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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】エアロゾル生成用の再構成カカオ材料
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/12 20060101AFI20240816BHJP
   A24B 15/167 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
A24B15/12
A24B15/167
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021546665
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 US2020017716
(87)【国際公開番号】W WO2020167803
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】62/803,908
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/857,627
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ホルコ ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルソー、セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャルダン、セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ビゴ、ドリアーヌ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-117499(JP,A)
【文献】特表2016-527913(JP,A)
【文献】特表2001-501452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0173229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/12
A24B 15/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料であって、
(1)抽出されたカカオハスク繊維と(2)ウェブ構築繊維との組み合わせを含む再構成カカオハスク材料と、
前記再構成カカオハスク材料に局所的に適用されるエアロゾル送達組成物と、を含み、
前記エアロゾル送達組成物は、エアロゾル送達物質を含み、
前記ウェブ構築繊維は、脱リグニン化セルロース繊維を含み、
前記ウェブ構築繊維は、前記再構成カカオハスク材料に、15重量%超の量、かつ、70重量%未満の量で含まれ、
前記エアロゾル送達組成物は、カンナビノイド、または、テルペンのブレンドを含む、エアロゾル生成材料。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成材料であって、
前記再構成カカオハスク材料は、水溶性カカオハスク成分を、0重量%から10重量%未満の量、または10重量%~50重量%の量で含む、エアロゾル生成材料。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエアロゾル生成材料であって、
前記再構成カカオハスク材料は、保湿剤をさらに含み、
前記保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む、エアロゾル生成材料。
【請求項4】
請求項3に記載のエアロゾル生成材料であって、
前記保湿剤は、前記再構成カカオハスク材料に、0重量%から8重量%以下の量で含まれるか、または、5重量%以上の量、かつ、50重量%未満の量で含まれる、エアロゾル生成材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記エアロゾル送達組成物は、再構成カカオハスク材料に、1重量%超の量、3重量%超の量、5重量%超の量、10重量%超の量、15重量%超の量、20重量%超の量、かつ、50重量%未満の量で含まれる、エアロゾル生成材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記ウェブ構築繊維は、亜麻繊維、麻繊維、アバカ繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、竹繊維、ココナッツ繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、またはそれらの任意の組み合わせを含む、エアロゾル生成材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記抽出されたカカオハスク繊維及び前記ウェブ構築繊維は、60°SR超の量、65°SR超の量、70°SR超の量、または75°SR超の量、かつ、90°SR未満の量または95°SR未満の量で精製されている、エアロゾル生成材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記再構成カカオハスク材料は、充填材料粒子を含む、エアロゾル生成材料。
【請求項9】
請求項8に記載のエアロゾル生成材料であって、
前記充填材料粒子は、炭酸カルシウム粒子を含み、
前記炭酸カルシウム粒子は、前記再構成カカオハスク材料に、2重量%~10重量%の量、または3重量%~10重量%の量で含まれる、エアロゾル生成材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記再構成カカオハスク材料は、40gsm~120gsm、または55gsm~85gsmの坪量を有する、エアロゾル生成材料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
前記再構成カカオハスク材料は、燃焼制御剤で処理されている、エアロゾル生成材料。
【請求項12】
請求項11に記載のエアロゾル生成材料であって、
前記燃焼制御剤は、カルボン酸の塩を含み、
前記カルボン酸の塩は、クエン酸塩またはコハク酸塩を含み、
前記燃焼制御剤は、前記再構成カカオハスク材料に、0.1重量%~5重量%の量、または1重量%~2重量%の量で含まれる、エアロゾル生成材料。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル生成材料であって、
当該エアロゾル生成材料は、当該エアロゾル生成材料のストリップ、細片、またはそれらの任意の組み合わせからなる充填材料を含む、エアロゾル生成材料。
【請求項14】
喫煙物品であって、
喫煙可能なロッドと、
喫煙可能なロッドを包装する包装材料と、を含み、
前記喫煙可能なロッドが、上記の請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル生成材料を含む、喫煙物品。
【請求項15】
喫煙物品であって、
上記の請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル生成材料を含み、
前記エアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱することによって、吸入可能なエアロゾルを生成するように構成された、喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年6月5日出願の米国特許出願第62/857、627号、及び2019年2月11日出願の米国特許出願第62/803、908号に基づく優先権を主張するものである。上記両出願の開示内容は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー、パイプなどの従来の喫煙物品は、タバコ材料を、該材料から揮発性化合物が放出される温度で燃焼させる。タバコ材料から放出された揮発性化合物は、主流煙としてユーザ(喫煙者)に吸入される。ユーザに供給される主流煙は、ユーザが味わう特徴的な味を有するだけでなく、肺を介して血液中に吸収される揮発性化合物を使用者に供給することができる。揮発性化合物は、心地良さと心を落ち着かせる効果をユーザに提供することができる。例えば、タバコ材料には、ニコチンを含む3、000種類以上の潜在的な生理活性化合物が含まれている。
【0003】
タバコベースの喫煙物品に加えて、最近、様々な非タバコベースの喫煙物品が提案されている。例えば、タバコ材料を使用して喫煙物品を製造することに対する代替案の1つは、タバコ材料をハーブ組成物に置き換えることである。ハーブ組成物は、ニコチンを含まないように調製される。このようなハーブ喫煙製品は、ハーブ組成物として、例えば、ターメリック、クローブ、甘草、ショウガ、ビャクダン、シナモン、またはクミンを含む。ハーブ喫煙製品は、ニコチンの濃度は低いが、燃焼または加熱すると刺激的な味が生じる場合が多い。加えて、多くのハーブ喫煙製品は、活性成分が全く含まれていないので、多くのユーザにとって魅力がない。
【0004】
近年、カナダや米国の多くの州では、医療や娯楽の目的での大麻の使用が合法化された。医療分野では、様々なカンナビノイドを含有する大麻は、オピオイドなどの従来の鎮痛剤の使用に代わる合法的な疼痛緩和としてますます一般的になってきている。大麻には、例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール(CBD)が含まれている。THCは、脳内の特定の受容体に作用して、多幸感やリラックス状態をもたらす。CBDは、脳の痛覚受容体に作用する。しかし、CBDは、THCによって生じるような多幸感をもたらさない。しかしながら、CBDは、鎮痛作用や抗炎症効果を発揮する。
【0005】
最近の法律を考慮して、当業者は、大麻から製造されたエアロゾル生成物品、例えば喫煙物品などの改良に努めている。しかしながら、エアロゾルの吸入によって、大麻成分を患者またはユーザに送達することには、様々な問題が存在する。例えば、THC及び/またはCBDの送達量は、エアロゾルまたは煙を生成するために使用される特定の植物や特定の植物の部分に応じて著しく異なる。また、例えば、大麻材料を単に巻き紙で巻くだけでも、使用する紙、包装密度、使用される植物の部分、植物を用意する方法などの様々な因子に基づいて、送達量は著しく不均一になる。さらに、THC及びCBDに加えて、大麻は、60種類以上のカンナビノイド化合物と、400種類以上の他の化合物を含有しており、それらは、製品に悪い味及び/または過酷な喫煙経験を与える可能性がある。
【0006】
上記の観点から、現在、製品によって生成されるエアロゾル中の生理活性化合物の送達量を制御することができる改良されたエアロゾル生成材料が現在求められている。特に、エアロゾルを介してニコチン、THC、CBD、香料などの様々な活性化合物の送達量を制御することができるエアロゾル生成材料が求められている。より詳細には、活性化合物を均一かつ一貫した態様で送達するだけでなく、所望の量で送達することができ、かつ、心地よいまたはニュートラルな味を提供することができるエアロゾル生成材料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、本開示は、エアロゾル生成物品に組み込んだときに、ユーザに送達される活性化合物の量を制御及び調節することができるエアロゾル生成材料に関する。エアロゾル生成物品は、例えば、喫煙物品であってもよいし、「非燃焼加熱式」の物品であってもよい。
【0008】
一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、抽出されたカカオハスク繊維をウェブ構築繊維と組み合わせた再構成カカオハスク材料を含む。ウェブ構築繊維は、脱リグニン化セルロース繊維、例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせなどを含み得る。
【0009】
本開示のエアロゾル生成材料は、再構成カカオハスク材料に適用されるエアロゾル送達組成物をさらに含む。エアロゾル送達組成物は、エアロゾル送達物質を含有する。本開示のエアロゾル生成材料がエアロゾルを生成したとき、エアロゾル生成物質はエアロゾル中に制御された量で含有される。
【0010】
エアロゾル送達物質は、油または固体の形態であり得、薬物または香料を含み得る。再構成カカオハスク材料に適用可能なエアロゾル送達物質としては、ニコチン、カンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、またはそれらの組み合わせ)、糖類、甘草抽出物、蜂蜜、コーヒー抽出物、メープルシロップ、茶抽出物、植物抽出物、植物抽出物、タバコ抽出物、果実抽出物、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。エアロゾル送達物質は、再構成カカオハスク材料に、約0.1重量%超の量、例えば約1重量%超の量、例えば約3重量%超の量、例えば約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、例えば約20重量%超の量、例えば約25重量%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約35重量%超の量、または例えば約40重量%超の量、かつ、一般的に約50重量%未満の量で含まれ得る。
【0011】
再構成カカオハスク材料は、抽出されたカカオハスク繊維とウェブ構築繊維との組み合わせを含む。ウェブ構築繊維は、脱リグニン化セルロース繊維、例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせなどを含み得る。再構成カカオハスク材料は、水溶性カカオハスク成分を、約50重量%未満の量、例えば10重量%未満の量で含有する。本開示のエアロゾル生成材料は、保湿剤をさらに含み得る。保湿剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み得る。保湿剤は、本開示のエアロゾル生成材料に、様々な量で含まれ得る。例えば、一実施形態では、保湿剤は、本開示のエアロゾル生成材料に、約5重量%以下の量で含まれ得る。あるいは、保湿剤は、本開示のエアロゾル生成材料に、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、または例えば約20重量%超の量、かつ、一般的に約50重量%未満の量で含まれ得る。
