(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20240816BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K9/08
A61P35/00
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2023002792
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2019518548の分割
【原出願日】2017-09-29
【審査請求日】2023-02-08
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518337647
【氏名又は名称】オーバス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビクター エー レビン
(72)【発明者】
【氏名】ノイミ ヤム
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バコーラ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0246057(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0040526(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0120727(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101898978(CN,A)
【文献】特表2018-536707(JP,A)
【文献】特表2005-505528(JP,A)
【文献】Clinical Cancer Research,2000年10月,Vol. 6,p.3850-3854
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与用溶液の形態であり、悪性腫瘍を治療または予防するための医薬組成物であって、
(a)16.2%~19.8%のエフロルニチン塩酸塩水和物、
(b)0.135%~0.165%の安息香酸ナトリウム、
(c)0.135%~0.165%のサッカリンナトリウム二水和物、
(d)2.7%~3.3%のグリセロール、
(e)4.5%~5.5%のプロピレングリコール、および
(f)100%となるように加えられる精製水
を備える、医薬組成物。
【請求項2】
(a)18%のエフロルニチン塩酸塩水和物、
(b)0.15%の安息香酸ナトリウム、
(c)0.15%のサッカリンナトリウム二水和物、
(d)3.0%のグリセロール、
(e)5.0%のプロピレングリコール、および
(f)100%となるように加えられる精製水
を備える、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記悪性腫瘍は退形成性神経膠腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2016年10月6日付の「エフロルニチン投与用製剤」と題するV.A.Levinらによる米国仮特許出願第62/404981号の利益を主張するもので、その内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
発明の分野
本発明は、特に神経膠腫を処置するための、抗新生物剤エフロルニチン投与用製剤に関するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
神経膠腫は、脳腫瘍の最もよく見られる重篤な病態の1つである。神経膠腫は、細胞タイプ、グレードおよび位置により分類される。神経膠腫は、一般に、組織学的特徴を共有している特定の細胞タイプにしたがって命名される。これらは、必ずしも神経膠腫が発生した細胞タイプとは限らない。神経膠腫の主なタイプは、上衣腫(上衣細胞)、星細胞腫(星細胞)、乏突起神経膠腫(乏突起細胞)、脳幹神経膠腫(脳幹)、視神経膠腫(視神経細胞中またはその周囲の細胞)、および混合性神経膠腫(異なるタイプの神経膠に由来する細胞)である。さらに神経膠腫は、グレードにしたがって特徴付けられ、一般にはWHO分類にしたがって決定される。グレードIは、最も進行の遅い疾患で最も予後良好の場合である最も悪性度の低いグレードであり、グレードI神経膠腫は一般に良性であるとみなされる。WHO分類のグレードIIは、次に悪性度の低いグレードである。グレードIIの神経膠腫は、高分化型であり、退形成性ではない。これらの神経膠腫は良性傾向を呈しがちで、好ましい予後を伴い得るが、時間の経過にともない、再発し、グレードが高くなる、すなわち重症度が高くなる傾向を有する。WHO分類におけるグレードの高い神経膠腫、グレードIIIおよびIVの神経膠腫は、未分化型であるかまたは退形成性であり、明らかに悪性である。これらのグレードの場合、予後は最悪である。神経膠腫はまた、神経膠腫がある位置にしたがって、具体的には脳における膜、すなわちテントの上にあるか下にあるかによって分類され得る。テントは、小脳から大脳を分離する。テント上神経膠腫は成人により多く発生し、テント下神経膠腫は子供により多く発生する。上衣下腫または若年性毛細胞性星細胞腫(JPA)などのある種のタイプの神経膠腫は、非侵襲性であるかまたは侵襲性が非常に低い傾向を示す。
【0004】
神経膠腫の症状は、一般に中枢神経系のどの部分が冒されているかにより異なる。脳における神経膠腫は、頭痛、嘔吐、けいれん発作、局所虚脱、新たな記憶形成の障害、会話障害および腫瘍増大の結果としての脳神経障害を誘発することがある。視神経の神経膠腫は、視覚障害または失明の原因となり得る。脊髄の神経膠腫は、疼痛、虚脱、または1か所もしくは複数か所の末端部で麻痺を誘発することがあり得る。一般的に、神経膠腫は、血流を通じて転移することはないが、髄液全体に拡散し、脊髄において滴下転移を誘発することがあり得る。
【0005】
神経膠腫の正確な原因は判明していない。1型もしくは2型神経線維腫症または結節硬化症などのある種の遺伝性遺伝子障害は、神経膠腫成長の素因となり得る。若干のがん遺伝子は、神経膠腫の発症および成長に関与する可能性がある。多くの神経膠腫は、その成長を加速する可能性があるサイトメガロウイルスに感染している。DNA修復遺伝子ERCC1、ERCC2(XPD)およびXRCC1の生殖系列(遺伝)多型は、神経膠腫のリスクを増大させる可能性がある。これは、DNA損傷の修復が改変されているかまたは
不十分であることが、神経膠腫の形成の一因となり得ることを示している。過剰のDNA損傷は、損傷乗り越え合成を通じて変異を生じさせる可能性がある。さらに、不完全なDNA修復は、エピジェネティック変化またはエピ変異を生じさせる可能性がある。かかる変異およびエピ変異は、後に自然淘汰の過程によりがんへの進行を招き得る増殖に有利な条件を伴う細胞を提供する可能性がある。DNA修復遺伝子のエピジェネティック抑制は、散発性膠芽腫への進行過程で見出されることが多い。例えば、DNA修復遺伝子MGMTプロモーターのメチル化は、かなりの割合の膠芽腫で観察された。さらに、膠芽腫によっては、MGMTタンパク質が、別のタイプのエピジェネティック変化に起因して不足している場合がある。MGMTタンパク質発現はまた、MGMTメッセンジャーRNAがMGMTタンパク質を生成する能力を阻害するマイクロRNAのレベルの増加により、低減化されることもある。メチル化されたMGMTプロモーターを伴わない膠芽腫では、マイクロRNA miR-181dのレベルがMGMTのタンパク質発現と逆の相関関係を示すこと、およびmiR-181dの直接標的がMGMT mRNA 3’UTRであることが見出された。別のDNA修復タンパク質、ERCC1の発現におけるエピジェネティック低減化は多くの神経膠腫で見出されるもので、いくつかの事例において、その低減化は、ERCC1タンパク質発現が低減化されているかまたは存在しないことに起因することもある。他の事例では、低減化は、ERCC1プロモーターのメチル化に起因するものであった。数少ない事例において、低減化は、ERCC1発現に影響を及ぼすマイクロRNAにおけるエピジェネティック変化に起因するものであった可能性がある。DNA修復遺伝子の発現が低減されると、DNA損傷が高いレベルで細胞に蓄積され得る。神経膠腫において、突然変異は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子IDH1およびIDH2で起こることが多い。これらの突然変異の結果、過剰の代謝中間体、2-ヒドロキシグルタレートが生成され得、これがヒストン改変およびDNAプロモーターメチル化において重要である鍵酵素の触媒部位に結合する。この結果、プロモーター高メチル化ならびにDNA修復遺伝子MGMTおよびERCC1などの腫瘍サプレッサー遺伝子の同時サイレンシングを誘発する可能性があるDNA CpGアイランドメチル化形質(CIMP)が生じることもある。さらに、IDH1およびIDH2における突然変異は、酸化ストレスを増加させ得るため、DNAに対する酸化損傷の増加を誘導することもある。
【0006】
いくつかの後天的遺伝子突然変異は、p53およびPTENにおける突然変異を含め、神経膠腫では普通に見出されるもので、PTENをコードする遺伝子が失われることもある。これらの突然変異は、EGFRの過剰発現を招く可能性がある。しかしながら、神経膠腫に伴う超突然変異は特定の位置に制限されない。
【0007】
高グレードの神経膠腫は、高血管系腫瘍であり、浸潤する傾向を有する。前記神経膠腫は、広範囲の壊死および低酸素領域を有する。多くの場合、腫瘍の成長は、腫瘍の付近で血液脳関門の破壊を誘発する。通例、高グレードの神経膠腫は、完全な外科的切除後でさえ、脳の再発がんと一般に呼ばれているように、ほとんどの場合再び成長することになる。対照的に、低グレードの神経膠腫は、典型的には比較的ゆっくりと成長し、神経膠腫が成長するかまたは症状を誘発することがなければ、積極的治療を必要とせずに経過を見守ることもあり得る。
【0008】
神経膠腫に対する処置は、位置、細胞タイプおよび悪性度によって異なる。外科的切除、放射線治療および化学療法を含む併用療法が多くの場合、使用される。頻繁に使用される一治療剤はテモゾロミドであり、これは血液脳関門を通過することができ、高グレード神経膠腫の処置で頻用される。モノクローナル抗体である、血管新生遮断薬ベバシズマブもまた頻繁に使用される。しかしながら、テモゾロミドの使用はそれ自体突然変異を誘発することもあり、かなりの割合の患者において予後を悪くすることもあるという証拠が増えてきている(B.E.Johnson et al.,“Mutational Analysis Reveals the Origin and Therapy-Dr
iven Evolution of Recurrent Glioma,”Science 343:189-193(2014)、参照によって本明細書に組み込まれる)。テモゾロミドの潜在的な突然変異誘発作用については、神経膠腫に対する治療過程を計画する上で考慮しなければならない。
【0009】
神経膠腫が治癒する例はほとんどない。高グレードの神経膠腫の患者についての予後は一般に悪く、高齢患者では顕著である。CBTRUS(表23、2015年度版)に基づく、毎年悪性神経膠腫であると診断された10000人のアメリカ人のうち、約57%は診断の1年後に生存しており、約41%は2年後も生存しているが、5年目での生存はわずか31%である。退形成性星細胞腫の患者の場合、生存率は、2年目で約44%および5年目で約28%である。多形膠芽腫では、診断の1年後の生存率は37%および2年後の生存率は15%と予後はさらに悪い。低グレードの神経膠腫の場合、予後は上記より幾分楽観的であるが、かかる患者でさえ、年齢を考慮に入れると、一般的集団より死亡率はかなり高い。
【0010】
したがって、神経膠腫に対する改善された処置の必要性は高い。さらに、テモゾロミドなど、頻用されている抗新生物薬の潜在的突然変異誘発作用を回避するかまたは打ち消すことができる処置の提供が特に要望されている。下記で詳述するように、本発明で提供される処置の原理はまた、がんが典型的には新生細胞の突然変異を特徴とすることから、悪性腫瘍全般に適用することができる。
【0011】
Shakedらによる米国特許第6277411号は、がんを処置するためのエフロルニチンを含有する医薬製剤を開示している。Albertsらによる米国特許第5851537号は、皮膚がんを予防するためのエフロルニチンの局所適用製剤を開示している。Shakedらによる欧州特許出願公開第EP0886519号は、エフロルニチンを含有する持効性製剤を開示している。
【0012】
下記で詳述するように、神経膠腫および他の悪性腫瘍に対する1つの有望な処置は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投与である。したがって、特に個別化投与計画または追加の治療剤を用いる投与計画において、好適な投薬量を送達することができるエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグの改良された製剤が特に要望されている。また、血液脳関門を突破するのに十分な勾配を可能にする血漿中濃度を作り出すことにより血液脳関門を突破することができるエフロルニチンの改良された製剤も要望されている。さらに、脳腫瘍処置用のエフロルニチンを正確に送達するための投薬装置が要望されている。
【0013】
さらに、患者の体表面積(BSA)または抗新生物治療剤に関する最適用量の決定の際に使用される他のパラメータにしたがって個別化される高用量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグを送達するという難問に対処するための組成物および送達方法の提供が要望されている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、特に神経膠腫などの悪性腫瘍を処置するための、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグ投与用製剤を提供する。特に、上記製剤における1つまたは複数の活性成分、特にエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、神経膠腫を患う対象に投与されたときに血液脳関門を通り抜けることができる。
【0015】
本発明の一実施形態は、
(1)治療有効量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、
ならびに
(2)少なくとも1つの医薬的に許容し得る賦形剤であって、
(a)保存剤、
(b)甘味料、
(c)粘稠剤、
(d)緩衝液、
(e)液体担体、
(f)等張剤、
(g)湿潤剤、可溶化剤または乳化剤、
(h)酸性化剤、
(i)酸化防止剤、
(j)アルカリ化剤、
(k)担持剤、
(l)キレート剤、
(m)着色剤、
(n)錯化剤、
(o)溶媒、
(p)懸濁剤および/または増粘剤、
(q)香味料または香料、
(r)油、
(s)浸透促進剤、
(t)ポリマー、
(u)硬化剤、
(v)タンパク質、
(w)炭水化物、
(x)増量剤、および
(y)滑沢剤
から成る群から選択される医薬的に許容し得る賦形剤
を含む医薬組成物である。
【0016】
一実施形態において、前記エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、エフロルニチンおよびその医薬的に許容し得る塩形態、水和物または溶媒和物から成る群から選択される。別の実施形態において、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、エフロルニチンの誘導体、類似体またはプロドラッグである。
【0017】
本医薬組成物は、神経膠腫処置用に製剤化され得る。一実施形態において、神経膠腫を患う対象に本組成物を投与したとき、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、血液脳関門を突破することができる。別の実施形態において、本組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが、患者BSAにしたがって個々に調節することができる1.4g/m2超またはさらに高用量~2.8g/m2またはさらに高用量において十分に溶解した形態で送達されるように製剤化される。典型的には、2.8g/m2の用量が最適である。
【0018】
医薬組成物は、経口投与用または注射による投与用に製剤化され得る。
【0019】
医薬組成物は、当該エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグと適合し得る、治療有効量の少なくとも1つの追加的治療剤を含むことができる。他の実施形態において、本医薬組成物は、さらにポリアミン輸送もしくはポリアミン合成の阻害剤;S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;レチノイド、シルバクチン化合
物、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤、カスタノスペルミンもしくはカスタノスペルミンエステル、アジリジニルプトレシン化合物、インターフェロンもしくはインターフェロン誘起物質、アリール置換キシロピラノシド誘導体、血中グルタミン酸レベルを低下させ、脳から血液へのグルタミン酸排出を高める薬剤、キトサンもしくはキトサン誘導体および類似体、2,4-ジスルホニルフェニルt-ブチルニトロン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、サリドマイド、N-2-ピリジニル-2-ピリジンカルボチオアミド、カンベンダゾール、またはヒストンデメチラーゼ阻害剤から成る群から選択される薬剤を含むことができる。さらに別の実施形態において、本組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を高める量の薬剤をさらに含み、そのエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を高める薬剤の量は、治療有効用量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグを中枢神経系の組織へもたらすのに十分なものとする。さらに別の実施形態において、本組成物は、さらに(a)IL-15、(b)抗PD1抗体、(c)抗B7-H1抗体、(d)IL-12、(e)QS-21、(f)CD-40、(g)CD40アゴニストとして作用する抗CD40抗体、(h)CD40L、(i)IL-7、(j)CpG、(k)1-メチルトリプトファン、(l)抗CD137抗体、(m)抗TGF-β抗体、(n)抗IL10抗体、(o)抗ILR10R抗体、(p)Flt3L、(q)抗GITR、(r)CCL21またはCCL21をコードする核酸、(s)モノホスホリル脂質A、(t)ポリI:C、(u)ポリICLC、(v)抗OX40抗体、(w)抗B7-H4抗体、(x)レシキモド、N-[4-(4-アミノ-2-エチルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド)、イミキモド、2-エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、イサトリビン、ANA975、ANA-773およびGS-9620から成る群から選択される免疫応答調節剤、(y)LIGHTまたはLIGHTをコードする核酸、(z)LAG-3に対する抗体、ならびに(aa)CTLA4に対する抗体から成る群から選択される、治療有効量の免疫調節剤を含む。さらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のEGFR阻害剤を含む。
【0020】
典型的には、本組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、速溶性粉末、速溶性錠剤、カプセル剤、錠剤、マルチプル型カプセル剤、マルチプル型錠剤、チュアブル錠および棒状物から成る群から選択される物理的形態である。本組成物は、当技術分野で知られている別の物理的形態を呈することもあり得る。様々な組み合わせの賦形剤を、上記物理的形態の組成物において使用することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、固体投薬形態である本発明による医薬組成物の2つまたはそれより多くの投薬形態を含むキットであって、前記固体投薬形態が粉末剤、カプセル剤および錠剤から成る群から選択される、キットである。前記2つまたはそれより多くの投薬形態は、キットの使用者が各投薬形態を別々に取り出すことができるように包装される。前記2つまたはそれより多くの投薬形態は、同一であっても、または異なっていてもよい。固体投薬形態は、場合によっては追加の成分を含むことができる。別の実施形態において、キットは、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグおよび少なくとも1つの追加成分を含む少なくとも1つの投薬形態を含むことができる。前記投薬形態を、ブリスターパックに組み入れることもできる。キットの別の実施形態において、キットは、少なくとも1つの本発明医薬組成物および配合または投薬装置を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上記ならびに他の特徴、態様および利点は、以下の記載、後掲の特許請求の範
囲および添付図面を参照することで理解がより深まることになろう。
【
図1】
図1は、実施例4において製剤にシードするために使用したエフロルニチンの量(0.003g)の実例である。
【
図2】
図2は、実施例4における製剤試験のプロセスを示す概略図である。
【
図3】
図3は、シードされたエフロルニチン製剤における凍結傾向分析の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な記載
本発明の一態様は、
(1)治療有効量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、ならびに
(2)少なくとも1つの医薬的に許容し得る賦形剤であって、
(a)保存剤、
(b)甘味料、
(c)粘稠剤、
(d)緩衝液、
(e)液体担体、
(f)等張剤、
(g)湿潤剤、可溶化剤または乳化剤、
(h)酸性化剤、
(i)酸化防止剤、
(j)アルカリ化剤、
(k)担持剤、
(l)キレート剤、
(m)着色剤、
(n)錯化剤、
(o)溶媒、
(p)懸濁剤および/または増粘剤、
(q)香味料または香料、
(r)油、
(s)浸透促進剤、
(t)ポリマー、
(u)硬化剤、
(v)タンパク質、
(w)炭水化物、
(x)増量剤、および
(y)滑沢剤
から成る群から選択される医薬的に許容し得る賦形剤
を含む医薬組成物である。
【0024】
エフロルニチンには、2つの鏡像体形態、すなわちD-エフロルニチンおよびL-エフロルニチンが存在する。D-エフロルニチンを下の式(Ia)に示す。L-エフロルニチンを下の式(Ib)に示す。
(Ia)、および
(Ib)
【0025】
典型的には、エフロルニチンは、D-エフロルニチンとL-エフロルニチンのラセミ混合物として投与される。しかしながら、エフロルニチンはまた、D-エフロルニチンがL-エフロルニチンに対し比較的多く存在する混合物、またはD-エフロルニチンの純粋もしくは実質的に純粋な調製物で投与することもできる。別の実施形態において、エフロルニチンは、L-エフロルニチンがD-エフロルニチンに対し比較的多く存在する混合物、またはL-エフロルニチンの純粋もしくは実質的に純粋な調製物で投与することもできる。
【0026】
エフロルニチンは、式(II)として下に示すアミノ酸L-オルニチンの構造類似体である。
(II)
【0027】
エフロルニチンの若干の誘導体および類似体が当技術分野では知られており、これらについては下記でさらに詳述する。
【0028】
Beyらによる米国特許第5614557号は、式(III)のエフロルニチンの類似体を開示している:
(III)
[式中、
(1)Yは、FCH
2-、F
2CH-またはF
3C-であり;
(2)R
aおよびR
bは、独立して、水素、(C
1-C
4)アルキルカルボニル、または式(III(a)):
(III(a));
(式(III(a))において、R
2は、水素、(C
1-C
4)アルキル、ベンジルまたはp-ヒドロキシベンジルである)
で示される基であり、
(3)R
1は、ヒドロキシル、(C
1-C
8)アルコキシ、-NR
4R
5であって、ここでR
4およびR
5は、独立して水素、(C
1-C
4)アルキル、または式(III(b))
(III(b)),
(式(III(b)において、R
3は、水素、(C
1-C
4)アルキル、またはp-ヒドロキシベンジルである)で示される基である]。
【0029】
Bowlinらによる米国特許第5002879号は、式(IV)および式(V)で示されるさらなるオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤を開示している:
(IV)および
(V)、
[式中、
(1)Xは-CHF
2または-CH
2Fであり、
(2)Rは水素または-COR
1であり、そして
(3)R
1は-OHまたは(C
1-C
6)アルコキシである]。
【0030】
ポリカチオン性炭水化物(キトサン、水溶性キトサン誘導体、またはその塩)またはポリアミノ酸、ポリアミン、ポリペプチド、塩基性ポリマーまたは第四級アンモニウム化合物などのポリカチオンとのエフロルニチンの水溶性塩は、Hebertによる米国特許出
願公開第2002/0019338号に開示されている。エフロルニチンの医薬的に許容し得る塩形態、水和物、および溶媒和物ならびにエフロルニチンの誘導体、類似体およびプロドラッグは全て、本発明の方法および組成物で使用することができる。
【0031】
エフロルニチンのさらなる誘導体、類似体およびプロドラッグが、当技術分野では知られている。Xuによる米国特許出願公開第2010/0120727号は、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグである第一の部分が、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)である第二の部分と共有結合しているコンジュゲートを開示している。NSAIDは、例えば、アスピリン、アセクロフェナック、アセメタシン、アルクロフェナック、アモキシプリン(amoxiprin)、アンピロン、アザプロパゾン、ベノリレート、ブロムフェナク、コリンマグネシウムサリチレート、サリチル酸コリン、セレコキシブ、クロフェゾン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールと共にジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、エテンザミド、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ファイスラミン(faislamine)、フルルビプロフェン、フルフェナム酸、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、アルミノプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フルノキサプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ケブゾン、ロキソプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸ナトリウム、メタミゾール、メフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、スルフィンピラゾン、メフェナム酸、メロキシカム、サリチル酸メチル、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ネブメトン、オキサプロジン、オキサメタシン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、ピロキシカム、ピルプロフェン、スプロフェン、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチルサリチラート、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、チアプロフェン酸、トルフェナム酸、トルメチンナトリウム、およびバルデコキシブであり得る。第一の部分と第二の部分は、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバミン酸結合、炭酸結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバミン酸結合、アシルオキシ炭酸結合、アシルオキシチオカルバミン酸結合、リン酸結合、ホスホルアミデートおよびアシルオキシリン酸結合から成る群から選択される共有結合を介して結合され得る。
【0032】
Zhuらによる米国特許出願公開第2015/0306241号は、式A-B-Cで示されるコポリマーまたはその医薬的に許容し得る塩を開示しており、式中、Aは水溶性ポリマーを含み、Bはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)開裂性ポリペプチドを含み、Cは化学療法剤またはその誘導体であって、Aは第一の共有結合または第一の結合部分を通じて第一の端部でBに連結され、Bは第二の共有結合または第二の結合部分を通じて第二の端部でCに連結され、コポリマーは架橋されていないものとする。典型的には、このコポリマーでは、化学療法剤は、エフロルニチンなどのアミノ含有治療薬である。
【0033】
Shakedらによる米国特許出願公開第2002/0110590号は、速放性DFMO含有顆粒および徐放性顆粒を有するコアならびにpH反応性コーティングを含むコアを囲む外層を含む、エフロルニチン投与用の製剤を開示している。
【0034】
Wongらによる米国特許第7718764号は、VAPEEHPTLLTEAPLNPK(配列番号1)およびそのフラグメントおよび誘導体を含む、抗新生物剤として使用するための、ペプチドとエフロルニチンのコンジュゲートを開示している。
【0035】
エフロルニチンのプロドラッグもまた当技術分野では既知である。エフロルニチンのかかるプロドラッグは、Xuによる米国特許出願公開第2010/0120727号に開示されている。かかるプロドラッグには、式(EP-I)および式(EP-II)の化合物がある:
(EP-I);
(EP-II)
[式中、
(1)R
23は、水素、R
24C(O)-、R
24OC(O)-、R
24C(S)-、R
24SC(O)-、(R
24O)(R
24O)P(O)、および部分式 (EP-I(a))、(EP-I(b))、(EP-I(c))、または(EP-I(d))で示される部分からなる群から選択される
(EP-I(a))、(EP-I(b))、(EP-I(c))、または(EP-I(d));
(2)R
1は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルから成る群から選択される;
(3)R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、カルバモイル、シクロアルキル、置換シクロア
ルキル、シクロアルコキシカルボニル、置換シクロアルコキシカルボニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルから成る群から選択される;
(4)R
15は、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、カルバモイル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルコキシカルボニル、置換シクロアルコキシカルボニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルから成る群から選択される;
