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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】床スラブ用の鉄筋支持部材
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20240816BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E04C5/18 104
E04B5/40 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020205862
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022092885
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】397000160
【氏名又は名称】株式会社豊和
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】柳井 徹
(72)【発明者】
【氏名】関 勝輝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 鐘悟
(72)【発明者】
【氏名】島田 稜子
(72)【発明者】
【氏名】山本 歩未
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029662(JP,A)
【文献】特開平08-189124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/18
E04B 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(A)に延びる床スラブ用のデッキプレート(3)と共に使用される支柱型の鉄筋支持部材(1a、1b)であって、
傾斜部分を介して幅方向(B)接続された山部分と谷部分を有するデッキプレート(3)の谷部分(3a2、3a3)に取付けられる位置決めベース(6a、6b)と、
位置決めベース(6a、6b)に取付けられた支柱(8)と、
前記支柱(8)に取付けられ且つ鉄筋(4、5)を支持する支持部材(11、12)と、を有し、
前記位置決めベース(6a、6b)は、板材で形成され、前記谷部分(3a2)の一方の側の傾斜部分(3c3)又は前記谷部分(3a3)の一方の側の端部(3d2)において長手方向に延びる要素(47、3d2)に当接して位置決めされる位置決め部(51、61)と、谷部分(3a2、3a3)の他方の側において前記位置決めベース(6a、6b)を前記谷部分(3a2、3a3)に固定する固定部(53、63)と、前記位置決め部(51、61)と前記固定部(53、63)の間で谷部分(3a2、3a3)の上に配置される平坦部(52、62)を有する、鉄筋支持部材(1a、1b)。
【請求項2】
前記固定部(53、63)は、溶接又はねじ留めによって前記位置決めベース(6a、6b)を前記谷部分(3a2、3a3)に固定する、請求項1に記載の鉄筋支持部材(1a、1b)。
【請求項3】
前記固定部(53、63)は、前記谷部分(3a2、3a3)の他方の側の傾斜部分(3c2、3c4)に設けられた凹部(47)に向けられたねじ孔(54、64)を有し、ねじを前記ネジ孔(54、64)にねじ込んで前記凹部(47)をねじで押圧することによって、前記位置決めベース(6a、6b)を前記谷部分(3a2、3a3)に固定する、請求項2に記載の鉄筋支持部材。
【請求項4】
前記支柱(8)は、一方の側の板(8a)と、他方の側の板(8b)と、一方の側の板(8a)と他方の側の板(8b)を上部で連結する架橋板(8c)を有し、架橋板(8c)の下側に且つ一方の側の板(8a)と他方の側の板(8b)の間に空間がある、請求項1~の何れか1項に記載の鉄筋支持部材(1a、1b)。
【請求項5】
前記支柱(8)は、台座(7)を介して前記位置決めベース(6a、6b)に取付けられ、前記台座(7)は、前記位置決めベース(6a、6b)に固定され、前記支柱(8)は、起立位置と伏せ位置との間を回動するように、回動軸線(7f)を中心に前記台座(7)に回動可能に取付けられ、
前記台座(7)は、前記支柱(8)を起立位置に位置決めするストッパー(7c)を有する、請求項1~の何れか1項に記載の鉄筋支持部材(1a、1b)。
【請求項6】
前記台座(7)は、前記支柱(8)が起立位置にあるときに前記ストッパー(7c)の反対側に位置するガイド(7g)を有し、前記支柱(8)が伏せ位置から起立位置に回動するとき、一方の側の板(8a)と他方の側の板(8b)の少なくとも一方は、前記ガイド(7g)を乗り越えるように撓み可能である、請求項5に記載の鉄筋支持部材(1a、1b)。
【請求項7】
床スラブ用のデッキプレートユニット(2)であって、
デッキプレート(3)と、
