(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】認知機能判定システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240816BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240816BHJP
G10L 15/22 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G10L15/00 200L
G10L15/22 300U
(21)【出願番号】P 2020053345
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 亜明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 崇志
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/204935(WO,A1)
【文献】特開2019-020775(JP,A)
【文献】特開2010-092358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
A61B 5/00- 5/01
G10L 15/00
G10L 15/10
G10L 25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1特定質問を出題する第1出題ステップを実行した後に、前記第1特定質問と同種の第2特定質問、及び前記
第2特定質問に関連するプレ質問を出題する第2出題ステップを実行する出題部と、
前記
第1特定質問に対する
第1特定回答
又は前記第2特定質問に対する第2特定回答に基づいて被験者の認知機能を判定する判定部と、を備え、
前記出題部は、前記第2出題ステップにおいて、前記
第2特定質問の前に前記プレ質問を出題し
、
前記出題部は、前
記第1特定回答に応じて前記第2出題ステップを省略
し、
前記判定部は、
前記第2出題ステップが省略される場合には、前記第1特定回答に基づいて前記被験者の前記認知機能を判定し、
前記第2出題ステップが省略されない場合には、前記第2特定回答に基づいて前記被験者の前記認知機能を判定する、
認知機能判定システム。
【請求項2】
前記
第2特定回答の自由度は、前記プレ質問に対するプレ回答の自由度よりも高い、
請求項1に記載の認知機能判定システム。
【請求項3】
前記
第2特定質問に対して期待し得る前記
第2特定回答の長さは、前記プレ質問に対して期待し得るプレ回答の長さよりも長い、
請求項2に記載の認知機能判定システム。
【請求項4】
前記プレ回答は、前記
第2特定回答よりも制限される、
請求項2又は3に記載の認知機能判定システム。
【請求項5】
前記プレ質問に対するプレ回答に応じて前記第2出題ステップの出題内容が異なる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の認知機能判定システム。
【請求項6】
前記第2出題ステップでは、前記プレ回答に応じて前記
第2特定質問の内容が異なる、
請求項5に記載の認知機能判定システム。
【請求項7】
前記第1特定質問の内容と前記第2特定質問の内容とが同じである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の認知機能判定システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の認知機能判定システムとして、コンピュータシステムを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に認知機能判定システム、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、被験者の認知機能を判定するための認知機能判定システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、病院に通院する患者の認知症診断の用に供される認知症診断システムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の認知症診断システムでは、診察室に設置された端末装置にて医師等と患者の会話を録音し、認知症診断装置が、医師等と患者の会話に係る音声データを用いて、当該患者の認知症レベルを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような認知症診断システム(認知機能判定システム)の分野では、認知機能の判定精度を向上させるために、患者(被験者)の発話を促進することが可能なシステムが望まれている。
【0006】
本開示の目的は、被験者の発話を促進することが可能な認知機能判定システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る認知機能判定システムは、出題部と、判定部と、を備える。前記出題部は、第1特定質問を出題する第1出題ステップを実行した後に、前記第1特定質問と同種の第2特定質問、及び前記第2特定質問に関連するプレ質問を出題する第2出題ステップを実行する。前記判定部は、前記第1特定質問に対する第1特定回答又は前記第2特定質問に対する第2特定回答に基づいて被験者の認知機能を判定する。前記出題部は、前記第2出題ステップにおいて、前記第2特定質問の前に前記プレ質問を出題する。前記出題部は、前記第1特定回答に応じて前記第2出題ステップを省略する。