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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ワーク処理方法並びにワーク処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B65G43/00 E
B65G43/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020070392
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021167234
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】風間 有一郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕昭
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104490(JP,A)
【文献】実開昭61-164199(JP,U)
【文献】特開平02-023109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアのワーク搬送経路上に設けた所定の処理領域において、作業ユニットを搭載した追従ユニットを移動始点と移動終点との間で往復移動させて前記作業ユニットを前記ワーク搬送経路上を搬送されるワークに追従・同期させながら、前記作業ユニットを用いて前記ワークに所定の処理を行なうワーク処理方法であって、
前記コンベアに等間隔で配設されている隣位するアタッチメントを、前記ワーク搬送経路における前記移動始点の上流側に配設された伸縮検出手段で検出し、
前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定されている基準とする時間間隔との差分から前記コンベアの伸縮量を判断し、前記伸縮量に対応する補正量分に基づいて、前記移動始点に前記追従ユニットが回帰したときの前記作業ユニットの前記ワーク搬送経路に対する配置位置を補正する制御を行うことを特徴とするワーク処理方法。
【請求項2】
走行方向に等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアの上面に等間隔に配置させワークを搬送するワーク搬送手段と、
前記ワークに所定の処理を行なう作業ユニット、前記作業ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された補正ユニット移動経路上を第1の駆動源の駆動により移動することにより、前記補正ユニット移動経路上に設定した停止位置に前記作業ユニットを配置可能とされた補正ユニット、並びに、前記補正ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された追従ユニット移動経路上に設定される前記ワークの搬送方向上流側の移動始点から下流側の移動終点までの間を第2の駆動源の駆動により往復移動可能とされた追従ユニットを備え、前記追従ユニットを前記コンベアのワークの搬送に追従・同期させながら作業ユニットで前記ワークに対して所定の処理を行う追従処理手段と、
前記ワークの搬送経路における前記移動始点の上流側に配設されたセンサにより、前記アタッチメントの通過を検出する伸縮検出手段と、
前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定された基準とする時間間隔の差分から前記ワーク搬送手段のコンベアの伸縮量を判断し、前記第1の駆動源の駆動を制御し、前記作業ユニットを前記補正ユニット移動経路上の前記伸縮量に対応する補正量分だけ前記停止位置から移動させた位置へ停止させる補正を実行する位置補正手段と、
を備えることを特徴とするワーク処理装置。
【請求項3】
走行方向に等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアの上面に等間隔に配置させワークを搬送するワーク搬送手段と、
前記ワークに所定の処理を行なう作業ユニット、前記作業ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された追従ユニット移動経路上に設定される前記ワークの搬送方向上流側の移動始点から下流側の移動終点までの間を駆動源の駆動により往復移動可能とされた追従ユニットを備え、前記追従ユニットを前記コンベアのワークの搬送に追従・同期させながら前記作業ユニットで前記ワークに対して所定の処理を行う追従処理手段と、
