(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】慣性計測ユニットを用いた筋電義手の自動制御
(51)【国際特許分類】
A61F 2/56 20060101AFI20240816BHJP
A61F 2/72 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61F2/56
A61F2/72
(21)【出願番号】P 2024041711
(22)【出願日】2024-02-28
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524100231
【氏名又は名称】鈴木 悠一郎
(73)【特許権者】
【識別番号】524100242
【氏名又は名称】後藤 紡
(73)【特許権者】
【識別番号】524100253
【氏名又は名称】石田 侑暉
(73)【特許権者】
【識別番号】524100264
【氏名又は名称】兒玉 京太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 紡
(72)【発明者】
【氏名】石田 侑暉
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 京太郎
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0064563(US,A1)
【文献】米国特許第05413611(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/56
A61F 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つのサーボモータと、プロセッサと、筋電位センサとを備えた、義手の制御システムであって、
プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値以上のときに、
義手が対象物を掌握する動作が可能となるようにサーボモータを動作させ、
プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値未満のときに、
義手が対象物を掌握する動作を解除するようにサーボモータを動作させ
、
義手の制御システムは、更に、慣性計測ユニットを備え、
慣性計測ユニットから得られる姿勢クォータニオンをQ、目標姿勢の姿勢クォータニオンをPとすると、モータの動作量となる差分クォータニオンRは、
であり、
差分クォータニオンRをX-Z-Y系のオイラー角に変換し、変換後のオイラー角をD
e
(θ
difx
,θ
difz
,θ
dify
)として、Eの要素をそれぞれ対応する回転軸のサーボモータに適応することで、義手の水平維持動作の制御が可能となり、
全体的な傾きの大きさTを、
とし、
この傾きの大きさTをパラメータとするシグモイド関数をオイラー角D
e
のそれぞれの要素に乗算することにより、義手の水平維持動作の制御が可能となることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
シグモイド関数の影響を調節するゲインa,bを用いて、以下の計算式:
により、オイラー角D
eを現在の角度θ
x,θ
z,θ
yに加算して、それぞれサーボモータに命令する角度φ
x,φ
z,φ
yを計算し、φ
x,φ
z,φ
yをそれぞれ対応する回転軸のサーボモータに適応することにより、義手の水平維持動作の制御が可能となることを特徴とする、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項3】
請求項1
または請求項2の制御システムを実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性計測ユニットを用いた筋電義手の自動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景として、筋電義手の操作は、使用者が筋肉に力を入れた際に発生する筋電位を解析して行うため、複数の筋肉ではっきりとした信号を取れることが理想的だ。
しかし、筋電義手を使用される方の多くは断端の筋肉が衰えていたり、個人差の影響もあったりするため、断端付近で信号をとることが難しいかはっきりとした信号を取れないことが多い。その場合は胸筋や腹斜筋など腕と無関係な場所の信号を用いるため、力加減などを操作で用いるのは難しくなる。
【0003】
調査内容:J-PlatPat 簡易検索
キーワード 慣性計測ユニット 姿勢制御 16件
キーワード 義手 1500件
簡易検索を使い、上記キーワードでヒットした1516件の内容のうち、本発明と最も近い特許の内容を確認した。
特許文献1(特開2021-123118号公報)では慣性計測ユニットを用いて姿勢制御を行う発明が開示されていたが、本発明では義手への応用という点で違いがある。
特許文献2(特開2015-80480号公報)では、回旋センサを用いて、腕の動作を義手の操作に利用していたが、義手の把持動作のみに使用しており、本発明では使用者による操作の必要ない手首関節の制御への利用という点で違いがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-123118号公報
【文献】特開2015-080480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