【0012】
ウェブ構築繊維は、木材パルプ繊維に加えて、亜麻繊維、麻繊維、アバカ繊維、竹繊維、ココナッツ繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ウェブ構築繊維は、再構成カカオハスク材料に、約20重量%超の量、例えば約30重量%超の量、または例えば約40重量%超の量、かつ一般的に約70重量%未満の量で含まれ得る。例えば、ウェブ構築繊維は、再構成カカオハスク材料に、約35重量%未満の量、例えば約30重量%未満の量、または例えば約28重量%未満の量、かつ、一般的に約20重量%超の量、例えば約23重量%超の量で含まれ得る。
【0013】
再構成カカオハスク材料に含まれるウェブ構築繊維の量は、水溶性成分の量に依存し得る。例えば、一実施形態では、再構成カカオハスク材料が水溶性成分を約10重量%未満の量で含有する場合、再構成カカオハスク材料は、ウェブ構築繊維を約25%~約30重量%の量で含み、カカオハスク繊維を約65%~約70重量%の量で含む。一方、再構成カカオハスク材料が水溶性成分を10重量%超の量で含有する場合、再構成カカオハスク材料は、ウェブ構築繊維を約20%~約25重量%で含有し、カカオハスク繊維を約53%~約57重量%で含有し得る。なお、上記の実施形態は、単なる例示であり、各繊維の相対的な量は様々であり得る。しかしながら、上記の実施形態は単に例示的なものであり、各ファイバの相対的な量は変化し得る。
【0014】
再構成カカオハスク材料は、約40gsm~約120gsm、例えば、約55gsm~約85gsmの坪量を有し得る。再構成カカオハスク材料の坪量は、例えば、約83gsm未満、例えば約80gsm未満、例えば約78gsm未満、または例えば約70gsm未満、かつ、一般的に約55gsm超、例えば約58gsm超であり得る。一実施形態では、再構成カカオハスク材料は、燃焼制御剤で処理してもよい。再構成カカオハスク材料は、ストリップ、細片、またはそれらの組み合わせの形態などの充填材料の形態をとり得る。
【0015】
本発明の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0017】
図1】本開示に従って形成された再構成植物材料の一実施形態の斜視図である。
図2】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図3】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図4】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図5】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図6】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図7】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図8】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図9】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図10】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図11】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図12】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図13】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図14】実施例で得られた結果を示すグラフである。
図15】実施例で得られた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
【0019】
本明細書で使用するとき、「再構成植物材料」とは、カカオシェル(カカオ豆の外皮)などの植物原料を溶媒で抽出して、水溶性抽出物などの可溶性の抽出物と、繊維材料を含む不溶性の部分または残渣(不溶性の繊維材料)とを抽出するプロセスによって形成される材料を指す。抽出された不溶性の繊維材料は、その後、任意の適切なプロセスによってシートに形成される。可溶性の抽出物は、廃棄されるか、または、上記の形成されたシートに再適用され得る。可溶性の抽出物は、繊維材料に再適用する前に、該抽出物を濃縮するための、または、任意選択で様々な成分を除去または添加するための様々なプロセスに供してもよい。本開示では、再構成植物材料は、抽出されたカカオハスク繊維(不溶性の繊維材料)を、セルロース繊維などのウェブ構築繊維と組み合わせることによって形成される。カカオシェルから得られた可溶性の抽出物は、任意選択でシートに再適用される。
【0020】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル生成材料」とは、喫煙物品内で燃焼される可燃性材料と、加熱されるが燃焼されずに吸入可能なエアロゾルを生成するエアロゾル生成材料との両方を含むことを意味する。可燃性の喫煙物品としては、シガレット、シガリロ、シガーなどが挙げられる。シガレットでは、エアロゾル生成材料は、喫煙可能なロッドを形成するために包装材料によって包装される。エアロゾルを生成するためのエアロゾル生成装置としては、例えば、電気的加熱、または可燃性燃料要素または熱源からの熱の伝達によってエアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱し、それにより、該材料から揮発性化合物を放出させることによってエアロゾルを生成する装置が挙げられる。エアロゾル生成材料から放出された揮発性化合物は、冷却されると凝縮してエアロゾルとなり、喫煙者に吸入される。
【0021】
本明細書で使用するとき、「抽出されたカカオハスク繊維」とは、カカオハスク(カカオの殻)に含まれている水溶性成分を除去するために、カカオハスクを水溶液と接触させる抽出プロセスを経たカカオハスク繊維を指す。この抽出プロセスは、脱リグニンプロセスや漂白処理とは異なるプロセスである。
【0022】
本明細書で使用するとき、「脱リグニン化された」セルロース繊維とは、化学的手段、機械的手段、または化学的手段と機械的手段との組み合わせによってセルロース繊維を植物材料から分離するパルプ化や脱リグニンプロセスを経た繊維を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、「精製する」という用語は、植物材料が繊維状のシートまたは基材を形成するのに適するように、植物材料の繊維を改質する機械的処理を該材料に施したことを意味するために使用される。精製は、円錐リファイナ、ディスクリファイナ、またはビーター(例えば、バレービーターなど)を使用して行うことができる。この機械的プロセスは、植物材料を研削または叩解し、植物材料を変形させたり、クラスタ分離したりする。精製は、脱リグニンプロセスやパルプ化とは異なるプロセスである。
【0024】
本明細書で使用するとき、「柄(stalk)」という用語は、葉を除去した後に残る植物の主要構造部分を指すために使用される。
【0025】
本明細書で使用するとき、「茎(stem)」という用語は、葉または葉身を、柄、または、葉を通って延びる葉脈またはリブに接続する、植物の構造部分を指すために使用される。「茎」という用語は、「柄」という用語を包含しない(その逆もまた同様である)。
【0026】
本明細書で使用するとき、「大麻(cannabis)」とは、例えばカンナビスサティバやカンナビスインディカなどの、任意の種類の大麻植物を指す。より具体的には、本開示では、大麻植物の葉、茎、種子、花、または他の任意の部分を、大麻と称する。それにもかかわらず、本明細書で言及される大麻は、平均レベルもしくは高レベルのTHC及び/またはCBDを含有するマリファナ、低レベルもしくは非常に低レベルのTHCを含有するヘンプ、0.3%未満のTHCを含有する工業用ヘンプ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0027】
叩解度(濾水度)(°SR)は、一般に、精製された繊維から希薄懸濁液が排出される速度を測定する。叩解度は、排水性に関するショッパー・リーグラー法によって測定した。本明細書で使用するとき、叩解度は、NORM EN ISO 5267-1に準拠する濾水試験方法に従って測定される。
【0028】
詳細な説明
【0029】
本開示が例示的な実施形態の説明にすぎず、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解できるであろう。
【0030】
本開示は、一般的に、喫煙物品、または、非燃焼加熱式のエアロゾル生成装置に組み込んだ場合に、ユーザ(喫煙者)に送達される活性化合物の量を調節することができるエアロゾル生成材料に関する。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、抽出されたカカオハスク繊維とウェブ構築繊維とを組み合わせて形成した再構成植物材料を含む。抽出されたカカオハスク繊維を、ウェブ構築繊維と組み合わせることにより、再構成シートを形成することができる。一実施形態では、この再構成シートを切断または細断することにより、加熱または燃焼させたときにエアロゾルを生成するように構成されたばらばらの充填材料を形成することができる。
【0031】
本開示の再構成カカオハスク材料は、多くの利点及びメリットを提供する。例えば、再構成カカオハスク材料は、ニコチンを含まない。これは、この再構成カカオハスク材料は、加熱または燃焼させたときに、検出可能なレベルのニコチンを含まないエアロゾルを生成することを意味する。加えて、再構成カカオハスク材料は、従来のタバコ充填材料と比べて、生成されるタールの量が少ない。加えて、この再構成植物材料(再構成カカオハスク材料)は、喫煙したときに非常にニュートラルな味を有する。例えば、再構成植物材料から生成された主流煙またはエアロゾルは、刺激の強い成分を全く含まないのにも関わらず、心地よいニュートラルな味で快適な喫煙またはエアロゾル体験をもたらす。一実施形態では、再構成植物材料は、焙煎されたカカオ豆の匂いまたは味を有するエアロゾルを生成する。
【0032】
再構成植物材料は、喫煙時にニュートラルな味を有するので、再構成植物材料は、他の喫煙可能な充填材料及び/または局所添加剤と組み合わせるのに適している。例えば、再構成カカオハスク材料は、タバコ材料と組み合わせることにより、ニコチンの量を減少させるとともに消費者が望むタバコの味を有するエアロゾル生成充填材料を形成することができる。例えば、タバコ材料と組み合わせる場合、本開示の再構成カカオハスク材料の割合は、ニコチンの量を制御するために増やしたり減らしたりすることができる。タバコ材料と組み合わせる場合、本開示の再構成植物材料は、そのニュートラルな特性に起因して、タバコ材料の味を全く損なうことがない。また、タバコ材料と組み合わせる場合、本開示の再構成植物材料は、ニコチンの量を減少させることに加えて、刺激物の量を減少させることによって、喫煙またはエアロゾル体験を向上させることができる。
【0033】
ニコチンの量を調節することに加えて、本開示の再構成カカオハスク材料を使用して、他の活性化合物の量を調節したり、他の非タバコ充填材料の味を改善したりすることができる。例えば、再構成カカオハスク材料は、ハーブ充填材料の1以上の特性を改善するために、ハーブ充填材料と組み合わせることができる。
【0034】
加えて、再構成カカオハスク材料は、活性物質を受容するための担体としても非常に適している。活性物質は、再構成カカオハスク材料の燃焼または加熱中に、エアロゾルを介して、均一かつ一貫した態様でユーザに送達される。例えば、再構成カカオハスク材料を使用して、様々な薬物及び香料をユーザに送達したり、その送達量を調節したりすることができる。例えば、一実施形態では、本開示の再構成カカオハスク材料は、THCやCBDなどのカンナビスカナビノイドを、制御された量で、均一かつ一貫した態様で送達するための送達ビヒクルとして使用することができる。
【0035】
上述したように、本開示の再構成植物材料は、一般的に、抽出されたカカオハスク繊維をウェブ構築繊維と組み合わせることによって形成される。本開示で使用されるカカオ材料は、カカオの木とも呼ばれるテオブロマカカオから得られる。カカオの木は、熱帯原産の常緑樹である。カカオの木には、カカオポッド(カカオの実)と呼ばれる果物が実る。カカオポッドは、一般的に黄色からオレンジ色を有し、熟すと1ポンド以上の重さになる。カカオポッドは、チョコレート、ジュース、ゼリーなどを製造するために使用される10~80個のカカオ豆を含む。カカオポッドからカカオ豆を取り出した後、そのカカオ豆を日光及び/または紫外線に曝して、乾燥硬化または発酵させる。個々の豆は、ハスクまたはシェルで覆われている。ハスクまたはシェルは、カカオ豆を食品製造に使用する前に、カカオ豆から除去される。本開示の再構成植物材料は、カカオのハスクまたはシェルから形成されるが、カカオポッドの他の成分を使用してもよい。
【0036】
カカオのハスクまたはシェルは、基材及びウェブ材料の作製によく適した繊維を含んでいる。一実施形態では、カカオハスクは、任意選択で切断または粉砕され、その後、水溶性成分を除去するための抽出プロセスに供される。次いで、抽出されたカカオハスク繊維をウェブ構築繊維と組み合わせて、再構成シートなどの基材に形成する。基材は、任意選択で、カカオハスクから得られた抽出物で処理してもよい。あるいは、カカオハスクから得られた抽出物は、非水溶性繊維や他の材料と再び組み合わせないで、廃棄してもよい。再構成植物材料は、その後、乾燥させられ、喫煙可能な充填材料などのエアロゾル生成材料に形成される。エアロゾル生成材料は、任意選択で、他の様々な成分と組み合わせてもよい。例えば、エアロゾル生成材料は、様々なエアロゾル送達物質で処理してもよい。また、エアロゾル生成材料は、タバコ材料や他のハーブ充填材料などの他の様々なエアロゾルまたは喫煙充填材料と組み合わせてもよい。
