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特許7539126鶏卵選別装置の生産計画支援システム、これを利用した製品の生産方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】鶏卵選別装置の生産計画支援システム、これを利用した製品の生産方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240816BHJP
   A01K 43/08 20060101ALI20240816BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240816BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01K43/08
G05B19/418 Z
G06Q30/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019036630
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020140542
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】福島 直人
(72)【発明者】
【氏名】山元 綾子
(72)【発明者】
【氏名】川口 有美
【合議体】
【審判長】松田 直也
【審判官】下林 義明
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-141032(JP,A)
【文献】特開2004-295404(JP,A)
【文献】特開2002-108433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A01K 43/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムであって、過去に選別した実績値を含む原卵データと、鶏卵選別装置で生産される製品の製品名とその数量に関するオーダーデータと、鶏卵選別装置に関するグレーダデータとを用いて、前記鶏卵選別装置に供給する原卵を選定する選別計画を決定し、該選別計画で選定された原卵により生産される製品名とその数量を割り当てる生産計画を立案する演算部を備えた鶏卵選別装置の生産計画支援システム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、前記原卵データとオーダーデータ及びグレーダデータを記憶する記憶部と、前記記憶部にデータを入力する入力部と、前記演算部の結果を表示する表示部と、を有する請求項1記載の鶏卵選別装置の生産計画支援システム。
【請求項3】
前記オーダーデータは、納品先名と製品名と数量と出荷時刻を含むものであり、前記原卵データは、製品名と養鶏場名と等級を含む商品マスターと、養鶏場名と等級比率を含む出来高比率マスターと、養鶏場名と在庫数を含む在庫マスターであり、前記グレーダデータは、単位時間当たりの処理個数を含むものである請求項1または2記載の鶏卵選別装置の生産計画支援システム。
【請求項4】
前記演算部は、優先項目に基づいて製品の出荷処理ができるように原卵を選定するものであり、前記優先項目は前記オーダーデータの出荷時刻であり、出荷時刻の早い製品を得るために、前記演算部は原卵の養鶏場の優先順位を決定する請求項1~3のいずれか一つに記載の鶏卵選別装置の生産計画支援システム。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一つに記載の鶏卵選別装置の生産計画支援システムを利用した製品の生産計画支援方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一つに記載の各部をコンピュータに実現させるための鶏卵選別装置の生産計画支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いた、鶏卵選別装置(以下、「グレーダ(grader)」ということもある)の生産計画の立案を支援するシステム、鶏卵選別装置の生産計画支援システムを利用した製品の生産方法、および、鶏卵選別装置の生産計画支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鶏卵選別装置の一例として、特許文献1(特開2011-156518号公報)に記載のものがある。この選別装置は、図18に示すように、鶏卵Eは、ローラコンベア1によって搬送され、ローラコンベア1の終端部に到達した鶏卵Eは、測定部2で物理的性状を測定される。測定部2は卵重などを測定している。測定部2で物理的性状を測定された鶏卵Eは、移し替え部3によって、分配搬送部4の収容座へ個別に収容される。
【0003】