前記デッキプレート(3)に取付けられた請求項1~6のいずれか1項に記載の鉄筋支持部材(1)と、を有するデッキプレートユニット(2)。
【請求項8】
更に、前記支持部材(1)に保持された鉄筋(4、5)を有する請求項7に記載のデッキプレートユニット(2)。
【請求項9】
前記デッキプレート(3)は、山部分(3b2)と、前記山部分(3b2)の両側に幅方向(B)に連続する2つの傾斜部分(3c)と、前記2つの傾斜部分(3c)に幅方向(B)に連続する2つの谷部分(3a2、3a3)を有し、
第1列の複数の前記鉄筋支持部材(1a)が前記谷部分の一方(3a2)に取付けられ、第2列の複数の前記鉄筋支持部材(1b)が前記谷部分の他方(3a3)に取付けられ、
前記一方の谷部分(3a2)に取付けられた鉄筋支持部材(1)の支柱(8)は、起立位置において、長手方向(A)の一方の側で前記ストッパー(7c)に当接し、
前記他方の谷部分(3a3)に取付けられた鉄筋支持部材(1)の支柱(8)は、起立位置において、長手方向(A)の他方の側で前記ストッパー(7c)に当接する、請求項7又は8に記載のデッキプレートユニット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S造(鉄骨造)、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)等の建物(マンションやオフィスビル等)の床スラブに関する。
【背景技術】
【0002】
床スラブ用のデッキプレートユニットが知られている(特許文献1参照)。かかるデッキプレートユニットは、デッキプレートの上にスペーサを配置し、スペーサの上に下端筋、ラチス材(補強材)及び上端筋を上下方向に配置したものである。デッキプレートユニットを工場において製造し、その後、建物の建築現場に搬送する。建築現場において、デッキプレートユニットを並べて配置し、ひび割れ防止用の鉄筋を更に配置し、コンクリートを打設することによって、床スラブを形成する。
【0003】
かかるデッキプレートユニットにおいて、下端筋、ラチス材(補強材)及び上端筋は、下端筋を中心に回動可能であり、それらをスペーサの上に倒すことが可能である。それにより、デッキプレートユニットの高さを低くすることができ、デッキプレートユニットを倉庫又は置き場等に搬入する際やトラックで搬送する際の積重ね数を多くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-144413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたデッキプレートユニットでは、工場でデッキプレートユニットを製造することにより、現場での作業を軽減することができる。しかしながら、デッキプレートが比較的大きいため、工場における下端筋、ラチス材(補強材)及び上端筋の組立作業が大掛かりであり、工場での作業を効率的にする要望がある。
【0006】
また、特許文献1に記載されたデッキプレートユニットでは、起立させた下端筋、ラチス材及び上端筋の上を作業者が歩いたり、その上に物を置いたりすると、ラチス材が倒れたり撓んだりして、上端筋及び/又は下端筋の高さをそれぞれの所定の高さに維持できないことがある。
【0007】
また、床スラブの強度等の品質は、上端筋及び下端筋等の鉄筋が所定の高さに維持されることで確保されるため、建築現場では、鉄筋の高さの管理に多大な労力をかけている。建築現場におけるかかる管理作業を少なくして、材工コストを削減する要望もある。
【0008】
そこで、本発明は、建築現場及び工場における作業を少なくし又は容易にすることができると共に、工場におけるデッキプレートユニットの組立作業を効率的にすることができる床スラブ用の鉄筋支持部材、デッキプレートユニットを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、下端筋、ラチス材(補強材)及び上端筋の高さを所定の高さに維持して、建築現場における管理作業を軽減することにより、鉄筋支持部材、デッキプレートユニットの材工コストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、長手方向に延びる床スラブ用のデッキプレートと共に使用される支柱型の鉄筋支持部材は、傾斜部分を介して幅方向に接続された山部分と谷部分を有するデッキプレートの谷部分に取付けられる位置決めベースと、位置決めベースに取付けられた支柱と、支柱に取付けられ且つ鉄筋を支持する支持部材と、を有し、位置決めベースは、上記谷部分の一方の側の傾斜部分又は上記谷部分の一方の側の端部において長手方向に延びる要素に当接して位置決めされる位置決め部と、位置決めベースを上記谷部分に固定する固定部を有することを特徴とする。
【0011】