(5)R
24およびR
25は、それぞれ独立して、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルコキシカルボニル、置換シクロアルコキシカルボニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルから成る群から選択される;ならびに
(6)Wは-O-または-NH-である]。
【0036】
エフロルニチンプロドラッグの一実施形態において、ホスホルアミデート基は、エフロルニチンプロドラッグのインビボ投与時に開裂され、インビボでエフロルニチンの活性形態が放出される。エフロルニチンプロドラッグが哺乳類に治療有効用量で投与されるとき、エフロルニチンプロドラッグから放出されるホスホルアミデート基は典型的には非毒性である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、用語「プロドラッグ」は、インビボで変換されることにより、開示された化合物またはその化合物の医薬的に許容し得る形態を生じさせる化合物を指す。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、生理学的条件下または加溶媒分解により本明細書で記載されている生物活性化合物に変換され得る化合物である。したがって、用語「プロドラッグ」は、医薬的に許容し得る生物活性化合物の前駆体をいう。対象に投与されたときプロドラッグは不活性であり得るが、その後、例えば加水分解(例、血中または組織での加水分解)により、インビボで活性化合物に変換される。場合によっては、プロドラッグは、そのプロドラッグが誘導された親化合物よりも改善された物理特性および/または送達特性を有することもある。プロドラッグは、哺乳類における溶解性、組織適合性または遅延放出といった有利な点を呈することが多い(参照によって本明細書に組み込まれる、H.Bundgard,Design of Prodrugs(Elsevier,Amsterdam,1988),pp.7-9,21-24)。プロドラッグについては、T.Higuchi et al.,“Pro-Drugs as Novel Delivery Systems,”ACS Symposium Series,Vol.14およびE.B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design(American Pharmaceutical Association&Pergamon Press,1987)において検討が為されており、これらは両方とも参照によって本明細書に組み込まれる。プロドラッグの具体的な利点には、親化合物との比較における生理学的pHでの非経口投与に関する高い水溶性、消化管からの高い吸収性、または長期貯蔵に向けての高い薬物安定性など、その物理特性が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0038】
用語「プロドラッグ」はまた、プロドラッグが対象に投与されたときにインビボで活性化合物を放出する共有結合担体を全て包含するものとする。本明細書で記載されているように、治療活性化合物のプロドラッグは、治療活性化合物に存在する1つまたはそれより多い官能基を修飾することにより調製され得、その調製は、修飾部分が常用的操作またはインビボのいずれかで開裂されて、親治療活性化合物を生じさせる形で行われる。プロド
ラッグは、ヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基が、対象へ活性化合物のプロドラッグを投与したときに、開裂して遊離ヒドロキシ基、遊離アミノ基または遊離メルカプト基をそれぞれ形成する任意の基に共有結合している化合物を包含する。プロドラッグの例としては、アルコールのギ酸もしくは安息香酸誘導体、または反応に利用可能なアミン官能基を有する治療活性物質のアセトアミド、ホルムアミドもしくはベンズアミド誘導体などがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0039】
例えば、治療活性物質または治療活性物質の医薬的に許容し得る形態がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、C1-8アルキル、C2-12アルカノイルオキシメチル、4~9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5~10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)エチル、3~6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4~7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5~8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3~9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4~10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、γ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば(3-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキルおよびピペリジノ-、ピロリジノ-またはモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基によるカルボン酸基の水素原子の置換により形成されるエステルを含み得る。
【0040】
同様に、開示された化合物または開示された化合物の医薬的に許容し得る形態がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6))アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシルおよびα-アミノアシル、またはα-アミノアシル-α-アミノアシル(各α-アミノアシル基は、独立して天然に存在するL-アミノ酸から成る群から選択される)、P(O)(OH)2、P(O)(O(C1-C6)アルキル)2またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から生じるラジカル)などの基によるアルコール基の水素原子の置換により形成され得る。
【0041】
開示された化合物または開示された化合物の医薬的に許容し得る形態がアミン官能基を組み込む場合、プロドラッグは、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR’-カルボニル(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、またはR-カルボニルは、天然α-アミノアシルもしくは天然α-アミノアシル-天然α-アミノアシルである)、C(OH)C(O)OY1(式中、Y1は、H、(C1-C6)アルキルまたはベンジルである)、C(OY2)Y3(式中、Y2は(C1-C4)アルキルであり、Y3は(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキルまたはモノ-Nもしくはジ-N,N(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、C(Y4)Y5(式中、Y4はHまたはメチルであり、Y5は、モノ-Nもしくはジ-N,N(C1-C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン-1-イルまたはピロリジン-1-イルである)などの基によるアミン基における水素原子の置換により形成され得る。
【0042】
プロドラッグ系の使用は、T.Jarvinen et al.,“Design and Pharmaceutical Applications of Prodrugs”in Drug Discovery Handbook(S.C.Gad,ed
.,Wiley-Interscience,Hoboken,NJ,2005),ch.17,pp.733-796において報告されており、これについては参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体もしくは類似体の他のプロドラッグは、当技術分野では既知であり、本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
したがって、本発明の一態様は、神経膠腫処置用に製剤化された医薬組成物であって、
(1)治療有効量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、ならびに
(2)少なくとも1つの医薬的に許容し得る賦形剤
を含み、
神経膠腫または別の悪性腫瘍を処置するために製剤化された医薬組成物である。本明細書で使用する場合、本発明による医薬組成物中に組み込まれるエフロルニチン、エフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、または別の治療剤に適用される用語「治療有効量」は、臨床的に検出可能な反応を生じさせる量である。臨床的に検出可能な反応は、限定されるわけではないが、腫瘍負荷の縮小、疼痛の減少、中枢神経系機能の改善、けいれん発作または頭痛などの総合的症状の低減、カルノフスキー・パフォーマンス・スコアの改善、および腫瘍拡散または転移の発生の減少を含む、神経膠腫または他の悪性腫瘍に関連した臨床パラメータの1つまたはそれより多くの改善であり、臨床パラメータおよびそれに関連した改善は、客観的または主観的であり得る。賦形剤に適用される場合、用語「医薬的に許容し得る」は、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグと適合性があり、組成物中に組み込まれた他のあらゆる治療活性物質と適合性があり、そして医薬組成物が投与される対象にとって耐容性があるものとして定義される。
【0045】
典型的には、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグはエフロルニチンである。上記で記載したところによると、エフロルニチンは、D-エフロルニチンとL-エフロルニチンのラセミ混合物、D-エフロルニチンまたはL-エフロルニチンであり得る。
【0046】
別の実施形態において、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、上記のエフロルニチンの誘導体、類似体またはプロドラッグであり、(A)式(III)のエフロルニチンの類似体:
(III)
[式中、
(1)Yは、FCH
2-、F
2CH-またはF
3C-であり;
(2)R
aおよびR
bは、独立して、水素、(C
1-C
4)アルキルカルボニル、または式(III(a)):
(III(a));
(式(III(a))において、R
2は、水素、(C
1-C
4)アルキル、ベンジルまたはp-ヒドロキシベンジルである)
で示される基であり、
(3)R
1は、ヒドロキシ、(C
1-C
8)アルコキシ、-NR
4R
5であって、ここでR
4およびR
5は、独立して水素、(C
1-C
4)アルキル、または式(III(b))
(III(b),
(式(III(b)において、R
3は、水素、C
1-C
4)アルキル、またはp-ヒドロキシベンジルである)で示される基である];(B)式(IV)または式(V)で示されるエフロルニチンの類似体:
(IV)および
(V)
[式中、
(1)Xは-CHF
2または-CH
2Fであり、
(2)Rは水素または-COR
1であり、そして
(3)R
1は-OHまたは(C
1-C
6)アルコキシである];(C)(i)キトサン、水溶性キトサン誘導体およびその塩から成る群から選択されるポリカチオン性炭水化物、(ii)ポリアミノ酸、(iii)ポリアミン、(iv)ポリペプチド、(v)塩基性ポリマー、ならびに(vi)第四級アンモニウム化合物から選択されるポリカチオンによるエフロルニチンの水溶性塩;(D)アスピリン、アセクロフェナック、アセメタシン、アルクロフェナック、アモキシプリン(amoxiprin)、アンピロン、アザプロパゾン、ベノリレート、ブロムフェナク、コリンおよびマグネシウムサリチレート、サリチ
ル酸コリン、セレコキシブ、クロフェゾン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールと共にジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、エテンザミド、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ファイスラミン(faislamine)、フルルビプロフェン、フルフェナム酸、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、アルミノプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フルノキサプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ケブゾン、ロキソプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸ナトリウム、メタミゾール、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、スルフィンピラゾン、メフェナム酸、メロキシカム、サリチル酸メチル、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ネブメトン、オキサプロジン、オキサメタシン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、ピロキシカム、ピルプロフェン、スプロフェン、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチルサリチレート、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、チアプロフェン酸、トルフェナム酸、トルメチンナトリウム、およびバルデコキシブから成る群から選択される非ステロイド系抗炎症剤である第二の部分に共有結合されたエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグを含む第一の部分を含むコンジュゲート(ここで、第一の部分および第二の部分は、エステル結合、アミド結合、イミン結合、カルバミン酸結合、炭酸結合、チオエステル結合、アシルオキシカルバミン酸結合、アシルオキシ炭酸結合、アシルオキシチオカルバミン酸結合、リン酸結合、ホスホルアミデートおよびアシルオキシリン酸結合から成る群から選択される共有結合を介して結合されている);(E)式A-B-Cで示されるコポリマーまたはその医薬的に許容し得る塩[式中、Aは水溶性ポリマーを含み、Bはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)開裂性ポリペプチドを含み、Cはエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグであり、Aは第一の共有結合または第一の結合部分を通じて第一の端部でBに連結され、Bは第二の共有結合または第二の結合部分を通じて第二の端部でCに連結され、かつコポリマーは架橋されていないものとする];(F)(i)配列VAPEEHPTLLTEAPLNPK(配列番号1)のペプチド、(ii)配列番号1のペプチドのフラグメント、および(iii)配列番号1のペプチドの誘導体から成る群から選択されるペプチドにコンジュゲートされたエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグのコンジュゲート;ならびに(G)オルニチンデカルボキシラーゼの阻害剤であり、モノ置換誘導体、ジ置換誘導体、トリ置換誘導体、エチルエステル誘導体およびδ-アミド誘導体から選択されるエフロルニチンの誘導体を含む。
【0047】
一実施形態において、本発明による組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0048】
別の実施形態において、本発明による組成物は、注射による投与用に製剤化される。典型的には、組成物が注射による投与用に製剤化されたとき、注射経路は、腹腔内投与、静脈内投与および皮下投与から成る群から選択される。
【0049】
一実施形態において、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、患者BSAにしたがって個々に調節することができる1.4g/m2超またはさらに高用量~2.8g/m2またはさらに高用量において十分に溶解した形態で送達される。典型的には、2.8g/m2の用量が最適である。
【0050】
典型的には、前記の少なくとも1つの医薬的に許容し得る賦形剤は、液体担体、等張剤、湿潤剤、可溶化剤または乳化剤、保存剤、緩衝液、酸性化剤、酸化防止剤、アルカリ化剤、担持剤、キレート剤、着色剤、錯化剤、溶媒、懸濁剤および/または増粘剤、香味料または香料、油、浸透促進剤、ポリマー、硬化剤、粘稠剤、甘味料、タンパク質、炭水化物、増量剤ならびに滑沢剤から成る群から選択される。医薬的に許容し得る賦形剤は、製
造を容易にし、安定性を高め、放出を制御し、製品の特徴を向上させ、バイオアベイラビリティ、薬物吸収性もしくは溶解性を高め、他の薬物動態検討事項を最適化し、投与経路に対し医薬製剤を最適化し、患者の許容性を高めるためか、または医薬組成物の製造、貯蔵もしくは使用に関連した別の理由のために添加され得る。本発明による医薬組成物で使用される賦形剤は、医薬組成物中に含まれる1つまたは複数の医薬活性物質と適合し得、医薬組成物中に含まれる他の賦形剤と適合し得、そして医薬組成物が投与されるいかなる患者にとっても有害なものではなく、かつ耐容性を呈するものである。
【0051】
製薬分野で一般的に知られているように、ある特定の賦形剤が、賦形剤の濃度、組成物中の他の賦形剤、組成物の物理的形態、組成物中の活性物質の濃度、組成物の意図された投与経路および他の要因次第で、ある特定の医薬組成物における上記機能の1つまたはそれより多くを実現することになり得る。下記範疇におけるある特定の賦形剤について記述したからといって、別の1つまたは複数の範疇における賦形剤の使用可能性を排除するわけではない。
【0052】
典型的には、液体担体は、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、グリセロールおよびエタノールから成る群から選択される液体担体であり得るが、限定されるわけではない。
【0053】
典型的には、等張剤は、マンニトールおよびソルビトールから成る群から選択されるポリアルコール、塩化ナトリウムならびに塩化カリウムであり得るが、限定されるわけではない。
【0054】
典型的には、湿潤剤または乳化剤は界面活性剤である。典型的には、界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドクサートナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポロキサマー、ポリオキシル35ひまし油、ポリオキシル40、硬化ひまし油、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20、セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、チロキサポール、アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン、グリセリルモノステアレート、ラノリンアルコール、レシチン、モノ-およびジ-グリセリド、モノエタノールアミン(添加物)、オレイン酸(添加物)、オレイルアルコール(安定剤)、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシル35ひまし油、ポリオキシル40硬化ひまし油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、トリエタノールアミン、乳化ろう、セトマクロゴール、およびセチルアルコールから成る群から選択される。
【0055】
典型的には、保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサールおよびチモールから成る群から選択される。
【0056】
典型的には、緩衝液は、酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、一塩基リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム溶液、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、HEPES(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)、ACES(2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)、ADA(N-(2-アセトアミド)2-イミノジ酢酸)、AMPSO(3-[(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチルアミノ]-2-プロパンスルホン酸)、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸、ビシン(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチルグリシン)、ビス-トリス(ビス-(2-ヒドロキシエチル)イミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン、CAPS(3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸)、CAPSO(3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)、CHES(2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)、DIPSO(3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ]-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸)、HEPPS(N-(2-ヒドロキシエチルピペラジン)-N’-(3-プロパンスルホン酸)、HEPPSO(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、トリエタノールアミン、イミダゾール、グリシン、エタノールアミン、ホスフェート、MOPSO(3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(2-hydroxypropaneulfonic acid)、TAPS(N-トリス[ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、トリシン(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、および2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールから成る群から選択される。
【0057】
典型的には、酸性化剤は、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、希塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希リン酸、硫酸および酒石酸から成る群から選択される。
【0058】
典型的には、酸化防止剤は、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄およびトコフェロールから成る群から選択される。
【0059】
典型的には、アルカリ化剤は、強アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよびトリエタノールアミンから成る群から選択される。
【0060】
典型的には、担持剤は、アカシアシロップ、芳香性シロップ、芳香性エリキシル、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、トウモロコシ油、鉱油、落花生油、ゴマ油、注射用静菌性塩化ナトリウムおよび注射用静菌水から成る群から選択される。
【0061】
典型的には、キレート剤は、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン
酸およびサリチラートから成る群から選択される。
【0062】
典型的には、着色剤は、赤色、黄色、黒色または混合の酸化第二鉄、FD&C(連邦食品・医薬品・化粧品法)赤色3号、FD&C赤色20号、FD&C黄色6号、FD&C青色2号、D&C緑色5号、D&Cオレンジ色5号、D&C赤色8号、および医薬品用途に適した染料から成る群から選択される。
【0063】
典型的には、錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸の塩、ゲンチジン酸エタノールアミド、および硫酸オキシキノリンから成る群から選択される。
【0064】
典型的には、溶媒は、アセトン、エタノール、希釈アルコール、アミレン水和物、安息香酸ベンジル、ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロホルム、トウモロコシ油、綿実油、酢酸エチル、グリセロール、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、鉱油、オレイン酸、落花生油、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、注射用滅菌水、灌漑用滅菌水、および精製水から成る群から選択される。
【0065】
典型的には、懸濁剤および/または増粘剤は、アカシア、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラゲーニン、微晶性およびカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、ビーガム、およびキサンタンガムから成る群から選択される。
【0066】
典型的には、香味料または香料は、アニス油、桂皮油、メントール、アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸一ナトリウム、橙花油、ハッカ、ハッカ油、ハッカ精、バラ油、濃バラ水、チモール、トルーバルサムチンキ、バニラ、バニラチンキ、およびバニリンから成る群から選択される。
【0067】
典型的には、油は、落花生油、鉱油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、ベニバナ油、トウモロコシ油、および大豆油から成る群から選択される。
【0068】
典型的には、浸透促進剤は、モノヒドロキシアルコールまたはポリヒドロキシアルコール、一価アルコールまたは多価アルコール、飽和または不飽和の脂肪族アルコール、飽和または不飽和の脂肪族エステル、飽和または不飽和のジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、セファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトン、および尿素から成る群から選択される。
【0069】
典型的には、ポリマーは、酢酸セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリアンヒドリドから成る群から選択される。
【0070】
典型的には、硬化剤は、硬化ひまし油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルろう、ハードファット、パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化ろう、白ろう、および黄ろうから成る群から選択される。
【0071】
典型的には、甘味料は、アスパルテーム、デキストレート、デキストロース、デキストロース添加剤、果糖、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ソルビトール液、ショ糖、圧縮糖、精製粉末砂糖、およびシロップから成る群から選択される。
【0072】
典型的には、タンパク質は、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチンおよびカゼインから成る群から選択される。
【0073】
典型的には、炭水化物は、果糖、麦芽糖、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオース、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、およびミオイノシトールから成る群から選択される。
【0074】
典型的には、増量剤は、ポリペプチドおよびアミノ酸から成る群から選択される。
【0075】
典型的には、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクから成る群から選択される。
【0076】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、神経膠腫の処置用に製剤化される。典型的には、神経膠腫は、WHOのグレードI、グレードII、グレードIIIまたはグレードIVの神経膠腫である。神経膠腫は、退形成性神経膠腫、退形成性乏突起神経膠腫、および混合性退形成性乏突起星細胞腫から成る群から選択される。別の実施形態において、本組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが、用量において十分に溶解した形態で送達されるように製剤化される。別の実施形態において、本組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが、患者BSAにしたがって個々に調節することができる1.4g/m2超またはさらに高用量、~2.8g/m2またはさらに高用量、3.6g/m2以下の用量において十分に溶解した形態で送達されるように製剤化される。典型的には2.8g/m2の用量が最適であるが、いくつかの実施形態では、最適用量は3.6g/m2であり得る。
【0077】
典型的には、本発明による医薬組成物を神経膠腫に罹患した対象に投与したとき、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、アルキル化剤の投与に関連した神経膠腫の突然変異速度を低減させる。
【0078】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。別の実施形態において、本発明による医薬組成物は、注射による投与用に製剤化される。
【0079】
本発明による医薬組成物のための賦形剤は、それらが医薬組成物に含まれているエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグの活性を妨げることのないように選択される。また、本発明による医薬組成物のための賦形剤は、それらが他の賦形剤の活性を妨げたり、組成物中で相分離を誘発することのないように選択される。一般に、油などの疎水性賦形剤が組成物中に含まれるとき、相分離が起こらないことを確実にし、組成物が安定し、かつ均一なままであることを確実にするため、界面活性剤、湿潤剤または乳化剤も組成物中に含まれる。本発明による組成物中に含まれる任意の賦形剤の量は、組成物の好適な物理特性を確実にするため、また組成物中に含まれるエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグについての好適な薬物動態を確実にするため当業者により決定され得る。