力加減が必要ない簡単な操作で、力加減が困難な肢体障害でも繊細な動作を可能にする筋電義手を発明した。また、本発明の義手は、対象物を掌握しながら、水平維持動作を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、3つのサーボモータと、プロセッサと、筋電位センサとを備えた、義手の制御システムであって、プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値以上のときに、対象物の掌握と義手の水平維持動作が可能となるようにサーボモータを動作させ、プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値未満のときに、対象物の掌握と義手の水平維持動作とを解除するようにサーボモータを動作させることを特徴とする義手の制御システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
義手に慣性計測ユニットを用いた制御を実装し、少ない入力で繊細な動作ができる。また、本発明の義手は、対象物を掌握しながら、水平維持動作を実現できる。
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例の筋電義手における構成する部品の説明を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例の筋電義手における姿勢演算での座標軸設定を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例の筋電義手における使用時の様子を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例の筋電義手を制御するためのブロック図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例の筋電義手におけるフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例の筋電義手における取得した姿勢と目標とする姿勢を表示させたデータを示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例の筋電義手における使用時の様子であり、対象物の把握を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例の筋電義手における使用時の様子であり、対象物の把握の解除を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
習得難易度が高い筋電義手の操作を短期間で習得を可能にするため、一部の動作の自動化を目的に慣性計測ユニットを用いた制御システムを発明した。特に、手先の水平または任意の姿勢を保つ制御に特化し実装した。慣性計測ユニットは環境に左右されにくく、使用者から完全に独立しているため、専門的な知識が必要な使用者別のキャリブレーションが必要ない。これにより、装着訓練に含まれる、義手の調整の時間を減らすことが可能である。
また、筋電義手での一部の動作を自動化するためには、筋電義手がモーションプランナなどで算出した姿勢をとるように、位置決めをする必要がある。その際、装着している腕の揺れなど、外乱の影響を受けることなく、正確な位置や角度で動作するためには水平制御を中心とする姿勢を一定に保つ制御が重要になる。そのため本発明では、様々な動作の自動化の基盤である姿勢制御を開発した。
筋電義手の操作が難しい要因の一つとして、現在普及している筋電義手の大半が比例制御で操作するものであり、繊細な力加減が必要であることが挙げられる。そこで本発明では、使用者の筋電位を、比例制御ではなく、閾値を用いて動作の種類の判別に使用し、従来の筋電義手では比例制御で行っていた微妙な動作の加減を、慣性計測ユニットを用いた制御で行った。
義手は使用者の断端の位置に合わせて複数の種類があるが、本発明では、前腕義手を想定して開発した。また、制御に関しての発明であるため、腕の断端に装着するためのソケットなどは省略している。
【実施例1】
【0010】
筋電での操作を最小限にして、簡単に操作できる筋電義手を発明した。既存の筋電義手では、筋肉の力の入れ具合が直接義手の動作速度や握力に反映されるため、使いこなすには力の入れ具合を加減する必要がある。
それに対して、本発明では、筋肉の力の入れ具合が一定以上かを測り、筋電位が高い、低いの二通りのみで操作できるようにした。筋肉は力を入れたときに筋電位が高くなり、力を抜いたときに筋電位が低くなる。また、操作を簡単にしても、行える動作は既存のものと同等以上にするため、追加で慣性計測ユニットの制御を組み込みこんだ。慣性計測ユニットは、ジャイロ、加速度、地磁気センサを集約したもので、姿勢を計測できる。筋電位の高低のみで本来加減が必要な動作をするのは困難なため、システム的には、筋電位は動作の種類(手を開く、閉じる、手首角度制御のON、OFF等)を選択するために使用した。そして、選択された動作の制御(握力を一定以内にして手を開閉、手首角度を一定に保つ等)はマイクロプロセッサと慣性計測ユニットが使用者の干渉なしに自動で行うようになっている。
本来義手で行う力加減が必要な動作は数多くあるため、今回は特に対象物を水平に持つという姿勢制御に絞り、実施した。この動作は、単体でも食事の際に食器を持つ際に必要になるもので、日常生活で役に立つものである。それに加えて、より複雑な他の動作(ボタンを留める、字を書くなど)を行う際に、姿勢を一定にするという点で必要になるため、他の動作の基盤にもなる。
