、再生中の音楽のビート情報としての「音圧レベルの時間軸上の変化」を表示させることもできる。
【0139】
[第4表示態様]
図28は、実施形態3に係る腕時計1の第4表示態様について説明するために示す図である。第4表示態様は、図28に示すように、使用者の体温の表示295を表示部210~214に表示させる態様である。体温を測定する際には、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「体温測定」を選択する。これにより、体温の測定が可能となる。使用者が体温測定のモードを選択すると、体温測定部670は、使用者の選択の指示から所定時間経過後(例えば、10秒後。)に、体温測定用センサ622によって体温を測定する。体温の測定が終わると、体温測定部670は、体温測定用センサ622から体温のデータを受け取って、そのデータを表示制御部450に送る。表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の体温表示用の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に体温の表示295を行わせる。
【0140】
図28では、側面表示部212から上面表示部210を経て側面表示部214に至る帯状の表示部296に、体温の高低を示す領域297が表示されている。当該領域297は、側面表示部214の幅方向下側から上面表示部210へと延出して表示されている。体温が平熱を超えると、当該領域297は、上面表示部210から側面表示部212の方向に延びる。この表示態様では、体温を示す数値(この例では、「36.5℃」という表示。)は、当該領域297と共に帯状の表示部296に表示されている。しかし、体温を示す数値は、必須ではない。また、上面表示部210に、現在の時刻が表示されていないが、当該時刻が表示されていてもよい。
【0141】
[加速度センサを用いたアクティビティ情報の検出と表示の例示]
腕時計1に備えられる検出部としての加速度センサ610は、腕時計1の使用者のアクティビティに関する情報についても検出できる。例えば、何歩歩いたかという情報及び何Km歩いたかという情報は、加速度センサ610を通じて検知できる。歩いた歩数や距離は、側面表示部211~214に、その歩数や距離に応じて長さを変化させて表示可能である。
【0142】
以上のように、実施形態3に係る腕時計1は、加速度センサ610、血圧測定部630、脈拍測定部640、心電図測定部660及び体温測定部670からの情報を利用して、使用者の健康若しくはフィットネス情報、さらには当該フィットネス情報を含む広範なアクティビティに関する情報を表示部210~214に表示できるので、従来にない新しい価値をもった腕時計とすることができる。
【0143】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について説明する。実施形態4において、前述の各実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0144】
図29は、実施形態4に係る腕時計1を作動させるための制御系の構成を機能ブロック図として示す図である。なお、図29に示す機能ブロック図は、実施形態4に係る腕時計1が有する種々の機能のうち、主に表示を行うために必要な機能ブロック及び腕時計1の動きを検知するために必要なセンサが示されている。以下、図29を参照して、実施形態4に特有の機能について説明し、前述の各実施形態と共通する機能については重複した説明を省略する。
【0145】
腕時計本体100は、前述した各実施形態と同様の表示画像選択部410、画像データ記憶部420、同期信号発生部430、時刻データ発生部440及び表示制御部450の各種構成部に加えて、さらに、検出部として、マイク690及びGPS(Global Positioning System: 全地球測位システム)700を備える。腕時計本体100の少なくとも表示制御部450、マイク690及びGPS700は、CPU、GPUに代表される処理装置の動作によって各種処理を実行する。この実施形態では、マイク690を通じて音声により表示部210~214における表示の選択又は変更等を行うことができる。マイク690は演算部も含む。表示画像選択部410は、音声の入力による表示及びその切り替えをするモードの選択を可能とする。表示制御部450は、マイク690を通じて音声のデータを受け取ると、その音声を認識の上、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムに従って特定の画像データを読み出す。続いて、表示制御部450は、各駆動回路510~514によって表示部210~214に画像を表示させる。
【0146】
検出部としてGPS700を備えることにより、腕時計1が特定の位置範囲に入ると、特定の表示をするようにできる。また、実施形態4に係る腕時計1では、GPS700を通じて使用者の現在位置を表示部210~214に表示させることもできる。GPS700は演算部も含む。表示画像選択部410は、GPS700により使用者の位置を検出するモードの選択を可能とする。表示制御部450は、GPS700を通じて使用者の位置情報のデータを受け取ると、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムに従って特定の画像データ(地図データを含む。)を読み出す。続いて、表示制御部450は、各駆動回路510~514によって表示部210~214に、地図上に使用者の位置を示す画像を表示させる。
