(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】物体検知装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/215 20170101AFI20240816BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240816BHJP
【FI】
G06T7/215
G06T7/70 Z
(21)【出願番号】P 2020159973
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】水野 茂穂
(72)【発明者】
【氏名】竹本 周平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 綾
(72)【発明者】
【氏名】中山 博章
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-069639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する画像取得部と、
前記複数の撮像画像データに基づいて、前記撮像エリアにある所定の形状の複数の物体を検知し、検知した前記物体の位置を特定する物体検知部と、
前記物体検知部が特定した複数の前記位置に基づいて、前記撮像エリアにおいて
前記物体が移動した向きを特定する向き特定部と、
複数の前記物体が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、
監視対象の前記物体である
監視対象物体を検知する検知エリアに決定する検知エリア決定部と、
前記検知エリア決定部が前記検知エリアを決定した後に前記検知エリアに前記物体が
あることを検知する物体エリア検知部と、
前記物体エリア検知部が前記物体を検知したことを出力する出力部と、
を有する物体検知装置。
【請求項2】
前記検知エリア決定部は、前記静止領域のうち、単位面積あたりの前記物体の数が閾値以上の密集領域を前記検知エリアに決定する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記検知エリア決定部は、前記密集領域を前記検知エリアに決定した後に、前記所定の向きに移動した後に前記密集領域において静止する前記物体の数が所定の期間にわたって前記閾値未満である場合に、前記密集領域を前記検知エリアから除外する、
請求項2に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記検知エリア決定部は、前記物体が所定の向きに移動した後に静止した時間が閾値時間を超えた場合、前記静止領域を前記検知エリアに決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記検知エリア決定部は、前記物体が所定の向きに移動してから静止した後に、前記検知エリアに設定する対象の領域と異なる外部エリアに前記物体が移動した場合、前記外部エリアに移動する直前に前記物体が静止していた位置を前記検知エリアに決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の物体検知装置。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する画像取得部、
前記複数の撮像画像データに基づいて、前記撮像エリアにある所定の形状の複数の物体を検知し、検知した前記物体の位置を特定する物体検知部、
前記物体検知部が特定した複数の前記位置に基づいて、前記撮像エリアにおいて
前記物体が移動した向きを特定する向き特定部、
複数の前記物体が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、
監視対象の前記物体である
監視対象物体を検知する検知エリアに決定する検知エリア決定部、
前記検知エリア決定部が前記検知エリアを決定した後に前記検知エリアに前記物体が
あることを検知する物体エリア検知部、及び
前記物体エリア検知部が前記物体を検知したことを出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検知装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
台上の皿を検知し、検知した結果をモニタに表示する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物体(例えば物、人、動物)が特定の状態になったことを検知したいという場合がある。例えば、飲食店では、空になって回収する必要がある皿がテーブルに置かれたことを検知したいというニーズがある。従来の技術では、台上に置かれた皿を検知することはできるが、皿が特定の状態になったことを検知することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、特定の状態になった物体を検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る物体検知装置は、複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する画像取得部と、前記複数の撮像画像データに基づいて、前記撮像エリアにおいて所定の形状の複数の物体が移動した向きを特定する向き特定部と、前記物体が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、検知対象の前記物体である検知対象物体を検知する検知エリアに決定する検知エリア決定部と、前記検知エリア決定部が前記検知エリアを決定した後に前記検知エリアに前記物体が置かれたことを検知する物体エリア検知部と、前記物体エリア検知部が前記物体を検知したことを出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記検知エリア決定部は、前記静止領域のうち、単位面積あたりの前記物体の数が閾値以上の密集領域を前記検知エリアに決定してもよい。