【0037】
本開示に従って形成されたエアロゾル生成材料は、様々な種類の消費者製品に使用することができる。例えば、一実施形態では、エアロゾル生成材料は、タバコ、シガリロ、シガーなどの喫煙物品に組み込むことができる。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、パイプで使用するための、または消費者が自分でタバコまたは他の喫煙物品を形成するのを可能にするための、ばらばらの充填材料としてパッケージ化して販売することができる。別の実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、該材料を燃焼させるのではなく該材料を加熱することによって、ユーザに吸入されるエアロゾルを生成する装置(非燃焼加熱式装置)に組み込むことができる。エアロゾル生成材料は、切断、細断、または他の方法によって、特定の用途及び製品に最も適した形態に加工することができる。
【0038】
本開示の再構成植物材料を形成するときは、まず、カカオのハスクまたはシェルを収集し、任意選択でサイズを小さくする。例えば、一実施形態では、カカオ成分に対してグラインド操作、ミリング操作またはビート操作を施して、カカオ成分のサイズを小さくしたり、カカオ成分を個々の繊維に小さくしたりすることができる。例えば、一実施形態では、カカオシェルを含むカカオ材料をハンマーミルに供給して、カカオ材料をスクリーンに対して叩いて、繊維状の材料を製造することができる。
【0039】
任意選択でカカオハスクのサイズを小さくした後、カカオハスクに、水溶性成分を除去するための抽出プロセスを施す。この抽出プロセスには、様々な利点がある。例えば、抽出プロセスは、カカオハスクからペクチンを除去することができ、これによって、カカオハスクを繊維基材または再構成植物材料シートに加工することが容易になる。また、カカオハスクからペクチンを除去することは、最終製品のニュートラルな味にも寄与すると考えられる。
【0040】
また、カカオハスクに抽出プロセスを施すことにより、カカオハスクを洗浄し、カカオハスクの表面に存在し得る除草剤、農薬、及び/または微生物を除去することができる。
【0041】
抽出プロセス中に、カカオハスクに溶媒を接触させて、カカオハスクから水溶性成分を除去する。一実施形態では、溶媒は、水のみを含む。別の実施形態では、アルコール(例えばエタノール)などの水混和性を有する様々な溶媒を水と組み合わせて、水性溶媒を形成する。水性溶媒の含水率は、いくつかの例では、溶媒の50重量%超、とりわけ、90重量%超であり得る。脱イオン水、蒸留水、または水道水を使用してもよい。
【0042】
水性溶媒に加えて、他の様々な非水性溶媒を使用してもよい。例えば、他の実施形態では、油または油脂を溶媒として使用してもよい。油または油脂は、単独で使用してもよいし、または、水と組み合わせて二相溶媒を形成してもよい。
【0043】
懸濁液中の溶媒の量は幅広い範囲をとることができるが、一般的には、懸濁液の約50重量%~約99重量%の量、いくつかの実施形態では約60重量%~約95重量%の量、いくつかの実施形態では約75重量%~約90重量%の量であり得る。しかしながら、溶媒の量は、溶媒の性質、抽出を行う温度、及びカカオ原料の種類によって様々であり得る。
【0044】
溶媒とカカオ原料との混合物を形成した後、その混合物の可溶性画分の一部または全部を混合物から分離する。溶媒とカカオ原料との混合物は、可溶化速度を増加させるために、撹拌、振盪、または他の混合方法を用いてかき混ぜられる。一般的に、このプロセスは、約30分~約6時間実施される。プロセス温度は、約10℃~約100℃の範囲、例えば約40℃~約80℃の範囲であり得る。
【0045】
カカオ材料を抽出剤中に浸漬させた後、プレス機を使用して、カカオ液または抽出物から不溶性のカカオ材料を機械的に分離する。可溶性画分をカカオ原料または不溶性画分から分離した後、可溶性画分は廃棄するか、または濃縮などの処理が施される。可溶性画分は、真空蒸発器などの任意の既知の種類の濃縮器を使用して濃縮することができる。本開示の一実施形態では、可溶性画分は、高濃度であり得る。一実施形態では、例えば、カカオ可溶性画分は、約10%~約50%、例えば約15%~約35%の最終ブリックスを有するように蒸発させる。
【0046】
上記のようにして得られた濃縮されたカカオ可溶性画分は、別のプロセスで使用してもよいし、または、以下でより詳細に説明するように、後で本開示の再構成植物材料上にコーティングしてもよい。
【0047】
上記のようにして得られたカカオ不溶性画分は、一般的に、未精製の状態にある。カカオ材料は、粒子及び繊維を含み得る。一実施形態では、抽出されたカカオ不溶性画分は、精製プロセスに供される。例えば、抽出されたカカオハスク繊維は、円錐リファイナやディスクリファイナなどの任意の適切なリファイニングデバイスに供給することができる。使用することができる他の精製装置としては、バレービーターなどのビーターが挙げられる。精製は、カカオ材料が湿っている状態で、または、カカオ材料を水と混合した後に行うことができる。例えば、一実施形態では、カカオハスク材料は、そのコンシステンシーが約10%未満、例えば約5%未満、例えば約3%未満の状態で精製される。
【0048】
本開示によれば、抽出されたカカオハスク繊維は、再構成植物材料などの繊維基材を形成するときに、ウェブ構築繊維と組み合わされる。例えば、抽出されたカカオハスク繊維を水または水溶液と組み合わせてスラリーまたはパルプ懸濁液を形成する。脱リグニン化セルロース繊維などのウェブ構築繊維は、スラリーの形成時に、カカオハスク材料と組み合わせてもよい。ウェブ構築繊維は、抽出されたカカオハスク繊維と組み合わせて、精製プロセスに供される。あるいは、抽出されたカカオハスク繊維は、精製プロセスを施した後に、ウェブ構築繊維と組み合わせてもよい。さらに別の態様では、抽出されたカカオハスク繊維は、精製プロセスを施した後にウェブ構築繊維と組み合わされ、その後、さらなる精製プロセスに供される。
【0049】
抽出されたカカオハスク繊維及び/またはウェブ構築繊維を精製する量は、その後に形成される再構成材料の様々な特性に影響を与える。例えば、カカオハスク材料及び/またはウェブ構築繊維の精製量を増加させると、再構成材料の切断及び細断を容易にすることができる。加えて、精製量を増加させると、粒子を保持しやすくなり、これにより、再構成材料の取り扱い時の粒子の損失を防止することができる。
【0050】
一態様では、カカオハスク材料とウェブ構築繊維とを合わせて、約60°SR超、例えば約65°SR超、例えば約70°SR超、例えば約75°SR超の精製レベルまたは精製度を有し得る。精製レベルは、一般的に、約100°SR未満、例えば約90°SR未満、例えば約80°SR未満であり得る。
【0051】
抽出されたカカオハスク繊維とウェブ構築繊維とを含む繊維スラリーを使用して、連続した再構成シートを形成する。例えば、一実施形態では、繊維スラリーは、成形ワイヤ、重力ドレイン、吸引ドレイン、フェルトプレス、及び乾燥機(ヤンキー乾燥機やドラム乾燥機など)を含み得る製紙プロセスに供される。例えば、一実施形態では、繊維スラリーは、フォードリニア・テーブル上で連続シートに形成される。抽出されたカカオハスク繊維をセルロース繊維と組み合わせることの利点の1つは、それらを組み合わせた繊維原料を従来の製紙装置で処理できることである。
【0052】
一実施形態では、繊維スラリーは、多孔質形成面上に置かれ、シートに形成される。余分な水は、重力ドレイン及び/または吸引ドレインによって除去される。加えて、水の除去を容易にするために、様々なプレスを用いることができる。形成されたシートを乾燥させた後、さらなる処理を施すことができる。
【0053】
再構成材料は、他の様々な方法を用いて形成することもできる。例えば、一実施形態では、抽出されたカカオハスク繊維及びウェブ構築繊維を押出加工することにより、再構成材料を形成することができる。一実施形態では、再構成材料は、膨張プロセスを施すこともできる。例えば二酸化炭素などの気体や発泡剤を使用して、発泡シートを形成することができる。適切な膨張媒体としては、デンプン、プルランまたは他の多糖類、固体発泡剤、その場でガス状成分を提供する無機塩及び有機酸、有機ガス剤、無機ガス剤、及び、揮発性液体発泡剤が挙げられる。また、押出加工は、シート材料に加えて、ロッドやストランドの形成を可能にする。
【0054】
一態様では、再構成植物材料は、キャストリーフプロセスに従って形成することができる。キャストリーフプロセスでは、植物材料を細断した後、バインダーなどの他の材料と混合して、スラリーを形成する。スラリー中に、ウェブ構築繊維を入れる。ウェブ材料を形成するために、スラリーをシート形成装置に移送する。シート形成装置は、連続ベルトであり得、このベルト上にスラリーを連続的に分散させる。このベルト上でスラリーを広げてシートを形成する。その後、シートを、熱などで乾燥させる。シートは、製品を形成するために、ボビンへの巻き取り、トリミング、スリット、または他の方法で操作され得る。
【0055】
任意選択で、形成された包装材料は、不溶性画分から分離された濃縮されたカカオ可溶性部分などのカカオ可溶性部分で処理してもよい。カカオ可溶性部分は、スプレー、サイズプレスの使用、サチュレート(saturating)などの様々な塗布方法を用いてウェブに適用することができる。再構成材料に適用される水溶性カカオ抽出物の量は、様々な要因及び予想される最終用途に依存する。一般的に、水溶性カカオ抽出物は、下層材料のニュートラルな味に悪影響を及ぼすことのない量で、再構成植物材料に適用される。
【0056】
一実施形態では、水溶性カカオ抽出物は、約10重量%未満の量、例えば約8%未満の量、例えば約6重量%未満の量、例えば約4重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、または例えば約1重量%未満の量、かつ、一般的に約0.5重量%超の量で含まれるように、再構成材料に適用される。
【0057】
一実施形態では、より多くの量の水溶性カカオ抽出物を再構成材料に適用してもよい。例えば、別の実施形態では、水溶性カカオ抽出物は、約8重量%超の量、例えば約10重量%超の量、または例えば約12重量%超の量、かつ、一般的に約25重量%未満の量、例えば約23重量%未満の量、例えば約21%未満の量、例えば20重量%未満の量、または例えば約18重量%未満の量で含まれるように、再構成材料に適用される。
【0058】
上述したように、本開示の再構成植物材料は、一般的に、抽出されたカカオハスク繊維と、ウェブ構築繊維との組み合わせを含む。ウェブ構築繊維は、再構成された植物材料または繊維基材に、再構成材料に強度及び/または完全性を付与することができる量で組み込まれる。また、再構成植物材料にウェブ構築繊維を組み込むことにより、カカオ繊維及び他のカカオ成分を保持することができ、これにより、それらが繊維基材から分離するのを防止することができる。一般的に、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料の少なくとも1つの物理的特性を改善するのに適した任意の繊維であり得る。
【0059】
様々な種類のウェブ構築繊維を使用することができる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、脱リグニン化セルロース繊維である。例えば、ウェブ構築繊維は、針葉樹繊維や広葉樹繊維などの木材パルプ繊維を含み得る。使用することができる他のセルロース繊維としては、亜麻繊維、麻繊維、アバカ繊維、竹繊維、ココナッツ繊維、綿繊維、カポック繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の一実施形態では、再構成植物材料は、針葉樹繊維を単独で含むか、または、アバカ繊維などの他の繊維と組み合わせて含む。
【0060】
一般的に、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料に、約10重量%超の量、例えば約15%超の量、20重量%超の量、例えば約25重量%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約35重量%超の量、または例えば約40重量%超の量で含まれる。また、ウェブ構築繊維は、一般的に、再構成植物材料に、約70重量%未満の量、例えば約60重量%未満の量、例えば約55重量%未満の量、または例えば約50重量%未満の量で含まれる。
【0061】
一態様では、再構成植物材料に使用するために選択されるウェブ構築繊維の量は、再構成材料に完全性を付与することができる量であり得る。しかしながら、ウェブ構築繊維の量が多いと、再構成材料を切断または細断するときの困難さが増大する。また、ウェブ構築繊維の量が増加すると、「紙」のような味を有するエアロゾルの生成をもたらす。上記の観点から、一態様では、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料に、約18重量%超の量、例えば約20重量%超の量、または例えば約22重量%超の量で含まれ得る。また、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料に、約30重量%未満の量、例えば約28重量%未満の量、または例えば約26重量%未満の量で含まれ得る。例えば、一態様では、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料に、約20%~約25重量%の量で含まれ得る。別の態様では、ウェブ構築繊維は、再構成植物材料に、約23%~約27重量%の量で含まれ得る。
【0062】