前記判定部は、前記第2出題ステップが省略される場合には、前記第1特定回答に基づいて前記被験者の前記認知機能を判定し、前記第2出題ステップが省略されない場合には、前記第2特定回答に基づいて前記被験者の前記認知機能を判定する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記認知機能判定システムとして、コンピュータシステムを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、被験者の発話を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る認知機能判定システムによる検査状況を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の認知機能判定システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の認知機能判定システムの動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る認知機能判定システム1及び認知機能判定方法について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0013】
ただし、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、下記の実施形態及び変形例に限定されない。下記の実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
また、下記の実施形態等において説明する各図は、いずれも模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(1)概要
まず、本実施形態に係る認知機能判定システム1及び認知機能判定方法の概要について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る認知機能判定方法は、
図1に示すように、スマートスピーカ2を用いて、被験者P1の認知機能を判定するための方法であり、認知機能判定システム1にて実現される。認知機能判定システム1は、
図2に示すように、出題部111と、判定部113と、を備える。出題部111は、(第2)特定質問103(
図3参照)、及び(第2)特定質問103に関連するプレ質問102(
図3参照)を出題する。判定部113は、少なくとも(第2)特定質問103に対する(第2)特定回答203(
図3参照)に基づいて被験者P1(
図1参照)の認知機能を判定する。出題部111は、(第2)特定質問103の前にプレ質問102を出題する。本実施形態では一例として、被験者P1は高齢者であるが、被験者P1は高齢者に限らない。
【0017】
本開示でいう「認知機能」とは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断等の知的な能力を指し、例えば、記憶機能、注意機能、実行機能(遂行機能)、及び情報処理に分類される。「記憶機能」とは、自己の経験が保存され、その経験が後になって意識や行為の中に想起/再現(表現)される現象あるいはそれを支える機能をいう。「注意機能」とは、周囲の事物、事象の特定部分や複雑な心的活動の特定の側面に対して、選択的に反応したり注目したりするようにしむける意識の働きをいう。「実行機能」とは、計画を立てて順序よく物事を行う機能をいい、具体的には、目標設定、計画立案、計画実行、効果的遂行等の要素を含む。「情報処理」とは、外界から入力される情報(例えば、視覚情報、聴覚情報等)に対して処理を行う機能をいう。
【0018】
近年、高齢化社会の到来に伴い、認知症患者の増加が問題になっている。また、認知症に対する特効薬が未だ発見されていないことから、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)に注目が集まっている。軽度認知障害は、正常な状態(健常)と認知症との中間の状態である。
【0019】
このような軽度認知障害及び認知症の早期の段階では、記憶機能のうち、特にエピソード記憶(個人が経験した出来事に関する記憶)の障害がみられるため、認知機能の検査としては、自由発話によるエピソード記憶の検査が一般的である。しかしながら、このようなエピソード記憶の検査では、例えば、話すことが不得意な被験者の場合には発話量が少ないことから正常に検査を実施できない可能性がある。また、短時間で特定の記憶に辿り着くことができず、時間オーバーとなってしまう可能性もある。
【0020】
このような問題を解決するために、本実施形態に係る認知機能判定方法では、以下の構成を採用している。
【0021】
すなわち、本実施形態に係る認知機能判定方法は、
図3に示すように、(第2)出題ステップS3と、判定ステップS4と、を有する。(第2)出題ステップS3は、(第2)特定質問103、及び(第2)特定質問103に関連するプレ質問102を出題するステップである。判定ステップS4は、少なくとも(第2)特定質問103に対する(第2)特定回答203に基づいて被験者P1の認知機能を判定するステップである。そして、(第2)出題ステップS3では、(第2)特定質問103の前にプレ質問102が出題される。
【0022】
本実施形態に係る認知機能判定方法では、被験者P1の認知機能の判定に用いられる(第2)特定質問103の前に、(第2)特定質問103に関連するプレ質問102を出題している。そのため、被験者P1は、プレ質問102に対して回答することによって記憶の特定が容易になる。その結果、(第2)特定質問103に対する被験者P1の発話を促進することが可能となる。また、(第2)特定質問103の前にプレ質問102を出題することによって、(第2)特定質問103に対する、被験者P1の記憶の想起に要する時間を短縮することが可能となる。
【0023】
(2)詳細
次に、本実施形態に係る認知機能判定システム1の詳細について、
図2を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る認知機能判定システム1は、
