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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-15
(45)【発行日】2024-08-23
(54)【発明の名称】軟組織修復に適したインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61F2/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019200758
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2020081862
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】18206825.4
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597147278
【氏名又は名称】ソフラディム・プロダクション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ダミヤン シモン
(72)【発明者】
【氏名】ニザール バシール
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン ゲラン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0172048(US,A1)
【文献】特表2004-510543(JP,A)
【文献】国際公開第2017/214620(WO,A1)
【文献】特表2014-523325(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135568(WO,A1)
【文献】特開2010-005417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
前記移植可能なウェブは、複数の敷設糸と複数の糸通し糸とを備え、
前記複数の敷設糸は、軸糸と螺旋糸と複数の放射状糸とを含み、前記軸糸は、前記ウェブの中心縦軸または横軸の一部に沿って延在し、各放射状糸は、前記軸糸から前記ウェブの外周縁に向かって半径方向に延在し、前記螺旋糸は、前記軸糸の周りにループを形成し、かつ、前記複数の放射状糸の間に延在して、前記複数の放射状糸を交差しており、
前記複数の糸通糸は、少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸を含み、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸は、互いに織り込まれることにより、係止ステッチを形成し、前記係止ステッチは、前記軸糸および前記複数の放射状糸および前記螺旋糸を互いに対して相対的な位置に保持することにより、前記ウェブの構造を維持するように、前記軸糸または前記複数の放射状糸または前記螺旋糸のうちの少なくとも2つの周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
【請求項2】
前記ウェブは、複数の螺旋の糸通し糸を含み、前記複数の螺旋糸のうちの各螺旋糸は、前記ウェブの中心区域で始まり、前記ウェブの前記中心区域から外向きに前記ウェブの外周縁に向かって螺旋状である、請求項1に記載の移植可能なウェブ。
【請求項3】
前記複数の放射状糸は、前記螺旋糸よりも直径が小さい、請求項1~2のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項4】
前記複数の放射状糸のうちの少なくとも1つが、放射状ループを形成し、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸は、前記複数の放射状糸および螺旋糸よりも直径が小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項5】
前記複数の放射状糸は、前記軸糸の近位端および遠位端から延在している、請求項1~4のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項6】
前記移植可能なウェブは、前記軸糸の少なくとも中心部分を横切って前記ウェブの前記外周縁に向かって延在する複数の水平糸をさらに備え、前記複数の水平糸は、互いに略平行であり、かつ、前記軸糸に略直角である、請求項1~5のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項7】
前記移植可能なウェブは、前記移植可能なウェブの前記外周縁またはその付近に少なくとも1つの補強ゾーンを形成する複数の補強糸をさらに備え、前記少なくとも1つの補強ゾーンは、連続リングから選択される、または、前記少なくとも1つの補強ゾーンは、ジグザグ構成もしくは正弦波構成をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項8】
前記移植可能なウェブは、複数の垂直糸をさらに備え、前記複数の垂直糸は、互いに略平行であり、かつ、前記複数の水平糸に略直角であり、前記複数の垂直糸のうちの少なくとも1つが、垂直ループを形成している、請求項6に記載の移植可能なウェブ。
【請求項9】
前記移植可能なウェブは、複数の斜め糸をさらに備え、前記複数の斜め糸のうちの少なくとも1つが、斜めループを形成している、請求項1に記載の移植可能なウェブ。
【請求項10】
前記移植可能なウェブは、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸を介して前記ウェブが固定されている基材をさらに備え、前記基材は、水溶性ポリビニルアルコールなどの溶解性材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項11】
前記基材は、編み織物を含み、前記編み織物は、非吸収性モノフィラメントを含み、前記編み織物は、吸収性モノフィラメントから製造された把持部材を含む、請求項10に記載の移植可能なウェブ。
【請求項12】
前記移植可能なウェブは、少なくとも1つの縫合アセンブリをさらに備え、
前記少なくとも1つの縫合アセンブリは、縫合ループを含み、前記縫合ループは、前記ウェブの表面に取り付けられており、かつ、前記ウェブの平面の平面とは異なる平面で前記ウェブの前記表面から延在し、前記少なくとも1つの縫合アセンブリは、管状カバーで包まれている、請求項1~11のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
【請求項13】
インプラントを形成する方法であって、前記方法は、TFPプロセスを使用して、請求項1~12のいずれか一項に記載の移植可能なウェブを形成することを含む、方法。
【請求項14】
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
前記移植可能なウェブは、複数の敷設糸と複数の糸通し糸とを備え、
前記複数の敷設糸は、複数の垂直糸と複数の水平糸と複数の斜め糸と少なくとも1つの螺旋糸とを含み、前記少なくとも1つの螺旋糸のうちの各螺旋糸は、前記ウェブの中心区域で始まり、前記ウェブの前記中心区域から外向きに前記ウェブの外周縁に向かって螺旋状であり、かつ、前記複数の垂直糸および前記複数の水平糸および前記複数の斜め糸の間に延在して、前記複数の垂直糸および前記複数の水平糸および前記複数の斜め糸を交差しており、
前記複数の糸通し糸は、少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸を含み、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸は、互いに織り込まれることにより、係止ステッチを形成し、前記係止ステッチは、前記複数の敷設糸を互いに対して相対的な位置に保持することにより、前記ウェブの構造を維持するように、前記複数の敷設糸のうちの少なくとも2つの周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
【請求項15】
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
前記移植可能なウェブは、複数の敷設糸と複数の糸通し糸とを備え、
前記複数の敷設糸は、複数の放射状糸と少なくとも1つの螺旋糸とを含み、各放射状糸は、前記ウェブの中心区域から前記ウェブの外周縁まで半径方向に延在し、前記少なくとも1つの螺旋糸のうちの各螺旋糸は、前記ウェブの中心区域で始まり、前記ウェブの前記中心区域から外向きに前記ウェブの外周縁に向かって螺旋状であり、かつ、前記複数の放射状糸の間に延在して、前記複数の放射状糸を交差しており、前記ウェブの前記中心区域は、いかなる敷設糸および糸通し糸も含まない中心開口部であり、
前記複数の糸通し糸は、少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸を含み、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸は、互いに織り込まれることにより、係止ステッチを形成し、前記係止ステッチは、前記複数の放射状糸および前記螺旋糸を互いに対して相対的な位置に保持することにより、前記ウェブの構造を維持するように、前記複数の放射状糸および前記螺旋糸の周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
【請求項16】
軟組織修復のための移植可能なウェブを形成する方法であって、
a)基材を可動式トレイ上に提供するステップと、
b)敷設ガイド要素を介して基材の第1の面に複数の敷設糸を敷設するステップと、
c)第1の糸通し糸を含む針を、前記基材の前記第1の面から前記基材を通して前記基材の第2の面まで、かつ、第2の糸通し糸の周りに通すステップと、
d)前記針を前記基材の前記第1の面に前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸の一部と共に戻すことにより、前記複数の敷設糸のうちの少なくとも1つの周囲に係止ステッチを形成し、前記敷設糸を前記基材上の所定の位置に、かつ、他の敷設糸に対して係止するステップと、
e)ステップc)およびd)を繰り返す前に、前記可動式トレイまたは前記基材または前記敷設ガイド要素または前記針のいくつかの組み合わせを前進させることにより、前記第1の糸通し糸および前記第2の糸通し糸を前記敷設糸に沿って一定の長さだけ延在させるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ヘルニアまたは脱出症修復などの軟組織修復に適したインプラントに関し、インプラントは、敷設糸および糸通し糸の組み合わせと、任意に基材と、を含む移植可能なウェブを含む。
【背景技術】
【0002】
従来の外科用メッシュは、多くのタイプのヘルニアおよび/または脱出症の治療のために、腹腔鏡下手術中および開腹手術中の両方で使用されてきた。
【0003】
ヘルニアまたは脱出症の外科的治療中、組織の欠陥部の開口部は縫合され、編みメッシュ、編み組メッシュ、および/または織りメッシュなどの従来の外科用メッシュで架橋されることがある。従来の外科用メッシュでは、メッシュの全体構造を形成する糸は、しばしば一緒に密に編まれ、編み組まれ、かつ/または織られ、互いに所定の位置に係止される。例えば、編みメッシュは一般に、経糸および緯糸が密に互いに織り込まれ、経糸および緯糸が互いに対して所定の位置に係止されて、編みメッシュの全体構造を形成および維持することを確実にするように、少なくとも経方向および緯方向に一緒に編まれた糸を含む。糸がより密に織り込まれているほど、メッシュはより堅くなり、かつ/またはより適応可能でなくなる。
【0004】
硬く、より適応可能でない従来のメッシュは、応力を受けたときに創傷を刺激する可能性がより高く、これにより患者の術後の痛みと不快感の増大がもたらされる可能性があり、かつ/または、患者の活動中に筋肉収縮および腹壁組織の機械的挙動の急激な変化に迅速に適応する可能性がより低くなり、これによりメッシュの機械的故障、メッシュの補強機能維持の不具合、および/またはヘルニアもしくは脱出症の再発がもたらされる可能性がある。
【0005】
本出願の目的は、従来のメッシュよりも弾性のあるインプラントを提供することであろう。具体的には、本明細書に記載するインプラントは、損傷を受けずに、すなわち永久に変形せずに、応力を受けた後に元の構成に戻ることができる。インプラントはまた、患者の収縮および/または腹壁の動きにより適応可能である。
【0006】
さらに、本出願の目的は、創傷を刺激せずに、かつ/または術後の患者に追加の痛みまたは不快感を与えずに、日々の患者の活動(座る、呼吸する、横たわる、立ち上がるなどのような)に関連付けられている一方向の応力に適応するように構成されたインプラントを提供することである。
【0007】
さらに、本出願の目的は、補強機能を維持するためにインプラントの元の構成に戻る能力を維持しながら、多軸方向に(故障せずに、永久に変形せずに、かつ/または膨らまずに)伸びることによって、患者の活動(運動、ランニング、ジャンプなどのような)の増加に関連付けられている場合もある多方向の応力に適応するように構成されたインプラントを提供することである。
【0008】
さらに、本出願の目的は、インプラント全体に応力を効率的および/または均等に分散するように構成されたインプラントを提供することであり、このためインプラントの一部のみが局所的に破損した場合でも、インプラントは尚も補強機能を維持することができる。
【0009】
これらの各々は、構造的および/または症候性のいずれかで、ヘルニアまたは脱出修復の結果を改善する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、移植可能なウェブと、任意に基材と、を含むヘルニアおよび/または脱出症修復のためのインプラントについて説明する。移植可能なウェブは、複数の敷設糸および複数の糸通し糸を含む。複数の敷設糸は、互いと重なり合うかまたは交差しており、織り込まれていない。敷設糸は、軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および補強糸から選択されてもよい。複数の糸通し糸は、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含んでもよい。糸通し糸は、敷設糸の長さに沿って互いと織り交ぜられ、敷設糸、特に少なくとも2つの敷設糸の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、それによって敷設糸を互いに対して所定の位置に保持し、ウェブの構造を形成および/または維持する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、複数の敷設糸および複数の糸通し糸から形成されてもよく、敷設糸は、少なくとも複数の放射状糸および複数の螺旋糸を含み、糸通し糸は、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含む。そのような実施形態では、ウェブは、いかなる糸も含まない中心開口部をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、ウェブは、基材、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、補強糸、または縫合アセンブリのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、複数の敷設糸および複数の糸通し糸から形成されてもよく、敷設糸は、少なくとも1つの軸糸、複数の放射状糸、および複数の螺旋糸を含み、糸通し糸は、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含む。いくつかの実施形態では、ウェブは、基材、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、補強糸、または縫合アセンブリのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0013】
ウェブが基材を含むいくつかの実施形態では、基材は、溶解性シートまたは織物であってもよい。いくつかの実施形態では、基材は編み織物である。
