(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】HLA-DRに結合するキメラ抗原受容体およびCAR-T細胞
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240816BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240816BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240816BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240816BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240816BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240816BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240816BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K16/30
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
(21)【出願番号】P 2021506931
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2019010244
(87)【国際公開番号】W WO2020032784
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519001408
【氏名又は名称】ユーティレックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】グォン ビョン セ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム グワン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】チュン ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヨン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ボ リム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュン ユン
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イム スン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヒュン テ
(72)【発明者】
【氏名】ヨー ウン ヘ
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0257762(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053017(US,A1)
【文献】Science Translational Medicine,2016年,Vol.8, Issue 355, 355ra116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7により表される重鎖可変領域;および
配列番号8により表される軽鎖可変領域
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)である、抗原結合分子。
【請求項2】
配列番号9により表されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗原結合分子。
【請求項3】
配列番号13により表されるアミノ酸配列
を含む、請求項1記載の抗原結合分子。
【請求項4】
配列番号14により表されるアミノ酸配列
を含む、請求項1記載の抗原結合分子。
【請求項5】
膜貫通ドメインおよびT細胞を活性化させる細胞内シグナルドメイン
を含む、請求項1記載の抗原結合分子。
【請求項6】
膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群より選択され、細胞内シグナルドメインが、CD3ゼータシグナルドメインおよび共刺激シグナルドメインである、請求項5記載の抗原結合分子。
【請求項7】
共刺激シグナルドメインが、CD28、OXO40、CD27、ICAM-1、CD278およびCD137からなる群より選択される、請求項6記載の抗原結合分子。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項記載の抗原結合分子をコードする、核酸分子。
【請求項9】
請求項8記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項10】
請求項8記載の核酸分子を含む、細胞。
【請求項11】
T細胞である、請求項10記載の細胞。
【請求項12】
T細胞が、CD8+ T細胞および/またはCD4+ T細胞である、請求項11記載の細胞。
【請求項13】
キメラ抗原受容体により改変されたT細胞(CAR-T)である、請求項10記載の細胞。
【請求項14】
薬学的に有効な成分として請求項10記載の細胞を含む、がんを処置するための薬学的組成物。
【請求項15】
がんが、食道腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、眼内黒色腫、小細胞肺がん、神経芽腫、奇形腫、胎児がん、扁平上皮がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺腫、リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病
である、請求項14記載の薬学的組成物。
【請求項16】
治療有効量の請求項1~7のいずれか一項記載の抗原結合分子を含むT細胞を含む、がんを処置するための治療用薬学的組成物。
【請求項17】
薬学的組成物が、CD8+ T細胞を含むか、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むか、のいずれかである、請求項16記載の治療用薬学的組成物。
【請求項18】
CD8+ T細胞に対するCD4+ T細胞の細胞数の比が実質的に1:1である、請求項17記載の治療用薬学的組成物。
【請求項19】
がんの処置のための改変されたキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T)を製造する方法であって、
以下:
配列番号7により表される重鎖可変領域;および、
配列番号8により表される軽鎖可変領域
を含み、キメラ抗原受容体(CAR)である、抗原結合分子
をコードする核酸をT細胞に感染させる工程
を含む、方法。
【請求項20】
薬学的に有効な成分として、請求項1~7のいずれか一項記載の抗原結合分子を含むT細胞を含む、がんを処置するための治療用薬学的組成物。
【請求項21】
CD8+ T細胞を含むか、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むか、のいずれかである、請求項20記載の治療用薬学的組成物。
【請求項22】
CD8+ T細胞に対するCD4+ T細胞の細胞数の比が実質的に1:1である、請求項21記載の治療用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HLA-DRに結合するキメラ抗原受容体およびCAR-T細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう作製されたT細胞は、がんの処置において高い治療能力を有する(Grupp et al., 2013; Kochenderfer et al., 2010, 2015; Porter et al., 2011)。
【0003】
これらの細胞の臨床的成功は、様々なシグナルドメインおよびさまざまな結合力(avidity)を有する抗原結合ドメインが人為的に結合されるというCARの融合構造の結果である(Maus et al., 2014; van der Stegen et al., 2015)。
【0004】
CARは、標的抗原を認識する、細胞外発現される抗原結合ドメインに基づく合成分子を指し、認識部位、膜貫通ドメイン(モジュール)、1つまたは複数の共刺激シグナルドメイン、および活性化シグナルを伝達するキメラ細胞内シグナル部を含む。(Jensen and Riddell, 2015)。
【0005】
腫瘍細胞のエピトープへの、CARを有するT細胞の結合は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に依存せず、細胞傷害性T細胞の機構を通じて、腫瘍細胞のアポトーシスおよび細胞死を誘導し得る(Ramos and Dotti, 2011)。
【0006】
近年、CD19(分化クラスター19)を標的とするCAR-Tが、再発性/難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者の処置に関して目覚ましい結果を示している(Kochenderfer, JN et al. (2010) Blood 116: 4099-4102; Porter, D. L 'et al. (2011) N. Engl. J. Med. 365: 725-733; Grupp, SA et al. (2013) N. Engl. J Med. 368: 1509-1518; Kochenderfer, JN et al. (2015) J. Clin. Oncol. 33: 540-549; Brown, CE et al. (2016) N. Engl. J. Med. 375:2561-2569)。
【0007】
CD19 CAR-T細胞療法は再発性/難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の処置において成功したが、その客観的な応答率は20~30%から79%に改善し、完全寛解率は30~50%であった。この数値は、以前の結果よりも7倍高い(Crump et al., 2016; Locke et al., 2017)。
【0008】
本明細書で使用される悪性変種受容体(Malignancy Variant Receptor;MVR)に関して、ヒト由来B細胞リンパ腫細胞で繰り返し免疫刺激されたBalb/cマウスから脾細胞が単離され、これをSP2/0骨髄腫細胞とハイブリダイズさせてハイブリドーマプールが調製され、B細胞リンパ腫に対してのみ特異的に応答しかつ高い反応性を示したハイブリドーマプールから抗MVRハイブリドーマが選択された(WO2016-094304)。
【0009】
CD19は、正常細胞およびがん細胞の両方において発現され、したがってCD19抗体は正常細胞とがん細胞を正確に区別することができないが、MVR抗体は正常細胞とがん細胞を正確に区別し得、それによって高い治療効果および安全性を示す(Han et al., 2018)。
【0010】
高い親和性を有する特定のHLA-DR型T細胞からCAR-T細胞が生成されないという問題があった。これを改善するために、本願において、様々な結合親和性を有する抗体を調製し、そして最終的に、CAR-T細胞治療剤に適した抗体を選択した。
【0011】
本発明は、マウスMVR抗体の配列バリエーションを通じて、抗原に対する様々な結合親和性を有するよう設計された特許であり、この抗体自体が治療剤として使用され得る、またはこの抗体を用いる治療剤(CAR-T細胞治療剤)においてそれが使用され得る等と考えられる。加えて、本発明の抗体は、マウスMVR抗体を用いてヒト化抗体を生成することにより、免疫原性を最小化されている。加えて、様々な結合親和性を有する抗体を発見することにより、CAR-T生成は、CAR-Tが適用される場合にその親抗体よりも優れていると考えられ得、血液がんの処置のためのCAR-T細胞治療に適用され得る。
【発明の概要】
【0012】
発明の詳細な説明
解決すべき課題
本発明の目的は、臨床的に適用され得るMVRを提供すること、および優れた治療効果を有するCAR-T細胞を提供することである。詳細には、本発明は、第2世代CAR-T細胞におけるその機能に関して重要な役割を果たす共刺激ドメインとして様々なCAR-T細胞に導入され得る共刺激ドメインを提供する。さらに、特定のがん細胞の表面上に発現される抗原に結合することができ、かつCAR-T細胞を形成することができる様々な抗原結合ドメインを提供することが、本発明の目的である。
【0013】
課題を解決するための手段
1.
配列番号1により表されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、配列番号2により表されるアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号3により表されるアミノ酸配列を含むHCDR3とを含む、重鎖可変領域;および
配列番号4により表されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、配列番号5により表されるアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号6により表されるアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む、軽鎖可変領域
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)である、抗原結合分子。
【0014】
2.
配列番号7により表される重鎖可変領域、および
配列番号8により表される軽鎖可変領域
を含む、項目1記載の抗原結合分子。
【0015】
3.
配列番号9により表されるアミノ酸配列を含む、項目1記載の抗原結合分子。
【0016】
4.
配列番号13により表されるアミノ酸配列をさらに含む、項目1記載の抗原結合分子。
【0017】
5.
配列番号14により表されるアミノ酸配列をさらに含む、項目1記載の抗原結合分子。
【0018】
6.
膜貫通ドメインおよびT細胞を活性化させる細胞内シグナルドメイン
をさらに含む、項目1記載の抗原結合分子。
【0019】
7.
膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群より選択され、細胞内シグナルドメインが、CD3ゼータシグナルドメインおよび共刺激シグナルドメインである、項目6記載の抗原結合分子。
【0020】
8.
共刺激シグナルドメインが、CD28、OXO40、CD27、ICAM-1、CD278およびCD137からなる群より選択される、項目7記載の抗原結合分子。
【0021】
9.
項目1~8のいずれか1つの抗原結合分子をコードする、核酸分子。
【0022】
10.
項目9記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【0023】
11.
項目9記載の核酸分子を含む、細胞。
【0024】
12.
T細胞である、項目11記載の細胞。
【0025】
13.
T細胞が、CD8+ T細胞および/またはCD4+ T細胞である、項目12記載の細胞。
【0026】
14.
キメラ抗原受容体により改変されたT細胞(CAR-T)である、請求項11記載の細胞。
【0027】
15.
薬学的に有効な成分として項目11記載の細胞を含む、がんを処置するための薬学的組成物。
【0028】
16.
がんが、食道腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、眼内黒色腫、小細胞肺がん、神経芽腫、奇形腫、胎児がん、扁平上皮がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺腫、リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病等である、項目15記載の薬学的組成物。
【0029】
17.
がんを有する患者に、治療有効量の項目1~8のいずれかの抗原結合分子を含むT細胞を含む薬学的組成物を投与する工程を含む、がん処置法。
【0030】
18.
薬学的組成物が、CD8+ T細胞を含むか、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むか、のいずれかである、項目17記載のがん処置法。
【0031】
19.
CD8+ T細胞に対するCD4+ T細胞の細胞数の比が実質的に1:1である、項目18記載のがん処置法。
【0032】
20.
がんの処置のための改変されたキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T)を製造する方法であって、
以下:
配列番号1により表されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、配列番号2により表されるアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号3により表されるアミノ酸配列を含むHCDR3とを含む、重鎖可変領域;および、
配列番号4により表されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、配列番号5により表されるアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号6により表されるアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む、軽鎖可変領域
を含み、キメラ抗原受容体(CAR)である、抗原結合分子
をコードする核酸をT細胞にトランスフェクトする工程を含む、方法。
【0033】
21.
薬学的に有効な成分として、項目1~8のいずれかの抗原結合分子を含むT細胞を含む、がんを処置するための薬学的組成物。
【0034】
22.
CD8+ T細胞を含むか、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むか、のいずれかである、項目21記載の薬学的組成物。
【0035】
23.