このように構成された鉄筋支持部材では、位置決めベースの位置決め部を、デッキプレートの長手方向に延びる要素に当接させて、固定部によって位置決めベースを谷部分に固定することにより、位置決めベースに取付けた支柱をデッキプレートの谷部分に対して容易に位置決めすることができ、したがって、複数の鉄筋支持部材の支柱を長手方向に容易に整列させることができる。また、鉄筋支持部材ごとに組立作業を工場で行ってからデッキプレートユニットを建築現場に運ぶことができ、デッキプレートユニットの組立作業を効率的にすることができる。
【0012】
本発明による鉄筋支持部材の実施形態において、固定部は、位置決めベースを谷部分に溶接によって固定してもよいし、ねじ留めによって固定してもよい。更に好ましくは、固定部は、上記谷部分の他方の側の傾斜部分に設けられた凹部に向けられたねじ孔を有し、ねじをネジ孔にねじ込んで凹部をねじで押圧することによって、位置決め部を、上記谷部分の一方の側の傾斜部分又は上記谷部分の一方の側の端部に押し付け、それにより、位置決めベースを上記谷部分に固定する。
【0013】
また、本発明による鉄筋支持部材の実施形態において、好ましくは、支柱は、台座を介して位置決めベースに取付けられ、台座は、位置決めベースに固定され、支柱は、起立位置と伏せ位置との間を回動するように、回動軸線を中心に台座に回動可能に取付けられ、台座は、支柱を起立位置に位置決めするストッパーを有する。
【0014】
このように構成された鉄筋支持部材では、支柱は、起立位置と伏せ位置との間を回動するように、回動軸線を中心に台座に回動可能に取付けられる。支柱を伏せ位置にすることにより、鉄筋支持部材の高さを低くして、倉庫又は置き場等に搬入する際やトラックで搬送する際のデッキプレートユニットの積重ね数を多くすることができる。また、台座は、支柱を起立位置に位置決めするストッパーを有し、それにより、建築現場において、支柱が起立位置に位置決めされたとき、鉄筋を支持する支持部材の高さを所定の高さに維持することができる。また、建築現場における鉄筋の高さの管理作業を少なくして、材工コストを削減することができる。
【0015】
また、本発明による鉄筋支持部材の実施形態において、好ましくは、支柱は、一方の側の板と、他方の側の板と、一方の側の板と他方の側の板を上部で連結する架橋板を有し、架橋板の下側に且つ一方の側の板と他方の側の板の間に空間がある。
【0016】
このように構成された鉄筋支持部材では、コンクリートは、支柱の架橋板の下側に且つ一方の側の板と他方の側の板の間に流れ、鉄筋支持部材の周りに隙間なくコンクリートを満たして鉄筋支持部材を安定させ、鉄筋を所定位置に配置した床スラブを形成する。
【0017】
この実施形態において、更に好ましくは、台座は、支柱が起立位置にあるときに前記ストッパーの反対側に位置するガイドを有し、支柱が伏せ位置から起立位置に回動するとき、一方の側の板と他方の側の板の少なくとも一方は、ガイドを乗り越えるように撓み可能である。
【0018】
このように構成された鉄筋支持部材では、支柱を伏せ位置から起立位置に回動可能であり、且つ、起立位置にある支柱がガイドとストッパーの間に拘束される。したがって、一旦支柱を伏せ位置から起立位置に回動させた後、支柱が起立位置から伏せ位置に容易に回動することを防止することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、床スラブ用の本発明によるデッキプレートユニットは、デッキプレートと、デッキプレートに取付けられた上記鉄筋支持部材とを有し、好ましくは、鉄筋支持部材に保持された上端筋及び下端筋を有する。
【0020】
このように構成されたデッキプレートユニットでは、上述した鉄筋支持部材の特徴により、鉄筋支持部材の高さを低くして、倉庫又は置き場等に搬入する際やトラックで搬送する際のデッキプレートユニットの積重ね数を多くすることができる。また、上端筋および下端筋の高さをそれぞれの所定の高さに確実に維持することができる。
【0021】
本発明による鉄筋支持部材ユニットの実施形態において、好ましくは、デッキプレートは、山部分と、山部分の両側に幅方向に連続する2つの傾斜部分と、2つの傾斜部分に幅方向に連続する2つの谷部分を有し、第1列の複数の鉄筋支持部材が谷部分の一方に取付けられ、第2列の複数の鉄筋支持部材が谷部分の他方に取付けられ、一方の谷部分に取付けられた鉄筋支持部材の支柱は、起立位置において、長手方向の一方の側でストッパーに当接し、他方の谷部分に取付けられた鉄筋支持部材の支柱は、起立位置において、長手方向の他方の側でストッパーに当接する。
【0022】
このように構成された鉄筋支持部材ユニットでは、一方の谷部分に取付けられた鉄筋支持部材の支柱は、起立位置において、長手方向の一方の側でストッパーに当接し、他方の谷部分に取付けられた鉄筋支持部材の支柱は、起立位置において、長手方向の他方の側でストッパーに当接する。したがって、上端筋の上に格子状の溶接金網を載せたとき、第1の列を鉄筋支持部材を伏せ位置に回動させることは、第2の列の鉄筋支持部材をストッパーに押し付けることになり、かかる回動が妨げられる。同様に、第2の鉄筋支持部材を伏せ位置に回動させることも妨げられる。その結果、上端筋および下端筋の高さをそれぞれの所定の高さに確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による鉄筋支持部材を含む床スラブの断面図である。