分配搬送部4の収容座に収容された鶏卵Eは、分配搬送方向Xへ搬送される。このとき、鶏卵Eが測定部2で測定された測定値と、当該鶏卵Eが分配搬送部4上のどの収容座に収容されたかという情報が制御部に送られ、制御部はこれらを関連づけて記憶部に保持する。制御部は、記憶部に保持された鶏卵Eごとの測定値と、分配搬送部4上のどの収容座に収容されているかという情報を基に、鶏卵Eを分配させる集合場所の容器搬送部Tを決定し、決定した容器搬送部T上の充填部5に、該当する鶏卵Eが到達すると、制御部は充填部5に鶏卵Eを容器搬送部T上の容器6へ充填させる。容器6は、例えば複数個の卵が入る透明樹脂製パックまたはトレイであり、鶏卵Eが充填された容器6は、容器搬送部Tによって容器搬送方向Yへ搬送される。
【0004】
測定部2は卵重測定を行っているので、容器搬送部Tは、測定された測定値に基づく卵重区分ごとに、1本以上設置されている。図18では、容器搬送部T1~Tnまでのn本の容器搬送部Tのうち、T2からTnの間にある容器搬送部Tを省略している。例えば、容器搬送部T1がLサイズの鶏卵集合場所であり、容器搬送部T2がMサイズの鶏卵集合場所であり、測定部2で測定された鶏卵Eのうちの一つの測定値がMサイズであった場合、制御部は、測定部2から当該鶏卵EがMサイズであるという測定値と、当該鶏卵Eが分配搬送部4上のどの収容座に収容されているかという情報を受け取り、これらを関連づけて記憶部に保持する。制御部は、記憶部に保持された当該鶏卵Eの測定値を基に、分配搬送部4によってMサイズの集合場所である容器搬送部T2へ搬送させる。当該鶏卵Eが容器搬送部T2上の充填部5に到達すると、制御部は充填部5に当該鶏卵Eを容器搬送部T2上の容器6へ充填させる。容器6に充填された鶏卵Eはその後、容器搬送部T2によって容器搬送方向Yへ搬送される。
【0005】
鶏卵選別装置は、GP(Grading & Packing)センター等に設置される。GPセンターには、複数の養鶏場から原卵が搬入され、原卵は各養鶏場ごとに保管される。これら原卵は、前記鶏卵選別装置により等級別に選別されて、容器に包装され、各等級別に保管される。GPセンターは、スーパーマーケット等からの注文オーダーに応じて、等級別に容器に包装された製品を出荷納品する。
【0006】
各スーパーマーケットの注文等級は区々であり、出荷時間も区々であるので、出荷すべき等級の製品が不足して出荷時間に間に合わなくなるとか、また、不要な等級パックが増えて長期滞留が生じるなどのトラブルが発生する。そこで、そのようなトラブルが発生しないように、どの養鶏場の原卵をどの順番で鶏卵選別装置に流すか、また、どの製品をどの順番で鶏卵選別装置により生産するかがGPセンターの生産計画として重要になる。
【0007】
従来このような生産計画を支援する装置及び方法は存在せず、GPセンターの工場長等が経験と勘に頼って行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-156518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、出荷が円滑に行えるようにした生産計画が立案できる鶏卵選別装置の生産計画支援システム、鶏卵選別装置の生産計画支援システムを利用した製品の生産方法、および、鶏卵選別装置の生産計画支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本発明の鶏卵選別装置の生産計画支援システムは、コンピュータシステムであって、過去に選別した実績値を含む原卵に関する原卵データと、鶏卵選別装置で生産される製品の製品名とその数量に関するオーダーデータと、鶏卵選別装置に関するグレーダデータとを用いて、前記鶏卵選別装置に供給する原卵を選定する選別計画を決定し、該選別計画で選定された原卵により生産される製品名とその数量を割り当てる生産計画を立案する演算部を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鶏卵選別装置の生産計画支援システムによれば、精度のよい生産計画が立案できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態を示す鶏卵選別装置の生産計画支援システムの構成を示すブロック図。
図2】オーダーデータの構造。
図3】原卵データの商品マスターの構造。
図4】原卵データの出来高比率マスターの構造。
図5】原卵データの在庫マスターの構造。
図6】鶏卵選別装置の生産計画支援システムの動作例を示すフローチャート。
図7】詳細な動作例を示すフローチャート。
図8図7のステップS2のソート結果。
図9図7のステップS3のソート結果。
図10図7のステップS6の計算例。
図11図7のステップS7の判断例。
図12図7のステップS8の再計算例。
図13図7のステップS9の決定例。
図14図7のステップS10の割当例。
図15図7のステップS11、S12の例。
図16図7の2回目のステップS10、S12の割当例。
図17図7のステップS14の算出例。
図18】特許文献1記載の鶏卵選別装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
本実施の形態は、図18に例示する鶏卵選別装置に用いられる生産計画支援システム10である。しかし、鶏卵選別装置は図18に示すものに限定されるものではない(なお、図18において使用した符号は、当図限りのものであって、以下に説明する本発明の実施の形態における符号とは無関係である。)。