CD8+ T細胞に対するCD4+ T細胞の細胞数の比が実質的に1:1である、項目18記載の治療用薬学的組成物。
【0036】
発明の効果
本発明において開発されたMVRの例では、増加したHLA-DRが腫瘍細胞において選択的に認識され得、それを用いてCAR-T細胞が生成される場合、MVRは、強いインビトロ効能および哺乳類における高い効能を示す。
【0037】
それはまた、従来的な4-1BB共刺激ドメインに5アミノ酸を付加することにより効能を増大させる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
参照抗体AAV40168(配列番号28)と比較した、マウスMVR抗体
(配列番号27)および2つの作製されたヒト化抗体(huMVR.L1H1
(配列番号10)、huMVR.L2H2
(配列番号7))のそれぞれのVHアミノ酸配列を示す。
【
図2】
参照抗体hu4D5(配列番号30)と比較した、マウスMVR抗体
(配列番号29)および2つの作製されたヒト化抗体(huMVR.L1H1
(配列番号11)、huMVR.L2H2
(配列番号8))のそれぞれのVLアミノ酸配列を示す。
【
図3】muMVRおよび2つのヒト化抗体(huMVR.L1H1、huMVR.L2H2)の結合力分析の結果を示す。
【
図4】MVRであるヒト化抗体huMVR.L2H2の分子モデリングおよび親和性ホットスポット予測を示す。
【
図5a】
図5は、親和性ホットスポットが適用された15の変異型の結合力分析の結果を示す。
【
図5b】
図5は、親和性ホットスポットが適用された15の変異型の結合力分析の結果を示す。
【
図6a】CD19 CAR、CD19CAR_euCD137およびhuMVR.L2H2CAR_euCD137構築物の概略図である。CD19CARは、共刺激ドメインにおいて4-1(CD137)ドメインの214~255aaを利用し、CD19CAR_euCD137およびhuMVR.L2H2CAR_euCD137は、4-1(CD137)ドメインの209~255aaを利用した。
【
図6b】CAR-T細胞の主要機能を示すレンチウイルスベクターおよび対応する遺伝子ならびにCD19 CAR構築物の遺伝子配列を示す。詳細には、同図は、EF1アルファプロモーターを含むCD8リーダー配列、scFv huMVR.L2H2、CDαヒンジおよびヒトCD8膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBおよびCAR発現率を増加させるCD3ゼータシグナルドメインを示す。安全グレードのレンチウイルス生産に必要とされる対応する遺伝子も示されている。
【
図7a】
図7は、CAR-T細胞の主要機能を示すレンチウイルスベクターおよび対応する遺伝子ならびにCD19 CAR構築物の遺伝子配列を示す。詳細には、同図は、EF1アルファプロモーターを含むCD8リーダー配列、scFv MVR.L2H2、CDαヒンジおよびヒトCD8膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBおよびCAR発現率を増加させるCD3ゼータシグナルドメインを示す。安全グレードのレンチウイルス生産に必要とされる対応する遺伝子も示されている。
【
図8】MVR CAR-T細胞生産プロセスを示す。
【
図9】MVR CAR-Tのインビトロアポトーシス機能を確認する実験結果を示す。
【
図10】CD19CARおよびCD19CAR_euCD137を導入した、2つのタイプのCD19 CAR-T細胞についての、生産率および効能評価を示す。A:2つのCD19 CAR-Tの生産から14日後に、CD8およびCAR-T細胞を染色し、FACSを用いて取得されたCAR-T生産率を示す。B:2種類の生産されたCAR-Tを標的と反応させてから4時間後にルシフェラーゼアッセイを行った後の、それぞれのCAR-Tの細胞傷害性の比較を示している。
【
図11】動物モデルにおいてhuMVR CAR-Tの効果を評価する前の、FACSを用いた、細胞株におけるHLA-DRの発現およびhuMVR L2H2 scFvの結合力を示す。
【
図12a】
図12は、
図9において細胞株レベルでCAR-T細胞生産率および細胞傷害性を確認した後に、CAR-T細胞株を用いて動物モデルにおいて行った効能評価を示す。A:ルシフェラーゼを発現するがん細胞株をマウスに皮下注射することによって動物モデルを皮下的に誘導した後にCAR-T効果を評価するためにIVIS画像化装置を用いた結果。
【
図12b】
図12は、
図9において細胞株レベルでCAR-T細胞生産率および細胞傷害性を確認した後に、CAR-T細胞株を用いて動物モデルにおいて行った効能評価を示す。B:画像化後に各マウスにおいてフォトン値を確認およびグラフ化した結果。
【
図13】3~4日間隔でマウスにおいて眼窩採血を行った後の、FACSを用いた、血液中に存在するCAR-Tの比率および数を示す。A:CD8+/CAR+細胞のFACS染色を通じた、血液中に存在する総CD19 CAR-T比を確認するグラフ。B:CAR-T全体の比を確認した後にCD8およびCD4CAR-Tの比を再確認するグラフ。C:FACS染色の間にFACSカウントビーズを用いることによって血液中に存在するCAR-T細胞の数を示すグラフ。
【
図14a】
図14は、腹腔内動物モデルを用いた、CD8 huMVR CAR-TおよびCD4/CD8 huMVR CAR-Tの効能試験を示す。A:ルシフェラーゼを発現するがん細胞株をマウス腹腔に注射することにより動物モデルを誘導した後の、CD8 huMVR CAR-TおよびCD4/CD8 huMVR CAR-Tの効果のIVIS画像化の結果。
【
図14b】
図14は、腹腔内動物モデルを用いた、CD8 huMVR CAR-TおよびCD4/CD8 huMVR CAR-Tの効能試験を示す。B:腹腔に誘導した動物モデルにおける、がん細胞のフォトン値を示すグラフ。
【
図15a】
図15は、動物モデルを用いた、MVR CAR-Tの効能試験を示す。A:ルシフェラーゼを発現するがん細胞株をマウスに皮下注射することにより動物モデルを誘導した後の、MVR CAR-Tの効果を示すIVIS画像化の結果。
【
図15b】
図15は、動物モデルを用いた、MVR CAR-Tの効能試験を示す。B:自動カリパスを用いた測定後の、皮下誘導されたがん塊のサイズを示すグラフ。
【
図16】
図15に基づく各グループにおけるマウスの生存率を示すグラフである。
【
図17】MVR CAR-T投与後に3~4日間隔でマウスにおいて眼窩採血を行った後の、FACSを用いた、血液中に存在するCAR-Tの比率および数を示す。A:マウス血液中のhCD45+/CAR+細胞の比を示すグラフ。B:FACS染色の間にFACSカウントビーズを用いることによってマウス血液中に存在するMVR CAR-T細胞の数を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最良の発明実施形態
本発明は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、それを含む薬学的組成物、およびそれを用いるがん処置法に関する。
【0040】
本発明で使用される場合、「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語は、標的分子を認識する、細胞外側に露出した受容体を通じて作用する抗原結合ドメインと、1つまたは複数のヒンジドメインまたはスペーサードメインと、膜貫通ドメインと、1つまたは複数の細胞内共刺激シグナルドメインと、細胞内刺激ドメインとを表す。
【0041】
本発明で使用される場合、「T細胞」という用語は、胸腺由来のリンパ球を表し、これは細胞免疫において重要な役割を果たす。T細胞は、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞等を含む。本発明の1つの態様において、CARを導入するT細胞は、CD8+ T細胞、または、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「抗体」および「抗原結合タンパク質」は、言い換え可能に使用され得、本発明に従う抗原結合タンパク質は、完全抗体形態だけでなく、抗体分子の機能的フラグメントも含む。完全抗体は、2つの全長軽鎖および2つの全長重鎖を有する構造であり、各軽鎖は重鎖とジスルフィド結合によって連結される。抗体分子の機能的フラグメントは、抗原結合機能を有するフラグメントを表し、Fab、F(ab')、F(ab')2、Fv等を含む。これらの抗体フラグメントの中で、Fabは、軽鎖と、重鎖可変領域と、軽鎖定常領域と、第1の重鎖定常領域(CH1)とを含む構造による、単一の抗原結合部位を有する。Fab'は、重鎖CH1ドメインのC末端に少なくとも1つのシステイン残基を含むヒンジ領域を有する点で、Fabと相違する。F(ab')2抗体は、Fab'のヒンジ領域でシステイン残基のジスルフィド結合を形成することによって生成される。
【0043】
最小の抗体フラグメントを用いて、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のみを有するFvフラグメントを生成する組み換え技術は、公開された国際特許出願WO 88/10649、WO 88/106630、WO 88/07085、WO 88/07086およびWO 88/09344に開示されている。二本鎖Fv(dsFv)は、ジスルフィド結合、重鎖可変領域および軽鎖可変領域が連結されたものであり、短鎖Fv(scFv)は、一般に、重鎖および軽鎖の可変領域に、ペプチドリンカーが共有結合により連結される。そのような抗体フラグメントは、加水分解酵素を用いて取得され得る(例えば、全抗体がパパインによって限定されてFabが取得され得、ペプシン切断はF(ab')2フラグメントを生成し得る)。
【0044】
本明細書において、HLA-DR(ヒト白血球抗原-抗原D関連)は、主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子を表す(Shackelford, DA et al., (1982) Immunol. Rev. 66: 133-187)。9またはそれ以上のアミノ酸のペプチドであるHLA-DRおよびそのリガンドは、TCRのリガンドを構成する。HLA-DR分子は、シグナルに応じて上方調節される。感染の場合、ペプチド(例えば、ブドウ球菌内毒素Iペプチド)がDR分子に結合し、ヘルパーT細胞において見いだされる多数のT細胞受容体に提供される。これらの細胞は、B細胞増殖を刺激するB細胞表面抗原に結合する。
【0045】
HLA-DRの主な機能は、その免疫系に当初存在しなかった外来ペプチド抗原を提示し、同ペプチド抗原に対する抗体の産生を誘導するヘルパーT細胞の応答を誘導または阻害することである。HLA-DRは、各サブユニットが、2つの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質テイルを含む、αβ二量体および細胞表面受容体である。αおよびβ鎖は両方とも、細胞膜に固定されている。その成熟タンパク質形態のN末端ドメインは、結合基の露出部分を構成するアルファヘリックスを形成し、そのC末端細胞質領域は、他の鎖と相互作用し、細胞膜を横断して結合基の下にベータシートを形成する。ペプチド接触部位の大部分は、各鎖の最初の80残基である。
【0046】
HLA-DRは、抗原提示細胞、例えば樹状細胞、マクロファージ、単球およびB細胞において限定的に発現される。細胞表面におけるDR「抗原」の量の増加はしばしば刺激に応答するものなので、DRは、悪性細胞における高発現HLA-DRおよび正常細胞における限定的発現スペクトルにより、免疫作用のマーカーでもあり、B細胞悪性腫瘍に関してHLA-DRに対する抗体が開発され、前臨床および臨床試験において試験されている(Nagy, ZA, et al. (2002) Nat. Med. 8: 801-807; DeNardo, GL, et al. (2005) Clin. Cancer Res. 11: 7075s-7079s; Ivanov, A., et al. (2009) J. Clin. Invest. 119: 2143-2159; Lin, TS, et al. (2009) Leuk. Lymphoma 50: 1958-1963)。第I/II相試験において毒性は重度ではなかったが、限定的な効果が理由でさらなる研究が中止された(Lin, T.S.et al. (2009) Leuk. Lymphoma 50: 1958-1963)。大規模T細胞応答に抗原特異性を組み込むことによりモノクローナル抗体の治療効能を強化するCAR-T細胞の能力に鑑み、HLA-DRにより方向づけられたCAR-T細胞は、B細胞における悪性腫瘍に対する有用な治療であり得ると認識されている。
【0047】
本発明の1つの態様において、抗原結合タンパク質は、scFvを含み、膜貫通ドメイン、共刺激シグナルドメインおよび細胞内シグナルドメインが機能的に連結された形態を有する。膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、またはCD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137もしくはCD154のうちの1つもしくは複数であるが、それに限定されない。細胞内シグナルドメインは、基本的に、CD3ゼータ一次シグナルドメインであり、共刺激シグナルドメインとして、CD28、OXO40、CD27、ICAM-1、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)のうちの1つまたは複数が使用され得るが、これらに限定されない。本発明の1つの態様において、膜貫通ドメインはCD8であり、共刺激シグナルドメインは4-1BBである。
【0048】
本発明のscFvは、軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)を含み、VL-VHまたはVH-VL構造を有し、VLおよびVHは、直接的に連結され得るかまたはリンカーによって接続され得る。リンカーが使用される場合、当技術分野で公知のリンカー、例えば、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(Gly)6、(Gly)8または(EAAAK)n(nは1~3の任意の整数である)が必要に応じて使用され得るが、これらに限定されない。本発明の1つの態様において、抗原結合タンパク質は、VL-リンカー-VH構築物を含み、リンカーは(GGGGS)3である。
【0049】
本発明の抗原結合分子のscFvは、細胞表面上に提示された抗原に特異的に結合し、この抗原は特に、標的細胞、例えばがん細胞において特異的に発現されるまたはがん細胞において過剰発現される細胞表面タンパク質であり、例えば、CD30、CD20、CD19、CD22およびCD138からなる群より選択される少なくとも1つであり得る。本発明の1つの態様において、抗原はHLA-DRである。
【0050】