【0080】
経口投薬形態は、固体、ゲルまたは液体のいずれかである。固体投薬形態は、錠剤、カ
プセル剤、顆粒、およびバルク粉末である。経口錠剤のタイプには、腸溶コーティング、砂糖コーティングまたはフィルムコーティングされたものであり得る圧縮されたチュアブルトローチ剤および錠剤がある。カプセル剤は、ハードゼラチンカプセル剤またはソフトゼラチンカプセル剤であり得、顆粒および粉末は、当業者に知られている他の成分の組み合わせを伴う非発泡性または発泡性形態を呈するものであり得る。
【0081】
ある特定の実施形態において、製剤は、例えばカプセル剤または錠剤などの固体投薬形態である。錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分、または似た性質の化合物のうちの1つまたはそれより多くを含むことができる:結合剤、滑沢剤、希釈剤、流動化剤、崩壊剤、着色剤、甘味料、着香料、湿潤剤、腸溶コーティング剤およびフィルムコーティング剤。結合剤の例には、微晶質セルロース、トラガカントガム、グルコース液、アラビアガム粘液、ゼラチン液、モラセス、ポリビニルピロリドン、ポビドン、クロスポビドン、ショ糖およびデンプンペーストがある。滑沢剤には、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、石松子およびステアリン酸がある。希釈剤には、例えば、乳糖、ショ糖、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムがある。流動化剤には、コロイド状二酸化ケイ素があるが、限定されるわけではない。崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースがある。着色剤には、例えば、認定された水溶性FDおよびC染料、それらの混合物、ならびにアルミナ水和物に懸濁させた水不溶性FDおよびC染料のいずれかが含まれる。甘味料には、ショ糖、乳糖、マンニトールおよびサッカリンなどの人工甘味料、ならびにいくつかの噴霧乾燥香味料が含まれる。着香料には、果物などの植物から抽出された天然香味料ならびに限定されるわけではないが、ハッカおよびサリチル酸メチルなど、快味を生じさせる化合物の合成ブレンドが含まれる。湿潤剤には、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリル(laural)エーテルがある。腸溶コーティング剤には、脂肪酸、脂肪、ろう、シェラック、アンモニア処理したシェラックおよび酢酸フタル酸セルロースがある。フィルムコーティング剤には、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースがある。
【0082】
エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、それを胃の酸性環境から保護する組成物に含まれる形で提供され得る。例えば、組成物は、胃ではその完全な状態を維持し、腸で活性化合物を放出する腸溶コーティング剤にて製剤化され得る。組成物はまた、制酸剤または他の同様の成分と組み合わせて製剤化されることもある。
【0083】
用量単位形態がカプセル剤であるとき、それは上記タイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有し得る。さらに、用量単位形態は、用量単位の物理的形態を改変する様々な他の材料、例えば砂糖のコーティング剤および他の腸溶剤を含有し得る。化合物はまた、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハー、スプリンクル、チューインガムなどの一成分として投与され得る。シロップは、活性化合物に加えて、甘味料としてショ糖ならびにある特定の保存剤、染料、着色料および香味料を含んでいることもある。
【0084】
また、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグなどの活性材料は、所望の作用を損なうことのない他の活性材料、または所望の作用を補足する材料と混合されていてもよい。有効成分は、本明細書に記載されている化合物またはその許容し得る誘導体である。約98重量%までの高い濃度の有効成分が含有され得る。
【0085】
本発明による医薬組成物の全ての実施形態において、錠剤およびカプセル製剤は、有効成分の溶解を改変するかまたは持続させるために当業者に知られている要領でコーティン
グされ得る。したがって、例えば、錠剤およびカプセル製剤は、サリチル酸フェニル、ろうおよび酢酸フタル酸セルロースなど、慣用的な腸溶消化性コーティングでコーティングされ得る。
【0086】
液体経口投薬形態には、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡顆粒から再構成される溶液および/または懸濁液ならびに発泡顆粒から再構成される発泡性調製物がある。水溶液には、例えば、エリキシルおよびシロップがある。エマルジョンは、水中油型または油中水型のいずれかである。
【0087】
エリキシルは、澄明な甘みを付けた含水アルコール調製物である。エリキシルで使用される基剤には、溶媒が含まれる。シロップは、糖、例えばショ糖の濃縮水溶液であり、保存剤を含み得る。エマルジョンは、ある液体が別の液体全体にわたって小球形態で分散されている2相系である。エマルジョンに使用される基剤は、非水性の液体、乳化剤および保存剤である。懸濁液では、懸濁剤および保存剤が使用される。液体経口投薬形態への再構成に向けて非発泡顆粒で使用される物質には、希釈剤、甘味料および湿潤剤が含まれる。液体経口投薬形態への再構成に向けて発泡顆粒で使用される物質には、有機酸および二酸化炭素源が含まれる。着色剤および着香剤は、上記投薬形態の全てにおいて使用される。
【0088】
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップがある。保存剤の例には、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムならびにアルコールがある。エマルジョンで使用される非水性液体の例には、鉱油および綿実油がある。乳化剤の例には、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイトおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤がある。懸濁剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガムおよびアカシアがある。甘味料には、ショ糖、シロップ、グリセリンおよびサッカリンなどの人工甘味料がある。湿潤剤には、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルがある。有機酸には、クエン酸および酒石酸がある。二酸化炭素源には、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムがある。着色剤には、認定された水溶性FDおよびC染料、ならびにそれらの混合物のいずれかが含まれる。着香料には、果物などの植物から抽出された天然香味料、および快い味覚をもたらす化合物の合成ブレンドが含まれる。
【0089】
固体投薬形態については、例えば炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液を、いくつかの実施形態ではゼラチンカプセル中に封入する。かかる溶液、ならびにその調製および封入は、米国特許第4328245号、同第4409239号および同第4410545号に開示されている。液体投薬形態については、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液を、投与用に測定し易くするため、十分な量の液体基剤、例えば水で希釈することもあり得る。
【0090】
別法として、液体または半固体の経口製剤は、活性化合物またはその塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例、炭酸プロピレン)および他の担体等に溶解または分散させ、ハードまたはソフトのゼラチンカプセル殻中にこれらの溶液または懸濁液を封入することにより調製され得る。他の有用な製剤には、米国特許第RE28819号および同第4358603号記載のものがある。簡単に述べると、上記製剤には、限定されるわけではないが、本明細書で提供された化合物、限定されるわけではないが、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(ここで、350、550および750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を指す)を含む
ジアルキル化モノ-もしくはポリ-アルキレングリコール、ならびにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、およびジチオカルバメートなどの1つまたはそれより多い酸化防止剤を含むものが含まれる。
【0091】
他の製剤には、限定される訳ではないが、アセタールを含む水性アルコール溶液が含まれる。これらの製剤で使用されるアルコールは、限定されるわけではないが、プロピレングリコールおよびエタノールを含む、1つまたはそれより多いヒドロキシル基を有する水混和性溶媒であればよい。アセタールには、限定される訳ではないが、アセトアルデヒドジエチルアセタールなどの低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールが含まれる。
【0092】
別の実施形態において、本発明による医薬組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグと適合し得る、治療有効量の少なくとも1つの追加的治療剤を含むことができる。典型的には、前記追加的治療剤は、抗新生物治療剤である。好ましくは、抗新生物剤である追加的治療剤は、神経膠腫の処置に使用される抗新生物剤である。典型的には、前記の神経膠腫の処置に使用される抗新生物剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、血管新生阻害剤、EGFR阻害剤、白金含有剤、トポイソメラーゼ阻害剤および他のクラスの抗新生物剤から成る群から選択される。例えば、限定を意図するものではないが、これらの薬剤には、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BCNU)、テモゾロミド、プロカルバジン、ビンクリスチン、PCV(ロムスチン、プロカルバジンおよびビンクリスチンの組み合わせ)、カルボプラチン、カルボプラチン+チミジン、カルムスチン+テモゾロミド、エルロチニブ、カルボプラチン+エルロチニブ、クロレタジン、ロムスチン+クロレタジン、イマチニブ、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシ尿素+イマチニブ、イリノテカン、サリドマイド、テモゾロミド+サリドマイド、リロツムマブ、シレンジタイド、シスレチノイン酸、セレコキシブ、シスレチノイン酸+セレコキシブ、エンザスタウリン、シロリムス、エルロチニブ+シロリムス、フェンレチニド、ゲフィチニブ、ラパチニブ、テムシロリムス、チピファルニブ、ボリノスタット、ジアジクオン、メトトレキサート、メルファラン、チオグアニン、TPDCV(チオグアニン、プロカルバジン、ジブロモズルシトール、ロムスチン、ビンクリスチン)、窒素マスタードとビンクリスチンとプロカルバジンの組み合わせ、テノポシド、およびカルボプラチン+テノポシドが含まれ得る。他の薬剤および薬剤の組み合わせは、当技術分野では既知であり、本発明による医薬組成物中に追加的抗新生物剤または薬剤の組み合わせとして含まれ得る。例えば、本組成物は、EGFR、特にEGFRバリアントIIIの阻害剤を含み得る(A.H.Thorne et al.,“Epidermal Growth Factor Targeting and Challenges in Glioblastoma,”Neuro-Oncology 18:914-918(2016))。EGFR阻害剤には、限定される訳ではないが、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、ならびにモノクローナル抗体セツキシマブ、ニモツズマブ、パニチムマブ(panitimumab)、mAb425、ABT414、AMG595およびMR1-1がある。モノクローナル抗体であるEGFR阻害剤は、細胞毒素などの追加的治療活性剤にコンジュゲートされ得る。
【0093】
さらに別の実施形態において、本医薬組成物は、治療有効量のポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤を含み得る。
【0094】
一実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、Phanstiel,IVによる米国特許第9150495号で開示されているポリアミンに
よりジ置換された芳香族炭化水素である。
【0095】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、構造R-X-L-ポリアミン(式中、Rは、直鎖または分枝状C10-C50飽和または不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキルまたはアルコキシ;C1-C8脂環式部分;単環もしくは多環アリール置換または非置換脂肪族;および脂肪族-置換または非置換単環もしくは多環芳香族;単環もしくは多環複素環;単環もしくは多環複素環脂肪族;アリールスルホニルであり;Xは、-CO-、-SO2-、または-CH2-であり;Lは、共有結合または天然に存在するアミノ酸、リシン、オルニチンまたは2,4-ジアミノ酪酸である)で示される化合物である。
【0096】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、式(PT-I)または(PT-II):
(PT-I);
(PT-II)
[式中、Lはリンカーであり、R
1は、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、R
2は水素またはメチルであり、0<x<3;0<y<3;2<v<5および2<w<8]で示される化合物である。
【0097】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、式(PT-III):
(PT-III)
[式中、Rは、DまたはLアミノ酸、DまたはLオルニチン、脂環式、単環もしくは多環芳香族;脂肪族置換単環または多環芳香族;および置換または非置換単環または多環複素環から選択され、またRが置換単環または多環複素環であるとき、複素環は、OH、ハロゲン、NO
2、NH
2、NH(CH
2)
nCH
3、N((CH
2)
nCH
3)
2、CN、
(CH
2)
nCH
3、O(CH
2)
nCH
3、S(CH
2)
nCH
3、NHCO(CH
2)
nCH
3、またはO(CF
2)
nCF
3、COO(CH
2)
nCH
3から成る群の少なくとも1員により置換されており、ここでnは0~10である]で示されるN
1-モノ置換ポリアミン類似体または誘導体である。
【0098】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、式R1-X-R2を有するもので、式中、R1-X-は、式R-NH-CR’R”-CO-で示され、ここで、NH-CR’R”-CO-は、バリン、アスパラギンまたはグルタミンのD形態もしくはL形態、またはリシンまたはアルギニンのD形態であり、式中、R”は、H、CH3、CH2CH3またはCHF2であり;ここでRは、Hまたは、直鎖または分枝状C1-C10脂肪族、脂環式、単環もしくは多環芳香族、単環もしくは多環アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環もしくは多環芳香族、単環もしくは多環複素環、単環もしくは多環複素環置換脂肪族および脂肪族置換芳香族から成る群から選択されるヘッド基であり、R2はポリアミンである。
【0099】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送および/またはポリアミン合成の阻害剤は、式(PT-IV):
(PT-IV)
[式中、nは0~8であり得、アミノメチル官能基は、オルト、メタまたはパラ置換され得、Rは、水素、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、6-アミノヘキシル、7-アミノヘプチルまたは8-アミノオクチルであり、R
1は水素であり、ポリアミンは非対称である]で示される化合物である。
【0100】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式(PT-V):
(PT-V)
[式中、R
1~R
6は、同一でも異なっていてもよく、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはシクロアルキル(これらは、場合によっては、少なくとも1つのエーテル酸素原子により中断されたアルキル鎖を有していてもよい)、または水素であり、N
1、N
2、N
3およびN
4は、生理学的pHでプロトンを付加することができる窒素原子であり、aおよびbは、同一でも異なっていてもよい、1~4の整数であり、A、BおよびCは、同一でも異なっていてもよく、ポリアミンが:(i)ヒトまたはヒト以外の動物へのポリアミンの投与時に標的細胞により取り込まれることができ;および(ii)標的細胞による取り込み時、正に荷電した窒素原子間の静電的相互作用により標的細胞における細胞内天然ポリアミンと実質的に同じ生物学的対アニオンに競合的に結合するように、窒素原子間の距離を有効に維持する架橋基であり;上記ポリアミンは、細胞中の生物学的対アニ
オンへ結合すると、細胞内ポリアミンとは生物学的に異なる形で機能するもので、天然には存在しないポリアミンである]
で示される化合物である。
【0101】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、ポリアミン類似体N(1),N(11)-ジエチルノルスペルミン(DENSPM)であり、これはポリアミン合成阻害剤である。
【0102】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式(PT-VI)、式(PT-VII)、式(PT-VIII)または式(PT-IX)で示される疎水性ポリアミン類似体である:
(PT-VI);
(PT-VII);
(PT-VIII);および
(PT-IX)。
【0103】
式(PT-VI)で示される化合物において、a、bおよびcは、独立して1~10の範囲に含まれ;dおよびeは、独立して0~30の範囲に含まれ;各Xは、独立して炭素(C)原子または硫黄(S)原子のいずれかであり、R1およびR2は、独立してHから、または直鎖または分枝状C1-C50飽和または不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキルまたはアルコキシ;C1-C8脂環式;単環もしくは多環アリール置換または非置換脂肪族;脂肪族置換または非置換単環もしくは多環芳香族;単環もしくは多環複素環;単環もしくは多環複素環脂肪族;C1-C10アルキル;アリールスルホニル;またはシアノから成る群から選択されるか;またはR1X{O}n-およびR2X{O}n-はそれぞれ独立してHにより置換されており;*はキラル炭素位置を示し、XがCであるならば、nは1であり;XがSであるならば、nは2であり、またXがCであるならば、nが0であるようにXO基はCH2であり得る。
【0104】
式(PT-VII)で示される化合物において、a、bおよびcは、独立して1~10の範囲に含まれ、dおよびeは、独立して0~30の範囲に含まれ;R1、R2、R3およびR4は、同一でも異なっていてもよく、独立してHから、または直鎖または分枝状C1-C50飽和または不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキルまたはアルコキシ;C1-C8脂環式;単環もしくは多環アリール置換または非置換脂肪族;脂肪族置換または非置換単環もしくは多環芳香族;単環もしくは多環複素環;単環もしくは多環複素環脂肪族;C1-C10アルキル;アリールスルホニル;またはシアノから成る群から選択される。
【0105】
式(PT-VIII)で示される化合物において、a、bおよびcは、独立して1~10の範囲に含まれ、dおよびeは、独立して0~30の範囲に含まれ;R1、R2、R3およびR4は、同一でも異なっていてもよく、独立してHから、または直鎖または分枝状C1-C50飽和または不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキルまたはアルコキシ;C1-C8脂環式;単環もしくは多環アリール置換または非置換脂肪族;脂肪族置換または非置換単環もしくは多環芳香族;単環もしくは多環複素環;単環もしくは多環複素環脂肪族;C1-C10アルキル;アリールスルホニル;またはシアノから成る群から選択される。
【0106】
式(PT-IX)で示される化合物において、a、bおよびcは、独立して1~10の範囲に含まれ、dおよびCは、独立して0~30の範囲に含まれ;Z1はNR1R3であって、Z2は、-R1、-CHR1R2または-CR1R2R3から選択されるか、またはZ2はNR2R4であって、Z1は、ーR1、-CHR1R2または-CR1R2R3から選択されるものとし、R1、R2およびR3は、同一でも異なっていてもよく、独立してHから、または直鎖または分枝状C1-C50飽和または不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキルまたはアルコキシ;C1-C8脂環式;単環もしくは多環アリール置換または非置換脂肪族;脂肪族置換または非置換単環もしくは多環芳香
族;単環もしくは多環複素環;単環もしくは多環複素環脂肪族;C1-C10アルキル;アリールスルホニル;またはシアノから成る群から選択される。
【0107】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式R1-X-R2で示されるポリアミン類似体であり、式中、R1およびR2は、独立してHまたは直鎖または分枝状C1-C10脂肪族、脂環式、単環もしくは多環芳香族、単環もしくは多環アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環もしくは多環芳香族、単環もしくは多環複素環、単環もしくは多環複素環置換脂肪族および脂肪族置換芳香族、およびそれらのハロゲン化形態から成る群から選択される部分であり;Xは、2つの末端アミノ基、-(CH2)3-NH-または-CH2-Ph-CH2-をもつポリアミンであるものとする。
【0108】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式R1-X-R2で示される化合物であり、式中、R1およびR2は、それぞれポリアミンまたはポリアミンの類似体もしくは誘導体であり、Xは、2つのポリアミン部分を連結するリンカー部分である。
【0109】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式E-NH-D-NH-B-A-B-NH-D-NH-Eで示される化合物である配座固定ポリアミン類似体であり、式中:Aは、C2-C6アルケニルおよびC3-C6シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアリールから成る群から選択され;Bは、独立して単結合およびC1-C6アルキルおよびアルケニルから成る群から選択され;Dは、独立してC1-C6アルキルおよびアルケニル、およびC3-C6シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアリールから成る群から選択され;Eは、独立してH、C1-C6アルキルおよびアルケニルから成る群から選択されるものとする。
【0110】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、元のポリアミンのダイマーの合成誘導体であるポリアミン輸送阻害剤であり、この元のポリアミンは、元のポリアミンの炭素原子に直接結合され、2つの内部原子間に配置されているアミド基を含むように修飾されており、ダイマーは、各モノマーのアミド基に固定されたスペーサー側鎖により一緒に結合されている。
【0111】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、式R1-NH-(CH2)w-NH-(CH2)x-NH-(CH2)y-NH-(CH2)z-NH-R2で示されるポリアミン類似体であり、式中、R1およびR2は、1~5個の炭素を有する炭化水素鎖であり、w、x、yおよびzは1~10の整数であり、この式で示される1つの好ましいポリアミン類似体は、N1,N19-ビス-(エチルアミノ)-5,10,15-トリアザノナデカンである。
【0112】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は酸化ポリアミンであり、1つの好ましい酸化ポリアミンは、N,N’-ビス-(3-プロピオンアルデヒド)-1,4-ジアミノブタン(スペルミンビスアルデヒド)である。
【0113】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、AMXT 1426、AMXT 1501、AMXT 1505およびAMXT
1569から成る群から選択される。
【0114】
さらに別の実施形態において、ポリアミン輸送阻害剤および/またはポリアミン合成阻害剤は、構造R’HN-(CH2)x-NH-(CH2)y-NH-CH2-R-CH2
-NH-(CH2)xx-NH-(CH2)yy-NHR”[式中、Rは、アントラセン、ナフタレンおよびベンゼンから成る群から選択され;R’およびR”は、独立してHおよびアルキル基から成る群から選択され;x、xx、yおよびyyは、独立して3および4から成る群から選択される]をもつジ置換アリールポリアミン化合物など、安定性の高いポリアミン輸送阻害剤である。
【0115】
本発明による医薬組成物の別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のS-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼは、限定される訳ではないが、SAM486A(S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、4-(アミノイミノメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン-ジアミノメチレンヒドラゾン)であり得る。
【0116】
医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のレチノイドを含む。レチノイドは、限定される訳ではないが、レチノール、レチナール、トレチノイン、イソトレチノイン、アリトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレン、セレチノイドG、フェンリチジン、13-シス-レチノイン酸、11-シス-レチナール、9-シス-レチナール、非環状レチナールである11-シス-レチナールまたは9-シス-レチナールの誘導体、トリエンもしくはテトラエンレチナールなど、ポリエン鎖長が改変されたレチナール、アルキル置換、ハロ置換もしくはヘテロ原子置換ポリエン鎖など、置換ポリエン鎖を有するレチナール、トランス-もしくはシス-ロックトポリエン鎖などの修飾ポリエン鎖またはアレンもしくはアルキン修飾を含むポリエン鎖を有するレチナール;および複素環、ヘテロ芳香族もしくは置換シクロアルケン環など、環修飾を有するレチナールであり得る。特定のレチノイドには、限定される訳ではないが、9-エチル-11-シス-レチナール、7-メチル-1-シス-レチナール、13-デスメチル-11-シス-レチナール、11-シス-10-F-レチナール、11-シス-10-Cl-レチナール、11-シス-10-メチル-レチナール、11-シス-10-エチル-レチナール、9-シス-10-F-レチナール、9-シス-10-Cl-レチナール、9-シス-10-メチル-レチナール、9-シス-10-エチル-レチナール、11-シス-12-F-レチナール、11-シス-12-Cl-レチナール、11-シス-12-メチル-レチナール、11-シス-10-エチル-レチナール、9-シス-12-F-レチナール、9-シス-12-Cl-レチナール、9-シス-12-メチル-レチナール、11-シス-14-F-レチナール、11-シス-14-メチル-レチナール、11-シス-14-エチル-レチナール、9-シス-14-F-レチナール、9-シス-14-メチル-レチナール、9-シス-14-エチル-レチナール、および他の誘導体がある。
【0117】
本発明による医薬組成物に含まれ得る追加的レチノール誘導体には、式(R-I)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-I)
(式中、RおよびR
1は、それぞれ独立して、直鎖アルキル基、イソアルキル基、sec
-アルキル基、tert-アルキル基、他の分枝状アルキル基、置換分枝状アルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アミン基およびアミド基から選択される)。
【0118】
本発明による医薬組成物に含まれ得るさらなる追加的レチノール誘導体には、式(R-II)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-II)
(式中、nおよびn
1は、それぞれ0、1、2または3のアルキル基、アルケン基またはアルキレン基であるが、ただしnとn
1の合計は少なくとも1である)。
【0119】
本発明による医薬組成物に含まれ得るさらなる追加的レチノール誘導体には、式(R-III)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-III)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素、アルキル、分枝状アルキル、シクロアルキル、ハロゲンおよびヘテロ原子から成る群から選択される)。
【0120】
本発明による医薬組成物に含まれ得るさらなる追加的レチノール誘導体には、式(R-IV)、式(R-V)および式(R-VI)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-IV);
(R-V);および
(R-VI)
[式中、特定の構造に適用され得る、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ水素、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミド、ハロまたはヘテロ原子から成る群から選択され、式(R-VI)において、Xは、硫黄、ケイ素、窒素、またはフルオロ-もしくはブロモ-置換炭素である]。
【0121】
本発明による医薬組成物に含まれ得るさらなる追加的レチノール誘導体には、式(R-VII)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-VII)