図2に示すように、ネットワーク3を介してスマートスピーカ2に接続可能である。つまり、認知機能判定システム1は、ネットワーク3に接続されることによって、スマートスピーカ2との間で通信可能に構成されている。本実施形態では一例として、ネットワーク3はインターネットであるが、ネットワーク3はインターネットに限らない。
【0025】
(2.1)認知機能判定システム
認知機能判定システム1は、例えば、1又は複数のコンピュータを含むクラウドサーバである。認知機能判定システム1は、
図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。
【0026】
(2.1.1)制御部
制御部11は、認知機能判定システム1の各部を制御する。制御部11は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部11(後述の出題部111、分析部112及び判定部113を含む)の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよく、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0027】
制御部11は、例えば、通信部12及び記憶部13の各々と電気的に接続されている。制御部11は、通信部12を制御することにより、スマートスピーカ2との間で通信部12に通信を行わせる。また、制御部11は、記憶部13を制御することにより、被験者P1の音声データ等を記憶部13に記憶させる。
【0028】
また、制御部11は、
図2に示すように、出題部111と、分析部112と、判定部113と、を有している。
【0029】
出題部111は、第1出題ステップS1(
図3参照)及び第2出題ステップS3(
図3参照)を実行するように構成されている。第1出題ステップS1は、第2出題ステップS3の前に実行されるステップである。言い換えると、本実施形態に係る認知機能判定方法は、出題ステップとしての第2出題ステップS3の前に実行される第1出題ステップS1を更に有する。本実施形態では、出題部111は、
図3に示すように、第1出題ステップS1、第2出題ステップS3の順番で各出題ステップを実行するが、第1出題ステップS1を省略して第2出題ステップS3のみを実行してもよい。
【0030】
出題部111は、第1出題ステップS1では、第1特定質問101(
図3参照)を出題する。出題部111は、第2出題ステップS3では、プレ質問102(
図3参照)、及び第2特定質問103(
図3参照)を出題する。すなわち、出題ステップとしての第2出題ステップS3は、特定質問としての第2特定質問103、及び第2特定質問103に関連するプレ質問102を出題するステップである。言い換えると、出題ステップとしての第2出題ステップS3は、複数段階の質問を出題するステップである。つまり、出題部111は、第2出題ステップS3において、複数段階の質問を出題する。本実施形態では、複数段階の質問は、上述したように、プレ質問102と、第2特定質問103と、を含む。第2特定質問103は、複数段階の質問のうちの最後の質問である。また、プレ質問102は、複数段階の質問のうち最後の質問を除いた他の質問である。
【0031】
本実施形態では、第1特定質問101と第2特定質問103とが同種の質問である。すなわち、第1出題ステップS1では、第2特定質問103と同種の第1特定質問101を出題する。ここでいう「同種」とは、種類が同じであることを意味し、本実施形態では、被験者P1が過去に経験した出来事に関する質問を同種の質問という。また、本実施形態では、第2出題ステップS3において、第1特定質問101の内容と第2特定質問103の内容とが同じ場合と、第1特定質問101の内容と第2特定質問103の内容とが異なる場合と、が含まれている。
図3の例では、第1特定質問101と第2特定質問1031とが、同種の質問で、かつ内容が同じ質問であり、第1特定質問101と第2特定質問1032とが、同種の質問で、かつ内容が異なる質問である。プレ質問102は、第2特定質問103に関連する質問であって、第2出題ステップS3において第2特定質問103の前に出題される。すなわち、出題部111は、第2出題ステップS3において、第2特定質問103の前にプレ質問102を出題する。
【0032】
ここで、第1特定質問101及び第2特定質問103の各々は、例えば、自由発話の質問である。ここでいう「自由発話」とは、文字通り、自由に発話することをいう。この場合、第1特定質問101に対する回答である第1特定回答201、及び第2特定質問103に対する回答である第2特定回答203の各々は、回答の自由度が高く、回答を想定することは難しい。さらに、第1特定質問101又は第2特定質問103のような自由発話の質問では、期待し得る第1特定回答201又は第2特定回答203の長さが長い。
【0033】
一方、プレ質問102は、例えば、会話形式の質問である。プレ質問102に対する回答であるプレ回答202は、回答の自由度が低く、回答を想定することが可能である。さらに、プレ質問102のような会話形式の質問では、期待し得るプレ回答202の長さが短い。要するに、第2特定回答203の自由度は、プレ回答202の自由度よりも高い。また、第2特定質問103に対して期待し得る第2特定回答203の長さは、プレ質問102に対して期待し得るプレ回答202の長さよりも長い。言い換えると、プレ回答202は、第2特定回答203よりも制限される。本実施形態では、第2特定質問103に対する第2特定回答203が第2の回答であり、プレ質問102に対するプレ回答202が第1の回答である。
【0034】