【0014】
ウェブが少なくとも1つの縁取り糸を含むいくつかの実施形態では、縁取り糸は、螺旋糸の形状とは異なる形状でウェブの外縁の周囲を画定してもよい。
【0015】
ウェブが少なくとも1つの係留糸を含むいくつかの実施形態では、係留糸は、縁取り糸から半径方向に延在してもよい。
【0016】
ウェブが少なくとも1つの補強糸を含むいくつかの実施形態では、補強糸は、補強部材またはゾーンを形成するように構成されてもよい。補強部材またはゾーンは、連続または不連続リングであり得る。
【0017】
ウェブが少なくとも1つの縫合アセンブリを含むいくつかの実施形態では、縫合アセンブリは、ウェブの面の中心にあってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、放射状糸、垂直糸、水平糸、または斜め糸の少なくとも1つは、ウェブの外縁を越えて、少なくとも1つの放射状ループ、垂直ループ、水平ループ、または斜めループをそれぞれ形成してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、インプラントは、少なくとも1つの移植可能なウェブを含み、ウェブは、複数の敷設糸および複数の糸通し糸を含む。複数の敷設糸は、複数の放射状糸であって、各放射状糸が、ウェブの中心区域からウェブの外周縁まで半径方向に延在している、複数の放射状糸と、複数の螺旋糸であって、各螺旋糸が、ウェブの中心区域の周りに連続ループを形成し、かつ複数の放射状糸の間に延在して、これらと交差している、複数の螺旋糸と、を含み、ウェブの中心区域が、敷設糸および糸通し糸のいずれも含まない中心開口部である。複数の糸通し糸は、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含み、第1および第2の糸通し糸は、互いに織り込まれて係止ステッチを形成し、係止ステッチは、放射状糸および螺旋糸を互いに相対的な位置に保持してウェブの全体構造を維持するように、少なくとも放射状糸および螺旋糸の周りに位置決めされている。
【0020】
いくつかの実施形態では、インプラントは、少なくとも1つの移植可能なウェブを含み、ウェブは、複数の敷設糸および複数の糸通し糸を含む。複数の敷設糸は、少なくとも1つの軸糸、少なくとも1つの螺旋糸、および複数の放射状糸を含み、軸糸は、ウェブの少なくとも一方の面の中心軸の一部に沿って延在し、各放射状糸は、半径方向に軸糸からウェブの外周縁まで延在し、少なくとも1つの螺旋糸は、軸糸の周りにループを形成し、複数の放射状糸間に延在して、これらと交差する。複数の糸通し糸は、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含み、第1および第2の糸通し糸は、互いに織り込まれて係止ステッチを形成し、係止ステッチは、軸糸、放射状糸、および螺旋糸を互いに相対的な位置に保持してウェブの全体構造を維持するように、軸糸、放射状糸、および螺旋糸の任意の組み合わせの周りに位置決めされている。
例えば本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
複数の敷設糸および複数の糸通し糸を備え、
上記複数の敷設糸が、軸糸、螺旋糸、および複数の放射状糸を含み、上記軸糸が、上記ウェブの中心縦軸または横軸の一部に沿って延在し、各放射状糸が、上記軸糸から上記ウェブの外周縁に向かって半径方向に延在し、上記螺旋糸が、上記軸糸の周りにループを形成し、かつ上記複数の放射状糸の間に延在して、これらを交差しており、ならびに少なくとも第1および第2の糸通し糸であって、上記第1および第2の糸通し糸が、互いに織り込まれて係止ステッチを形成し、上記係止ステッチが、上記軸糸、上記放射状糸、および上記螺旋糸を互いに対して相対的な位置に保持して上記ウェブの構造を維持するように、上記軸糸、上記放射状糸、または上記螺旋糸のうちの少なくとも2つの周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
(項目2)
上記ウェブが、複数の螺旋糸を含み、好ましくは、上記複数の螺旋糸が、複数の同心閉ループを形成し、より好ましくは、最も外側の螺旋糸が、上記ウェブの外周縁を表している、上記項目に記載の移植可能なウェブ。
(項目3)
上記放射状糸は、上記螺旋糸よりも直径が小さい、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目4)
上記放射状糸のうちの少なくとも1つが、放射状ループを形成し、好ましくは、上記第1および第2の糸通し糸は、上記放射状糸および螺旋糸よりも直径が小さい、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目5)
上記複数の放射状糸が、上記軸糸の近位端および遠位端から延在している、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目6)
上記軸糸の少なくとも中心部分を横切って上記ウェブの上記外周縁に向かって延在する複数の水平糸をさらに備え、上記水平糸が、互いに略平行であり、かつ上記軸糸に略直角である、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目7)
上記移植可能なウェブの上記外周縁またはその付近に少なくとも1つの補強ゾーンを形成する複数の補強糸をさらに備え、好ましくは、上記少なくとも1つの補強ゾーンが、連続リングから選択されるか、または上記少なくとも1つの補強ゾーンが、ジグザグもしくは正弦波構成をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目8)
複数の垂直糸をさらに備え、上記垂直糸が、互いに略平行であり、かつ上記水平糸に略直角であり、好ましくは、上記垂直糸のうちの少なくとも1つが、垂直ループを形成している、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目9)
複数の斜め糸をさらに備え、好ましくは、上記斜め糸のうちの少なくとも1つが、斜めループを形成している、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目10)
上記第1および第2の糸通し糸を介して上記ウェブが固定されている基材をさらに備え、好ましくは、上記基材が、水溶性ポリビニルアルコールなどの溶解性材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目11)
上記基材が編み織物を含み、好ましくは、上記編み織物が、非吸収性モノフィラメントを含み、例えば、上記編み織物が、吸収性モノフィラメントから製造された把持部材を含む、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目12)
上記ウェブの表面に取り付けられ、かつ上記ウェブの平面の平面とは異なる平面で上記ウェブの上記表面から延在する縫合ループを含む、少なくとも1つの縫合アセンブリをさらに備え、好ましくは、上記少なくとも1つの縫合アセンブリが、管状カバーで包まれている、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブ。
(項目13)
TFPプロセスを使用して、上記項目のいずれか一項に記載の移植可能なウェブを形成することを含む、インプラントを形成する方法。
(項目14)
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
複数の敷設糸および複数の糸通し糸を備え、上記複数の敷設糸が、複数の垂直糸、水平糸、斜め糸、および少なくとも1つの螺旋糸を含み、各螺旋糸が、上記ウェブの中心区域の周りに連続ループを形成し、かつ上記複数の垂直糸、水平糸、および斜め糸の間に延在して、これらを交差しており、
上記複数の糸通し糸が、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含み、上記第1および第2の糸通し糸が、互いに織り込まれて係止ステッチを形成し、上記係止ステッチが、上記敷設糸を互いに対して相対的な位置に保持して上記ウェブの構造を維持するように、上記敷設糸のうちの少なくとも2つの周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
(項目15)
ヘルニア修復のための移植可能なウェブであって、
複数の敷設糸および複数の糸通し糸を備え、
上記複数の敷設糸が、複数の放射状糸であって、各放射状糸が、上記ウェブの中心区域から上記ウェブの外周縁まで半径方向に延在している、複数の放射状糸と、少なくとも1つの螺旋糸であって、上記螺旋糸が、上記ウェブの上記中心区域の周りに連続ループを形成し、かつ上記複数の放射状糸の間に延在して、これらを交差している、少なくとも1つの螺旋糸と、を含み、上記ウェブの上記中心区域が、いかなる敷設糸および糸通し糸も含まない中心開口部であり、
上記複数の糸通し糸が、少なくとも第1および第2の糸通し糸を含み、上記第1および第2の糸通し糸が、互いに織り込まれて係止ステッチを形成し、上記係止ステッチが、上記放射状糸および螺旋糸を互いに対して相対的な位置に保持して上記ウェブの構造を維持するように、上記放射状糸および上記螺旋糸の周りに位置決めされている、移植可能なウェブ。
(項目16)
軟組織修復のための移植可能なウェブを形成する方法であって、
a)基材を可動式トレイ上に提供するステップと、
b)敷設ガイド要素を介して基材の第1の側面に複数の敷設糸を敷設するステップと、
c)第1の糸通し糸を含む針を、上記基材の上記第1の側面から上記基材を通して上記基材の第2の側面に、かつ上記第2の糸通し糸の周りに通すステップと、
d)上記針を上記基材の上記第1の側面に、上記第1および第2の糸通し糸の一部と共に戻して、上記複数の敷設糸のうちの少なくとも1つの周囲に係止ステッチを形成し、上記敷設糸を上記基材上の所定の位置に、かつ他の敷設糸に対して係止するステップと、
e)ステップc)およびd)を繰り返す前に、上記可動式トレイ、基材、敷設ガイド要素、または針のいくつかの組み合わせを前進させて、上記第1および第2の糸通し糸を上記敷設糸に沿って一定の長さだけ延在させるステップと、を含む、方法。
(摘要)
本開示は、ヘルニアまたは脱出症修復に適したインプラントを提供し、インプラントは、敷設糸および糸通し糸の組み合わせと、任意に基材と、を含む移植可能なウェブを含む。そのようなインプラントの製造方法もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の有刺フィラメントの様々な実施形態が、図面を参照して本明細書に開示される。
図1A】それぞれ、本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、ウェブを含む外科用インプラントを形成するために使用されるプロセスの斜視図および側面概略図である。
図1B】それぞれ、本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、ウェブを含む外科用インプラントを形成するために使用されるプロセスの斜視図および側面概略図である。
図2A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図2B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、ウェブを形成するために組み合わされた敷設糸および糸通し糸の拡大斜視図である。
図3】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図4A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図4B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図4C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図4D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図5】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブと、基材と、を含む外科用インプラントの上面図である。
図6】本明細書の様々な実施形態記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図7】本明細書の様々な実施形態記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図8】本明細書の様々な実施形態記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図9】本明細書の様々な実施形態記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図10】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの縫合アセンブリと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図11】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの縫合アセンブリと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図12A】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図12B】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図12C】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図13A】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図13B】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、少なくとも1つの補強ゾーンと、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図14A】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、基材と、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図14B】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸と、基材と、を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図15】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
図16】本明細書の様々な実施形態に記載するような、敷設糸および糸通し糸を含むウェブを含む外科用インプラントの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書の多くの図に示されているように、本明細書に記載するインプラントは、略平面であり、少なくとも移植可能なウェブと、任意にそれに取り付けられた基材と、を含む。加えて、インプラントは、縫合アセンブリ、補強部材、またはその両方をさらに含んでもよい。
【0023】
インプラントは、ヘルニアまたは脱出症の修復処置など、軟組織の開口部の縫合を補強および/または支持するために、組織に外科的に移植されるように構成されている。いくつかの実施形態では、インプラントは、鼠経ヘルニア、大腿ヘルニア、臍ヘルニア、切開ヘルニア、腹側ヘルニア、傍ストーマヘルニアなどのようなヘルニアを修復するように構成される。いくつかの実施形態では、インプラントは、直腸、膀胱、子宮、または膣の脱出を修復するように構成される。
【0024】
I.移植可能なウェブ
本明細書に記載するインプラントは、少なくとも1つの移植可能なウェブを含み、ウェブは、中間に厚さを有して互いに対向する少なくとも第1および第2の面を含む。移植可能なウェブは、外周縁によって画定され、外周縁は、長方形、円形、楕円形、三角形、長方形、五角形、六角形、八角形などのような任意の形状を有する。インプラント全体と同様に、ウェブは、略平面である。
【0025】