本発明の1つの態様において、scFvは、HLA-DRに対する抗体であるhuMVRである。huMVRは、配列番号1により表されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、配列番号2により表されるアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号3により表されるアミノ酸配列を含むHCDR3とを含む、重鎖可変領域、および、配列番号4により表されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、配列番号5により表されるアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号6により表されるアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む、軽鎖可変領域、を含み、該抗原結合分子はキメラ抗原受容体(CAR)である。本発明の1つの態様において、scFvは、配列番号7により表される重鎖可変領域、および、配列番号8により表される軽鎖可変領域を含み、本発明の別の態様において、scFvは、huMVR配列番号9により表されるアミノ酸配列を含む。
【0051】
本発明の抗原結合分子は、抗原結合部位としてscFvを有するキメラ抗原受容体(CAR)であり、本発明の1つの態様において、抗原結合分子はさらに、scFvのC末端の膜貫通ドメインおよびT細胞を活性化させる細胞内シグナルドメインを含む。
【0052】
本発明の別の態様において、CARは、配列番号7または配列番号8により表されるアミノ酸配列を含む。本発明の1つの態様において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154ならびにそれらの変種からなる群より選択され、細胞内シグナルドメインは、CD3ゼータシグナルドメインおよび共刺激シグナルドメインであり、本発明の1つの態様において、共刺激シグナルドメインは、CD28、OX40、CD27、ICAM-1、CD278およびCD137からなる群より選択される。
【0053】
「単離されたポリペプチド」、「単離されたペプチド」または「単離されたタンパク質」は、その自然状態において通常結合しているであろう化合物(例えば、他のタンパク質またはポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質)を実質的に含まない、ポリペプチドまたはタンパク質を表す。「単離された」は、他の化合物と共に人工もしくは合成混合物が除去されること、生物学的活性に干渉しない不純物が除去されること、または例えば未完成の製品または薬学的に許容される調製物の製剤への安定化剤の添加に起因して存在し得る不純物が除去されることを意味するものではない。
【0054】
「可変領域」という用語は、多様な配列バリエーションを示す一方で、抗原に特異的に結合するという機能を発揮する抗体分子の部分を表し、CDR1、CDR2およびCDR3が可変領域内に存在する。「相補性決定領域(CDR)」は、抗原の認識に関与する部位であり、これらの部位は、この部位の配列の変化にしたがう、抗原に対する抗体の特異性を決定する上で重要である。CDRの間には、適切な方向に「フレームワーク領域(FR)」が存在してCDRの連なりを支持し、詳細には、FR1、FR2、FR3およびFR4が存在する。
【0055】
本発明の1つの態様において、本発明の他の抗原結合タンパク質は、ヒト化抗体であり得る。本発明において、「ヒト化抗体」という用語は、概ね、上記のように、ヒトにおいて非免疫原性であるまたは免疫原性が低下した抗体を表す。ヒト化抗体は、改変された抗体であり、その抗体のアミノ酸配列は、所望の目的に適合するよう再編成され得る。これらの可能性のある変更は多岐にわたり、1つまたは複数のアミノ酸の変更から、抗体の可変または定常領域の完全な再構成にまで及び得る。一般に、可変領域の修飾は抗原の結合力および親和性を向上させるよう行われ、定常領域の変更は、細胞内作用、例えば相補鎖の固定、膜との相互作用および他の作用要素(effect agent)の機能を向上させるよう行われる。本発明によって提供されるヒト化抗体は、組み換え法によってすべての種類の定常領域と組み合わされ得る。重鎖定常領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)型であり、ガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)に再分類される。軽鎖の定常領域は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)型を有する(Coleman et al., Fundamental immunology, 2nd Ed., 1989, 55-73)。
【0056】
「フラグメント」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に適用される場合、上記核酸またはタンパク質と比較して短い長さを有し、かつ上記核酸またはタンパク質のヌクレオチド配列またはペプチド配列と同一である少なくとも一部分を含む、核酸配列またはペプチド配列を表す。そのような本発明に従う核酸フラグメントおよびポリペプチドフラグメントは、適当な場合、より大きなポリヌクレオチドまたはポリペプチドに、その成分として含まれ得る。そのようなフラグメントは、少なくとも6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、30、39、40、42、45、48、50、51、54、57、60、63、66、70、75、78、80、90、100、105、120、135、150、200、300、500、720、900、1000、1500、2000、3000、4000、5000またはそれ以上の長さを有する、本発明に従う核酸またはタンパク質由来の連続するヌクレオチドまたはペプチド配列を有するオリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチドを、含み得るまたはそれからなり得る。
【0057】
ポリペプチドまたはタンパク質の「変種」は、そのポリペプチドまたはタンパク質由来であり、そのポリペプチドまたはタンパク質の少なくとも1つの生物学的特性を保持している任意のアナログ、フラグメント、誘導体または変異体を表す。ポリペプチドまたはタンパク質の様々な変種が自然界に存在し得る。これらの変種は、そのタンパク質をコードする構造遺伝子の異なるヌクレオチド配列によって特徴づけられる対立遺伝子のバリエーションであり得る、または異なるスプライシングもしくは翻訳後修飾を含み得る。当業者は、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、付加または置き換えを有する変種を生成し得る。これらの変種は、(a)1つまたは複数のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸で置き換えられた変種、(b)1つまたは複数のアミノ酸がポリペプチドまたはタンパク質に付加された変種、(c)アミノ酸の1つまたは複数が置換基を含む変種、および(d)ポリペプチドまたはタンパク質が別のポリペプチド、例えば血清アルブミンに融合された変種、を含み得る。
【0058】
保存的変種はまた、そのタンパク質の生物学的機能に悪影響を及ぼさない配列変更を有するアミノ酸配列を表す。変更された配列が、タンパク質に付随する生物学的機能と干渉するまたは生物学的機能を破壊する場合、その置換、挿入または欠失は、そのタンパク質に悪影響を及ぼすと表現される。例えば、タンパク質の総電荷、構造または疎水性・親水性は、生物学的活性に悪影響を及ぼすことなく変更され得る。したがって、そのアミノ酸配列は、例えば、そのタンパク質の生物学的活性に悪影響を及ぼすことなくそのペプチドがより高い疎水性または親水性を示すよう、変更され得る。遺伝的(抑制、欠失、変異等)、化学的および酵素的技術を含む、そのような変種を入手する技術は、当業者に公知である。
【0059】
本発明の1つの態様において、抗原結合分子をコードする核酸分子が開示される。核酸分子は、配列番号7により表されるアミノ酸配列をコードする核酸配列または配列番号7により表されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含み得る。
【0060】
本発明の別の態様において、核酸分子は、配列番号9により表されるscFvをコードする配列を含み得る。本発明のさらに別の態様において、核酸分子は、配列番号15または配列番号16により表される、CARをコードする核酸配列を含み得る。さらに、本発明のさらに別の態様において、核酸分子は、上記配列によりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列であるまたは少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の相同性を有するポリペプチドをコードするよう、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の相同性を有する核酸配列を含み得る。
【0061】
本発明における「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、言い換え可能に使用され、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンもしくはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミンもしくはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステル、またはホスホロチオエートもしくは任意のリン酸エステルアナログ、例えばチオエステルの一本鎖または二本鎖形態のらせん体を表す。これらの中から、らせん状DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAらせん体が生じ得る。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子という用語は、その分子の一次および二次構造のみを表し、任意の特定の三次形態に限定されない。したがって、この用語は、これらの分子のうち、直鎖状または環状DNA分子(例えば、制限酵素フラグメント)、プラスミド、染色体において見いだされるスーパーコイル状DNAおよび二本鎖DNAを含む。本明細書において特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する場合、その構造は、その配列が非転写DNA鎖(すなわち、mRNAに対応する配列を有する鎖)に沿って5’~3’方向にのみ示される一般記法に従って記載され得る。「組み換えDNA分子」は、分子生物学的操作を行ったDNA分子である。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNAおよび半合成DNAを含むがこれらに限定されない。
【0062】
当技術分野で公知のように、「パーセント同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つもしくはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。加えて、当技術分野において、「同一性」という用語は、状況により、配列鎖の間の適合の程度により決定される、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列の対応度を表す。「同一性」および「類似性」は、Computational Molecular Biology ((Lesk, A. M., ed.) Oxford University Press, New York (1988); Biocomputing: Informatics and Genome Projects (Smith, D. W., ed.) Academic Press, New York (1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part I (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.) Humana Press, New Jersey (1994); Sequence Analysis in Molecular Biology (von Heinje, G., ed.) Academic Press (1987); およびSequence Analysis Primer (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.) Stockton Press, New York (1991)に記載されるものを含むがこれらに限定されない公知の方法によって容易に計算され得る。
【0063】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最適な適合を提供するよう設計される。同一性および類似性を決定する方法は、一般利用可能なコンピュータプログラムに体系化されている。配列のアラインメントおよびパーセント同一性の計算は、配列分析ソフトウェア、例えば、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc., Madison, WI)のMegalignプログラムを用いて実施され得る。配列のマルチアラインメントは、Clustalアラインメント法をデフォルトパラメータ(GAP PENALTY = 10、GAP LENGTH PENALTY = 10)で用いて実施され得る(Higgins et al., CABIOS. 5: 151 (1989))。Clustal法を用いたペアワイズアラインメント用のデフォルトパラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY = 3、WINDOW = 5およびDIAGONALS SAVED = 5から選択され得る。当技術分野で公知のように、2種類のポリペプチド間の「類似性」は、そのポリペプチドのアミノ酸配列および保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。本願におけるこれらの配列に対する同一性または相同性は、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮することなく、最大パーセント相同性を達成するよう配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入することを表し、ついでこれが、既知のペプチドと同一である候補配列内のアミノ酸残基の百分率として定義される。ペプチド配列における、N末端、C末端または内部の拡張、欠失または挿入は、相同性に影響するものとみなされるべきでない。
【0064】