【0008】
前記検知エリア決定部は、前記密集領域を前記検知エリアに決定した後に、前記所定の向きに移動した後に前記密集領域において静止する前記物体の数が所定の期間にわたって前記閾値未満である場合に、前記密集領域を前記検知エリアから除外してもよい。
【0009】
前記検知エリア決定部は、前記物体が所定の向きに移動した後に静止した時間が閾値時間を超えた場合、前記静止領域を前記検知エリアに決定してもよい。
【0010】
前記検知エリア決定部は、前記物体が所定の向きに移動してから静止した後に、前記検知エリアに設定する対象の領域と異なる外部エリアに前記物体が移動した場合、前記外部エリアに移動する直前に前記物体が静止していた位置を前記検知エリアに決定してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、コンピュータを、複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する画像取得部、前記複数の撮像画像データに基づいて、前記撮像エリアにおいて所定の形状の複数の物体が移動した向きを特定する向き特定部、前記物体が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、検知対象の前記物体である検知対象物体を検知する検知エリアに決定する検知エリア決定部、前記検知エリア決定部が前記検知エリアを決定した後に前記検知エリアに前記物体が置かれたことを検知する物体エリア検知部、及び前記物体エリア検知部が前記物体を検知したことを出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定の状態になった物体を検知できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る物体検知システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態に係る物体検知装置10が検知エリアを決定する動作を説明するための図である。
【
図3】物体検知装置10の構成を説明するための図である。
【
図4】第1の実施形態に係る物体検知装置10が検知エリアを決定する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
[物体検知システムSの概要]
図1は、第1の実施形態に係る物体検知システムSの概要を説明するための図である。物体検知システムSは、撮像装置1と、表示装置2と、物体検知装置10と、を有する。物体検知システムSは、撮像エリアに置かれた複数の所定の形状の物体を検出し、検出した複数の所定の形状の物体のうち特定の状態の物体を検知する。撮像エリアは、例えば
図1に示すテーブルTの上面である。所定の形状の物体は、例えば、皿又はコップなどの食器であり、以下の説明では、所定の形状の物体が食器である場合を例示する。特定の状態の物体は、例えば、空になって回収が必要になった状態の食器であり、以下の説明では、「回収対象食器」という。
【0015】
撮像装置1と物体検知装置10とは有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して接続されている。表示装置2と物体検知装置10とは有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して接続されている。有線ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)である。無線ネットワークは、例えばワイヤレスLAN又はBluetooth(登録商標)である。撮像装置1は、例えばカメラであり、撮像エリアであるテーブルTの上面を撮像する。撮像装置1は、テーブルTの上面を撮像して生成した複数の撮像画像データを物体検知装置10に送信する。
【0016】
表示装置2は、例えばスマートフォン又はタブレットなどの情報端末である。表示装置2は、例えば食器が使用される店舗の店員が使用する情報端末である。表示装置2は、回収対象食器が検知されたことを示す検知結果を表示する。検知結果は、例えば、回収対象食器があるテーブルTを特定するための情報と、特定の状態になった物体の数とを含む。
【0017】
物体検知装置10は、撮像装置1が出力した複数の撮像画像データに基づいて回収対象食器を検知する。物体検知装置10は、回収対象食器を検知するための検知エリアを決定し、決定した検知エリアに置かれた物体を特定の状態になった物体として検知する。
【0018】
