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特許7539196具材入り油脂含有調味料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】具材入り油脂含有調味料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240816BHJP
   A23L 27/50 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L27/50 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024060548
(22)【出願日】2024-04-04
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511012145
【氏名又は名称】宮崎食研有限会社
(72)【発明者】
【氏名】坂元 浩一
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】調味料 [発酵のちから サクサクしょうゆアーモンド ] キッコーマン こころダイニングこだわり 料理 レシピ 醤油 もろみ アーモンド ロースト オニオン フライドオニオン フライドガーリック にんにく 玉ねぎ 納豆サンド お弁当 おつまみ うま味ご飯のお供 (サクサクしょうゆアーモンド),Amazon.co.jp [online],2019年01月06日,https://www.amazon.co.jp/dp/B07MBYDPDK?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_7W62TF80AFYDV9PS0Y42_1,検索日2024.07.04
【文献】カルディ KALDI ざくざくたれ醤油味 80g ザクザク タレ ごはんのお供 万能だれ,Amazon.co.jp[online],2023年07月11日,https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBM7PGNF?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_D991FRG66E54JZCCKFHD,検索日2024.07.04
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で液体の植物性油脂を55~75質量%含有し、水分が2質量%未満の具材入り油脂含有調味料であって、具材に砂糖、食塩の粉末調味料、スパイス及び醤油の液体調味料の味が付き、かつ、具材が、具材に付着した糖質や調味料の硬化と褐変化反応による強いサクサク感及び香ばしい風味を有する事を特徴とする具材入り油脂含有調味料の製造方法であって、粗く砕いたローストアーモンド、天かす、あられの乾物具材に砂糖、食塩の粉末調味料、スパイス並びに処方に対し2.5~3.0質量%の馬鈴薯澱粉若しくは加工澱粉の澱粉を混合し、その後、処方に対し2.5~3.0質量%の醤油の液体調味料若しくは液体調味料と同等量の水を添加、混合し、具材に澱粉、粉末調味料、スパイス及び液体調味料若しくは液体調味料と同量程度の水を付着せしめた物を、120~140℃に加熱した常温で液体の植物性油脂に具材同士が凝固しないよう攪拌しながら投入し、具材に砂糖、食塩の粉末調味料並びに醤油の液体調味料の味が付き、かつ、具材に付着した糖質や調味料が強いサクサク感及び香ばしい風味を生じさせるように水分含有量が2質量%未満に到達するまで攪拌、加熱し水分を蒸発させ、その後放冷し植物性油脂に対し1000質量ppmのビタミンE製剤を添加、混合して得られる具材入り油脂含有調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来に無い、具材入り油脂含有調味料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
本発明品は、サラダ、ゆでた野菜、パスタ等と和える、豆腐、食パン等に掛けるなど様々な料理の調味料として使用出来、更に、サクサクの食感と香ばしさを料理に付与する具材入り油脂含有調味料である。
【背景技術】
【0003】
2010年頃から所謂食べるラー油の瓶詰め商品が各社から多数開発、販売され、さらに、最近では、各社から様々な具材入り油脂含有調味料の瓶詰め商品が開発、販売されている。
【0004】
例えば、キッコーマンこころダイニング株式会社製の「サクサクしょうゆアーモンド」や株式会社もへじ製の「ざくざくたれ醤油味」等が具材入り油脂含有調味料の代表的なものである。
【0005】
しかし、これら従来の具入り油脂含有調味料は、共通して、調味料が具材と分離し、瓶製品の底に調味料が溜まり、呈味性が不均一である為、喫食する度に瓶の中を掻き混ぜ、具材と調味料を混和させる必要があり不便であり、更に、その具材の食感や香ばしさにも不満が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
見出せず。
【非特許文献】
【0007】
キッコーマンこころダイニング株式会社製「サクサクしょうゆアーモンド」
https://cocoro-dining.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=9
【0008】
株式会社もへじ製「ざくざくたれ醤油味」
https://moheji.co.jp/product/product-9613/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来には無い具材入り油脂含有調味料で、具材に調味料の味が付く事で製品の味が均一であり、製品の中身を掻き混ぜる事無く喫食出来、かつ、従来の具材入り油脂含有調味料より具材の食感がサクサクして香ばしい品質の具材入り油脂含有調味料及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の具材入り油脂含有調味料の課題を解決するために、鋭意研究の結果、常温で液体の植物性油脂を55~75質量%含有し、水分が2質量%未満の具材入り油脂含有調味料であって、製品中の具材に砂糖、食塩等の粉末調味料及び醤油等の液体調味料の味が付き、かつ、具材が、具材に付着した糖質や調味料の硬化と褐変化反応による強いサクサク感及び香ばしい風味を有し、また、製品の呈味性が均一な為、喫食時に製品を混和する必要が無い事を特徴とする具材入り油脂含有調味料を発明するに至った。