前記ワークの搬送経路における前記移動始点の上流側に配設されたセンサにより、前記アタッチメントの通過を検出する伸縮検出手段と、
前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定された基準とする時間間隔との差分から前記ワーク搬送手段のコンベアの伸縮量を判断し、前記駆動源の駆動を制御し、前記追従ユニット移動経路上の前記伸縮量に対応する補正量分だけ移動させた位置を前記移動始点とする補正を行なう位置補正手段と、
を備えることを特徴とするワーク処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアのワーク搬送経路上に設けた所定の処理領域において、作業ユニットを搭載した追従ユニットを移動始点と移動終点との間で往復移動させて前記作業ユニットを前記ワーク搬送経路上を搬送されるワークに追従・同期させながら、前記作業ユニットを用いて前記ワークに所定の処理を行なうワーク処理方法とそのワーク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体を充填する容器を洗浄するエアクリーナー、容器に液体を充填する充填機、液体充填済みの容器にキャップを装着するキャッパーなどのライン式包装機には、ワークとしての容器を保持可能とされたコンベアにより、前記容器を搬送するワーク搬送手段と、洗浄ヘッド、充填ヘッド、キャップチャック等の処理手段を組み込んだ作業ユニットを搭載し、前記コンベアの容器搬送経路上に設けた所定の処理領域において、前記コンベアを搬送される容器に追従・同期しながら洗浄、充填、キャッピングなどのそれぞれの処理を行なう追従処理手段を備えたワーク処理装置が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
前記ワーク搬送手段の具体的な構成としては、単体のベルト部材を連結して環状に形成されたベルト部材にワークを保持するための保持搬送部材が等間隔に装着されたトップチェーンを一対のスプロケット相互間に掛け渡し、該トップチェーンをその搬送経路に沿って配設されたガイドレールで支持した状態で、サーボモータの駆動により走行させることで、前記ワーク保持搬送部材に保持されたワークを所定の処理領域へ搬送(間歇・連続の別を問わない)する構成を例示することができる(特許文献2参照)。
【0004】
また、追従処理手段の具体的な構成としては、前記コンベアの容器搬送経路と平行な適宜の長さ範囲で作業ユニット搬送路を配設し、サーボモータの駆動により前記作業ユニットを前記作業ユニット搬送路の始点位置から終点位置まで前記コンベアの容器搬送動作に追従して移動させるとともに、容器と対応する作業ユニットを前記コンベアの容器搬送動作と同期させて所定の処理を行なう追従処理動作と、作業ユニット搬送路の終点位置で追従動作が停止された後に、前記サーボモータの駆動により前記作業ユニットを作業ユニット搬送路の始点位置まで戻す戻し動作と、を交互に繰り返す構成を例示することができる(前記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-104490号公報
【文献】特開平10-202479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の様なワーク処理装置においては、ワーク搬送手段のコンベアにワークの搬送方向に伸びや緩みが生じることがある。例えば、前述のように単体のベルト部材を連結させたトップチェーンをコンベアとして用いる場合、ワークの重みによって各ベルト部材の連結部が撓むことがあり、また、ワークとしての容器に高温に加熱された充填液を充填するワーク処理装置においては、充填液の熱によりトップチェーン等のコンベアが膨張することがある。
【0007】
そして、このような緩みや熱膨張等が原因となってコンベアの長さが伸びると、該コンベアにより等間隔に搬送されるべきワークの搬送ピッチも当然に変動してしまうため、追従処理動作時の搬送されているワークの位置とコンベアの容器搬送動作に追従して移動する作業ユニットの位置との間にズレが生じ、作業ユニットによる所定の処理が適正にできないことがあった。
【0008】