検知エリアを決定するために、物体検知装置10は、まず、撮像装置1が出力したテーブルTの上面の複数の撮像画像データに基づいて、テーブルTの上面に置かれた複数の食器が移動した向きを特定する。続いて、物体検知装置10は、複数の食器が所定の向きに移動した後に静止した位置を含む領域(以後、「静止領域」という場合がある)を検知エリアとして決定する。所定の向きは、回収することを目的として食器が移動されたと推定できる向きであり、例えば
図1に示すテーブルTの左側に通路がある場合、
図1に示すテーブルTの左側に移動する向きである。
【0019】
物体検知装置10は、複数の撮像画像データに含まれる複数の食器のうち、決定した検知エリアに置かれた食器を回収対象食器として検知する。物体検知装置10は、回収対象食器があるテーブルTを特定するための情報と、特定の状態になった物体の数とを関連付けて表示装置2に出力する。
【0020】
このように、物体検知装置10が複数の食器が移動した向きに基づいて検知エリアを決定することで、物体検知装置10は、食器を回収する位置が定められていない場合であっても、回収対象食器があることを検知することができる。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る物体検知装置10が検知エリアを決定する動作を説明するための図である。
図2は、個室Rの上面から個室Rの底面を見た図である。個室Rは通路Aと隣接している。個室Rには、個室Rの中央にテーブルTが設置されており、テーブルTに近接するように複数の椅子C(C1~C6)が置かれている。テーブルTの上面には、所定の形状の物体である複数の食器D(D1~D6)が置かれている。
【0022】
図2に示す破線の円は、食器Dが移動する前の位置を示し、実線の円は、食器Dが移動した後の位置を示す。
図2において、撮像エリアはテーブルTの上面である。食器DがテーブルTの上面を通路に近い位置に移動する向きが、回収することを目的として食器が移動されたと推定できる所定の向きである。
【0023】
図2(a)は、料理が載った状態の複数の食器Dが所定の向きとは異なる向きに移動している状態を示す図である。
図2(b)は、空になった複数の食器Dが所定の向きに移動している状態を示す図である。
図2(c)は、空になった複数の食器が
図2(b)に示す位置から所定の向きにさらに移動している状態を示す図である。
【0024】
図2(a)が示すように、複数の食器Dが通路に近い位置から通路に遠い位置まで移動した場合、物体検知装置10は、複数の食器Dが所定の向きとは異なる向きに移動したと判定することにより検知エリアを決定しない。一方、
図2(b)に示すように、複数の食器Dが通路に近い向きに移動した場合、物体検知装置10は、食器Dが移動した後に静止した位置を含む複数の静止領域P(P1~P3)を検知エリアに決定する。
【0025】
図2(c)に示すように、静止領域P2、P3に置かれた複数の食器D(D3~D6)が静止領域P1に移動した場合、物体検知装置10は、静止領域P2、P3を検知エリアから除外してもよい。物体検知装置10は、静止領域P1に置かれた複数の食器D(D1~D6)が撮像エリアであるテーブルTの外部の領域(外部エリア)である通路Aに移動したことにより、静止領域P1が検知エリアであることを決定してもよい。物体検知装置10は、このように動作することで、回収対象食器を検知するエリアが予め決められていない場合であっても、回収対象食器があることを検知できる。
【0026】
[物体検知装置10の構成]
図3は、物体検知装置10の構成を説明するための図である。物体検知装置10は、記憶部11と制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。
【0027】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、画像取得部121、物体検知部122、向き特定部123、検知エリア決定部124、物体エリア検知部125、及び出力部126として機能する。画像取得部121は、撮像装置1が複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する。撮像エリアは、所定の形状の物体が置かれる可能性があるエリアを含み、例えば、
図2に示すテーブルTの上面である。
【0028】
物体検知部122は、画像取得部121が取得した複数の撮像画像データに基づいて、撮像エリアに置かれている所定の形状の複数の物体を検知する。物体検知部122は、例えば、複数の撮像画像データそれぞれに写った食器を検知し、検知した食器の位置を特定する。向き特定部123は、物体検知部122が特定した複数の撮像画像データそれぞれにおける食器の位置を取得し、取得した複数の位置が変化する向きに基づいて複数の食器が移動した向きを特定する。
【0029】
検知エリア決定部124は、物体が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、検知対象の物体である検知対象物体を検知する検知エリアに決定する。所定の向きは、例えば、
図2に示す通路Aに向かう向きである。検知エリア決定部124は、静止領域のうち、単位面積あたりの物体の数が閾値以上の密集領域を検知エリアに決定してもよい。単位面積は、例えば、
図2に示すテーブルTにおいて、2個以上の食器Dを置くことが可能な面積である。閾値は、例えば、2以上の整数である。検知エリア決定部124は、2以上の食器が重ねられた領域を検知エリアに決定してもよい。
【0030】
例えば、