【0147】
[第1表示態様]
図30は、実施形態4に係る腕時計1の第1表示態様について説明するために示す図である。第1表示態様は、図30に示すように、映像のフレームを構成する複数の画像258が現在(上面)から過去(底面)へと堆積している様子が表示された表示態様である。そして、時間の経過とともに上面表示部210には複数の画像258のうち、より現在に近い画像が表示されるようになっている。また、4つの側面表示部211~214には堆積した複数の画像258の端面260が表示されている。画像258は、例えば、合計1000枚記憶されていて、そのうちの最新の100枚がベルト300上に露出して積載されているかのように表示部210~214に表示されている。最も新しい画像(No.1000とする。)258は、上面表示部210に表示されている。積載されている100枚の画像258のうちの最も下におかれている画像258は、最も古い画像258から数えて901枚目に相当する。最も古い画像258から900枚目までは、表示部210~214に表示されておらず、あたかも腕時計本体100よりも下方に埋まっているかのように位置づけられている。また、100枚分の画像258の端面260は、側面表示部211~214に表示されている。
【0148】
実施形態4において、第1表示態様を実行する場合、使用者は、表示画像選択部410として機能する表示画像選択画面から例えば「その他の表示モード」を選択し、さらに、「その他の表示モード」の中の複数の選択肢の中から例えば「映像フレーム」を選択する。使用者が映像フレームのモードを選択した後、に「1枚めくれ」という音声を発すると、マイク690は、その音声を受信する。表示制御部450は、マイク690からの音声を解析して、画像データ記憶部420から、画像258を1枚めくった状態の画像(最も古い画像258から数えて999枚目の画像: No.999)を読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って、当該画像を表示部210~214に表示する。表示制御部450による上記一連の動作は、画像データ記憶部420内に格納されているコンピュータプログラムに従って行われる。こうして、No.999の画像258が上面表示部210に表示される。100枚分の画像258の端面260は、側面表示部211~214に表示される。
【0149】
マイク690に発した音声に基づく表示又はその切り替え動作は、前述の各実施形態における1以上の表示態様を実行する場合にも応用可能である。
【0150】
例えば、実施形態2の第1表示態様において、マイク690に「ダンシング」といった指示をすることによって、現在時刻252を構成する数字が踊り出すようにしてもよい。画像データ記憶部420は、「ダンシング」という音声の受信に基づいて現在時刻252を構成する数字が踊り出すように表示させる画像データを格納している。表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に、数字が踊る表示を行わせる。このような例は、前述の実施形態2,3の他の表示態様についても同様である。なお、変形例として、腕時計1の通信部(不図示)と通信可能なスマートフォンに搭載される別のマイクに音声を発して、上述と同様の表示を行うこともできる。その場合、表示制御部450またはマイク690の演算部は、スマートフォンのマイクから無線若しくは有線にて受信した音声データに基づき、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の画像データを読み出し、各駆動回路510~514に信号を送って表示部210~214に、数字が踊る表示を行わせることができる。
【0151】
[第2表示態様]
図31は、実施形態4に係る腕時計1の第2表示態様について説明するために示す図である。第2表示態様は、図31に示すように、使用者が表示画像選択部410から、GPS機能モードを選択するか、或いはマイク690を通じて「GPS起動」といった音声を発することによって表示部210~214に表示可能である。GPS700を起動すると、表示制御部450は、画像データ記憶部420内のコンピュータプログラムにしたがって、画像データ記憶部420内の地図画像データを読み出す。地図画像の種類と、使用者の現在位置のデータは、GPS700が複数の人工衛星から受信した電波に基づいて決定される。表示制御部450は、GPS700からデータを受け取ると、各駆動回路510~514に信号を送って、表示部210~214に地図画像の表示298及び使用者の現在位置の表示299を行わせる。上面表示部210には、現在時刻252も表示されているが、現在時刻252が表示されないようにしてもよい。
【0152】
[マイク又はGPSを用いたアクティビティ情報の検出と表示の例示]
腕時計1に備えられる検出部としてのマイク690及びGPS700は、それぞれ単独で、或いは共同で、以下のようなアクティビティ情報の検出及び表示を実現するのに用いることができる。例えば、「イスに何時間すわっていたかという情報」、「イスに何時間連続して座ったかという情報」及び「何時間泳いだかという情報」については、マイク690及びGPS700を利用すれば容易に検知できる。イスに座る際或いは水泳開始の際に、マイク690に向けてその動作開始と動作終了の各音声を発すればよい。イスに座っている状態や水泳を継続している状態は、GPS700によって使用者の位置を検知すればわかる。また、「何を食べたかという情報」、「何カロリー摂取したかという情報」、「何時間映画を見たかという情報」、「何時間TVを見たかという情報」、「何時間本を読んだかという情報」及び「何時間仕事をしたかという情報」については、各動作の前後で、動作の種類と共に動作の開始と終了をマイク690に向けて音声を発することで容易に検知できる。