一実施形態では、再構成植物材料に組み込まれたウェブ構築繊維は、長い繊維と短い繊維との組み合わせを含む。長い繊維は、一般的に、約2mm超の平均長さを有する。一方、短繊維は、一般的に、約1.5mm未満の平均長さを有する。長い繊維は、強度及び完全性を改善するために使用することができる。一方、短い繊維は、繊維基材中のカカオ繊維及び他の成分をより良好に保持することができる。一実施形態では、例えば、短繊維は、再構成植物材料に、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、かつ、一般的に約20重量%未満の量で含まれ得る。一方、長い繊維は、再構成ウェブ材料に、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、または例えば約20重量%超の量、かつ、一般的に約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量で含まれ得る。一実施形態では、短い繊維は広葉樹繊維を含み、長い繊維は針葉樹繊維を含む。例えば、長い繊維と短い繊維との重量比は、約6:1~約1:2、例えば約6:1~約1:0.75であり得る。例えば、長い繊維(例えば針葉樹繊維)と短い繊維(例えば硬木繊維)との重量比は、約4:1~約1:1であり得る。上述したように、再構成植物材料に含まれるウェブ構築繊維の総量は、一態様では、上記重量比と併せて、約18%~約30%、例えば約20重量%~約28重量%であり得る。
【0063】
一実施形態では、再構成ウェブ材料は、保湿剤をさらに含むことができる。保湿剤は、様々な利点及びメリットを提供するために、様々な理由で再構成植物材料に組み込むことができる。例えば、一実施形態では、再構成された繊維基材の加工性及び取り扱い性を改善するために、保湿剤が再構成植物材料に組み込まれる。別の実施形態では、保湿剤を再構成植物材料に大量に添加することにより、再構成植物材料が、吸入可能なエアロゾルを生成するための非燃焼加熱式用途によく適するようにすることができる。
【0064】
様々な保湿剤を再構成植物材料に組み込むことができる。保湿剤としては、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。使用することができる他の保湿剤としては、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、二酢酸グリセリル、三酢酸グリセリル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、またはそれらの任意の組み合わせ(グリセロール及び/またはプロピレングリコールとの組み合わせを含む)が挙げられる。
【0065】
上述したように、再構成植物材料に含まれる保湿剤の量は、様々な要因に依存し得る。一実施形態では、例えば、保湿剤は、再構成植物材料に、約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、かつ、一般的に約1重量%超の量で含まれる。他の実施形態では、保湿剤は、再構成植物材料に、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、または例えば約20重量%超の量、かつ、一般的に約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量、例えば約30重量%未満の量、または例えば約25重量%未満の量で含まれる。再構成植物材料に約10~40重量%の量、例えば約12~約30%の量、または例えば約15~約25%の量で添加すると、保湿剤は、再構成植物材料を燃焼させることなく加熱したときにエアロゾルの生成を促進するエアロゾル生成剤としての役割を果たす。さらに別の態様では、保湿剤は、再構成植物材料に、約3~8重量%の量、例えば約4~6重量%の量で含まれる。
【0066】
本開示の再構成植物材料はまた、他の様々な任意選択の成分を含むことができる。例えば、一実施形態では、再構成植物材料は、任意選択で、燃焼制御剤で処理してもよい。燃焼制御剤は、材料の燃焼速度を制御したり、材料の燃焼時に生成される灰のコヒーレンス及び/または色を改善したりするための灰調整剤として機能することができる。
【0067】
燃焼制御剤は、例えば、カルボン酸の塩を含み得る。例えば、燃焼制御剤は、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。使用可能な燃焼制御剤の例としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、炭酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、硝酸、リン酸、またはそれらの任意の組み合わせの塩が挙げられる。使用可能な特定の燃焼制御剤としては、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。存在する場合、燃焼制御剤は、再構成植物材料に、一般的に約0.1重量%超の量、例えば約0.5重量%超の量、または例えば約1重量%超の量、かつ、一般的に約5重量%未満の量、例えば約4重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、または例えば約2重量%未満の量で適用することができる。
【0068】
本開示の再構成植物材料は、任意選択で、充填材料を含み得る。充填材料は、再構成植物材料の形成を容易にするため、及び/または、再構成植物材料の外観に影響を与えるためなどの任意の所望の目的のために、再構成ウェブ材料に組み込まれた粒子を含み得る。再構成ウェブ材料に組み込むことができる充填材料粒子は、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、カオリン粘土、ベントナイト、またはそれらの任意の組み合わせから作製することができる。充填材料粒子は、任意選択で、再構成ウェブ材料に、約1重量%超の量、例えば約3重量%超の量、例えば約5重量%超の量、または例えば約10重量%超の量、かつ、一般的に約30重量%未満の量、例えば約25%未満の量、約20重量%未満の量、例えば約15重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量、または例えば約8重量%未満の量で組み込むことができる。
【0069】
上述したようにして、再構成植物材料を繊維基材に形成すると、この繊維基材は、任意の適切な喫煙物品、または、非燃焼加熱式装置で使用するためのエアロゾル生成材料として使用することができる。一実施形態では、再構成植物材料は、まず、細断または切断プロセスに供することによって、ばらばらの充填材料に形成される。例えば、ばらばらの充填材料は、ストリップ、細片、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。そして、ばらばらの充填材料は、任意の適切なエアロゾル生成装置または喫煙物品に充填される。
【0070】
例えば、図1を参照すると、本開示に従って形成した再構成植物材料製の充填材料10の一実施形態が示されている。図示のように、充填材料10は、ばらばらの充填材料を形成する材料の細片またはストリップから形成される。
【0071】
一態様では、再構成植物材料は、該材料が切断及び/または細断しやすいように形成することができる。加えて、再構成植物材料は、該材料の取り扱い時に粒子または材料片が脱離しないように形成することができる。例えば、一実施形態では、製品の切断性を向上させるために、再構成植物材料に含まれるウェブ構築繊維の量を、該材料の強度を損なわない範囲で最小にする。さらに、針葉樹繊維などの長い繊維の代わりに、またはそれに加えて、広葉樹繊維などの短い繊維を使用してもよい。また、製品の切断性を向上させ、かつ、取り扱い時の粒子の損失を防止するために、繊維の精製度を高めるようにしてもよい。また、材料の坪量を減らすことにより、切断性を向上させることができる。
【0072】
本開示の再構成植物材料は、非常にニュートラルで快い味を有するエアロゾルまたは煙を生成する。再構成植物材料から生成されたエアロゾルは、刺激の強い成分を含んでいない。実際、抽出されたカカオハスク繊維の存在は、いくつかの実施形態では、焙煎したカカオの香り及び/または味を生成することができる。特に有利な点は、本開示の再構成植物材料は、ニコチンを含まないので、ニコチンを含まない喫煙物品またはニコチンを含まないエアロゾル生成製品を製造するため、または、上記製品におけるニコチン送達を制御するために使用できることである。
【0073】
一実施形態では、例えば、本開示の再構成植物材料をタバコ材料と組み合わせることにより、タバコ材料自体から生成されるエアロゾルと比べてニコチン量が少ないエアロゾルまたは煙を生成するエアロゾル生成材料を形成することができる。例えば、本開示の再構成植物材料は、制御された所望の量のニコチンを有するエアロゾルを生成するエアロゾル生成材料を生成することができる量で、任意の適切なタバコ材料と組み合わせてもよい。例えば、ニコチンの量は、一実施形態では、再構成植物材料の約0.5重量%未満であり得る。別の実施形態では、ニコチンの量は、再構成植物材料の約0.5重量%超であり得る。
【0074】
本開示の再構成植物材料とブレンドされるタバコ材料は、例えば、切り葉タバコ、再構成タバコ材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、本開示の再構成植物材料は、ニコチン量が少ない、かつ、所望の味及び匂いを有するエアロゾル生成材料を形成するために、タバコ材料と均一にブレンドされるばらばらの充填材料の形態をとり得る。例えば、エアロゾル生成材料は、本開示の再構成植物材料を、約5重量%超の量、例えば約20%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約40重量%超の量、例えば約50重量%超の量、例えば約60%量超の量、例えば約70重量%超の量、または例えば約80重量%超の量で含み得る。本開示の再構成植物材料は、得られるエアロゾル生成材料が、再構成植物材料を約90重量%未満の量、例えば約80重量%未満の量、例えば約70量%未満の量、例えば約60重量%未満の量、例えば約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量、または例えば約30重量%未満の量で含むように、タバコ材料と組み合わせてもよい。例えば、一実施形態では、エアロゾル生成材料は、本開示の再構成植物材料を約5%~約30重量%の量、例えば約10%~約20重量%の量で含み得る。別の実施形態では、より多くの量の再構成植物材料をエアロゾル生成材料に組み込んでもよい。この実施形態では、再構成植物材料は、約30重量%~約80重量%の量、例えば約40重量%~約60重量%の量で、エアロゾル生成材料に含まれ得る。上記の重量パーセントは、エアロゾル生成材料の総重量に基づくものである。エアロゾル生成材料の残りの部分は、タバコ充填材料のみを含み得る。
【0075】
タバコのニコチン量を制御する場合と同様に、本開示の再構成カカオハスク材料を使用して、大麻材料に含まれる1種類以上のカンナビノイドの量を制御することができる。例えば、本開示の再構成植物材料は、乾燥させた花、乾燥させた芽、乾燥させた葉、再構成大麻材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む大麻材料とブレンドしてもよい。例えば、一実施形態では、本開示の再構成植物材料は、制御された量のカンナビノイド、及び、所望の味及び匂いを有するエアロゾル生成材料を形成するために、大麻材料と均一にブレンドされるばらばらの充填材料の形態をとり得る。例えば、エアロゾル生成材料は、本開示の再構成カカオハスク材料を、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約20%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約40重量%超の量、例えば約50重量%超の量、例えば約60%量超の量、かつ、一般的に約90重量%未満の量、例えば約80重量%未満の量、例えば約70量%未満の量、例えば約60重量%未満の量、例えば約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量、または例えば約30重量%未満の量で含み得る。同様に、エアロゾル生成材料は、大麻充填材料を、約5重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約20%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約40重量%超の量、例えば約50重量%超の量、例えば約60%量超の量、かつ、一般的に約90重量%未満の量、例えば約80重量%未満の量、例えば約70量%未満の量、例えば約60重量%未満の量、または例えば約50重量%未満の量で含み得る。
【0076】
タバコ材料及び/または大麻充填材料と組み合わせることに加えて、本開示の再構成植物材料は、任意の適切なエアロゾル生成充填材料と組み合わせてもよいことを理解されたい。例えば、本開示の再構成植物材料は、ハーブ植物、植物、または樹木と組み合わせてもよい。ハーブ植物、植物、または樹木の例としては、例えば、カカオの木、コーヒーの木またはコーヒー豆、茶の木または茶葉、つる植物、ショウガ、イチョウ、カモミール、トマト、ツタ、マテ、ルイボス、キュウリ、ミント、穀物(小麦、大麦、ライ麦など)、他の樹木(広葉樹、樹脂樹など)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0077】
他のエアロゾル生成材料と組み合わせることに加えて、またはその代わりに、本開示の再構成植物材料は、エアロゾル送達物質を保持するのに好適である。例えば、再構成植物材料は、吸収性が高く、最大で50重量%の局所添加剤を含み得る。この点に関して、本開示の再構成植物材料は、様々なエアロゾル送達組成物のための担体としての機能を果たすのにも好適である。各エアロゾル送達組成物は、例えば、1種類以上のエアロゾル送達物質を含むことができる。本開示の再構成植物材料は、該材料から生成されたエアロゾルを介して、1種類以上のエアロゾル送達物質を、制御された量で、均一かつ一貫した態様で、ユーザに送達することができる。
【0078】
本開示の再構成植物材料に適用可能なエアロゾル送達組成物としては、溶液、懸濁液、及び油などが挙げられる。例えば、溶液及び懸濁液を再構成植物材料に適用し、次いで乾燥させることにより、繊維基材内に固体の残渣を残すことができる。
【0079】