(式中、Rは、水素、メチルまたは別の低級アルカンもしくは分枝状アルカンであり、nは、0、1、2、3または4であり、m+lは、1、2または3であり、これらの誘導体は、シス固定されている)。特定の例は式(R-VIII)(式中、nは、1、2、3または4である)で示されるレチノイドである:
(R-VIII)
【0122】
本発明による医薬組成物に含まれ得るさらなる追加的レチノール誘導体には、式(R-IX)で示されるレチノール誘導体がある:
(R-IX)
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、水素、アルキル、分枝状アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミドまたはヘテロ原子から成る群から選択され、nおよびn
1は、それぞれ独立して、0、1、2または3のアルキル基、アルケン基またはアルキレン基から選択され得るが、ただしnとn
1の合計は少なくとも1であり、さらに、R
11-R
12および/またはR
13-R
14は、環状炭素環にアルケン基を含み得、R
5とR
7は、一緒になってシクロアルキル基または置換シクロアルキル基を形成し得る)。
【0123】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の、グリドバクチンAまたはシリンゴリンAなどのシルバクチン化合物を含む。
【0124】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに、アセチルサリチル酸(アスピリン)、サリチル酸ナトリウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、スルファサラジン、オルサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラック、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン(fenoprofin)、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、ナブメトン、エトドラク、ニメスリド、アセクロフェナック、アルクロフェナック、アルミノプロフェン、アムフェナック、アンピロキシカム、アパゾン、アラプロフェン、アザプロパゾン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベンジダミン、ベルモプロフェン、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、ブロムフェナク、ブクロキシ酸、ブマジゾン、ブチブフェン、カルプロフェン、シンメタシン、シノキシ
カム、クリダナク、クロフェゾン、クロニキシン、クロピラック、ダルブフェロン、ドロキシカム、エルテナク、エンフェナミン酸、エピリゾール、エスフルルビプロフェン、エテンザミド、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナック、フェンクロジン酸、フェンクロジン、フェンドサール、フェンチアザック、フェプラゾン、フィレナドール、フロブフェン、フロリフェニン、フロスリド、フルビチンメタンスルホナート、フルフェナム酸、フルフェニサール、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルプロフェン、フルプロクアゾン、フロフェナック、イブフェナック、インドプロフェン、イソフェゾラック、イソキセパック、イソキシカム、リコフェロン、ロブプロフェン、ロモキシカム、ロナゾラック、ロキサプロフェン(loxaprofen)、マブプロフェン、ミロプロフェン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モラゾン、ネパファナク(nepafanac)、ニフルム酸、ニトロフェナク、ニトロフルルビプロフェン、ニトロナプロキセン、オルパノキシン、オキサセプロール、オキシンダナク、オキシピナク、オキシフェンブタゾン、パミコグレル、パルセタサール、パルサルミド、ペルビプロフェン、ペメドラク、フェニルブタゾン、ピラゾラク、ピルプロフェン、プラノプロフェン、サリシン、サリチルアミド、サリチルサリチル酸、サチグレル、スドキシカム、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルマート、タゾフェロン、テブフェロン、テニダップ、テノキシカム、テポキサリン、チアプロフェン酸、チアラミド、チノリジン、チオピナク、チオキサプロフェン、トルフェナム酸、トリフルサル、トロペシン、ウルソル酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジドメタシンおよびゾメピラックから成る群から選択される治療有効量の非ステロイド系抗炎症性化合物を含む。
【0125】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに、ルミラコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、イムレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、チルマコキシブ、パレコキシブ、およびデラコキシブから成る群から選択される、治療有効量のシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤を含む。
【0126】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに、治療有効量の、血中グルタミン酸レベルを低下させ、脳から血中へのグルタミン酸排出を高める薬剤を含む。血中グルタミン酸レベルを低下させ、脳から血中へのグルタミン酸排出を高める薬剤は、(1)グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、アセチルオルニチントランスアミナーゼ、オルニチン-オキソ酸トランスアミナーゼ、スクシニルジアミノピメリン酸トランスアミナーゼ、4-アミノ酪酸トランスアミナーゼ、(s)-3-アミノ-2-メチルプロピオン酸トランスアミナーゼ、4-ヒドロキシグルタミン酸トランスアミナーゼ、ジヨードチロシントランスアミナーゼ、甲状腺ホルモントランスアミナーゼ、トリプトファントランスアミナーゼ、ジアミントランスアミナーゼ、システイントランスアミナーゼ、L-リシン6-トランスアミナーゼ、ヒスチジントランスアミナーゼ、2-アミノアジピン酸トランスアミナーゼ、グリシントランスアミナーゼ、分枝鎖アミノ酸トランスアミナーゼ、5-アミノ吉草酸トランスアミナーゼ、ジヒドロキシフェニルアラニントランスアミナーゼ、チロシントランスアミナーゼ、ホスホセリントランスアミナーゼ、タウリントランスアミナーゼ、芳香族アミノ酸トランスアミナーゼ、芳香族アミノ酸グリオキシル酸トランスアミナーゼ、ロイシントランスアミナーゼ、2-アミノヘキサン酸トランスアミナーゼ、オルニチン(リシン)トランスアミナーゼ、キヌレニン-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ、D-4-ヒドロキシフェニルグリシントランスアミナーゼ、システイン-コンジュゲートトランスアミナーゼ、2,5-ジアミノ吉草酸トランスアミナーゼ、ヒスチジノール-リン酸トランスアミナーゼ、ジアミノ酪酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼおよびUDP-2-アセトアミド-4-アミノ-2,4,6-トリデオキシグルコーストランスアミナーゼから成る群から選択され得るトランスアミナーゼ;(2)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ;(3)グルタミン酸デカルボキシラーゼ;(4)グルタミン酸-エチルアミンリガーゼ;(5)グルタミン酸N-アセチルトランスフェラーゼおよびアデニリルトランスフェ
ラーゼから成る群から選択され得るトランスフェラーゼ;(6)グルタミン酸-1-セミアルデヒド2,1-アミノムターゼであり得るアミノムターゼ;ならびに(7)ラセマーゼであり得る。酵素を補因子と併用することができ、補因子を組成物中に含ませることができる。
【0127】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のカスタノスペルミンまたはカスタノスペルミンのエステルを含む。
【0128】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の、1-(4-アミノブチル)アジリジンなどのアジリジニルプトレシン化合物を含む。
【0129】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のインターフェロンまたはインターフェロン誘導物質を含む。インターフェロン誘導物質は、チロロンまたはその類似体であり得る。
【0130】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の2,4-ジスルホニルフェニルtert-ブチルニトロン(2,4-ds-PBN)を含む。
【0131】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを含む。
【0132】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の、サリドマイドおよびレナリドミドから成る群から選択される薬剤を含む。
【0133】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量の、N-2-ピリジニル-2-ピリジンカルボチオアミドおよびカンベンダゾールから成る群から選択される薬剤を含む。
【0134】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のヒストンデメチラーゼ阻害剤を含む。ヒストンデメチラーゼ阻害剤は、オリゴアミンおよびポリアミンから成る群から選択され得る。一実施形態において、ポリアミンは、式(P-I):
(P-I)
[式中、
(1)nは1~12の整数であり;
(2)mおよびpは、それぞれ独立して1~5の整数であり;
(3)qは0または1であり;
(4)各R
1は、独立して、C
1-C
8置換または非置換アルキル、C
4-C
15置換
または非置換シクロアルキル、C
3-C
15置換または非置換分枝状アルキル、C
6-C
20置換または非置換アリール、C
6-C
20置換または非置換ヘテロアリール、C
7-C
24置換または非置換アラルキル、およびC
7-C
24置換または非置換ヘテロアラルキルから成る群から選択され;そして
(5)各R
2は、独立して、水素またはC
1-C
8置換または非置換アルキルから選択される]
で示される化合物である。別の実施形態において、オリゴアミンは、式(O-I):
(O-I)
[式中、
(1)nおよびmは、それぞれ独立して1~12の整数であり;
(2)各R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、およびR
31は独立して、水素、C
1-C
8置換または非置換アルキル、C
6-C
20置換または非置換アリール、およびアミンから選択され;そして
(3)
は、単結合または二重結合である]
で示されるオリゴアミンである。
【0135】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、さらに治療有効量のアリール置換キシロピラノシド誘導体を含む。これらの化合物は、Ellervikらによる米国特許出願公開第2008/0027023号に開示されており、いくつかの芳香族環を含むアグリコンとO-、S-またはC-グリコシド結合により結合したキシロースを有するキシロースに基づくグリコシド化合物を含む。
【0136】
本発明による医薬組成物のさらに別の実施形態において、本組成物は、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を高める量の薬剤をさらに含み、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を高める薬剤の量は、治療有効用量のエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグを中枢神経系の組織へもたらすのに十分なものとする。典型的には、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を増強する薬剤は、
(a)式(D-III)で示される構造のキメラペプチド:
(D-III)
[式中、(A)Aは、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレッシン、アルファ・インターフェロン、エンドルフィン、ムラミルジペプチドまたはACTH4-9類似体であり、(B)Bは、インスリン、IGF-I、IGF-II、トランスフェリン、カチオン化(塩基性)アルブミンまたはプロラクチンである];または式(D-III)[式中、AとBとの間のジスルフィドコンジュゲート型架橋は、部分
式(D-III(a)):
(開裂可能な結合) (D-III(a))
(式中、架橋は、架橋試薬としてシステアミンおよびEDACを用いて形成される)で示される架橋と置き換えられる]で示される構造のキメラペプチド;または式(D-III)[式中、AとBとの間のジスルフィドコンジュゲート型架橋は、部分式(D-III(b)):
(開裂しない結合) (D-III(b))
(式中、架橋はグルタルアルデヒドを架橋試薬として用いて形成される)で示される架橋と置き換えられる]で示される構造のキメラペプチド;
(b)ビオチン化したエフロルニチンまたはその類似体もしくは誘導体に結合させたアビジンまたはアビジン融合タンパク質のいずれかを含むことで、アビジン-ビオチン-薬剤複合体を形成し、そこにインスリン、トランスフェリン、抗受容体モノクローナル抗体、カチオン化タンパク質およびレクチンから成る群から選択されるタンパク質を含む組成物;
(c)ペグ化されており、エフロルニチンまたはその類似体もしくは誘導体が組み込まれた中性リポソームであって、ポリエチレングリコール鎖が少なくとも1つの輸送可能なペプチドまたは標的化剤にコンジュゲートされている、中性リポソーム;
(d)アビジン-ビオチン結合によりエフロルニチンまたはその類似体もしくは誘導体に結合したヒトインスリン受容体に結合するヒト化ネズミ抗体;ならびに
(e)第一のセグメントおよび第二のセグメントを含む融合タンパク質であって、第一のセグメントは、細胞の表面にある抗原を認識する抗体の可変領域を含み(前記細胞では抗体の可変領域への結合後に抗体-受容体介在エンドサイトーシスが行われる)、場合によっては、さらに抗体の定常領域の少なくとも1つのドメインを含んでいてもよく、第二のセグメントは、アビジン、アビジンムテイン、化学的に修飾されたアビジン誘導体、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインおよび化学的に修飾されたストレプトアビジン誘導体から成る群から選択されたタンパク質ドメインを含むものであり、ビオチンへの共有結合によりエフロルニチンまたはその類似体もしくは誘導体に結合されている融合タンパク質
から成る群から選択される薬剤である。
【0137】
さらに別の実施形態において、本組成物は、さらに(a)IL-15、(b)抗PD1抗体、(c)抗B7-H1抗体、(d)IL-12、(e)QS-21、(f)CD-40、(g)CD40アゴニストとして作用する抗CD40抗体、(h)CD40L、(i)IL-7、(j)CpG、(k)1-メチルトリプトファン、(l)抗CD137抗体、(m)抗TGF-β抗体、(n)抗IL10抗体、(o)抗ILR10R抗体、(p)Flt3L、(q)抗GITR、(r)CCL21またはCCL21をコードする核酸、(s)モノホスホリル脂質A、(t)ポリI:C、(u)ポリICLC、(v)抗OX40抗体、(w)抗B7-H4抗体、(x)レシキモド、N-[4-(4-アミノ-2-エチルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド)、イミキモド、2-エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、イサトリビン、ANA975、ANA-773およびGS-9620から成る群から選択される免疫応答調節剤、(y)LIGHTまたはLIGHTをコードする核酸、(z)LAG-3に対する抗体、ならびに(aa)CTLA4に対する抗体から成る群から選択される、治療有効量の免疫
調節剤を含む。
【0138】
IL-15は、Shimonakaによる米国特許第6258352号、Bernardらによる米国特許第7858081号(インターロイキン-15受容体α鎖への結合に関与するIL-15のエピトープにおける突然変異体)、Lefrancoisらによる米国特許第8124084号(免疫応答を刺激するためのIL-15および可溶性IL-15Rの使用),Wongらによる米国特許第8163879号(融合分子およびIL-15バリアント)、Weinerらによる米国特許第8173786号(IL-15タンパク質配列に結合した非IL-15シグナルペプチドを含む融合タンパク質)、Weinerらによる米国特許第8178660号(コドン最適化IL-15を用いるワクチンおよび免疫治療薬)、およびNellisらによる米国特許第8415456号(脱アミノ化を低減させ、安定性を高めるための置換を伴うIL-15ポリペプチド)に開示されている。
【0139】
抗PD1抗体は、Liらによる米国特許第8735553号に開示されている。抗B7-H1抗体は、Chenによる米国特許第8981063号に開示されている。
【0140】
IL-12は、Millsらによる米国特許第6929794号、Hancockによる米国特許第7374751号(アジュバントの組み合わせとしてのQS-21およびIL-12;QS-21は、水溶性トリテルペングルコシドを含む混合物である)、Felzmannによる米国特許第786788号(IL-12を発現する樹状細胞)、Har-Noyによる米国特許第9233156号(活性化同種細胞によるIL-12の誘導)、Medinらによる米国特許第8765462号(がんに対するIL-12免疫治療)、Scottらによる米国特許第5571515号(アジュバントとしてのIL-12の使用)、Deetzらによる米国特許第5853714号(IL-12についての精製方法)、およびMetzgerらによる米国特許第6303114号(T非依存性抗原に対する免疫応答のIL-12増強)に開示されている。
【0141】
CD40およびCD40Lまたはこれらのタンパク質についてのアゴニストは、アゴニストとして作用する抗体も含めて、Spencerによる米国特許第9315559号(誘導性パターン認識受容体アダプターまたはアダプターフラグメントおよびCD40活性を誘導することによる抗原提示細胞の活性化方法)、Noelleらによる米国特許第9161976号(TLR9リガンドおよびCD40リガンドを用いる免疫療法)、およびKedlらによる米国特許第9095608号(CD40Lポリペプチドまたは作動性抗CD40抗体、この場合抗体自体がアゴニストとして作用する)に開示されている。
【0142】
IL-7は、Wiltroutらによる米国特許第5637323号(多能性造血幹細胞を刺激するために使用)、Lauderらによる米国特許第7323549号(免疫グロブリン鎖およびIL-7を含む融合タンパク質)、Morreらによる米国特許第7585947号(免疫原性が低減された配座異性体)およびGilliesらによる米国特許第7589179号(免疫原性が低減されたバリアント)に開示されている。
【0143】
アジュバントとしてのCpGの使用は、B.V.Sternら、“Vaccination with Tumor Peptide in CpG Adjuvant Protects Via IFN-Gamma-Dependent CD4 Cell Immunity,”J.Immunol.168:6099-6105(2002)およびIannaconeらによる米国特許第8906381号(CpGはTLR9アゴニストである)に開示されている。
【0144】
1-メチルトリプトファンの使用は、Munnらによる米国特許第7879791号に
開示されている。化合物1-メチルトリプトファンは、T細胞抑制を促進するように作用し得る、酵素インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼの阻害剤である。
【0145】
抗CD137抗体の使用は、Shirwanらによる米国特許第9079976号に開示されている。抗CD137抗体は、4-1BBLについてのリガンドとして作用するため、T細胞機能を刺激することができる。
【0146】
抗TGF-β抗体の使用は、Bedingerらによる米国特許第9145458号、Ledbetterらによる米国特許第9090685号、およびAdamsらによる米国特許第8012482号に開示されている。
【0147】
抗IL-10または抗IL-10Rの使用は、Osterrothらによる米国特許第8956607号(ヒト化IL-10)、Chenらによる米国特許第7794710号(T細胞のアポトーシスの促進に関与するIL-10)、およびVon Herrathらによる米国特許第7553932号(抗IL-10R抗体)に開示されている。
【0148】
Flt3Lは、Flt3に対するリガンドであり、サイトカインとして作用し、樹状細胞の生成および可動化にとって重要である(K.R.Diener et al.,“Human Flt-3 Ligand-Mobilized Dendritic Cells Require Additional Activation to Drive Effective Immune Responses,”Exp.Hematol.36:51-60(2008))。Flt3Lは、ヒトにおいて、いくつかのアイソフォーム(GenBank:AAI44130.1)で存在するポリペプチドである。Flt3Lは、プライミングが行われ得るリンパ節への樹状細胞の遊走を促進する。
【0149】
免疫刺激剤として作用し得る抗GITR抗体は、Schebyeらによる米国特許第8709424号に開示されている。前記抗体は、GITRに対する活性化因子として作用し得る。
【0150】
CCL21は、37-アミノ酸塩基性伸長部を有する134アミノ酸を含むサイトカインである。CCL21は、CCR7に結合する。CCL21についての遺伝子は、限定される訳ではないが、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを含む、当技術分野で知られている様々なウイルスベクターにより後続的にインビボ発現させるために送達され得る(U.Thanarajasingam et al.,“Delivery of CCL21 to Metastatic Disease Improves the Efficacy of Adoptive T-Cell Therapy,”Cancer Res.67:300-308(2007))。
【0151】
モノホスホリル脂質Aはアジュバントであり、その使用については、Fouchierらによる米国特許第9376726号およびBaudnerらによる米国特許第9375471号に開示されている。モノホスホリル脂質Aは、TLR4のアゴニストである。
【0152】
ポリI:C(ポリイノシン酸:ポリシチジル酸)は、アジュバントである(M.E.Fortier et al.,“The Viral Mimic,Polyinosinic:Polycytidylic Acid,”Induces Fever in
Rats via an Interleukin-1-Dependent Mechanism,”Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.287:R759-R766(2004))。ポリI:Cは、二本鎖ウイルスRNAの模倣体であることから、TLR3アゴニストである。ポリICLCは、ポリイノシン酸ポリシチジル酸ポリ-L-リシンカルボキシ-メチルセルロース複合体であり
、アジュバントとしても作用するポリI:Cの類似体である。ポリICLCは、Linによる米国特許第8303965号に開示されている。
【0153】
抗OX40抗体は、Liuらによる米国特許第9006399号およびLiuらによる米国特許第9163085号に開示されている。上記抗体は、OX40に対する高い親和力を有し、その受容体に関するアゴニストとして作用する。OX40の活性化により、Tr1細胞および他のIL-10産生細胞による免疫抑制性サイトカインIL-10の産生が間接的に遮断される。
【0154】
抗B7-H4抗体は、Schollerらによる米国特許第9279008号に開示されている。B7-H4は、T細胞発現の阻害性調節剤として作用する。抗原提示細胞の表面に存在するとき、B7-H4は、T細胞活性化に対し負の調節を行う。B7-H4に対する抗体は、T細胞活性化の阻害を除くことにより、免疫抑制を解除させることができる。
【0155】
レシキモド(1-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール)は、免疫応答調節剤として作用し、アジュバントとして使用され得る。レシキモドは、Beaurlineらによる米国特許第5939090号、およびBeaurlineらによる米国特許第6365166号に開示されている。レシキモドは、TLR7およびTLR8に対するアゴニストである。薬剤852A(N-[4-(4-アミノ-2-エチルイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド)もまた、TLR7/TLR8アゴニストとして作用する。イミキモド、CL097(2-エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン)、CL075(2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン)、イサトリビン、ANA975、ANA773、およびGS-9620を含む、他の薬剤も同様の活性を有する。
【0156】
LIGHTは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーの一員である受容体、TNFRSF14に対するリガンドである。LIGHTは、TNFリガンドスーパーファミリーの一員である。LIGHTは、リンパ系細胞活性化のための共刺激因子として機能し、T細胞の増殖を刺激する。LIGHTについては、D.Yang et al.,“LIGHT,a New Member of the TNF Superfamily,”J.Biol.Regul.Homeostat.Agents 16:206-210(2003)で報告されている。LIGHTおよびLIGHTのトランスフェクションおよび発現のためのアデノウイルスベクターは、Fuによる米国特許第9272025号に開示されている。
【0157】
抗リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)抗体は、このT細胞チェックポイント受容体の作用を阻害することができる。LAG-3は、T細胞の増殖および活性化に対し負の調節を行う。LAG-3に対する抗体は、Zengらによる米国特許第9132281号に開示されている。
【0158】
抗CTLA4抗体は、Gurneyらによる米国特許第9327014号、Jure-Kunkelによる米国特許第9320811号(イピリムマブおよびトレメリムマブ)、およびNicholらによる米国特許第9062111号に開示されている。
【0159】
本明細書で使用されている場合、さらなる定義または限定が加えられていなければ、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、ならびに適切な結合特異性をもつキメラ抗体、ヒト化抗体または完全ヒト抗体などの遺伝子改変抗体を包含する。本明細書で使用されている場合、さらなる定義が為されていなければ、用語「抗体
」はまた、sFvフラグメント、Fvフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメントおよびF(ab)’2フラグメントなどの抗体フラグメントも包含する。多くの場合、モノクローナル抗体の使用が好ましい。状況によっては、抗体が所望の生物活性を呈するものである限り、抗体は、抗体の抗原結合部位を含む融合タンパク質、および抗原認識部位(すなわち、抗原結合部位)を含む他の何らかの修飾免疫グロブリン分子を含み得る。抗体は、5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューとそれぞれ称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいた、そのサブクラス(アイソタイプ)(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元立体配置を有する。抗体は、ネイキッドであるか、または限定される訳ではないが、毒素、抗新生物剤、代謝拮抗物質、または放射性同位元素を含む他の分子にコンジュゲートされ得、場合によっては、リンカーを介するかまたはアビジン-ビオチンもしくはストレプトアビジン-ビオチン結合などの非共有結合的相互作用によりコンジュゲーションが行われることもある。
【0160】
用語「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の一部分を指し、また無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例としては、限定される訳ではないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントおよびFvフラグメント、線状抗体、一本鎖抗体、ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体がある。本明細書で使用されている場合、「抗体フラグメント」は、抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。抗体の「可変領域」なる用語は、単独または組み合わせのいずれかでの、抗体軽鎖の可変領域、または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、「超可変領域」としても知られている、3つの相補性決定領域(CDR)により連結された4つのフレームワーク領域(FR)により構成される。各鎖におけるCDRは、フレームワーク領域により極めて接近した形で結び付けられており、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定するのに、下記の少なくとも2つの技術がある:(1)種間配列変動性に基づく技法(すなわち、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Edition,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)、および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的試験に基づく技法(Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.,273:927-948)。さらに、当技術分野では、CDRを決定するのにこれら2つの技法の組み合わせを使用することもある。本明細書で用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」は、単一抗原決定基またはエピトープの高特異的認識および結合に関与する均一抗体集団を指す。これは、典型的には様々な異なる抗原決定基に指向した種々の抗体の混合物を含むポリクローナル抗体とは対照的である。用語「モノクローナル抗体」は、無傷モノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体の両方、ならびに抗体フラグメント(例、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(sFv)抗体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位(抗原結合部位)を含む他の何らかの修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、限定される訳ではないが、ハイブリドーマ生産、ファージ選択、組換え体発現、およびトランスジェニック動物における発現を含む、様々な技術により作り出された上記抗体を包含する。本明細書で用いられる場合、用語「ヒト化抗体」は、特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、または最小限の非ヒト配列を含むそれらのフラグメントである非ヒト(例、ネズミ)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、CDRの残基が、所望の特異性、親和性、および/または結合能を有する非ヒト種(例、マウス、ラット、ウサギまたはハムスター)のCDR由来の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,1986,Nature,321:522-525;Riechmann et al.,1988,Na