【0153】
以上のように、実施形態4に係る腕時計1は、マイク690及びGPS700からの情報を利用して表示部210~214に第1表示態様、第2表示態様、その他表示態様を表示できるので、従来にない新しい価値をもった腕時計とすることができる。
【0154】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態において、さらに、以下のような変形実施も可能である。例えば、加速度センサ610が第1閾値より大きな第2閾値を超えた加速度を検知したときに、表示部210~214に、実施形態2の第5表示態様又は第6表示態様の各表示が行われる(図18~20を参照。)。しかし、実施形態2における他の表示態様でも、加速度が予め設定されている第2閾値を超えた時に表示を変更するようにしてもよい。例えば、加速度が第2閾値を超えた場合、加速度が第1閾値から第2閾値の範囲内の場合よりも、表示されているオブジェクト(数字や液体など)を速く動かしてもよい。また、マイク690にて検知された音声に関しても1又は2以上の閾値を設けて、音声のデシベル値が所定の閾値を超えた場合には、表示されているオブジェクト(数字や液体など)を、より速く動くようにしてもよい。
【0155】
上述の実施形態1においては、撮像素子を腕時計又はベルトに設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。撮像素子を使用者の眼鏡やサングラスに設け、当該撮像素子を用いて撮像された腕時計の画像から前記腕時計の使用者の眼と前記腕時計との間の位置関係に関する情報を検出するようにしてもよい。
【0156】
上述の各実施形態及びその変形例においては、本発明を腕時計1とした場合について説明した。しかし、本発明は、腕時計1に限定されず、腕時計型表示装置とすることもできる。腕時計型表示装置は、腕時計1と同一又は類似の形態を有しており、時刻を表示しない装置又は時刻を表示するが時刻以外の表示を主目的とする装置をいう。腕時計型表示装置の場合においても、時刻表示を除き、上述の腕時計1と同様の構成とすることができる。すなわち、腕時計型表示装置では、図2の時計型表示装置本体(腕時計本体100に相当する。)は、その表面を構成する6面のうち、使用時に使用者の腕側を向く下面を除く5面それぞれの全域にわたって形成された5つの表示部としての各有機EL表示シート210~214と、5つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部450と、腕時計型表示装置の位置情報、姿勢情報、動き情報、及び使用者の健康関連情報のうち少なくとも1つの情報を検出する検出部と、を備える。表示制御部450は、検出部により検出された少なくとも1つの情報に基づいて5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する機能を有する。表示制御部450は、5つの表示部210~214のそれぞれに表示させる画像が連動又は関連するように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する機能を有する。例えば、表示制御部450は、使用者から見て、あたかも腕時計型表示装置本体の内部が透けて見えるように、5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御することができる。
【0157】
このように、本発明の腕時計型表示装置によれば、直方体の腕時計型表示装置本体の上面に加えて4つの側面をも利用して種々の画像を種々の態様で表示することが可能となる。このため、本発明の腕時計型表示装置によれば、従来にない新しい価値をもった腕時計型表示装置を提供することが可能となる。
【0158】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、実施形態1~4に係る腕時計1の各構成部の全て又は一部を備えてもよい。例えば、本発明の変形例に係る腕時計又は腕時計型表示装置は、実施形態1に係る腕時計1の撮像素子50,60及び演算部460と、実施形態2に係る腕時計1の加速度センサ610と、実施形態3に係る腕時計1の発光・受光部621、体温測定用センサ622、血圧測定部630、脈拍測定部640、心電図測定部660及び体温測定部670と、実施形態5に係る腕時計1のマイク690及びGPS700とのうちの全て又はその一部を備えてもよい。スマートフォンのマイクを通じた音声による表示またはその切り替えについては、実施形態4に限らず、他の実施形態でも可能である。
【0159】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、5つの表示部210~214の間(隣接する有機EL表示シートの間)に形成される隙間に黒色部材を埋設することによって、隙間を目立たなくした場合を例示したが、有機EL表示シートは、厚みが薄いものであるため、各有機EL表示シートの隣接部などには隙間が目立つほどに形成されない場合もある。このような場合には、各有機EL表示シートの隣接部などには黒色部材を埋設させなくてもよい。