「相同性」という用語は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド部分間のパーセント同一性を表す。1つの部分と別の部分の間の対応は、当技術分野で公知の技術により決定され得る。例えば、相同性は、配列情報をアラインメントし、利用可能なコンピュータプログラムを用いて2つのポリペプチド分子間で配列情報を即座に比較することによって決定され得る。それ以外では、相同性は、同じ種類の領域の間で安定な二重鎖を形成する条件下でポリヌクレオチドをハイブリダイズさせ、その後に一本鎖特異的ヌクレアーゼを用いて切断し、切断されたフラグメントをサイズ分けすることによって決定され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「相同性」という用語のすべての文法および正字法上の形態は、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)内のタンパク質および他の種(例えば、ミオシン軽鎖等)由来の相同タンパク質を含む、「共通進化起源(common evolutionary origin)」(Reeck et al., Cell 50:667 (1987))を有するタンパク質間の対応を表す。これらのタンパク質(およびそれらをコードする遺伝子)は、それらの高い配列類似性の点で、配列相同性を有する。しかし、一般的用法および本願において、「非常に(very)」等の副詞で修飾される場合、「相同」という用語は、配列相同性を表し、共通進化起源を指さない。
【0066】
したがって、「配列類似性」という用語は、すべての文法上の形態において、共通進化起源(Reeck et al., Cell 50:667 (1987))有する場合も有さない場合もある核酸またはアミノ酸配列間の同一または対応の程度を表す。1つの態様において、ヌクレオチドの約50%(例えば、少なくとも約75%、90%または95%)が、定義された長さまたはそれ以上のDNA配列と一致する場合、その2つのDNA配列は、「実質的に相同」であるまたは「実質的に類似」する。実質的に相同な配列は、その配列を、利用可能な標準的ソフトウェアを用いて、配列データバンクと比較することによって、または、例えば、特定のシステムに関して定義されるようなストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験によって同定され得る。適当なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当技術分野の技術範囲内である(例えば、Sambrook et al. 1989を参照のこと)。
【0067】
本明細書で使用される場合、「実質的に類似」は、1つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化が1つまたは複数のアミノ酸の置換を引き起こすが、このDNA配列がコードするタンパク質の機能的特性には影響しない核酸フラグメントを表す。「実質的に類似」はまた、1つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化がアンチセンスまたは共抑制(co-suppression)技術による遺伝子発現の変化を媒介する核酸フラグメントの能力に影響しない核酸フラグメントを表す。「実質的に類似」はまた、本発明の核酸フラグメントの修飾、例えば、生じる転写物の機能的特性に実質的に影響しない1つまたは複数のヌクレオチド塩基の欠失または挿入を表す。したがって、本発明は、示されている個々の配列も包含することが理解されるべきである。例えばコードされる生産物の生物学的活性の保持を決定するために示唆される修飾の各々は、当技術分野の通常の技術の範囲内である。
【0068】
さらに、当業者は、本発明に包含される実質的に類似の配列がストリンジェントな条件(2X SSC、0.1% SDSでの洗浄後の0.1X SSC、0.1% SDS、65℃および0.1X SSC、0.1% SDS)下で本明細書に示されている配列とハイブリダイズする能力によって定義されることを理解するであろう。本発明の実質的に類似する核酸フラグメントは、そのDNA配列が本明細書で報告される核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも約70%、80%、90%または95%同一である核酸フラグメントである。
【0069】
本発明の1つの態様において、本発明に従う抗原結合タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターが提供される。「発現」という用語は、コード配列によってコードされる生産物の生物学的生成を表す。ほとんどの例において、コード配列を含むDNA配列は、メッセンジャーRNA(mRNA)を形成するよう転写される。メッセンジャーRNAは、その後、対応する生物学的活性を有するポリペプチド生産物を形成するよう翻訳される。加えて、発現プロセスは、RNA転写産物のプロセシング(例えば、イントロンを除去するスプライシング)および/またはポリペプチド生産物の翻訳後プロセシングの追加工程を含み得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、挿入された核酸配列の発現後に宿主を形質転換するよう設計されたベクター、プラスミドまたはキャリアを表す。
【0071】
クローン化された遺伝子、すなわち、挿入された核酸配列は、通常、調節エレメント、例えばプロモーター、最小プロモーター、エンハンサー等の制御下に置かれる。所望の宿主細胞において核酸の発現を誘導するのに有用な多数の開始調節領域またはプロモーターが当業者に周知である。これらの遺伝子の発現を実質的に誘導することができるプロモーターは、ウイルスプロモーター、細菌プロモーター、動物プロモーター、哺乳類プロモーター、合成プロモーター、構成性プロモーター、組織特異的プロモーター、病因または疾患関連プロモーター、発生特異的プロモーター、誘導性プロモーター、光調節プロモーター等を含むがこれらに限定されず、SV40早期(SV40)プロモーター領域およびラウス肉腫ウイルス(RSV)の3’長末端反復(LTR)を含むプロモーター、アデノウイルス(Ad)のE1Aまたは主要後期プロモーター(MLP)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)最早期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1アルファ(EF1)プロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GSPDH)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチンC(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーターおよび転写調節領域の調節配列、ユビキタスプロモーター(HPRT、ビメンチン、β-アクチン、チューブリン等)、中間径フィラメント(デスミン、神経原線維、ケラチン、GFAP等)、治療遺伝子(MDR、CFTRまたは第VIII因子形態等)のプロモーター、発病または疾患関連プロモーター、およびトランスジェニック動物において使用されている、組織特異性を示すプロモーター、例えば、膵腺房細胞(例えば、膵腺房細胞)において活性なエラスターゼIの遺伝子調節領域、膵臓ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子調節領域、リンパ系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子調節領域、精巣、乳房、リンパ系およびマクロファージにおいて活性なマウス乳がんウイルス調節領域、肝臓において活性なアルブミン遺伝子、Apo AIおよびApo AII調節領域、肝臓において活性なアルファ-フェトプロテイン遺伝子調節領域、肝臓において活性なアルファ1-抗トリプシン遺伝子調節領域、骨髄細胞において活性なベータ-グロビン遺伝子調節領域、脳の希突起膠細胞において活性な活性ミエリン塩基性タンパク質調節領域、骨格筋において活性なミオシン軽鎖2遺伝子調節領域および視床下部において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン、ピルビン酸キナーゼプロモーター、ヴィリンプロモーター、脂肪酸結合腸タンパク質のプロモーター、平滑筋細胞におけるβ-アクチンのプロモーターを含むがこれらに限定されない。
【0072】
「ベクター」という用語は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで核酸を細胞に導入するための、非ウイルスおよびウイルスキャリアの両方を含む。
【0073】
ベクターは、付加された別のDNAフラグメントを含む、その付加されたフラグメントを増幅するためのレプリコンであり得る。「レプリコン」という用語は、インビボDNA複製の自律的単位として機能することができる、すなわち、その独自の制御の下で複製することができる任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を表す。当技術分野で公知の多くのベクターが、核酸を改変するため、応答エレメントおよびプロモーターを遺伝子に組み込むため等に使用され得る。好ましいベクターは、例えば、例えばアデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスまたはプラスミド、例えば、pBR322もしくはpUCプラスミド誘導体もしくはBluescriptベクターを含む、プラスミドまたは修飾ウイルスを含む。例えば、応答エレメントおよびプロモーターに対応するDNAフラグメントは、適当なDNAフラグメントを、相補的な粘着末端を有する選択されたベクターと結合することによって適当なベクターに挿入され得る。そうでない場合、DNA分子の末端が、酵素的に修飾され得る、またはヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端に結合させることによって任意の部位が生成され得る。そのようなベクターは、その細胞ゲノムにマーカーを組み込んだ細胞をスクリーニングするための選択マーカー遺伝子を含むよう操作され得る。そのようなマーカーは、そのマーカーによりコードされるタンパク質を発現する宿主細胞を同定および/またはスクリーニングすることを可能にする。
【0074】
ベクターは、適当な宿主細胞における融合タンパク質の発現を調節するのに必要な調節配列(例えば、転写および翻訳エレメント)を提供する。調節配列は、プロモーター領域、エンハンサー領域、転写終結部位、リボソーム結合部位、開始コドン、スプライスシグナル、イントロン、ポリアデニル化シグナル、シャイン/ダルガノ翻訳配列およびコザックコンセンサス配列を含み得る。調節配列は、融合タンパク質が産生される宿主細胞に照らして選択される。適当な細菌プロモーターは、バクテリオファージλpLまたはpR、T6、T7、T7/lacO、lac、recA、gal、trp、ara、hutおよびtrp-lacを含むがこれらに限定されない。適当な真核生物プロモーターは、PRBI、GAPDH、メタロチオネイン、チミジンキナーゼ、ウイルスLTR、サイトメガロウイルス、SV40または組織特異的もしくは腫瘍特異性プロモーター、例えば、α-胎児性タンパク質、アミラーゼ、カテプシンE、M1ムスカリン性受容体もしくはγ-グルタミルトランスフェラーゼを含むがこれらに限定されない。
【0075】
さらなるベクターは、リポプレックス(カチオン性リポソームDNA複合体)、ポリプレックス(カチオン性ポリマーDNA複合体)およびタンパク質DNA複合体を含む。核酸に加えて、ベクターはまた、核酸送達の結果(特定の組織への送達、発現期間等)を選択、測定および観察するのに有用な1つまたは複数の調節領域および/または選択マーカーを含み得る。
【0076】
ベクターは、当技術分野で公知の方法、例えば、注射、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、リポフェクション、リン酸カルシウム沈降(Graham, F.L. et al., Virology, 52: 456 (1973); およびChen and Okayama, Mol. Cell. Biol. 7: 2745-2752 (1987))、リポソーム加工塩(liposome-mediated textured salt)法(Wong, T.K. et al., Gene, 10:87 (1980); Nicolau and Sene, Biochim. Biophys.Acta, 721: 185-190 (1982); およびNicolau et al., Methods Enzymol., 149: 157-176 (1987))、DEAE-デキストラン処理(Gopal, Mol. Cell Biol., 5: 1188-1190 (1985))、遺伝子種またはDNAベクタートランスポーター(例えば、Wu et al., J. Biol. Chem. 267: 963 (1992); Wu et al., J. Biol. Chem. 263: 14621 (1988); およびHartmut et al., Canadian Patent Application No. 2,012,311を参照のこと)を用いる遺伝子銃射出(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87: 9568-9572 (1990))によって所望の宿主細胞に導入され得る。
【0077】
ウイルスベクターは、細胞におけるおよび生きた動物対象における幅広い遺伝子移入用途で使用されている。使用され得るウイルスベクターは、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルス、シミアンウイルス40およびエプスタイン・バーウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。非ウイルスベクターは、プラスミド、リポプレックス(カチオン性リポソームDNA複合体)、ポリプレックス(カチオン性ポリマーDNA複合体)およびタンパク質DNA複合体を含む。核酸に加えて、ベクターは、核酸送達の結果(組織への送達、発現の持続性等)をスクリーニング、測定および観察するのに有用な1つまたは複数の調節領域および/または選択マーカーを含み得る。
【0078】
本発明に従うポリヌクレオチドは、インビボでリポフェクションにより導入され得る。ここ数十年で、核酸をインビトロでカプセル化しトランスフェクトするためのリポソームの使用が増加している。リポソームを通じたトランスフェクションにより発生する困難および危険を抑制するよう設計された合成性カチオン性脂質が、遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製するために使用され得る(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:7413 (1987); Mackey et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8027 (1988); およびUlmer et al., Science 259:1745 (1993))。カチオン性脂質の使用は、負に荷電した核酸のカプセル化を促進し得、かつ負に荷電した細胞膜との融合も促進し得る(Feigner et al., Science 337:387 (1989))。核酸の送達に特に有用な脂質化合物および組成物は、WO95/18863、WO96/17823および米国特許第5,459,127号に記載されている。インビボで外因性遺伝子を特定の組織に導入するためのリポフェクションの使用は、様々な実質的利点を有する。特定の細胞に対するリポソームの分子標的指向は、1つの利点領域である。特定の細胞型に対する直接的トランスフェクションは、細胞不均質性を示す組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓および脳に関して特に望ましいことが明白であろう。脂質は、標的指向のために、他の分子に化学的に結合し得る(Mackey et al. 1988)。標的指向ペプチド、例えばホルモンまたは神経伝達物質、およびタンパク質、例えば抗体、または非ペプチド分子が、リポソームに化学的に結合され得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「トランスフェクション」という用語は、細胞による外因性または異種RNAまたはDNAの取り込みを表す。外因性または異種RNAまたはDNAが細胞に導入される場合、細胞は、そのようなRNAまたはDNAにより「トランスフェクト」される。タイプ加工(type textured)RNAまたはDNAが表現型変化を起こす場合、その細胞は外因性または異種RNAまたはDNAにより「形質転換」される。この形質転換を引き起こすRNAまたはDNAは、細胞のゲノムの一部になるよう染色体DNAに(共有結合により)挿入され得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、遺伝的に安定な継承をもたらす宿主生物への核酸フラグメントの送達を表す。変換された核酸フラグメントを含む宿主生物は、「トランスジェニック」または「組み換え」または「形質転換」生物と称される。