ture,332:323-327;Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534-1536)。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域残基が、所望の特異性、親和性、および/または結合能を有する非ヒト種由来の抗体における対応する残基により置き換えられている。ヒト化抗体に対し、さらにFvフレームワーク領域および/または置換された非ヒト残基内にある追加的残基の置換による修飾を加えることにより、抗体特異性、親和性および/または結合能を改良し、最適化することができる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRの全部または実質的に全部を含む少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つの可変ドメインの実質的に全部を含むことになり、フレームワーク領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの同一部分を含み得る。ヒト化抗体の生成に使用される方法の例は、例えば、米国特許第5225539号に記載されている。本明細書で用いられる場合、用語「ヒト抗体」は、ヒトにより産生された抗体またはヒトにより産生された抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体は、当技術分野で既知の技術のいずれかを用いて製造され得る。ヒト抗体のこの定義から、非ヒトCDRを含むヒト化抗体は明確に除外される。本明細書で用いられる場合、用語「キメラ抗体」は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つまたはそれより多くの種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性および/または結合能をもつ哺乳類の1つの種(例、マウス、ラット、ウサギまたは他の抗体産生哺乳動物)に由来する抗体の可変領域に対応するが、定常領域は、別の種(通常ヒト)に由来する抗体における配列に対応する。用語「エピトープ」および「抗原決定基」は、本明細書では互換的に用いられており、特定の抗体により認識され、かつ特異的に結合されることが可能な抗原の該当部分を指す。抗原がポリペプチドであるとき、エピトープは、連続アミノ酸およびタンパク質の三次元折り畳みにより並置された非連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープ(線状エピトープとも称される)は、典型的にはタンパク質変性時に保持されており、三次折り畳みにより形成されたエピトープ(立体構造エピトープとも称される)は、典型的にはタンパク質変性時に失われる。エピトープは、典型的には少なくとも3、さらに通常は少なくとも5または8~10のアミノ酸を特有の空間的立体配座で含む。
【0161】
受容体に特異的に結合する抗体は、抗体が標的としている特異的エピトープ次第で、それらが特異的に結合している受容体を阻害することもあれば、活性化することもあり得る。いくつかの場合では、抗体が受容体の天然に存するアゴニストを模倣するとき、抗体が受容体に結合することによって受容体が活性化される結果、受容体がシグナル伝達を誘起することになる。他の場合では、抗体は、立体障害または他の機構により受容体に対する天然に存するアゴニストの結合を遮断することもある。
【0162】
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸分子などの核酸分子を、その核酸分子によりコードされるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を後続的に発現させるためにインビボ送達させるとき、当技術分野で既知のベクターが使用され得る。用語「ベクター」は、それと結合されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。本明細書で用いられる場合、「ベクター」には、限定される訳ではないが、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクターまたは線状もしくは環状DNAもしくはRNA分子があり、これらは染色体核酸、非染色体核酸、半合成核酸または合成核酸により構成され得る。好ましいベクターは、自律複製が可能なもの(エピソーマルベクター)および/または当該ベクターに結合している核酸の発現が可能なもの(発現ベクター)である。多数の好適なベクターが当業者には知られており、市販されている。好ましいベクターのあるタイプは、エピソーム、すなわち、染色体外複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、自律複製が可能なものおよび/または当該ベクターに結合している核酸の発現が可
能なものである。ベクターに機能し得るように結合された遺伝子の発現を指令することができる該ベクターを、本明細書では「発現ベクター」と称す。本明細書で用いられる場合、ベクターには、限定される訳ではないが、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、バキュロウイルスベクター、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクターまたは線状もしくは環状DNAもしくはRNA分子があり、これらは染色体核酸、非染色体核酸、半合成核酸または合成核酸により構成され得る。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、一般的に環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」の形態をとることが多く、それらのベクター形態では、前記ループは染色体に結合されていない。多数の好適なベクターが当業者には知られている。ベクターは、選択マーカー、例えば、真核生物細胞培養に対するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、グルタミンシンテターゼ、およびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ、Saccharomyces cerevisiae)に対するTRP1;大腸菌(エシェリキア・コリ、Escherichia coli)におけるテトラサイクリン、リファンピシンまたはアンピシリン耐性を含み得る。好ましくは、かかるベクターは発現ベクターであり、興味の対象であるポリペプチドをコードする配列は、前記ポリペプチドの生成または合成を可能にするために適切な転写および翻訳制御エレメントの制御下に置かれている。したがって、ポリヌクレオチドは発現カセットに含まれる。さらに詳しくは、ベクターは、複製起点、エンコーディングポリヌクレオチドに機能し得るように結合されたプロモーター、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位(ゲノムDNAを使用するとき)、ポリアデニル化部位および転写終結部位を含む。ベクターはまた、エンハンサーエレメントまたはサイレンサーエレメントを含むことができる。プロモーターは、ポリペプチドが発現される細胞に応じて選択されることになる。好適なプロモーターには、組織特異的および/または誘導性のプロモーターが含まれる。誘導性プロモーターの例には、高レベルの重金属により誘導される真核生物メタロチオネイン(metallothionine)プロモーター、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)に応じて誘導される原核生物lacZプロモーターおよび温度上昇により誘導される真核生物熱ショックプロモーターがある。組織特異的プロモーターの例には、骨格筋クレアチンキナーゼ、前立腺特異抗原(PSA)、α-抗トリプシンプロテアーゼ、ヒトサーファクタント(SP)AおよびBタンパク質、β-カゼインならびに酸性乳清タンパク質遺伝子がある。ソノポレーションまたはエレクトロポレーションなどの任意の細胞透過技術またはこれらの技術を派生させたものにより、送達ベクターおよびベクターを結び付けるかまたは組合わせることができる。ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例、アデノ関連ウイルス)、コロナウイルス、オルトミクソウイルスなどのマイナス鎖RNAウイルス(例、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例、狂犬病ウイルスおよび水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例、はしかおよびセンダイウイルス)、ピコルナウイルスおよびアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン-バールウイルス、サイトメガロウイルス)およびポックスウイルス(例、ワクシニア、鶏痘およびカナリア痘)を含む二本鎖DNAウイルスがある。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルスおよび肝炎ウイルスがある。レトロウイルスの例には、トリ白血病・肉腫、哺乳類C型ウイルス、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルスおよびスプマウイルスがある。また、ウイルスベクターには、パッケージング容量が比較的大きく、免疫原性が低く、高い効率で広範囲の異なる細胞型に対し安定して形質導入することができることから、遺伝子送達にとって非常に有望なものであるHIVに基づくベクターであるレンチウイルスベクターが含まれ得る。レンチウイルスベクターは、通常、3種(パッケージング、エンベロープおよび導入)
またはそれより多くのプラスミドの一時的トランスフェクション後に生成される。HIV同様、レンチウイルスベクターは、細胞表面におけるウイルス表面糖タンパク質と受容体との相互作用を通じて標的細胞に侵入する。侵入すると、ウイルスRNAに対し逆転写が行われるが、これはウイルス逆転写酵素複合体により伝達される。逆転写産物は、二本鎖線状ウイルスDNAであり、これは感染した細胞のDNAにおけるウイルス組込みに対する基質である。かかるレンチウイルスベクターは、組込み型または非組込み型のいずれかであり得る。別の実施形態はシャトルベクターである。シャトルベクターは、E.coliなどの原核生物およびヒト細胞などの哺乳類細胞など、異なる2種において複製することができるベクターであり、E.coliおよびヒト細胞を含む哺乳類細胞の両方において複製することができるシャトルベクターには、アデノウイルスベクターがある。
【0163】
典型的には、本発明による組成物がエフロルニチンを含むとき、組成物中のエフロルニチンの量は、エフロルニチンの投与により処置され得る疾患または病態を患う対象に組成物の単位用量を投与したとき、エフロルニチンの投薬量が約1g/m2~約5g/m2となるような量である。好ましくは、エフロルニチンの投薬量は約2.8g/m2である。他の実施形態において、エフロルニチンの投薬量は約3.6g/m2である。
【0164】
典型的には、本発明による組成物がエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグを含むとき、組成物中のエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの量は、エフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投与により処置され得る疾患または病態を患う対象に組成物の単位用量を投与したとき、エフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投薬量が約1g/m2~約5g/m2となるような量である。
【0165】
一実施形態において、本発明による組成物中のエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投薬量は、退形成性星細胞腫または同様の悪性腫瘍を処置するのに十分なものである。本発明による組成物中のエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投薬量については、疾患の段階、疾患の重症度、疾患に冒された組織もしくは臓器、転移の存在の有無、対象の体重、対象の年齢、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグを投与した場合に処置を妨げるかまたは副作用を誘発し得る何らかの状態を含む、対象における他の病態の存在の有無、投与経路、ならびに肝機能および腎機能などの薬物動態検討事項から成る群から選択される1つまたはそれより多くの因子を考慮しながら、必要に応じて投薬量を個人別に調節することができる。
【0166】
典型的には、エフロルニチンの誘導体、類似体またはプロドラッグの投与により処置され得る疾患または病態を患う対象へ本発明による組成物を投与すると、血液脳関門を突破するのに十分な血漿中濃度勾配を作り出すことにより血液脳関門を突破することになる。
【0167】
本発明による医薬組成物は、いくつかの物理的形態で調製され得る。本組成物の物理的形態は、当業者によって投与に関して選択され得、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの量、他の治療有効成分の有無および存在する場合の量、使用される1または複数の賦形剤、ならびに投与経路により異なる。好適な物理的形態には、限定される訳ではないが、溶液、懸濁液、ゲル、速溶性粉末、速溶性錠剤、カプセル剤、錠剤、マルチプル型カプセル剤、マルチプル型錠剤、チュアブル錠、棒状物および他の形態がある。
【0168】
本発明による医薬組成物がカプセル剤または錠剤の物理的形態であるとき、本組成物は、賦形剤として、限定される訳ではないが、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサンならびにスチレン・ブタジ
エンコポリマーなどの結合性材料を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、フタル酸ジエチルおよびグリセロールなどの可塑剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、二塩基リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微晶性セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール、およびデンプンなどの錠剤またはカプセル剤の希釈剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、二酸化チタンなどの錠剤またはカプセル剤のオペーク剤を含み得る。
【0169】
本発明による医薬組成物が錠剤の物理的形態を呈するとき、本組成物は、賦形剤として、限定される訳ではないが、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクなどの錠剤付着防止剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、非架橋型ポリビニルピロリドン、およびアルファ化デンプンなどの錠剤結合剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースおよびシェラックなどの錠剤コーティング剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、二塩基リン酸カルシウムなどの直接打錠賦形剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微晶性セルロース、ポラクリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンなどの錠剤崩壊剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、コロイド状シリカ、トウモロコシデンプンおよびタルクなどの錠剤流動化剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛などの錠剤滑沢剤を含み得る。本組成物はまた、賦形剤として、限定される訳ではないが、カルナウバろうおよび白ろうなどの錠剤研磨剤を含み得る。
【0170】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、速溶性錠剤の物理的形態であり得る。速溶性錠剤は、Laytonらによる米国特許第9273040号、Nilssonらによる米国特許第9220747号、Greenらによる米国特許第9192580号、Normanらによる米国特許第8545989号、Mezaacheらによる米国特許第7815937号、Khankariらによる米国特許第6221392号、Khankariらによる米国特許第6024981号、Acosta-Cuelloらによる米国特許第5807578号、Oualiによる米国特許第5807577号、Allen.Jr.らによる米国特許第5807576号、Allen.Jr.らによる米国特許第5776491号、Bettmanらによる米国特許第5709886号、Bettmanらによる米国特許第5639475号、Allen.Jr.らによる米国特許第5635210号、Alkireらによる米国特許第5607697号、Allen.Jr.らによる米国特許第5595761号、Allen.Jr.らによる米国特許第5587180号、Wehlingらによる米国特許第5503846号、Masakiらによる米国特許第5466464号、Wehlingらによる米国特許第5401513号、Wehlingらによる米国特許第5223264号、Wehlingらによる米国特許第5219574号、およびWehlingらによる米国特許第5178878号に開示されている。かかる製剤は、例えば、有効成分、乳糖および/またはマンニトールを含む糖、および固体成分に基づいた0.12%(w/w)~1.2%(w/w)の寒天を含み、400mg/mL~1000mg/mLの密度を有し、取扱いに耐え得る十分な強度(これは、実際に、崩壊することなくブリスター包装から取り出すのに耐え得る十分な強度を意味し得る)を有する口腔内崩壊性固体製剤または調製物を含み得る。一実施形態において、前記投薬形態は、有効成分および非直接圧縮フィルターと滑沢剤とを含むマトリックスを
含む直接経口服用に適合化された硬い圧縮された速溶性投薬形態であって、この投薬形態は、患者の口内で急速に溶けることにより、有効成分を解き放つように適合化されており、またU.S.P.にしたがって試験した場合約2%またはそれ未満の摩損度を有し、少なくとも約15ニュートン(N)、好ましくは15~50Nの硬度を有する場合もある投薬形態である。典型的には、かかる投薬形態は、患者の口内で約90秒以内(好ましくは60秒以内、最も好ましくは45秒以内)に溶解する。かかる製剤はまた、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグなどの有効成分でできた粒子、および前記粒子が組み込まれる保護材料を含み得る。典型的には、これらの粒子は、錠剤の重量の約0.01~約75重量%の量で提供される。錠剤はまた、非直接圧縮充填剤、ウィッキング剤、および疎水性滑沢剤から作られたマトリックスを含む。錠剤マトリックスは、マトリックス材料の全重量の少なくとも約60%の割合で速水溶性成分を含む。錠剤は、約15~約50ニュートンの硬度、U.S.P.による測定時における2%未満の摩損度を有し、約60秒未満で患者の口内で自然に溶けることにより粒子を解き放つように、またまとめて貯蔵できるように適合化されている。非直接圧縮糖として知られている微細粒状化または粉末化糖は、本発明の本実施形態のマトリックスにおける充填剤として使用され得る。前記材料は、一つにはその化学組成故に、そして一つにはその細かい粒子サイズ故に、一旦唾液で湿ると瞬時に口内で容易に溶けることになる。このことは、前記材料が、投薬形態の溶解する速度に寄与し得ることを意味するだけでなく、患者が彼または彼女の口内に溶解性投薬形態を含んでいる間、充填剤が、「砂のような」または「ざらついた」感触の一因となって投薬形態服用の際の感覚器官を刺激する感じに悪影響を及ぼすことにはならないことを意味する。対照的に、同糖の直接圧縮バージョンは、通常、圧密にするためより大きくかつ改良されたものとなるように造粒および処理されている。前記の糖は水溶性であるが、それらは十分迅速には可溶化されない可能性がある。その結果、前記の糖は、投薬形態が溶ける際のその砂のような、またはざらついた感触の一因となり得る。口内での溶解時間は、約37℃の水中での錠剤の溶解時間を観察することにより測定することができる。錠剤を、強く攪拌することなく、または攪拌を最小限にして水に浸漬する。溶解時間は、目視により測定される錠剤の速水溶性成分の浸漬から実質的完全溶解までの時間である。本発明によると、特に好ましい充填剤は、上記で検討した明細内容にかなう非直接圧縮糖類および糖アルコールである。かかる糖および糖アルコールには、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、乳糖およびショ糖があるが、限定はされない。勿論、例えばデキストロースは、直接圧縮糖、すなわちその圧縮性を高めるように修飾された糖、または非直接圧縮糖のいずれかとして存在し得る。一般的に、製剤の残りはマトリックスであり得る。したがって、充填剤のパーセンテージは、100%に近づき得る。しかしながら、一般的に、本発明による有用な非直接圧縮充填剤の量は、約25~約95%、好ましくは約50~約95%、さらに好ましくは約60~約95%の範囲である。滑沢剤の使用量は、一般的に、約1~約2.5重量%、さらに好ましくは約1.5~約2重量%の範囲であり得る。本発明による有用な疎水性滑沢剤には、ステアリン酸アルカリ塩、ステアリン酸、鉱油および植物油、ベヘン酸グリセリル、およびステアリルフマル酸ナトリウムがある。親水性滑沢剤も使用され得る。本発明の本実施形態による有用な保護材料は、微粒子、マトリックス型微粒子およびマイクロカプセルの形成において慣用的に使用されるポリマーのいずれかを含み得る。これらの例としては、天然に存するセルロースおよび合成セルロース誘導体などのセルロース材料;アクリル系ポリマーおよびビニルポリマーがある。他の単純なポリマーには、ゼラチン、ポリペプチドならびに天然および合成シェラックおよびろうなどのタンパク質性材料がある。保護ポリマーはまた、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびドイツ国、ヴァイターシュタットのRhone Pharma GmbHにより商標名EUDRAGIT(登録商標)で市販されているアクリル系樹脂材料を含み得る。先に検討した成分に加えて、マトリックスはまた、ウィッキング剤、非発泡性崩壊剤および発泡性崩壊剤を含み得る。ウィッキング剤は、投薬形態中に水を引き込むことができる組成物である。ウィッキング剤は、投薬形態の内部への水分の輸送を促す。そのようにして、投薬形態は、内側からと
外側からとの両方で溶解することができる。上記で検討したところによると、水分を輸送するべく機能し得る化学物質であれば、いかなるものでもウィッキング剤とみなすことができる。ウィッキング剤には、いくつかの伝統的な非発泡性崩壊剤が含まれる。これらの例としては、微晶性セルロース(AVICEL PH200、AVICEL PH101)、Ac-Di-Sol(クロスカルメロースナトリウム)およびPVP-XL(架橋型ポリビニルピロリドン);デンプンおよび修飾デンプン、ポリマー、ならびにアラビアガムおよびキサンタンガムなどのガムがある。ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyopropylmethylcellulose)などのヒドロキシアルキルセルロース、ならびにカーボポールなどの化合物も同様に使用され得る。慣用的錠剤で使用される非発泡性崩壊剤の慣用的範囲は、20%程度の高いものであり得る。しかしながら、一般的に、崩壊剤の使用量は、約2~約5%の範囲である。典型的には、ウィッキング剤の使用量は、2~約12%、好ましくは2~約5%の範囲であり得る。非発泡性崩壊剤または発泡性カップル剤などの他の成分も含有され得、好ましい発泡性カップル剤は、発泡性崩壊性カップル剤を口内で水分および/または唾液に曝露したときに行われる化学反応により気体を放出し、典型的には、固体酸供給源とアルカリ炭酸一水素または他の炭酸供給源の反応により気体を放出する。酸供給源としては、限定される訳ではないが、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸およびコハク酸を挙げることができる。炭酸供給源には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムまたは炭酸カリウムなどの乾燥固体炭酸塩および炭酸または重炭酸塩がある。別の実施形態において、速溶性錠剤は、以下の実施形態(割合は、非治療活性成分に関するものである)のうちの1つを含み得る:(i)65~92重量%のポリオールまたはポリオールの混合物;2~8重量%の架橋型ポリビニルピロリドン;2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム;3~12重量%のデンプン;0.05~0.5重量%のシリカゲル;および0.05~0.5重量%のコロイド状シリカ;(ii)75~90重量%のポリオールまたはポリオールの混合物;3~7重量%の架橋型ポリビニルピロリドン;1~4重量%のクロスカルメロースナトリウム;4~10重量%のデンプン;0.05~0.3重量%のシリカゲル;および0.05~0.3重量%のコロイド状シリカ;(iii)80~88重量%のポリオールまたはポリオールの混合物;3.5~6重量%の架橋型ポリビニルピロリドン;2.5~3.5重量%のクロスカルメロースナトリウム;5~9重量%のデンプン;0.05~0.25重量%のシリカゲル;および0.05~0.25重量%のコロイド状シリカ;ならびに(iv)84~85重量%のポリオールまたはポリオールの混合物;4~5重量%の架橋型ポリビニルピロリドン;2.9~3.2重量%のクロスカルメロースナトリウム;7~8重量%のデンプン;0.15~0.20重量%のシリカゲル;および0.15~0.20重量%のコロイド状シリカ。これらの実施形態に好適なポリオールには、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトールおよびそれらの混合物がある。好適な崩壊剤には、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびそれらの混合物がある。流動化剤などの他の賦形剤も含まれ得、同様に着色剤、滑沢剤、クエン酸、アスコルビン酸および甘味料も含まれ得る。
【0171】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、超崩壊剤を含むこともできる。超崩壊剤としては、限定される訳ではないが、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。超崩壊剤は、Eqを有する崩壊剤である。50%を超える25℃および90%相対湿度での水分含有率。
【0172】
本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、米国特許第7815937号に記載のものなど、高分子量ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールグリセリルエステルを含有し得る。高分子量ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリ
コールグリセリルエステルは、ミクロスフェア中に組み込まれ得る。ミクロスフェアまたは複数の場合もある治療活性物質については、メタクリレート/セルロースポリマー、アクリレート/セルロースポリマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、Eudragit NE300、Eudragit RS、またはEudragit L30Dなど、少なくとも1つのコーティング剤でコーティングまたは封入することができる。
【0173】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、医薬的に許容し得るデンプン、デンプン分解性酵素および錠剤滑沢剤を含有することができる。
【0174】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、第一のポリペプチド成分および第二のポリペプチド成分を含むことができ、第一のポリペプチド成分および第二のポリペプチド成分は、溶解状態で同じ実効電荷(すなわち、負の電荷または正の電荷のいずれか)を有するものとする。第一のポリペプチド成分は非加水分解ゼラチンを含み得、第二のポリペプチドは加水分解ゼラチンを含み得る。本組成物は、さらに増量剤を含むことができる。
【0175】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、重炭酸ナトリウムとクエン酸のマイクロカプセル化混合物を含む。マイクロカプセル化は、エチルセルロースによるものであり得る。
【0176】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、乳糖およびマンニトールから成る群から選択される糖および寒天を含む。
【0177】
速溶性錠剤に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、粒状炭酸マグネシウムおよびそこに吸収された油を含む。油は、白色鉱油、大豆油または別の植物油であり得、油はまた着香料を含んでいてもよい。
【0178】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、速溶性粉末の物理的形態であり得る。速溶性粉末は、Matierらによる米国特許第6197817号に開示されている。
【0179】
速溶性粉末に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、乳糖一水和物、クロスポビドン、重炭酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを含み、甘味料および香味料も添加され得る。