一実施形態では、エアロゾル送達組成物は、再構成植物材料に適用するために、植物から植物物質を抽出することによって得ることができる。それに加えてまたはその代わりに、本開示は、再構成材料に適用される改変植物物質を得るために、植物物質から少なくとも1つの化合物を単離するステップ、植物物質を濃縮するステップ、または植物物質から化合物を精製または除去するステップを含み得る。任意選択であるが、このようなプロセスは、再構成材料に適用される植物物質の所望の最終特性に基づいて、乾燥抽出物、液体抽出物、液体、または単離物質のいずれの形態で、元の生の植物物質を改変された植物物質に変換することができる。当然ながら、植物物質は、元の植物物質または改変された植物物質であってもよいが、一実施形態では、植物物質は、抽出後にさらなる処理を施すことなく、再構成植物材料に適用される。さらに、エアロゾル送達組成物は、植物から抽出されるものとして記載されているが、合成または天然由来のエアロゾル送達組成物(つまり、抽出する必要がない)を使用してもよいことを理解されたい。
【0080】
エアロゾル送達組成物に含まれ得るエアロゾル送達物質の例としては(ニコチンに加えて)、糖類、甘草抽出物、メントール、蜂蜜、コーヒー、メープルシロップ、タバコ、草木の抽出物、植物抽出物、茶、果実抽出物、香料(クローブ、アニス、シナモン、ビャクダン、ゼラニウム、ローズオイル、バニラ、キャラメル、ココア、レモンオイル、カシア、スペアミント、フェンネル、ショウガなど)、香料やアロマ(ココア、バニラ、キャラメルなど)、人工的なフレーバーや香料(バニリンなど)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。再構成植物材料に適用される抽出物は、水溶性または油溶性であり得る。したがって、様々な担体液体を使用して、再構成植物材料にエアロゾル送達物質を適用することができる。
【0081】
一実施形態では、本開示の再構成植物材料は、大麻から得られる成分のための担体として使用することができる。大麻に含まれる様々な化学物質や化合物は、オピオイドなどの従来の鎮痛剤に代わる鎮痛剤としてますます一般的になってきている。例えば、大麻には、痛みの緩和に使用することができる様々なカンナビノイドが含まれている。大麻から生成されたエアロゾルを吸入することは、大麻に含まれている薬物を使用者に送達するための最も一般的で最も安価な方法である。しかしながら、残念なことに、乾燥させた大麻の芽や葉から生成されたエアロゾルを単に吸入するだけでは、植物に含まれている鎮痛剤が不均一な濃度で送達される。例えば、カンナビノイドの送達は、エアロゾルを生成するために使用される特定の植物や特定の植物部分に応じて劇的に変化する。加えて、カンナビノイドの送達は、再構成材料の充填密度、エアロゾルを生成するために使用される特定の種類のエアロゾル生成装置または喫煙物品などの他の要因に応じて劇的に変化する。加えて、大麻植物から生成されたエアロゾルには刺激物が含まれている場合があり、その場合には、比較的刺激の強いアロゾルや煙が生成される。しかしながら、本開示の再構成植物材料は、上記の欠点及び欠陥のいずれもなく、再構成から生成されたエアロゾル中のカンナビノイドを送達するために使用することができる。例えば、本開示の再構成植物材料から生成されたエアロゾルは非刺激性であり、刺激の強い成分を含まず、ニュートラルな味を有する。加えて、再構成植物材料にカンナビノイドを局所的に適用することにより、再構成植物材料から生成されるエアロゾルに含まれるカンナビノイドの均一かつ一貫した送達が可能になる。
【0082】
本開示の再構成植物材料に組み込むことができるカンナビノイドとしては、カンナビジオール(CBD)及びテトラヒドロカンナビノール(THC)が挙げられる。大麻に含まれるTHCは、脳内の特定の受容体に作用して、多幸感やリラックス状態をもたらす。一方、CBDはまた、脳の痛覚受容体に作用するが、THCによって生じるような多幸感をもたらさない。本開示によれば、一実施形態では、THCを本開示の再構成植物材料に適用すること、CBDを再構成植物材料に適用すること、または、THC及びCBDの両方を再構成植物材料に適用することができる。
【0083】
THC及びCBDに加えて、他の様々なカンナビノイドも、本開示に従って、エアロゾル生成組成物に組み込んだり、再構成植物材料に適用したりすることができる。例えば、大麻に含まれる他のカンナビノイドとしては、カンナビクロメン、カンナビノール、カンナビゲロール、テトラヒドロカンナビバリン、カンナビジバリン、カンナビジオール酸、他のカンナビジオール誘導体、及び他のテトラヒドロカンナビノール誘導体が挙げられる。上記のカンナビノイドは、単独でまたは任意の組み合わせで使用して、再構成植物材料に適用してもよい。
【0084】
上記のカンナビノイドは、様々な方法を用いて再構成植物材料に適用することができる。例えば、一実施形態では、CBDなどのカンナビノイドは、水性懸濁液中に配合したり、または脂肪や油などの溶媒に溶解させたりすることができる。例えば、大麻油抽出物は、生の大麻植物から得ることができる。油抽出物は、THCを単独で、CBDを単独で、または、THCとCBDとの組み合わせを含み得る。油抽出物は、再構成植物材料から生成されたエアロゾルが制御された量のカンナビノイドを含むように、再構成植物材料に適用され得る。また、再構成植物材料は、制御された量のカンナビノイドを含むことに加えて、再構成植物材料から生成されたエアロゾル中のカンナビノイドの均一な送達を提供するように構成され得る。
【0085】
再構成植物材料に添加することができる他の成分は、様々な香料、特にテルペンである。例えば、テルペンまたはテルペンのブレンドを使用することにより、望ましい香りを生成し、ユーザに製品の品質を示すことができる。また、1種以上のテルペンは、再構成材料から生成されたエアロゾルを吸入するときの感覚反応を改善することができる。
【0086】
様々なテルペンを再構成植物材料に適用することができる。そのようなテルペンとしては、これに限定しないが、ピネン、フムレン、b-カリオフィレン、イソプレゴール、グアイオール、ネリルアセテート、ネオメンチルアセテート、リモネン、メントン、ジヒドロジャスモン、テルピノレン、メントール、フェランドレン、テルピネン、ゲラニルアセテート、オシメン、ミルセン、1、4-シネオール、3-カレン、リナロール、メントフラン、ペリリアルコール、ピナン、ネオメンチルアセチル、α-ビサボロール、ボルネオール、カンフェン、カンファー、カリオフィレンオキシド、α-セドレン、β-オイデスモール、フェンコール、ゲラニオール、イソボロネオール、ネロール、サビネン、α-テルピネオール、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0087】
一実施形態では、天然の喫煙可能な植物に見られるテルペンの比率を模倣するために、様々な種類のテルペンをブレンドすることができる。例えば、約2~約12種類のテルペンをブレンドして、再構成植物材料に適用することができる。各テルペンは、再構成植物材料に、約0.001重量%超の量で、かつ、一般的に約5重量%未満の量で適用され得る。例えば、各テルペンは、約0.01重量%~約1.5重量%の量で適用され得る。あるいは、例えば、各テルペンは、約0.1重量%~約1.1重量%の量で適用され得る。
【0088】
テルペンの例示的なブレンドとしては、α-ピネン、β-カリオフィレン、及びβ-ピネン;α-フムレン、α-ピネン、β-カリオフィレン、β-ピネン、及びグアイオール;β-カリオフィレン、β-ピネン、及びd-リモネン;β-カリオフィレン、β-ピネン、及びネロリドール;β-カリオフィレン、β-ピネン、d-リモネン、及びテルピノレン;α-ビサボロール、α-ピネン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、β-ピネナ、及びd-リモネン;β-カリオフィレン、β-ピネナ、及びp-シメン;α-フムレン、β-カリオフィレン、β-ピネン、d-リモネン、リナロール、及びネロリドール;β-カリオフィレン、及びβ-ピネン;β-カリオフィレン、β-ミルセン、及びテルピノレン;α-ピネン、β-カリオフィレン、β-ピネン、及びd-リモネン;α-フムレン、α-ピネン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、β-ピネナ、d-リモネン、及びグアイオール、が挙げられる。
【0089】
上述したような1種類以上のエアロゾル送達物質を含むエアロゾル送達組成物は、任意の適切な方法または技術を用いて、再構成植物材料に適用することができる。例えば、エアロゾル送達組成物は、任意の適切な方法で繊維基材上にスプレーまたはコーティングすることができる。
【0090】
本開示に従って作製された再構成植物材料は、優れた機械的特性を有し、かつ、非常に望ましい美的外観を有する。一般的に、再構成植物材料は、約40gsm超、例えば約45gsm超、または例えば約55gsm超の坪量を有する。再構成植物材料の坪量は、一般的に約120gsm未満、例えば約100gsm未満、または例えば約85gsm未満である。
【0091】
一実施形態では、本開示の再構成植物材料は、押出加工、または再構成材料を切断及び/または細断などの様々な方法を用いて、ばらばらの充填材料に形成することができる。本開示に従って作製された充填材料は、約4cm/g超、例えば約5cm/g超、または例えば約6cm/g超、かつ、一般的に約10cm/g未満、例えば約8cm/g未満の充填力を有する。再構成植物材料は、優れた燃焼特性を有する。例えば、再構成植物材料は、約4mm/mm超、例えば約5mm/mm超の静的燃焼速度を有し、かつ、一般的に約8mm/mm未満、例えば約7mm/mm未満の静的燃焼速度を有する。
【0092】
本開示の再構成植物材料は、優れた味覚特性を有し、またその一方で、ニコチンを含まず、特に従来のタバコ材料と比較してタールの生成量が少ない。意外なことに、本開示の再構成カカオハスク材料は、針葉樹繊維などのセルロース繊維をかなりの量で含むにもかかわらず、「紙のような」味を生成しないことも見出された。詳細は不明であるが、抽出されたカカオ繊維は、再構成植物材料が燃焼されるかまたは他の方法で加熱されたときに、紙のような味をマスクするかまたは他の方法で抑制すると考えられる。この発見は驚くべきものであり、全く予想外のものであった。
【0093】
したがって、本発明の植物再生材料を組み込んだエアロゾル生成材料は、様々な種類のエアロゾル生成製品に使用することができる。一実施形態では、例えば、本開示のエアロゾル生成材料は、喫煙可能なロッドに形成し、包装材料で包装することができる。この喫煙物品またはシガレットは、その一端に位置するフィルタを含み得る。しかしながら、再構成植物材料から生成されたエアロゾルはニュートラルで刺激の少ない特性を有し、かつ、再構成植物材料は刺激成分を含まず、ニコチン及びタールの含有量が低いので、本開示に従って製造されたシガレットは、フィルタを含まなくてもよい。
【0094】
一実施形態では、再構成植物材料は、紙成形機で、シートの形態に形成される。次いで、シートをストリップに切断し、回転または撹拌されるドラムに供給する。ドラム内で、再構成植物材料を、1種類以上の保湿剤及びケーシングと混合させる。ケーシングは、様々な香料または主流煙増強要素を含み得る。例えば、ケーシングは、甘草、コーンシロップ、及び/または糖類を含み得る。ドラムでの処理後、再構成植物材料は、所望の粒子サイズにするために、切断または細断プロセスに供される。カットされた再構成植物材料は、カットラグとも称される。所望の大きさにカットした後、様々なエアロゾル送達物質または香料が再構成植物材料に適用され得る。例えば、1種類以上のテルペン、及び/または1種類以上のカンナビノイド(例えばCBD及び/またはTHC)が、再構成植物材料に適用され得る。エアロゾル送達物質が再構成植物材料に適用された後、再構成植物材料は、任意の適切な形態で使用するためにパッケージ化され出荷される。一態様では、再構成植物材料をロッド様要素に形成するために、再構成植物材料をタバコ製造機に供給してもよい。あるいは、再構成植物材料をばらばらの形態で包装して、手巻きタバコ製品、非燃焼加熱式製品、または嗅ぎタバコとして使用してもよい。
【0095】
シガレットに加えて、本開示に従って作製されるエアロゾル生成材料は、葉巻及びシガリロも含み得る。
【0096】
本開示の再構成植物材料は、嗅ぎタバコ製品を製造するためにも使用することができる。嗅ぎタバコ製品は、乾燥製品であってもよいし、かなりの量の水分を含んでいてもよい。
【0097】
無煙ブレンド製品(例えば嗅ぎタバコ)を製造する場合、その製品は、本開示の再構成植物材料のみから製造してもよいし、または、本開示の再構成植物材料と他の充填材料とをブレンドして製造してもよい。本開示の再構成植物材料を使用して無煙ブレンド製品を製造する場合、製品に含まれるウェブ構築繊維の量を減らしてもよい。例えば、ウェブ構築繊維の量は、約5重量%未満、例えば約3重量%未満であり得る。一態様では、再構成植物材料は、ウェブ構築繊維を含まなくてもよい。別の実施形態では、再構成植物材料は、約5重量%~約50重量%のウェブ構築繊維を含み得る。
【0098】
無煙ブレンド製品を製造するために、本開示の再構成植物材料は、所望のサイズに粉砕または切断される。例えば、粒子サイズは、最終用途に応じて、比較的小さくしたり、または、ストリップにしたりすることができる。一態様では、例えば、再構成植物材料は、約50μm超、例えば約100μm超、かつ、一般的に約3mm未満、例えば約2mm未満の平均粒径になるように切断または粉砕される。あるいは、再構成植物材料を粉砕して、平均粒径が約100μm未満の粉末または粒状材料にしてもよい。
【0099】
必要に応じて、再構成植物材料を熱処理してもよい。熱処理を行うと、再構成植物材料に質感及び色を与え、天然の風味を高めることができる。任意選択の熱処理ステップの後、pH調整剤や香料などの添加物を再構成植物材料に加えてもよい。湿った無煙ブレンド製品を製造する場合、水分含有量が約10重量%を超えるように、例えば約20重量%を超えるように、例えば約30重量%を超えるように、または例えば約40重量%を超えるように、かつ、一般的に、約60重量%未満となるように、例えば約50重量%未満となるように、無煙ブレンド製品に水を加える。必要に応じて、無煙ブレンド製品の湿潤性を高める1種類以上の保湿剤を、無煙ブレンド製品に添加してもよい。一態様では、例えば、塩化ナトリウム及び/または炭酸ナトリウムを、再構成植物材料に加えてもよい。
【0100】