【0160】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、5つの表示部210~214が5枚の有機EL表示シートからなる場合(図2(b)参照。)を例示し、また、上述の実施形態において、有機EL表示シートの変形例として、5つの表示部210~214が1枚の有機EL表示シートからなるものを例示したが、これに限られるものではない。すなわち、5つの表示部210~214が2枚から4枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、図32に示すように、5つの表示部210~214が3枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。図32においては、第1側面表示部211と上面表示部210と第3側面表示部213とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなっており、第2側面表示部212及び第4側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された2枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は3枚の有機EL表示シートからなる。
【0161】
なお、5つの表示部210~214が、3枚の有機EL表示シートからなる例としては、これに限られるものではなく、図示は省略するが、例えば、第2側面表示部212と上面表示部210と第4側面表示部214とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなっており、第1側面表示部212及び第3側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された2枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。これにより、5つの表示部210~214は3枚の有機EL表示シートからなる。
【0162】
また、図示は省略するが、5つの表示部210~214が、2枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、第1側面表示部211~第4側面表示部214が繋がった1枚の有機EL表示シートからなり、上面表示部210だけが切り離された1枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は2枚の有機EL表示シートからなる。
【0163】
同様に、図示は省略するが、5つの表示部210~214が、4枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。例えば、第1側面表示部211と上面表示部210とが繋がった1枚の有機EL表示シートからなり、第2側面表示部212、第3側面表示部213及び第4側面表示部214がそれぞれ1枚ずつに切り離された3枚の有機EL表示シートからなっている。これにより、5つの表示部210~214は4枚の有機EL表示シートからなる。
【0164】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、5つの表示部を有するものとして説明したが、5つの表示部を有するものでなくてもよい。すなわち、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、直方体の腕時計本体100又は腕時計型表示装置本体と、腕時計本体100又は腕時計型表示装置本体の表面を構成する6面のうち、「使用時に使用者の腕側を向く下面とは反対側の上面」及び「4つの側面の少なくとも1つの側面」のそれぞれの全域に渡って形成された少なくとも2つの表示部と、少なくとも2つの表示部のそれぞれの表示を制御する表示制御部と、を備えるものであってもよい。すなわち、上記各実施形態においては、少なくとも2つの表示部は、上面及び4つの側面から構成される5面のそれぞれの全域に渡って形成された5つの表示部としているが、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、5つの表示部ではなく、少なくとも2つの表示部を有するものであってもよい。
【0165】
図33は、表示部20が少なくとも2つの表示部からなる場合の一例を示す図である。図33においては、少なくとも2つの表示部として、2~4つの表示部を有している腕時計又は腕時計型表示装置の表示部200を展開して示している。図33において、図33(a)及び図33(b)は2つの表示部を有する場合であり、図33(c)~図33(f)は3つの表示部を有する場合であり、図33(g)~図33(i)は4つの表示部を有する場合である。なお、図33の各図に示すように、2~4つの表示部を有する腕時計又は腕時計型表示装置にあっては、有機EL表示シートからなる表示部を有しない面が存在するが、有機EL表示シートからなる表示部を有しない面にも保護部材を塗布及び硬化させるようにしてもよい。
【0166】
なお、図33の各図に示すように、2~4つの表示部を有している場合においても、各表示部は、複数枚の有機EL表示シートからなっていてもよく、1枚の有機EL表示シートからなっていてもよい。すなわち、図33(a)及び図33(h)は、各表示部がそれぞれ2枚の有機EL表示シートからなっている場合であり、図33(c)及び図33(e)は、各表示部がそれぞれ3枚の有機EL表示シートからなっている場合であり、図33(g)は、各表示部が4枚の有機EL表示シートからなっている場合である。また、図33(b)、図33(d)、図33(f)及び図33(i)は、各表示部が1枚の有機EL表示シートからなっている場合である。