図2(b)に示すように、検知エリア決定部124は、単位面積である静止領域P1に2つの食器Dが置かれたことにより、静止領域P1を検知エリアに決定する。このように動作することで、検知エリア決定部124は、複数の回収対象食器が集められたエリアを検知エリアに決定することができる。
【0031】
検知エリア決定部124は、密集領域を検知エリアに決定した後に、所定の向きに移動した後に密集領域において静止する物体の数が所定の期間にわたって閾値未満である場合に、密集領域を検知エリアから除外してもよい。所定の期間は、例えば5分である。閾値は、例えば1以下の整数である。
【0032】
具体的には、検知エリア決定部124は、
図2(b)に示すように、2つの食器Dが置かれた静止領域P2、P3を検知エリアに決定する。続いて、検知エリア決定部124は、
図2(c)に示すように、静止領域P2、P3に置かれた複数の食器Dが通路Aに向かう向きに移動した後に、静止領域P2、P3に置かれた食器Dの数が、5分以上の間1以下であると判定した場合、静止領域P2、P3を検知エリアから除外する。このように動作することで、検知エリア決定部124は、回収対象食器が置かれる位置が変化した場合であっても、変化した後の位置を含むエリアを検知エリアに変更することができる。
【0033】
検知エリア決定部124は、物体が所定の向きに移動した後に静止した時間が閾値時間を超えた場合、静止領域を検知エリアに決定してもよい。閾値時間は、例えば5分である。例えば、検知エリア決定部124は、
図2(b)に示す静止領域P1に移動した複数の食器D(D1、D2)が静止領域P1に5分以上静止したことにより、静止領域P1を検知エリアに決定する。このように動作することで、検知エリア決定部124は、例えば一時的に検知エリアに置かれた食器に基づいて、誤って検知エリアを決定してしまうことを抑制できる。
【0034】
検知エリア決定部124は、物体が所定の向きに移動してから静止した後に、検知エリアに設定する対象の領域と異なる外部エリアに物体が移動した場合、外部エリアに移動する直前に物体が静止していた位置を検知エリアに決定してもよい。外部エリアは、撮像エリアと異なる領域であり、例えば、
図2に示す通路Aである。
【0035】
例えば、検知エリア決定部124は、
図2(c)に示すように、静止領域P1に置かれた複数の食器Dが外部エリアである通路Aに移動した場合、静止領域P1を検知エリアに決定する。このように動作することで、検知エリア決定部124は、回収される直前に食器が置かれた位置を検知エリアに決定することができる。
【0036】
物体エリア検知部125は、検知エリア決定部124が検知エリアを決定した後に検知エリアに物体が置かれたことを検知する。物体エリア検知部125は、例えば、物体検知部122が検知した複数の撮像画像データそれぞれに含まれる食器が、検知エリア決定部124が決定した検知エリアに置かれているか否かを判定する。物体エリア検知部125は、検知エリアに置かれていると判定した食器を回収対象食器として検知する。物体エリア検知部125は、例えば、回収対象食器があるテーブルTを特定するための情報と、回収対象食器の数とを関連付けて出力部126に通知する。
【0037】
出力部126は、物体エリア検知部125が物体を検知したことを出力する。出力部126は、例えば、食器を検知したことを、有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して表示装置2に送信する。出力部126は、例えば、物体エリア検知部125から取得した回収対象食器があるテーブルTを特定するための情報と回収対象食器の数とを関連付けて表示装置2に出力する。
【0038】
このように動作することで、物体検知装置10は、回収対象食器が発生したテーブルTと、検知エリアに置かれた回収対象食器の数とを表示装置2に表示させることができる。その結果、食器が使用される店舗の店員は、表示装置2を閲覧することで、どのテーブルTでどれだけの数の回収対象食器が発生したかを把握することができる。
【0039】
[検知エリアを決定する動作のフローチャート]
図4は、第1の実施形態に係る物体検知装置10が検知エリアを決定する動作の一例を示すフローチャートである。画像取得部121は、撮像装置1が複数の時刻に撮像エリアを撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する(S11)。物体検知部122は、画像取得部121が取得した複数の撮像画像データに基づいて、複数の食器の位置を特定する。向き特定部123は、物体検知部122が特定した複数の食器の位置に基づいて、複数の食器が移動した向きを特定する(S12)。
【0040】
向き特定部123が特定した複数の食器が移動した向きが、例えば
図2に示す通路Aの向きである出口向きである場合(S13のYES)、検知エリア決定部124は、複数の食器が移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を特定する(S14)。検知エリア決定部124は、特定した静止領域のうち、単位面積あたりの食器の数が閾値以上の密集領域であり(S15のYES)、且つ、静止した時間が閾値時間を超える食器が置かれた領域(S16のYES)を、検知エリアに決定する(S17)。
【0041】
検知エリア決定部124は、特定した静止領域のうち、単位面積あたりの食器の数が閾値以上の密集領域ではない場合(S15のNO)であっても、検知エリアに設定する対象の領域と異なる外部エリアに食器が移動した場合(S18のYES)、食器が移動する直前に静止していた位置を検知エリアに決定する(S19)。