また、再構成植物材料を使用して、乾燥した無煙ブレンド製品、例えば乾燥した口腔用嗅ぎタバコを製造することができる。乾燥した口腔用嗅ぎタバコを製造するために、再構成植物材料を粉砕して粉末にし、その粉末に香料などの他の成分を添加する。
【0101】
一態様では、無煙再構成大麻材料は、口腔内での使用を意図した口腔用パウチ内に入れて、例えば、唇や頬の上下の歯茎の間に入れることができる。口腔用パウチは、長方形などの矩形状の形状を有することができる。口腔用パウチの総重量は、一般的に約0.1g~約2.5gの範囲、例えば約0.2g~約0.8gの範囲であり得る。口腔用パウチは、不織布などの任意の適切な唾液透過性パウチ材料から形成することができる。また、超音波接合によるパウチ材料の封止を容易にするために、パウチ材料に結合剤を含めてもよい。結合剤は、例えば、アクリレートポリマーであり得る。一態様では、パウチ材料は、ビスコースレーヨン短繊維などの再生セルロース繊維と、結合剤とを含む不織材料から形成することができる。所望に応じて、パウチ材料は、追加の香料及び/または着色剤を含み得る。
【0102】
一実施形態では、本開示に従って製造された喫煙物品は、低延焼性を有する。例えば、喫煙物品の包装材料は、喫煙物品の軸方向に間隔を隔てて配置された複数の別個の低延焼領域を含む。例えば、一実施形態では、別個の低延焼領域は、輪状帯(circular band)の形態であり得る。輪状帯は、喫煙物品が静的燃焼状態に放置された場合に、酸素がコール(coal)を消火するのに十分な時間長さまたは期間にわたって、燃焼中のコールに酸素が限定されるような幅を有し得る。例えば、輪状帯は、約3mm超、例えば約4mm超、例えば約5mm超、かつ、一般的に約10mm未満、例えば約8mm未満、例えば、約7mm未満の幅を有し得る。
【0103】
低延焼性領域間の間隔は、様々な要因に応じて異なり得る。この間隔は、コールが低延焼性領域に燃焼する前に、タバコが基材に点火するのに十分な時間長さにわたって燃焼するほど大きくすべきではない。また、この間隔は、燃焼中のコールの熱慣性、すなわち、コールが自己消火せずに低延焼性領域を燃焼するコールの能力にも影響する。一般的に、輪状帯の間隔は、約5mm超、例えば約10mm超、例えば約15mm超、かつ、一般的に約50mm未満、例えば約40mm未満、または例えば約30mm未満にするべきである。各喫煙物品は、約1つ~約3つの輪状帯を含み得る。
【0104】
一般的に、任意の適切な低延焼性組成物を、喫煙物品の包装材料に適用することができる。一実施形態では、例えば、低延焼性組成物は、膜形成材料を含む。例えば、本発明に従って使用することができる膜形成材料としては、アルギン酸塩、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、デンプン、デンプン誘導体などが挙げられる。
【0105】
特定の一実施形態では、膜形成材料は、アルギン酸塩を単独で、またはデンプンと組み合わせて含み得る。一般的に、アルギン酸塩は、褐藻類褐色海藻中にカルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムの不溶性混合塩として存在する酸性の多糖またはガムの誘導体である。一般的に言えば、これらの誘導体は、様々な割合のD-マンヌロン酸及びL-グルロン酸からなる高分子量多糖類のカルシウム、ナトリウム、カリウム、及び/またはマグネシウム塩である。アルギン酸の塩または誘導体の例としては、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0106】
一実施形態では、分子量が比較的低いアルギン酸塩を使用してもよい。例えば、アルギン酸塩は、25°Cの3重量%の水溶液中に含まれる場合、約500cP未満の粘度を有する。より詳細には、アルギン酸塩は、上記の条件で、250cP未満、特に100cP未満の粘度を有し、一実施形態では、約20~60cPの粘度を有し得る。本明細書で使用するとき、粘度は、粘度に応じて適切なスピンドルを備えたBrookfield LVF粘度計によって測定したものである。上記の低粘度レベルでは、アルギン酸塩組成物は、固形分含有量が高いが、それでも、従来の技術を用いて組成物を紙製包装材料に適用するのに十分な低い溶液粘度で形成することができる。例えば、本発明に従って調製されるアルギン酸塩溶液の固形分含有量は、約6重量%超、特に約10重量%超、より具体的には、約10重量%~約20重量%の範囲であり得る。
【0107】
上記の固形分含有量では、本発明に従って使用されるアルギン酸塩組成物は、約250cP超、特に約500cP超、とりわけ約800cP超の溶液粘度を有し、一実施形態では、25°Cで約1、000cP超の粘度を有し得る。一般的に、アルギン酸塩膜形成組成物の溶液粘度は、膜形成組成物を包装材料に適用する方法に応じて調節することができる。例えば、膜形成組成物の溶液粘度は、該組成物を包装材料上にスプレーするか、または包装材料上に印刷するかに応じて調節される。
【0108】
他の実施形態では、用途に応じて、分子量が比較的高いアルギン酸塩を使用してもよいことも理解されたい。例えば、アルギン酸塩は、25°Cの3重量%水溶液中に含まれる場合、約500cPを超える粘度を有し得る。
【0109】
膜形成材料に加えて、包装材料に適用される低延焼性組成物は、他の様々な成分を含み得る。例えば、一実施形態では、低延焼性組成物は、充填材料を含み得る。充填材料の例としては、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムなどが挙げられる。カルシウム化合物に加えて、酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物や、粘土粒子などの他の様々な粒子を使用してもよい。
【0110】
低延焼性組成物は、一実施形態では、水性であり得る。特に、低延焼性組成物は、水性分散液または水溶液を含み得る。または、紙製包装材料に適用される前の低延焼性組成物は、非水溶液または分散液を含み得る。この実施形態では、例えば、低延焼性組成物は、包装材料に適用するために、アルコールを含み得る。
【0111】
また、膜形成組成物とは異なり、低延焼性組成物は、セルローススラリー(分散液の一種)を含んでもよい。本明細書で使用するとき、製紙材料を含むスラリーは、膜形成組成物ではない。紙基材に適用されるセルローススラリーは、繊維状セルロース、1種類以上の充填材料、及び/またはセルロース粒子を含み得る。本明細書で使用するとき、セルロース繊維及びセルロース粒子は、カルボキシメチルセルロースなどの誘導体化セルロースと区別されるべきである。例えば、セルロース繊維及びセルロース粒子は、水溶性ではない。一実施形態では、包装材料に適用されるセルローススラリーは、微結晶セルロースを含み得る。
【0112】
形成された低延焼性組成物は、包装材料の別個の領域に適用される。低延焼性組成物を包装材料に適用する方法は様々である。例えば、低延焼性組成物は、包装材料上に、スプレーされるか、ブラシで塗布されるか、可動オリフィスで塗布されるか、または、印刷される。処理領域を形成するために、低延焼性組成物は、単一パスまたは複数パスの操作で適用され得る。例えば、低延焼性組成物は、低延焼性を有する包装材料上に低延焼性領域を形成するために、連続的なステップで包装材料に適用することができる。一般的に、複数パスのプロセスでは、約2~約8回のパスで低延焼性組成物を適用することによって、処理領域を形成することができる。
【0113】
包装材料に適用される低延焼性組成物の量は、様々であり得る。例えば、低延焼性組成物は、約15重量%未満、例えば約10重量%未満、または例えば約8重量%未満の量で包装材料に適用される。一般的に、低延焼性組成物は、低延焼性領域に含まれる低延焼性組成物の重量に基づいて1重量%超の量で適用される。
【0114】
本明細書で使用するとき、上記の重量パーセントは、化学成分で処理された面積に基づくものである。言い換えれば、低延焼性組成物についての上記の重量パーセントは、包装材料の全表面に適用される総量ではなく、処理領域内に適用される量である。
【0115】
本開示の方法により、比較的高い透過率を有し、かつ比較的低い拡散率を有する、低延焼性領域を形成することができる。例えば、低延焼性領域は、10 CORESTAよりに高い透過性を有するが、ASTM規格E2187-09試験に少なくとも75%の確率で合格する喫煙物品を製造することができる。
【0116】
一般的に、低延焼性領域は、比較的低い拡散率を有する。拡散率は、室温(23°C)で測定される。一般的に、低延焼性領域の23°Cでの拡散率は、約0.5cm/s未満、例えば0.4cm/s未満、または例えば0.3cm/s未満であり得る。一実施形態では、低延焼性領域は、所望の低延焼性を依然として有しながら、約0.05cm/s超、例えば約0.15cm/s超、例えば0.16cm/s超、または例えば0.17cm/s超の拡散率を有し得る。拡散率は、Sodim CO拡散率テスターを用いて測定される。
【0117】
本開示のエアロゾル生成材料は、喫煙物品に組み込むことに加えて、他の様々な形態でパッケージ化して、消費者に販売することもできる。例えば、一実施形態では、エアロゾル生成材料は、ストリップや細片の形態の充填材料としてパッケージ化及び販売してもよい。充填材料は、パイプまたは手巻きタバコ用の充填材料として使用してもよいし、または、非燃焼加熱式のエアロゾル生成装置内で使用してもよい。
【0118】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【0119】
実施例
【0120】
以下の試験方法を、様々なパラメータを定義するために使用するだけでなく、以下の実施例の結果を得るためにも使用した。
【0121】
試験及び方法
【0122】
充填力及び平衡含水率(EMC)
【0123】
充填材料のサンプルを、ISO 3402に従ってコンディショニングした(22°C±1°C、60%±3%RH、最低48時間)。コンディショニング後、(必要に応じて)充填材料を広げ、切断してカットラグにした(器具:BUROMA社製のディスクカッター;幅:0.7mm)。
【0124】
充填力の分析を行うために、14gの切断した充填材料(精度:±0.01g)をBorgwaldt社製のシリンダ(DM4625モデル;直径=5.98cm、高さ=10.8cm)に入れた。2kgの重さを60秒間加えた。ピストンを離すと、フィラーカラムの高さが表示され、それを記録した(H、単位:cm)。
【0125】
サンプルの充填力(単位:cc/g)は、2×Hとして計算した。
【0126】
平衡含水率を、以下の方法に従って測定した。空のパン(ガラス製)の重量を、±1mgの精度で測定し、記録した(T)。
【0127】
次に、パンに切断した充填材料(5~7g)を充填し、切断した充填材料を入れたパンの重量を記録した(W1、精度:±1mg)。
【0128】
次いで、切断した充填材料を入れたパンを、Hearson社製のオーブン(Mark V)で、100°Cで3時間(±5分)乾燥させた。
【0129】
乾燥後、パンをデシケータで15分間冷却し、重量を測定した(W2、精度:±1mg)。サンプルの水分(%)を以下のように計算した。
【0130】
【数1】
【0131】
水溶性成分の含有率
【0132】
充填材料のサンプルを粉砕して粉末にした(IKAまたはRETSCHE-MUHLE社製のグラインダを使用;メッシュサイズ:1mm)。
【0133】
ガラス繊維フィルタ(DURIEUX社製のフィルタNr28、直径=55mm)をステンレス製のパンに入れた。次に、パン+フィルタの重量を計量した(T、精度:±1mg)。粉砕した充填材料のサンプル5000mg(±200mg)をパンに入れ、正確に計量した(W1、精度:±1mg)。
【0134】
粉砕した充填材料に水を優しく吹きかけ、パンを実験用のパーコレータ(RENEKA LC)に取り付けた。予め定められたパーコレーション設定に従って抽出を3回行った。パーコレーション後、サンプルを水で注意深く洗浄し、パンを電気オーブンに入れて、100℃で16時間乾燥させた。
【0135】
洗浄後、パンをデシケータで15分間冷却し、重量を測定した(W3、精度:±1mg)。
【0136】
水溶性成分の含有率の測定試験に使用される粉砕サンプルの乾燥重量(W2)を、W2=W1×(100-H)/100として計算した。
【0137】
最後に、乾燥させた最終産物中の水溶性成分の含有率(%)を以下のように計算した。
【0138】
【数2】
【0139】
シガレットの作製
【0140】
充填材料のサンプルを、ISO 3402に従ってコンディショニングした(22°C±1°C、60%±3%RH、最低48時間)。コンディショニング後、充填材料シートを切断して細片にした(器具:BUROMA社製のディスクカッター、幅:0.7mm)。切断した充填材料を、実験用のふるい(メッシュサイズ:1mm)でふるいにかけた。
【0141】
次に、PRIVILEG社製の手巻き機を使用して、空のシガレットチューブに切断した充填材料を100%充填した。切断した充填材料の重量は、圧力損失が100±5mmWGになるように調節した。
【0142】
空のシガレットチューブは、以下の特性を有していた。
・チューブ重量=200±5mg
・全長=84mm、直径=8.1±0.1mm、チップ長さ=25mm
・アセテートフィルタ(デニール=3.0Y/35000HK、長さ=15±0.5mm、圧力損失=43±3mmWG)
・シガレットペーパーの気孔率=50CU
・フィルタ通気なし
【0143】
次に、SODIMAT社製の装置で、シガレットを選別した。煙の分析を行うために選択されたシガレットのロットは、以下の特性を有していた。充填材料重量:平均目標重量±10mg、圧力損失(PD):平均目標PD±3.5mmWG。
【0144】
煙の分析を行う前に、シガレットを、ISO 3402に従ってコンディショニングした(22°C±1°C、60%±3%RH、最低48時間)。
【0145】
燃焼力の分析
【0146】
10本のシガレットをFILTRONA社製の静的燃焼速度測定装置に配置した。この装置は、10個のシガレットホルダと、10個の個別のクロノメータとを備えている。
【0147】
10本のシガレットの真上に、2本の綿糸を、互いに40mm離間させて配置した。各綿糸に、クロノメータを接続した。
【0148】