図2】起立位置にある本発明による鉄筋支持部材を含むデッキプレートユニットの正面図である。
図3】本発明による第1の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な左側面図である。
図4】本発明による第1の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な正面図である。
図5】本発明による第1の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な背面図である。
図6】伏せ位置にある本発明による第1の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な左側面図である。
図7】伏せ位置にある本発明による第1の実施形態及び第2の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な平面図である。
図8】本発明による第2の実施形態の鉄筋支持部材を示す図2のデッキプレートユニットの部分的な正面図である。
図9】伏せ位置にある本発明による第1の実施形態の鉄筋支持部材を示す正面図である。
図10】伏せ位置にある本発明による第2の実施形態の鉄筋支持部材を示す正面図である。
図11】デッキプレートユニットを積重ねた部分的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図10を参照して、本発明による鉄筋支持部材を説明する。かかる鉄筋支持部材は、例えば、マンション又はオフィスビル等の建物における鉄筋コンクリート造の床スラブの一部を構成する。
【0025】
図1は、本発明による支柱型の鉄筋支持部材1a、1bを含むデッキプレートユニット2を利用した床スラブの断面図である。床スラブは、複数のデッキプレートユニット2と、デッキプレートユニット2の上に配置された格子状の溶接金網19と、デッキプレートユニット2及び溶接金網19の周りに打設されたコンクリート20から構成されている。デッキプレートユニット2は、長手方向A(説明のために「前後方向A」とも言う。図3参照)に細長く、幅方向B(説明のために「左右方向B」とも言う。図1参照)に連結可能である。図1は、幅方向Bに連結された2つのデッキプレートユニット2を示している。
【0026】
図2に示すように、デッキプレートユニット2は、床スラブの型枠兼構造材であるデッキプレート3と、デッキプレート3の上に取付けられた複数の鉄筋支持部材1a、1bとを含み、好ましくは、鉄筋支持部材1a、1bに保持された上端筋4及び下端筋5を含んでいる。本発明による鉄筋支持部材の第1の実施形態である複数の鉄筋支持部材1aは、長手方向Aの第1の列に配置され、本発明による鉄筋支持部材の第2の実施形態である鉄筋支持部材1bは、長手方向Aの第2の列に配置されている。
【0027】
デッキプレート3は、幅方向Bに沿って、谷部分3a1~3a3と山部分3b1~3b2を交互に有しており、谷部分3a1~3a3と山部分3b1~3b2は、傾斜部分3c1~3c4で連結されている。本実施形態では、3つの谷部分3a1~3a3と、2つの山部分3b1~3b2と、4つの傾斜部分3c1~3c4を有している。両側の谷部分3a1、3a3はそれぞれ、複数のデッキプレート3を幅方向Bに連結することを可能にするフック状の係合部3d1、3d2を有している。両側の谷部分3a1、3a3の幅方向長さは、中央の谷部分3a2の幅方向長さの約半分であり、デッキプレート3を連結したときの谷部分の幅方向長さは、略均一になる。したがって、複数のデッキプレート3を幅方向Bに連結すると、所定の幅を有する山部分と所定の幅を有する谷部分による凹凸が連続的に形成される。デッキプレート3は、正面から見て単一の断面を有しているので、上述した及び以下に説明するデッキプレート3の各部分は、長手方向に延びる要素を構成する。
【0028】
左方の谷部分3a1の係合部3d1は、谷部分3a1の左端部に設けられ、上方に延びる第1の部分31と、第1の部分31から右方に延びる第2の部分32と、第1の部分31と第2の部分32によって形成され且つ右方に開放した凹部33を含んでいる。右方の谷部分3a3の係合部3d2は、谷部分3a3の右端部に設けられ、上方に延びる第1の部分34と、第1の部分34から右方に延びる第2の部分35と、第2の部分35から左方且つ下方に延びる第3の部分36と、第2の部分35と第3の部分36によって形成され且つ左方に開放した凹部37を含んでいる。複数のデッキプレート3が連結されるとき、係合部3d1の第1の部分31及び/又は第2の部分32が、係合部3d2の第2の部分35及び/又は第3の部分36に当接する。
【0029】