【0015】
図18の選別装置を備えたGPセンターでは、各地の養鶏場(農場)から原卵が入荷し、保管場所に原卵群として保管される。この原卵には、例えば京都農場原卵、奈良農場原卵等の原卵名が付されて保管されている。なお、養鶏場名は、原卵の種類別に設定されており、同じ養鶏場エリアにある異なる鶏舎の原卵を別々の養鶏場名としてもよい。
【0016】
原卵群の中から選ばれた例えば京都農場原卵は、選別装置のローラコンベア1に供給され、等級別に選別されて、容器搬送部T1~Tnの下流側において、製品別に保管される。すなわち、等級別のLサイズやMサイズのパック包装された製品が、製品名「aたまご」や「bたまご」として保管される。
【0017】
これら製品は、スーパーマーケットなどの納品先からの注文に応じて出荷される。
【0018】
本発明の実施の形態に係る生産計画支援システム10は、コンピュータシステムを用い、養鶏場別の原卵群から最適原卵を選定することにより、納品先のオーダーに応じた製品を効率よく生産することができる鶏卵選別装置の生産計画を立案しようとするものである。
【0019】
図1に示すものは、鶏卵選別装置の生産計画支援システム10の構成を示すブロック図である。
【0020】
コンピュータシステムは、処理装置11と作業者端末12を有し、処理装置11には、グレーダ(鶏卵選別装置)13も接続されている。
【0021】
処理装置11は、記憶装置14とCPU15を有する。記憶装置14は、オーダーデータ記憶部16と、原卵データ記憶部17と、グレーダデータ記憶部18を有する。記憶装置14は、CPU15からアクセス可能なものである。記憶装置14とCPU15は、物理的に一体のコンピュータにより構成されたものであってもよいし、それぞれ物理的に別体をなすコンピュータにより構成されたものであってもよい。
【0022】
CPU15には、演算部19と入出力部20を有する。演算部19は、所定のプログラミングにより記憶装置14のデータを用いて演算処理する。入出力部20は、作業者端末12やグレーダ13からの情報を入力し、また、演算部19における演算結果などを作業者端末12に出力する。
【0023】
作業者端末12には、入力部21と表示部22を有する。入力部21は、オーダーデータなどの情報をキー入力したり、スキャナー入力したりする。表示部22は、処理装置11における演算結果を画面表示するディスプレーや印刷するプリンタにより構成される。なお、作業者端末12及び処理装置11がネットワークを介して通信可能なものであってもよく、作業者端末12として、スマートフォンやタブレット等を用いることができる。
【0024】
演算部19は、鶏卵選別装置で扱う原卵に関する原卵データと、鶏卵選別装置で生産される製品に関するオーダーデータと、鶏卵選別装置に関するグレーダデータとを用いて、鶏卵選別装置に供給する原卵を選定するものである。演算部19は、優先項目に基づいて製品の出荷処理ができるように原卵を選定する。
【0025】
図2に示すものは、オーダーデータであり、納品先名と製品名と数量と出荷時刻を含むものである。例えば、納品先名は「スーパーA」であり、出荷時刻は「15時」であり、製品名は「aたまご」等であり、数量は「600パック」等である。
【0026】
図3に示すものは、原卵データの中の商品マスターであり、製品名と養鶏場名と等級を含むものである。例えば、製品名は「aたまご」で、養鶏場名は「京都農場」で、等級は「L」等である。
【0027】
図4に示すものは、原卵データの中の出来高比率マスターであり、養鶏場名(原卵名)と等級(サイズ)比率を含む。この等級比率は、過去の実績値が入力される。すなわち、グレーダ(鶏卵選別装置)13から出力されたデータを利用する。
【0028】
図5に示すものは、原卵データの内の在庫マスターであり、GPセンターの原卵の在庫を示す。
【0029】
なお、グレーダデータは、図示しないが、グレーダ(鶏卵選別装置)13の1時間当たりの選別処理個数を含むものである。この実施の形態の選別装置の処理能力は、1時間当たり40,000個である。
【0030】
図6は、鶏卵選別装置の生産計画支援システム10の動作例を示すフローチャートである。このシステムの動作は、オーダーデータ、原卵データ、グレーダデータを取得し、演算部19において、製品の優先順位に基づき、鶏卵選別装置に供給すべき原卵を選定し、その選定結果を出力するというものである。より具体的には、演算部19において、鶏卵選別装置に供給すべき原卵を選定する選別計画と、選別計画で選定された原卵により生産される製品を求める生産計画とを行い、選別計画および生産計画を出力する。
【0031】
図7に、動作の詳細フローを示す。
【0032】
ステップS1において、オーダーデータを取得する。そして、ステップS2において、優先度の高い順(例えば、出荷期限の早い順)にオーダーデータをソートする。すなわち、この実施の形態では、オーダーデータの優先項目は、「出荷期限」すなわち「出荷時刻」である。出荷時刻の早い製品を得るために、演算部19は原卵の優先順位を決定する。
【0033】