この問題に対して、従来は、コンベアの伸びを目視で確認し、その都度、追従処理手段の作業ユニットの前記作業ユニット搬送路における始点位置や終点位置に関する駆動源としてのサーボモータの設定を変更しなければならなかった。また、その変更時は、作業ユニットを変更後の始点位置に位置させるため、装置自体の再起動を要し、その際には、一旦、コンベア上に搬送されているワークを人手により取り除かなければならず、ワーク処理装置全体の作業能率が低下するなどの問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、駆動しているワーク搬送手段のコンベアの長さが変動した場合に、自動且つ連続的に作業ユニットのワーク搬送経路に対する配置位置を補正して、作業ユニットと前記コンベア上を搬送されるワークとの位置合わせを行うことができるワーク処理方法並びにワーク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明のワーク処理方法は、等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアのワーク搬送経路上に設けた所定の処理領域において、作業ユニットを搭載した追従ユニットを移動始点と移動終点との間で往復移動させて前記作業ユニットを前記ワーク搬送経路上を搬送されるワークに追従・同期させながら、前記作業ユニットを用いて前記ワークに所定の処理を行なうワーク処理方法であって、
前記コンベアに等間隔で配設されている隣位するアタッチメントを、前記ワーク搬送経路における前記移動始点の上流側に配設された伸縮検出手段で検出し、
前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定されている基準とする時間間隔との差分から前記コンベアの伸縮量を判断し、前記伸縮量に対応する補正量分に基づいて、前記移動始点に前記追従ユニットが回帰したときの前記作業ユニットの前記ワーク搬送経路に対する配置位置を補正する制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明のワーク処理方法によれば、ワーク搬送手段のコンベアの長さが変動した場合に、自動且つ連続的に作業ユニットのワーク搬送経路に対する配置位置を補正して前記コンベア上を搬送されるワークとの位置合わせを行うことができる。
【0012】
また、本発明のワーク処理装置は、前述のワーク処理方法を実行する装置であって、走行方向に等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアの上面に等間隔に配置させワークを搬送するワーク搬送手段と、前記ワークに所定の処理を行なう作業ユニット、前記作業ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された補正ユニット移動経路上を第1の駆動源の駆動により移動することにより、前記補正ユニット移動経路上に設定した停止位置に前記作業ユニットを配置可能とされた補正ユニット、並びに、前記補正ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された追従ユニット移動経路上に設定される前記ワークの搬送方向上流側の移動始点から下流側の移動終点までの間を第2の駆動源の駆動により往復移動可能とされた追従ユニットを備え、前記追従ユニットを前記コンベアのワークの搬送に追従・同期させながら作業ユニットで前記ワークに対して所定の処理を行う追従処理手段と、前記ワークの搬送経路における前記移動始点の上流側に配設されたセンサにより、前記アタッチメントの通過を検出する伸縮検出手段と、前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定された基準とする時間間隔の差分から前記ワーク搬送手段のコンベアの伸縮量を判断し、前記第1の駆動源の駆動を制御し、前記作業ユニットを前記補正ユニット移動経路上の前記伸縮量に対応する補正量分だけ前記停止位置から移動させた位置へ停止させる補正を実行する位置補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
発明のワーク処理装置によれば、第2の駆動源により追従ユニットを移動始点へ回帰させることに加え、前記伸縮検出手段のワーク搬送手段のコンベアの長さの変動の検出結果に基づいて第1の駆動源の駆動を制御して前記追従ユニット上において補正ユニット移動経路上における補正ユニットの停止位置を補正する。それにより、補正ユニットに搭載された作業ユニットの前記追従ユニットに対する配置位置も補正されるので、ワーク搬送手段のコンベアの長さが変動した場合であっても、自動且つ連続的に前記コンベア上を搬送されるワークと作業ユニットとの位置合わせを行うことができる。
【0014】