【0081】
本発明で使用される場合、「組み換えベクター」という用語は、適当な宿主細胞において標的タンパク質を発現することができ、挿入遺伝子を発現するよう機能的に連結されている必要な調節エレメントを含む、発現ベクターである遺伝子構築物を表す。
【0082】
他の分子、例えば、カチオン性オリゴペプチド(例えば、WO95/21931)、DNA結合タンパク質由来ペプチド(例えば、WO96/25508)またはカチオン性ポリマー(例えば、WO95/21931)もまた、インビボでの核酸のトランスフェクションを促進するのに有用である。
【0083】
裸のDNAプラスミドとしてインビボベクターを導入することも可能である(米国特許第5,693,622号、同第5,589,466号および同第5,580,859号を参照のこと)。受容体を通じたDNA送達も使用され得る(Curiel et al., Hum. Gene Ther. 3: 147 (1992); およびWu et al., J. Biol. Chem. 262: 4429 (1987))。
【0084】
本発明の1つの態様において、本発明に従う抗原結合タンパク質をコードする核酸分子を含む細胞が開示される。本発明の1つの態様において、細胞はT細胞であり、別の態様において、T細胞は、CD8+ T細胞および/またはCD4+ T細胞であり、別の態様において、細胞はキメラ抗原受容体-T細胞(CAR-T)である。
【0085】
本発明の1つの態様において、薬学的に有効な成分として抗原結合タンパク質を発現する細胞を含む、がん処置のための薬学的組成物が提供される。
【0086】
本明細書で使用される場合、「抗がん」という用語は、「予防」および「処置」を含み、「予防」は、本発明の組成物の投与によりがんを抑制するまたは遅延させる任意の行動を意味し、「処置」は、本発明の抗体を投与することによりがんの症状を改善するまたは有益に変化させる任意の行動を意味する。予防は、完全なもの、例えば、対象における症状の完全な消失であり得る。予防はまた、部分的なもの、例えば、対象における症状の発生を本発明がない場合に発生するものよりも少なくすることであり得る。
【0087】
本発明において開示される「組成物」は、活性成分としての本発明に従う細胞傷害性T細胞および不活性成分、例えば天然または人工担体、標識または検出物質、活性成分、例えばアジュバント、希釈剤、カップリング剤、安定化剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒および防腐剤の組み合わせを表し、薬学的に許容される担体を含む。担体はまた、薬学的賦形剤および追加のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、アルジトール、アルドン酸、糖由来多糖、例えばエステル化糖または糖ポリマー等)を、単独でまたは組み合わせて、1~99.99 wt%またはvol%で含み得る。タンパク質賦形剤は、例えば、ヒト血清アルブミン、組み換えヒトアルブミン、ゼラチン、カゼイン等を含むがこれらに限定されない。
【0088】
緩衝剤の役割を果たし得る代表的なアミノ酸成分は、例えば、アラニン、アルギニン、グリシン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等を含むがこれらに限定されない。炭水化物賦形剤はまた、例えば、単糖、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、二糖、例えば、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース、多糖、例えば、ラフィノース、マルトデキストリン、デキストランおよびデンプン、ならびにアルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトールおよびミオイノシトールを含むがこれらに限定されない。
【0089】
当業者は、当技術分野で公知の方法により本発明の薬学的組成物を配合することができるであろう。例えば、必要に応じて、それは、水または別の薬学的に許容される液体を含む滅菌溶液または懸濁物の注射の形態で非経口的に使用され得る。例えば、それは、薬学的に許容される担体または媒体、特に滅菌水または生理食塩水溶液、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定化剤、賦形剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤等と適切に組み合わされ得、それは、一般的に受け入れられている薬学的実施により要求される単位財形で混合することによって配合され得る。製剤において使用される活性成分の量は、示されている範囲の適切な用量が得られ得る量である。
【0090】
加えて、注射用滅菌組成物は、賦形剤液、例えば注射用蒸留水を用いて従来的な配合実務に従って配合され得る。注射用水溶液として、例えば、生理学的食塩水、グルコースまたは他の補助剤、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムおよび適当な溶解酸、例えばアルコール、特にエタノールおよび多価アルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールを含む等張性溶液、ならびに非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(商標)、HCO-50の組み合わせが使用され得る。油性液体は、例えばゴマ油およびダイズ油を含み、溶解補助剤としての安息香酸ベンジルおよびベンジルアルコールと組み合わせて使用され得る。
【0091】
注射用製剤は、例えば、静脈内注射、動脈内注射、選択的動脈内注射、筋内注射、腹腔内注射、皮下注射、脳室内注射、頭蓋内注射、髄内注射等により投与され得るが、好ましくは、静脈内注射により投与される。
【0092】
本発明の組成物は、薬学的有効量のT細胞を含む。有効量は、本明細書の開示に基づき、当業者によって容易に決定され得る。
【0093】
一般に、薬学的有効量は、最初に低濃度の活性成分を投与し、その後に対象においていかなる副作用もなく所望の効果が達成される(例えば、がんに関連する症状が減少または消滅する)まで濃度を段階的に増加させることによって決定される。本発明に従う組成物の投与に関して適当な用量または投与間隔を決定する方法は、例えば、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Goodman et al.編, 第11版, McGraw-Hill 2005およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20および21版, Gennaro and University of the Sciences in Philadelphia, Lippencott Williams & Wilkins編 (2003年および2005年)に記載されている。
【0094】
本発明に従う組成物の投与方法は、様々な要因、例えば、対象のがんのタイプ、年齢、体重、性別、医学的状態、疾患の重篤度、投与経路および別途投与される他の医薬に基づき決定され得る。したがって、投与方法は多岐にわたるが、それは一般的に使用されている方法に従って決定され得る。
【0095】
対象に投与される本発明に従う組成物の量は、多くの要因、例えば、投与方法、患者の健康状態、体重および医学的アドバイスにより決定され得、これらの要因はすべて、当業者の知識の範囲内である。
【0096】
本発明に従う薬学的組成物は、およそ1 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ2 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ3 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ4 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ8 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ6 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ7 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ8 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ9 x 106細胞/mLもしくはそれ以上、およそ1 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ2 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ3 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ4 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ5 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ6 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ7 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ8 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ9 x 107細胞/mLもしくはそれ以上、およそ1 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ2 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ3 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ4 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ5 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ6 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ7 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、およそ8 x 108細胞/mLもしくはそれ以上、またはおよそ9 x 108細胞/mLもしくはそれ以上のCAR-T細胞を含み得るが、当業者は、同じ効果が得られ得る範囲内でCAR-T細胞の濃度を調節することが可能であろう。処方は、配合方法、投与様式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食事、投与時間、投与経路、排せつ率および応答感度等の要因に様々な程度影響され得る。
【0097】
それはまた、緩衝液、例えばリン酸緩衝溶液または酢酸ナトリウム緩衝溶液、鎮痛剤、例えば塩酸プロカイン、安定化剤、例えばベンジルアルコール、フェノールおよび抗酸化物質と組み合わされ得る。調製された注射溶液は、通常、適当なアンプルに充填される。
【0098】
懸濁物および乳化物は、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含み得る。筋内注射のための懸濁物または溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および必要に応じて、適当な量の塩酸リドカインである。
【0099】
本発明に従う薬学的組成物は、例えば、静脈注射(ボーラス注射)または連続注入により対象に投与され得る。例えば、本発明に従う薬学的組成物は、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回または少なくとも5回、連続的に、または少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間にわたり指定の時間間隔で、もしくは医師の判断により決定される間隔で、投与され得る。注射可能な調製物は、多用量用の容器を用いてアンプル形態または単位剤形で製剤化され得る。しかし、当業者は、本発明に従う薬学的組成物の用量が様々な要因、例えば、対象の年齢、体重、身長、性別、一般的な医学的状態および過去の治療歴により変化し得ることを理解するであろう。
【0100】
本発明で使用される場合、「がん」という用語は、異常な、制御されない細胞の成長によって引き起こされる任意の多数の疾患または障害を表す。がんを引き起こし得る細胞は、がん細胞と呼ばれ、特有の類型学的特徴、例えば、制御されない増殖、不死性、転移能、速い成長および増殖、を有し得る。しばしば、がん細胞は、腫瘍の形態であり得るが、そのような細胞は、哺乳類において個々に存在し得るまたは非腫瘍細胞、例えば白血病細胞であり得る。がんは、腫瘍の存在を検出する臨床的もしくは放射線学的方法により、腫瘍由来の細胞もしくは生検等の手段によって得られる他の生物学的サンプルを試験することにより、がん血液マーカー、例えばCA125、PAP、PSA、CEA、AFP、HCG、CA 19-9、CA 15-3、CA 27-29、LDHおよびNSEを検出することにより、またはがんマーカー遺伝子型、例えばTP53およびATMを検出することにより、検出され得る。しかし、上記方法による負の知見は、必ずしもがんでない診断を意味せず、例えば、がんから十分に回復したことが見いだされた対象は、それでもなお、がんを有し得、これは、再発の形態で確認される。
【0101】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野で一般に使用されている範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解され得る。「約」は、言及されている値の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%内を意味するものと理解され得る。