【0011】
また、粗く砕いたローストアーモンド、天かす、あられ等の乾物具材に砂糖、食塩等の粉末調味料並びに馬鈴薯澱粉若しくは加工澱粉等の澱粉を混合し、その後、醤油等の液体調味料若しくは液体調味料と同等量の水を添加、混合し、具材に調味料等を付着せしめた物を、約120~140℃に加熱した常温で液体の植物性油脂に具材同士が凝固しないよう攪拌しながら投入し、具材に砂糖、食塩等の粉末調味料並びに醤油等の液体調味料の味が付き、かつ、具材に付着した糖質や調味料が強いサクサク感及び香ばしい風味を生じさせるよう、水分含有量が2質量%未満に到達するまで攪拌、加熱し水分を蒸発させ、その後放冷して得られる具材入り油脂含有調味料の製造方法を発明するに至った。
【発明の効果】
【0012】
従来の具材入り油脂含有調味料には無い、具材に調味料の味が付き、製品の味が均一である為、瓶の中身を掻き混ぜる手間が無く喫食出来、かつ、従来の具材入り油脂含有調味料より具材の食感がサクサクして香ばしい風味の具材入り油脂含有調味料の実現に貢献する。
【0013】
以下、実施例でその詳細を説明する。
【実施例1】
【0014】
表1にて処方と混合区分を表す。
【表1】
【0015】
表1混合区分1の具材の粗く砕いたローストアーモンド130g、天かす60g、あられ20g、フライドオニオン3g、炒り胡麻3g及びフライドガーリック2gを長さ34cm、幅23cmのポリ袋に入れ混和する。
【0016】
0015の具材は、乾物であれば如何なる物でも良く、また、0015に記載の具材の種類や配合量は、任意に変更出来る。
【0017】
0015の具材を混和したポリ袋に、表1混合区分2の馬鈴薯澱粉25g、砂糖25g、食塩20g、昆布パウダー6g、酵母エキスパウダー6g及び白胡椒パウダー1.4gの澱粉、粉末調味料類やスパイス類を投入し再び混和する。
【0018】
0017の馬鈴薯澱粉は、コーンスターチ、米粉や加工澱粉等他の澱粉に変更出来、若しくはこれらの混合物でも良い。また、澱粉の量は、任意に変更出来るが、処方に対し2.5~3.0質量%程度が好ましい。
【0019】
また、0017に記載の粉末調味料類やスパイス類の種類や配合量は、任意に変更出来る。更に、粉末調味料類に化学調味料を使用しても良い。
【0020】
0017の澱粉、粉末調味料類やスパイス類を投入し混和したポリ袋に表1混合区分3の濃口醤油52gを投入し、三度混和し、具材に調味料等をよく染み込ませる。
【0021】
0020の濃口醤油の液体調味料は、淡口醤油、魚醤、動植物のたんぱく質加水分解液等、若しくはこれらの混合物でも良く、その種類や配合量を任意に変更出来るが、処方に対し2.5~3.0質量%程度が好ましい。また、液体調味液の製品への着色を好まない場合、液体調味料と同量程度の水に変更する事が出来る。
【0022】
表1混合区分4の菜種油550gをステンレスボウルに入れ、ガスコンロで約120℃に加熱し、具材同士が凝固しないよう菜種油を攪拌しながら0020の混合物をステンレスボウルに投入し、約140℃まで加熱、攪拌し、火を止め、水分が十分蒸発するよう攪拌を続け、放冷し、その後、菜種油に対し表1混合区分5の1000質量ppmの理研ビタミン株式会社製ビタミンE製剤0.55gを添加、混合し850gの具材入り油脂含有調味料を得た。
【0023】
0022の菜種油は、コーン油、大豆油、米油、オリーブオイル、胡麻油等、いずれの常温で液体の植物性油脂にも変更出来、また、これらの混合油脂でも良く、常温で液体の植物性油脂は、製品に対し55~75質量%含有するよう処方するのが好ましい。
【0024】
0022の加熱温度は、120~140℃程度が好ましく、加熱温度が低過ぎると水分の蒸発が不十分になり、高温過ぎると具材が焦げてしまう。
【0025】
具材に砂糖、食塩等の粉末調味料、澱粉及び醤油等の液体調味料を付着させ、かつ、具材に付着した糖質や調味料に強いサクサク感及び香ばしい風味を生じさせる為、0022の工程で製品の水分を2質量%未満に到達させる。
【0026】
0022で得られた製品をケット水分計で測定した水分及び処方から計算した製品の油脂量は、水分が1.0質量%で、油脂分が64.7質量%であった。
【実施例2】
【0027】
0022で得られた具材入り油脂含有調味料と市販のキッコーマンこころダイニング株式会社製「サクサクしょうゆアーモンド」並びに株式会社もへじ製「ざくざくたれ醤油味」を五名で官能比較した結果、0022で得られた具材入り油脂含有調味料は、市販の二品に比べ、瓶の底への調味料類の分離は極めて少なく、具材に調味料の味が付いており、また、より強いサクサクした食感と香ばしい風味が感じられると五名全員が評価した。
































【要約】      (修正有)
【課題】従来には無い具材入り油脂含有調味料で、具材に調味料の味が付いており、製品の味が均一であり、製品の中身を掻き混ぜる事無く喫食出来、かつ、従来の具材入り油脂含有調味料より具材の食感がサクサクして香ばしい品質の具材入り油脂含有調味料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】従来の具材入り油脂含有調味料の課題を解決するために、鋭意研究の結果、常温で液体の植物性油脂を55~75質量%含有し、水分が2質量%未満の具材入り油脂含有調味料であって、製品中の具材に砂糖、食塩等の粉末調味料及び醤油等の液体調味料の味が付き、かつ、具材が、具材に付着した糖質や調味料の硬化と褐変化反応による強いサクサク感及び香ばしい風味を有し、また、製品の呈味性が均一な為、喫食時に製品を混和する必要が無い事を特徴とする具材入り油脂含有調味料並びにその製造方法を発明するに至った。
【選択図】なし