左方の谷部分3a1と左方の山部分3b1との間の傾斜部分3c1は、谷部分3a1の右端部から左斜め上方向に延びる第1の部分41と、第1の部分41から右斜め上方向に延びる第2の部分42と、谷部分3a1と第1の部分41の間に形成される凹部43と、第1の部分41と第2の部分42によって形成される凸部44を含んでいる。同様に、中央の谷部分3a2と右方の山部分3b2との間の傾斜部分3c3は、谷部分3a2の右端部から左斜め上方向に延びる第1の部分41と、第1の部分41から右斜め上方向に延びる第2の部分42と、谷部分3a2と第1の部分41の間に形成される凹部43と、第1の部分41と第2の部分42よって形成される凸部44を含んでいる。
【0030】
左方の山部分3b1と中央の谷部分3a2の間の傾斜部分3c2は、谷部分3a2の左端部から右斜め上方向に延びる第1の部分45と、第1の部分45から左斜め上方向に延びる第2の部分46と、谷部分3a2と第1の部分45の間に形成される凹部47と、第1の部分45と第2の部分46によって形成される凸部48を含んでいる。同様に、右方の山部分3b2と右方の谷部分3a3の間の傾斜部分3c4は、谷部分3a3の左端部から右斜め上方向に延びる第1の部分45と、第1の部分45から左斜め上方向に延びる第2の部分46と、谷部分3a3と第1の部分45の間に形成される凹部47と、第1の部分45と第2の部分46によって形成される凸部48を含んでいる。
【0031】
図3に示すように、複数の鉄筋支持部材1aは、長手方向Aに間隔をあけて配置されている。鉄筋支持部材1aは、デッキプレート3に取付けられる位置決めベース6aと、位置決めベース6aに取付けられた単一の支柱8を有し、本実施形態では、台座7が位置決めベース6aに固定され、支柱8は、起立位置(図3参照)と伏せ位置(図6参照)との間を移動するように、回動軸線7fを中心に台座7に回動可能に取付けられている。鉄筋支持部材1aは、更に、支柱8に取付けられ且つ上端筋4を支持する上側支持部材11と、支柱8に取付けられ且つ下端筋5を支持する下側支持部材12を有している。
【0032】
図3図7に示すように、台座7は、本実施形態では、板材で形成され、底壁7dと、底壁7dの幅方向Bの両端部からそれぞれ上方に延びる右側壁7a及び左側壁7bを有している。台座7は、位置決めベース6aにスポット溶接、ビス止め、両面テープ等で固定される。台座7の右側壁7a及び左側壁7bは、支柱8を回動軸線7fを中心に回動させるための軸8dを受入れる孔7eを有している。台座7の右側壁7a及び左側壁7bの上端部は、回動軸線7fよりも後側においてそれぞれ、左方及び右方(台座7の内側)に折曲げられ、支柱ストッパー7cを形成している(図4参照)。台座7の右側壁7aの上端部は、回動軸線7fよりも前側において、左方(台座7の内側)に折曲げられ、支柱ガイド7gを形成している(図5参照)。
【0033】
図7に示す平面視において、後側の支柱ストッパー7cは、略矩形であり、前側の支柱ガイド7gは、前側に向かって細くなる略三角形状を有する。起立位置における支柱8は、支柱ストッパー7cと支柱ガイド7gの間に拘束される。
【0034】
図3図5に示すように、支柱8は、本実施形態では、板材で形成され、細長い右側板8aと、細長い左側板8bと、右側板8a及び左側板8bの後縁を連結する架橋板8cを有する。右側板8aの下端部は、右側壁7aの左側に且つそれに隣接して配置され、左側板8bの下端部は、左側壁7bの右側に且つそれに隣接して配置される。架橋板8cは、上部に設けられ、それにより、前後方向Aに開放した空間が架橋板8cの下側に且つ右側板8aと左側板8bとの間に形成される。また、右側板8aの下端部は、伏せ位置から起立位置に移動するとき、三角形状の支柱ガイド7gに沿って左側板8bに向かって弾性的に撓み可能である(図5参照)。右側板8a及び左側板8bの前縁8h及び後縁8iはそれぞれ、補強のために、右側板の8aの撓みを妨げない程度に左方及び右方(台座7の内側)に折曲げられるのがよい。
【0035】
図6及び図7に示すように、デッキプレート3の谷部分3a2に取付けられている第1の列の鉄筋支持部材1aは、支柱8を前側に回動させたときに伏せ位置になる向きに配置されている。言い換えれば、第1の列の鉄筋支持部材1aは、支柱8を後側に回動させて起立位置にしたとき、軸7fに対して後側に位置するストッパー7cに当接する。
【0036】
上側支持部材11は、上端筋4を支持するためのものであり、本実施形態では、板材で形成されている。上側支持部材11は、支柱8の上端部に枢動可能に取付けられることが好ましい。上側支持部材11は、上端筋4が当接する支持面11dを有する支持板11aと、支持板11aの幅方向両端部から下方に延びる左右の下側板11bと、支持板11aの幅方向両端部から上方に延びる左右の上側板11cを有している。支持板11a及び左右の上側板11cは、上端筋4を受入れて保持するU字形部分を構成する。下側板11bは、支柱8の右側板8aと左側板8bの間に、好ましくはそれらに隣接して両持ち式に配置され、スプリングピンやビス等の軸8eを中心に枢動可能に支柱8に取付けられている。
【0037】