【0102】
本発明において、「投与」は、患者に特定の物質を投入することを意味し、投与は、本発明の抗体を含む組成物の投与経路が、標的組織に到達できる限り、任意の一般的経路を通じて投与され得るよう任意の適切な様式で行われ得る。投与は、腹腔内投与、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻投与、肺投与または直腸投与によるものであり得るが、これらに限定されない。しかし、経口投与の場合、タンパク質が消化されるため、活性剤をコーティングするようまたはそれが胃内で分解されるのを防ぐよう経口組成物を製剤化することが望まれる。
【0103】
加えて、薬学的組成物は、活性物質を標的細胞に送達することができる任意のデバイスにより投与され得る。
【0104】
本発明の1つの態様において、がんは、固形がんまたは血液がんであり得る。より詳細には、本発明の1つの態様において、本発明に従う薬学的組成物により、がん、例えば、食道腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、眼内黒色腫、小細胞肺がん、神経芽腫、奇形腫、胎児がん、扁平上皮がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺腫、リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病等を処置することが可能である。
【0105】
本発明の別の態様は、がんを有する患者に薬学的組成物を投与することによりがんを処置する方法を開示する。薬学的組成物は、CD8+ T細胞を含む、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含む、またはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の両方を含み、細胞数に基づくCD4+ T細胞とCD8+ T細胞の比は、実質的に1:1である。
【0106】
本発明の1つの態様は、がんの処置のための改変されたキメラ抗原受容体を有するT細胞(CAR-T)を製造する方法であって、
以下:
配列番号1により表されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と、配列番号2により表されるアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号3により表されるアミノ酸配列を含むHCDR3とを含む、重鎖可変領域;および、
配列番号4により表されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と、配列番号5により表されるアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号6により表されるアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む、軽鎖可変領域
を含み、キメラ抗原受容体(CAR)である、抗原結合分子
をコードする核酸をT細胞に感染させる工程を含む、方法、を開示する。
【0107】
本願で使用される場合、「構築物」は、概して、自然界に存在しない組成物を表す。構築物は、合成技術(例えば、組み換えDNAの作製および発現)により、または核酸もしくはアミノ酸の化学合成技術により調製され得る。構築物はまた、その結果物が自然界に存在しない形態であるよう、1つの物質を別の物質に付加または結合することによって作製され得る。
【実施例】
【0108】
実施例1:マウス由来抗MVR抗体のヒト化
結合力最適化において使用するために、マウス抗MVR抗体のヒト化抗体の作製(WO2015-133817 A1)を、それぞれ、低結合力および高結合力の2つのバージョンで設計した。
【0109】
1.1 重鎖可変領域のヒト化
ヒト化抗体作製用のVHのヒト抗体フレームワークを選択するため、マウス抗MVR抗体と類似の配列を有するBlastp(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE=Proteins)VHフレームワークを選択した(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/AAV40168.1)。
【0110】
これに基づき、VHの3つのCDRをkabat番号により定義し、選択されたヒト抗体フレームワークおよび定義された抗MVR抗体のCDRの組み合わせを使用してVHの低結合力バージョンを配列決定した(huMVR.H1 配列番号10)。
【0111】
加えて、VHの高結合力バージョンを、huMVR.H1からのVH27、VH29、VH48、VH67、VH71、VH73、VH78の復帰変異により作製した(huMVR.H2、配列番号7)(
図1)。
【0112】
1.2 軽鎖可変領域のヒト化
ヒト化抗体の作製のためのVLのヒト抗体フレームワークを選択するため、優れた安定性を有することが公知であるトラスツズマブのVLフレームワーク(US 5821047 A、配列番号25)を選択した。これに基づき、VLの3つのCDRをkabat番号により定義し、選択されたヒト抗体フレームワークおよび定義された抗MVR抗体のCDRを組み合わせ、ヒトコンセンサス配列の導入のために、VLの低結合力バージョンを、VL24においてKからRに、VL48においてIからLに、VL53においてSからRに、VL56においてTからSに、VL66においてRからGに、VL71においてFからYに、VL100においてQからGに変異させることによって、「hu4D5 フレームワーク-抗MVR CDR コンビネーション」から作製した(huMVR.L1 配列番号11)。加えて、別途、VL49、VL69およびVL71を「hu4D5 フレームワーク-抗MVR CDR コンビネーション」から復帰変異させ、VLの高結合力バージョンを、VL66においてRからGに変異させることによって作製した(huMVR.L2 配列番号8)(
図2)。
【0113】
設計されたヒト化抗体遺伝子であるhuMVR.L1H1(huMVR.L1およびhuMVR.H1)(配列番号10、配列番号11、配列番号12)、huMVR.L2H2(huMVR.L2およびhuMVR.H2)(配列番号7、配列番号8、配列番号9)から2つの抗体を作製した。詳細には、2つのヒト化抗体を動物細胞発現ベクターであるpOptivec(Invitrogen)プラスミドにおいてVL-(G4S)3-VHのscFv形態で調製し、6X Hisタグをそのc末端に結合し遺伝子を調製した。この遺伝子を導入したプラスミドを、Expi293発現システム(Invitrogen)を用いてscFv形態で発現させ、AktaPure精製システム(GE healthcare)およびHisTrapカラム(GE healthcare)を用いて精製した。
【0114】
実施例2:血液がん細胞株に対する結合力分析
PBMC由来B細胞リンパ腫リンパ芽球様細胞株を、FACSサンプルチューブ(Falcon, カタログ番号352052)においてサンプルあたり1x105個の細胞となるよう調製し、ついでExpi293F細胞(Invitrogen, A14527)により産生された0.5 μg/mL、0.1 μg/mL、0.05 μg/mLのmuMVR scFv、huMVR.L1H1 scFv(低結合体)およびhuMVR.L2H2 scFv(高結合体)で処理し、各サンプルを4℃で15分間インキュベートした。その後、3 mLの洗浄緩衝液(PBS中0.5% FBS、0.1%アジ化ナトリウム)を各サンプルチューブに添加した。各サンプルを2000 rpmで5分間遠心分離し、その上清を除去し、フィコエリスリン結合抗His抗体(BioLegend, カタログ番号362603)を、総量200μLに達するよう1:200の希釈比で添加した。すべてのサンプルを4℃で15分間インキュベートした。
【0115】
その後、3mLの洗浄緩衝液(PBS中0.5% FBS、0.1%アジ化ナトリウム)を各サンプルチューブに添加し、各サンプルを2000 rpmで5分間遠心分離し、その上清を除去した。4%パラホルムアルデヒド(Biosessang, P2031)を1%に希釈した後、各サンプルに200μLを添加することによって細胞を固定化し、固定化されたサンプルをFACS Celesta装置(BD Biosciences)を用いて分析した。
【0116】
2種類(huMVR.L1H1、huMVR.L2H2)のヒト化抗体scFvを、細胞内で用量依存的に発現される標的抗原に結合させ、huMVR.L2H2は1μg/mLの抗体濃度でマウスMVR scFvと同様の結合力を示し、huMVR.L1H1は非常に低い結合力を示した(
図3)。
【0117】
実施例3:ヒト化抗体の結合力を最適化するための親和性ホットスポット予測
2つのヒト化抗体の間の様々な結合力を示す変異体を調製するため、マウスMVR抗体に基づき親和性ホットスポットを予測した。2つのヒト化抗体の結合力分析の結果に基づき、スイスモデル(https://swissmodel.expasy.org/)を用いて分子モデリングを行い(
図4)、重鎖可変領域フレームワークにおける2つの親和性ホットスポット(VH27、VH71)および軽鎖可変領域CDRにおける親和性ホットスポット(VL91、VL92)を選択した(表1)。4つの親和性ホットスポットについて、scFv型の15個の単一変異種を、鋳型としてhuMVR.L2H2を用いて調製し、上記と同じ様式で発現および精製した。
【0118】
【0119】
実施例4:親和性ホットスポットの変異に適用された15の変異体の結合力分析
PBMC由来B細胞リンパ腫リンパ芽球様細胞株を、FACSサンプルチューブ(Falcon, カタログ番号352052)においてサンプルあたり1x105個の細胞となるよう調製し、ついで0.1μg/mLのExpi293F細胞(Invitrogen, A14527)により産生されたmuMVR scFvもしくはhuMVR.L2H2または15種の変異体で処理し、各サンプルを4℃で15分間インキュベートした。その後、3mLの洗浄緩衝液(PBS中0.5% FBS、0.1%アジ化ナトリウム)を各サンプルチューブに添加した。各サンプルを2000 rpmで5分間遠心分離し、その上清を除去し、フィコエリスリン結合抗His抗体(BioLegend, カタログ番号362603)を、総量200μLに達するよう1:200の希釈比で添加した。すべてのサンプルを4℃で15分間インキュベートした。その後、3mLの洗浄緩衝液(PBS中0.5% FBS、0.1%アジ化ナトリウム)を各サンプルチューブに添加し、各サンプルを2000 rpmで5分間遠心分離し、その上清を除去した。
【0120】
4%パラホルムアルデヒド(Biosessang, P2031)を1%に希釈した後、各サンプルに200μLを添加することによって細胞を固定化し、固定化されたサンプルをFACS Celesta装置(BD Biosciences)を用いて分析した。
【0121】
15種のhuMVR.L2H2(配列番号9)変異scFvは、LCL細胞に対して様々な結合力を示し、これらのうち、huMVR.L2H2.F27L、huMVR.L2H2.K71H、huMVR.L2H2.Y91F、huMVR.L2H2.Y91Wは、muMVRおよびhuMVR.L2H2(配列番号9)よりも、順に低くなる親和性を有した(
図5)。
【0122】
実施例5:CAR_euCD137の構築
本発明において、細胞質シグナルドメイン4-1BBにおける免疫学的効果を増大させるために、4-1BB細胞質ドメイン214~255aa(配列番号13)に5つのアミノ酸(4-1BB aa209~213)を追加したeuCD137(4-1BB aa209~255、配列番号14)を、共刺激シグナル因子としてCAR-Tにおいて使用し、CAR発現ベクターを新たに構築した(CAR_euCD137)(Kwon et al., (1989) cellular immunology 121: 414-422, Kwon et al., (1998) Biochemical and biophysical research communication 242:613-620)。完成した構築物は、EF1アルファプロモーター、ヒトCD8のヒンジ領域および膜貫通ドメインならびに細胞内シグナルドメインを含むscFvである抗CD19またはhuMVR.L2H2抗MVR結合ドメインを含む。特に、細胞内シグナルドメインは、刺激ドメインおよび共刺激シグナルドメインからなる。膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、またはCD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137もしくはCD154のうちの1つもしくは複数であるがこれらに限定されない。これらの中で、本発明は、CD8を使用した。細胞内シグナルドメインは、基本的に、CD28、OX40、CD27、ICAM-1、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)および4-1BB 5aa(euCD137)から選択される、CD3ゼータ一次シグナルドメインにおける共刺激シグナルドメインである。本発明は、CD3ゼータに連結された5個の連続するアミノ酸を追加した共刺激シグナルドメインである4-1BBを使用した。最終的に生成されたCAR遺伝子フラグメントを、BamH IおよびSal Iで切断されたELPSレンチウイルス発現ベクターに連結した。加えて、scFv部分のみを置き換えるためにBamH I/Nhe I制限酵素を用いてクローニングを行った(
図6)。
【0123】
加えて、CAR-T治療の開発に適したscFvである、マウスMVR抗体に基づく、免疫原性を最小化するよう開発されたMVRヒト化抗体(huMVR)であるhuMVR.L2H2を用いて、T細胞の活性化のために2つのタイプの細胞質シグナルドメイン(4-1BB、CD3ζ)を含むキメラ抗原(huMVR CAR)を調製した。特に、本発明において、細胞質シグナルドメイン4-1BBに対する免疫学的効果を増大させるために、5個の連続するアミノ酸RFSVVを添加した構築物(MVR CAR_euCD137)は、EF1アルファプロモーターを含み、これはscFv huMVR.L2H2 抗MVRカップリングドメインだけでなく、CD8ヒンジ領域および膜貫通ドメインならびにeuCD137および細胞内シグナルドメインから構成される。
【0124】
実施例6:組み換えhuMVRレンチウイルスの作製
組み換えレンチウイルスの作製のために使用した293T細胞培養物は、高グルコースDMEM(Welgene, LM001-05)中に10% FBS(Millipore, TMS-013-BKR)および1xP/S(Gibco, 15140-122)を含む培地を含む。293T細胞を、37℃ 5% CO2インキュベーター内での形質導入の前に、10% FBSを含むDMEM培地中で24時間インキュベートした。次の日に、トランスフェクションのために、トランスフェクション試薬および4個のレンチウイルスプラスミドを適当な比で混合し、48時間インキュベートした。ついでレンチウイルスを含む上清を収集し、400xgで10分間遠心分離した。さらに、上清を、50mLシリンジを用いて0.45μmシリンジフィルターで濾過した。得られた上清を、レンチウイルス濃縮キット(Clontech, 631231)と3:1混合し、4℃で24~48時間反応させた。その後、4℃および4,000 rpmで2時間遠心分離してウイルスを取得し、これをFBSを含まない0.5mL RPMI(Welgene, LM001-01)に再懸濁してレンチウイルスを作製した。