本開示でいう「回答の自由度」とは、回答として選択可能な範囲、回答の複雑性、及び回答に含まれる音節の数のうち少なくとも1つを含む概念をいう。回答として選択可能な範囲が広くなるほど、回答の複雑性が高くなるほど、回答に含まれる音節が多くなるほど、回答の自由度は高くなる。例えば、選択式の質問、短答式の質問、及び記述式の質問がある場合、選択式の質問、短答式の質問、記述式の質問の順に回答の自由度が高くなる。また、本開示でいう「制限される」とは、回答の自由度が低いことをいう。本実施形態では、プレ質問102が選択式の質問又は短答式の質問に相当し、第1特定質問101及び第2特定質問103が記述式の質問に相当する。
【0035】
本実施形態では、上述したように、第2出題ステップS3において、第2特定質問103の前にプレ質問102を出題する。これにより、人と話しているような感じを被験者P1に与えることができ、被験者P1にとって話しやすい環境を作ることができる。また、被験者P1が、第2特定質問103に関連するプレ質問102に答えることによって、記憶の特定が容易になるという利点もある。その結果、被験者P1の発話を促進することが可能となる。
【0036】
分析部112は、分析ステップS2(
図3参照)を実行するように構成されている。具体的には、分析部112は、分析ステップS2において、被験者P1の音声データに基づいて、被験者P1の音声に対する音響分析及び言語分析を実行する。
【0037】
分析部112は、音響分析では、被験者P1の音声の特徴量として、例えば、発話時間長、音節の数、ポーズの時間長、ポーズの割合、ポーズの数、発話速度、調音速度、一回発話時間長の標準偏差、及び一回発話時間長の平均のうち少なくとも1つを求める。発話時間長は、上記音声データに含まれる音声全体(ポーズを含む)の時間長である。音節の数は、上記音声データに含まれる音節の数である。ポーズの時間長は、上記音声データに含まれる1つ以上のポーズの時間長の合計である。ポーズの割合は、上記音声データに占めるポーズの割合である。ポーズの数は、上記音声データに含まれるポーズの数である。発話速度は、発話時間長に基づく単位時間当たりの音節数(モーラ数)である。調音速度は、発話時間長からポーズの時間長を引いた時間長に基づく単位時間当たりの音節数(モーラ数)である。一回発話時間長の標準偏差は、上記音声データに含まれる複数の発話時間長に基づく標準偏差である。一回発話時間長の平均は、上記音声データに含まれる複数の発話時間長に基づく平均である。なお、分析部112は、音響分析の精度を向上させるために、2つ以上の特徴量を求めることが好ましい。
【0038】
また、分析部112は、言語分析では、被験者P1の音声の特徴量として、例えば、上記音声データに含まれる指示代名詞の数、フィラーの数、及び類似性の高い文章の反復回数のうち少なくとも1つを求める。指示代名詞は、事物・場所・方角を指す言葉であって、「あれ」、「それ」等を含む。フィラーは、発話の合間に挟み込む言葉であって、「ええと」、「まあ」、「あー」等を含む。なお、分析部112は、言語分析の精度を向上させるために、2つ以上の特徴量を求めることが好ましい。
【0039】
分析部112は、音響分析の結果、及び言語分析の結果を判定部113に出力する。
【0040】
判定部113は、判定ステップS4(
図3参照)を実行するように構成されている。本実施形態では、上述したように、第2出題ステップS3の前に第1出題ステップS1を実行する。そのため、判定部113は、第1特定質問101に対する第1特定回答201に基づいて被験者P1の認知機能を判定可能であれば、判定ステップS4において、第1特定回答201に基づいて被験者P1の認知機能を判定する。この場合、第2出題ステップS3については省略することが好ましい。すなわち、第1特定質問101に対する第1特定回答201に応じて第2出題ステップS3を省略することが好ましい。これにより、被験者P1の認知機能の判定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0041】
また、判定部113は、第1特定回答201に基づいて被験者P1の認知機能を判定可能でなければ、判定ステップS4において、少なくとも第2特定質問103に対する回答である第2特定回答203に基づいて被験者P1の認知機能を判定する。言い換えると、判定部113は、判定ステップS4において、複数段階の質問のうち少なくとも第2特定質問103に対する第2特定回答203を、プレ質問102に対するプレ回答202と区別して、被験者P1の認知機能の判定に用いる。すなわち、判定部113は、判定ステップS4において、第2出題ステップS3の結果に基づいて被験者P1の認知機能を判定する。本実施形態では、判定部113は、判定ステップS4において、プレ回答202及び第2特定回答203のうち、第2特定回答203のみを被験者P1の認知機能の判定に用いる。これにより、判定ステップS4での処理負担を軽減することが可能となる。
【0042】
具体的には、判定部113は、分析部112の分析結果である、被験者P1の音声の特徴量に基づいて、被験者P1の認知機能を判定する。この際、判定部113は、学習済モデルを用いて被験者P1の認知機能を判定する。学習済モデルは、例えば、ロジスティック回帰モデルである。学習済モデルは、後述の記憶部13に記憶されている。
【0043】
学習済モデルは、与えられた入力(特徴量)に対して、被験者P1の認知機能の程度を示す値を出力するように設計されている。判定部113は、音声データから得られた少なくとも1つの特徴量を学習済モデルに与え、これによって学習済モデルから得られた値に基づいて、被験者P1の認知機能を判定する。このような学習済モデルは、認知機能の程度を示す値と特徴量との関係を規定する学習用データ(データセット)を用いた教師あり学習により生成することができる。
【0044】