【0167】
また、図32及び図33においては、上面表示部210が正方形となっているものもあるが、前述の各実施形態の説明で用いた図1などで示したように長方形であってもよい。逆に、前述の各実施形態においては、上面表示部210が長方形となっているが、上面表示部210は正方形であってもよい。
【0168】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、表示部200(5つの表示部210~214)は有機EL表示シートからなる場合を例示したが、マイクロLED(Light Emitting Diode)表示シートからなるものであってもよい。
【0169】
また、本発明の腕時計又は腕時計型表示装置は、上記実施形態において説明した表示態様による表示に限られるものではなく、例えば、図34及び図35に示すような表示態様(スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様)による表示も可能である。
【0170】
図34及び図35は、スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様を説明するために示す図である。スワイプ動作によって表示が切り替わる表示態様は、図34の上の図に示すように、初期状態として、上面表示部210、第1側面表示部211、第2側面表示部212及び第3側面表示部213の4つの表示部に第1の画像G1が表示され、残りの第4側面表示部214に第2の画像G2が表示されている。その後、図34の下の図に示すように、第1の画像G1と第2の画像G2との境界のうち任意の部分Pを指でスワイプすることにより、その第1の画像G1と第2の画像G2との境界、及び、第2の画像G2と図示されていない第3の画像G3との境界が引っ張られて移動するような表示をする。その後、任意の部分Pをさらに指でスワイプするとともに当該スワイプ動作を終了すると、図35に示すように、第1の画像G1と第2の画像G2との境界、及び、第2の画像G2と第3の画像G3との境界があたかも何かに吸着して止まるような表示をする表示態様である。
【0171】
なお、スワイプ動作によって表示が切り替わる表示例としては、例えば、アナログ/デジタルの表示切り替え、時計/カレンダーの表示切り替え、ロック解除などを例示できるが、これら以外にも種々の表示切り替えが可能である。実施形態に係る腕時計1においては、表示制御部450が上記のような表示態様が可能となるように5つの表示部210~214のそれぞれの表示を制御する。
【0172】
なお、第20表示態様を実現する場合、5つの表示部210~214として、5枚の有機EL表示シートそれぞれの表面にタッチパッドが配設されたタッチパネルを用いる。タッチパッドは黒色部材280又は保護部材290の表面に配設されていてもよい。
【符号の説明】
【0173】
1・・・腕時計、50・・・撮像素子(検出部)、60・・・撮像素子(検出部)、100・・腕時計本体、110・・・腕時計本体100の上面、111・・・腕時計本体100の第1側面、112・・・腕時計本体100の第2側面、113・・・腕時計本体100の第3側面、114・・・腕時計本体100の第4側面、120・・・第1電極群、200・・・表示部、210・・・上面表示部(上面用有機EL表示シート)、211・・・第1側面表示部(第1側面用有機EL表示シート)、212・・・第2側面表示部(第2側面用有機EL表示シート)、213・・・第3側面表示部(第3側面用有機EL表示シート)、214・・・第4側面表示部(第4側面用有機EL表示シート)、210~214・・・5つの表示部、211~214・・・4つの側面表示部(各側面表示部)、220・・・第2電極群、230・・・時針、240・・・分針、252・・・現在時刻、254・・・リボン、256・・・細かな粒子、258・・・複数の画像、260・・・端面、262・・・小さな球、264・・・疑似腕時計フレ-ム、265・・・液体、266・・・流れの方向、267・・・表示形態、268・・・円環領域、269・・・内部領域、270・・・脈拍表示、271・・・ハートマーク、272・・・ライン、280・・・黒色部材、285・・・脈拍測定時の表示、286・・・音楽に関する情報表示、287・・・ビジュアライザーの表示、290・・・保護部材、295・・・体温の表示、296・・・帯状の表示部、297・・・体温の高低を示す領域、298・・・地図画像の表示、299・・・現在位置の表示、300・・・ベルト、410・・・表示画像選択部、420・・・画像データ記憶部、430・・・同期信号発生部、440・・・時刻データ発生部、450・・・表示制御部、演算部・・・460、510・・・上面用有機EL表示シートの駆動回路、511・・・第1側面用有機EL表示シートの駆動回路、512・・・第2側面用有機EL表示シートの駆動回路、513・・・第3側面用有機EL表示シートの駆動回路、514・・・第4側面用有機EL表示シートの駆動回路、610・・・加速度センサ(3次元加速度センサ、検出部)、621・・・発光・受光部、622・・・体温測定用センサ、630・・・血圧測定部(血圧計、検出部)、640・・・脈拍測定部(脈拍計、検出部)、660・・・心電図測定部(心電計、検出部)、670・・・体温測定部(体温計、検出部)、690・・・マイク(検出部)、700・・・GPS(検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36