【0042】
検知エリアを決定する処理を終了するための操作が行われていない場合(S20のNO)、物体検知装置10は、S11からS19までの処理を繰り返す。検知エリアを決定する処理を終了するための操作が行われた場合(S20のYES)、物体検知装置10は、処理を終了する。
【0043】
[第1の実施形態に係る物体検知装置10の効果]
以上説明したように、物体検知装置10は、撮像エリアを撮像して生成された撮像画像データに基づいて、複数の食器が移動する向きを特定する向き特定部123と、向き特定部123が特定した複数の食器の向きが所定の向きである場合、物体が移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を検知エリアに決定する検知エリア決定部124と、検知エリア決定部124が決定した検知エリアに置かれた食器を回収対象食器として検知する物体エリア検知部125とを有する。
【0044】
このように、物体エリア検知部125が、複数の食器が移動した向きを考慮して検知エリア決定部124が決定した検知エリアに置かれた食器を検知することにより、物体検知装置10は、回収対象食器を検知する領域が予め決められていない場合であっても、回収対象食器を検知することができる。
【0045】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る物体検知システムSは、撮像装置1が撮像エリアとして動物を飼育する牧場の柵の中を撮像する点において
図1に示す物体検知システムSと異なり、他の点において同じである。物体検知システムSは、柵の中にいる複数の動物を検出し、検出した複数の動物のうち特定の状態の動物を検知する。特定の状態の動物は、例えば柵の外に出る可能性がある動物である。表示装置2は、例えば、動物が柵の外に出る可能性がある領域を特定するための情報と柵の外に出る可能性がある動物の数とを表示する。
【0046】
第2の実施形態に係る物体検知装置10の構成は、
図3に示す物体検知装置10の構成と同じである。物体検知装置10は、撮像装置1が出力した複数の撮像画像データに基づいて動物を検知する。物体検知装置10は、動物が柵の外に出る可能性がある領域である検知エリアを決定し、決定した検知エリアにいる動物を検知する。検知エリアは、例えば、柵の近くの領域である。
【0047】
画像取得部121は、撮像装置1が柵の中を撮像して生成された複数の撮像画像データを取得する。物体検知部122は、画像取得部121が取得した撮像画像データに基づいて、柵の中の複数の動物の位置を特定する。向き特定部123は、物体検知部122が特定した複数の動物の位置に基づいて複数の動物が移動した向きを特定する。検知エリア決定部124は、柵の中の動物が所定の向きに移動した後に静止した位置が含まれる静止領域を、検知エリアに決定する。
【0048】
所定の向きは、例えば柵の向きである。単位面積あたりの動物の数が閾値以上の密集領域の付近では、不審者が餌を用いて動物をおびき寄せようとしていたり、柵が壊れていたりする可能性があるので、検知エリア決定部124は、密集領域を検知エリアに決定してもよい。
【0049】
物体エリア検知部125は、検知エリア決定部124が検知エリアを決定した後に検知エリアに動物がいることを検知する。物体エリア検知部125は、画像取得部121が取得した撮像画像データに含まれる複数の動物を検出し、検出した複数の動物のうち、検知エリア決定部124が決定した検知エリアに含まれる動物を柵の外に出る可能性がある動物として検知する。出力部126は、物体エリア検知部125が検知した柵の外に出る可能性がある動物を表示装置2に出力する。
【0050】
このように、物体検知装置10は、柵の中にいる複数の動物のうち、柵の外に出る可能性がある動物の数と当該動物がいる領域とを検知できる。その結果、例えば、不審者が餌を用いて動物をおびき寄せることにより動物を盗もうとしている場合、又は、柵が壊れていることにより動物が柵から逃走する場合、物体検知装置10は、柵の外に出る可能性がある動物を表示装置2に通知することにより飼育員に警告を発することができる。
【0051】
[第2の実施形態に係る物体検知装置10の効果]
以上説明したように、物体検知装置10は、撮像エリアである柵の中を撮像して生成された複数の撮像画像データに基づいて、複数の動物が移動した向きを特定する向き特定部123と、向き特定部123が特定した動物が移動した向きが所定の向きである場合、動物が移動した後に静止した位置を含む静止領域を検知エリアに決定する検知エリア決定部124と、撮像画像データに含まれる複数の動物のうち、検知エリア決定部124が決定した検知エリアにいる動物を特定の状態になった動物として検知する物体エリア検知部125とを有する。
【0052】
このように動作することで、物体検知装置10は、動物が柵の外に出る可能性がある領域を特定し、特定した領域にいる動物をユーザに通知することができる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 撮像装置
2 表示装置
10 物体検知装置
11 記憶部
12 制御部
121 画像取得部
122 物体検知部
123 向き特定部
124 検知エリア決定部
125 物体エリア検知部
126 出力部