(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】一軸型破砕装置
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20240816BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20240816BHJP
B09B 101/67 20220101ALN20240816BHJP
【FI】
B02C18/00 106B
B09B3/35 ZAB
B09B101:67
(21)【出願番号】P 2021565703
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2020048062
(87)【国際公開番号】W WO2021125360
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2019240153
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591282858
【氏名又は名称】株式会社ヘリオス
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長尾 剛史
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0047062(US,A1)
【文献】特開2012-011334(JP,A)
【文献】米国特許第6260780(US,B1)
【文献】特開2008-114114(JP,A)
【文献】特開2011-050938(JP,A)
【文献】国際公開第2002/34396(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102761(US,A1)
【文献】国際公開第2014/125615(WO,A1)
【文献】特開2008-238010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00
B09B 3/35
B09B 101/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状筐体と、
前記直方体状筐体を貫通する一本の回転軸と、
前記回転軸を駆動する駆動装置と、
前記筐体内の前記回転軸に着脱可能に装着される円盤状のカッタであって、その外周に沿って予め定められた所定間隔ごとに予め定められた所定深さのU字型のカッタ凹部を有するカッタと、
前記筐体内の前記回転軸に着脱可能に装着され、隣接する前記カッタの間に装着され、前記カッタの外径より小である外径を有する円盤状のスペーサであって、前記スペーサの外周縁が、前記カッタ凹部の底部より外側にあるスペーサと、
前記カッタおよび前記スペーサの外周と予め定められた所定の空隙を隔てて前記筐体の側面に装着されるスクレバと、を備える一軸型破砕装置であって、
前記カッタが、その外周に周方向に延伸するカッタ溝を有する一軸型破砕装置。
【請求項6】
前記駆動装置が、前記回転軸を正回転および逆回転に駆動する請求項1、請求項2および請求項5のいずれか一項に記載の一軸型破砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一軸型破砕装置に係り、特に使用済紙おむつのような柔軟塵の破砕に適した一軸型破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの紙おむつのような柔軟塵をリサイクルするためには、できる限り小型で、予め定められた所定の大きさ以下に細かく破砕することが重要である。
柔軟塵を破砕するため、従来は特許文献1に示されている二軸破砕機が使用されていた。
二軸破砕機は、カッタとスペーサを交互に装着した回転軸を2軸備え、一方の回転軸に装着されたカッタと他方の回転軸に装着されたスペーサの間の空隙に柔軟塵を挟み込んで、柔軟塵を破砕するようになっている。
しかしながら、特許文献1に示されている二軸破砕機にあっては、回転軸を2本装備する必要があるため装置が大型化することは避けることができないという課題がある。
さらに、柔軟塵を細かく破砕するために、カッタとスペーサの間の空隙を狭くすると、空隙に柔軟塵が詰まり易くなる。
詰まりが発生した場合にはカッタとスペーサの押し付け圧力が過大となって運転継続が困難になる場合が生じるだけでなく、均一の大きさに細く破砕することが困難になるという課題がある。
細く破砕されなかった柔軟塵が排出されることを防止するために、排出口にスクリーンを設置した破砕機は特許文献2に記載されているが、紙おむつのような柔軟塵を処理すると、スクリーンに破砕後の柔軟塵が詰まり、運転を継続することが困難になるという課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-209932号公報