ここで、分析部112は、音響分析では、被験者P1の音声の特徴量として、発話時間長、音節の数、ポーズの時間長、ポーズの割合、ポーズの数、発話速度、調音速度、一回発話時間長の標準偏差、及び一回発話時間長の平均のうち少なくとも1つを求めている。また、分析部112は、言語分析では、被験者P1の音声の特徴量として、指示代名詞の数、フィラーの数、及び類似性の高い文章の反復回数のうち少なくとも1つを求めている。そして、判定部113は、これらの特徴量に基づいて、被験者P1の認知機能を判定している。すなわち、本実施形態に係る認知機能判定システム1では、判定部113は、被験者P1の発話の流暢性に基づいて被験者P1の認知機能を判定している。言い換えると、判定ステップS4では、少なくとも第2特定回答203の流暢性に基づいて被験者P1の認知機能を判定する。なお、判定部113は、認知機能の判定精度を向上させるために、複数の特徴量に基づいて被験者P1の認知機能を判定することが好ましい。
【0045】
(2.1.2)通信部
通信部12は、スマートスピーカ2(の通信部22)との間で通信を行うための通信インターフェースである。通信部12は、上述したように、ネットワーク3に接続可能であり、ネットワーク3を介してスマートスピーカ2との間で通信を行う。通信部12は、例えば、スマートスピーカ2から、被験者P1の音声データを受信する。また、通信部12は、例えば、スマートスピーカ2に対して、少なくとも第1特定質問101の音声データを送信する。さらに、通信部12は、スマートスピーカ2に対して、判定部113の判定結果を含む結果データを送信する。
【0046】
(2.1.3)記憶部
記憶部13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部13は、スマートスピーカ2から送られてくる被験者P1の音声データを、被験者P1の識別情報に紐付けて記憶する。識別情報は、例えば、被験者P1の氏名であってもよいし、被験者P1に予め割り当てられたID(identification)番号等であってもよい。また、記憶部13は、上述の学習済モデルを記憶する。
【0047】
(2.2)スマートスピーカ
スマートスピーカ2は、
図2に示すように、制御部21と、通信部22と、音声入出力部23と、操作部24と、記憶部25と、を備えている。
【0048】
(2.2.1)制御部
制御部21は、スマートスピーカ2の各部を制御する。制御部21は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部21の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよく、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0049】
制御部21は、例えば、通信部22、音声入出力部23、操作部24及び記憶部25の各々と電気的に接続されている。制御部21は、通信部22を制御することにより、認知機能判定システム1との間で通信部22に通信を行わせる。制御部21は、音声入出力部23を制御することにより、被験者P1の音声データを取得し、さらに被験者P1に対して結果データを出力する。制御部21は、操作部24からの操作入力を受け付ける。制御部21は、記憶部25を制御することにより、認知機能判定システム1からの結果データ等を記憶部25に記憶させる。
【0050】
(2.2.2)通信部
通信部22は、認知機能判定システム1(の通信部12)との間で通信を行うための通信インターフェースである。通信部22は、上述したように、ネットワーク3に接続可能であり、ネットワーク3を介して認知機能判定システム1との間で通信を行う。通信部22は、例えば、認知機能判定システム1から、少なくとも第1特定質問101に対応する音声データを受信する。さらに、通信部22は、認知機能判定システム1から、判定部113の判定結果を含む結果データを受信する。また、通信部22は、例えば、認知機能判定システム1に対して、被験者P1の音声データを送信する。
【0051】
(2.2.3)音声入出力部
音声入出力部23は、例えば、マイクロホン及びスピーカを含む。マイクロホンは、被験者P1が発した音声を含む音を音声データ(音声信号)に変換し、この音声データを制御部21に出力する。スピーカは、例えば、認知機能判定システム1から送られてくる音声データ(音声信号)を、音声(音)に変換して出力する。
【0052】
(2.2.4)操作部
操作部24は、開始ボタンを含む複数の押ボタンを有している。開始ボタンは、認知機能判定システム1による認知機能の検査を開始するためのボタンである。すなわち、被験者P1が操作部24の開始ボタンを押すことによって、被験者P1の認知機能の検査が開始される。
【0053】
(2.2.5)記憶部
記憶部25は、例えば、EEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部25は、音声入出力部23のマイクロホンを介して入力された被験者P1の音声データを、被験者P1の上記識別情報に紐付けて記憶する。また、記憶部25は、認知機能判定システム1から送られてくる結果データを、被験者P1の上記識別情報に紐付けて記憶する。ただし、本実施形態では、認知機能判定システム1の記憶部13に被験者P1の音声データを記憶させているため、被験者P1の音声データについては記憶部25に記憶させなくてもよい。この場合、スマートスピーカ2は、被験者P1の音声データを、必要に応じて認知機能判定システム1から取得すればよい。
【0054】
(3)認知機能判定方法
次に、本実施形態に係る認知機能判定方法について、
図3を参照して説明する。
【0055】