移植可能なウェブは、敷設糸および糸通し糸の組み合わせから形成される。敷設糸は、流動性である、重なり合うかまたは交差する様態で位置決めまたは敷設される。敷設糸は、互いと織り込まれていない。糸通し糸は、敷設糸の重なり合った部位またはその付近の個々の敷設糸の周りに係止ステッチを形成して、敷設糸を互いに対して略固定位置に係止して移植可能なウェブの全体構造を形成および/または維持する。
【0026】
いくつかの実施形態では、インプラントは、敷設糸および糸通し糸を組み合わせることができる基材をさらに含んでもよい。様々な糸と組み合わされた任意の基材は、製造後にインプラント(または移植可能なウェブ)の一部として残り、またはその後いつでもインプラント(または移植可能なウェブ)から部分的または全体的に除去ことができる。
【0027】
1.敷設糸
敷設糸は、互いに対して織り込まれずに、かつ/またはいかなる永続的な位置にも保持されずに(糸通し糸を追加せずに)、互いに対して重なり合うまたは交差する様態で位置決めまたは敷設され得る糸である。互いを互いに対して固定位置に係止する織り込まれた糸を含む、硬い従来の外科用メッシュ(編み物、編み組物、織り物など)、例えば、経糸および緯糸を含む編み織物とは異なり、本開示の敷設糸は、まったく流動性であり、互いを固定位置に固定せずに、単に互いと重なり合い、かつ/または交差するだけである。敷設糸のみが互いに対していかなる永久的な位置にも保持されないため、敷設糸だけでは、移植可能なウェブの構造を形成および/または維持することができない。本明細書により詳細に記載するように、糸通し糸をウェブに追加することによって、敷設糸は互いに対して重なり合うかまたは交差する位置に保持または係止される。
【0028】
様々な種類の敷設糸を糸通し糸と組み合わせて、本明細書に記載する移植可能なウェブを形成することができる。様々な種類の敷設糸としては、軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および補強糸が挙げられる。
【0029】
様々な敷設糸は、モノフィラメント構造、マルチフィラメント構造、またはモノフィラメントおよびマルチフィラメント構造の任意の組み合わせであってもよい。
【0030】
様々な敷設糸は、移植に適した任意の生体適合性材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、敷設糸は、生体吸収性、非生体吸収性、弾性、および/または非弾性材料の任意の組み合わせから形成されてもよい。
【0031】
敷設糸のうちの少なくともいくつかを形成するのに適した生体吸収性材料のうちのいくつかの非限定的な例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリホスファゼン、吸収性ポリアミド、ポリエーテル、酸化セルロース、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
敷設糸のうちの少なくともいくつかを形成するのに適した非生体吸収性材料のうちのいくつかの非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレート、非吸収性ポリアミド、アラミド、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリブチルエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、銅合金、銀合金、プラチナ、金、ステンレス鋼、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、敷設糸のうちの少なくともいくつかは、弾性材料から製造されてもよい。弾性材料から製造された糸、すなわち弾性糸は、NF EN ISO 13934-1:2013に従って測定された75%以上の破断点伸びを示す。弾性材料のうちのいくつかの非限定的な例としては、ポリウレタン、ポリブチレン、ならびにスチレン系ブロックコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、およびポリアミドなどの熱可塑性エラストマー(TPE)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、ポリテトラヒドロフランおよびポリブチレンの組み合わせから製造された弾性糸を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、敷設糸のうちの少なくともいくつかは、非弾性材料から製造されてもよい。非弾性材料から製造された糸、すなわち非弾性糸は、NF EN ISO 13934-1:2013に従って測定された75%未満の破断点伸びを示す。非弾性材料のうちのいくつかの非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ニッケル、チタン、および他の金属が挙げられる。
【0035】
様々な敷設糸の詳細が以下に提供される。
【0036】
a.軸糸
本明細書に記載する移植可能なウェブは、少なくとも1つの軸糸を含んでもよい。本明細書の図のうちのいくつかに示すように、軸糸は、移植可能なウェブの中心軸に沿って延在する糸である。ウェブの中心軸は、ウェブの長さに沿って縦方向に、またはウェブの幅に沿って横方向に延びることができる。軸糸は、ウェブのうちの少なくとも一方の面の縦方向または横方向のいずれかの中心に置かれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、互いに直角に敷設された2本の軸糸、すなわち縦方向に敷設された第1の軸糸および横方向に敷設された第2の糸を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、軸糸は、ウェブの外周縁まで延在してもよい。いくつかの実施形態では、軸糸は、ウェブの外周縁まで延在しなくてもよく、および/またはウェブの外周縁を含まない。
【0038】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸糸は、移植可能なウェブの少なくとも一方の面の中心縦軸(CLA)に沿って延在してもよい。CLAは、ウェブの少なくとも一方の面の長さだけ延在し、ウェブの中心および/または中心区域を横切る。そのような実施形態では、軸糸は、CLAに沿って軸方向距離に延在する。軸方向距離は、ウェブの長さの約0%~約100%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、軸方向距離は、ウェブの長さの約10%~約90%、ウェブの長さの約25%~約75%、ウェブの長さの約33%~約67%、および/またはウェブの長さの約40%~約60%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、軸方向距離は、ウェブの長さの50%超、ウェブの長さの約50%、または、ウェブの長さの50%未満を表してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸糸は、移植可能なウェブの少なくとも一方の面の中心横軸(CTA)に沿って延在してもよい。CTAは、ウェブの少なくとも一方の面の幅だけ延在し、ウェブの中心および/または中心区域を横切る。CLAおよびCTAは、ウェブの少なくとも一方の面の中心および/または中心区域で交差し、かつ互いに直角である。いくつかの実施形態では、軸糸は、中心横軸に沿って軸方向距離に延在してもよい。軸方向距離は、ウェブの幅の約0%~約100%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、軸方向距離は、ウェブの幅の約10%~約90%、ウェブの幅の約25%~約75%、ウェブの幅の約33%~約67%、またはウェブの幅の約40%~約60%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、軸方向距離は、ウェブの幅の50%超、ウェブの幅の約50%、または、ウェブの幅の50%未満を表してもよい。
【0040】
b.放射状糸
本明細書に記載する移植可能なウェブは、複数の放射状糸を含む。放射状糸は、ウェブの少なくとも一方の面の中心区域から外周縁まで半径方向に延在する。隣接する放射状糸がウェブの中心区域から離れる方向に延在するにつれて、ウェブの面上の隣接する放射状糸間の距離は増加する。個々の放射状糸は、他の個々の放射状糸と交差しない。隣接する放射状糸は、互いに平行ではない。
【0041】
いくつかの実施形態では、放射状糸は、ウェブの少なくとも一方の面の中心から延在する。いくつかの実施形態では、放射状糸は、ウェブの中心の周りの中心区域から延在し、ウェブの中心、すなわち中心開口部は、いかなる糸も含まない。いくつかの実施形態では、放射状糸は、中心軸に沿って延在し、ウェブの中心区域内に位置決めされた少なくとも1つの軸糸から延在する。
【0042】
いくつかの実施形態では、放射状糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域または中心から離れる方向に、単一糸としてウェブの外縁に向かって延在してもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、放射状糸は、ウェブの中心区域、中心、または軸糸から離れる方向に、最も外側の螺旋糸によって画定され得るウェブの外縁を越えて延在してもよく、ウェブの面の中心区域または中心に向かって巻き戻る。そのような実施形態では、放射状糸は、ウェブの外縁または最も外側の螺旋糸を2回横切って、それらの間に放射状ループを形成する。係留糸のように、放射状ループは、ウェブを組織に固定するのに適しており、外縁または最も外側の螺旋糸を越えて任意の距離だけ延在してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、全て放射状ループを形成する放射状糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、放射状ループを形成しない放射状糸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、放射状ループを形成しない放射状糸および放射状ループを形成する放射状糸の両方を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する移植可能なウェブは、少なくとも1つの軸糸および複数の放射状糸を含む。そのような実施形態では、軸糸は、ウェブの少なくとも一方の面の中心区域に、すなわち中心縦軸および/または中心横軸に沿って位置付けられ、放射状糸は、軸糸のいくつかの部分から延在する。いくつかの実施形態では、放射状糸は、軸糸の同じ部分から延在してもよい。いくつかの実施形態では、放射状糸は、軸糸の異なる部分から延在してもよい。いくつかの実施形態では、放射状糸は、軸糸の周りに等間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、放射状糸は、軸糸の各側から対称的に延在してもよい。いくつかの実施形態では、放射状糸は、軸糸の両端ではないにしても少なくとも一方の端から延在してもよい。
【0046】
c.螺旋糸
本明細書に記載する移植可能なウェブは、少なくとも1つの螺旋糸をさらに含み、複数の螺旋糸を含んでもよい。螺旋糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面上の中心区域(中心、中心開口部、および/または少なくとも1つの軸糸のうちの少なくとも1つを含む)の周りを回る。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの螺旋糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域を横断しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブの、両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域は、螺旋糸を含まない。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの螺旋糸は、少なくとも一方の面の中心区域(中心、中心開口部、および/または少なくとも1つの軸糸のうちの少なくとも1つを含む)で始まり、そこから外向きにウェブの外周縁に向かって螺旋状になってもよい。
【0049】
螺旋糸はまた、放射状糸の間に延在し、それによって螺旋糸を介して隣接する放射状糸を互いに接続する。代わりに、放射状糸は、螺旋糸間に延在し、それによって放射状糸を介して隣接する螺旋糸を互いに接続する。螺旋糸は、流動的な様式で放射状糸と重なり合うか交差し、織り込まれない。螺旋糸は、他の螺旋糸と交差しない。
【0050】
いくつかの実施形態では、ウェブは、ウェブの外周縁からまたはその付近で、ウェブの中心区域に向かってまたはその付近で、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域の周りに連続的かつ徐々に狭まる曲線で巻く、単一の連続螺旋糸を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ウェブは、複数の螺旋糸を含んでもよく、各螺旋糸は、軸糸および/またはウェブの中心区域を通過せずに、ウェブの中心または中心区域の周りに閉ループを形成する。閉ループによって、螺旋糸は、丸い形状のみに限定することを意図せず、円形、楕円形、長方形、三角形、六角形、五角形などを含む任意の閉じた形状を含むことを意図している。
【0052】
各閉ループ螺旋糸は、隣接する螺旋糸から半径方向に離間配置される。いくつかの実施形態では、隣接する螺旋糸間の半径方向距離は、ウェブ全体にわたって一定のままである。半径方向距離を一定に保つことにより、ウェブの中心区域の周りの螺旋糸のループは、ウェブの少なくとも一方の面で互いに等間隔で配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、螺旋糸は、軸糸および/またはウェブの中心区域の周りと同心である。
【0054】
いくつかの実施形態では、隣接する螺旋糸間の半径方向距離は、螺旋糸が軸糸および/またはウェブの中心区域から遠く離れるにつれて増加する。例えば、最も外側の隣接する螺旋糸(ウェブの中心区域から最も遠い2つの螺旋糸)は、最小の半径方向距離で離間配置されている最も内側の隣接する螺旋糸(ウェブの中心区域に最も近い2つの螺旋)と比べて、最大の半径方向距離で離間配置されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、隣接する螺旋糸間の半径方向距離は、螺旋糸が軸糸および/またはウェブの中心区域から遠く離れるにつれて減少する。例えば、最も外側の隣接する螺旋糸(ウェブの中心区域から最も遠い2つの螺旋糸)は、最大の半径方向距離で離間配置されている最も内側の隣接する螺旋糸(ウェブの中心区域に最も近い2つの螺旋糸)と比べて、最小の半径方向距離で離間配置されてもよい。
【0056】
さらに他の実施形態では、隣接する螺旋糸間の半径方向距離は、ウェブの面全体で変化する。
【0057】
いくつかの実施形態では、螺旋糸は、非弾性糸である。
【0058】
いくつかの実施形態では、螺旋糸は非弾性糸であり、放射状糸および軸糸のうちの少なくとも一方は弾性糸である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する移植可能なウェブは、複数の放射状糸、複数の螺旋糸、および複数の糸通し糸を含む。そのような実施形態では、複数の放射状糸は、ウェブの中心開口部からウェブの外周縁まで延在し、複数の螺旋糸は、ウェブの中心開口部の周りを回って連続ループを形成し、放射状糸間に延在し、それによって螺旋糸を介して隣接する放射状糸を互いに接続する。互いに織り交ぜられて、螺旋糸および放射状糸が重なり合い、かつ/または交差する位置に隣接する放射状糸および/または螺旋糸の周りに係止ステッチを形成する糸通し糸。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する移植可能なウェブは、少なくとも1つの軸糸、複数の放射状糸、複数の螺旋糸、および複数の糸通し糸を含む。そのような実施形態では、軸糸は、ウェブの少なくとも一方の面の中心区域に、すなわち中心縦軸または横軸に沿って位置付けられ、複数の放射状糸は、軸糸のいくつかの部分からウェブの外周縁まで延在し、複数の螺旋糸は、軸糸の周りを回り、放射状糸間に延在し、それによって螺旋糸を介して隣接する放射状糸を互いに接続する。そのような実施形態では、ウェブの軸糸から最も外側の螺旋糸は、ウェブの外周縁を表してもよく、複数の放射状糸は、最も外側の螺旋糸まで延在してもよい。糸通し糸は互いに織り交ぜられて、軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸が重なり合い、かつ/または交差する位置に隣接する軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸の周りに係止ステッチを形成する。