【0180】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、経口投与用懸濁液の物理的形態であり得る。経口投与用懸濁液は、Robertsらによる米国特許第9309285号、Dalzielらによる米国特許第9290491号、Fordらによる米国特許第9284279号、Mammenらによる米国特許第9283183号、およびMercurioらによる米国特許第9273005号に開示されている。
【0181】
経口投与用懸濁液に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントなどの懸濁剤を含む。
【0182】
経口投与用懸濁液に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、天然もしくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または別の懸濁剤を含む。
【0183】
経口投与用懸濁液に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、フマル酸、塩化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、グラニュー糖、ソルビトール、ビーガム、着香料および着色料を含む。
【0184】
経口投与用懸濁液に関する本発明によるいくつかの実施形態において、投薬形態は、グリセロール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、キサンタンガム、着香料、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、およびソルビン酸カリウムを含む。
【0185】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、経口投与用ゲルの物理的形態であり得る。一般的に、ゲル形態をとる医薬組成物は液体であり、1つまたはそれより多くのゲル形成剤を含む。
【0186】
経口投与用ゲルに関する本発明によるいくつかの実施形態において、ゲル形成剤は、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カーボポール、アラビアガム、トラガカントガム、アルギナート、カラギーナン(carrageenate)、寒天、ゼラチン、カルボマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。他のゲル形成剤も当技術分野では既知であり、V.G.Kadajji&G.V.Betageri,“Water Soluble Polymers for Pharmaceutical Applications,”Polymers 3:1972-2009(2011に記載されており、ポリアクリルアミド、ポリ-N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、ポリオキサゾリン、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、キサンタンガム、ペクチン、キトサン誘導体、デキストラン、グアーガム、ヒアルロン酸、アルブミン、デンプンおよびデンプン誘導体、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0187】
経口投与用ゲルの物理的形態と適合し得る上記の他の賦形剤もゲルに含まれ得る。
【0188】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、チュアブル固体の形態であり得る。チュアブル固体は、Bradnerらによる米国特許第9320741号に記載されているチュアブル錠、Smithによる米国特許第9304134号に記載されているチュアブルトローチ剤、Johnsonらによる米国特許第9278091号に記載されているチューインガム、またはSancilioらによる米国特許第9302017号に記載されているチュアブルバーであり得る。他のチュアブル投薬形態も当技術分野では知られている。
【0189】
一実施形態において、医薬組成物は、経口投与用溶液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約13.5%~約22.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.1125%~約0.1875%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.1125%~約0.1875%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約2.25%~約3.75%のグリセロール;
(5)約3.75%~約6.25%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる精製水。
【0190】
典型的には、医薬組成物は、以下のものを含む:
(1)約16.2%~約19.8%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.135%~約0.165%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.135%~約0.165%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約2.7%~約3.3%のグリセロール;
(5)約4.5%~約5.5%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる精製水。
【0191】
好ましくは、医薬組成物は、以下のものを含む:
(1)約18.0%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.15%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.15%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約3.0%のグリセロール;
(5)約5.0%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる精製水。
【0192】
一実施形態において、医薬組成物は、速溶性粉末の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.75%~約1.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約22.5%~約37.5%のマンニトール;
(4)約7.5%~約12.5%のクロスカルメロースナトリウム;および
(5)約6.75%~約11.25%のデンプングリコール酸ナトリウム。
【0193】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.9%~約1.1%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約27%~約33%のマンニトール;
(4)約9.0%~約11.0%のクロスカルメロースナトリウム;および
(5)約8.1%~約9.9%のデンプングリコール酸ナトリウム。
【0194】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(a)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(b)約1.0%のサッカリンナトリウム二水和物;
(c)約30%のマンニトール;
(d)約10%のクロスカルメロースナトリウム;および
(e)約9%のデンプングリコール酸ナトリウム。
【0195】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、速溶性粉末の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.75%~約1.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約26.25%~約43.75%のマンニトール;
(4)約5.25%~約8.75%のデンプングリコール酸ナトリウム;および
(5)約5.25%~約8.75%の樟脳。
【0196】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.9%~約1.1%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約31.5%~約38.5%のマンニトール;
(4)約6.3%~約7.7%のデンプングリコール酸ナトリウム;および
(5)約6.3%~約7.7%の樟脳。
【0197】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約1.0%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約35%のマンニトール;
(4)約7.0%のデンプングリコール酸ナトリウム;および
(5)約7.0%の樟脳。
【0198】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、速溶性粉末の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.75%~約1.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約26.25%~約43.75%のマンニトール;
(4)約5.25%~約8.75%のクロスカルメロースナトリウム;および
(5)約5.25%~約8.75%の樟脳。
【0199】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.9%~約1.1%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約31.5%~約38.5%のマンニトール;
(4)約6.3%~約7.7%のクロスカルメロースナトリウム;および
(5)約6.3%~約7.7%の樟脳。
【0200】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約1.0%のサッカリンナトリウム二水和物;
(3)約35%のマンニトール;
(4)約7.0%のクロスカルメロースナトリウム;および
(5)約7.0%の樟脳。
【0201】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約7.5%~約12.5%のグリセロール;
(3)約0.15%~約0.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約0.15%~約0.25%の安息香酸ナトリウム;および
(5)100%となるように加えられる水。
【0202】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約9.0%~約11.0%のグリセロール;
(3)約0.18%~約0.22%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約0.18%~約0.22%の安息香酸ナトリウム;および
(5)100%となるように加えられる水。
【0203】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約10%のグリセロール;
(3)約0.2%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約0.2%の安息香酸ナトリウム;および
(5)約40%の水。
【0204】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約7.5%~約12.5%のグリセロール;
(3)約0.15%~約0.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約11.25%~約18.75%のソルビトール;
(5)約0.15%~約0.25%の安息香酸ナトリウム;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0205】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約9.0%~約11.0%のグリセロール;
(3)約0.18%~約0.22%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約13.5%~約16.5%のソルビトール;
(5)約0.18%~約0.22%の安息香酸ナトリウム;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0206】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(a)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(b)約10%のグリセロール;
(c)約0.2%のサッカリンナトリウム二水和物;
(d)約0.2%の安息香酸ナトリウム;および
(e)約40%の水。
【0207】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約37.5%~約62.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約7.5%~約12.5%のグリセロール;
(3)約0.15%~約0.25%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約11.25%~約18.75%のソルビトール;
(5)約0.15%~約0.25%の安息香酸ナトリウム;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0208】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約45%~約55%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約9.0%~約11.0%のグリセロール;
(3)約0.18%~約0.22%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約13.5%~約16.5%のソルビトール;
(5)約0.18%~約0.22%の安息香酸ナトリウム;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0209】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約50%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約10%のグリセロール;
(3)約0.2%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約15%のソルビトール;
(5)約0.2%の安息香酸ナトリウム;および
(6)約25%の水。
【0210】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約15%~約25%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.1125%~約0.1875%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.1125%~約0.1875%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約4.5%~約7.5%のグリセロール;
(5)約7.5%~約12.5%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0211】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(1)約18%~約22%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.135%~約0.165%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.135%~約0.165%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約5.4%~約6.6%のグリセロール;
(5)約9.0%~約11.0%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0212】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約20%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.15%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.15%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約6.0%のグリセロール;
(5)約10.0%のプロピレングリコール;および
(6)約63.7%の水。
【0213】
さらに別の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液の物理的形態を呈しており、同組成物は以下のものを含む:
(1)約13.5%~約22.5%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.1125%~約0.1875%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.1125%~約0.1875%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約2.25%~約3.75%のグリセロール;
(5)約3.75%~約6.25%のプロピレングリコール;および
(6)100%となるように加えられる水。
【0214】
典型的には、組成物は、以下のものを含む:
(a)約16.2%~約19.8%のエフロルニチンHCl H2O;
(b)約0.135%~約0.165%の安息香酸ナトリウム;
(c)約0.135%~約0.165%のサッカリンナトリウム二水和物;
(d)約2.7%~約3.3%のグリセロール;
(e)約4.5%~約5.5%のプロピレングリコール;および
(f)100%となるように加えられる水。
【0215】
好ましくは、組成物は、以下のものを含む:
(1)約18%のエフロルニチンHCl H2O;
(2)約0.15%の安息香酸ナトリウム;
(3)約0.15%のサッカリンナトリウム二水和物;
(4)約3.0%のグリセロール;
(5)約5.0%のプロピレングリコール;および
(6)約73.70%の水。
【0216】
成分を上記で示した本発明による組成物では、当業者に許容され得る置換が行われ得、そのような許容され得る置換が行われた組成物も本発明の範囲に含まれる。例えば、一般に、オルニチンデカルボキシラーゼに対する阻害活性を有するエフロルニチンの誘導体、類似体またはプロドラッグは、一般的にこれらの組成物においてエフロルニチンに取って代わることができる。同様に、好適なサイズ範囲の他の糖アルコールの粒子は、本発明による組成物においてマンニトールに取って代わることができる。他の置換は、置換される成分および提案された代替成分の物理特性および化学特性に基づいて決定され得る。
【0217】
本発明の別の態様は、本発明による医薬組成物の2つまたはそれより多くの投薬形態を含むキットである。典型的には、医薬組成物の投薬形態は、上記の固体形態である。キットは、医薬組成物の使用説明書を含み得る。医薬組成物の投薬形態は、同一でも異なっていてもよい。一実施形態において、医薬組成物の投薬形態は同じであり、同じ投薬量のエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグを含む。別の実施形態において、医薬組成物の投薬形態は異なり、異なる投薬量のエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグを含む。様々な取り合わせが可能であり、例えば、限定するわけではないが、キットは、医薬組成物の合計10の投薬形態、すなわちそれぞれ2つの、エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの5つの異なる投薬形態を含み得る。さらに別の実施形態において、キットは、異なる治療剤を含む医薬組成物の投薬形態を含み得る。例えば、キットは、(i)エフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグの投薬形態、および(ii)神経膠腫などの悪性腫瘍を処置するための治療剤または悪性腫瘍を処置するための上記薬剤または慣用的薬剤などの治療剤、または上記のエフロルニチンまたは誘導体、類似体もしくはプロドラッグの有効性を改善するための薬剤など、別の治療剤の投薬形態を含み得る。
【0218】
一実施形態において、キットは2つまたはそれより多くの投薬形態を含み、各投薬形態は以下のものを含むものとする:
(1)治療有効量のエフロルニチンまたはエフロルニチンの誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、ならびに
(2)下記(a)~(g)から成る群から選択される追加成分;
(a)エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグと適合し得る少なくとも1つの追加的治療剤;
(b)ポリアミン輸送またはポリアミン合成の阻害剤;
(c)S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;
(d)下記(i)~(xvi)から成る群から選択される薬剤:
(i)レチノイド;
(ii)シルバクチン化合物;
(iii)シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤;
(iv)非ステロイド系抗炎症剤;
(v)カスタノスペルミンまたはカスタノスペルミンエステル;
(vi)アジリジニルプトレシン化合物;
(vii)インターフェロン;
(viii)アリール置換キシロピラノシド誘導体;
(ix)血中グルタミン酸レベルを低下させ、脳から血中へのグルタミン酸排出を高める薬剤;
(x)キトサンまたはキトサン誘導体および類似体;
(xi)2,4-ジスルホニルフェニルtertーブチルニトロン;
(xii)3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン;
(xiii)サリドマイド;
(xiv)N-2-ピリジニル-2-ピリジンカルボチオアミド;
(xv)カンベンダゾール;および
(xvi)ヒストンデメチラーゼの阻害剤;
(e)エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を増強する薬剤;
(f)免疫調節剤;および
(g)EGFR阻害剤。
【0219】
別の実施形態において、キットは、以下のものを含むものとする:
(1)エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグを含む少なくとも1つの投薬形態;ならびに
(2)(A)~(G)を含む少なくとも1つの投薬形態:
(A)エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグと適合し得る少なくとも1つの追加的治療剤;
(B)ポリアミン輸送またはポリアミン合成の阻害剤;
(C)S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤;
(D)下記(i)~(xvi)から成る群から選択される薬剤:
(i)レチノイド;
(ii)シルバクチン化合物;
(iii)シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤;
(iv)非ステロイド系抗炎症剤;
(v)カスタノスペルミンまたはカスタノスペルミンエステル;
(vi)アジリジニルプトレシン化合物;
(vii)インターフェロン;
(viii)アリール置換キシロピラノシド誘導体;
(ix)血中グルタミン酸レベルを低下させ、脳から血中へのグルタミン酸排出を高める薬剤;
(x)キトサンまたはキトサン誘導体および類似体;
(xi)2,4-ジスルホニルフェニルtertーブチルニトロン;
(xii)3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン;
(xiii)サリドマイド;
(xiv)N-2-ピリジニル-2-ピリジンカルボチオアミド;
(xv)カンベンダゾール;および
(xvi)ヒストンデメチラーゼの阻害剤;
(E)エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグが血液脳関門を通過する能力を増強する薬剤;
(F)免疫調節剤;および
(G)EGFR阻害剤。
【0220】
本発明によるキットにおいては、投薬形態の他の取り合わせも可能である。
【0221】
異なる固体投薬形態がキット中に含まれるとき、色、形状または他のマーキングにより固体投薬形態を区別することができる。キットの投薬形態は、処方通りに適切な時点で投薬形態を自己投与できる対象が使用できるブリスターパックなど多剤形用の慣用的ホルダーに内蔵され得る。
【0222】
本発明によるキットは、さらに、別々に包装された、投薬量の投与またはキット中に含まれる投薬形態の使用に関する指示書を含むことができる。
【0223】
本発明による投薬形態は、当技術分野では公知である分配装置または投薬装置と一緒に使用され得る。投薬形態が粉末などの固体形態であるとき、計量装置である分配装置が当技術分野では知られており、Sangiによる米国特許第9278975号、Siegelらによる米国特許第8980878号、Batarsehによる米国特許第8673366号、Saxtonによる米国特許第4601897号、およびMulveyらによる米国特許第4195023号に記載されている。計量装置は、所望の量の固体投薬形態を分配するように適合化され得る。他の計量装置も当技術分野では知られている。典型的には、投薬形態を必要とする対象にいつでもそれを投与できるように、分配装置に投薬形態を予め充填しておく。キットは、投薬形態を予め充填しておいた分配装置ならびに分配装置の使用および投薬形態の投与に関する指示書を含む形で構築され得る。
【0224】
投薬形態が、溶液、ゲルまたは懸濁液などの液体または実質的に液体の投薬形態であるとき、分配装置は、投薬カップ、ポンプまたは当技術分野で知られている別の装置であり得る。投薬カップは、Weiらによる米国特許9284543号およびPuttachariらによる米国特許第8518439号に記載されている。ポンプは、Bettencourtらによる米国特許第9322018号、Sauveらによる米国特許第9321797号、およびLavoieらによる米国特許第9321781号に記載されている。投薬カップまたはポンプは、所望の量の固体投薬形態を分配するように適合化され得る。液体または実質的に液体の投薬形態用の他の分配装置も当技術分野では知られている。特に分配装置がポンプであるとき、投薬形態を必要とする対象にいつでもそれを投与できるように、分配装置に投薬形態を予め充填しておくことが可能である。キットは、分配装置ならびに分配装置の使用および投薬形態の投与に関する指示書を含む形で構築され得る。特に分配装置がポンプであるとき、キット中の分配装置に投薬形態を予め充填しておくことができる。
【0225】
本発明による医薬組成物中に組み込まれ得る、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグ、ならびに追加的治療活性物質またはエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグの有効性または送達を改善する薬剤を含む、上記化合物については、場合によってさらに置換することができる。一般的に、上記化合物の構造の一部であるものなど、飽和炭素原子での場合によっては存在してもよい置換基については、以下の置換基:C6-C10アリール、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含むヘテロアリール、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、シクロアルキル、F、アミノ(NR1R2)、ニトロ、-SR、-S(O)R、-S(O2)R、-S(O2)NR1R2、および-CONR1R2を用いることができ、これらは場合によってはさらに置換されることもある。可能性のある、場合によっては存在してもよい置換基のさらなる説明を以下に提供する。
【0226】
本発明の範囲内に含まれる上記の場合によっては存在してもよい置換基は、誘導体の活性または誘導体の安定性、特に水溶液中での誘導体の安定性に実質的な影響を及ぼすことはない。これは、エフロルニチンの誘導体、類似体またはプロドラッグおよび組成物中に組み込まれ得る追加的治療活性剤の誘導体、類似体またはプロドラッグの両方に当てはまる。場合によっては存在してもよい置換基として使用することができる若干の頻出基についての定義を以下に提供するが、これらの定義から省かれた基があるとしても、場合によっては存在してもよい置換基についての化学的および薬理学的必要条件が満たされている限り、そのような基を、場合によっては存在してもよい置換基として使うことはできないという意味にとるべきではない。本発明による医薬組成物の成分に、場合によっては存在してもよい置換基を導入しても、医薬組成物に含まれるエフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグの活性、または医薬組成物に含まれる任意の追加的治療活性剤の活性を害することはない。
【0227】