図4及び図5に示すように、上側板11cの間隔は、上方に向かうにしたがって小さくなる。上端筋4を上側板11cの間に配置するとき、上側板11cは、それらの間隔が広がるように弾性的に変形され、上端筋4に押圧力を付与して、上端筋4を保持する。上側板11cの先端部11eは折返され、上端筋4を受入れるガイド部を構成する。
【0038】
図3に示すように、上側板11cは、下側板11bの長手方向後側に設けられている。支柱8が起立位置にあり、且つ、支持面11dが水平方向に配置されるとき、支持面11dは、デッキプレート3に対する所定の第1の高さH1にあるように構成される。
【0039】
下側支持部材12は、下端筋5を保持するためのものであり、支柱8に枢動可能に取付けられている。本実施形態では、下側支持部材12は、下端筋5が当接する支持面12dを有する支持板12aと、支持板12aの下面に取り付けられた下側ブラケット12bと、支持板12aの幅方向両端部から上方に延びる左右の上側板12cを有している。支持板12a及び左右の上側板12cは、下端筋5を受入れて保持するU字形部分を構成する。下側ブラケット12bは、スプリングピンやビス等の軸8fを中心に枢動可能に支柱8の左側板8bに片持ち式に取付けられている。上側板12cは、下側ブラケット12bの長手方向位置と同じ長手方向位置に設けられている。支柱8が起立位置にあり、且つ、支持面12dが水平方向に配置されるとき、支持面12dは、デッキプレート3に対して、所定の第1の高さH1よりも低い所定の第2の高さH2にあることが好ましい。
【0040】
図4及び図5に示すように、上側板12cの間隔は、上方に向かうにしたがって小さくなる。下端筋5を上側板12cの間に配置するとき、上側板12cは、それらの間隔が広がるように弾性的に変形され、下端筋5に押圧力を付与して、下端筋5を保持する。上側板12cの先端部12eは折返され、下端筋5を受入れるガイド部を構成する。
【0041】
図6に示すように、支柱8が伏せ位置にあるとき、支柱8がデッキプレート3に当接し、下側支持部材12が位置決めベース6aに当接し、上側支持部材11の支持板11aが、架橋板8cの上に水平方向に当接することが好ましい。支柱8が伏せ位置にあるとき、上側支持部材11が反転して支持板11aを水平位置に戻しにくくなることを防止するために、下側板11bに突起11eを設け、突起11eに係合するピン等のストッパー11fを右側壁7a及び/又は左側壁7bに設けるのがよい。また、支柱8が伏せ位置にあるとき、デッキプレート3に対する上端筋4及び下端筋5の高さは、山部分3b1、3b2の高さよりも低いことが好ましい(図11参照)。
【0042】
図4及び図7に示すように、位置決めベース6aは、板材で形成され、デッキプレート3の谷部分3a2に取付けられる。位置決めベース6aは、傾斜部分3c3に当接して位置決めされる位置決め部51と、台座7が取付けられ且つ谷部分3a2の上に配置される平坦部52と、位置決めベース6aを谷部分3a2に固定させる固定部53を有している。平坦部52は、鉄筋支持部材1aがデッキプレート3の山部分3b2に隣接するように右方に設けられることが好ましい。位置決め部51は、本実施形態では、傾斜部分3c3の凹部43に押し付けられるように、平坦部52の右端から左方斜め上方に折曲げられた部分である。位置決め部51により、位置決めベース6a、したがって、鉄筋支持部材1aを傾斜部分3c3に対して位置決めする。固定部53は、傾斜部分3c2の凹部47にねじによって固定されるように、平坦部52の左端から左方斜め上方に折曲げられた部分であり、凹部47に向けられたねじ孔54を有する。位置決めベース6aは、補強のために、前後方向に延びる隆起部55、左右方向に延びる隆起部56、平坦部52の前縁及び後縁に設けられた折曲げ部57を有することが好ましい。
【0043】
第2の列の鉄筋支持部材1bの構成は、位置決めベース6aの代わりに位置決めベース6bが用いられていること以外、鉄筋支持部材1aの構成と共通している。図2に示すように、第2の列の鉄筋支持部材1bは、デッキプレート3の一方の山部分3b2に隣接して谷部分3a3に取付けられている。鉄筋支持部材1aと同様、複数の鉄筋支持部材1bが、長手方向Aに間隔をあけて配置されている。
【0044】
図7に示すように、デッキプレート3の谷部分3a3に取付けられている第2の列の鉄筋支持部材1bは、第1の列の鉄筋支持部材1aと反対の向きに、即ち、支柱8を後側に回動させたときに伏せ位置になる向きに配置されている。言い換えれば、第2の列の鉄筋支持部材1bは、支柱8を前側に回動させて起立位置にしたとき、軸7fに対して前側に位置するストッパー7cに当接する。したがって、図2等において、鉄筋支持部材1bの右側壁7a及び右側板8aは、左側に位置し、左側壁7b及び左側板8bは、右側に位置する。
【0045】