また、本発明の別のワーク処理装置は、走行方向に等間隔でアタッチメントが配設されたコンベアの上面に等間隔に配置させワークを搬送するワーク搬送手段と、前記ワークに所定の処理を行なう作業ユニット、前記作業ユニットが搭載され、前記コンベア上のワークの搬送経路に対して平行に配設された追従ユニット移動経路上に設定される前記ワークの搬送方向上流側の移動始点から下流側の移動終点までの間を駆動源の駆動により往復移動可能とされた追従ユニットを備え、前記追従ユニットを前記コンベアのワークの搬送に追従・同期させながら前記作業ユニットで前記ワークに対して所定の処理を行う追従処理手段と、前記ワークの搬送経路における前記移動始点の上流側に配設されたセンサにより、前記アタッチメントの通過を検出する伸縮検出手段と、前記伸縮検出手段の検出結果から前記アタッチメント間の時間間隔を求め、予め設定された基準とする時間間隔との差分から前記ワーク搬送手段のコンベアの伸縮量を判断し、前記駆動源の駆動を制御し、前記追従ユニット移動経路上の前記伸縮量に対応する補正量分だけ移動させた位置を前記移動始点とする補正を行なう位置補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明のワーク処理装置によれば、追従ユニットを移動始点へ回帰させる際に、前記伸縮検出手段のワーク搬送手段のコンベアの長さの変動の検出結果に基づいて前記移動始点の位置を補正することで、ワーク搬送手段のコンベアの長さが変動した場合であっても、自動且つ連続的に前記コンベア上を搬送されるワークと前記追従ユニットに搭載された作業ユニットとの位置合わせを行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、上記の本発明のワーク処理装置によれば、ワーク搬送手段のコンベアの長さが熱などを原因として伸縮変動した場合に、自動且つ連続的に作業ユニットの位置を修正して前記コンベア上を搬送されるワークとの位置合わせを簡便に行うことができ、ワークの汚損などを防いで所定の処理を確実に実行し、該装置自体の作業能率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のワーク処理装置の一実施形態を示す概略正面図
図2】本発明のワーク処理装置の一実施形態における伸縮検出手段を説明する(A)は要部平面図、(B)は(A)の透過正面図、(C)は(A)の左視図
図3】本発明のワーク処理装置の一実施形態における追従処理手段を説明する(A)は要部平面図(移動始点)、(B)は(A)の要部正面図
図4】本発明のワーク処理装置の一実施形態における追従処理手段を説明する要部正面図(移動終点)
図5】本発明のワーク処理装置の一実施形態における補正ユニットの補正を説明する要部正面図(移動始点)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本実施形態のワーク処理装置は、図1に示すように、ワークとしての容器Bを搬送するワーク搬送手段1を備えており、ワークの搬送経路(ワーク搬送経路)L1上には、容器Bに対して内容物としての液状の充填物を充填する作業ユニット11としての充填機12が配設された充填領域と、その下流側において、内容物が充填された容器Bの口元部にキャップを巻締めるチャックを備えた巻締装置60が配設された巻締領域とが設けられ、ワーク搬送経路L1における最上流は容器Bの搬入部S、最下流は充填済みの容器Bの回収部Eとされている。
【0019】
詳しくは、ワーク搬送手段1は駆動側のチェーンホイル7Aと従動側のチェーンホイル7Bが、容器Bの搬送方向における下流側と上流側とに離間させて、それぞれの回転軸(回転中心)を水平かつ平行にしてワーク搬送手段1のフレーム2に配設されている。本実施形態において、駆動側のチェーンホイール7Aは、駆動源としてのサーボモータ3の駆動力が伝達系(不図示)を介して伝達されることにより回転可能とされている。
【0020】
そして、一対のチェーンホイル7A,7B間には、それらのチェーンホイール7A,7Bの回転軸より上方に設けられるワーク搬送経路L1と、前記回転軸より下方に設けられ、ワーク搬送経路L1とは逆方向に走行する戻り搬送経路L2とを循環するように無端状のコンベアとしてのトップチェーン5が掛け渡されている。すなわち、トップチェーン5の走行経路のうち、トップチェーン5の面上に容器Bを保持して搬送可能な区間がワーク搬送経路L1とされている。
【0021】
ここで、トップチェーン5は、樹脂等からなり、図2(A)(B)に示すように、上面にワークを載置可能な平面状に形成された板状部材と、一対のチェーンホイル7A,7Bの外周に形成された歯部と噛合するチェーン部とが一体形成された単体のベルト部材5Aを継ぎ手ピン(不図示)で複数連結させて無端状に形成された公知の構成とされている。トップチェーン5のベルト部材5Aには、ワーク搬送経路L1において容器Bをその口部を上方へ向けた状態で保持するためのアタッチメント8が搭載されている。なお、アタッチメント8の配設は全てのベルト部材5Aである必要はなく、例えば、4個置きのベルト部材5Aにアタッチメント8を配設するなど、その配設間隔を調整可能とする。