【0125】
6.1:キメラ抗原N末端に結合されたFlagを用いた、感染したレンチウイルス粒子数の確認
形質転換単位(TU/mL)を、Jurkat細胞を用いて、実際に形質導入可能なレンチウイルスの粒子数を分析することによって測定した。第1日に、Jurkat細胞を、ウェルあたり1x105細胞/100μLで96ウェルプレートに播種した。第2日に、96ウェルプレートにおいてレンチウイルスを1/3ずつ連続希釈し、すでに播種されているJurkat細胞にレンチウイルス形質導入を行った。この時点で、RPMI培地(10% FBSおよび1xP/S)にポリブレン(Millipore)を導入することにより、レンチウイルスの形質導入をさらに増強した。1200xgおよび25℃で2時間の遠心分離の後、細胞を、37℃ 5%CO2インキュベーター内で3時間インキュベートし、ウェルあたり100μLのみのRPMIを添加した。第5日に、フローサイトメーターを用いて形質導入された細胞の比率を分析するため、細胞に感染したレンチウイルスのFlagを、抗Flag-DYKDDDDK(Biolegend, カタログ番号637310)で染色した。これを用いて、Follenzi and Naldini, 2002 (Follenzi and Naldini, 2002)に記載されるようにして力価を計算し、その結果、1.4x1010 TU/mLであることが見いだされた。
【0126】
実施例7:T細胞の解凍および活性
凍結した末梢血単核細胞(PBMC)を、37℃の恒温槽内で5分間解凍し、RPMI1640で懸濁させた。ついで1500 rpmで5分間遠心分離を行い、上清を除去した。T細胞を、CD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotec, 130-045-101)およびCD8マイクロビーズ(Miltenyi Biotec, 130-045-201)を用いて単離した。CD4、CD8 T細胞の単離方法に関しては、CD4、CD8マイクロビーズプロトコル(DS_130-045-101, DS_130-045-201)を参照した。
【0127】
単離された細胞の細胞密度を1x10
6細胞/mLにした後、CAR-T培地(1L オプティマイザーCTS基本培地 + 26mLオプティマイザーCTS + 50mL CTS免疫細胞SR + 10mLペニシリンストレプトマイシン + 10mL GlutaMAX-I)を添加し、IL-2を20 IU/mL添加した。加えて、1x10
6細胞あたり10μLのT cell TransAct(Miltenyi Biotec, 130-111-160)を添加し、T75フラスコまたは24ウェルプレートに入れ、インキュベーター(37℃ 5%CO
2)内で2日間インキュベートした(
図8)。
【0128】
実施例8:CARの形質導入およびCAR-T細胞のインキュベーション
2日間活性化されたT細胞を24ウェルプレートの1ウェルあたり2x10
6細胞添加し、CAR遺伝子を有するレンチウイルスを1~3の感染多重度(MOI)で添加した。硫酸プロタミン(製品番号ADR301)を添加し、10μg/mLの終濃度になるよう懸濁した。この24ウェルプレートを400xgおよび32℃で2時間遠心分離し、細胞を20mL CAR-T培地(IL-2 200 IU/mL)に懸濁した後に、それらをT75フラスコに入れ、インキュベーター(37℃ 5%CO
2)内で2日間インキュベートした。2日後、細胞数を計測し、細胞密度を0.5x10
6細胞/mLにし、この細胞をCAR-T培地に添加し、IL-2をインキュベーションブロスの総量に対して200 IU/mL添加した。細胞密度が0.5x10
6細胞/mLを下回る場合、CAR-T培地を添加せずに、培養ブロスの総量に対して200 IU/mLのIL2を添加した。その後、2日ごとに細胞数を計測し、0.5x10
6細胞/mLの参照細胞密度となるようCAR-T培地(IL-2 200 IU/mL)を添加した。インキュベーション開始後7~14日の間にCAR-T細胞を収集した(
図7)。
【0129】
実施例9:細胞傷害性アッセイ
標的細胞に対するCAR-T細胞の細胞傷害性を、ルシフェラーゼベースのアッセイによって分析した。標的細胞を、ルシフェラーゼ遺伝子を有するEBVウイルスに感染させ、ルシフェラーゼ遺伝子を有する標的細胞を作製した。エフェクター細胞との共培養を、37℃で24時間、エフェクター対標的(E/T)比で行った。共培養およびCytoTox-Glo Cytotoxicity(promega, G9290)試薬を用いた処理の後、生きた標的細胞のRLU値をFluroskan FLマイクロプレートルミノメーター(Thermo)を用いて測定した。
【0130】
より詳細には、96ウェル白色平底プレート(COSTAR, 3917)において、1.5x104細胞の標的細胞数に基づき3:1のE/T比で4.5x105細胞/50μLのエフェクター細胞を含む三つ組みで調製し、これを1/3希釈して3:1、1:1、0.3:1および0.1:1のE/T比を調製した。エフェクター細胞を含む調製された各ウェルに、1.5x104細胞(50μL)の標的細胞をインキュベーター(37℃、5%CO2)内で18~24時間共培養し、次いで100μLのCytoTox-Glo Cytotoxicity(Promega, G9290)を添加して光を遮断し、5分後に、Fluroskan FLマイクロプレートルミノメーター(Thermo)を用いて発光値を測定した。
【0131】
結果として、huMVR CAR-Tは3:1比で、95.4%の細胞傷害活性を示したことが確認された(
図8)。
【0132】
実施例10:細胞株のインキュベーション
National Cancer Centerによって配布されているCBK LCL-LucおよびKHJ LCL-Luc(本明細書中以降、LCL-Luc)細胞株を、RPMI1640培地(Welgene, カタログ番号LM011-01)中20%ウシ胎仔血清(FBS, Millipore, カタログ番号TMS-013-KBR)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco, カタログ番号15140-122)中でインキュベートした。
【0133】
実施例11:CD19CARおよびCD19CAR_euCD137を導入した2つのタイプのCD19CAR-T細胞の検証
免疫学的効果を増大させるため、CD19CAR(配列番号17、US8906682 配列番号12)およびCD19CARにおける4-1BBドメインをeuCD137で置き換えたCD19CAR_euCD137(配列番号18)を別々に調製し、CD19CAR-T細胞と共に培養して、共刺激シグナル因子としてeuCD137(4-1BBaa209~255、配列番号14)を有する、新たに構築されたCAR発現ベクター(CAR_euCD137)の効果を検証した。
【0134】
FACS染色を行い、14日間のインキュベーション後の2種類のCAR-T細胞の生産比率を確認した。各CAR-T細胞型について、2x105細胞をFACSチューブ(FALCON, カタログ番号352052)に収集し、ついで2mLのFACS緩衝液を添加し、遠心分離機(Thermo, ST16)を用いて2,000 rpmで5分間遠心分離を行った。上清を廃棄した後、チューブあたり0.5μLの抗CD8 APC(SK1, Biolegend, カタログ番号344722)、チューブあたり0.5μLの抗CD4 BV650(RPA-T4, Biolegend, カタログ番号300536)およびチューブあたり0.125μLの抗Flag PE(L5, Biolegend, カタログ番号637310)を添加し、染色を室温で30分間行った。2mLのFACS緩衝液を添加し、2,000 rpmで5分間遠心分離した後、このプロセスをさらに1回繰り返した。生/死細胞の染色のために、チューブあたり1μLの7-AAD(Biolegend, カタログ番号420404)を添加し、混合物を室温に5分間おき、その後にFACS(BD, FACSCelesta)を用いて分析した。
【0135】
euCD137(アミノ酸209~255、配列番号14)が、5アミノ酸を含む4-1BBドメイン(アミノ酸214~255、配列番号13)に追加された、CAR構築物(CD19CAR_euCD137、配列番号18)、および、従来構築物(CD19CAR、配列番号17、US8906682 配列番号12)を用いて皮下動物モデルにおいてCD19 CAR-Tの効果を実証する前に、実施例2で構築された方法を用いてCAR-T細胞の比率を検証した。FACS染色を用いた生成されたCD19 CAR-T細胞の比率の確認は、改良構築物CD19 CAR-T細胞(5aa CD19 CAR-T)の場合、細胞比がCD4+/CAR+ 29.4%、CD8+/CAR+ 50.8%および総CAR-T 80.2%であることを確認した。非構築物改良CAR-T細胞(CD19 CAR-T)において、細胞比は、CD4+/CAR+が42.7%、CD8+/CAR+が29.3%および総CAR-Tが72.0%であることを確認した。
【0136】
したがって、5aa CD19 CAR-T細胞は、CD19 CAR-T細胞よりも8.2%高いCARの発現を示し、CD8+/CAR+細胞は21.5%であるまたは約2倍多かったことが確認された(
図9A)。
【0137】
実施例12:生成されたCD19 CAR-T細胞の細胞傷害性の確認
14日間培養された2つのCAR-T細胞型の細胞傷害性を決定するため、96ウェル白色プレート(Corning, カタログ番号3917)においてCAR-T(E):LCL(T)比を、30:1、10:1、3:1および1:1にした。最初に、CAR-T細胞を、それぞれ、6 × 105細胞/50μL、2 × 105細胞/50μL、9 × 104細胞/50μLおよび2 × 104細胞/50μLとなるようウェルに添加した。次に、標的細胞株、すなわちCBK LCL-Luc細胞株を、37°C CO2インキュベーター(Mammert, INCO153med)内で2 × 104細胞/50μLまで添加し、4時間反応させた。4時間後、100μLのBright-Glo(商標)(Promega, カタログ番号E2620)を各ウェルに添加し、5分後に、ELISA(Thermo, Fluorescan FL)を用いて相対光単位(RLU)値を測定した。
【0138】
従来的な4-1BBが導入されたCARTと、4-1BBドメインに追加された5アミノ酸を含むeuCD137が導入されたCAR-T細胞との間で、細胞傷害性に差がないことが見いだされた。
【0139】
この実験の結果として、2つのCAR-T細胞およびCBK LCL-Luc細胞株を30:1の比で一緒にインキュベートした場合、細胞傷害性は4時間後に約80%であることが見いだされ、それらを10:1でインキュベートした場合、細胞傷害性は約50%であった。がん細胞と共にインキュベートされるCAR-T細胞の各々の数を3倍ずつ減少させたのに伴って、その細胞傷害性が約3倍ずつ減少し、加えて、インビトロで4-1BBドメインに5アミノ酸を添加した場合、これはCAR-Tのインビトロ細胞傷害性に影響しないことが確認された(
図9B)。
【0140】
実施例13:細胞株内でのHLADRの発現の確認およびHuMVR L2H2 scFv結合力試験
細胞株内でのHLADRの発現を検証するため、および開発されたhuMVR L2H2 scFvの結合力を試験するため、培養されたLCL-Luc細胞株を用いてFACS分析を行った。2 x 105細胞のLCL-Luc細胞株をFACSチューブに移したのち、2mLのFACS緩衝液を添加し、遠心分離機を用いて2,000 rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄した後、チューブあたり0.5μLの抗HLADR APC-H7(G46-6, BD pharmigen(商標)カタログ番号561358)、チューブあたり1.0μgの本発明者らが生産したMVR L2H2を添加し、染色を室温で30分間行った。洗浄のために2mLのFACS緩衝液を添加し、ついで2,000 rpmで5分間遠心分離を行い、上清を廃棄した。このプロセスをさらに1回繰り返した。huMVR L2H2 scFvの二次染色のために、チューブあたり1μLの抗His PE(Biolegend, カタログ番号362603)を添加し、染色を室温で30分間行った。ついでFACS緩衝液を用いた洗浄プロセスを2回繰り返し、100μLのFACS緩衝液を添加し、その後にFACSを用いて分析を行った。
【0141】
huMVR L2H2の標的であるHLA DRの発現およびがん細胞におけるhuMVR L2H2 scFvの結合力を確認するため、FACS染色および分析を行った。
【0142】
LCL-Luc細胞株におけるHLA DRの発現の確認は、100%のHLA DRが発現されたことを示した。ここで、huMVR L2H2 scFvを用いて結合力試験を行うと、発現されたHLA DRに対する少なくとも97%の結合が確認された(
図10)。
【0143】
実施例14:皮下動物モデルの誘導および自動カリパスおよびIVIS画像化を通じたCAR-Tの検証
実験動物として、NSG(NOD-scid IL2rγμL1)マウス(The Jackson Laboratory)を使用し、動物飼育場で、恒常的条件下で管理した。温度は23±2℃であり、12時間の明/暗サイクルを行い、50±10%の湿度とし、食物および飲料を自由に与えた。4-1BBドメインに5アミノ酸が追加されたCD19CAR-T(5aaCD19CAR-T)を用いた有効性実験において、CBK LCL-Luc細胞株を、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSで調製し、皮下動物モデルを誘導するため、6週齢の雌マウスに皮下注射した。自動カリパス(Youngbio, TM900)を用いた測定でがんのサイズが50~100mm
3に達したら、有効性を確認するため、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBS(用量1)および1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBS(用量2)の、改良構築物CD19 CAR-T細胞および非改良CD19 CAR-T細胞を、尾静脈を通じて1回投与した。次の実験において、huMVR CAR-T細胞の有効性を、動物モデルにおいて、4-1BBドメインに5アミノ酸を含むCAR構築物からhuMVRを発現するよう構築された構築物(huMVR CAR_euCD137、
図6C)を用いて評価した。皮下動物モデルは、6週齢の雌マウスに、1匹あたり4x10
6細胞/100μL DPBSのLCL-Luc細胞を皮下注射することによって誘導した。有効性を確認するため、がんのサイズが50~100mm
3の範囲に達したら、尾静脈を通じて、1匹あたり1x10
6細胞/100μL DPBS、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBS(用量1)および1匹あたり5x10