図7及び図8に示すように、位置決めベース6bは、板材で形成され、デッキプレート3の谷部分3a3に取付けられる。位置決めベース6bは、係合部3d2に当接して位置決めされる位置決め部61と、台座7が取付けられ且つ谷部分3a3の上に配置される平坦部62と、位置決めベース6bを谷部分3a3に固定させる固定部63を有している。平坦部52は、鉄筋支持部材1bがデッキプレート3の山部分3b2に隣接するように左方に設けられることが好ましい。位置決め部61は、本実施形態では、係合部3d2の第3の部分36に左方から当接するように係合部3d2に沿って折曲げられた部分である。位置決め部61により、位置決めベース6b、したがって、鉄筋支持部材1bを係合部3d2に対して位置決めする。固定部63は、傾斜部分3c4の凹部47にねじによって固定されるように、平坦部62の左端から左方斜め上方に折曲げられた部分であり、凹部47に向けられたねじ孔64を有する。位置決めベース6bは、補強のために、平坦部62の前縁及び後縁に設けられた折曲げ部67を有することが好ましい。
【0046】
次に、デッキプレートユニット2の組立方法を説明する。
【0047】
図9及び図10に示すように、製造工場において、伏せ位置にある複数の鉄筋支持部材1aをデッキプレート3の谷部分3a2に取付け、複数の鉄筋支持部材1bをデッキプレート3の谷部分3a3に取付ける。谷部分3a2に取付けられる鉄筋支持部材1aは、支柱8を前側に回動させたときに伏せ位置になる向きに配置され、谷部分3a3に取付けられる鉄筋支持部材1bは、支柱8を後側に回動させたときに伏せ位置になる向きに配置されることが好ましい。
【0048】
鉄筋支持部材1aでは、位置決めベース6aの位置決め部51を傾斜部分3c3の凹部43に当接させる。次いで、位置決めベース6aの固定部53のネジ孔54にねじをねじ込んでいくと、ねじが傾斜部分3c2の凹部47を押圧すると共に、位置決め部51が凹部43に押し付けられる。それにより、位置決めベース6aが谷部分3a2に固定される。ネジ孔54の位置及び軸線54aは、ドライバー等でのねじ込みを容易にするために、鉄筋支持部材1aと干渉しないように定められる。
【0049】
鉄筋支持部材1bでは、位置決めベース6bの位置決め部61を係合部3d2の第3の部分36に左方から当接させる。次いで、位置決めベース6bの固定部63のネジ孔64にねじをねじ込んでいくと、ねじが傾斜部分3c4の凹部47を押圧すると共に、位置決め部61が第3の部分36に押し付けられる。それにより、位置決めベース6bが谷部分3a3に固定される。ネジ孔64の位置及び軸線64aは、ドライバー等でのねじ込みを容易にするために、起立位置の鉄筋支持部材1bと干渉しないように定められる。
【0050】
鉄筋支持部材1a、1bを谷部分3a2、3a3に固定する長手方向位置は任意であり、鉄筋支持部材1a、1bが幅方向Bに整列していてもよいし、ずれていてもよい。
【0051】
次いで、上端筋4及び下端筋5をそれぞれ、上側支持部材11及び下側支持部材12のU字形部分に保持する。上端筋4および下端筋5は、水平方向に延びる(図7参照)。その結果、支柱8、上端筋4、及び下端筋5は、デッキプレート3の山部分3b2よりも低い位置にある。第1の列の鉄筋支持部材1aは、山部分3b1と山部分3b2の間に収容される。具体的には、上端筋4を折返し端部11eに押し付けると、上側板11cの間隔が広がって、上端筋4がU字形部分に受入れられる。上端筋4は、支持面11dに当接し、且つ、弾性復元力によって上側板11cの間で押圧され、上側支持部材11のU字形部分の中に保持される。下端筋5を下側支持部材12に保持する仕方も同様である。
【0052】
次に、デッキプレートユニット2の使用方法を説明する。
【0053】
図11に示すように、倉庫又は置き場等に搬入する際やトラックで搬送するとき、支柱8を伏せ位置にした状態で、デッキプレートユニット2を積重ねる。積重ねたデッキプレートユニット2の山部分3b1の間及び山部分3b2の間に、木材や合成樹脂等の支承材28を配置して、上に位置するデッキプレートユニット2を支えるのがよい。また、比較的重い鉄筋支持部材1a、1bの支持を補強するために、上に位置するデッキプレートユニット2の谷部分3a2、3a3が、下に位置するデッキプレートユニット2の上端筋4に当接して支持されることが好ましい。伏せ位置において、支柱8が谷部分3a2、3a3に当接し、上側支持部材11が支柱8の架橋板8cに当接しているので、積重ねたデッキプレートを安定的に支持することが可能である。
【0054】
建築現場において、支柱8を伏せ位置にしたまま、デッキプレートユニット2を所定位置に並べて、幅方向Bに連結する。上端筋4及び下端筋5を持上げると、第1の列の鉄筋支持部材1a又は第2の列の鉄筋支持部材1bの複数の支柱8が起立位置に向かって回動する。支柱8の右側板8bが台座7の支柱ガイド7gに係合した後も支柱8の回動を継続させると、支柱8の右側板8bが支柱ガイド7gに沿って左側板8aに向かって撓み、支柱ガイド7g乗り越え、支柱8の右側板8b及び左側板8aが支柱ストッパー7cに当接して停止する。このとき、支柱8が支柱ガイド7gと支柱ストッパー7cの間に拘束され、起立位置に位置決めされる。それにより、上端筋4及び下端筋5がそれぞれ、第1の高さH1及び第2の高さH2に配置される(図3参照)。次いで、ひび割れ防止用の溶接金網や異形鉄筋19を上端筋4の上に配置し、コンクリート20を打設することによって、床スラブを形成する。コンクリートは、支柱8の架橋板8cの下側に且つ右側板8b及び左側板8aの間に流れ、鉄筋支持部材1a、1bの周りに隙間なくコンクリートを満たして鉄筋支持部材を安定させ、鉄筋を所定位置に配置した床スラブを形成する。