【0011】
図1は、本発明の一実施例の筋電義手における構成する部品の説明を示す。
図1の義手は、複数の手首関節のサーボモータと、複数の指のサーボモータとから構成されている。本実施例では、3つの手首関節のサーボモータと、3つの指のサーボモータとから構成されている。
図1のaは、手首関節のサーボモータであり、
図2で示すX軸上で義手の手首が回転するように可動するサーボモータである。
図1のbは、手首関節のサーボモータであり、関節のZ軸を可動する。
図1のcは、手首関節のサーボモータであり、関節のY軸を可動する。
図1のdは、指のサーボモータであり、親指の位置を義手の甲と同じ側、向かいあう側に切り替える。
図1のeは、指のサーボモータであり、人差し指、中指を可動する。
図1のfは、指のサーボモータであり、薬指、小指を可動する。
図1のgは、マイクロプロセッサであり、全てのセンサ類、サーボモータに接続している。
図1のhは、慣性計測ユニットであり、ジャイロ、加速度、地磁気センサを集約したもので、姿勢を計測できる。義手の中に格納されている。
図1のiは、筋電位センサであり、操作に使用する筋肉に近い皮膚に取り付ける。例えば、一方の腕(例えば、上腕二頭筋の任意のところ)や胸筋、腹斜筋などに取り付ける。センサから出力される電圧は、筋電位が高い、すなわち筋肉に力が入っているときに高くなり、筋電位が低い、すなわち筋肉が脱力している時には低くなる。
図1左奥の部分に、腕の断端に装着するためのソケットなどの部品を追加してもよい。
【0012】
図2は、本発明の一実施例の筋電義手における姿勢演算での座標軸設定を示す。
本実施例では、説明の便宜上、
図2で示すようにX,Y,Z軸を定義した。
図2は全てのサーボモータが0°の状態である。
本実施例のX軸上のサーボモータ(
図1のa)の可動域は、例えば、-90°から90°であり、右回りを正、左回りを負としている。
本実施例のY軸上のサーボモータ(
図1のb)の可動域は、例えば、-70°から90°であり、右回りを正、左回りを負としている。
本実施例のZ軸上のサーボモータ(
図1のc)の可動域は、例えば、-25°から55°であり、左回りを正、右回りを負としている。
【0013】
図3は、本発明の一実施例の筋電義手における使用時の様子を示す。
図3では、一定の水平を維持しながら対象物jを掴んでいることを示している。なお、本実施例では、一方の腕に装着可能な義手について説明する。
このような制御が可能となる原理について以下に説明する。
制御の原理は、慣性計測ユニットで筋電義手の姿勢を計測し、目標として設定した姿勢(以下、「目標姿勢」と称する)(一例は
図3のような姿勢)と取得した姿勢の差分を筋電義手の傾きとする。そしてその傾きの分だけモータを動作させることで義手先端を目標姿勢になるように制御する。ここで、本実施例における義手先端の一例は義手の指であり、本実施例における目標姿勢の一例は水平であるとする。よって、本実施例の義手先端の目標姿勢の一例は、義手の指(長手方向)が、(地面に対して)水平となるような姿勢である。このような目標姿勢を維持しながら、対象物を掴むことにより、対象物を安定的に保持することができる。例えば、
図3の対象物が水の入ったコップであれば、義手全体を動かしても、コップが傾いて水がこぼれないような制御が実現できる。
姿勢演算は
図2の座標軸設定で行う。慣性計測ユニットから得られる姿勢クォータニオンをQ
q、目標姿勢の姿勢クォータニオンをP
qとすると、モータの動作量となる差分クォータニオンD
qは、
【数1】
となる。筋電義手のサーボモータの回転軸の配置は、
図2の左奥の腕に繋がる位置を原点とすると、X-Z-Yの順であるため、義手先端の姿勢は、各手首関節のサーボモータの角度を要素としたX-Z-Y系のオイラー角で表せる。したがって、差分クォータニオンQ
qをX-Z-Y系のオイラー角に変換する。変換後のオイラー角をD
e(θ
difx,θ
difz,θ
dify)とする。また、サーボモータから取得する現在の角度をθ
x,θ
z,θ
yとする。筋電義手は、荷重やモーメントが掴むものによって大きく変動するため、目標角度付近で、サーボモータが振動する場合が多い。そこで、差分角度に振動を抑制する処理を加える。全体的な傾きの大きさを、
【数2】
と定義する。以下の数式が表すように、この傾きの大きさTをパラメータとするシグモイド関数をオイラー角D
eのそれぞれの要素に乗算する。これにより、目標角度付近では動作量が非常に小さくなり、目標角度から変位が大きい角度では制御が100%になるため、振動を収束させると同時に姿勢を保つことができる。オイラー角D
eは変位の分のみであるため、サーボモータの絶対角度にするために現在の角度に加算する。ただし、φ
x,φ
z,φ
yはそれぞれサーボモータに命令する角度であり、a,bはシグモイド関数の影響を調節するゲインである。
【数3】
【数4】
【数5】
φ
x,φ
z,φ
yをそれぞれ対応する回転軸のモータに適応することで、義手先端の姿勢を一定に保つことが可能である。
【0014】
図4は、本発明の一実施例の筋電義手を制御するためのブロック図を示す。
本実施例では、マイクロプロセッサと、筋電位センサと、慣性計測ユニットと、モータドライバと、複数のサーボモータとから構成されている。
マイクロプロセッサは、筋電位センサと、慣性計測ユニットと、モータドライバをそれぞれ制御したり、必要な信号やデータの処理や入出力を管理したりする。