【文献】特許第6476532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、柔軟塵を所定の大きさ以下に継続して破砕することのできる一軸型破砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る一軸型破砕機は、直方体状筐体と、直方体状筐体を貫通する一本の回転軸と、回転軸を駆動する駆動装置と、筐体内の回転軸に着脱可能に装着される円盤状のカッタであって、その外周に沿って予め定められた所定間隔ごとに予め定められた所定深さのU字型のカッター凹部を有するカッタと、筐体内の回転軸に着脱可能に装着され隣接するカッタの間に装着されカッタの外径より小である外径を有する円盤状のスペーサであって、スペーサの外周縁がカッター凹部の底部より外側にあるスペーサと、カッタおよびスペーサの外周と予め定められた所定の空隙を隔てて前記筐体の側面に装着されるスクレバと、を備え、カッタが、その外周に周方向に延伸するカッター溝を有する。
第2の発明に係る一軸型破砕機は、スペーサがその外周に少なくとも1つの軸方向全長に連続するスペーサ凹部を有する。
第5の発明に係る一軸型破砕機は、スペーサ凹部の底部がカッター凹部の底部より外側にある。
第6の発明に係る一軸型破砕機は、駆動装置が回転軸を正回転および逆回転に駆動する。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明に係る一軸型破砕機によれば、装置自体を小型化することが可能となるだけでなくスペーサに巻付き、スペーサおよびスクレバ上に堆積した柔軟塵をカッター凹部に排出することが可能となる。
さらに、カッタとスクレバの間の空隙に柔軟塵が挟まった場合でも筐体への押し付け圧力が増大することが抑制されるため、駆動源が過負荷となることがなく、安定して運転を継続することが可能となる。
第2の発明に係る一軸型破砕機によれば、柔軟塵がスペーサに巻付くこと、スペーサおよびスクレバ上に堆積することを抑制することが可能となる。
第5の発明に係る一軸型破砕機によれば、スペーサに巻付き、スペーサおよびスクレバ上に堆積した柔軟塵をカッター凹部に排出することが可能となる。
第6の発明に係る一軸型破砕機によれば、カッタとスクレバの間の空隙に塵が挟まり筐体への押し付け圧力が増大した場合でも、回転方向を切り替えることにより容易に運転を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は本発明に係る一軸型破砕機の構成図である。
図2は筐体内部の上面図である。
図3は筐体内部の縦断面図である。
図4はカッタの斜視図である。
図5はスペーサの正面図および側面図である。
図6はカッタとスペーサとを重ねた斜視図である。
図7はカッタとスペーサを交互に配置した回転体の斜視図である。
図8は運転方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照しつつ、本発明に係る一軸型破砕機の実施形態を説明する。
最初に、本発明に係る一軸型破砕機の構成を説明する。
図1は本発明に係る一軸型破砕機の構成図である。
また、
図2は筐体内部の上面図、
図3は筐体内部の縦断面図である。
本発明に係る一軸型破砕機は、直方体状の筐体1と、筐体1を貫通する回転軸2と、回転軸2を駆動する駆動装置3と、筐体1内の回転軸2に着脱可能に装着される円盤状のカッタ4と、筐体1内の回転軸2に着脱可能に装着される円盤状のスペーサ5と、回転軸2の中心においてカッタ4の外周と予め定められた所定の空隙を隔てて筐体の側面に装着されるスクレバ6と、を備える。
なお、
図3(a)はカッタ4およびスクレバ6の断面、
図3(b)はスペーサ5およびスクレバ6の断面である。
スクレバ6は、スペーサ5と対向する三角形状の突起部と、カッタ4と対向する平板状の基底部を有する。
図3(a)に示すように、スクレバ6の基底部とカッタ4の外周の間に所定の空隙が設けられている。
また、
図3(b)に示すように、スクレバ6の突起部の突起頂部とスペーサ5の外周の間に所定の空隙が設けられている。
カッタ4は、その外周に予め定められた所定間隔ごとに予め定められた所定深さのU字型であるカッター凹部を有する。
スペーサ5は、隣接する2枚のカッタ4の間に装着される。
すなわち、回転軸2には、カッタ4とスペーサ5が交互に装着される。
図1に示す実施形態では、駆動装置3として電動機を使用しているが、油圧モータなどの他の回転駆動源を適用してもよい。
なお、回転駆動源は、正回転および逆回転を切り替え可能であることが望ましい。
図4は、本発明に係る一軸型破砕機で使用するカッタの斜視図である。
すなわち、カッタ4は、
図4(a)に示すように、円盤形状であり、中心部に回転軸2に篏合する篏合孔を有し、外周には所定間隔毎に複数のU字形のカッター凹部41が形成されている。