図8が、ステップS2に対応するもので、出荷時刻順にソートされたオーダーデータを示す。
【0034】
例えば、出荷時刻の一番早い「15:00」において、製品名「aたまご」を納品先「スーパーA」に数量「600パック」、また、「bたまご」を「1000パック」、等を納品するというものであり、次の時刻「16:00」において「dたまご」を「スーパーB」に「400パック」納品するというものである。
【0035】
ステップS3は、各オーダーに対して当該製品を生産可能な原卵データを取得し、出来高比率に応じて、優先度の高い順(例えば、製品を多く生産できる順)に原卵データをソートする。この実施の形態では、原卵データの優先項目は、「製品を生産できる量」すなわち「等級比率」である。
【0036】
図9が、ステップS3に対応するものである。「各オーダーに対して当該製品を生産可能な原卵データを取得」における「当該製品」とは、「aたまご」のことであり、「aたまご」を生産可能な養鶏場は、図3に示す原卵データから「京都農場」、「大阪農場」及び「奈良農場」が取得される。そして、図4に示す出来高比率マスターに基づき、優先順位を決定する。すなわち、図4によれば、「aたまご用のサイズL」の比率は、京都農場が「35%」、大阪農場が「14%」、奈良農場が「15%」であるので、その順位は、図9に示すように、「aたまご」については、「京都農場」が「1」、「大阪農場」が「3」、「奈良農場」が「2」となる。「bたまご」、「cたまご」等については、図9に示すとおりである。
【0037】
ステップS4は、最初の動作では図8の先頭にある「aたまご」となり、ステップS5に至る。ステップS5では、原卵一覧を取得する。この原卵一覧は、図9に示すものである。
【0038】
ステップS6において、決定した優先順位の原卵により当該製品を生産するための時間と数量を算出する。
【0039】
図10は、ステップS6の具体的な計算例である。図9の原卵一覧より、「aたまご」について優先順位の高い「京都農場」の原卵を使うと、「600パック×10個(入り)=6,000個」が必要となる。京都農場の「Lサイズ」の比率は、35%であるので、原卵としては、「6,000÷35%≒17,000個」が必要となる。グレーダデータによれば、選別装置の処理能力は、40,000個/hであるので、「17,000÷40,000×60≒25分」が必要になる。
【0040】
ステップS7において、原卵数量は足りているか否かの判断を行う。
【0041】
図11は、ステップ7に対応するものであり、原卵の在庫マスター(図5参照)によれば、「京都農場」の在庫数は「10,000個」であるので、計算結果の個数、「17,000個」よりは少ない。よって、ステップS8に進むことになる。
【0042】
なお、京都農場の10,000個の原卵を使用して「aたまご」は「10,000×35%=3500個、3500÷10=350パック」生産可能であり、オーダーの「600パック(図8参照)」に対して、「250パック」足りない。
【0043】
ステップS8において、原卵を流す時間と数量を再計算する。
【0044】
図12は、ステップS8に対応するものであり、「aたまご」について優先順位の2番目の「奈良農場」の原卵を使用する(図9参照)。
【0045】
不足数は「250パック」であるので、「250パック×10個=2,500個」が必要となる。奈良農場の「Lサイズ」の比率は、15%であるので(図9参照)、「2,500個÷15%≒17,000個」が必要となる。選別処理時間は「17,000÷40,000×60≒25分」必要となる。
【0046】
ステップS9は「原卵を流す時間と数量を決定」であるが、この意味するところは、ステップS6~S8の結果を示すことであり、図13がステップS9に対応する。すなわち、「aたまご」を「600パック」生産するために、「京都農場」の原卵を「10,000個」、「奈良農場」の原卵を「17,000個」を必要とすることが決定される。また、「京都農場」の原卵の処理時間として約15分、「奈良農場」の原卵の処理時間として約25分がそれぞれ必要であることが決定される。
【0047】
ステップS10において、以上の決定した選別計画を基に生産計画が割り当てられる。
図14に示すものは、ステップS10に対応するものであり、同図の上部が「選別計画」であり、下部が「生産計画」である。「選別計画」は、原卵の選別であり、グレーダに供給される「原卵名(養鶏場名)(個数、処理時間)」が、時間軸の横軸上に配置される。「生産計画」は、製品を生産するものであり、縦軸にサイズが配置され、時間軸の横軸上に「製品名(数量、時間)」が配置される。
【0048】
ステップS11では、同時に生産される他のサイズで、他の製品が生成される比率を算出する。そして、ステップS12で、他の製品の生産計画を割当てる。
【0049】
図15がステップS11、S12に対応するものである。京都農場の原卵を10,000個流すと、「aたまご」以外の他のサイズの製品も同時に生産される。その他の製品がどれだけ生産されるかを求めたものがステップS11、S12であり、その結果を示したのが図15である。図15の生産計画のサイズ「M」の「bたまご」、及び、サイズ「MS」の「bたまご」が「他の製品」である。これらの製品の数量と処理時間の計算は、「aたまご」の前記計算と同じである。