本明細書で用いられる場合、用語「アルキル」は、場合によって置換されていてもよい1~12の炭素原子を有する、非分枝状、分枝状または環状飽和ヒドロカルビル残基またはその組み合わせをいい、アルキル残基は、非置換のときにはCおよびHのみを含む。典型的には、非分枝状または分枝状飽和ヒドロカルビル残基は、1~6の炭素原子を有し、これを本明細書では「低級アルキル」と称す。 アルキル残基が環状であり、環を含むとき、ヒドロカルビル残基が、環を形成するための最小数である、少なくとも3つの炭素原子を含むことは言うまでもない。本明細書で用いられる場合、用語「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非分枝状、分枝状または環状ヒドロカルビル残基をいう。本明細書で用いられる場合、用語「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非分枝状、分枝状または環状ヒドロカルビル残基をいい;この残基はまた、1つ以上の二重結合を含んでいてもよい。「アルケニル」または「アルキニル」の使用に関し、多くの二重結合が存在するからと言って、芳香族環を生じることはあり得ない。本明細書で用いられる場合、用語「ヒドロキシアルキル」、「ヒドロキシアルケニル」および「ヒドロキシアルキニル」は、それぞれ、置換基として1つまたはそれより多いヒドロキシル基を含むアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をいい;下記で詳述するように、さらなる置換基が場合によっては含まれていてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「アリール」は、芳香族性という周知の特徴を有する単環式または縮合二環式部分をいい;例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニルおよびインデニルがあり、これらは場合によっては、置換されていてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「ヒドロキシアリール」は、置換基として1つ以上のヒドロキシル基を含むアリール基をいい;下記でさらに詳述するように、さらなる置換基が場合によっては、含まれていてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「ヘテロアリール」は、芳香族性という特徴を有し、O、SおよびNから選択される1つまたはそれより多いヘテロ原子を含む単環式または縮合二環式環系をいう。ヘテロ原子を含むことにより、6員環の場合と同様5員環でも芳香族性が可能となる。典型的なヘテロ芳香族系には、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、テトラジニルおよびイミダゾリルなどの単環式C5-C6ヘテロ芳香族基、ならびにこれらの単環式ヘテロ芳香族基の1つをフェニル環またはC8-C10二環式基を形成させるためのヘテロ芳香族単環式基のいずれかと縮合することにより形成される縮合二環式部分、例えばインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ピラゾリルピリジル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルおよび当業者に既知の他の環系がある。環系全体にわたる非局在化電子分布に関して芳香族性という特徴を有する単環式または縮合環二環式系は全て、この定義に包含される。この定義はまた、少なくとも分子の残りの部分に直接結合されている環が、芳香族性特有のものである非局在化電子分布を含め、芳香族性という特徴を有している二環式基を包含する。典型的には、前記環系は、5~12の環員原子および4以下のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は、N、OおよびSから成る群から選択されるものとする。高い頻度で、単環式ヘテロアリールは、5~6の環員ならびにN、OおよびSから成る群から選択される3以下のヘテロ原子を含み、高い頻度で、二環式ヘテロアリールは、8~10の環員ならびにN、OおよびSから成る群から選択される4以下のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール環構造におけるヘテロ原子の数および配置は、芳香族性および安定性の周知の制限に準じており、安定性は、急速に分解することなく生理学的温度での水への曝露に対しヘテロ芳香族基が十分に安定していることを要求するものである。本明細書で用いられる場合、用語「ヒドロキシヘテロアリール(hydroxheteroaryl)」は、置換基として1つ以上のヒドロキシル基を含むヘテロアリール基をいい;下記でさらに詳述するように、さらなる置換基が場合によっては、含まれていてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「ハロアリール」および「ハロヘテロアリール」は、それぞれ、少なくとも1つのハロ基により置換されたアリール基およびヘテロアリール基をいい、この「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群から選択されるハロゲンをいい、典型的には、ハロゲンは、塩素、臭素お
よびヨウ素から成る群から選択され;下記で詳述するように、さらなる置換基が場合によっては、含まれていてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルキニル」は、それぞれ、少なくとも1つのハロ基により置換されたアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基をいい、この「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群から選択されるハロゲンをいい、典型的には、ハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素から成る群から選択され;下記で詳述するように、さらなる置換基が場合によっては、含まれていてもよい。
【0228】
本明細書で用いられる場合、用語「場合によっては置換されていてもよい」は、場合によっては置換されていてもよいとされた特定の1つの基または複数の基が、非水素置換基を有していなくてもよいか、またはその基または複数の基が、得られる分子の化学作用および薬理活性と合致する1つ以上の非水素置換基を有していてもよいことを示す。特に断らなければ、存在し得る上記置換基の総数は、記載されている基の非置換形態に存在する水素原子の総数と等しいものとし;最大数より少数の上記置換基が存在し得る。カルボニル酸素(C=O)など、場合によっては存在してもよい置換基が二重結合を介して結合している場合、その基は、場合によっては存在してもよい置換基が結合している炭素原子上の2つの利用可能な価電子を取り込むため、含まれ得る置換基の総数は利用可能な価電子の数に応じて低減される。本明細書で用いられる場合、用語「置換された」は、「場合によっては置換されていてもよい」の一部として使用されておろうと、またはそれ以外の場合であろうと、ある特定の基、部分またはラジカルを修飾するのに使用されているとき、1つ以上の水素原子が、それぞれ互いに独立して、同一または異なる1置換基または複数の置換基により置き換えられていることを意味する。
【0229】
特定された基、部分またはラジカルにおける飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基としては、限定される訳ではないが、-Za、=O、-OZb、-SZb、=S-、-NZcZc、=NZb、=N-OZb、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)2Zb、-S(O)2NZb、-S(O2)O-、-S(O2)OZb、-OS(O2)OZb、-OS(O2)O-、-OS(O2)OZb、-P(O)(O-)2、-P(O)(OZb)(O-)、-P(O)(OZb)(OZb)、-C(O)Zb、-C(S)Zb、-C(NZb)Zb、-C(O)O-、-C(O)OZb、-C(S)OZb、-C(O)NZcZc、-C(NZb)NZcZc、-OC(O)Zb、-OC(S)Zb、-OC(O)O-、-OC(O)OZb、-OC(S)OZb、-NZbC(O)Zb、-NZbC(S)Zb、-NZbC(O)O-、-NZbC(O)OZb、-NZbC(S)OZb、-NZbC(O)NZcZc、-NZbC(NZb)Zb、-NZbC(NZb)NZcZcがあり、ここで、Zaは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから成る群から選択され、各Zbは、独立して水素またはZaであり、各Zcは、独立してZbであるかまたは、別法として、2つのZcは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては、N、OおよびSから成る群から選択される1~4の同一または異なるヘテロ原子を含んでいてもよい4、5、6または7員シクロヘテロアルキル環構造を形成し得る。具体例として、-NZcZcは、-NH2、-NH-アルキル、-N-ピロリジニル、および-N-モルホリニルを含むものとされるが、それらの特定の実施形態に限定されるわけではなく、当技術分野で知られている他の実施形態も含まれる。同様に、別の具体例として、置換アルキルは、-アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-ヘテロアリール、-アルキレン-シクロヘテロアリール、-アルキレン-C(O)OZb、-アルキレン-C(O)NZbZb、および-CH2-CH2-C(O)-CH3を含むものとされるが、それらの特定の形態に限定されるわけではなく、当技術分野で知られている他の代替形態も含まれる。1つ以上の置換基は、それらが結合している原子と一緒になって、限定されるわけではないが、シクロアルキルおよびシクロヘテロアルキルを含む環状構造
を形成し得る。
【0230】
同様に、特定の基、部分またはラジカルにおける不飽和炭素原子の置換に有用な置換基には、限定されるわけではないが、-Za、ハロ、-O-、-OZb、-SZb、-S-、-NZcZc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-S(O)2Zb、-S(O2)O-、-S(O2)OZb、-OS(O2)OZb、-OS(O2)O-、-P(O)(O-)2、-P(O)(OZb)(O-)、-P(O)(OZb)(OZb)、-C(O)Zb、-C(S)Zb、-C(NZb)Zb、-C(O)O-、-C(O)OZb、-C(S)OZb、-C(O)NZcZc、-C(NZb)NZcZc、-OC(O)Zb、-OC(S)Zb、-OC(O)O-、-OC(O)OZb、-OC(S)OZb、-NZbC(O)OZb、-NZbC(S)OZb、-NZbC(O)NZcZc、-NZbC(NZb)Zb、および-NZbC(NZb)NZcZcがあり、式中、Za、ZbおよびZcは、前記の意味である。
【0231】
同様に、ヘテロアルキル基およびシクロヘテロアルキル基における窒素原子の置換に有用な置換基には、限定されるわけではないが、-Za、ハロ、-O-、-OZb、-SZb、-S-、-NZcZc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-S(O)2Zb、-S(O2)O-、-S(O2)OZb、-OS(O2)OZb、-OS(O2)O-、-P(O)(O-)2、-P(O)(OZb)(O-)、-P(O)(OZb)(OZb)、-C(O)Zb、-C(S)Zb、-C(NZb)Zb、-C(O)OZb、-C(S)OZb、-C(O)NZcZc、-C(NZb)NZcZc、-OC(O)Zb、-OC(S)Zb、-OC(O)OZb、-OC(S)OZb、-NZbC(O)Zb、-NZbC(S)Zb、-NZbC(O)OZb、-NZbC(S)OZb、-NZbC(O)NZcZc、-NZbC(NZb)Zb、および-NZbC(NZb)NZcZcがあり、式中、Za、ZbおよびZcは、前記の意味である。
【0232】
本明細書に記載された化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を有し得、したがって、二重結合異性体(すなわち、EおよびZなどの幾何異性体)、鏡像体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。本発明は、具体的な立体異性体を特定しない場合、単離された各立体異性体形態(鏡像体として純粋な異性体、EおよびZ異性体、および立体異性体に対する他の代替形態など)ならびに様々な度合のキラル純度またはEおよびZのパーセンテージでのラセミ混合物、ジアステレオマー混合物およびE異性体とZ異性体の混合物を含む、立体異性体の混合物を包含する。したがって、本明細書で描かれている化学構造は、立体異性体として純粋な形態(例、幾何的に純粋、鏡像体として純粋またはジアステレオマーとして純粋である)ならびに鏡像体および立体異性体混合物を含む例示された化合物の可能な鏡像体および立体異性体を全て包含する。鏡像体および立体異性体の混合物については、当業者に周知の分離技術またはキラル合成技術を用いてそれらの構成成分である鏡像体または立体異性体に分割することができる。本発明は、単離された各立体異性体形態およびラセミ混合物を含む様々なキラル純度での立体異性体の混合物を包含する。本発明はまた様々なジアステレオマーを包含する。特定の異性体を描くのに他の構造も示され得るが、それは単に便宜上のものであり、本発明をその描かれた異性体に限定する意図はないものとする。化学名が化合物の異性体形態を明記していないとき、その化学名は、可能な異性体形態のいずれか1つまたは化合物の異性体形態の混合物を示す。上記で述べたように、エフロルニチンは、2つの鏡像体形態で存在する。
【0233】
本化合物はまた、いくつかの互変異性体形態で存在し得、1つの互変異性体を本明細書で描いている場合、それは単に便宜上のものであり、示された形態の他の互変異性体が包含されることも理解されよう。したがって、本明細書で描かれている化学構造は、例示さ
れた化合物の可能な互変異性体形態を全て包含する。本明細書で用いられる用語「互変異性体」とは、非常に容易にもう1つのものに変化する異性体をいい、その結果それらは平衡状態で共存することができる;この平衡状態は、安定性という留意事項によっては、互変異性体の一方に非常に有利なこともある。例えば、ケトンおよびエノールは、1つの化合物の2つの互変異性体形態である。
【0234】
本明細書で用いられる場合、用語「溶媒和物」は、溶媒和により形成される化合物(溶媒分子と溶質の分子またはイオンの組み合わせ)、または溶質イオンまたは分子、すなわち本発明化合物と、1種以上の溶媒分子から成る凝集体を意味する。水が溶媒であるとき、対応する溶媒和物は「水和物」である。水和物の例としては、限定される訳ではないが、ヘミ水和物、モノ水和物、ジ水和物、トリ水和物、ヘキサ水和物および他の水含有種がある。本化合物の医薬的に許容し得る塩、および/またはプロドラッグはまた、溶媒和物形態でも存在し得ることは、当業者に理解されるはずである。溶媒和物は、典型的には、本化合物の調製の一部であるかまたは本発明の無水化合物による水分の自然吸収を通した水和により形成される。
【0235】
本明細書で用いられる場合、用語「エステル」は、分子の-COOH官能基のいずれかが-COOR官能基により置換されている本化合物のエステルを全て包含するもので、このエステルのR部分は、限定されるわけではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルおよびその置換誘導体を含む、安定したエステル部分を形成する任意の炭素含有基である。本化合物の加水分解可能なエステルは、そのカルボキシル基が加水分解可能なエステル基の形態で存在する化合物である。すなわち、これらのエステルは、医薬的に許容し得るものであり、インビボで対応するカルボン酸に加水分解され得る。
【0236】
上記置換基に加えて、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、別法として、または追加的にC1-C8アシル、C2-C8ヘテロアシル、C6-C10アリール、C3-C8シクロアルキル、C3-C8ヘテロシクリルまたはC5-C10ヘテロアリール(これらはそれぞれ、場合によっては、置換されていてもよい)により置換されていてもよい。また、さらに、5~8環員を有する環を形成することができる2つの基が同一または隣接原子に存在するとき、この2つの基は、場合によっては、それらが結合している置換基における1つまたは複数の原子と一緒になって、かかる環を形成することができる。
【0237】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」などは、対応するヒドロカルビル(アルキル、アルケニルおよびアルキニル)基と同様に定義されるが、「ヘテロ」という用語は、バックボーン残基内に1~3のO、SまたはNヘテロ原子またはその組み合わせを含む基を指すもので;対応するアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の少なくとも1つの炭素原子が、特定されたヘテロ原子の1つにより置換され、それぞれ、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基またはヘテロアルキニル基を形成する。化学的安定性の理由については、特に断らなければ、オキソ基がニトロ基またはスルホニル基における場合のようにNまたはSに存在する場合を除き、上記の基が2つを超える連続ヘテロ原子を含むことはないということもまた言うまでもない。
【0238】
本明細書で用いられる「アルキル」は、シクロアルキル基およびシクロアルキルアルキル基を含むが、用語「シクロアルキル」は、本明細書では環炭素原子を介して連結された炭素環状非芳香族基を記載するのに使用され得、「シクロアルキルアルキル」は、アルキルリンカーを通して分子に連結された炭素環状非芳香族基を記載するのに使用され得る。
【0239】
同様に、「ヘテロシクリル」は、環構成員として少なくとも1つのヘテロ原子(典型的
にはN、OおよびSから選択される)を含み、C(炭素結合)またはN(窒素結合)であり得る、環原子を介して分子に連結された非芳香族環状基を記載するのに使用され得、「ヘテロシクリルアルキル」は、リンカーを通して別の分子に連結される上記の基を記載するのに使用され得る。ヘテロシクリルは、完全に飽和状態または部分的に飽和状態であり得るが、非芳香族であり得る。シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基およびヘテロシクリルアルキル基に好適なサイズおよび置換基は、アルキル基について上記で記載したものと同じである。ヘテロシクリル基は、典型的には環構成員としてN、OおよびSから選択される1つ、2つまたは3つのヘテロ原子を含み、このNまたはSは、複素環系でこれらの原子において通常見られる基により置換され得る。本明細書で用いられる場合、これらの用語はまた、結合している環が芳香族ではない限り、1つまたは2つの二重結合を含む環を包含する。置換されたシクロアルキル基およびヘテロシクリル基はまた、基の結合点が芳香族/ヘテロ芳香族環に対してではなくシクロアルキル環またはヘテロシクリル環に対するものであるという条件で、芳香族環またはヘテロ芳香族環と縮合したシクロアルキル環またはヘテロシクリル環を含む。
【0240】
本明細書で用いられる場合、「アシル」は、カルボニル炭素原子の2つの利用可能な価電子位置の1つで結合したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルラジカルを含む基を包含し、ヘテロアシルは、カルボニル炭素以外の少なくとも1つの炭素がN、OおよびSから選択されたヘテロ原子により置換された対応する基をいう。
【0241】
アシル基およびヘテロアシル基は、カルボニル炭素原子の空いた価電子を通してそれらが結合している任意の基または分子に結合される。典型的には、それらは、ホルミル、アセチル、ピバロイル、およびベンゾイルを含むC1-C8アシル基、およびメトキシアセチル、エトキシカルボニルおよび4-ピリジノイルを含むC2-C8ヘテロアシル基である。
【0242】
同様に、「アリールアルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、置換または非置換、飽和または不飽和、環状または非環状のリンカーを含む、アルキレンなどの結合基を通してそれらの結合点に結合している芳香族およびヘテロ芳香族環系をいう。典型的には、リンカーはC1-C8アルキルである。これらのリンカーはまた、カルボニル基を含み得るため、アシル部分またはヘテロアシル部分と同様にそれらが置換基を提供することを可能にする。アリールアルキル基またはヘテロアリールアルキル基におけるアリール環またはヘテロアリール環は、アリール基について上記で記載したのと同じ置換基により置換され得る。好ましくは、アリールアルキル基は、場合によっては、アリール基について上記で定義された基により置換されていてもよいフェニル環および非置換であるかまたは1つまたは2つのC1-C4アルキル基またはヘテロアルキル基で置換されたC1-C4アルキレンを含み、このアルキル基またはヘテロアルキル基は、場合によっては、閉環してシクロプロパン、ジオキソランまたはオキサシクロペンタンなどの環を形成し得る。同様に、ヘテロアリールアルキル基は、好ましくは、場合によっては、アリール基において典型的な置換基として上記で記載した基により置換されていてもよいC5-C6単環状ヘテロアリール基および非置換であるかまたは1つまたは2つのC1-C4アルキル基またはヘテロアルキル基で置換されたC1-C4アルキレンを含むか、または場合によって置換されていてもよいフェニル環またはC5-C6単環状ヘテロアリールおよび非置換であるかまたは1つまたは2つのC1-C4アルキル基またはヘテロアルキル基で置換されたC1-C4ヘテロアルキレンを含み、この場合アルキル基またはヘテロアルキル基は、場合によっては、閉環してシクロプロパン、ジオキソランまたはオキサシクロペンタンなどの環を形成し得る。
【0243】
アリールアルキル基またはヘテロアリールアルキル基が場合によっては置換されていて
もよいと記載されている場合、置換基は、その基のアルキルもしくはヘテロアルキル部分またはアリールもしくはヘテロアリール部分に存在してもよい。場合によってはアルキルもしくはヘテロアルキル部分に存在してもよい置換基は、アルキル基全般について上記で記載したものと同じであり;アリールもしくはヘテロアリール部分に存在してもよい置換基は、アリール基全般について上記で記載したものと同じである。
【0244】
本明細書で用いられる「アリールアルキル」基は、それらが非置換であればヒドロカルビル基であり、環およびアルキレンまたは同様のリンカーにおける炭素原子の総数により記載される。すなわち、ベンジル基はC7-アリールアルキル基であり、フェニルエチルはC8-アリールアルキルである。
【0245】
上記の「ヘテロアリールアルキル」は、結合基を通して結合されたアリール基を含む部分をいい、少なくともアリール部分の1つの環原子または結合基における1つの原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である点が「アリールアルキル」とは異なる。ヘテロアリールアルキル基は、環およびリンカーを合わせた原子の総数にしたがって本明細書で記載されており、それらには、ヘテロアルキルリンカーを通して結合されたアリール基、アルキレンなどのヒドロカルビルリンカーを通して結合されたヘテロアリール基;およびヘテロアルキルリンカーを通して結合されたヘテロアリール基が含まれる。したがって、例えば、C7-ヘテロアリールアルキルは、ピリジルメチル、フェノキシおよびN-ピロリルメトキシを含むことになる。
【0246】
本明細書で用いられる場合、「アルキレン」は、2価ヒドロカルビル基をいい、アルキレンは2価であるため、一緒に2つの他の基と結合することができる。典型的には、アルキレンは、-(CH2)n-(式中、nは1~8であり、好ましくは、nは1~4である)で示されるが、明記されている場合、アルキレンはまた、他の基により置換され得、他の長さでもあり得、空いた価電子が鎖の反対端にある必要はない。
【0247】
一般に、置換基に含まれるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基またはアリール基またはアリールアルキル基はいずれも、それ自体場合によってはさらなる置換基により置換され得る。これらの置換基について異なる説明がない場合、置換基の性質は、一次置換基それ自体に関して列挙したものと類似している。
【0248】
本明細書で用いられる場合、「アミノ」は-NH2で示されるが、アミノが「置換された」または「場合によっては置換されていてもよい」として記載されている場合、この用語は、NR’R”(式中、各R’およびR”は、独立してHであるか、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基またはアリールアルキル基であり、このアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基またはアリールアルキル基はそれぞれ、場合によっては対応する基について適したものとして本明細書で記載された置換基により置換されていてもよい)を包含する;R’基およびR”基およびそれらが結合している窒素原子は、場合によっては、飽和、不飽和または芳香族であり得、環構成員としてN、OおよびSから独立して選択される1~3のヘテロ原子を含み、場合によっては、アルキル基に適したものとして記載された置換基により置換されていてもよい3~8員環を形成し得、またはNR’R”が芳香族基である場合、場合によっては、ヘテロアリール基に典型的なものとして記載された置換基により置換されていてもよい。
【0249】
本明細書で用いられる場合、用語「炭素環」、「カルボシクリル」または「炭素環状」は、環に炭素原子のみを含む環状構造をいうが、用語「複素環」または「複素環状」は、ヘテロ原子を含む環をいう。カルボシクリルは、完全に飽和状態または部分的に飽和状態であり得るが、非芳香族であり得る。例えば、カルボシクリルは、シクロアルキルを包含する。炭素環状構造および複素環状構造は、単環状、2環状または多環状の環系を有する
化合物を包含し;かかる系は、芳香族、複素環状および炭素環状の環を混合し得る。混合環系は、記載されている化合物の残りの部分に結合している環に応じて記載される。
【0250】
本明細書で用いられる場合、用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄など、炭素または水素ではない原子を全て包含する。鎖または環のバックボーンまたは骨格の一部であるとき、ヘテロ原子は、少なくとも2価でなくてはならず、典型的には、N、O、PおよびSから選択されることになる。
【0251】
本明細書で用いられる場合、用語「アルカノイル」は、カルボニル(C=O)基に共有結合したアルキル基をいう。用語「低級アルカノイル」は、アルカノイル基のアルキル部分がC1-C6であるアルカノイル基をいう。アルカノイル基のアルキル部分は、場合によっては上記の要領で置換され得る。用語「アルキルカルボニル」も代替的に使用することができる。同様に、用語「アルケニルカルボニル」および「アルキニルカルボニル」は、それぞれ、カルボニル基に結合したアルケニル基またはアルキニル基をいう。
【0252】
本明細書で用いられる場合、用語「アルコキシ」は、酸素原子に共有結合したアルキル基をいい、このアルキル基は、ヒドロキシル基の水素原子を置換するものとして考えられ得る。用語「低級アルコキシ」は、アルコキシ基のアルキル部分がC1-C6であるアルコキシ基をいう。アルコキシ基のアルキル部分は、場合によっては上記の要領で置換され得る。本明細書で用いられる場合、用語「ハロアルコキシ」は、アルキル部分が1つ以上のハロ基により置換されたアルコキシ基をいう。
【0253】
本明細書で用いられる場合、用語「スルホ」は、スルホン酸(-SO3H)置換基をいう。
【0254】
本明細書で用いられる場合、用語「スルファモイル」は、構造-S(O2)NH2をもつ置換基をいい、この基のNH2部分の窒素は、場合によっては上記の要領で置換され得る。
【0255】
本明細書で用いられる場合、用語「カルボキシル」は、構造-C(O2)Hの基をいう。
【0256】
本明細書で用いられる場合、用語「カルバミル」は、構造-C(O2)NH2の基を指し、この基のNH2部分の窒素は、場合によっては上記の要領で置換され得る。
【0257】
本明細書で用いられる場合、用語「モノアルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」は、構造ーAlk1-NH-Alk2および-Alk1-N(Alk2)(Alk3)の基を指し、ここでAlk1、Alk2およびAlk3は、上記のアルキル基を指すものとする。
【0258】
本明細書で用いられる場合、用語「アルキルスルホニル」は、構造-S(O)2-Alk(式中、Alkは上記のアルキル基を指す)の基を指す。用語「アルケニルスルホニル」および「アルキニルスルホニル」は、同様にそれぞれアルケニル基およびアルキニル基に共有結合したスルホニル基を指す。用語「アリールスルホニル」は、構造-S(O)2-Ar(式中、Arは、上記のアリール基を指す)の基を指す。用語「アリールオキシアルキニルスルホニル」は、構造-S(O)2-Alk-O-Arの基を指し、 ここでAlkは上記のアルキル基であり、Arは上記のアリール基であるものとする。用語「アリールアルキルスルホニル」は、構造-S(O)2-AlkArの基を指し、ここでAlkは上記のアルキル基であり、Arは上記のアリール基であるものとする。
【0259】
本明細書で用いられる場合、用語「アルキルオキシカルボニル」は、アルキル基を含むエステル置換基をいい、この場合カルボニル炭素は分子への結合点である。一例はエトキシカルボニルであり、これはCH3CH2OC(O)-である。同様に、用語「アルケニルオキシカルボニル」、「アルキニルオキシカルボニル」および「シクロアルキルカルボニル」は、アルケニル基、アルケニル基またはシクロアルキル基をそれぞれ含む同様のエステル置換基を指す。同様に、用語「アリールオキシカルボニル」は、アリール基を含むエステル置換基を指し、この場合、カルボニル炭素は分子への結合点である。同様に、用語「アリールオキシアルキルカルボニル」は、アルキル基を含むエステル置換基を指し、この場合アルキル基はそれ自体アリールオキシ基により置換されている。
【0260】
置換基の他の組み合わせも当技術分野では知られており、例えば、参照によって本明細書に組み込まれるJungらによる米国特許第8344162号に記載されている。例えば、用語「チオカルボニル」および「チオカルボニル」を含む置換基の組み合わせは、その基において二重結合した硫黄が通常の二重結合した酸素を置換しているカルボニル基を含む。用語「アルキリデン」および類似用語は、明記されたように、2つの水素原子が単一炭素原子から除去されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基を包含するもので、前記基は構造の残りの部分と二重結合することになる。
【0261】
本明細書で開示されている化合物は、生理学的pH範囲または他の範囲で塩として存在し得る。かかる塩類について下記でさらに説明する。一般に、用語「医薬的に許容し得る塩」は、本明細書で記載されている化合物から見出される特定の置換基により異なる、比較的非毒性の酸または塩基により調製される活性化合物の塩を包含するものとされる。本発明の化合物が比較的酸性である官能基を含むとき、塩基付加塩は、かかる化合物の中性形態を、正味そのまま、または好適な不活性溶媒中で、十分な量の所望の塩基と接触させることにより得ることができる。医薬的に許容し得る塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩またはマグネシウム塩、または類似塩がある。本発明の化合物が比較的塩基性である官能基を含むとき、酸付加塩は、かかる化合物の中性形態を、正味そのまま、または好適な不活性溶媒中で、十分な量の所望の酸と接触させることにより得ることができる。医薬的に許容し得る酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸(isbutyric)、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸から誘導される塩がある。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、グルクロン酸やガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.ら、“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19参照)。本発明のある種の特定化合物は、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換させ得る塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0262】
本発明による医薬組成物は、一実施形態において、エフロルニチンのプロドラッグを含む、プロドラッグを含むことができる。本発明による医薬組成物がプロドラッグを含むとき、化合物のプロドラッグおよび活性代謝産物は、当技術分野で既知の常用的技術を用いて同定され得る。例えば、Bertolini et al.,J.Med.Chem.,40,2011-2016(1997);Shan et al.,J.Pharm.Sci.,86(7),765-767;Bagshawe,Drug Dev.Res.,34,220-230(1995);Bodor,Advances in Drug Res.,13,224-331(1984);Bundgaard,Design