【0055】
支柱8を伏せ位置にすることにより、鉄筋支持部材1の高さを低くして、倉庫又は置き場等に搬入する際やトラックで搬送する際のデッキプレートユニット2の積重ね数を多くすることができる。また、建築現場において、支柱8が起立位置に位置決めされたとき、上側支持部材11の支持面11dが上端筋4を第1の高さH1に安定的に支持し、下側支持部材12の支持面12dが下端筋5を第2の高さH2に安定的に支持する。その結果、上端筋4および下端筋5の高さをそれぞれの所定の高さに確実に維持することができる。
【0056】
また、建築現場において、支柱8が伏せ位置にあるとき、支柱8が谷部分3a2、3a3に当接し、上側支持部材11が支柱8の架橋板8cに当接しているので、作業者が上端筋4の上に乗ったり、物を支柱8の上に載せたりしても、上端筋4が移動したり、撓んだりすることが防止される。
【0057】
また、第1の列の鉄筋支持部材1aの向きと、第2の列の鉄筋支持部材1bの向きを逆にしているので、例えば溶接金網19に物や作業者が載ったとき、第1の列の鉄筋支持部材1aの支柱8に前側に回動させる力が働いたとしても、第2の列の鉄筋支持部材1bの支柱ストッパー7cが支柱8を前側に回動することを妨げ、結果として、全体の支柱8が起立位置に保持される。
【0058】
支柱8が伏せ位置にあるとき、上端筋4が下端筋5よりも高くなるように構成されているので、上端筋4をつかみやすくなる。上端筋4は、下端筋5よりも回動軸線7fから遠い側に配置されており、支柱8を伏せ位置から起立位置に移動させることが容易になる。
【0059】
以上、本発明による鉄筋支持部材の実施形態等を説明したけれども、以下の変更も可能である。
【0060】
上記実施形態では、固定部53、63にねじをねじ込むことによって、位置決めベース6a、6bを谷部分3a2、3a3に固定したけれども、別の実施形態では、固定部を谷部分3a2、3a3に当接した部分として構成し、固定部を谷部分3a2、3a3にスポット溶接、両面テープ等で固定してもよい。
【0061】
デッキプレートユニット2を組立てる際、製造工場において、上端筋4及び下端筋5を鉄筋支持部材1に予め配置しておけば、建築現場における作業を軽減でき、材工コストを著しく削減できるので好ましい。一方、製造工場において、上端筋4及び下端筋5を鉄筋支持部材1に配置せず、建築現場において、上端筋4及び下端筋5を鉄筋支持部材1に配置する場合であっても、上端筋4及び下端筋5の高さ位置が、上側支持部材11の支持面11d及び下側支持部材12の支持面12dによって自動的に精度よく定まるので、建築現場における高さ管理作業が軽減され、材工コストを削減することができる。
【0062】
上記実施形態では、上側支持部材11及び下側支持部材12は、支柱8に枢動可能に取付けられていたけれども、上端筋4及び下端筋5を建築現場で上側支持部材11及び下側支持部材12に取付ける場合や、支柱8を伏せ位置から起立位置に移動させるときに上端筋4及び下端筋5が上側支持部材11及び下側支持部材12に対して相対移動してもよい場合、上側支持部材11及び下側支持部材12は、支柱8に固定されてもよい。上記実施形態では、上側支持部材11及び下側支持部材12が設けられていたけれども、その一方だけが設けられていてもよい。また、支柱8は、上端筋4及び下端筋5に加えて、追加の鉄筋を支持してもよい。
【0063】
また、デッキプレート3の形態に応じて、上側支持部材11及び下側支持部材12はそれぞれ、回動軸線7fに対して垂直方向に(長手方向Aに)延びる上端筋4及び下端筋5を支持してもよいし、回動軸線7fに対して平行に(幅方向Bに)延びる上端筋4及び下端筋5を支持してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1a、1b 鉄筋支持部材
2 デッキプレートユニット
3 デッキプレート
3a1~3a3 デッキプレートの谷部分
3b1~3b2 デッキプレートの山部分
3c1~3c4 デッキプレートの傾斜部分
4 上端筋(鉄筋)
5 下端筋(鉄筋)
6a、6b 位置決めベース
7 台座
7c 支柱ストッパー(ストッパー)
7f 回動軸線
7g 支柱ガイド(ガイド)
8 支柱
8a 左側板(一方の側の板)
8b 右側板(他方の側の板)
11 上側支持部材(支持部材)
12 下側支持部材(支持部材)
51、61 位置決め部
53、63固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11