【0061】
d.縁取り糸
本明細書に記載する移植可能なウェブは、少なくとも1つの縁取り糸をさらに含んでもよい。縁取り糸は、軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸の任意の組み合わせを取り囲むかまたは囲み、ウェブの外周縁を画定し、ウェブに追加の支持を提供する。縁取り糸は、最も外側の螺旋糸を越えて半径方向に延在する放射状糸の一部と重なり合うかまたは交差する。縁取り糸は、軸糸および/または螺旋糸と重なり合わないかまたは交差しない。縁取り糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域を横断しない。本明細書に記載するウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域は、縁取り糸を含まない。本明細書に記載するウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域は、縁取り糸および螺旋糸を含まない。
【0062】
いくつかの実施形態では、ウェブの放射状糸は、最も外側の螺旋糸を越えて縁取り糸まで延在してもよく、縁取り糸は、最も外側の螺旋糸から(軸糸および/またはウェブの中心区域から遠く離れる方向に)半径方向の縁取り距離だけ変位する。そのような実施形態では、最も外側の螺旋糸と縁取り糸との間の半径方向の縁取り距離は、螺旋糸の全てではないにしても少なくともいくつかの間の半径方向距離よりも大きくてもよい。そのような実施形態では、最も外側の螺旋糸と縁取り糸との間の半径方向の縁取り距離は、放射状糸および任意に糸通し糸のみを含むゾーンを作成する。
【0063】
縁取り糸は、長方形、円形、楕円形、三角形、長方形、五角形、六角形、八角形などの任意の形状を画定することができる。いくつかの実施形態では、縁取り糸によって画定される形状は、
螺旋糸および/または特に、最も外側の螺旋糸によって画定される形状とは異なる。いくつかの実施形態では、縁取り糸は、長方形の形状を画定し、螺旋糸は、円形または楕円形の形状を画定する。
【0064】
e.係留糸
本明細書に記載する移植可能なウェブは、ウェブを組織に固定するための少なくとも1つの係留糸をさらに含んでもよい。係留糸は、縁取り糸から、軸糸および/またはウェブの中心区域から離れる方向に延在する。係留糸は、縁取り糸の一部と重なり合うかまたは交差する。係留糸は、軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸と重なり合わず、またはこれらと交差しない。係留糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域を横断しない。本明細書に記載するウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域は、係留糸を含まない。本明細書に記載するウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面の中心区域は、係留糸、縁取り糸、および螺旋糸を含まない。
【0065】
いくつかの実施形態では、係留糸は、ウェブの中心に位置合わせされる様態で縁取り糸から半径方向に延在してもよいが、縁取り糸および/または軸糸、放射状糸、または螺旋糸のうちのいずれかを横断しない。いくつかの実施形態では、係留糸は、縁取り糸から非放射状の様態で延在してもよいが、縁取り糸および/または軸糸、放射状糸、または螺旋糸のうちのいずれかを横断しない。
【0066】
いくつかの実施形態では、係留糸は、縁取り糸の周りに等間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、係留糸は、ウェブの外周縁の周りに対称的に延在してもよい。
【0067】
縁取り糸および係留糸は、ウェブに追加の強度および支持を提供するように構成される。特に、縁取り糸は、軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸を縁取り糸の画定された周囲内に一緒に保持するのを助けるように構成され、係留糸は、移植時にウェブを組織に固定するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、係留糸の直径は、縁取り糸の直径以上である。本明細書では、直径という用語が引用されるが、糸を円形断面のみに限定することを意図するものではなく、非円形断面も意図している。
【0069】
いくつかの実施形態では、縁取り糸の直径は、螺旋糸の直径以上である。
【0070】
いくつかの実施形態では、螺旋糸の直径は、放射状糸および/または軸糸の直径以上である。
【0071】
いくつかの実施形態では、放射状糸および/または軸糸の直径は、糸通し糸の直径以上である。
【0072】
いくつかの実施形態では、係留糸および縁取り糸は、軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または糸通し糸の直径よりも大きい直径を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、螺旋糸は、軸糸、放射状糸、および/または糸通し糸よりも大きい直径を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、放射状糸は、糸通し糸よりも大きい直径を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、軸糸は、糸通し糸よりも大きい直径を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、係留糸の引張強度は、縁取り糸の引張強度以上である。
【0077】
いくつかの実施形態では、縁取り糸の引張強度は、螺旋糸の引張強度以上である。
【0078】
いくつかの実施形態では、螺旋糸の引張強度は、放射状糸および/または軸糸の引張強度以上である。
【0079】
いくつかの実施形態では、放射状糸および/または軸糸の引張強度は、糸通し糸の引張強度以上である。
【0080】
いくつかの実施形態では、係留糸および縁取り糸は各々、軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または糸通し糸の引張強度よりも大きい引張強度を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、係留糸、縁取り糸、および放射状糸は各々、螺旋糸よりも大きい引張強度を有する。
【0082】
f.垂直糸、水平糸、および斜め糸
本明細書に記載するウェブは、少なくとも1つの垂直糸、水平糸、または斜め糸をさらに含んでもよい。垂直糸は、ウェブの長さに沿って縦方向に延在する一方で、水平糸は、ウェブの幅に沿って延在する。垂直糸および水平糸は、互いに直角に延在する。斜め糸は、垂直糸または水平糸に対してある角度で延在し、垂直糸または水平糸のいずれとも平行でないかまたは直角でない。
【0083】
垂直糸、水平糸、および斜め糸は、軸糸とは異なり、ウェブの任意の部分に位置決めすることができ、中心軸に沿って位置決めする必要はない。放射状糸とは異なり、垂直糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面にわたって互いに平行のままである。放射状糸とは異なり、水平糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面にわたって互いに平行のままである。放射状糸とは異なり、斜め糸は、ウェブの両方ではないにしても少なくとも一方の面にわたって互いに平行のままである。螺旋糸とは異なり、垂直糸、水平糸、および斜め糸は、閉ループまたは螺旋を形成せず、ウェブの中心を通過することができる。本明細書に記載する全ての敷設糸と同様に、垂直糸、水平糸、および斜め糸は、本明細書に記載する移植可能なウェブの他の敷設糸に対して所定の位置に保持される糸通し糸を使用する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の垂直糸を含んでもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の水平糸を含んでもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の斜め糸を含んでもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の垂直糸および水平糸を含んでもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の垂直糸および斜め糸を含んでもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、複数の斜め糸および水平糸を含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、垂直糸を含まなくてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、水平糸を含まなくてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、斜め糸を含まなくてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、各々同じ直径を有する垂直糸、水平糸、および/または斜め糸のいくつかの組み合わせを含んでもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するインプラントは、螺旋糸および糸通し糸よりも大きい直径を有する垂直糸、水平糸、および/または斜め糸のいくつかの組み合わせを含んでもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、垂直糸、水平糸、および/または斜め糸は、最も外側の螺旋糸によって画定され得るウェブの外縁を越えて延在し、ウェブの中心区域、中心、または軸糸に向かって巻き戻る。そのような実施形態では、垂直糸、水平糸、および/または斜め糸は、ウェブの外縁または最も外側の螺旋糸を2回横切り、それらの間に垂直ループ、水平ループ、および/または斜めループをそれぞれ形成する。係留糸のように、垂直ループ、水平ループ、および/または斜めループは、ウェブを組織に固定するのに適しており、外縁または最も外側の螺旋糸を越えて任意の距離だけ延在してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、全て垂直ループを形成する垂直糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、垂直ループを形成しない垂直糸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、垂直ループを形成しない垂直糸および垂直ループを形成する垂直糸の両方を含んでもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、全て水平ループを形成する水平糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、水平ループを形成しない水平糸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、水平ループを形成しない水平糸および水平ループを形成する水平糸の両方を含んでもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、全て斜めループを形成する斜め糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、斜めループを形成しない斜め糸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、斜めループを形成しない斜め糸および斜めループを形成する斜め糸の両方を含んでもよい。
【0099】
g.補強糸
本明細書に記載するウェブは、少なくとも1つの補強糸をさらに含んでもよい。補強糸は、インプラントの少なくとも一方の面の区域に追加されて、特定の区域(複数可)の敷設糸の密集度を増加させ、インプラントの少なくとも一方の面に補強ゾーンまたは部材を作成する。補強糸は、他の敷設糸と同様に、インプラントの補強区域内の他の敷設糸に対して所定の位置に補強糸を係止するために、糸通し糸を追加する必要がある。しかし、他の敷設糸とは異なり、補強糸は、任意の方向または方向の組み合わせに位置決めして、ウェブを強化するためにウェブの所定の区域で糸の密集度を増加させるのに適した任意の設計を形成することができる。例えば、補強糸は、インプラントの少なくとも一方の面に補強部材またはゾーンを形成するために、放射状様態(放射状糸と同様)で、螺旋様態(螺旋糸と同様)で、軸様態(軸糸と同様)で、インプラントの中心軸に平行に、インプラントの中心軸に垂直に、およびこれらの任意の組み合わせで、延在してもよい。
【0100】
補強糸および/またはそれから形成される補強部材またはゾーンは、インプラントの少なくとも一方の面の周りで連続的または不連続であってもよい。いくつかの実施形態では、補強部材は、ウェブの少なくとも一方の面に位置決めされ、面の中心区域の周りに延在する連続ループの形態である。いくつかの実施形態では、補強部材を形成するために使用される補強糸は、補強区域上および螺旋糸の一部間でより高い密集度の螺旋様態で延在してもよい。代わりに、いくつかの実施形態では、補強部材またはゾーンを形成するために使用される補強糸は、補強区域上および放射状糸の一部間でより高い密集度の放射状様態で延在してもよい。
【0101】
他の実施形態では、補強部材は不連続であってもよく、インプラントの外周の周りに位置決めされる複数のタブを形成してもよい。そのような実施形態では、複数の補強部材を形成するために使用される補強糸は、インプラントの外周の周りに断続的に分散され、ウェブの螺旋糸および/または放射状糸の組み合わせの間で螺旋様態または放射状様態で延在してもよい。様々な他の形状および/または設計が図に示され、本明細書により詳細に記載される。
【0102】
いくつかの実施形態では、補強部材またはゾーンは、インプラントの片面に位置決めされる。いくつかの実施形態では、補強部材またはゾーンは、インプラントの両面に位置決めされる。
【0103】
本明細書でより詳細に後述するテーラードファイバー配置の使用により、より高い密集度の補強糸をウェブの特定の区域に敷設して、固定用の固定補強ゾーンおよび/または軟組織欠陥部の縫合の追加支持のための補強ゾーンを作成することができる。
【0104】
2.糸通し糸
前述のように、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸は、重なり合うかまたは交差する位置またはその付近の敷設糸の周りに係止ステッチを形成する糸通し糸によって、互いに対して重なり合うかまたは交差する位置に保持または係止される。係止ステッチは、敷設糸を互いに対して所定の位置に固定して、移植可能なウェブの全体構造を形成および/または維持する。
【0105】
係止ステッチを形成するために、本明細書に記載する移植可能なウェブは、織り交ぜることができる少なくとも第1および第2の糸通し糸を含む。追加の糸通し糸を使用してもよい。第1および第2の糸通し糸は、上下の糸通し糸であってもよく、第1および第2の糸通し糸は、互いに対して流動性の位置に敷設されるとき、糸(または基材)の上と下から、敷設糸、すなわち、軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、係留糸、および/または補強糸に接近する。
【0106】