【0022】
そして、本実施形態の搬送装置1においては、一対のチェーンホイール7A,7B間に掛け渡されたトップチェーン5は、サーボモータ3の駆動力が伝達された駆動側のチェーンホイール7Aが回転することにより所定方向へ走行し、従動側のチェーンホイール7Bも走行するトップチェーン5から伝達される駆動力により従動回転する。
【0023】
そして、ワーク搬送経路L1を搬送される容器Bに対して、充填領域において液状の充填物を充填するノズル13を備えた充填機12は容器Bに所定の処理を行なう作業ユニット11であり、本実施形態において、ノズル13は追従処理手段10に配設され、トップチェーン5の容器Bの搬送に追従可能とされている。
【0024】
追従処理手段10は、作業ユニット11と、その作業ユニット11を搭載する補正ユニット21、さらにその補正ユニット21を搭載する追従ユニット31とから構成されている。
【0025】
追従ユニット31は、図1および図3に示す様に、ワーク搬送手段1の充填領域においてワーク搬送経路L1の一側方に設けられた充填機12のテーブル32から立設された壁部37に配設され、補正ユニット21を搭載したスライダステージ33Cをワーク搬送経路L1に対して平行かつ水平に往復移動可能とされたアクチュエータ33によって構成されている。具体的には、アクチュエータ33はケース33A内に配設されたボールねじ(不図示)と、ボールねじを回転させるサーボモータ(第2の駆動源)33Bと、前記ボールねじの回転により、ケース33Aに形成されたリニアガイド(不図示)に沿ってスライド移動可能するスライドステージ33Cとを有している。
【0026】
スライドステージ33Cがスライド移動可能とされた追従ユニット31の移動経路(追従ユニット移動経路)35上には、実際に充填作業を実行する作業領域となる上流側の移動始点から下流側の移動終点が設定されており、スライドステージ33Cはこの移動始点から移動終点までの間を第2の駆動源としてのサーボモータ33Bの駆動により往復移動するように駆動制御部50により制御されている。
【0027】
追従ユニット31のステージに搭載された補正ユニット21も、追従ユニット31と同様に構成されたアクチュエータ23からなり、作業ユニット11としての充填機12のノズル13を搭載したスライドステージ23をワーク搬送経路L1に対して平行かつ水平に往復移動可能とされている。
【0028】
補正ユニット21のケース23Aのスライドステージ23がスライド移動可能な移動経路(補正ユニット移動経路)25上には、現在のトップチェーン5の伸び(緩み)状態を勘案して停止位置が設定されており、充填機12のノズル13を搭載したスライドステージ23は、第1の駆動源としてのサーボモータ23Bの駆動により移動して、前記停止位置に配置されるように駆動制御部50により制御されている。
【0029】
補正ユニット21のスライドステージ23には、図3(B)に示すように、充填領域において実行される充填工程で使用される6本のノズル13を支承するモジュールベース27の支承基端部27Aが連結されており、モジュールベース27の本体27Bは、ワーク搬送経路L1の上方に水平に延出し、6本のノズル13を搬送される容器Bの設定間隔に合わせて容器Bの搬送方向に配列させて支持している。
【0030】
そして、本実施形態のワーク処理装置においては、図1および図5に示すように、この充填エリアに至る容器Bとノズル13との位置合わせを適切に行なうべく、ワーク搬送経路L1における充填領域の上流側には、トップチェーン5の伸縮を検出する伸縮検出手段41を構成するセンサ42が配設されている。
【0031】
本実施形態において、伸縮検出手段41のセンサ42としては、光を出す投光部42Aと光を受ける受光部42Bから構成された光電センサを用い、センサ42は、ワーク搬送手段のトップチェーン5のベルト部材5Aに等間隔で配設されたアタッチメント8の通過による受光器42Bへの入光量の変化を検出可能に、図2(C)に示すように、従動側のチェーンホイール7Bの近傍のフレーム2にトップチェーン5のベルト部材5Aを挟んで投光部42Aと受光部42Bとを対向させて配設されている。
【0032】