6細胞/100μL DPBS(用量3)の単回用量のMVR CAR-Tを投与した。すべての動物実験において、がんのサイズおよび生存性を定期的に確認した。
【0144】
より詳細には、CAR-T投与後、3および4日間隔で、がんのサイズおよびフォトン値を、自動カリパスおよびIVIS画像化機器(PerkinElmer, Luna III)を用いて測定した。TM900を用いる例では、がんの部位に機器を設置した後にがんのサイズを決定した。IVIS画像化装置を用いて画像化およびフォトン値を確認する場合、最初に150 mg/kg XenoLight(商標)D-ルシフェリン(PerkinElmer, カタログ番号122799)をマウスに腹腔内投与した。15分後に、イソフルランを用いて吸入麻酔を誘導し、5分後に、がん細胞の存在を画像化するためにIVISを使用した。画像化後、正規化を行い、その後にルシフェラーゼ値(フォトン値)を確認しグラフ化した。
【0145】
より詳細には、CBK LCL-Luc細胞株を用いて皮下動物モデルを構築した後、IVIS画像化を用いてCD19 CAR-Tおよび5aa CD19 CAR-T細胞の効果を比較した。
図11Aに示されるように、効果は、2種類のCAR-T細胞の投与後1週間以内に確認できた。
【0146】
CD19CAR_euCD137を有するCD19 CAR-Tを、1匹あたり2x106細胞/100μL DPBSおよび1匹あたり6x106細胞/100μL DPBSで投与した実験グループにおいて、投与1週間後にIVIS画像化によりがん細胞を観察した。加えて、非改良構築物CD19 CAR-Tで処置されたグループにおいて、1匹あたり6x106細胞/100μL DPBSが投与された場合、がん細胞は、投与後1週間以内の画像化ではほとんど観察されなかった。しかし、1週間後に、非改良CD19 CAR-Tを投与した実験グループにおいて、がん細胞が確認された。
【0147】
画像化により示されるように、CAR-T投与後1週間後に、画像化処理後に各対象において画像化されたルシフェラーゼの値を決定し、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSのCD19 CAR-Tを投与したグループにおいてのみルシフェラーゼ値が確認された。その後3週間以上観察すると、CAR-T細胞を投与しなかったマウスにおいては腫瘍が成長を続け、がん細胞が当初見られなかった3つの実験グループではがん細胞が確認されなかった。しかし、10日後、CD19 CAR-Tを1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBS与えたグループにおいて、ルシフェラーゼレベルは減少したが、がん細胞は3週間後に完全には消失しなかった。1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSの改良構築物5aa CD19 CAR-Tを投与した場合、がん細胞の実験的画像化を通じて、その有効性が1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBSのCD19 CAR-Tで処置したグループと同等であることが見出された。この結果は、インビトロでは5aa CD19 CAR-TとCD19 CAR-Tの細胞傷害性に差がなかったものの、動物モデルにおいてはその有効性が、5aa CD19 CAR-Tにおいて2倍高いことが確認されたことを示した(
図11)。
【0148】
実施例15:インビボ動物モデルにおける、4-1BBドメインに5つの追加されたアミノ酸を有するCD19 CAR-Tの比率の確認
改良構築物CAR-T細胞の効果を検証するための皮下動物モデルにおいて、CAR-T細胞投与の後に、マウス血液からCAR-Tの存在を確認した。
【0149】
より詳細には、CAR-T投与後に3および4日間隔でマウスからの眼窩血採集を行った。各採血時に、70μLの血液を採集し、60μLの血液をCAR-T細胞の比率および細胞数の確認に使用した。60μLの血液を5mL FACSチューブに入れ、Zombie Aqua BV510(Biolegend, カタログ番号423101)を用いて生/死細胞染色を行った。チューブあたり0.1μL/100μL DPBSの濃度に達した後、染色を室温で10分間行った。カウントビーズ(Molecularprobes, カタログ番号C36950)、抗CD45 FITC(HI30, Biolegend, カタログ番号304006)、抗CD8 BV786(SK-1, Biolegend, カタログ番号344740)、抗CD4 BV650および抗Flag PEを添加し、室温で30分間染色した。各抗体を0.5μL/100μL FACS緩衝液/チューブとなるよう混合し、25μLのカウントビーズをそれに添加した。30分後に、2mLの1X RBC溶解緩衝液(Biolegend, カタログ番号422401)を添加し、室温で5分間反応させた。遠心分離機を用いた2,000 rpmで5分間の遠心分離の後、すべての上清を廃棄した。
【0150】
2mLのFACS洗浄緩衝液をこのチューブに添加し、2,000 rpmで5分間遠心分離を行った。このプロセスをさらに1回繰り返し、その後に50μL FACS緩衝液を添加し、FACSを用いて分析した。
【0151】
CAR-T細胞投与から1週間後に、5aa CD19 CAR-T処置グループにおいて、およそ20%の5aa CD19 CAR-T細胞を、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSおよび1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBSの両グループの血液中で確認したが、CD19 CAR-T投与グループにおいては、1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBSを投与した場合、5%のCD19 CAR-Tしか確認されなかった。3日後、マウス体内のCAR-T細胞の数および比率は最大に達し、そして減少した。1週間以内に、CAR-T細胞が確認された3つの実験グループ(5aa CD19 CAR-T;1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSおよび1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBS、CD19 CAR-T;1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBS)において、がん細胞がマウス体内で増殖する前に比較的多くのCAR-T細胞と接触することが可能であったため、がん細胞は迅速に殺傷された。しかし、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSのCD19CAR-Tが投与された実験グループにおいては、CAR-T細胞の比率および数は2週間で最大に達し、CAR-T比は約25%であり、がん細胞は比較的よく増殖した。CAR-T比が最初に増加し、その後に減少した後、改良構築物5aa CD19 CAR-Tは、量に関してCD19 CAR-Tよりも安定的であった。しかしながら、CD19 CAR-Tの場合、CAR-T細胞の比率は、より後の時点で増加しそして減少し、その結果、マウス体内で腫瘍が消失するのに、より長い時間を要した。結果として、この実験の結果にあるように、マウスにおいて、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSの5aa CD19 CAR-Tを投与されたグループは、1匹あたり6x10
6細胞/100μL DPBSのCD19 CAR-Tを投与されたグループと同等のCAR-Tレベルおよび効果を示し、これにより5aa CD19 CAR-Tがすぐれた効果を有することが示された(
図12)。
【0152】
実施例16:腹腔内動物モデルの誘導および腹腔内動物モデルにおけるCD8およびCD4/CD8 huMVR CAR-T(CAR_euCD137)の効能の評価
腹腔内動物モデルを誘導するのに使用した実験動物は、実施例14において使用した動物と同じであり、これらを同じ条件下で管理した。CD8 huMVR CAR-TおよびCD4/CD8 huMVR CAR-Tを、改良CAR構築物(CAR_euCD137)を用いて構築し、効能を腹腔内動物モデルにおいて評価した。腹腔内動物モデルを誘導するために、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBSのルシフェラーゼ発現LCL-Luc細胞株を、腹腔を通じて投与し、9日後に、これらの動物をフォトン値に従って5つのグループに分類した。各グループに分割した後、CD8 MVR CAR-Tを、1匹あたり0.5x10
6細胞/100μL DPBS(用量1)、1匹あたり2x10
6細胞/100μL DPBS(用量2)および1匹あたり10x10
6細胞/100μL DPBS(用量3)の、尾静脈への注射により投与した、またはそれぞれ0.5x10
6細胞のCD4およびCD8 huMVR CAR-Tを混合し、一度に投与した。すべての動物実験において、がんのサイズおよび生存性を定期的に検査した(
図13)。具体的な実験方法は、実施例14に記載されるのと同じとした。
【0153】
健常な成体血液から単離されたPBMCからCD4およびCD8を単離した後、huMVR scFvを改変されたCAR構築物において発現させ、huMVR CAR-Tを用いて腹腔動物モデルにおいて効能評価を行った。huMVR CAR-Tの効能は、画像化およびルシフェラーゼ発現がん細胞により示されるフォトン値により評価した。
【0154】
IVIS画像化機器を用いて週2回検査したところ、実験グループにおけるCAR-T投与から27日後に、がんが存在しCAR-Tが投与されなかったすべての対照グループのマウスが死亡した。しかし、がんが形成されhuMVR CAR-Tが投与されたすべての個体は少なくとも27日間生存した。低用量(1匹あたり0.5x10
6細胞/100μL DPBS)でCD8 huMVR CAR-Tを投与されたグループにおいて、腫瘍は、減少し、その後10日後に再度増加する傾向を示し、中用量(1匹あたり2.0x10
6細胞/100μL DPBS)でCD8 huMVR CAR-Tを投与されたグループは、フォトン値が第27日までゆるやかに減少する傾向を示した。しかし、CD8 huMVR CAR-Tを高用量(1匹あたり10.0x10
6細胞)で投与した場合、すべてのがんが13日後に消失したことが確認された。加えて、CD4およびCD8 MVR CAR-Tが定用量で一緒に投与された場合、高用量のCD8 huMVR CAR-Tほど効果的ではなかったものの、ほとんどのマウス(5匹のマウスのうち3匹)で27日付近までにがんが消失したことが確認された。したがって、この実験は、huMVR CAR-Tが、中用量またはそれ以上で効果を有すること、およびCD8単独ではなくCD4と共に使用された場合に、少ない用量のCAR-Tを用いた場合でさえも、その効果が存在したことを示した(
図13)。
【0155】
実施例17:皮下動物モデルにおけるCD4/8 huMVR CAR-Tの効能の評価
実施例13において、MVR CAR-Tを構築する際にCD4およびCD8 T細胞を共に使用するhuMVR CAR-Tの作製が、動物実験において使用したときにより効果的であることが確認された。上記実施例に基づき、CD4/CD8 huMVR CAR-Tを作製し、低、中および高用量で投与し、皮下動物モデルを用いてCAR-Tの効能を評価した。
【0156】
自動カリパスを用いてがんの成長を検査すると、高用量(1匹あたり5.0x10
6細胞/100μL;用量3)で処置したグループにおいて、第10日にがんの成長が鈍化し、第14日にがんの成長が反転し、第17日に大部分のがんが消失した。
図14Aに示されるように、第21日の画像化においてがんを確認するのが困難であった。中用量(1匹あたり2.0x10
6細胞/100μL;用量2)および低用量(1匹あたり1.0x10
6細胞/100μL;用量1)を投与したグループにおいてさえも、CAR-T投与後の第17日からがんの成長が鈍化し、第21日からがんが減少した。しかし、画像化機器を使用した結果、4週間以上にわたってがん細胞が体内に残存する個体がいくつかあり、その効果が中および低用量で示されたものの、高用量と比較して遅かった。IVIS画像化を通じてがん細胞を画像化すると、皮下投与により腫瘍モデルを誘導したにもかかわらず、経時的にがんがリンパ節に拡散することが確認された。しかし、MVR CAR-Tを投与すると、すべての転移性がん細胞が殺傷された。
【0157】
(
図15)加えて、この実験を通じてhuMVR CAR-T投与を通じた動物モデルの生存を確認すると、CAR-Tを投与しなかった対照マウスグループにおいてすべてのマウスが第18日に死亡したが、MVR CAR-Tを投与したグループにおいてはすべてが生存した(
図16)。
【0158】
実施例18:動物モデルにおけるCD4/CD8 MVR CAR-Tのインビボ同定
動物体内に存在するCAR-Tの比率および数を確認するため、実施例17で使用したマウスから得た血液を血液分析に供した。血液分析は、CAR-Tを投与された個体において、3日後にCAR-Tが低比率で確認されたこと、および高用量グループにおいて、10日後にCAR-Tの量が7%から31%に急速に増加したことを示した。これは、MVR高用量グループにおいてがんのサイズおよびフォトン値が減少した時点であった。加えて、中および低用量huMVR CAR-Tの例において、CAR-Tの比率は投与後第17日から増加し、がんのサイズおよびフォトン値は第21日から減少した(
図17)。
【0159】
【0160】
例えば、特許請求の範囲を画定するにあたって、添付の特許請求の範囲は、いかなる状況においても、その文言よりも狭義に解釈されることは意図されておらず、したがって、本願明細書の例示的な態様が特許請求の範囲に読み込まれることは意図されていない。したがって、本発明は、例示の目的で記載されており、特許請求の範囲を限定する目的で記載されているのではないことが理解されるべきである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。本願で引用されているすべての刊行物、発行された特許、特許出願、書籍および学術文献は、各々、それらの全体が参照により本願に組み入れられる。
【0161】
配列表フリーテキスト
1. huMVR.H2重鎖のCDR1
2.huMVR.H2重鎖のCDR2
3. huMVR.H2重鎖のCDR3
4. huMVR.L2軽鎖のCDR1
5. huMVR.L2軽鎖のCDR2
6. huMVR.L2軽鎖のCDR3
7. huMVR.H2重鎖の可変領域
8. huMVR.L2軽鎖の可変領域
9. huMVRL2H2のscFv
10. huMVR.H1重鎖の可変領域
11. huMVR.L1軽鎖の可変領域
12. huMVRL1H1のscFv
13. 4-1BBシグナルドメイン
14. euCD137
15. MVR.L2H2 CARの配列
16. MVR.L2H2 CAR_euCD137の配列
17. CD19 CARの配列
18. CD19 CAR_euCD137の配列
19. EF1a-プロモーター
20. CD8-αリーダー配列
21. Flag
22. CD19scFv
23. CD8/ヒンジ/膜貫通配列
24. CD3z
25. ウッドチャック/PRE
26. R/領域
【配列表】