図2Bにより詳細に示すように、第1および第2の糸通し糸は、異なる種類の敷設糸間の交点またはその付近で個々の敷設糸の周りに係止ステッチを形成するように一緒に織り交ぜられる。糸通し糸は、敷設糸が交差するかまたは重なり合う複数の交差点またはその付近で複数の係止ステッチを形成する。係止ステッチの各々間で、糸通し糸は、互いに交差するかまたは交差せずに、敷設糸と略並んで延在する。
【0107】
糸通し糸はまた、ウェブの全体構造に剛性および/または張力を加え、本明細書に記載するウェブに記憶効果、すなわち、展開時にウェブが元の平面構成に戻る能力を提供する。例えば、糸通し糸は、送達後および/または展開時に元の略平面構成に戻るように自動的に開くまたは広がる能力を維持しながら、十分な剛性または張力を加えて、(開腹または腹腔鏡処置を介して)移植の部位への送達のためにウェブを折り畳み、かつ/または巻くことを可能にする。
【0108】
いくつかの実施形態では、糸通し糸の直径は、少なくとも1つの敷設糸の直径よりも小さくてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、糸通し糸の直径は、敷設糸の全てよりも小さくてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、糸通し糸は、マルチフィラメントであってもよく、敷設糸は、モノフィラメントであってもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、糸通し糸は、モノフィラメントであってもよく、敷設糸は、モノフィラメントであってもよい。
【0112】
3.縫合アセンブリ
様々な敷設糸および糸通し糸に加えて、本明細書に記載するインプラントは、少なくとも1つの縫合アセンブリをさらに含んでもよい。縫合アセンブリは、第1および第2の端部の間に位置決めされた本体を有するある長さの縫合糸を含み、第1および第2の端部は、インプラントおよび/またはウェブの少なくとも一方の面に固定され、インプラントおよび/またはウェブを含ない本体部分はループまたはハンドルを形成する。縫合糸は、モノフィラメント縫合糸、マルチフィラメント縫合糸、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0113】
インプラントおよび/またはウェブは、任意の数の縫合アセンブリを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、ウェブの面上の中心にある単一の縫合アセンブリを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、2つの縫合アセンブリを含み、各縫合アセンブリは、ウェブの面上の中心にある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、複数の縫合アセンブリを含み、複数の縫合アセンブリは、ウェブの少なくとも一方の面にわたって対称的に分布する。
【0114】
少なくとも1つの縫合アセンブリは、任意の好適な方法を使用してウェブに固定されてもよい。いくつかの実施形態では、縫合アセンブリは、糸通し糸を使用してウェブに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、縫合アセンブリは、編み、織り、編み組などのような従来の方法を使用して、ウェブに取り付けられてもよく、ウェブおよび/または基材の糸への縫合アセンブリの端部分。いくつかの実施形態では、縫合アセンブリは、縫合アセンブリの端部分をウェブおよび/または基材の糸に接着するために、接着材料を使用して取り付けられてもよい。
【0115】
少なくとも1つの縫合アセンブリは、インプラントの表面から延在する縫合アセンブリの長さの大部分を取り囲む管状カバーをさらに含んでもよい。管状カバーは、縫合アセンブリと同様に、任意の生体吸収性または非生体吸収性の材料を単独でまたは任意に組み合わせて含む任意の生体適合性材料で製造することができる。
【0116】
II.基材(または基部材料)
本明細書に記載するインプラントは、移植可能なウェブの敷設糸および糸通し糸を組み合わせることができる基材をさらに含んでもよい。基材は、インプラントの永久的な部分であってもよく、または代わりに、移植の前頃にインプラントから除去されてもよい。
【0117】
基材は、任意の生体吸収性材料および/または任意の非生体吸収性材料を単独でまたは組み合わせて含む、移植に適した任意の生体適合性材料から製造されてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、基材は、編み、編み組、織りなどのような従来の方法で製造された織物であり、経糸および緯糸などの織り込み糸を含む。好適な織物のいくつかの例は、米国特許第7,331,199号および同第9,186,235号に記載されていて、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、基材は編み織物であってもよい。いくつかの実施形態では、Pro-Grip(登録商標)メッシュであってもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、基材は、布または織物などの溶解性裏当て材料である。溶解性基材は、溶解性基材としての使用に適した酢酸塩または他の材料から形成されてもよい。溶解性基材材料は、溶解性基材を除去するために使用される溶解プロセス(複数可)が、溶解後に残るように設計されているウェブの糸の物理的特性に最小限の影響しか及ぼさないように選択される。
【0120】
いくつかの実施形態では、基材は、水、生理食塩水、または血液、粘液、汗、唾液などを含む他の天然の体液と接触して配置されたときに溶解する材料から製造される。そのような溶解性材料のいくつかの例として、これらに限定するものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、デキストラン、多糖類、ゼラチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、インプラントは、移植可能なウェブおよび基材を含む。いくつかの実施形態では、基材は、ウェブよりも表面積が大きくてもよく、それによってウェブの外周縁を越えて広がり、インプラントの外周縁を画定する。
【0122】
III.インプラントを形成する方法
本明細書に記載するインプラント、特に本明細書に記載する移植可能なウェブは、テーラードファイバー配置技術(TFP)を使用して形成されてもよい。TFPは、少なくとも1つの糸をほぼ任意の所望の方向で基材上に連続的に配置して縫い付けて、織物を作成するという原理に基づくプロセスである。この場合、TFP技術を使用して、少なくとも第1および第2の糸通し糸を織り交ぜることによって、基材上に、本明細書に記載する軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸を配置および固定する。
【0123】
図1A図1Bに示すように、TFP技術は、敷設糸20(軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り、糸、係留糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸のうちの少なくとも1つを表す)を格納する少なくとも1つの敷設ボビンと、敷設糸20を基材または基部材料30の上に具体的に調整された様態で敷設または配置する場所を決定するための敷設ガイド要素10と、を含むシステムを使用する。敷設糸20は、糸針40および糸ボビン45の前方で基材30上に配置される。糸針40は、敷設糸20と基材30の同じ側に位置決めされ、糸ボビン45は、基材30の反対側に位置決めされる。第1の糸通し糸41および第2の糸通し糸46は、糸針40および糸ボビン45にそれぞれ接続される。敷設ガイド要素10が基材30上に敷設糸20を敷設した後、第1の糸通し糸41を含む糸針40は、基材30を貫通し、第1の糸通し糸41を基材30に通して糸ボビン45に入る。糸ボビン45は、第1の糸通し糸41を捕捉し、第1の糸通し糸41を第2の糸通し糸46の周りに運ぶために移動するシャトルフック47を含む。次に、糸針40が上昇して基材30の上面のその元の位置に戻り、第1および第2の糸通し糸41、46の両方を引っ張って、敷設糸20および基材30の周りに係止ステッチを形成し、それによって敷設糸20を基材30上の所定の位置に係止し、かつ/または敷設糸20を他の敷設糸に対して所定の位置に係止する。針糸40が上昇すると、敷設されたガイド要素10、糸針40、糸ボビン45、および基材30のいくつかの組み合わせは、新しい位置に前進する。敷設ガイド要素10は、(矢印で示されるように)その上で360度回転するように設計され、テーラーメード設計に従って、敷設糸20を基材30上に配置することを可能にする。
【0124】
基材30は、任意の三次元方向に基材を移動させることができる、可動式トレイまたはフレーム(図示せず)上に位置決めされてもよい。
【0125】
針、ボビンおよび/またはトレイ(またはフレーム)を含むシステムは、コンピュータおよび/またはコンピュータソフトウェアによって制御されてもよい。
【0126】
糸通し糸は、全ての敷設糸を基材につなぐ際に、また、基材の全体ではないにしても基材の少なくとも一部が除去される前、最中、および/または後に、様々な種類の敷設糸を単一のウェブ構造として一緒につないだ状態に保つために、重要な役割を果たす。
【0127】
TFPは、編み、編み組、および/または織りなどの従来の技術とは異なり、設計の観点からより柔軟であり、というのも繊維の配向、繊維の密集度、およびウェブの幾何学的形状を必要に応じて簡単に調整して、患者の生理機能にウェブの機械的挙動をより良く適応させ、かつ/またはジョギング、ウォーキング、咳、呼吸、曲げなどのような、処置後に行われる特定の種類の活動に通常関連付けられている様々な考えられる応力に対処することができるためである。
【0128】
さらに、TFPは、従来の技術と比較して、ファイバーレイダウンプロセスの量および配向において高レベルの精度および再現性を保証するため、TFPによって形成される特定のウェブ構成の機械的挙動は、開発中のシミュレーションを通じて、および/または移植前に予測しやすくなる。
【0129】
さらに、TFPは、テーラードデザインの移植可能なウェブを提供できるため、TFPは、従来の技術よりも少ない材料を使用し、このためTFPによって製造される個々のウェブに関連付けられている材料損失はより少なく、したがってコストが低下する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する軟組織修復のための移植可能なウェブを形成する方法は、a)基材を可動式トレイ上に提供するステップと、b)敷設ガイド要素を介して基材の第1の側面に複数の敷設糸を敷設するステップと、c)第1の糸通し糸を含む針を、基材の第1の側面から基材を通して基材の第2の側面に、かつ第2の糸通し糸の周りに通すステップと、d)針を基材の第1の側面に、第1および第2の糸通し糸の一部と共に戻して、複数の敷設糸のうちの少なくとも1つの周囲に係止ステッチを形成し、敷設糸を基材上の所定の位置に、かつ他の敷設糸に対して係止するステップと、e)ステップc)およびd)を繰り返す前に、可動式トレイ、基材、敷設ガイド要素、または針のいくつかの組み合わせを前進させて、第1および第2の糸通し糸を敷設糸に沿って一定の長さだけ延在させるステップと、を含み得る。
【0131】
IV.インプラント
ここで図を参照すると、本明細書に記載する例示的なインプラントが示されており、インプラントの範囲を特に描写されたもののみに限定することを意図せず、さらに詳細に考察する。
【0132】
図2Aに示すように、外科用ウェブ100は、ウェブ100の中心区域105、特に中心105aからウェブ100の外周縁115まで半径方向に延在する複数の放射状糸110a~dと、ウェブ100の中心区域105の周りを回り、複数の放射状糸110a~dの間に延在する複数の螺旋糸120a~dと、を含む。各螺旋糸120a~dは、隣接する放射状糸110a~dを接続する。代わりに、各放射状糸110a~dは、隣接する螺旋糸120a~dを接続する。
【0133】
螺旋糸120a~dは、半径方向距離rだけ離間配置されている隣接する螺旋糸である。図示するように、半径方向距離rは、螺旋糸120a~dに対して一定および/または同じである。いくつかの実施形態では、螺旋糸120a~dは、中心区域105、特に、ウェブ100の中心区域105内に位置決めされている中心105aを横断しない。
【0134】
図2Aにさらに示すように、いくつかの実施形態では、最も外側の螺旋糸120aは、ウェブ100の外周縁115を表してもよい。加えて、複数の螺旋糸120a~dは、ウェブ100の中心区域105の周りに互いに略平行に延在してもよく、かつ/またはウェブ100の中心区域105の周りに等間隔で配置されてもよい。
【0135】
図2Bの拡大部分に示すように、放射状糸110a~bは、螺旋糸120a~dと重なり合うかまたは交差するが、螺旋糸120a~dと織り込まれず、少なくとも第1の糸通し糸130および第2の糸通し糸140は、放射状糸110a~bおよび/または螺旋糸120a~dのうちの少なくとも一方の長さにほぼ沿って延在する。図2Bにさらに示すように、第1および第2の糸通し糸130、140は、放射状糸110a~bおよび/または螺旋糸120a~dの長さに沿って断続的に互いを織り交ぜて、複数の係止ステッチ135a~cを形成する。係止ステッチ135a~dは、ウェブ100の全体構造を形成および/または維持するために、放射状糸110a~bおよび螺旋糸120a~dを互いに対して所定の位置に保持する。
【0136】
係止ステッチ135a~dは、敷設糸、すなわち、放射状糸110a~bおよび螺旋糸120a~dの各々において図2Bに示されているが、いくつかの実施形態では、係止ステッチは、敷設糸、すなわち放射状糸または螺旋糸のうちの1つのみにあってもよいことが想定される。本明細書に記載するウェブは、ウェブの全体構造を形成および/または維持するのに十分な任意の数の係止ステッチを含み得ることがさらに想定される。
【0137】
いくつかの実施形態では、図2Bに示すように、少なくとも1つ、特に2つの係止ステッチは、各交差点の間、すなわち放射状糸110a~bが螺旋糸120a~dと交差するかまたは重なり合う位置に位置決めされている放射状糸110a~bのうちの各々の長さに形成される。
【0138】
いくつかの実施形態では、図2Bにさらに示すように、少なくとも1つ、特に2つの係止ステッチは、各交差点の間、すなわち放射状糸110a~bが螺旋糸120a~dと交差するかまたは重なり合う位置に位置決めされている螺旋糸120a~dのうちの各々の長さに形成される。
【0139】
図2Bはまた、いくつかの実施形態では、糸通し糸130、140が、敷設糸、すなわち、放射状糸110a~bおよび/または螺旋糸120a~dよりも直径(または非円形形状の断面サイズ)が小さくてもよいことを示している。
【0140】
いくつかの実施形態では、糸通し糸と放射状糸および螺旋糸との直径(または非円形形状の断面サイズ)の比はそれぞれ、約1:1:1~約1:3:3の範囲であってもよい。
【0141】
図2Bは、さらに他の実施形態では、糸通し糸130、140が、放射状糸110a~bよりも直径(または非円形形状の断面サイズ)が小さく、放射状糸は螺旋糸120a~dよりも直径(または非円形形状の断面サイズ)が小さくてもよいことをさらに示している。
【0142】
このような実施形態では、糸通し糸と放射状糸および螺旋糸との直径(または非円形形状の断面サイズ)の比はそれぞれ、約1:2:3である。
【0143】
ここで図3を参照すると、インプラント200は、中心開口部206を取り囲む中心区域205から縁取り糸250a~dによって画定されるウェブ201の外周縁215まで半径方向に延在する、複数の放射状糸210から形成される移植可能ウェブ201を含む。ウェブ201は、ウェブ201の中心区域205の周りを回り、複数の放射状糸210間に延在する複数の螺旋糸220をさらに含む。螺旋糸220は、隣接する放射状糸210を接続する。図示するように、螺旋糸220は、ウェブ201の中心開口部206を横断しない。少なくとも第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。
【0144】