本実施形態に係る認知機能判定方法は、出題ステップとしての第2出題ステップS3と、判定ステップS4と、を有する。第2出題ステップS3は、特定質問としての第2特定質問103、及び第2特定質問103に関連するプレ質問102を出題するステップである。判定ステップS4は、少なくとも第2特定質問103に対する第2特定回答203に基づいて被験者P1の認知機能を判定するステップである。出題ステップS3では、第2特定質問103の前にプレ質問102が出題される。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る認知機能判定方法は、本実施形態に係る認知機能判定システム1を用いて、被験者P1の認知機能を判定するための方法である。この認知機能判定方法では、上述したように、第2出題ステップS3において、第2特定質問103の前に、第2特定質問103に関連するプレ質問102を出題する。そのため、被験者P1は、プレ質問102に対して回答することによって記憶の特定が容易になる。その結果、第2特定質問103に対する被験者P1の発話を促進することが可能となる。また、第2特定質問103の前にプレ質問102を出題することによって、第2特定質問103に対する、被験者P1の記憶の想起に要する時間を短縮することが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る認知機能判定方法では、少なくとも第2特定回答203に基づいて被験者P1の認知機能を判定している。そのため、例えば、プレ回答202と第2特定回答203とに基づいて被験者P1の認知機能を判定することで、被験者P1の認知機能の判定精度を向上させることが可能である。
【0058】
また、本実施形態に係る認知機能判定方法では、第2特定質問103及びプレ質問102を出題する第2出題ステップS3の前に、第1特定質問101を出題する第1出題ステップS1を実行する。この場合において、第1特定質問101と第2特定質問103とは同種の質問である。そして、本実施形態に係る認知機能判定方法では、第1特定質問101に対する被験者P1の第1特定回答201に基づいて被験者P1の認知機能を判定可能であれば、第2出題ステップS3を省略することができる。これにより、被験者P1の認知機能の判定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0059】
図3は、本実施形態に係る認知機能判定方法を含む、認知機能判定システム1の動作の流れ図である。
【0060】
認知機能判定システム1は、被験者P1によってスマートスピーカ2の操作部24の開始ボタンが押されると、被験者P1の認知機能の検査を開始し、まず第1出題ステップS1を実行する。第1出題ステップS1では、認知機能判定システム1は、「最近見た一番印象に残った夢はなんですか」との第1特定質問101の音声データを、ネットワーク3を介してスマートスピーカ2に送信する。スマートスピーカ2は、認知機能判定システム1からの上記音声データに基づいて、第1特定質問101を出力する。被験者P1は、スマートスピーカ2からの第1特定質問101に対して、第1特定回答201を発話する。被験者P1の第1特定回答201は、マイクロホンを介してスマートスピーカ2に入力され、ネットワーク3を介してスマートスピーカ2から認知機能判定システム1に送信される。
【0061】
次に、認知機能判定システム1は、分析ステップS2を実行する。分析ステップS2では、認知機能判定システム1は、被験者P1の音声データに基づいて音響分析及び言語分析を行う。認知機能判定システム1は、例えば、音響分析の分析結果である発話時間長(発話量)が目標量以上であれば、判定ステップS4を実行する。判定ステップS4では、認知機能判定システム1は、被験者P1の認知機能を判定する。この場合、認知機能判定システム1は、第1特定質問101に対する被験者P1の第1特定回答201に基づいて被験者P1の認知機能を判定することができるため、第2出題ステップS3を省略する。
【0062】
一方、認知機能判定システム1は、発話時間長(発話量)が目標量を下回っていれば、第2出題ステップS3を実行する。第2出題ステップS3では、認知機能判定システム1は、プレ質問102及び第2特定質問103の各々の音声データを、ネットワーク3を介してスマートスピーカ2に送信する。スマートスピーカ2は、認知機能判定システム1から送られてくる音声データに基づいて、プレ質問102又は第2特定質問103を出力する。
【0063】
次に、第2出題ステップS3について、
図3を参照して詳しく説明する。ここでは、スマートスピーカ2と被験者P1との間の処理について説明し、認知機能判定システム1とスマートスピーカ2との間の処理については説明を省略する。すなわち、認知機能判定システム1とスマートスピーカ2との間で音声データを送受信する処理についての説明を省略する。
【0064】
第2出題ステップS3では、スマートスピーカ2は、まず、「昨日は何時に寝ましたか」とのプレ質問1021を出力する(S301)。プレ質問1021に対して、被験者P1が「11時です」とのプレ回答2021を発話した場合(S302)、スマートスピーカ2は、「昨日は夢を見ましたか」との次のプレ質問1022を出力する(S304)。プレ質問1022に対して、被験者P1が「はい/いいえ」とのプレ回答2023を発話した場合(S305)、スマートスピーカ2は、「最近見た一番印象に残った夢はなんですか」との第2特定質問1031を出力する(S306)。第2特定質問1031に対して、被験者P1が「夢の中で・・・小学校時代の友達と一緒に・・・動物園に行って」との第2特定回答2031を発話すると(S307)、認知機能判定システム1は、第2特定回答2031の音声データに基づいて、音響分析及び言語分析を行う(S2)。認知機能判定システム1は、例えば、音響分析の分析結果である発話時間長(発話量)が目標量以上であれば、判定ステップS4を実行する。一方、認知機能判定システム1は、発話時間長(発話量)が目標量を下回っていれば、被験者P1の認知機能を判定できなかった旨の通知をスマートスピーカ2から出力させる。
【0065】