of Prodrugs(Elsevier Press 1985);Larsen
,Design and Application of Prodrugs,Drug
Design and Development(Krogsgaard-Larsen et al.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991);Dear et al.,J.Chromatogr.B,748,281-293(2000);Spraul et al.,J.Pharmaceutical&Biomedical Analysis,10,601-605(1992);and Prox et al.,Xenobiol.,3,103-112(1992)参照。
【0263】
本発明による医薬組成物中の薬理活性化合物が、十分な酸性の官能基、十分な塩基性の官能基、または十分な酸性の官能基および十分な塩基性の官能基を両方有するとき、これらの基は、これに応じて多数の無機塩基または有機塩基、ならびに無機酸および有機酸のいずれとでも反応して医薬的に許容し得る塩を形成することができる。代表的な医薬的に許容し得る塩類には、薬理活性化合物と無機酸もしくは有機酸または無機塩基との反応により調製される塩類、例えば、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオン酸塩、ヘキシン-1,6-ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、およびマンデル酸塩を含む塩類などが含まれる。薬理活性化合物が1つ以上の塩基性官能基を有するとき、所望の医薬的に許容し得る塩は、当技術分野で利用可能な任意の適切な方法、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸による、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸または酒石酸などのアルファ-ヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸または桂皮酸などの芳香族酸、p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸による遊離塩基の処理により調製され得る。薬理活性化合物が1つ以上の酸性官能基を有する場合、所望の医薬的に許容し得る塩は、当技術分野で利用可能な任意の適切な方法、例えば、無機塩基または有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級または第3級)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物などによる遊離酸の処理により調製され得る。適切な塩の代表例としては、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第1級、第2級および第3級アミン、およびピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環状アミンから誘導された有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導された無機塩がある。
【0264】
固体である薬剤の場合、本発明化合物および塩が種々の結晶または多形形態で存在し得、それらは全て本発明および明記された式の範囲内に含まれるものとすることは、当業者によって理解されるものである。
【0265】
本発明組成物は、医薬組成物の調製についての公知技術を用いて、例えば混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、浮揚、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥などの慣用的技術により製造され得る。医薬組成物は、医薬的に使用され得る、活性化合物の製剤化を容易にする賦形剤および助剤から選択され得る、1種以上の生理学的に許容し得る担体を用いて
慣用的方法で製剤化され得る。
【0266】
適正な製剤は、選択された投与経路により異なる。注射の場合、本発明の薬剤は、好ましくはハンクス溶液、リンゲル液または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合し得る緩衝液中、水溶液に製剤化され得る。経粘膜投与の場合、透過すべきバリアに適した浸透剤を製剤に使用する。上記の浸透剤は、当技術分野では公知である。
【0267】
経口投与の場合、化合物は、活性化合物を当技術分野で知られている医薬的に許容し得る担体と合わせることにより容易に製剤化され得る。上記の担体は、処置される患者による経口摂取を目的とした、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、溶液、懸濁液などとしての本発明化合物の製剤化を可能にする。経口用の医薬調製物は、有効成分(薬剤)と混合した固体賦形剤を用い、場合によっては得られた混合物を粉砕し、所望ならば適切な助剤を添加後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアとすることにより得られる。好適な賦形剤には、乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む、糖などの充填剤;およびセルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはポリビニルピロリドン(PVP)がある。所望ならば、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を加えてもよい。
【0268】
糖衣錠コアは、適切なコーティングにより提供される。この目的の場合、濃縮糖溶液が使用され得、これは、場合によっては、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。染料または顔料は、識別するため、または異なる組み合わせの活性薬剤の特性を示すため、錠剤または糖衣錠のコーティングに添加され得る。
【0269】
経口的に使用され得る医薬調製物には、ゼラチンでできた押し込み型カプセル剤、ならびに、ゼラチンおよびグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤でできたソフト密閉カプセル剤がある。押し込み型カプセル剤は、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、さらに場合によっては含めてもよい安定剤と混合した形で有効成分を含むことができる。ソフトカプセル剤では、有効成分を、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁させ得る。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用の製剤は全て、経口投与に適した投薬形態を取るべきである。口腔内投与の場合、組成物は、慣用的方法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態を取り得る。
【0270】
非経口投与用の医薬製剤は、水性の溶液または懸濁液を含むことができる。適切な親油性溶媒または基剤には、ごま油などの脂肪油またはエチルオレエートもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルがある。注射用水性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。場合によっては、懸濁液はまた、組成物の溶解性もしくは分散性を高めて高濃縮液の調製を可能にする適切な安定剤または調節剤を含んでいてもよく、または懸濁剤または分散剤を含むことができる。経口用の医薬調製物は、薬理活性剤を固体賦形剤と合わせ、場合によっては得られた混合物を粉砕し、所望ならば適切な助剤を添加後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアとすることにより得られる。好適な賦形剤には、特に、乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む、糖などの充填剤;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)などがある。所望ならば、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊調節剤を加えてもよい。
【0271】
安定剤、例えば、クエン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、還元剤、アスコルビン酸、ビタミンE、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、BHA、アセチルシステイン、モノチオグリセロール、フェニル-α-ナフチルアミンまたはレシチンなどの酸化防止剤など、他の成分を使用することができる。また、EDTAなどのキレート剤を使用することもできる。錠剤または丸薬における滑沢剤、着色剤、香味料など、医薬組成物および製剤の領域で慣用的である他の成分も、使用することができる。また、慣用的医薬賦形剤または担体も、使用することができる。医薬賦形剤には、必ずしも限定されるわけではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類または様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールおよび生理学的適合性がある溶媒が含まれ得る。他の医薬賦形剤も、当技術分野では周知である。代表的な医薬的に許容し得る担体には、限定されるわけではないが、水性溶媒および非水性溶媒、分散媒質、コーティング液、抗菌剤および/または抗真菌剤、等張剤および/または吸収遅延剤などを含む、ありとあらゆる溶媒が含まれる。医薬活性物質についての上記の媒質および/または薬剤の使用は当技術分野では周知である。いずれかの慣用的媒質、担体または薬剤が一有効成分または複数の有効成分と不適合性である場合を除き、本発明による組成物でのそれらの使用が考えられる。補助的有効成分もまた、特に上記記載の組成物中に組み込むことができる。本発明で使用される化合物のいずれかを投与するためには、調製物は、FDA Office of Biologics
Standardsまたは薬物を管理する他の規制機関が要求するところの無菌状態、発熱性、全般的安全性、および純度の基準を満たすべきである。
【0272】
鼻腔内投与または吸入投与の場合、本発明による使用のための化合物は、好都合には、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体の使用により、加圧パックまたはネブライザーからのエーロゾル噴霧式の形態で送達される。加圧エーロゾルの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを設けることにより決定され得る。吸入器または吹き入れ器などで使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物と乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含む形で製剤化され得る。
【0273】
本化合物は、例えばボーラス注射または連続注入による、注射による非経口投与用に製剤化され得る。注射用製剤は、保存剤を添加した、例えばアンプルまたは多回投与用容器での単位用量形態の体裁を取り得る。本組成物は、油性または水性基剤中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態を取り得、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含み得る。
【0274】
非経口投与用医薬製剤は、水溶性形態での活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性薬剤の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒または基剤には、ごま油などの脂肪油またはエチルオレエートもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームがある。注射用水性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。場合によっては、懸濁液はまた、化合物の溶解性を高めて高濃縮液の調製を可能にする適切な安定剤または薬剤を含んでいてもよい。
【0275】
別法として、有効成分は、使用前に、適切な基剤、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水により構成するための粉末形態であり得る。本化合物はまた、例えば、カカオバターまたは
他のグリセリドなどの慣用的座薬基剤を含む、座薬または停留性浣腸などの直腸用組成物で製剤化され得る。
【0276】
上記の製剤に加えて、本化合物はまた、デポー型調製物として製剤化され得る。上記の長時間作用性製剤は、埋め込み(例えば、皮下的または筋肉内的)または筋肉内注射により投与され得る。すなわち、例えば、本化合物は、適切なポリマー性または疎水性材料(例えば、許容し得る油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂により、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化され得る。
【0277】
医薬組成物はまた、適切な固体相またはゲル相の担体または賦形剤を含んでいてもよい。上記の担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーがある。
【0278】
医薬組成物は、当技術分野で知られている様々な方法により投与され得る。投与経路および/または方式は、所望の結果により異なる。投与経路によって、薬理活性剤は、1種または複数種の治療剤を、薬剤を不活化し得る酸および他の化合物の作用から守る材料で被覆されていてもよい。慣用的薬務を採用して、対象への上記医薬組成物の投与に適した製剤または組成物を提供することができる。限定されるわけではないが、例えば、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、経皮投与、皮下投与、筋肉内投与または経口投与など、任意の適切な投与経路を採用することができる。処置される悪性腫瘍または他の疾患、障害または状態の重症度、ならびに処置される対象に影響を及ぼす他の条件によって、医薬組成物の全身的送達または局所的送達のいずれかが処置の過程で使用され得る。上記医薬組成物は、上記医薬組成物で処置することを意図されたのと同じ疾患または病態であり得るか、関連疾患または病態であり得るか、または関連のない疾患または病態でさえあり得る、特定の疾患または病態の処置を意図した追加的治療剤と一緒に投与することができる。
【0279】
上記で詳述したところによると、エフロルニチンおよびその誘導体、類似体またはプロドラッグは、神経膠腫の処置に、特に神経膠腫がさらに悪性度の高い病態に進行するのを阻害するかまたは遅らせるのに関し有効なものとして報告されている。しかしながら、がんの全ての形態は、悪性腫瘍細胞における突然変異と関連しているため、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、悪性腫瘍細胞における突然変異を阻止することにより、同じく他の悪性腫瘍の進行を阻害するかまたは遅らせるため同様に投与され得る。エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、多くのタイプのがんの進行を遅らせ、多くのタイプのがんにおける突然変異を阻止するのに使用され得るが、特に、エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、神経芽細胞腫を処置するのに使用され得る。したがって、本発明による組成物は、神経芽細胞腫および他の悪性腫瘍を処置するのに使用され得る。エフロルニチンまたはその誘導体、類似体もしくはプロドラッグは、p21(waf1/cip1)およびp27kip-1の濃度を高めるが、このことが細胞周期停止の誘因として作用する。上記の所見が該当する腫瘍タイプには、白血病、すい臓がん、神経芽細胞腫、乳がんおよび胃がんが含まれる。これについては、以下の参考文献:(i)P.M.Bauer et al.,“Role of p42/p44 Mitogen-Activated-Protein Kinase and p21waf1/cip1 in the Regulation of Vascular Smooth Muscle Cell Proliferation by Nitric Oxide,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:12802-12807(2001);(ii)S.H.Choi et al.,“Polyamine-Depletion Induces p27Kip1 and Enhances Dexamethasone-Induce
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al.,“Modulation of Azoxymethane-Induced
Mutational Activation of ras Protooncogenes by Chemopreventive Agents in Colon Carcinogenesis,”Carcinogenesis 15:1317-1323(1994);(xi)R.Singh et al.,“Activation
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Polyamine Inhibitor-Induced G1 Cell Cyc
le Arrest in MYCN-Amplified Human Neuroblastoma Cells,”Oncogene 24:5606-5618(2005);(xiv)Q.Xiang et al.,“[Apoptotic Induction of Human Lung Carcinoma A549 Cells by DFMO through Fas/FasL Pathway],”Ai Zheng 12:1260-1263(2003);および下記参考文献(9)および(10)で検討されている。
【0280】
以下、実施例により本発明を説明する。これらの実施例は、説明を目的としたものに過ぎず、本発明の制限を意図したものではない。
【実施例1】
【0281】
エフロルニチン経口溶液
表1に記載の割合にしたがって、エフロルニチン経口溶液を調製した。安息香酸ナトリウムおよびサッカリンナトリウム二水和物を精製水に加え、混合して澄明な溶液とした。次いで、溶液を約55℃に加熱し、エフロルニチンを添加して完全に溶解させた。次いで、安息香酸ナトリウム、サッカリンナトリウムおよびエフロルニチンの水溶液を約30℃まで冷却し、グリセリンおよびプロピレングリコールを加え、溶液が澄明になるまで混合した。この溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により薬物含有量および安息香酸ナトリウム含有量について試験した。また、この溶液を、調製時および28日間の貯蔵後に抗菌有効性および微生物数について試験した。
【表1】
【実施例2】
【0282】
エフロルニチン経口溶液投与計画(予測例)
実施例1で調製されたエフロルニチン経口溶液は、1回用量当たり2.8g/m2のエフロルニチン遊離塩基当量を提供するため1日に3回投与され得る。この投薬法を2週間続行し、次いで1週間中断し、再び2週間続行し得る。全治療期間にわたって、このパターンを続行することができる。別法として、所望の治療効果を達成するため、各サイクルにおける投薬期間を3または4週間に調整してもよい。別法として、有害事象の最小限化を確実にするため、投薬の中断を各サイクルにおいて2または3週間に調整してもよい。
【実施例3】
【0283】
エフロルニチン経口溶液とアジュバント治療剤の併用投与(予測例)
実施例1で調製したエフロルニチン経口溶液は、ロムスチンなどのアジュバント治療剤を併用して、または併用せずに投与され得る。アジュバント治療剤と共に投与するとき、アジュバント治療剤の投与に先行してエフロルニチンを2週間単独で投与するのが好ましい。本実施例では、エフロルニチン経口溶液を、1回用量当たり2.8g/m2のエフロルニチン遊離塩基当量を提供するため1日に3回2週間にわたって投与する。次いで、処
方された量のロムスチン(例、110mg/m2)を、一回用量として投与する。1週間の中断後、前記エフロルニチンを、1回用量当たり2.8g/m2のエフロルニチン遊離塩基当量を提供するため1日に3回、さらに2週間にわたって投与する。このパターンを、全治療期間にわたって続行してもよく、または所望の治療効果を達成し、有害事象を最小限にするために調整してもよい。
【実施例4】
【0284】
速溶性製剤
初期の肯定的な結果(30秒未満の分散時間および許容し得る検定レベル)をもたらした薬物負荷の高い速溶性製剤を、表2に列挙する。前記製剤は、最終的には透明になる濁った溶液中に分散するが、手動で振とうすることにより容易に再懸濁させることができる。前記製剤はまた、容易に崩壊する大型錠剤へと圧縮成形され得る。
【表2】
【実施例5】
【0285】
経口溶液用エフロルニチン粉末剤
経口溶液用エフロルニチン粉末剤は、次の要領で調製され得る:99重量%のエフロルニチンおよび1重量%のサッカリンナトリウム二水和物を混ぜ合わせ、所望の有効成分含量(例、5g)の個々の小袋に分配することができる。粉末剤を、経口投与のため水やジュースと混合する。本製剤を、フローや圧縮率が最善となるように最適化することができる。
【実施例6】
【0286】
懸濁液
薬物負荷の高い懸濁液を調製することができる。前記懸濁液についての製剤を表3に示す。典型的には、懸濁液は、難溶性薬物に対して使用される。エフロルニチンのような高溶解性化合物の場合、まず飽和溶液を作り、次いで過剰の薬物をそれに懸濁させる。本製剤を、懸濁液の安定化のために最適化することができる。
【表3】
【0287】
好ましくは、これらの組成物中のエフロルニチンを微粉にする。
【実施例7】
【0288】
エフロルニチン経口溶液のロバスト性を向上させるため製剤スクリーニング検査を実施した。20の製剤を調製し、製剤の物理的安定性に対する溶媒系組成およびエフロルニチン濃度の影響を調査した。実験を室温で実施、および冷却/冷凍しながら実施し、具体的には製品の沈殿に対する薬物濃度の部分的増加の影響について調べた。製剤の物理的安定性を目視により評価した。試験の結果は、本実験で検査された全範囲の賦形剤レベルが、周囲温度および低温で高レベルのロバスト性をもたらす一方で、20%から18%というエフロルニチン濃度の減少は、冷凍およびそれに関連した短期間の結晶化に対する高い抵抗性の点から追加利点を呈することを示唆していた。新規エフロルニチン経口溶液製剤におけるプロピレングリコールおよびグリセロールのレベルに関する使用範囲は、それぞれ5%および3%として規定された。これらの成分に関する濃度範囲の特性を確認することは、多様な溶媒系組成における本製剤の物理的安定性に対する理解に繋がるものである。
【0289】
本目的は、エフロルニチン経口溶液製剤の物理的安定性に対する溶媒系組成およびエフロルニチン濃度の影響を調べることであった。
【0290】
表4で示すように、3因子混合レベルDOEとして実験を設計した。本実験で試験される変数には、18%および20%レベルでのエフロルニチン濃度、0、5および10%レベルでのプロピレングリコール(PG)濃度ならびに0、3および6%レベルでのグリセロール濃度が含まれた。水の量は、総製剤量を満たすように変化した。製剤の組成を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0291】
製剤を、透明な20ccシンチレーションバイアルにて調製した。安息香酸ナトリウムおよびサッカリンナトリウム二水和物を各バイアルに分配し、精製水に加えて澄明な溶液とした。次いで、溶液を約55℃に加熱し、エフロルニチンを加え、約1分間ボルテックスミキサーを用いて混合し、澄明な溶液とした。次いで、安息香酸ナトリウム、サッカリンナトリウムおよびエフロルニチンの水溶液を室温まで冷却し、グリセリンおよびプロピレングリコールを各バイアル中に加え、溶液が澄明になるまで混合した。製剤を、0.2μmシリンジフィルター(Gelman Science#4454)を用いてろ過し、4.5~4.8gの2つのアリコートに分け、8mLの透明HPLCバイアルに充填した。バイアルを56時間0℃の冷蔵庫中に置き、取り出して検査した。
【0292】
製剤のロバスト性を試験するため、各製剤のバイアルの1つにエフロルニチン(0.003±0.0005g)を「シード」した。エフロルニチンを添加した後、約2~3秒間ボルテックスミキサーを用いて製剤を混合し、検査した。バイアルを、室温で6時間後再び検査し、次いで0℃の冷蔵庫中に12時間置き、再び検査した。
【0293】
各製剤の第二のバイアルを用いて各製剤2gのサンプルを取り、4mLの透明HPLCバイアル中に入れた。次いで、0.003±0.0005gの量のエフロルニチンを、各2gアリコートの製剤中に添加し、検査した。バイアルを、室温で6時間後再び検査し、次いで0℃の冷蔵庫中に12時間置き、再び検査した。
【0294】
参考のため、製剤に「シード」するために使用したエフロルニチンの量(0.003g)を
図1に示す。
【0295】
実験の各パートの後、製剤の透明度および起こり得る沈殿の観測を行った(製剤試験の概略については
図2参照)。
【0296】
エフロルニチン経口溶液調製中、注目に値する所見は無かった。どの製剤においても結晶は全く認められずに調製されているため溶液は全て澄んでいた。56時間0℃で溶液を冷却したところ、どの製剤にも沈殿は生じなかった。
【0297】
エフロルニチンを「シード」したところ、どのサンプルにも沈殿は誘発されなかった。20%製剤を含むバイアルにエフロルニチンを添加している間、APIの粒子がボトルの底で認められるが、ボルテックスミキサーを用いて1~2秒間振とうまたは混合した後、容易に溶解することが注目された。18%製剤へのエフロルニチンの添加は途切れず行われ、かなりの振とうまたはボルテックスミキサーの使用を必要とすることはなかった。
【0298】
次いで、サンプルを0℃の冷蔵庫に入れた。各サンプルを12時間時点で検査した後、サンプルを再び冷蔵庫に入れ、49時間時点でさらなる検査を行ったところ、沈殿は全く認められなかった。最後に、サンプルを-18℃の冷凍庫に18日間置き、再び検査した。溶液の中には、凍結し、周囲条件で解凍後直ちに結晶化を示すものもあった。しかしながら、一旦溶液を振とうし、室温近くに到達させると、全ての沈殿は溶解し、澄明な溶液が形成された。溶液の透明度および目に見える沈殿が全く存在しないことを24時間後に再確認した。
【0299】
沈殿および凍結に関する観測の要約を表6に示す。JMP(商標)フィットモデル/名目ロジスティックフィットを用いて、「シードされた」溶液における凍結傾向を分析した。0~6%グリセロールの範囲では、製剤の凍結は無いことが示された。縮小モデルのさらなる分析は(
図3)、エフロルニチン濃度およびプロピレングリコール濃度の両方が18℃で凍結する製剤の傾向に対してかなりの影響を及ぼすことを示した。これらの傾向は方向が反対である(パラメータ評価の符号参照):凍結が最小になるのは、プロピレングリコール濃度が高く、エフロルニチンレベルが低い場合であり得る。
【表6】
【0300】
スケールアップのためのエフロルニチンの18%経口製剤を表7に示す。
【表7】
【0301】
エフロルニチン経口溶液製剤の物理的安定性に対する溶媒系組成およびエフロルニチン濃度の影響を、3つの異なる温度:周囲温度、0℃および-18℃で調べた。試験の結果
は、本実験で検査された全範囲の賦形剤レベルが、周囲温度および低温で高レベルのロバスト性をもたらす一方で、18%へのエフロルニチン濃度の減少は、冷凍およびそれに関連した短期間の結晶化に対する高い抵抗性の点から追加利点を呈することを示唆していた。
【0302】
以下の刊行物は参照によって本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本明細書において下記で付した番号により参照される。この刊行物のリストにある刊行物が含まれているからといって、本明細書で示されたその刊行物が先行技術であるということを容認するものと捉えるべきではない。
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発明の効果
【0303】
本発明による組成物は、例えば、退形成性神経膠腫(特に退形成性星細胞腫)が膠芽腫など、より悪性度の高い表現型へ進行するのを防ぐことにより、神経膠腫を処置するために投与され得る。前記組成物は、忍容性が良好であり、重大な副作用を生じることもなく、他の抗新生物剤と一緒に使用することができる。
【0304】
本発明による組成物は、特に神経膠腫の処置のための医薬組成物として産業上の利用可能性を有する。
【0305】
文脈によっては、本発明の組成物に関する請求項が、既存の薬物を用いる新規方法に向けられることもある。
【0306】
本明細書で説明的に記載された本発明は、特には本明細書で開示されていない、何らかの要素や制限が存在しなくても好適に実践され得る。すなわち、例えば、用語「含む」、「包含する」、「含有する」などは、広い範囲で制限を伴わずに解釈される。さらに、本明細書で用いられる場合、用語「含む」はまた、「本質的に~から成る」および除外されていない場合における「本質的に~から成る」なる語句を包含するものとする。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、制限のためではなく、記述のための用語として使用されており、示され、記載された任意の将来的均等内容のものまたはその任意の部分を排除する用語および表現の使用は意図されておらず、様々な変更が請求された本発明の範囲内で可能であることが分かる。すなわち、本発明を好ましい実施形態および任意の特徴により具体的に開示したが、本明細書で開示された発明の変更および変形は当業者により再選別され得ること、およびそのような変更および変形も本明細書で開示された発明の範囲内に含まれるとみなされることが理解されるべきである。本発明は、本明細書において広範かつ包括的に記載されている。一般的な開示の範囲内に含まれるより狭い種および亜属の分類もそれぞれ、これらの発明の一部を形成する。この場合、各発明の一般的記述は、削除された材料が明確にそこに存在したかどうかとは関係なく、属から対象物を全て除く但し書きまたは消極的制限と共に含まれる。
【0307】
さらに、本発明の特徴または態様が、マーカッシュグループに関して記載されている場合、当技術分野の教育を受けた者であれば、本発明がまた、それによりマーカッシュグループの何らかの個々の構成員または構成員のサブグループに関して記載されていることを認めるはずである。また、上記の記載は、説明的なものであって、制限的なものを意図していないことも理解される。上記の記載を検討すれば、当業者にとって、多くの実施形態が明白なものとなるはずである。したがって、本発明の範囲は、上記の記載を参照した上でなく決定されるべきであり、添付の請求の範囲を参照して、それらの請求項を題目とする均等内容物の完全な範囲も考慮して決定されるべきである。特許刊行物を含む、全ての論文および参考文献の開示については、参照によって本明細書に組み込まれる。