中心開口部206は、特に糸通し糸、軸糸、放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、および/または係留糸を含むいかなる糸も含まない。
【0145】
外科用ウェブ201は、縁取り糸250a~dおよび係留糸260a~dをさらに含み、縁取り糸250a~dは、ウェブ201の外周縁215を画定し、係留糸260a~dは、縁取り糸250a~dおよび/またはウェブ201の外周縁215から離れる方向に延在する。
【0146】
図3に示すように、放射状糸210は、最も外側の螺旋糸220(中心区域205から最も遠い螺旋糸)を越えて縁取り糸250a~dまで延在し、それによって周辺外縁215の付近に、螺旋糸220を含まず、かつ/または放射状糸210(および任意に糸通し糸)のみを含むゾーンZを作成する。放射状糸の長さは、ゾーンZにおいて変化してもよい。
【0147】
縁取り糸250a~dは、最も外側の螺旋糸220から半径方向の縁取り距離fだけ変位している。図示するように、半径方向の縁取り距離fは、ウェブ201の周りで変化する可能性があり、かつ/または放射状縁取り距離fは、螺旋糸220の全てではないにしても少なくともいくつかの間の半径方向距離rよりも大きい。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するウェブは、一定の半径方向距離rおよび変化する半径方向縁取り距離fを含んでもよい。
【0149】
図3にさらに示すように、係留糸260a~dは、中心区域205に位置付けられているウェブ201の中心開口部206と位置合わせされる様態で縁取り糸250a~dから半径方向に延在する。係留糸はまた、単独で、または放射状に延在する係留糸と組み合わせて、非放射状の様態で延在し得ることも想定される。
【0150】
図2Bの拡大図に示すような、また図3のウェブ201および敷設糸、すなわち放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、および/または係留糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である、少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち放射状糸、螺旋糸、縁取り糸、および/または係留糸(全てを図示せず)の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ201の全体構造を形成および/または維持する。いくつかの実施形態では、係止ステッチは、複数の敷設糸を互いに対して所定の位置に保持してウェブの構造を維持するために、敷設糸の少なくとも2つの上または周りに位置決めされてもよい。
【0151】
ここで図4A図4Dを参照すると、少なくとも1つの軸糸307、複数の放射状糸310、および複数の螺旋糸320から形成されたウェブ301を含むインプラント300が示されている。図4Aに具体的に示すように、1つの軸糸307は、軸糸307の近位端307aと遠位端307bとの間でウェブ301の中心縦軸CLAに沿って延在する。軸糸307は、ウェブ301の外周縁315まで延在しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸糸は、CLAではなく中心横軸CTAに沿って延在し得ることが想定される。
【0152】
図4Aにさらに示すように、複数の放射状糸310は、少なくとも1つの位置308aから、時には複数の異なる位置308a~cから、軸糸307の長さに沿って半径方向に延在する。軸糸307から離間配置され、軸糸307の周りを回り、複数の放射状糸310の間に延在する複数の螺旋糸320。軸糸307を横断せずに、隣接する放射状糸310を接続する螺旋糸320。
【0153】
図4Aにまたさらに示すように、螺旋糸320は、CLAに実質的に平行(またはCTAに実質的に直角)である2つの対向する長辺323a、およびCLAに実質的に直角(またはCTAに実質的に平行)である2つの対向する短辺323bを有する略楕円の形状を形成することができ、螺旋糸320の短辺323bの各々において、中心縦軸CLAに沿ってウェブ301の外周縁315に向かって延在する第1および第2のU字形屈曲部324a、324bを形成し、ウェブ301の中心に最も近いU字形屈曲部に開口部を有する。いくつかの実施形態では、図4Aに示すように、最も内側の螺旋糸320の全体的な輪郭は、ウェブ301の外周縁315の全体的な輪郭と異なっていてもよい。
【0154】
図2Bの拡大図に示すような、また図4Aのウェブ301および敷設糸、すなわち放射状糸、螺旋糸、および/または軸糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち放射状糸、螺旋糸、および/または軸糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ301の全体構造を形成および/または維持する。
【0155】
ここで図4B図4Dを参照すると、いくつかの実施形態では、ウェブ301は、螺旋糸320と比較してより高い弾性率を有する少なくとも1つの放射状糸310および/または軸糸307を含んでもよい。軸糸および放射状糸307、310と比較してより低い弾性率を有する螺旋糸320は、一方向または多方向の負荷を受けたときにウェブ300の伸びを制限する。
【0156】
いくつかの実施形態では、手術後の患者の通常の日常活動(例えば、呼吸、着座、横たわることなど)に関連付けられている応力にウェブがさらされる場合など、一方向の負荷にさらされることにより、図4Bの一対の矢印によって示されるように、放射状糸および/または軸糸310、307は任意の方向に一軸方向に伸び得る一方で、より弾性の低い螺旋糸320はウェブ301の残りが伸ばされることを制限する。この糸の組み合わせにより、編み、編み組、織りなどのような他の繊維技術によって製造された従来のメッシュと比較して、日々の患者の創傷に対する刺激がより少なく、および/または痛みがより少ない様態で、一方向の応力に適応するウェブの能力が向上する。
【0157】
いくつかの実施形態では、手術後の患者のより高度な活動(例えば、ランニング、エクササイズ、ジャンプ、ダンス、咳など)に関連付けられている複数またはより高いレベルの応力(複数可)にウェブがさらされる場合など、多方向の負荷にさらされることにより、図4Cの矢印で示すように、放射状糸および/または軸糸310、307が多軸方向に伸び得る一方で、より弾性率の低い螺旋糸320は、ウェブ301がより弾性率の低い(放射状および/または軸糸よりも低い弾性度を有する)螺旋糸320によって画定される特定のレベルの張力を超えて伸ばされるのを制限する。
【0158】
図4Dに示す矢印で示すように、放射状糸および軸糸310、307のより高い弾性率により、ウェブ301の全体構造が、一般的に硬い従来の外科用メッシュに関連付けられているいかなる変形もおよび/または膨らみ効果も伴わずに、多方向負荷が除去されるとその初期の形状または構成に戻ることを可能にする。
【0159】
この糸の組み合わせにより、編み、編み組、織りなどの他の繊維技術によって製造された従来のメッシュと比較して、応力の印加中および応力の除去後の両方でウェブの補強機能を維持する様態で、多方向応力に適応するウェブの能力が向上する。
【0160】
本明細書に記載するインプラントおよびウェブのこれらの改善された適応挙動により、個々にまたは組み合わせて、患者は、毎日の腹部応力にさらされる前および/または後に創傷組織を刺激する移植可能なウェブに起因するより少ない痛みを経験し、患者の毎日の活動により早く戻り、かつ/または、編み、編み組、織りなどの他の織物技術によって製造された従来のメッシュにさらされた患者と比較して、インプラントが創傷を適切に支持しないという不具合を経験する可能性がより低くなり得る。
【0161】
図5は、少なくとも1つの軸糸407、複数の放射状糸410、411、複数の水平糸412、および糸通し糸(図5には示さず図2Aを参照)によって基材402に配置および固定された複数の螺旋糸420a~cから製造されたウェブ401を含むインプラント400を示す。少なくとも1つの軸糸407は、ウェブ401のCLAに沿ってウェブ401の外周縁415まで延在する。ウェブ401は、基材402の上部に敷設された状態で示されており、基材402は、ウェブ401の軸糸、放射状糸、螺旋糸、および水平糸の間に示される隙間の全てではないにしても少なくともいくつかを埋め、ウェブ401の外周縁415を越えて延在する。そのような実施形態では、基材の外周縁445は、インプラント400の外周縁405を画定する。
【0162】
図5にさらに示すように、複数の放射状糸411の第1の部分は、軸糸407の近位端部分407aから半径方向に延在し、複数の放射状糸410の第2の部分は、軸糸407の遠位端部407bから半径方向に延在する。複数の水平糸412は、近位端部分407aと遠位端部分407bとの間に位置決めされた軸糸407の部分から、またはそれを横切って延在する。水平糸412は、CLAと同様に軸糸407に実質的に直角に延在し、ウェブ401の面を横切って外周縁415まで互いに平行のままである。
【0163】
図2Bの拡大図に示すような、また図5のウェブ401および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または水平糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または水平糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ401の全体構造を形成および/または維持する。
【0164】
図6を参照すると、少なくとも1つの軸糸507、放射状糸510、および螺旋糸520、ならびに少なくとも1つ、特に複数の補強ゾーン590を含むウェブ501を含むインプラント500が示されている。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント500および/またはウェブ501は、基材、水平糸、垂直糸、斜め糸、縁取り糸、および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0165】
補強ゾーン590は、ウェブ501の放射状糸510および/または螺旋糸520の間の空間を横切って延在するように示されている。補強ゾーン590は、ウェブ501に補強糸591を追加することにより形成される。追加の糸通し糸を使用して、補強糸591を放射状糸510および/または螺旋糸520に対して所定の位置に保持してもよい。補強糸591は、放射状糸510および/または螺旋糸520の間に延在し、それらの間の空間を少なくとも部分的に埋める。しかし、図6にさらに示すように、いくつかの実施形態では、補強ゾーン590の各々の補強糸591は不連続であり、限られた数の放射状糸510および/または螺旋糸520にわたって延在して、複数の不連続補強ゾーン590を作成してもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、図6にさらに示すように、補強ゾーン590のうちの少なくともいくつかは、螺旋糸520と同じ数の放射状糸510の間に延在してもよく、すなわち、図示するように、2つの放射状糸と2つの螺旋糸との間に延在する。いくつかの実施形態では、補強ゾーンの全ては、図示するように、ウェブの全面にわたって同じ数の放射状糸510および/または螺旋糸520の間に延在してもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、補強ゾーンのうちの少なくともいくつかは、螺旋糸と異なる数の放射状糸の間に延在してもよく、すなわち、2つの放射状糸と3つの螺旋糸との間に延在する(図示せず)。いくつかの実施形態では、補強ゾーンの全ては、ウェブの面全体にわたって異なる数の放射状糸および/または螺旋糸の間に延在する(図示せず)。
【0168】
いくつかの実施形態では、補強ゾーン590は、同じ数の放射状糸510および/または螺旋糸520、すなわち図示するように、2つの放射状糸および2つの螺旋糸によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、補強ゾーン590の全ては、図示するように、ウェブの面全体にわたって同じ数の放射状糸510および/または螺旋糸520によって分離される。
【0169】
いくつかの実施形態では、補強ゾーンは、異なる数の放射状糸および/または螺旋糸、すなわち2つの放射状糸および3つの螺旋糸によって分離されてもよい(図示せず)。いくつかの実施形態では、補強ゾーンの全ては、ウェブの表面全体にわたって異なる数の放射状糸および/または螺旋糸によって分離される(図示せず)。
【0170】
いくつかの実施形態では、補強ゾーン590は、外周縁515から距離dに位置決めされてもよい。ウェブ501の縁部515から約0.05cm~約5cmの範囲の距離d。いくつかの実施形態では、約0.1cm~約2.5cmの範囲の距離d。いくつかの実施形態では、約0.25cm~約2cmの範囲の距離d。いくつかの実施形態では、距離dは、縁部515から約0.5cm~約1cmである。
【0171】
いくつかの実施形態では、複数の不連続補強ゾーン590は、ウェブ501の表面上で距離Dだけ互いから分離されてもよい。各隣接ゾーン590間で約0.05cm~約5cmの範囲の距離D。いくつかの実施形態では、約0.1cm~約2.5cmの範囲の距離D。いくつかの実施形態では、約0.25cm~約2cmの範囲の距離D。いくつかの実施形態では、距離Dは約2cmである。
【0172】
図2Bの拡大図に示すような、また図6のウェブ501および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、補強ゾーン590および/またはウェブ501の全体構造を形成および/または維持する。
【0173】
図7では、軸糸607、放射状糸610、螺旋糸620、および連続リング690の形状の少なくとも1つの補強ゾーンから形成されたウェブ601を含むインプラント600が示されている。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント600および/またはウェブ601は、基材、水平糸、垂直糸、斜め糸、縁取り糸、および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0174】
補強リング690は、中心605および軸糸607の周りを回り、ウェブ601の放射状糸610と螺旋糸620との間の空間を横切って延在するように示されている。補強リング690は、螺旋糸620と同様に、ウェブ601の中心605および軸糸607の周りと同じ連続経路をたどるが、より近接および/またはより密集した様態で補強リング690を生成し得る補強糸691の追加によって形成される。いくつかの実施形態では、補強糸は、リング690を形成するために、隣接する螺旋糸620より高い密集度で、かつより近接した追加の螺旋糸620であってもよい。いくつかの実施形態では、補強糸は、リング690を形成するために、隣接する放射状糸610より高い密集度で、かつより近接した追加の放射状糸610であってもよい。追加の糸通し糸を使用して、補強糸691を放射状糸610および/または螺旋糸620に対して所定の位置に保持してもよい。
【0175】
補強リング690の剛性はウェブ601の剛性よりも大きいので、補強リング690はウェブ601を堅くし、ウェブ601に自然に広がる能力を提供することが想定される。加えて、補強リング690は補強糸691から製造されているので、補強リング690は、組織の内部成長を促進するのに適した多孔性を維持する。また、補強リングまたはゾーン690は、縫合糸、ステープル、タック、ピン、ネジなどのような外科用留め具を受け入れるためにウェブ601を強化するように構成される。いくつかの実施形態では、図7に示すように、補強ゾーン690は、軸糸610を横断しない。
【0176】
図2Bの拡大図に示すような、また図7のウェブ601および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、補強ゾーン690および/またはウェブ601の全体構造を形成および/または維持する。
【0177】