隣り合う2つのカッター凹部41に挟まれた凸部はカッターフック42として機能する。
カッターフック42の上面、すなわちカッタ4の外周面には、
図4(b)に示すように、円周方向に延伸するカッター溝43が形成されている。
なお、カッター溝43の外縁は、
図4(c)に示すように鋭利な形状でも、
図4(d)に示すように周面を残す形状であってもよい。
なお、カッター溝43は、両壁が底部で鋭角を成すV字型であっても、底部がなだらかな面を成すU字型であってもよい。
図5は、本発明に係る一軸型破砕機で使用するスペーサの正面図および側面図である。
すなわち、スペーサ5は、
図5(a)に示すように、カッタ4の外径より小である外径の円盤状であり、中心部に回転軸2に篏合する篏合孔を有する。
さらに、スペーサ5の外周には、長方形断面の溝であるスペーサ凹部51が少なくとも1つ形成されている。
なお、スペーサ凹部51の形状は、
図5(b)に示すように、底を短辺、円周を長辺とする台形状であっても、
図5(c)に示すように溝型であってもよい。
また、スペーサ凹部51は、
図5(d)に示すように回転軸方向に対して平行に形成されても、
図5(e)に示すように回転軸方向に対して斜めに形成されてもよい。
図6は、カッタとスペーサとを重ねた斜視図である。
すなわち、カッタ4の篏合孔とスペーサ5の篏合孔は同一形状であり、カッタ4とスペーサ5は交互に複数枚が回転軸2に装着される。
なお、スペーサ5の外径は、カッタ4の外径より小であるが、スペーサ5の外周がカッタ4に形成されているカッター溝43の底部より外側となるように定められている。
図7は、カッタ4とスペーサ5を交互に配置した回転体の斜視図であって、回転軸2方向にカッターフック42が螺旋状となるように配置することが望ましい。
次に、本発明に係る一軸型破砕機の作用を説明する。
図8は、本発明に係る一軸型破砕機の運転方法の説明図である。
先ず、一軸型破砕機の回転軸2が駆動装置3により右回転(正回転)している場合について説明する。
紙おむつのような柔軟塵8は筐体1の上部に設けられた投入口から投入される(
図8(a))。
この柔軟塵8は、カッターフック42により筐体1の右側に運ばれる(
図8(b))。
柔軟塵8は、筐体1の右壁に設置されたスクレバ6の基底部とカッタ4の間の空隙に挟まれ、柔軟塵の剪断が開始される(
図8(c))。
カッターフック42の外周面にはV字型のカッター溝43が設けられているので、スクレバ6の基底部とカッタ4の間の空隙に柔軟塵が挟まれた場合でも筐体1への押し付け圧力を抑制しつつ小さい駆動力で柔軟塵8を細かく剪断することが可能となる(
図8(d))。
カッタ4を右回転させて柔軟塵8の剪断を継続すると、柔軟塵8がカッタ4とスクレバ6の基底部の間の空隙に詰まって押し付け圧力が増加して、駆動源3が回転軸2を継続することが困難となるおそれがある。
回転軸2が停止してしまうことを回避するため、右回転運転を所定時間継続した後、回転軸2を左回転(逆回転)させる(
図8(e))。
すると、柔軟塵8はカッターフック42により筐体1の左側に運ばれる(
図7(f))。
柔軟塵8は、筐体1の左壁に設置されたスクレバ6の基底部に押し付けられて(
図8(g))、剪断が開始される(
図8(h))。
回転軸2の回転方向の切り替えは、所定時間ごとに切り替えることが一般的である。
なお、駆動源2が電動機であるときには、電動機を流れる電流が予め定められた閾値電流を越えたときに回転方向を切り替えてもよい。
また、駆動源2が油圧モータであるときには、油圧モータへの供給油圧が予め定められた閾値油圧を越えたときに回転方向を切り替えてもよい。
すなわち、本発明に係る一軸破砕機を上記のように運転することにより、処理すべき柔軟塵8の量が増加した場合にも、筐体1への押し付け圧力が過大となることを抑制しつつ運転を継続することが可能となる。
また、本発明に係る一軸破砕機にあっては、スペーサ5に少なくとも1カ所のスペーサ凹部51を設けることにより、柔軟塵がスペーサ5に巻付つくこと、柔軟塵がスペーサ5およびスクレバ6上に堆積することが防止することが可能となる。
さらに、スペーサ5の外周縁がカッタ4に設けられたカッター凹部41の底部より外側となるようにスペーサ5の外径を定められているため、スペーサ5に巻き付いた柔軟塵、ならびにスペーサ5上およびスクレバ6上に堆積した柔軟塵がカッター凹部41に移動し易くなり、柔軟塵8の滞留や巻付きを抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明に係る一軸型破砕機によれば、紙おむつのような柔軟質の塵を均一の大きさに継続して破砕することができるので、産業上利用性を有する。
【符号の説明】
【0010】
1 筐体
2 回転軸
3 駆動源
4 カッタ
5 スペーサ
6 スクレバ
41 カッター凹部
42 カッターフック
43 カッター溝
51 スペーサ凹部