各シガレットを順次点火した。各シガレットは、燃焼コーンが1本目の綿糸を切断すると、クロノメータが自動的に起動する。炭化ラインが2本目の綿糸に到達すると、クロノメータは自動的に停止し、これにより、40mmの充填材料ロッドを燃焼させるために必要な時間が測定された。
【0149】
平均時間(単位:秒)を、10個のクロノメータから計算した。
【0150】
平均燃焼力(mm/分)を以下のように計算した。
【0151】
【数3】
【0152】
煙中のタール、ニコチン、水、及びCOの分析
【0153】
ISO規格(ISO 3308)に従って、20本のシガレット2セットを、Borgwaldt社製のRM20キットマシンで喫煙した。
【0154】
煙中のニコチン及び水(mg/cig)を、ISO 10315規格及びISO 10362-1規格に従って、ガスクロマトグラフィーで測定した。
【0155】
煙中のタール(mg/cig)を、ISO4387規格に従って測定した。
【0156】
煙中のCO(mg/cig)を、ISO 8454規格に準拠した非分散型赤外線(NDIR)法を用いて測定した。
【0157】
破裂強度
【0158】
サンプル材料を、相対湿度60±2%、22±1°Cで、最低48時間コンディショニングした。
【0159】
サンプル材料を、直径60mmで切断した。
【0160】
AFNOR Norm NFQ 03. 053規格に準拠した破裂試験機IDMを使用して、サンプル材料の破裂強度を測定した。
【0161】
4つのサンプル材料を測定して、平均値を計算した。
【0162】
切断時の脆弱性
【0163】
50gのサンプル材料を、相対湿度60±2%、22±1°Cで、最低48時間コンディショニングした。
【0164】
リーフレット(サンプル材料)を、0.7mm幅のディスクカッターで切断して、カットラグにした。
【0165】
切断したサンプル材料を、0.8mmのふるい(ワイヤ直径=0.5mm)で5分間ふるいにかけた。
【0166】
>0.8mmの切断したサンプル材料の重量(M1)と、<0.8mmの切断したサンプル材料の重量(M2)とを、0.01gの精度で測定した。
【0167】
切断時の脆弱性は、M2/(M1+M2).100(%)であった。
【0168】
取り扱い時の脆弱性
【0169】
>0.8mmの切断したサンプル材料20±0.5gを計量した(切断及びふるい分けの後)。
【0170】
切断したサンプル材料を、0.8mmのふるい(ワイヤ直径=0.5mm)で5分間ふるいにかけた。
【0171】
>0.8mmの切断したサンプル材料の重量(M3)と、<0.8mmの切断したサンプル材料の重量(M4)とを、0.01gの精度で測定した。
【0172】
取り扱い時の脆弱性は、M4/(M3+M4).100(%)であった。
【0173】
実施例1
【0174】
カカオ(テオブロマカカオ)の木に由来する繊維を含む本開示によるカカオ充填材料を、以下の方法に従って製造した:カカオハスクをナイフミルで粉砕して、約1mmの大きさの粒子にした。続いて、粉砕したハスク材料を、ハスク:水の比が1:10になるように、70℃で45分間、水と混合した。次に、この混合物をプレスして、可溶性部分(カカオハスク液)を不溶性部分(カカオハスク繊維)から分離した。繊維画分を、ディスクリファイナを使用して精製した。精製後、樹脂樹由来の脱リグニン化繊維(針葉樹繊維)を、脱リグニン化繊維:カカオの木に由来する本開示による繊維(カカオ充填材料)の比が40%:60%になるように、精製した繊維画分に加えて、再構成カカオ充填材料シートを製造した。その後、カカオ充填材料シートを乾燥させた。
【0175】
カカオ充填材料は、以下の特性を示した。
【0176】
【表1】
【0177】
実施例2
【0178】
カカオ(テオブロマカカオ)の木に由来する繊維を含む本開示によるカカオ充填材料を、以下の方法に従って製造した:カカオハスクをナイフミルで粉砕して、約1mmの大きさの粒子にした。続いて、粉砕したハスク材料を、ハスク:水の比が1:10になるように、70℃で45分間、水と混合した。次に、この混合物をプレスして、可溶性部分(カカオハスク液)を不溶性部分(カカオハスク繊維)から分離した。繊維画分を、ディスクリファイナを使用して精製した。精製後、樹脂樹由来の脱リグニン化繊維(針葉樹繊維)を、脱リグニン化繊維:カカオの木に由来する本開示による繊維(カカオ充填材料)の比が40%:60%になるように、精製した繊維画分に加えて、再構成カカオ充填材料シートを製造した。その後、カカオ充填材料シートを乾燥させた。並行して、上記のように調製した、「抽出物」とも呼ばれるカカオの木に由来する水性部分(カカオハスク液)を、蒸発器で固形分濃度20%まで濃縮し、次いで、サイズプレスでコーティングすることによってカカオ充填材料シート上にコーティングするか、またはコーティングしなかった。乾燥させる前に、以下の表に従ってコーティング及び/またはスプレーすることによって、他の様々な物質をカカオ充填材料シートに添加した。
【0179】
【表2】
【0180】
いくつかのシガレット(A、B、C、D、E、F、H)は、専門家グループによる官能評価を目的として作製した。Gサンプルは、非燃焼加熱式用途のためのPAX3システムで評価した。
【0181】
以下の結果が得られた。
【0182】
【表3】
【0183】
実施例3
【0184】
カカオ(テオブロマカカオ)の木に由来する繊維を含む本開示によるカカオ充填材料を、以下の方法に従って製造した:カカオハスクをナイフミルで粉砕して、約1mmの大きさの粒子にした。続いて、粉砕したハスク材料を、ハスク:水の比が1:10になるように、70℃で45分間、水と混合した。次に、この混合物をプレスして、可溶性部分(カカオハスク液)を不溶性部分(カカオハスク繊維)から分離した。繊維画分を、ディスクリファイナを使用して精製した。精製後、樹脂樹由来の脱リグニン化繊維(針葉樹繊維)を、脱リグニン化繊維:カカオの木に由来する本開示による繊維(カカオ充填材料)の比が40%:60%になるように、精製した繊維画分に加えて、再構成カカオ充填材料シートを製造した。その後、カカオ充填材料シートを乾燥させた。
【0185】
水性部分(タバコ液)を使用するために、上記のように調製したタバコ材料から得られるタバコ抽出物は、タバコの「抽出物」とも呼ばれる。次に、これらの抽出物を、コーティングによってカカオ充填材料シートに添加した。また、実証のために、同一の方法で、いくつかの再構成タバコ材料を製造した。
【0186】
以下のサンプルを作製した。
【0187】
【表4】
【0188】
官能評価
・サンプルAとサンプルFとを、非燃焼加熱式装置(PAX3)で比較した。有意差はなかった。カカオ充填材料はニュートラルであった。カカオ充填材料はタバコ繊維と置き換え可能であった。
・サンプルDとサンプルEとを、従来のシガレットの条件で比較した。有意差はなかった。カカオ充填材料はニュートラルであった。カカオ充填材料はタバコ繊維と置き換え可能であった。
・サンプルAとサンプルBとを、非燃焼加熱式装置で比較した。予想通り、タバコの性質及びニコチンの影響は、サンプルBの方が低かった。
【0189】
実施例4
【0190】
カカオ(テオブロマカカオ)の木と、タバコ(ニコチアナ・タバカム)植物に由来する繊維とを含む本開示によるカカオ・タバコ充填材料を、以下の方法に従って製造した:カカオハスクをナイフミルで粉砕して、約1mmの大きさの粒子にした。続いて、粉砕したハスク材料を、ハスク:水の比が1:10になるように、70℃で45分間、水と混合した。次に、この混合物をプレスして、可溶性部分(カカオハスク液)を不溶性部分(カカオハスク繊維)から分離した。繊維画分を、ディスクリファイナを使用して精製した。精製後、樹脂樹由来の脱リグニン化繊維と、上記のように調製したタバコ繊維とを、脱リグニン化繊維:タバコ繊維:カカオの繊維の比が20%:60%:20%になるように、精製した繊維画分に加えて、再構成カカオ充填材料シートを製造した。その後、カカオ・タバコ充填材料シートを乾燥させた。
【0191】
並行して、上記のように調製した、タバコ「抽出物」とも呼ばれるタバコ植物に由来する水性部分(タバコ液)を、蒸発器で固形分濃度50%まで濃縮し、次いで、サイズプレスでコーティングすることによってカカオ・タバコ充填材料シート上にコーティングするか、またはコーティングせず、その後、乾燥させた。また、実証のために、同一の方法で、いくつかの再構成タバコ材料を製造した。
【0192】
以下のサンプルを作製した。
【0193】
【表5】
【0194】
官能評価
・サンプルCとサンプルFとを、非燃焼加熱式装置(PAX3)で比較した。有意差はなかった。カカオ充填材料はニュートラルであり、タバコ繊維と置き換え可能であった。
【0195】
実施例5
【0196】
カカオ(テオブロマカカオ)の木に由来する繊維を含む本開示によるカカオ充填材料を、以下の方法に従って製造した:カカオハスクをナイフミルで粉砕して、約1mmの大きさの粒子にした。続いて、粉砕したハスク材料を、ハスク:水の比が1:10になるように、70℃で45分間、水と混合した。次に、この混合物をプレスして、可溶性部分(カカオハスク液)を不溶性部分(カカオハスク繊維)から分離した。繊維画分を、ディスクリファイナを使用して精製した。精製後、樹脂樹由来の脱リグニン化繊維(針葉樹繊維)を、脱リグニン化繊維:カカオの木に由来する本開示による繊維(カカオ充填材料)の比が40%:60%になるように、精製した繊維画分に加えて、再構成カカオ充填材料シートを製造した。その後、カカオ充填材料シートを乾燥させた。
【0197】
並行して、上記のように調製した、ヘンプの「抽出物」とも呼ばれるヘンプ(大麻種)植物に由来する水性部分(ヘンプ液)を、蒸発器で固形分濃度50%まで濃縮し、次いで、サイズプレスでコーティングすることによってカカオ充填材料シート上にコーティングし、その後、乾燥させた。
【0198】
以下のサンプルを作製した。
【0199】
【表6】
【0200】
官能評価
・サンプルCを、従来のシガレット条件で評価した。煙の量は良く、燃焼及び香りは良好であった。刺激はなかった。苦味は少なかった。良いヘンプの性質があり、カカオの性質はなかった。カカオ繊維はニュートラルであった。
・サンプルDを、非燃焼加熱式装置で評価した。煙の量は非常に良かった。カカオの性質はなく、独特のヘンプ/大麻の風味があった。刺激はなかった。非常に心地良かった。カカオ繊維はニュートラルであった。
【0201】
実施例6
【0202】
以下のサンプルを作製し、製品の切断能力の向上、破裂抵抗の低減、及び/または、取り扱い中の粒子損失の低減について試験した。
【0203】
以下のサンプルを作製し、様々な特性について試験した。サンプル番号1~7は、実験室環境で、小規模に作製した。ただし、サンプル番号8は、市販の製紙装置で作製した。サンプル番号1及び8は両方とも、カカオハスクと針葉樹繊維とを100:33の重量比で含有している。サンプル番号2及び4は、広葉樹繊維のみを含有しており、サンプル番号4は、グリセリン及びカカオ抽出物をさらに含有している。サンプル番号3及び5は両方とも、サンプル番号1及び8よりも少ない量の針葉樹繊維を含有しており、サンプル番号5は、グリセリンとカカオ抽出物をさらに含有している。サンプル番号6及び7は、針葉樹繊維と広葉樹繊維との組み合わせを含有している。
【0204】
【表7】
【0205】
また、サンプルの破裂抵抗を図2に示す。破裂抵抗は、製品の剛性に関連している。針葉樹繊維を広葉樹繊維に置き換えること、針葉樹繊維の量を減少させること、坪量を減少させること、あるいは、カカオ抽出物を加えることによって、製品の剛性を低下させることができる。カカオ抽出物を加えると、製品の坪量が増加して製品の剛性が増加するとともに、製品の柔軟性及び密度が高まり切断能力も向上する。
【0206】
再構成植物材料サンプルの充填力を図3に示す。
【0207】
切断時の脆弱性及び取り扱い時の脆弱性を図4及び図5に示す。これらの試験は、再構成植物材料を切断するとき、または切断された再構成植物材料を取り扱うときの粒子損失を示している。図示のように、サンプル番号2~7はすべて、サンプル番号1及びサンプル番号8と比較して、改善が見られた。
【0208】
上記の結果に基づいて、以下の再構成植物材料サンプルを、市販の処理装置を使用して作製した。
【0209】
【表8】
【0210】
上記のサンプル番号10では、水溶性抽出物を、再構成植物材料に適用しなかった。一方、サンプル番号11では、水溶性抽出物を、21重量%の目標量で再構成植物材料に適用した。図示のように、サンプル番号10は、残留水溶性抽出物を6重量%の量で含有しており、サンプル番号11は、残留水溶性抽出物を14重量%の量で含有している。これらの量は、再構成植物材料を乾燥させた後に測定した。
【0211】
次に、サンプル番号9~11の様々な特性を試験し、タバコから作製した標準的な再構成材料と比較した。例えば、図6~11は、その結果を示す。図6は、22℃及び相対湿度60%で少なくとも48時間コンディショニングした後の製品の湿度であるEMCパーセントを示す。図7は破裂抵抗を示し、図8は充填力を示し、図9は燃焼力を示し、図10は切断時の脆弱性を示し、図11は取り扱い時の脆弱性を示す。
【0212】
図示のように、本開示の材料は、一般に、タバコ製品と比較して吸湿量が少なかった。また、これらの図は、様々なパラメータを変更することにより、破裂抵抗を減少させたり、充填力を低下させたり、あるいは、脆弱性に対して影響を与えたりできることを示している。
【0213】
実施例7
【0214】
以下の実施例は、本開示に従って作製されたカカオ充填材料を標準的なタバコ充填材料とブレンドしたときに、主流煙成分を制御する能力を示している。
【0215】
再構成カカオ充填材料を、実施例5に関して上述した方法と略同一の方法を使用して作製した。再構成カカオ材料は、9重量%の針葉樹繊維、9重量%の広葉樹繊維、5重量%のグリセリン、及び5重量%の炭酸カルシウムを含有しており、再構成カカオ材料の残りの部分はカカオ材料を含有している。16重量%のカカオ抽出物を再構成カカオ材料に適用した。
【0216】
上記の再構成カカオ材料を、標準的なタバコ充填材料であるアメリカンブレンドタイプと組み合わせた。タバコ材料に対するカカオ材料の量がそれぞれ異なる5つのサンプルを作製した。その5つのサンプルは以下の通りである。
サンプル番号1:100%のタバコ
サンプル番号2:80%のタバコ、20%の再構成カカオ材料
サンプル番号3:70%のタバコ、30%の再構成カカオ材料