図8では、軸糸707、放射状糸710、螺旋糸720、ならびにウェブ701の中心705および軸糸707の周りに位置決めされた複数の不連続補強リング790、791から形成されたウェブ701を含むインプラント700が示されている。図示するように、第1の補強リング790は、略C字形であり、また、略C字形である第2の補強リング791に面している。図示するように、略C字形の補強材は、ウェブ701の中心705の周りに延在しながら、波状および/または正弦波状であり得る。しかしまた、略C字形の補強リングは、波状を含まずかつ/または滑らかであり得ることも想定される。
【0178】
第1および第2の補強リング790、791は、それぞれの端部790a~b、791a~bの付近で離間配置されて、ウェブを2つの等しい半分に折り畳むためのウェブの表面を横切る固定折り畳み線Lを画定する。図示するように、端部790a~b、791a~bの全てではないにしても少なくとも1つは、CLAに平行に延在する。いくつかの実施形態では、折り畳み線Lは、ウェブ701のCLAに沿って位置決めされ、かつ/または軸糸707の長さをたどる。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント700および/またはウェブ701は、基材、水平糸、垂直糸、斜め糸、縁取り糸、および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0179】
図2Bの拡大図に示すような、また図8のウェブ701および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、補強ゾーン790、791および/またはウェブ701の全体構造を形成および/または維持する。
【0180】
図9では、インプラント800は、軸糸807、放射状糸810、螺旋糸820から形成されたウェブ801と、ウェブ801の中心帯に沿って縦方向に延在する補強ゾーン890と、を含む。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント800および/またはウェブ801は、基材、水平糸、垂直糸、斜め糸、縁取り糸、および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0181】
図示するように、補強ゾーン890は、第1の周辺外縁815aから第2の周辺外縁815bまで軸糸807に沿って延在するストリップの形態である。軸糸807、放射状糸810、および螺旋糸820のより高い密集度が、補強ゾーン890内に見られる。より高い密集度により、それぞれの軸糸807、放射状糸810、および螺旋糸820は、補強ゾーン890の外側のいずれかの糸よりも本質的に太く、および/または補強ゾーン890内で互いにより近接し、より密に位置付けられる。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する補強ゾーン内の糸のうちのいずれかは、補強ゾーンの外側の糸よりも高い引張強度を示す材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、補強ゾーンの外側の糸は、補強ゾーンの内側の糸よりも大きい弾性を示す材料から製造されてもよい。
【0183】
補強ゾーン800は、ウェブ801の中心帯806を横切って距離d’だけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、補強ゾーン890は、約0.05cm~約15cmの範囲の中心帯806を横切って距離d’だけ延在してもよい。いくつかの実施形態では、距離d’は、約0.1cm~約12.5cmの範囲である。いくつかの実施形態では、距離d’は約0.25cm~約10cmの範囲である。いくつかの実施形態では、距離d’は、約1cm~約5cmの範囲である。いくつかの実施形態では、距離d’は、約2.5cmである。
【0184】
図2Bの拡大図に示すような、また図9のウェブ801および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、補強ゾーン890および/またはウェブ801の全体構造を形成および/または維持する。
【0185】
ここで図10を参照すると、インプラント900は、軸糸907、放射状糸910、螺旋糸920、および少なくとも1つの縫合アセンブリ960を有するウェブ901を含む。軸糸907、放射状糸910、および螺旋糸920は、本明細書に記載および/または図示する実施形態のいずれかで記載する軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸のいずれかを表すことを意図している。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、拡大図には示されていない。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント900および/またはウェブ901は、基材、水平糸、垂直糸、斜め糸、縁取り糸、補強糸、および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0186】
縫合アセンブリ960は、ウェブ901の表面に取り付けられ、ウェブ901を含まない縫合ループ965を中間に形成する第1および第2の端部961a、961bを有する、少なくとも1つのモノフィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸を含む。縫合アセンブリ960の第1および第2の端部961a、961bは、軸糸907、放射状糸910、螺旋糸920、ならびに糸通し糸、縁取り糸、係留糸、補強糸、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに直接取り付けることができる。
【0187】
第1および第2の端部961a、961bの周りで、ウェブ901の表面に対して旋回可能である縫合ループ965。いくつかの実施形態では、縫合ループ965は、ウェブ901が縦軸に沿って位置する平面とは異なる平面内でウェブ901の表面から離れる方向に延在する。
【0188】
図示するように、いくつかの実施形態では、縫合アセンブリ960の第1および第2の端部961a、961bは、ウェブ901の少なくとも一方の面の中心にあってもよい。さらに図示するように、いくつかの実施形態では、第1および第2の端部961a、961bは、CTAに沿っておよび/または軸糸907の両側でウェブ901の表面に取り付けられてもよい。
【0189】
他の実施形態では、縫合アセンブリの第1および第2の端は、軸糸の近位端部分および遠位端部分に直接取り付けることができる。
【0190】
さらに他の実施形態では、縫合アセンブリの第1および第2の端部、軸糸の両側の一対の放射状糸に直接取り付けられてもよく、それによって縫合ループが軸糸を横断することを可能にする。
【0191】
縫合ループ965は、ウェブ901の面から高さHだけ延在してもよい。約0.1cm~約50cmの範囲の距離H、いくつかの実施形態では、0.5cm~約40cm、いくつかの実施形態では、約1cm~約30cm、いくつかの実施形態では、約5cm~約25cm、いくつかの実施形態では、約10cm~約20cm。
【0192】
いくつかの実施形態では、縫合ループ965は、ウェブ901の表面から略直角に永久的に延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、縫合ループ965は、縫合ループ965が、ウェブ901と略同一平面上に、かつ/または略平行に延在する平坦位置からウェブ901の平面に略直角な位置まで旋回することを可能にするように構成された様態で、ウェブ901の少なくとも1つの表面に取り付けられる。縫合アセンブリ960は、患者の身体の内側および/または外側からのウェブ901の取り扱いおよび/または固定のために使用されてもよい。
【0193】
図2Bの拡大図に示すような、また図10のウェブ901および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、縫合アセンブリ960および/またはウェブ901の全体構造を形成および/または維持する。
【0194】
図11を参照すると、インプラントは、軸糸1007、放射状糸1010、螺旋糸1020、ならびに2つ以上および/または複数の縫合アセンブリ1060a~eから形成されたウェブ1001を含む。軸糸1007、放射状糸1010、および螺旋糸1020は、本明細書に記載および/または図示する実施形態のいずれかで記載する軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸のいずれかを表すことを意図している。加えて、ウェブ1001は、本明細書に記載および/または図示するように、基材、縁取り糸、係留糸、補強糸、ならびに/または第1および第2の糸通し糸をさらに含んでもよい。各縫合アセンブリ1060a~eは、ウェブ1001の表面に取り付けられ、ウェブ1001の表面を含まない縫合ループ1065を中間に形成する第1および第2の端部1061a~e、1062a~eを有する少なくとも1つのモノフィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸を含む。
【0195】
縫合アセンブリの第1および第2の端部は、軸糸、放射状糸、螺旋糸、糸通し糸、縁取り糸、係留糸、補強糸、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つに直接取り付けることができる。
【0196】
図示するように、いくつかの実施形態では、複数の縫合アセンブリ1060a~eおよび/または縫合ループ1065a~eは、軸糸1007の周りおよび/またはウェブ1001の表面の外周に沿ってウェブ1001の表面に位置決めされてもよい。任意の数の縫合アセンブリが想定される。縫合アセンブリは、軸糸1007の周りに対称的または非対称的に位置決めされてもよい。加えて、縫合アセンブリは、ウェブの中心部分と外周との両方に位置決めされ得ることが想定される。
【0197】
図示するように、いくつかの実施形態では、縫合アセンブリ1060b~cの第1の端部1061b~cおよび第2の端部1062b~cは、軸糸1007の両側で放射状糸1010に取り付けられる。図示するように、いくつかの実施形態では、縫合アセンブリ1060d~eの第1の端部1061d~eおよび第2の端部1062d~eは、CTAの両側で同じ螺旋糸1020に取り付けられる。
【0198】
縫合ループ1065a~eは、ウェブ1001の面から距離Hだけ延在してもよい。約0.1cm~約50cmの範囲の距離H、いくつかの実施形態では、0.5cm~約40cm、いくつかの実施形態では、約1cm~約30cm、いくつかの実施形態では、約5cm~約25cm、いくつかの実施形態では、約10cm~約20cm。
【0199】
いくつかの実施形態では、距離Hは、複数の縫合ループ1065に対して同じであってもよい。いくつかの実施形態では、距離Hは、複数の縫合ループ1065に対して異なっていてもよい。
【0200】
各縫合アセンブリ1060a~eの第1の端部1061a~eは、各縫合アセンブリ1060a~eのそれぞれの第2の端部1062a~eから距離xだけ離間配置されてもよい。約0.1cm~約25cmの範囲の距離x、いくつかの実施形態では、0.2cm~約20cm、いくつかの実施形態では、約0.3cm~約15cm、いくつかの実施形態では、約0.4cm~約10cm、いくつかの実施形態では、約0.5cm~約5cm。他の実施形態では、距離xは、約0.5cm、約0.75cm、約1.0cm、約1.25cm、約1.5cm、約1.75cm、または約2cmから選択される。
【0201】
さらに他の実施形態では、距離xは、高さHの割合を表してもよい。例えば、距離xは、高さHの約2%~約98%、いくつかの実施形態では、約3%~50%、いくつかの実施形態では約4%~約20%、いくつかの実施形態では約5%~約10%の範囲であり得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、縫合ループ1065a~eは、ウェブ1001の表面から略直角に延在する。いくつかの実施形態では、縫合ループ1065a~eは、縫合ループ1065a~eが、ウェブ1001と略同一平面上に、かつ/または略平行に延在する平坦位置からウェブ1001の平面に略直角な位置まで旋回することを可能にする様態で、ウェブ1001の少なくとも1つの表面に取り付けられる。縫合アセンブリ1060は、患者の身体の内側および/または外側からのウェブ1001の取り扱いおよび/または固定のために使用されてもよい。
【0203】
図2Bの拡大図に示すような、また図11のウェブ1001および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、縫合アセンブリ1060および/またはウェブ1001の全体構造を形成および/または維持する。
【0204】
図12Aは、本明細書に記載するような他の敷設糸の任意の組み合わせと組み合わされる前の、垂直糸1160、水平糸1165、および斜め糸1170を含む本明細書に記載するようなウェブ1100を示す。図12Aは、水平糸、垂直糸、および/または斜め糸が他の糸の前に敷設されなければならないことを示すことを意図していない。むしろ、図12Aは、水平糸、垂直糸、および斜め糸をより明確に表示し、全ての糸および/または線で図を過度に混雑させないことによって図を単純化することを単に意図している。垂直糸および/または水平糸は、経糸および緯糸などのいくつかの従来の織物またはメッシュに見られるパターンに似ているかもしれないが、垂直糸、水平糸、および斜め糸は、従来の織物またはメッシュのように織り込まれていない。むしろ、本開示を通して説明するように、垂直、水平、および斜めの敷設糸は、糸通し糸が追加されて敷設糸を所定の位置に固定および係止するまで流動性である。
【0205】
図12B図12Cは、基材1140の上部に取り付けられたウェブ1101を含むインプラント1100を示している。ウェブ1101は、軸糸1107、螺旋糸1120a~b、垂直糸1160、水平糸1165、および斜め糸1170を含む。放射状糸は、全ての糸および/または線で図を過度に混雑させないことによって図を単純化するために、図12Bおよび図12Cには示されていない。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、同様の理由で示されていない。しかしながら、使用され得る放射状糸および糸通し糸の両方は、本開示の他の場所に記載されている。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント1100および/またはウェブ1101は、縁取り糸および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0206】
いくつかの実施形態では、図12B図12Cのインプラントは、放射状糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図12B図12Cのインプラントは、放射状糸を含まなくてもよい。
【0207】
図12B図12Cに示すように、最も内側の螺旋糸1120a(軸糸に最も近い)は、軸糸1107に実質的に平行な2つの対向する長辺1123aを軸糸1107に実質的に直角な2つの対向する短辺1123bに接続して略楕円の形状を形成することができ、短辺1123bの各々において、軸糸1107の周りに外周縁1115a、1115bに向かってそれぞれ延在する第1および第2のU字形屈曲部1124a、1124bを形成する。
【0208】
図12B図12Cにさらに示すように、いくつかの実施形態では、(軸糸から最も遠い)最も外側の螺旋糸1120bは、ループの短辺に沿ったU字形屈曲部を含まない。そのような実施形態では、最も内側の螺旋糸1120aの全体的な輪郭は、最も外側の螺旋糸1120bの全体的な輪郭と異なっていてもよい。
【0209】
図12Cは、螺旋糸1120a~bの密集度が図12Bに示されるものよりも低く、特に図を明瞭にするために、および使用され得る螺旋糸のあらゆる密集度を示すために、他の全ての螺旋糸1120が除去されているという点で図12Bとは異なる。
【0210】
図2Bの拡大図に示すような、また図12B図12Cのウェブ1101および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、水平糸、垂直糸、斜め糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ1101の全体構造を形成および/または維持する。