また、プレ質問1021に対して、被験者P1が「忘れました」とのプレ回答2022を発話した場合(S303)、スマートスピーカ2は、プレ質問1022の代わりに、「子供の時はどの小学校に通っていたのですか」とのプレ質問1023を出力する(S308)。プレ質問1023に対して、被験者P1が「○○小学校」とのプレ回答2024を発話した場合(S309)、スマートスピーカ2は、「小学校生活は楽しかったですか」との次のプレ質問1024を出力する(S310)。プレ質問1024に対して、被験者P1が「はい/いいえ」とのプレ回答2025を発話した場合(S311)、スマートスピーカ2は、「小学校の運動会の様子を教えていただけますか」との第2特定質問1032を出力する(S312)。第2特定質問1032に対して、被験者P1が「運動会では・・・」との第2特定回答2032を発話すると(S313)、認知機能判定システム1は、第2特定回答2032の音声データに基づいて、音響分析及び言語分析を行う(S2)。認知機能判定システム1は、例えば、音響分析の分析結果である発話時間長(発話量)が目標量以上であれば、判定ステップS4を実行する。一方、認知機能判定システム1は、発話時間長(発話量)が目標量を下回っていれば、被験者P1の認知機能を判定できなかった旨の通知をスマートスピーカ2から出力させる。
【0066】
このように、本実施形態に係る認知機能判定方法では、プレ質問102に対するプレ回答202に応じて、第2出題ステップS3の出題内容、すなわち次のプレ質問102の内容が異なっている。これにより、プレ回答202に応じて第2出題ステップS3の出題内容を変えることが可能となる。また、本実施形態に係る認知機能判定方法では、第2出題ステップS3において、プレ質問102に対するプレ回答202に応じて、第2特定質問103の内容が異なっている。これにより、プレ質問102に対するプレ回答202に応じて、第2特定質問103の内容を変えることが可能となる。
【0067】
ここで、第2出題ステップS3におけるプレ質問102及び第2特定質問103の出題順序は一例であって、プレ質問102及び第2特定質問103の順序が適宜入れ替わっていてもよい。ただし、第2出題ステップS3における最後の質問は、第2特定質問103である。さらに、第2出題ステップS3におけるプレ質問102及び第2特定質問103の各々の個数についても一例であって、
図3に示す例に限定されない。
【0068】
また、第1特定質問101及び第2特定質問103の各々の内容は一例であって、第1特定質問101と第2特定質問103とが同種の質問であれば、他の質問であってもよい。さらに、プレ質問102についても一例であって、第2特定質問103に関連する質問であれば、他の質問であってもよい。
【0069】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る認知機能判定方法と同様の機能は、認知機能判定システム1、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、上述の認知機能判定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0070】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0071】
本開示における認知機能判定システム1は、例えば、制御部11に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における認知機能判定システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0072】
また、認知機能判定システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは認知機能判定システム1に必須の構成ではない。認知機能判定システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、認知機能判定システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0073】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている認知機能判定システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0074】
上述の実施形態では、認知機能判定システム1がクラウドサーバであるが、認知機能判定システム1は、例えば、スマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータであってもよい。さらに、認知機能判定システム1は、例えば、スマートスピーカであってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、第2特定質問103及びプレ質問102を出題する第2出題ステップS3の前に、第1特定質問101を出題する第1出題ステップS1を実行しているが、第1出題ステップS1については省略されてもよい。
【0076】
上述の実施形態では、判定ステップS4において、第1特定回答201又は第2特定回答203に基づいて被験者P1の認知機能を判定しているが、これに限らない。例えば、判定ステップS4において、第1特定回答201又は第2特定回答203と、プレ回答202とに基づいて被験者P1の認知機能を判定してもよい。この場合、例えば、第1特定回答201又は第2特定回答203と、プレ回答202とに対して重み付けを行ってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、プレ質問102に対して、音声にてプレ回答202を行っているが、これに限らない。例えば、プレ質問102に対して、スマートスピーカ2に設けられた操作部24を操作することによってプレ回答202を行ってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、認知機能判定システム1と被験者P1との間で認知機能の検査を行っているが、検査者と被験者P1との間で認知機能判定システム1を用いて認知機能の検査を行ってもよい。