サンプル番号4:40%のタバコ、60%の再構成カカオ材料
サンプル番号5:100%の再構成カカオ材料
【0217】
上記の各サンプルを、化学分析し、材料に含有される様々な成分の量を求めた。材料中のアルカロイドの量は、コレスタ方法No.85(2017年4月)を使用して求めた。材料中の亜硝酸塩及び/または硝酸塩の量は、コレスタ方法No.36(2015年1月)を使用して求めた。材料中の糖類の量は、コレスタ方法No.37(2010年8月)を使用して求めた。
【0218】
タバコ特有のニトロソアミンの量は、コレスタ方法No.72を使用して求めた。以下の表のTSNA量を求めるにあたり、コレスタ方法No.72を以下のように修正した。
・タバコの重量は、1.0gではなく0.5gにした。
・内部標準を含む酢酸アンモニウムの量は、30mlではなく50mlにした。
・振盪時間は、40分ではなく30分にした(TSNA無しの場合)。また、注入量は、10μlではなく5μlにした。
・流量は、0.22ml/分ではなく0.35ml/分にした。
・D4-NABを使用せず、NAT及びNAB用のD4-NATを使用した。
・カラム:WatersX terra MS C18 2.1×50mm dp5μm+プレカラムWatersX terra C18 2.1×10mm dp3.5μmを使用した。
【0219】
以下の結果が得られた。
【0220】
【表9】
【0221】
図12は、混合物中のタバコの割合と、混合物に含有される還元糖、総アルカロイド、硝酸塩、及び、タバコ特有のニトロソアミンの量との関係を示すグラフである。図12に示すように、再構成カカオ材料の量に対するタバコの量を制御することによって、様々な成分を制御することができる。
【0222】
図13は、各サンプルに含有される還元糖、総アルカロイド、及び硝酸塩の量を示す。
【0223】
また、各サンプルをシガレットに製造し、燃焼力を分析した。以下の結果が得られた。
【0224】
【表10】
【0225】
図14及び図15は、結果を示すグラフである。図14は、混合物中のタバコの量が減少するに従って、ニコチンの量が減少することを示している。同様に、図15は、混合物中のタバコの量が減少するに従って、TPM及びタールの量が減少することを示している。これらの結果は、再構成カカオ材料を使用して、再構成カカオ材料とタバコとの混合物から作製された喫煙物品中のタール、ニコチン、及びTPMの量を制御できることを示している。
【0226】
上述したように、本開示のエアロゾル生成材料は、様々な形態をとることができ、かつ、様々な製品に使用することができる。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、抽出されたカカオハスク繊維とウェブ構築繊維との組み合わせを含む再構成カカオハスク材料を含む。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、エアロゾル送達物質を含むエアロゾル送達組成物をさらに含む。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、保湿剤を、単独で、またはエアロゾル送達物質と組み合わせて含む。また、再構成カカオハスク材料は、水溶性カカオハスク成分をさらに含む。水溶性カカオハスク成分は、抽出されたカカオハスク繊維から取得することができ、任意選択で濃縮され、再構成カカオハスク材料に適用される。一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、水溶性カカオハスク成分を、約15重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量で含む。別の実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、水溶性カカオハスク成分を、約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、または例えば約10重量%~約50重量%の量で含む。
【0227】
一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、抽出されたカカオハスク繊維と、保湿剤で処理されたウェブ構築繊維との組み合わせを含有する再構成カカオハスク材料を含む。保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、保湿剤は、再構成カカオハスク材料に、約8重量%以下の量で含まれる。別の実施形態では、再構成カカオハスク材料に、約5重量%以上の量、例えば約10重量%以上の量、または例えば約15重量%以上の量、かつ、約50重量%以下の量で含まれる。
【0228】
一実施形態では、本開示のエアロゾル生成材料は、再構成植物材料に適用されるエアロゾル送達組成物を含み得る。エアロゾル送達組成物は、エアロゾル送達物質を含む。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、薬剤または香料を含む。本明細書に記載されたいずれかの実施形態では、エアロゾル送達組成物は、油、水溶液、水性分散液、または固形分であり得る。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、ニコチンを含む。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、カンナビノイドを含む。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、テトラヒドロカンナビノールを含む。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、カンナビジオールを含む。一実施形態では、エアロゾル送達物質は、テトラヒドロカンナビノールとカンナビジオールとの組み合わせを含む。ニコチンまたはカンナビノイドは、他のエアロゾル送達物質と組み合わせてもよい。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、糖類を含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、蜂蜜を含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、コーヒーを含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、メープルシロップを含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、植物抽出物、例えば、茶抽出物、または草木の抽出物を含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、タバコ抽出物を含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、タバコ抽出物のみを含む。一実施形態では、他のエアロゾル送達物質は、テルペンまたはテルペンのブレンドを含む。テルペンまたはテルペンのブレンドは、ニコチンまたはカンナビノイドを含む上記のエアロゾル送達物質のいずれかと共に使用することができる。
【0229】
1種類以上のエアロゾル送達物質を含むエアロゾル送達組成物は、再構成カカオハスク材料に、約1重量%超の量で含まれ得る。一実施形態では、1種類以上のエアロゾル送達物質は、再構成カカオハスク材料に、約3重量%超の量、例えば約5重量%超の量で含まれ得る。また、1種類以上のエアロゾル送達物質は、再構成カカオハスク材料に、約50重量%未満の量、例えば約25重量%未満の量で含まれ得る。
【0230】
上述した実施形態において、再構成植物材料と組み合わされるウェブ構築繊維は、様々であり得る。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、木材パルプ繊維、例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、針葉樹繊維と広葉樹繊維とを1:2~2:1の比で含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、亜麻繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、アバカ繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、竹繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、ココナッツ繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、ラミー繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、ジュート繊維を含む。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、ヘンプパルプ繊維を含む。ヘンプパルプ繊維は、単独で用いてもよいし、木材パルプ繊維(例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせ)と組み合わせて用いてもよい。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約3重量%超の量で含まれる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約5重量%超の量で含まれる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約8重量%超の量で含まれる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約12重量%超の量で含まれる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約18重量%超の量で含まれる。一実施形態では、ウェブ構築繊維は、エアロゾル生成材料に、約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量で含まれる。
【0231】
上述した実施形態では、再構成カカオハスク材料は、充填材料をさらに含み得る。一実施形態では、充填材料は、炭酸カルシウム粒子であり得る。一実施形態では、炭酸カルシウム粒子は、再構成カカオハスク材料に、約2重量%~約10重量%の量で含まれ得る。
【0232】
一実施形態では、エアロゾル生成材料は、抽出されたカカオハスク繊維と、ウェブ構築繊維と、充填材料とを含む。充填材料は、炭酸カルシウム粒子であり得る。ウェブ構築繊維は、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、再構成カカオハスク材料は、針葉樹繊維と広葉樹繊維との組み合わせを含む。
【0233】
一実施形態では、再構成カカオハスク材料は、抽出されたカカオハスク繊維と、ウェブ構築繊維と、充填材料と、保湿剤と、水溶性カカオハスク成分とを含む。一実施形態では、再構成カカオハスク材料は、5重量%~15重量%の針葉樹繊維と、5重量%~15重量%の広葉樹繊維と、3重量%~8重量%のグリセリンと、3重量%~10重量%の炭酸カルシウム粒子と、10重量%~30重量%の水溶性カカオハスク成分と、を含む。残りの部分は、抽出されたカカオハスク繊維を含み得る。
【0234】
上述したいずれかの実施形態では、抽出されたカカオハスク繊維及びウェブ構築繊維は、約60°SR超の量、例えば約65°SR超の量、例えば約70°SR超の量、または例えば約75°SR超の量、かつ、約95°SR未満の量で精製され得る。
【0235】
上述したいずれかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、ストリップ、細片、またはそれらの組み合わせからなる充填材料の形態をとり得る。充填材料は、4mm/分超または5mm/分超の静的燃焼速度を有し得る。また、充填材料は、4cm/g超、例えば5cm/g超、または例えば6cm/g超の充填力を有し得る。
【0236】
上述したいずれかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、特に充填材料の形態をとる場合には、タバコ材料と組み合わせることができる。一実施形態では、エアロゾル生成材料は、切断されたタバコ葉を含むタバコ材料と組み合わされる。一実施形態では、エアロゾル生成材料は、再構成タバコ材料を含むタバコ材料と組み合わされる。一実施形態では、エアロゾル生成材料は、切断されたタバコ葉と再構成タバコ材料との組み合わせを含むタバコ材料と組み合わされる。一実施形態では、エアロゾル生成材料は、ニコチンの量を制御するために、タバコ材料と組み合わされる。エアロゾル生成材料をタバコ材料と組み合わせた混合物は、喫煙時に、ニコチンを、0.0008mg/mg未満の量、例えば0.0006mg/mg未満の量、例えば0.0004mg/mg未満の量で生成することができる。
【0237】
上述したいずれかの実施形態では、再構成カカオハスク材料は、カルボン酸の塩などの燃焼制御剤で処理してもよい。
【0238】
上述したいずれかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、様々な製品に使用することができる。上述したいずれかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、喫煙物品を作製するために、喫煙可能なロッドに形成し、包装材料で包装することができる。喫煙物品は、任意選択で、その一端にフィルタを含み得る。任意選択で、包装材料は、複数の個別の低延焼性領域を含み得る。
【0239】
一実施形態では、上述したエアロゾル生成材料は、非燃焼加熱式装置に使用することができる。
【0240】
上述したいずれかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、嗅ぎタバコ製品として使用することができる。
【0241】
本発明はその趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明及び実施例は説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15