【0211】
図13Aおよび図13Bは、基材1240に取り付けられたウェブ1201を含むインプラント1200を示しており、インプラントは、軸糸1207、螺旋糸1220、補強部材またはゾーン1290、1291、垂直糸1260、水平糸1265、および斜め糸1270をさらに含む。放射状糸は、全ての糸および/または線で図を過度に混雑させないことによって図を単純化するために、図13Bおよび図13Cには示されていない。追加の第1および第2の糸通し糸もまた存在するが、同様の理由で示されていない。しかしながら、使用され得る放射状糸および糸通し糸の両方は、本開示の他の場所に記載されている。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント1200および/またはウェブ1201は、縁取り糸および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0212】
図13Aに示すように、補強ゾーン1290は、インプラント1200の外周縁上の軸糸1207の周りの連続リングの形態である。しかしながら、本明細書に記載および/または図示する補強ゾーンのいずれも、インプラント1200を形成する際にウェブ1201に追加するために等しく適用可能であり得ることが想定される。
【0213】
いくつかの実施形態では、図示するように、補強ゾーン1290は、軸糸1207の周りの螺旋糸1220と同様の経路をたどる複数の補強糸1292を含んでもよいが、螺旋糸1207と比較して、補強糸1292の密集度はウェブ1201の面上で著しく高くおよび/またはより高密度である。加えて、隣接する補強糸1292間の半径方向距離は、隣接する螺旋糸1220間の半径方向距離よりも著しく短い。
【0214】
図13Bに示すように、補強ゾーン1291は、インプラント1200の外周縁上の軸糸1207の周りに位置決めされた複数の不連続タブの形態である。しかしながら、本明細書に記載および/または図示する補強ゾーンのいずれも、インプラント1200を形成する際にウェブ1201に追加するために等しく適用可能であり得ることが想定される。
【0215】
いくつかの実施形態では、図示するように、補強ゾーン1291は、軸糸1207の周りの放射状糸および/または螺旋糸1220が取る任意の経路とは異なる経路をたどる複数の補強糸1294を含んでもよい。いくつかの実施形態では、補強糸1294は、補強ゾーンを形成する際にCLAに平行および/または垂直な経路をたどってもよい。
【0216】
図2Bの拡大図に示すような、また図13A図13Cのウェブ1201および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ1201の全体構造を形成および/または維持する。
【0217】
図14Aに示すように、基材1340に取り付けられたウェブ1301を含むインプラント1300であり、基材1340は、編み物、編み組物、または織り物から製造された外科用メッシュである。特定の実施形態では、基材1340は編みメッシュである。編みメッシュは、二次元または三次元の編みメッシュまたは両方の組み合わせであってもよい。編みメッシュは、Pro-Grip(登録商標)メッシュのように、少なくとも片側にスパイク付きナップを含んでもよい。
【0218】
図14Aは、基材1340の上部に取り付けられたウェブ1301を含むインプラント1300を示している。ウェブ1301は、本明細書に記載する敷設糸の任意の組み合わせを含んでもよい。図示するように、いくつかの実施形態では、ウェブ1301は、少なくとも軸糸1307および螺旋糸1320a~bを含んでもよい。放射状糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および補強糸は、全ての糸および/または線で図を過度に混雑させないことによって図を単純化するために、図14Aおよび図14Bには示されていない。追加の第1および第2の糸通し糸が存在するが、同様の理由で示されていない。しかしながら、使用され得る放射状糸、垂直糸、水平糸、および斜め糸、糸通し糸、および補強ゾーンは、本開示の他の箇所に記載されている。加えて、いくつかの実施形態では、インプラント1300および/またはウェブ1301は、縁取り糸および/または係留糸をさらに含んでもよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載するような放射状糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載するような放射状糸を含まなくてもよい。
【0220】
いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載するような補強糸または補強ゾーンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載する補強糸または補強ゾーンを含まなくてもよい。
【0221】
いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載するような垂直糸、水平糸、および斜め糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図14A図14Bのインプラントは、本明細書に記載するような垂直糸、水平糸、および斜め糸ゾーンを含まなくてもよい。
【0222】
図14Bに示すように、基材1340は、基材の第1の側のスパイク付きナップ1345と、スパイク付きナップ1345の反対側の基材1345の第2の反対側に位置決めされているウェブ1301と、を含む編みメッシュである。基材の反対側に示されているが、いくつかの実施形態では、ウェブおよびスパイク付きナップは、基材の同じ側および/または両側にあり得ることが想定される。
【0223】
図2Bの拡大図に示すような、また図14A図14Bのウェブ1301および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ1301の全体構造を形成および/または維持する。
【0224】
図15を参照すると、いくつかの実施形態では、インプラント1400は、少なくとも1つの軸糸1407、放射状糸1410、螺旋糸1420、および少なくとも1つの放射状ループ1411を含むウェブ1401を含んでもよい。図示するように、いくつかの実施形態では、放射状糸1410は、軸糸1407の第1の部分1407aから最も外側の螺旋糸1420aを越えて延在し、最も外側の螺旋糸1420aを越えて位置決めされた放射状ループ1411を形成する軸糸1407の第2の部分1407bに戻るように敷設されてもよい。放射状ループ1411は、ステープル、ネジ、ピン、タック、縫合糸、接着剤などのような従来の手段を介して組織にウェブを固定するのに適した最も外側の螺旋糸1420aを越える区域をウェブ1401に提供し得る。
【0225】
図15にさらに示すように、いくつかの実施形態では、軸糸、放射状糸、および螺旋糸を互いの上部に別々の層として敷設してもよく、それによって敷設糸の各々の厚さの合計に略等しい厚さを有するウェブを作成する。例えば、ウェブは、少なくとも1つの螺旋糸のみを含む第1の層、螺旋糸の上部に敷設された放射状糸のみを含む第2の層、および放射状糸の上部に敷設された軸糸のみを含む第3の層を有してもよい。軸糸、放射状糸、および螺旋糸は、任意の順序で層状化され得ることが想定される。さらに、他の実施形態では、本明細書に記載する敷設糸のいずれも、ウェブを形成するときに互いに別々に層状にされ得ることも想定される。
【0226】
図2Bの拡大図に示すような、また図15のウェブ1401および敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、および/または螺旋糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸、および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ1401の全体構造を形成および/または維持する。
【0227】
図16は、軸糸1507、最も外側の螺旋糸1520aを含む螺旋糸1520、垂直糸1560、水平糸1565、および斜め糸1570を含むウェブ1501を含むインプラント1500を示しており、垂直糸1560のうちの少なくともいくつかは、最も外側の螺旋糸1520aを越えて延在して垂直ループ1561を形成し、水平糸1565は、最も外側の螺旋糸1520aを越えて延在して水平ループ1566を形成し、かつ/または斜め糸1570は、最も外側の螺旋糸1520aを越えて延在して斜めループ1571を形成する。垂直ループ、水平ループ、または斜めループ1561、1565、1571のいずれもそれぞれ、ステープル、ネジ、ピン、タック、縫合糸、接着剤などのような従来の手段を介して組織にウェブを固定するのに適した最も外側の螺旋糸1520aを越える区域をウェブ1501に提供し得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、垂直ループ1561は、水平ループ1566および斜めループ1571よりも、最も外側の螺旋糸1520aからより長い距離だけ延在してもよい。
【0229】
いくつかの実施形態では、水平ループ1566は、垂直ループ1561および斜めループ1571よりも、最も外側の螺旋糸1520aからより長い距離だけ延在してもよい。
【0230】
いくつかの実施形態では、斜めループ1571は、垂直ループ1561および水平ループ1566よりも、最も外側の螺旋糸1520aからより長い距離だけ延在していてもよい。
【0231】
図2Bの拡大図に示すような、また図16のウェブ1501および敷設糸、すなわち軸糸、水平糸、垂直糸、斜め糸、および/または螺旋糸(拡大図には示していない)にも同様に適用可能である少なくとも第1の糸通し糸および第2の糸通し糸は、互いに織り交ぜられて、敷設糸、すなわち軸糸、放射状糸、螺旋糸、垂直糸、水平糸、斜め糸および/または補強糸(全てを図示せず)の任意の組み合わせの周りに係止ステッチを形成し、敷設糸の各々を互いに対して所定の位置に保持して、ウェブ1501の全体構造を形成および/または維持する。
【0232】
本インプラントおよび/または移植可能なウェブは、いくつかの例示的な実施形態および実装形態に関連して説明されているが、本インプラントおよび/または移植可能なウェブは、そのように限定されず、むしろ様々な修正および同等の構成を網羅する。
【実施例
【0233】
実施例1
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整し、モノフィラメント放射状糸、モノフィラメント螺旋糸、およびモノフィラメント軸糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント放射状糸およびモノフィラメント軸糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を30Texポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0234】
実施例2
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整し、モノフィラメント放射状糸、モノフィラメント螺旋糸、およびモノフィラメント軸糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント放射状糸およびモノフィラメント軸糸を、各々が400μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を30Texポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0235】
実施例3
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を30Texポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0236】
実施例4
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を100μmポリプロピレン(PP)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0237】
実施例5
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0238】
実施例6
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって編みメッシュ上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を30Texポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。編みメッシュを、吸収性モノフィラメント把持部材を織物に有する非吸収性モノフィラメント織物から製造した。
【0239】
実施例7
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって編みメッシュ上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を100μmポリプロピレン(PP)から製造した。編みメッシュを、吸収性モノフィラメント把持部材を織物に有する非吸収性モノフィラメント織物から製造した。
【0240】
実施例8
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のモノフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって編みメッシュ上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。編みメッシュを、吸収性モノフィラメント把持部材を織物に有する非吸収性モノフィラメント織物から製造した。
【0241】
実施例9
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0242】
実施例10
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって溶解性基材上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が400μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。溶解性基材を不織布の水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から製造した。
【0243】
実施例11
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって編みメッシュ上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が210μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。編みメッシュは、吸収性モノフィラメント把持部材を有する非吸収性モノフィラメント織物で製造された。
【0244】
実施例12
移植可能なウェブを本明細書に記載するTFP技術を使用して調整して、モノフィラメント垂直糸、モノフィラメント水平糸、モノフィラメント斜め糸、およびモノフィラメント螺旋糸を、第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を織り交ぜることによって編みメッシュ上に配置および固定した。モノフィラメント水平糸、モノフィラメント垂直糸、およびモノフィラメント斜め糸を、各々が400μmの直径を有するポリテトラヒドロフランとポリブチレンテレフタレート(TPC)とのコポリマーから製造した。モノフィラメント螺旋状糸をポリプロピレン(PP)から製造し、直径が300μmであった。第1および第2のマルチフィラメント糸通し糸を、108Dtexポリエチレンテレフタレート(PET)から製造した。編みメッシュを、吸収性モノフィラメント把持部材を有する非吸収性モノフィラメント織物から製造した。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16