【0079】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る認知機能判定方法は、出題ステップ(S3)と、判定ステップ(S4)と、を有する。出題ステップ(S3)は、特定質問(103)、及び特定質問(103)に関連するプレ質問(102)を出題するステップである。判定ステップ(S4)は、少なくとも特定質問(103)に対する特定回答(203)に基づいて被験者(P1)の認知機能を判定するステップである。出題ステップ(S3)では、特定質問(103)の前にプレ質問(102)が出題される。
【0080】
この態様によれば、被験者(P1)の認知機能の判定に用いられる特定質問(103)の前に、特定質問(103)に関連するプレ質問(102)を出題するので、特定質問(103)に対する被験者(P1)の発話を促進することが可能となる。
【0081】
第2の態様に係る認知機能判定方法では、第1の態様において、特定回答(203)の自由度は、プレ質問(102)に対するプレ回答(202)の自由度よりも高い。
【0082】
この態様によれば、プレ回答(202)よりも自由度の高い特定回答(203)に基づいて被験者(P1)の認知機能を判定するので、認知機能の判定精度を向上させることが可能となる。
【0083】
第3の態様に係る認知機能判定方法では、第2の態様において、特定質問(103)に対して期待し得る特定回答(203)の長さは、プレ質問(102)に対して期待し得るプレ回答(202)の長さよりも長い。
【0084】
この態様によれば、プレ回答(202)よりも長い特定回答(203)に基づいて被験者(P1)の認知機能を判定するので、認知機能の判定精度を向上させることが可能となる。
【0085】
第4の態様に係る認知機能判定方法では、第2又は第3の態様において、プレ回答(202)は、特定回答(203)よりも制限される。
【0086】
この態様によれば、プレ質問(102)に対して被験者(P1)が回答しやすいという利点がある。
【0087】
第5の態様に係る認知機能判定方法では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、プレ質問(102)に対するプレ回答(202)に応じて出題ステップ(S3)の出題内容が異なる。
【0088】
この態様によれば、プレ回答(202)に応じて出題内容を変えることが可能となる。
【0089】
第6の態様に係る認知機能判定方法では、第5の態様において、出題ステップ(S3)では、プレ回答(202)に応じて特定質問(103)の内容が異なる。
【0090】
この態様によれば、プレ回答(202)に応じて特定質問(103)の内容を変えることが可能となる。
【0091】
第7の態様に係る認知機能判定方法は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、第1出題ステップ(S1)を更に有する。第1出題ステップ(S1)は、出題ステップとしての第2出題ステップ(S3)の前に実行され、特定質問としての第2特定質問(103)と同種の第1特定質問(101)を出題するステップである。
【0092】
この態様によれば、第1特定質問(101)に対する回答によって第2出題ステップ(S3)を省略することが可能となる。
【0093】
第8の態様に係る認知機能判定方法では、第7の態様において、第1特定質問(101)の内容と第2特定質問(103)の内容とが同じである。
【0094】
この態様によれば、第1特定質問(101)に対する回答によって第2出題ステップ(S3)を省略することが可能となる。
【0095】
第9の態様に係る認知機能判定方法では、第7又は第8の態様において、第1特定質問(101)に対する第1特定回答(201)に応じて第2出題ステップ(S3)が省略される。
【0096】
この態様によれば、第1特定回答(201)によって第2出題ステップ(S3)が省略された場合には、被験者(P1)の認知機能の判定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0097】
第10の態様に係るプログラムは、第1~第9の態様のいずれか1つの認知機能判定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0098】
この態様によれば、被験者(P1)の認知機能の判定に用いられる特定質問(103)の前に、特定質問(103)に関連するプレ質問(102)を出題するので、特定質問(103)に対する被験者(P1)の発話を促進することが可能となる。
【0099】
第11の態様に係る認知機能判定システム(1)は、出題部(111)と、判定部(113)と、を備える。出題部(111)は、特定質問(103)、及び特定質問(103)に関連するプレ質問(102)を出題する。判定部(113)は、少なくとも特定質問(103)に対する特定回答(203)に基づいて被験者(P1)の認知機能を判定する。出題部(111)は、特定質問(103)の前にプレ質問(102)を出題する。
【0100】
この態様によれば、被験者(P1)の認知機能の判定に用いられる特定質問(103)の前に、特定質問(103)に関連するプレ質問(102)を出題するので、特定質問(103)に対する被験者(P1)の発話を促進することが可能となる。
【0101】
第2~第9の態様に係る構成については、認知機能判定方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 認知機能判定システム
111 出題部
113 判定部
101 第1特定質問
102 プレ質問
103 第2特定質問(特定質問)
201 第1特定回答
202 プレ回答
203 第2特定回答(特定回答)
P1 被験者
S1 第1出題ステップ
S3 第2出題ステップ(出題ステップ)
S4 判定ステップ