【0050】
ステップS13では、「生産計画割当未完了のオーダーがまだあるか」の判断を行う。すなわち、図8に示すオーダーデータにおいて、「aたまご」の「600パック」は、図15の生産計画割当において割当完了しているが、「bたまご」においては、「1,000パック」に対して、「150+50=200パック」しか割り当てられていない。また、「cたまご」や「hたまご」については全く割り当てられていない。したがって、「
bたまご」の「1,000-200=800パック」、「cたまご」の「500パック」、以降同様に「hたまご」の「100パック」などが「生産計画割当未完了のオーダー」である。
【0051】
この実施の形態では、「生産計画割当未完了のオーダーがまだある」と判断されるので、ステップS4に戻る。
【0052】
このステップS4において、「最も優先度が高い割当未完了オーダーを取得」とはこの実施の形態では、優先項目が出荷時刻であるため「bたまご」となる。ステップS5において図9に示す原卵データを取得し、ステップS6において、「bたまご」の優先順位が高い「大阪農場」の原卵を用いて原卵を流す時間と数量を、前述の説明のとおり計算する。
【0053】
そして、ステップS7~S12に至る。
【0054】
図16は、2回目のステップS12まで終わった時点に対応するものである。「選別計画」では「大阪農場」が追加され、「生産計画」では、「bたまご」やその他の製品が追加されている。
【0055】
ステップS14は、当該製品に割り当てられていない製品(オーダーにひも付かない余剰分)が生産される時間と数量を算出する。すなわち、鶏卵選別装置において原卵を流した場合、図2に示すオーダーデータの製品以外の製品が生産される。ステップS14は、これらオーダーにひも付かない余剰分を算出するのである。そして、ステップS15は、以上の全ての選別計画と生産計画を出力する。この出力は、表示部22において表示または印字される。
【0056】
図17が、ステップS14、S15に対応するものである。生産計画の実線で囲まれていない部分がオーダーにひも付かない余剰分である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の生産計画支援システム10は、原卵データと、オーダーデータと、グレーダデータとを用いて、鶏卵選別装置に供給する原卵を選定する選別計画を行い、選別計画で選定された原卵により生産される製品を求める生産計画を行う演算部19を備える。そのため、生産計画支援システム10を用いて立案された生産計画に基づき、GPセンターの作業者は、原卵保管場所から所定の原卵を選んで鶏卵選別装置に供給する。鶏卵選別装置では、所定の製品が生産され、出荷製品保管場所に集積される。これら製品は、オーダーデータに基づき納入先ごとに所定の製品が集められて、出荷時刻までに出荷される。
【0058】
この生産計画支援システム10を用いることにより、人に頼らない生産計画が立案される。
【0059】
なお、上記鶏卵選別装置の生産計画支援システム10の動作方法や、鶏卵選別装置の生産計画支援システム10を利用した製品の生産方法も、本発明の実施の形態に含まれる。また、上記鶏卵選別装置の生産計画支援システム10の各部をコンピュータに実現させるための鶏卵選別装置の生産計画支援プログラム及び同プログラムを記録した記録媒体も、本発明の実施の形態に含まれる。
【0060】
今回開示された実施例の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、優先項目は「出荷時刻」に限定されるものではない。優先項目は、「製品名」等であっても良いし、鶏卵選別装置へ供給する原卵の切り替え回数、鶏卵選別装置で生産される製品の切り替え回数、原卵の使用期限、製品の利益率、オーダーにひも付かない余剰分の製品数等であってもよい。また、1台の鶏卵選別装置を用いた例で説明したが、複数台の鶏卵選別装置により選別する場合も含むものである。在庫マスターは予想値であっても良く、入荷実績値をリアルタイムに入力するものであっても良い。出来高比率マスターは、グレーダから出力されたデータとは別に設定されたものであってもよい。オーダーデータは、少なくとも等級に関連付けられた製品名または等級と数量とを含むものであればよく、納品先名、出荷時刻を含まなくてもよい。原卵データは、商品マスター、出来高比率マスター、在庫マスターのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0061】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10…鶏卵選別装置の生産計画支援システム
11…処理装置
12…作業者端末
13…グレーダ
14…記憶装置
15…CPU
16…オーダーデータ記憶部
17…原卵データ記憶部
18…グレーダデータ記憶部
19…演算部
20…入出力部
21…入力部
22…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18