そして、本実施形態のワーク処理装置は、通信手段Cによりセンサ42とデータ送信可能に設定され、センサ42の検出結果を処理する位置補正手段51を備えている。すなわち、位置補正手段51は駆動制御部50の一つとして機能し、前記第1の駆動手段であるサーボモータ23Aの駆動を制御し、センサ42の検出結果から、隣位のアタッチメント8間の距離寸法、すなわち搬送される隣位の容器Bの中心の距離寸法を求め、現在の設定数値との比較によりトップチェーン5の伸縮量(寸法)を判断する。本実施形態においては、センサ42によるアタッチメント8の検出の時間間隔と基準とする時間間隔との差分からトップチェーン5の伸縮量を求める。または、駆動側のチェーンホイール7Aに配設されたサーボモータ3のエンコーダを用い、エンコーダの回転角度からトップチェーンの伸縮量を求めてもよい。
【0033】
そして、位置補正手段51においては、検出した伸縮量が補正を要する伸縮量である場合には、第1の駆動手段であるサーボモータ23Aの駆動を制御して、ノズル13を搭載したスライドステージ23Cを補正ユニット移動経路25上において対応する補正量だけ移動させる制御を実行する。
【0034】
補正量については、補正を要する伸縮量とそれに対応する補正量をあらかじめ関連付けて求めておく。本実施形態の場合、ノズル13が遊挿される容器Bの開口径、ノズル13の太さをも勘案し、トップチェーン5の伸縮量に合わせた補正量を決定する。
【0035】
続いて、このように構成された本実施形態のワーク処理装置の作用を説明する。
【0036】
本実施形態のワーク処理装置は、充填工程では、6本のノズル13を用いてそれぞれ対応する6個の空の容器Bに充填液を同時に充填する。すなわち、各ノズル13は、追従ユニット31のスライドステージ33Cが図3に示す移動始点に位置した状態において、各ノズル13に対応する6個の空の容器Bが整列するタイミングで、これらの6個の空容器Bの開口に対して同時に遊挿される。追従処理手段10の追従ユニット31のサーボモータ33Bの駆動(正回転)によりスライドステージ33Cが追従ユニット移動経路35を移動始点から移動終点へ移動する際に、容器Bの搬送に追従・同期しながら給液タンク(不図示)から給液チューブ(不図示)を介して充填液を計量しつつ充填する。充填が終了したら、各ノズル13は各容器Bから同時に抜脱する。追従ユニット31のスライドステージ33Cが図4に示す移動終点に至ったら、追従ユニット31のサーボモータ33Bの駆動(逆回転)によりスライドステージ33Cを移動始点へ戻し、ノズル13は次の容器Bへの充填に供する。
【0037】
例えば、図3図4に示すように、移動始点から移動終点までを容器Bの4個分の搬送距離に設定し、4つの容器Bがワーク搬送経路L1に供給される間に追従ユニット31のスライドステージ33Cを移動始点から移動終点へ移動させて6個の容器Bに充填を施し、2つの容器Bがワーク搬送経路L1に供給される間にスライドステージ33Cを移動終点から移動始点へ戻す。スライドステージ33Cが移動始点へ戻った時には、空の容器Bが6個、移動始点における各ノズル13の対応位置に供給搬送されている状態となるように、ワーク処理装置を設定する。
【0038】
このとき、伸縮検出手段41のセンサ42は、充填領域の上流側を通過するアタッチメント8の通過を検出する。このように、容器Bとの位置調整を行う作業ユニット11の近傍においてアタッチメント8の通過を検出することで、容器Bとの位置合わせがより適正なものになる。
【0039】
位置補正手段51は、センサ42の検出結果から、隣位するアタッチメント8間の距離寸法、すなわち搬送される隣位の容器Bの中心の距離寸法を求め、その伸縮量が補正を要する伸縮量である場合には、それに対応する補正量を求める。そして、前記第1の駆動手段であるサーボモータ23Aの駆動を制御し、図5に示すように、ノズル13を搭載したスライドステージ23Cを補正ユニット移動経路25上において対応する補正量だけ移動させた設定位置へ移動させる。なお、図5には、補正前のノズル13の位置を破線で表示する。これにより、前記移動始点に追従ユニットのスライドステージ33Cが回帰したときに、作業ユニットの各ノズル13のワーク搬送経路L1に対する配置位置を補正することができる。
【0040】
本来の伸びが生じていないトップチェーン5上の容器搬送経路L1に並ぶ6本の容器Bの開口の略中心に挿入されるように支承された、図5中に破線で示すノズル13は、伸びが生じたトップチェーン5により搬送されて容器搬送経路L1に並ぶ6本の容器Bの開口に対しては、開口の略中心からズレて開口の内外に対向する。よって、開口内に挿入不可なほどに位置ズレがあれば、その容器Bに対する充填は容器Bを汚損し不完全なものとなる。
【0041】