筋電位センサは、微小な筋電位を増幅し、マイクロプロセッサにアナログ信号で送信する。
慣性計測ユニットは、マイクロプロセッサと通信し、姿勢の数値を送信する。
モータドライバは、サーボモータを駆動する。
複数のサーボモータは、義手のそれぞれの部品を稼働する。
義手先端の角度を制御するため、手首を人間と同様に3軸で駆動可能なように3つのサーボモータ(
図1a,b,c)を搭載し、指の開閉については、人差し指と中指、薬指と小指、親指の3組を駆動可能なように3つのサーボモータ(
図1d,e,f)を搭載した。義手の根本にはマイクロプロセッサ(
図1g)を搭載し、慣性計測ユニット(
図1h)を用いた水平を保つためのモータの動作量の演算と、筋電位センサ(
図1i)の信号を用いた動作の切り替えを行った。
【0015】
図5は、本発明の一実施例の筋電義手におけるフローチャートを示す。
【0016】
S501では、慣性計測ユニットの測定の基準を定める。加速度センサで重力加速度を検出することで水平の基準を決め、地磁気センサで方位を取得して水平方向の基準を決定する。以降、慣性計測ユニットからの情報は、ジャイロセンサの計測値を加速度センサと地磁気センサで補正したデータとする。
S502では、起動時の姿勢を慣性計測ユニットhから取得し、目標姿勢に設定する。ここで、取得する姿勢の情報とは、例えば手を降ろした状態や手を水平にした時に慣性計測ユニットから得られる姿勢を表すクォータニオンである。
S503では、筋電位センサiの信号電圧が所定の閾値(本実施例では、使用者がセンサ装着部の筋肉に全力で力を入れた時の信号電圧に対して50%)以上あるか否かをマイクロプロセッサが判定する(S402)。ここで、全力で力を入れた時の信号電圧(以下最大値という)と、完全に脱力した時の信号電圧は事前に測定しマイクロプロセッサのメモリに記録しておくものとする。
以下、筋電位センサの信号電圧が50%以上の場合の情報処理について説明する。なお、筋電位センサの信号電圧が50%未満の場合の情報処理については後述する。
S504では、マイクロプロセッサが慣性計測ユニットhから姿勢を取得する(S401)。
S505では、マイクロプロセッサが目標姿勢と取得した姿勢の差分を演算し、差分の大きさに応じた振動抑制の処理まで行う。(S404)(
図6を参照)。
S506では、マイクロプロセッサが差分をサーボモータの動作角度に変換する。
S507では、マイクロプロセッサがサーボモータ(手首関節のサーボモータa,b,c)の可動範囲に入っているか否かを判定する。ここで、サーボモータの可動範囲に入っているか否かの判定方法の一例は、モータの可動域の角度が45°から135°であるとき、可動域に入っているか判定したい角度の数値をxとすると、45<x<135が成り立つかを判定する方法である。もし、モータの可動範囲に入っていないときは、モータの可動範囲内で最大になるように動作角度を修正する(S508)。
S509では、マイクロプロセッサが手首関節のサーボモータa,b,cへ角度を命令する(S403)。
S510では、マイクロプロセッサが手首関節のサーボモータa,b,cをPID制御で駆動する(S403,S404)。
S511では、マイクロプロセッサが指のサーボモータd,e,fを閉じて対象物(j)を掌握する(
図7参照)。また、S509によって掌握した対象物の水平を維持する。
S512では、義手が目標姿勢になるための関節角度に、手首関節のサーボモータa,b,cが達するまで、マイクロプロセッサは待機してもよい。
その後は、S503に戻り、上述したような処理をおこなう。
【0017】
筋電位センサの信号電圧が最大値の50%未満の場合の情報処理について以下に説明する。
S513では、マイクロプロセッサが慣性計測ユニットhから姿勢を取得する。
S514では、マイクロプロセッサが取得した姿勢をS505で使用する目標姿勢として設定する。
S515では、マイクロプロセッサが手首関節のサーボモータa,b,cは現状の角度を維持する。
S516では、マイクロプロセッサが指のサーボモータd,e,fを開いて掴んだ対象物jを放す。
図8に示すように、対象物を放した後は、水平を維持する動作も解除する。
その後は、S503に戻り、上述したような処理をおこなう。
【0018】
図6は、本発明の一実施例の筋電義手における取得した姿勢と目標とする姿勢を表示させたデータを示す。
図6は内部的なものある。二つの矢印がそれぞれ目標の姿勢と取得した姿勢を表している。使用者が見るものではないが、当業者が見れば、筋電義手がどの方向で角度を保とうとしているのかは分かるだろう。
【0019】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0020】
手首関節のサーボモータa,b,c
指のサーボモータd,e,f
【要約】
【課題】水平維持制御が可能となる義手の制御システムを提供する。
【解決手段】3つのサーボモータと、プロセッサと、筋電位センサとを備えた、義手の制御システムであって、プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値以上のときに、対象物の掌握と義手の水平維持動作が可能となるようにサーボモータを動作させ、プロセッサは、筋電位センサからの電圧が所定値未満のときに、対象物の掌握と義手の水平維持動作とを解除するようにサーボモータを動作させることを特徴とする義手の制御システムを提供する。
【選択図】
図1