そこで、前述のように、補正ユニット21のスライドステージ23Cが基準の位置にある状態で、補正ユニット21のサーボモータ23Bを駆動させ、補正ユニット移動経路25のスライドステージ23Cを移動させ、搭載しているノズル13の位置を図5に示す様に補正することにより、6本のノズル13の間隔や、追従ユニット31の移動始点、移動終点を変更しなくても、6本のノズル13のすべてを容器Bの開口内に遊挿させることが可能となる。よって、補正量は、隣位するアタッチメント8間の距離寸法、ノズル13が遊挿される容器Bの開口径、ノズル13の太さをも勘案し、トップチェーン5の伸縮量に合わせて決定する。
【0042】
例えば、隣位のアタッチメント8間の距離寸法が伸びていることを検出した場合には、補正ユニット21のサーボモータ23Bを駆動させ、スライドステージ23Cを上流側へ適切な寸法だけ移動させるように制御する。この制御により、スライドステージ23Cに固定されたモジュールベース27の位置、そして、モジュールベース27に支持されている充填機12のノズル13の位置も上流側へ移動する。仮に、隣位するアタッチメント8間の距離寸法が短くなったことを検出した場合等には、補正ユニット21のサーボモータ23Bを駆動させ、スライドステージ23Cを下流側へ移動させるように制御すればよい。また、電源の再投入時等は、補正ユニット21のスライドステージ23Cは、補正前の基準の位置に位置させる。
【0043】
このように、補正ユニット21上におけるノズル13の配置位置を補正することにより、トップチェーン5が容器Bに充填される充填液の熱や充填済みの容器Bの重量などの影響で延伸したような場合であっても、追従ユニット31におけるスライドステージ33Bの移動始点から移動終点までの往復移動の制御を変更することなく、自動且つ連続的に作業ユニットのワーク搬送経路に対する配置位置を補正して、各容器Bの開口内にそれぞれ対応するノズル13を遊挿させることが可能となる。
【0044】
<第2実施形態>
以下、本実施形態のワーク処理装置について、第1実施形態のワーク処理装置と相違する点のみ説明する。
【0045】
本実施形態のワーク処理装置は、追従処理装置と補正制御手段とを異ならせて構成されている。詳しくは、追従処理装置は、第1実施形態のワーク処理装置における補正ユニットが省かれ、6本のノズルを支承するモジュールベースの支承基端部は追従ユニットのスライドステージに連結されている。
【0046】
そして、補正制御手段は、前記伸縮検出手段の検出結果に基づいて、前記追従ユニットの移動始点の位置を第1実施形態の補正制御に倣って補正する。そして、本実施形態においては、追従ユニットを移動始点へ回帰させる際に、前記ワーク搬送手段のトップチェーンの長さの変動の検出結果に基づいて補正した移動始点へ戻す。
【0047】
これにより、本実施形態においても、自動且つ連続的に、トップチェーン上を搬送される容器と追従ユニットに搭載された充填機のノズルとの位置合わせを行うことができる。
【0048】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。例えば、本実施形態においては、ワークとして容器を想定し、ワーク搬送経路に設けられる前記ワークとの位置決めを要する処理装置として充填機と巻締装置を想定したが、処理装置に関してはこれに限るものではない。同様に、本実施形態においては、充填機におけるノズルとワークとしての容器の位置合わせについて説明したが、巻締装置にけるチャックとワークとしての容器との位置合わせを補正することも可能である。さらには、充填機は6本のノズルをもって一度に充填を行う場合をもって説明したが、ノズルの本数は1本でもよいし、複数本でもよい。例えば、1つの容器に対して処理を行う場合(ノズルやチャックが1本)である場合には、検出したトップチェーンの伸び寸法と同寸を補正量とすればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ワーク搬送手段
2 フレーム
3 サーボモータ
5 トップチェーン
5A ベルト部材
7A チェーンホイール
7B チェーンホイール
8 アタッチメント
10 追従処理手段
11 作業ユニット
12 充填機
13 ノズル
21 補正ユニット
23 アクチュエータ
23A ケース
23B サーボモータ(第1の駆動源)
23C スライドステージ
25 補正ユニット移動経路
27 モジュールベース
27A 支承基端部
31 追従ユニット
32 充填用テーブル
33 アクチュエータ
33A ケース
33B サーボモータ(第2の駆動源)
33C スライドステージ
35 追従ユニット移動経路
37 壁部
41 伸縮検出手段
42 センサ
42A 投光部
42B 受光部
50 駆動制御部
51 位置補正手段
60 巻締装置
L1 ワーク搬送経路
L2 戻り搬送経路
B 容器
S 搬入部
E 回収部
C 通信手段
図1
図2
図3
図4
図5